(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/00 20200101AFI20241008BHJP
H04N 13/351 20180101ALI20241008BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20241008BHJP
G03B 21/62 20140101ALI20241008BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02B30/00
H04N13/351
H04N13/363
G03B21/62
G03B21/00 D
(21)【出願番号】P 2021562596
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2020043888
(87)【国際公開番号】W WO2021111954
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2019218841
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 章
(72)【発明者】
【氏名】横山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】谷野 友哉
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-113182(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0204663(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108828893(CN,A)
【文献】特開平11-174232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
H04N 13/351
H04N 13/363
G03B 21/62
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が投射軸を基準として画像データに応じた画像光を投射し、前記投射軸が第1の面に沿って互いに異なる方向を向くように配置された複数の投射部と、
前記第1の面と第1の仰角で交差するように配置され、前記第1の面に沿って投射された画像光を前記第1の仰角とは異なる第2の仰角で拡散して出射するスクリーンと、
前記第1の面における前記投射軸の方向に基づいて、前記第2の仰角で前記スクリーンを観察する視点に応じた複数の視点画像を表示するための前記画像データを生成する画像生成部と
を具備
し、
前記画像生成部は、前記複数の視点画像の各々を部分画像に分割し、前記複数の投射部ごとに対応する前記部分画像が合成された複数の合成画像を前記画像データとして生成する
画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の方向から想定される視点に応じた前記複数の視点画像を生成し、前記複数の視点画像に基づいて前記画像データを生成する
画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記複数の視点画像は、基準軸を中心とする互いに異なる観察方位から表示対象を見た画像であり、
前記画像生成部は、前記投射軸の方向に基づいて前記複数の視点画像の前記観察方位を設定する
画像表示装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の画像表示装置であって、
前記画像生成部は、前記スクリーンと前記第2の仰角で交差する第2の面に対して直交するように前記基準軸を設定する
画像表示装置。
【請求項5】
請求項
3に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記投射軸が前記第1の面内で放射状に配列するように配置され、
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の角度間隔を、前記複数の視点画像の前記観察方位の角度間隔として設定する
画像表示装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記投射軸の角度間隔が一定となるように配置される
画像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って第1の拡散角で前記画像光を拡散し、前記第3の面と直交する第4の面に沿って前記第1の拡散角よりも小さい第2の拡散角で前記画像光を拡散する
画像表示装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、前記第4の面に沿った前記画像光の拡散分布が、トップハット型の分布となるように構成される
画像表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、回折光学素子又はフレネルレンズ素子のいずれか一方を含む
画像表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、透過型スクリーン又は反射型スクリーンである
画像表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、光透過性のある透明スクリーンである
画像表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、鉛直方向又は水平方向のいずれか一方に沿って配置される
画像表示装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、鉛直方向に沿って配置され、
前記第2の仰角は、水平方向を示す角度に設定される
画像表示装置。
【請求項14】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部の各々は、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って、前記投射軸を中心とする所定の画角で前記画像光を投射し、
前記スクリーンは、前記所定の画角で投射された前記画像光を前記第2の仰角で拡散して出射するように構成される
画像表示装置。
【請求項15】
請求項
14に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、干渉縞が記録された回折光学素子を含み、前記回折光学素子の表面における前記干渉縞のピッチが均一で、前記回折光学素子の表面と前記干渉縞とのなす角が前記画像光に対してブラッグ条件を満たすように前記回折光学素子内で連続的あるいは段階的に変化するように構成される
画像表示装置。
【請求項16】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記スクリーンに表示される前記複数の視点画像が視認可能な角度範囲の外側に配置される
画像表示装置。
【請求項17】
請求項1に記載の画像表示装置であって、さらに、
前記複数の投射部から投射された前記画像光を平行化して前記第1の仰角で前記スクリーンに入射させる光学素子を具備する
画像表示装置。
【請求項18】
請求項
17に記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、自由曲面ミラーを含む
画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、立体表示等に適用可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、複数のプロジェクタを用いてスクリーンに立体像を表示する立体表示装置について記載されている。この立体表示装置では、異方性拡散板の裏面にミラーが貼合されたスクリーンを中心として複数のプロジェクタが水平方向に沿って円弧状に配置される。各プロジェクタの投射光は、異方性拡散板により、水平方向の角度変化を保ったまま垂直なストライプ画像に変換される。これらのストライプ画像により、水平方向の観察角度に応じて変化する表示対象の画像が形成される。これにより、表示対象を立体的に表示することが可能となる(非特許文献1の1頁-2頁、Fig.1及びFig.2等)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】"Interpolating vertical parallax for an autostereoscopic three-dimensional projector array" Andrew Jones, Koki Nagano, Jing Liu, Jay Busch, Xueming Yu, Mark Bolas, and Paul Debevec, Journal of Electronic Imaging, Jan-Feb 2014, Vol23(1), 011005 1-12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ユーザの視点に応じた画像を表示することで立体表示等が可能となる。一方で、プロジェクタの数や位置等によっては、装置サイズが増大するといった可能性がある。このため、ユーザの視点に応じた画像を適正に表示するとともに装置の小型化を図る技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、ユーザの視点に応じた画像を適正に表示するとともに装置の小型化を図ることが可能な画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る画像表示装置は、複数の投射部と、スクリーンと、画像生成部とを具備する。
前記複数の投射部は、各々が投射軸を基準として画像データに応じた画像光を投射し、前記投射軸が第1の面に沿って互いに異なる方向を向くように配置される。
前記スクリーンは、前記第1の面と第1の仰角で交差するように配置され、前記第1の面に沿って投射された画像光を前記第1の仰角とは異なる第2の仰角で拡散して出射する。
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の方向に基づいて、前記第2の仰角で前記スクリーンを観察する視点に応じた複数の視点画像を表示するための前記画像データを生成する。
【0007】
