(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2021507132
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007570
(87)【国際公開番号】W WO2020189196
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019053722
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257697(JP,A)
【文献】特開2015-230478(JP,A)
【文献】特開2011-242699(JP,A)
【文献】特開2015-197778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に来店した複数の顧客それぞれを認識する顧客認識手段と、
認識された前記複数の顧客それぞれに関連付けられた購入履歴に基づいて、前記複数の顧客それぞれに対する広告を選択する広告選択手段と、
前記顧客それぞれの位置を検出する検出手段と、
前記検出された顧客それぞれの位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下の顧客のうち、移動速度が他の顧客より遅い顧客に対して選択された広告を、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に表示させる表示制御手段と
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、複数の所定の位置のうち、前記顧客の位置との距離が他より小さい位置、かつ前記距離が所定の値以下である位置、に関連付けられた表示装置に、前記広告を表示させる
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記移動速度が他の顧客より遅い顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたと判定された場合に、前記表示装置に前記広告を表示させる
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記店舗において所定の位置に関連付けられて設置された表示装置と
を備えた情報処理システム。
【請求項5】
店舗に来店した複数の顧客それぞれを認識し、
認識された前記複数の顧客それぞれに関連付けられた購入履歴に基づいて、前記複数の顧客それぞれに対する広告を選択し、
前記複数の顧客それぞれの位置を検出し、
前記検出された顧客それぞれの位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下の顧客のうち、移動速度が他の顧客より遅い顧客に対して選択された広告を、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に表示させる
表示制御方法。
【請求項6】
店舗に来店した複数の顧客それぞれを認識する処理と、
認識された前記複数の顧客それぞれに関連付けられた購入履歴に基づいて、前記複数の顧客それぞれに対する広告を選択する処理と、
前記複数の顧客それぞれの
位置を検出する処理と、
前記検出された顧客それぞれの位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下の顧客のうち、移動速度が他の顧客より遅い顧客に対して選択された広告を、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に表示させる処理と
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、表示制御方法およびプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外・店頭・公共空間・交通機関などの種々の場所に配置されるデジタルサイネージ(Digital Signage(電子看板))を広告媒体として用いる技術が提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顔認識処理機能を活用して顧客の受容性が良好で安心安全なデジタルサイネージ装置が開示されている。このデジタルサイネージ装置は、カメラを用いて、周辺通行人や顧客の映像を取得し、取得した映像を画像処理し、顔属性や検出環境属性を取得し、取得した顔属性や検出環境属性を蓄積する。そして、デジタルサイネージ装置は、蓄積した履歴情報を基に背景と人物の識別や同一人物の識別を行い、対象とする機器の制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1では、カメラで顧客を撮像し、取得した撮像データから得られる推定年齢や推定性別に基づいて、デジタルサイネージに表示するコンテンツを選択し、表示している。しかしながら、顧客に対して広告を出力するタイミングが適切でなければ、広告の訴求効果は低減してしまうという課題がある。
【0006】
本開示の目的の一つは、上述の課題を解決し、顧客に対して、適切なタイミングで広告を出力することができる情報処理装置、情報処理システム、表示制御方法および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における情報処理装置は、店舗に来店した顧客の位置を検出する検出部と、前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる表示制御部とを備える。
【0008】
本開示の一態様における情報処理システムは、店舗において所定の位置に関連付けられて設置された表示装置と、情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記店舗に来店した顧客の位置を検出する検出部と、前記検出された顧客の位置と、前記所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる表示制御部とを備える。
【0009】
本開示の一態様における表示制御方法は、店舗に来店した顧客の位置を検出し、前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる。
【0010】
本開示の一態様における記録媒体は、店舗に来店した顧客の位置を検出する処理と、前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる処理とを、コンピュータに実行させるプログラムを記録している。
【発明の効果】
【0011】
本開示の効果は、顧客に対して、適切なタイミングで広告を出力することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理システムにより広告表示を行う店舗内の一例を模式的に示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る情報処理システムにより広告表示を行う店舗内の他の例を模式的に示す図である。
