(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車載システム及び機能学習提示プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/0962 20060101AFI20241008BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241008BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G08G1/0962
G08G1/00 A
G08G1/00 D
G09B19/00 H
(21)【出願番号】P 2022045422
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2021184859
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】野原 雅史
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 將隼
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 朝樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】北村 遥
(72)【発明者】
【氏名】李 昊舟
(72)【発明者】
【氏名】小林 太郎
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-53099(JP,A)
【文献】特開2018-37002(JP,A)
【文献】特表2021-517534(JP,A)
【文献】特開2007-62494(JP,A)
【文献】特開2012-145671(JP,A)
【文献】特開2020-160941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの運転習熟度を取得する運転習熟度取得部(8a)と、
ドライバの運転習熟度を判定する運転習熟度判定部(8b)と、
前記運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示する機能学習提示部(8c)と、を備える車載システム。
【請求項2】
前記運転習熟度取得部は、車両データを取得すると共にドライバの運転能力データを取得し、ドライバの運転習熟度を取得する請求項1に記載した車載システム。
【請求項3】
前記機能学習提示部は、運転操作の安全が確保されている状況において、機能の学習をドライバに段階的に提示する請求項1に記載した車載システム。
【請求項4】
機能の学習状況を取得する学習状況取得部(8d)と、
機能の学習状況を判定する学習状況判定部(8e)と、
機能の学習状況の判定結果を報知する学習判定結果報知部(8f)と、を備える請求項1に記載した車載システム。
【請求項5】
前記機能学習提示部は、機能の学習状況が所定レベルに達したと判定されると、次の機能の学習をドライバに提示する請求項1に記載した車載システム。
【請求項6】
ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過した場合に、機能を抑制する機能抑制部(8g)を備え、
前記機能学習提示部は、機能が前記機能抑制部より抑制されると、機能の抑制をドライバに提示する請求項1に記載した車載システム。
【請求項7】
前記機能学習提示部は、前記運転習熟度が基準レベルまで低下した場合に、機能を抑制する機能抑制部(8g)を備え、
前記機能学習提示部は、機能が前記機能抑制部より抑制されると、機能の抑制をドライバに提示する請求項1に記載した車載システム。
【請求項8】
前記機能学習提示部は、前記運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習が可能であるか否かを判定し、機能の学習が可能であると判定すると、機能の事前学習をドライバに提示する請求項1に記載した車載システム。
【請求項9】
前記機能学習提示部は、運転操作中のシミュレーションを用いて機能の事前学習をドライバに提示する請求項8に記載した車載システム。
【請求項10】
他のドライバの運転操作履歴を取得する運転操作履歴取得部(8h)と、
他のドライバの運転操作履歴から他のドライバの車両設定情報を取得する車両設定情報取得部(8i)と、
ドライバの車両設定情報を、他のドライバの車両設定情報に追従して変更する車両設定情報変更部(8j)と、を備える請求項1に記載した車載システム。
【請求項11】
前記車両設定情報変更部は、ドライバの車両設定情報を、当該ドライバの運転習熟度、当該ドライバの嗜好、当該ドライバの視点方向のうち少なくとも何れか一つに応じて変更する請求項10に記載した車載システム。
【請求項12】
車載システム(3)に、
ドライバの運転習熟度を取得する運転習熟度取得手順と、
ドライバの運転習熟度を判定する運転習熟度判定手順と、
前記運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示する学習提示手順と、を実行させる機能学習提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システム及び機能学習提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動中のドライバに対し、ドライバに適した学習コンテンツを提示することで、ドライバの学習支援を行う構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年市場に供給される車両には多種多様な機能が搭載されている。車両に搭載されている機能を使いこなすには複雑な操作や知識を要する場合があるが、運転の興味が薄いドライバや運転頻度が少ないドライバ等にとっては、複雑な操作や知識を覚えることに抵抗があり、機能を使いこなすことが難しい現状がある。一方、車両メーカは、機能の使い方を説明書だけでなく、多種多様なメディアで紹介して様々な手段で伝えようとしているが、そもそも機能に対して関心を持たないドライバは、機能を知ろうとする意欲が低いので、結局、機能が使われない状態になってしまう。
【0005】
このような背景から、車両に搭載されている機能をドライバに学習させることが望まれている。特許文献1に開示されている手法は車両に搭載されている機能とは無関係の学習コンテンツを提示するものであり、車両に搭載されている機能をドライバに学習させることはできない。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載されている機能をドライバに適切に学習させることができる車載システム及び機能学習提示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、運転習熟度取得部(8a)は、ドライバの運転習熟度を取得する。運転習熟度判定部(8b)は、ドライバの運転習熟度を判定する。機能学習提示部(8c)は、運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示する。
