(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】一体化成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20241008BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
(21)【出願番号】P 2021513470
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2021009274
(87)【国際公開番号】W WO2021187236
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020047162
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑記
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英晃
(72)【発明者】
【氏名】阿部 辰也
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-313835(JP,A)
【文献】特開2017-013417(JP,A)
【文献】特開2003-156126(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側表面が意匠面である板材(A)と、熱可塑性樹脂を含む樹脂外部材(C1)との間に、熱可塑性樹脂を含む樹脂内部材(B1)が介在し、
前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が前記樹脂内部材(B1)と接合する第1の接合部と、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が前記樹脂外部材(C1)と接合する第2の接合部とを有する矩形状の面状構造体である一体化成形体であって、
前記板材(A)の前記意匠面と反対側(非意匠面側)に、前記樹脂内部材(B1)及び前記樹脂外部材(C1)それぞれに1ヶ所以上溶融樹脂合流ラインが形成され、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)のうちの1ヶ所の位置と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)の前記位置から最も近接した位置にある前記樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とがずれた位置に存在する位置関係を有
し、前記一体化成形体の外周辺長M1(mm)に対し、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)との距離M2(mm)との比M2/M1が0.04~0.4であることを特徴とする一体化成形体。
【請求項2】
前記樹脂内部材(B1)の一部に設けられた狭幅部位(B1’)に前記溶融樹脂合流ライン(B2)が形成される請求項1
に記載の一体化成形体。
【請求項3】
前記樹脂外部材(C1)の一部に設けられた狭幅部位(C1’)に前記溶融樹脂合流ライン(C2)が形成される請求項1
または2に記載の一体化成形体。
【請求項4】
前記第1の接合部が、前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の全周にわたって形成されている請求項1~
3のいずれかに記載の一体化成形体。
【請求項5】
前記第2の接合部が、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の全周にわたって形成されている請求項1~
4のいずれかに記載の一体化成形体。
【請求項6】
前記樹脂内部材(B1)または前記樹脂外部材(C1)に強化繊維が含まれ、前記強化繊維が不連続繊維であり、前記不連続繊維の重量平均繊維長が0.3~3mmである請求項1~
5のいずれかに記載の一体化成形体。
【請求項7】
成形金型内に、複数の樹脂注入ゲート口(GC)から樹脂外部材(C1)の前駆体を射出注入して前記樹脂外部材(C1)をあらかじめ形成する第一工程、
前記樹脂外部材(C1)の内側に、前記樹脂外部材(C1)の少なくとも一部と離間させた位置に板材(A)を配置する第二工程、及び、
前記板材(A)と前記樹脂外部材(C1)との間隙に、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入することにより、前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域と前記樹脂内部材(B1)とを接合する第1の接合部と、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域と前記樹脂外部材(C1)とを接合する第2の接合部とを形成する第三工程、
により矩形形状の面状構造体を有する一体化成形体の製造方法であって、
前記板材(A)の意匠面と反対側(非意匠面側)から見た際、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)の位置と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と最も近接した位置にあり前記樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とが、少なくとも1箇所以上、ずれた位置となるように、前記樹脂内部材(B1)の前駆体および前記樹脂外部材(C1)の前駆体それぞれの射出注入条件を調整することを特徴とする一体化成形体の製造方法。
【請求項8】
前記射出注入条件が、前記樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入する複数の前記樹脂注入ゲート口(GB)のうちの1ヶ所の位置と、前記樹脂注入ゲート口(GB)の前記位置から最も近接した位置に設けられた前記樹脂外部材(C1)の前駆体を射出注入する前記樹脂注入ゲート口(GC)の位置とが、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に対してずれた位置に設けられる、請求項
7に記載の一体化成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパソコンやOA機器、携帯電話等の部品や筐体部分として用いられる軽量、高強度・高剛性でかつ薄肉化が要求される用途に適した一体化成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の携帯化が進むにつれ、より小型、軽量化が要求されている。その要求を達成するために、機器を構成する部品、特に筐体には、外部から荷重がかかった場合に筐体が大きく撓んで内部部品と接触、破壊を起こさないようにする必要があるため、高強度・高剛性化を達成しつつ、かつ薄肉化が求められている。また、強化繊維と樹脂からなる繊維強化樹脂構造体と別の部材、例えばフレーム部材等と一体化接合成形させて小型軽量化した成形構造体において、接合強度の信頼性が要求されている。
【0003】