【
図6】デジタルサイネージが複数設置された店舗内を模式的に示す図である。
【
図7】第3の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】第3の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図9A】第3の実施形態に係る情報処理システムの判定部による顧客の顔の向きの判定について説明する図である。
【
図9B】第3の実施形態に係る情報処理システムの判定部による顧客の顔の向きの判定について説明する図である。
【
図10】第4の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】第4の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図13】第5の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図14】第6の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図15】第7の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】各実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面、及び、明細書記載の各実施形態において、同様の構成要素には同一の符号を付与し、説明を適宜省略する。
【0014】
第1の実施形態
第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置110、POS(Point Of Sales)装置120、デジタルサイネージ130、測距装置140および記憶装置150を備える。
【0016】
POS装置120、デジタルサイネージ130および測距装置140は、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、小売業における店舗に設置されている。
【0017】
情報処理装置110は、例えばコンピュータであり、POS装置120、デジタルサイネージ130、測距装置140、記憶装置150などの各装置の制御、各装置からの情報の取得、取得した情報の解析等の処理を行う。
【0018】
POS装置120は、店舗における商品の販売等に際して商品の登録、代金の決済等を行う。
【0019】
デジタルサイネージ130は、ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字などの広告コンテンツを表示する装置である。デジタルサイネージ130は、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置を備える。デジタルサイネージ130に表示する広告コンテンツは、動画でもよいし、静止画でもよい。デジタルサイネージ130は、情報処理装置110からの指示に基づいて、記憶装置150から広告データ151を取得し、ディスプレイ等に出力する。デジタルサイネージ130はまた、予め記憶装置150から広告データ151を取得して内部の記憶装置に記憶しておき、情報処理装置110からの指示に基づいて、ディスプレイ等に出力してもよい。デジタルサイネージ130は、少なくとも出力装置、入力装置および情報処理装置110と通信可能な機能を備えた装置であればよく、デジタルサイネージに限定されない。なお、デジタルサイネージ130は、情報処理装置110と一体に構成されてもよい。
【0020】
デジタルサイネージ130の設置場所は特に限定されない。例えば、デジタルサイネージ130は、店舗の出入口近傍に設置されてもよいし、商品棚、商品棚の扉、店舗の窓、天井等に設置されてもよいし、店舗の床に設置されてもよい。
【0021】
測距装置140は、ステレオカメラ装置、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置等の装置であり、測距装置140から測距対象までの距離の空間分布を取得することができる。測距装置140は、取得した距離情報を情報処理装置110に通知する。
【0022】
記憶装置150は、デジタルサイネージ130において表示する、広告、宣伝、イベント等に関する広告データ151を記憶する。記憶装置150は、店舗に設置されてもよいし、店舗とは異なる場所に配置され、通信ネットワークを介して情報処理装置110と接続されてもよい。記憶装置150は、情報処理装置110およびデジタルサイネージ130の少なくともいずれかと一体に構成されてもよい。
【0023】
次に、情報処理装置110の構成及び動作を説明する。
【0024】
図1に示すように、情報処理装置110は、検出部111、表示制御部112および記憶部113を備える。
【0025】
検出部111は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、店舗内における顧客の位置を検出する。検出部111は、店舗に来店した顧客の位置を検出する検出手段に相当する。
【0026】
表示制御部112は、検出部111により検出された顧客の位置と、デジタルサイネージ130の位置との距離が、所定の値以下である場合に、デジタルサイネージ130に広告を表示させる。表示制御部112は、検出された顧客の位置と、店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる表示制御手段に相当する。
【0027】
記憶部113は、測距装置140により得られた距離情報を記憶する。
【0028】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理システム100により広告表示を行う店舗内の一例を模式的に示す図である。
図2に示すように、例えば、店舗の商品棚10の近傍に、デジタルサイネージ130と測距装置140が設置されており、店舗に顧客20が来店していると仮定する。
【0029】
測距装置140は、デジタルサイネージ130の近傍にいる顧客20を含む所定の測距範囲内の測距を行う。この測距は、例えば、垂直方向、水平方向の2方向に走査をしながら奥行き方向の距離を計測するという3次元計測であってよい。この場合、デジタルサイネージ130の近傍を含む範囲内の3次元情報を得ることができる。なお、測距装置140がLiDAR装置である場合には、ステレオカメラ等を採用した場合と比べて奥行き方向の測距精度を向上させることができる。
【0030】
図3は、情報処理システム100の動作を説明するフローチャートである。
図3を参照して、情報処理システム100の動作について説明する。
【0031】
情報処理装置110は、測距装置140に対して、デジタルサイネージ130の近傍を含む範囲内の測距を行うよう指示する。測距装置140に対して測距の指示を行うタイミングは、顧客20が来店したことを検出したタイミングであってよい。顧客20が来店したことの検出は、店舗に設置されたカメラで店舗内を常時撮像し、取得された撮像データから顧客20が検出されてもよい。また店舗内に設置された人感センサなどによって検知されてもよい。測距装置140はまた、デジタルサイネージ130の周辺を常時監視していてもよい。この場合、測距装置140により常時距離情報が情報処理装置110に送信される。本実施形態では、情報処理装置110は、測距装置140に対して測距を行う指示をするとする。
