(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】蓄電量制御装置及び蓄電量制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20241008BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241008BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241008BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241008BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241008BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20241008BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20241008BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20241008BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20241008BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02J7/10 A
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/80
B60L53/53
B60L53/67
B60L53/68
B60M7/00 X
B60L5/00 B
(21)【出願番号】P 2021215244
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智之
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143632(JP,A)
【文献】特開2014-066713(JP,A)
【文献】特開2014-143883(JP,A)
【文献】特開2021-180581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0047620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 13/00
H02J 50/10
H02J 7/00
H02J 50/80
B60L 53/53
B60L 53/67
B60L 53/68
B60M 7/00
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源からの電力を蓄電しそれぞれ対応する負荷に電力を供給する複数の蓄電装置の蓄電量を制御する蓄電量制御装置であって、
前記負荷の予測消費電力量を表すパラメータの値を取得する予測消費電力量取得部と、
前記予測消費電力量を表すパラメータの値に基づいて前記蓄電装置の目標蓄電量を設定する蓄電量設定部と、
前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量設定部により設定された前記目標蓄電量以上となるように前記蓄電装置へ信号を送信する送信部と、
前記蓄電装置の設置される電力供給管轄エリアの電力消費量を超えて供給された余剰電力の大きさを取得する余剰電力取得部と、
を備え、
前記蓄電量設定部は、前記パラメータによって表される前記予測消費電力量が相対的に大きい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の前記目標蓄電量を、前記パラメータによって表される予測消費電力量が相対的に小さい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の前記目標蓄電量よりも高く設定
し、
前記送信部は、前記余剰電力の大きさが所定値以下の場合には、前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも少なくても、前記蓄電装置に蓄電させないように前記蓄電装置へ制御信号を送信する、蓄電量制御装置。
【請求項2】
前記送信部は、一部の蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも大きいときには、前記一部の蓄電装置の電力を蓄電量が前記目標蓄電量よりも少ない他の蓄電装置に前記系統電源を介さずに直接供給させる制御信号を、前記一部の蓄電装置へ送信する、請求項
1に記載の蓄電量制御装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも大きいときには、該蓄電装置の蓄電量の前記目標蓄電量よりも大きい余剰分を前記系統電源へ供給させる制御信号を、該蓄電装置へ送信する、請求項1
又は2に記載の蓄電量制御装置。
【請求項4】
前記負荷は、電動車両に非接触給電を行うことが可能な送電装置である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の蓄電量制御装置。
【請求項5】
前記予測消費電力量を表すパラメータは、前記送電装置が設置された道路の交通量を含む、請求項
4に記載の蓄電量制御装置。
【請求項6】
前記予測消費電力量を表すパラメータは、前記送電装置から前記電動車両への過去の送電量を含む、請求項
4に記載の蓄電量制御装置。
【請求項7】
系統電源からの電力を蓄電しそれぞれ対応する負荷に電力を供給する複数の蓄電装置の蓄電量を制御する蓄電量制御方法であって、
前記負荷の予測消費電力量を表すパラメータの値を取得する予測消費電力量取得ステップと、
