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特許7567856交差点管制システム、交差点管制方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】交差点管制システム、交差点管制方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241008BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G08G1/09 C
G08G1/16 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022079623
(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公開番号】P2023168022
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長井 学
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-126294(JP,A)
【文献】特開2020-067743(JP,A)
【文献】特開平04-302400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点への車両の進入を管制する交差点管制システムであって、
第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定部と、
前記第1の交差点管制情報、前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報をこの記載順に前記交差点を通過予定の複数の車両に配信する配信部と、
を含み、
前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含み、
前記第2の交差点管制情報は、少なくとも1つの許可軌道情報を含み、
前記第1の交差点管制情報と前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報は互いに異なっており、
各許可軌道情報は、前記車両が前記交差点を通過する際の前記車両の許可された走行軌道を示す情報であり、
前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記少なくとも1つの許可軌道情報のすべてを含む、
交差点管制システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交差点管制システムであって、
前記決定部は、
前記交差点を通過予定の前記複数の車両の、前記交差点を通過する際の走行軌道を示す走行軌道情報を取得し、
前記複数の車両の前記走行軌道情報に基づいて前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を決定し、
前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報に基づいて前記第2の交差点管制情報を決定する、
交差点管制システム。
【請求項3】
請求項2に記載の交差点管制システムであって、
互いに異なる複数の交差点管制情報を記憶する記憶部を更に含み、
前記決定部は、前記複数の車両の前記走行軌道情報に基づいて、前記記憶部に記憶される前記複数の交差点管制情報から前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を選択することにより、前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を決定する、
交差点管制システム。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか1項に記載の交差点管制システムであって、
各交差点管制情報が、許可された走行軌道に対応するビットを第1の値としそれ以外の走行軌道に対応するビットを前記第1の値と異なる第2の値とするビット配列により構成される場合、
前記決定部は、前記第1の交差点管制情報のビット配列と前記第3の交差点管制情報のビット配列をビット演算することにより前記第2の交差点管制情報のビット配列を生成する、
交差点管制システム。
【請求項5】
請求項1から3までの何れか1項に記載の交差点管制システムであって、
前記第2の交差点管制情報の前記少なくとも1つの許可軌道情報は、複数の許可軌道情報を含み、
前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記複数の許可軌道情報のすべてを含む、
交差点管制システム。
【請求項6】
請求項1から3までの何れか1項に記載の交差点管制システムであって、
前記第1の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉せず、
前記第3の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉しない、
交差点管制システム。
【請求項7】
請求項1から3までの何れか1項に記載の交差点管制システムであって、
前記交差点において前記第1の交差点管制情報が管制に供される第1の期間、及び、
前記交差点において前記第3の交差点管制情報が管制に供される第3の期間は、
前記交差点において前記第2の交差点管制情報が管制に供される第2の期間よりも長い、
交差点管制システム。
【請求項8】
交差点への車両の進入を管制する交差点管制方法であって、
第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定ステップと、
前記第1の交差点管制情報、前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報をこの記載順に前記交差点を通過予定の複数の車両に配信する配信ステップと、
を含み、
