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特許7567795情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20241008BHJP
   G06Q 40/06 20120101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q40/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021540751
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2020030778
(87)【国際公開番号】W WO2021033620
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】62/889,768
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】田尻 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】森田 匠
(72)【発明者】
【氏名】山下 隆
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297326(US,A1)
【文献】特開2019-008529(JP,A)
【文献】特開2014-238649(JP,A)
【文献】特開2017-224256(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0012431(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、
を備え、
前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価し、
前記スタイル分析は、深層学習により生成される第1の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動のスタイルを分類する分析であり、
前記一貫性分析は、深層学習により生成される第2の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動に係る他者類似性を分類する分析である、
情報処理装置。
【請求項2】
前記評価部は、入力された前記行動実績データに対応する期間内における前記被評価者による行動のスタイルに係る安定性、および前記期間内における前記被評価者による行動の一貫性に係る安定性に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記期間内において前記被評価者による行動のスタイルが安定しているか又は変動しているかを示す第1の軸と、前記期間内において前記被評価者による行動の一貫性が保たれているか又は保たれていないかを示す第2の軸とに基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の分類器は、互いに異なるスタイルに基づく複数セットの仮想行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成される、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記仮想行動実績データは、前記所定のタスクに関する行動を所定のスタイルに基づいて仮想的に実行するプログラムにより得られた仮想行動の実績を示すデータである、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の分類器は、複数の実在他者に係る複数セットの他者行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成される、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記他者行動実績データは、前記所定のタスクに関する実在他者による行動の実績を示すデータである、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記評価部は、前記所定のタスクにおける評価項目に対する前記被評価者による行動の寄与を分析する寄与分析の結果にさらに基づいて、前記被評価者による行動を評価し、
前記寄与分析は、第3の分類器が、入力された前記被評価者による行動の対象となる複数の対象物の属性、および前記対象物に対する前記行動実績データに基づいて、複数の前記対象物を平面上に配置した2次元マップを生成することと、
前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度と前記被評価者による行動に係る強度とをヒートマップ状に表現することと、を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第3の分類器は、自己組織化マップを含む、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記評価部は、前記2次元マップに基づいて、前記評価項目に対する前記被評価者による行動の寄与が、前記被評価者の実力によるものであるか否かを評価する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記評価部は、前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度が高い領域と、前記被評価者による行動に係る強度が高い領域とが重なる領域を、前記被評価者の実力による寄与が高い領域として評価する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記評価部は、前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度が高い領域と、前記被評価者による行動に係る強度が低い領域とが重なる領域を、前記被評価者の実力による寄与が低い領域として評価する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記所定のタスクは、資産運用を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記被評価者による行動は、金融商品の売買取引を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記評価部による評価の結果を出力する出力部、
をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
プロセッサが、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行うこと、
を含み、
前記評価を行うことは、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価すること、をさらに含み、
前記スタイル分析は、深層学習により生成される第1の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動のスタイルを分類する分析であり、
前記一貫性分析は、深層学習により生成される第2の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動に係る他者類似性を分類する分析である、
情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、
を備え、
前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価し、
前記スタイル分析は、深層学習により生成される第1の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動のスタイルを分類する分析であり、
前記一貫性分析は、深層学習により生成される第2の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動に係る他者類似性を分類する分析である、
情報処理装置、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
あるタスクに関し、タスクの実行者を適切に評価することは非常に重要である。このために、上記のような評価を自動化あるいは補助する仕組みが多く提案されている。例えば、特許文献1には、投信ファンドのレーティングを行う仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-245368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、投信ファンドのような専門性の高いタスクを実行する実行者の評価を行う場合、多角的な分析に基づいて、より適切な評価を行うことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある観点によれば、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、を備え、前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、情報処理装置が提供される。
