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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】回路基板及び回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20241008BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20241008BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241008BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H05K3/28 C
H05K9/00 R
H01L23/12 N
H01L23/14 R
H05K1/02 F
H05K1/02 D
H05K1/18 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022092641
(22)【出願日】2022-06-08
(65)【公開番号】P2023179821
(43)【公開日】2023-12-20
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智彦
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 純一
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088460(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110397(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0308829(US,A1)
【文献】特開2009-231635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00- 1/02
H05K 1/18
H01L 23/12-23/15
H05K 9/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有している第1回路基板本体と、前記第1上主面に位置する第1実装電極及び第2実装電極と、を含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有している樹脂部材であって、前記第2下主面は、前記第1上主面に接している、樹脂部材と、
上下方向に並ぶ第3上主面及び第3下主面を有しているカバー部材であって、上下方向に前記カバー部材を貫通する第1貫通孔及び第2貫通孔が設けられており、前記第3下主面は、前記第2上主面に接している、カバー部材と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第1接続導体であって、前記第1接続導体の下端は、前記第1実装電極に接続されており、前記第1接続導体の一部分は、前記第1貫通孔内に位置している、第1接続導体と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第2接続導体であって、前記第2接続導体の下端は、前記第2実装電極に接続されており、前記第2接続導体の一部分は、前記第2貫通孔内に位置している、第2接続導体と、
を含んでおり、
下方向に見て、前記第1貫通孔内において、前記第1接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
下方向に見て、前記第2貫通孔内において、前記第2接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
前記カバー部材の線膨張係数は、前記樹脂部材の線膨張係数より小さい、
回路基板。
【請求項2】
前記カバー部材の熱伝導率は、前記樹脂部材の熱伝導率より高い、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記カバー部材の材料は、炭素繊維強化プラスチックである、
請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記回路基板は、
前記第1上主面に実装されている第2電子部品を、
更に含んでいる、
請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】
上下方向に前記カバー部材を貫通する第3貫通孔が設けられており、
前記第3貫通孔内には前記樹脂部材が存在している、
請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の回路基板と、
部品本体と、前記部品本体の表面に設けられている第1外部電極及び第2外部電極と、を含んでいる第1電子部品と、
を備えており、
前記第1外部電極は、前記第1接続導体の上端に接続されており、
前記第2外部電極は、前記第2接続導体の上端に接続されている、
回路モジュール。
【請求項7】
前記カバー部材は、導電性を有しており、
下方向に見て、前記第1貫通孔内において、前記第1接続導体の周囲を一周するように前記樹脂部材が存在している、
請求項6に記載の回路モジュール。
【請求項8】
下方向に見て、前記第1外部電極は、前記第1貫通孔の外縁内に収まっており、