この画像表示装置では、第1の面に沿った互いに異なる方向に投射軸を向けて複数の投射部が配置される。また第1の面に対して第1の仰角で交差するスクリーンが設けられる。各投射部から第1の面に沿って投射された画像光は第1の仰角とは異なる第2の仰角で拡散して出射される。これにより、例えば投射部とスクリーンとの配置の自由度が向上する。また画像光の画像データは、第2の仰角でスクリーンを観察する視点に応じた視点画像を表示するためのデータであり、第1の面での投射軸の方向に基づいて生成される。これにより、例えば視点画像が表示される方向を正確に算出可能である。この結果、ユーザの視点に応じた画像を適正に表示するとともに装置の小型化を図ることが可能となる。
【0008】
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の方向から想定される視点に応じた前記複数の視点画像を生成し、前記複数の視点画像に基づいて前記画像データを生成してもよい。
【0009】
前記画像生成部は、前記複数の視点画像の各々を部分画像に分割し、前記複数の投射部ごとに対応する前記部分画像が合成された複数の合成画像を前記画像データとして生成してもよい。
【0010】
前記複数の視点画像は、基準軸を中心とする互いに異なる観察方位から表示対象を見た画像であってもよい。この場合、前記画像生成部は、前記投射軸の方向に基づいて前記複数の視点画像の前記観察方位を設定してもよい。
【0011】
前記画像生成部は、前記スクリーンと前記第2の仰角で交差する第2の面に対して直交するように前記基準軸を設定してもよい。
【0012】
前記複数の投射部は、前記投射軸が前記第1の面内で放射状に配列するように配置されてもよい。この場合、前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の角度間隔を、前記複数の視点画像の前記観察方位の角度間隔として設定してもよい。
【0013】
前記複数の投射部は、前記投射軸の角度間隔が一定となるように配置されてもよい。
【0014】
前記スクリーンは、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って第1の拡散角で前記画像光を拡散し、前記第3の面と直交する第4の面に沿って前記第1の拡散角よりも小さい第2の拡散角で前記画像光を拡散してもよい。
【0015】
前記スクリーンは、前記第4の面に沿った前記画像光の拡散分布が、トップハット型の分布となるように構成されてもよい。
【0016】
前記スクリーンは、回折光学素子又はフレネルレンズ素子のいずれか一方を含んでもよい。
【0017】
前記スクリーンは、透過型スクリーン又は反射型スクリーンであってもよい。
【0018】
前記スクリーンは、光透過性のある透明スクリーンであってもよい。
【0019】
前記スクリーンは、鉛直方向又は水平方向のいずれか一方に沿って配置されてもよい。
【0020】
前記スクリーンは、鉛直方向に沿って配置されてもよい。
前記第2の仰角は、水平方向を示す角度に設定されてもよい。
【0021】
前記複数の投射部の各々は、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って、前記投射軸を中心とする所定の画角で前記画像光を投射してもよい。
前記スクリーンは、前記所定の画角で投射された前記画像光を前記第2の仰角で拡散して出射するように構成されてもよい。
【0022】
前記スクリーンは、干渉縞が記録された回折光学素子を含み、前記回折光学素子の表面における前記干渉縞のピッチが均一で、前記回折光学素子の表面と前記干渉縞とのなす角が前記画像光に対してブラッグ条件を満たすように前記回折光学素子内で連続的あるいは段階的に変化するように構成されてもよい。
【0023】
前記複数の投射部は、前記スクリーンに表示される前記複数の視点画像が視認可能な角度範囲の外側に配置されてもよい。
【0024】
前記画像表示装置は、さらに、前記複数の投射部から投射された前記画像光を平行化して前記第1の仰角で前記スクリーンに入射させる光学素子を具備してもよい。
【0025】
前記光学素子は、自由曲面ミラーを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本技術の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図2】スクリーンに対するプロジェクタの配置例を示す模式図である。
【
図3】透過型ホログラムの拡散特性の一例を示す模式的なグラフである。
【
図4】視点画像を表示する方法について説明するための模式図である。
【
図5】スクリーンに対する画像光の入射角度及び出射角度について説明するための模式図である。
【
図6】スクリーンで回折される画像光の光路の一例を示す模式図である。
【
図7】視点画像を表示する画像光の光路の一例を示す模式図である。
【
図8】視点画像について説明するための模式図である。
【
図10】図に示す視点画像を表示するための画像データの一例を示す模式図である。
【
図11】視点画像と水平拡散角との関係を説明するための模式図である。
【
図12】透過型ホログラムの水平方向の拡散特性の一例を示す模式的なグラフである。
【
図13】プロジェクタの光源の波長特性の一例を示す模式的なグラフである。
【
図14】投射軸の角度間隔を狭く設定した場合の表示例を示す模式図である。
【
図15】投射軸の角度間隔を広く設定した場合の表示例を示す模式図である。
【
図16】比較例として挙げる画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図17】第2の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図18】第3の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図19】第4の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図20】第5の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図21】画像表示装置の他の構成例を示す模式図である。
【
図22】第6の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【
図23】第7の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
[画像表示装置の構成]
図1は、本技術の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置100は、複数のプロジェクタ10と、スクリーン20と、画像生成部30とを有する。画像表示装置100は、スクリーン20を観察するユーザの視点1に応じた画像をスクリーン20に表示する装置である。例えば、スクリーン20に表示される画像は、スクリーン20に対する視点1の位置、すなわちユーザがスクリーン20を見る角度によって変化する。
【0029】
従って、画像表示装置100のスクリーン20には、ユーザの視点1に応じて複数の画像が表示されることになる。これにより、表示対象の立体表示等が可能となる。以下では、ユーザの視点1に応じて表示される画像を視点画像と記載する。なお視点画像には、静止画像及び動画像(映像)が含まれる。
【0030】
図1に示すように、本実施形態では、鉛直方向に沿って平板状のスクリーン20が配置され、スクリーン20の斜め下方に複数のプロジェクタ10が配置される。また画像生成部30により、複数の視点画像を表示するための画像データが生成される。この画像データに基づいて、各プロジェクタ10からスクリーン20に対して画像光が投射され、複数の視点画像が表示される。
【0031】
以下では、スクリーン20と平行で互いに直交する方向をX方向及びZ方向と記載する。このうち、Z方向が鉛直方向に相当する。またX方向及びZ方向に直交するする方向をY方向と記載する。従ってXY平面の面内方向は、鉛直方向(Z方向)と直交する水平方向となる。
【0032】
図2は、スクリーン20に対するプロジェクタ10の配置例を示す模式図である。
図2A及び
図2Bには、画像表示装置100をX方向に沿って見た側面図及び画像表示装置100をZ方向に沿って見た上面図がそれぞれ模式的に図示されている。
【0033】
複数のプロジェクタ10は、各々が投射軸11を基準として画像データに応じた画像光2を投射する。ここで投射軸11とは、画像光2を投射する際の基準となる軸であり、典型的にはプロジェクタ10の画角の中心となる軸(画角中心線)である。すなわち投射軸11は、プロジェクタ10が投射する画像の中心となる画素を表示する画像光2の光路であるとも言える。この他、プロジェクタ10に搭載された投射レンズ等の投射光学系の光軸を、投射軸11と見做すことも可能である。画像データは、画像光2が構成する画像の各画素の輝度や色を指定するデータである。本実施形態では、複数のプロジェクタ10は、複数の投射部に相当する。
【0034】
また複数のプロジェクタ10は、投射軸11が投射基準面12に沿って互いに異なる方向を向くように配置される。投射基準面12は、各プロジェクタ10を配置するための基準となる平面である。このように各投射軸11を投射基準面12に沿った異なる方向に向けることで、スクリーン20を観察する方位ごとに異なる画像を表示することが可能となる。
図2A及び
図2Bには、投射基準面12が荒い点線のエリアとして模式的に図示されている。なお
図2Aでは、投射基準面12に対する各プロジェクタ10の配置関係を示すために、投射基準面12及び各プロジェクタ10等の配置をずらして図示している。実際には、投射基準面12は、X方向に沿った平面として設定される。本実施形態では、投射基準面12は、第1の面に相当する。
【0035】
図2Bに示すように、本実施形態では、複数のプロジェクタ10は、投射軸11が投射基準面12内で放射状に配列するように配置される。各投射軸11は、例えば投射基準面12上の所定のポイント(基準点O)を通過するように放射状に配置される。これにより、基準点Oを中心とする様々な方位に対して視点画像を表示することが可能となる。
【0036】
本実施形態では、投射基準面12とスクリーン20とが交差する交差線上に基準点Oが設けられる。この基準点Oを中心として、投射軸11が放射状に配列するように、基準点Oから一定の距離だけ離れた位置に各プロジェクタ10が配置される。すなわち、複数のプロジェクタ10は、投射基準面12においてスクリーン20上の基準点Oを中心とする円弧状に配置されるとも言える。これにより各プロジェクタ10からの投射距離が等しくなり、視点画像を精度よく表示することが可能となる。
【0037】
また複数のプロジェクタ10は、投射軸11の角度間隔が一定となるように配置される。ここで投射軸11の角度間隔とは、投射基準面12において互いに隣接する投射軸11のなす角度である。従って、投射基準面12には、互いに等しい角度間隔で投射軸11が放射状に配列される。このように、投射軸11の角度間隔を一定にすることで、例えば一定の角度で変化する視点画像等を表示することが可能となり、自然な立体表示等を実現することが可能となる。
