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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】アンテナ、電子機器及び電子時計
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20241008BHJP
   G04R 60/08 20130101ALI20241008BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
G04R60/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022152056
(22)【出願日】2022-09-26
(65)【公開番号】P2024046779
(43)【公開日】2024-04-05
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松江 剛志
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貴司
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智康
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆之
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-280967(JP,A)
【文献】特開2016-109533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
G04R 60/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向からの平面視において、少なくとも外周辺と内周辺とを有する環状のアンテナであって、
前記アンテナの前記内周辺において、前記第一方向からの平面視における環状の略中心から離れる方向に向かって切り欠かれた少なくとも1つの第一切欠き部と、
前記内周辺に設けられる少なくとも1つの係止部と、を有している、
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記係止部は、前記第一切欠き部内に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記係止部は、周方向に間隔をあけて3箇所に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
少なくとも1つの前記第一切欠き部は、基準となる位置よりも前記環状の略中心から離れる方向に向かって切り欠かれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第一方向からの平面視において主面が視認可能な天面部と、
前記天面部の外周縁から少なくとも一部が略前記第一方向に延び、前記第一方向と異なる第二方向から主面が視認可能な側面部と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記天面部は、前記外周辺に第二切欠き部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記側面部は、第三切欠き部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のアンテナと、
前記アンテナを内部に収容する機器ケースと、を含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記機器ケースは、前記機器ケースの内方に張り出した位置であり、前記アンテナの前記係止部に対応する位置に、被係止部を有している、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のアンテナと、
前記アンテナを内部に収容する機器ケースと、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項11】
前記機器ケースは、前記機器ケースの内方に張り出した位置であり、前記アンテナの前記係止部に対応する位置に、被係止部を有している、
ことを特徴とする請求項10に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、電子機器及び電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS受信用のアンテナを備えた電子時計等の電子機器が知られている。
アンテナを構成する部材(アンテナ素子)は一般に金属製の部材であり、アンテナが外気に曝されている場合、酸化や腐食の懸念がある。
このため、アンテナはできる限り電子機器の内部に収容された状態で設けられることが好ましく、例えば特許文献1には、アンテナが時計(電子時計)のケース内に収容されている構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-175673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば電子時計等の電子機器は、人の腕等、身に着けて用いられることが想定されるため、ユーザビリティ向上等のために、一般的に小型化が求められる傾向にある。
このため、アンテナを時計(電子時計)内に収容する場合には、アンテナ(アンテナ素子)も小型化することが求められる。
しかし、アンテナはアンテナ素子を小型化すると、共振周波数が高くなる方向にシフトする。このため、アンテナの共振周波数が、利用したい周波数帯からずれてしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこうした課題を解決するためのものであり、小型化に伴う利用周波数帯のずれを抑制することができるアンテナ、アンテナを備える電子機器及び電子時計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るアンテナは、
第一方向からの平面視において、少なくとも外周辺と内周辺とを有する環状のアンテナであって、
前記アンテナの前記内周辺において、前記第一方向からの平面視における環状の略中心から離れる方向に向かって切り欠かれた少なくとも1つの第一切欠き部と、
前記内周辺に設けられる少なくとも1つの係止部と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンテナの小型化に伴う利用周波数帯のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における時計の要部分解斜視図である。
図2】実施形態における時計の正面図である。
図3】実施形態における時計のA-A線に沿う断面図である。
図4図3におけるIV部分の要部拡大断面図である。
図5】実施形態における時計のB-B線に沿う断面図である。
図6図5におけるVI部分の要部拡大断面図である。
図7】(a)は、図2におけるVII部分の要部拡大斜視図であり、(b)は、(a)におけるC-C線に沿う模式的な断面図である。
図8】実施形態における時計からベゼルを取り外した状態の要部断面図である。
図9】本実施形態におけるソーラーパネルの平面図である。
図10】本実施形態におけるソーラーパネルと回路基板との接続部分の構成を示す要部側面図である。
図11】(a)は、本実施形態におけるアンテナの平面図であり、(b)は、(a)に示すアンテナの斜視図であり、(c)は、(a)に示すアンテナの側面図である。
図12】(a)は、実施形態における時計内部のアンテナの固定構造を示す要部平面図であり、(b)は、(a)におけるB部分の拡大図であり、(c)は、(a)におけるC部分の拡大図である。