下方向に見て、前記第2外部電極は、前記第2貫通孔の外縁内に収まっている、
請求項7に記載の回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装される回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路モジュールに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の3次元パッケージ構造が知られている。このパッケージ構造は、半導体パッケージ、エネルギー貯蔵要素、第1電極、第2電極、第1導電性要素、第2導電性要素、第1銅ピラー及び第2銅ピラーを備えている。
【0003】
半導体パッケージは、上面及び下面を有している。第1導電性要素及び第2導電性要素は、半導体パッケージの下面に設けられている。第1銅ピラーは、半導体パッケージを上下方向に貫通している。第1銅ピラーの下端は、第1導電性要素に接続されている。第2銅ピラーは、半導体パッケージを上下方向に貫通している。第2銅ピラーの下端は、第2導電性要素に接続されている。
【0004】
第1電極及び第2電極は、エネルギー貯蔵要素の表面に設けられている。第1電極は、第1銅ピラーの上端に接続されている。第2電極は、第2銅ピラーの上端に接続されている。これにより、第1電極は、第1銅ピラーを介して第1導電性要素に電気的に接続されている。第2電極は、第2銅ピラーを介して第2導電性要素に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2013/0001756号明細書(図3B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の3次元パッケージ構造の使用時に、例えば、エネルギー貯蔵要素が発熱する。この場合、エネルギー貯蔵要素が発生した熱により、半導体パッケージ及びエネルギー貯蔵要素が膨張する。ただし、半導体パッケージの線膨張係数は、エネルギー貯蔵要素の線膨張係数より大きい。そのため、第1銅ピラーと第2銅ピラーとの距離は、第1電極と第2電極との距離より大きくなる。その結果、第1銅ピラーと第1電極とを接続する半田及び第2銅ピラーと第2電極とを接続する半田が破損する場合がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、第1電子部品の第1外部電極と樹脂部材を貫通する第1接続導体との接続が外れること、又は、第2電子部品の第2外部電極と樹脂部材を貫通する第2接続導体との接続が外れることを抑制できる回路基板及び回路モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る回路基板は、
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有している第1回路基板本体と、前記第1上主面に位置する第1実装電極及び第2実装電極と、を含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有している樹脂部材であって、前記第2下主面は、前記第1上主面に接している、樹脂部材と、
上下方向に並ぶ第3上主面及び第3下主面を有しているカバー部材であって、上下方向に前記カバー部材を貫通する第1貫通孔及び第2貫通孔が設けられており、前記第3下主面は、前記第2上主面に接している、カバー部材と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第1接続導体であって、前記第1接続導体の下端は、前記第1実装電極に接続されており、前記第1接続導体の一部分は、前記第1貫通孔内に位置している、第1接続導体と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第2接続導体であって、前記第2接続導体の下端は、前記第2実装電極に接続されており、前記第2接続導体の一部分は、前記第2貫通孔内に位置している、第2接続導体と、
を含んでおり、
下方向に見て、前記第1貫通孔内において、前記第1接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
下方向に見て、前記第2貫通孔内において、前記第2接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
前記カバー部材の線膨張係数は、前記樹脂部材の線膨張係数より小さい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る回路基板によれば、第1電子部品の第1外部電極と樹脂部材を貫通する第1接続導体との接続が外れること、又は、第2電子部品の第2外部電極と樹脂部材を貫通する第2接続導体との接続が外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、回路モジュール1の斜視図である。
図2図2は、回路モジュール1のA-Aにおける断面図である。
図3図3は、回路モジュール1の上面図である。
図4図4は、回路基板10aの上面図である。
図5図5は、回路基板10bの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
[回路モジュールの構造]