【0006】
また、本開示の別の観点によれば、プロセッサが、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行うこと、を含み、前記評価を行うことは、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価すること、をさらに含む、情報処理方法が提供される。
【0007】
また、本開示の別の観点によれば、コンピュータを、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、を備え、前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、情報処理装置、として機能させるためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る学習装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係る評価装置20の機能構成例を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る学習部110によるスタイルディテクター212の生成について説明するための図である。
図4】同実施形態に係る学習部110によるリゼンブラー214の生成について説明するための図である。
図5】同実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の概要について説明するための図である。
図6】同実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の結果と、当該結果に基づく評価の一例について説明するための図である。
図7】同実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の結果と、当該結果に基づく評価の一例について説明するための図である。
図8】同実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の結果と、当該結果に基づく評価の一例について説明するための図である。
図9】同実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の結果と、当該結果に基づく評価の一例について説明するための図である。
図10】同実施形態に係る第3の分類器217の生成と、第3の分類器217が出力する2次元マップM0について説明するための図である。
図11】同実施形態に係るアクティブリターンマップM1の一例を示す図である。
図12】同実施形態に係るアクティブウェイトマップM2の一例を示す図である。
図13】同実施形態に係るアクティブリターン&アクティブウェイトマップM3の一例を示す図である。
図14】同実施形態に係るトレーディングボリュームマップM4の一例を示す図である。
図15】同実施形態に係るアクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5の一例を示す図である。
図16】同実施形態に係る3つの分析結果を用いた3軸における統合的な評価について説明するための図である。
図17】同実施形態に係る複数の被評価者に対する評価を比較した比較表の一例を示す図である。
図18】同実施形態に係る評価装置20による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】同実施形態に係る情報処理装置90のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態
1.1.背景
1.2.学習装置10の機能構成例
1.3.評価装置20の機能構成例
1.4.被評価者による行動に関する「癖」の評価
1.5.被評価者による行動に関する「腕」の評価
1.6.各分析結果に基づく統合的評価
1.7.処理の流れ
2.ハードウェア構成例
3.まとめ
【0011】
<1.実施形態>
<<1.1.背景>>
上述したように、あるタスクに関し、タスクの実行者(以下、被評価者、とも称する)を適切に評価することは、業界業種を問わず非常に重要である。しかし、被評価者が実行するタスクの専門性が高い場合、かつ評価者が当該タスクに関する専門知識を被評価者と同等に有しない場合等においては、適切な評価を行うことが困難な場合がある。
【0012】
ここでは、一例として、ある基金においてファンドマネージャの評価を行う場合を想定する。基金に属する評価者は、例えば、契約済みのファンドマネージャや、今後に契約を行う候補として新規のファンドマネージャを被評価者として当該被評価者に対する評価を行うものとする。
【0013】
しかし、ここで、基金に属する評価者が被評価者と同等の専門的知識を有しない場合、評価者が被評価者を適切に評価することが困難である。また、評価者は、被評価者による戦略等の説明に対し理解が追い付かず、被評価者の発言を鵜呑みにせざるを得ない状況などが生じ得る。
【0014】
このため、特にファンドマネージャ(あるいはファンド)のような専門性の高いタスクを実行する被評価者を評価する場合には、多角的な分析に基づいて評価を可視化することが重要となる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る技術思想は上記の点に着目して発想されたものであり、被評価者による行動に対し、より適切な評価を実現するものである。
【0016】
このために、本発明の一実施形態に係る評価装置20は、機械学習アルゴリズムを用いた複数の分析の結果に基づいて、被評価者による行動を評価する。
【0017】
例えば、本実施形態に係る評価装置20は、機械学習により生成された第1の分類器および第2の分類器による出力結果に基づいて被評価者による行動に関する「癖(habits)」を評価する。
【0018】
また、例えば、本実施形態に係る評価装置20は、機械学習により生成された第3の分類器による出力結果に基づいて被評価者による行動に関する「腕(skills)」を評価してもよい。
【0019】
以下、上記のような評価を実現する機能構成について詳細に説明する。
【0020】
<<1.2.学習装置10の機能構成例>>
まず、本実施形態に係る学習装置10の機能構成例について述べる。本実施形態に係る学習装置10は、上述した第1の分類器、第2の分類器、または第3の分類器を生成する情報処理装置である。
【0021】
図1は、本実施形態に係る学習装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る学習装置10は、学習部110および記憶部120などを備える。
【0022】
(学習部110)
本実施形態に係る学習部110は、機械学習アルゴリズムにより第1の分類器、第2の分類器、または第3の分類器を生成する。
【0023】
例えば、本実施形態に係る学習部110は、ディープニューラルネットワークを用いた教師あり学習により、第1の分類器や第2の分類器を生成してもよい。
【0024】
また、例えば、本実施形態に係る学習部110は、ニューラルネットワークを用いた教師なし学習により、第3の分類器を生成してもよい。
【0025】
本実施形態に係る学習部110による学習の詳細については別途詳細に説明する。なお、本実施形態に係る学習部110が有する機能は、GPU等のプロセッサにより実現される。
【0026】
(記憶部120)
本実施形態に係る記憶部120は、学習部110により実行される学習に関する各種の情報を記憶する。例えば、記憶部120は、学習部110により学習に用いられるネットワークの構造や、当該ネットワークに係る各種のパラメータ、学習用データなどを記憶する。
【0027】
以上、本実施形態に係る学習装置10の機能構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る学習装置10の機能構成は係る例に限定されない。
【0028】
例えば、本実施形態に係る学習装置10は、ユーザによる操作を受け付ける操作部や、各種の情報を表示する表示部などをさらに備えてもよい。
【0029】
また、学習装置10は、第1の分類器、第2の分類器、および3の分類器のすべてを必ずしも生成せずともよい。本実施形態に係る第1の分類器、第2の分類器、および3の分類器は、それぞれ異なる学習装置10により生成されてもよい。
【0030】
本実施形態に係る学習装置10の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0031】
<<1.3.評価装置20の機能構成例>>
次に、本実施形態に係る評価装置20の機能構成例について述べる。本実施形態に係る評価装置20は、被評価者による行動の評価を行う情報処理装置である。
【0032】
