(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】センサモジュールおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241008BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 602
G06F3/041 620
G06F3/044 127
(21)【出願番号】P 2021574129
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003126
(87)【国際公開番号】W WO2021153700
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020015400
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
(72)【発明者】
【氏名】塚本 圭
(72)【発明者】
【氏名】勝原 智子
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056005(JP,A)
【文献】特開2009-034742(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186022(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0086689(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元配置された複数の第1の検出部を含む静電容量式の第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を含む静電容量式の第2のセンサ層とを備え、前記第1のセンサ層が前記第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
前記複数の第1の検出部および前記複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備え
、
前記第1のセンサ層、前記第2のセンサ層はそれぞれ、複数の受信電極と、複数の駆動電極とを含み、
前記第1の検出部は、前記第1のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成され、
前記第2の検出部は、前記第2のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成され、
前記第1のセンサ層の各駆動電極と前記第2のセンサ層の各駆動電極は、共通の電極により構成されるか、または、前記第1のセンサ層の各受信電極と前記第2のセンサ層の各受信電極は、共通の電極により構成されるセンサモジュール。
【請求項2】
前記制御部は、2次元配置された複数の検出部を走査可能に構成され、
前記制御部は、
前記2次元配置された複数の検出部のうち第1の検出領域に含まれる一群の検出部として、前記複数の第1の検出部を走査し、
前記2次元配置された複数の検出部のうち第2の検出領域に含まれる一群の検出部として、前記複数の第2の検出部を走査する請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記第1のセンサ層と前記第2のセンサ層の間に設けられた離隔層をさらに備え、
前記第1のセンサ層および前記第2のセンサ層は、圧力分布センサ層であり、
前記離隔層は、前記センサの面内方向に作用するせん断力により弾性変形する請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記離隔層は、ゲルを含む請求項
3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第1のセンサ層は、圧力センサ層であり、
前記第2のセンサ層は、温度検出センサ層である請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記第1のセンサ層は、静電容量式タッチセンサ層であり、
前記第2のセンサ層は、圧力センサ層である請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記第1のセンサ層の感度は、前記第2のセンサ層の感度に比べて高い請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記複数の第1の検出部の前記2次元配置、および前記複数の第2の検出部の前記2次元配置は、マトリックス状配置であり、
前記複数の第1の検出部および前記複数の第2の検出部は、前記マトリックス状配置の行方向および列方向に配置ピッチPで配置され、
前記第2の検出部は、前記第1の検出部から前記行方向および前記列方向に距離P/2ずらして配置される請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と
を備える請求項
3に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記離隔層は、
第3の導電層と、
前記第1のセンサ層と前記第3の導電層の間に設けられ、前記第1のセンサ層と前記第3の導電層を離隔する第1の離隔層と、
前記第3の導電層と前記第2のセンサ層の間に設けられ、前記第3の導電層と前記第2のセンサ層を離隔する第2の離隔層と
を備える請求項
9に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と、
前記第2の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記第2の導電層と前記第1の検出層の間を離隔する第1の離隔層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第3の導電層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第4の導電層と、
前記第3の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と、
前記第4の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記第4の導電層と前記第2の検出層の間を離隔する第2の離隔層と
を備える請求項
3に記載のセンサモジュール。
【請求項12】
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第3の導電層と、
前記第3の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記第3の導電層と前記第2の検出層を離隔する離隔層と
を備える請求項
3に記載のセンサモジュール。
【請求項13】
前記第1のセンサ層は、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層を備え、
前記第2のセンサ層は、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層を備え、
前記第1の検出層と前記第2の検出層は、1つのフレキシブル基板により構成されている請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項14】
前記制御部は、前記複数の第1の検出部
を順次走査した後に、前記複数の第2の検出部を順次走査する
か、または、前記複数の第2の検出部を順次走査した後に、前記複数の第1の検出部を順次走査する請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項15】
2次元配置された複数の第1の検出部を有する第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を有する第2のセンサ層とを備え、前記第1のセンサ層が前記第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
前記複数の第1の検出部と前記複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備え
、
前記第1のセンサ層、前記第2のセンサ層はそれぞれ、複数の受信電極と、複数の駆動電極とを含み、
前記第1の検出部は、前記第1のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成され、
前記第2の検出部は、前記第2のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成され、
前記第1のセンサ層の各駆動電極と前記第2のセンサ層の各駆動電極は、共通の電極により構成されるか、または、前記第1のセンサ層の各受信電極と前記第2のセンサ層の各受信電極は、共通の電極により構成されるセンサモジュール。
【請求項16】
請求項1
から15のいずれか1項に記載のセンサモジュールを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサモジュールおよびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧力等を検出することが可能なセンサモジュールは、モバイルPC(Personal Computer)やタブレットPC等の様々な電子機器に広く用いられている。センサモジュールとしては、様々な構成を有するものが検討されている。
【0003】
例えば特許文献1では、外部からの荷重により変形し、応力分散を生じさせる第1の粘弾性体を、圧力を検出する第1の検出部と第2の検出部で挟むことにより構成される圧力センサを用いて、滑りを検出するセンサモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたセンサモジュールでは、第1の検出部、第2の検出部は別々のセンサIC(Integrated Circuit)により走査されるため、センサモジュールの構成が複雑化する問題がある。
【0006】
本開示の目的は、構成の複雑化を抑えることができるセンサモジュールおよびそれを備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、第1の開示は、
2次元配置された複数の第1の検出部を含む静電容量式の第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を含む静電容量式の第2のセンサ層とを備え、第1のセンサ層が第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
複数の第1の検出部および複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備え、
第1のセンサ層、第2のセンサ層はそれぞれ、複数の受信電極と、複数の駆動電極とを含み、
第1の検出部は、第1のセンサ層に含まれる受信電極および駆動電極により構成され、
第2の検出部は、第2のセンサ層に含まれる受信電極および駆動電極により構成され、
第1のセンサ層の各駆動電極と第2のセンサ層の各駆動電極は、共通の電極により構成されるか、または、第1のセンサ層の各受信電極と第2のセンサ層の各受信電極は、共通の電極により構成されるセンサモジュールである。
【0008】
第2の開示は、
2次元配置された複数の第1の検出部を有する第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を有する第2のセンサ層とを備え、第1のセンサ層が第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
複数の第1の検出部と複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備え、
第1のセンサ層、第2のセンサ層はそれぞれ、複数の受信電極と、複数の駆動電極とを含み、
第1の検出部は、第1のセンサ層に含まれる受信電極および駆動電極により構成され、
第2の検出部は、第2のセンサ層に含まれる受信電極および駆動電極により構成され、
第1のセンサ層の各駆動電極と第2のセンサ層の各駆動電極は、共通の電極により構成されるか、または、第1のセンサ層の各受信電極と第2のセンサ層の各受信電極は、共通の電極により構成されるセンサモジュールである。
【0009】