【0008】
ドライバの運転習熟度を取得して判定し、その運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示するようにした。機能の学習をドライバに段階的に提示することで、ドライバが機能を段階的に習得することを期待することができ、徐々にレベルアップしていく達成感をドライバに持たせることができる。これにより、車両に搭載されている機能をドライバに適切に学習させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態を示し、データ通信システムの構成を示す機能ブロック図
【
図6】第2実施形態を示し、セントラルECUの機能ブロック図
【
図8】第3実施形態を示し、機能事前学習提示処理を示すフローチャート
【
図9】第4実施形態を示すセントラルECUの機能ブロック図
【
図10】車両設定情報変更処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。尚、後述する実施形態において、先行する実施形態と重複する部分について説明を省略することがある。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1から
図5を参照して説明する。
図1に示すように、データ通信システム1は、車両外部の非車載システム2と、車両に搭載されている車載システム3とを備える。非車載システム2は、地図生成サーバ4と、機能管理サーバ5と、携帯情報端末6とを備える。携帯情報端末6は例えばスマートフォン等である。地図生成サーバ4、機能管理サーバ5及び携帯情報端末6は、それぞれ例えばデジタル通信回線を含む通信ネットワークを介して車載システム3とデータ通信可能である。又、携帯情報端末6は、車内に持ち込まれた状態で車載システム3とデータ通信可能である。車載システム3と地図生成サーバ4及び機能管理サーバ5とはそれぞれ複数対一の関係にある。即ち、複数の車載システム3が一の地図生成サーバ4とデータ通信可能に接続可能であり、複数の車載システム3が一の機能管理サーバ5とデータ通信可能に接続される。
【0011】
地図生成サーバ4は、OEMやデータサプライヤ等により管理されるサーバであり、複数のプローブデータを統合してプローブデータ地図を生成する機能を有する。地図生成サーバ4は、車載システム3から送信されたプローブデータを受信して取得すると、複数のプローブデータを統合してプローブデータ地図を生成する。地図生成サーバ4は、例えば車載システム3から送信されたプローブデータを受信して取得する毎に、その取得したプローブデータに含まれる地物情報を、その時点で保存している最新のプローブデータ地図に逐次反映させることでプローブデータ地図を逐次更新する。
【0012】
地図生成サーバ4は、プローブデータ地図の送信条件が成立すると、その時点で保存している最新のプローブデータ地図を車載システム3へ送信する。地図生成サーバ4は、例えばプローブデータ地図を区画毎のセグメント単位で管理しており、車載システム3から送信された自車位置を受信して取得すると、その取得した自車位置に対応するセグメントのプローブデータ地図を特定し、その特定したプローブデータ地図を、通信ネットワークを介して自車位置の送信元である車載システム3へ送信する。
【0013】
機能管理サーバ5は、OEMやデータサプライヤ等により管理されるサーバであり、車両に関する機能を管理する機能を有する。機能管理サーバ5は、携帯情報端末6から送信された個人認証データを受信して取得すると、その取得した個人認証データに基づいて個人認証を行う。機能管理サーバ5は、車載システム3から送信されたドライバの運転データを受信して取得すると、その取得したドライバの運転データに基づいてドライバに適する推奨機能を特定する。機能管理サーバ5は、ドライバの運転データからドライバの運転技術を解析し、例えば走行レーンをキープする技術が不安定であると判定すると、走行支援の機能であるレーンキーピングアシスト(以下、LKA(Lane Keeping Asist)と称する)やレーントレーシングアシスト(以下、LTA(Lane Tracing Assist)と称する)等がドライバの運転にとって効果的であると判定し、その効果的であると判定したLKAやLTAの機能を推奨機能として特定する。 機能管理サーバ5は、推奨機能を特定すると、その特定した推奨機能に関する推奨機能情報を車載システム3や携帯情報端末6へ送信する。
【0014】
車載システム3や携帯情報端末6は、機能管理サーバ5から送信された推奨機能情報を受信して取得すると、その取得した推奨機能情報をドライバに報知し、推奨機能をドライバに提示する。即ち、ドライバは、車内では推奨機能が車載システム3により提示されることで、機能管理サーバ5により特定された推奨機能を認識することができ、車外でも推奨機能が携帯情報端末6により提示されることで、機能管理サーバ5により特定された推奨機能を認識することができる。尚、推奨機能はLKAやLTAに限らず、ドライバの運転にとって効果的な機能であればどのような機能であっても良い。
【0015】
図2に示すように、車載システム3は、データコミュニケーションモジュール(以下、DCM(Data Communication Module)と称する)7と、セントラルECU(Electronic Control Unit)8と、ADAS(Advanced Driver Assistance System)ドメインECU9と、コックピットドメインECU10と、ボデーECU11と、パワートレインドメインECU12とを備える。
【0016】
DCM7及び各ECU8~12は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータを備える。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、DCM7及び各ECU8~12の動作全般を制御する。マイクロコンピュータはプロセッサと同じ意味である。非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。DCM7及び各ECU8~12は、連携して車載システム3の動作全般を制御する。
【0017】
DCM7は、車載通信機としてV2X(Vehicle to X)の通信機能を有し、上記した地図生成サーバ4及び機能管理サーバ5を含むインフラ設備等との間のデータ通信における車両側の通信制御を行う。
【0018】
