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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】蓄電装置の充電回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241008BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/10 B
H02J7/10 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022097538
(22)【出願日】2022-06-16
(65)【公開番号】P2023183803
(43)【公開日】2023-12-28
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】二宮 大造
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 敦司
(72)【発明者】
【氏名】松原 礼
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123560(JP,A)
【文献】特開2016-086472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される電力を調整して蓄電装置に出力する電力調整部と、
前記電力調整部から前記蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流を検出する電流検出部と、
前記蓄電装置の正負両極間電圧であるバッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて前記電力調整部をフィードバック制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である、蓄電装置の充電回路であって、
前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記定電流制御及び前記定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、
前記バッテリ電流又は前記バッテリ電圧の目標値である指令値と、前記電力フィードバック信号との差分に基づいて、前記定電流制御又は前記定電圧制御により、前記電力調整部を制御する制御信号を生成するフィードバック演算部と、をさらに備え
前記電流検出部及び前記電圧検出部の少なくとも一方は、前記バッテリ電流の検出値及び前記バッテリ電圧の検出値の信号レベルが同等となるように検出値を調整する検出値調整部を備える、蓄電装置の充電回路。
【請求項2】
電源から供給される電力を調整して蓄電装置に出力する電力調整部と、
前記電力調整部から前記蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流を検出する電流検出部と、
前記蓄電装置の正負両極間電圧であるバッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて前記電力調整部をフィードバック制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である、蓄電装置の充電回路であって、
前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記定電流制御及び前記定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、
前記バッテリ電流又は前記バッテリ電圧の目標値である指令値と、前記電力フィードバック信号との差分に基づいて、前記定電流制御又は前記定電圧制御により、前記電力調整部を制御する制御信号を生成するフィードバック演算部と、をさらに備え、
前記フィードバック信号生成部は、第1アノード端子及び第1カソード端子を備えた第1ダイオードと、第2アノード端子及び第2カソード端子を備えた第2ダイオードと、を備え、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとは、前記第1アノード端子が前記電流検出部の側に接続され、前記第2アノード端子が前記電圧検出部の側に接続され、前記第1カソード端子と前記第2カソード端子とが接続されたワイヤードオア回路を構成している、蓄電装置の充電回路。
【請求項3】
前記電力調整部は、スイッチング素子を備えたチョッパ回路である、請求項1又は2に記載の蓄電装置の充電回路。
【請求項4】