図13】アンテナの波長短縮を説明する説明図である。
図14】本実施形態におけるアンテナと回路基板との接続部分の構成を示す図であり、一部を断面した要部側面図である。
図15】(a)は、本実施形態におけるアンテナの斜視図であり、(b)は、比較例1のアンテナの斜視図であり、(c)は、比較例2のアンテナの斜視図である。
図16】実施形態における時計の内部構成を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図16を参照しつつ、本発明に係るアンテナ、電子機器(及び電子時計)の一実施形態について説明する。本実施形態では電子機器がアンテナを備えている電子時計である場合を例示して説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[構成]
図1は、本実施形態における電子機器としての電子時計(以下単に「時計」とする。)の要部分解斜視図であり、図2は、図1に示す時計の正面図である。図3は、図2のA-A線に沿う模式的な要部断面図であり、図4図3において破線で囲ったIV部分の拡大図である。また図5は、図2のB-B線に沿う模式的な要部断面図であり、図6図5において破線で囲ったVI部分の拡大図である。
【0011】
図1から図6に示すように、本実施形態における時計100は、機器ケース1を有している。
本実施形態の機器ケース1は、上下が開口した中空の短柱形状に形成されており、内部の中空部分が各種部品を収納する収納空間を構成している。
機器ケース1は、例えばバイオマスプラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパーエンジニアリング・プラスチック等の比較的硬質の合成樹脂によって形成されている。なお、機器ケース1を形成する材料はここに例示したものに限定されないが、後述するように比誘電率が高い各種の樹脂材料等がより好ましい。
【0012】
機器ケース1の外側面であって図2における上下位置(アナログ時計における12時位置と6時位置)には、図示しないバンドが取り付けられる一対のバンド取付け部11(図1参照)が設けられている。
また、機器ケース1の図2における左右側部等には、ユーザが各種入力操作を行う各種操作ボタン12(押ボタンやりゅうず等)が設けられている。
また図3及び図5に示すように、機器ケース1の裏面側(時計における非視認側)の開口部分は、裏蓋部材13により閉塞されている。なお、裏蓋部材13は機器ケース1と一体的に形成されていてもよい。
【0013】
機器ケース1の表面側(時計における視認側)には、開口部分を囲むように外装部材としてのベゼル2が設けられている。ベゼル2は、例えばねじ8により機器ケース1に固定される。
ベゼル2は、時計100を視認側からの方向(これを以下「第一方向I」という。)から見た場合に、ほぼ環状に形成された部材である。ベゼル2は、樹脂材料を含む基材に対して金属が不連続蒸着された面を少なくとも表面に有する第一領域αと、樹脂材料を含んで形成された(金属が不連続蒸着されていない)第二領域βと、を有している。
本実施形態においてベゼル2は、例えばウレタン等の樹脂材料で形成された第一ベゼル21と、ウレタン等の樹脂材料を含む基材に対して金属が不連続蒸着された面を少なくとも表面に有する第二ベゼル22とを含んでおり、第二ベゼル22が表面(視認側の面)に露出している部分が第一領域αとなり、第二ベゼル22が第一ベゼル21によって被覆され表面(視認側の面)に現れない部分が第二領域βとなる。
【0014】
具体的には第一ベゼル21は、図1等に示すように、ベゼル2の周方向に沿って、アナログ時計における3時位置、6時位置、9時位置、12時位置に、それぞれ他の部分(第一ベゼル21の本体部212)よりも突出する突出形成部211を有している。突出形成部211は少なくとも時計100の厚み方向(図3等において上方向)及びベゼル2の径方向外側に向って本体部212よりも突出している。
【0015】
突出形成部211の全部又は一部は、第一ベゼル21の本体部212から着脱可能となっている。
本実施形態では、例えば突出形成部211の全部又は一部を本体部212から取り外した状態で本体部212の上に第二ベゼル22を配置する。その後に取り外されていた突出形成部211を本体部212に取り付けることにより、第二ベゼル22が第一ベゼル21の本体部212と突出形成部211との間に挟み込まれて一体化されたベゼル2が構成される。
ベゼル2をウレタン等の樹脂材料で形成することで、ベゼル2の軽量化を実現することができ、また金属加工よりも形状の自由度が向上する。また、樹脂材料のベゼル2を時計100の外装部材として設けることで、金属材料でベゼル2を形成した場合と比べて、時計100の耐衝撃性も向上する。
【0016】
第二ベゼル22の表面には、例えばIn(インジウム)等の金属が不連続蒸着されている。インジウム等を不連続蒸着(薄膜蒸着)することにより、金属調の外観を実現するとともに、金属粒子間に空間が生まれ、例えばアンテナ6(図1等参照)等の上に第二ベゼル22を含むベゼル2を配置しても電波を遮蔽しないようにすることができる。不連続蒸着された金属層の上には樹脂等の透明皮膜等をさらに形成してもよく、この場合にはさらに光沢感を得ることができるとともに傷つきにくさも実現できる。またIn(インジウム)合金は、物体とぶつかったり擦れたりすると剥離する場合がある。この点、表面に樹脂等の透明皮膜等を形成すれば、使用等において多少第二ベゼル22が周りの物体とぶつかったりしても不連続蒸着されたIn(インジウム)合金等の金属層の剥離を防ぐことができる。これにより、金属調の美しい外観が長く維持される。
なお、不連続蒸着される金属はIn(インジウム)に限定されず、例えばSn(スズ)等、各種合金が適用可能である。
【0017】
金属の不連続蒸着層が形成されているのは、第二ベゼル22の全面であってもよいし、外側に露出する可能性のある部分だけであってもよい。
外側に露出する可能性のある部分とは、第二ベゼル22の上面221や側面222である。なお金属の不連続蒸着は上面221や側面222全体に行ってもよいが、第二ベゼル22の上面221や側面222であっても第一ベゼル21の本体部212と突出形成部211との間に挟み込まれる部分は組立状態で外部に露出しない。このため、こうした箇所には金属の不連続蒸着を施さないとしてもよい。
【0018】
例えば図3に示す、図2のA-A線に沿う断面部分は、第二ベゼル22の上に第一ベゼル21の突出形成部211が覆い被さって第二領域βを形成している箇所である。図3及び図4に示すように、第二領域βでは第一ベゼル21の突出形成部211が外側に配置され、前述のように第二ベゼル22が第一ベゼル21の本体部212と突出形成部211との間に挟み込まれて外部に露出しない状態となっている。このため、この部分では第二ベゼル22の裏面223だけでなく上面221(表面)や側面222にも金属の不連続蒸着を施さないとしてもよい。
このように、視認されない部分には不連続蒸着を行わないことで、蒸着される金属材料を節約することができる。また視認されない部分(裏面223等)に不連続蒸着を行わない場合には、裏面223等を下にして第二ベゼル22を台の上などに配置した状態で蒸着作業を行うことができ、作業工程が簡易となる。
【0019】
これに対して、図5に示す、図2のB-B線に沿う断面部分は、第二ベゼル22の上面221(表面)や側面222が視認側に露出する第一領域αを形成している箇所である。
第一領域α及び第二領域βは、ベゼル2の周方向に沿って交互に配置されている。
