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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20241008BHJP
   B60Q 3/283 20170101ALI20241008BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20241008BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B62D1/06
B60Q3/283
B60Q3/64
G02B6/00 331
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022007433
(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公開番号】P2023106228
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】▲榊▼原 早也果
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-113040(JP,A)
【文献】特開2004-067000(JP,A)
【文献】特開2017-109519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016383(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114684244(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102008035107(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 - 1/28
B60Q 3/00 - 3/88
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操舵時に把持する把持部を備える構成として、該把持部において運転者から視認可能な所定位置に、加飾部を、配設させる構成のステアリングホイールであって、
前記把持部が、断面略円形状とされて、中央側に配置される芯材と、該芯材の周囲を覆う被覆層と、前記加飾部の配置領域を除いた前記被覆層の外周面側を覆うシート状の表皮層と、を備える構成とされ、
前記被覆層が、クッション性を有した軟質合成樹脂から構成され、
前記加飾部が、
前記被覆層側に取り付けられる取付基部と、
該取付基部に取り付けられて、前記表皮層から連なるようにして前記把持部の外表面を構成するカバー部と、
を備える構成とされて、
前記取付基部が、形状保持性を有した硬質合成樹脂製とされるとともに、前記表皮層における前記把持部の断面周方向側の両端末を、それぞれ、前記把持部の内周側に進入させるように屈曲させつつ貼着させて保持可能な貼着座部を、有し、
前記各貼着座部が、前記表皮層における前記端末を貼着させる端末貼着面と、前記表皮層における前記端末から連なる一般部を貼着させる一般貼着面と、を有するとともに、前記端末貼着面と前記一般貼着面とを、前記端末の貼着時にダレの発生を抑制可能な角度で交差させるように、構成され
前記カバー部が、前記取付基部の外方から、前記取付基部側に向かって移動させるようにして、前記取付基部に取り付けられる構成とされるとともに、前記把持部の断面周方向側の両端縁に、前記端末貼着面に貼着されている前記表皮層の端末と当接して押え可能な押え部を、備える構成とされていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記加飾部が、作動時に発光可能なライトバーユニットから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操舵時に把持する把持部を備える構成として、把持部において運転者から視認可能な所定位置に、加飾部を、配設させる構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、把持部に加飾部を配設させたステアリングホイールとしては、把持部としての円環状のリング部の上面側に、加飾部としてのライトバーを配設させた構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。このステアリングホイールでは、リング部は、断面略円形状とされて、中央側に配置される芯材と、芯材の周囲を覆う被覆層と、被覆層の外周面側を覆う表皮層と、を備える構成とされており、リング部におけるライトバーの配置領域においては、上側の領域に、取付基部としてのライトバーの保持部材が、配設される構成であった。