前記電源は、電磁誘導により給電コイルから非接触で電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルが受電した交流を直流に整流する整流回路とを備えた非接触受電装置である、請求項1又は2に記載の蓄電装置の充電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流、及び蓄電装置の正負両極間電圧であるバッテリ電圧に基づくフィードバック制御を行って、蓄電装置を充電する蓄電装置の充電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-118193号公報には、一般的な充電回路の一例として、充電中に充電電流(バッテリ電流)を監視し、その電流値に基づいて、定電流制御と定電圧制御を切り替えて二次電池(蓄電装置)を充電する充電回路が開示されている。具体的には、充電の初期段階においては、定電流制御により、一定の充電電流が二次電池に供給される。二次電池の端子電圧が所定値を超えると、制御方式が定電圧制御に切り替えられ、一定の充電電圧が二次電池に印加される。定電圧制御の終盤では、充電の進行に伴って充電電流が徐々に減少する。充電電流が所定値を下回ると、充電が終了される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-118193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の充電回路では、定電流制御が実行される際には、充電電流に基づいてフィードバック制御が行われ、二次電池の端子電圧は、定電流制御から定電圧制御への切り替えを判定するために用いられている。また、定電圧制御が実行される際には、二次電池の端子電圧に基づいてフィードバック制御が行われ、充電電流は、定電圧制御の終了(つまり、充電の終了)を判定するために用いられる。そして、これら制御の切り替え判定や終了判定は、ソフトウェアによって充電制御部で実行されると解される。
【0005】
ところで蓄電装置の充電時には、蓄電装置が充電回路から外れ、蓄電装置と充電回路との電気的接続が遮断されることや、蓄電装置の正負両極間での短絡、或いは蓄電装置から電力の供給を受ける負荷における短絡が生じる場合がある。定電流制御中に蓄電装置と充電回路との電気的接続が遮断されると、電流の行き場がなくなることで蓄電装置に印加されるべき電圧が急上昇する場合があり、充電回路に過電圧が掛かるおそれがある。定電流制御中は、充電電流に基づいてフィードバック制御が実行されており、そのような過電圧の発生の判定ができなかったり、遅れたりする場合がある。また、定電圧制御中に上記のような短絡が生じると、充電回路に過電流が流れるおそれがある。定電圧制御中は、端子電圧に基づいてフィードバック制御が実行されており、そのような過電流の発生の判定ができなかったり、遅れたりする場合がある。
【0006】
上記背景に鑑みて、蓄電装置を適切な制御方式により充電すると共に、充電中の異常状態に対しても迅速に対応可能な充電回路の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた蓄電装置の充電回路は、1つの態様として、電源から供給される電力を調整して蓄電装置に出力する電力調整部と、前記電力調整部から前記蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流を検出する電流検出部と、前記蓄電装置の正負両極間の電圧であるバッテリ電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて前記電力調整部をフィードバック制御する制御部と、を備え、前記制御部は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である、蓄電装置の充電回路であって、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記定電流制御及び前記定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、前記バッテリ電流又は前記バッテリ電圧の目標値である指令値と、前記電力フィードバック信号との差分に基づいて、前記定電流制御又は前記定電圧制御により、前記電力調整部を制御する制御信号を生成するフィードバック演算部と、をさらに備え
前記電流検出部及び前記電圧検出部の少なくとも一方は、前記バッテリ電流の検出値及び前記バッテリ電圧の検出値の信号レベルが同等となるように検出値を調整する検出値調整部を備える。
また、上記に鑑みた蓄電装置の充電回路は、別の態様として、電源から供給される電力を調整して蓄電装置に出力する電力調整部と、前記電力調整部から前記蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流を検出する電流検出部と、前記蓄電装置の正負両極間の電圧であるバッテリ電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて前記電力調整部をフィードバック制御する制御部と、を備え、前記制御部は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である、蓄電装置の充電回路であって、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記定電流制御及び前記定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、前記バッテリ電流又は前記バッテリ電圧の目標値である指令値と、前記電力フィードバック信号との差分に基づいて、前記定電流制御又は前記定電圧制御により、前記電力調整部を制御する制御信号を生成するフィードバック演算部と、をさらに備え、
