IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

特許7567902情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法
<>
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図8
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図9
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図10
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図11
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図12
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図13
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図14
  • 特許-情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20241008BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20241008BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R19/165 M
G01R19/165 N
H02J7/00 Y
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022508032
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028021
(87)【国際公開番号】W WO2021186756
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】62/990,758
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】古川 亮介
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-033914(JP,A)
【文献】特開2009-165262(JP,A)
【文献】特開2007-124883(JP,A)
【文献】国際公開第2013/030660(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107733963(CN,A)
【文献】国際公開第2018/139213(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/069732(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/125170(WO,A1)
【文献】特開2001-297954(JP,A)
【文献】特開2006-324591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00-19/32、
31/36-31/396、
H01M 10/42-10/48、
H02J 7/00-7/12、
B60L 1/00-3/12、
7/00-13/00、
15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理部と、
前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理部とを含み、
前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む
情報処理装置。
【請求項2】
前記支援情報は、支援に向かったスタッフが来るのか否かを把握可能な情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記支援情報は、前記スタッフが到着するまでの時間を把握可能な情報である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記支援情報は、前記スタッフの位置情報と、前記自らの位置情報とを含む地図情報である
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理をすることと、
前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理をすることとを含み、
前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む
情報処理方法。
【請求項6】
緊急通報装置と情報処理装置とからなる緊急通報システムの情報処理方法であって、
前記緊急通報装置は、
車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動し、
前記情報処理装置は、
前記緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理をすることと、
前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理をすることとを含み、
前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む
緊急通報システムの情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法に関し、特に、信頼性を維持しつつ、コストを低減して、劣化した緊急通報装置を適切な時期に交換できるようにした情報処理装置および情報処理方法、並びに、緊急通報システムの情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が所持するスマートフォンを用いて、運転状態を認識し、保険料に反映させるテレマティクス自動車保険が普及しつつある。
【0003】
テレマティクス自動車保険とは、保険契約者である運転者が所持するスマートフォンを用いて取得される運転者の運転状態に基づいて、運転を評価し、評価結果に基づいた保険料の割引などを提供する自動車保険である。
【0004】
テレマティクス自動車保険においては、保険契約者である運転者が所持するスマートフォンを用いて取得される運転者の運転状態に基づいて、運転を評価し、運転評価を運転者のスマートフォンに通知して、表示させることで、安全運転を促すようにさせる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、テレマティクス自動車保険においては、保険契約者である運転者は、スマートフォンを所持していることが前提となるため、自動車保険の付帯サービスとして、車両に緊急事態が派生した際に操作されるボタン等を備え緊急通報装置を車両に設置して、緊急通報装置からスマートフォンを介して緊急事態の発生を通知させるサービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2019/069732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、緊急通報装置は、通常、車両のアクセサリなどから供給される外部電源により駆動する構成とされているが、緊急事態が発生する状況においては、車両からの電源供給が不能とされる状態に陥ることが考えられる。
【0008】
特に、車両からの電力供給が不能となれるような緊急性が高い状況である程、緊急通報装置は安定して動作できることが望ましい。
【0009】
すなわち、緊急通報装置は、車両からの電源供給が不能となったとき、単独で駆動可能な電源供給が可能な構成が必要となる。
【0010】
緊急通報装置が単独で駆動可能な電源としては、使い捨てのバッテリや、繰り返し充電可能なバッテリなどが考えられる。
【0011】
使い捨てのバッテリの場合、放電してしまうと使用不能となってしまう。
【0012】
また、繰り返し充電可能なバッテリは、放電の心配はないものの、使用環境、特に、温度に対する環境が過酷な車両内で使用する場合、安全性とコストの観点から使用可能なバッテリの種類は限られてくる。
【0013】
例えば、繰り返し充電可能なバッテリとして、スーパーキャパシタが考えられるが、液体の誘電体が使用されることにより、高温状態が繰り返されると蒸発し、劣化が進むことがあり、使い捨てのバッテリよりは長く使えるが、劣化が進んで使用できない状態になる前にバッテリを含む緊急通報装置そのものを交換する必要がある。
【0014】