特許文献1(国際公開2018/110293)には、片側表面が意匠面である板材(A)と部材(B)との間に接合樹脂(C)が介在した一体化成形体であって、前記板材(A)の外周縁部の少なくとも一部の領域が前記接合樹脂(C)と接合する第1の接合部を有し、前記板材(A)と前記部材(B)とが離間し、前記一体化成形体の意匠面側の表面の少なくとも一部に、前記板材(A)、前記部材(B)、および前記接合樹脂(C)が露出する領域を有する構成が記載され、複数の構造体が高い接合強度で接合し、その接合境界部が良好な平滑性を有し、成形体が板材の構成部材を有しても反り低減が図れ、軽量・薄肉化を実現できる、との効果が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2005-1215号公報)には、多点射出成形機により部品を製造する射出成形品の製造方法であって、多点射出成形機の成形型を構成する可動型と固定型の一方の型に対して表皮フィルムを載置する表皮フィルム載置工程と、成形型内のキャビティに前記固定型と可動型の他方の型に設けた射出第一ゲートから溶融樹脂を射出し、少なくともキャビティの一部を残して充填固化する第一充填工程と、前記第一の充填工程の後、残りのキャビティ内に射出第一ゲートと同じ他方の型に設けた射出第二ゲートから溶融樹脂を射出し、充填固化する第二充填工程とを有する製造方法が記載され、多点射出成形機により成形品を製造する場合であっても、いわゆるウエルドラインを見えなくした射出成形品を得られる効果が開示されている。
【0005】
また、特許文献3(特開平8-318547号公報)には、2つのスプルーを有するキャビティが形成された金型に溶融樹脂を射出する射出成形方法において、2頭の射出ユニットが前記2つのスプルーの位置に対応して配設された射出成形機を用い、2頭の射出ユニットから金型に同時あるいは時間差をおいて溶融樹脂を射出し、溶融樹脂の射出後から冷却固化するまでの間に、2頭の射出ユニットの射出動作およびサックバック動作を、互いに逆の動作となるように交互に繰返し行う構成とすることにより、キャビティ内の溶融樹脂が強制的に揺動される。従って、溶融樹脂の配向が乱れ、どの位置においても成形品の強度が均一な状態となる。特に、樹脂中にガラス繊維や炭素繊維等の強化材を含む場合には、この強化材が溶融樹脂の合流部において絡み合い、一方向に配向しなくなるので、合流部における強度の低下が防止される、との効果が開示されている。
【0006】
特許文献4(特開平6-210669号公報)には、キャビティに開口して設けられた複数のゲートと、該複数のゲートにそれぞれ連通して設けられた複数のランナと、該複数のランナにおける時間当たり流量をそれぞれが異なる時期において増減する複数の流量調節機構とが前記金型に設けられ、各ゲートから単位時間当たりに流入する樹脂量は異なるタイミングで増減しているために、複数のゲートからキャビティ内に流入した複数の樹脂の流れがキャビティ内において合流する位置は、各ゲートごとの樹脂流入量の増減に応じて、前記ウエルドラインに相当する線に沿って、左右に振り分けられる。この結果、合流部分に生ずるべきウエルドラインは左右に細かく入り組んだ線となり、実質的に消滅する効果が開示されている。
【0007】
特許文献5(特開平6-285911号公報)には、第1ゲートと第2ゲートから溶融樹脂を同時に注入したときに、樹脂充填空間内において2つのゲートからそれぞれ注入された溶融樹脂の2つの流れが出会い、ウエルドラインを形成すると予想される第3の所定位置より第1の所定位置に近い点における注入溶融樹脂の圧力が所定値を超えたことを検出する圧力検出手段と、第3の所定位置より第1の所定位置に近い点に樹脂充填空間内に第1ゲートより注入された溶融樹脂を退避させるための小空間と、小空間の樹脂充填空間側の入口を通常は閉じておき、圧力検出手段に応答して圧力が所定値を超えたときに、入口を開いて溶融樹脂の一部を前記小空間内に導き退避させるための弁手段とを有する構成が記載され、ゲートの開閉を操作し、更に弁が開くことによりその近傍の樹脂が小空間に導かれて退避することによりウエルドラインのできる部分において反対側の流れの圧力が相対的に高くなって、流れの先端中央部が流入し、凹凸形のウエルドラインが深く形成される。従ってこの部分の強度が高まる効果が開示されている。
【0008】
特許文献6(特開2000-167863号公報)には、短繊維強化熱可塑性樹脂のウエルド補強方法であって,一定の熱特性を有する連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料からなる強化部材をインサート成形してウエルドを補強する方法が記載され、ウエルド部の強度を特別な装置を必要とせずに、大幅に向上させる効果が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開2018/110293
【文献】特開2005-1215号公報
【文献】特開平8-318547号公報
【文献】特開平6-210669号公報
【文献】特開平6-285911号公報
【文献】特開2000-167863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
金型内部の樹脂充填空間(キャビティ)において樹脂流が分流せざるを得ないものがある。かかる分流した2つ以上の流れが合流し、合流部分が互いに十分に融合しないまま固化し、ウエルドライン(ウエルド部ともいう)を形成する。この合流部分にできるウエルドラインでは、その強度が他の部分に比べて低下する問題があった。
【0011】
特許文献1には、射出成形にて板材とフレーム材を接合一体化する方法が記載されているが、射出成形に発生すると予測されるウエルドラインについての言及はなされておらず、その課題に対する補強対策について改善の余地があった。
【0012】
特許文献2の構成では、第二充填工程における充填も、その充填量が全体量に対して第一充填工程において充填した量だけ減少しているため、いわゆる型締め力も全体量に対して行うより大幅に減少された型締め力で済む効果が得られ、表皮フィルムにより溶融樹脂の接触箇所で生じるウエルドラインを表面から隠蔽することができ、表面外観性を向上させることができる。しかし、表皮フィルムはウエルドラインを隠す効果を得ることができるが、ウエルドラインの合流部における強度の低下を抑制するには課題があった。
【0013】
また、特許文献3の構成では、多点射出成形機を用いた射出成形においては、各射出ユニット10、20のスクリュ12、22を交互に進退させることで、キャビティ35内の溶融樹脂が強制的に揺動され、溶融樹脂の配向が乱れ、成形品の一定の強度を確保することができるが、射出動作およびサックバック動作の繰り返し行わせしめるため、各射出ユニット10、20のスクリュ12、22を交互に進退させる制御機構が必要となり、成形品が複雑な形状や、射出ゲート口が増加する場合には射出ユニットが増える機構となり、その制御機構が複雑なものとなり、製造工程自体が複雑になってしまう課題があった。
【0014】
また、特許文献4の構成では、射出成形において、ゲートから単位時間当たりに流入する樹脂量の調整のための流量調節機構が余分に必要となり製造コストの増加とともに、流入する樹脂量を絶えず変化させることは射出成形におけるキャビティ-内への樹脂の流入にムラが発生する場合があり、さらにはボイドの発生を誘発する課題があった。
【0015】