前記フィードバック信号生成部は、第1アノード端子及び第1カソード端子を備えた第1ダイオードと、第2アノード端子及び第2カソード端子を備えた第2ダイオードと、を備え、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとは、前記第1アノード端子が前記電流検出部の側に接続され、前記第2アノード端子が前記電圧検出部の側に接続され、前記第1カソード端子と前記第2カソード端子とが接続されたワイヤードオア回路を構成している。
【0008】
本構成によれば、例えば、制御部は、充電初期のバッテリ電圧が低い状態では、定電流制御によってバッテリ電流が一定になるようにフィードバック制御を実行し、充電の経過に伴ってバッテリ電圧が上昇すると定電圧制御によって電力調整部から蓄電装置の正負両極間に印加される電圧が一定になるようにフィードバック制御を実行することができる。即ち、蓄電装置を適切な制御方式により充電することができる。また、本構成によれば、電流検出部及び電圧検出部によりそれぞれ検出されたバッテリ電流及びバッテリ電圧に基づいて、定電流制御及び定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号が生成されるため、定電流制御から定電圧制御への制御方式の移行も円滑に行うことができる。また、例えば蓄電装置と充電回路との電気的接続の切断や短絡等によって急激な電圧変化や電流変化が生じた場合には、定電流制御及び定電圧制御に共通する電力フィードバック信号が示す値(制御方式に応じて、バッテリ電流の検出値、バッテリ電圧の検出値の何れかに対応する)が上昇する。このため、それぞれ実行中の制御方式を用いて、充電回路から蓄電装置へ出力される電力を制限することができる。従って、蓄電装置又は充電回路の少なくとも一方に何らかの異常が生じた場合に、迅速に当該異常に対応することができる。このように、本構成によれば、蓄電装置を適切な制御方式により充電すると共に、充電中の異常状態に対しても迅速に対応可能な充電回路を提供することができる。
また、電流検出部及び電圧検出部の少なくとも一方に検出値調整部が備えられている場合には、検出回路の構成に拘わらず、バッテリ電流の検出値及びバッテリ電圧の検出値の信号レベルを同等に揃え易い。
また、ダイオードを用いたワイヤードオア回路は、アナログ情報を適切に伝達することができるため、フィードバック信号生成部がワイヤードオア回路を構成している場合には、電流検出部によって検出されたバッテリ電流、及び、電圧検出部によって検出されたバッテリ電圧を適切に伝達して、電力フィードバック信号を生成することができる。
【0009】
蓄電装置の充電回路のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】充電回路の構成例を模式的に示す機能ブロック図
図2】充電回路が搭載された無人搬送車の一例を示す透過斜視図
図3】充電回路の構成例を模式的に示す回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、蓄電装置の充電回路の実施形態を、図面を参照しながら説明する。本明細書では、無人搬送車9(AGV:Automatic Guided Vehicle)に搭載される蓄電装置8を充電する充電回路10を例として説明するが、当然ながら蓄電装置8及び充電回路10は、無人搬送車9に搭載される形態には限らない。
【0012】
図2の透過斜視図は、本実施形態の充電回路10が搭載される無人搬送車9の一例を模式的に示している。また、図1の機能ブロック図は、本実施形態の充電回路10の構成例を模式的に示している。図2に示すように、無人搬送車9は、蓄電装置8と、蓄電装置8に充電用の電力を供給する電源としての非接触受電装置20と、非接触受電装置20から供給される電力を用いて蓄電装置8を充電する充電回路10と、蓄電装置8の電力を用いて動作する負荷90とを備えている。負荷90は、例えば、車輪96を駆動するモータ91や、モータ91を駆動制御するモータ制御装置92(マイクロコンピュータなどのプロセッサやドライブ回路など含む)などである。蓄電装置8は、リチウム電池バッテリなどの二次電池である。蓄電装置8は、例えば複数のバッテリセル(不図示)と、過充電・過放電・短絡等からバッテリセルを保護する保護回路(不図示)とを備えて構成されている。
【0013】
蓄電装置8、非接触受電装置20、充電回路10、負荷90は、無人搬送車9の台車部95の内部に収容されている。例えば、この台車部95の上面に物品が載置され、当該物品が搬送される。また、図示は、省略するが、この台車部95の上部に、例えば、物品を移載するための移載機等が設置されていてもよい。
【0014】
図1に示すように、充電回路10は、電源としての非接触受電装置20から供給される電力を調整して蓄電装置8に出力する電力調整部1と、電力調整部1から蓄電装置8に供給される電流であるバッテリ電流Ibを検出する電流検出部3と、蓄電装置8の正負両極間電圧であるバッテリ電圧Vbを検出する電圧検出部4と、バッテリ電流Ib及びバッテリ電圧Vbに基づいて電力調整部1をフィードバック制御する制御部6とを備えている。尚、バッテリ電圧Vbは、電力調整部1から蓄電装置8の正負両極間に印加される電圧ということもできる。
【0015】