しかしながら、スーパーキャパシタの劣化の程度は、保険契約者が使用する車両の使用環境に応じて大きく異なるため、一律に絶対に安全な期間で全保険契約者の緊急通報装置を交換すると、劣化が進んでおらず、まだ、十分に使用可能な緊急通報装置も交換してしまうことにより、コストを悪化させてしまう。
【0015】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、緊急通報装置の劣化を評価して、適切な交換時期を個別に通知できるようにすることで、信頼性を維持しつつ、コストを低減して、劣化した緊急通報装置を適切な時期に交換できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の第1の側面の情報処理装置は、車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理部と、前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理部とを含み、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む情報処理装置である。
【0017】
本開示の第1の側面の情報処理方法は、車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理をすることと、前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理をすることとを含み、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む情報処理方法である。
【0018】
本開示の第1の側面においては、車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報が取得され、取得された前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報が提示され、前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報が受信され、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報が含まれる。
本開示の第2の側面の緊急通報システムの情報処理方法は、緊急通報装置と情報処理装置とからなる緊急通報システムの情報処理方法であって、前記緊急通報装置は、車両に搭載され、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタを充電させ、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動し、前記情報処理装置は、前記緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報を取得し、取得した前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報を提示する状態情報処理をすることと、前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報を外部装置に送信し、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報を受信する通報処理をすることとを含み、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報を含む緊急通報システムの情報処理方法である。
本開示の第2の側面においては、車両に搭載される緊急通報装置が、前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動されると共に、前記車両より供給される電力でスーパーキャパシタが充電され、前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動され、前記情報処理装置により、前記緊急通報装置の前記スーパーキャパシタの充電時間に基づいて、前記緊急通報装置の劣化の程度に関する状態情報が取得され、取得された前記状態情報に基づいた、前記緊急通報装置の信頼性評価結果に応じて通知される、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報が提示され、前記緊急通報装置に設けられた、緊急時に押下される緊急通知ボタンが押下されるとき、自らの位置情報を含む緊急通報が外部装置に送信され、前記緊急通報に応じて、前記外部装置より供給される支援情報が受信され、前記緊急通報装置の交換の要否を示す情報は、交換用の前記緊急通報装置が手配されていることを示す情報が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の概要を説明する図である。
図2】本開示の緊急通報システムを説明する図である。
図3】緊急通報装置の構成例を説明する図である。
図4】ユーザ端末の構成例を説明する図である。
図5】管理サーバの構成例を説明する図である。
図6】信頼性の評価方法を説明する図である。
図7】コールセンタサーバの構成例を説明する図である。
図8】地図情報を説明する図である。
図9図3の緊急通報装置による緊急通報管理処理を説明するフローチャートである。
図10図4のユーザ端末による緊急通報管理処理を説明するフローチャートである。
図11図5の管理サーバによる緊急通報管理処理を説明するフローチャートである。
図12図7のコールセンタサーバによる緊急通報管理処理を説明するフローチャートである。
図13】コールセンタサーバの構成の応用例を説明する図である。
図14図13のコールセンタサーバによる緊急通報管理処理を説明するフローチャートである。
図15】汎用のパーソナルコンピュータの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.本開示の概要
2.好適な実施の形態
3.応用例
4.ソフトウェアにより実行させる例
【0022】
<<1.本開示の概要>>
本開示は、緊急通報装置の劣化を評価して、適切な交換時期を個別に通知できるようにすることで、信頼性を維持しつつ、コストを低減して、劣化した緊急通報装置を適切な時期に交換できるようにするものである。
【0023】
近年、運転中の事故などの緊急時に自動車保険会社への連絡を円滑に行う緊急通報システムとして、緊急通報ボタンを押すことで、自動車保険会社と、即座に連絡を取ることが可能な機能を備えた緊急通報装置が注目を集めている。
【0024】
このような緊急通報装置の電力の確保には、大きく分けて2つの方法がある。一方は車両内に設けられたUSB端子や、アクセサリソケットなどから電力を得る方法である。他方は、緊急通報装置自体に何らかの電源を搭載する方法である。
【0025】
一般的に考えれば、半永久的に使用できる車両内に設けられたUSB端子やアクセサリソケットから電力供給を受ける構成を採用するのが通例である。
【0026】
しかしながら、緊急通報装置が使用される状態は、事故時などトラブルが起きた場合であり、公道でこのような状況に置かれた際は、概して道の路肩に車両を停車させ、エンジンを停止させる場合が多い。
【0027】
このように、エンジンが停止される場合、車両側から起電力が得られないため、緊急通報装置を使用することができない。
【0028】
つまり、緊急通報装置を最も機能させたいときには、電源が消失しており、使用できなくなってしまう可能性がある。
【0029】
従って、緊急事態が発生するような状態においても、電力を確保する上で、緊急通報装置自体に何らかの電源(電池)を搭載した構成を採用する必要がある。
【0030】
電池は大きく分けて、交換を前提とした1次電池と、充放電を繰り返し行える2次電池とがある。
【0031】
エンジンが停止した状態でも使用可能で、かつ、エンジンが稼働されている場合、車両側から電力の確保が可能になる際、半永久的に使用できる構成にするためには、2次電池の使用が望ましい。
【0032】
ところが、車両内に設けられる緊急通報装置は、炎天下の夏場等に、車内温度が90度近くに達する環境下に置き去りにされる可能性があるため、安全性の面から2次電池の使用は難しい。
【0033】
すなわち、電池を使用する場合、エンジンが停止した状態でも使用でき、安全性を備え、長期間使用可能な構成は実質的に存在しない。
【0034】
そこで、緊急通報装置に搭載される電源として、電池の代わりに、スーパーキャパシタと呼ばれる充放電型の受動素子を用いた構成が考えられる。
【0035】
スーパーキャパシタを使用することにより、エンジン稼働時には、車両からの電源供給で駆動緊急通報装置を駆動させ、かつ、スーパーキャパシタに充電させるようにして、エンジン停止時には、スーパーキャパシタに充電された電力を放電させることで緊急通報装置を駆動させることが可能となる。
【0036】
また、スーパーキャパシタに用いられる部材は、受動素子ゆえに、2次電池などの発火リスクは原理的に存在しないため、安全性を確保することも可能である。