第3の開示は、第1の開示または第2の開示のセンサモジュールを備える電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、センサの構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、検出層の構成の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、検出層の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、検出部の構成の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、複数の引き回し配線の配置の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、マトリックス状配置された検出部の第1の例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、マトリックス状配置された検出部の第2の例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、圧力中心座標の演算方法の一例を説明するためのグラフである。
【
図10】
図10は、圧力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図11】
図11は、せん断力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図12】
図12は、センサに圧力が作用している状態における第1の検出層および第2の検出層の出力信号分布の一例を示すグラフである。
【
図13】
図10は、センサにせん断力が作用している状態における第1の検出層および第2の検出層の出力信号分布の一例を示すグラフである。
【
図14】
図14は、本開示の第2の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、圧力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図16】
図16は、せん断力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図17】
図17は、本開示の第3の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、圧力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図19】
図19は、せん断力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図20】
図20は、本開示の第4の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図21】
図21は、圧力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図22】
図22は、せん断力検出時のセンサの動作の一例を説明するための断面図である。
【
図23】
図23は、本開示の第5の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図24】
図24Aは、センサの荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
図24Bは、
図24Aの一部(低荷重領域と高荷重領域の境界近傍)を拡大して表すグラフである。
【
図25】
図25Aは、上層となるセンサ層の荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
図25Bは、下層となるセンサ層の荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
【
図26】
図26は、参考例1に係るセンサの構成を示す断面図である。
【
図27】
図27は、本開示の第6の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、本開示の第7の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、上層のセンサ層に含まれる複数の検出部と、下層のセンサ層に含まれる複数の検出部との位置関係を示す平面図である。
【
図30】
図30Aは、上層のセンサ層の荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
図30Bは、下層のセンサ層の荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
【
図32】
図32Aは、上層のセンサ層に含まれる複数の検出部の模式図である。
図32Bは、下層のセンサ層に含まれる複数の検出部の模式図である。
【
図33】
図33は、上層のセンサ層と下層のセンサ層を重ね合わせた状態を示す模式図である。
【
図34】
図34は、本開示の第8の実施形態に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図35】
図35は、変形例に係るセンサの構成の一例を示す断面図である。
【
図36】
図36は、応用例に係るロボットハンドの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1 第1の実施形態(センサおよびそれを備える電子機器の例)
2 第2の実施形態(センサの例)
3 第3の実施形態(センサの例)
4 第4の実施形態(センサの例)
5 第5の実施形態(センサの例)
6 第6の実施形態(センサの例)
7 第7の実施形態(センサの例)
8 変形例
9 応用例
【0012】
<1 第1の実施形態>
[電子機器の構成]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る電子機器10の構成の一例を示すブロック図である。電子機器10は、センサモジュール11と、電子機器10の本体であるホスト機器12とを備える。ホスト機器12は、メインCPU(Central Processing Unit)(以下単に「CPU」という。)12Aと、筐体等の外装材(図示せず)とを備え、この外装材の表面に作用する3軸力をセンサモジュール11により検出し、検出結果に応じて動作する。
【0013】
(センサモジュール)
センサモジュール11は、センサ20と、センサボード13とを備える。センサ20は、圧力およびせん断力を検出可能な3軸力覚センサ(複合センサ)である。センサ20は、センサ層(第1のセンサ層)20Aと、センサ層(第2のセンサ層)20Bとを備える。センサボード13上には、制御部としてのセンサIC(以下単に「IC」という。)13Aと、コネクタ14Aと、コネクタ14Bとが備えられている。
【0014】
センサ層20A、20Bはそれぞれ、接続部21A1、21B1を有する。接続部21A1は、センサ層20Aをセンサボード13のコネクタ14Aに接続する。接続部21B1は、センサ層20Bをセンサボード13のコネクタ14Bに接続する。センサ層20A、20Bは、センサ20の表面に作用する圧力を静電容量分布として検出可能に構成されている。
【0015】
センサ20は、電子機器10の外装材の表面に設けられている。外装材が表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。センサ20は、センサ20の表面とこの表面に接触した物体との間に作用する3軸力を面分布で検出可能に構成されている。センサ20は、センサ20に作用する圧力およびせん断力を静電容量分布として検出し、検出結果をIC13Aに出力する。
【0016】
IC13Aは、センサ20を制御し、センサ20に作用する圧力およびせん断力に応じた静電容量分布を取得し、その取得結果をホスト機器12のCPU12Aに出力する。CPU12Aは、IC13Aからの出力信号(静電容量分布)に基づき、センサ20に加わる3軸力を演算し、その演算結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。
【0017】
[センサの構成]
図2は、センサ20の構成の一例を示す断面図である。センサ20は、3軸力分布を検出可能な静電容量式のセンサであり、センサ20の表面に作用する圧力およびセンサ20の面内方向のせん断力を検出する。センサ20は、フィルム状を有する。本開示においては、フィルムには、シートも含まれるものと定義する。センサ20は、フィルム状を有するため、平面のみならず、曲面にも適用可能である。本明細書において、平坦な状態のセンサ20の表面の面内において互いに直交する軸をそれぞれX軸およびY軸といい、平坦な状態のセンサ20の表面に垂直な軸をZ軸という。
【0018】
センサ20の両面のうち導電層23A側の第1の面が、圧力およびせん断力を検出するセンシング面20Sであり、センシング面20Sとは反対側の第2の面が、筐体等の外装材に貼り合わされる裏面である。
【0019】
センサ20は、センサ層(第1のセンサ層)20Aと、センサ層(第2のセンサ層)20Bと、離隔層24とを備える。センサ層20Aは、センサ層20B上に設けられている。センサ層20Aとセンサ層20Bの間には、離隔層24が設けられている。センサ層20Aとセンサ層20Bは、離隔層24により平行に保持されている。センサ層20Aおよびセンサ層20Bは、静電容量方式、より具体的には相互容量方式のセンサ層である。センサ層20Aおよびセンサ層20Bは、センシング面20Sに作用する圧力分布を検出可能な圧力分布センサ層である。
【0020】
センサ層20Aは、検出層(第1の検出層)21Aと、変形層(第1の変形層)22Aと、導電層(第1の導電層)23Aとを備える。検出層21Aは、第1の面21AS1と、第1の面21AS1とは反対側の第2の面21AS2とを有する。導電層23Aは、検出層21Aの第1の面21AS1と対向して設けられている。変形層22Aは、検出層21Aと導電層23Aの間に設けられている。検出層21Aと導電層23Aは、変形層22Aにより平行に保持されている。
【0021】
センサ層20Bは、検出層(第2の検出層)21Bと、変形層(第2の変形層)22Bと、導電層(第2の導電層)23Bとを備える。検出層21Bは、検出層21Aの第2の面21AS2と対向する第1の面21BS1と、第1の面21BS1とは反対側の第2の面21BS2とを有する。導電層23Bは、検出層21Bの第2の面21BS2と対向して設けられている。変形層22Bは、検出層21Bと導電層23Bの間に設けられている。検出層21Bと導電層23Bは、変形層22Bにより平行に保持されている。
【0022】
センサ20の各層の間には、図示しない接着層が備えられ、各層が貼り合わされている。但し、隣接する2層のうちの少なくとも一方が接着性を有する場合には、接着層はなくてもよい。
【0023】
(検出層)
検出層21Aは、可撓性を有する。検出層21Aは、センシング面20Sに圧力が作用するとセンサ層20Bに向けて撓む。検出層21Aは、複数の検出部(第1の検出部)SE21を含む。検出部SE21は、センシング面20Sに作用する圧力を検出し、検出結果をIC13Aに出力する。具体的には、検出部SE21は、検出部SE21と導電層23Aの距離に対応した静電容量を検出し、検出結果をIC13Aに出力する。
【0024】
検出層21Bは、可撓性を有する。検出層21Bは、センシング面20Sに圧力が作用すると導電層23Bに向けて撓む。検出層21Bは、複数の検出部(第2の検出部)SE22を含む。検出部SE22は、センシング面20Sに作用する圧力を検出し、検出結果をIC13Aに出力する。具体的には、検出部SE22は、検出部SE22と導電層23Bの距離に対応した静電容量を検出し、検出結果をIC13Aに出力する。
【0025】
検出層21Aに含まれる複数の検出部SE21の配置ピッチP1と、検出層21Bに含まれる複数の検出部SE22の配置ピッチP2とは同一である。せん断力が加えられていない初期状態において、検出部SE22は、検出部SE21に対向する位置に設けられている。すなわち、せん断力が加えられていない初期状態において、検出部SE22と検出部SE22は、センサ20の厚さ方向に重なっている。但し、せん断力が加えられていない初期状態において、検出部SE22が、検出部SE21に対向する位置に設けられていない構成とすることも可能である。
【0026】
検出層21Bは検出層21Aと同様の構成を有するため、以下では、検出層21Aの構成についてのみ説明する。
【0027】
図3は、検出層21Aの構成の一例を示す平面図である。複数の検出部SE21は、マトリックス状に配置されている。
図3では、マトリックス状配列の行方向がX軸方向なり、列方向がY軸方向となる例が示されている。但し、複数の検出部SE21の配置形態は、マトリックス状配置に限定されるものではなく、マトリックス状配置以外の2次元配置であってもよい。検出部SE21は、例えば正方形状を有する。但し、検出部SE21の形状は特に限定されるものではなく、円形状、楕円形状、正方形状以外の多角形状等であってもよい。
【0028】
なお、