そして、この従来のステアリングホイールでは、表皮層の端末を、保持部材と、ライトバーの外表面を構成するカバー部と、の間の隙間に、配置させる構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-113040号公報(図15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のステアリングホイールでは、表皮層の端末を、断面の交差角度を小さくされる保持部材の周壁部の外側に回り込ませるようにして、カバー部との間の隙間に配置させる構成であることから、表皮層の端末付近に、周縁部材との隙間を大きく形成されるようなダレが発生しやすく、見栄えを良好にする点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、見栄えの良好なステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールは、回転操舵時に把持する把持部を備える構成として、把持部において運転者から視認可能な所定位置に、加飾部を、配設させる構成のステアリングホイールであって、
把持部が、断面略円形状とされて、中央側に配置される芯材と、芯材の周囲を覆う被覆層と、加飾部の配置領域を除いた被覆層の外周面側を覆うシート状の表皮層と、を備える構成とされ、
被覆層が、クッション性を有した軟質合成樹脂から構成され、
加飾部が、
被覆層側に取り付けられる取付基部と、
取付基部に取り付けられて、表皮層から連なるようにして把持部の外表面を構成するカバー部と、
を備える構成とされて、
取付基部が、形状保持性を有した硬質合成樹脂製とされるとともに、表皮層における把持部の断面周方向側の両端末を、それぞれ、把持部の内周側に進入させるように屈曲させつつ貼着させて保持可能な貼着座部を、有し、
各貼着座部が、表皮層における端末を貼着させる端末貼着面と、表皮層における端末から連なる一般部を貼着させる一般貼着面と、を有するとともに、端末貼着面と一般貼着面とを、端末の貼着時にダレの発生を抑制可能な角度で交差させるように、構成され
カバー部が、取付基部の外方から、取付基部側に向かって移動させるようにして、取付基部に取り付けられる構成とされるとともに、把持部の断面周方向側の両端縁に、端末貼着面に貼着されている表皮層の端末と当接して押え可能な押え部を、備える構成とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステアリングホイールでは、表皮層における把持部の断面周方向側の両端末が、それぞれ、取付基部に形成される貼着座部に貼着されて保持される構成であり、各貼着座部は、把持部の内周側に進入させるように配置される端末を貼着させる端末貼着面と、端末から連なる表皮層における一般部を貼着させる一般貼着面と、を、有して、この端末貼着面と一般貼着面とを、端末の貼着時にダレの発生を抑制可能とするような角度で交差させるような構成とされている。そのため、表皮層の両端末を貼着座部に貼着させて保持させる際に、端末の部位に、ダレが発生することを抑制でき、見栄えを良好にすることができる。また、本発明のステアリングホイールでは、加飾部において、取付基部に取り付けられるカバー部が、把持部の断面周方向側の両端縁に、端末貼着面に貼着されている表皮層の端末と当接して押え可能な押え部を、備える構成とされており、このカバー部は、取付基部の外方から、取付基部側に向かって移動させるようにして、取付基部に取り付けられる構成であることから、カバー部の取付基部への取付時に、同時に、押え部によって、表皮層の端末を押えることが可能となり、組付作業性も良好である。
【0008】
したがって、本発明のステアリングホイールでは、見栄えを良好にすることができ、また、組付作業性も良好である。
【0009】
また、本発明のステアリングホイールにおいて、具体的には、加飾部としては、作動時に発光可能なライトバーユニットを例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの平面図である。
図2】実施形態のステアリングホイールにおいて、ライトバーユニットの部位を示す部分拡大平面図である。
図3】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、図2のIII-III部位に対応する図である。
図4】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、図2のIV-IV部位に対応する図である。
図5】実施形態のステアリングホイールにおいて、カバー部を取り除いた状態のライトバーの部位を示す部分拡大平面図である。