また、特許文献5の射出成形の構成では、流入する溶融樹脂の圧力を調整して凹凸形のウエルドラインを深く形成するため、溶融樹脂の一部を成形部外に配した樹脂溜め内へ導く構成を取っているが、この構成では、型に余分な空間を確保する必要があり、成形型の作成が複雑になるとともに、金型が肥大化することが避けられない。また、より効率的にウエルドラインを深く形成するためには、溶融樹脂の圧力を検出して弁の開閉にフィードバックする必要があり、そのフィードバックの制御も考慮しなければならず、結果的に制御シーケンスが複雑なものとなり、製造工程自体が複雑になってしまう課題があった。
【0016】
また、特許文献6の構成では、補強部材を用いてインサート成形を行い、ウエルドラインをその補強部材を用いて強化する方法であり、別個の補強部材が積層される形となるため、補強された成形品が厚くなり、薄型化実現に課題があった。
【0017】
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、複数の構造体を、複数の射出ゲート口から射出樹脂部材を射出して接合する際、樹脂部材が合流する箇所にウエルドラインが生じたとしても、高い接合強度を維持するとともに、接合一体化された構造体の強度の低下を抑えることができ、反り低減が図れ、軽量・薄肉化を可能としうる一体化成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を採用するものである。すなわち、
〔1〕片側表面が意匠面である板材(A)と、熱可塑性樹脂を含む樹脂外部材(C1)との間に、熱可塑性樹脂を含む樹脂内部材(B1)が介在し、
前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が前記樹脂内部材(B1)と接合する第1の接合部と、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が前記樹脂外部材(C1)と接合する第2の接合部とを有する矩形状の面状構造体である一体化成形体であって、
前記板材(A)の前記意匠面と反対側(非意匠面側)に、前記樹脂内部材(B1)及び前記樹脂外部材(C1)それぞれに1ヶ所以上溶融樹脂合流ラインが形成され、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)のうちの1ヶ所の位置と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)の前記位置から最も近接した位置にある前記樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とがずれた位置に存在する位置関係を有することを特徴とする一体化成形体。
〔2〕前記一体化成形体の外周辺長M1(mm)に対し、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)との距離M2(mm)との比M2/M1が0.04~0.4である〔1〕に記載の一体化成形体。
〔3〕前記樹脂内部材(B1)の一部に設けられた狭幅部位(B1’)に前記溶融樹脂合流ライン(B2)が形成される〔1〕または〔2〕に記載の一体化成形体。
〔4〕前記樹脂外部材(C1)の一部に設けられた狭幅部位(C1’)に前記溶融樹脂合流ライン(C2)が形成される〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の一体化成形体。
〔5〕前記第1の接合部が、前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の全周にわたって形成されている〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の一体化成形体。
〔6〕前記第2の接合部が、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の全周にわたって形成されている〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の一体化成形体。
〔7〕前記樹脂内部材(B1)または前記樹脂外部材(C1)に強化繊維が含まれ、前記強化繊維が不連続繊維であり、前記不連続繊維の重量平均繊維長が0.3~3mmである〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の一体化成形体。
〔8〕成形金型内に、複数の樹脂注入ゲート口(GC)から樹脂外部材(C1)の前駆体を射出注入して前記樹脂外部材(C1)をあらかじめ形成する第一工程、
前記樹脂外部材(C1)の内側に、前記樹脂外部材(C1)の少なくとも一部と離間させた位置に板材(A)を配置する第二工程、及び、
前記板材(A)と前記樹脂外部材(C1)との間隙に、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入することにより、前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域と前記樹脂内部材(B1)とを接する第1の接合部と、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域と前記樹脂外部材(C1)とを接合する第2の接合部とを形成する第三工程、
により矩形形状の面状構造体を有する一体化成形体の製造方法であって、
前記板材(A)の意匠面と反対側(非意匠面側)から見た際、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)の位置と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)と最も近接した位置にあり前記樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とが、少なくとも1箇所以上、ずれた位置となるように、前記樹脂内部材(B1)の前駆体および前記樹脂外部材(C1)の前駆体それぞれの射出注入条件を調整することを特徴とする一体化成形体の製造方法。
〔9〕前記射出注入条件が、前記樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入する複数の前記樹脂注入ゲート口(GB)のうちの1ヶ所の位置と、前記樹脂注入ゲート口(GB)の前記位置から最も近接した位置に設けられた前記樹脂外部材(C1)の前駆体を射出注入する前記樹脂注入ゲート口(GC)の位置とが、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に対してずれた位置に設けられる、〔8〕に記載の一体化成形体の製造方法。
である。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の一体化成形体およびその製造方法によれば、複数の構造体を射出樹脂により接合して得られた一体化成形体において、高い接合強度で接合するとともに、成形体自体も高い強度を有し、成形体が板材の構成部材を有しても反り低減が図れ、軽量・薄肉化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】
図3の樹脂