セントラルECU8は、ADASドメインECU9、コックピットドメインECU10及びパワートレインドメインECU12を統合管理する。ADASドメインECU9は、自車位置推定部9aと、自車周辺認識部9bと、注意箇所特定部9cと、ドライバ状態認識部9dと、地図品質判定部9eと、安全確認判定部9fと、運転介入実施部9gとを備える。コックピットドメインECU10は、報知制御部10aを備える。
【0019】
ロケータ13は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から受信されたGNSS衛星信号に含まれる各種パラメータを用いて位置座標を計算し、その計算した位置座標をジャイロセンサや車速センサ等の検知結果により補正し、その補正した位置座標を自車位置推定部9aへ出力する。尚、GNSSは、汎地球測位航法衛星システムの総称であり、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、BeiDou、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)等の多様なシステムが実現されている。自車位置推定部9aは、ロケータ13から位置座標を入力すると、その入力した位置座標を用いて自車位置を推定し、その推定した自車位置をDCM7へ出力する。
【0020】
ミリ波レーダ14は、ミリ波を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部9bへ出力する。ミリ波レーダ14は、直進性が強い、回路やアンテナ設計の小型化が可能である、広帯域幅により高距離分解能及び高角度分解能である、天候等の環境変化に強い等の利点がある。ソナー15は、例えば超音波を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部9bへ出力する。ソナー15は、ガラス面や水面にも反射する等の利点がある。
【0021】
LiDAR(Light Detection and Ranging)16は、レーザ光を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部9bへ出力する。LiDAR16は、非金属にも反射する、夜間や降雨でも検知可能である等の利点がある。カメラ17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の画像センサを含み、自車周辺を撮像し、その撮像したカメラ画像を自車周辺認識部9bへ出力する。ミリ波レーダ14、ソナー15、LiDAR16及びカメラ17は、自律系センサである。尚、ミリ波レーダ14、ソナー15、LiDAR16及びカメラ17の全てを備える必要はなく、少なくとも何れか一つの自律系センサを備える構成でも良い。又、ミリ波レーダ14、ソナー15、LiDAR16及びカメラ17とは別の自律系センサを備える構成でも良い。
【0022】
自車周辺認識部9bは、ミリ波レーダ14から検知結果を入力し、ソナー15から検知結果を入力し、LiDAR16から検知結果を入力し、カメラ17からカメラ画像を入力すると、その入力した検知結果及びカメラ画像を用いて自車周辺を認識し、その認識した自車周辺の周辺情報をDCM7、地図品質判定部9e、安全確認判定部9f及び運転介入実施部9gへ出力する。周辺情報には、静的な情報として、道路の路面上にペイントされている区画線、停止線、横断歩道等の位置や種別、道路の路面上から立設されている信号機、道路標識等の位置や種別、道路幅、道路種別、車線数等の地物情報が含まれる。又、周辺情報には、動的静的な情報として、歩行者、自転車及び対向車の位置等が含まれる。
【0023】
DCM7は、自車位置推定部9aから自車位置を入力し、自車周辺認識部9bから自車周辺の周辺情報を入力すると、その入力した自車位置と自車周辺の周辺情報と時刻とが対応付けられたプローブデータを通信ネットワークを介して地図生成サーバ4へ送信する。この場合、DCM7は、例えば走行距離が一定距離に達したタイミング、経過時間が一定時間に達したタイミング等でプローブデータを通信ネットワークを介して地図生成サーバ4へ送信する。
【0024】
DCM7において、プローブデータ地図取得部2aは、地図生成サーバ4から送信されたプローブデータ地図を受信すると、その受信したプローブデータ地図を注意箇所特定部9c及び地図品質判定部9eへ出力する。
【0025】
地図品質判定部9eは、自車周辺認識部9bから自車周辺の周辺情報を入力し、DCM7からプローブデータ地図を入力すると、そのプローブデータ地図と自車周辺の周辺情報とを照合し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。地図品質判定部9eは、例えばプローブデータ地図により示される地物情報と、自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とが一致するか否かを判定し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。具体的には、地図品質判定部9eは、プローブデータ地図により示される地物の位置及び種別と、自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報に含まれる地物の位置及び種別とが一致するか否かを判定し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。
【0026】
地図品質判定部9eは、例えばプローブデータ地図により示される地物情報が自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報と一致する一致度を数値化し、その数値化した数値を閾値と比較する。地図品質判定部9eは、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが小さく、その一致度を示す数値が閾値以上であると判定すると、プローブデータ地図の品質良を判定する。地図品質判定部9eは、プローブデータ地図の品質良を判定すると、その品質良と判定したプローブデータ地図を注意箇所特定部9cへ出力する。一方、地図品質判定部9eは、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが大きく、その一致度を示す数値が閾値未満であると判定すると、プローブデータ地図の品質否を判定する。
【0027】
外部アレイマイク18は、自車周辺を集音した音声情報を注意箇所特定部9cへ出力する。外部アレイマイク18も、上記したミリ波レーダ14、ソナー15、LiDAR16及びカメラ17と同様に自律系センサである。注意箇所特定部9cは、地図品質判定部9eからプローブデータ地図を入力すると、注意箇所を特定し、その特定結果を安全確認判定部9fへ出力する。注意箇所とは、例えば交差点の死角等であり、ドライバが運転中において安全確認を必要とする箇所である。この場合、注意箇所特定部9cは、外部アレイマイク18から音声情報を入力すると、その入力した音声情報も参考にして注意箇所を特定する。尚、注意箇所特定部9cは、地図品質判定部9eからプローブデータ地図を入力しない場合には、自律系センサの検知結果を用いて注意箇所を特定し、その特定結果を安全確認判定部9fへ出力する。
