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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】管理装置および管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241008BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241008BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241008BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241008BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241008BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20241008BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20241008BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241008BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241008BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20241008BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/20
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/80
B60L58/12
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y20/30
G06Q50/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022161051
(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公開番号】P2024054667
(43)【公開日】2024-04-17
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 裕子
(72)【発明者】
【氏名】覚知 誠
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 俊章
(72)【発明者】
【氏名】東 健史
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 愛彦
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-79331(JP,A)
【文献】特開2022-123514(JP,A)
【文献】特開2020-145884(JP,A)
【文献】特開2021-185520(JP,A)
【文献】特開2014-53989(JP,A)
【文献】特開2014-39398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H02J 13/00
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/80
B60L 58/12
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載される第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置であって、
電力系統における電力需給の調整に関する要求を取得する第1取得部と、
前記要求に基づいて、前記バッテリ交換装置におけるバッテリ交換に要する交換費用を前記電動車両のユーザに通知する制御を行う制御部と、を備え、
前記少なくとも1つの第2バッテリは、前記電力系統の電力を用いた充電の要求に対応可能な第2バッテリのうちSOCが最大最大SOCバッテリを含み、
前記制御部は、前記充電が要求されている場合で、かつ、前記最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用を前記ユーザに通知する制御を行う、管理装置。
【請求項2】
前記電動車両と前記バッテリ交換装置との間の距離に関する情報を取得する第2取得部を備え、
前記制御部は、前記充電が要求されている場合で、かつ、前記所定の充電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、前記電動車両の位置が前記バッテリ交換装置から遠い程、前記ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記充電が要求されている場合で、かつ、前記所定の充電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、前記第1バッテリのSOCが低い程、前記ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う、請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
電動車両に搭載される第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置であって、
電力系統における電力需給の調整に関する要求を取得する第1取得部と、
前記要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を前記電動車両に通知する制御を行う制御部と、を備え、
前記少なくとも1つの第2バッテリは、前記電力系統への給電の要求に対応可能な第2バッテリのうちSOCが最小最小SOCバッテリを含み、
前記制御部は、前記給電が要求されている場合で、かつ、前記最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用を前記電動車両のユーザに通知する制御を行う、管理装置。
