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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】端末装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/40
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022008965
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107669
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】蔡 晟尉
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-133006(JP,A)
【文献】特許第6517409(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置であって、
前記制御部は、
電子チケットを前記記憶部に記憶し、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にし、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、前記サーバとの通信を伴う利用開始処理により利用開始処理済みにされた前記電子チケットを表示可能にする、端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にする、請求項に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎている場合には、前記電子チケットの表示を制限する、請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記端末装置の位置情報を取得し、
前記端末装置の前記位置情報が前記電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていない場合には、前記電子チケットの表示を制限する、請求項1からのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物の運行状況を取得し、
前記1つ以上の乗り物が運行していない場合には、電子チケットの表示を制限する、請求項1からのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信不可状態で前記電子チケットを表示させた場合、前記通信不可状態であることがわかるように前記電子チケットを表示させる、請求項1からのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記通信不可状態での前記電子チケットの表示に関する履歴情報を記録し、
前記通信不可状態が終了したのちに、前記履歴情報を前記サーバに送信する、請求項1からのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項8】
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置が実行する方法であって、
電子チケットを前記記憶部に記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、前記サーバとの通信を伴う利用開始処理により利用開始処理済みにされた前記電子チケットを表示可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎている場合には、前記電子チケットの表示を制限することを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記端末装置の位置情報を取得することと、
前記端末装置の前記位置情報が前記電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていない場合には、前記電子チケットの表示を制限することと、
を含む、請求項から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物の運行状況を取得することと、
前記1つ以上の乗り物が運行していない場合には、電子チケットの表示を制限することと、
を含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記通信不可状態で前記電子チケットを表示させた場合、前記通信不可状態であることがわかるように前記電子チケットを表示させることを含む、請求項から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記通信不可状態での前記電子チケットの表示に関する履歴情報を記録することと、
前記通信不可状態が終了したのちに、前記履歴情報を前記サーバに送信することと、
を含む、請求項から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータに、
電子チケットを記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、記憶されている前記電子チケットのうち、前記サーバとの通信を伴う利用開始処理により利用開始処理済みにされた前記電子チケットを表示可能にすることと、
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
前記コンピュータに、
前記通信不可状態である場合に、記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすること
を実行させる、請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記コンピュータに、
前記電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎている場合には、前記電子チケットの表示を制限すること
を実行させる、請求項15又は16に記載のプログラム。
【請求項18】
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置であって、
前記制御部は、