以下に、本発明の実施形態に係る回路モジュール1の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、回路モジュール1の斜視図である。図2は、回路モジュール1のA-Aにおける断面図である。図3は、回路モジュール1の上面図である。
【0012】
本明細書において、方向を以下のように定義する。第1回路基板本体122の第1上主面S1及び第1下主面S2が並ぶ方向を上下方向と定義する。上下方向に直交する方向を左右方向及び前後方向と定義する。左右方向と前後方向とは直交している。なお、本実施形態における上下方向、前後方向及び左右方向は、回路モジュール1の使用時における上下方向、前後方向及び左右方向と一致していなくてもよい。
【0013】
以下では、Xは、回路モジュール1の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0014】
回路モジュール1は、スマートフォン等の電子機器に用いられる。回路モジュール1は、図1に示すように、回路基板10及び第1電子部品30を備えている。回路基板10は、第1回路基板12、樹脂部材14、カバー部材16、第1接続導体18a、第2接続導体18b及び第2電子部品20(図2参照)含んでいる。
【0015】
第1回路基板12は、図2に示すように、第1回路基板本体122、第1実装電極124a、第2実装電極124b及び実装電極126a,126bを含んでいる。第1回路基板本体122は、上下方向に並ぶ第1上主面S1及び第1下主面S2を有している。第1回路基板本体122の材料は、例えば、ガラスエポキシである。第1回路基板本体122の表面及び内部には、図示しない導体層により電気回路が設けられている。第1実装電極124a、第2実装電極124b及び実装電極126a,126bは、第1上主面S1に位置している。本実施形態では、第1実装電極124a、実装電極126a,126b及び第2実装電極124bは、左から右へとこの順に並んでいる。
【0016】
第2電子部品20は、例えば、IC(Integrated Circuit)である。第2電子部品20は、動作時に発熱する。第2電子部品20は、第1上主面S1に実装されている。より詳細には、第2電子部品20は、実装電極126a,126bに半田(図示せず)により固定されている。
【0017】
樹脂部材14は、上下方向に並ぶ第2上主面S11及び第2下主面S12を有している。樹脂部材14は、第1回路基板12の上に位置している。そして、第2下主面S12は、第1上主面S1に接している。これにより、樹脂部材14は、第1回路基板12の第1上主面S1を覆っている。更に、樹脂部材14は、第2電子部品20の前面、後面、左面及び右面を覆っている。このような、樹脂部材14の材料は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0018】
カバー部材16は、上下方向に並ぶ第3上主面S21及び第3下主面S22を有している。カバー部材16は、樹脂部材14及び第2電子部品20の上に位置している。そして、第3下主面S22は、第2上主面S11に接している。これにより、カバー部材16は、樹脂部材14を覆っている。
【0019】
カバー部材16には、上下方向にカバー部材16を貫通する第1貫通孔Ha及び第2貫通孔Hbが設けられている。第1貫通孔Ha及び第2貫通孔Hbは、下方向に見て、円形状を有している。第1貫通孔Ha及び第2貫通孔Hbは、左から右へとこの順に並んでいる。
【0020】
カバー部材16の線膨張係数は、樹脂部材14の線膨張係数より小さい。これにより、カバー部材16の線膨張係数と部品本体32(後述)の線膨張係数との差の絶対値は、樹脂部材14の線膨張係数と部品本体32の線膨張係数との差の絶対値より小さい。本明細書において、線膨張係数は、温度の上昇に対応して長さが変化する割合を意味する。
【0021】
なお、固体状態(ガラス転移温度以下)の線膨張係数は、溶融状態の線膨張係数と異なる。本明細書の線膨張係数は、固体状態の線膨張係数である。ただし、カバー部材16の線膨張係数は、樹脂部材14の固体状態の線膨張係数より高く、かつ、樹脂部材14の溶融状態の線膨張係数より低くてもよい。 また、カバー部材16は、導電性を有している。カバー部材16の材料は、炭素繊維強化プラスチックである。この場合、カバー部材16の熱伝導率は、樹脂部材14の熱伝導率より高い。
【0022】
第1接続導体18aは、上下方向に延びる中心軸線を有する円柱形状を有している。第1接続導体18aは、樹脂部材14を上下方向に貫通している。第1接続導体18aの下端は、第1実装電極124aに接続されている。第1接続導体18aの下端は、例えば、第1実装電極124aに半田(図示せず)により固定されている。第1接続導体18aの一部分は、第1貫通孔Ha内に位置している。本実施形態では、第1接続導体18aの上部は、第1貫通孔Ha内に位置している。そして、下方向に見て、第1貫通孔Ha内において、第1接続導体18aの周囲の少なくとも一部には、樹脂部材14が存在している。本実施形態では、下方向に見て、第1貫通孔Ha内において、第1接続導体18aの周囲を一周するように樹脂部材14が存在している。これにより、第1接続導体18aは、カバー部材16に接触していない。よって、第1接続導体18aは、カバー部材16に電気的に接続されていない。また、第1接続導体18aの上端は、回路基板10から露出している。
【0023】