【0038】
図1及び
図2には、各投射軸11が放射状に配列するように配置された3台のプロジェクタ10が模式的に図示されている。画像表示装置100に搭載されるプロジェクタ10の数は限定されず、例えば2台のプロジェクタ10を用いる場合や、4台以上のプロジェクタ10を用いる場合にも本技術は適用可能である。また各プロジェクタ10の配置パラメータ(投射軸11の角度間隔、基準点Oの位置、基準点Oからの距離等)は限定されず、各配置パラメータは、例えば所望の精度で視点画像が表示可能となるように適宜設定されてよい。
【0039】
なお画像表示装置100では、1つの視点画像を表示するために、複数のプロジェクタ10から投射される画像(画像光2)が用いられる。従って、1つのプロジェクタ10が1つの視点画像を投射するわけではなく、また各プロジェクタ10に入力される画像データが、1つの視点画像を表示するデータとなるわけではない。この点については、
図4等を参照して後に詳しく説明する。
【0040】
プロジェクタ10としては、レーザ光源を用いたレーザプロジェクタ等が用いられる。例えば、RGB又は単色のレーザ光をスキャンして画像を投射するスキャン型のレーザプロジェクタや、液晶ライトバルブ等を用いた投影型のレーザプロジェクタが用いられる。本実施形態では画像光2を回折してその光路を制御するスクリーン20(HOE)が用いられる。レーザ光源を用いることで、波長幅の狭い色光を用いて視点画像40を表示することが可能となり、スクリーン20における回折効率が向上し、視点画像40の表示輝度を高めることが可能となる。また画像光2の回折に伴う色分散による画像のボケや色ずれ等を回避することが可能となる。
【0041】
図1に戻り、スクリーン20は、複数のプロジェクタ10から投射された画像光2を拡散して複数の視点画像を表示する。本実施形態では、スクリーン20は、光透過性のある透明スクリーンとして構成される。例えば、スクリーン20の背景から出射された背景光3は、スクリーン20を透過して、ユーザの視点1に到達する。これにより、背景に重畳して視点画像を表示することが可能となり、例えば実際の空間に表示対象が存在しているかのような立体表示等を実現することが可能となる。またスクリーン20は、投射された画像光を透過して画像を表示する透過型スクリーンである。従って、ユーザはプロジェクタ10が画像光2を投射する側とは反対側から、視点画像を観察することになる。
【0042】
上記したように、本実施形態では、平板形状のスクリーン20が鉛直方向(XZ面)に沿って配置される。このスクリーン20に対して、入射仰角φ
iで交差するように投射基準面12が設定される。スクリーン20に対する仰角は、例えばスクリーン20と直交する鉛直面(YZ面)においてスクリーン20の法線21と対象となる面(あるいは線)とがなす角度である。
図1には、入射仰角φ
iとして、スクリーン20の法線21と投射基準面12との角度が模式的に図示されている。例えば、上記した各プロジェクタ10の投射軸11のスクリーン20に対する仰角は、各投射軸11をYZ面に射影した軸がYZ面におけるスクリーン20の法線となす角度となる。
【0043】
このように、スクリーン20は、投射基準面12と入射仰角φiで交差するように配置される。従って、各プロジェクタ10から投射基準面12上の光路で投射される画像光2のスクリーン20に対する仰角は、全て入射仰角φiとなる。なお、スクリーン20に対する仰角として、例えばスクリーン20自身と対象となる面(あるいは線)とがなす角度が用いられてもよい。また入射仰角φiは、各プロジェクタ10のスクリーン20に対する投射角度であるとも言える。本実施形態では、入射仰角φiは、第1の仰角に相当する。
【0044】
スクリーン20は、投射基準面12に沿って投射された画像光2を入射仰角φiは異なる出射仰角φoで拡散して出射するように構成される。後述するように、スクリーン20に入射した画像光は、所定の拡散角で拡散される。出射仰角は、例えば拡散された画像光2の強度がピークとなる出射方向(ピーク方向)とスクリーン20の法線21とがなす仰角である。従って、投射基準面12に沿ってスクリーン20に入射した画像光2は、スクリーン20に対する仰角が変化するように拡散して出射される。このように、スクリーン20は、画像光2の出射方向(ピーク方向)が投射軸11の方向とは異なる任意の方向に向くように、画像光2の光路を制御することが可能である。これにより、視点画像が表示される仰角を自由に設定することが可能となる。
【0045】
本実施形態では、出射仰角φ
oは、水平方向を示す角度に設定される。すなわち、出射仰角φ
o=0に設定され、拡散された画像光2のピーク方向は、スクリーン20の法線方向とる。
図1には、出射仰角φ
oとして、スクリーン20の法線と一致するピーク方向の角度が模式的に図示されている。このように、画像表示装置100では、鉛直方向に沿って配置されたスクリーン20から、水平方向に沿って画像光2が出射される。これにより、ユーザは、スクリーン20に表示される視点画像を容易に観察することが可能となる。本実施形態では、出射仰角φ
oは、第2の仰角に相当する。
【0046】
本実施形態では、スクリーン20は、透過型ホログラム22と、透明基材23とを有する。
図1に示すように、本実施形態では、透明基材23の一方の面に透過型ホログラム22を貼合してスクリーン20が構成される。またスクリーン20は、複数のプロジェクタ10に対して透過型ホログラム22を向けて配置される。
【0047】
透過型ホログラム22は、透過型のホログラフィック光学素子(HOE:Holographic Optical Element)である。HOEは、ホログラム技術を用いた光学素子であり、予め記録された干渉縞により光を回折することで、光の進行方向の制御(光路制御)を実現する。透過型のHOEは、光を回折して透過する回折透過の方向が制御可能である。透過型ホログラム22は、回折光学素子の一例である。
【0048】
透過型ホログラム22は、特定の角度範囲で入射した光を回折透過し、その他の角度範囲の光を透過するように構成される。例えば、複数のプロジェクタ10に向けられた投射面(図中右側の面)に特定の角度範囲で入射した画像光2は、その入射角度に応じた出射角度で投射面とは反対側の出射面(図中左側の面)から出射される。また特定の角度範囲以外の入射角度で入射した光は、干渉縞による回折をほとんど受けることなく、透過型ホログラム22を透過する。
【0049】
本実施形態では、透過型ホログラム22には、入射仰角φiで入射した画像光2を、出射仰角φoで出射するように干渉縞が露光される。このように構成された透過型ホログラム22は、例えば入射仰角φiで回折効率がピークとなる回折効率の分布を示す。例えば入射仰角φiに近い仰角で入射した画像光2は、出射仰角φoに近い仰角で出射される。
【0050】
従って、各プロジェクタ10から入射仰角φiを中心とする所定の画角で投射された画像光2は、スクリーン20から出射仰角φoを含む一定の仰角範囲で出射される。なお、入射仰角φiから十分に離れた仰角で入射する光は、上記したように回折を受けることなく透過型ホログラム22を透過することになる。このように、透過型ホログラム22は、プロジェクタ10から投射された画像光2を選択的に回折して、画像光2の光路の仰角を制御する素子であると言える。
【0051】
画像光2の光路の仰角を変化させると、スクリーン20に入射する前後での、スクリーン20に対する画像光2の光路の方位角が変化する。ここでスクリーン20に対する方位角とは、例えばスクリーン20と直交する水平面(XY面)においてスクリーン20の法線21と対象となる線(あるいは面)とがなす角度である。例えば、スクリーン20を基準として方位角を定義した場合、画像光2の光路の仰角の変化に応じて、スクリーン20を透過した後の光路の方位角が変化する。画像光2の方位角の変化については、
図6等を参照して後に詳しく説明する。
【0052】
また透過型ホログラム22には、露光によって特定の波長の光を拡散させるような干渉縞が記録される。具体的には、画像光2を拡散させることが可能な干渉縞が形成される。画像光2を拡散することで、視点画像を構成する各画素を表示することが可能となる。これにより、透過型スクリーンが構成される。複数のプロジェクタ10からの画像を表示するスクリーン20としては、2次元ディスプレイとして用いられるスクリーンとは異なる拡散特性が必要となる。例えば、2次元ディスプレイ用のスクリーンは、等方的拡散、もしくは水平方向に拡散角が大きい構造となっている。これに対し、本技術に係るスクリーン20では、鉛直方向及び水平方向に異なる拡散特性を有するように、透過型ホログラム22が構成される。
【0053】
本実施形態では、透過型ホログラム22(スクリーン20)は、入射仰角φi及び出射仰角φoを規定する鉛直面(YZ面)に沿って鉛直拡散角αで画像光2を拡散し、鉛直面と直交する水平面(XY面)に沿って鉛直拡散角αよりも小さい水平拡散角βで画像光2を拡散する。すなわち、透過型ホログラム22では、鉛直方向の拡散角(鉛直拡散角α)が、水平方向の拡散角(水平拡散角β)よりも狭い角度に設定される。本実施形態では、鉛直面(YZ面)及び水平面(XY面)は、第3の面及び第4の面に相当し、鉛直拡散角α及び水平拡散角βは、第1の拡散角及び第2の拡散角に相当する。
【0054】
図3は、透過型ホログラム22の拡散特性の一例を示す模式的なグラフである。
図3では、角度に対して画像光2の強度がなだらかに変化するガウシアン分布の拡散特性について説明する。
図3Aは、透過型ホログラム22の鉛直方向の拡散特性を示すグラフである。グラフの縦軸は、鉛直面に沿って拡散された画像光2の強度であり、横軸は、スクリーン20に対する仰角である。
図3Aに示すように、入射仰角φ
iで入射して出射仰角φ
o=0で拡散して出射される画像光2は、鉛直拡散角αで拡散される。ここで鉛直拡散角αは、例えば回折効率が所定の値(例えば強度ピークの50%等)以上となる仰角の角度範囲である。鉛直拡散角αは、
図3Bに示す水平拡散角βよりも大きい角度に設定される。
【0055】
画像表示装置100では、1台のプロジェクタ10からの画像光2で鉛直方向(V方向)の視野角を担うことになる。このため、透過型ホログラム22には水平拡散角βよりも十分に広い鉛直拡散角αが設定される。これにより、例えばユーザの視点1が水平方向から多少上下に移動した場合であっても、視点画像を適正に表示することが可能となる。
【0056】
また本実施形態では、鉛直方向の拡散特性を基準として、各プロジェクタ10の配置位置が設定される。例えば各プロジェクタ10は、鉛直方向に拡散された画像光2の強度の裾部分の外側の角度位置に配置される。