【0032】
測距装置140は、上記指示に応じて測距を行う。この測距により取得された距離情報は、情報処理装置110に送信され、記憶部113に記憶される(ステップS110)。
【0033】
検出部111は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客20の位置を検出する(ステップS111)。なお、この検出は、例えば、所定範囲内にいるすべての顧客を検出するものであってもよいし、デジタルサイネージ130近傍に存在する一人の顧客を検出するものであってもよい。本第1の実施形態では、一人の顧客を検出したものとする。
【0034】
検出部111は、店舗に対して座標系を定義するマップ情報に対して、顧客の位置を座標値として検出してもよい。マップ情報は、例えば店舗の所定の位置を原点とする直交座標系によって店舗の各位置の座標を示す。マップ情報は、例えばフロアが長方形である店舗に対し、一辺をx軸、他辺をy軸として定義される2次元直交座標系を定義してもよい。
【0035】
図4は、マップ情報の一例を示す図である。例えば、マップ情報は、図中のP0=(0,0)、P1=(x1,y1)、P2=(x2,y2)、P3=(x3,y3)を示す座標情報によって店舗の2次元構造を表す。顧客の位置は、この直交座標系のx座標値とy座標値とによって表すことができる。マップ情報は記憶部113に記憶されていてもよい。
【0036】
表示制御部112は、検出部111により検出された顧客20の位置と、デジタルサイネージ130の位置との距離(
図2において「L1」で示す)を算出する。ここで、デジタルサイネージ130は、店舗における所定の位置に関連付けられて設置される。よって、表示制御部112は、検出された顧客20の位置と、所定の位置との距離L1を算出する。
【0037】
デジタルサイネージ130と関連付けられた(設置される)所定の位置は、例えば
図4に例示したマップ情報に座標値として予め含まれ記憶部113に記憶されていてもよい。検出部111は、顧客の位置と所定の位置のそれぞれの座標値に基づいて、両者の距離L1を算出してもよい。なお、所定の位置には、店舗内の任意の場所が対応付けられてもよい。
【0038】
表示制御部112は、算出した距離L1が、所定の値以下である場合に(ステップS112においてYes)、デジタルサイネージ130に広告を表示させる(ステップS113)。すなわち、表示制御部112は、デジタルサイネージ130に対して広告の表示を指示し、デジタルサイネージ130は、上記指示に応じて、記憶装置150に記憶される広告データに基づいて、広告をディスプレイに表示させる。表示させる広告の内容は任意であってよい。なお、デジタルサイネージ130は、予め記憶装置150から広告データ151を取得して内部の記憶装置に記憶しておき、情報処理装置110の指示に基づいて、ディスプレイ等に出力してもよい。
【0039】
ここで、所定の値には、任意の値が予め設定されていればよい。例えば、店舗の広さ、デジタルサイネージ130のディスプレイのサイズ、店舗内におけるデジタルサイネージ130の設置状況等に応じて、所定の値が設定されてよい。
【0040】
図5は、情報処理システム100により広告表示を行う店舗内の他の例を模式的に示す図である。顧客20の移動により、顧客20の位置と、デジタルサイネージ130の位置との距離L1が、所定の値以下になったとする。この場合に、表示制御部112により、デジタルサイネージ130に広告が表示される。
【0041】
以上のように、本第1の実施形態によれば、情報処理装置110の検出部111により店舗内の顧客の位置を検出し、顧客の位置とデジタルサイネージ130の位置との距離が所定の値以下である場合に、表示制御部112によりデジタルサイネージ130に広告を表示させる。この構成を採用することにより、本第1の実施形態によれば、顧客がデジタルサイネージ130に所定の距離以内に近づいたときに、適切なタイミングで広告を表示することができるという効果が得られる。
【0042】
第2の実施形態
第2の実施形態について説明する。
【0043】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した情報処理システム100において、複数のデジタルサイネージ130を備えた例について説明する。すなわち、第2の実施形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置110に複数のデジタルサイネージ130が通信可能に接続され、これら複数のデジタルサイネージ130が店舗における所定の位置にそれぞれ設置されている場合について説明する。
【0044】
情報処理システムが複数のデジタルサイネージ130を備える構成以外は第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0045】
本実施形態では、それぞれのデジタルサイネージ130と関連付けられた所定の位置が、予め記憶部113に記憶されている。なお、店舗における商品棚や各種設備のレイアウトや高さに応じて、顧客が店舗内のいずれの場所にいても測距装置140により距離情報が取得できるように、測距装置140が1または複数設置されてもよい。
【0046】
図6は、デジタルサイネージ130が複数設置された店舗内を模式的に示す図である。
図6に示すように、デジタルサイネージ130が複数設置された場合、表示制御部112は、検出部111により検出された顧客の位置と、各デジタルサイネージ130の位置とのそれぞれの距離(
図6において「L2」、「L3」で示す)を算出する。
【0047】
表示制御部112は、複数の所定の位置のうち、顧客の位置との距離が他より小さい位置、かつその距離が所定の値以下である位置、に関連付けられたデジタルサイネージ130に、広告を表示させる。つまり、表示制御部112は、複数のデジタルサイネージ130のうち、顧客に最も近いデジタルサイネージ130に広告を表示させる。
【0048】
以上のように、本第2の実施形態に係る情報処理システムは、表示制御部112により、複数のデジタルサイネージ130のうち顧客に最も近いデジタルサイネージ130に広告を表示するので、顧客が移動しても、顧客に最も近いデジタルサイネージ130に広告を表示させることができる。よって、第2の実施形態によれば、顧客自身のための広告であるように認識させることが可能となり、広告の訴求効果をより高めることができる。
【0049】
なお、表示制御部112は、第2の所定の値を予め保持しており、顧客の位置とデジタルサイネージ130の位置との距離が第2の所定の値以上になると、デジタルサイネージ130に表示されている広告の表示を停止させてもよい。また、別の顧客がデジタルサイネージ130に所定の距離以内に近づいたときに広告の表示を停止させてもよい。
【0050】
第3の実施形態