制御部6は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である。具体的には、蓄電装置8の充電量が少ない充電の初期段階においては、定電流制御により、一定のバッテリ電流Ibが蓄電装置8に供給される。つまり、制御部6は、電流検出部3により検出されたバッテリ電流Ib(電流フィードバック値I1)と、蓄電装置8に供給する電流の目標値である電流指令値との偏差に基づき、バッテリ電流Ibが電流指令値と一致するようにフィードバック制御を実行する(定電流制御)。バッテリ電圧Vb(蓄電装置8の端子間電圧)が予め規定された切り替え電圧を超えると、制御方式が定電圧制御に切り替えられ、一定の充電電圧が蓄電装置8に印加される。つまり、制御部6は、電圧検出部4により検出されたバッテリ電圧Vb(電圧フィードバック値V1)と、蓄電装置8に印加する電圧の目標値である電圧指令値との偏差に基づき、バッテリ電圧Vbが電圧指令値と一致するようにフィードバック制御を実行する(定電圧制御)。定電圧制御の終盤には、充電の進行に伴ってバッテリ電流Ib(バッテリ電流Ibの検出値である電流フィードバック値I1)が徐々に減少する。バッテリ電流Ibが予め規定された終了電流を下回ると、充電が終了される。
【0016】
制御部6は、マイクロコンピュータなどのプロセッサを中核として構成されており、当該プロセッサなどのハードウェアと、ハードウェア上で実行されるソフトウェアとの協働によって、上述した定電流制御及び定電圧制御を実行することができる。詳細は、後述するが、電力調整部1は、スイッチング素子(例えば図3に示すスイッチング素子11)を備えたスイッチング電源回路である。制御部6は、定電流制御又は定電圧制御により、電力調整部1(電力調整部1のスイッチング素子11)を制御するスイッチング制御信号を生成することができる。本実施形態では、図3を参照して後述するように、制御部6が生成したスイッチング制御信号と、フィードバック演算部7が生成したスイッチング制御信号とが、選択可能に構成されている。スイッチング制御信号は、例えばパルス幅変調された信号であり、パルス幅に応じて、電力調整部1から蓄電装置8に供給される電流(バッテリ電流Ib)や、蓄電装置8に印加される電圧(バッテリ電圧Vb)の大きさが制御される。スイッチング制御信号は、不図示のドライブ回路を介してスイッチング素子の制御端子(ゲート端子やベース端子)に入力される。
【0017】
本実施形態の充電回路10は、さらに、フィードバック制御が可能なフィードバック演算部7と、フィードバック演算部7で用いられる電力フィードバック信号Vfを生成するフィードバック信号生成部5とを備えている。フィードバック信号生成部5は、バッテリ電流Ib(バッテリ電流Ibの検出値である電流フィードバック値I1)及びバッテリ電圧Vb(バッテリ電圧Vbの検出値である電圧フィードバック値V1)に基づいて、定電流制御及び定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号Vfを生成する。フィードバック演算部7は、バッテリ電流Ib又はバッテリ電圧Vbの目標値である指令値と、電力フィードバック信号Vfとの差分に基づいて、定電流制御又は定電圧制御により、電力調整部1(電力調整部1のスイッチング素子)を制御する制御信号を生成する。
【0018】
以下、充電回路10の構成例を模式的に示す回路ブロック図(図3)も参照して説明する。本実施形態において、充電回路10に電力を供給する電源は、上述したように非接触受電装置20である。非接触受電装置20は、図1から図3に示すように、電磁誘導により給電コイル27から非接触で電力を受電する受電コイル21と、受電コイル21が受電した交流を直流に整流する整流回路23とを備えている。本実施形態において整流回路23は、ダイオードを用いた全波整流回路である。また、受電コイル21と整流回路23との間には直列共振コンデンサ22が備えられている。つまり、受電コイル21に対して直列に直列共振コンデンサ22が備えられて直列共振回路が構成されている。しかし、この構成に限らず、受電コイル21に対して並列にコンデンサが備えられ、並列共振回路が構成されていてもよい。尚、交流から整流回路23によって整流された後の直流にも、脈動成分が残っている。この脈動成分を平滑化するため、整流回路23と電力調整部1との間には、平滑コンデンサ24が備えられている。直列共振コンデンサ22、整流回路23、平滑コンデンサ24は、受電回路2を構成しており、非接触受電装置20は、受電コイル21と受電回路2とを備えているということもできる。
【0019】
図1及び図2に示すように、給電コイル27には、給電回路28(給電装置)から交流電力が供給される。給電回路28及び給電コイル27は、例えば無人搬送車9の走行経路沿いや、走行経路から脇に待避した位置に設けられた充電スポットに設置されている。図2に示すように、無人搬送車9が、充電スポットの給電コイル27と、無人搬送車9の受電コイル21とが対向するように停車することによって、給電コイル27から受電コイル21へ電磁誘導によって電力が供給される。給電回路28は、固定的に設置されており、給電回路28には有線接続によって商用電源から電力が供給されている。
【0020】
尚、本実施形態では、充電回路10に電力を供給する電源として非接触受電装置20を例示しているが、電源は、この形態に限定されるものではない。例えば、上記のような充電スポット(好ましくは、走行経路から脇に待避した位置に設けられた充電スポット)において、有線接続によって電力が供給される形態であってもよい。
【0021】
