(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ロジンフェノール樹脂組成物、粘着付与樹脂組成物、粘・接着剤組成物及びロジンフェノール樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 93/04 20060101AFI20241008BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/3432 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/375 20060101ALI20241008BHJP
C09J 193/04 20060101ALI20241008BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C08L93/04
C08K5/07
C08K5/3432
C08K5/375
C09J193/04
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2022031051
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021034983
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柳生 義貴
(72)【発明者】
【氏名】中谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】川端 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】張 慶輝
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-249811(JP,A)
【文献】特表2020-526600(JP,A)
【文献】特開2020-015904(JP,A)
【文献】特開2012-007027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C09J 1/00-5/10、9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン類(A)及びフェノール類(B)の反応物であるロジンフェノール樹脂、及び
キサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)を含
み、
前記ロジン類(A)が、湿地松、メルクシ松、カリビア松、大王松、テーダ松、雲南松及び思茅松からなる群より選択される少なくとも1種の松種に由来するロジン類である、
ロジンフェノール樹脂組成物。
【請求項2】
ロジンフェノール樹脂組成物の色調が、ガードナー色数で6以下である、請求項1に記載のロジンフェノール樹脂組成物。
【請求項3】
ロジン類(A)が、精製ロジンである、請求項1
又は2に記載のロジンフェノール樹脂組成物。
【請求項4】
キサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)の存在下、
ロジン類(A)とフェノール類(B)を反応させる工程を含
み、
前記ロジン類(A)が、湿地松、メルクシ松、カリビア松、大王松、テーダ松、雲南松及び思茅松からなる群より選択される少なくとも1種の松種に由来するロジン類である、
ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の製造方法であって、
化合物(C)の使用量が、ロジン類(A)100質量%に対して0.05~5質量%である、
ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項
4又は5に記載の製造方法であって、
化合物(C)及びフェノールスルフィド類の存在下、ロジン類(A)とフェノール類(B)を反応させる工程を含む、ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のロジンフェノール樹脂組成物を含む、粘着付与樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のロジンフェノール樹脂組成物の水分散物である、請求項
7に記載の粘着付与樹脂組成物。
【請求項9】
請求項
7又は8に記載の粘着付与樹脂組成物及びベースポリマーを含む、粘・接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロジンフェノール樹脂組成物、粘着付与樹脂組成物、粘・接着剤組成物及びロジンフェノール樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロジン系樹脂は、ホットメルトや感圧型接着剤等の粘・接着剤用の粘着付与剤、ゴムやプラスチック用の改質剤、合成ゴム用の乳化剤、チューインガム用のベース材料、道路標示塗料及びインキ用のバインダー樹脂、及び製紙用のサイズ剤など、様々な分野において用いられている。そのようなロジン系樹脂としては、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂及びそれらの金属塩等が挙げられる。
【0003】
その中で、ロジンフェノール樹脂は、アクリル系粘・接着剤、クロロプレン系粘・接着剤及びホットメルト型粘・接着剤における粘着付与剤として用いられており、それら粘・接着剤に優れた加熱安定性及び接着力を付与し得る(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2007-504325号公報
【文献】特開平10-287855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロジンフェノール樹脂は、その色調が不充分なものが多く、ガードナー色数でいえば7以上のものが殆どであった。例えば、特許文献1においても、実際に得られたロジンフェノール樹脂の色調は、ガードナー色数で8以上と開示されており、色調の点で問題があった。
【0006】
本発明は、色調が良好であるロジンフェノール樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の多環式芳香族化合物を含むロジンフェノール樹脂組成物によって、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は以下のロジンフェノール樹脂組成物、粘着付与樹脂組成物、粘・接着剤組成物及びロジンフェノール樹脂組成物の製造方法に関する。
【0008】
1.ロジン類(A)及びフェノール類(B)の反応物であるロジンフェノール樹脂、及び
キサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)を含む、ロジンフェノール樹脂組成物。
【0009】
2.ロジンフェノール樹脂組成物の色調が、ガードナー色数で6以下である、上記項1に記載のロジンフェノール樹脂組成物。
【0010】
3.ロジン類(A)が、湿地松(スラッシュ松)、メルクシ松、カリビア松、大王松、テーダ松、雲南松及び思茅松からなる群より選択される少なくとも1種の松種に由来するロジン類である、上記項1又は2に記載のロジンフェノール樹脂組成物。
【0011】
4.ロジン類(A)が、精製ロジンである、上記項1~3のいずれか1項に記載のロジンフェノール樹脂組成物。
【0012】
5.キサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)の存在下、
ロジン類(A)とフェノール類(B)を反応させる工程を含む、ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【0013】
6.上記項5に記載の製造方法であって、
化合物(C)の使用量が、ロジン類(A)100質量%に対して0.05~5質量%である、
ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【0014】
7.上記項5又は6に記載の製造方法であって、
化合物(C)及びフェノールスルフィド類の存在下、ロジン類(A)とフェノール類(B)を反応させる工程を含む、ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法。
【0015】
8.上記項1~4のいずれか1項に記載のロジンフェノール樹脂組成物を含む、粘着付与樹脂組成物。
【0016】
9.上記項1~4のいずれか1項に記載のロジンフェノール樹脂組成物の水分散物である、上記項8に記載の粘着付与樹脂組成物。