第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態の図面において付与した符号と共通する符号は同一の機能構成部を示し、その機能構成部について重複する説明は省略する。
【0051】
図7は、第3の実施形態に係る情報処理システム200の構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る情報処理システム200の情報処理装置110は、第1の実施形態において説明した情報処理装置110の構成に加えて、判定部210を備える。
【0052】
判定部210は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客の顔の向きを検出し、顧客の顔がデジタルサイネージ130を向いたか否かを判定する。判定部210は、顧客の顔の向きが表示装置を向いたか否かを判定する判定手段に相当する。
【0053】
判定部210は、例えば、複数回の測距の距離情報において、デジタルサイネージ130と顧客との距離Lが、所定の値以下で、かつ、減少しているときに顧客の顔が表示装置を向いていると判定する。また、判定部210は、デジタルサイネージ130と顧客との距離Lの変化量を基に、顧客の顔の向きが表示装置を向いたか否かを判定してもよい。例えば、デジタルサイネージ130と顧客との距離Lが、所定の値以下で、かつ、減少しているときに、距離Lの変化量が小さくなった場合に顧客の顔が表示装置を向いていると判定してもよい。
【0054】
図8は、第3の実施形態に係る情報処理システム200の動作を説明するフローチャートである。
図8を参照して、情報処理システム200の動作について説明する。
【0055】
第1の実施形態と同様に、検出部111は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客20の位置を検出する(ステップS111)。表示制御部112は、検出部111により検出された顧客20の位置と、デジタルサイネージ130の位置との距離を算出する。
【0056】
表示制御部112は、算出した距離Lが、所定の値以下である場合(ステップS112においてYes)、判定部210に、顧客の顔の向きの判定を指示する。判定部210は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客20の顔の向きを検出し、顧客20の顔がデジタルサイネージ130を向いたか否かを判定する(ステップS150)。
【0057】
図9Aおよび
図9Bは、判定部210による顧客の顔の向きの判定について説明する図である。
図9Aでは、矢印S1で示す顧客20の顔の向きがデジタルサイネージ130を向いた場合を示している。
図9Aでは、顧客20と、デジタルサイネージ130の距離Lは、所定の値以下で、かつ、減少している状態である。
図9Bでは、矢印S2で示す顧客20の顔の向きがデジタルサイネージ130を向いていない場合を示している。
図9Bでは、顧客20と、デジタルサイネージ130の距離Lは、所定の値より大きい状態、または、所定の値以下で、かつ、増加している状態である。
図9Aに示す場合、判定部210は、顧客の顔がデジタルサイネージ130を向いたと判定し、
図9Bに示す場合、判定部210は顧客の顔がデジタルサイネージ130を向いていないと判定する。
【0058】
判定部210は、判定の結果を、表示制御部112に通知する。
【0059】
なお、判定部210は、測距装置140により距離情報が得られるごとに、顧客の顔の向きの判定を行ってもよいし、顧客の位置とデジタルサイネージ130の位置との距離が所定の値以下である場合に、顧客の顔の向きの判定を行ってもよい。前者の場合、判定部210は、表示制御部112は、算出した距離Lが、所定の値以下となったタイミングで判定部210から判定結果を取得してもよい。
【0060】
表示制御部112は、判定部210から、顧客20の顔がデジタルサイネージ130を向いたとの判定結果を取得した場合(ステップS151においてYes)、デジタルサイネージ130に広告を表示させる(ステップS113)。
【0061】
以上のように、本第3の実施形態によれば、情報処理装置110の判定部210は、顧客の顔がデジタルサイネージ130を向いたか否かを判定し、向いた場合に、デジタルサイネージ130に広告を表示させる。この構成を採用することにより、本第3の実施形態によれば、顧客に対して、広告の訴求効果をより高めることができるという効果が得られる。
【0062】
なお、
図8のステップS113の後、判定部210が、顧客20の顔がデジタルサイネージ130を向いていないと判定した場合、表示制御部112は、広告の表示を停止するように制御してもよい。このとき、表示制御部112は、所定の期間以上、顧客20の顔がデジタルサイネージ130を向いていないと判定された場合に、デジタルサイネージ130に表示されている広告の表示を停止するように制御してもよい。
【0063】
第4の実施形態
第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態の図面において付与した符号と共通する符号は同一の機能構成部を示し、その機能構成部について重複する説明は省略する。
【0064】
図10は、第4の実施形態に係る情報処理システム300の構成を示すブロック図である。情報処理システム300は、第1の実施形態で説明した情報処理システム100に、さらに、撮像装置160を備える。
【0065】
撮像装置160は、例えば店舗のレジカウンタ、天井、壁面等、様々な場所に設置されたカメラ又はビデオカメラである。店舗内全体を撮影できるように、1または複数の撮像装置160が設置されてもよい。撮像装置160は、生成した撮像データを、情報処理装置110に通知する。情報処理装置110に通知された、動画または静止画である撮像データは記憶部113に記憶されてもよい。撮像データは、記憶装置150に記憶されてもよい。
【0066】
情報処理システム300の情報処理装置110は、第1の実施形態において説明した情報処理装置110の構成に加えて、顧客認識部310、購入履歴取得部311および広告選択部312を備える。記憶部113は、距離情報に加えて、顧客ID(IDentification)を記憶する。
【0067】
情報処理システム300の記憶装置150は、広告データ151に加えて、購入履歴情報320を記憶する。購入履歴情報320は、店舗に来店した顧客と、その顧客が購入した商品に関する情報とを関連付けた情報である。
【0068】
図11は、購入履歴情報の一例を示す図である。
図11に示すように、購入履歴情報は、例えば、購入日時、顧客ID、商品ID、購入数および購入金額を含む。
図10に示すPOS装置120は、店舗に来店した顧客が商品を購入するごとに
図11に示すような購入履歴情報を生成し、記憶装置150に記憶してもよい。顧客IDは、購入前に撮像データに基づいて取得されていてもよいし、店舗内のカード読取装置による各種カードの読取によって取得されていてもよいし、店舗内の中継装置による顧客の携帯端末の情報取得により取得されていてもよい。なお、購入履歴情報320は、当該店舗の来店客に限定されず、他の店舗の来店客の購入履歴情報を含んでいてもよい。