前記パラメータによって表される前記予測消費電力量が相対的に大きい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の目標蓄電量が、前記パラメータによって表される予測消費電力量が相対的に小さい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の目標蓄電量よりも高くなるように、前記蓄電装置の目標蓄電量を設定する設定ステップと、
前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量以上となるように前記蓄電装置へ信号を送信する送信ステップと、
前記蓄電装置の設置される電力供給管轄エリアの電力消費量を超えて供給された余剰電力の大きさを取得する余剰電力取得ステップと、
を有
し、
前記送信ステップは、前記余剰電力の大きさが所定値以下の場合には、前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも少なくても、前記蓄電装置に蓄電させないように前記蓄電装置へ制御信号を送信することを含む、蓄電量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電力を供給する蓄電装置の蓄電量制御装置及び蓄電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電力を蓄えた蓄電装置から負荷に電力を供給する電力システムが公知である(特許文献1~3)。例えば、特許文献1では、外部充電が可能なBEV(Battery Eelectric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)など(これらを含めて「電動車両」と称する)に対して電力を供給する移動車両給電システムが開示されている。この移動車両給電システムでは、具体的には、給電エリアで送電装置から走行中非接触給電を行う際に、該給電エリアに設けられて系統電源からの電力を蓄電した蓄電装置から送電装置に電力が供給される。上記特許文献1の記載によれば、この移動車両給電システムでは、系統電源から直接電力を負荷に供給するのではなく、蓄電装置を介して負荷に電力を供給するため、負荷を短時間利用した場合においても安定した電力供給が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-193657号公報
【文献】特開2013-106372号公報
【文献】特開2019-080369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたように給電エリアごとに蓄電装置を設ける場合、各蓄電装置を一律の蓄電量とすることが考えられる。しかしながら、給電エリア毎に、また蓄電装置が電力を供給する負荷(例えば、送電装置)毎に、負荷の利用頻度や負荷による消費電力は異なる。これにより、給電エリアによっては、電力不足や電力の未活用という問題が発生し得る。
【0005】
本発明の目的は、電力不足または電力の未活用を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)系統電源からの電力を蓄電しそれぞれ対応する負荷に電力を供給する複数の蓄電装置の蓄電量を制御する蓄電量制御装置であって、
前記負荷の予測消費電力量を表すパラメータの値を取得する予測消費電力量取得部と、
前記予測消費電力量を表すパラメータの値に基づいて前記蓄電装置の目標蓄電量を設定する蓄電量設定部と、
前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量設定部により設定された前記目標蓄電量となるように前記蓄電装置へ信号を送信する送信部と、
を備え、
前記蓄電量設定部は、前記パラメータによって表される前記予測消費電力量が相対的に大きい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の前記目標蓄電量を、前記パラメータによって表される予測消費電力量が相対的に小さい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の前記目標蓄電量よりも高く設定する、蓄電量制御装置。
(2)前記蓄電装置の設置される電力供給管轄エリアの電力消費量を超えて供給された余剰電力の大きさを取得する余剰電力取得部、
を更に備え、
前記送信部は、前記余剰電力の大きさが所定値以下の場合には、前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも少なくても、前記蓄電装置に蓄電させないように前記蓄電装置へ制御信号を送信する、(1)に記載の蓄電量制御装置。
(3)前記送信部は、一部の蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも大きいときには、前記一部の蓄電装置の電力を蓄電量が前記目標蓄電量よりも少ない他の蓄電装置に前記系統電源を介さずに直接供給させる制御信号を、前記一部の蓄電装置へ送信する、(1)又は(2)に記載の蓄電量制御装置。
(4)前記送信部は、前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量よりも大きいときには、該蓄電装置の蓄電量の前記目標蓄電量よりも大きい余剰分を前記系統電源へ供給させる制御信号を、該蓄電装置へ送信する、(1)~(3)のいずれか一つに記載の蓄電量制御装置。
(5)前記負荷は、電動車両に非接触給電を行うことが可能な送電装置である、(1)から(4)のいずれか一つに記載の蓄電量制御装置。
(6)前記予測消費電力量を表すパラメータは、前記送電装置が設置された道路の交通量を含む、(5)に記載の蓄電量制御装置。