図3中、座標X1~X10は、X軸方向における各検出部SE21の中心位置を示し、座標Y1~Y10は、Y軸方向における各検出部SE21の中心位置を示す。
【0029】
検出層21Aの周縁の一部からフィルム状の接続部21A1が延設されている。接続部21A1の先端には、センサボード13のコネクタ14Aと接続するための接続端子21A2が設けられている。
【0030】
検出層21Aと接続部21A1とは1つのフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:FPC)により一体的に構成されていることが好ましい。このように検出層21Aと接続部21A1とが一体的に構成されていることで、センサ20の部品点数を減らすことができる。また、センサ20とセンサボード13との接続の衝撃耐久性を向上することができる。
【0031】
図4は、検出層21Aの構成の一例を示す断面図である。検出層21Aは、基材31と、複数の検出部SE21と、複数の引き回し配線32と、複数の引き回し配線33と、カバーレイフィルム34Aと、カバーレイフィルム34Bと、接着層35Aと、接着層35Bとを備える。
【0032】
基材31は、第1の面31S1と、この第1の面31S1とは反対側の第2の面31S2とを有する。複数の検出部SE21および複数の引き回し配線32は、基材31の第1の面31S1に設けられている。複数の引き回し配線33は、基材の第2の面31S2に設けられている。カバーレイフィルム34Aは、複数の検出部SE21および複数の引き回し配線32が設けられた基材31の第1の面31S1に接着層35Aにより貼り合わされている。カバーレイフィルム34Bは、複数の引き回し配線33が設けられた基材31の第2の面31S2に接着層35Bにより貼り合わされている。
【0033】
基材31は、可撓性を有する。基材31は、フィルム状を有する。基材31は、高分子樹脂を含む。高分子樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)またはノルボルネン系熱可塑性樹脂等が挙げられるが、これらの高分子樹脂に限定されるものではない。
【0034】
図5は、検出部SE21の構成の一例を示す平面図である。検出部SE21は、第1の電極としての受信電極(センス電極)36と第2の電極としての駆動電極(パルス電極)37により構成されている。受信電極36と駆動電極37は、容量結合を形成可能に構成されている。より具体的には、受信電極36および駆動電極37は、櫛歯状を有し、互いの櫛歯状の部分を噛み合わせるようにして配置されている。
【0035】
X軸方向に隣接する受信電極36同士は、接続線36Aにより接続されている。各駆動電極37には引き出し配線37Aが設けられ、この引き出し配線37Aの先端は、スルーホール37Bを介して引き回し配線33に接続されている。引き回し配線33は、Y軸方向に隣接する駆動電極37同士を接続している。
【0036】
図6は、複数の引き回し配線32および複数の引き回し配線38の配置の一例を示す平面図である。複数の接続線36Aにより接続された複数の受信電極36のうち、X軸方向の一端に位置する受信電極36から引き回し配線32が引き出されている。複数の引き回し配線32は、基材31の第1の面31S1の周縁部に引き回されて、接続部21A1を通って接続端子21A2に接続されている。
【0037】
検出層21Aは、複数の引き回し配線38をさらに備える。引き回し配線38は、引き回し配線33により接続された複数の駆動電極37のうち、Y軸方向の一端に位置する駆動電極37から引き出された引き出し配線37Aに接続されている。複数の引き回し配線38は、複数の引き回し配線32と共に、基材31の第1の面31S1の周縁部に引き回されて、接続部21A1を通って接続端子21A2に接続されている。
【0038】
検出層21Aは、グランド電極39Aとグランド電極39Bとをさらに備える。グランド電極39Aとグランド電極39Bは、基準電位に接続されている。グランド電極39Aおよびグランド電極39Bは、複数の引き回し配線32と並行に延設されている。グランド電極39Aおよびグランド電極39Bの間に、複数の引き回し配線32は設けられている。このように複数の引き回し配線32がグランド電極39Aおよびグランド電極39Bの間に設けられていることで、外部ノイズ(外部電場)が複数の引き回し配線32に入り込むことを抑制することができる。したがって、外部ノイズによるセンサ20の検出精度の低下または誤検出を抑制することができる。
【0039】
(離隔層)
離隔層24は、センサ層20Aとセンサ層20Bの間を離隔する。これにより、センサ層20Aとセンサ層20Bの間での電磁的干渉を抑制することができる。離隔層24は、センシング面20Sの面内方向(すなわちセンサ20の面内方向)に作用するせん断力により、センシング面20Sの面内方向に弾性変形可能に構成されている。
【0040】
離隔層24は、ゲルを含むことが好ましい。離隔層24がゲルを含むことで、センシング面20Sに作用する圧力では潰れにくく、センシング面20Sの面内方向に作用するせん断力では弾性変形しやすくなり、離隔層24として望ましい特性が得られる。ゲルは、例えば、シリコーンゲル、ウレタンゲル、アクリルゲルおよびスチレンゲルからなる群より選択される少なくとも1種の高分子ゲルである。離隔層24は、図示しない基材により支持されていてもよい。
【0041】
離隔層24の25%CLD(Compression-Load-Deflection)値が、変形層22Aの25%CLD値の10倍以上、好ましくは変形層22Aの25%CLD値の30倍以上、より好ましくは変形層22Aの25%CLD値の50倍以上である。離隔層24の25%CLD値が変形層22Aの25%CLD値の10倍以上であると、センシング面20Sに圧力が作用したとき、変形層22Aが離隔層24に比べて十分に潰れやすくなるため、検出部SE21の検出感度を向上することができる。
【0042】
離隔層24の25%CLD値が、変形層22Bの25%CLD値の10倍以上、好ましくは変形層22Bの25%CLD値の30倍以上、より好ましくは変形層22Bの25%CLD値の50倍以上である。離隔層24の25%CLD値が変形層22Bの25%CLD値の10倍以上であると、センシング面20Sに圧力が作用したときに、変形層22Bが離隔層24に比べて十分に潰れやすくなるため、検出部SE22の検出感度を向上することができる。
【0043】
離隔層24の25%CLD値は、500kPa以下であることが好ましい。離隔層24の25%CLD値が500kPaを超えると、センシング面20Sの面内方向(すなわちセンサ20の面内方向)に作用するせん断力により、センシング面20Sの面内方向に弾性変形し難くなる虞がある。したがって、センサ20の面内方向のせん断力の検出感度が低下する虞がある。
【0044】
離隔層24、変形層22Aおよび変形層22Bの25%CLD値は、JIS K 6254に準拠して測定される。
【0045】
(導電層)
導電層23Aは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有する。導電層23Aは、センシング面20Sに対して圧力が作用すると、検出層21Aに向けて撓む。導電層23Bは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有していてもよいし、有していなくてもよいが、センサ20を曲面に装着可能とするためには、可撓性を有することが好ましい。
【0046】
導電層23Aの弾性率は、10MPa以下であることが好ましい。導電層23Aの弾性率が10MPa以下であると、導電層23Aの可撓性が向上し、センシング面20Sに圧力が作用したときに、検出層21Bまで圧力が伝わりやすくなり、検出層21Bが変形しやすくなる。したがって、検出部SE22の検出感度を向上することができる。上記弾性率は、JIS K 7161に準拠して測定される。
【0047】
導電層23Aおよび導電層23Bは、いわゆる接地電極であり、基準電位に接続されている。導電層23Aおよび導電層23Bの形状としては、例えば、薄膜状、箔状またはメッシュ状等が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。導電層23A、導電層23Bはそれぞれ、図示しない基材により支持されていてもよい。
【0048】
導電層23A、23Bは、電気的導電性を有するものであればよく、例えば、無機系導電材料を含む無機導電層、有機系導電材料を含む有機導電層、または無機系導電材料および有機系導電材料の両方を含む有機-無機導電層等である。無機系導電材料および有機系導電材料は、粒子であってもよい。導電層23A、23Bは、導電布であってもよい。
【0049】
無機系導電材料としては、例えば、金属または金属酸化物等が挙げられる。ここで、金属には、半金属が含まれるものと定義する。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛等の金属、またはこれらの金属を2種以上含む合金等が挙げられるが、これらの金属に限定されるものではない。合金の具体例としては、ステンレス鋼が挙げられるが、これに限定されるものではない。金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛-酸化錫系、酸化インジウム-酸化錫系、または酸化亜鉛-酸化インジウム-酸化マグネシウム系等が挙げられるが、これらの金属酸化物に限定されるものではない。
【0050】
有機系導電材料としては、例えば、炭素材料、または導電性ポリマー等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、またはナノホーン等が挙げられるが、これらの炭素材料に限定されるものではない。導電性ポリマーとしては、例えば、置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、またはポリチオフェン等を用いることができるが、これらの導電性ポリマーに限定されるものではない。
【0051】
導電層23A、23Bは、ドライプロセスおよびウエットプロセスのいずれで作製された薄膜であってもよい。ドライプロセスとしては、例えば、スパッタリング法、蒸着法等を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0052】
導電層23A、23Bがセンサ20の両面に設けられていることで、外部ノイズ(外部電場)がセンサ20の両主面側からセンサ20内に入り込むことを抑制することができる。したがって、外部ノイズによるセンサ20の検出精度の低下または誤検出を抑制することができる。
【0053】
(変形層)
変形層22Aは、検出層21Aと導電層23Aが平行になるように、検出層21Aと導電層23Aを離隔する。変形層22Aの厚みにより、検出部SE21の感度とダイナミックレンジを調整することができる。変形層22Aは、センシング面20Sに作用する圧力、すなわちセンサ20の厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形可能に構成されている。変形層22Aは、図示しない基材により支持されていてもよい。
【0054】
変形層22Bは、検出層21Bと導電層23Bが平行になるように、検出層21Bと導電層23Bを離隔する。変形層22Bの厚みにより、検出部SE22の感度とダイナミックレンジを調整することができる。変形層22Bは、センシング面20Sに作用する圧力、すなわちセンサ20の厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形可能に構成されている。変形層22Bは、図示しない基材により支持されていてもよい。
【0055】
変形層22Aと変形層22Bの25%CLD値は、同一またはほぼ同一であってもよい。変形層22A、22Bは、例えば、発泡樹脂または絶縁性エラストマ等を含む。発泡樹脂は、いわゆるスポンジであり、例えば、発泡ポリウレタン(ポリウレタンフォーム)、発泡ポリエチレン(ポリエチレンフォーム)、発泡ポリオレフィン(ポリオレフィンフォーム)、発泡アクリル(アクリルフォーム)およびスポンジゴム等のうちの少なくとも1種である。絶縁性エラストマは、例えば、シリコーン系エラストマ、アクリル系エラストマ、ウレタン系エラストマおよびスチレン系エラストマ等のうちの少なくとも1種である。
【0056】
(接着層)
接着層は、絶縁性を有する接着剤または両面接着フィルムにより構成される。接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤およびウレタン系接着剤のうちの少なくとも1種を用いることができる。なお、本開示においては、粘着(pressure sensitive adhesion)は接着(adhesion)の一種と定義する。この定義に従えば、粘着層は接着層の一種と見なされる。