内部材(B1)又は樹脂外部材(C1)の領域を拡大した図で、射出成形により成形型内を進行する樹脂の流れ状態を示した模式断面図である。
【
図5】
図3の樹脂
内部材(B1)又は樹脂外部材(C1)の領域を拡大した図で、左右から進行してくる樹脂同士が衝突して溶融樹脂合流ラインが形成された状態を示した模式断面図である。
【
図6】複数の樹脂注入ゲート口から射出注入された樹脂部材が合流して形成された溶融樹脂合流ラインの位置関係を示した本発明に係る一体化成形体の非意匠面側からみた底面図である。
【
図7】樹脂内部材(B1)及び樹脂外部材(C1)の一部に幅が狭くなる狭幅部位を設けた
本発明に係る一体化成形体の断面図である。
【
図8】成形金型内に、複数の樹脂注入ゲート口(GC)から樹脂外部材(C1)の前駆体を射出注入して樹脂外部材(C1)を予め形成する工程[1]を示す底面図である。
【
図9】樹脂外部材(C1)を予め形成する工程[1]で、樹脂外部材(C1)を射出注入する樹脂注入ゲート口(GC)と、樹脂外部材(C1)を形成する空間(キャビティ)を設けた成形金型の断面図である。
【
図10】樹脂外部材(C1)前駆体を射出注入して樹脂外部材(C1)を形成した後、上金型を取り外した後の状態を示す
図7のB-B‘の断面図である。
【
図11】樹脂外部材(C1)の内側に、樹脂外部材(C1)と少なくとも一部を離間させて、片側表面が意匠面である板材(A)を成形金型内に配置する工程[2]を示す底面図である。
【
図13】成形金型内に、予め形成した樹脂外部材(C1)を設置し、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入して樹脂内部材(B1)を形成する工程[3]を示す底面図である。
【
図14】
図13と異なる実施態様として、成形金型内に、予め形成した樹脂外部材(C1)を設置し、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入して樹脂内部材(B1)を形成する工程[3]を示す底面図である。
【
図15】
図13と異なる実施態様として、成形金型内に、予め形成した樹脂外部材(C1)を設置し、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入して樹脂内部材(B1)を形成する工程[3]を示す底面図である。
【
図16】
図13と異なる実施態様として、成形金型内に、予め形成した樹脂外部材(C1)を設置し、複数の樹脂注入ゲート口(GB)から樹脂内部材(B1)の前駆体を射出注入して樹脂内部材(B1)を形成する工程[3]を示す底面図である。
【
図17】樹脂内部材(B1)を形成する工程[3]で、樹脂内部材(B1)前駆体を射出注入する樹脂注入ゲート口(GB)と、樹脂内部材(B1)を形成する空間(キャビティ)を設けた成形金型の断面図である。
【
図18】樹脂内部材(B1)前駆体を射出注入して樹脂内部材(B1)を形成した後、上金型を取り外した後の状態を示す
図12のD-D’の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は図や実施例に何ら限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る一体化成形体1の構成は、片側表面が意匠面である板材(A)と、熱可塑性樹脂を含む樹脂外部材(C1)との間に、熱可塑性樹脂を含む樹脂内部材(B1)が介在し、前記板材(A)の外周側面部及び/または外周縁部の一部の領域または全領域が前記樹脂内部材(B1)と接合する第1の接合部と、前記樹脂内部材(B1)の外周側面部及び/または外周縁部の一部の領域または全領域が前記樹脂外部材(C1)と接合する第2の接合部とを有する矩形状の面状構造体である一体化成形体であって、前記板材(A)の前記意匠面と反対側(非意匠面側)に、前記樹脂内部材(B1)及び前記樹脂外部材(C1)それぞれに1ヶ所以上溶融樹脂合流ラインが形成され、前記一体化成形体の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)のうちの1ヶ所の位置と、前記溶融樹脂合流ライン(B2)の前記位置から最も近接した位置にある前記樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とがずれた位置に存在する位置関係を有することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る一体化成形体1の斜視図、平面図およびA-A’断面図をそれぞれ、
図1、
図2、および
図3に示す。一体化成形体1は、板材(A)2と樹脂外部材(C1)4の間に樹脂内部材(B1)3が介在して配置される構成を有する。ここで、板材(A)2と樹脂内部材(B1)3とを接合した部位が第1の接合部5であり、樹脂内部材(B1)3と樹脂外部材(C1)4とを接合した部位が第2の接合部6である。なお、板材(A)2について、
図2で図示されている面、
図3で上方に位置する面が意匠面である。
【0024】
さらに、一体化成形体1の意匠面側の表面の少なくとも一部に、板材(A)2、樹脂内部材(B1)3および樹脂外部材(C1)4が同一平面上で露出する領域7を有する。
【0025】
板材(A)2の外周縁部とは、面状構造体の板材(A)2の外周部付近の平面部領域であり、板材(A)2の外周端部を構成する各辺から、当該各辺の長さの0~15%の長さに相当する幅の範囲内にある領域を指す。外周側面部とは、面状構造体の板材(A)2の外周部の平面部に対して垂直な面を有する端部である。樹脂内部材(B1)3についても同様である。
【0026】
次に、板材(A)2の意匠面と反対側(非意匠面側)に、樹脂内部材(B1)3及び樹脂外部材(C1)4それぞれに1ヶ所以上形成される溶融樹脂合流ライン(ウエルドラインとも呼称される)について説明する。
【0027】
射出成形型内へ複数の射出樹脂注入ゲート口から溶融した樹脂部材11(樹脂内部材(B1)3の前駆体、樹脂外部材(C1)4の前駆体)を注入したとき、
図4に示すように、成形型のキャビティ表面10に沿って溶融した樹脂部材11が成形型内を矢印12の方向に進行する。なお、樹脂注入ゲート口は
図4の左右両端に配しているがここでは省略している。
【0028】
その後、
図5に示すように、成形型内を流れる溶融した樹脂部材11は溶融状態のまま進行するが、溶融した樹脂部材11の先端部は、注入時からの時間経過とともにキャビティ内の温度差により溶融状態から固化状態に変化する。さらに、成形型のキャビティ表面10との温度差もあることから、成形型に近い領域からも同様に溶融状態から固化状態に変化する。このように部分的に固化状態に変化した状態で、矢印12の方向に進行する溶融した樹脂部材11同士が領域15で衝突する。
【0029】
衝突した領域15では、溶融した樹脂部材11が部分的に固化状態に変化しているため、完全な溶融状態とならず、衝突した位置を示す溶融樹脂合流ラインが形成される。これがウエルドラインと呼ばれるものであり、溶融樹脂合流ラインが形成される箇所は、他の箇所に比べて形成される成形体の強度が低下する傾向にある領域となる。
【0030】
また、後述するように溶融した樹脂部材11として繊維強化樹脂を用いる場合には、溶融樹脂合流ラインが形成される箇所において、溶融樹脂合流ラインを跨いで強化繊維が配置されにくくなるため、溶融樹脂合流ライン近傍における強化繊維の均一な分散が乱れ、ウエルド強度のバラツキが生じやすくなる。