(7)前記予測消費電力量を表すパラメータは、前記送電装置から前記電動車両への過去の送電量を含む、(5)に記載の蓄電量制御装置。
(8)系統電源からの電力を蓄電しそれぞれ対応する負荷に電力を供給する複数の蓄電装置の蓄電量を制御する蓄電量制御方法であって、
前記負荷の予測消費電力量を表すパラメータの値を取得する予測消費電力量取得ステップと、
前記パラメータによって表される前記予測消費電力量が相対的に大きい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の目標蓄電量が、前記パラメータによって表される予測消費電力量が相対的に小さい前記負荷に電力を供給する前記蓄電装置の目標蓄電量よりも高なるように、前記蓄電装置の目標蓄電量を設定する設定ステップと、
前記蓄電装置の蓄電量が前記目標蓄電量となるように前記蓄電装置へ信号を送信する送信ステップと、
を有する蓄電量制御方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力不足または電力の未活用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の非接触給電システムにおける各要素を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の非接触給電システムにおける蓄電量制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態の非接触給電システムにおける各要素を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の非接触給電システムにおける蓄電量制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3実施形態の非接触給電システムにおける各要素を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の非接触給電システムにおける蓄電量制御処理の流れを示す制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。非接触給電システム1は、系統電源52、複数の蓄電装置2、複数の送電装置3、及び道路51上を走行する電動車両4、を有し、送電装置3から電動車両4へ磁界共振結合(磁界共鳴)による非接触電力伝送を行う。特に、本実施形態における非接触給電システム1は、電動車両4が走行しているときに送電装置3から電動車両4への非接触電力伝送を行う。したがって、送電装置3は、車両が走行のために道路51上に位置しているとき(すなわち、車両が実際に走行しているときや信号などにより道路51上で停止しているとき)に電動車両4へ非接触で電力を送電する。そして、電動車両4は、電動車両4が走行のために道路51上に位置しているときに、送電装置3から非接触で電力を受電する。
【0011】
系統電源52は、電力会社が保有する商用電力を各給電エリアに供給する為の電源である。系統電源52は、対応の給電エリア内の複数の蓄電装置2に電力線53を用いて接続される。電力線53は、系統電源52からの電力を蓄電装置2に送電するための電気配線である。
【0012】
蓄電装置2は、系統電源52からの電力を蓄電しそれぞれ対応する送電装置3に電力を供給する。本実施形態における蓄電装置2は、道路51の任意の区間に配置された複数の送電装置3に接続される。したがって、道路51の任意の区間毎に一つの蓄電装置2が配置される。
【0013】
送電装置3は、送電装置3上に位置する電動車両4に非接触で給電することができる装置である。送電装置3は、
図1に示すように、電動車両4が走行する道路51内(地中)に、例えば車両が走行する車線の中央に連続的に複数埋め込まれる。本実施形態では、各送電装置3はそれぞれ一つの蓄電装置2に接続されると共に、道路51の任意の区間内に連続的に配置された複数の送電装置3が一つの蓄電装置2に接続される。図示した送電装置3は、蓄電装置2に対して直列的に接続されているが、並列的に接続されてもよい。また、送電装置3は、電動車両4からの制御信号により電動車両4の受電装置5への送電制御を行う。
【0014】
電動車両4は、送電装置3上に位置するときに送電装置3から非接触で受電する受電装置5(図示せず)を備える。受電装置5は、送電装置3のコイルから磁界共振結合により受電するコイルを含む。そして、電動車両4は、受電した電力を車両のバッテリ(図示せず)に蓄電すると共に、蓄電された電力を用いて電動機によって駆動される。
【0015】
図2は、本実施形態の非接触給電システム1における各要素を示すブロック図である。
図2に示すように、蓄電装置2及び送電装置3はネットワーク54を介して蓄電量制御装置11及び交通量計測サーバ55に接続されている。したがって、蓄電装置2、送電装置3、蓄電量制御装置11、及び交通量計測サーバ55は、互いにネットワーク54を介して通信を行う。
【0016】
蓄電装置2は、蓄電部21、充放電装置22、及び蓄電装置コントローラ23を備える。蓄電部21及び充放電装置22は蓄電装置コントローラ23に接続されており、蓄電装置コントローラ23によって制御される。
【0017】
蓄電部21は、蓄電装置2に設けられた二次電池であり、系統電源52から供給された電力を蓄電する。蓄電部21は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。蓄電部21は、蓄電部21の蓄電量を検出する蓄電量検出センサ(図示せず)を有する。蓄電量検出センサは、蓄電装置コントローラ23に接続されており、その出力は蓄電装置コントローラ23に入力される。
【0018】