【請求項5】
前記電動車両と前記バッテリ交換装置との間の距離に関する情報を取得する第2取得部を備え、
前記制御部は、前記給電が要求されている場合で、かつ、前記所定の給電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、前記電動車両の位置が前記バッテリ交換装置から遠い程、前記ユーザに通知する交換費用を高くする制御を行う、請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記給電が要求されている場合で、かつ、前記所定の給電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、前記第1バッテリのSOCが低い程、前記ユーザに通知する交換費用を高くする制御を行う、請求項4または5に記載の管理装置。
【請求項7】
第1バッテリが搭載される電動車両と、
前記第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置と、を備え、
管理装置は、
電力系統における電力需給の調整要求を取得する取得部と、
前記調整要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を前記電動車両に通知する制御を行う制御部と、を含み、
前記少なくとも1つの第2バッテリは、前記電力系統の電力を用いた充電の要求に対応可能な第2バッテリのうちSOCが最大最大SOCバッテリを含み、
前記制御部は、前記充電が要求されている場合で、かつ、前記最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の前記交換費用よりも低い前記交換費用を前記電動車両に通知する制御を行う、管理システム。
【請求項8】
前記電動車両は、少なくとも1つの電気機器を含み、
前記制御部は、前記充電が要求されている場合で、かつ、前記所定の充電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、前記少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を増加させる指令信号を前記電動車両に送信する制御を行い、
前記電動車両は、前記指令信号に基づいて前記少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を増加させる、請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
第1バッテリが搭載される電動車両と、
前記第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
電力系統における電力需給の調整要求を取得する取得部と、
前記調整要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を前記電動車両に通知する制御を行う制御部と、を含み、
前記少なくとも1つの第2バッテリは、前記電力系統への給電の要求に対応可能な第2バッテリのうちSOCが最小最小SOCバッテリを含み、
前記制御部は、前記給電が要求されている場合で、かつ、前記最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも前記第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の前記交換費用よりも高い前記交換費用を前記電動車両に通知する制御を行う、管理システム。
【請求項10】
前記電動車両は、少なくとも1つの電気機器を含み、
前記制御部は、前記給電が要求されている場合で、かつ、前記第1バッテリのSOCが前記所定の給電時閾値以上の場合に、前記少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を低下させる指令信号を前記電動車両に送信する制御を行い、
前記電動車両は、前記指令信号に基づいて前記少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を低下させる、請求項9に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置および管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-291110号公報(特許文献1)には、バッテリのレンタル料金を徴収する方法が開示されている。上記方法では、バッテリの借用者による充電または放電に関する使用データに基づいてレンタル料金が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-291110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、バッテリステーションのバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求に応える場合がある。そこで、バッテリステーション(バッテリ交換装置)のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことが可能なシステムが望まれている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求に容易に満たすことが可能な管理装置および管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に係る管理装置は、電動車両に搭載される第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置であって、電力系統における電力需給の調整に関する要求を取得する第1取得部と、前記要求に基づいて、バッテリ交換装置におけるバッテリ交換に要する交換費用を電動車両のユーザに通知する制御を行う制御部と、を備える。少なくとも1つの第2バッテリは、少なくとも1つの第2バッテリのうち充電に用いられる予定のSOCが最大となる最大SOCバッテリを含む。制御部は、電力系統の電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用をユーザに通知する制御を行う。