電力調整部1は、スイッチング素子を備えたチョッパ回路である。本実施形態では、正極側にチョッパコイル14と直列接続されたスイッチング素子11と、正負両極間に並列接続されたチョッパダイオード13とを備えた降圧チョッパとして構成されたチョッパ回路を例示している。しかし、チョッパ回路は、この構成に限らず、昇圧チョッパや、昇降圧チョッパであってもよい。また、さらにコイルを備えたDC-DCコンバータ等によって構成されたスイッチング電源回路であってもよい。
【0022】
制御部6及びフィードバック演算部7、或いは制御部6は、電力調整部1のスイッチング素子11を制御するスイッチング制御信号を生成し、不図示のドライブ回路を介して、これらのスイッチング素子の制御端子に提供する。上述したように、スイッチング制御信号は、例えばパルス幅変調された信号であり、パルス幅に応じて、電力調整部1から蓄電装置8に供給される電流(バッテリ電流Ib)や、蓄電装置8に印加される電圧(バッテリ電圧Vb)の大きさが制御される。
【0023】
バッテリ電流Ibは、電流検出部3により検出される。電流検出部3は、電力調整部1と蓄電装置8の正極側端子との間に直列に配置されている。本実施形態において、電流検出部3は、バッテリ電流Ibが流れるシャント抵抗31と、シャント抵抗31における電圧降下を検出して電圧値としてバッテリ電流Ibの検出結果を出力する差動増幅器32とを備えて構成されている。この構成に限らず、電流検出部3は、バッテリ電流Ibが流れることによって発生する磁界を検出するホール素子と、ホール効果によりホール素子に生じた電圧を増幅する演算増幅器とを備えた非接触電流検出回路によって構成されていてもよい。
【0024】
バッテリ電圧Vbは、電圧検出部4により検出される。電圧検出部4は、蓄電装置8の正負両極間に並列に配置されている。本実施形態において、電圧検出部4は、蓄電装置8の正負両極間に接続された第1抵抗器41と第2抵抗器42とによる抵抗分圧回路40と、検出値の調整を行う加算器43(演算増幅器)とを備えて構成されている。充電回路10は、定格電圧が異なる蓄電装置8を充電可能であり、例えば、定格電圧が12ボルト、24ボルト、48ボルトの蓄電装置8に接続可能である。この場合、第1抵抗器41と第2抵抗器42との回路定数が共通であると、バッテリ電圧Vbの検出値の初期値(電圧フィードバック初期値V0)の値が蓄電装置8の定格電圧によって大きく異なることになる。このため、例えば、抵抗値の異なる第2抵抗器42を複数備え、蓄電装置8の定格電圧に応じて、スイッチ等によって抵抗分圧回路40の抵抗値を切り替え可能であると好適である。当然ながら、抵抗値の異なる第1抵抗器41を複数備える、或いはそれぞれ抵抗値の異なる第1抵抗器41及び第2抵抗器42を複数備え、蓄電装置8の定格電圧に応じて、スイッチ等によって抵抗分圧回路40の抵抗値を切り替え可能であっても良い。
【0025】
また、上述したように、フィードバック信号生成部5は、フィードバック演算部7において定電流制御及び定電圧制御の双方で利用される電力フィードバック信号Vfを、バッテリ電流Ibの検出値である電流フィードバック値I1、及びバッテリ電圧Vbの検出値である電圧フィードバック値V1に基づいて生成する。尚、電力フィードバック信号Vfでは、バッテリ電流Ibの検出値であるか、バッテリ電圧Vbの検出値であるかの区別ができない。従って、電力フィードバック信号Vfは、定電流制御及び定電圧制御の双方において同等に扱えることが好ましい。
【0026】
しかし、電流検出部3及び電圧検出部4において、バッテリ電流Ib及びバッテリ電圧Vbが検出される時点で、これらの電圧を同等の信号レベルに揃えることは困難な場合がある。加算器43は、バッテリ電圧Vbの検出値の初期値(電圧フィードバック初期値V0)の信号レベルを、バッテリ電流Ibの検出値(電流フィードバック値I1)と同等に揃えている。加算器43は、演算増幅器を中核として構成され、制御部6から与えられるオフセット値を電圧フィードバック初期値V0に加算する(マイナス値の加算も含む)と共に、予め設定された係数を乗じて、電流フィードバック値I1と信号レベルが同等となる電圧フィードバック値V1を出力する。加算器43は、バッテリ電流の検出値及び前記バッテリ電圧の検出値の信号レベルが同等となるように検出値を調整する検出値調整部に相当する。
【0027】
当然ながら、第1抵抗器41と第2抵抗器42との回路定数によって、電流フィードバック値I1と信号レベルが同等となるような電圧フィードバック初期値V0が得られるように抵抗分圧回路40が構成されるような場合には、加算器43などの検出値調整部を備えていなくてもよい。また、本実施形態では、電圧検出部4が検出値調整部を備える構成を例示したが、電流検出部3が検出調整部を備えていてもよい。即ち、充電回路10は、電流検出部3及び電圧検出部4の少なくとも一方が、バッテリ電流Ibの検出値(電流フィードバック値I1)及びバッテリ電圧Vbの検出値(電圧フィードバック値V1)の信号レベルが同等となるように検出値を調整する検出値調整部を備えていると好適である。
【0028】