充放電装置22は、蓄電部21への充電や蓄電装置2からの放電を制御する。充放電装置22は、蓄電部21と系統電源52との接続及び蓄電部21と送電装置3との接続をオン/オフする。また、本実施形態では、充放電装置22は、外部機器(系統電源52)から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電部21へ供給し、蓄電部21から供給される直流電力を交流電力に変換して外部機器(送電装置3)へ供給する装置である。充放電装置22は、蓄電装置2と系統電源52との接続及び蓄電装置2と送電装置3との接続をオン/オフするスイッチと、系統電源52とインターフェース部及び送電装置3とのインターフェース部に設けられたAC/DC変換器と、を含む。系統電源52から蓄電部21に蓄電するときには、AC/DC変換器が系統電源52からの交流電力を直流電力に変換し、蓄電部21から送電装置3へ放電するときには、AC/DC変換器が蓄電部21からの直流電力を交流電力に変換する。
【0019】
蓄電装置コントローラ23は、蓄電装置メモリ24、蓄電装置通信インターフェース(以下、「蓄電装置通信I/F」という)25、及び蓄電装置プロセッサ26を備える。蓄電装置コントローラ23、蓄電部21及び充放電装置22は、信号線を介して互いに接続されている。
【0020】
蓄電装置メモリ24は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。蓄電装置メモリ24は、蓄電装置プロセッサ26において各種処理を実行するためのコンピュータプログラムや、蓄電装置プロセッサ26によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0021】
蓄電装置通信I/F25は、ネットワーク54に蓄電装置2を接続するためのインターフェース回路を有する。蓄電装置2は、蓄電装置通信I/F25を介して蓄電量制御装置11及び送電装置3と通信する。
【0022】
蓄電装置プロセッサ26は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、蓄電装置メモリ24に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種処理を実行する。蓄電装置プロセッサ26は、蓄電装置プロセッサ26上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールとして、蓄電量管理部27を備える。蓄電装置プロセッサ26内の蓄電量管理部27は、蓄電装置2の蓄電量が、後述する蓄電量制御装置11の蓄電量設定部18により設定された目標蓄電量となるように蓄電装置2を管理する。具体的には、蓄電量管理部27は、蓄電装置通信I/F25を介して目標蓄電量を受信し、当該目標蓄電量となるよう蓄電装置2を制御する。具体的には、蓄電量管理部27は、例えば、蓄電部21の蓄電量検出センサによって検出された蓄電量が目標蓄電量に到達している場合は充放電装置22のスイッチをオフし、斯かる蓄電量が目標蓄電量に到達していない場合には充放電装置22のスイッチをオンする。
【0023】
送電装置3は、送電部31、送電装置コントローラ32を備える。ここで、送電装置コントローラ32は、道路51内に埋め込まれてもよいし、道路51内とは別の場所(地上を含む)に配置されてもよい。送電部31、送電装置コントローラ32は信号線を介して互いに接続されている。本実施形態における送電装置3は、蓄電装置2の蓄電部21から供給された電力により電動車両4に送電するが、少なくとも蓄電部21の電力の一部を用いて送電していればよく、例えば、蓄電部21の電力と系統電源52からの電力で送電してもよい。この場合、送電装置3は、蓄電装置2を介して系統電源52に接続されると共に、蓄電装置2を介さないでも系統電源52に接続される。
【0024】
送電部31は、蓄電装置2の蓄電部21から供給された電力を電動車両4へ送電する。送電装置3は、不図示の送電側整流回路、インバータ及びコイルを含む送電側共振回路を有する。なお、送電装置3は、電動車両4から電力を受電することができるように構成されてもよい。この場合、送電装置3は、電動車両4の受電装置5と同様に、受電した電力を蓄電装置2に供給するための装置又は回路を有する。また、この場合、送電装置3は、電動車両4から電力を受電するのに、上述した送電側共振回路から構成される共振器を利用してもよい。
【0025】
送電装置コントローラ32は、送電部31への電力の供給を制御する。送電装置コントローラ32は、例えば、送電部31への電力の供給タイミングや供給量を制御する。送電装置コントローラ32は、ネットワーク54に送電装置3を接続するための通信インターフェースを有する。送電装置3は、送電装置コントローラ32を介して蓄電装置2と通信する。
【0026】
蓄電量制御装置11は、制御通信インターフェース(以下、「制御通信I/F」という)12、制御メモリ13及び制御プロセッサ14を備え、送電装置3に電力を供給する複数の蓄電装置2の蓄電量を制御する。制御通信I/F12、制御メモリ13及び制御プロセッサ14は、信号線を介して互いに接続されている。
【0027】
制御通信I/F12は、ネットワーク54に蓄電量制御装置11を接続するためのインターフェース回路を有する。蓄電量制御装置11は、制御通信I/F12を介して蓄電装置2、送電装置3及び交通量計測サーバ55と通信する。
【0028】
制御メモリ13は、蓄電装置メモリ24と同様に、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。制御メモリ13は、制御プロセッサ14において各種処理を実行するためのコンピュータプログラムや、制御プロセッサ14によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0029】