【0037】
しかしながら、スーパーキャパシタは、誘電体が液状であることもあり、高温化での車両内では揮発によって、電力の低下を引き起こす可能性がある。
【0038】
また、緊急通報装置内のその他の部材においても、高温下の車両内では何かしらの異常を引き起こす可能性がある。
【0039】
このような背景を鑑みると、通常であればより厳しい品質基準を設けて信頼性にマージンを残す運用を図るのが一般的であるが、これにより、品質コストが引き上げられ、投資対効果(ROI)にも悪影響してきてしまう。
【0040】
さらに、炎天下で管理される車両内の緊急通報装置と、地下駐車場などで管理され、炎天下で管理されることがない車両内の緊急通報装置では明確に品質劣化の差が出てくることは容易に想像ができる。
【0041】
このような場合、炎天下で管理される車両内の、故障傾向が高い緊急通報装置のみを検知して、新たな緊急通報装置が再送付されるようにして交換を促すようにすれば、必要以上に交換する緊急通報装置の発生を抑制でき、コストの低減を図ることが可能となる。
【0042】
そこで、本開示においては、スーパーキャパシタの推定静電容量を緊急通報装置の劣化状態を示す情報として計算し、乗車時にユーザが持つスマートフォン等のユーザ端末に転送されるようにする。
【0043】
また、ユーザ端末が、緊急通報装置の劣化状態を示す情報を、ネットワーク上の自動車保険会社が管理運営する管理サーバに転送する。
【0044】
そして、管理サーバが、緊急通報装置の劣化状態を示す情報に基づいて、緊急通報装置の品質劣化をモニタリングして、所定の状態よりも劣化が進んだ、交換の必要のある緊急通報装置のみの交換を促すようにさせる。
【0045】
このような構成により、緊急通報装置の安全性を維持しつつ、エンジンが停止した状態においても長期間使用可能で、かつ、ROIの向上を図る緊急通報システムを実現する。
【0046】
次に、図1の緊急通報システムを参照して、本開示の概要について具体的に説明する。
【0047】
本開示の緊急通報システムは、図1で示されるように、車両M、ユーザ端末T、管理サーバSv、およびコールセンタCcより構成される。
【0048】
車両Mは、保険契約者となるユーザが運転者として搭乗する車両であり、緊急通報装置Eを搭載している。
【0049】
緊急通報装置Eは、車両Mに対して着脱可能な構成とされ、動作の全体を制御する制御部Cte、緊急時に操作される緊急通報ボタンB、および、車両Mのエンジンが稼働中のとき電力を充電し、車両Mのエンジンが停止中のとき充電した電力を制御部Cteに供給する充電装置Cpを備えている。
【0050】
制御部Cteは、車両Mのエンジンが稼働中であるとき、車両Mの電源Pより供給される電力により駆動すると共に、充電装置Cpに供給して充電させる。
【0051】
また、制御部Cteは、車両Mのエンジンが停止中であるとき、充電装置Cpにより充電された電力が供給されることにより、充電時間に応じた所定時間だけ駆動する。
【0052】
さらに、制御部Cteは、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信機能を備えており、緊急通報ボタンBが操作されると、近距離通信機能により、緊急事態の発生を示す緊急通報をスマートフォンなどからなるユーザ端末Tに通知する。
【0053】
また、制御部Cteは、車両Mのエンジンが始動するとき、充電装置Cpが満充電になるまでの時間を、充電装置Cpの劣化の状態を示す情報として測定し、ブルートゥース(登録商標)等の近距離通信機能を制御して、ユーザ端末Tに通知する。
【0054】
充電装置Cpは、例えば、液体からなる誘電体を備えたスーパーキャパシタであり、車両Mの電源Pより供給される電力を充電すると共に、電源Pからの電力供給が停止すると、停止してから所定時間だけ制御部Cteに供給する。
【0055】
充電装置Cpは、車両Mのような炎天下などの厳しい環境下において使用されることがあるため、高温状態が継続すると誘電体が蒸発し、充電容量が低下して、劣化が進む。
【0056】
緊急通報装置Eには、充電装置Cp以外にも複数の構成が設けられているが、充電装置Cpよりも劣化が進みやすいものは少なく、一般に、充電装置Cpの劣化の程度が、実質的に緊急通報装置Eの劣化と見做してもよい。
【0057】
したがって、充電装置Cpは、充電を開始してから満充電までの時間が、すなわち、充電装置Cpの静電容量が、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す情報となるため、制御部Cteは、例えば、エンジンが始動してから、充電装置Cpが満充電になるまでの時間を緊急通報装置Eの劣化を示す情報として計測し、状態情報としてユーザ端末Tに通知する。
【0058】
尚、充電装置Cpは、エンジンがオフになってから、毎回、所定時間だけ制御部Cteを駆動させることにより放電されることになるので、エンジンが停止されてから所定時間が経過して、エンジンが再始動するときには、完全放電している状態になっている。
【0059】
これにより、エンジンが始動してから満充電になるまでの時間は、充電装置Cpにおいて充電可能な静電容量に応じた、完全放電状態から満充電になるまでの時間となるため、充電装置Cpの劣化状態を示す目安にすることができる。
【0060】
ユーザ端末Tは、保険契約者としてのユーザが所持する、例えば、スマートフォンのような携帯端末である。
【0061】
ユーザ端末Tは、ユーザ端末Tの動作の全体を制御する制御部Ctt、および、有機EL(Electro Luminescence)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなり、各種の情報を表示する表示部Dを備えている。
【0062】
ユーザ端末Tには、緊急通報システムを実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされており、制御部Cttが、インストールされたアプリケーションプログラムを実行させることにより機能する。
【0063】
制御部Cttは、車両Mの緊急通報装置Eより近距離通信機能により緊急事態の発生を示す緊急通報が送信されてくると、Wi-Fiや公衆回線網を通じて、自動車保険会社により管理運営される管理サーバSvに緊急通報を受信したことを通知する。
【0064】
ユーザ端末Tは、GPS等の位置情報検出機能を備えた装置(図示せず)を備えているので、制御部Cttは、車両Mの現在位置の位置情報と共に、緊急通報を管理サーバSvに通知する。
【0065】
また、制御部Cttは、車両Mの位置情報と含む緊急通報の受信を示す通知に応じて、管理サーバSvより供給されるユーザ車両Mの緊急事態を支援するスタッフの位置情報と、車両Mの位置情報とを示す地図情報を受信し、表示部Dに表示させる。
【0066】
これにより、車両Mを運転する保険契約者であるユーザは、ユーザ端末Tの表示部Dに表示される、ユーザの車両Mの緊急事態を支援するスタッフの位置情報と、車両Mの位置情報とを示す地図情報からなる画像を視認することが可能となり、スタッフがどの程度の時間で到着するのかを把握できるようになる。
【0067】
さらに、ユーザ端末Tは、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す情報としての、充電装置Cpのエンジンが始動してから満充電になるまでの時間からなる状態情報を取得すると、管理サーバSvに通知する。
【0068】
そして、緊急通報装置Eの劣化を示す状態情報に基づいて、管理サーバSvより緊急通報装置Eの交換が必要なことを示す情報が送信されてくると、その旨を、表示部Dに表示させる。
【0069】
これにより、ユーザは、緊急通報装置Eの劣化、特に、充電装置Cpの静電容量の劣化が進んでおり、交換が必要な時期であることを認識することができる。
【0070】
管理サーバSvは、管理サーバSvの動作の全体を制御する制御部Csv、および、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す状態情報に基づいて、緊急通報装置Eの信頼性を推定する信頼性推定部Gを備えている。
【0071】
制御部Csvは、ユーザ端末Tより通知される情報を、緊急事態が発生したことを示す緊急通報と、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す状態情報とに分岐して、緊急通報については、コールセンタCCに通知する。
【0072】
コールセンタCCは、緊急事態を支援するスタッフにより運営される、例えば、情報処理装置等からなるサーバであり、緊急事態の発生と車両Mの位置情報とが通知されると、車両Mの位置情報に基づいて、現場にユーザを支援するためのスタッフを派遣させるように指示する。
【0073】
さらに、コールセンタCCは、現場に派遣させるスタッフが所持する端末で検出される、スタッフの位置情報を取得し、車両Mの位置情報と併せて、双方の位置情報を含めた知事情報を生成して、管理サーバSvを介して、ユーザ端末Tに通知する。