【0028】
ドライバの状態を監視するドライバステータスモニタ(登録商標)(以下、DSM(Driver Status Monitor)と称する)19は、ドライバの顔をドライバモニタカメラにより撮像し、ドライバの顔画像から顔向き、視線方向、首振り等を判定し、その判定結果をドライバ状態認識部9dへ出力する。
【0029】
ドライバ状態認識部9dは、DSM19から判定結果を入力すると、その判定結果を用いてライバ状態を認識し、その認識したドライバ状態を示すドライバ状態情報をDCM7、安全確認判定部9f及び運転介入実施部9gへ出力する。
【0030】
安全確認判定部9fは、自車周辺認識部9bから自車周辺の周辺情報を入力し、ドライバ状態認識部9dからドライバ状態情報を入力すると、その入力した自車周辺の周辺情報とドライバ状態情報とを用いてアラートを発動する必要があるか否かを判定する。安全確認判定部9fは、注意箇所が発生している状況においてドライバの視線方向が当該注意箇所の方向に向いているか否かを判定し、ドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定し、アラートを発動する必要があるか否かを判定する。
【0031】
安全確認判定部9fは、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていると判定すると、アラートを発動する必要がないと判定する。一方、安全確認判定部9fは、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていないと判定すると、アラートを発動する必要があると判定し、報知指示を報知制御部10aへ出力する。
【0032】
報知制御部10aは、安全確認判定部9fから報知指示を入力すると、駆動指示をヘッドアップディスプレイ(以下、HUD(Head-Up Display)と称する)20、センターインフォメーションディスプレイ(以下、CID(Center Information Display)と称する)21、スピーカ22及びアンビエント灯23へ出力すると共に、報知指示をボデーECU11へ出力する。報知制御部10aは、HUD20、CID21、スピーカ22、アンビエント灯23及びサイド電子ミラー24においてドライバの視線方向に近い箇所にアラートを発動し、ドライバが安全確認を行っていないことを示す安全確認の未実施情報をドライバに報知する。
【0033】
アラートは、例えば注意箇所への安全確認を促すメッセージやアイコン等である。ドライバの視線方向が自車進行方向の真前方を向いていれば、報知制御部10aは、例えばHUD20のドライバ正面にメッセージやアイコン等を表示させる。ドライバの視線方向が自車進行方向の右寄り前方を向いていれば、報知制御部10aは、例えばHUD20のドライバ正面右寄りにメッセージやアイコン等を表示させる。ドライバの視線方向が自車進行方向の左寄り前方を向いていれば、報知制御部10aは、例えばHUD20のドライバ正面左寄りにメッセージやアイコン等を表示させる。又、報知制御部10aは、例えば注意箇所への安全確認を促すメッセージやアイコン等をCID21に表示させても良い。又、報知制御部10aは、例えば注意箇所への安全確認を促すメッセージをスピーカ22から音出力させても良い。このようにしてアラートが発動されることで、注意箇所に対しての注意が疎かになっていることをドライバに自覚させることができる。
【0034】
又、報知制御部10aは、上記したように機能管理サーバ5から送信された推奨機能情報が車載システム3に受信されると、その受信された推奨機能情報をHUD20やCID21に表示させたりスピーカ22から音出力させたりして推奨機能情報により特定される推奨機能をドライバに提示する。
【0035】
指紋認証センサ25は、ドライバの指紋をセンシングし、その検知結果をコックピットドメインECU10へ出力する。掌紋認証センサ26は、ドライバの掌紋をセンシングし、その検知結果をコックピットドメインECU10へ出力する。コックピットドメインECU10は、指紋認証センサ25や掌紋認証センサ26から検知結果を入力すると、その入力した検知結果を用いてドライバを個人認証し、その認証結果をセントラルECU8へ出力する。
【0036】
エアバック27に付帯されているセンサ群28は、例えば車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサを含み、それぞれ車速、加速度及びヨーレートを検知し、その検知結果を運転介入実施部9gへ出力する。センサ群28は、ADASドメインECU9又はセントラルECU8に付帯されていても良い。
【0037】
運転介入実施部9gは、自車周辺認識部9bから自車周辺の周辺情報を入力し、ドライバ状態認識部9dからドライバ状態情報を入力し、エアバック27に付帯されているセンサ群28から検知結果を入力すると、その入力した自車周辺の周辺情報とドライバ状態情報と検知結果とを用いてドライバの運転操作に対して介入を行う必要があるか否かを判定する。運転介入実施部9gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いているか否か、自車進行方向が危険であるか否か、車速、加速度及びヨーレートが正常であるか否か等を判定し、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があるか否かを判定する。
【0038】
運転介入実施部9gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いている、自車進行方向が危険でない、車速、加速度及びヨーレートが正常であると判定し、ドライバの運転が適切であると判定すると、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要がないと判定する。一方、運転介入実施部9gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いていない、自車進行方向が危険である、車速、加速度及びヨーレートが正常でないの何れかを判定し、ドライバの運転が適切でないと判定すると、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があると判定し、運転介入指示をパワートレインドメインECU12へ出力する。
【0039】