制御プロセッサ14は、蓄電装置プロセッサ26と同様、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有する。制御プロセッサ14は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。制御プロセッサ14は、制御メモリ13に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種処理を実行する。特に、制御プロセッサ14は、ネットワーク54を介して接続された複数の蓄電装置2の蓄電量を制御する。
【0030】
ここで、
図1、
図2に示すように走行中給電が可能な複数の送電装置3毎に一つの蓄電装置2を設ける場合、各蓄電装置2の目標蓄電量を一律の蓄電量とすることが考えられる。しかしながら、道路51の区間毎に電動車両4が走行中給電を行う頻度や充電量が異なる。このため、道路51の区間毎に、また蓄電装置2が電力を供給する送電装置3毎に、送電装置3の利用頻度や送電装置3による消費電力は異なる。この結果、各蓄電装置2の目標蓄電量を一律にした場合、電力消費量の多い道路51の区間では電力不足が生じる可能性があり、一方、電力消費量の少ない道路51の区間では蓄電された電力が適切に活用されない可能性がある。
【0031】
そこで本実施形態では、蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14は、予測消費電力量が相対的に大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2の目標蓄電量を予測消費電力量が相対的に小さい蓄電装置2よりも高く設定する。
【0032】
制御プロセッサ14は、蓄電装置プロセッサ26と同様、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有する。制御プロセッサ14は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。制御プロセッサ14は、制御メモリ13に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種処理を実行する。
図2に示したように、制御プロセッサ14は、蓄電装置プロセッサ26上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールとして蓄電量取得部15、消費電力量予測部16、予測消費電力量取得部17、蓄電量設定部18及び送信部19を備える。
【0033】
蓄電量取得部15は、各蓄電装置2の蓄電量(State Of Charge:SOC)を取得する。本実施形態では、蓄電量取得部15は、各蓄電装置2の蓄電装置コントローラ23から制御通信I/F12を介して蓄電量を取得する。
【0034】
消費電力量予測部16は、各送電装置3の予測消費電力量を予測する。消費電力予測部は、例えば、後述する交通量計測サーバ55からの予測交通量に基づいて、任意の期間における道路51の各区間の送電装置3から電動車両4に送電される送電電力を、各送電装置3の予測消費電力量として予測する。本実施形態では、予測消費電力量は、予測交通量が大きいほど大きな値となるよう算出され、
図1の例では、予測交通量が多い上側の道路区間に設けられた送電装置3の方が、予測交通量が少ない下側の道路区間に設けられた送電装置3と比較して予測消費電力量が大きく算出される。なお、本実施形態において、予測消費電力量が「予測消費電力量を表すパラメータの値」に相当する。
【0035】
予測消費電力量取得部17は、道路51の各区間に設けられた送電装置3の予測消費電力量を表すパラメータの値を取得する。本実施形態では、消費電力量予測部16により予測された、道路51の各区間の送電装置3における予測消費電力量を取得する。
【0036】
蓄電量設定部18は、予測消費電力量を表すパラメータの値に基づいて蓄電装置2の目標蓄電量を設定する。本実施形態では、蓄電量設定部18は、予測消費電力量取得部17にて取得した、道路51の各区間の送電装置3における予測消費電力量に基づいて、その区間の送電装置3に接続された蓄電装置2の目標蓄電量を設定する。特に、本実施形態では、蓄電量設定部18は、予測消費電力量が相対的に大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2の目標蓄電量を、予測消費電力量が相対的に小さい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2の目標蓄電量よりも高く設定する。
図1の例では、予測消費電力量が大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2の方が、予測消費電力量が小さい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2と比較して目標蓄電量が大きく設定される。特に、本実施形態では、目標蓄電量は、予測消費電力量が大きいほど高く設定される。このとき目標蓄電量は、予想消費電力の増加に比例して高くなるように設定されてもよい。また、目標蓄電量は、予測消費電力量の増加に応じて連続的に大きくしてもよく、段階的に大きくされてもよい。
【0037】
送信部19は、各蓄電装置2の蓄電量が蓄電量設定部18により設定された目標蓄電量となるように各蓄電装置2へ信号を送信する。送信部19は、制御通信I/F12に各蓄電装置2への信号を送信させる。特に、本実施形態では、各蓄電装置2の蓄電量が目標蓄電量未満であるか否かを判定し、目標蓄電量未満であると判定された場合にはその蓄電装置2における蓄電量が増えるようにその蓄電装置2へ制御信号を送信する。