【0074】
また、管理サーバSvの制御部Csvは、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す状態情報については、信頼性推定部Gに出力する。
【0075】
信頼性推定部Gは、緊急通報装置Eの劣化の程度を示す状態情報である、充電装置Cpのエンジンが始動してから満充電になるまでの時間に基づいて評価し、その評価が、所定の閾値よりも低くなってから所定期間以上継続しているか否かに基づいて、信頼性を維持した状態で使用可能であるか否か、すなわち、交換が必要であるか否かを推定し、信頼性推定結果として制御部Csvに出力する。
【0076】
制御部Csvは、信頼性推定結果をコールセンタCCに通知する。
【0077】
この場合、コールセンタCCにおいては、信頼性推定結果に基づいて、緊急通報装置Eの交換が必要であるか否かが判定されて、交換が必要である場合、対象となる車両Mの保険契約者となるユーザに対して、交換用の緊急通報装置E、すなわち、充電装置Cpが新しい緊急通報装置Eを手配して、例えば、宅配便等で配送させる。
【0078】
また、コールセンタCCは、緊急通報装置Eの交換が必要となった旨を示す情報を、例えば、画像として生成し、管理サーバSvを介して、対象となる車両Mの保険倹約者であるユーザが所持するユーザ端末Tに対して送信する。
【0079】
以上の一連の処理により、緊急通報装置Eの劣化を示す、充電装置Cpの劣化の状態を把握して、交換が必要なものだけを選択的に交換させることが可能となる。
【0080】
結果として、使用環境が異なる車両M毎の緊急通報装置Eの劣化の程度に応じて、交換が必要な緊急通報装置Eだけを交換させることが可能となるので、緊急通報装置Eの安全性と信頼性を維持しつつ、エンジンが停止した状態においても長期間使用可能な緊急通報システムを実現し、さらに、コストの低減を実現させることで、ROIを向上させることが可能となる。
【0081】
<<2.好適な実施の形態>>
<緊急通報システムの構成例>
次に、図2を参照して、本開示の技術を適用した緊急通報システムの構成例について説明する。
【0082】
図2の緊急通報システム11は、自動車保険契約者である運転者が車両を運転している際に緊急事態が発生するとき、緊急事態が発生していることを自動車保険会社に速やかに通報するシステムである。
【0083】
緊急通報システム11の具体的な構成としては、テレマティクス自動車保険の保険料の割引サービスを提供する際にユーザが所持するユーザ端末にインストールされるアプリケーションプログラムにより付帯して提供される緊急通報サービスでもよいし、緊急通報サービスを単体としたサービスでもよいが、ここでは、緊急通報サービスのみを提供する緊急通報システム11について説明する。
【0084】
図2の緊急通報システム11は、車両31-1乃至車両31-n、ユーザ端末32-1乃至32-n、管理サーバ33、およびコールセンタサーバ34より構成される。
【0085】
尚、車両31-1乃至車両31-n、および、ユーザ端末32-1乃至32-nは、特に区別する必要がない場合、単に車両31、およびユーザ端末32と称する。
【0086】
車両31は、自動車保険の契約者であるユーザによる運転される車両であり、エンジンが稼働することにより電力を発生させて、緊急通報装置52に供給する電源51と、緊急事態が発生した場合、ユーザにより操作される緊急通報ボタン79(図3)を有する緊急通報装置52とを備える。
【0087】
電源51は、エンジンが稼働することにより発電される電力を、例えば、車両31の内部に設けられたアクセサリソケットやUSB端子などを介して緊急通報装置52に供給する。電源51は、例えば、DC/DCコンバータ(図示せず)を内蔵しており、車両31により発電された電力の電圧を、緊急通報装置52に供給可能な電圧に変換して供給する。
【0088】
電源51は、エンジンが稼働している状態において電力を供給するものであり、基本的に、エンジンが停止した状態のときには電力を供給しない。
【0089】
緊急通報装置52は、緊急事態が発生した場合、自動車保険契約者である運転者により操作される緊急通報ボタン79(図3)を備えており、緊急通報ボタン79が操作されると、緊急事態が発生したことを示す緊急通報を、運転者であるユーザが所持するユーザ端末32に、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の近距離通信により通知する。
【0090】
緊急通報ボタン79は、緊急事態が発生したとき操作されるボタンであるため、運転者が狼狽しているような状態においても確実に操作が可能となるように、例えば、視認性の高い位置に、LED73等により光るような構成とされていたり、操作性の高い形状とされている。
【0091】
尚、本明細書においては、緊急通報ボタン79が操作されることで、緊急事態の発生が運転者から宣言されることで緊急事態の発生が認識されることを前提として説明を進めるものとするが、緊急事態の発生が認識できる構成であれば、物理的なボタン以外の構成であってもよい。
【0092】
例えば、マイクロフォンなどで検出される音声により、悲鳴のような声が検出されるときに緊急事態が発生していることを認識して緊急通報を発するような構成であってもよいし、カメラなどにより撮像される画像に基づいて、画像の認識結果から緊急事態が発生していることが認識されるとき、緊急通報を発するような構成であってもよい。
【0093】
緊急通報装置52は、スーパーキャパシタ76を備えており、エンジンが稼働しており、電源51より電力が供給されているときには、電源51より供給される電力により駆動すると共に、スーパーキャパシタ76に電力を供給して充電させる。
【0094】
また、緊急通報装置52は、エンジンが停止した場合、スーパーキャパシタ76により充電されている電力で駆動する。
【0095】
さらに、緊急通報装置52は、エンジンが始動して、電源51より電力の供給が開始されて、緊急通報装置52の内部に設けられた電源となるスーパーキャパシタ76の充電を開始してから満充電になるまでの充電時間をスーパーキャパシタの静電容量に応じた劣化の程度を示す状態情報として測定し、測定された充電時間からなる状態情報をユーザの所持するユーザ端末32に通知する。
【0096】
ユーザ端末32は、車両31を運転する、保険契約者であるユーザにより所持される、例えば、スマートフォンなどの携帯端末であり、緊急通報システムを実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされることにより、本開示の機能を実現させる。
【0097】
ユーザ端末32は、Wi-Fiや公衆回線網などからなるネットワーク35を介して、車両31の緊急通報装置52より供給される緊急事態が発生したことを示す緊急通報や、緊急通報装置52の劣化の程度を示す、スーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報を管理サーバ33に通知する。
【0098】
ユーザ端末32は、自車の位置情報を取得するGPS装置159(図4)を備えており、緊急通報を管理サーバ33に送信するとき、位置情報と併せて緊急通報を管理サーバ33に送信する。
【0099】
管理サーバ33は、自動車保険会社により管理運営されるサーバであり、ユーザ端末32の位置情報を含む緊急事態が発生したことを示す緊急通報を取得すると、ネットワーク35を介してコールセンタサーバ34に通知する。
【0100】
このとき、コールセンタサーバ34は、車両31の位置情報に基づいて、緊急事態に対応して、ユーザを支援するスタッフを派遣させるように手配する情報を生成し、スタッフの所持する端末装置(図示せず)に通知して、緊急事態が発生したことが通知された車両31に急行させる。
【0101】
この際、コールセンタサーバ34は、スタッフが所持する端末装置(図示せず)により検出される位置情報を取得して、車両31の位置情報と併せた地図情報からなる画像を生成し、管理サーバ33を介して、ユーザ端末32に通知する。
【0102】
これにより、ユーザ端末32は、スタッフと車両31との位置情報が含まれた地図情報からなる画像を表示する。
【0103】
ユーザ端末32を所持するユーザは、表示される地図情報に基づいて、自らを支援するスタッフが到着するまでの時間を把握することが可能となる。
【0104】
また、管理サーバ33は、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報からなる状態情報がユーザ端末32から送信されてくるとき、状態情報である充電時間に基づいて、スーパーキャパシタ76の信頼性を推定し(評価し)、信頼性の推定結果(評価結果)をプロットして、評価値が所定の閾値よりも低くなってから、所定期間以上経過したか否かにより、緊急通報装置52の交換の要否を判定し、信頼性推定結果としてコールセンタサーバ34に通知する。