図3Aに示す例では、視認光強度が13.5%(1/e
2)以下となる角度範囲を視認仰角範囲24として、視認仰角範囲24の外側となるように入射仰角φ
iが設定される。なお、視認光強度が50%以上となる角度範囲(鉛直拡散角α)等を基準として、入射仰角φ
iが設定されてもよい。
【0057】
視認仰角範囲24は、スクリーン20(透過型ホログラム22)に表示される視点画像40を視認可能な範囲である。このため、例えば
図1に示すように、プロジェクタ10の角度位置(入射仰角φ
i)を視認仰角範囲24の外側に設定することで、ユーザの視点1から見えない位置、つまりは、スクリーン20の下端(図中の細かい点線)よりも外側にプロジェクタ10を配置することが可能となる。この結果、視点画像40とともにプロジェクタ10が見える、あるいは視点画像40を見ているユーザがプロジェクタ10の直接光を視認してしまうといった事態を回避することが可能となる。
【0058】
なお、鉛直方向の拡散特性に合わせて入射仰角φiを設定する代わりに、入射仰角φiに合わせて拡散角の垂直方向の分布(鉛直拡散角α等)を設定するといったことも可能である。このように、本実施形態では、複数のプロジェクタ10は、スクリーン20に表示される複数の視点画像40が視認可能な角度範囲の外側に配置される。
【0059】
図3Bは、透過型ホログラム22の水平方向の拡散特性を示すグラフである。グラフの縦軸は、水平面に沿って拡散された画像光2の強度であり、横軸は、スクリーン20に対する方位角である。
図3Bには、各プロジェクタ10の投射軸11に沿って入射した画像光2についての水平方向の拡散特性が示されている。各投射軸11に沿って入射した画像光2は、投射軸11のスクリーン20に対する仰角をピークとして、水平拡散角βで拡散される。ここで水平拡散角βは、例えば回折効率が所定の値(例えば強度ピークの50%等)以上となる方位角の角度範囲である。
【0060】
図1及び
図2に示すように複数のプロジェクタ10が並んでアレイ化されている場合、水平方向については、異なる方位に向けて表示される画像(視点画像)が互いに分離されるように、水平拡散角βが狭い角度に設定される。これにより、各方位からスクリーン20を観察する視点1において、異なる方位に向けて表示される画像が混ざった状態で観察されるクロストーク等を回避することが可能となる。なお、水平拡散角βは、各プロジェクタ10の投射軸11の角度間隔や、水平方向に回折される画像光2の角度等に応じて設定される。これにより、透明なスクリーン20に、解像度の高い映像を表示することが可能となる。
【0061】
透過型ホログラム22としては、素子内部に干渉縞が記録された体積型のHOEが用いられる。また、素子表面の凹凸等により干渉縞が記録されたレリーフ型(エンボス型)のH
OE等が用いられてよい。これらのHOEは、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)の一例である。このように、スクリーン20は、回折光学素子を用いて構成される。なお、干渉縞を記録して光を回折するHOEの他に、所定のパターンの回折格子等を用いて光を回折するタイプの回折光学素子等が用いられてもよい。
【0062】
図1に戻り、透明基材23は、光透過性のある透明な部材であり、透過型ホログラム22を支持する支持部材として機能する。透明基材23は、例えば板形状の透明性を有する材料(アクリル等のプラスチック材料やガラス等)を用いて構成される。透明基材23の具体的な構成は限定されない。例えば、透過率が高く十分に透明な材料や、所定の透過率(例えば30%等)が設定された半透明な材料等を用いて透明基材23が構成されてよい。
【0063】
また、透過型ホログラム22を2つの透明基材23で挟んでスクリーン20が構成されてもよい。この場合、スクリーン20の強度が強くなり堅牢性が向上するとともに、キズに対しても強くなりスクリーン20の信頼性が向上する。また、スクリーン20(透過型ホログラム22及び透明基材23)の表面に、反射防止膜等が設けられてもよい。これにより、例えばHOEによる画像光2の2次回折に伴うゴースト光、環境光(外光)の表面反射光、意図しない環境光の回折光、及びその他の迷光等を抑制することが可能となる。この他、スクリーン20の具体的な構成は限定されない。
【0064】
画像生成部30は、複数のプロジェクタ10に入力される画像データを生成する。具体的には、投射基準面12における投射軸11の方向に基づいて、出射仰角φ
oでスクリーン20を観察する視点1に応じた複数の視点画像を表示するための画像データが生成される。上記したように、画像光2がスクリーン20に入射する前後で、スクリーン20に対する画像光2の光路の方位角が変化する。投射基準面12における投射軸11の方向を用いることで、このような方位角の変化に対応した画像データを生成することが可能である。画像生成部30の具体的な動作については、
図7等を参照して後に詳しく説明する。
【0065】
図4は、視点画像を表示する方法について説明するための模式図である。
図4には、互いに異なる方位に向けて表示される複数の視点画像40と、それらの視点画像40を表示するための画像データ41とが模式的に図示されている。ここでは、複数のプロジェクタ10を用いて視点画像40を表示する基本的な方法について説明する。
【0066】
各プロジェクタ10の表示領域42は、縦方向(スクリーン20における鉛直方向)に沿って複数の分割領域43に分割される。各分割領域43には、視点画像40を縦方向に沿って分割した部分画像44が割り当てられる。例えば、画像の各画素が投射される方向は、画素ごとに異なる方位となる。このため、
図3Bに示すような水平拡散角βの狭いスクリーン20を用いることで、複数の分割領域43に表示される部分画像44を、それぞれ異なる方位に向けて表示することが可能である。
【0067】
この特性を利用して、複数のプロジェクタ10は、ユーザの視点1から見えて欲しい視点画像40の部分画像44を、各プロジェクタ10が投射する画像(表示領域42)の対応する分割領域43に割り当てて表示している。従って各プロジェクタ10に入力される画像データ41は、分割領域43ごとに割り当てられた部分画像44を合成した合成画像45となる。
【0068】
図4では、例えば図中の左から2番目の視点1で観察される視点画像40は、図中の左から2番目、3番目、4番目、及び5番目のプロジェクタ10から投射された部分画像44が合成された画像となる。同様に他の視点1で観察される視点画像40も、複数のプロジェクタ10が投射した部分画像44を合成した画像となる。このように、各プロジェクタ10が投射する部分画像44が、それらを適正な方位に向けて表示するスクリーン20によってつなぎ合わせられることで、視点画像40が表示される。これにより、ユーザは視点画像40を介して表示対象を3次元的に知覚するといったことが可能となる。
【0069】
[スクリーンによる画像光の回折]
図5は、スクリーン20に対する画像光2の入射角度及び出射角度について説明するための模式図である。
図6は、スクリーン20で回折される画像光2の光路の一例を示す模式図である。以下では、
図5及び
図6を参照して、主にスクリーン20で回折される画像光2の光路の方位角の変化について説明する。
【0070】
図5Aには、投射軸11に沿ってスクリーン20に入射する画像光2の光路が模式的に図示されている。
図5Aの左側の図は、画像表示装置100をX方向に沿って見た側面図であり、投射軸11が配列される投射基準面12が点線の領域により模式的に図示されている。実際には、投射基準面12は厚さのない平面である。また
図5Aの右側の図は、画像表示装置100を投射基準面12に直交する第1の方向50(
図5Aの左側の図の矢印の方向)から見た図である。
図5Aの右側に示すように、画像表示装置100では、スクリーン20上に設定された任意の一点(基準点O)に投射軸11が向かうように、各プロジェクタ10が配置される。この時、投射基準面12における投射軸11の角度間隔を、入射角度間隔θ
iとする。
【0071】
図5Bには、スクリーン20から拡散して出射される画像光2が、配光分布26(強度分布)として模式的に図示されている。また配光分布26において、画像光2の強度がピークとなるピーク方向27が矢印により示されている。以下では、配光分布26におけるピーク方向27を含む面を、出射基準面28と記載する。出射基準面28は、スクリーン20と出射仰角φ
oで交差する面となる。本実施形態では、出射基準面28は、第2の面に相当する。
【0072】
図5Bの左側の図は、画像表示装置100をX方向に沿って見た側面図であり、ピーク方向27が配列される出射基準面28が点線の領域により模式的に図示されている。実際には、出射基準面28は厚さのない平面である。また
図5Bの右側の図は、画像表示装置100を出射基準面28に直交する第2の方向51(
図5Bの左側の図の矢印の方向)から見た図である。本実施形態では、第2の方向51は、鉛直方向である。
図5Bの右側に示すように、各プロジェクタ10の投射軸11に沿って基準点Oに入射した画像光2は、スクリーン20により拡散され、それぞれが異なるピーク方向27を持った配光分布26を示す。この時、出射基準面28におけるピーク方向27の角度間隔を、出射角度間隔θ
oとする。
【0073】
このように、投射軸11が含まれる投射基準面12及び、ピーク方向27が含まれる出射基準面28は、スクリーン20に対して異なる仰角(入射仰角φi及び出射仰角φo)で交差する面となる。なお投射基準面12で定義された入射角度間隔θiは、出射基準面28で定義された出射角度間隔θoと等しい角度となる(θi=θo)。
【0074】
図6A及び
図6Bには、投射軸11に沿ってスクリーン20(基準点O)に入射し、ピーク方向27に沿って出射される画像光2の光路が模式的に図示されている。
図6A及び
図6Bの左側の図は、画像光2の光路を示す側面図であり、右側の図は、画像光2の光路を第1の方向50及び第2の方向51から見た図である。
【0075】
図6Aに示すように、投射基準面12に直交する第1の方向50から見た場合、出射基準面28は投射基準面12に対して傾いて見える。このため、投射基準面12において、スクリーン20から出射される画像光2のピーク方向27の角度間隔は、入射角度間隔θ
iとは異なる角度となる。
【0076】
また
図6Bに示すように、出射基準面28に直交する第2の方向51から見た場合、投射基準面12は出射基準面28に対して傾いて見える。このため、出射基準面28において、各プロジェクタ10の投射軸11の角度間隔は、出射角度間隔θ
oとは異なる角度となる。また、上記したように、第2の方向51は、鉛直方向である。従って、