フィードバック信号生成部5は、バッテリ電流Ibの検出値(電流フィードバック値I1)及びバッテリ電圧Vbの検出値(電圧フィードバック値V1)の内、大きい方の値を電力フィードバック信号Vfの値として出力する。本実施形態では、図3に示すように、フィードバック信号生成部5は、第1アノード端子及び第1カソード端子を備えた第1ダイオード51と、第2アノード端子及び第2カソード端子を備えた第2ダイオード52とを備えたワイヤードオア回路により構成されている。つまり、第1ダイオード51と第2ダイオード52とは、第1アノード端子が電流検出部3の側に接続され、第2アノード端子が電圧検出部4の側に接続され、第1カソード端子と第2カソード端子とが接続されたワイヤードオア回路を構成している。
【0029】
フィードバック信号生成部5は、例えば、演算増幅器を用いた比較器と、アナログマルチプレクサとを用いて構成されていてもよい。具体的には、電流フィードバック値I1と電圧フィードバック値V1との電圧を比較する比較器と、比較器の出力に基づいて、電流フィードバック値I1及び電圧フィードバック値V1の何れか一方を選択的に出力するアナログマルチプレクサとを用いてフィードバック信号生成部5が構成されていてもよい。しかし、上記のようにダイオードを用いたワイヤードオア回路であれば、より小さい回路規模でフィードバック信号生成部5を容易且つ高い応答性で構成することができて好適である。
【0030】
フィードバック演算部7は、演算増幅器を用いた比例積分微分制御器71(PID制御器)や、パルス幅変調によりスイッチング制御信号を生成するパルス生成器72を備えて構成されている。制御部6からフィードバック演算部7には、制御方式の選択指令、及び制御方式に応じたバッテリ電流Ib又はバッテリ電圧Vbの目標値である指令値が与えられる。図3に示すように、制御部6も、電流フィードバック値I1及び電圧フィードバック初期値V0を取得しており、電流フィードバック値I1及び電圧フィードバック初期値V0に基づいて、制御方式を決定して制御方式の選択指令をフィードバック演算部7に出力する。また、制御部6は、その制御方式に応じたバッテリ電流Ib又はバッテリ電圧Vbの指令値をフィードバック演算部7に出力する。尚、図3には、制御部6において補正可能であるため、制御部6が電圧フィードバック初期値V0を取得する形態を例示しているが、制御部6が電圧フィードバック値V1を取得する形態であってもよい。
【0031】
上述したように、蓄電装置8の充電量が少ない充電の初期段階においては、定電流制御により、一定のバッテリ電流Ibが蓄電装置8に供給される。定電流制御が選択される充電の初期段階では、バッテリ電圧Vbは低く、蓄電装置8に供給されるバッテリ電流Ibは多い。つまり、電圧フィードバック値V1に比べて、電流フィードバック値I1の方が大きい値であり、電力フィードバック信号Vfは電流フィードバック値I1を示している。換言すれば、電力フィードバック信号Vfは実質的に電流フィードバック値I1である。従って、バッテリ電流Ibの指令値及び電力フィードバック信号Vfに基づいて、フィードバック演算部7は、適切に定電流制御を実行することができる。
【0032】
制御方式が定電圧制御に切り替えられると、一定の充電電圧が蓄電装置8に印加される。バッテリ電圧Vbは、定電圧制御への切り替え電圧を超えており、充電電圧とバッテリ電圧Vbとの差は小さい。従って、バッテリ電流Ibは少なくなる。つまり、電流フィードバック値I1に比べて電圧フィードバック値V1の方が大きい値であり、電力フィードバック信号Vfは電圧フィードバック値V1を示している。換言すれば、電力フィードバック信号Vfは実質的に電圧フィードバック値V1である。従って、バッテリ電圧Vbの指令値及び電力フィードバック信号Vfに基づいて、フィードバック演算部7は、適切に定電圧制御を実行することができる。
【0033】
その後、充電の進行に伴ってバッテリ電流Ibが減少すると、電流フィードバック値I1も減少する。制御部6は、電流フィードバック値I1が予め規定された終了電流を下回ると充電を終了する旨の指令をフィードバック演算部7に出力する。これにより、蓄電装置8の充電が終了される。
【0034】
尚、充電回路10は、上述したように、フィードバック演算部7を用いてスイッチング制御信号を生成することなく、制御部6においてスイッチング制御信号を生成することで電力調整部1を制御可能にも構成されている。上述したように、制御部6は、電流フィードバック値I1、電圧フィードバック初期値V0(電圧フィードバック値V1でもよい)を取得している。従って、これらに基づいて、定電流制御と定電圧制御とを切り替えて、スイッチング制御信号を生成することができる。
【0035】
図3に示すように、フィードバック演算部7により生成されたスイッチング制御信号と、制御部6により生成されたスイッチング制御信号との何れかを制御部6からの選択信号に基づいて選択的に出力可能なマルチプレクサ61を備えることにより、電力調整部1を制御する主体を選択することができる。但し、制御部6によるフィードバック制御は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実行される。このため、制御部6によるフィードバック制御に比べて、ダイオードや演算増幅器を中核としたハードウェアによって構成されたフィードバック信号生成部5及びフィードバック演算部7によるフィードバック制御の方が高い応答性を得やすい。本実施形態のような無人搬送車9では、搬送効率を考慮すると充電スポットに短時間停止して迅速に充電を終えて発進できることが好ましい。従って、フィードバック信号生成部5及びフィードバック演算部7によるハードウェアでのフィードバック制御が可能であると好適である。