前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含み、
前記第2の交差点管制情報は、少なくとも1つの許可軌道情報を含み、
前記第1の交差点管制情報と前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報は互いに異なっており、
各許可軌道情報は、前記車両が前記交差点を通過する際の前記車両の許可された走行軌道を示す情報であり、
前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記少なくとも1つの許可軌道情報のすべてを含む、
交差点管制方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載の交差点管制方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点管制システム、交差点管制方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、交差点に設置された複数の交通信号灯器を制御する交通信号制御システムを開示している。具体的には、交差点に接続された複数の道路のそれぞれに複数の車両感知器を設置し、複数の車両感知器から出力された感知信号に基づいて、複数の交通信号灯器の制御に適した制御パターンを選択するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-159152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、制御パターンを切り替えるとき、交差点内に残っている車両を排除するために交差点内への車両の進入を所定時間一切禁止するクリアランスインターバル期間を設ける必要がある。従って、上記特許文献1の構成では、交差点における交通量を増やす余地が残されている。
【0005】
本開示の目的は、交差点における車両間の衝突リスクを増やすことなく、交差点における交通量を増やす技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点によれば、交差点への車両の進入を管制する交差点管制システムであって、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定部と、前記第1の交差点管制情報、前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報をこの記載順に前記交差点を通過予定の複数の車両に配信する配信部と、を含み、前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含み、前記第2の交差点管制情報は、少なくとも1つの許可軌道情報を含み、前記第1の交差点管制情報と前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報は互いに異なっており、各許可軌道情報は、前記車両が前記交差点を通過する際の前記車両の許可された走行軌道を示す情報であり、前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記少なくとも1つの許可軌道情報を含む、交差点管制システムが提供される。以上の構成によれば、前記交差点を通過予定の前記複数の車両に配信する交差点管制情報を前記第1の交差点管制情報から前記第3の交差点管制情報に切り替えるに際し前記第2の交差点管制情報を間に挟むことによって、前記交差点内への車両の進入を所定時間一切禁止することで前記交差点内から車両を排除するためのクリアランスインターバル期間を設ける必要がないので、前記交差点における前記車両間の衝突リスクを増やすことなく、前記交差点における交通量を増やすことができる。
前記決定部は、前記交差点を通過予定の前記複数の車両の、前記交差点を通過する際の走行軌道を示す走行軌道情報を取得し、前記複数の車両の前記走行軌道情報に基づいて前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を決定し、前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報に基づいて前記第2の交差点管制情報を決定してもよい。
互いに異なる複数の交差点管制情報を記憶する記憶部を更に含み、前記決定部は、前記複数の車両の前記走行軌道情報に基づいて、前記記憶部に記憶される前記複数の交差点管制情報から前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を選択することにより、前記第1の交差点管制情報及び前記第3の交差点管制情報を決定してもよい。
各交差点管制情報が、許可された走行軌道に対応するビットを第1の値としそれ以外の走行軌道に対応するビットを前記第1の値と異なる第2の値とするビット配列により構成される場合、前記決定部は、前記第1の交差点管制情報のビット配列と前記第3の交差点管制情報のビット配列をビット演算することにより前記第2の交差点管制情報のビット配列を生成してもよい。
前記第2の交差点管制情報の前記少なくとも1つの許可軌道情報は、複数の許可軌道情報を含み、前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記複数の許可軌道情報のすべてを含んでもよい。
前記第1の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉せず、前記第3の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉しなくてもよい。
前記交差点において前記第1の交差点管制情報が管制に供される第1の期間、及び、前記交差点において前記第3の交差点管制情報が管制に供される第3の期間は、前記交差点において前記第2の交差点管制情報が管制に供される第2の期間よりも長くてもよい。