【0069】
次に、第1の実施形態における情報処理装置110とは異なる機能構成部について説明する。
【0070】
情報処理装置110の顧客認識部310は、店舗内の顧客を認識する。顧客認識部310は、例えば、撮像装置160から取得した撮像データに基づいて、店舗内の顧客を認識する。顧客認識部310は、また、店舗内のカード読取装置による各種カードの読取結果、店舗内の中継装置による顧客の携帯端末の情報の取得結果などに基づいて、店舗内の顧客を認識してもよい。顧客認識部310は、認識により得られた顧客IDを、記憶部113に記憶する。顧客認識部310は、顧客を認識する顧客認識手段に相当する。
【0071】
購入履歴取得部311は、顧客認識部310により認識された店舗内の顧客の購入履歴情報を、記憶装置150から取得する。すなわち、購入履歴取得部311は、顧客認識部310により認識され、記憶部113に記憶された顧客IDを用いて、その顧客IDに関連付けられた購入履歴情報を取得する。なお、購入履歴情報は、過去全ての購入履歴を示す情報であってもよいし、過去の所定期間(例えば、過去1ヶ月間、過去1年間など)での購入履歴を示す情報であってもよい。
【0072】
広告選択部312は、購入履歴取得部311により取得された、顧客の購入履歴情報に基づいて、その顧客に適した広告を選択する。例えば、広告選択部312は、新商品の購入頻度が多い場合は新商品に関する広告を選択してもよいし、購入頻度が多い商品に関する、またはその商品と同じブランドの新商品に関する、または新たなブランドに関する広告を選択してもよい。広告選択部312はまた、割引やクーポンの情報を広告として選択してもよい。顧客の購入履歴情報に基づいて広告を選択する手法には、既存の技術が用いられてよい。購入履歴取得部311および広告選択部312は、認識された顧客に関連付けられた購入履歴に基づいて広告を選択する広告選択手段に相当する。
【0073】
図12は、第4の実施形態に係る情報処理システム300の動作を説明するフローチャートである。
図12を参照して、情報処理システム300の動作について説明する。
【0074】
顧客認識部310は、店舗に来店した顧客を認識する(S210)。顧客認識部310は、例えば、店舗の入口などに設けられたカード読取装置を介して、店舗の会員カードなどに記憶されている顧客IDを読み取る。顧客認識部310は、カードから読み取った顧客IDを記憶部113に記憶する。これにより、店舗内の顧客が認識される。なお、カードは会員カードに限定されず、交通系IC(Integrated Circuit)カード、社員証、二次元バーコードを表示したスマートフォン等であってもよい。
【0075】
顧客認識部310はまた、撮像装置160から取得され、記憶部113に記憶された、来店時または店舗内を移動している顧客の撮像データを解析することによって、店舗内に存在する顧客を認識してもよい。このとき、顧客認識部310は、既存の各種人物特定アルゴリズムを利用して、店舗内の顧客の画像から顧客を認識してもよい。顧客認識部310は、例えば顔認証処理により、顧客を認識してもよい。すなわち、顧客認識部310は、撮像データと、予め顧客の外観の特徴量を登録したデータベースとを利用して顧客を特定してもよい。顔認証処理には、既存の技術が用いられてよい。顧客認識部310は、顧客別に割り当てられた顧客IDを画像認識結果から特定して取得する。顧客認識部310は、取得した顧客IDを記憶部113に記憶する。
【0076】
購入履歴取得部311は、記憶部113に記憶された顧客IDに関連付けられた購入履歴情報320を、記憶装置150から取得する(ステップS211)。
【0077】
広告選択部312は、取得された購入履歴情報320に基づいて、その顧客に適した広告データを選択する(ステップS212)。
【0078】
ステップS210乃至ステップS212は、顧客の来店時や店舗内を移動している顧客の撮像データが取得されたタイミングで行われてもよい。
【0079】
ステップS213乃至ステップS216は、
図3におけるステップS110乃至ステップS113と同じ処理である。
【0080】
すなわち、情報処理装置110は、測距装置140から距離情報を取得する(ステップS213)。検出部111は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客20の位置を検出する(ステップS214)。
【0081】
表示制御部112は、検出部111により検出された顧客20の位置と、店舗において所定の位置に関連付けられたデジタルサイネージ130との距離Lを算出する。
【0082】
表示制御部112は、算出した距離Lが、所定の値以下である場合に(ステップS215においてYes)、ステップS212において選択された広告を、デジタルサイネージ130に表示させる(ステップS216)。
【0083】
以上のように、本第4の実施形態によれば、情報処理装置110の顧客認識部310は、来店した顧客を認識し、購入履歴取得部311は、認識された顧客の購入履歴情報を取得し、広告選択部312は、取得された購入履歴情報に基づいて広告を選択する。表示制御部112は、顧客の位置とデジタルサイネージ130の位置との距離が所定の値以下であるとき、購入履歴情報に基づいて選択された広告を、デジタルサイネージ130に表示させる。
【0084】
上記構成を採用することにより、本第4の実施形態によれば、適切なタイミングで、かつ顧客に特化した内容の広告をデジタルサイネージ130に表示できるので、広告の訴求効果をより高めることができるという効果が得られる。
【0085】
また、例えば、複数のデジタルサイネージ130が店舗に設置され、複数の顧客が店舗において検出された場合、それぞれの顧客に特化した内容の広告を、それぞれの顧客に最も近いデジタルサイネージ130に表示することができる。
【0086】
第5の実施形態
第5の実施形態について説明する。
【0087】
第5の実施形態では、第4の実施形態で説明した情報処理システム300において、複数の顧客が検出された場合の動作について説明する。
【0088】
第5の実施形態に係る情報処理システムの情報処理装置110では、顧客認識部310の動作が、第4の実施形態と異なる。本実施形態では、顧客認識部310の動作について、主に説明する。
【0089】
第5の実施形態では、顧客認識部310は、複数の顧客を認識すると共に、デジタルサイネージ130との距離が所定の値以下である顧客が複数いる場合に、広告を表示する顧客を特定する。
【0090】
図13は、第5の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
図13において、
図12において付与した符号と共通する符号は同一の処理を示す。
【0091】
顧客認識部310は、来店した複数の顧客を認識する(ステップS210)。購入履歴取得部311は、認識した顧客の顧客IDにそれぞれ関連付けられた購入履歴情報を取得する(ステップS211)。広告選択部312は、それぞれの購入履歴情報に基づいて、顧客IDごとに顧客に適した広告データを選択する(ステップS212)。
【0092】