図6】実施形態のステアリングホイールにおいて、リング部に取り付けられたライトバーユニットのケースに、カバー部を取り付ける状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のステアリングホイール1は、図1に示すように、回転操舵時に把持する円環状のリング部2と、リング部2の略中央に配置されるボス部4と、リング部2とボス部4とを連結する複数(実施形態の場合、3本)のスポーク部3と、を有して構成されている。実施形態のステアリングホイール1では、リング部2が、把持部を構成している。また、ステアリングホイール1は、構成部品としては、ボス部4の上部のエアバッグ装置6と、リング部2に配置される加飾部としてのライトバーユニット20と、それ以外のステアリングホイール本体10と、を具備して構成されている。
【0012】
なお、本明細書では、前後,上下,左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させた状態のステアリングホイール1の直進操舵状態を基準として、リング部2の回転中心軸に沿った方向を上下方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の前後方向に略沿う方向を前後方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の左右方向に略沿う方向を左右方向としている。
【0013】
ボス部4の上部に配置されるエアバッグ装置6は、折り畳まれて収納される図示しないエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、折り畳まれたエアバッグの上面側を覆うパッド7と、を備えている。パッド7は、図1に示すように、ボス部4の上面側を全面にわたって覆うように、配置されている。
【0014】
ステアリングホイール本体10は、図1,3,4に示すように、リング部2,ボス部4,スポーク部3を相互に連結するように配置される芯材としての芯金11と、芯金11におけるリング部2とスポーク部3との部位の周囲を覆う被覆層13と、被覆層13の外周面側を覆う表皮層14と、ボス部4の下面側を覆う図示しないロアカバーと、を備えている。把持部としてのリング部2は、断面略円形状(詳細には、断面略楕円形状)とされて、中央側に配設される芯材としての後述するリング部芯金12と、リング部芯金12の周囲を覆う被覆層13と、ライトバーユニット20の配置領域を除いた被覆層13の外周面側を覆う表皮層14と、を備える構成とされている。
【0015】
芯金11は、アルミニウム合金等からなる金属製とされている。芯金11において、リング部2の部位に配置されるリング部芯金12は、断面を、略逆U字形状とされている(図3,4参照)。
【0016】
被覆層13は、クッション性を有した軟質合成樹脂から形成されるもので、実施形態の場合、発泡ポリウレタン等の軟質発泡材から形成されている。この被覆層13は、リング部2の部位においては、リング部芯金12の外周側を覆うように構成されるもので、断面形状を略楕円形状とされている。また、被覆層13は、ライトバーユニット20の配設される領域においては、リング部2の下半分程度の領域に、配設されている(図3,4参照)。
【0017】
表皮層14は、加飾部としてのライトバーユニット20の配置領域を除いて、被覆層13の外周面側を覆うように配設されるもので、実施形態の場合、合成樹脂製のシート体や、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革から、形成されている。表皮層14は、リング部2の断面周方向側の両端末14a,14bを、それぞれ、リング部2の内周側に進入させるように屈曲された状態で、端末14a,14bと、各端末14a,14bから連なる一般部14c,14dと、を、ライトバーユニット20における取付基部としての後述するケース22に形成される前側貼着座部28,後側貼着座部30の表面(端末貼着面28a,30a,一般貼着面28b,30b)に、接着剤層15を介して貼着されている(図3,4参照)。
【0018】
加飾部としてのライトバーユニット20は、ステアリングホイール1において、図示しない運転者から視認可能な所定位置に配設されるもので、実施形態の場合、図1,2に示すように、操舵時に運転者の把持するリング部2において、左右のスポーク部3L,3R間となる前側部位2aの上面側に、長手方向をリング部2の周方向に略沿わせるように湾曲させて、配設されている(図1,2参照)。詳細には、ライトバーユニット20は、上方側から見た外形形状を、長手方向をリング部2の周方向に略沿わせるように湾曲させた略帯状として、リング部2の1/4程度の領域に、連続的に形成されて、長手方向の中央を、リング部2における前端と略一致させるように、配設されている。
【0019】