【0007】
本開示の第1の局面に係る管理装置では、上記のように、電力系統の電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用をユーザに通知する制御が行われる。これにより、上記最大のSOCに基づく所定の充電時閾値よりもSOCが小さい第1バッテリを搭載した電動車両のユーザが支払う交換費用が低くされるので、上記ユーザがバッテリ交換装置を利用する可能性(頻度)を高くすることができる。その結果、電力系統の電力からバッテリ交換装置のバッテリに充電される充電量を容易に大きくすることができる。これにより、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことができる。したがって、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことができる。
【0008】
上記第1の局面に係る管理装置において、好ましくは、電動車両とバッテリ交換装置との間の距離に関する情報を取得する第2取得部が備えられている。制御部は、充電が要求されている場合で、かつ、上記所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、電動車両の位置がバッテリ交換装置から遠い程、ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う。このように構成すれば、バッテリ交換装置から遠い位置の電動車両のユーザがバッテリ交換装置を利用する可能性(頻度)を高くすることができる。その結果、電動車両が比較的長距離を走行するので、SOCが比較的低下した第1バッテリがバッテリ交換装置に格納される。その結果、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求をより容易に満たすことができる。
【0009】
上記第1の局面に係る管理装置において、好ましくは、制御部は、電力系統の電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、上記所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、電動車両のSOCが低い程、ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う。このように構成すれば、SOCが比較的低い第1バッテリをバッテリ交換装置に容易に格納することができる。
【0010】
本開示の第2の局面に係る管理装置は、電動車両に搭載される第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置であって、電力系統における電力需給の調整に関する要求を取得する第1取得部と、
要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を電動車両に通知する制御を行う制御部と、を備える。少なくとも1つの第2バッテリは、少なくとも1つの第2バッテリのうち給電に用いられる予定のSOCが最小となる最小SOCバッテリを含む。制御部は、電力系統への給電が要求されている場合で、かつ、最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用を電動車両のユーザに通知する制御を行う。
【0011】
本開示の第2の局面に係る管理装置では、上記のように、電力系統への給電が要求されている場合で、かつ、最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用を電動車両のユーザに通知する制御が行われる。これにより、上記最小のSOCに基づく所定の給電時閾値よりもSOCが小さい第1バッテリを搭載した電動車両のユーザが支払う交換費用が高くされるので、上記ユーザがバッテリ交換装置を利用する可能性(頻度)を低くすることができる。その結果、バッテリ交換装置のバッテリから電力系統に給電可能な電力量が小さくなるのを抑制することができる。これにより、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことができる。
【0012】
上記第2の局面に係る管理装置において、好ましくは、電動車両とバッテリ交換装置との間の距離に関する情報を取得する第2取得部が備えられる。制御部は、給電が要求されている場合で、かつ、上記所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、電動車両の位置がバッテリ交換装置から遠い程、ユーザに通知する交換費用を高くする制御を行う。このように構成すれば、バッテリ交換装置から遠い位置の電動車両のユーザが、バッテリ交換装置を利用する可能性(頻度)を低くすることができる。その結果、SOCが比較的低い第1バッテリがバッテリ交換装置に格納されるのをより抑制することができる。その結果、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求をより容易に満たすことができる。
【0013】
上記第2の局面に係る管理装置において、好ましくは、制御部は、給電が要求されている場合で、かつ、上記所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、電動車両のSOCが低い程、ユーザに通知する交換費用を高くする制御を行う。このように構成すれば、SOCが比較的低い第1バッテリがバッテリ交換装置に格納されるのをより一層容易に抑制することができる。
【0014】
本開示の第3の局面に係る管理システムは、第1バッテリが搭載される電動車両と、
第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置と、を備える。管理装置は、電力系統における電力需給の調整要求を取得する取得部と、調整要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を電動車両に通知する制御を行う制御部と、を含む。少なくとも1つの第2バッテリは、少なくとも1つの第2バッテリのうち充電に用いられる予定のSOCが最大となる最大SOCバッテリを含む。制御部は、電力系統の電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用を電動車両に通知する制御を行う。