測距装置140は、情報処理装置110からの指示に応じて測距を行う(ステップS213)。検出部111は、複数の顧客それぞれの位置を検出する(ステップS214)。
【0093】
ステップS310において、表示制御部112は、検出部111により検出された複数の顧客の各位置と、店舗において所定の位置に関連付けられたデジタルサイネージ130との距離Lをそれぞれ算出する。
【0094】
表示制御部112は、デジタルサイネージ130との距離Lが所定の値以下である顧客がいる場合(ステップS310においてYes)、顧客認識部310に顧客の識別を指示する。顧客認識部310は、距離Lが所定の値以下である顧客を識別する(ステップS311)。顧客認識部310は、例えば撮像装置160から取得された撮像データに含まれる顧客の特徴量と、顧客認識部310により認識された顧客の特徴量とを照合することにより、当該顧客を識別してもよい。
【0095】
デジタルサイネージ130との距離Lが所定の値以下である顧客が1人である場合(ステップS312においてYes)、表示制御部112は、上記識別された顧客に適するとして、広告選択部312により選択された広告を表示させる(S313)。
【0096】
一方で、デジタルサイネージ130との距離が所定の値以下である顧客が1人でない場合(ステップS312においてNo)、顧客認識部310は、識別したそれぞれの顧客に関連付けられた購入履歴情報に基づいて、購入金額が最も高い顧客を特定する(ステップS314)。具体的には、顧客認識部310は、識別した顧客ごとに、購入履歴情報に含まれる購入金額を合計し、その合計額が最も高い顧客を特定し、その顧客IDを表示制御部112に通知する。
【0097】
表示制御部112は、受け取った顧客IDの顧客に適しているとして広告選択部312により選択された広告を表示する(ステップS315)。
【0098】
以上のように、本第5の実施形態に係る情報処理システムでは、顧客認識部310は、デジタルサイネージ130と所定の距離以内に位置する顧客が複数いる場合、顧客の過去の購入金額に応じて、広告を表示する顧客を特定する。これにより、本第5の実施形態によれば、購入金額が高い顧客に優先的に広告を表示させることができるという効果が得られる。
【0099】
第6の実施形態
第6の実施形態について説明する。
【0100】
第6の実施形態では、第5の実施形態で説明した情報処理システムにおける顧客認識部310による顧客の特定の他の例を説明する。
【0101】
第6の実施形態では、顧客認識部310は、認識した顧客を店舗内で追跡する機能を備える。具体的には、顧客認識部310は、撮像データから顧客を認識し、フレーム間で追跡し、顧客の位置の時系列情報を算出して顧客追跡情報を生成してもよい。顧客の追跡には、既存の方法を用いることができる。例えば、カルマンフィルタに基づく方法や、パーティクルフィルタに基づく方法などを用いてもよい。
【0102】
顧客認識部310は、顧客ごとに追跡を行い、顧客追跡情報を生成し、生成した顧客追跡情報に基づいて顧客ごとに移動速度を算出する。顧客追跡情報から移動速度を算出する手法には、既存の方法を用いることができる。
【0103】
ここで、移動速度が遅い顧客は、移動速度が速い顧客よりも、広告を見る可能性が高いと考えられる。そこで、第6の実施形態では、複数の顧客のうち、移動速度が遅い顧客に対して広告を表示する。
【0104】
図14は、第6の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するフローチャートである。
図14において、
図12および
図13において付与した符号と共通する符号は同一の処理を示す。本実施形態では、第4の実施形態および第5の実施形態と異なる動作について、主に説明する。
【0105】
顧客認識部310は、来店した複数の顧客を認識し(ステップS210)、認識した顧客ごとに追跡を行う(ステップS410)。
【0106】
購入履歴取得部311は、認識した顧客の顧客IDにそれぞれ関連付けられた購入履歴情報を取得する(ステップS211)。広告選択部312は、それぞれの購入履歴情報に基づいて、顧客IDごとに顧客に適した広告データを選択する(ステップS212)。
【0107】
測距装置140は、情報処理装置110からの指示に応じて測距を行う(ステップS213)。検出部111は、複数の顧客それぞれの位置を検出する(ステップS214)。
【0108】
ステップS310において、表示制御部112は、検出部111により検出された複数の顧客の各位置と、店舗において所定の位置に関連付けられたデジタルサイネージ130との距離Lをそれぞれ算出する。
【0109】
表示制御部112は、デジタルサイネージ130との距離Lが所定の値以下である顧客がいる場合(ステップS310においてYes)、顧客認識部310に顧客の識別を指示する。顧客認識部310は、距離Lが所定の値以下である顧客を識別する(ステップS311)。
【0110】
ステップS311において距離Lが所定の値以下である顧客を識別しているとき、デジタルサイネージ130との距離が所定の値以下の顧客が一人でない場合(ステップS312でNo)、顧客認識部310は、さらに、上述のように追跡している顧客のそれぞれの移動速度を算出する。そして、顧客認識部310は、移動速度が最も遅い顧客を特定する(ステップS411)。顧客認識部310は、特定した顧客IDを表示制御部112に通知する。
【0111】
表示制御部112は、受け取った顧客IDの顧客に適しているとして広告選択部312により選択された広告を表示する(ステップS315)。
【0112】
デジタルサイネージ130との距離Lが所定の値以下である顧客が1人である場合(ステップS312においてYes)、表示制御部112は、識別された顧客に適するとして、広告選択部312により選択された広告を表示させる(S313)。
【0113】
以上のように、本第6の実施形態に係る情報処理システムでは、顧客認識部310は、デジタルサイネージ130と所定の距離以内に位置する顧客が複数いる場合、移動速度に応じて、広告を表示する顧客を特定する。これにより、本第6の実施形態によれば、移動速度が最も遅い顧客に適している広告を表示することで、広告を見る可能性の高い顧客に優先的に広告を表示させることができるという効果が得られる。
【0114】
なお、顧客の追跡の結果を以下のように用いてもよい。すなわち、顧客の移動に伴い、その顧客に最も近いデジタルサイネージ130に広告を表示し、顧客がその広告に表示された商品の商品棚近傍に到着したことが追跡により検出されると、広告の表示を停止させてもよい。
【0115】
なお、第5の実施形態および第6の実施形態では、複数の顧客がデジタルサイネージ130と所定の距離以内であるとき、顧客の購入金額または移動速度に基づいて特定された顧客に適した広告を表示することを説明したが、これらに限定されない。例えば、複数の顧客それぞれに適した広告を、所定の順で、デジタルサイネージ130に表示させてもよい。
【0116】
第7の実施形態
第7の実施形態について説明する。
【0117】
図15は、第7の実施形態に係る情報処理装置400の構成を示すブロック図である。