パワートレインドメインECU12は、運転介入実施部9gから運転介入指示を入力すると、運転介入指示をブレーキ装置29へ出力する。ブレーキ装置29に付帯されているセンサ群30は、例えば車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサを含み、それぞれ車速、加速度及びヨーレートを検知し、その検知結果をブレーキ装置29へ出力する。センサ群30は、パワートレインドメインECU12又はセントラルECU8に付帯されていても良い。ブレーキ装置29は、パワートレインドメインECU12から運転介入指示を入力すると、例えばセンサ群30の検知結果を用いて衝突被害軽減ブレーキ(以下、AEB(Autonomous Emergency Braking)と称する)制御を行う。尚、運転操作に対する介入としてはAEB制御に加え、操舵制御や姿勢制御等を行っても良く、例えば横滑り防止制御(以下、ESC(Electronic Stability Control)を行っても良い。
【0040】
図3に示すように、セントラルECU8には、ワイパー制御ユニット31と、オートライト制御ユニット32と、オートドア制御ユニット33と、オートハイビーム制御ユニット34と、雨滴センサ35とが接続されている。ワイパー制御ユニット31にはワイパーユニット36が接続されている。ワイパーユニット36は、速度制御部36aと、角度制御部36bと、ウォッシャー制御部36cと、ポジション制御部36dと、スイッチ36eとを備える。ワイパー制御ユニット31は、ワイパー制御指示をワイパーユニット36へ出力し、ワイパーユニット36の動作を制御する。
【0041】
同様に、オートライト制御ユニット32は、オートライト制御指示をオートライトユニット(図示せず)へ出力し、オートライトユニットの動作を制御する。オートドア制御ユニット33は、オートドア制御指示をオートドアユニット(図示せず)へ出力し、オートドアユニットの動作を制御する。オートハイビーム制御ユニット34は、オートハイビーム制御指示をオートハイビームユニット(図示せず)へ出力し、オートハイビームユニットの動作を制御する。雨滴センサ35は、降雨を検知すると、検知信号をセントラルECU8へ出力する。
【0042】
セントラルECU8は、運転習熟度取得部8aと、運転習熟度判定部8bと、機能学習提示部8cと、学習状況取得部8dと、学習状況判定部8eと、学習判定結果報知部8fとを備える。これら各部8a~8fによりセントラルECU8が実行する機能学習提示プログラムが実現される。
【0043】
運転習熟度取得部8aは、車両データとして例えば加減速制御の補正頻度、ステアリング制御の補正頻度、レーンディパーチャーアラート(以下、LDA(Lane Departure Alert)と称する)の発生頻度、衝突被害軽減ブレーキ(AEB(Autonomous Emergency Braking)と称する)の発生頻度等を取得する。運転習熟度取得部8aは、運転能力データとして例えばドライバの顔画像の判定結果から運転中のわき見や落ち着きの有無等の程度を取得する。運転習熟度取得部8aは、これらの車両データと運転能力データを一定期間に亘って取得する。この場合、一定期間は、例えばドライバが車両を購入してからの期間、直近の数日の期間等のどのような期間でも良い。
【0044】
運転習熟度判定部8bは、ドライバの運転習熟度が運転習熟度取得部8aにより取得されると、その取得されたドライバの運転習熟度を判定する。運転習熟度判定部8bは、例えば加減速制御の補正頻度やステアリング制御の補正頻度等が比較的少ない、運転中のわき見が比較的少なかったり落ち着きが有ったりする等を判定すると、ドライバの運転習熟度が比較的高いと判定する。又、運転習熟度判定部8bは、ドライバが運転において使用している機能を判定し、周囲状況に応じて適切な機能を使用していると判定すると、ドライバの運転習熟度が比較的高いと判定する。運転習熟度判定部8bは、例えば間欠ワイパーの機能であれば、ドライバがワイパースイッチのオンオフやワイパー速度等を降雨の状況に応じて適切に設定していれば、ドライバの運転習熟度が比較的高いと判定する。
【0045】
一方、運転習熟度判定部8bは、例えば加減速制御の補正頻度やステアリング制御の補正頻度等が比較的多い、運転中のわき見が比較的多かったり落ち着きが無かったりする等を判定すると、ドライバの運転習熟度が比較的低いと判定する。又、運転習熟度判定部8bは、ドライバが運転において使用している機能を判定し、周囲状況に応じて適切な機能を使用していないと判定すると、ドライバの運転習熟度が比較的低いと判定する。運転習熟度判定部8bは、例えば間欠ワイパーの機能であれば、ドライバがワイパースイッチのオンオフやワイパー速度等を降雨の状況に応じて適切に設定していなければ、ドライバの運転習熟度が比較的低いと判定する。
【0046】
尚、運転習熟度判定部8bは、間欠ワイパーの機能の以外についても同様であり、例えばライトの機能については、ドライバがライトのオンオフを周囲環境の明るさに応じて適切に設定していれば、ドライバの運転習熟度が比較的高いと判定し、適切に設定していなければ、ドライバの運転習熟度が比較的低いと判定する。又、運転習熟度判定部8bは、トンネルへの進入やトンネルからの退出に対するライトスイッチのオンオフ等についても同様であり、ライトスイッチのオンオフをトンネルへ進入するタイミングやトンネルから退出するタイミングに応じて適切に設定していれば、ドライバの運転習熟度が比較的高いと判定し、適切に設定していなければ、ドライバの運転習熟度が比較的低いと判定する。
【0047】
機能学習提示部8cは、ドライバの運転習熟度が運転習熟度判定部8bにより判定されると、その運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示する。機能学習提示部8cは、ドライバの運転習熟度を予め設定されている所定レベルと比較し、所定レベルに達していなければ、機能の学習をドライバに段階的に提示する。この場合、機能の段階的な学習を提示するとは、機能の学習をゲーミフィケーション的にドライバに提示することを意味し、学習すべき複数の機能を俯瞰的に提示した上で、一つの機能を習得する毎に次の機能の学習を提示することを意味する。即ち、ドライバは、機能を段階的に習得することで、徐々にレベルアップしていく達成感を得ることができる。
【0048】
機能学習提示部8cは、例えば車両が停止状態にあるとき等の運転操作の安全が確保されている状況において、機能の学習をドライバに段階的に提示する。又、機能学習提示部8cは、カレンダー情報を取得することでドライバのスケジュールを判定し、ドライバが多忙なときには機能の学習をドライバに提示せず、時間に余裕があるときに機能の学習をドライバに提示する。又、機能学習提示部8cは、ドライバの生体情報を取得することでドライバの体調を判定し、ドライバの体調が安定していないときには機能の学習をドライバに提示せず、ドライバの体調が安定しているときに機能の学習をドライバに提示する。
【0049】