【0105】
この時、コールセンタサーバ34は、信頼性推定結果に基づいて、緊急通報装置52の交換が必要であると判定されるとき、新たな交換すべき緊急通報装置52を手配して、ユーザに対して配送させると共に、現在の緊急通報装置52が交換時期になっており、新たな緊急通報装置52を手配していることを示す情報を、管理サーバ33を介してユーザ端末32に通知する。
【0106】
ユーザ端末32は、現在の緊急通報装置52が交換時期になっており、新たな緊急通報装置52を手配していることを示す情報を取得すると、表示する。
【0107】
これにより、ユーザ端末32のユーザは、現在の緊急通報装置52の信頼性が低下しており、交換の必要があり、交換用の緊急通報装置52が手配されていることを認識することが可能となる。
【0108】
<緊急通報装置の構成例>
次に、図3を参照して、車両31の詳細な構成例について説明する。
【0109】
車両31は、電源51および緊急通報装置52を備えている。電源51は、車両31のエンジンが稼働しているときに機能し、電力を緊急通報装置52に供給する。緊急通報装置52は、緊急事態が発生する際、保険契約者であり、運転者であるユーザにより緊急通報を発報させるとき操作される装置である。また、緊急通報装置52は、車両31に対して着脱可能な構成であり、また、経年劣化により交換が必要とされる。
【0110】
緊急通報装置52は、ダイオード71、チップセット72、LED(Light Emitting Diode)73、トランジスタ74、充電ゲートトランジスタ75、スーパーキャパシタ76、トランジスタ77、抵抗78、緊急通報ボタン79、およびアンテナ80を備えている。
【0111】
ダイオード71は、電源51より供給される電力を整流して、チップセット72、LED73、充電ゲートトランジスタ75、および抵抗78に供給する。
【0112】
チップセット72は、BLE(Bluetooth Low Energy)チップセットであり、電源51からの電力により駆動して、アンテナ80よりブルートゥース(登録商標)等の通信により、ユーザ端末32に対して緊急事態が発生したことを示す緊急通報、およびスーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報を送信する。
【0113】
チップセット72は、端子72a乃至72fを備えている。
【0114】
端子72aは、ダイオード71に接続されており、電源51より供給される電力の電圧をモニタしており、電源51より電力供給が受け付けられているか否かを監視し、電力供給がなされているとき、電源51からの電力供給を受け付ける。また、電源51からの電力供給が停止したとき、スーパーキャパシタ76により充電された電力の供給を受け付ける。
【0115】
端子72bは、スーパーキャパシタ76に接続されており、電源オン時、または充電時にスーパーキャパシタ76の充電電圧をモニタする。

【0116】
端子72cは、トランジスタ77のゲートに接続されており、トランジスタ77のオンまたはオフを制御することで、充電ゲートトランジスタ75のオンオフを制御する。より詳細には、端子72cが、トランジスタ77をオンにして、充電ゲートトランジスタ75をオンにさせることで、75のゲートが閉じ、電源51から供給される電圧がスーパーキャパシタ76に供給されなくなる。この時、72bで計測される電圧は、スーパーキャパシタ76に蓄積されていた初期電圧に他ならない。また、端子72cが、トランジスタ77をオフにして、充電ゲートトランジスタ75をオフにさせることで、75のゲートが空き、電源51から供給される電力でスーパーキャパシタ76が充電させる。このとき、72bで計測される電圧が、スーパーキャパシタ76に蓄積されうる最大電圧に到達するまで時間を93で計測する。
【0117】
端子72dは、緊急通報ボタン79に接続されており、緊急通報ボタン79のオンまたはオフを検出する。
【0118】
端子72eは、アンテナ80に接続されており、ブルートゥース(登録商標)等の通信により、ユーザ端末32との通信に使用される。
【0119】
端子72fは、トランジスタ74のゲートに接続されており、トランジスタ74のオンまたはオフを制御することにより、LED73の発光または消灯を制御する。
【0120】
さらに、チップセット72は、機能を実現する構成として、電源切替部91、状態測定部92、および通報処理部93を備えている。
【0121】
電源切替部91は、端子72aをモニタして、電源51より電力供給されているか否かを監視し、監視状態に応じて、72cの電圧印可ならびに、72bでのキャパシタ電力のモニタリングを止める。
【0122】
状態測定部92は、エンジンが始動された場合、端子72cに接続されたトランジスタ77をオンにして、充電ゲートトランジスタ75がオンさせる。そして、75のゲートが閉じ、電源51から供給される電圧がスーパーキャパシタ76に供給されなくなる。この時、72bで計測される電圧は、スーパーキャパシタ76に蓄積されていた初期電圧に他ならない。その後、端子72cより、トランジスタ77をオフにして、充電ゲートトランジスタ75をオフにさせることで、75のゲートが空き、電源51から供給される電力でスーパーキャパシタ76が充電させる。このとき、72bで計測される電圧が、スーパーキャパシタ76に蓄積されうる最大電圧に到達するまで時間を93で計測する。
【0123】
そして、状態測定部92は、スーパーキャパシタ76の充電開始のタイミングから、端子72bのスーパーキャパシタ76の充電開始電圧をモニタすると共に、満充電とみなされる充電電圧になるまでの時間を測定することで、スーパーキャパシタ76の充電時間である状態情報を測定する。
【0124】
通報処理部93は、端子92dの電圧をモニタして、緊急通報ボタン79が操作されたか否かを監視し、操作されるとき、緊急事態が発生したことを示す緊急通報を、端子72eのアンテナ80を介して、ユーザ端末32に通知する。
【0125】
また、通報処理部93は、緊急通報ボタン79が操作されるとき、端子72fに接続されたトランジスタ74のゲート電圧を制御することで、LED73をオンにして点灯させることにより、緊急通報ボタン79が操作されたことを視覚的に認識させる。
【0126】
さらに、通報処理部93は、状態測定部92によりスーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報が測定されると、端子72eのアンテナ80を介して、ユーザ端末32に通知する。
【0127】
<ユーザ端末の構成例>
次に、図4を参照して、ユーザ端末32の構成例について説明する。
【0128】
ユーザ端末32は、制御部151、入力部152、出力部153、記憶部154、通信部155、ドライブ156、およびリムーバブル記憶媒体157、並びにGPS装置159より構成されており、相互にバス158を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0129】
制御部151は、プロセッサやメモリから構成されており、ユーザ端末32の動作の全体を制御する。また、制御部151は、状態情報処理部171、および通報処理部172を備えている。
【0130】
状態情報処理部171は、通信部155を制御して、緊急通報装置52からブルートゥース(登録商標)等の近距離通信よりスーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報が送信されてきたか否かを判定する。
【0131】
そして、状態情報処理部171は、送信されてきた場合、状態情報を取得すると共に、通信部155を制御して、自らを識別する情報と共にネットワーク35を介して、管理サーバ33に送信する。
【0132】
また、状態情報処理部171は、状態情報に基づいて、緊急通報装置52の劣化が進み、交換の時期が来ており、交換用の緊急通報装置52が手配されたことを示す情報が送信されてきた場合、通信部155を制御して、その旨の情報を受信して、出力部153を構成するディスプレイ等に表示する。
【0133】
通報処理部172は、通信部155を制御して、緊急通報装置52より緊急通報が送信されてきたか否かを判定し、送信されてきた場合、緊急通報を取得すると共に、GPS159を制御して自らの位置情報を取得し、通信部155を制御して、ネットワーク35を介して、緊急通報を受信したことを示す情報、位置情報、および契約者情報等を併せて管理サーバ33に送信する。
【0134】
また、状態情報処理部171は、緊急通報に基づいて、管理サーバ33を介してコールセンタサーバ34より、緊急事態に対応するための支援のスタッフの位置情報と、自らの位置情報とからなる地図情報を取得すると、出力部153を構成するディスプレイ等に表示させる。
【0135】