ライトバーユニット20は、図2~4に示すように、取付基部としてのケース22と、ケース22内に収納保持される基板32と、基板32の長手方向に略沿って並設されるように取り付けられる複数の可視光光源(可視光LED35)と、導光体40と、ケース22に形成される後述する放射用開口22aを覆うカバー部50と、を備えている。
【0020】
取付基部としてのケース22は、実施形態の場合、上方を開口させた略箱形状として、上下方向側から見てリング部2の湾曲形状に略沿うように湾曲した構成とされるもので(図2参照)、硬質合成樹脂製(実施形態の場合、黒色のABS樹脂製)とされている。具体的には、ケース22は、リング部2のリング面2bに略沿うように配設されるとともに上下方向側から見て湾曲した略帯状の底壁部23と、底壁部23の外周縁から上方に延びる周壁部24と、表皮層14の両端末14a,14bを保持する前側貼着座部28,後側貼着座部30と、を備えている。ケース22における周壁部24の上端側には、作動時の可視光を放射可能な放射用開口22aが、配設されている。実施形態のケース22は、底壁部23側において、図示しない所定箇所を、ねじ等の固定手段を利用して、被覆層13側に取り付けられる構成である。
【0021】
周壁部24において、前後方向(リング部2の内外方向)側で対向しつつ上下方向に略沿って形成される前側壁25,後側壁26には、カバー部50の後述する取付壁部57,58を取り付けるための係止突起25a,26aが、ケース22の長手方向に沿って、複数箇所に、形成されている。詳細には、前側壁25に形成される係止突起25aと後側壁26に形成される係止突起26aとは、ケース22の長手方向側で相互にずれた位置に、形成されている(図2,5参照)。具体的には、係止突起25aは5箇所に、係止突起26aは4箇所に、形成されている。実施形態の場合、前側壁25,後側壁26は、カバー部50の取付時に、取付壁部57,58の外側を覆うように配設される構成であり(図3,4参照)、係止突起25a,26aを、取付壁部57,58側となる内側に突出させるように、配設させている。各係止突起25a,26aは、図3,4に示すように、断面形状を、斜辺を上側に配置させるような略直角三角形状とされており、すなわち、上面側に、下縁側を内方に位置させるように傾斜した傾斜面25b,26bを、有する構成とされている。そして、各係止突起25a,26aは、カバー部50を、ケース22の上方からケース22側に向かって移動させるようにしてケース22に取り付ける際に(図6参照)、この傾斜面25b,26bをガイドとして、上方から下方に進入してくる取付壁部57,58を撓ませるようにして、取付壁部57,58に形成される取付孔57a,58a内に挿入されて、下面25c,26c側を、取付孔57a,58a周縁に係止されることとなる。
【0022】
表皮層14における各端末14a,14bを保持する前側貼着座部28,後側貼着座部30は、ケース22における下端付近から前方側と後方側とに延びるように(ケース22の下端付近から前後に張り出すように)形成されている。
【0023】
前側に配置される前側貼着座部28は、下面を底壁部23の下面から連ならせるようにして、前側壁25における係止突起25a付近から前方に突出するように形成されるもので、外側面を被覆層13の外周面から連ならせるように形成されて、上面側を、先端側(前端側、すなわち、外側面側)にかけて上昇させるように、前後方向に対して傾斜させて構成されている。前側貼着座部28においては、上面が、接着剤層15を介して、リング部2の内周側に進入するように配置される表皮層14の端末14aを貼着させる端末貼着面28aを、構成し、被覆層13の外周面から連なる外側面が、接着剤層15を介して、表皮層14における端末14aから連なる一般部14cを貼着させる一般貼着面28bを、構成している。端末貼着面28aと一般貼着面28bとは、端末14aの貼着時にダレの発生を抑制可能な角度で交差させるように、構成されており、具体的には、端末貼着面28aと一般貼着面28bとの交差角度α(図4参照)は、65°程度に、設定されている。
【0024】
後側に配置される後側貼着座部30は、底壁部23よりも一段下方に位置するように底壁部23に対して段差状とされつつ、底壁部23に略沿うようにして後方に突出するように形成されている。この後側貼着座部30では、外側面が、被覆層13の外周面から連ならせるように形成されて、上面は、底壁部23に略沿うように形成されている。この後側貼着座部30においても、上面が、接着剤層15を介して、リング部2の内周側に進入するように配置される表皮層の端末14bを貼着させる端末貼着面30aを、構成し、被覆層13の外周面から連なる外側面が、接着剤層15を介して、表皮層14における端末14bから連なる一般部14dを貼着させる一般貼着面30bを、構成している。後側貼着座部30においても、端末貼着面30aと一般貼着面30bとは、端末14bの貼着時にダレの発生を抑制可能な角度で交差させるように、構成されており、具体的には、端末貼着面30aと一般貼着面30bとの交差角度β(図3参照)は、90°程度に、設定されている。