図2は、本実施形態に係る評価装置20の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る評価装置20は、評価部210、記憶部220、および出力部230などを備える。
【0033】
(評価部210)
本実施形態に係る評価部210は、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、当該被評価者による行動の評価を行う。
【0034】
本実施形態に係る被評価者の一例には、上述したファンドマネージャなどが挙げられる。この場合、上記所定のタスクは、資産運用であってよい。また、上記被評価者による行動の一例には、株式等の金融商品の売買取引が挙げられる。また、行動実績データは、当該取引の実績(例えば、ある銘柄を買った日付、買った量、ある銘柄を売った日付、売った量など)を記録したデータであってよい。
【0035】
なお、以下においては、被評価者がファンドマネージャである場合を主な例として説明を行うが、本実施形態に係る被評価者は係る例に限定されない。
【0036】
本実施形態に係る被評価者は、例えば、企業等に属する営業職であってもよい。この場合、上記所定のタスクは、営業活動であってよい。また、上記被評価者による行動には、顧客(見込み顧客を含む)への訪問、電話、メール、プレゼンテーション等が挙げられる。また、行動実績データは、上記のような各行動の実績(例えば、訪問日付、電話回数、メール回数、プレゼンテーションの実施有無など)を記録したデータであってよい。
【0037】
また、本実施形態に係る評価部210は、上述した第1の分類器、第2の分類器、および第3の分類器を用いた分析の結果に基づいて、被評価者による行動の評価を行うことを特徴の一つとする。
【0038】
本実施形態に係るスタイルディテクター(Style Detector)212は、第1の分類器の一例である。本実施形態に係るスタイルディテクター212は、被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析に用いられる。
【0039】
また、本実施形態に係るリゼンブラー(Resembler)214は、第2の分類器の一例である。本実施形態に係るリゼンブラー214は、被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析に用いられる。
【0040】
また、本実施形態に係るディスティラー(Distiller)216は、本実施形態に係るディスティラー216は、所定のタスクにおける評価項目に対する前記被評価者による行動の寄与を分析する寄与分析に用いられる。
【0041】
本実施形態に係るスタイルディテクター212、リゼンブラー214、またはディスティラー216を用いた各分析、また各分析の結果に基づく評価については別途詳細に説明する。なお、本実施形態に係る評価部210が有する機能は、GPUやCPU等のプロセッサにより実現される。
【0042】
(記憶部220)
本実施形態に係る記憶部220は、評価装置20により用いられる各種の情報を記憶する。記憶部220は、例えば、被評価者による行動の実績を示す行動実績データ、評価部210により用いられるプログラム、評価部210による評価の結果などの情報を記憶する。
【0043】
(出力部230)
本実施形態に係る出力部230は、評価部210による評価の結果を出力する。例えば、本実施形態に係る出力部230は、上記評価の結果を表示してもよい。この場合、出力部230は、各種のディスプレイを備える。また、例えば、出力部230は、上記評価の結果を紙媒体に印刷してもよい。この場合、出力部230は、プリンタを備える。
【0044】
以上、本実施形態に係る評価装置20の機能構成例について述べた。なお、図2を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る評価装置20の機能構成は係る例に限定されない。
【0045】
例えば、本実施形態に係る評価部210は、図2に示すように、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を備え、これらを用いた各分析を自ら行ってもよい。
【0046】
一方、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、またはディスティラー216による各分析は、例えば、クラウド上に配置される別途の装置により実行されてもよい。この場合、本実施形態に係る評価部210は、上記別途の装置から各分析の結果を取得することで、当該結果に基づいて被対象者による行動の評価を行うことが可能である。
【0047】
また、例えば、評価部210と出力部230とは、必ずしも同一の装置に備えられなくてもよい。一例として、ローカルに配置される装置に備えられる出力部230は、クラウドに配置される別途の装置に備えられる評価部210による評価の結果を取得し、当該結果の出力を行ってもよい。
【0048】
本実施形態に係る評価装置20の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0049】
<<1.4.被評価者による行動に関する「癖」の評価>>
次に、本実施形態に係る評価部210による、被評価者による行動に関する「癖」の評価について詳細に説明する。
【0050】
本実施形態に係る評価部210は、被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、被評価者による行動に関する「癖」を評価してよい。
【0051】
例えば、所定のタスクが資産運用であり、被評価者(ファンドマネージャ)による行動が株式等の金融商品の売買取引である場合を想定する。この場合、本実施形態に係るスタイル分析は、ファンドマネージャの運用スタイル(運用戦略、ともいえる)を分析するものであり得る。また、本実施形態に係る一貫性分析は、運用の一貫性を分析するものであり得る。
【0052】
すなわち、本実施形態に係る評価部210は、ファンドマネージャの運用スタイルおよび運用の一貫性に基づいて、当該ファンドマネージャの「癖」を評価してよい。
【0053】
上記のような評価手法によれば、例えば、被評価者であるファンドマネージャが、金融商品の売買取引に関しどのような特性を有しているのかを把握することが可能となる。
【0054】
また、上記のような評価手法によれば、例えば、被評価者であるファンドマネージャが、様々な経済的背景の中でどのような行動を取るのかを把握することが可能となる。
【0055】
さらには、上記のような評価手法によれば、ファンドマネージャによる行動が、基金に対して進行した提案と乖離せずに整合性が取れているか、乖離している場合にはそれが妥当なものなのか、あるいは警戒すべきものなのか、などを精度高く判断することが可能となる。
【0056】
以下、本実施形態に係るスタイル分析および一貫性分析、また各分析の結果を用いた評価手法について詳細に説明する。
【0057】
まず、本実施形態に係るスタイル分析について述べる。本実施形態に係るスタイル分析は、深層学習により生成される第1の分類器、すなわちスタイルディテクター212に行動実績データを入力し、被評価者による行動のスタイルを分類する分析であってよい。
【0058】
ここで、本実施形態に係るスタイルディテクター212の生成手法について説明する。DNN(Deep Neural Network)にスタイルに係る分類能を獲得させるためには、レファレンスとする複数のスタイルに対応する行動の実績データを訓練データとして与え、教師あり学習を行う手法が想定される。
【0059】
しかし、レファレンスとするスタイルを忠実に反映した行動の実績データは実在しないケースが多い。
【0060】
このため、本実施形態に係るスタイルディテクター212は、互いに異なるスタイルに基づく複数セットの仮想行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成されてもよい。
【0061】
上記仮想行動実績データとは、所定のタスクに関する行動を所定のスタイルに基づいて仮想的に実行するプログラムにより得られた仮想行動の実績を示すデータであってよい。
【0062】
図3は、本実施形態に係る学習部110によるスタイルディテクター212の生成について説明するための図である。
【0063】
例えば、図3に示す一例の場合、DNN112には、複数セットの訓練データTD1~TDnが与えられる。
【0064】
ここで、訓練データTD1は、スタイル1に基づいて金融商品の売買取引を仮想的に実行するプログラム(仮想ファンドマネージャ1)により得られた仮想行動実績データであってよい。
【0065】
また、訓練データTD2は、スタイル2に基づいて金融商品の売買取引を仮想的に実行するプログラム(仮想ファンドマネージャ2)により得られた仮想行動実績データであってよい。
【0066】
また、訓練データTDnは、スタイルnに基づいて金融商品の売買取引を仮想的に実行するプログラム(仮想ファンドマネージャn)により得られた仮想行動実績データであってよい。
【0067】