入力部152は、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスより構成され、入力された各種の信号を制御部151に供給する。
【0136】
出力部153は、制御部151により制御され、供給される操作画面や処理結果の画像を、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などからなる表示デバイスに出力して表示する。
【0137】
記憶部154は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、半導体メモリなどからなり、制御部151により制御され、コンテンツデータを含む各種のデータおよびプログラムを書き込む、または、読み出す。
【0138】
通信部155は、制御部151により制御され、有線または無線により、LAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)等に代表される通信を実現し、必要に応じてネットワーク35を介して、各種の装置との間で各種のデータやプログラムを送受信する。
【0139】
ドライブ156は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体157に対してデータを読み書きする。
【0140】
GPS159は、制御部151により制御され、図示せぬ複数の衛星からの信号を受信し、受信した複数の衛星からの信号に基づいて、地球上の位置情報(例えば、緯度情報および軽度情報)を検出して、制御部151に供給する。
【0141】
<管理サーバの構成例>
次に、図5を参照して、管理サーバ33の構成例について説明する。
【0142】
管理サーバ33は、制御部191、入力部192、出力部193、記憶部194、通信部195、ドライブ196、および1リムーバブル記憶媒体97より構成されており、相互にバス198を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0143】
制御部191は、プロセッサやメモリから構成されており、管理サーバ33の動作の全体を制御する。また、制御部191は、情報分離部201、信頼性推定部202、および通報処理部203を備えている。
【0144】
情報分離部201は、通信部195を制御して、位置情報を含むユーザ端末32の緊急通報、およびスーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報を受信すると、それぞれを認識して、位置情報を含むユーザ端末32からの緊急通報を通報処理部203に供給し、スーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報を信頼性推定部202に供給する。
【0145】
信頼性推定部202は、スーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報に基づいて、緊急通報装置52の信頼性を推定し、通信部195を制御して、推定結果をコールセンタサーバ34に送信する。
【0146】
尚、信頼性推定部202におけるスーパーキャパシタ76の充電時間からなる状態情報に基づいた、緊急通報装置52の信頼性の推定方法については、図6を参照して後述する。
【0147】
そして、信頼性推定結果に基づいて、緊急通報装置52の交換が必要であり、交換用の緊急通報装置52の手配がなされていることを示す情報が、コールセンタサーバ34より供給されると、信頼性推定部202は、通信部195を制御して、その旨の情報をユーザ端末32に通知する。
【0148】
通報処理部203は、通信部195を制御して、位置情報を含むユーザ端末32より緊急通報をコールセンタサーバ34に送信する。
【0149】
そして、位置情報を含むユーザ端末32からの緊急通報に基づいて、コールセンタサーバ34より車両31のユーザの緊急事態を支援を行うためのスタッフの位置情報と、緊急事態が発生した車両31との位置情報とが含まれる地図情報が供給されると、通報処理部203は、通信部195を制御して、ユーザ端末32に地図情報を通知する。
【0150】
入力部192は、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスより構成され、入力された各種の信号を制御部191に供給する。
【0151】
出力部193は、制御部191により制御され、供給される操作画面や処理結果の画像を、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などからなる表示デバイスに出力して表示する。
【0152】
記憶部194は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、半導体メモリなどからなり、制御部191により制御され、コンテンツデータを含む各種のデータおよびプログラムを書き込む、または、読み出す。
【0153】
通信部195は、制御部191により制御され、有線(または無線(図示せず))により、LAN(Local Area Network)などに代表される通信ネットワークを介して、各種の装置との間で各種のデータやプログラムを送受信する。
【0154】
ドライブ196は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体197に対してデータを読み書きする。
【0155】
<信頼性の推定方法>
ここで、信頼性推定部202による緊急通報装置52の信頼性の推定方法について説明する。
【0156】
信頼性推定部202は、状態情報であるスーパーキャパシタ76の充電時間Tに基づいて、以下の式(1)で示される評価値E(T)を演算し、式(2)で示される評価閾値Ethよりも高いか否かに基づいて、緊急通報装置52の信頼性を評価して、評価結果に基づいて、緊急通報装置52の交換が必要であるか否かを判定する。
【0157】
【数1】

【数2】
【0158】
ここで、E(T)は評価値であり、Tは、満充電までの充電時間(測定時間)であり、T’は、スーパーキャパシタ76の交換が必要となる状態まで劣化したときの静電容量まで充電するときの理論的な充電時間である。
【0159】
また、Ethは、評価閾値であり、Vは、エンジンが始動するときのスーパーキャパシタ76の充電電圧(測定電圧)であり、Cは、スーパーキャパシタ76の交換を検討すべき状態まで劣化したときの静電容量であり





、Rは、充電時間制御抵抗の抵抗値であり、eは、自然対数である。
【0160】
すなわち、スーパーキャパシタ76は、時間経過に伴って、液体の誘電体が蒸発することにより、静電容量が徐々に減少することにより劣化する。
【0161】
そして、スーパーキャパシタ76の充電時間Tは、静電容量の減少に伴って、短くなっていく。
【0162】
結果として、評価値E(T)は、図6で示されるように、時間tの経過に伴って、劣化が進むことで、充電時間Tが短くなっていくことにより徐々に減少していく。
【0163】
そこで、信頼性推定部202は、評価値E(T)を、図6における時間tの経過に伴ってプロットし、評価値E(T)が、評価閾値Ethよりも小さくなってから、所定期間Tth以上経過したか否かに基づいて、緊急通報装置52の交換が必要な状態になったか否かを判定する。
【0164】
ここで、評価閾値Ethは、スーパーキャパシタ76を含めた緊急通報装置52の交換を検討するべき状態まで劣化したときの静電容量となったときの評価値E(T)である。
【0165】
また、所定期間Tthは、評価値E(T)が、評価閾値Ethよりも低下した状態のままで、すなわち、スーパーキャパシタ76を含めた緊急通報装置52の交換を検討するべき状態まで劣化した状態のまま、スーパーキャパシタ76を含めた緊急通報装置52を交換することなく、使用することが許容される期間となる。
【0166】
従って、評価閾値Ethおよび所定期間Tthについては、スーパーキャパシタ76の性能に応じた値が設定される。
【0167】
図6の例においては、エンジンが始動される度に、評価値E(T)が計算されて、繰り返しプロットされることにより、時刻t1において、評価値E(T)が評価閾値Ethよりも小さくなり、さらに、評価値E(T)が評価閾値Ethよりも小さい状態で、時刻t1から所定期間Tthが経過する時刻t2までは、信頼性推定結果として、緊急通報装置52(のスーパーキャパシタ76)の信頼性は十分であるとみなす推定結果が出力される。
【0168】
そして、評価値E(T)が評価閾値Ethよりも小さくなってから、所定期間Tthが経過する時刻t2以降おいては、信頼性推定結果として、緊急通報装置52(のスーパーキャパシタ76)の信頼性は不十分であるとみなされて、緊急通報装置52の交換が必要であることを示す推定結果が出力される。
【0169】
<コールセンタサーバの構成例>
次に、図7を参照して、コールセンタサーバ34の構成例について説明する。
【0170】