本開示の第2の観点によれば、交差点への車両の進入を管制する交差点管制方法であって、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定ステップと、前記第1の交差点管制情報、前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報をこの記載順に前記交差点を通過予定の複数の車両に配信する配信ステップと、を含み、前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含み、前記第2の交差点管制情報は、少なくとも1つの許可軌道情報を含み、前記第1の交差点管制情報と前記第2の交差点管制情報、前記第3の交差点管制情報は互いに異なっており、各許可軌道情報は、前記車両が前記交差点を通過する際の前記車両の許可された走行軌道を示す情報であり、前記第1の交差点管制情報、及び、前記第3の交差点管制情報は、前記第2の交差点管制情報が含む前記少なくとも1つの許可軌道情報を含む、交差点管制方法が提供される。
コンピュータに、上記の交差点管制方法を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、交差点における車両間の衝突リスクを増やすことなく、交差点における交通量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】複数の車両が交差点に接近している様子を示す平面図である。
図2】車両の機能ブロック図である。
図3】交差点管制装置の機能ブロック図である。
図4】交差点管制情報のビット配列を示す図である。
図5】交差点管制情報のビット配列における各ビットを説明する図である。
図6】管制No.1の交差点管制情報を可視化した図である。
図7】管制No.5の交差点管制情報を可視化した図である。
図8】管制No.9の交差点管制情報を可視化した図である。
図9】管制No.13の交差点管制情報を可視化した図である。
図10】管制No.15の交差点管制情報を可視化した図である。
図11】管制No.17の交差点管制情報を可視化した図である。
図12】交差点管制装置の制御フローである。
図13】第1管制情報、第2管制情報、第3管制情報を可視化した図である。
図14】第1管制情報、第2管制情報、第3管制情報のビット配列を示す図である。
図15】比較例であって、第1管制情報、クリアランスインターバル期間、第3管制情報を可視化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。図1は、交差点1に向かって複数の車両2が走行している様子を示している。即ち、図1において、複数の車両2は、交差点1の近傍において、交差点1に接近している。換言すれば、複数の車両2は、交差点1を通過することを予定している。以下、説明の便宜上、南進して交差点1に接近する車両2を車両2Nとも称する。同様に、東進して交差点1に接近する車両2を車両2Wとも称する。また、説明の便宜上、車両2Nは、交差点1において左折し、車両2Wは、交差点1において右折するものとする。複数の車両2は、何れも自動運転制御により走行する車両である。しかし、複数の車両2は、乗員によって運転されてもよい。図1に示すように、交差点1の近傍には、交差点管制装置3が設けられている。
【0010】
交差点管制装置3は、交差点管制システムの一具体例である。交通システム4は、交差点管制装置3と、交差点1近傍の複数の車両2と、を含む。交差点管制装置3は、単体の装置によって実現されてもよいし、複数の装置を用いた分散処理により実現されてもよい。
【0011】
交差点管制装置3と複数の車両2は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信技術により又はインターネットを介して双方向通信可能に構成されている。
【0012】
図2に、車両2の機能ブロック図を示している。図2に示すように、車両2は、中央演算処理器としてのCPU2a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM2b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM2c(Read Only Memory)を備えている。車両2は、更に、GPSモジュール2d(Global Positioning System)、タッチパネル2e、ディスプレイ2fを有する。タッチパネル2eとディスプレイ2fは、典型的には互いに重ねられて一体的に構成されている。そして、CPU2aがROM2cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU2aなどのハードウェアを各種機能部として機能させる。
【0013】
各種機能部は、地図情報記憶部10、目的地情報取得部11、現在地情報取得部12、経路情報生成部13、自動運転制御部14、車速情報取得部15、車両情報送信部16、交差点管制情報受信部17、交差点進入可否判定部18を含む。
【0014】
地図情報記憶部10は、地図情報を記憶する。地図情報は、典型的には、道路の特徴点を表すノード情報と、2つのノードを連結して道路の形状を表すリンク情報と、を含む。道路の特徴点とは、交差点を含む。
【0015】
目的地情報取得部11は、タッチパネル2eを介して入力された目的地情報を取得する。
【0016】
現在地情報取得部12は、GPSモジュール2dを用いて、車両2の現在地情報を取得する。GPSモジュール2dは、GNSSモジュール(Global Navigation Satellite System)の一具体例である。GNSSモジュールの具体例としては、GLONASSモジュール(Global Navigation Satellite System)、Galileoモジュール、BeiDouモジュール、QZSSモジュール(Quasi-Zenith Satellite System)が挙げられる。現在地情報取得部12は、無線基地局から受信する信号の信号強度や、無線基地局から発せられるビーコンに基づいて、車両2の現在地情報を推定して取得してもよい。
【0017】