上記のような訓練データTD1~TDnを用いた教師あり学習によれば、DNN112にスタイル1~nに関する分類能を獲得させることができる。また、本実施形態では、当該分類能を獲得したDNN112をスタイルディテクター212として用いる。
【0068】
なお、スタイル1~Nとしては、例えば、資産運用における典型的なスタイルである、Value、Growth、High Dividend、Minimum Volatility、Momentum、Quality、Fixed Weight、Technicalなどが採用されてもよい。
【0069】
次に、本実施形態に係る一貫性分析について述べる。本実施形態に係る一貫性分析は、深層学習により生成される第2の分類器、すなわちリゼンブラー214に行動実績データを入力し、被評価者による行動に係る他者類似性を分類する分析であってもよい。
【0070】
ここで、本実施形態に係るリゼンブラー214の生成手法について説明する。DNNに他者類似性に係る分類能を獲得させるためには、レファレンスとする他者より行われた行動の実績データを訓練データとして与え、教師あり学習を行う手法が想定される。
【0071】
このため、本実施形態に係るリゼンブラー214は、複数の実在他者に係る複数セットの他者行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成されてもよい。
【0072】
上記他者行動実績データとは、所定のタスクに関する実在他者による行動の実績を示すデータであってよい。
【0073】
図4は、本実施形態に係る学習部110によるリゼンブラー214の生成について説明するための図である。
【0074】
例えば、図4に示す一例の場合、DNN114には、複数セットの訓練データTD1~TDnが与えられる。
【0075】
ここで、訓練データTD1は、実在する他者1(ファンドマネージャ1)による行動の実績を示す他者行動実績データであってよい。
【0076】
また、訓練データTD2は、実在する他者2(ファンドマネージャ2)による行動の実績を示す他者行動実績データであってよい。
【0077】
また、訓練データTDnは、実在する他者n(ファンドマネージャn)による行動の実績を示す他者行動実績データであってよい。
【0078】
上記のような訓練データTD1~TDnを用いた教師あり学習によれば、DNN114に他者1~nとの類似性に係る分類能を獲得させることができる。また、本実施形態では、当該分類能を獲得したDNN114をリゼンブラー214として用いる。
【0079】
以上、スタイルディテクター212およびリゼンブラー214の生成手法について説明した。続いて、本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214を用いた分析と当該分析の結果に基づく評価について説明する。
【0080】
図5は、本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の概要について説明するための図である。
【0081】
図5に示すように、本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214には、被評価者による行動の実績を示す行動実績データが入力データIDとして与えられる。
【0082】
この際、スタイルディテクター212は、入力データIDとして与えられた行動実績データが、学習時に与えられた訓練データに対応する各スタイルにどれだけ合致しているかを示す出力データSOを出力する。
【0083】
一方、リゼンブラー214は、入力データIDとして与えられた行動実績データが、学習時に与えられた訓練データに対応する各他者にどれだけ類似しているかを示す出力データROを出力する。
【0084】
なお、リゼンブラー214を生成するための学習時には、被評価者による行動の実績を示す行動実績データが訓練データとしてさらに与えられてもよい。この場合、リゼンブラー214は、入力データIDとして与えられた行動実績データが、どれだけ被評価者っぽいかを算出することも可能である。
【0085】
以上、本実施形態に係る本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の概要について述べた。本実施形態に係る評価部210は、上記のようなスタイル分析の結果、および一貫性分析の結果に基づいて被評価者の行動を評価することを特徴の一つとする。
【0086】
例えば、本実施形態に係る評価部210は、入力された行動実績データに対応する期間内における被評価者の行動のスタイルに係る安定性、および同期間内における被験者による行動の一貫性に係る安定性に基づいて、被評価者の行動を評価してもよい。
【0087】
より具体的には、本実施形態に係る評価部210は、上記期間内において被評価者による行動のスタイルが継続しているか又は変動しているかを示す第1の軸と、同期間内において被評価者による行動の一貫性が保たれているか又は保たれていないかを示す第2の軸とに基づいて、被評価者による行動を評価してもよい。
【0088】
図6図9は、本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214による出力の結果と、当該結果に基づく評価の一例について説明するための図である。
【0089】
例えば、図6に示す一例の場合、リゼンブラー214による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、他者3らしさが継続して支配的であることが見て取れる。この場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動の一貫性が保たれていると判定してよい。
【0090】
一方、スタイルディテクター212による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、スタイル2が継続して支配的であることが見て取れる。この場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動が安定していると判定してよい。
【0091】
このように、被評価者による行動に一貫性があり、かつ当該行動のスタイルが安定していると判定可能な場合、評価部210は、ファクターとファンドマネージャの投資戦略が継続している、ファクターベースの投資行動が行われていると評価してもよい。
【0092】
また、例えば、図7に示す一例の場合、リゼンブラー214による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、前半では他者3らしさが支配的であるのに対し後半では他者1らしさが支配的となることが見て取れる。このような場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動の一貫性が保たれていない(一貫性がない)と判定してよい。
【0093】
一方、スタイルディテクター212による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、スタイル2が継続して支配的であることが見て取れる。この場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動が安定していると判定してよい。
【0094】
このように、被評価者による行動に一貫性がなく、かつ当該行動のスタイルが安定していると判定可能な場合、評価部210は、行動に一貫性はないもののファクターエクスポージャーは安定していると評価してもよい。
【0095】
また、例えば、図8に示す一例の場合、リゼンブラー214による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、他者3らしさが継続して支配的であることが見て取れる。この場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動の一貫性が保たれていると判定してよい。
【0096】
一方、スタイルディテクター212による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、前半ではスタイル3が支配的であるのに対し後半ではスタイル1が支配的となることが見て取れる。このような場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動のスタイルが変動していると判定してよい。
【0097】
このように、被評価者による行動に一貫性があり、かつ当該行動のスタイルが変動していると判定可能な場合、評価部210は、マーケット動向により投資するファクターは異なるものの、全体の投資戦略は継続している、ファクターローテーション的な投資行動が行われていると評価してもよい。
【0098】
また、例えば、図9に示す一例の場合、リゼンブラー214による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、前半では他者3らしさが支配的であるのに対し後半では他者1らしさが支配的となることが見て取れる。このような場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動の一貫性が保たれていない(一貫性がない)と判定してよい。