電子チケットを前記記憶部に記憶し、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にし、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にする、端末装置。
【請求項19】
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置が実行する方法であって、
電子チケットを前記記憶部に記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項20】
コンピュータに、
電子チケットを記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、記憶されている前記電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置において電子チケットを管理する技術が知られている。例えば特許文献1には、端末装置に電子チケットの券面を表示させ、電子チケットが使用済みとなった場合に端末装置に表示された電子チケットの券面を変化させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/074504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末装置において電子チケットを管理する技術は、その有用性の更なる向上が求められている。例えば、端末装置が管理センターと通信して電子チケットを管理している場合において、管理センターのシステム障害、メンテナンス等により、端末装置と管理センター間で電子チケットの利用開始処理を行うことができない場合に、電子チケットを端末装置で利用することができない場合があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、端末装置において電子チケットを管理する技術の有用性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る端末装置は、
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置であって、
前記制御部は、
電子チケットを前記記憶部に記憶し、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にし、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットを表示可能にする。
【0007】
本開示の一実施形態に係る方法は、
制御部、記憶部及び通信部を備える端末装置が実行する方法であって、
電子チケットを前記記憶部に記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、前記記憶部に記憶されている前記電子チケットを表示可能にすることと、
を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
コンピュータに、
電子チケットを記憶することと、
サーバとの通信を伴う利用者の認証を実行し、前記利用者の認証に成功した場合に、前記利用者に関連付けられた前記電子チケットを表示可能にすることと、
前記サーバとの通信ができない通信不可状態である場合に、記憶されている前記電子チケットを表示可能にすることと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、端末装置において電子チケットを管理する技術の有用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】サーバの概略構成を示すブロック図である。
図3】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】端末装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】端末装置に表示された画面の一例を示す図である。
図6】端末装置に表示された画面の一例を示す図である。
図7】端末装置に表示された画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概要について説明する。図1は、システム1の概略構成を示すブロック図である。システム1は、バス10A及びタクシー10Bと、サーバ20と、端末装置30とを含む。以下、バス10A及びタクシー10Bを特に区別しない場合、単に、乗り物10と総称する。
【0013】
乗り物10は、例えばバス10A又はタクシー10B等の乗り物であるが、これらに限られず、シェアカー、シェアサイクル、電車、飛行機、ヘリコプター、又はドローン等、利用者を乗せて輸送する乗車サービスの用に供することが可能な任意の乗り物であってもよい。ただし、乗車サービスは、有償であっても、無償であってもよい。
【0014】
サーバ20は、1つ又は互いに通信可能な複数のコンピュータである。端末装置30は、例えばスマートフォンであるが、これに限られず、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又は携帯電話等、利用者が所持し得る任意のコンピュータであってもよい。
【0015】
図1には、説明の簡便のため、2つの乗り物10と、それぞれ1つずつのサーバ20及び端末装置30とが示されている。しかしながら、システム1は、任意の数の乗り物10、サーバ20、及び端末装置30を含んでいてもよい。乗り物10、サーバ20、及び端末装置30は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク40と通信可能に接続されている。
【0016】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。システム1は、例えば、電子チケットの管理システムとして用いられる。例えば、電子チケットは、乗り物10による乗車サービスで用いられる電子チケットを含むが、これに限られず、サービスの利用券、割引券等、任意の電子チケットを含んでいてもよい。サーバ20は、電子チケットの管理センターに設置され、例えば、利用者による電子チケットの利用状況の管理、端末装置30への電子チケットの配信又は端末装置30に配信された電子チケットの管理等に用いられる。一方で、電子チケットの利用者は、端末装置30を所持している。端末装置30は、電子チケットを記憶する。端末装置30は、サーバ20との通信を伴う利用者の認証を実行し、利用者の認証に成功した場合に、利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にする。端末装置30は、サーバ20との通信ができない通信不可状態である場合に、記憶されている電子チケットを表示可能にする。