経路情報生成部13は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報を参照し、目的地情報取得部11が取得した目的地情報と、現在地情報取得部12が取得した現在地情報と、に基づいて現在地から目的地までの経路情報を生成する。
【0018】
経路情報は、複数の走行軌道情報を含む。複数の走行軌道情報は、車両2が通過する複数の交差点に対して一対一で対応している。
【0019】
各走行軌道情報は、対応する交差点を通過する際の車両2の走行軌道を示す。各走行軌道情報は、典型的には、交差点を通過する前に車両2が走行する方角を示す通過前方角識別情報と、交差点を通過した後に車両2が走行する方角を示す通過後方角識別情報と、を含む。例えば、図1に示す車両2Nは交差点1で左折するので、交差点1に対応する走行軌道情報の通過前方角識別情報は「南」となり、通過後方角識別情報は「東」となる。
【0020】
これに代えて、各走行軌道情報は、交差点1を通過する前に車両2が走行する道路を示す通過前道路識別情報と、交差点1を通過した後に車両2が走行する道路を示す通過後道路識別情報と、を含んでもよい。例えば、図1に示す車両2Nは交差点1で左折するので、交差点1から北方に延びる道路の道路IDが「No.1234」であり、交差点1から東方に延びる道路の道路IDが「No.2345」である場合、交差点1に対応する走行軌道情報の通過前道路識別情報は「1234」となり、通過後道路識別情報は「2345」となる。
【0021】
自動運転制御部14は、経路情報生成部13が生成した経路情報に従って、車両2の走行を制御する。
【0022】
車速情報取得部15は、車両2の車速を検出する車速センサーからの検出信号に基づいて、車両2の車速情報を取得する。
【0023】
車両情報送信部16は、車両情報を交差点管制装置3に所定のインターバルで送信する。車両情報は、現在地情報取得部12が取得した現在地情報、及び、車速情報取得部15が取得した車速情報を含む。所定のインターバルとは、例えば1秒であるがこれに限定されない。車両情報は、更に、現在接近している交差点1に対応する走行軌道情報を含む。
【0024】
交差点管制情報受信部17は、交差点管制装置3から交差点管制情報を受信する。交差点管制情報は、交差点1に設置された交通信号灯器のように、交差点1における車両2の許可された走行軌道を示す情報である。詳細は後述する。
【0025】
交差点進入可否判定部18は、交差点管制情報受信部17が受信した交差点管制情報に基づいて、交差点1への進入の可否を判定する。自動運転制御部14は、交差点進入可否判定部18による判定結果に基づいて、車両2を交差点1に進入させたり、車両2を交差点1の手前で待機させたりする。
【0026】
図3に、交差点管制装置3の機能ブロック図を示している。図3に示すように、交差点管制装置3は、中央演算処理器としてのCPU3a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM3b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM3c(Read Only Memory)を備えている。交差点管制装置3には、交差点1、及び、交差点1近傍の車両2、交差点1近傍で道路を横断する歩行者を撮像するカメラ23が接続されている。そして、CPU3aがROM3cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU3aなどのハードウェアを、記憶部20、決定部21、配信部22として機能させる。
【0027】
記憶部20は、互いに異なる複数の交差点管制情報を記憶する。各交差点管制情報は、互いに異なる複数の許可軌道情報を含む。各許可軌道情報は、車両2が交差点1を通過する際の車両2の許可された走行軌道を示す情報である。各交差点管制情報の許可された複数の走行軌道は互いに干渉しないように設定されている。ここで、「互いに干渉しない」とは、「互いに合流しない」及び「互いに交差しない」ことを意味する。
【0028】
図4には、記憶部20に記憶されている複数の交差点管制情報を示している。即ち、図4には、管制No.1から管制No.17で特定される複数の交差点管制情報が示されている。
【0029】
本実施形態において、各交差点管制情報は12ビットのビット配列により構成されている。そして、各許可軌道情報は、各交差点管制情報を構成するビット配列のindexとその値によって構成される。図5には、交差点管制情報のビット配列の各ビットの走行軌道を示している。図4及び図5に示すように、交差点管制情報の1ビット目(index = 1)の値が「1」であることは、北から交差点1に進入し、交差点1において左折する走行軌道を許可することを意味する。これに対し、交差点管制情報の1ビット目(index = 1)の値が「0」であることは、北から交差点1に進入し、交差点1において左折する走行軌道を禁止することを意味する。交差点管制情報の2ビット目以降についても同様である。各交差点管制情報は、交差点1を識別する交差点識別情報を含んでもよい。各交差点管制情報は、当該交差点管制情報が有効となる開始時刻と終了時刻を示す有効時刻情報を含んでもよい。各交差点管制情報は、交差点1を通過することを許可する車両の種類を特定する許可車両特定情報を含んでもよい。
【0030】
図4に戻り、管制No.1の交差点管制情報は、7、10、11、12ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.1の交差点管制情報は、図6に示すように、「南から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、直進する走行軌道」「西から交差点1に進入し、右折する走行軌道」を許可する。図6に示すように、管制No.1の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No.1の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0031】