【0015】
上記第3の局面に係る管理システムでは、上記のように、電力系統の電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、最大SOCバッテリのSOCに基づく所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用をユーザに通知する制御が行われる。これにより、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことが可能な管理システムを提供することができる。
【0016】
上記第3の局面に係る管理システムにおいて、好ましくは、電動車両は、少なくとも1つの電気機器を含む。制御部は、充電が要求されている場合で、かつ、上記所定の充電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を増加させる指令信号を送信する制御を行う。電動車両は、上記指令信号に基づいて少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を増加させる。このように構成すれば、上記所定の充電時閾値よりも低いSOCを有する第1バッテリのSOCを、電流値の増加によって更に小さくすることができる。
【0017】
本開示の第4の局面に係る管理システムは、第1バッテリが搭載される電動車両と、第1バッテリと交換可能な少なくとも1つの第2バッテリが備えられるバッテリ交換装置を管理する管理装置と、を備える。管理装置は、電力系統における電力需給の調整要求を取得する取得部と、調整要求に基づいて、バッテリ交換に要する交換費用を電動車両に通知する制御を行う制御部と、を含む。少なくとも1つの第2バッテリは、少なくとも1つの第2バッテリのうち給電に用いられる予定のSOCが最小となる最小SOCバッテリを含む。制御部は、電力系統への給電が要求されている場合で、かつ、最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用を電動車両に通知する制御を行う。
【0018】
本開示の第4の局面に係る管理システムでは、上記のように、電力系統への給電が要求されている場合で、かつ、最小SOCバッテリのSOCに基づく所定の給電時閾値よりも第1バッテリのSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用を電動車両のユーザに通知する制御が行われる。これにより、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことが可能な管理システムを提供することができる。
【0019】
上記第4の局面に係る管理システムにおいて、好ましくは、電動車両は、少なくとも1つの電気機器を含む。制御部は、上記給電が要求されている場合で、かつ、第1バッテリのSOCが上記所定の給電時閾値以上の場合に、少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を低下させる指令信号を送信する制御を行う。電動車両は、上記指令信号に基づいて少なくとも1つの電気機器に流れる電流値を低下させる。このように構成すれば、上記所定の給電時閾値以上のSOCを有する第1バッテリのSOCが低下するのを、電流値の低下によって抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、バッテリ交換装置のバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求を容易に満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による管理システムの構成を示す図である。
図2】外部充電が要求されるDR時のバッテリ交換費用の変化を示す図である。
図3】外部給電が要求されるDR時のバッテリ交換費用の変化を示す図である。
図4】一実施形態による管理システムのシーケンス制御を示す第1図である。
図5】一実施形態による管理システムのシーケンス制御を示す第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る管理システム1の構成を示す図である。管理システム1は、サーバ100と、電動車両10と、バッテリステーション20と、系統管理サーバ200と、電力系統PGと、を備える。サーバ100は、バッテリステーション20を管理する。サーバ100は、バッテリステーション20に備えられていてもよい。なお、電動車両10は、管理システム1に複数備えられていてもよい。なお、サーバ100およびバッテリステーション20は、それぞれ、本開示の「管理装置」および「バッテリ交換装置」の一例である。
【0024】
電動車両10は、走行用のバッテリ11と、走行用のモータ12と、冷却装置13と、通信機器14とを備える。冷却装置13は、モータ12を冷却するための装置である。通信機器14は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。なお、冷却装置13は、本開示の「電気機器」の一例である。
【0025】
電動車両10は、たとえば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)、および、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)を含む。電動車両10は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。
【0026】
バッテリステーション20には、複数のバッテリ21が備えられている。バッテリステーション20では、電動車両10に搭載されているバッテリ11とバッテリ21とが交換される。なお、バッテリ11およびバッテリ21は、それぞれ、本開示の「第1バッテリ」および「第2バッテリ」の一例である。
【0027】
電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。この実施の形態では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PGを保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。