【0031】
本発明に係る一体化成形体1では、樹脂内部材(B1)3及び樹脂外部材(C1)4それぞれに1ヶ所以上溶融樹脂合流ラインが形成され、一体化成形体1の外周辺と平行な方向に沿って特定される前記樹脂内部材(B1)3に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)のうちの1ヶ所の位置と、溶融樹脂合流ライン(B2)の位置から最も近接した位置にある樹脂外部材(C1)4に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)の位置とがずれた位置に存在する位置関係を有することを特徴とするものである。
【0032】
図6に示す本発明の一実施形態では、溶融樹脂合流ライン(B2)16は、樹脂内部材(B1)3の上下の辺に
2個ずつ、左右の辺に
1個ずつ形成された構成が図示されている。また溶融樹脂合流ライン(C2)17は、樹脂外部材(C1)4の上下の辺に2個ずつ、左右辺の中央に
2個
ずつ形成した構成が図示されている。
図6において、一体化成形体1の外周辺と平行な方向に沿って溶融樹脂合流ライン(B2)16の位置と溶融樹脂合流ライン(C2)17の位置とを対比した場合、いずれの位置もずれた位置に配置されている。すなわち、溶融樹脂合流ライン(B2)16と溶融樹脂合流ライン(C2)17とが連続する1本のウエルドラインとならない配置となっている。このような構成とすることにより、溶融樹脂合流ラインであるウエルドラインが形成された箇所の強度不足を、ウエルドラインが形成されていない他の樹脂部材で相補的に補うことで、成形体全体での強度低下を防ぐことができる。
【0033】
また、本発明において、一体化成形体1の外周辺長M1(mm)18に対し、溶融樹脂合流ライン(B2)16と、溶融樹脂合流ライン(B2)16と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)17との距離M2(mm)19との比M2/M1が0.04~0.4であることが好ましい。
【0034】
図6に示すように、溶融樹脂合流ライン(B2)16と最近接の溶融樹脂合流ライン(C2)17との距離と、一体化成形体1の外周辺長との間に一定の関係を持たせることにより、ウエルド位置が重なった場合と比べて、ウエルドラインが形成された位置の強度(以下、ウエルド強度という。)を向上させることができる。
【0035】
M2/M1が0.04未満であると、溶融樹脂合流ライン(B2)16と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)17との間が狭くなり、ウエルド強度が不十分となる。一方、M2/M1が0.4を超えると、溶融樹脂合流ライン(B2)16と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)17との間に一定の距離を確保することができるが、ウエルド強度の向上には寄与しなくなる。M2/M1のより好ましい範囲は0.07~0.4、さらに好ましい範囲は0.10~0.4である。
【0036】
また、本発明において、樹脂内部材(B1)3の一部に設けられた狭幅部位(B1’)18に溶融樹脂合流ライン(B2)16が形成されることが好ましい。同様に、本発明において、樹脂外部材(C1)4の一部に設けられた狭幅部位(C1’)19に溶融樹脂合流ライン(C2)17が形成されることが好ましい。幅が狭くなるが狭幅部位(C1’)19に溶融樹脂合流ラインを形成することにより、成形体の強度低下を招く一要因である溶融樹脂合流ラインの幅を短くでき、強度低下を抑制することができる。
【0037】
樹脂内部材(B1)3と樹脂外部材(C1)4とが互いに凹凸形状を繰り返す形状とすることで狭幅部位を形成した例を
図7に示す。樹脂内部材(B1)3の狭幅部位(B1’)24に溶融樹脂合流ライン(B2)16、樹脂外部材(C1)4の狭幅部位(C1’)25に溶融樹脂合流ライン(C2)17がそれぞれ形成されている。樹脂注入ゲート口の位置等を調整することでこのような狭幅位置とすることができる。
【0038】
また、本発明において、第1の接合部5が、板材(A)2の外周側面部全周にわたって形成されていることが好ましい。板材(A)2の外周側面部全周にわたって樹脂内部材(B1)3との第1の接合部5を形成することで、一体化成形体1全体として高い接合強度と薄肉化を実現することができる。
【0039】
また、本発明において、第2の接合部6が、樹脂内部材(B1)3の外周側面部全周にわたって形成されていることが好ましい。樹脂内部材(B1)3の外周側面部全周にわたって樹脂外部材(C1)4との第2の接合部6を形成することで、一体化成形体1全体として高い接合強度と薄肉化を実現することができる。
【0040】
また、本発明において、樹脂内部材(B1)3または前記樹脂外部材(C1)4に強化繊維が含まれ、強化繊維が不連続繊維であり、不連続繊維の重量平均繊維長が0.3~3mmであることが好ましい。
【0041】
ここで、連続繊維と不連続繊維について定義する。連続繊維とは、一体化成形体1に含有された強化繊維が一体化成形体1の全長または全幅にわたって実質的に連続して配置された様態であり、不連続繊維とは断続的に分断された強化繊維を分布させた様態のものをいう。
【0042】
樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4に残存した不連続強化繊維の重量平均繊維長が0.3mm以上であると、樹脂内部材(B1)3や樹脂外部材(C1)4の収縮率を小さくでき、より一体化成形体1の反り低減を図ることができる。重量平均繊維長が0.3mm未満の場合、低収縮率に対する効果が弱くなり、一体化成形体1の反り低減が十分に図ることができない場合がある。重量平均繊維長が3mmを超えると樹脂粘度が高くなり、射出成形時に樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4を成形金型の隅部分までに均一に充填しにくくなる場合がある。不連続炭素繊維の重量平均繊維長は、好ましくは0.4~2.8mm、より好ましくは、0.7~1.5mm、さらに好ましくは、0.9~1.2mmである。
【0043】
ここで、本発明における「重量平均繊維長」とは、単純に数平均を取るのではなく、重量平均分子量の算出方法を繊維長の算出に適用し、繊維長の寄与を考慮した下記の式から算出される平均繊維長を指す。ただし、下記の式は、強化繊維の繊維径および密度が一定と見なして適用される。
重量平均繊維長=Σ(Mi2×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:繊維長Miの強化繊維の個数
【0044】
上記重量平均繊維長の測定は、次の方法により行うことができる。成形品を500℃で60分間加熱処理し、成形品中の強化繊維を取り出し、この強化繊維を水中に均一分散させる。強化繊維が均一分散した分散水をシャーレにサンプリングした後、乾燥させ、光学顕微鏡(50~200倍)にて観察する。無作為に選んだ500本の強化繊維の長さを計測して、上記式から重量平均繊維長を算出する。
【0045】