図4に戻り、管制No.5の交差点管制情報は、1、7、10、12ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.5の交差点管制情報は、図7に示すように、「北から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「南から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、右折する走行軌道」を許可する。図7に示すように、管制No.5の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No.5の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0032】
図4に戻り、管制No.9の交差点管制情報は、1、4、5、10ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.9の交差点管制情報は、図8に示すように、「北から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「東から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「東から交差点1に進入し、直線する走行軌道」「西から交差点1に進入し、左折する走行軌道」を許可する。図8に示すように、管制No.9の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No.9の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0033】
図4に戻り、管制No.13の交差点管制情報は、4、5、10、11ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.13の交差点管制情報は、図9に示すように、「東から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「東から交差点1に進入し、交差点1で直進する走行軌道」「西から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、直進する走行軌道」を許可する。図9に示すように、管制No.13の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No.13の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0034】
図4に戻り、管制No.15の交差点管制情報は、3、4、9、10ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.15の交差点管制情報は、図10に示すように、「北から交差点1に進入し、交差点1で右折する走行軌道」「東から交差点1に進入し、左折する走行軌道」「南から交差点1に進入し、右折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、左折する走行軌道」を許可する。図10に示すように、管制No.15の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No.15の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0035】
図4に戻り、管制No.17の交差点管制情報は、1、4、7、10ビット目が「1」であり、その他のビットは「0」である。従って、管制No.17の交差点管制情報は、図11に示すように、「北から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「東から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「南から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」「西から交差点1に進入し、交差点1で左折する走行軌道」を許可する。図11に示すように、管制No.17の交差点管制情報が許可する4つの走行軌道は互いに干渉していない。従って、管制No. 17の交差点管制情報に従って走行する限り、交差点1を通過するに際し車両同士で衝突することはない。
【0036】
図3に戻り、決定部21は、交差点1の管制に用いる交差点管制情報を決定する。具体的には、決定部21は、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報を決定する。第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報は、互いに異なる交差点管制情報である。以下、第1の交差点管制情報は、単に第1管制情報とも称する。第2の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報についても同様である。
【0037】
配信部22は、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報をこの記載順に交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する。
【0038】
次に、図12から図15を参照して、交差点管制装置3の動作を説明する。
【0039】
S100:
まず、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2から車両情報を取得する。決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2のうち交差点1の近傍の車両2に限って、車両情報を取得するようにしてもよい。交差点1の近傍とは、典型的には、交差点1から数百メートルの範囲である。交差点1の近傍は、交差点1に接続する道路毎に設定された制限速度に基づいて定義してもよい。
【0040】
S110:
次に、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2から取得した車両情報に基づいて、第1の交差点管制情報を決定する。具体的には、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2の現在地及び車速に基づいて、各車両2がいつ交差点1に到達するかを推定し、到達時刻に応じて複数の車両2を複数のグループに分類する。そして、決定部21は、複数のグループのうち最も到達時刻が早いグループに属する複数の車両2が交差点1を通過できるように、第1の交差点管制情報を決定する。
【0041】
このとき、決定部21は、第1の交差点管制情報を都度生成してもよく、記憶部20に記憶されている複数の交差点管制情報から最も適した交差点管制情報を選択し、選択した交差点管制情報をもって第1の交差点管制情報を決定してもよい。後者の場合、決定部21は、記憶部20に記憶されている複数の交差点管制情報のうち、上記のグループに属する複数の車両2がより多く交差点1を通過できる交差点管制情報を選択するとよい。
【0042】
なお、決定部21が、交差点1を通過予定の複数の車両2から取得した車両情報に基づいて、第1の交差点管制情報を決定する決定方法は上記の方法に限定されない。例えば、交差点1における交通量が多ければ多いほど多くの報酬が得られるように設定した強化学習を用いて学習モデルを学習させ、決定部21が、学習済みの学習モデルを用いて第1の交差点管制情報を決定するようにしてもよい。
【0043】
S120:
次に、配信部22は、決定部21が決定した第1の交差点管制情報を、交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する。交差点1を通過予定の複数の車両2は、受信した第1の交差点管制情報に基づいて、交差点1を通過したり交差点1の手前で待機したりする。
【0044】
S130:
次に、決定部21は、第1の交差点管制情報が配信されてから所定時間が経過したか判定する。所定時間とは、典型的には、2分であるがこれに限定されない。所定時間が経過していないと判定した場合(S130:NO)、決定部21は、S130を繰り返す。一方、所定時間が経過したと判定した場合(S130:YES)、決定部21は、処理をS140に進める。
【0045】
S140:
次に、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2から車両情報を取得する。
【0046】
S150:
次に、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2から取得した車両情報に基づいて、第3の交差点管制情報を決定する。決定部21による第3の交差点管制情報の決定方法は、決定部21による第1の交差点管制情報の決定方法と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0047】
S160:
次に、決定部21は、第1の交差点管制情報と第3の交差点管制情報が異なっているか判定する。第1の交差点管制情報と第3の交差点管制情報が一致している場合(S160:NO)、決定部21は、処理を終了する。一方、第1の交差点管制情報と第3の交差点管制情報が異なっている場合(S160:YES)、決定部21は、処理をS170に進める。
【0048】
S170:
次に、決定部21は、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報に基づいて、第2の交差点管制情報を決定する。具体的には、決定部21は、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報が第2の交差点管制情報が含む少なくとも1つの許可軌道情報を含む関係性が成立するように第2の交差点管制情報を決定する。換言すれば、決定部21は、第1の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道と、第3の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道と、を対比させ、少なくとも1つの走行軌道が共通する場合、当該少なくとも1つの走行軌道を許可する第2の交差点管制情報を生成する。決定部21は、複数の走行軌道が共通する場合、当該複数の走行軌道を許可する第2の交差点管制情報を生成する。決定部21は、複数の走行軌道が共通する場合、当該複数の走行軌道のうち何れか1つ又は複数を許可する第2の交差点管制情報を生成してもよい。何れの場合も、上記の関係性は成立する。
【0049】
図13には、第1の交差点管制情報によって許可された走行軌道と、第3の交差点管制情報によって許可された走行軌道を示している。図13に示すように、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報は、何れも、西から交差点1に進入し交差点1で左折する走行軌道と、南から交差点1に進入し交差点1で左折する走行軌道を許可している。従って、この場合、第2の交差点管制情報は、西から交差点1に進入し交差点1で左折する走行軌道と、南から交差点1に進入し交差点1で左折する走行軌道を許可するように設定される。これにより、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報が、第2の交差点管制情報が含む少なくとも1つの許可軌道情報を含む関係性が成立する。更に言えば、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報が、第2の交差点管制情報が含む複数の許可軌道情報を含む関係性が成立する。
【0050】
図14には、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報のビット配列を示している。図14に示すように第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報がビット配列により構成される場合、決定部21は、第1の交差点管制情報のビット配列と第3の交差点管制情報のビット配列をビット演算することにより、第2の交差点管制情報のビット配列を生成し、これにより第2の交差点管制情報を決定してもよい。