【0028】
系統管理サーバ200は、電力系統PG(電力網)における電力需給を管理する。また、系統管理サーバ200は、電力会社に帰属する。系統管理サーバ200は、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる発電電力および消費電力に基づいて、電力系統PGの電力需要量を調整するための要求(需給調整要求)をサーバ100に送信する。具体的には、系統管理サーバ200は、上記電力調整リソースの発電電力または消費電力が通常時よりも大きくなると見込まれる場合(または現時点で大きい場合)に、それぞれ、通常時よりも電力需要量を増加または減少させるための要求をサーバ100に送信する。
【0029】
サーバ100は、アグリゲータが管理するサーバである。アグリゲータとは、地域や所定の施設等の複数の電力調整リソースを束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。
【0030】
サーバ100は、電力系統PGの電力需要量を増加または減少させるための1つの手段として、バッテリステーション20内のバッテリ21を用いて、電力系統PGへの給電(外部給電)および電力系統PGからの充電(外部充電)を行う。
【0031】
また、サーバ100は、登録された電動車両10の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)とを管理するように構成される。ユーザ情報および車両情報は、識別情報(ID)で区別されて後述のメモリ102に記憶されている。
【0032】
車両IDは、電動車両10を識別するための識別情報である。車両IDは、ナンバープレートであってもよいし、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。車両情報には、各電動車両10の行動予定が含まれる。
【0033】
サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを含む。プロセッサ101は、通信部103を制御する。メモリ102には、プロセッサ101に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。なお、プロセッサ101は、本開示の「制御部」の一例である。また、通信部103は、本開示の「第1取得部」、「第2取得部」、および、「取得部」の一例である。
【0034】
サーバ100の通信部103は、系統管理サーバ200および電動車両10の各々と通信する。通信部103は、各種通信I/Fを含む。
【0035】
サーバ100の通信部103は、電力系統PGにおける電力の需給調整要求に関する情報を、系統管理サーバ200から受信する。また、サーバ100の通信部103は、電動車両10と通信することにより、電動車両10の位置情報、および、電動車両10のSOC(State Of Charge)の情報を受信する。
【0036】
また、サーバ100は、バッテリステーション20に備えられている複数のバッテリ21の各々のSOCの情報を、通信部103を通じて取得する。バッテリ21のSOCの情報は、メモリ102に格納される。
【0037】
また、プロセッサ101は、電動車両10の位置情報に基づいて、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離を算出する。ここで、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離とは、電動車両10がバッテリステーション20に到着するまでの最短ルートの距離を意味する。なお、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離が、電動車両10とバッテリステーション20との間の直線的な距離であってもよい。
【0038】
また、プロセッサ101は、電力系統PGにおける電力の需給調整要求に基づいて、バッテリステーション20におけるバッテリ交換に要する交換費用を電動車両10のユーザに通知する制御を行う。
【0039】
ここで、従来のシステムでは、バッテリステーションのバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求に応じることが考慮されていない。そこで、バッテリステーションのバッテリを用いて、電力系統における電力の需給調整の要求に容易に応じることが可能なシステムが望まれている。
【0040】
本実施形態では、プロセッサ101は、電力系統PGの電力を用いた充電が要求されており(すなわち外部充電が要求されるDR(デマンドレスポンス)の場合)、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうち充電に用いられる予定のSOCが最大のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用をユーザに通知する制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点でのバッテリ21およびバッテリ11の各々のSOCに基づいて、上記の制御を行う。なお、以下では、外部充電が要求されるDRを、充電DRと称する。また、上記最大のバッテリ21のSOCは、本開示の「所定の充電時閾値」の一例である。
【0041】
たとえば、バッテリステーション20において、上記要求に応じるための複数のバッテリ21、および、バッテリ11との交換に用いられる複数のバッテリ21が予め決められて(分担されて)いてもよい。この場合、プロセッサ101は、上記要求に応じるための複数のバッテリ21のうちSOCが最大のバッテリ21よりもバッテリ11の方がSOCが低い場合に、上記制御を行う。なお、以下では、複数のバッテリ21のうちSOCが最大のバッテリ21とは、上記要求に応じるための複数のバッテリ21のうちSOCが最大のバッテリ21を指すものとする。
【0042】