【0036】
また、上述したように、蓄電装置8がリチウムイオン充電池である場合、蓄電装置8に保護回路が備えられており、充電や放電が突然遮断される場合がある。この場合、充電回路10から見ると、蓄電装置8が取り外されたことと等価となり、充電回路10の出力端が開放端となる。この際、充電回路10が定電流制御により制御されていると、バッテリ電流Ibの行き先がなくなり、充電回路10の出力端の電圧(バッテリ電圧Vb)が急上昇する場合がある。
【0037】
例えば、通常、定電流制御が選択されている状態では、上述したように、電圧フィードバック値V1に比べて、電流フィードバック値I1の方が大きい値であり、電力フィードバック信号Vfは実質的に電流フィードバック値I1である。しかし、定電流制御を実行中に、バッテリ電圧Vbが急上昇すると、電圧フィードバック値V1の方が、電流フィードバック値I1よりも大きい値となり、電力フィードバック信号Vfは電圧フィードバック値V1を示すものとなる。この時、フィードバック演算部7は、定電流制御を実行しているため、バッテリ電流Ibの急上昇に応答してバッテリ電流Ibを下げるようにフィードバック制御を実行する。その結果、バッテリ電流Ibが減少することで、充電回路10の出力端の電圧(バッテリ電圧Vb)も低下する。即ち、制御部6において異常の発生を判定して対応する場合に比べて、異常の発生を判定する必要もなく、フィードバック信号生成部5及びフィードバック演算部7によるハードウェアにより迅速且つ適切に異常に対応することができる。
【0038】
尚、制御部6も、電流フィードバック値I1及び電圧フィードバック初期値V0(電圧フィードバック値V1)を取得している。従って、制御部6においても、このような異常の発生を判定して、充電を終了させる指令をフィードバック演算部7に与えることができる。しかし、上述したように、ソフトウェアとハードウェアとの協働による実行のため、フィードバック演算部7によるフィードバック制御に比べて応答性は低くなる。本実施形態では、フィードバック演算部7において迅速に初期対応が実行された後に、充電を終了させる指令を制御部6からフィードバック演算部7に与えて充電を終了させることができる。即ち、本実施形態では、より迅速に異常に対応することができる。
【0039】
蓄電装置8において短絡が生じた場合も同様である。例えば、定電圧制御が選択されている状態では、電流フィードバック値I1に比べて、電圧フィードバック値V1の方が大きい値であり、電力フィードバック信号Vfは実質的に電圧フィードバック値V1である。しかし、定電圧制御を実行中に、短絡が生じてバッテリ電流Ibが急上昇すると、電流フィードバック値I1の方が、電圧フィードバック値V1よりも大きい値となり、電力フィードバック信号Vfは電流フィードバック値I1を示すものとなる。この時、フィードバック演算部7は、定電圧制御を実行しているため、バッテリ電圧Vbが急上昇したとしてバッテリ電圧Vbを下げるようにフィードバック制御を実行する。その結果、バッテリ電圧Vbが低下して、バッテリ電流Ibも低下する。即ち、制御部6において異常の発生を判定して対応する場合に比べて、異常の発生を判定する必要もなく、フィードバック信号生成部5及びフィードバック演算部7によるハードウェアにより迅速且つ適切に異常に対応することができる。
【0040】
尚、短絡の場合も同様に、制御部6においても、このような異常の発生を判定して、充電を終了させる指令をフィードバック演算部7に与えることができる。本実施形態では、フィードバック演算部7において迅速に初期対応が実行された後に、充電を終了させる指令を制御部6からフィードバック演算部7に与えて充電を終了させることができる。即ち、本実施形態では、短絡の場合においても、より迅速に異常に対応することができる。
【0041】
ところで、蓄電装置8の充電や放電が突然遮断された場合や、蓄電装置8に短絡が生じた場合には、上述したように、電力フィードバック信号Vfが急激に上昇する。上述したような定電流制御、定電圧制御の通常の制御の中で、異常の発生に対応しても良いが、電力フィードバック信号Vfが急激に上昇した場合に、フィードバック演算部7が、電力調整部1からの出力を中止するように、スイッチング制御信号を固定してもよい。
【0042】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した蓄電装置の充電回路の概要について簡単に説明する。
【0043】
1つの態様として、蓄電装置の充電回路は、電源から供給される電力を調整して蓄電装置に出力する電力調整部と、前記電力調整部から前記蓄電装置に供給される電流であるバッテリ電流を検出する電流検出部と、前記蓄電装置の正負両極間の電圧であるバッテリ電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて前記電力調整部をフィードバック制御する制御部と、を備え、前記制御部は、定電流制御及び定電圧制御を切り替え可能である、蓄電装置の充電回路であって、前記バッテリ電流及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記定電流制御及び前記定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、前記バッテリ電流又は前記バッテリ電圧の目標値である指令値と、前記電力フィードバック信号との差分に基づいて、前記定電流制御又は前記定電圧制御により、前記電力調整部を制御する制御信号を生成するフィードバック演算部と、をさらに備える。