【0099】
一方、スタイルディテクター212による出力の結果に着目すると、行動実績データに対応する期間内において、前半ではスタイル3が支配的であるのに対し後半ではスタイル1が支配的となることが見て取れる。このような場合、評価部210は、同期間内における被評価者による行動のスタイルが変動していると判定してよい。
【0100】
このように、被評価者による行動に一貫性がなく、かつ当該行動のスタイルが変動していると判定可能な場合、評価部210は、運用に一貫性がなくスタイルも見ていない、勘と経験のみによる投資行動が行われていると評価してもよい。
【0101】
以上、本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214を用いた分析の結果と、当該結果に基づく評価について具体例を挙げて説明した。
【0102】
本実施形態に係るスタイルディテクター212およびリゼンブラー214を用いた分析によれば、被評価者の行動を安定性および一貫性の2軸を用いてより適切に評価することが可能となる。
【0103】
<<1.5.被評価者による行動に関する「腕」の評価>>
次に、本実施形態に係る評価部210による、被評価者による行動に関する「腕」の評価について詳細に説明する。
【0104】
上記では、本実施形態に係る評価部210が、スタイルディテクター212およびリゼンブラー214を用いた分析の結果に基づいて、被評価者による行動に関する「癖」を評価する手法について述べた。
【0105】
本実施形態に係る評価部210は、上記のような「癖」の評価に加え、ディスティラー216を用いた分析の結果に基づく「腕」の評価を行うことで、被験者による行動をより細かくかつ適切に評価することが可能である。
【0106】
本実施形態に係るディスティラー216を用いた分析は、所定のタスクにおける評価項目に対する被評価者による行動の寄与を分析する寄与分析といえる。
【0107】
本実施形態に係る寄与分析は、第3の分類器が、入力された評価者による行動の対象となる複数の対象物の属性、および当該対象物に対する行動実績データに基づいて、複数の対象物を平面上に配置した2次元マップを生成することを含む。例えば、タスクが資産運用である場合、本実施形態に係る対象物は、株式の銘柄であり得る。
【0108】
図10は、本実施形態に係る第3の分類器217の生成と、第3の分類器217が出力する2次元マップM0について説明するための図である。
【0109】
本実施形態に係る第3の分類器217は、評価者による行動の対象となる複数の対象物の属性、および当該対象物に対する行動実績データを入力データIDとして、複数の対象物を平面上に配置した2次元マップM0を出力する。なお、図10に示す2次元マップM0における矩形の各々は、上記の対象物を示す。
【0110】
すなわち、本実施形態に係る第3の分類器217は、高次元のデータセットに対し、データ分布の位相的構造を保存しつつ低次元空間へ写像する機能を有するといえる。
【0111】
本実施形態に係る第3の分類器217は、例えば、NN(Neural Network)116に上記の入力データIDを与え、2次元マップM0を出力させる教師なし学習を繰り返し実施することにより生成され得る。
【0112】
本実施形態に係る第3の分類器217は、例えば、自己組織化マップ(Self-Organizing Maps)であってもよい。一方、本実施形態に係る第3の分類器217は、VAE(Variational AutoEncoder)などのアルゴリズムを用いて生成されてもよい。
【0113】
本実施形態に係るディスティラー216は、上記のように生成された第3の分類器217を用いた寄与分析を行う。この際、本実施形態に係るディスティラー216は、第3の分類器217が出力する2次元マップM0において、所定のタスクにおける評価項目に係る強度と対象者による行動に係る強度とをヒートマップ状に表現すること、を特徴の一つとする。
【0114】
例えば、所定のタスクが資産運用である場合、上記評価項目の一例としては、アクティブリターンが挙げられる。ここで、アクティブリターンとは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差を示す指標である。
【0115】
本実施形態に係るディスティラー216は、銘柄の属性(ここでは、上記ベンチマークのリターン)と、行動実績データ(ここでは、ポートフォリオのリターン)とに基づいて、アクティブリターンを算出し、2次元マップM0において当該アクティブリターンをヒートマップ状に表現したアクティブリターンマップM1を生成してもよい。
【0116】
図11は、本実施形態に係るアクティブリターンマップM1の一例を示す図である。図11に示すアクティブリターンマップM1では、アクティブリターンの強度が斜線の密度により表現されている。
【0117】
具体的には、図11に示すアクティブリターンマップM1では、ポートフォリオのリターンがベンチマークのリターンを大きく上回る領域は密度の高い斜線で表され、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差がほぼない領域は密度の低い斜線で表されている。また、ポートフォリオのリターンがベンチマークのリターンを大きく下回る領域は、無地(白)で表されている。
【0118】
なお、図11に示すアクティブリターンマップM1においては、見やすさを優先するために、アクティブリターンの強度を上記の3段階により表しているが、本実施形態に係るディスティラー216は、より多段階かつ連続的にアクティブリターンの強度を表現してもよい。
【0119】
また、図11に示すアクティブリターンマップM1においては、見やすさを優先するために、平面上に配置される各銘柄の表現を省略している。以降に示す各ヒートマップについても同様である。
【0120】
また、本実施形態に係るディスティラー216は、アクティブリターンマップM1のような、所定のタスクにおける評価項目に係る強度を示すヒートマップと対比させる対象として、対象者による行動に係る強度を示すヒートマップをさらに生成してよい。
【0121】
上記対象者による行動に係る強度の指標としては、例えば、アクティブウェイトが挙げられる。アクティブウェイトとは、ポートフォリオにおける銘柄の構成比とベンチマークにおける銘柄の構成比との乖離幅を指す指標である。
【0122】
本実施形態に係るディスティラー216は、銘柄の属性(ここでは、上記ベンチマークにおける銘柄の構成比)と、行動実績データ(ここでは、ポートフォリオにおける銘柄の構成比)とに基づいて、アクティブウェイトを算出し、2次元マップM0において当該アクティブウェイトをヒートマップ状に表現したアクティブウェイトマップM2を生成してもよい。
【0123】
図12は、本実施形態に係るアクティブウェイトマップM2の一例を示す図である。図12に示すアクティブウェイトマップM2では、アクティブリターンの強度がドットの密度により表現されている。
【0124】
具体的には、図12に示すアクティブウェイトマップM2では、ポートフォリオにおける銘柄の保有量がベンチマークにおける銘柄の保有量を大きく上回る領域は密度の高いドットで表されている。また、ポートフォリオにおける銘柄の保有量とベンチマークにおける銘柄の保有量との差がほぼない領域は密度の低いドットで表されている。また、ポートフォリオにおける銘柄の保有量がベンチマークにおける銘柄の保有量を大きく下回る領域は無地(白)で表されている。
【0125】
なお、図12に示すアクティブウェイトマップM2においては、見やすさを優先するために、アクティブウェイトの強度を上記の3段階により表しているが、本実施形態に係るディスティラー216は、より多段階かつ連続的にアクティブウェイトの強度を表現してもよい。
【0126】
以上、本実施形態に係る評価項目に係る強度を示すヒートマップと、対象者による行動に係る強度を示すヒートマップとについて具体例を挙げた。
【0127】
本実施形態に係るディスティラー216は、生成した上記2つのヒートマップを重畳させたヒートマップをさらに生成してよい。
【0128】
また、この際、本実施形態に係る評価部210は、上記2つのヒートマップを重畳させたヒートマップ(2次元マップ)に基づいて、評価項目に対する被評価者による行動の寄与が、被評価者の実力によるものであるか否かを評価してもよい。
【0129】
例えば、本実施形態に係るディスティラー216は、アクティブリターンマップM1とアクティブウェイトマップM2とを重畳させることで、アクティブリターン&アクティブウェイトマップM3を生成してもよい。
【0130】
図13は、本実施形態に係るアクティブリターン&アクティブウェイトマップM3の一例を示す図である。この際、本実施形態に係る評価部210は、アクティブリターン&アクティブウェイトマップM3に基づいて、アクティブリターンに対する被評価者による行動の寄与が、当該被評価者の実力によるものであるか否かを評価することができる。
【0131】