図6Bの左側の図は、投射軸11及びピーク方向27の、スクリーン20に対する方位角を表す図となる。このように、画像表示装置100では、スクリーン20によって画像光2の光路の仰角が変化するために、スクリーン20に対する画像光2の光路の方位角も変化する。
【0077】
具体的には、スクリーン20に対するピーク方向27の角度間隔(出射角度間隔θo)は、スクリーン20に対する投射軸11の角度間隔、すなわち投射基準面12において入射角度間隔θiで配列された投射軸11を出射基準面28に射影した場合の角度間隔よりも狭くなる。本実施形態では、画像生成部30により、このような角度の関係に適した画像データが生成される。
【0078】
図7は、視点画像40を表示する画像光2の光路の一例を示す模式図である。
図7では、図中の上から順番に3台のプロジェクタ10a~10cが配置され、図中の上から順番に、3つの視点1a~1c(仮想視点)が設定される。なお、中央のプロジェクタ10bと、中央の視点1bは、それぞれスクリーン20に正対するように配置される。これらの視点1a~1cに対して、互いに異なる視点画像40(
図9参照)がそれぞれ表示される。
【0079】
図7A及び
図7Bは、プロジェクタ10a~10cが投射した画像光2の光路を第1の方向50及び第2の方向51から見た図であり、各プロジェクタ10と視点1との空間的な配置関係を示す図である。
図7Aに示すように、第1の方向50から見た場合、投射基準面12には、各プロジェクタ10が円弧状に配置される。一方で、各視点1は、投射基準面12に射影されることで歪んだ円弧に沿って配置されることになる。また
図7Bに示すように、第2の方向51から見た場合、出射基準面28には、各視点1が円弧状に配置される。一方で、各プロジェクタ10は、出射基準面28に射影されることで歪んだ円弧に沿って配置されることになる。このため、視点画像40を表示する画像光2の光路のスクリーン20に対する方位角は、スクリーン20を境に変化する。
【0080】
図7Cは、投射基準面12と出射基準面28とを同一平面(仮想基準面55)として見た場合の画像光2の光路を示す図である。すなわち、仮想基準面55は、投射基準面12及び出射基準面28の一方を曲げて各基準面を平行に接続した平面であると言える。仮想基準面55では、プロジェクタ10a~10cと、視点1a~1cが、同一の円周に沿って配置される。また、画像光2の光路のスクリーン20に対する方位角は、スクリーン20を境に変化することはなく、各光路は、スクリーン20を透過する直線状の光路と見做すことが可能である。
【0081】
従って、投射基準面12において各プロジェクタ10から画像光2が投射される方向は、出射基準面28においてスクリーン20から画像光2が出射される方向となる。つまり、スクリーン20に対する方位角を用いるのではなく、投射基準面12における画像光2の投射方向を用いることで、各画像光2が実際に出射される方向を適正に算出することが可能となる。このため、画像生成部30では、投射基準面12における画像光2の投射方向の基準とる投射軸11の方向に基づいて、視点画像40を表示するための画像データが生成される。
【0082】
[画像データの生成]
本実施形態では、画像生成部30により、投射基準面12における投射軸11の方向から想定される視点1に応じた複数の視点画像40が生成され、生成された複数の視点画像40に基づいて、画像データ41が生成される。例えば、上記した仮想基準面55において、投射軸11と各プロジェクタ10が配置される円周との交点が、投射基準面12における投射軸11の方向から想定される視点1として設定される。画像生成部30は、この視点1に表示するべき視点画像40を生成する。例えば投射基準面12における視点1の向きや位置等に応じた視点画像40が適宜生成される。さらに、この視点画像40を用いて、各プロジェクタ10に入力されるデータとなる画像データが生成される。
【0083】
本実施形態では、複数の視点画像40の各々が部分画像44に分割され、複数のプロジェクタ10ごとに対応する部分画像44が合成された複数の合成画像45が画像データ41として生成される。部分画像44は、例えば
図4を参照して説明したように、視点画像40を縦方向に分割した帯状の画像である。部分画像44の幅は、例えば投射軸11の入射角度間隔θ
iあるいはピーク方向27の出射角度間隔θ
oに応じて設定される。また例えば、スクリーン20の水平拡散角βや、プロジェクタ10が表示可能な画像の幅、あるいは画像表示装置100に搭載されるプロジェクタ10の個数等に応じて適宜設定されてよい。また合成画像45は、プロジェクタ10ごとに設けられた分割領域43に、対応する部分画像44を割り当てることで生成する。部分画像44を割り当てる方法は、
図4を参照して説明した方法と同様である。
【0084】
図8は、視点画像40について説明するための模式図である。
図9は、視点画像40の一例を示す模式図である。
図8及び
図9では、視点画像40の一例として、表示対象56を様々な方向から見た画像について説明する。
図8には、視点画像40として表示される表示対象56として、頭頂から見た人物の頭部が模式的に図示されている。この表示対象56を、観察点57a~57cから観察するものとする。観察点57aは、表示対象56である人物を左前方から観察する点であり、観察点57bは、人物を正面から観察する点であり、観察点57cは、人物を右前方から観察する点である。
【0085】
また各観察点57a~57cは、基準軸58を中心とする円周上に設定される。すなわち、観察点57a~57cは、基準軸58を中心とする互いに異なる方位から表示対象56を観察する点である。これらの観察点57から見た(あるいは撮影した)画像が、複数の視点画像40として生成される。すなわち、複数の視点画像40は、基準軸58を中心とする互いに異なる観察方位から表示対象56を見た画像であると言える。視点画像40を生成する方法は限定されず、例えば実在する表示対象56や、3次元のコンピュータグラフィックス等を異なる方位から撮影した画像が視点画像40として用いられてよい。各観察点57a~cから表示対象56を見た画像が、それぞれ
図9A~
図9Cに示す視点画像40として生成される。
【0086】
本実施形態では、画像生成部30は、投射基準面12における投射軸11の方向に基づいて複数の視点画像40の観察方位を設定する。上記したように、投射基準面12における投射軸11の方向から、視点画像40を表示する視点1の方向を算出することが可能である。これにより、各視点1に適した角度で、観察方位が設定された視点画像40等を容易に生成することが可能となる。
【0087】
具体的には、画像生成部30は、投射基準面12における投射軸11の角度間隔(入射角度間隔θi)を、複数の視点画像40の観察方位の角度間隔として設定する。入射角度間隔θiは、ピーク方向27の出射角度間隔θoと等しい。このため、入射角度間隔θiを観察方位の角度間隔に設定することは、出射角度間隔θoを観察方位の角度間隔に設定することに等しい。これにより、例えばスクリーン20に表示される視点画像40が切り替わる角度と、視点画像40によって表示される表示対象56の観察方位が切り替わる角度とを一致させることが可能となる。
【0088】
また、画像生成部30は、スクリーン20と出射仰角φoで交差する出射基準面28に対して直交するように基準軸58を設定する。これにより、例えば視点画像40を生成する際に用いる観察点57の回転軸(基準軸58)と、実際の空間で視点1が移動する際の回転軸とを一致させることが可能となり、ユーザの視点1が移動した場合に、表示対象56の位置をずらすことなく観察方向を切り替えて表示することが可能となる。この結果、あたかも表示対象56が実空間に存在しているかのような実在感の高い立体表示を実現することが可能となる。
【0089】
表示対象56の視点画像40a~40cは、それぞれ部分画像44に分割される。
図9に示す例では、各視点画像40a~40cが3つの部分画像44にそれぞれ分割される。以下では、視点画像40aを分割した3つの部分画像44を左から順番に部分画像(a1)、部分画像(a2)、部分画像(a3)と記載する。同様に、視点画像40bは、部分画像(b1)~(b3)に分割され、視点画像40cは、部分画像(c1)~(c3)に分割される。
【0090】
図10は、
図9に示す視点画像40を表示するための画像データ41の一例を示す模式図である。
図10A~
図10Cには、画像データ41として、
図7に示すプロジェクタ10a~10cに入力される合成画像45a~45cがそれぞれ模式的に図示されている。また図中の点線の枠は、各プロジェクタ10の表示領域42である。表示領域42は、図中の左から順番に5つの分割領域43a~43eに分割される。これらの分割領域43に、
図9に示す部分画像44がそれぞれ割り当てられる。
【0091】
例えば、プロジェクタ10aには、分割領域43a、43b及び43cに対して、部分画像(a1)、部分画像(b1)、及び部分画像(c1)が割り当てられる。またプロジェクタ10bには、分割領域43b、43c及び43dに対して、部分画像(a2)、部分画像(b2)、及び部分画像(c2)が割り当てられる。またプロジェクタ10bには、分割領域43c、43d及び43eに対して、部分画像(a3)、部分画像(b3)、及び部分画像(c3)が割り当てられる。このように、1台のプロジェクタ10に入力される画像は、複数の視点1に対応する縦帯状の部分画像44が割り当てられた合成画像45となる。
【0092】
図7には、各プロジェクタ10a~10cが投射してスクリーン20に表示される合成画像45a~45cがY方向の位置をずらして模式的に図示されている。実際には、これらの合成画像45は、スクリーン20の同一面上に表示される画像である。視点画像40において左側の部分画像44(a1、b1、c1)は、黒色の領域で図示されており、中央の部分画像44(a2、b2、c2)は、灰色の領域で図示されており、右側の部分画像44(a3、b3、c3)は、白色の領域で図示されている。これにより、各視点1a~1cでは、各視点1から見た角度の部分画像44だけがつながり視点画像40a~40cとして観察される。この結果、ユーザは透明なスクリーン20に表示され背景と重畳された立体画像を高い解像度で観察することが可能となる。
【0093】
図11は、視点画像40と水平拡散角βとの関係を説明するための模式図である。例えば
図11Aの左側に示すように、水平方向に拡散される画像光2の強度は、投射軸11の角度間隔でピークとなる。この時、強度ピークの中間の角度では、回折効率が下がり輝度が低下し、視点画像40に輝度むらが発生する可能性がある。このような輝度むらは、水平拡散角βを広げることで回避可能である。一方で、水平拡散角βが広すぎると、隣接する視点1に向けて表示される画像が互いに混ざって表示されてしまうクロストークが顕著になる。
【0094】