図15に示すように、情報処理装置400は、検出部410および表示制御部420を備える。
【0118】
検出部410は、店舗に来店した顧客の位置を検出する。表示制御部420は、検出された顧客の位置と、店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる。
【0119】
上記構成を採用することにより、本第7の実施形態によれば、顧客が表示装置に所定の距離以内に近づいたときに、適切なタイミングで広告を出力することができるという効果が得られる。
【0120】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施形態における構成は、本開示のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
【0121】
例えば、第2の実施形態で説明した判定部210は、第3乃至第6の実施形態において説明した情報処理装置が備えてもよい。第3乃至第6の実施形態における表示制御部112は、判定部210から、顧客の顔がデジタルサイネージ130を向いたとの判定結果を取得した場合、デジタルサイネージ130に広告を表示させてもよい。
【0122】
また、各実施形態には、いくつかの変形例が考えられる。
【0123】
例えば、検出部111は、測距装置140により生成された距離情報に基づいて、店舗内における顧客の位置を検出することに限定されず、撮像装置160により得られた撮像データに基づいて顧客の位置を検出してもよい。表示制御部112は、撮像データに基づいて検出された顧客の位置と、デジタルサイネージ130の位置との距離を算出してもよい。この場合、情報処理システムは、測距装置140を備えない構成でもよい。
【0124】
また、判定部210は、測距装置140により得られた距離情報に基づいて、顧客20の顔の向きを検出することに限定されず、撮像装置160から取得した撮像データに基づいて、顧客20の顔の向きを検出してもよい。すなわち、判定部210は、撮像データを分析して、顧客の顔の向きを検出し、顔の向きがデジタルサイネージ130を向いているか否かを判定してもよい。
【0125】
また、判定部210は、顧客の顔の向きの検出に限定されず、顧客の視線の向きを検出してもよい。この場合、視線センサを、デジタルサイネージ130に取り付け、視線センサの検出結果に基づいて、顧客の視線の向きを検出してもよい。顧客の視線の向きがデジタルサイネージ130を向いていると判定された場合、表示制御部112は、デジタルサイネージ130に広告を表示させてもよい。これにより、広告を表示するタイミングをより適切にすることができる。
【0126】
また、各実施形態において、デジタルサイネージ130に表示されている広告の表示を各種タイミングで停止させてもよいことを説明したが、停止させることに限定されない。例えば、顧客に特化した内容の広告から、一般的な内容の広告に切り替えてもよい。
【0127】
(ハードウェア構成)
上述した各実施形態において、各装置(情報処理装置110等)の機能構成部の一部又は全部は、コンピュータ500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0128】
図16は、コンピュータ500のハードウェア構成の例を示す図である。
図16を参照すると、コンピュータ500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、プログラム504、記憶装置505、ドライブ装置507、通信インタフェース508、入力装置509、出力装置510、入出力インタフェース511およびバス512を含む。
【0129】
プログラム504は、各装置の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム504は、予め、ROM502やRAM503、記憶装置505に格納される。CPU501は、プログラム504に含まれる命令を実行することにより、各装置の各機能を実現する。例えば、情報処理装置110のCPU501がプログラム504に含まれる命令を実行することにより、検出部111、表示制御部112、判定部210、顧客認識部310、購入履歴取得部311、広告選択部312の機能を実現する。また、RAM503は、各装置の各機能において処理されるデータを記憶してもよい。例えば、情報処理装置110のRAM503が、距離情報等を記憶してもよい。
【0130】
ドライブ装置507は、記録媒体506の読み書きを行う。通信インタフェース508は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置509は、例えば、マウスやキーボード等であり、管理者等からの情報の入力を受け付ける。出力装置510は、例えば、ディスプレイであり、管理者等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース511は、周辺機器とのインタフェースを提供する。バス512は、これらハードウェアの各構成要素を接続する。なお、プログラム504は、通信ネットワークを介してCPU501に供給されてもよいし、予め、記録媒体506に格納され、ドライブ装置507により読み出され、CPU501に供給されてもよい。
【0131】
なお、
図13に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0132】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0133】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現されてもよい。これらの回路は、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0134】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0135】
その他、本開示の構成及び詳細には本開示の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が理解し得る様々な変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本開示を適用し得る実施形態である。
【0136】
さらに、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0137】
また、上述の各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のコンピュータプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのコンピュータプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0138】
該記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0139】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0140】