【0025】
前側貼着座部28,後側貼着座部30における端末貼着面28a,30aと一般貼着面28b,30bとの交差角度α,βは、60~120°(望ましくは、80~100°、さらに望ましくは、90°前後)の範囲内に、設定することが好ましい。交差角度α,βが60°未満では、表皮層14の端末14a,14bを、貼着させた際に、ダレが発生し、また、交差角度が120°を超えると、交差角度が大きすぎて、後述する前側押え部53,後側押え部54により、端末14a,14bを安定して押えがたくなるためである。
【0026】
基板32は、ケース22内において、底壁部23に略沿うように配置されている(図3,4参照)。すなわち、基板32は、ケース22の放射用開口22aの開口面に略沿うように、前後方向に略沿って配設されている。基板32は、ケース22、すなわち、リング部2に略沿うように、長手方向に沿って湾曲した略帯状とされている(図2,5参照)。この基板32は、ケース22の長手方向の略全域にわたって配設されるもので、図示しない所定箇所をケース22に取り付けられることにより、ケース22に保持されている。
【0027】
可視光光源としては、実施形態の場合、所定の色の光を発光可能な可視光LED35が、使用されている。可視光LED35は、基板32の裏面側において、長手方向に略沿って複数個並設されている。実施形態の場合、可視光LED35は、基板32の長手方向の略全域にわたって、8箇所に、点在されている(図2参照)。各可視光LED35は、導光体40側となる前方(外方)に向かって可視光を発光可能に取り付けられており、図示しない作動回路によって、作動を制御される構成である。
【0028】
導光体40は、ケース22における左右両端側を除いた領域に配設されるもので、図2,5に示すように、上下方向側から見て、リング部2の湾曲形状に略沿うように、略円弧状に湾曲して、形成されている。この導光体40は、基板32の前方に配置されるもので、可視光LED35の前側から前方に延びつつ上方に延びるように屈曲されて、断面略L字形状の板状とされている(図3,4参照)。この導光体40は、可視光LED35から発光される可視光を、内部で偏向させつつ、上端側から、放射用開口22a側となる上方に向かって出光させるためのもので、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の合成樹脂から形成されている。
【0029】
カバー部50は、取付基部としてのケース22に形成される放射用開口22aを略全面にわたって覆うカバー本体51と、カバー本体51から下方に延びてケース22に取り付けられる取付壁部57,58と、を備えている。カバー部50は、可視光LED35から発光される可視光を透過可能な合成樹脂製とされている。具体的には、カバー部50は、透光性を有する黒色透明のポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等から形成されている。カバー本体51は、リング部2の外表面を構成するもので、リング部2における表皮層14の外周面からなだらかに連なるように、湾曲させて構成されている(図3,4参照)。
【0030】
取付壁部57,58は、ケース22における前側壁25,後側壁26の内側に近接して配置されるもので、前側壁25,後側壁26に略沿って、すなわち、上下方向に略沿うように、カバー本体51から下方に延びる構成とされている。取付壁部57,58は、前側壁25,後側壁26において内方に突出するように形成される係止突起25a,26aを挿入させて、係止突起25a,26aの下面25c,26c側を周縁で係止可能な取付孔57a,58aを、有している。詳細には、前側に配置される取付壁部57は、導光体40と前側壁25との間の隙間に進入するようにして、前側壁25に取り付けられる構成である。この取付壁部57,58は、上述したごとく、カバー部50のケース22への取付時において、カバー部50を、ケース22の上方から、ケース22側に向かって移動させれば(図6参照)、係止突起25a,26aの傾斜面25b,26bによってガイドされるようにして若干撓みつつ、係止突起25a,26aを取付孔57a,58aの内部に進入させることにより、前側壁25,後側壁26に取り付けられることとなる。
【0031】
また、カバー部50には、導光体40の後側に近接して配置される押え壁部60が、カバー本体51から下方に突出するように、形成されている。さらに、カバー本体51は、取付壁部57,58よりも外方に延びる領域を有し、この取付壁部57,58より外方に延びる領域が、ケース22における各前側貼着座部28,後側貼着座部30に保持されている表皮層14の各端末14a,14bと当接して、各端末14a,14bを押え可能な前側押え部53,後側押え部54を、構成している。前側押え部53,後側押え部54は、リング部2の外表面を構成するように、表皮層14の外表面となだらかに連なるように構成されており、それぞれ、各前側貼着座部28,後側貼着座部30における端末貼着面28a,30aに対して略直交するように、配置されている。