【0017】
10.上記項8又は9に記載の粘着付与樹脂組成物及びベースポリマーを含む、粘・接着剤組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明のロジンフェノール樹脂組成物は、色調が良好なものである。また、本発明の粘着付与樹脂組成物及び粘・接着剤組成物は、当該ロジンフェノール樹脂組成物を含むため、着色が抑制されており、外観が優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[ロジンフェノール樹脂組成物]
本発明のロジンフェノール樹脂組成物は、ロジン類(A)(以下、(A)成分とする)及びフェノール類(B)(以下、(B)成分とする)の反応物であるロジンフェノール樹脂、及びキサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)(以下、(C)成分とする)を含むものである。
【0020】
(ロジン類(A))
(A)成分は、特に限定されず各種公知のものを使用することができる。(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
(A)成分は、例えば、馬尾松(Pinus massoniana)、湿地松(スラッシュ松、Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、大王松(Pinus palustris)、テーダ松(Pinus taeda)、雲南松(Pinus yunnanensis)及び思茅松(Pinus kesiya)等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)、精製ロジン(以下、天然ロジンと精製ロジンを纏めて、未変性ロジンともいう)、不均化ロジン、水素化ロジン等が挙げられる。
【0022】
上記精製ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等の各種公知の精製手段を用いて得ることができる。蒸留法は、例えば、上記天然ロジンを通常200~300℃程度の温度、0.01~3kPa程度の減圧下で蒸留する方法等が挙げられる。抽出法は、例えば、上記天然ロジンをアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が挙げられる。再結晶法は、例えば、上記天然ロジンを良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が挙げられる。良溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒は、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。吸着法は、例えば、溶融状態の未変性ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の未変性ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が挙げられる。多孔質吸着剤は、例えば、活性炭、金属酸化物、たとえばアルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が挙げられる。
【0023】
上記不均化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記未変性ロジンを不均化触媒の存在下に加熱する方法(不均化)により得ることができる。不均化触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒;ニッケル、白金等の金属粉末;ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物の各種公知のものを使用できる。該触媒の使用量は、未変性ロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~1質量部程度である。反応温度は100~300℃程度であり、好ましくは150~290℃程度である。
【0024】
また、上記不均化ロジンとしては、不均化ロジンに、上記精製を施したものを使用しても良い。
【0025】
上記水素化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、公知の水素化条件を用いて上記未変性ロジンを水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素圧2~20MPa程度で、100~300℃程度に上記未変性ロジンを加熱する方法等が挙げられる。また、水素圧は5~20MPa程度、反応温度は150~300℃程度とすることが好ましい。水素化触媒としては、担持触媒、金属粉末等、各種公知のものを使用することができる。担持触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。金属粉末としては、ニッケル、白金等が挙げられる。これらの中でもパラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び白金系触媒が、上記未変性ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなるため好ましい。なお、水素化触媒の使用量は、上記未変性ロジン100質量部に対して、通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~2質量部程度である。
【0026】
上記水素化は、必要に応じて、上記未変性ロジンを溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、上記未変性ロジンに対して固形分が10質量%以上、好ましくは10~70質量%程度の範囲となるように用いればよい。
【0027】
また、上記水素化ロジンとしては、水素化ロジンに、上記精製を施したものを使用しても良い。
【0028】
本発明のロジンフェノール樹脂組成物は、(A)成分として、馬尾松(Pinus massoniana)に由来するロジン類以外のロジン類を使用しても、その色調に優れる特徴を有する。
【0029】
従来、馬尾松以外の松種、例えば、湿地松(スラッシュ松、Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、大王松(Pinus palustris)、テーダ松(Pinus taeda)、雲南松(Pinus yunnanensis)及び思茅松(Pinus kesiya)に由来するロジン類を用いて得られるロジンフェノール樹脂組成物は、馬尾松由来のロジン類を用いた場合に比べて、その色調が不充分になる傾向があった。本発明のロジンフェノール樹脂組成物は、後述する(C)成分の存在下で反応させることにより、(A)成分として馬尾松以外の松種に由来するロジン類を用いても、その色調は優れたものとなる。
【0030】
(A)成分は、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点から、上記精製ロジンが好ましい。
【0031】
(フェノール類(B))
(B)成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
(B)成分は、例えば、フェノール、ナフトール類、アルキルフェノール類、アリールフェノール類等が挙げられる。
【0033】
上記アルキルフェノール類は、例えば、o-クレゾール、o-ノルマルブチルフェノール、o-イソブチルフェノール、o-ターシャリーブチルフェノール、o-ペンチルフェノール、o-(シクロへキシル)フェノール、o-オクチルフェノール、o-ノニルフェノール、m-クレゾール、m-ノルマルブチルフェノール、m-イソブチルフェノール、m-ターシャリーブチルフェノール、m-ペンチルフェノール、m-(シクロへキシル)フェノール、m-オクチルフェノール、m-ノニルフェノール、p-クレゾール、p-ノルマルブチルフェノール、p-イソブチルフェノール、p-ターシャリーブチルフェノール、p-ペンチルフェノール、p-(シクロへキシル)フェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール等が挙げられる。
【0034】
(化合物(C))
(C)成分は、キサントン、チオキサントン、アクリドン及びアントロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