【0017】
このように、本実施形態によれば、電子チケットの利用者が端末装置30に記憶された電子チケットを表示する際に、端末装置30がサーバ20と通信できない状態であっても、端末装置30に記憶された電子チケットを表示することができる。したがって、端末装置30において電子チケットの表示に制限がかかる期間を減らすことができる点で、端末装置30において電子チケットを管理する技術の有用性が向上する。
【0018】
次に、図2及び図3を参照して、システム1の各構成について詳細に説明する。図2は、サーバ20の概略構成を示すブロック図である。図3は、端末装置30の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
(サーバの構成)
図2に示されるように、サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0020】
通信部21は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。通信部21に含まれる通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、サーバ20は、通信部21及びネットワーク40を介して乗り物10及び端末装置30と通信する。なお、サーバ20は、通信部21及びネットワーク40を介して、本実施形態に係る乗り物10及び端末装置30以外のコンピュータと通信してもよい。
【0021】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。記憶部22に含まれるメモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、サーバ20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0022】
制御部23は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるが、これに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるが、これに限られない。制御部23は、サーバ20全体の動作を制御する。
【0023】
(端末装置の構成)
図3に示されるように、端末装置30は、通信部31と、測位部32と、出力部33と、入力部34と、記憶部35と、制御部36と、を備える。
【0024】
通信部31は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。通信部31に含まれる通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、端末装置30は、通信部31及びネットワーク40を介して乗り物10及びサーバ20と通信する。なお、端末装置30は、通信部31及びネットワーク40を介して、本実施形態に係る乗り物10及びサーバ20以外のコンピュータと通信してもよい。
【0025】
測位部32は、端末装置30の位置を計測し、端末装置30の位置情報を取得することが可能な1つ以上の測位装置を含む。端末装置30の位置情報は、例えば、端末装置30が位置している領域の、2次元座標又は3次元座標等の座標である。測位部32は、例えば、衛星測位システムを用いた航法又は自律航法により端末装置30の位置を計測する。測位部32は、衛星測位システムを用いた航法により端末装置30の位置を計測するために、衛星測位システムに対応する受信機を含んでいてもよい。受信機が対応する衛星測位システムは、例えばGPS(Global Positioning System)であってもよい。測位部32は、自律航法により端末装置30の位置を計測するために加速度センサ又はジャイロセンサ等のセンサを含んでいてもよい。
【0026】
出力部33は、1つ以上の出力装置を含む。出力部33に含まれる出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ又はバイブレータ等である。出力部33は、画像、音又は振動等を出力する。
【0027】
入力部34は、1つ入力装置を含む。入力部34に含まれる入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ、マイク、及びICカードリーダ等である。入力部34は、利用者による入力操作を受け付ける。出力部33及び入力部34は、例えば、タッチパネルのように、一体として形成されていてもよい。
【0028】
記憶部35は、1つ以上のメモリを含む。記憶部35に含まれるメモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部35は、端末装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部35は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部35に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0029】
制御部36は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU若しくはGPU等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGAであるが、これに限られない。専用回路は、例えばASICであるが、これに限られない。制御部36は、端末装置30全体の動作を制御する。
【0030】
(端末装置の動作フロー)
図4図5図6及び図7を参照して、本実施形態に係るシステム1における端末装置30の動作について説明する。図4は、端末装置30の動作例を示すフローチャートである。この動作は、本実施形態に係る端末装置30が実行する方法に相当する。本動作の説明において、端末装置30は、記憶部35に電子チケットを予め記憶しているものとする。また、端末装置30は、2つの電子チケットT1及びT2を記憶しているものとする。図5図6及び図7は、端末装置30に表示された画面の一例を示している。
【0031】
ステップS101:端末装置30の制御部36は、サーバ20との通信を伴う利用者の認証を実行する。