また、バッテリステーション20において、上記要求に応じるための複数のバッテリ21、および、バッテリ11との交換に用いられる複数のバッテリ21が予め決められて(分担されて)いなくてもよい。ここで、バッテリステーション20におけるバッテリ21は、バッテリ交換が行われる予定になった場合に、バッテリ交換用に備えてSOCが100%になるように充電される。この場合、上記最大のSOCとは、バッテリ交換用に備えて充電される前における複数のバッテリ21のSOCのうちの最大値を意味していてもよい。
【0043】
また、プロセッサ101は、充電DRの場合で、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうちSOCが最大のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、電動車両10の位置がバッテリステーション20から遠い程、ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点での電動車両10の位置に基づいて、上記の制御を行う。
【0044】
また、プロセッサ101は、充電DRの場合で、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうちSOCが最大のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、電動車両10のSOCが低い程、ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点でのバッテリ11のSOCに基づいて、上記の制御を行う。
【0045】
詳細には、図2に示すように、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離が0からD(たとえば10km)までの範囲では、上記距離の増加に比例してバッテリ交換の費用が低下する。上記距離がDを超えると、上記交換費用は一定値に維持される。上記距離に対応する上記交換費用は、電動車両10のSOCが低いほど低下する。上記交換費用は、電動車両10のSOCの低下に比例して、低下する。
【0046】
また、本実施形態では、プロセッサ101は、電力系統PGへの給電が要求されており(すなわち外部給電が要求されるDRの場合)、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうち上記給電に用いられる予定のSOCが最小のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用をユーザに通知する制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点でのSOCに基づいて、上記の制御を行う。なお、以下では、外部給電が要求されるDRを、給電DRと称する。なお、最小のバッテリ21のSOCは、本開示の「所定の給電時閾値」の一例である。
【0047】
上記充電要求の場合と同様に、バッテリステーション20において、上記給電要求に応じるための複数のバッテリ21のうちSOCが最小のバッテリ21よりもバッテリ11の方がSOCが低い場合に、上記交換費用を通常の交換費用よりも高くする制御を行う。なお、以下では、複数のバッテリ21のうちSOCが最小のバッテリ21とは、上記(給電)要求に応じるための複数のバッテリ21のうちSOCが最小の第2バッテリを指すものとする。
【0048】
また、上記充電要求の場合と同様に、上記最小のSOCとは、バッテリ交換用に備えて充電される前における複数のバッテリ21のSOCのうちの最小値を意味していてもよい。
【0049】
また、プロセッサ101は、給電DRの場合で、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうちSOCが最小のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、電動車両10の位置がバッテリステーション20から遠い程、ユーザに通知する交換費用を高くする制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点での電動車両10の位置に基づいて、上記の制御を行う。
【0050】
また、プロセッサ101は、給電DRの場合で、かつ、バッテリステーション20の複数のバッテリ21のうちSOCが最小のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、電動車両10のSOCが低い程、ユーザに通知する交換費用を低くする制御を行う。プロセッサ101は、たとえば電動車両10のユーザからバッテリ交換の費用の問い合わせを受けた時点でのSOCに基づいて、上記の制御を行う。
【0051】
詳細には、図3に示すように、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離の増加に比例してバッテリ交換の費用が増加する。また、電動車両10のSOCの低下に比例して、バッテリ交換の費用が増加する。
【0052】
(管理システムのシーケンス図)
次に、図4および図5のシーケンス図を参照して、管理システム1のシーケンスについて説明する。
【0053】
図4に示すように、ステップS1において、系統管理サーバ200は、サーバ100の通信部103に、電力系統PGの電力需給調整要求を送信する。
【0054】
ステップS2では、サーバ100の通信部103は、ステップS1において系統管理サーバ200から送信された電力需給調整要求を受信する。
【0055】
ステップS3において、電動車両10のユーザが、サーバ100に、バッテリ交換の費用について問い合わせをしたとする。ステップS4では、サーバ100は、ステップS3の上記問い合わせを受信する。なお、上記問い合わせの代わりに、バッテリステーション20の利用予約に基づいて、後述のステップS5以降の処理が行われてもよい。
【0056】
ステップS5では、サーバ100(プロセッサ101)は、通信部103を通じて、電動車両10のユーザに、電動車両10のSOCの情報、および、電動車両10の位置情報を問い合わせる制御を行う。
【0057】
ステップS6では、電動車両10のユーザは、電動車両10の通信機または携帯端末等を用いて、電動車両10のSOCの情報、および、電動車両10の位置情報をサーバ100(通信部103)に送信する。なお、ステップS5の処理が行われなくても、電動車両10のSOCの情報、および、電動車両10の位置情報がサーバ100に送信されてもよい。