具体的には図2に示すように、本実施形態では、第二領域βを構成する突出形成部211がベゼル2の周方向に沿ってほぼ等間隔に配置されており、第一領域αは第二領域βを構成する突出形成部211の間に配置されている。そして第二領域βを構成する突出形成部211は、少なくともその上面の高さが第一領域αである第二ベゼル22が露出している部分の上面の高さよりも高い位置となるように形成されている。このため、露出している第二ベゼル22を外部の衝撃等から保護することができ、金属調の外観を有する部分が傷つくのを防ぐことができる。
【0020】
また本実施形態では、第二ベゼル22において外部に露出する可能性のある上面221や側面222には、例えばV溝加工(引き目加工(レコード引き)、ヘアライン加工等)が施されており、同心円状に溝部22aが形成されている。これにより、金属を不連続蒸着した場合に、より金属調の質感を演出することができる。
図7(a)は、図2において一点鎖線で囲んだ箇所VIIの拡大図であり、図7(a)のC-C線における断面図である。なお図7(b)は、C-C線における断面状態を模式的に説明する模式図であり、溝部22aの形状や溝の数、深さ等について正確に表現したものではない。
【0021】
ベゼル2(第二ベゼル22)にV溝加工を施すと、ベゼル2における径方向の断面が凸凹になってしまい、見栄えや触り心地が低下してしまう。そこで本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示すように、V溝加工が施された部分(溝部22aが形成された側面222等)の断面が外部に露出しないように断面周辺を肉盛りする縁部225を設け、断面に凸凹が現れるのを防いでいる。溝部22aを形成するV溝加工や縁部225を形成する手法は特に限定されないが、例えば、溝部22aや縁部225に対応する形状の金型を採用し、成型を行うことが考えられる。
なお、図7(b)では溝部22aのV溝の半分程度が隠れる高さまで肉盛りする縁部225を設ける場合を例示しているが、縁部225の高さはこれに限定されない。例えばV溝の断面が全て隠れる程度の高さまで肉盛りする縁部を設けてもよい。
【0022】
なお本実施形態では、図1に示すように第二ベゼル22が2つの部材に分割されているが、第二ベゼル22は第一ベゼル21の本体部212と突出形成部211との間に挟み込むことができればよく、第一方向I(図1図3等参照)から見た場合にほぼ環状やC字状、U字状等である一体の部材とされていてもよい。また第二ベゼル22は4分割等、さらに細かく分割されていてもよい。
また突出形成部211を設ける位置はここに例示したものに限定されないが、金属調の外観を有する第二ベゼル22が露出している部分(第一領域α)を確実に保護できるように、周方向に沿ってほぼ等間隔に配置されることが好ましい。突出形成部211は、ベゼル2の周方向に沿って複数個所に分散配置されていればよく、例えば3箇所でもよい。さらに突出形成部211が本体部212から着脱可能となっていることは必須ではない。また、突出形成部211は個別に着脱できるものではなく、連結されて本体部212に対して一纏まりで着脱できてもよい。
なお、本実施形態ではベゼル2が、金属調の外観を有する第二ベゼル22の他に、金属が不連続蒸着されていない第一ベゼル21を有し、金属調の外観を有する箇所が露出する部分(第一領域α)を第一ベゼル21により保護する構成としたが、不連続蒸着されたIn(インジウム)合金等の金属層の密着性を改善し、剥離等を生じにくい構成とすることができれば、ベゼル2が第一ベゼル21を備えない構成としてもよい。
【0023】
本実施形態では、機器ケース1の表面側の開口部分を囲むように設けられるベゼル2がウレタン等の樹脂材料2で形成されているため、外部から衝撃を受けた場合でもベゼル2が衝撃を吸収し、機器ケース1やその内部に収容される時計ムーブメント(例えば後述する回路基板5や液晶パネルユニット7、図示しない各種モータ類等)等の破損を効果的に防ぐことができる。
なお、本実施形態では、第二領域βを構成する部材(突出形成部211を有する第一ベゼル21)と第一領域αを構成する部材(少なくとも露出する部分に金属調の加工が施された第二ベゼル22)とが別部材で構成される場合を例示したが、第二領域βと第一領域αとを有するベゼルが一体的に形成され、金属調の部分等については部分的に加工を施すことで対応してもよい。
【0024】
また機器ケース1の表面側(時計における視認側)の開口部分は、風防部材3により閉塞されている。風防部材3は、例えばガラス材料や透明な樹脂材料等により形成された透明な部材である。風防部材3は樹脂製の防水リング等を介して機器ケース1に取り付けられることが好ましい。これにより機器ケース1内の防水性(気密性)を確保することができる。
【0025】
図8は、ベゼル2を取り除いた状態の時計の断面図である。
本実施形態では、図8に示すように、風防部材3の裏面側(すなわち機器ケース1の内側に配置される側)にソーラーパネル4が貼着されている。
ソーラーパネル4は、光を受光することで発電する太陽電池であり、ソーラーパネル4による光発電によって得られた発電電力は機器ケース1に収容されている二次電池に蓄えられ、時計100各部の動力源となる。
本実施形態では、第一方向I(回路基板5の面にほぼ直交する方向)に沿って、ソーラーパネル4、後述のアンテナ6、回路基板5が時計100の厚み方向(第一方向I)に順に配置され、ソーラーパネル4は、第一方向Iからの平面視において少なくとも一部が、アンテナ6と重なるように位置されている。
【0026】
図9は、本実施形態におけるソーラーパネルの平面図である。
図9に示すように、本実施形態のソーラーパネル4は、第一方向Iからの平面視において、少なくとも外周辺40aと内周辺40bとを有する中空のリング状(環状)に形成されたパネルである。
本実施形態ではリング状のソーラーパネル4の径方向に沿うようにほぼ等間隔に分割線44が配置され、ソーラーパネル4はこの分割線44によりほぼ扇型の複数のセル43に分割されている。なお図示例において、ソーラーパネル4は8つのセル43に分割されているが、ソーラーパネル4をいくつのセル43に分割するかは特に限定されない。なお、ソーラーパネル4を構成する複数のセル43は直列接続されており、後述するようにコンタクト部45において回路基板5(図8図10等参照)と接続される。
【0027】
図10は、ソーラーパネルと回路基板との接続部分を模式的に示した説明図である。
図10に示すように、ソーラーパネル4と回路基板5との接続は、ソーラーパネル4のコンタクト部45と、回路基板5の図示しないソーラーパネル用接続端子(パッド)との間に、少なくとも1つの基板-パネルコンタクト部材46(パネルコンタクト部材)が設けられることにより行われる。本実施形態では図示するように2つの基板-パネルコンタクト部材46が設けられる。
基板-パネルコンタクト部材46は、例えばコイルスプリングであり、両端部がソーラーパネル4と回路基板5とのそれぞれに電気的に接している。
【0028】
図8等に示すように、本実施形態のソーラーパネル4と回路基板5との間には、アンテナ6が配置されており、基板-パネルコンタクト部材46は、第一方向Iからの平面視において、ソーラーパネル4、アンテナ6、回路基板5と重なるように配置される。
具体的には図10に模式的に示すように、基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所に対応して、機器ケース1には上下に貫通する孔部15が形成されている。基板-パネルコンタクト部材46は、この孔部15に挿通されることで位置決めされ、各端部がソーラーパネル4と回路基板5とに接するように、姿勢も保持される。また、後述するように、アンテナ6には、基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所を避けるように切欠き部67が形成されている。
【0029】
本実施形態におけるアンテナ6は、例えば、GPS等(GPSの他、GLONASS等複数種類を含むが以下においては単に「GPS」とする)衛星から送信されるGNSS(GPS/GLONASS/QZSS/SBAS)信号を受信可能なGPSアンテナである。