【0032】
サーバ20との通信を伴う利用者の認証には、任意の手法が採用可能である。例えば、図5に示されるように、制御部36は、出力部33として例えばディスプレイに、利用者の識別情報(例えば、登録メールアドレス)及びパスワードを入力可能なログイン画面を表示させてもよい。制御部36は、ログイン画面にて入力された利用者の識別情報及びパスワードを含む利用者の認証要求を、通信部31を介してサーバ20に送信する。
【0033】
ただし、サーバ20との通信を伴う利用者の認証に用いられる情報は、利用者の識別情報及びパスワードに限られず、利用者に関する任意の情報とされてもよい。また、制御部36は、サーバ20との通信を伴う利用者の認証を、任意のタイミングで実行してもよい。例えば、制御部36は、端末装置30において本動作に関するアプリケーションが起動された際に最初に利用者の認証を実行してもよく、或いは、入力部34を介して、電子チケットを表示させる入力操作を受け付けた場合に、利用者の認証を実行してもよい。
【0034】
ステップS102:端末装置30の制御部36は、利用者の認証に成功した場合に(ステップS101-成功)、利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にする。
【0035】
制御部36は、サーバ20に送信した利用者の認証要求に対して、利用者の認証が正常に実施されたことを示す認証結果をサーバ20から受信した場合に、利用者の認証に成功したと判定する。この際、制御部36は、利用者の認証に成功したことを、利用者の識別情報、実行時刻、受信した認証結果等とともに、利用者の認証に関する履歴情報として、記憶部35に記憶する。制御部36は、利用者の認証に成功した場合に、記憶部35に記憶された電子チケットを表示可能にする。制御部36は、ステップS104に関して後述するように、記憶部35に記憶された電子チケットのうち、所定の条件を満たす電子チケットに限って表示可能にしてもよい。所定の条件は、例えば、利用開始処理済みにされていること、最後に認証に成功した利用者に関連付けられていること、利用可能期間が過ぎていないこと、端末装置30の位置情報が電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていること、電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10が運行していること、又はこれらの組み合わせである。ただし、制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットの全てを表示可能にしてもよい。
【0036】
ステップS103:端末装置30の制御部36は、利用者の認証に失敗した場合に(ステップS101-失敗)、サーバ20との通信ができない通信不可状態であるか否かを判定する。以下、サーバ20との通信ができない状態のことを、単に「通信不可状態」ともいう。
【0037】
制御部36は、サーバ20に送信した利用者の認証要求に対して、利用者の認証が正常に実施されたことを示す認証結果をサーバ20から受信しなかった場合に、利用者の認証に失敗したと判定する。この際、制御部36は、認証に失敗したことを、利用者の識別情報、実行時刻、失敗した原因等とともに、利用者の認証に関する履歴情報として、記憶部35に記憶する。制御部36は、利用者の認証に失敗した場合に、サーバ20との通信ができない通信不可状態であるか否かを判定する。
【0038】
サーバ20との通信ができない通信不可状態であるか否かの判定には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部36は、サーバ20に送信した利用者の認証要求に対して、利用者の認証に失敗したことを示す認証結果をサーバ20から受信した場合に、通信不可状態ではないと判定する。一方で、制御部36は、利用者の認証要求に対する認証結果を所定期間受信できなかった場合、或いは、システム障害又はメンテナンス等によりサーバ20が正常に動作していない旨の通知を受信した場合に、通信不可状態であると判定する。この際、制御部36は、認証に失敗した原因が通信不可状態によるものであったことを、利用者の認証に関する履歴情報として、記憶部35に記憶してもよい。
【0039】
端末装置30の制御部36は、通信不可状態でないと判定した場合に(ステップS103-NO)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0040】
制御部36は、利用者の認証要求に対する認証結果として、利用者の認証に失敗したことを示す認証結果をサーバ20から受信した場合に、ディスプレイに図5に示されるログイン画面を再び表示させ、利用者の認証が失敗したことを示すメッセージを表示させてもよい。
【0041】
ステップS104:端末装置30の制御部36は、サーバ20との通信ができない通信不可状態である場合に(ステップS103-YES)、記憶部35に記憶されている電子チケットを表示可能にする。
【0042】
電子チケットを表示可能にすることには、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、電子チケットが表示可能であることを示す情報を記憶してもよい。制御部36は、電子チケットを表示可能にする際に、図6に示されるように、出力部33を介して、電子チケットを表示可能にすることを確認する画面をディスプレイに表示させてもよい。制御部36は、例えば、図6に示される「チケットを表示」ボタンを利用者が選択することにより、入力部34を介して、電子チケットを表示可能にする入力操作を受け付けた場合に、電子チケットを表示可能にしてもよい。これにより、端末装置30において、利用者が意図せずに、電子チケットが表示可能になってしまう蓋然性を低下させることができる。
【0043】
制御部36は、以下に説明するように、記憶部35に記憶された電子チケットのうち、所定の条件を満たす電子チケットに限って表示可能にしてもよい。所定の条件は、例えば、利用開始処理済みにされていること、最後に認証に成功した利用者に関連付けられていること、利用可能期間が過ぎていないこと、端末装置30の位置情報が電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていること、電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10が運行していること、又はこれらの組み合わせである。ただし、制御部36は、サーバ20との通信ができない通信不可状態である場合に、記憶部35に記憶された電子チケットの全てを表示可能にしてもよい。