【0058】
ステップS7では、サーバ100(通信部103)は、ステップS6において送信された電動車両10のSOCの情報、および、電動車両10の位置情報を受信する。
【0059】
ステップS8では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS2において受信された電力需給調整要求が充電DRに対応する要求であるか否かを判定する。言い換えると、サーバ100(プロセッサ101)は、上記電力需給調整要求が、電力系統PGの電力を用いたバッテリ21の充電の要求であるか否かを判定する。充電DRに対応する要求である場合(S8においてYes)、処理はステップS9に進む。充電DRに対応する要求ではない場合(S8においてNo)、処理はステップS12に進む。なお、充電DRに対応する要求ではない場合とは、給電DRに対応する要求である場合を意味する。
【0060】
ステップS9では、プロセッサ101は、バッテリステーション20においてSOCが最大のバッテリ21のSOCよりも電動車両10のSOCが小さいか否かを判定する。電動車両10のSOCが上記最大SOCよりも小さい場合(S9においてYesの場合)、処理はステップS10に進む。電動車両10のSOCが上記最大SOC以上の場合(S9においてNoの場合)、処理はステップS15に進む。
【0061】
ステップS10では、プロセッサ101は、バッテリ交換に要する交換費用を、バッテリ交換に要する通常の交換費用よりも低く設定する。たとえば、プロセッサ101は、上記通常の交換費用よりも低い基準費用(図2の黒点参照)を設定する。この基準費用とは、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離が0で、かつ、電動車両10のSOCが上記最大SOCよりも所定の値(たとえば20%)だけ低い場合の交換費用である。
【0062】
ステップS11では、プロセッサ101は、ステップS7において受信した電動車両10のSOCの情報および電動車両10の位置情報に基づいて、バッテリ交換に要する費用を補正する。具体的には、電動車両10のSOCの情報および電動車両10の位置情報を用いて、ステップS10における上記基準費用が補正(図2の実線または破線参照)される。この際、予め設定された所定の補正係数等により、上記基準費用が補正されてもよい。次に、処理は、ステップS16に進む。なお、ステップS10の処理が省略されてステップS11の補正後の交換費用が直接算出されてもよい。
【0063】
ステップS12では、バッテリステーション20においてSOCが最小のバッテリ21のSOCよりも電動車両10のSOCが小さいか否かを判定する。電動車両10のSOCが上記最小SOCよりも小さい場合(S12においてYesの場合)、処理はステップS13に進む。電動車両10のSOCが上記最小SOC以上の場合(S12においてNoの場合)、処理はステップS15に進む。
【0064】
ステップS13では、プロセッサ101は、バッテリ交換に要する交換費用を、上記通常の交換費用よりも高く設定する。たとえば、プロセッサ101は、上記通常の交換費用よりも高い基準費用(図3の黒点参照)を設定する。この基準費用とは、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離が0で、かつ、電動車両10のSOCが上記最小SOCよりも所定の値(たとえば10%)だけ低い場合の交換費用である。
【0065】
ステップS14では、プロセッサ101は、ステップS7において受信した電動車両10のSOCの情報および電動車両10の位置情報に基づいて、バッテリ交換に要する費用を補正する。具体的には、電動車両10のSOCの情報および電動車両10の位置情報を用いて、上記基準費用が補正(図3の実線または破線参照)される。この際、予め設定された所定の補正係数等により、上記基準費用が補正されてもよい。次に、処理は、ステップS16に進む。なお、ステップS13の処理が省略されてステップS14の補正後の交換費用が直接算出されてもよい。
【0066】
ステップS15では、プロセッサ101は、バッテリ交換に要する交換費用を、通常の交換費用に設定する。次に、処理は、ステップS16に進む。
【0067】
なお、ステップS9においてNoの場合に、バッテリ交換費用を通常の交換費用よりも高く設定してもよい。また、ステップS12においてNoの場合、バッテリ交換費用を通常の交換費用よりも低く設定してもよい。
【0068】
ステップS16では、サーバ100(通信部103)は、ステップS11、S14、またはS15において設定(補正)された交換費用の情報を、電動車両10のユーザに送信する。
【0069】
ステップS17では、ステップS16においてサーバ100から送信された交換費用の情報が、電動車両10の図示しないカーナビゲーションシステム、または、ユーザの図示しない携帯端末等に表示される。
【0070】
ステップS18において、サーバ100は、電動車両10のユーザによるバッテリステーション20の利用の予約を受け付けたとする。サーバ100の処理および電動車両10の処理は、それぞれ、図5のAおよびBに進む。
【0071】
ステップS19では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS2において受信された電力需給調整要求が、充電DRに対応する要求であるか否かを判定する。充電DRに対応する要求である場合(S19においてYes)、処理はステップS20に進む。充電DRに対応する要求ではない場合(S19においてNo)、処理はステップS21に進む。
【0072】
ステップS20において、プロセッサ101は、バッテリステーション20においてSOCが最大のバッテリ21のSOCよりも電動車両10のSOCが小さいか否かを判定する。電動車両10のSOCが上記最大SOCよりも小さい場合(S20においてYesの場合)、処理はステップS22に進む。電動車両10のSOCが上記最大SOC以上の場合(S2においてNoの場合)、処理は終了する。
【0073】