GPS衛星は、原子時計を搭載しており、この原子時計による時間情報を含むデータを送信する。GPS衛星から送信されるGNSS(GPS)信号をアンテナ6によって受信することにより、地上の任意の受信地点において極めて高い精度の時刻情報を得ることができる。
【0030】
なおGNSS(GPS)信号を受信するGPSアンテナであるアンテナ6は、円偏波のうち右旋偏波に対応することが必要である。
またGPS衛星は、L1帯(1.6GHz付近)、L5帯(1.2GHz付近)等の周波数でGNSS(GPS)信号を送信している。このため、GNSS(GPS)信号を受信するGPSアンテナにおいて所望の周波数帯は、L1帯、L5帯等であり、アンテナ6には、これらの周波数帯におけるアンテナ性能(特に右旋偏波に対応したアンテナ利得)が高いことが望まれる。
【0031】
図11(a)は、本実施形態のアンテナを第一方向から見た平面図であり、図11(b)は、アンテナの斜視図であり、図11(c)は、アンテナを第一方向とは異なる第二方向から見た場合のアンテナの側面図である。
図11(a)等に示すように、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、第一方向Iからの平面視において、少なくとも外周辺60aと内周辺60bとを有する環状に形成されている。アンテナ6の材料は特に限定されないが、高周波アンテナ素子を形成するためのメタル材料としては、電気的な体積抵抗率は低いほど好ましい。また時計100等の電子機器(電子時計等)には地磁気センサーが搭載されることも考えられ、地磁気計測への影響も踏まえると、非磁性の材料がより望ましい。こうした観点から、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の材料としては、例えばリン青銅が好適に用いられる。この環状のアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)及び回路基板5(GND板)を高周波電流が流れることによりアンテナ機能が実現される。
【0032】
図11(a)から図11(c)に示すように、本実施形態のアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、第一方向Iからの平面視において主面が視認可能な天面部61と、天面部61の少なくとも一部に連結し第一方向Iに沿って延在する側面部62と、を有している。側面部62は、天面部61の外周縁から少なくとも一部が略第一方向Iに延び、第一方向Iと異なる第二方向II(本実施形態では、第二方向IIは第一方向Iにほぼ直交する時計100の側部からの方向)から主面が視認可能となっている。具体的には、アンテナ6は、環状の天面部61と、天面部61の外周縁から垂設され、第一方向Iと異なる第二方向II(本実施形態では、第二方向IIは第一方向Iにほぼ直交する時計100の側部からの方向)から視認される側面部62と、を含んでいる。
【0033】
アンテナ6は、その表面積(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分の表面積)が広いほど電波放射の観点から有利である。
この点本実施形態のようにアンテナ6が天面部61と側面部62とを含むことにより、天面の平板な部分(天面部61)のみの場合やリングのみの場合(側面部62のみの場合)よりもアンテナ6全体の径を大きくすることなく、表面積を確保することができ、電波放射の観点から好ましい。
また後述するように、アンテナ6の下方には回路基板5が配置されており、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)が回路基板5と平行に配置されると容量結合しやすく、電波放射に悪影響を与えてしまう。この点側面部62は、回路基板5に対してほぼ直交する状態で配置されるため容量結合を生じにくい。このためできるだけ容量結合が生じるのを回避しつつ、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の表面積を稼ぐことができる。
【0034】
ただ他方で、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さ(一周の長さ)は、側面部62のみの場合よりも天面部61がある場合の方が短くなる(すなわち、内径が狭まる)。このため、電気的な距離(電気長)が短くなる方向となってしまう。
アンテナ6の共振周波数は、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のサイズや長さ(内径側の長さ、一周の長さ)に反比例する性質を有するところ、電気長が短くなると、アンテナ6で受信しやすい周波数、放射しやすい周波数が本実施形態のアンテナ6で受信したい所望の周波数帯(すなわち、前述のようにGNSS(GPS)信号が送信されるL1帯(1.6GHz付近)、L5帯(1.2GHz付近)等の周波数帯)よりも高くなってしまう傾向となる。
【0035】
そこで本実施形態では、アンテナ6の内径側の素子形状を真円ではなく異形とすることによって、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さを稼ぎ、電気長を長くする構成をとっている。具体的には内周辺60bが、周方向の位置によって第一方向Iからの平面視における環状の略中心(「環状中心cp」とする)からの距離が不均一となっている。
具体的には、本実施形態のアンテナ6は、図11(a)に示すように、内周辺60bに設けられる少なくとも1つの係止部63と、この係止部63よりも内周辺60bの内方に突出する突出辺部65と、を有している。
【0036】
図8等に示すように、時計100の機器ケース1内には時計の表示部を構成する液晶パネルユニット7が収容されており、アンテナ6の内径側の形状は液晶パネルユニット7のガラス形状に沿う形状を基本とする(なお、この基本の形状における内径側の辺の位置を「基準となる位置」とする)。
このようにアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の基本形状は、この液晶パネルユニット7のガラスの形状に合わせるとともに、内側(図11(a)における環状中心cp側)に向って最大限面積を広げる形状となっている。
【0037】
アンテナ6の内周辺60bには、「基準となる位置」よりも環状中心cpから離れる方向に向かって切り欠かれた「第一切欠き部64」が設けられており、係止部63は、この「第一切欠き部64」内(例えば「第一切欠き部64」の奥側の辺)に設けられている。
突出辺部65は、係止部63が「第一切欠き部64」内に設けられることで、相対的に内側(図11(a)における環状中心cp側)に突出している部分である。
突出辺部65は、液晶パネルユニット7のガラス形状に沿う「基準となる位置」と同じ位置にとどまるものでもよいし、「基準となる位置」よりも環状中心cpに近付く方向まで内側に突出していてもよい。
【0038】
図11(a)に示す環状中心cpから突出辺部65までの距離d1(例えば、環状中心cpから最も短い距離)は、環状中心cpから第一切欠き部64の奥側の辺までの距離d2よりも短くなっている。
このように、内周辺60bに第一切欠き部64と突出辺部65とを設けて環状中心cpからの距離が異なる凹凸形状を作り出すことで、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さを稼ぎ、電気長を長くすることができる。これによりアンテナ6全体としての径を小さくして小型化を図った場合にも、所望の周波数帯の電波を受けやすいアンテナ6を構成することができる。
【0039】