コールセンタサーバ34は、制御部221、入力部222、出力部223、記憶部224、通信部225、ドライブ226、およびリムーバブル記憶媒体227より構成されており、相互にバス228を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0171】
尚、コールセンタサーバ34の構成は、基本的に管理サーバ33と同様であり、制御部221、入力部222、出力部223、記憶部224、通信部225、ドライブ226、およびリムーバブル記憶媒体227、並びにバス228は、それぞれ、制御部191、入力部192、出力部193、記憶部194、通信部195、ドライブ196、およびリムーバブル記憶媒体197、並びにバス198と対応するので、詳細な説明は省略する。
【0172】
ただし、制御部221においては、制御部191おける情報分離部201、信頼性推定部202、および通報処理部203に代えて、信頼性処理部231、および通報処理部232を備えている。
【0173】
信頼性処理部231は、通信部225を制御して、管理サーバ33より信頼性推定結果を受信すると、信頼性推定結果に基づいて、緊急通報装置52の交換が必要であるときには、交換用の新たな緊急通報装置52を手配して、対応する車両31のユーザに配送させる。
【0174】
このとき、信頼性処理部231は、現在の緊急通報装置52の信頼性が経年劣化により低下したため交換が必要であり、新たな交換用の緊急通報装置52の配送が手配されていることを示す情報を、通信部225を制御して、管理サーバ33を介して、ユーザ端末32に送信させる。
【0175】
通報処理部232は、位置情報を含む緊急通報が、管理サーバ33を介して送信されてくると、通信部225を制御して受信する。
【0176】
そして、通報処理部232は、緊急通報を送信してきた車両31の位置情報に基づいて、支援をするためのスタッフの派遣を指示すると共に、スタッフが携帯する端末装置により検出されるスタッフの位置情報と、緊急事態が発生した車両31の位置情報とを含めた地図情報を生成し、通信部225を制御して、管理サーバ33を介してユーザ端末32に送信する。
【0177】
地図情報とは、例えば、図8で示されるような情報であり、図8の地図情報301においては、緊急事態が発生したユーザの車両31の位置を示すアイコン311と、支援に向かったスタッフの位置を示すアイコン312とが含まれている。
【0178】
ユーザ端末32において、図8で示されるような地図情報が表示されることにより、緊急事態に陥っているユーザは、支援に向かったスタッフがどの程度の時間で到着するのかを把握することが可能となる。
【0179】
<緊急通報管理処理>
次に、図9乃至図12のフローチャートを参照して、図2の緊急通報システム11における緊急通報管理処理について説明する。
【0180】
尚、図9には、車両31における緊急通報装置52の処理が、図10には、ユーザ端末32の処理が、図11には、管理サーバ33の処理が、図12には、コールセンタサーバ34の処理が、それぞれ記載されている。
【0181】
ステップS11(図9)において、緊急通報装置52の状態測定部92は、端子72aの電圧をモニタして、エンジンが始動されて電源51からの電力供給が開始されたか否かを判定し、電源51からの電力供給が開始されるまで、同様の処理を繰り返す。
【0182】
ステップS11において、電源51からの電力供給が開始されたと判定された場合、処理は、ステップS12に進む。
【0183】
ステップS12において、電源切替部91は、端子72aを介して電源51より供給される電力により駆動する。
【0184】
ステップS13において、状態測定部92は、端子72bをモニタして、スーパーキャパシタ76の初期電圧を測定する。
【0185】
ステップS14において、状態測定部92は、端子72cを制御して、トランジスタ77をオンにすることで、抵抗78を介して充電用ゲートトランジスタをオンにし、スーパーキャパシタ76への充電を開始する。
【0186】
ステップS15において、状態測定部92は、さらに、端子72bの電圧をモニタすることにより、スーパーキャパシタ76の充電電圧をモニタして、満充電になるまでの充電時間を測定し、状態情報として通報処理部93に出力する。
【0187】
ステップS16において、通報処理部93は、測定したスーパーキャパシタ76の充電時間の情報を状態情報としてアンテナ80を介して、ブルートゥース(登録商標)等の通信によりユーザ端末32に送信する。
【0188】
ステップS31(図10)において、ユーザ端末32の状態情報処理部171は、通信部155を制御して、ブルートゥース(登録商標)等の通信により緊急通報装置52から状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたか否かを判定する。
【0189】
ステップS31において、緊急通報装置52から状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたと判定された場合、処理は、ステップS32に進む。
【0190】
ステップS32において、状態情報処理部171は、通信部155を制御して、緊急通報装置52より送信されてきたスーパーキャパシタ76の充電時間の情報からなる状態情報を取得する。
【0191】
ステップS33において、状態情報処理部171は、通信部155を制御して、ネットワーク35を介して、管理サーバ33にスーパーキャパシタ76の充電時間の情報からなる状態情報を送信する。
【0192】
ステップS61(図11)において、情報分離部201は、通信部195を制御して、ユーザ端末32からネットワーク35を介して状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたか否かを判定する。
【0193】
ステップS61において、ユーザ端末32から状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたと判定された場合、処理は、ステップS62に進む。
【0194】
ステップS62において、情報分離部201は、通信部195を制御して、管理サーバ33より送信されてきたスーパーキャパシタ76の充電時間の情報からなる状態情報を受信し、信頼性推定部202に出力する。
【0195】
ステップS63において、信頼性推定部202は、上述した式(1)を計算することにより緊急通報装置52の信頼性を表す評価値Eを求めて、式(2)で定義される評価閾値Ethと比較して評価値Eを評価する。
【0196】
より具体的には、信頼性推定部202は、信頼性推定部202は、上述した式(1)を計算することにより緊急通報装置52の信頼性を表す評価値Eを時系列に求めてプロットし、評価閾値Ethよりも低下した状態になってから所定期間Tthよりも長く経過したか否かにより、緊急通報装置52の信頼性が十分であるか否かを推定して、交換の要否を判定する。
【0197】
ここでは、信頼性推定部202による信頼性評価結果は、緊急通報装置52の信頼性を示す推定結果から、信頼性が低く交換が必要な状態であるか否かを示す情報となる。
【0198】
ステップS64において、信頼性推定部202は、緊急通報装置52の信頼性が低く交換が必要であるか否かを示す情報となる信頼性評価結果を、通信部195を制御して、ネットワーク35を介してコールセンタサーバ34に送信する。
【0199】
ステップS91(図12)において、コールセンタサーバ34の信頼性処理部231は、通信部225を制御して、管理サーバ33より信頼性評価結果が送信されてきたか否かを判定する。
【0200】
ステップS91において、管理サーバ33より信頼性評価結果が送信されてきたと判定された場合、処理は、ステップS92に進む。
【0201】
ステップS92において、信頼性処理部231は、通信部225を制御して、送信されてきた管理サーバ33より送信されてきた信頼性評価結果を受信する。
【0202】
ステップS93において、信頼性処理部231は、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要であるという情報であるか否かを判定する。
【0203】
ステップS93において、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要であることと示す情報である場合、処理は、ステップS94に進む。
【0204】
ステップS94において、信頼性処理部231は、信頼性が低く、交換が必要であることを示す緊急通報装置52を交換するための緊急通報装置52の手配を指示し、対応する保険契約者であるユーザに交換用の緊急通報装置52を宅配便により配送させる。
【0205】
ステップS95において、信頼性処理部231は、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要である旨の信頼性評価結果と共に、交換用の緊急通報装置52を手配したことを示す通知を、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して管理サーバ33に送信する。