ステップS21では、電動車両10のSOCがバッテリステーション20においてSOCが最小のバッテリ21のSOCよりも小さいか否かを判定する。電動車両10のSOCが上記最小SOCよりも小さい場合(S21においてYesの場合)、処理は終了する。電動車両10のSOCが上記最小SOC以上の場合(S21においてNoの場合)、処理はステップS23に進む。
【0074】
ステップS22において、サーバ100(プロセッサ101)は、通信部103を通じて、電動車両10のモータ12(図1参照)を冷却する冷却装置13(図1参照)に流れる電流値を増加させる指令信号を電動車両10に送信する。
【0075】
ステップS22aでは、電動車両10の図示しないECUは、ステップS22においてサーバ100から送信された指令信号に基づいて、冷却装置13の指令電流値を増加させる。
【0076】
ステップS23において、サーバ100(プロセッサ101)は、通信部103を通じて、電動車両10のモータ12(図1参照)を冷却する冷却装置13(図1参照)に流れる電流値を低下させる指令信号を電動車両10に送信する。なお、冷却装置13は、本開示の「電気機器」の一例である。
【0077】
ステップS23aでは、電動車両10の図示しないECUは、ステップS23においてサーバ100から送信された指令信号に基づいて、冷却装置13の指令電流値を低下させる。
【0078】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ101は、電力系統PGの電力を用いた充電が要求されている場合で、かつ、複数のバッテリ21のうち上記充電に用いられる予定のSOCが最大のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも低い交換費用をユーザに通知する制御を行う。上記のように交換費用を調整することにより、上記最大のSOCよりも低いSOCの電動車両10のユーザに、より積極的にバッテリステーション20を利用させることができる。その結果、バッテリステーション20におけるバッテリによる充電可能容量を容易に大きくすることができる。これにより、電力系統PGにおける電力の需給調整の要求に容易に応じることができる。
【0079】
また、本実施形態においては、プロセッサ101は、電力系統PGへの給電が要求されている場合で、かつ、複数のバッテリ21のうち上記給電に用いられる予定のSOCが最小のバッテリ21のSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に、通常の交換費用よりも高い交換費用をユーザに通知する制御を行う。上記のように交換費用を調整することにより、上記最小のSOCよりも低いSOCの電動車両10のユーザがバッテリステーション20を利用するのを抑制することができる。その結果、バッテリステーション20におけるバッテリによる給電可能容量が小さくなるのを抑制することができる。これにより、電力系統PGにおける電力の需給調整の要求に容易に応じることができる。
【0080】
上記実施形態では、電動車両10とバッテリステーション20との間の距離に比例してバッテリ交換の費用が増加または低下する例を示したが、本開示はこれに限られない。電動車両10とバッテリステーション20との間の距離が所定の閾値を超えた場合に上記費用を一定量だけ増加または低下させてもよい。同様に、電動車両10のSOCが所定の閾値を下回った場合に上記費用を一定量だけ増加または低下させてもよい。
【0081】
上記実施形態では、充電DRの場合および給電DRの場合の各々において、バッテリ交換費用の調整を行う例を示したが、本開示はこれに限られない。充電DRの場合および給電DRの場合のいずれか一方のみにおいて、バッテリ交換費用の調整が行われてもよい。
【0082】
上記実施形態では、複数のバッテリ21のSOCのうちの最大値よりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が下げられる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、複数のバッテリ21のうちの最大のSOCと、複数のバッテリ21のうちの2番目に大きいSOCとの平均値よりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が下げられてもよい。の場合、上記平均値は、本開示の「所定の充電時閾値」の一例である。
【0083】
また、たとえば、複数のバッテリ21のうちの2番目に大きいSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が下げられてもよい。この場合、上記2番目に大きいSOCは、本開示の「所定の充電時閾値」の一例である。
【0084】
上記実施形態では、複数のバッテリ21のSOCのうちの最小値よりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が上げられる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、複数のバッテリ21のうちの最小のSOCと、複数のバッテリ21のうちの2番目に小さいSOCとの平均値よりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が上げられてもよい。の場合、上記平均値は、本開示の「所定の給電時閾値」の一例である。
【0085】
また、たとえば、複数のバッテリ21のうちの2番目に小さいSOCよりもバッテリ11のSOCが低い場合に交換費用が上げられてもよい。この場合、上記2番目に小さいSOCは、本開示の「所定の充電時閾値」の一例である。
【0086】
上記実施形態では、冷却装置13の指令電流値を増加または低下させて電動車両10のSOCを調整する例を示したが、本開示はこれに限られない。冷却装置13以外の電気機器(たとえばエアコンおよびヒータ等)の指令電流を変化させてもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 管理システム,10 電動車両,11 バッテリ(第1バッテリ),13 冷却装置(電気機器),20 バッテリステーション(バッテリ交換装置),21 バッテリ(第2バッテリ),100 サーバ(管理装置),101 プロセッサ(制御部),103 通信部(第1取得部)(第2取得部),PG 電力系統。
図1
図2
図3
図4
図5