アンテナ6の内周辺60bに設けられる係止部63は、アンテナ6を機器ケース1に係止させるものである。
図11(a)から図11(c)に示すように、本実施形態の係止部63は、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内周辺60bに沿って周方向に間隔をあけて3箇所に配置される。
図11(b)等に図示するように、係止部63は、天面部61に形成された第一切欠き部64の端面から第一方向Iの下方に向って折り曲げられた舌片であり、係止孔63aが形成されている。この係止部63や係止孔63aの大きさにおいてもアンテナ6の内径側の長さを稼ぎ、電気長を長くすることが期待できる。
【0040】
図12(a)は、本実施形態のアンテナを機器ケース内に組み込んだ状態を第一方向から見た平面図であり、図12(b)は、図12(a)において一点鎖線で囲んだB部分を拡大した要部斜視図であり、図12(c)は、図12(a)において一点鎖線で囲んだC部分を拡大した要部斜視図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように、機器ケース1は、機器ケース1の内方に張り出した位置であって、アンテナ6の係止部63に対応する位置に、被係止部を有している。このように被係止部を機器ケース1の内方に張り出した位置に設けることによって、少なくとも当該部分では機器ケース1の肉厚を稼ぐことができ、機器ケース1の強度を保持するようになっている。
【0041】
本実施形態において機器ケース1の被係止部は、舌片状の係止部63を受け入れる凹部16と、凹部16内から突出し、係止部63が凹部16内に挿入されると係止部63の係止孔63aに係止される係止爪17と、を含んで構成されている。係止爪17は多少のばね性を有しており、機器ケース1の上方(第一方向Iの上側)からアンテナ6が配置され、係止部63が凹部16内に挿入される際には多少撓んで挿入される係止部63を避けるとともに、係止孔63aに嵌め込まれると容易に抜けない構造となっている。
このように機器ケース1側の被係止部とアンテナ6の係止部63とが嵌合することで、アンテナ6が機器ケース1に固定される。なお、アンテナ6の係止部63及び機器ケース1側の被係止部の構成は、ここで示したものに限定されない。
【0042】
さらに前述のように図10図12(a)及び図12(c)に示すように、機器ケース1内であってソーラーパネル4と回路基板5とを接続させる基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所には、上下に貫通する孔部15が形成されている。本実施形態では2つの基板-パネルコンタクト部材46が設けられ、機器ケース1側の孔部15もこれに応じて2つ設けられる。
そしてこの孔部15が形成されている部分では、アンテナ6の内周辺60bの一部が切り欠かれて、基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所を避けるように切欠き部67が形成されている。この切欠き部67もアンテナ6の内周辺60bに凹凸を形成し、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さを稼ぎ、電気長を長くする機能を有する。
【0043】
なお前述のように、本実施形態では機器ケース1内にアンテナ6を収納するためにアンテナ6を小型化している。しかし小型化によりアンテナ6と基板-パネルコンタクト部材46とが接近しやすい配置になると、各部材が電気的な結合をしやすくなり、各抵抗成分によって損失が発生する(アンテナ利得が低下してしまう)という問題がある。
この点、本実施形態では基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所を避けるようにアンテナ6に切欠き部67を形成し、切欠き部67が設けられている箇所にコイルスプリングである基板-パネルコンタクト部材46を配置してソーラーパネル4と回路基板5とを接続している。これにより、各部材が電気的に結合して、各抵抗成分によって損失が発生する(アンテナ利得が低下する)のを抑えることができる。
なお、ソーラーパネル4から一方の基板-パネルコンタクト部材46を介して回路基板5(回路基板5のソーラーパネル用接続端子)、回路基板5から他方の基板-パネルコンタクト部材46を介してソーラーパネル4へとループすることでも電気的結合が生じやすくなるが、基板-パネルコンタクト部材46が配置される箇所を避けるようにアンテナ6に切欠き部67を形成し、この部分にコイルスプリングである基板-パネルコンタクト部材46を配置してソーラーパネル4と回路基板5とを接続することで、このようなループによる結合も抑えることができる。
【0044】
また、図12(a)等に示すように、機器ケース1には、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)が機器ケース1内に配置されたときに側面部62に対応する位置に、少なくとも側面部62を受け入れる(収容する)溝部14が形成されている。これにより側面部62の少なくとも一部(すなわち側面部62の内側の面、外側の面、側面部62の底面、のうち少なくとも一部)は、機器ケース1に接触した状態となる。
本実施形態では、溝部14は、アンテナ6の側面部62にほぼ沿う形状となっており、溝部14内にアンテナ6の側面部62を嵌め込むと、機器ケース1の溝部14とアンテナ6の側面部62とが密接(密着)する。
アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)を小型化すると電気的な距離(電気長)が短く(小さく)なり、これによってアンテナ6の放射効果が弱まって、正常にアンテナ6が機能しないという問題がある。この点、機器ケース1の溝部14にアンテナ6の側面部62を嵌め込み、アンテナ6と誘電体である樹脂製の機器ケース1とを密接(密着)させることで、アンテナ6の放射効果の低下を抑制することができる。
【0045】
また一般的にアンテナは、電波の周波数、波長に合った長さ、大きさであるほど効率がいい(アンテナ性能が向上する)とされる。
しかし前述のように、機器ケース1内に収めるためにアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のサイズや長さを小さくすると電気的な距離(電気長)が短くなり、アンテナ6で受信しやすい周波数、放射しやすい周波数が所望の周波数帯(すなわち、前述のようにGNSS(GPS)信号が送信されるL1帯(1.6GHz付近)、L5帯(1.2GHz付近)等の周波数帯)よりも高くなってしまう。
【0046】
この点、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)が空気中にある場合と樹脂材料等の誘電体に囲まれている場合とでは、誘電体に囲まれている場合の方がその比誘電率に応じて電波の波長が短くなるという現象が確認されている。
すなわち図13に示す説明図のように、誘電体中では波長自体の、もともとの一周期分の長さ(1波長分の長さ)が短くなる「電波の波長短縮」効果が認められる。
実施形態の機器ケース1は樹脂材料により形成されたケースである。より具体的には材料の一部に比誘電率を高めるための物質を配合した樹脂ケースが好適に用いられる。
このため、できるだけアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)を機器ケース1に密着させれば効果的に「電波の波長短縮」効果を得ることができ、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)を小型化しても低い周波数帯(前述のL1帯、L5帯等の所望の周波数帯)に共振させることができる。
【0047】