【0038】
交通量計測サーバ55は、各道路51の電動車両4を含む車両の交通量を計測する。交通量計測サーバ55は、例えば各車両のGPS(Global Positioning system)によって検出されたその車両の現在地や進行方向を含む位置情報を各車両から受信する。そして、交通量計測サーバ55は、各車両から受信した位置情報に基づいて道路51の区間毎に現在の交通量を計測し、計測結果に基づいて道路51の区間毎の予測交通量を算出する。
図1に示した例では、上側に記載の道路51の方が下側に記載のの道路51よりも現在の交通量が多いため、上側の道路51の予測交通量は下側の道路51より多いと予測される。なお、予測交通量は、その他の任意の手法によって算出されてよい。したがって、例えば、過去の同時期、同曜日及び同時間帯の交通量に基づいて、予測交通量を算出してもよい。
【0039】
次に、本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御処理の動作を、
図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。蓄電量制御処理は、蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14によって実行される。
図3は、本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、制御プロセッサ14は、交通量計測サーバ55からの予測交通量を受信する(S100)。具体的には、消費電力量予測部16が、各道路51の区間毎の予測交通量を制御通信I/F12を介して受信する。
【0041】
次に、制御プロセッサ14は、S100において受信した予測交通量に基づき、道路51の各区間に設けられた送電装置3の予測消費電力量を算出する(S101)。具体的には、消費電力量予測部16が、道路51の各区間の予測交通量に基づいてその区間に設けられた送電装置3の予測消費電力量を算出する。
【0042】
次に、制御プロセッサ14は、S101において算出された予測消費電力量に基づいて、各蓄電装置2の目標蓄電量を設定する(S102)。具体的には、蓄電量設定部18が、消費電力量予測部16により算出されて予測消費電力量取得部17にて取得された道路51の各区間の送電装置3の予測消費電力量に基づいて、その送電装置3に接続された蓄電装置2の目標蓄電量を設定する。本実施形態では、蓄電量設定部18は、予測消費電力量が大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2ほど高くなるように目標蓄電量を設定し、最も高い目標蓄電量100%から順に予測消費電力量に応じて目標蓄電量が低くなるように設定する。
【0043】
次に、制御プロセッサ14は、各蓄電装置2の蓄電量を取得する(S103)。具体的には、制御プロセッサ14の蓄電量取得部15が、各蓄電装置2から現在の蓄電量を制御通信I/F12を介して取得する。
【0044】
次に、制御プロセッサ14は、S103で取得した各蓄電装置2の蓄電量がその蓄電装置2の目標蓄電量未満であるかを判定する(S104)。具体的には、送信部19が、各蓄電装置2の現在の蓄電量が目標蓄電量未満であるかを判定する。
【0045】
送信部19は、各蓄電装置2の蓄電量がその蓄電装置2の目標蓄電量未満であると判定されたとき(S104にてYes)には、目標蓄電量となるようにその蓄電装置2に制御信号を送信する(S105)。具体的には、送信部19は、制御通信I/F12により、各蓄電装置2の蓄電装置通信I/F25に目標蓄電量となるよう制御信号を送信する。
【0046】
一方、送信部19は、各蓄電装置2の蓄電量がその蓄電装置2の目標蓄電量以上であると判定されたとき(S104にてNo)には、その蓄電装置2へは蓄電させないように制御信号を送信する(S106)。
【0047】
上記蓄電量制御処理が実行されると、蓄電装置2の充放電装置22は、蓄電量制御装置11の送信部19からの制御信号に従って、蓄電部21への充電を制御する。この結果、充放電装置22は、蓄電部21の蓄電量が目標蓄電量以上となるように制御される。
【0048】
以上より、本実施形態によれば、予測消費電力量が大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2を予測消費電力量が小さい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2と比較して高い目標蓄電量とすることができる。これにより、予測消費電力量が大きい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2は高い蓄電量となり、大きな電力を送電装置3に供給することができる。反対に、予測消費電力量が小さい送電装置3に電力を供給する蓄電装置2は低い蓄電量となり、無駄な蓄電をすることが抑制される。これにより、道路51の区間毎の電力不足や電力の未活用を抑制することができる。
【0049】
<第2実施形態>
【0050】
次に、
図4及び
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る非接触給電システム1について説明する。第2実施形態に係る非接触給電システム1の基本的な構成は第1実施形態と同様である。構成上の相違点は、蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14に電力供給管轄エリアの余剰電力に関する情報を取得する余剰電力取得部61を更に備えている点である。そして、本実施形態では、送信部19は、余剰電力がある場合にのみ蓄電装置2に制御信号を送信する。
【0051】