(C)成分は、それに含まれる芳香環において各種置換基を有するものでもよい。当該置換基は、例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルキニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、アルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルキニレン基、フェニル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
ロジンフェノール樹脂組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、ロジンフェノール樹脂組成物100質量%に対して、0.05~5質量%程度であるのが好ましく、0.1~0.5質量%程度であるのがより好ましい。
【0037】
なお、(C)成分の含有量は、後述する製造方法により得られるロジンフェノール樹脂組成物における(C)成分の残存量を意味する。
【0038】
(添加剤)
上記ロジンフェノール樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、各種の添加剤を含み得る。当該添加剤は、脱水剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が例示される。該添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0039】
(酸化防止剤)
上記酸化防止剤は、例えば、フェノールスルフィド類、チオホスファイト類、リン系化合物、ヒンダードフェノール類等が挙げられる。
【0040】
上記フェノールスルフィド類は、例えば、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、4,4’-ビス(フェノール)スルフィド、4,4’-ビス(フェノール)スルホキシド、4,4’-ビス(フェノール)スルホン、4,4’-ビス(フェノール)チオールスルフィナート、4,4’-ビス(フェノール)チオールスルホナート、2,2’-ビス(p-クレゾール)スルフィド、2,2’-ビス(p-クレゾール)スルホキシド、2,2’-ビス(p-クレゾール)スルホン、2,2’-ビス(p-t-ブチルフェノール)スルフィド、2,2’-ビス(p-t-ブチルフェノール)スルホキシド、2,2’-ビス(p-t-ブチルフェノール)スルホン、4,4’-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)スルホキシド、4,4’-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)スルフィド、4,4’-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)スルホキシド、4,4’-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)スルホン、4,4’-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)スルフィド、4,4’-ビス(レゾルシノール)スルフィド、4,4’-ビス(レゾルシノール)スルホキシド、4,4’-ビス(レゾルシノール)スルホン、1,1’-ビス(β-ナフトール)スルフィド、1,1’-ビス(β-ナフトール)スルホキシド、1,1’-ビス(β-ナフトール)スルホン、4,4’-ビス(α-ナフトール)スルフィド、4,4’-ビス(α-ナフトール)スルホキシド、4,4’-ビス(α-ナフトール)スルホン、t-アミルフェノールジスルフィドオリゴマー、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー、t-ブチルフェノールジスルフィドオリゴマーなどが挙げられる。
【0041】
上記チオホスファイト類は、例えば、トリラウリルトリチオホスファイト、トリデシルトリチオホスファイト、トリベンジルトリチオホスファイト、トリシクロヘキシルトリチオホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)トリチオホスファイト、トリナフチルトリチオホスファイト、ジフェニルデシルトリチオホスファイト、ジフェニルラウリルトリチオホスファイト、テトララウリル-4-オキサヘプチレン-1,7-テトラチオホスファイト、テトラキス(メルカプトラウリル)-1,6-ジメルカプトヘキシレンジホスファイト、ペンタキス(メルカプトラウリル)ビス(1,6-ヘキシレン-ジメルカプト)トリチオホスファイト、テトラキス(メルカプトラウリル)-2,9-ジメルカプト-p-メチレンジホスファイト、ビス(メルカプトラウリル)-1,6-ジメルカプトヘキシレン-ビス(ベンゼンホスファイト)、ジオクチルジチオペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルジチオペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルラウリルジチオペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0042】
上記リン系化合物は、例えば、亜リン酸、次亜リン酸及びそれらの金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等の中和物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等が挙げられる。
【0043】
上記ヒンダードフェノール類は、例えば、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、アントラキノン、トリエチレングリコールビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオールビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチルテトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、Irganox(登録商標)565等が挙げられる。
【0044】
上記酸化防止剤は、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、上記フェノールスルフィド類が好ましい。
【0045】
ロジンフェノール樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、ロジンフェノール樹脂組成物100質量%に対して、0.01~10質量%程度であるのが好ましく、0.01~1質量%程度であるのがより好ましい。
【0046】
ロジンフェノール樹脂組成物における上記酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、ロジンフェノール樹脂組成物100質量%に対して、0.01~10質量%程度であるのが好ましく、0.01~1質量%程度であるのがより好ましい。
【0047】
(ロジンフェノール樹脂組成物の製造方法)
本発明のロジンフェノール樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(C)成分及び必要に応じて酸触媒の存在下、(A)成分及び(B)成分を加熱して反応させる工程を含む方法等が挙げられる。当該反応は、反応温度が180~350℃、反応時間が6~18時間程度であればよい。
【0048】
本発明のロジンフェノール樹脂組成物の製造方法としては、
(1)必要に応じて酸触媒の存在下、温度100~200℃程度で、4~10時間程度で(A)成分及び(B)成分を反応させる工程(付加工程)、及び
(2)前記工程(1)で得られた物(付加物)を、温度250~350℃程度で、2~8時間程度反応させる工程(縮合工程)を含み、
前記工程(1)及び/又は前記工程(2)においては、(C)成分の存在下で反応させる、製造方法が好ましい。
【0049】
上記製造方法において、上記工程(1)の後に、塩基性物質を添加して酸触媒を中和させる工程(中和工程)を含めてもよい。塩基性物質としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0050】
上記製造方法において、上記工程(2)では減圧下で反応させてもよい。減圧条件は特に限定されないが、0.1~10kPa程度が好ましい。
【0051】