そこで機器ケース1の溝部14の形状(幅や深さ等)は、できるだけアンテナ6の側面部62の形状に合わせることが好ましく、側面部62を溝部14に嵌め込むことでアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)と機器ケース1とが密接(密着)した状態となるように構成する。すなわち、側面部62を溝部14に嵌め込んだ状態において、側面部62の内側面及び外側面や下側の端面等が、溝部14の内側面にぴったりと接することが望ましい。
【0048】
また、機器ケース内1にアンテナ6を配置すると、天面部61の下面についても、その少なくとも一部が機器ケース1に接触した状態となる。ここでも、溝部14の深さを側面部62の高さに合わせることで、側面部62を溝部14に嵌め込むと天面部61も浮き上がることなく機器ケース1の上面に接した状態で配置されるようにすれば、同様に「電波の波長短縮」効果を得ることができる。
さらに、同様の理由から、前述の係止部63と機器ケース1の被係止部との係止部分においても、両者をできるだけ隙間なく密接(密着)させることが好ましい。
またこれら、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)と機器ケース1とを密接(密着)させる構成を採用すれば、アンテナ6と誘電体である機器ケース1との相乗効果によりアンテナ6の放射効果の低下を抑制する効果についても同様に期待することができる。
【0049】
なお、アンテナ6の周囲を誘電体(樹脂材料)で埋める方が、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)を小型化しても低い周波数帯に共振させることができる、との観点からは、例えば風防部材3の下面側(裏面側、機器ケース1の内側に向く面、本実施形態ではソーラーパネル4が貼着されている面側)にも、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)との間の隙間を埋めるように樹脂材料等の誘電体を配置することが好ましい。
アンテナ6の周囲に誘電体(樹脂材料)を充填し隙間を埋めることで、より一層の波長短縮効果が期待でき、小型のアンテナ6を採用した場合における低い周波数帯(L1帯、L5帯等の所望の周波数帯)でのアンテナ性能の向上を図ることが期待できる。
【0050】
また、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、基板-アンテナコンタクト部材56(アンテナコンタクト部材)を介して回路基板5と接続されている。
図14は、アンテナと回路基板との接続部分を示す模式的な要部側面図である。
基板-アンテナコンタクト部材56は、例えばコイルスプリングや内部にスプリングを有するポゴピン等である。基板-アンテナコンタクト部材56の一端側はアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の天面部61に圧接し、他端側は回路基板5の図示しないGPS回路と接触する。
【0051】
回路基板5と接続するための基板-アンテナコンタクト部材56をアンテナ6の天面部61で受けることにより、アンテナ6と回路基板5との接続を時計100の厚み方向(垂直方向)へのコンタクトとすることができ、アンテナ6及び回路基板5の接点部分における接圧を十分に確保することができる。
なおアンテナ6と回路基板5とを接続する基板-アンテナコンタクト部材56は、1以上であればよく、3つ以上設けられてもよい。図14等の図示例では、2箇所に基板-アンテナコンタクト部材56を設けた場合を例示している。
【0052】
なお、スプリングを含む基板-アンテナコンタクト部材56が突き当てられる箇所では、アンテナ6の天面部61が基板-アンテナコンタクト部材56によって押し上げられる可能性がある。このため、図12(a)等に示すように、基板-アンテナコンタクト部材56を配置する位置は、アンテナ6と機器ケース1とを係止する係止部63が設けられている係止位置の近傍であることが好ましい。
【0053】
なお、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の形状が変わるとアンテナ6の利得(利得の特性)が変化することも確認されている。
図15(a)から図15(c)は、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の3時-9時方向をx軸、6時-12時方向をy軸とした場合に、9時位置と12時位置との間辺りの位置(すなわち、図11(a)等に示すように、x軸とy軸との間である45度位置辺り)に給電点を想定した場合、例えばアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のy軸側を削った場合に、その削り具合によってアンテナ6の利得(利得の特性)が変化する。
【0054】
例えば図15(a)では、アンテナ6のy軸の12時側の側面部62の一部を削って切欠き部601を形成し、6時側の側面部62の一部を削って切欠き部602を形成している。なおこのように側面部62に形成された切欠き部601,602を「第三切欠き部」とする。
これに対して、図15(b)では、アンテナ6のy軸の12時側の側面部62のみ一部を削って切欠き部601を形成し、6時側の側面部62には切欠き部を形成していない。図15(b)に示す形状のアンテナ(アンテナエレメント)を「比較例1」とする。
また例えば図15(c)では、アンテナ6のy軸の6時側の側面部62の一部を削って切欠き部602(第三切欠き部)を形成するとともに、12時側では天面部61の一部を削って切欠き部603を形成している。なおこのように天面部61に形成された切欠き部603を「第二切欠き部」とする。図15(c)に示す形状のアンテナ(アンテナエレメント)を「比較例2」とする。
【0055】
本実施形態では、アンテナ6のy軸の12時側の側面部62と6時側の側面部62とに「第三切欠き部」としての切欠き部601,602を形成した図15(a)に図示する形状のアンテナ6を採用している。
【0056】
アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のy軸方向の6時位置の側面部62のみを一部切り欠いて切欠き部601を形成した場合(図15(b)に示すアンテナ形状の場合)には、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のy軸方向の6時位置と12時位置の側面部62を一部切り欠いて切欠き部601,602を形成した場合(図15(a)に示す実施形態のアンテナ形状の場合)に比べて、L5帯域、L1帯域(平均値)共にアンテナ利得が低下した。
また、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)のy軸方向の6時位置の側面部62を一部切り欠いて切欠き部601を形成するとともにy軸方向の12時位置の天面部61を一部切り欠いて切欠き部603を形成した場合(図15(c)に示すアンテナ形状の場合)には、図15(a)に示す実施形態のアンテナ形状の場合に比べて、L5帯域ではほとんど差が見られなかったものの、L1帯域(平均値)では図15(b)の場合よりもアンテナ利得が低下した。
【0057】
このように、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の形状を、真円ではなく若干x軸側の端部を削って短くしたり、y軸側の端部を大きくしたり、給電点(給電位置)に対して、±45度位置の金属量(金属ボリューム)を変えることによって、所望の周波数帯の電波に対して丁度いい利得が得られるように調整することができる。