【0057】
(IC)
IC13Aは、検出層21Aに含まれる複数の検出部SE21を順次走査し、複数の検出部SE21から第1の出力信号分布、すなわち第1の静電容量分布を取得し、CPU12Aに出力する。また、IC13Aは、検出層21Bに含まれる複数の検出部SE22を順次走査し、複数の検出部SE22から第2の出力信号分布、すなわち第2の静電容量分布を取得し、CPU12Aに出力する。検出層21Aに含まれる複数の検出部SE21が順次走査された後に、検出層21Bに含まれる複数の検出部SE22が順次走査されてもよいし、検出層21Bに含まれる複数の検出部SE22が順次走査されたのちに、検出層21Aに含まれる複数の検出部SE21が順次走査されてもよい。
【0058】
図7は、IC13Aの動作の第1の例を説明するための平面図である。
図7に示される検出層110は、IC13Aの動作を説明するための仮想上のものであって、センサ20が実際に有する検出層21A、21Bとは異なっている。
【0059】
検出層110は、複数の検出部SEを含む。検出層110は、圧力分布を検出する検出領域Rを有する。複数の検出部SEは、検出領域R内にマトリックス状配置されている。但し、複数の検出部SEの配置形態は、マトリックス状配置に限定されるものではなく、マトリックス状配置以外の2次元配置であってもよい。検出層110は、第1の検出領域R1と第2の検出領域R2とを有する。検出層110の第1の検出領域R1は、検出層21Aの検出領域に対応し、検出層110の第2の検出領域R2は、検出層21Bの検出領域に対応する。
【0060】
検出層110は、複数の受信電極111と、複数の駆動電極112とを備える。複数の受信電極111は、X方向に延設され、ストライプ状に配置されている。複数の駆動電極112は、Y方向に延設され、ストライプ状に配置されている。受信電極111と駆動電極112の各交差部に検出部SEが構成されている。検出層110の受信電極111は、検出層21Aおよび検出層21Bの受信電極36に対応する。検出層110の駆動電極112は、検出層21Aおよび検出層21Bの駆動電極37に対応する。
【0061】
IC13Aは、上述のようにマトリックス状配置された複数の検出部SEを順次走査し、複数の検出部SEから出力信号分布、すなわち静電容量分布を取得することが可能に構成されている。したがって、IC13Aとしては、静電容量式のタッチセンサ等で使用されている既存のセンサICを用いることができる。
【0062】
IC13Aは、マトリックス状配置された複数の検出部SEのうち第1の検出領域R1に含まれる一群の検出部SEとして、複数の検出部SE21を走査し、複数の検出部SE21から第1の出力信号分布、すなわち第1の静電容量分布を取得し、CPU12Aに出力する。また、IC13Aは、マトリックス状配置された複数の検出部SEのうち第2の検出領域R2に含まれる一群の検出部として、複数の検出部SE22を走査し、複数の検出部SE22から第2の出力信号分布、すなわち第2の静電容量分布を取得し、CPU12Aに出力する。
【0063】
第1の検出領域R1と第2の検出領域R2は、仮想的な検出層110においてマトリックス状配列の対角方向に配置されている。したがって、第1の検出領域R1に含まれる検出部SE、および第2の検出領域R2に含まれる検出部SEは、互いに異なる受信電極111および駆動電極112により構成され、受信電極111および駆動電極112を共用していない。すなわち、検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22は、互いに異なる受信電極36および駆動電極37により構成され、受信電極36および駆動電極37を共用していない。ここで、マトリックス状配列の対角方向とは、マトリックス状配列おける或る角から、それとは反対側の角に向かう方向である。
【0064】
検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22が、受信電極36および駆動電極37を共用していないことで、各検出部SE21、SE22間のクロストークを抑制することができるので、検出精度(SNR)を向上することができる。
【0065】
図8は、IC13Aの動作の第2の例を説明するための平面図である。第1の検出領域R1と第2の検出領域R2は、マトリックス状配列の行方向または列方向に配置されていてもよい。したがって、第1の検出領域R1に含まれる検出部SE、および第2の検出領域R2に含まれる検出部SEは、受信電極111または駆動電極112を共用している。すなわち、検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22は、受信電極36または駆動電極37を共用している。
【0066】
図8では、第1の検出領域R1と第2の検出領域R2がマトリックス状配列の行方向に配置された例が示されている。すなわち、検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22が、受信電極36を共用している例が示されている。
【0067】
検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22が、受信電極36または駆動電極37を共用していることで、静電容量センサが走査すべき検出部SE21、SE22の数を少なくすることができるので、高速(高スキャンレート)で検出部SE21、SE22を走査することができる。検出精度(SNR)の向上の観点からすると、検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22が、受信電極36を共用するよりも、検出層21Aに含まれる検出部SE21、および検出層21Bに含まれる検出部SE22が、駆動電極37を共用することが好ましい。
【0068】
(CPU)
CPU12Aは、IC13Aからの第1の出力信号(すなわち第1の静電容量分布)に基づき、センサ層20Aに作用する圧力の重心座標を算出すると共に、IC13Aからの第2の出力信号(すなわち第2の静電容量分布)に基づき、センサ層20Bに作用する圧力の重心座標を算出する。CPU12Aは、センサ層20Aにおける圧力の重心座標とセンサ層20Bにおける圧力の重心座標の差分から、せん断力の大きさと方向を算出し、その算出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。
【0069】
図9は、X軸方向における圧力中心座標の演算方法の一例を説明するためのグラフである。CPU12Aは、以下の式により、X軸方向における圧力重心座標XGを演算する。
XG=(X1×D1+X2×D2+X3×D3+・・・+X10×D10)/(D1+D2+D3+・・・+D10)
(但し、式中、X1~X10は、X軸方向における各検出部SE21の中心位置を示す。また、D1~D10は、X軸方向における上記各検出部SE21における出力信号値を示す。)
【0070】
また、CPU12Aは、以下の式により、Y軸方向における圧力重心座標YGを演算する。
YG=(Y1×D1+Y2×D2+Y3×D3+・・・+Y10×D10)/(D1+D2+D3+・・・+D10)
(但し、式中、Y1~Y10は、Y軸方向における各検出部SE21の中心位置を示す。また、D1~D10は、Y軸方向における上記各検出部SE21における出力信号値を示す。)
【0071】
[センサの動作]
(圧力検出時のセンサの動作)
図10は、圧力検出時のセンサ20の動作の一例について説明するための断面図である。物体41によりセンシング面20Sが押され、センシング面20Sに圧力が作用すると、導電層23Aが、圧力の作用箇所を中心として検出層21Aに向けて撓み、変形層22Aの一部を押し潰す。これにより、導電層23Aと検出層21Aの一部が接近する。その結果、検出層21Aのうち、導電層23Aに接近した部分に含まれる複数の検出部SE21の電気力線の一部(すなわち受信電極36と駆動電極37の間の電気力線の一部)が導電層23Aに流れて、複数の検出部SE21の静電容量が変化する。
【0072】
また、上述のようにして押し潰された変形層22Aの一部により、検出層21Aの第1の面21AS1に圧力が作用し、検出層21A、離隔層24および検出層21Bが、圧力の作用箇所を中心として導電層23Bに向けて撓む。これにより、検出層21Bと導電層23Bの一部が接近する。その結果、検出層21Bのうち、導電層23Bに接近した部分に含まれる複数の検出部SE22の電気力線の一部(すなわち受信電極36と駆動電極37の間の電気力線の一部)が導電層23Bに流れて、複数の検出部SE22の静電容量が変化する。
【0073】
IC13Aは、検出層21Aに含まれる複数の検出部SE21および検出層21Bに含まれる複数の検出部SE22を順次走査し、複数の検出部SE21および複数の検出部SE22から出力信号分布、すなわち静電容量分布を取得する。IC13Aは、取得した出力信号分布をホスト機器12のCPU12Aに出力する。
【0074】
CPU12Aは、IC13Aから受け取った複数の検出部SE21の出力信号分布に基づき、圧力の大きさおよび圧力の作用位置を演算する。複数の検出部SE21の出力信号分布に基づき圧力の大きさおよび圧力の作用位置を演算するのは、検出層21Aの方が検出層21Bに比べてセンシング面20Sに近く、検出感度が高いためである。但し、CPU12Aが、IC13Aから受け取った複数の検出部SE22の出力信号分布に基づき、圧力の大きさおよび圧力の作用位置を演算するようにしてもよいし、複数の検出部SE21および複数の検出部SE22の両方から受け取った出力信号分布に基づき、圧力の大きさおよび圧力の作用位置を演算するようにしてもよい。
【0075】
(せん断力検出時のセンサの動作)
図11は、せん断力検出時のセンサ20の動作の一例について説明するための断面図である。物体41がセンシング面20Sの面内方向に移動し、センサ20にせん断力が作用すると、センサ20の面内方向に離隔層24が弾性変形し、センサ20の面内方向(X、Y方向)における検出層21Aと検出層21Bの相対位置がずれる。すなわち、センサ20の面内方向における検出部SE21と検出部SE22の相対位置がずれる。これにより、検出層21Aの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置と、検出層21Bの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置とが、センサ20の面内方向(X、Y方向)にずれる。
【0076】
図12は、センサ20に圧力が作用している状態における検出層21Aの出力信号分布DB1および検出層21Bの出力信号分布DB2の一例を示すグラフである。出力信号分布DB1および出力信号分布DB2は、静電容量分布(圧力分布)に対応する。センサ20に圧力のみが作用している状態では、検出層21Aの出力信号分布DB1および検出層21Bの出力信号分布DB2の重心位置は一致している。
【0077】
図13は、センサ20にせん断力が作用している状態における検出層21Aの出力信号分布DB1および検出層21Bの出力信号分布DB2の一例を示すグラフである。センサ20にせん断力が作用している状態では、検出層21Aの出力信号分布DB1および検出層21Bの出力信号分布DB2の重心位置がずれる。
【0078】
CPU12Aは、センサモジュール11から出力された検出層21Aの出力信号分布および検出層21Bの出力信号分布に基づき、3軸力を算出する。より具体的には、CPU12Aは、検出層21Aの出力信号分布DB1から、検出層21Aにおける圧力の重心位置を計算すると共に、検出層21Bの出力信号分布DB2から、検出層21Bにおける圧力の重心位置を算出する。CPU12Aは、検出層21Aにおける圧力の重心位置と検出層21Bにおける圧力の重心位置の差分から、せん断力の大きさと方向を算出する。
【0079】
[効果]
上述したように第1の実施形態に係るセンサ20では、1つのIC13Aが、センサ層(第1のセンサ層)20Aに含まれる複数の検出部21、およびセンサ層(第2のセンサ層)20Bに含まれる複数の検出部22を順次走査するので、センサ20の構成の複雑化を抑えることができる。
【0080】
また、第1の実施形態に係るセンサ20は、センサ層20Aとセンサ層20Bが、離隔層24を間に挟んで積層された構成を有しているため、全体として比較的単純かつ省スペースな構成で3軸力の分布を検出することができる。
【0081】
また、第1の実施形態に係るセンサ20では、CPU12Aは、1つのIC13Aからの出力信号に基づき、せん断力を演算することができるので、演算遅延による検出速度の低下を抑制することができる。一方、先行文献1に記載の発明では、CPUは、別々のセンサICからの出力結果を統合してせん断力を演算する必要があるため、演算遅延により検出速度が低下する。
【0082】