上記酸触媒は、特に限定されず各種公知のものを使用できる。酸触媒としては、例えば、硫酸、塩化水素、三フッ化ホウ素等の無機酸触媒、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸触媒を挙げることができる。
【0052】
上記製造方法において、(B)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して50~200質量部程度であるのが好ましい。
【0053】
上記製造方法において、(C)成分の使用量は特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、(A)成分100質量%に対して0.05~5質量%程度であるのが好ましく、0.1~0.5質量%程度であるのがより好ましい。
【0054】
上記製造方法において、上記酸触媒の使用量は特に限定されないが、(A)成分100質量部に対し、0.01~2.0質量部程度であるのが好ましい。
【0055】
上記製造方法においては、上記酸化防止剤の存在下で反応させてもよい。
【0056】
上記製造方法が上記工程(1)と上記工程(2)を含む場合、上記酸化防止剤は、工程(1)と工程(2)の両方、又はどちらか一方の工程において、使用してもよい。
【0057】
上記製造方法において、上記酸化防止剤としては特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、フェノールスルフィド類が好ましい。
【0058】
上記製造方法において、上記酸化防止剤の使用量は特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の色調に優れる点で、(A)成分100質量%に対して0.01~10質量%程度であるのが好ましく、0.05~5質量%程度であるのがより好ましい。
【0059】
(ロジンフェノール樹脂組成物の物性)
上記ロジンフェノール樹脂組成物の物性は、特に限定されない。ロジンフェノール樹脂組成物の色調は、ガードナー色数で6以下が好ましく、ガードナー色数で5以下がより好ましい。なお、本発明において、色調はJIS K 0071-2に従って測定するガードナー単位色数の値を意味する。
【0060】
なお、本発明においてのガードナー色数は次の通りとする。ガードナー色数が「5から6の間」とは、ガードナー色数が5、5+、5-6、6-、6であることを示しており、この場合、「5+」は5より色調が暗く、「6-」は6より色調が明るく、「5-6」は5+より色調が暗いが6-より明るい、ことを意味する。また、ガードナー色数が「6以下」とは、ガードナー色数が6、6-、5-6、5+、5以下の自然数であることを示しており、6+、6-7、7以上の自然数は含まないことを示す。
【0061】
[粘着付与樹脂組成物]
本発明の粘着付与樹脂組成物は、本発明のロジンフェノール樹脂組成物を含むものである。本発明のロジンフェノール樹脂組成物は、粘・接着剤(後述の粘・接着剤組成物を含む)に用いられることにより、粘着付与剤として機能し得る。
【0062】
上記粘着付与樹脂組成物は、所望の特性を損なわない限り、必要に応じて可塑剤、上記酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、上記ロジンフェノール樹脂組成物以外の粘着付与剤等の各種添加剤を含めてもよい。
【0063】
上記粘着付与樹脂組成物におけるロジンフェノール樹脂組成物の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で、粘着付与樹脂組成物100質量部に対して、95~100質量部程度が好ましい。上記粘着付与樹脂組成物における添加剤の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で、粘着付与樹脂組成物100質量部に対して、0~5質量部程度が好ましい。
【0064】
(ロジンフェノール樹脂組成物の水分散物)
本発明の粘着付与樹脂組成物は、本発明のロジンフェノール樹脂組成物の水分散物(以下、単に水分散物とも称する)であってもよい。
【0065】
上記水分散物は、上記ロジンフェノール樹脂組成物及び乳化剤を含む組成物(エマルジョン)である。
【0066】
上記乳化剤は、特に限定されず各種公知のものを使用できる。具体的には、モノマーを重合させて得られる高分子量乳化剤、低分子量アニオン性乳化剤、低分子量ノニオン性乳化剤等が挙げられる。上記乳化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
上記高分子量乳化剤の製造に用いられるモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系ビニルモノマー類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸系ビニルモノマー類;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸系ビニルモノマー類;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステル系ビニルモノマー等のリン酸系ビニルモノマー類;及びこれら各種有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー類;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、炭素数6~22のα-オレフィン、ビニルピロリドン等のその他のモノマー類などが挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせても良い。
【0068】
上記高分子量乳化剤の製造に用いられるモノマーは、重合性及び得られる高分子乳化剤の乳化性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、スルホン酸系ビニルモノマー類のアルカリ金属塩、スチレン類が好ましい。
【0069】
上記高分子量乳化剤の重合方法は、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子量乳化剤以外の非反応性乳化剤等を用いた乳化重合などが挙げられる。非反応性乳化剤は、例えば、後述する低分子量アニオン性乳化剤、低分子量ノニオン性乳化剤等が挙げられる。
【0070】
上記高分子量乳化剤の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1,000~500,000程度とすることが、得られる水分散物の粘着特性の点で好ましい。なお、本明細書において、上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法におけるポリエチレンオキシド換算値をいう。
【0071】
上記高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基と、アルキル基、フェニル基などの疎水基を有するものであって、分子中に炭素-炭素二重結合を有するものをいう。炭素-炭素二重結合としては、たとえば、(メタ)アリル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、ビニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基等の官能基があげられる。
【0072】
上記反応性乳化剤は、例えば、上記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル系、上記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル系、及びそれらのスルホコハク酸エステル塩や硫酸エステル塩等が挙げられ、更に、上記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系、及びそのスルホコハク酸エステル塩、その硫酸エステル塩、そのリン酸エステル塩、その脂肪族もしくは芳香族カルボン酸塩等が挙げられる。その他、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4-256429号公報参照)、特開昭63-23725号公報、特開昭63-240931号公報、特開昭62-104802号公報に記載の乳化剤等の各種のものがあげられる。さらに、上記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものも挙げられる。
【0073】