【0051】
本実施形態において交差点管制情報を構成するビット配列は、前述したように許可された走行軌道に対応するビットを「1」とし、それ以外の走行軌道に対応するビットを「0」としている。この場合、決定部21は、第1の交差点管制情報のビット配列と第3の交差点管制情報のビット配列の論理積を求めることにより、第2の交差点管制情報のビット配列を生成し、これにより第2の交差点管制情報を決定する。
【0052】
一方、交差点管制情報を構成するビット配列は、許可された走行軌道に対応するビットを「0」とし、それ以外の走行軌道に対応するビットを「1」としてもよい。この場合、決定部21は、第1の交差点管制情報のビット配列と第3の交差点管制情報のビット配列をビット反転した上で、両者の論理積を求め、得られたビット配列をビット反転することにより、第2の交差点管制情報のビット配列を生成し、これにより第2の交差点管制情報を決定する。
【0053】
S180:
図12に戻り、次に、配信部22は、決定部21が決定した第2の交差点管制情報を、交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する。交差点1を通過予定の複数の車両2は、受信した第2の交差点管制情報に基づいて、交差点1を通過したり交差点1の手前で待機したりする。
【0054】
S190:
次に、配信部22は、第2の交差点管制情報が配信されてから所定時間が経過したか判定する。所定時間とは、典型的には、5秒であるがこれに限定されない。所定時間が経過していないと判定した場合(S190:NO)、決定部21は、S190を繰り返す。一方、所定時間が経過したと判定した場合(S190:YES)、決定部21は、処理をS200に進める。
【0055】
S200:
次に、配信部22は、決定部21が決定した第3の交差点管制情報を、交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する。交差点1を通過予定の複数の車両2は、受信した第3の交差点管制情報に基づいて、交差点1を通過したり交差点1の手前で待機したりする。
【0056】
次に、図13及び図15を参照して、第1の交差点管制情報の配信と第3の交差点管制情報の配信の間に第2の交差点管制情報を配信する技術的な意義について説明する。図15には、第2の交差点管制情報を配信することに代えて、第1の交差点管制情報の配信と第3の交差点管制情報の配信の間にクリアランスインターバル期間を設けた比較例を示している。図15に示すように、第1の交差点管制情報と第3の交差点管制情報が異なっている場合、第1の交差点管制情報の配信と第3の交差点管制情報の配信の間にクリアランスインターバル期間を設け、交差点1から車両2を排除する必要がある。なぜなら、第1の交差点管制情報が管制に供されている期間に交差点1に西から進入し東へ抜ける車両2が交差点1内を通過している間に、第3の交差点管制情報が配信された場合、当該車両2は、交差点1に北から進入し左折する車両2と衝突する可能性があるからである。即ち、第1の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道の何れかと、第3の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道の何れかと、が互いに干渉する場合、交差点1への車両2の進入を一切禁止するクリアランスインターバル期間が必要である。
【0057】
これに対し、図13に示すように、第1の交差点管制情報の配信と第3の交差点管制情報の配信の間に第2の交差点管制情報を配信した場合、第1の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道と、第3の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道のうち共通する走行軌道については車両2の走行が許可され、それ以外の走行軌道については車両2の走行が禁止される。従って、第1の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道のうち、第3の交差点管制情報によって許可された複数の走行軌道と干渉する走行軌道Aから車両2が排除されるので交差点1内における車両2間の衝突を防止できると共に、交差点1における交通量を増やすことが可能となる。
【0058】
以上に、本開示の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は以下の特徴を有する。
【0059】
即ち、交差点1への車両2の進入を管制する交差点管制装置3(交差点管制システム)は、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定部21と、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報をこの記載順に交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する配信部22と、を含む。第1の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含む。第2の交差点管制情報は、少なくとも1つの許可軌道情報を含む。図13に示すように、第1の交差点管制情報と第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報は互いに異なっている。各許可軌道情報は、車両2が交差点1を通過する際の車両2の許可された走行軌道を示す情報である。そして、図13に示すように、第1の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報は、第2の交差点管制情報が含む少なくとも1つの許可軌道情報を含む。以上の構成によれば、交差点1における車両2間の衝突リスクを増やすことなく、交差点1における交通量を増やすことができる。
【0060】