また、IC13Aは、マトリックス状配置された複数の検出部SEを走査し、複数の検出部SEから出力信号分布、すなわち静電容量分布を取得することが可能に構成されている(
図7、
図8参照)。したがって、IC13Aとしては、静電容量式のタッチセンサ等で使用されている既存のセンサICを用いることができる。
【0083】
<2 第2の実施形態>
[センサの構成]
図14は、本開示の第2の実施形態に係るセンサ40の構成の一例を示す断面図である。センサ40は、離隔層24(
図2参照)に代えて、積層構造の離隔層25を備える点において、第1の実施形態に係るセンサ20とは異なっている。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
(離隔層)
離隔層25は、離隔層(第1の離隔層)25Aと、離隔層(第2の離隔層)25Bと、導電層(第3の導電層)25Cとを備える。導電層25Cは、離隔層25Aと離隔層25Bの間に設けられている。離隔層25Aは、センサ層20Aと導電層25Cの間に設けられ、センサ層20Aと導電層25Cを離隔する。離隔層25Bは、センサ層20Bと導電層25Cの間に設けられ、センサ層20Bと導電層25Cを離隔する。離隔層25Aおよび離隔層25Bは、センシング面20Sの面内方向(すなわちセンサ20の面内方向)に作用するせん断力により、センシング面20Sの面内方向に弾性変形可能に構成されている。
【0085】
離隔層25Aおよび離隔層25Bの材料は、第1の実施形態における離隔層24と同様である。
【0086】
離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値が、変形層22Aの25%CLD値の10倍以上、好ましくは変形層22Aの25%CLD値の30倍以上、より好ましくは変形層22Aの25%CLD値の50倍以上である。離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値が変形層22Aの25%CLD値の10倍以上であると、検出部SE21の検出感度を向上することができる。
【0087】
離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値が、変形層22Bの25%CLD値の10倍以上、好ましくは変形層22Bの25%CLD値の30倍以上、より好ましくは変形層22Bの25%CLD値の50倍以上である。離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値が変形層22Bの25%CLD値の10倍以上であると、検出部SE22の検出感度を向上することができる。
【0088】
離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値は、500kPa以下であることが好ましい。離隔層25A、離隔層25Bそれぞれの25%CLD値が500kPaを超えると、センシング面20Sの面内方向(すなわちセンサ40の面内方向)に作用するせん断力により、センシング面20Sの面内方向に弾性変形し難くなる虞がある。したがって、センサ40の面内方向のせん断力の検出感度が低下する虞がある。
【0089】
離隔層25Aおよび離隔層25Bの25%CLD値は、JIS K 6254に準拠して測定される。
【0090】
(導電層)
導電層25Cは、上述のように離隔層25Aと離隔層25Bの間に設けられ、センサ層20Aとセンサ層20Bの間での電磁的干渉を抑制する。導電層25Cは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有する。導電層25Cは、センシング面20Sに対して圧力が作用すると、センサ層20Bに向けて撓む。導電層25Cの形状および材料は、第1の実施形態における導電層23Aと同様である。
【0091】
[センサの動作]
(圧力検出時のセンサの動作)
図15は、圧力検出時のセンサ40の動作の一例について説明するための断面図である。圧力検出時のセンサ40の動作は、以下の点以外は、第1の実施形態における圧力検出時のセンサ20の動作と同様である。物体41によりセンシング面20Sが押され、押し潰された変形層22Aの一部により検出層21Aの第1の面21AS1に圧力が作用すると、検出層21A、離隔層25および検出層21Bが、圧力の作用箇所を中心として導電層23Bに向けて撓む。
【0092】
(せん断力検出時のセンサの動作)
図16は、せん断力検出時のセンサ40の動作の一例について説明するための断面図である。せん断力検出時のセンサ40の動作は、以下の点以外は、第1の実施形態における圧力検出時のセンサ40の動作と同様である。センサ40にせん断力が作用すると、センサ40の面内方向に離隔層25Aおよび離隔層25Bが弾性変形し、センサ40の面内方向における検出層21Aと検出層21Bの相対位置がずれる。
【0093】
[効果]
第2の実施形態に係るセンサ40は、検出層21Aと検出層21Bの間に導電層25Cをさらに備えている。これにより、検出層21Aと検出層21Bの間での電磁的干渉をさらに抑制することができる。したがって、センサ40では、第1の実施形態に係るセンサ20よりも検出精度の低下または誤検出を抑制することができる。
【0094】
<3 第3の実施形態>
[センサの構成]
図17は、本開示の第3の実施形態に係るセンサ50の構成の一例を示す断面図である。センサ50は、センサ層20B(
図2参照)に代えて、センサ層50Bを備える点において、第1の実施形態に係るセンサ20とは異なっている。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
センサ層50Bは、検出層(第2の検出層)21Bと、変形層(第2の変形層)51Bと、導電層(第2の導電層)52Bと、離隔層53Bと、導電層(第3の導電層)54Bとを備える。導電層52Bは、検出層21Bの第2の面21BS2と対向して設けられている。変形層51Bは、検出層21Bと導電層52Bの間に設けられている。検出層21Bと導電層52Bは、変形層51Bにより平行に保持されている。導電層54Bは、検出層21Bの第2の面21BS2と対向して設けられている。離隔層53Bは、検出層21Bと導電層54Bの間に設けられている。検出層21Bと導電層54Bは、離隔層53Bにより平行に保持されている。
【0096】
(導電層)
導電層52Bは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有する。導電層54Bは、センシング面20Sに対して圧力が作用すると、検出層21Bに向けて撓む。導電層52Bは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有していてもよいし、有していなくてもよいが、センサ50を曲面に装着可能とするためには、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0097】
導電層52B、導電層54Bは、いわゆる接地電極であり、基準電位に接続されている。導電層52Bおよび導電層54Bの形状および材料は、第1の実施形態における導電層23Aと同様である。
【0098】
(変形層)
変形層51Bは、絶縁性を有する。変形層51Bは、検出層21Bと導電層52Bが平行になるように、検出層21Bと導電層52Bを離隔する。変形層51Bの厚みにより、検出層21Bの感度とダイナミックレンジを調整することができる。変形層51Bは、センシング面20Sに作用する圧力、すなわち、すなわちセンサ50の厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形可能に構成されている。変形層51Bの材料は、第1の実施形態における変形層22Aと同様である。
【0099】
(離隔層)
離隔層53Bは、絶縁性を有する。離隔層53Bは、検出層21Bと導電層54Bの間を離隔する。離隔層53Bの厚みによりセンサ層50Bの初期の静電容量が調整される。離隔層53Bが、センシング面20Sに作用する圧力により弾性変形可能に構成されていてもよいし、弾性変形可能に構成されていなくてもよい。離隔層53Bが弾性変形可能に構成されている場合には、センサ層50Bにおける圧力の検出感度をさらに向上することができる。弾性変形可能に構成された離隔層53Bは、発泡樹脂または絶縁性エラストマ等を含んでいてもよい。
【0100】
離隔層53Bは、接着性を有していてもよいし、接着性を有していなくてもよい。離隔層53Bが接着性を有する場合には、離隔層53Bにより、検出層21Bと導電層54Bが貼り合わされる。接着性を有する離隔層53Bは、例えば、単層の接着層、または基材の両面に接着層が設けられた積層体(例えば両面接着フィルム)により構成される。接着層の材料は、第1の実施形態における接着層と同様である。
【0101】
[センサの動作]
(圧力検出時のセンサの動作)
図18は、圧力検出時のセンサ50の動作の一例について説明するための断面図である。物体41によりセンシング面20Sが押され、センシング面20Sに圧力が作用すると、第1の実施形態に係るセンサ20の動作と同様にして、導電層23Aと検出層21Aとの一部が接近し、複数の検出部SE21の静電容量が変化する。
【0102】
また、上述のようにして押し潰された変形層22Aの一部により、検出層21Aの第1の面21AS1に圧力が作用すると、検出層21A、離隔層24および導電層52Bが、圧力の作用箇所を中心として検出層21Bに向けて撓み、変形層51Bの一部を押し潰す。これにより、導電層52Bと検出層21Bの一部が接近する。その結果、検出層21Bのうち、導電層52Bが接近した部分に含まれる複数の検出部SE22の電気力線の一部(すなわち受信電極36と駆動電極37の間の電気力線の一部)が導電層52Bに流れて、検出部SE22の静電容量が変化する。
【0103】
(せん断力検出時のセンサの動作)
図19は、せん断力検出時のセンサ50の動作の一例について説明するための断面図である。センサ50にせん断力が作用すると、センサ50の面内方向に離隔層24が弾性変形し、センサ50の面内方向(X、Y方向)における検出部SE21と検出部SE22の相対位置がずれる。これにより、検出層21Aの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置と、検出層21Bの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置とが、センサ50の面内方向(X、Y方向)にずれる。
【0104】
[効果]
第3の実施形態に係るセンサ50は、検出層21B上に変形層51Bを備える。したがって、検出層21Bの下に変形層22Bを備える第1の実施形態に係るセンサ20に比べて圧力およびせん断力の検出感度を向上することができる。
【0105】
<4 第4の実施形態>
[センサの構成]
図20は、本開示の第4の実施形態に係るセンサ60の構成の一例を示す断面図である。センサ60は、センサ層(第1のセンサ層)20Aに代えてセンサ層60Aを備える点において、第3の実施形態に係るセンサ50とは異なっている。なお、第4の実施形態において、第3の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
センサ層60Aは、センサ層50Bと同様の層構成を有している。具体的には、センサ層60Aは、検出層(第1の検出層)21Aと、変形層(第1の変形層)22Aと、導電層(第1の導電層)23Aと、離隔層61Aと、導電層(第2の導電層)62Aとを備える。導電層62Aは、検出層21Aの第2の面21BS2と対向して設けられている。離隔層61Aは、検出層21Aと導電層62Aの間に設けられている。検出層21Aと導電層62Aは、離隔層61Aにより平行に保持されている。
【0107】
(導電層)
導電層62Aは、可撓性および伸縮性の少なくとも一方を有する。導電層62Aは、センシング面20Sに対して圧力が作用すると、センサ層50Bに向けて撓む。
【0108】
導電層62Aは、いわゆる接地電極であり、基準電位に接続されている。導電層62Aの形状および材料は、第1の実施形態における導電層23Aの形状および材料と同様である。
【0109】
(離隔層)
離隔層61Aは、絶縁性を有する。離隔層61Aは、検出層21Aと導電層62Aの間を離隔する。離隔層61Aの厚みによりセンサ層60Aの初期の静電容量が調整される。離隔層61Aが、センシング面20Sに作用する圧力により弾性変形可能に構成されていてもよいし、弾性変形可能に構成されていなくてもよい。離隔層61Aが弾性変形可能に構成されている場合には、センサ層60Aにおける圧力の検出感度をさらに向上することができる。弾性変形可能に構成された離隔層61Aは、発泡樹脂または絶縁性エラストマ等を含んでいてもよい。
【0110】