上記反応性乳化剤の市販品は、例えば、「KAYAMER PM-1」、「KAYAMER PM-2」、「KAYAMER PM-21」(以上、日本化薬(株)製)、「SE-10N」、「NE-10」、「NE-20」、「NE-30」、「アデカリアソープSR-10」、「アデカリアソープSR-20」、「アデカリアソープER-20」(以上、(株)ADEKA製)、「ニューフロンティアA229E」、「ニューフロンティアN117E」、「ニューフロンティアN250Z」、「アクアロンRN-10」、「アクアロンRN-20」、「アクアロンRN-50」、「アクアロンHS-10」、「アクアロンKH-05」、「アクアロンKH-10」(以上、第一工業製薬(株)製)、「エミノールJS-2」(三洋化成工業(株)製)、「ラテルムK-180」(花王(株)製)等がその代表例として挙げられる。
【0074】
上記反応性乳化剤は、重合性及び得られる高分子乳化剤の乳化性の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系が好ましい。
【0075】
上記低分子量アニオン性乳化剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0076】
上記低分子量ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0077】
上記水分散物における乳化剤の含有量は、特に限定されないが、乳化性に優れる点から、固形分換算で、ロジンフェノール樹脂組成物100質量部に対して、1~20質量部程度が好ましく、2~10質量部程度がより好ましい。
【0078】
上記水分散物は、所望の特性を損なわない限り、必要に応じて架橋剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、アンモニア水や重曹等のpH 調整剤等を含めてもよい。
【0079】
上記防腐剤は、例えば、チアゾリン系防腐剤、ベンゾイソチアゾール系防腐剤等が挙げられる。
【0080】
上記水分散物は、上記乳化剤の存在下、ロジンフェノール樹脂組成物を乳化させることで得られる。乳化方法としては、特に限定されず、高圧乳化法、転相乳化法等の公知の乳化法を採用することができる。
【0081】
上記高圧乳化法は、ロジンフェノール樹脂組成物を溶融状態とした上で、乳化剤と水を予備混合して、高圧乳化機を用いて微細乳化した後、必要に応じて溶剤を除去する方法である。被乳化物を溶融状態とする方法は、加熱のみでも、溶剤に溶解してから加熱しても、可塑剤等の非揮発性物質を混合して加熱してもよいが、加熱のみで行うことが好ましい。なお、溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル等の被乳化物を溶解できる有機溶剤が挙げられる。
【0082】
上記転相乳化法は、ロジンフェノール樹脂組成物を加熱溶融した後、撹拌しながら乳化剤・水を加え、まずW/Oエマルジョンを形成させ、次いで、水の添加や温度変化等によりO/Wエマルジョンに転相させる方法である。
【0083】
このようにして得られた水分散物の濃度は特に限定されないが、通常は固形分が20~70質量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られた水分散物の体積平均粒子径は、貯蔵安定性の点から、0.7μm未満程度であることが好ましい。また、得られた水分散物は、白色ないし乳白色の外観を呈し、粘度は通常10~1,000mPa・s程度(温度25℃、濃度50質量%)である。
【0084】
上記で得られた水分散物のpHは、通常2~10程度である。また、当該水分散物は、必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;モノメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;エチルアミン、n-ブチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を適宜添加して、pHを調整しても良い。
【0085】
[粘・接着剤組成物]
本発明の粘・接着剤組成物は、本発明のロジンフェノール樹脂組成物(又は、本発明の粘着付与樹脂組成物)及びベースポリマーを含むものである。また、本発明の粘・接着剤組成物は、粘・接着剤として使用することができる。なお、本明細書において、「粘・接着剤」とは、粘着剤及び接着剤のいずれか一方又は両方を含むことを明らかにしたものである。
【0086】
上記ベースポリマーは、例えば、アクリル系重合体、合成ゴム系エラストマー、オレフィン系重合体、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックス及び合成樹脂系エマルジョン等が挙げられる。該ベースポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。該ベースポリマーは、さらに必要に応じて架橋剤、消泡剤、粘度調整剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、アンモニア水や重曹等のpH 調整剤、レベリング剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、着色剤(顔料、染料等)、界面活性剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を使用することもできる。
【0087】
本発明の粘・接着剤組成物において、粘着付与樹脂組成物として上記水分散物を用いる場合、ベースポリマーとしてはアクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックス及び合成樹脂系エマルジョン等の水系組成物を用いるのが好ましい。
【0088】
本発明の粘・接着剤組成物において、粘着付与樹脂組成物として上記水分散物及びベースポリマーとして上記水系組成物を含む場合は、粘・接着剤組成物の濃度は、通常は固形分が40~70質量%程度であり、好ましくは55~70質量%である。
【0089】
(アクリル系重合体)
上記アクリル系重合体としては、一般に各種のアクリル系粘・接着剤に用いられているものを使用でき、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー成分の重合物等が挙げられる。上記アクリル系重合体の製造方法は、各種公知の重合方法が用いられ、例えば、重合開始剤の存在下に、上記モノマー成分をラジカル重合させる方法が挙げられる。重合方法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。上記アクリル系重合体は、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0090】
上記アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
上記アクリル系重合体における上記モノマー成分は、更に、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーを含み得る。そのようなモノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
【0092】
上記カルボキシル基含有モノマーは、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が挙げられる。
【0093】
上記水酸基含有モノマーは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
【0094】
上記アミド基含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0095】
上記アミノ基含有モノマーは、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0096】
上記エポキシ基含有モノマーは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記シアノ基含有モノマーは、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。上記ケト基含有モノマーは、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート等が挙げられる。
【0097】
上記窒素原子含有環を有するモノマーは、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0098】