また、本発明において、樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4に強化繊維が含まれ、強化繊維の重量平均繊維含有率が1~50重量%の不連続繊維であることが好ましい。接合強度を高めるとともに、成形体1の反り低減を図ることができる。1重量%未満であると、成形体1の強度確保が困難になる場合があり、50重量%を超えると、射出成形において、樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4の充填が一部不十分になる場合がある。好ましくは5~40重量%、より好ましく8~35重量%、さらに好ましくは12~30重量%である。
【0046】
また、本発明では、樹脂内部材(B1)3に含有される不連続繊維は、剛性と軽量性の観点で炭素繊維を用いることが好ましい。
【0047】
また、本発明では、樹脂外部材(C1)4に含有される不連続繊維がガラス繊維であることが好ましい。樹脂外部材(C1)4をガラス繊維とすることで樹脂外部材(C1)4に電波透過部材としての機能を付与することができる。
【0048】
また、樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4として熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、樹脂内部材(B1)3の熱可塑性樹脂が樹脂外部材(C1)4の熱可塑性樹脂と溶融固着した接合構造となる。これにより、一体化成形体1としてより高い接合強度を実現することができる。溶融固着した接合構造は、熱により相互の部材が溶融し、冷却して固着した状態の接合構造をいう。
【0049】
また、本発明では、板材(A)2が金属部材または炭素繊維強化樹脂部材のいずれか一方を含む構成であることが好ましい。
【0050】
板材(A)2は一体化成形体1の強度、剛性を高める観点で、高強度かつ高剛性であり、さらに軽量性に優れた部材を用いることが好ましい。高強度や高剛性の面では金属部材または繊維強化樹脂部材を用いることが好ましい。さらに軽量性を上げる目的から、樹脂シート、発泡体、樹脂に不連続繊維を含有させた不連続繊維強化樹脂を厚み方向に膨張させた材料から選択される1種以上のコア部材をコア層とし、金属部材または繊維強化樹脂部材をスキン層として、コア層の両面をスキン層で挟んだ構成としたサンドイッチ構造体とすることがより好ましい。ここで、繊維強化樹脂部材の強化繊維に炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂部材を使用することにより、高剛性・軽量・薄肉化を実現することができる。
【0051】
一方、金属部材としては、チタン、スチール、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銀、金、白金、銅、ニッケルから選ばれた元素、またはこれらの元素を主成分とする合金などを挙げることができる。また、必要に応じてメッキ処理を行うこともできる。
【0052】
繊維強化樹脂部材、炭素繊維強化樹脂部材またはコア部材に使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が好適に使用することができる。
【0053】
板材(A)2、樹脂内部材(B1)3または樹脂外部材(C1)4を構成する熱可塑性樹脂の種類としては特に制限はなく、以下に例示される熱可塑性樹脂のいずれの樹脂も用いることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、得られる成形品の軽量性の観点からはポリオレフィン樹脂が好ましく、強度の観点からはポリアミド樹脂が好ましく、表面外観の観点からポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のような非晶性樹脂が好ましく、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましく、連続使用温度の観点からポリエーテルエーテルケトン樹脂が好ましく用いられる。
【0054】
また、板材(A)2を構成する熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂などを好ましく用いることができる。これらは、2種以上をブレンドした樹脂などを適用しても良い。この中でも、特に、エポキシ樹脂は、成形体の力学特性や、耐熱性の観点から好ましい。エポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために、使用する樹脂の主成分として含まれるのが好ましく、具体的には樹脂組成物当たり60重量%以上含まれることが好ましい。
【0055】
板材(A)2または樹脂内部材(B1)3を構成する炭素繊維としては、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるポリアクリルニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。より好ましくはポリアクリルニトリル(PAN)系炭素繊維である。
【0056】
次に、本発明に係る一体化成形体の製造方法について図面を用いながら説明する。
【0057】
本発明に係る一体化成形体の製造方法は、
[1]成形金型内に、複数の樹脂注入ゲート口(GC)21から樹脂外部材(C1)4の前駆体を射出注入して樹脂外部材(C1)4をあらかじめ形成する工程、
[2]樹脂外部材(C1)4の内側に、前記樹脂外部材(C1)の少なくとも一部と離間させた位置に板材(A)を配置する工程、及び、
[3]板材(A)2と樹脂外部材(C1)4との間隙に、複数の樹脂注入ゲート口(GB)22から樹脂内部材(B1)3の前駆体を射出注入することにより、板材(A)2の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が樹脂内部材(B1)3と接合する第1の接合部5と、樹脂内部材(B1)3の外周側面部及び/または外周縁部の少なくとも一部の領域が樹脂外部材(C1)4と接合する第2の接合部6とを形成する工程、
により矩形形状の面状構造体を有する一体化成形体1の製造方法であって、
板材(A)2の意匠面と反対側(非意匠面側)から見た際、一体化成形体1の外周辺と平行な方向に沿って特定される樹脂内部材(B1)3に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)16の位置と、溶融樹脂合流ライン(B2)16と最も近接した位置にあり樹脂外部材(C1)4に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)17の位置とが、少なくとも1箇所以上、ずれた位置となるように、樹脂内部材(B1)3の前駆体および樹脂外部材(C1)4の前駆体のそれぞれの射出注入条件を調整する製造方法である。
【0058】
工程[1]は、
図8又は
図9に示すように、樹脂外部材(C1)4を形成する空間(キャビティ)を設けた成形下金型30及び成形上金型31内に、複数の樹脂注入ゲート口(GC)21から樹脂外部材(C1)4の前駆体を射出注入して樹脂外部材(C1)4を形成する工程である。
【0059】
図8に示す実施形態では、樹脂注入ゲート口(GC)21を樹脂外部材(C1)4の上下の辺に