【0044】
本構成によれば、例えば、制御部は、充電初期のバッテリ電圧が低い状態では、定電流制御によってバッテリ電流が一定になるようにフィードバック制御を実行し、充電の経過に伴ってバッテリ電圧が上昇すると定電圧制御によって電力調整部から蓄電装置の正負両極間に印加される電圧が一定になるようにフィードバック制御を実行することができる。即ち、蓄電装置を適切な制御方式により充電することができる。また、本構成によれば、電流検出部及び電圧検出部によりそれぞれ検出されたバッテリ電流及びバッテリ電圧に基づいて、定電流制御及び定電圧制御の双方で利用可能な電力フィードバック信号が生成されるため、定電流制御から定電圧制御への制御方式の移行も円滑に行うことができる。また、例えば蓄電装置と充電回路との電気的接続の切断や短絡等によって急激な電圧変化や電流変化が生じた場合には、定電流制御及び定電圧制御に共通する電力フィードバック信号が示す値(制御方式に応じて、バッテリ電流の検出値、バッテリ電圧の検出値の何れかに対応する)が上昇する。このため、それぞれ実行中の制御方式を用いて、充電回路から蓄電装置へ出力される電力を制限することができる。従って、蓄電装置又は充電回路の少なくとも一方に何らかの異常が生じた場合に、迅速に当該異常に対応することができる。このように、本構成によれば、蓄電装置を適切な制御方式により充電すると共に、充電中の異常状態に対しても迅速に対応可能な充電回路を提供することができる。
【0045】
また、蓄電装置の充電回路は、前記電流検出部及び前記電圧検出部の少なくとも一方が、前記バッテリ電流の検出値及び前記バッテリ電圧の検出値の信号レベルが同等となるように検出値を調整する検出値調整部を備えると好適である。
【0046】
電力フィードバック信号は、定電流制御及び定電圧制御の双方で利用可能な信号であるから、定電流制御及び定電圧制御の双方において同等に扱えることが好ましい。但し、電流検出部及び電圧検出部において、バッテリ電流及びバッテリ電圧が検出される時点で同等の信号レベルに揃えることは困難な場合がある。電流検出部及び電圧検出部の少なくとも一方に検出値調整部が備えられていると、検出回路の構成に拘わらず、バッテリ電流の検出値及びバッテリ電圧の検出値の信号レベルを同等に揃え易い。
【0047】
また、前記フィードバック信号生成部は、第1アノード端子及び第1カソード端子を備えた第1ダイオードと、第2アノード端子及び第2カソード端子を備えた第2ダイオードと、を備え、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとは、前記第1アノード端子が前記電流検出部の側に接続され、前記第2アノード端子が前記電圧検出部の側に接続され、前記第1カソード端子と前記第2カソード端子とが接続されたワイヤードオア回路を構成していると好適である。
【0048】
ダイオードを用いたワイヤードオア回路は、アナログ情報を適切に伝達することができる。従って、フィードバック信号生成部は、電流検出部によって検出されたバッテリ電流、及び、電圧検出部によって検出されたバッテリ電圧を適切に伝達して、電力フィードバック信号を生成することができる。
【0049】
また、前記電力調整部は、スイッチング素子を備えたチョッパ回路であると好適である。
【0050】
チョッパ回路のようなスイッチング電源回路は、比較的簡易な構成で、制御性のよい電力調整回路を構成し易い。従って、電力調整部がチョッパ回路によって構成されると適切に蓄電装置の充電回路を構成することができる。
【0051】
また、前記電源は、電磁誘導により給電コイルから非接触で電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルが受電した交流を直流に整流する整流回路とを備えた非接触受電装置であると好適である。
【0052】
非接触受電装置では、給電コイルと受電コイルとの位置関係によって受電される電力が変動し易い。制御部、並びにフィードバック演算部は、充電回路から蓄電装置に対して出力される電力の変動だけではなく、充電回路に対して入力される電力の変動に対しても高い応答性で定電流制御又は定電圧制御を実行できることが好ましい。上述したように、本構成の充電回路は、蓄電装置を適切な制御方式により充電すると共に、充電中の異常状態に対しても迅速に対応可能であるから、電源が非接触受電装置である場合に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 :電力調整部
3 :電流検出部
4 :電圧検出部
5 :フィードバック信号生成部
6 :制御部
7 :フィードバック演算部
8 :蓄電装置
10 :充電回路
11 :スイッチング素子
20 :非接触受電装置
21 :受電コイル
23 :整流回路
27 :給電コイル
43 :加算器(検出値調整部)
51 :第1ダイオード
52 :第2ダイオード
I1 :電流フィードバック値(バッテリ電流の検出値)
Ib :バッテリ電流
V1 :電圧フィードバック値(バッテリ電圧の検出値)
Vb :バッテリ電圧
Vf :電力フィードバック信号
図1
図2
図3