上記アルコキシシリル基含有モノマーは、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0099】
上記多官能モノマーは、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0100】
上記モノマー成分におけるアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーの含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して40質量%以下程度であるのが好ましい。
【0101】
上記モノマー成分は、更に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、等のモノマーを含み得る。これらモノマーの含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して10質量%以下程度であるのが好ましい。
【0102】
上記重合開始剤は、特に限定されず、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩等のアゾ系開始剤;1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤等が挙げられる。重合開始剤は単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0103】
上記アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常、100,000~5,000,000程度の範囲である。アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、粘着特性を向上させる観点から、好ましくは1,500,000以下、より好ましくは1,000,000以下であり、凝集性等の観点から、好ましくは200,000以上、より好ましくは300,000以上である。なお、本明細書において、上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法におけるポリスチレン換算値をいう。
【0104】
上記アクリル系重合体とロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物による改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による耐熱保持力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、アクリル系重合体100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常2~40質量部程度とするのがよい。
【0105】
(合成ゴム系エラストマー)
上記合成ゴム系エラストマーとしては、粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。上記合成ゴム系エラストマーは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0106】
上記合成ゴム系エラストマーは、例えば、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジンゴム、ポリブタジエン、メチルメタクリレート・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ポリクロロプレン(CR)等が挙げられる。
【0107】
上記合成ゴム系エラストマーとロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物による改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、合成ゴム系エラストマー100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常15~210質量部程度とするのがよい。
【0108】
(オレフィン系重合体)
上記オレフィン系重合体は、各種オレフィン類を含むモノマー成分の重合体であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記オレフィン系重合体は、例えば、各種オレフィン類の単独重合物であるオレフィン系単独重合体、各種オレフィン類と共重合可能な単量体との共重合物であるオレフィン系共重合体等が挙げられる。上記オレフィン系重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0109】
上記オレフィン類は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ブチレン、イソプレン、ペンテン、ペンタジエン、オクテン、イソオクテン、ヘキセンやヘキサジエンの各種異性体、ヘプテンやヘプタジエンの各種異性体;各種αオレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエニル等の環状オレフィンが挙げられる。上記オレフィン類は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0110】
上記オレフィン類と共重合可能な単量体は、例えば、酢酸ビニル、上記(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。上記共重合可能な単量体は、酢酸ビニルが好ましい。上記共重合可能な単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
上記オレフィン系共重合体における上記共重合可能な単量体の使用量は、特に限定されないが、上記オレフィン系共重合体100質量%に対して、20~45質量%程度の範囲であるのが好ましい。
【0112】
上記オレフィン系単独重合体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-αオレフィン共重合体、非晶性アタクチックポリプロピレン等が挙げられる。上記オレフィン系共重合体は、例えば、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレンメチルメタクリレート共重合体(EMMA)等が挙げられる。上記オレフィン系共重合体は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
【0113】
上記オレフィン系重合体とロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物による改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、オレフィン系重合体100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常50~150質量部程度とするのがよい。
【0114】
(アクリル系重合体エマルジョン)
上記アクリル系重合体エマルジョンとしては、水系粘・接着剤に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー成分からのアクリル系重合体のエマルジョン等が挙げられる。上記アクリル系重合体エマルジョンの製造方法は、各種公知の乳化重合法が用いられ、例えば、重合開始剤の存在下に、該モノマー成分の一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法等の公知の乳化重合法により容易に製造することができる。上記アクリル系重合体エマルジョンは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0115】
上記アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、上記アクリル系重合体において用いられるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0116】
上記アクリル系重合体エマルジョンにおける上記モノマー成分は、更に、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーを含み得る。そのようなモノマーとしては、例えば、上記アクリル系重合体において用いられるカルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
【0117】