例えば、図13に示すアクティブリターン&アクティブウェイトマップM3において、アクティブリターンが高く、かつアクティブウェイトが高い領域は、密度の高い斜線と密度の高いドットとの重畳により表現されている。当該領域は、被評価者による行動に起因して銘柄の保有量が多く、かつ利益が出ている領域といえる。
【0132】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記領域のように、評価項目に係る強度が高い領域と、被評価者による行動に係る強度が高い領域とが重なる領域を、被評価者の実力による寄与が高い領域(Good choice)として評価してもよい。
【0133】
一方、図13に示すアクティブリターン&アクティブウェイトマップM3において、アクティブリターンが高く、かつアクティブウェイトが低い領域は、密度の高い斜線により表現されている。当該領域は、銘柄の保有量が低いものの相対的に利益が出ている領域といえる。
【0134】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記領域のように、評価項目に係る強度が高い領域と、被評価者による行動に係る強度が低い領域とが重なる領域を、被評価者の実力による寄与が低い領域、すなわちマグレによる利益が生じている領域(Luck)として評価してもよい。
【0135】
他方、図13に示すアクティブリターン&アクティブウェイトマップM3において、アクティブリターンが低く、かつアクティブウェイトが高い領域は、密度の高いドットにより表現されている。当該領域は、被評価者による行動に起因して銘柄の保有量が多く、かつ損失が生じている領域といえる。
【0136】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記領域のように、評価項目に係る強度が低い領域と、被評価者による行動に係る強度が高い領域とが重なる領域を、被評価者の見込み違いによる損失が生じている領域(Bad choice)として評価してもよい。
【0137】
また、本実施形態に係る評価部210は、上記のように評価した各領域の面積に基づいて、資産運用において生じた利益のうち被評価者の「腕」により生じた利益を示す寄与率(IPR: Intentional profit ratio)を算出することも可能である。
【0138】
例えば、図13に示す一例の場合、IPRは、次の数式により算出されてもよい。
IPR = Good choice / Good choice + Luck
【0139】
このように、本実施形態に係るディスティラー216を用いた評価によれば、単純にアクティブリターンのみで被評価者の評価を行う場合と比較して、被評価者の実力(腕)をより適切に評価することが可能となる。
【0140】
また、評価部210は、IPRを所定期間ごとに継続して算出することで、被評価者の実力がどのように変化しているか、などの評価を行うことも可能である。
【0141】
また、上記では、評価部210が、アクティブリターンとアクティブウェイトに基づいて被評価者の評価を行う場合を例示したが、本実施形態に係る評価部210による評価は係る例に限定されない。
【0142】
本実施形態に係る評価部210は、例えば、アクティブリターンとトレーディングボリュームに基づいて被評価者の評価を行ってもよい。
【0143】
図14は、本実施形態に係るトレーディングボリュームマップM4の一例を示す図である。図14に示すトレーディングボリュームマップM4では、トレーディングボリュームの強度が斜線の密度により表現されている。
【0144】
具体的には、図14に示すトレーディングボリュームマップM4では、トレーディングボリュームが多い領域は密度の高い斜線で表され、トレーディングボリュームが中程度の領域は密度の低い斜線で表されている。また、トレーディングボリュームが少ない領域は、無地(白)で表されている。
【0145】
なお、図14に示すトレーディングボリュームマップM4においては、見やすさを優先するために、トレーディングボリュームの強度を上記の3段階により表しているが、本実施形態に係るディスティラー216は、より多段階かつ連続的にトレーディングボリュームの強度を表現してもよい。
【0146】
また、本実施形態に係るディスティラー216は、アクティブリターンマップM1とトレーディングボリュームマップM4とを重畳させることで、アクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5を生成してもよい。
【0147】
図15は、本実施形態に係るアクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5の一例を示す図である。この際、本実施形態に係る評価部210は、アクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5に基づいて、アクティブリターンに対する被評価者による行動の寄与が、当該被評価者の実力によるものであるか否かを評価することができる。
【0148】
例えば、図15に示すアクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5において、アクティブリターンが高く、かつトレーディングボリュームマップが多い領域は、密度の高い斜線と密度の高いドットとの重畳により表現されている。当該領域は、被評価者による行動に起因して銘柄の取引量が多く、かつ利益が出ている領域といえる。
【0149】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記の領域を被評価者の実力による寄与が高い領域(Good trade)として評価してもよい。
【0150】
一方、図15に示すアクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5において、アクティブリターンが高く、かつトレーディングボリュームが少ない領域は、密度の高い斜線により表現されている。当該領域は、銘柄の取引量が少ないものの相対的に利益が出ている領域といえる。
【0151】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記領域をマグレによる利益が生じている領域(Luck)として評価してもよい。
【0152】
他方、図15に示すアクティブリターン&トレーディングボリュームマップM5において、アクティブリターンが低く、かつトレーディングボリュームが多い領域は、密度の高いドットにより表現されている。当該領域は、被評価者による行動に起因して銘柄の取引量が多く、かつ損失が生じている領域といえる。
【0153】
このことから、本実施形態に係る評価部210は、上記領域を被評価者の見込み違いによる損失が生じている領域(Bad trade)として評価してもよい。
【0154】
以上、本実施形態に係るディスティラー216を用いた評価について具体例を挙げて説明した。なお、本実施形態に係るディスティラー216は、上記で挙げたアクティブリターン、アクティブウェイト、トレーディングボリュームの他に様々な属性や当該属性に基づく指標をヒートマップ化することが可能である。
【0155】
本実施形態に係るディスティラー216は、例えば、PBR(Price Book-value Ratio)、PER(Price Earnings Ratio)、Stock yieldなどに関するヒートマップを生成し、評価部210は、当該ヒートマップに基づく評価を行ってもよい。
【0156】
本実施形態に係るディスティラー216を用いた評価手法によれば、例えば、実力が発揮できた(読みが外れた)のはどの産業セクターへの投資か、どの地域エリアでの投資か、などの評価を行うことが可能となる。
【0157】
また、本実施形態に係るディスティラー216を用いた評価手法によれば、例えば、利益が上がらなかったのは、市場環境の影響でやむを得ないものだったのか、あるいは投資スタイルのせいなのか、といった評価を行うことが可能となる。
【0158】
<<1.6.各分析結果に基づく統合的評価>>
次に、本実施形態に係る評価部210による、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を用いた各分析結果に基づく統合評価について説明する。
【0159】
上述したように、本実施形態に係る評価部210は、スタイルディテクター212を用いたスタイル分析、リゼンブラー214を用いた一貫性分析、ディスティラー216を用いた寄与分析の結果にそれぞれ基づいて、被評価者の評価を行うことが可能である。
【0160】
さらには、本実施形態に係る評価部210は、上記の3つの分析結果を用いた3軸における統合的な評価を行ってもよい。
【0161】
図16は、本実施形態に係る3つの分析結果を用いた3軸における統合的な評価について説明するための図である。
【0162】
図16の左側には、スタイルディテクター212を用いたスタイル分析、リゼンブラー214を用いた一貫性分析、ディスティラー216を用いた寄与分析の相互関係を3次元的に表した模式図が示されている。
【0163】
図示するように、本実施形態に係る評価部210は、スタイルディテクター212を用いたスタイル分析の結果に基づく第1の軸、リゼンブラー214を用いた一貫性分析の結果に基づく第2の軸、およびディスティラー216を用いた寄与分析の結果に基づく第3の軸を用いて、被評価者の評価を8象限に分類することが可能である。