図11Bには、水平拡散角βが狭いために、視点画像40に輝度むらが生じる場合の例が模式的に図示されている。水平拡散角βを狭く設定することで、クロストークを回避することは可能であるが、強度ピーク間に輝度が低くなる領域が発生する。このため隣接する部分画像44の間で輝度が低下し、視点画像40全体に立縞状の輝度むらが生じる可能性がある。また
図11Cには、水平拡散角βが広いために、クロストークが顕著になっている場合の例が模式的に図示されている。この場合、強度ピーク間の画像光強度が高く、他の方位に表示されるべき画像が見えてしまう。このため、視点画像40の解像度が低下する恐れがある。
【0095】
このため、本実施形態では、
図11Aに示すように、水平拡散角βは、視点画像40の輝度むらが許容される範囲で、クロストークが最小となるように設定される。これにより、
図11Aの右側に示すように、輝度むらが抑制され、かつクロストークが小さい高解像度な画像表示が可能となる。なお水平拡散角βを設定する方法は限定されない。水平拡散角βを適宜調整することで、輝度むらを優先して抑制することや、クロストークを優先して抑制することが可能である。
【0096】
図12は、透過型ホログラム22の水平方向の拡散特性の一例を示す模式的なグラフである。
図12では、透過型ホログラム22(スクリーン20)は、水平面に沿った画像光2の拡散分布が、トップハット型の分布となるように構成される。トップハット型の分布は、強度ピークがブロードになる一方で、水平拡散角βを超えると、画像光2の強度が急激に低下する分布である。このように、矩形に近いトップハット型の拡散分布で画像光2を拡散することで、隣接する視点1用の画像が混ざらずクロストークが抑制された、解像度の高い画像表示が可能となる。
【0097】
なおトップハット型の分布を採用した場合、実際には強度ピークの肩の部分がある程度なだらかになることが考えられる。このため、投射軸11の角度間隔ごとのピーク構造が多少オーバーラップするように水平拡散角βが設定される。これにより、視点画像40の輝度を均一化するとともに、各視点画像を滑らかにつなぐことが可能となる。
【0098】
例えば透過型ホログラム22として用いられるHOEは、物体の光を記録可能である。この特性を利用して、例えば拡散板のガウシアン分布を記録する、あるいは、4f光学系のフーリエ面に対して空間強度変調を行うことが可能なデバイスを利用して、HOEを作成することで、トップハット型の拡散特性を備えた透過型ホログラム22等を構成することが可能である。なお空間強度変調を行うデバイスとしては、SLM(Spatial Light Modulator)やアポタイジングフィルタ等を用いることが可能である。
【0099】
図13は、プロジェクタ10の光源の波長特性の一例を示す模式的なグラフである。ここでは、レーザ光源を用いたプロジェクタ10に代えて、LED光源を用いたプロジェクタ10が用いられる場合について説明する。
図13には、LED光源から出射されたRGBの各色光に対するHOEでの回折効率が実線のグラフとして図示されている。グラフの縦軸は、HOEでの回折効率であり、横軸は各色光の波長である。
【0100】
LED光源から出射される色光は、例えばレーザ光源から出射される色光と比べて波長幅が広い。このため、LED光源の色光の波長幅が、HOEの波長選択性に対して広い場合には、回折効率が低くなる可能性がある。このため、LED光源を備えたプロジェクタ10を用いる場合には、LED光源の色光の波長幅を狭める波長選択フィルタ等が合わせて用いられることが好ましい。
【0101】
図13には、波長選択フィルタを介して出射されたRGBの各色光に対するHOEでの回折効率が点線のグラフとして図示されている。例えばRGBの各色光を各波長に合った波長選択フィルタに通すことで、波長幅が狭まる。これにより、HOEの波長選択性にあった波長幅の色光を入射することが可能となり、回折効率を大幅に向上することが可能となる。
【0102】
図14は、投射軸11の角度間隔を狭く設定した場合の表示例を示す模式図である。
図14Aは、画像表示装置をZ方向から見た上面図であり、
図14Bは、スクリーンをY方向から見た正面図である。また
図14Cは、スクリーン20を観察する視点1に出射される画像光2の一例を示す模式図である。
図14では、投射軸11の角度間隔(入射角度間隔θ
i)が、例えば人間の両眼視差が生じる角度よりも小さい角度に設定される。なお、これに限定されず、両眼視差が生じる角度付近(例えば±10°等)の角度間隔が設定されてもよい。
【0103】
図14Aに示すように、投射軸11の角度間隔を狭く設定する場合、透過型ホログラム22での水平拡散角βは、視点画像40が適正に表示される範囲で狭い角度に設定される。また
図14Bに示すように、1つの角度(投射軸11)あたりの表示幅は狭くなる。このように構成された画像表示装置100では、角度分解能が向上し、各視点画像40を細かく切り替えて表示することが可能となり、滑らかな立体視が実現される。例えば、投射軸11の角度間隔が両眼視差の角度よりも小さい角度である場合には、視点1を移動させることなく表示対象56を立体的に表示することも可能である。
【0104】
またこの構成では、プロジェクタ10の個数を増やすことで、広い角度範囲で滑らかな立体像を容易に表示させることが可能である。一方で、プロジェクタ10の個数を減らすことで、限定された角度範囲にのみ選択的に視点画像40を表示することが可能となる。また、プロジェクタ10の個数が減るため、装置コストを抑えることが可能である。なお、表示幅が狭くなるため、表示する画像のサイズに必要なだけのプロジェクタ10は必要となる。例えば
図14Cに示すように、狭い角度範囲に投射された視点画像40は、特定の視点1でのみ観察され、他の視点1では画像はほとんど観察されなくなる。
【0105】
これにより、特定の角度範囲では、立体画像が見えるが、視点1をずらすと急に見えなくなると言う見せ方が可能となる。つまり、見せたい人や見せたい方向だけに画像や情報を提示することが可能となる。このような表示方法の適用例としては、例えば、お化け屋敷等で急に3Dのお化けを表示する、ショウウインドーを正面から見た時だけマネキンが着た服を表示する、ライブ会場やステージ等において正面からお客さんが見た時に3Dの画像を表示する、電車の乗り降りの際、正面に立った乗客にドアの開く方や行先などの情報を提示するといった例が挙げられる。また、視点1が固定されている状況を想定すると、運転席、ベッドルーム、設計業務等において、隣にいる人から見えないように画像を表示するといった応用も可能である。
【0106】
図15は、投射軸11の角度間隔を広く設定した場合の表示例を示す模式図である。
図15Aは、画像表示装置をZ方向から見た上面図であり、
図15Bは、スクリーンをY方向から見た正面図である。また
図15Cは、スクリーン20を観察する視点1に出射される画像光2の一例を示す模式図である。
図15では、投射軸11の角度間隔(入射角度間隔θ
i)が、例えば人間の両眼視差が生じる角度よりも大きい角度に設定される。あるいは、ユーザが立ち位置を変えて移動する際に視点1が変化する角度等に合わせて角度間隔が設定されてもよい。
【0107】
図15Aに示すように、投射軸11の角度間隔を広く設定する場合、透過型ホログラム22での水平拡散角βは、投射軸11の角度間隔に合わせて広い角度に設定される。また
図15Bに示すように、1つの角度(投射軸11)あたりの表示幅は広くなる。この構成では、少ない数のプロジェクタ10で、広い角度範囲にわたって視点画像40を表示することが可能となる。また画像を切り替える角度が大きいため、例えば2次元の画像で表示可能な情報等を別々の視点1に表示するといった適用例が考えられる。例えば、画像表示装置100車載器として構成し、地図や案内等のサイネージを運転席、助手席、後部座席にそれぞれ表示するといったことが可能である。
【0108】
以上、本実施形態に係る画像表示装置100では、投射基準面12に沿った互いに異なる方向に投射軸11を向けて複数のプロジェクタ10が配置される。また投射基準面12に対して入射仰角φiで交差するスクリーン20が設けられる。各プロジェクタ10から投射基準面12に沿って投射された画像光2は入射仰角φiとは異なる出射仰角φoで拡散して出射される。これにより、例えばプロジェクタ10とスクリーン20との配置の自由度が向上する。また画像光2の画像データ41は、出射仰角φoでスクリーン20を観察する視点1に応じた視点画像40を表示するためのデータであり、投射基準面12での投射軸11の方向に基づいて生成される。これにより、例えば視点画像40が表示される方向を正確に算出可能である。この結果、ユーザの視点1に応じた画像を適正に表示するとともに装置の小型化を図ることが可能となる。
【0109】
図16は、比較例として挙げる画像表示装置70の構成例を示す模式図である。
図16では、透過型の拡散スクリーン71により、図示しない投射源から投射された画像光2が、その光路を変えることなく透過(正透過)して拡散される。従って、
図16の左側に示すように、拡散スクリーン71では、拡散される画像光2の方向(強度がピークなる方向)は、画像光2が投射された方向の延長方向となる。
【0110】
また
図16の右側には、左側の図の矢印で示された方向から見た画像光2の光路である。なお、どの方向から見ても拡散スクリーン71に対する画像光2の光路の仰角や方位角等は変化しない。この場合、視点に応じた画像を生成する処理では、拡散スクリーン71に対する投射軸72の方位角等をそのまま用いることが可能である。一方で、画像光2の光路の仰角や方位角がスクリーンを境に変化するような構成では、スクリーンに対する投射軸72の方位角等をそのまま用いると、視点画像を適正に表示することが困難となる。また、
図16では、画像光2がそのまま拡散スクリーン71を透過するため、投射源が画像に重なって表示されるといった可能性がある。さらに、投射源の配置によっては、装置サイズが増大する恐れがある。
【0111】
また例えばミラーに拡散板を貼合した拡散スクリーン等を用いて、視点に応じて画像を表示する方法がある(非特許文献1参照)。この場合、立体映像は現実世界の背景と重畳しておらず、あくまで拡散スクリーンの枠内に存在する実在感に留まる。また、ミラーを用いたスクリーンであるため、観察視点と映像源との角度関係は、正反射条件で決まる配置となってしまい、装置を構成する各部の配置の自由度(ホームファクタ)が抑制され、構成によっては装置サイズが拡大する可能性がある。
【0112】
本実施形態では、投射軸11に沿って入射仰角φiでスクリーン20に入射した画像光2が、出射仰角φoで出射される。このように、画像光2を投射する方向と、画像を出射する方向とを分離して装置を構成することが可能である。これにより、例えば正透過や正反射等の条件に寄らずに、スクリーン20とプロジェクタ10との配置関係を設計することが可能となり、ホームファクタが改善する。これにより、例えばプロジェクタ10の配置位置を変更して装置を小型化するといったことが可能である。