上記モノマー成分におけるアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーの含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して40質量%以下程度であるのが好ましい。
【0118】
上記モノマー成分は、更に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、等のモノマーを含み得る。これらモノマーの含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して10質量%以下程度であるのが好ましい。
【0119】
上記重合開始剤は、特に限定されず、例えば、上記アクリル系重合体において用いられる重合開始剤が挙げられる。
【0120】
上記アクリル系重合体エマルジョンにおけるアクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常、100,000~5,000,000程度の範囲である。アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、粘着特性を向上させる観点から、好ましくは1,500,000以下、より好ましくは1,000,000以下であり、凝集性等の観点から、好ましくは200,000以上、より好ましくは300,000以上である。なお、本明細書において、上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法におけるポリスチレン換算値をいう。
【0121】
上記アクリル系重合体エマルジョンとロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物による改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による耐熱保持力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、アクリル系重合体エマルジョン100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常2~40質量部程度とするのがよい。
【0122】
(ゴム系ラテックス)
上記ゴム系ラテックスとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。上記ゴム系ラテックスは、例えば、天然ゴムラテックス、合成ゴム系ラテックスが挙げられる。天然ゴムラテックスは、天然ゴムに(メタ)アクリル酸アルキルエステル等をグラフトした変性天然ゴムでもよい。上記ゴム系ラテックスは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0123】
上記合成ゴム系ラテックスは、合成高分子の水分散体である。そのような合成高分子としては、例えば、上記合成ゴム系エラストマーが挙げられる。
【0124】
上記ゴム系ラテックスとロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物による改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、ゴム系ラテックス100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常10~150質量部程度とするのがよい。
【0125】
(合成樹脂系エマルジョン)
上記合成樹脂系エマルジョンとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンが挙げられる。上記合成樹脂系エマルジョンは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0126】
上記合成樹脂系エマルジョンとロジンフェノール樹脂組成物の含有比率は、特に限定されないが、ロジンフェノール樹脂組成物の改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、合成樹脂系エマルジョン100質量部に対して、ロジンフェノール樹脂組成物を通常2~40質量部程度とするのがよい。
【0127】
上記粘・接着剤組成物において、ベースポリマーとしてアクリル系重合体、合成ゴム系エラストマー、オレフィン系重合体を用いる場合は、ワニスタイプ及びホットメルトタイプのいずれの状態でも使用できる。
【0128】
上記ワニスタイプとして粘・接着剤組成物を使用する場合には、各種有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸エチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。有機溶剤の使用量は特に限定されないが、通常、上記ベースポリマー100質量部に対して通常、100~500質量部程度である。
【0129】
上記ホットメルトタイプとして粘・接着剤組成物を使用する場合には、上記したワニスタイプに使用され得る有機溶剤は特に必要とされない。
【0130】
本発明の粘・接着剤組成物は、所望の特性を損なわない限り、必要に応じて架橋剤、オイル、ワックス、消泡剤、粘度調整剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、アンモニア水や重曹等のpH 調整剤、レベリング剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、着色剤(顔料、染料等)、界面活性剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含めてもよい。
【0131】
上記架橋剤は、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、通常、ベースポリマー100質量部に対して10質量部以下、好ましくは0.01~1.0質量部程度である。
【0132】
上記イソシアネート系架橋剤は、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類;及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体、並びに、ビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体及びアダクト体からなる群より選択される2種以上が反応して得られる複合体等が挙げられる。
【0133】
上記エポキシ系架橋剤は、例えば、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
【0134】
上記オイルは、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルや、芳香族系オイル等の可塑化オイルが挙げられる。オイルは、ナフテン系プロセス油、パラフィン系プロセス油、液状ポリブテン等が好ましい。
【0135】
上記オイルの含有量は、特に限定されないが、通常、上記ベースポリマー100質量部に対し、4~200質量部程度であるのが好ましい。
【0136】
上記ワックスは、例えば、蜜蝋、鯨蝋及びセラック蝋等の動物由来ワックス;カルナバ蝋、木蝋、米糠蝋及びキャンデリラワックス等の植物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス;フィシャー・トロプシュワックス、低分子量ポリエチレンワックスなどの合成ワックス;及びモンタンワックス及びオゾケライト等の鉱物由来ワックスが挙げられる。上記ワックスは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0137】
上記ワックスの含有量は、特に限定されないが、通常、上記ベースポリマー100質量部に対し、10~100質量部程度であるのが好ましい。
【0138】
本発明の粘・接着剤組成物は、上記ロジンフェノール樹脂組成物(又は上記粘着付与樹脂組成物)と上記ベースポリマーと、必要に応じて各種有機溶剤と添加剤とを混合させることで得られる。混合方法としては、特に限定されず各種公知の方法を用いることができる。
【0139】
[粘・接着シート]
本発明の粘・接着シートは、上記粘・接着剤組成物からなる粘・接着層及び基材を含むものである。本発明の粘・接着シートは、当該粘・接着層を基材の片面または両面に有する形態の基材付き粘・接着シートであってもよく、当該粘・接着層が剥離ライナー(剥離面を備える基材としても把握され得る。)に保持された形態等の基材レスの粘・接着シートであってもよい。ここでいう粘・接着シートの概念には、粘・接着テープ、粘・接着ラベル、粘・接着フィルム等と称されるものが包含され得る。