1個ずつ、左右の辺に2個ずつ配し、溶融樹脂合流ライン(C2)17が樹脂外部材(C1)4の上下の辺に2個ずつ、左右の辺に1個
ずつ、それぞれ形成されている。溶融樹脂合流ライン(C2)17が形成される位置は、隣り合う樹脂注入ゲート口(GC)21同士の中間付近である。
【0060】
その後、樹脂外部材(C1)4を冷却した後、
図10に示すように、
成形上金型31を取り外す。なお、
図8では樹脂注入ゲート口(GC)21は横方向から樹脂注入する態様であるのに対し、
図9では上方からの樹脂注入する態様がそれぞれ図示されているが、注入位置が把握しやすいように図示したものにすぎず、注入形態は成形型の形状等に応じて適宜設定できるものである。以下の説明においても同様である。
【0061】
続いて、工程[2]は、
図11または
図12に示すように、樹脂外部材(C1)4の内側に、樹脂外部材(C1)4の少なくとも一部と離間させた位置に板材(A)を配置する工程である。ここで板材(A)2は、片側表面が意匠面となるようにあらかじめ生成しておいたものである。
【0062】
続いて、工程[3]は、
図13又は
図14に示すように、樹脂内部材(B1)3を形成する空間(キャビティ)を設けた成形下金型30及び成形上金型32内における、板材(A)2と樹脂外部材(C1)4との間隙に、複数の樹脂注入ゲート口(GB)22から樹脂内部材(B1)3の前駆体を射出注入することにより、板材(A)2や樹脂外部材(C1)4と接合した樹脂内部材(B1)3を形成する。
【0063】
ここで、樹脂内部材(B1)3を形成するための樹脂注入ゲート口(GB)22は、樹脂内部材(B1)3の上下の辺に1個ずつ、左右の辺に2個ずつ配することで、溶融樹脂合流ライン(B2)16が樹脂内部材(B1)3の上下の辺に2個ずつ、左右の辺に1個ずつ形成されている。
【0064】
その後、樹脂内部材(B1)3を冷却した後、
成形上金型32を取り外し、
図18に示すように、一体化成形体1を得ることができる。
【0065】
溶融樹脂合流ライン(B2)16の位置と溶融樹脂合流ライン(C2)17の位置とをずらすためには、樹脂内部材(B1)3の前駆体または樹脂外部材(C1)4の前駆体それぞれの射出注入条件を調整することが重要である。このように溶融樹脂合流ライン(B2)16の位置と溶融樹脂合流ライン(C2)17の位置をずれた位置となるように射出注入条件を調整することで、成形体の強度低下を抑制することができる。
【0066】
このように溶融樹脂合流ライン(B2)16の位置と溶融樹脂合流ライン(C2)17の位置をずれた位置となるように射出注入条件を調整する方法として、
図13に示すように、樹脂内部材(B1)3の前駆体を射出注入する複数の樹脂注入ゲート口(GB)22のうちの1ヶ所の位置と、樹脂注入ゲート口(GB)22の位置から最も近接した位置に設けられた樹脂外部材(C1)4の前駆体を射出注入する樹脂注入ゲート口(GC)21の位置とが、一体化成形体1の外周辺と平行な方向に対してずれた位置に設けることが好ましい。このような位置構成とすることにより、樹脂内部材(B1)3と樹脂外部材(C1)4に形成される溶融樹脂合流ライン同士がずれることになり、ウエルドラインの強度不足を他の樹脂部材で相補的に補うことで、成形体全体での強度低下を防ぐことができる。
【0067】
また、射出注入条件を調整する別の方法の一つとして、装置の構成の都合上、前述した樹脂注入ゲート口の位置をずらすことができない場合がある。
【0068】
このような場合でも、溶融樹脂合流ライン同士をずらす手法としては、いずれか一方、例えば、樹脂内部材(B1)3の前駆体を射出注入する樹脂注入ゲート口(GB)22のうち、隣り合う樹脂注入ゲート口からの樹脂部材を射出する際に、射出圧力に差を設けることが好ましい。これにより、溶融樹脂合流ラインが形成される位置を、隣り合う樹脂注入ゲート口間の中央部からいずれかの方にずれた位置で合流させることができる。
【0069】
いずれか一方ではなく、隣り合う樹脂注入ゲート口(GB)22間で射出圧力に差を設けるとともに、隣り合う樹脂外部材(C1)4の前駆体を射出注入する複数の樹脂注入ゲート口(GC)21間でも射出圧力に差を設ける手法を取ることも好ましい。この場合、溶融樹脂合流ラインがずれるように双方の射出圧力を調整することがより好ましい。
【0070】
図13の樹脂内部材(B1)3、樹脂外部材(C1)4及びそれらに形成される溶融樹脂合流ライン
を含む断面図を
図19に示す。樹脂注入ゲート口(GB)22と樹脂注入ゲート口(GC)21は成形装置を小型化するため、ずれることなく同一線上に配されている。樹脂注入ゲート口(GB)22の隣り合う樹脂注入ゲート口22aと22bから樹脂内部材(B1)を射出する際、射出圧力を樹脂注入ゲート口22bの方を高くすることにより、溶融樹脂合流ライン16が樹脂注入ゲート口22a寄りに形成される。
【0071】
また、樹脂外部材(C1)4側において、樹脂注入ゲート口(GC)21の隣り合う樹脂注入ゲート口21aと21bから樹脂外部材(C1)を射出する際、射出圧力を樹脂注入ゲート口21aの方を高くすることにより、溶融樹脂合流ライン17が樹脂注入ゲート口21b寄りに形成される。その結果、溶融樹脂合流ライン16と溶融樹脂合流ライン17とが離れた位置に形成させることができる。
【0072】
また、別の方法として、隣り合う樹脂注入ゲート口同士で射出時の樹脂温度に差を設けることも好ましい方法である。
【0073】
また、別の方法として、樹脂内部材(B1)3の前駆体を射出する隣り合う樹脂注入ゲート口同士を繋いでいる樹脂内部材(B1)3の前駆体が流れる流路において、樹脂内部材(B1)3の前駆体が流れる方向に垂直な面における断面積が異なる部位を少なくとも1箇所以上設けることも好ましい方法である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例によって、本発明の一体化成形体1およびその製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
【0075】
実施例に用いた測定方法を下記する。
【0076】
(1)一体化成形体のウエルド強度測定
一体化成形体の意匠面側を上にした状態で、SUS304で作られた縦10mm、横10mm、高さ10mmの立方体のブロック2個を50mmの距離を空けて設置し、その上に樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)がスパン間の中央に来るように配置し、φ10mmのプッシュプルゲージを樹脂内部材(B1)に形成された溶融樹脂合流ライン(B2)に押し当て樹脂内部材(B1)が破壊された時の値を測定した。測定箇所は長辺側4点と、短辺側2点の計6点を測定した。次に、樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)がスパン間の中央に来るように配置し、同じくφ10mmのプッシュプルゲージを樹脂外部材(C1)に形成された溶融樹脂合流ライン(C2)に押し当て、樹脂外部材(C2)が破壊された時の値を測定した。測定箇所は長辺4点と短辺4点の計8点を測定した。さらに、得られた各ウエルド強度の値を以下の基準で評価した。Aが合格であり、Bが不合格である。
A:各測定箇所のウエルド強度が98N(10Kg・f)以上である。
B:各測定箇所で1点でもウエルド強度が98N(10Kg・f)を下回る。