図4は、本実施形態の非接触給電システム1における各要素を示すブロック図である。
【0052】
上述の通り、蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14は、機能モジュールとして余剰電力取得部61を更に備える。ここで指す余剰電力とは、電力会社により管理される、電力供給管轄エリアの電力消費量を超えて供給される電力である。余剰電力は、具体的には、発電量の調整ができない太陽光発電によって発電された電力のうち消費されることなく余っている電力を指す。この他、余剰電力は、風力、水力、及びバイオマス等による温室効果ガスを排出せず生産される再生可能エネルギや、発電所により発電された電力であってもよい。余剰電力取得部61は、蓄電量制御装置11によって制御される蓄電装置が設置sれる電力供給管轄エリアにおける余剰電力の大きさを含む余剰電力に関する情報を、電力会社サーバ56から制御通信I/F12を介して取得する。
【0053】
次に、本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御処理の動作を、
図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0054】
図5は、本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御プロセッサ14は、電力会社サーバ56から余剰電力に関する情報を取得する(S200)。具体的には、余剰電力取得部61は、蓄電装置2、送電装置3が設置されるエリアにおける電力消費量を超えて供給される電力を制御通信I/F12を介して受信する。
【0055】
次に、受信した余剰電力に関する情報に基づき、制御プロセッサ14は、余剰電力の大きさが閾値αよりも大きいか否かを判定する(S201)。ここで、本実施形態における閾値αとは0であり、余剰電力取得部61は余剰電力の大きさが閾値αよりも大きいか否かを判定する。閾値αは、余剰電力が発生しているかを判定する数値であればよく、例えば、閾値αは、0より大きく、蓄電装置2への蓄電が見込まれる所定電力であってもよい。
【0056】
余剰電力の大きさが閾値αよりも大きいと判定されたとき(S201においてYes)には、
図3に示した第1実施形態における処理(S100~S106)と同じ処理が行われる。S100以降のステップは第1実施形態と同様のフローであるため、説明を省略する。一方、余剰電力の大きさが閾値α以下であると判定されたとき(S201においてNo)には、送信部19は、蓄電させないように制御信号を送信する(S106)。
【0057】
以上より、本実施形態では、蓄電装置2が設置される電力供給管轄エリアにおける余剰電力の大きさが閾値α以下の場合には、その蓄電装置2の蓄電量が目標蓄電量よりも少なくても、その蓄電装置2に蓄電させないように蓄電装置へ制御信号が送信される。したがって、本実施形態では、余剰電力が発生しているときにのみ蓄電装置2への電力供給、蓄電が行われる。これにより、蓄電量が目標蓄電量に達していない蓄電装置2の蓄電を余剰電力を用いて行うことができ、電力の有効活用が可能になる。
【0058】
<第3実施形態>
次に、
図6~
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る非接触給電システム1について説明する。第3実施形態となる非接触給電システム1では、基本的な構成や制御が第1実施形態及び第2実施形態と同様である。相違点は、本実施形態では、系統電源52を介さずに各蓄電装置2の電力を授受することが可能な第2電力線57が設けられる点、蓄電量が目標蓄電量未満である不足蓄電装置と蓄電量が目標蓄電量よりも高い過剰蓄電装置とを特定する特定部71を蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14がさらに備えている点である。そして、本実施形態では、蓄電量制御装置11の送信部19は、蓄電量が目標消費電力量よりも高い過剰蓄電装置から蓄電量が目標消費電力量よりも低い不足蓄電装置に系統電源52を介さずに電力を供給させる制御信号を送信する。
【0059】
図6は、第3実施形態の非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。
図6からわかるように、本実施形態では、系統電源52と蓄電装置2とを接続する電力線53(以下、「第1電力線」という)に加えて、第2電力線57が設けられる。第2電力線57は、系統電源52を介さずに各蓄電装置2の電力を授受することを可能にする電力線であり、第1電力線53とは異なる電力線として設けられる。
【0060】
図7は、本実施形態の非接触給電システム1における各要素を示すブロック図である。上述の通り、蓄電量制御装置11の制御プロセッサ14は、特定部71を更に備える。特定部71は、蓄電量取得部15が取得した各蓄電装置2の現在の蓄電量と蓄電量設定部18が設定した各蓄電装置2の目標蓄電量とに基づき、不足蓄電装置及び過剰蓄電装置を特定する。ここで、本実施形態における過剰蓄電装置及び不足蓄電装置がそれぞれ「一部の蓄電装置」及び「他の蓄電装置」に相当する。
【0061】
本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御装置11の動作に関して、
図7のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0062】
図7は、本実施形態の非接触給電システム1における蓄電量制御処理の流れを示すフローチャートである。
図7のS100~S103は第1、第2実施形態と同様のフローであるため、説明を省略し、S304から説明を行う。
【0063】