なお、どの部分をどの程度変えると所望の周波数帯の電波に対してよりいい利得を実現できるかは、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の周囲にどのような金属部品が配置されるか等、周囲の各種条件によって調整することができる。
なお、アンテナ6の金属量(金属ボリューム)の調整は、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の少なくとも一部に切欠き部を設けることの他、穴部を設けることで行ってもよい。
【0058】
また、このようにアンテナ6の利得はアンテナ6の周囲に配置される金属部品等、各種の条件に左右されるところ、アンテナ6の内周辺60bに形成された切欠き部67に対応する部分には、前述のように、ソーラーパネル4と回路基板5とを接続する基板-パネルコンタクト部材46(コイルスプリング(ばね))が配置される。
基板-パネルコンタクト部材46の形状等の構成は特に限定されないが、基板-パネルコンタクト部材46の構成によってもアンテナ6の利得に影響を生じる。具体的にはアンテナ6の利得は、コイルスプリング(基板-パネルコンタクト部材46)の線径、有効巻数、伸縮部長のいずれかに基づいて設定される。
【0059】
すなわち、基板-パネルコンタクト部材46としてのコイルスプリング(ばね)のインダクタンス(計算上のインダクタンス)を大きくすると、アンテナ6の利得が向上するという現象が確認されている。
このため、本実施形態では、コイルスプリング(ばね)の仕様(形状等)の設計において、できるだけ基板-パネルコンタクト部材46としてのコイルスプリング(ばね)のインダクタンスが大きくなるようにする。
【0060】
一般に、コイルスプリングの有効巻数[N]、伸縮部長[mm]が同じである場合、ばねの線径[mm]が小さいほどインダクタンスの計算値(L計算値)は小さくなる。この特性を利用し、インダクタンスの計算値(L計算値)が下がると、GPSアンテナとして求められるL5帯域の右旋偏波のアンテナ利得が低下し、GPSアンテナとして求められるL1帯域(平均値)の右旋偏波のアンテナ利得も低下することが分かった。
【0061】
このことから、基板-パネルコンタクト部材46としてのコイルスプリング(ばね)のインダクタンスの計算値(L計算値)が大きい方が、L5帯域、L1帯域ともにアンテナ6の利得が改善(向上)されることが確認できた。これは、基板-パネルコンタクト部材46としてのコイルスプリング(ばね)のインダクタンスが大きい方が高周波電流の流れが阻止されて、アンテナ6の利得の低下が改善されるためと考えられる。
【0062】
なお、ソーラーパネル4による発電電流は、低周波(所定以下の周波数の交流)もしくは直流である。このため、基板-パネルコンタクト部材46としてのコイルスプリング(ばね)のインダクタンスが大きくても、ソーラーパネル4による発電電流は阻止されることなく回路基板5に供給され、ソーラーパネル4による充電機能は阻害されない。
なお、実際の基板-パネルコンタクト部材46してのコイルスプリング(ばね)の設計にあたっては、実際ソーラーパネル4と回路基板5とにコンタクトするときのばねの応力、張力等との兼ね合いも考慮して各種条件を満たす形で設計を行うことが好ましい。
【0063】
また本実施形態における回路基板5の上には、図8等に示すように、防護部材としてのシールド部材51が設けられている。シールド部材51は、回路基板5上の少なくとも一部の回路素子(電子部品、図示せず)を覆う防護部材として載置されるものである。シールド部材51は例えば板金により箱状に形成されており、側面が回路基板5上に固定されている。
シールド部材51を回路基板5上に固定する構成は特に限定されず、例えば直接はんだ付けしてもよいし、他の金属部品等を介して回路基板5に固定してもよい。いずれの場合でも、シールド部材51はグランド(GND)となる回路基板5と側面で(直接的又は間接的に)接触し、グランドと同じ電位となる。
【0064】
本実施形態では、前述のようにアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)が天面部61と側面部62とを有するが、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の表面積を増やした方が電波放射の観点からは有利となる。このため、特に第一方向Iからの平面視において環状の天面部61をできるだけ環状中心cpに向って広めに形成している。このため、特に天面部61は回路基板5とほぼ平行して向かい合っており、近接するとあたかも「平行平板コンデンサ」のように容量結合しやすくなる。
【0065】
この点、シールド部材51は回路素子を囲むように覆う分、その表面(上面)が回路基板5の表面(上面)よりも高い位置に配置され、回路基板5自体の表面(上面)よりもアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)に近接する。
グランドと同電位のシールド部材51が、アンテナ6(特に天面部61)に対してほぼ平行な位置関係で近接すると、「平行平板コンデンサ」のように容量結合しやすく、容量結合が大きくなればアンテナ6の性能(アンテナ効率)を大きく劣化させるため、好ましくない。
このため、本実施形態では、回路基板5の面に直交する第一方向Iからの平面視において、アンテナ6とシールド部材51とが、互いに重ならない位置に配置されるようになっている。これにより、アンテナ6とシールド部材51とがほぼ平行な位置関係となるのを回避することができる。
【0066】
図16は、第一方向から平面視した場合の時計内部の構成例(シールド部材等の配置例)を示した平面図である。なお、図16では、ベゼル2、風防部材3等を取り外して回路基板5上の配置状態を示している。
図16において破線で示すように、回路基板5上に設けられたシールド部材51は、いずれも第一方向Iから平面視した場合にアンテナ6と重なり合わないように配置される。より具体的には、前述のようにアンテナ6は、第一方向Iからの平面視において、少なくとも外周辺60aと内周辺60bとを有しているが、シールド部材51は第一方向Iからの平面視において、内周辺60bの内側に配置される。
シールド部材51をこのように配置することで、回路基板5上にシールド部材51を搭載しても、シールド部材51を搭載しない状態と比較してアンテナ効率がほぼ劣化しないことが確認された。
【0067】
なお、シールド部材51を図16に示すような位置に配置することで、シールド部材51は第一方向Iからの平面視において、機器ケース1とも重なり合わない。
これにより、アンテナ6とシールド部材51とが容量結合することをより確実に防ぐことができる。
なお、防護部材であるシールド部材51の上面は、回路基板5に対して少なくとも一部が傾斜する形状となっていてもよい。
例えば第一方向Iからの平面視した場合に、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の中心(環状中心cp)から離れるほどシールド部材51の上面の高さが低くなるように構成することで、アンテナ6とシールド部材51とが容量結合を起こしにくくなる。
【0068】
このため、回路基板5上にシールド部材51を設けるにあたっては、設計段階において、シールド部材51の形状をアンテナ6にかからないようにしたり、どうしても保護する必要のある回路素子等がある等の理由でシールド部材51を配置しなければならない箇所ではシールド部材51の配置位置を避けるような形状にアンテナ6を切り欠く(例えば第一方向Iからの平面視においてシールド部材51と重なり合う部分を切り欠く)等の調整を行うことが好ましい。
【0069】
[作用]
前述のように本実施形態では、アンテナ6の内径側の形状は液晶パネルユニット7のガラス形状を基本とした「基準となる位置」よりも環状中心cpから離れる方向に向かって形成された「第一切欠き部64」と、「第一切欠き部64」内に設けられた係止部63を有している。