【0113】
また、入射仰角φi及び出射仰角φoは、互いに異なる角度に設定される。これにより、例えば視点画像40を観察するユーザからプロジェクタ10が見えるといった事態を回避可能である。この結果、高品質な視聴体験を提供することが可能となる。
【0114】
また画像光2の光路の仰角が変化することで、スクリーン20から出射する画像光2(ピーク方向27)のスクリーン20に対する角度間隔(出射角度間隔θ
o)は、スクリーン20に対する投射軸11の角度間隔に対して狭くなる。このような場合であっても、
図7C等を参照して説明したように、投射基準面12における投射軸11の方向に基づいて、画像データ41を生成することで、視点画像40を適正に表示することが可能となる。これにより、高精度な立体表示等が可能となる。また視点画像40を適正に表示するために、水平方向の拡散角(水平拡散角β)が設定される。これにより、輝度むらが無く解像度の高い視点画像40を表示可能である。
【0115】
またスクリーン20としてHOE(透過型ホログラム22)が用いられる。これにより、光透過性の高い透明なスクリーン20上に視点画像40を表示することが可能となる。この結果、表示対象56を、背景と重畳した状態で、あたかも目の前の空間に表示対象56が存在しているかのような表示が可能となり、立体表示の実在感を十分に高めることが可能である。
【0116】
<第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態の画像表示装置について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した画像表示装置100における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0117】
図17は、第2の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置200は、複数のプロジェクタ210と、スクリーン220と、画像生成部230とを有する。画像表示装置200では、スクリーン220として、投射された画像光を反射して画像を表示する反射型スクリーンが用いられる。なおスクリーン220は、背景光3を透過する透明スクリーンである。
【0118】
図17に示すように、スクリーン220は、透明基材223の一方の面に反射型ホログラム222を貼合して構成される。またスクリーン220は、透明基材223を複数のプロジェクタ210に向けて、鉛直方向に沿って配置される。例えば、複数のプロジェクタ210からスクリーン220に入射した画像光2は、反射型ホログラム222により回折反射され、画像光2が投射された面(図中右側の面)から水平方向に沿って拡散して出射される。従って、画像表示装置200では、プロジェクタ210に向けられる面と同じ面に視点画像40が表示される。
【0119】
このように、反射型のスクリーン220が用いられる場合であっても、各プロジェクタ210の投射軸11が配列された投射基準面における投射軸11の方向に基づいて、視点画像40を表示するための画像データ41を生成することが可能である。なお、反射型のスクリーン220は、鏡面として機能する。このため、画像生成部230は、スクリーン220に表示させたい視点画像40を左右反転した反転画像を生成し、反転画像に基づいて画像データ41を生成する。画像データ41の生成には、
図4~
図10等を参照して説明した方法を適用することが可能である。
【0120】
<第3の実施形態>
図18は、第3の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置300は、複数のプロジェクタ310と、スクリーン320と、画像生成部330とを有する。本実施形態では、スクリーン320として、フレネルレンズ素子321を含むフレネルレンズスクリーンが用いられる。また、スクリーン320は、背景光3を透過する透明スクリーンである。
図18Aには、スクリーン320を側面(X方向)からみた画像表示装置300の構成例が模式的に図示されている。
【0121】
フレネルレンズ素子321は、複数のプロジェクタ310から投射された画像光2を、水平方向に沿って反射するフレネル反射面322を有する。従ってスクリーン320は、画像光2を反射して画像を表示する反射型スクリーンとなる。なお透過型のフレネルレンズ素子321が用いられる場合にも、本技術は適用可能である。
【0122】
フレネル反射面322の角度は、例えば各点に入射する画像光2が水平方向に出射されるように、プロジェクタ310の画角等に応じて設定される。例えば、スクリーン320の下側では、深い角度(垂直に近い角度)で入射する画像光2を水平方向に反射するフレネル反射面322が形成され、スクリーン320の上側では、浅い角度で入射する画像光2を水平方向に反射する反射面が形成される。
図18Bは、スクリーン320におけるフレネルレンズ素子321(フレネル反射面322)のパターンの一例である。フレネル反射面322は、例えばスクリーン320下方の中央部分から同心円状に広がるように設けられる。なお画像光2を水平方向に反射する場合に限定されず、例えば所望の仰角で画像光2が出射されるように、フレネル反射面322の角度が適宜設定されてよい。
【0123】
フレネルレンズ素子321を用いることで、スクリーン320の全面にわたって、画像光2を水平方向に向けて出射するといったことが可能となる。これにより、スクリーン320を水平方向から観察するユーザに対して明るい視点画像40を表示することが可能となる。また、各点から出射される画像光の仰角が揃うため、スクリーン320に表示される視点画像40の輝度むら等を抑制することが可能である。
【0124】
<第4の実施形態>
図19は、第4の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置400は、複数のプロジェクタ410と、スクリーン420とを有する。本実施形態では、スクリーン420は、干渉縞5が記録された透過型ホログラム422を含み、各プロジェクタ410から所定の画角で投射された画像光2を、水平方向に回折するように構成される。なお反射型ホログラムが用いられる場合にも、以下の説明は適用可能である。本実施形態では、透過型ホログラム422は、干渉縞が記録された回折光学素子の一例である。
【0125】
図19A及び19Bには、スクリーン420を側面(X方向)及び背面(Y方向)からみた画像表示装置400の構成例が模式的に図示されている。
図19Aに示すように、複数のプロジェクタ410の各々は、スクリーン420と直交する鉛直面(YZ面)に沿って、投射軸11を中心とする鉛直画角ωで画像光2を投射する。画像表示装置400では、スクリーン420は、鉛直画角ωで投射された画像光2を出射仰角φ
oで拡散して出射するように構成される。
図19では、出射仰角φ
o=0に設定され、スクリーン420は、鉛直画角ωで投射された画像光2を水平方向に沿って回折するように構成される。本実施形態では、鉛直画角ωは、所定の画角に相当する。
【0126】
具体的には、透過型ホログラム422内に、透過型ホログラム422の表面における干渉縞5のピッチ(表面ピッチ)を均一に保ったまま、干渉縞5を設ける角度(スラント角度)を鉛直方向に沿って変化させて干渉縞5が記録される。このとき、干渉縞5は、透過型ホログラム422の表面と干渉縞5とのなす角が、画像光2に対してブラッグ条件を満たすように形成される。例えば、干渉縞5の角度は、ホログラム内で連続的に変化するように形成される。これによりスクリーン420の全面で回折効率を向上することが可能である。あるいは、干渉縞5の角度は、ホログラム内で段階的に変化するように形成される。この場合、例えばスクリーン420やプロジェクタ410の位置が設計値から多少ずれても、回折効率は大きく変化しないため、装置の信頼性を向上することが可能となる。
【0127】
このように、透過型ホログラム422に記録される干渉縞5は、鉛直方向に沿って角度が変化するマルチスラントの干渉縞となる。例えば、プロジェクタ410には画角があるため、スクリーン420の上下で画像光2が入射する角度(仰角)が変化する。マルチスラントを用いることで、各位置での画像光2の角度に応じた回折を実現することが可能となる。これにより、入射する画像光2の角度と波長に応じた回折特性をスクリーン420面内の各位置で局所的に設定することが可能となる。この結果、スクリーン420の場所によって明るさ及び色が変化するといった事態を回避することが可能となり、高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0128】
<第5の実施形態>
図20は、第5の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置500は、複数のプロジェクタ510と、スクリーン520と、自由曲面ミラー540とを有する。画像表示装置500では、複数のプロジェクタ510から投射された画像光2が、自由曲面ミラー540を介して平行光に変換され、平行光に変換された画像光2がスクリーン520に投射される。本実施形態では、透過型のスクリーン520が用いられる。
【0129】
図20A及び20Bには、スクリーン520を側面(X方向)及び背面(Y方向)からみた画像表示装置400の構成例が模式的に図示されている。複数のプロジェクタ510は、例えば水平方向(XY面)に沿って画像光2を投射するように配置される。自由曲面ミラー540は、スクリーン520の斜め下方に配置され、水平方向に沿って投射された画像光2を反射してスクリーン520に入射する。スクリーン520は、透明基材523に透過型ホログラム522を貼合して構成される。透過型ホログラム522は、干渉縞が一様なスラント角度で形成されたモノスラント型のHOEである。
【0130】
自由曲面ミラー540は、複数のプロジェクタ510から投射された画像光2を平行化して入射仰角φiでスクリーン520に入射させる光学素子である。具体的には、自由曲面ミラー540は、スクリーン520に対する画像光2の入射仰角φiが、透過型ホログラム522でのブラッグ条件を満たす角度となるように、画像光2を平行化する。自由曲面ミラー540は、例えば光路シミュレーション等の手法を用いて設計可能である。このように、透過型ホログラム522の干渉縞5がモノスラントである場合であっても、画像光を平行化して透過型ホログラム522に適した仰角(入射仰角φi)で投射することが可能である。これにより、スクリーン520の場所によって明るさや色が変化するといった事態を十分に回避することが可能となる。