離隔層61Aは、接着性を有していてもよいし、接着性を有していなくてもよい。離隔層61Aが接着性を有する場合には、離隔層61Aにより、検出層21Aと導電層62Aが貼り合わされる。接着性を有する離隔層61Aは、例えば、単層の接着層、または基材の両面に接着層が設けられた積層体(例えば両面接着フィルム)により構成される。接着層の材料は、第1の実施形態における接着層と同様である。
【0111】
[センサの動作]
(圧力検出時のセンサの動作)
図21は、圧力検出時のセンサ60の動作の一例について説明するための断面図である。ここでは、離隔層61A、53Bが、センシング面20Sに作用する圧力により弾性変形可能に構成されている場合について、圧力検出時のセンサ60の動作の一例について説明する。
【0112】
また、物体41によりセンシング面20Sが押され、センシング面20Sに圧力が作用すると、第1の実施形態におけるセンサ20の動作と同様にして、導電層23Aと検出層21Aの一部が接近する。さらに、導電層23Aにより押し潰された変形層22Aの一部により、検出層21Aの第1の面21AS1に圧力が作用すると、検出層21Aが、圧力の作用箇所を中心として導電層62Aに向けて撓み、離隔層61Aの一部を押し潰す。これにより、検出層21Aと導電層62Aの一部が接近する。
【0113】
上述のように導電層23Aと検出層21Aの一部、および検出層21Aと導電層62Aの一部が接近することで、検出層21Aのうち、導電層23Aおよび導電層62Aに接近した部分に含まれる複数の検出部SE21の電気力線の一部(すなわち受信電極36と駆動電極37の間の電気力線の一部)が導電層23Aおよび導電層62Aに流れて、複数の検出部SE21の静電容量が変化する。
【0114】
上述のようにして押し潰された離隔層61Aの一部により、導電層62Aの第1の面に圧力が作用すると、導電層62A、離隔層24および導電層52Bが、圧力の作用箇所を中心として検出層21Bに向けて撓み、変形層51Bの一部を押し潰す。これにより、導電層52Bと検出層21Bの一部が接近する。また、上述のようにして押し潰された変形層51Bの一部により、検出層21Bの第1の面21BS1に圧力が作用すると、検出層21Bが、圧力の作用箇所を中心として導電層54Bに向けて撓み、離隔層53Bの一部を押し潰す。これにより、検出層21Bと導電層54Bの一部が接近する。
【0115】
上述のように導電層52Bと検出層21Bの一部、および検出層21Bと導電層54Bの一部が接近することで、検出層21Bのうち、導電層52Bおよび導電層54Bに接近した部分に含まれる複数の検出部SE22の電気力線の一部(すなわち受信電極36と駆動電極37の間の電気力線の一部)が導電層52Bおよび導電層54Bに流れて、複数の検出部SE22の静電容量が変化する。
【0116】
(せん断力検出時のセンサの動作)
図22は、せん断力検出時のセンサ60の動作の一例について説明するための断面図である。センサ60にせん断力が作用すると、センサ60の面内方向に離隔層24が弾性変形し、センサ60の面内方向(X、Y方向)における検出部SE21と検出部SE22の相対位置がずれる。これにより、検出層21Aの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置と、検出層21Bの出力信号分布(静電容量分布)の重心位置とが、センサ60の面内方向(X、Y方向)にずれる。
【0117】
[効果]
第4の実施形態に係るセンサ60は、同一の構造を有するセンサ層60Aとセンサ層50Bとの間に離隔層24を挟むことで構成することができる。したがって、第1の実施形態に係るセンサ20と同様に、全体として比較的単純かつ省スペースな構成で3軸力の分布を検出することができる。
【0118】
<5 第5の実施形態>
[センサの構成]
図23は、本開示の第5の実施形態に係るセンサ70の構成の一例を示す断面図である。センサ70は、いわゆる圧力分布センサであり、高感度を有するセンサ層70Aと、低感度を有するセンサ層70Bとを備え、センサ層70Aは、センサ層70B上に設けられている。センサ層70Aの感度は、センサ層70Bの感度に比べて高い。なお、第5の実施形態において、第4の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0119】
センサ層70Aは、導電層62Aを備えていないこと以外は、第4の実施形態におけるセンサ層60A(
図20参照)と同様の構成を有している。センサ層70Bは、第4の実施形態におけるセンサ層50Bと同様の構成を有している。
【0120】
(荷重感度カーブ)
図24Aは、センサ70の荷重感度カーブの一例を示すグラフである。
図24Bは、
図24Aの一部(低荷重領域と高荷重領域の境界近傍)を拡大して表すグラフである。センサ層70Aは、低荷重領域用(第1の荷重領域用)である。センサ層70Bは、高荷重領域用(第2の荷重領域用)である。低荷重領域は、規定の圧力P以下の圧力範囲である。高荷重領域は、規定の圧力Pを超える圧力範囲である。規定の圧力Pは、上層であるセンサ層70Aの荷重感度カーブが飽和し始める境界値に設定される。この境界値は、例えば、変曲点であってもよい。
図24A、
図24Bでは、規定の圧力Pが、100kPaである例が示されている。
【0121】
図25A、
図25Bを参照して、
図24Aに示す荷重感度カーブの導出方法の一例について説明する。
図25Aは、センサ層70Aの荷重感度カーブ(以下「低荷重感度カーブ」という。)の一例を示すグラフである。
図25Bは、センサ層70Bの荷重感度カーブ(以下「高荷重感度カーブ」という。)の一例を示すグラフである。上層であるセンサ層70Aの低荷重感度カーブは、圧力100kPaで飽和し始める。そこで、
図25A、
図25Bでは、この圧力100kPaの出力信号値が100となるように出力信号値を正規化している。この正規化の処理は、CPU12Aにおいて行われる。
【0122】
図24Aに示す荷重感度カーブは、低荷重領域(0kPa以上100kPa以下の荷重領域)における低荷重感度カーブと、高荷重領域(100kPaを超える荷重領域)における高荷重感度カーブとを統合することにより得られる。
【0123】
(CPU)
CPU12Aは、センサ層70Aからの第1の出力信号値およびセンサ層70Bからの第2の出力信号値を上述のように正規化する。CPU12Aは、正規化された第1の出力信号値が規定の出力信号値を超えているか否かを判断する。ここで、規定の出力信号値とは、上記規定の圧力Pに対応する出力信号値を意味する。
図24A、
図24Bでは、出力信号値は、100となる例が示されている。なお、IC13Aが、上記の正規化処理を行ったのちに、正規化した第1の出力信号値および第2の出力信号をCPU12Aに出力するようにしてもよい。
【0124】
正規化された第1の出力信号値が規定の出力信号値を超えていない場合には、CPU12Aは、正規化された第1の出力信号値に基づき、検出層21Aに作用する圧力の重心座標を算出し、その算出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。一方、正規化された第1の出力信号値が規定の出力信号値を超えている場合には、CPU12Aは、正規化された第2の出力信号値に基づき、検出層21Bに作用する圧力の重心座標を算出する。
【0125】
[効果]
図26は、参考例1に係るセンサ71の構成を示す断面図である。センサ71は、圧力分布センサであり、センサ層50B(
図23参照)と同様の構成を有している。センサ71が検出可能な垂直圧力(Z軸方向の圧力)に対するダイナミックレンジを広げるためには、変形層51Bの厚みを厚くするか、または変形層51Bの硬度を高くすることが考えられる。しかしながら、これらのいずれの構成を採用しても、センサ71の感度低下を招く虞がある。
【0126】
これに対して、第5の実施形態に係るセンサ70は、高感度を有するセンサ層70Aと、低感度を有するセンサ層70Bとを備え、センサ層70Aがセンサ層70B上に設けられている。これにより、低荷重領域における荷重(圧力分布)をセンサ層70Aにより検出し、高荷重領域における荷重(圧力分布)をセンサ層70Bにより検出することができる。したがって、センサ70の感度低下を抑制しつつ、センサ層70A、70Bの互いのダイナミックレンジを補完することができる。よって、センサ70の感度低下を抑制しつつ、センサ70全体としての広ダイナミックレンジ化を図ることができる。
【0127】
<6 第6の実施形態>
[センサの構成]
図27は、本開示の第6の実施形態に係るセンサ80の構成の一例を示す断面図である。センサ80は、温度補償機能を有する圧力分布センサであり、圧力分布を検出する圧力センサ層80A(以下単に「センサ層80A」という。)と、センサ80の環境温度を検出する温度検出センサ層80B(以下単に「センサ層80B」という。)とを備える。センサ層80Aは、センサ層80B上に設けられている。
【0128】
センサ層80Aは、導電層62Aを備えていないこと以外は、第4の実施形態におけるセンサ層60A(
図20参照)と同様の構成を有している。センサ層80Aは、センシング面20Sに作用する圧力の分布を検出し、IC13Aに出力する。
【0129】
センサ層80Bは、変形層51Bに代えて離隔層81Bを備え、かつ、離隔層53Bに代えて離隔層82Bを備える点において、第4の実施形態におけるセンサ層50Bと異なっている(
図20参照)。センサ層80Bは、センサ80の環境温度の変化に応じた静電容量の変化を検出し、IC13Aに出力する。
【0130】
離隔層81B、82Bは、センシング面20Sに圧力が作用しても殆ど変形せずに、厚みをほぼ一定に保持可能に構成されている。これにより、検出層21Bと導電層52Bの距離がほぼ一定に保持されると共に、検出層21Bと導電層54Bの距離がほぼ一定に保持される。したがって、センシング面20Sに圧力が作用しても、検出層21Bの静電容量は殆ど変化しない。
【0131】
検出部SE21の周囲に設けられている部材(例えば基材31および接着層35Aのうちの少なくとも一方(
図4参照))の誘電率(温度要因)が低誘電率であり、検出部SE22の周囲に設けられている部材(例えば基材31および接着層35Aのうちの少なくとも一方(
図4参照))の誘電率(温度要因)が高誘電率であることが好ましい。これにより、センサ層80Aでは検出の温度要因を抑え、センサ層80Bでは検出の温度要因を大きくすることができるので、センサ80の性能を向上することができる。
【0132】
例えば、検出部SE21の周囲に設けられている部材(例えば基材31および接着層35Aのうちの少なくとも一方(
図4参照))の誘電率が、検出部SE22の周囲に設けられている部材(例えば基材31および接着層35Aのうちの少なくとも一方(
図4参照))の誘電率に比べて低いことが好ましい。
【0133】
温度補償の観点から、複数の検出部SE22はそれぞれ、検出部SE21に対応して設けられていることが好ましい。センサ層80Bに含まれる複数の検出部SE22はそれぞれ、センサ80の厚み方向(Z軸方向)において、センサ層80Aに含まれる複数の検出部SE21に重なるように設けられていてもよい。
【0134】
(CPU)
CPU12Aは、IC13Aからの第2の出力信号(すなわち第2の静電容量分布)に基づき、IC13Aからの第1の出力信号(すなわち第1の静電容量分布)を補正する。
CPU12Aは、補正した第1の出力信号に基づき、検出層21Aに作用する圧力の重心座標を算出し、その算出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。第1の出力信号の補正方法としては、例えば、国際公開第2018/186022号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
【0135】
[効果]
第6の実施形態に係るセンサ80では、センサ層80Aと、センサ層80Bとを備え、センサ層80Aは、センサ層80B上に設けられている。これにより、センサ80の温度検出用の複数の検出部SE22が備えられていても、センサ80の面積の増加を抑制することができる。したがって、センサ80の面積の増加を抑制しつつ、センサ80の温度補償を実現することができる。
【0136】
これに対して、温度検出用の検出部を圧力検出用の検出部近傍に配置し温度補償を行う圧力分布センサ(国際公開第2018/186022号パンフレット)では、温度検出用の検出部が備えられることで、センサの面積の増加を招いてしまう。
【0137】
<7 第7の実施形態>
[センサの構成]
図28は、本開示の第7の実施形態に係るセンサ90の構成の一例を示す断面図である。センサ90は、圧力分布センサであり、センサ層90Aとセンサ層90Bとを備え、センサ層90Aは、センサ層90B上に設けられている。
【0138】
センサ層90Aは、導電層62Aを備えていないこと以外は、第4の実施形態におけるセンサ層60A(