また、決定部21は、交差点1を通過予定の複数の車両2の、交差点1を通過する際の走行軌道を示す走行軌道情報を取得し(S100,S140)、複数の車両2の走行軌道情報に基づいて第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報を決定する(S110、S150)。決定部21は、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報に基づいて第2の交差点管制情報を決定する(S170)。以上の構成によれば、合理的に、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報を決定することができる。
【0061】
また、交差点管制装置3は、互いに異なる複数の交差点管制情報を記憶する記憶部20を含む。決定部21は、複数の車両2の走行軌道情報に基づいて、記憶部20に記憶される複数の交差点管制情報から第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報を選択することにより、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報を決定する。以上の構成によれば、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報を都度生成する場合と比較して、第1の交差点管制情報及び第3の交差点管制情報を低い計算コストで決定することができる。
【0062】
また、例えば図14に示すように、各交差点管制情報が、許可された走行軌道に対応するビットを第1の値としそれ以外の走行軌道に対応するビットを第1の値と異なる第2の値とするビット配列により構成される場合、決定部21は、第1の交差点管制情報のビット配列と第3の交差点管制情報のビット配列をビット演算することにより第2の交差点管制情報のビット配列を生成する。以上の構成によれば、第2の交差点管制情報を低い計算コストで求めることができる。
【0063】
また、第2の交差点管制情報は、複数の許可軌道情報を含んでもよい。この場合、第1の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報は、第2の交差点管制情報が含む複数の許可軌道情報のすべてを含む。これに代えて、第1の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報は、第2の交差点管制情報が含む複数の許可軌道情報のうち何れか1つのみを含んでもよい。何れの場合でも、交差点1における車両2間の衝突リスクを増やすことなく、交差点1における交通量を増やすことができる。
【0064】
また、第1の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉しない。第3の交差点管制情報の複数の許可軌道情報の走行軌道は互いに干渉しない。以上の構成によれば、第1の交差点管制情報による管制において交差点1内における車両2の衝突を回避することができる。第3の交差点管制情報による管制においても同様である。
【0065】
また、交差点1において第1の交差点管制情報が管制に供される第1の期間、及び、交差点1において第3の交差点管制情報が管制に供される第3の期間は、交差点1において第2の交差点管制情報が管制に供される第2の期間よりも長い。第1の期間及び第3の期間は、典型的には2分であるがこれに限定されない。第1の期間及び第3の期間は、一例として、30秒から5分の範囲内で任意に設定される。第1の期間と第3の期間は互いに同一でもよく異なっていてもよい。第2の期間は、典型的には5秒であるがこれに限定されない。第2の期間は、交差点1内から車両2を排除するのに必要な時間に基づいて設定し得る。第2の期間は、一例として、1秒から10秒の範囲内で任意に設定される。
【0066】
また、図14に示すように、交差点1への車両2の進入を管制する交差点管制方法は、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、及び、第3の交差点管制情報を決定する決定ステップ(S110,S150,S170)と、第1の交差点管制情報、第2の交差点管制情報、第3の交差点管制情報をこの記載順に交差点1を通過予定の複数の車両2に配信する配信ステップ(S120,S180,S200)と、を含む。以上の方法によれば、交差点1における車両2間の衝突リスクを増やすことなく、交差点1における交通量を増やすことができる。
【0067】
上記の実施形態は、例えば以下のように変更できる。
【0068】
即ち、上記実施形態において、決定部21は、複数の車両2から受信した車両情報に基づいて、各車両2の走行軌道情報を取得している。しかし、これに代えて、決定部21は、カメラ23から出力された撮像画像情報に基づいて、交差点1近傍の各車両2の方向指示器の点灯の有無を判定し、判定結果に基づいて各車両2の走行軌道情報を生成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、交差点1は四差路(十字路)であるとした。しかし、これに代えて、交差点1は三差路や五差路であってもよい。
【0070】
また、交差点1に進入する各車両2の現在地情報と経路情報を入力に、車両2間の衝突がなくかつスループットが最大となるような管制モデルを機械学習にて作成してもよい。
【0071】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0072】
1 交差点
2 車両
3 交差点管制装置
4 交通システム
10 地図情報記憶部
11 目的地情報取得部
12 現在地情報取得部
13 経路情報生成部
14 自動運転制御部
15 車速情報取得部
16 車両情報送信部
17 交差点管制情報受信部
18 交差点進入可否判定部
20 記憶部
21 決定部
22 配信部
23 カメラ
A 走行軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13
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図15