【0131】
図21は、画像表示装置の他の構成例を示す模式図である。画像表示装置600は、複数のプロジェクタ610と、スクリーン620とを有する。画像表示装置600では、プロジェクタ610として、超短焦点プロジェクタが用いられる。超短焦点プロジェクタは、図示しない投射光学系を介して短距離から大画面の映像投影を行うことが可能なプロジェクタである。例えば超短焦点プロジェクタの矩形表示機能等を用いることで、画像光2を略平行化して出射することが可能である。この平行化された画像光2がスクリーン620に直接投射される。これにより、装置サイズを抑制するとともに、高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0132】
<第6の実施形態>
図22は、第6の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置700は、複数のプロジェクタ710と、スクリーン720とを有する。本実施形態では、鉛直方向に沿って配置されたスクリーン720の斜め上方に複数のプロジェクタ710が配置される。これは、例えば
図1に示す画像表示装置100の上下を反転した構成であるとも言える。
【0133】
複数のプロジェクタ710は、例えば視点画像40が視認可能な角度範囲の外側となるように、スクリーン720の上方に配置され、画像光2を斜め下方に投射するように構成される。複数のプロジェクタ710をスクリーン720の上方に設けることで、例えば屋内施設や車両等の天井部分にプロジェクタ710を埋め込むといった構成が可能となる。これにより、装置本体を配置する床面等を設ける必要がなくなり、例えば装置の設置の自由度が向上する。
【0134】
<第7の実施形態>
図23は、第7の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す模式図である。画像表示装置800は、複数のプロジェクタ810と、スクリーン820と、筐体部840とを有する。本実施形態では、スクリーン820が、水平方向に沿って配置される。
図23A及び23Bには、スクリーン820を側面(X方向)及び斜め上方からみた画像表示装置400の構成例が模式的に図示されている。
【0135】
図23Aに示すように、スクリーン820は、透明基材823に反射型ホログラム822を貼合して構成され、テーブル等の配置面上に水平に配置される。複数のプロジェクタ810は、筐体部840に収納され、スクリーン820に対して斜め上方から画像光2を投射する。
図23Bには、複数のプロジェクタ810を収納した扇型の筐体部840が模式的に図示されている。各プロジェクタ810から投射された画像光2は、スクリーン820(反射型ホログラム822)により回折されて、プロジェクタ810が設けられる側とは反対側に向けて斜めに出射される。この場合、ユーザは、プロジェクタ810の反対側から、スクリーン820を斜めに観察することで、立体表示等を知覚することが可能である。
【0136】
このように、画像表示装置800は、テーブルトップ型のセット形態を想定した構成となっており、テーブル上に配置されたスクリーン820により立体表示等を実現する装置である。これにより、例えばテーブル上で2次元的な表示物(画面や印刷物等)で視ていたものを3次元的に表示するといったことが可能となる。例えば、地図、車や建築物の設計データ、芸術品等が立体的に表示される。また例えばテレビゲーム、カードゲーム、ボードゲーム等を立体表示することも可能である。このように、様々な対象の立体表示が可能であり、優れたアミューズメント性を発揮することが可能となる。
【0137】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0138】
本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円柱形状」「円筒形状」「リング形状」「円環形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円柱形状」「実質的に円筒形状」「実質的にリング形状」「実質的に円環形状」等を含む概念とする。
【0139】
例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円柱形状」「完全に円筒形状」「完全にリング形状」「完全に円環形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
【0140】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)各々が投射軸を基準として画像データに応じた画像光を投射し、前記投射軸が第1の面に沿って互いに異なる方向を向くように配置された複数の投射部と、
前記第1の面と第1の仰角で交差するように配置され、前記第1の面に沿って投射された画像光を前記第1の仰角とは異なる第2の仰角で拡散して出射するスクリーンと、
前記第1の面における前記投射軸の方向に基づいて、前記第2の仰角で前記スクリーンを観察する視点に応じた複数の視点画像を表示するための前記画像データを生成する画像生成部と
を具備する画像表示装置。
(2)(1)に記載の画像表示装置であって、
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の方向から想定される視点に応じた前記複数の視点画像を生成し、前記複数の視点画像に基づいて前記画像データを生成する
画像表示装置。
(3)(1)又は(2)に記載の画像表示装置であって、
前記画像生成部は、前記複数の視点画像の各々を部分画像に分割し、前記複数の投射部ごとに対応する前記部分画像が合成された複数の合成画像を前記画像データとして生成する
画像表示装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記複数の視点画像は、基準軸を中心とする互いに異なる観察方位から表示対象を見た画像であり、
前記画像生成部は、前記投射軸の方向に基づいて前記複数の視点画像の前記観察方位を設定する
画像表示装置。
(5)(4)に記載の画像表示装置であって、
前記画像生成部は、前記スクリーンと前記第2の仰角で交差する第2の面に対して直交するように前記基準軸を設定する
画像表示装置。
(6)(4)又は(5)に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記投射軸が前記第1の面内で放射状に配列するように配置され、
前記画像生成部は、前記第1の面における前記投射軸の角度間隔を、前記複数の視点画像の前記観察方位の角度間隔として設定する
画像表示装置。
(7)(6)に記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記投射軸の角度間隔が一定となるように配置される
画像表示装置。
(8)(1)に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って第1の拡散角で前記画像光を拡散し、前記第3の面と直交する第4の面に沿って前記第1の拡散角よりも小さい第2の拡散角で前記画像光を拡散する
画像表示装置。
(9)(8)に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、前記第4の面に沿った前記画像光の拡散分布が、トップハット型の分布となるように構成される
画像表示装置。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、回折光学素子又はフレネルレンズ素子のいずれか一方を含む
画像表示装置。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、透過型スクリーン又は反射型スクリーンである
画像表示装置。
(12)(1)から(11)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、光透過性のある透明スクリーンである
画像表示装置。
(13)(1)から(12)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、鉛直方向又は水平方向のいずれか一方に沿って配置される
画像表示装置。
(14)(13)に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、鉛直方向に沿って配置され、
前記第2の仰角は、水平方向を示す角度に設定される
画像表示装置。
(15)(1)から(14)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部の各々は、前記第1及び前記第2の仰角を規定する第3の面に沿って、前記投射軸を中心とする所定の画角で前記画像光を投射し、
前記スクリーンは、前記所定の画角で投射された前記画像光を前記第2の仰角で拡散して出射するように構成される
画像表示装置。
(16)(15)に記載の画像表示装置であって、
前記スクリーンは、干渉縞が記録された回折光学素子を含み、前記回折光学素子の表面における前記干渉縞のピッチが均一で、前記回折光学素子の表面と前記干渉縞とのなす角が前記画像光に対してブラッグ条件を満たすように前記回折光学素子内で連続的あるいは段階的に変化するように構成される
画像表示装置。
(17)(1)から(16)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部は、前記スクリーンに表示される前記複数の視点画像が視認可能な角度範囲の外側に配置される
画像表示装置。
(18)(1)から(17)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記複数の投射部から投射された前記画像光を平行化して前記第1の仰角で前記スクリーンに入射させる光学素子を具備する
画像表示装置。
(19)(18)に記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、自由曲面ミラーを含む
画像表示装置。
【符号の説明】
【0141】
1、1a~1c…視点
2…画像光
10、210、310、410、510、610,710、810…プロジェクタ
11…投射軸
12…投射基準面
20、220、320、420、520、620、720、820…スクリーン
22、422、522…透過型ホログラム
28…出射基準面
30、230、330…画像生成部
40、40a~40c…視点画像
41…画像データ
55…仮想基準面
56…表示対象
58…基準軸
100、200、300、400、500、600、700、800、900…画像表示装置
222、822…反射型ホログラム
321…フレネルレンズ素子