第2接続導体18b、上下方向に延びる中心軸線を有する円柱形状を有している。第2接続導体18bは、樹脂部材14を上下方向に貫通している。第2接続導体18bの下端は、第2実装電極124bに接続されている。第2接続導体18bの下端は、例えば、第2実装電極124bに半田(図示せず)により固定されている。第2接続導体18bの一部分は、第2貫通孔Hb内に位置している。本実施形態では、第2接続導体18bの上部は、第2貫通孔Hb内に位置している。そして、下方向に見て、第2貫通孔Hb内において、第2接続導体18bの周囲の少なくとも一部には、樹脂部材14が存在している。本実施形態では、下方向に見て、第2貫通孔Hb内において、第2接続導体18bの周囲を一周するように樹脂部材14が存在している。これにより、第2接続導体18bは、カバー部材16に接触していない。よって、第2接続導体18bは、カバー部材16に電気的に接続されていない。また、第2接続導体18bの上端は、回路基板10から露出している。以上のような第1接続導体18aの材料及び第2接続導体18bの材料は、金属である。金属は、例えば、銅である。
【0024】
第1電子部品30は、動作時に発熱する素子である。第1電子部品30は、例えば、インダクタである。第1電子部品30は、部品本体32、第1外部電極34a及び第2外部電極34bを含んでいる。部品本体32は、直方体形状を有している。第1外部電極34a及び第2外部電極34bは、部品本体32の表面に設けられている。本実施形態では、第1外部電極34aは、部品本体32の下面及び左面に設けられている。第2外部電極34bは、部品本体32の下面及び右面に設けられている。
【0025】
以上のような第1電子部品30は、回路基板10に実装されている。より詳細には、第1外部電極34aは、第1接続導体18aの上端に接続されている。本実施形態では、第1外部電極34aは、第1接続導体18aの上端に半田(図示せず)により固定されている。このとき、図3に示すように、下方向に見て、第1外部電極34aは、第1貫通孔Haの外縁内に収まっている。これにより、第1外部電極34aは、カバー部材16と電気的に接続されていない。第2外部電極34bは、第2接続導体18bの上端に接続されている。本実施形態では、第2外部電極34bは、第2接続導体18b上端に半田(図示せず)により固定されている。このとき、図3に示すように、下方向に見て、第2外部電極34bは、第2貫通孔Hbの外縁内に収まっている。これにより、第2外部電極34bは、カバー部材16と電気的に接続されていない。
【0026】
[効果]
回路基板10によれば、第1外部電極34aと第1接続導体18aとの接続が外れること、又は、第2外部電極34bと第2接続導体18bとの接続が外れることを抑制できる。より詳細には、回路モジュール1の使用時に、第1電子部品30が発熱する。これにより、第1電子部品30及び回路基板10が熱膨張する。
【0027】
そこで、カバー部材16の線膨張係数は、樹脂部材14の線膨張係数より小さい。これにより、カバー部材16の線膨張係数と部品本体32(後述)の線膨張係数との差の絶対値は、樹脂部材14の線膨張係数と部品本体32の線膨張係数との差の絶対値より小さい。従って、カバー部材16は、左右方向に延びにくい。従って、第1接続導体18a及び第2接続導体18bがカバー部材16により保持される。その結果、第1接続導体18aと第2接続導体18bとの距離が、第1外部電極34aと第2外部電極34bとの距離より大きくなりすぎることが抑制される。以上より、回路基板10によれば、第1外部電極34aと第1接続導体18aとの接続が外れること、又は、第2外部電極34bと第2接続導体18bとの接続が外れることを抑制できる。
【0028】
回路基板10では、回路基板10では、下方向に見て、第1貫通孔Ha内において、第1接続導体18aの周囲の少なくとも一部には、樹脂部材14が存在している。これにより、樹脂部材14は、第1接続導体18aの上部に密着する。これにより、第1接続導体18aが樹脂部材14により保持される。よって、第1接続導体18aが樹脂部材14内において移動することが抑制され、第1接続導体18aが樹脂部材14から外れることが抑制される。
【0029】
回路基板10によれば、第1接続導体18a及び第2接続導体18bが傾くことが抑制される。より詳細には、回路基板10の製造時には、溶融した樹脂を金型に射出することにより、樹脂部材14を形成する。溶融した樹脂は高温状態であるので、第1回路基板12が加熱される。これにより、第1回路基板12は、左右方向に延びる。このとき、第1接続導体18a及び第2接続導体18bが傾く可能性がある。そこで、カバー部材16の線膨張係数は、樹脂部材14の線膨張係数より小さい。そのため、カバー部材16は、左右方向に延びにくい。その結果、回路基板10では、第1接続導体18a及び第2接続導体18bが傾くことが抑制される。
【0030】
回路基板10では、カバー部材16は、導電性を有している。これにより、カバー部材16は、シールドとして機能する。
【0031】
回路基板10では、カバー部材16の熱伝導率は、樹脂部材14の熱伝導率より高い。これにより、回路基板10において発生した熱は、カバー部材16により回路基板10外に放射されやすくなる。
【0032】
(変形例)
以下に、変形例に係る回路基板10a,10bについて図面を参照しながら説明する。図4は、回路基板10aの上面図である。図5は、回路基板10bの上面図である。
【0033】