【0164】
より具体的には、上記第1の軸は、被評価者による行動のスタイルが安定しているか又は変動しているかを示すものであってよい。また、上記の第2の軸は、被評価者による行動の一貫性が保たれているか又は保たれていないか(非一貫)を示すものであってよい。また、上記第3の軸は、被評価者による資産運用により得られた利益が被評価者の実力によるものか又は運によるものかを示すものであってよい。
【0165】
この場合、例えば、図中右側上段に示すように、運によって得られた利益に関しては、被験者の評価は、スタイルの安定または変動、および一貫または非一貫の組み合わせにより象限Q1~Q4に分類することができる。
【0166】
この際、評価部210は、例えば、行動が一貫しており、かつスタイルが安定している象限Q1については、インデックスに基づく資産運用への切り替えが可能であると評価してもよい。
【0167】
また、評価部210は、例えば、行動に一貫性がなく、かつスタイルが変動している象限Q4については、たまたま利益が上がっているだけで継続性に疑問があり、注意が必要であると評価してもよい。
【0168】
一方、図中右側下段に示すように、実力によって得られた利益に関しては、被験者の評価は、スタイルの安定または変動、および一貫または非一貫の組み合わせにより象限Q5~Q8に分類することができる。
【0169】
この際、評価部210は、例えば、行動が一貫しており、かつスタイルが安定している象限Q5については、スマートベクター化できる可能性があると評価してもよい。
【0170】
また、評価部210は、例えば、行動に一貫性がなく、かつスタイルが変動している象限Q4については、実力はあるものの、ルール化されておらず個人依存度が高いと評価してもよい。
【0171】
以上、本実施形態に係る評価部210による、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を用いた各分析結果に基づく統合評価について具体例を挙げて説明した。
【0172】
なお、評価部210は、上記のような評価の他にも、例えば、利益を出した被評価者の投資スタイルが事前申告の投資スタイルと整合しているか否か、すなわち被評価者が事前に申告したとおりの投資スタイルで実力を発揮できたか否か、などの評価を行うことが可能である。
【0173】
なお、本実施形態に係る出力部230は、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を用いた分析の結果や、評価部210による評価の結果をディスプレイや紙媒体などに出力してもよい。
【0174】
例えば、出力部230は、図11図15において示した各マップや、図16において示した8象限に被評価者の評価をプロットしたグラフなどを出力してもよい。
【0175】
また、出力部230は、例えば、図17に示すような、複数の被評価者に対する評価を比較した比較表などを出力してもよい。
【0176】
図17に示す比較表の一例では、被評価者であるA社、B社、C社のそれぞれに関し、アクティブリターンや、スタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を用いた分析の結果が記載されている。
【0177】
基金に属する評価者は、図17に示すような比較表を参照することで、複数の被評価者の中から今後契約する者を選ぶことや、現在契約しているファンドマネージャの契約を解除することなどを検討することが可能となる。
【0178】
また、基金に属する評価者は出力部230が出力する各種の情報を参照することで、例えば、今週の売買がこれまでの傾向とはことなっていること、最近実力に起因する利益が低下していることなどを把握し、被評価者とこれらについて議論することが可能となる。なお、出力部230は、例えば、スタイルの変化や一貫性の低下、実力に起因する利益の低下などに関して閾値を設け、各指標が当該閾値を超えた際にはアラートを発信するなどの制御を行ってもよい。
【0179】
本実施形態に係る評価装置20が有する各機能によれば、評価者が被評価者と同等の専門的知識を有しない場合であっても、被評価者を適切に評価し、被評価者と建設的な議論を行うことが可能となる。
【0180】
<<1.7.処理の流れ>>
次に、本実施形態に係る評価装置20による処理の流れについて一例を挙げて説明する。図18は、本実施形態に係る評価装置20による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下においては、本実施形態に係る評価部210がスタイルディテクター212、リゼンブラー214、およびディスティラー216を備える場合の処理を例示する。
【0181】
図18に示すように、まず、評価部210が、スタイルディテクター212を用いたスタイル分析を実行する(S102)。
【0182】
次に、評価部210は、リゼンブラー214を用いた一貫性分析を実行する(S104)。
【0183】
次に、評価部210は、ディスティラー216を用いた一貫性分析を実行する(S106)。
【0184】
なお、ステップS102~S106における各処理は、上記とは異なる順番で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0185】
次に、評価部210は、ステップS102~S106における各分析の結果に基づく3軸評価を実行する(S108)。
【0186】
次に、出力部230が、ステップS108における3軸評価の結果を出力する(S110)。
【0187】
<2.ハードウェア構成例>
次に、本開示の一実施形態に係る学習装置10および評価装置20に共通するハードウェア構成例について説明する。図19は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置90のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置90は、上記各装置と同等のハードウェア構成を有する装置であってよい。図19に示すように、情報処理装置90は、例えば、プロセッサ871と、ROM872と、RAM873と、ホストバス874と、ブリッジ875と、外部バス876と、インターフェース877と、入力装置878と、出力装置879と、ストレージ880と、ドライブ881と、接続ポート882と、通信装置883と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0188】
(プロセッサ871)
プロセッサ871は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM872、RAM873、ストレージ880、又はリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。
【0189】
(ROM872、RAM873)
ROM872は、プロセッサ871に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM873には、例えば、プロセッサ871に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
【0190】
(ホストバス874、ブリッジ875、外部バス876、インターフェース877)
プロセッサ871、ROM872、RAM873は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス874を介して相互に接続される。一方、ホストバス874は、例えば、ブリッジ875を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス876に接続される。また、外部バス876は、インターフェース877を介して種々の構成要素と接続される。
【0191】
(入力装置878)
入力装置878には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力装置878としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置878には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0192】
(出力装置879)
出力装置879は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、又は有機EL等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本開示に係る出力装置879は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。
【0193】
(ストレージ880)
ストレージ880は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ880としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。