図20参照)と同様の構成を有している。センサ層90Bは、複数の検出部SE22がそれぞれ複数の検出部SE21に対してセンサ90の面内方向にずらして配置されていること以外は、第3の実施形態におけるセンサ層50B(
図17参照)と同様の構成を有している。
【0139】
図29は、センサ層90Aに含まれる複数の検出部SE21と、センサ層90Bに含まれる複数の検出部SE22との位置関係を示す平面図である。複数の検出部SE21および複数の検出部SE22は、マトリックス状配列の行方向(X軸方向)および列方向(Y軸方向)に配置ピッチPで配置されている。検出部SE22は、マトリックス状の配列の行方向(X軸方向)および列方向(Y軸方向)にそれぞれ検出部SE21からP/2ずらして配置されている。検出部SE21の1/4サイズの領域と検出部SE22の1/4サイズの領域が、センサ90の厚み方向に重なる。これらの1/4サイズの領域が重なった部分により、仮想検出部SE90が構成される。第7の実施形態では、検出部SE22が検出部SE21に対して行方向(X軸方向)および列方向(Y軸方向)にそれぞれP/2ずらして配置されている場合について説明するが、検出部SE21と検出部SE22がセンサ90の厚み方向に重なり合っていればよく、検出部SE22のずらし量はP/2に限定されるものではない。
【0140】
(CPU)
CPU12Aは、IC13Aから供給された複数の検出部SE21の第1の出力信号(すなわち第1の静電容量分布)および複数の検出部SE22の第2の出力信号(すなわち第2の静電容量分布)に基づき、複数の仮想検出部SE90の出力信号(静電容量分布)を算出する。CPU12Aは、算出した出力信号(静電容量分布)に基づき、センサ90に作用する圧力の重心座標を算出し、その算出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。
【0141】
図30Aは、センサ層90Aの荷重感度カーブ(以下「第1の荷重感度カーブ」という。)の一例を示すグラフである。
図30Bは、センサ層90Bの荷重感度カーブ(以下「第2の荷重感度カーブ」という。)の一例を示すグラフである。
図30A、
図30Bに示すように、センシング面20Sに対して作用する圧力が同じであっても、センサ層90Aから出力される出力信号値(デルタ値)と、センサ層90Bから出力される出力信号値(デルタ値)とは異なっている。このため、CPU12Aは、センサ層90Aから供給される出力信号値とセンサ層90Bから供給される出力信号値とを正規化し、同一の圧力値に対する出力信号値が同一またはほぼ同一になるように処理している。
【0142】
図31Aは、圧力175kPaで出力信号値が1000となるように正規化された第1の荷重感度カーブを示す。
図31Bは、圧力175kPaで出力信号値が1000となるように正規化された第2の荷重感度カーブを示す。ここで、正規化に用いられる圧力175kPaは、センサ層90Aの検出レンジの最大値付近の圧力値である。
【0143】
以下、
図32A、
図32B、
図33を参照して、複数の仮想検出部SE90の出力信号(静電容量分布)を算出方法の一例について説明する。ここでは、複数の検出部SE21、複数の検出部SE22がそれぞれ、3×3の正方マトリックス状に配置されている場合を例として説明する。
【0144】
図32Aは、センサ層90Aに含まれる複数の検出部SE21の模式図である。
図32Bは、センサ層90Bに含まれる複数の検出部SE22の模式図である。
図33は、センサ層90A、90Bを重ね合わせた状態における検出部SE21、SE22の位置関係を示す模式図である。
【0145】
センサ層90Aに含まれる各検出部SE21を区別する場合には、
図32Aに示すように、符号(1)~(9)を用いて各検出部SE21を検出部(1)~(9)と称する。また、センサ層90Bに含まれる各検出部SE22を区別する場合には、
図32Bに示すように、符号<1>~<9>を用いて各検出部SE22を検出部<1>~<9>と称する。
【0146】
図32A、
図32Bに示すように、各検出部SE21、SE22の中心位置を座標(X[m],Y[n])(但し、m,nは0以上2以下の整数である。)で示す。また、
図33に示すように、各仮想検出部SE90の中心位置を座標(X’[m’],Y’[n’])(但し、m’,n’は0以上4以下の整数である。)で示す。
【0147】
各仮想検出部SE90の出力信号値は、以下の式により算出される。
仮想検出部(X’[0],Y’[0])の出力信号値=(検出部(1)の正規化出力信号値+検出部<1>の正規化出力信号値)/2
仮想検出部(X’[0],Y’[1])の出力信号値=(検出部(1)の正規化出力信号値+検出部<2>の正規化出力信号値)/2
仮想検出部(X’[0],Y’[2])の出力信号値=(検出部(2)の正規化出力信号値+検出部<2>の正規化出力信号値)/2
・・・
仮想検出部(X’[1],Y’[0])の出力信号値=(検出部(4)の正規化出力信号値+検出部<1>の正規化出力信号値)/2
仮想検出部(X’[1],Y’[1])の出力信号値=(検出部(4)の正規化出力信号値+検出部<2>の正規化出力信号値)/2
仮想検出部(X’[1],Y’[2])の出力信号値=(検出部(5)の正規化出力信号値+検出部<2>の正規化出力信号値)/2
・・・
【0148】
第7の実施形態において、上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
【0149】
[効果]
従来型のフィルム圧力分布センサにおいて、XY平面内圧力分布の分解能を向上するために、検出部の面積を小さくして検出部のピッチを狭くする方法が考えられるが、検出部の初期容量が低下し、センサの感度低下を引き起こすため、挟ピッチ化には限界がある。
【0150】
これに対して、第7の実施形態に係るセンサ90では、上層のセンサ層(圧力分布センサ)90Aと下層のセンサ層(圧力分布センサ)90BのXY平面方向の配置をズラして配置されている。例えばXY平面方向の配置を1/2ピッチ分ズラして配置されている。2層のセンサ層90A、90Bの圧力データは、CPU12Aにおいて統合される。これにより、センサ90全体としてのXY平面内の圧力分布分解能を向上することがきでる。
【0151】
<8 第8の実施形態>
[センサの構成]
図34は、本開示の第8の実施形態に係るセンサ100の構成の一例を示す断面図である。センサ100は、近接操作、タッチ操作(フェザータッチ操作)および押し込み操作を検出可能な複合センサである。ここで、近接操作とは、指または物体等がセンシング面20Sに接しない入力操作のことをいう。タッチ操作(フェザータッチ操作)とは、センシング面20Sに圧力が作用しない、またはセンシング面20Sに作用する圧力が非常に小さい入力操作のことをいう。押し込み操作とは、指または物体等によりセンシング面20Sが押し込まれる入力操作のことをいう。
【0152】
センサ100は、センサ層100Aとセンサ層100Bとを備え、センサ層100Aは、センサ層100B上に設けられている。
【0153】
センサ層100Aは、静電容量式タッチセンサ層である。センサ層100Aは、変形層22A、導電層23Aおよび離隔層61A(
図20参照)に代えて、離隔層101A、表面層102A、離隔層103Aを備えること以外は、第4の実施形態におけるセンサ層60Aと同様の構成を有している。
【0154】
離隔層101A、103Aは、第6の実施形態における離隔層81B、81B(
図27参照)と同様である。表面層102Aは、絶縁性を有している。表面層102Aは、例えば、高分子フィルムまたはコート層等により構成されている。表面層102Aは、後述の変形例1における表面層104Aと同様の構成とすることもできる。
【0155】
センサ層100Bは、圧力分布を検出する圧力センサ層である。センサ層100Bは、第4の実施形態におけるセンサ層50B(
図20参照)と同様の構成を有している。
【0156】
センサ層100Aは、可撓性を有している。これにより、センシング面20Sに作用する圧力が、センサ層100Bの第1の面(導電層52Bが設けられた側の面)に伝わるので、センサ層100Bにてセンシング面20Sに作用する圧力の分布を検出することができる。
【0157】
CPU12Aは、IC13Aから供給される、センサ層100Aの第1の出力信号(すなわち第1の静電容量分布)に基づき、センシング面20Sに対する近接操作およびタッチ操作を検出し、その検出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。また、CPU12Aは、IC13Aから供給される、センサ層100Bの第2の出力信号(すなわち第2の静電容量分布)に基づき、センシング面20Sに対する押し込み操作を検出し、その検出結果に基づき、ホスト機器12の各種制御を実行する。
【0158】
[効果]
第8の実施形態に係るセンサ100は、静電容量タッチセンサ(近接検出センサ)としてのセンサ層100Aと、圧力分布センサとしてのセンサ層100Bとを備え、センサ層100Aは、センサ層100B上に設けられている。これにより、人間の指または導電デバイス等による近接操作、タッチ操作(フェザータッチ操作)および押し込み操作の全てを検出することができる。
【0159】
これに対して、参考例1のセンサ71(
図26参照)では、押し込み操作を検出することはできるが、近接操作およびタッチ操作(フェザータッチ操作)の検出は困難である。
【0160】
<8 変形例>
(変形例1)
第1の実施形態において、
図35に示すように、センサ20が、センシング面20S(すなわち導電層23A側の表面)に設けられた表面層104Aをさらに備えてもよい。表面層104Aは、絶縁性を有すると共に、高い摩擦係数を持つ表面を有する高摩擦層である。このようにセンサ20が表面層104Aをさらに備えることで、導電層23Aを保護することができると共に、センサ20のセンシング面20Sにて物体が滑ることを抑制することができる。したがって、導電層23Aを保護することができると共に、センサ20のせん断力の検出精度を向上することができる。表面層104Aは、例えば、高分子フィルムまたはコート層等により構成されている。
【0161】
表面層104Aが凹凸形状を表面に有することで、高い摩擦係数を持つ表面が実現されていてもよいし、表面層104Aがゴム系樹脂(例えばシリコーンゴム)を含むことで、高い摩擦係数を持つ表面が実現されていてもよいし、表面層104Aが凹凸形状を表面に有すると共に、表面層104Aがゴム系樹脂を含むことで、高い摩擦係数を持つ表面が実現されていてもよい。表面層104Aの表面の静止摩擦係数は、センサ20のセンシング面20Sにて物体が滑ることを抑制する観点から、1以上であることが好ましい。ここで、静止摩擦係数は、株式会社イマダ製の摩擦係数測定治具を用いて、JIS K 7125:1999に準拠して測定される。表面層104Aは、電子機器等の外装材であってもよい。
【0162】
センサ20が、
図35に示すように、センシング面20Sとは反対側の裏面(すなわち導電層23B側の表面)に設けられた表面層104Bをさらに備えてもよい。
【0163】
第2~第8の実施形態においても同様に、センサ40、50、60、70、80、90が、センシング面20Sに設けられた表面層104Aをさらに備えてもよいし、センシング面20Sとは反対側の裏面に設けられた表面層104Bをさらに備えてもよい。
【0164】
(変形例2)
第1~第8の実施形態では、受信電極36および駆動電極37は、櫛歯状を有する場合について説明したが、受信電極36および駆動電極37の形状はこの形状に限定されるものではない。受信電極36および駆動電極37は、例えば、平板状、網状、同心状、螺旋状、放射状またはストライプ状等を有していてもよい。
【0165】
(変形例3)
第1~第8の実施形態では、受信電極36および駆動電極37が基材31の第1の面31S1に設けられている場合について説明したが、受信電極36および駆動電極37が基材31の異なる面に設けられていてもよい。例えば、受信電極36が基材31の第1の面31S1に設けられ、駆動電極37が基材31の第2の面31S2に設けられ、受信電極36と駆動電極37が基材31を挟んで対向していてもよい。
【0166】
(変形例4)
第1~第8の実施形態では、センサ層20A、20B、50B、60A、70A、80A、80B、90A、90B、100A、100B(以下「センサ層20A、20B等」という。)が相互容量方式のセンサ層である場合について説明したが、センサ層20A、20B等が自己容量方式のセンサ層であってもよい。この場合、センサ層20A、20B等は、基材と、この基材上に設けられた薄膜状の電極層とを備える。
【0167】
(変形例5)
第1~第8の実施形態では、センサ層20A、20B等が静電容量式のセンサ層である場合について説明したが、センサ層20A、20B等が静電容量式以外の方式のセンサ層であってもよい。
【0168】
(変形例6)