S103において各蓄電装置2の蓄電量が取得されると、制御プロセッサ14は目標蓄電量未満の不足蓄電装置が存在するか否かを判定する(S304)。具体的には、特定部71が、蓄電量取得部15により取得された各蓄電装置2の現在の蓄電量と、蓄電量設定部18により設定された目標蓄電量とに基づき、蓄電量が目標蓄電量未満である不足蓄電装置を特定する。
【0064】
不足蓄電装置が存在すると判定されたとき(S304にてYes)には、制御プロセッサ14は、目標蓄電量以上の過剰蓄電装置が存在するか否かを判定する(S305)。具体的には、特定部71が、蓄電量取得部15により取得された各蓄電装置2の現在の蓄電量と、蓄電量設定部18により設定された目標蓄電量とに基づき、蓄電量が目標蓄電量以上である過剰蓄電装置を特定する。
【0065】
特定部71が、過剰蓄電装置が存在すると判定されたとき(S305にてYes)には、送信部19は、過剰蓄電装置から不足蓄電装置に電力供給するよう指示を行う(S306)。具体的には、送信部19は、過剰蓄電装置の電力を不足蓄電装置へ系統電源52を介さずに第2電力線57を介して直接供給させるべく過剰蓄電装置の充放電装置22を制御するように過剰蓄電装置に制御信号を送信する。加えて、送信部19は、不足蓄電装置に対して、過剰蓄電装置から第2電力線57を介して電力を受けるべく充放電装置22を制御するように制御信号を送信する。
【0066】
上記蓄電量制御処理が実行されると、過剰蓄電装置から不足蓄電装置に第2電力線57を介して直接電力が供給される。このとき、過剰蓄電装置に蓄電された電力は直流電力である為、充放電装置22による電力変換を行うことなく電力供給が行われる。
【0067】
以上より、本実施形態では系統電源52を介さずに目標蓄電量未満の蓄電装置に電力を供給する為、系統電源52から目標蓄電量未満の蓄電装置に電力を供給する場合と比較して、電力変換分の損失がなくなり、効率的な電力供給を行うことができる。
【0068】
<第3実施形態の変形例>
次に、本発明の第3実施形態の変形例について説明する。第3実施形態の変形例に係る非接触給電システム1では、基本的な構成が第3実施形態と同様である。本変形例では、蓄電装置2の蓄電量が目標蓄電量よりも大きいときには、その蓄電装置2の電力の目標蓄電量よりも大きい余剰分が系統電源へ供給される。
【0069】
具体的には、蓄電量制御装置11の送信部19は、特定部71により過剰蓄電装置として特定された蓄電装置に、その蓄電装置の蓄電量の目標蓄電量よりも大きい余剰分を、系統電源52へ供給させる制御信号を送信する。斯かる制御信号を受信した過剰蓄電装置の蓄電量管理部27は、蓄電部21に蓄電された余剰分の電力を系統電源52に供給することができるように充放電装置22に電圧等を調整させると共に、系統電源52との接続をオン/オフするスイッチをオンにする。
【0070】
以上より、第3実施形態の変形例によれば、蓄電量が目標蓄電量以上である過剰蓄電装置に蓄電された電力を系統電源52に供給することで、電力不活用となる可能性のある電力を有効活用することができる。本変形例における過剰蓄電装置の電力の系統電源52への供給は、第3実施形態における過剰蓄電装置の電力の不足蓄電装置への直接的な供給と併用することができる。したがって、過剰蓄電装置の電力は、第2電力線を介して直接的に不足蓄電装置に供給されることもできるし、系統電源52を介して間接的に不足蓄電装置に供給されることもできる。
【0071】
<その他の変形例>
上記実施形態において、予測消費電力量を表すパラメータとして、予想交通量に基づいて算出された各送電装置3の予測消費電力量を用いた。しかしながら、予測消費電力量を表すパラメータとして他のパラメータを使用してもよい。具体的には、例えば、予測消費電力量を表すパラメータとして、送電装置が設置された道路における予測交通量自体若しくは現在の交通量、又は現在の消費電力量等を使用してもよい。また、予測消費電力量を表すパラメータとして、送電装置3から電動車両4への過去の送電量を使用してもよい。この場合、送電装置3の送電装置コントローラ32から蓄電量制御装置11に送電量の履歴が送信され、消費電力量予測部16は当該パラメータを使用して消費電力量を予測する。また、予測交通量に基づいた予測消費電力量を算出する消費電力量予測部16は、蓄電量制御装置11の外部に設けられてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、蓄電量管理部27は、蓄電装置2内に設けられているが、送電装置3内に設けられてもいし、蓄電装置2及び送電装置3の外部に設けられてもよい。
【0073】
また、各実施形態において、蓄電量制御装置11の蓄電量設定部18が各蓄電装置2の蓄電量が目標蓄電量未満であるかを判定すると共に、判定結果に基づいて蓄電装置2への制御信号を送信している。しかしながら、各蓄電装置2の蓄電量管理部27が、その蓄電装置2の蓄電量が目標蓄電量未満であるか否かを判定すると共に、判定結果に基づいて充放電装置22への制御信号を送信してもよい。この場合、蓄電量制御装置11は各蓄電装置2に目標蓄電量に関する信号のみを送信する。
【0074】
加えて、上記実施形態では、電力を消費する負荷は走行中の非接触給電システムにおける送電装置である。しかしながら、電力を消費する負荷は、停止中給電システムにおける送電装置(給電スタンドにおける送電装置)であってもよい。したがって、本発明は、停止中給電システムに適用することもできる。また、電力を消費する負荷は、給電システムに限定されず、例えば、負荷を家庭用電化製品等であってもよい。
【0075】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 非接触給電システム
2 蓄電装置
3 送電装置
4 電動車両
11 蓄電量制御装置
51 道路
52 系統電源
55 交通量計測サーバ