機能学習提示部8cは、機能の学習をドライバに提示する具体的な手法としては、例えばイグニッションオンやモータオンのタイミングで学習の実施を問い合わせるメッセージをCID21に表示させ、学習を実施するか否かをドライバが選択可能な「YES」ボタン及び「NO」ボタンを表示させる。即ち、ドライバは、「YES」ボタンを押下することで学習の実施を許諾することができ、「NO」ボタンを押下することで学習の実施を拒否することができる。尚、機能学習提示部8cは、学習の実施を問い合わせるメッセージをCID21に表示させることの他に、メッセージをスピーカから音出力させて音声認識により選択可能としても良いし、車内での日常会話をベースにしたチャットボット的な音声認識によりドライバが学習を実施するか否かを選択可能としても良い。
【0050】
学習状況取得部8dは、機能の学習状況を取得する。学習状況判定部8eは、機能の学習状況が学習状況取得部8dにより取得されると、その取得された機能の学習状況を判定する。学習状況判定部8eは、例えば間欠ワイパーの機能であれば、予め降雨の状況に応じた理想的な間欠ワイパーの作動モデルを記憶している。学習状況判定部8eは、雨滴センサ35の検知結果や車外からの天気情報等により降雨の状況を判定し、ドライバが設定している間欠ワイパーの作動状態を、その降雨の状況に応じた作動モデルと照合してドライバが間欠ワイパーの機能を適切に使用しているか否かを判定する。
【0051】
学習状況判定部8eは、ドライバが設定している間欠ワイパーの作動状態と作動モデルとの乖離が比較的小さいと判定すると、ドライバが間欠ワイパーの機能を降雨の状況に応じて適切に使用していると判定し、ドライバが間欠ワイパーの機能を習得して機能の学習状況が所定レベルに達したと判定する。一方、学習状況判定部8eは、ドライバが設定している間欠ワイパーの作動状態と作動モデルとの乖離が比較的大きいと判定すると、ドライバが間欠ワイパーの機能を降雨の状況に応じて適切に使用していないと判定し、ドライバが間欠ワイパーの機能を未だ習得しておらず機能の学習状況が所定レベルに達していないと判定する。
【0052】
学習判定結果報知部8fは、機能の学習状況が学習状況判定部8eにより判定されると、その判定結果をドライバに報知する。学習判定結果報知部8fは、例えば間欠ワイパーの機能であれば、ドライバが間欠ワイパーの機能を習得したこと、又は未だ習得していないことをドライバに報知する。即ち、学習判定結果報知部8fは、機能の学習状況の判定結果を報知することで、機能を習得したこと、又は未だ習得していないことをドライバに認識させる。
【0053】
機能学習提示部8cは、機能の学習状況が所定レベルに達したと判定されると、次の機能の学習をドライバに提示する。機能学習提示部8cは、
図4に示すように、レベル1を「間欠ワイパー」、レベル2を「オートライト」、レベル3を「オートドア」、レベル4を「オートハイビーム」、レベル5を「自動駐車」、レベル6を「アダプティブクルーズコントロール(以下、ACC(Adaptive Cruise Control)と称する)」として設定していれば、レベル1の「間欠ワイパー」の学習状況が所定レベルに達したと判定されると、次の機能であるレベル2の「オートライト」の学習をドライバに提示する。以下、同様であり、機能学習提示部8cは、レベル2の「オートライト」の学習状況が所定レベルに達したと判定されると、次の機能であるレベル3の「オートドア」の学習をドライバに提示する。即ち、ドライバは、「間欠ワイパー」、「オートライト」、「オートドア」、「オートハイビーム」、「自動駐車」、「ACC」の各機能を順次学習し、学習状況が所定レベルに達する毎にレベルアップし、次のレベルの機能を学習する。
【0054】
次に、上記した構成の作用について
図5を参照して説明する。車載システム3は、機能学習提示プログラムにより機能学習提示処理を行う。機能学習提示処理を行うタイミングは、例えば車両購入時から一定期間が経過した時期、又は車両購入時等である。車両購入時から一定期間が経過した時期に機能学習提示処理を行う場合には、その一定期間においてドライバの運転習熟度を取得することになるが、車両購入時に機能学習提示処理を行う場合には、ドライバの運転習熟度を取得することがなく、ドライバの運転習熟度が所定レベルに達していないと判定する。
【0055】
車載システム3は、機能学習提示処理の開始条件が成立すると、機能学習提示処理を開始する。車載システム3は、機能学習提示処理を開始すると、車両データを取得すると共にドライバの運転能力データを取得し、ドライバの運転習熟度を取得する(A1、運転習熟度取得手順に相当する)。車載システム3は、ドライバの運転習熟度を取得すると、その取得したドライバの運転習熟度を予め設定されている所定レベルと比較する(A2、運転習熟度判定手順に相当する)。
【0056】
車載システム3は、その取得したドライバの運転習熟度が所定レベルに達していると判定すると(A2:YES)、機能学習提示処理を終了する。一方、車載システム3は、その取得したドライバの運転習熟度が所定レベルに達していないと判定すると(A2:NO)、学習を提示すべき機能があるか否かを判定する(A3)。車載システム3は、上記した
図4に示したレベル1の「間欠ワイパー」からレベル6の「ACC」までの全ての機能の学習を提示済みであれば、学習を提示すべき機能がないと判定するが、レベル1の「間欠ワイパー」からレベル6の「ACC」までの全ての機能の学習を提示済みでなければ、換言すると、学習の提示が途中であれば、学習を提示すべき機能があると判定する。
【0057】
車載システム3は、学習を提示すべき機能がないと判定すると(A3:NO)、機能学習提示処理を終了する。一方、車載システム3は、学習を提示すべき機能があると判定すると(A3:YES)、その学習を提示すべき機能の学習を提示する(A4、学習提示手順に相当する)。車載システム3は、例えばレベル1の「間欠ワイパー」の機能の学習を未提示であれば、レベル1の「間欠ワイパー」の機能の学習を提示する。車載システム3は、例えばレベル1の「間欠ワイパー」の機能の学習を提示済みであり、且つレベル1の「間欠ワイパー」の機能の学習状況が所定レベルに達していれば、レベル2の「オートライト」の機能の学習を提示する。
【0058】
車載システム3は、学習を提示した機能の利用状況を取得することで学習状況を取得し(A5)、その取得した機能の学習状況を予め設定されている所定レベルと比較する(A6)。車載システム3は、例えばレベル1の「間欠ワイパー」の機能を提示した場合であれば、上記したようにドライバが設定している間欠ワイパーの作動状態を、その降雨の状況に応じた作動モデルと照合してドライバが間欠ワイパーの機能を適切に使用しているか否かを判定する。
【0059】