【0044】
ステップS104において、制御部36は、通信不可状態である場合に、記憶部35に記憶されている電子チケットのうち、サーバ20との通信を伴う利用開始処理により利用開始処理済みにされた電子チケットを表示可能にしてもよい。
【0045】
本実施形態では、端末装置30の記憶部35に記憶された電子チケットは、サーバ20との通信を伴う、電子チケットの利用開始処理が実行されることで、利用可能な状態に変更される電子チケットである。制御部36は、電子チケットの利用開始処理を実行して、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、電子チケットが利用開始処理済みであることを示す情報を記憶してもよい。これにより、サーバ20が、端末装置30における電子チケットの利用状況を把握できる。このように、端末装置30においてサーバ20との通信不可状態に表示可能にする電子チケットを、サーバ20でも利用開始されたことを把握している電子チケットに限定することで、端末装置30における電子チケットの改ざん又は不正利用を防止することができる。本開示において、「電子チケットが利用開始処理済みである」とは、端末装置30において、サーバ20との通信を伴う、電子チケットの利用開始処理が正常に行われたことをいう。
【0046】
制御部36は、記憶部35に記憶されている電子チケットのうち、利用開始処理済みであることを示す情報が関連付けられた電子チケットを表示可能にしてもよい。ただし、電子チケットは、サーバ20との通信を伴う電子チケットの利用開始処理が不要な電子チケットであってもよい。
【0047】
ステップS104において、制御部36は、通信不可状態である場合に、記憶部35に記憶されている電子チケットのうち、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にしてもよい。
【0048】
制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、電子チケットを表示可能な利用者に関する情報を記憶してもよい。制御部36は、記憶部35に記憶された利用者の認証に関する履歴情報に基づいて、最後に認証に成功した利用者を判定して、当該利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にしてもよい。これにより、複数の利用者が1つの端末装置30を共用している場合に、サーバ20との通信不可状態に表示可能にする電子チケットを、最後に認証に成功した利用者に関連付けられた電子チケットに限定することで、利用者が本来は利用できない電子チケットを利用可能であると誤認することを未然に防ぐことができる。ただし、制御部36は、最後に認証に成功した利用者以外の利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にしてもよい。例えば、最後に認証に成功した利用者以外の利用者として、入力部34を介して入力操作により指定された利用者、端末装置30の所有者として登録されている利用者等が挙げられる。
【0049】
ステップS104において、制御部36は、電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎている場合には、電子チケットの表示を制限する。
【0050】
制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、電子チケットの利用可能期間を記憶してもよい。利用可能期間は、例えば、電子チケットの利用開始日時、利用終了日時、利用可能日数、利用可能時間等を含む。例えば、制御部36は、電子チケットの利用開始処理により、当該電子チケットの利用可能期間の管理を開始してもよい。制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットの利用可能期間に基づいて、電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎているか否かを判定してもよい。制御部36は、電子チケットに関連付けられた利用可能期間が過ぎている場合には、電子チケットの表示を制限する。これにより、制御部36は、利用者が利用できない電子チケットを利用可能であると誤認することを未然に防ぐことができる。
【0051】
電子チケットの表示の制限には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部36は、電子チケットを表示可能にしないことで、電子チケットの表示を制限してもよい。また例えば、制御部36は、電子チケットを表示可能にすることができる回数又は期間を制限してもよい。或いは、制御部36は、電子チケットとして表示する情報に制限を設けてもよく、電子チケットを表示する際に、電子チケットの表示が制限されていることを示す情報を電子チケットとともに表示してもよい。
【0052】
ステップS104において、制御部36は、端末装置30の位置情報を取得し、端末装置30の位置情報が電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていない場合には、電子チケットの表示を制限する。
【0053】
制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、電子チケットを利用可能な地理的範囲を記憶してもよい。電子チケットを利用可能な地理的範囲は、例えば、電子チケットにより乗り物10に乗車可能な地理的範囲である。制御部36は、測位部32により端末装置30の位置情報を取得し、端末装置30の位置情報が、電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれているか否かを判定してもよい。制御部36は、端末装置30の位置情報が電子チケットに関連付けられた地理的範囲に含まれていない場合には、電子チケットの表示を制限する。これにより、利用者が利用できない電子チケットを利用可能であると誤認することを未然に防ぐことができる。
【0054】
ステップS104において、制御部36は、電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10の運行状況を取得し、1つ以上の乗り物が運行していない場合には、電子チケットの表示を制限する。