【0194】
(ドライブ881)
ドライブ881は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0195】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。
【0196】
(接続ポート882)
接続ポート882は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0197】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。
【0198】
(通信装置883)
通信装置883は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。
【0199】
<3.まとめ>
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る評価装置20は、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、当該被評価者による行動の評価を行う評価部210を備える。また、本開示の一実施形態に係る評価部210は、被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、被評価者による行動を評価する、ことを特徴の一つとする。
【0200】
上記の構成によれば、被評価者による行動に対し、より適切な評価を実現することが可能となる。
【0201】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0202】
また、本明細書において説明した処理に係る各ステップは、必ずしもフローチャートやシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、各装置の処理に係る各ステップは、記載された順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0203】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、各種のプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0204】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏し得る。
【0205】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、
を備え、
前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
情報処理装置。
(2)
前記評価部は、入力された前記行動実績データに対応する期間内における前記被評価者による行動のスタイルに係る安定性、および前記期間内における前記被評価者による行動の一貫性に係る安定性に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記評価部は、前記期間内において前記被評価者による行動のスタイルが安定しているか又は変動しているかを示す第1の軸と、前記期間内において前記被評価者による行動の一貫性が保たれているか又は保たれていないかを示す第2の軸とに基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記スタイル分析は、深層学習により生成される第1の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動のスタイルを分類する分析である、
前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(5)
前記第1の分類器は、互いに異なるスタイルに基づく複数セットの仮想行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成される、
前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記仮想行動実績データは、前記所定のタスクに関する行動を所定のスタイルに基づいて仮想的に実行するプログラムにより得られた仮想行動の実績を示すデータである、
前記(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記一貫性分析は、深層学習により生成される第2の分類器に前記行動実績データを入力し、前記被評価者による行動に係る他者類似性を分類する分析である、
前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(8)
前記第2の分類器は、複数の実在他者に係る複数セットの他者行動実績データを訓練データとする教師あり学習により生成される、
前記(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記他者行動実績データは、前記所定のタスクに関する実在他者による行動の実績を示すデータである、
前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記評価部は、前記所定のタスクにおける評価項目に対する前記被評価者による行動の寄与を分析する寄与分析の結果にさらに基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
前記(1)~(9)のいずれかに記載の情報処理装置。
(11)
前記寄与分析は、第3の分類器が、入力された前記被評価者による行動の対象となる複数の対象物の属性、および前記対象物に対する前記行動実績データに基づいて、複数の前記対象物を平面上に配置した2次元マップを生成することと、
前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度と前記被評価者による行動に係る強度とをヒートマップ状に表現することと、を含む、
前記(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記第3の分類器は、自己組織化マップを含む、
前記(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記評価部は、前記2次元マップに基づいて、前記評価項目に対する前記被評価者による行動の寄与が、前記被評価者の実力によるものであるか否かを評価する、
前記(11)または(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記評価部は、前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度が高い領域と、前記被評価者による行動に係る強度が高い領域とが重なる領域を、前記被評価者の実力による寄与が高い領域として評価する、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記評価部は、前記2次元マップにおいて、前記評価項目に係る強度が高い領域と、前記被評価者による行動に係る強度が低い領域とが重なる領域を、前記被評価者の実力による寄与が低い領域として評価する、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(16)
前記所定のタスクは、資産運用を含む、
前記(1)~(15)のいずれかに記載の情報処理装置。
(17)
前記被評価者による行動は、金融商品の売買取引を含む、
前記(1)~(16)のいずれかに記載の情報処理装置。
(18)
前記評価部による評価の結果を出力する出力部、
をさらに備える、
前記(1)~(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
(19)
プロセッサが、所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行うこと、
を含み、
前記評価を行うことは、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価すること、をさらに含む、
情報処理方法。
(20)
コンピュータを、
所定のタスクに関する被評価者による行動の実績を示す行動実績データに基づいて、前記被評価者による行動の評価を行う評価部、
を備え、
前記評価部は、前記被評価者による行動のスタイルを分析するスタイル分析の結果、および前記被評価者による行動の一貫性を分析する一貫性分析の結果に基づいて、前記被評価者による行動を評価する、
情報処理装置、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0206】
10 学習装置
110 学習部
120 記憶部
20 評価装置
210 評価部
212 スタイルディテクター
214 リゼンブラー
216 ディスティラー
217 第3の分類器
220 記憶部
230 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19