【0140】
上記基材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等)製フィルム、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)製フィルム、塩化ビニル系樹脂製フィルム、酢酸ビニル系樹脂製フィルム、ポリイミド系樹脂製フィルム、ポリアミド系樹脂製フィルム、フッ素系樹脂製フィルム、その他セロハン類等のプラスチックフィルム類;和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等の紙類;綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等の布類;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート類;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体からなる発泡体シート類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体;等を用いることができる。上記フィルムは、無延伸タイプ、延伸タイプ(1軸延伸タイプまたは2軸延伸タイプ)の何れであってもよい。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0141】
なお、基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0142】
基材の表面(特に、ポリマー層側の表面)には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理、背面処理等の化学的処理などの適宜な公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0143】
本発明の粘・接着シートは、公知方法にて製造することができる。始めに、基材の片面又は両面に上記粘・接着剤組成物を塗工して、当該粘・接着剤組成物からなる塗工層を形成する。塗工方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、及びグラビアコーター法等が挙げられる。 次に、塗工層を加熱または乾燥させることにより、上記粘・接着剤組成物からなる粘・接着層を形成する。加熱または乾燥時の条件は、粘・接着層の厚みなどにより適宜設定することができ、温度は例えば10~120℃であり、時間は例えば0.1~10時間である。当該粘・接着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは5~200μmである。
【実施例】
【0144】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は特に断りがない限り、質量基準である。
【0145】
[ロジンフェノール樹脂組成物の製造]
実施例1
攪拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0146】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.2部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0147】
実施例3
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.1部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0148】
実施例4
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を2.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0149】
実施例5
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を4.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0150】
実施例6
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、チオキサンテン-9-オン(チオキサントン)(富士フィルム和光純薬(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0151】
実施例7
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、アントロン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0152】
実施例8
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、9(10H)-アクリドン(アクリドン)(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0153】
実施例9
実施例1と同様の反応容器に、中国産湿地松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0154】
実施例10
実施例1と同様の反応容器に、中国産雲南松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0155】
実施例11
実施例1と同様の反応容器に、中国産思茅松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0156】
実施例12
実施例1と同様の反応容器に、ブラジル産カリビア松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、キサントン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0157】
比較例1
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0158】
比較例2
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、アントラキノン(川崎化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0159】
比較例3
実施例1と同様の反応容器に、中国産馬尾松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、9-フルオレノン(東京化成工業(株)製)を0.5部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0160】
比較例4
実施例1と同様の反応容器に、中国産湿地松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0161】
比較例5
実施例1と同様の反応容器に、中国産雲南松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0162】
比較例6
実施例1と同様の反応容器に、中国産思茅松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0163】
比較例7
実施例1と同様の反応容器に、ブラジル産カリビア松に由来するガムロジン100.0部、フェノール150.0部仕込んだ後、100℃まで昇温し、96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に4時間反応させた。消石灰を3.0部、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名「Lowinox TBM-6」、Addivant社製)を0.1部加えた後、10kPaに減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させて、ロジンフェノール樹脂組成物を得た。
【0164】
(色調の測定)
実施例1~12及び比較例1~7におけるロジンフェノール樹脂組成物及び原料の天然ロジンの色調(ガードナー色数)を、JISK0071-2に準じて測定した。結果を表1に示す。
【0165】
【表1】
表1中の注釈は以下の通りである。
※各実施例及び比較例におけるロジン類(A)100質量%に対する化合物(C)の使用量(質量%)の値である。