第1~第8の実施形態において、検出層21Aと検出層21Bが1つのフレキシブルプリント基板により構成されていてもよい。これにより、センサ20、40、50、60、70、80、90の構成を簡略化することができる。上記フレキシブルプリント基板は、検出層21Aを含む領域と検出層21Bを含む領域との間で折り返され、離隔層24または離隔層25等を間に挟んで重ね合わされていてもよい。
【0169】
<9 応用例>
[電子機器の例]
第1~第8の実施形態およびそれらの変形例に係るセンサ20、40、50、60、70、80、90、100の少なくとも1種は、種々の電子機器に適用可能である。例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話、テレビ、リモートコントローラ、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーションシステム、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、キーボード、ウェアラブル端末、ラジオ、ステレオ、医療機器またはロボット等に適用可能である。ウェアラブル端末としては、例えば、スマートウォッチ、ヘッドマウンドディスプレイ、リストバンド、指輪、眼鏡、靴または衣服等が挙げられる。
【0170】
[電子機器以外の例]
第1~第8の実施形態およびそれらの変形例に係るセンサ20、40、50、60、70、80、90、100の少なくとも1種は、電子機器以外の様々なものにも適用可能である。例えば、電動工具、冷蔵庫、エアコン、温水器、電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥機、照明機器または玩具等の電気機器に適用可能である。さらに、住宅をはじめとする建築物、建築部材、乗り物、テーブルや机等の家具、製造装置または分析機器等にも適用可能である。建築部材としては、例えば、敷石、壁材、フロアータイルまたは床板等が挙げられる。乗り物としては、例えば、車両(例えば自動車、オートバイ等)、船舶、潜水艦、鉄道車両、航空機、宇宙船、エレベータまたは遊具等が挙げられる。
【0171】
[ロボットハンドに対する適用例]
第1~第8の実施形態およびそれらの変形例に係るセンサ20、40、50、60、70、80、90、100の少なくとも1種をロボットハンドに適用してもよい。
【0172】
図36は、センサ201~216を適用したロボットハンド200の構成を示す。センサ201~216は、第1~第8の実施形態およびそれらの変形例に係るセンサ20、40、50、60、70、80、90、100のいずれかである。
【0173】
ロボットハンド200を構成する掌には、センサ201および202が設けられ、ロボットハンド200を構成する親指の指掌面における第1関節より上にはセンサ203、第1関節と第2関節の間にはセンサ204が、それぞれ設けられ、人指し指の指掌面における第1関節より上にはセンサ205、第1関節と第2関節の間にはセンサ206、第2関節と第3関節の間にはセンサ207が、それぞれ設けられている。
【0174】
さらに、中指の指掌面における第1関節より上にはセンサ208、第1関節と第2関節の間にはセンサ209、第2関節と第3関節の間にはセンサ210が、それぞれ設けられ、薬指の指掌面における第1関節より上にはセンサ211、第1関節と第2関節の間にはセンサ212、第2関節と第3関節の間にはセンサ213が、それぞれ設けられ、小指の指掌面における第1関節より上にはセンサ214、第1関節と第2関節の間にはセンサ215、第2関節と第3関節の間にはセンサ216が、それぞれ設けられている。
【0175】
以上、本開示の実施形態および変形例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0176】
例えば、以下のような変形が可能である。
上述の実施形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
上述の実施形態および変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
上述の実施形態および変形例に例示した材料は、特に断らない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0177】
また、本開示は以下の構成を採用することもできる。
(1)
2次元配置された複数の第1の検出部を含む静電容量式の第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を含む静電容量式の第2のセンサ層とを備え、前記第1のセンサ層が前記第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
前記複数の第1の検出部および前記複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備えるセンサモジュール。
(2)
前記制御部は、2次元配置された複数の検出部を走査可能に構成され、
前記制御部は、
前記2次元配置された複数の検出部のうち第1の検出領域に含まれる一群の検出部として、前記複数の第1の検出部を走査し、
前記2次元配置された複数の検出部のうち第2の検出領域に含まれる一群の検出部として、前記複数の第2の検出部を走査する(1)に記載のセンサモジュール。
(3)
前記第1のセンサ層、前記第2のセンサ層はそれぞれ、複数の受信電極と、複数の駆動電極とを備え、
前記第1の検出部は、前記第1のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成され、
前記第2の検出部は、前記第2のセンサ層に含まれる前記受信電極および前記駆動電極により構成されている(1)または(2)に記載のセンサモジュール。
(4)
前記第1の検出部および前記第2の検出部は、前記受信電極および前記駆動電極を共用していない(3)に記載のセンサモジュール。
(5)
前記第1の検出部および前記第2の検出部は、前記受信電極または前記駆動電極を共用している(3)に記載のセンサモジュール。
(6)
前記第1のセンサ層と前記第2のセンサ層の間に設けられた離隔層をさらに備え、
前記第1のセンサ層および前記第2のセンサ層は、圧力分布センサ層であり、
前記離隔層は、前記センサの面内方向に作用するせん断力により弾性変形する(1)から(5)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(7)
前記離隔層は、ゲルを含む(6)に記載のセンサモジュール。
(8)
前記第1のセンサ層は、圧力センサ層であり、
前記第2のセンサ層は、温度検出センサ層である(1)から(5)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(9)
前記第1のセンサ層は、静電容量式タッチセンサ層であり、
前記第2のセンサ層は、圧力センサ層である(1)から(5)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(10)
前記第1のセンサ層の感度は、前記第2のセンサ層の感度に比べて高い(1)から(5)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(11)
前記複数の第1の検出部の前記2次元配置、および前記複数の第2の検出部の前記2次元配置は、マトリックス状配置であり、
前記複数の第1の検出部および前記複数の第2の検出部は、前記マトリックス状配置の行方向および列方向に配置ピッチPで配置され、
前記第2の検出部は、前記第1の検出部から前記行方向および前記列方向に距離P/2ずらして配置される(1)から(5)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(12)
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と
を備える(6)または(7)に記載のセンサモジュール。
(13)
前記離隔層は、
第3の導電層と、
前記第1のセンサ層と前記第3の導電層の間に設けられ、前記第1のセンサ層と前記第3の導電層を離隔する第1の離隔層と、
前記第3の導電層と前記第2のセンサ層の間に設けられ、前記第3の導電層と前記第2のセンサ層を離隔する第2の離隔層と
を備える(12)に記載のセンサモジュール。
(14)
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と、
前記第2の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記第2の導電層と前記第1の検出層の間を離隔する第1の離隔層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第3の導電層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第4の導電層と、
前記第3の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と、
前記第4の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記第4の導電層と前記第2の検出層の間を離隔する第2の離隔層と
を備える(6)または(7)に記載のセンサモジュール。
(15)
前記第1のセンサ層は、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層と、
前記第1の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第1の導電層と、
前記第1の導電層と前記第1の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第1の変形層と
を備え、
前記第2のセンサ層は、
前記第1の検出層に対向する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層と、
前記第2の検出層の前記第1の面と対向して設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記センサの厚み方向に作用する圧力に応じて弾性変形する第2の変形層と、
前記第2の検出層の前記第2の面と対向して設けられた第3の導電層と、
前記第3の導電層と前記第2の検出層の間に設けられ、前記第3の導電層と前記第2の検出層を離隔する離隔層と
を備える(6)または(7)に記載のセンサモジュール。
(16)
前記第1のセンサ層は、前記複数の第1の検出部を含む第1の検出層を備え、
前記第2のセンサ層は、前記複数の第2の検出部を含む第2の検出層を備え、
前記第1の検出層と前記第2の検出層は、1つのフレキシブル基板により構成されている(1)から(15)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(17)
前記制御部は、前記複数の第1の検出部と前記複数の第2の検出部を順次走査する(1)から(16)のいずれかに記載のセンサモジュール。
(18)
2次元配置された複数の第1の検出部を有する第1のセンサ層と、2次元配置された複数の第2の検出部を有する第2のセンサ層とを備え、前記第1のセンサ層が前記第2のセンサ層上に設けられているセンサと、
前記複数の第1の検出部と前記複数の第2の検出部を走査する制御部と
を備えるセンサモジュール。
(19)
(1)から(18)のいずれかに記載のセンサモジュールを備える電子機器。
【符号の説明】
【0178】
10 電子機器
11 センサモジュール
12 ホスト機器
13 センサボード
13A センサIC
14A、14B コネクタ
20、40、50、60、70、71、80、90、100 センサ
20A、60A、70A、80A、90A、100A センサ層(第1のセンサ層)
20B、50B、80B、90B、100B センサ層(第2のセンサ層)
20S センシング面
21A 検出層(第1の検出層)
21B 検出層(第2の検出層)
21A1、21B1 接続部
21A2 接続端子
21AS1、21BS1、31S1 第1の面
21AS2、21BS2、31S2 第2の面
24、25A、25B、53B、61A、81B、82B、101A、103A 離隔層
22A、22B、51B 変形層
23A、23B、25C、52B、54B、62A 導電層
31 基材
32、33、38 複数の引き回し配線
34A、34B カバーレイフィルム
35A、35B 接着層
36 受信電極
36A 接続線
37 駆動電極
37A 引き出し配線
37B スルーホール
41 物体
102A、104A、104B 表面層
DB1、DB2 出力信号分布
P 配置ピッチ
SE21、SE22 検出部
SE90 仮想検出部