このため、「基準となる位置」にとどまる部分が相対的に突出した突出辺部65となり、アンテナ6の内周辺60bに、環状中心cpからの距離(d1,d2)が異なる凹凸形状が作出されている。
これにより、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さを稼ぎ、電気長が長くなる。
【0070】
また、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、表面積が広いほど電波放射の観点からは有利となるが、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、回路基板5と平行な部分では容量結合を生じやすい。
この点本実施形態のアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、回路基板5とほぼ平行する天面部61と天面部61の外周縁から垂設され、回路基板5に直交する状態で配置される側面部62とで構成されている。
アンテナ6は回路基板5に直交する状態では容量結合を生じにくいため、側面部62を設けることで回路基板5との容量結合を回避しつつ、表面積を稼ぐことができる。
【0071】
また、本実施形態のアンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、天面部61に「第二切欠き部603」を設けてもよいし、側面部62に「第三切欠き部601,602」を設けてもよい。
このように、アンテナの外形形状についても異形とし、金属量(金属ボリューム)を適宜変えることにより、アンテナ利得を調整することができる。
【0072】
また、電子機器としての時計100が備える機器ケース1には、機器ケース1の内方に張り出した位置であって、アンテナ6の係止部63に対応する位置に、被係止部を有している。
これにより、少なくとも係止部63に対応する位置では、被係止部(凹部16及び係止爪17)を設けるだけの肉厚を確保することとなり、機器ケース1に強度を持たせることができる。
【0073】
[効果]
以上のように本実施形態におけるアンテナ6は、第一方向Iからの平面視において、少なくとも外周辺60aと内周辺60bとを有する環状のアンテナ6であって、アンテナ6の内周辺60bは、周方向の位置によって第一方向Iからの平面視における環状中心cpからの距離が不均一であり、「基準となる位置」よりも環状中心cpから離れる方向に向かって切り欠かれた「第一切欠き部64」と、内周辺60bに設けられる少なくとも1つの係止部63と、を有している。
このため、アンテナ6の内周辺60bに、環状中心cpからの距離(d1,d2)が異なる凹凸形状が作出され、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)の内径側の長さを稼ぎ、電気長が長くなる。
アンテナ6は小型化すると電気長が短くなる方向となり、受信しやすい周波数帯が受信したい所望の周波数帯(例えばGNSS(GPS)信号が送信されるL1帯(1.6GHz付近)、L5帯(1.2GHz付近)等の周波数帯)よりも高くなってしまう傾向となる。
この点、本実施形態のように内周辺60bに凹凸形状を作ることで電気長を長くすれば、アンテナ6全体としての小型化を実現しつつ、所望の周波数帯の電波を受けやすいアンテナ6を構成することができる。
【0074】
またアンテナ6を機器ケース1内に固定するための係止部63を「第一切欠き部64」内に設けているため、液晶パネルユニット7を用いた表示等を阻害することなく、機器ケース1との固定を行うことができる。
そして、係止部63において生じる凹凸形状もアンテナ6における電気長を稼ぐ効果を期待できる。
また係止部63を係止する部分では機器ケース1の肉厚が厚くるようにしてあるため、機器ケース1の強度が向上する。
【0075】
また本実施形態では係止部63は、アンテナ6の内周辺60bの周方向に、間隔をあけてほぼ等間隔で3箇所に配置される。
これにより、アンテナ6を偏りなく機器ケース1内に固定することができる。
【0076】
また本実施形態のアンテナ6は、第一方向Iからの平面視において環状に視認される天面部61と、天面部61の外周縁から垂設され、第一方向Iと異なる第二方向IIから視認される側面部62と、を含んでいる。
アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、表面積が広いほど電波放射の観点からは有利となるが、アンテナ6(アンテナ6のアンテナ素子(アンテナエレメント)部分)は、回路基板5と平行な部分では容量結合を生じやすい。
この点本実施形態のアンテナ6は、回路基板5にほぼ直交する状態で配置される側面部62を有している。回路基板5に直交する状態では容量結合を生じにくいため、少なくとも側面部62では回路基板5との容量結合を回避しつつ、表面積を稼ぐことができる。
これにより、容量結合によるアンテナ6の性能(アンテナ効率)の劣化を避けつつ、電波放射に優れたアンテナ6を実現することができる。
【0077】
またアンテナ6の天面部61に「第二切欠き部603」を形成したり、側面部62に「第三切欠き部601,602」を形成した場合には、アンテナ6における金属量(金属ボリューム)を適宜変えることで、アンテナ利得を調整することができる。
これにより、GPSのL1帯域、L5帯域等、所望の周波数帯の電波に対して有利なアンテナ6を得ることができる。
【0078】
そしてこのようなアンテナ6を時計100等の電子機器の機器ケース1内に組み込むことにより、外装部材をアンテナ6として用いる場合等と比較して機器全体を小型化できるとともに、アンテナ6を外部からの衝撃や腐食等から保護することができる。
また本実施形態では、小型化してもGNSS(GPS)信号が送信されるL1帯(1.6GHz付近)、L5帯(1.2GHz付近)等の周波数帯)の電波等、所望の周波数帯の電波を効率よく受信することができるアンテナ6を実現できるため、このようなアンテナ6を備えることで正確な時刻補正等が可能となる。
さらに、小型化されたアンテナ6を組み込むことができるため、機器ケース1の大型化を避けることができ、小型・軽量の電子機器(時計100等)を実現することができる。
【0079】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0080】
例えば本実施形態は、電子機器が時計100である場合を例示したが、電子機器はこれに限定されない。
アンテナ6を組み込んで用いられる機器であれば広く適用が可能であり、例えば各種のスマートウォッチ、スポーツウォッチの他、心拍計、血圧計等、時刻とともに各種データを記録するような電子機器に用いることができる。
【0081】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0082】
1 機器ケース
2 ベゼル
21 第一ベゼル
22 第二ベゼル
211 突出形成部
212 本体部
3 風防部材
4 ソーラーパネル
40a 外周辺
40b 内周辺
45 コンタクト部
46 基板-パネルコネクト部材(パネルコンタクト部材)
5 回路基板
51 シールド部材
56 基板-アンテナコンタクト部材(アンテナコンタクト部材)
6 アンテナ
60a 外周辺
60b 内周辺
61 天面部
62 側面部
63 係止部
64 第一切欠き部
67 切欠き部
601 切欠き部(第三切欠き部)
602 切欠き部(第三切欠き部)
603 切欠き部(第二切欠き部)
7 液晶パネルユニット
100 時計(電子時計、電子機器)
cp 環状中心
I 第一方向(視認方向)
II 第二方向(側方)
α 第一領域
β 第二領域
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