回路基板10aでは、図4に示すように、上下方向にカバー部材16を貫通する複数の第3貫通孔Hcが設けられている。複数の第3貫通孔Hcは、下方向に見て、円形状を有している。複数の第3貫通孔Hc内には樹脂部材14が存在している。なお、複数の第3貫通孔Hcは、図5に示すように、下方向に見て、円形状以外の形状を有していてもよい。回路基板10bでは、複数の第3貫通孔Hcは、下方向に見て、四角形状及び三角形状を有している。回路基板10a,10bによれば、溶融した樹脂は、複数の第3貫通孔Hcを介して、第1回路基板12とカバー部材16との間に流入することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
本発明に係る回路基板は、回路基板10,10a,10bに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、回路基板10,10a,10bの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0035】
なお、カバー部材16の材料は、炭素繊維強化プラスチックに限らず、例えば、アルミニウム等の金属であってもよい。
【0036】
なお、カバー部材16は、絶縁性を有していてもよい。この場合、下方向に見て、第1外部電極14aは、第1貫通孔Haの外縁内に収まっていなくてもよい。下方向に見て、第2外部電極14bは、第2貫通孔Hbの外縁内に収まっていなくてもよい。
【0037】
なお、カバー部材16の熱伝導率は、樹脂部材14の熱伝導率以下であってもよい。
【0038】
なお、回路基板10は、第2電子部品20を含んでいなくてもよい。
【0039】
本発明は、以下の構造を備えている。
【0040】
(1)
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有している第1回路基板本体と、前記第1上主面に位置する第1実装電極及び第2実装電極と、を含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有している樹脂部材であって、前記第2下主面は、前記第1上主面に接している、樹脂部材と、
上下方向に並ぶ第3上主面及び第3下主面を有しているカバー部材であって、上下方向に前記カバー部材を貫通する第1貫通孔及び第2貫通孔が設けられており、前記第3下主面は、前記第2上主面に接している、カバー部材と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第1接続導体であって、前記第1接続導体の下端は、前記第1実装電極に接続されており、前記第1接続導体の一部分は、前記第1貫通孔内に位置している、第1接続導体と、
前記樹脂部材を上下方向に貫通している第2接続導体であって、前記第2接続導体の下端は、前記第2実装電極に接続されており、前記第2接続導体の一部分は、前記第2貫通孔内に位置している、第2接続導体と、
を含んでおり、
下方向に見て、前記第1貫通孔内において、前記第1接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
下方向に見て、前記第2貫通孔内において、前記第2接続導体の周囲の少なくとも一部には、前記樹脂部材が存在しており、
前記カバー部材の線膨張係数は、前記樹脂部材の線膨張係数より小さい、
回路基板。
【0041】
(2)
前記カバー部材の熱伝導率は、前記樹脂部材の熱伝導率より高い、
(1)に記載の回路基板。
【0042】
(3)
前記カバー部材の材料は、炭素繊維強化プラスチックである、
(1)又は(2)に記載の回路基板。
【0043】
(4)
前記回路基板は、
前記第1上主面に実装されている第2電子部品を、
更に含んでいる、
(1)ないし(3)のいずれかに記載の回路基板。
【0044】
(5)
上下方向に前記カバー部材を貫通する第3貫通孔が設けられており、
前記第3貫通孔内には前記樹脂部材が存在している、
(1)ないし(4)のいずれかに記載の回路基板。
【0045】
(6)
(1)ないし(5)のいずれかに記載の回路基板と、
部品本体と、前記部品本体の表面に設けられている第1外部電極及び第2外部電極と、を含んでいる第1電子部品と、
を備えており、
前記第1外部電極は、前記第1接続導体の上端に接続されており、
前記第2外部電極は、前記第2接続導体の上端に接続されている、
回路モジュール。
【0046】
(7)
前記カバー部材は、導電性を有しており、
下方向に見て、前記第1貫通孔内において、前記第1接続導体の周囲を一周するように前記樹脂部材が存在している、
(6)に記載の回路モジュール。
【0047】
(8)
下方向に見て、前記第1外部電極は、前記第1貫通孔の外縁内に収まっており、
下方向に見て、前記第2外部電極は、前記第2貫通孔の外縁内に収まっている、
(7)に記載の回路モジュール。
【符号の説明】
【0048】
1:回路モジュール
10,10a,10b:回路基板
12:第1回路基板
14:樹脂部材
14a:第1外部電極
14b:第2外部電極
16:カバー部材
18a:第1接続導体
18b:第2接続導体
20:第2電子部品
30:第1電子部品
32:部品本体
34a:第1外部電極
34b:第2外部電極
122:第1回路基板本体
124a:第1実装電極
124b:第2実装電極
126a,126b:実装電極
Ha:第1貫通孔
Hb:第2貫通孔
Hc:第3貫通孔
S1:第1上主面
S11:第2上主面
S12:第2下主面
S2:第1下主面
S21:第3上主面
S22:第3下主面
図1
図2
図3
図4
図5