【0077】
(材料組成例1)PAN系炭素繊維束の調製
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の炭素繊維連続束を得た。この炭素繊維連続束に浸漬法によりサイジング剤を付与し、加熱空気中で乾燥しPAN系炭素繊維束を得た。このPAN系炭素繊維束の特性は次の通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.83g/m
密度:1.8g/cm3
引張強度:4.0GPa
引張弾性率:235GPa
【0078】
(材料組成例2)エポキシ樹脂フィルムの調製
エポキシ樹脂(ベースレジン:ジシアンジアミド/ジクロロフェニルメチルウレア硬化系エポキシ樹脂)を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布してエポキシ樹脂フィルムを得た。
【0079】
(材料組成例3)一方向プリプレグの調製
材料組成例1で得たPAN系炭素繊維束をシート状に一方向に配列させ、材料組成例2で作製したエポキシ樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の重量含有率が70%、厚み0.15mmの一方向プリプレグを作製した。
【0080】
(材料組成例4)熱可塑接着フィルム(D)の調製
ポリエステル樹脂(東レ・デュポン(株)社製“ハイトレル”(登録商標)4057)を二軸押出機のホッパーから投入し、押出機にて溶融混練した後、T字ダイから押出した。その後、60℃のチルロールで引き取ることによって冷却固化させ、厚み0.05mmのポリエステル樹脂フィルムを得た。これを熱可塑接着フィルム(D)として使用した。
【0081】
(材料組成例5)ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂
ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂GSH2030KR(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ポリカーボネート樹脂マトリックス、繊維重量含有率30wt%)を用いた。
【0082】
(材料組成例6)長炭素繊維強化ナイロン樹脂
長炭素繊維ペレットTLP-1146S(東レ(株)製、ナイロン6樹脂マトリックス、繊維重量含有率20wt%)とナイロン6樹脂CM1007(東レ(株)製、ナイロン6樹脂マトリックス、非強化)とをドライブレンドして、繊維重量含有率15wt%の長炭素繊維強化ナイロン樹脂を得た。
【0083】
(実施例1)
材料組成例3で得た一方向プリプレグと、材料組成例4で得た熱可塑接着フィルム(D)とを用いて、それぞれ400mm角のサイズに調整した後、[一方向プリプレグ0°/一方向プリプレグ90°/一方向プリプレグ0°/一方向プリプレグ90°/一方向プリプレグ90°/一方向プリプレグ0°/一方向プリプレグ90°/一方向プリプレグ0°/接着フィルム]の順序で積層した。この積層体を離型フィルムで挟み、さらにツール板で挟んだ。ここで、厚み調整としてツール板間に厚み1.25mmのスペーサを挿入した。盤面温度150℃の盤面の上にツール板を配置した後、盤面を閉じて3MPaで加熱プレスした。加圧から5分間経過した後、盤面を開き、厚み1.25mmの平板形状をした熱可塑接着フィルム(D)付き熱硬化CFRP板を得た。これを熱可塑性接着フィルム(D)が付着した板材(A)2とした。
【0084】
次に、材料組成例5のGF強化ポリカーボネート樹脂を用いて
図8に示した金型内に150MPa、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、樹脂吐出口の径をφ3mmで射出成形し、
図2に示した四角枠形状をした幅2.0mm、厚み3.0mmのフレーム部材を得た。これを樹脂外部材(C1)とした。
【0085】
次に、図
17に示すように、樹脂外部材(C1)の内側に、前記樹脂外部材(C1)と離間した状態で、300mm×200mmのサイズに加工した熱可塑接着フィルム付きCFRP板(板材(A)2)の意匠面側を
成形下金型
30側にして、位置合わせして配置した。
成形上金型
32をセットした後、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂を用いて
図13に示した金型内に150MPa、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、樹脂吐出口の径をφ3mmで射出成形し、型締めを行った後、材料組成例5のGF強化ポリカーボネート樹脂(樹脂内部材(B1))を射出成形して、
図3の模式図に示す天板(板材(A)2)から構成された一体化成形体1を製造した。実施例1の一体化成形体の特性をまとめて(表1)に示す。
【0086】
(実施例2)
樹脂外部材(C1)の樹脂注入ゲート口(GC)の位置を
図14に示す位置に変更した以外は実施例1と同様にして一体化成形体を作製した。一体化成形体1の特性をまとめて表1に示す。
【0087】
(実施例3)
樹脂外部材(C1)の樹脂注入ゲート口(GC)
の位置を
図15に示す位置に変更した以外は実施例1と同様にして一体化成形体を作製した。一体化成形体1の特性をまとめて表1に示す。
【0088】
(実施例4)
樹脂外部材(C1)の材料、樹脂内部材(B1)の材料を変えた以外は実施例1と同様にして一体化成形体を作製した。一体化成形体1の特性をまとめて表1に示す。
【0089】
(実施例5)
樹脂外部材(C1)の材料、樹脂内部材(B1)の材料を変えた以外は実施例3と同様にして一体化成形体を作製した。一体化成形体1の特性をまとめて表1に示す。
【0090】
(比較例1)
樹脂外部材(C1)の樹脂注入ゲート口(GC)の位置を
図16に示す位置に変えた以外は実施例1と同様にして一体化成形体1を作成した。一体化成形体1の特性をまとめて表1に示す。
【0091】
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の一体化成形体は、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体等に有効に使用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 一体化成形体
2 板材(A)
3 樹脂内部材(B1)
4 樹脂外部材(C1)
5 第1の接合部
6 第2の接合部
7 板材(A)、樹脂内部材(B1)および樹脂外部材(C1)が露出する領域
10 成形型のキャビティ表面
11 溶融した樹脂部材
12 成形型内での樹脂部材の進行方向
13 表面付近の樹脂部材
14 内部の溶融状態の樹脂部材
15 樹脂同士が衝突する領域
16 溶融樹脂合流ライン(B2)
17 溶融樹脂合流ライン(C2)
18 一体化成形体の外周辺長M1
19 溶融樹脂合流ライン(B2)と最近接する溶融樹脂合流ライン(C2)との距離M2
21 樹脂注入ゲート口(GC)
22 樹脂注入ゲート口(GB)
23 樹脂注入ゲート口(GB)と最近接した樹脂注入ゲート口(GC)との距離L2
24 樹脂内部材(B1)の狭幅部位
25 樹脂外部材(C1)の狭幅部位
30 成形下金型
31 成形上金型
32 成形上金型