【0055】
電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10の運行状況の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットと関連付けて、その電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10の情報を記憶してもよい。制御部36は、通信部31を介して、電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10の運行状況を提供する外部サーバにアクセスして、当該1つ以上の乗り物10の運行状況を取得してもよい。制御部36は、電子チケットで利用可能な1つ以上の乗り物10が運行していない場合には、電子チケットの表示を制限する。これにより、営業時間外、災害による運休等により、利用者が利用できない電子チケットを利用可能であると誤認することを未然に防ぐことができる。例えば、利用者が電子チケットで利用可能な乗り物10に乗るために、その乗り物10の駅等に移動してから、乗り物が運航していないと気づくようなことを未然に防ぐことができる。制御部36は、電子チケットで利用可能な乗り物10が複数ある場合、複数の乗り物10の全てが運行していない場合に、電子チケットの表示を制限してもよく、或いは、複数の乗り物10の少なくとも1つが運行していない場合に、電子チケットの表示を制限してもよい。例えば、制御部36は、電子チケットで利用可能な複数の乗り物10のうち運行していない乗り物10に関する情報を電子チケットと共に表示させることで、電子チケットの表示を制限してもよい。
【0056】
ステップS105:端末装置30の制御部36は、電子チケットを表示する。
【0057】
電子チケットの表示には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部36は、図7に示されるように、記憶部35に記憶された電子チケットのうち、表示可能にされた電子チケットを、出力部33を介して表示させる。或いは、制御部36は、記憶部35に記憶された電子チケットのうち、表示可能にされた電子チケットを、出力部33を介して一覧表示させてもよい。
【0058】
ステップS105において、制御部36は、通信不可状態で電子チケットを表示させた場合、通信不可状態であることがわかるように電子チケットを表示させてもよい。
【0059】
通信不可状態であることがわかるように電子チケットを表示させることには、任意の手法が採用可能である。例えば、図7に示されるように、制御部36は、出力部33を介して表示させた電子チケットに、「通信不可状態」と表示させ、通信不可状態であることがわかるように電子チケットを表示させてもよい。或いは、制御部36は、出力部33を介して表示させた電子チケットにおいて、サーバ20と通信可能な状態であれば動くアイコン(図示例では電車のアイコン)を静止させること、或いは、サーバ20と通信可能な状態であれば動的に表示される現在時刻を停止または非表示にすることにより、通信不可状態であることがわかるように電子チケットを表示させてもよい。これにより、端末装置30において通信不可状態で電子チケットが表示されていることが、電子チケットの利用者又は電子チケットを確認するスタッフに視認されやすくなる。制御部36は、サーバ20と通信可能になり、利用者の認証に成功した場合に、通信不可状態であることがわかるような電子チケットの表示を終了させ、通常の電子チケットの表示に戻してもよい。
【0060】
ステップS105において、制御部36は、通信不可状態での電子チケットの表示に関する履歴情報を記録し、通信不可状態が終了したのちに、履歴情報をサーバ20に送信してもよい。
【0061】
制御部36は、通信不可状態において電子チケットが表示された場合に、利用者の識別情報、表示時刻、電子チケットの識別情報等を、通信不可状態での電子チケットの表示に関する履歴情報として記憶部35に記憶してもよい。これにより、端末装置30で通信不可状態において表示された電子チケットの情報を遡って確認することができる。したがって、端末装置30において電子チケットを管理する技術の有用性が向上する。
【0062】
制御部36は、通信部31及びネットワーク40を介して、通信不可状態での電子チケットの表示に関する履歴情報を、通信不可状態が終了したのちに、サーバ20に送信してもよい。これにより、サーバ20において、当該履歴情報が、利用者による電子チケットの利用履歴の管理、不正利用の検出等の目的で利用可能になる。
【0063】
以上述べたように、本実施形態に係る端末装置30は、電子チケットを記憶する。端末装置30は、サーバ20との通信を伴う利用者の認証を実行し、利用者の認証に成功した場合に、利用者に関連付けられた電子チケットを表示可能にする。端末装置30は、サーバ20との通信ができない通信不可状態である場合に、記憶されている電子チケットを表示可能にする。
【0064】
かかる構成によれば、電子チケットの利用者が端末装置30に記憶された電子チケットを表示する際に、端末装置30がサーバ20と通信できない状態であっても、端末装置30に記憶された電子チケットを表示することができる。したがって、端末装置30において電子チケットの表示に制限がかかる期間を減らすことができる点で、端末装置30において電子チケットを管理する技術の有用性が向上する。
【0065】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0066】
例えば、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る端末装置30として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る端末装置30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 システム
10 乗り物(10A バス、10B タクシー)
20 サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 端末装置
31 通信部
32 測位部
33 出力部
34 入力部
35 記憶部
36 制御部
40 ネットワーク
図1
図2
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図7