【0032】
実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット20は、以下のようにしてリング部2に取り付けられる。まず、カバー部50を取付前の状態でのケース22(基板32と導光体40とを内部に収納させて取り付けた状態のケース22)を、被覆層13の周囲に表皮層14を貼着させた状態のリング部2におけるライトバーユニット搭載部位に載置させてねじ等を利用して固定することにより、被覆層13側にケース22を取り付ける。その後、接着剤をケース22における前側貼着座部28と後側貼着座部30との外表面(端末貼着面28a,30a,一般貼着面28b,30b)に塗布して接着剤層15を形成し、表皮層14の端末14a,14bから一般部14c,14dにかけての領域を、前側貼着座部28,後側貼着座部30の外表面(端末貼着面28a,30a,一般貼着面28b,30b)に貼着させる。次いで、カバー部50を、ケース22の上方から、ケース22に向かって移動させるようにして、取付壁部57,58を、前側壁25,後側壁26に取り付ければ、カバー部50をケース22に取り付けることができて、ライトバーユニット20をリング部2に取り付けることができる。このとき、カバー部50の前側押え部53,後側押え部54により、表皮層14の端末14a,14bが、前側貼着座部28,後側貼着座部30の端末貼着面28a,30a側に押えられることとなる。
【0033】
そして、実施形態のステアリングホイール1では、表皮層14におけるリング部2(把持部)の断面周方向側の両端末14a,14bが、それぞれ、取付基部としてのケース22に形成される前側貼着座部28,後側貼着座部30に貼着されて保持される構成であり、各前側貼着座部28,後側貼着座部30は、リング部2の内周側に進入させるように配置される端末14a,14bを貼着させる端末貼着面28a,30aと、端末14a,14bから連なる表皮層14における一般部14c,14dを貼着させる一般貼着面28b,30bと、を、有して、この端末貼着面28a,30aと一般貼着面28b,30bとを、それぞれ、端末14a,14bの貼着時にダレの発生を抑制可能とするような角度で交差させるような構成とされている。そのため、表皮層14の両端末14a,14bを前側貼着座部28,後側貼着座部30に貼着させて保持させる際に、端末14a,14bの部位に、ダレが発生することを抑制でき、見栄えを良好にすることができる。また、実施形態のステアリングホイール1では、加飾部としてのライトバーユニット20において、ケース22に取り付けられるカバー部50が、リング部2の断面周方向側の両端縁に、端末貼着面28a,30aに貼着されている表皮層14の端末14a,14bと当接して押え可能な前側押え部53,後側押え部54を、備える構成とされており、このカバー部50は、ケース22の外方(上方)から、ケース22側に向かって移動させるようにして、ケース22に取り付けられる構成であることから、カバー部50のケース22への取付時に、同時に、前側押え部53,後側押え部54によって、表皮層14の端末14a,14bを押えることが可能となり、組付作業性も良好である。
【0034】
したがって、実施形態のステアリングホイール1では、見栄えを良好にすることができ、また、組付作業性も良好である。
【0035】
実施形態のステアリングホイール1は、円環状のリング部2を備える構成であるが、本発明を適用可能なステアリングホイールは、円環状のリング部を備える構成に限定されるものではなく、例えば、四角環状のリング部を備えるものや、リング部ではなく、ボス部から部分的に突出する棒状の把持部を備えるタイプのステアリングホイールにも、本発明は適用可能である。また、実施形態のステアリングホイール1では、加飾部として、ライトバーユニット20を設けているが、加飾部としては、リング部(把持部)の表面に露出して配置される加飾ガーニッシュ等も、例示できる。
【符号の説明】
【0036】
1…ステアリングホイール、2…リング部(把持部)、12…リング部芯金(芯材)、13…被覆層、14…表皮層、14a,14b…端末、14c,14d…一般部、20…ライトバーユニット(加飾部)、22…ケース(取付基部)、28…前側貼着座部、28a…端末貼着面、28b…一般貼着面、30…後側貼着座部、30a…端末貼着面、30b…一般貼着面、50…カバー部、53…前側押え部、54…後側押え部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6