車載システム3は、ドライバが間欠ワイパーの機能を降雨の状況に応じて適切に使用していると判定すると、ドライバがレベル1の「間欠ワイパー」の機能を習得して機能の学習状況が所定レベルに達したと判定する(A6:YES)。一方、学習状況判定部8eは、ドライバが間欠ワイパーの機能を降雨の状況に応じて適切に使用していないと判定すると、ドライバが間欠ワイパーの機能を未だ習得しておらず機能の学習状況が所定レベルに達していないと判定する(A6:NO)。
【0060】
車載システム3は、機能の学習状況が所定レベルに達したと判定すると、次の機能の学習をドライバに提示する(A7)。この場合、車載システム3は、例えば「レベル1の間欠ワイパーの学習をクリアしました。次はレベル2のオートライトの学習です」等のメッセージをCID21に表示させたりスピーカ22から音出力させたりする。
【0061】
車載システム3は、機能学習提示処理の終了条件が成立したか否かを判定し(A8)、機能学習提示処理の終了条件が成立していないと判定すると(A8:NO)、上記したステップA5に戻り、ステップA5以降を繰り返す。即ち、車載システム3は、ドライバがレベル1の「間欠ワイパー」の機能を習得した場合には、レベル2の「オートライト」の学習を提示し、ドライバが「オートライト」の機能を適切に使用しているか否かを判定する。これ以降、同様に、車載システム3は、ドライバがレベル2の「オートライト」の機能を習得した場合には、レベル3の「オートドア」の学習を提示し、ドライバがレベル3の「オートドア」の機能を習得した場合には、レベル4の「オートハイビーム」の学習を提示する。車載システム3は、機能学習提示処理の終了条件が成立したと判定すると(A8:YES)、機能学習提示処理を終了する。
【0062】
以上に説明したように第1実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載システム3において、ドライバの運転習熟度を取得して判定し、その運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示するようにした。運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習をドライバに段階的に提示することで、ドライバが機能を段階的に習得することを期待することができ、徐々にレベルアップしていく達成感をドライバに持たせることができる。これにより、車両に搭載されている機能をドライバに適切に学習させることができる。
【0063】
車載システム3において、運転操作の安全が確保されている状況において、機能の学習をドライバに段階的に提示するようにした。運転操作の安全を脅かす状況で機能の学習をドライバに提示せず、運転操作の安全が確保されている状況に限って機能の学習をドライバに提示することで、運転操作の安全を適切に確保しつつ、機能の学習をドライバに段階的に提示することができる。
【0064】
車載システム3において、機能の学習状況を取得して判定し、その機能の学習状況の判定結果を報知するようにした。機能の学習状況としてドライバが機能を習得したか否かをドライバに適切に認識させることができる。
【0065】
車載システム3において、機能の学習状況が所定レベルに達したと判定すると、次の機能の学習をドライバに提示するようにした。次の機能の学習をドライバに提示することで、
多種多様な機能の学習をドライバに段階的に提示することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図6から
図7を参照して説明する。第2実施形態は、ドライバが運転しない期間が長期間に及んだ場合や運転習熟度が低下した場合に対処する構成である。この場合、セントラルECU8は、第1実施形態で説明した各部8a~8fに加え、機能抑制部8gを備える。
【0067】
機能抑制部8gは、ドライバの最後の運転操作時からの経過期間を監視しており、ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過したと判定すると、ドライバが使用可能な機能を抑制する。この場合、所定期間を一律に設定しても良いし、例えばドライバの過去の運転習熟度に応じて所定期間を設定しても良い。ドライバの過去の運転習熟度が比較的高ければ、ドライバが機能の使用に精通していた可能性が比較的高いと想定し得ることから所定期間を比較的長く設定し、ドライバの過去の運転習熟度が比較的低ければ、ドライバが機能の使用に精通していた可能性が比較的低いと想定し得ることから所定期間を比較的短く設定しても良い。又、機能抑制部8gは、ドライバの運転習熟度が予め設定されている基準レベルまで低下したと運転習熟度判定部8bにより判定されると、機能を抑制する。
【0068】
機能抑制部8gは、機能を抑制することとして、例えばメータ装置における表示数を低減させたりCID21におけるホーム画面をリセットさせたりすることで、ドライバに提示する情報を簡素化したり操作を単純化したりする。機能学習提示部8cは、機能が機能抑制部8gにより抑制されると、機能の抑制をドライバに提示する。
【0069】
次に、上記した構成の作用について
図7を参照して説明する。車載システム3は、機能抑制処理の開始条件が成立すると、機能抑制処理を開始する。車載システム3は、機能抑制処理を開始すると、ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過したか否かを判定すると共に(A11)、ドライバの運転習熟度が基準レベルまで低下したか否かを判定する(A12)。車載システム3は、ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過したと判定すると(A11:YES)、又はドライバの運転習熟度が基準レベルまで低下したと判定すると(A12:YES)、機能を抑制し(A13)、機能の抑制をドライバに提示し(A14)、機能抑制処理を終了する。
【0070】
以上に説明したように第2実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載システム3において、ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過した場合、又はドライバの運転習熟度が基準レベルまで低下した場合に、機能を抑制し、機能の抑制をドライバに提示するようにした。ドライバの最後の運転操作時から所定期間が経過した場合やドライバの運転習熟度が低下した場合は、ドライバが機能を使いこなす可能性が低いと想定されることから、機能を抑制することで、ドライバが使いこなせない機能を不必要に提供してしまう事態を回避することができる。又、機能の抑制をドライバに提示することで、不必要な機能を抑制したことをドライバに提示することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図8を参照して説明する。第3実施形態は、運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習が可能であると判定すると、機能の事前学習をドライバに提示する構成である。