(付記1)
店舗に来店した顧客の位置を検出する検出手段と、
前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる表示制御手段と
を備えた情報処理装置。
【0141】
(付記2)
前記顧客を認識する顧客認識手段と、
前記認識された顧客に関連付けられた購入履歴に基づいて広告を選択する広告選択手段とをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記表示装置に前記選択された広告を表示させる
付記1記載の情報処理装置。
【0142】
(付記3)
前記表示制御手段は、複数の所定の位置のうち、前記顧客の位置との距離が他より小さい位置、かつ前記距離が所定の値以下である位置、に関連付けられた表示装置に、前記広告を表示させる
付記1または2記載の情報処理装置。
【0143】
(付記4)
前記顧客認識手段が、複数の顧客を認識した場合、
前記広告選択手段は、前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記表示制御手段は、前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客に関連付けられて選択された広告を、所定の順で前記表示装置に表示させる
付記2記載の情報処理装置。
【0144】
(付記5)
前記顧客認識手段が、複数の顧客を認識した場合、
前記広告選択手段は、前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記表示制御手段は、前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客のうち、前記購入履歴に基づく購入金額が他より高い顧客に関連付けられて選択された広告を、前記表示装置に表示させる
付記2記載の情報処理装置。
【0145】
(付記6)
前記顧客認識手段が、複数の顧客を認識した場合、
前記広告選択手段は、前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記表示制御手段は、前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客のうち、移動速度が他より遅い顧客に関連付けられて選択された広告を、前記表示装置に表示させる
付記2記載の情報処理装置。
【0146】
(付記7)
前記顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である位置の顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたと判定された場合に、前記表示装置に前記広告を表示させる
付記1乃至6のいずれか1項記載の情報処理装置。
【0147】
(付記8)
前記顧客の顔の向きが前記表示装置を向いていないと判定された場合、前記表示制御手段は、前記表示装置に表示されている前記広告の表示を停止させる
付記7記載の情報処理装置。
【0148】
(付記9)
前記検出手段は、測距対象までの距離を取得する測距装置により取得された距離情報に基づいて、前記顧客の位置を検出する
付記1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0149】
(付記10)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記店舗において所定の位置に関連付けられて設置された表示装置と
を備えた情報処理システム。
【0150】
(付記11)
店舗に来店した顧客の位置を検出し、
前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる
表示制御方法。
【0151】
(付記12)
前記顧客を認識し、
前記認識された顧客に関連付けられた購入履歴に基づいて広告を選択し、
前記表示装置に前記選択された広告を表示させる
付記11記載の表示制御方法。
【0152】
(付記13)
複数の所定の位置のうち、前記顧客の位置との距離が他より小さい位置、かつ前記距離が所定の値以下である位置、に関連付けられた表示装置に、前記広告を表示させる
付記11または12記載の表示制御方法。
【0153】
(付記14)
複数の顧客を認識した場合、
前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客に関連付けられて選択された広告を、所定の順で前記表示装置に表示させる
付記12記載の表示制御方法。
【0154】
(付記15)
複数の顧客を認識した場合、
前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客のうち、前記購入履歴に基づく購入金額が他より高い顧客に関連付けられて選択された広告を、前記表示装置に表示させる
付記12記載の表示制御方法。
【0155】
(付記16)
複数の顧客を認識した場合、
前記複数の顧客のそれぞれに関連付けられた購入履歴に基づいてそれぞれ広告を選択し、
前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である複数の顧客のうち、移動速度が他より遅い顧客に関連付けられて選択された広告を、前記表示装置に表示させる
付記12記載の表示制御方法。
【0156】
(付記17)
前記顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたか否かを判定し、
前記店舗における所定の位置との距離が、所定の値以下である位置の顧客の顔の向きが前記表示装置を向いたと判定された場合に、前記表示装置に前記広告を表示させる
付記11乃至16のいずれか1項記載の表示制御方法。
【0157】
(付記18)
前記顧客の顔の向きが前記表示装置を向いていないと判定された場合、前記表示装置に表示されている前記広告の表示を停止させる
付記17記載の表示制御方法。
【0158】
(付記19)
測距対象までの距離を取得する測距装置により取得された距離情報に基づいて、前記顧客の位置を検出する
付記11乃至18のいずれか1項に記載の表示制御方法。
【0159】
(付記20)
店舗に来店した顧客の位置を検出する処理と、
前記検出された顧客の位置と、前記店舗における所定の位置と、の距離が、所定の値以下である場合に、前記所定の位置に関連付けられた表示装置に、広告を表示させる処理と
を、コンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0160】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0161】
この出願は、2019年3月20日に出願された日本出願特願2019-53722を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0162】
100 情報処理システム
110 情報処理装置
111 検出部
112 表示制御部
113 記憶部
120 POS装置
130 デジタルサイネージ
140 測距装置
150 記憶装置