【0072】
機能抑制部8gは、運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習が可能であるか否かを判定する。機能抑制部8gは、機能の学習が可能であると判定すると、機能の事前学習をドライバに提示する。機能抑制部8gは、例えばナビゲーションの機能において目的地までの経路で自動車専用道路を走行することを特定し、ドライバの運転習熟度の判定結果にしたがってACC機能の学習が可能であると判定すると、ACC機能の事前学習をドライバに提示する。機能抑制部8gは、例えばACC機能の動画をCID21に表示させたりステアリングスイッチのグラフィックをメータ装置に表示させたりする等して運転操作中のシミュレーションを用いて機能の事前学習をドライバに提示する。
【0073】
次に、上記した構成の作用について
図8を参照して説明する。車載システム3は、機能事前学習提示処理の開始条件が成立すると、機能事前学習提示処理を開始する。車載システム3は、機能事前学習提示処理を開始すると、運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習が可能であるか否かを判定する(A21)。車載システム3は、機能の学習が可能であると判定すると(A21:YES)、機能の事前学習をドライバに提示し(A22)、機能事前学習提示処理を終了する。
【0074】
以上に説明したように第3実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載システム3において、運転習熟度の判定結果にしたがって機能の学習が可能であるか否かを判定し、機能の学習が可能であると判定すると、機能の事前学習をドライバに提示するようにした。機能の学習をドライバに提示する前に、機能の事前学習をドライバに提示することができ、ドライバが機能の事前学習を行うことで、ドライバが機能の学習を適切に行うことができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について
図9から
図10を参照して説明する。第4実施形態は、他のドライバの運転操作履歴から他のドライバの車両設定情報を取得し、ドライバの車両設定情報を、その取得した他のドライバの車両設定情報に追従して変更する構成である。この場合、セントラルECU8は、第1実施形態で説明した各部8a~8fに加え、運転操作履歴取得部8hと、車両設定情報取得部8iと、車両設定情報変更部8jとを備える。
【0076】
運転操作履歴取得部8hは、他のドライバの運転操作履歴を取得する。他のドライバとは、自分の車両に乗車して運転操作を行った人物、又は自分の車両と同一型式車種の車両に乗車して運転操作を行った人物である。
【0077】
車両設定情報取得部8iは、他のドライバの運転操作履歴が運転操作履歴取得部8hにより取得されると、その取得された他のドライバの運転操作履歴から他のドライバの車両設定情報を取得する。車両設定情報取得部8iは、他のドライバの車両設定情報として、例えば自動運転中における車間距離、減速制御の強度やタイミング、加速制御の強度やタイミング等を取得する。
【0078】
車両設定情報変更部8jは、他のドライバの車両設定情報が車両設定情報取得部8iにより取得されると、ドライバの車両設定情報を、その取得された他のドライバの車両設定情報に追従して変更する。この場合、車両設定情報変更部8jは、ドライバの車両設定情報を、当該ドライバの運転習熟度、当該ドライバの嗜好、当該ドライバの視点方向のうち少なくとも何れか一つに応じて変更する。車両設定情報変更部8jは、ドライバの車両設定情報を当該ドライバの運転習熟度に応じて変更する場合には、例えばドライバが運転初心者の場合であれば安全性を担保するために特定の安全に関わる機能をオンに設定する。車両設定情報変更部8jは、ドライバの車両設定情報を当該ドライバの嗜好に応じて変更する場合には、例えばドライバが減速制御について早めのタイミングを嗜好する場合であれば減速制御のタイミングを早めに設定する。車両設定情報変更部8jは、ドライバの車両設定情報を当該ドライバの視点方向に応じて変更する場合には、例えばドライバが前方注視している場合であれば自分の運転に合わせ、前座席の片方を注視している場合であれば他人の運転に合わせるように設定する。例えばARゴーグルをかけて隣の席にあたかも他人が座っており、前方を見ると自分の運転に切り替わり、隣の席を見ると他人がいるようなバーチャル映像と共にその他人の運転に切り替わるように設定する。
【0079】
次に、上記した構成の作用について
図10を参照して説明する。車載システム3は、車両設定情報変更処理の開始条件が成立すると、車両設定情報変更処理を開始する。車載システム3は、車両設定情報変更処理を開始すると、他のドライバの運転操作履歴を取得し(A31)、その取得した他のドライバの運転操作履歴から他のドライバの車両設定情報を取得する(A32)。車載システム3は、ドライバの車両設定情報を、その取得した他のドライバの車両設定情報に追従して変更し(A32)、車両設定情報変更処理を終了する。
【0080】
以上に説明したように第4施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載システム3において、他のドライバの運転操作履歴を取得し、その取得した他のドライバの運転操作履歴から他のドライバの車両設定情報を取得し、ドライバの車両設定情報を、その取得した他のドライバの車両設定情報に追従して変更するようにした。ドライバの車両設定情報を、他のドライバの車両設定情報に追従させることができる。
【0081】
(その他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0082】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0083】
機能学習提示処理を行うタイミングは、例えば車両購入時から一定期間が経過した時期、又は車両購入時に限らず、車両を購入する前の試乗時のときでも良い。機能学習提示処理を試乗時に行えば、車両を購入する前に学習状況の判定結果を得ることができ、その判定結果によっては購入しようとする車両を変更する等、臨機応変に対応することができる。即ち、学習しても機能を使いこなすのが難しいような場合には、購入しようとする車両を変更することを想定することができる。又、車両を入れ替えた場合に、入れ替え前の車両における学習状況の判定結果を、入れ替え後の車両に継承するようにしても良い。
【符号の説明】
【0084】
図面中、1は車載システム、8はセントラルECU、8aは運転習熟度取得部、8bは運転習熟度判定部、8cは機能学習提示部、8dは学習状況取得部、8eは学習状況判定部、8fは学習判定結果報知部、8gは機能抑制部、8hは運転操作履歴取得部、8iは車両設定情報取得部、8jは車両設定情報変更部である。