【0206】
一方、ステップS93において、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が十分であり、交換が不要であることを示す情報である場合、処理は、ステップS96に進む。
【0207】
ステップS96において、信頼性処理部231は、緊急通報装置52の交換が不要であることを示す信頼性評価結果を、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して管理サーバ33に送信する。
【0208】
ステップS65(図11)において、信頼性推定部202は、通信部195を制御して、コールセンタサーバ34より送信されてくる緊急通報装置52の交換の要否を示す信頼性評価結果を、ネットワーク35を介して受信する。
【0209】
ステップS66において、信頼性推定部202は、通信部195を制御して、ネットワーク35を介して、緊急通報装置52の交換の要否を示す信頼性評価結果をユーザ端末32に送信する。
【0210】
尚、信頼性評価結果については、管理サーバ33において生成されている情報であるので、コールセンタサーバ34からの通知を待たずに、管理サーバ33からユーザ端末32に送信するようにしてもよい。
【0211】
ステップS34(図10)において、状態情報処理部171は、通信部155を制御して、管理サーバ33より送信されてくる緊急通報装置52の交換の要否を示す信頼性評価結果を、ネットワーク35を介して受信する。
【0212】
ステップS35において、状態情報処理部171は、受信した緊急通報装置52の交換の要否を示す信頼性評価結果を出力部153のディスプレイに表示する。
【0213】
ここまでの処理により、エンジンが始動すると、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の初期電圧が測定されると共に充電が開始されて、満充電までの充電時間が測定されて、ユーザ端末32を管理サーバ33に送信される。
【0214】
管理サーバ33は、充電時間に基づいた緊急通報装置52の信頼性を評価し、評価結果に基づいて、緊急通報装置52の交換の要否を示す情報を信頼性評価結果として生成し、信頼性評価結果をコールセンタサーバ34に送信する。
【0215】
コールセンタサーバ34において、信頼性評価結果に基づいて、緊急通報装置52の交換の要否を示す信頼性評価情報を生成し、管理サーバ33を介して、ユーザ端末32に送信する。
【0216】
ユーザ端末32においては、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の満充電までの充電時間に基づいた信頼性評価結果としての緊急通報装置52の交換の要否を示す情報を表示する。
【0217】
これにより、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の充電時間に基づいた信頼性評価結果から劣化の程度に応じて、交換が必要な緊急通報装置52を特定することが可能となる。
【0218】
結果として、信頼性を維持しつつ、コストを低減して、劣化した緊急通報装置52を適切な時期に交換することが可能となる。
【0219】
また、ステップS17(図9)において、通報処理部93は、端子72cの電圧をモニタして、緊急通報ボタン79が操作されたか否かを判定する。
【0220】
ステップS17において、緊急通報ボタン79が操作されたと判定された場合、処理は、ステップS18に進む。
【0221】
ステップS18において、通報処理部93は、アンテナ80を介して、ブルートゥース(登録商標)等の通信により緊急通報ボタン79が操作されたことを示す緊急通報をユーザ端末32に送信する。
【0222】
ステップS36(図10)において、通報処理部172は、通信部155を制御して、ブルートゥース(登録商標)等の通信により緊急通報装置52から緊急通報が送信されてきたか否かを判定する。
【0223】
ステップS36において、緊急通報が送信されてきた場合、処理は、ステップS37に進む。
【0224】
ステップS37において、通報処理部172は、通信部155を制御して、ブルートゥース(登録商標)等の通信により緊急通報装置52から送信されてきた緊急通報を取得する。
【0225】
ステップS38において、通報処理部172は、GPS159を制御して、自らの位置情報を取得する。
【0226】
ステップS39において、通報処理部172は、通信部155を制御して、ネットワーク35を介して、位置情報を含めた緊急通報を管理サーバ33に送信する。
【0227】
ステップS67(図11)において、情報分離部201は、通信部195を制御して、ネットワーク35を介して、ユーザ端末32から緊急通報が送信されてきたか否かを判定する。
【0228】
ステップS67において、緊急通報が送信されてきた場合、処理は、ステップS68に進む。
【0229】
ステップS68において、情報分離部201は、通信部195を制御して、ネットワーク35を介して、ユーザ端末32から送信されてきた位置情報を含めた緊急通報を受信する。
【0230】
ステップS69において、情報分離部201は、通信部195を制御して、ネットワーク35を介して、位置情報を含めた緊急通報をコールセンタサーバ34に送信する。
【0231】
ステップS97(図12)において、通報処理部232は、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して、管理サーバ33から位置情報を含めた緊急通報が送信されてきたか否かを判定する。
【0232】
ステップS97において、位置情報を含めた緊急通報が送信されてきた場合、処理は、ステップS98に進む。
【0233】
ステップS98において、通報処理部232は、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して、管理サーバ33より送信されてきた位置情報を含めた緊急通報を受信する。
【0234】
ステップS99において、通報処理部232は、位置情報に基づいて、緊急通報を送信してきた車両31の位置を特定し、スタッフに対して緊急通報を発した車両31の運転者である保険契約者の支援を指示する情報を生成する。
【0235】
すなわち、この処理により、緊急通報してきた車両31の運転者を支援するためのスタッフが派遣される。
【0236】
ステップS100において、通報処理部232は、救援スタッフが所持する携帯端末により検出される位置情報を取得して、緊急通報を送信してきた車両31の位置情報と、支援に向かうスタッフの位置情報とを含む地図情報を生成し、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して管理サーバ33に送信する。
【0237】
尚、ステップS91において、信頼性評価結果が送信されてこない場合、ステップS92乃至S96の処理がスキップされる。また、ステップS97において、緊急通報がない場合、ステップS98乃至S100の処理がスキップされる。
【0238】
さらに、ステップS101において、通報処理部203は、終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていない場合、処理は、ステップS91に戻る。すなわち、終了が指示されるまで、ステップS91乃至S101の処理が繰り返される。
【0239】
そして、ステップS101において、終了が指示されると、処理が終了する。
【0240】
また、ステップS70(図11)において、通報処理部203は、通信部195を制御して、コールセンタサーバ34よりネットワーク35を介して送信されてくる地図情報を取得する。
【0241】
ステップS71において、通報処理部203は、通信部195を制御して、取得した地図情報を、ネットワーク35を介してユーザ端末32に送信する。
【0242】
尚、ステップS61において、状態情報が送信されてこない場合、ステップS62乃至S66の処理がスキップされる。また、ステップS67において、緊急通報がない場合、ステップS68乃至S71の処理がスキップされる。
【0243】
さらに、ステップS72において、通報処理部172は、終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていない場合、処理は、ステップS61に戻る。すなわち、終了が指示されるまで、ステップS61乃至S72の処理が繰り返される。
【0244】
そして、ステップS72において、終了が指示されると、処理が終了する。
【0245】
また、ステップS40(図10)において、通報処理部172は、通信部155を制御して、管理サーバ33よりネットワーク35を介して送信されてくる地図情報を取得する。
【0246】
ステップS41において、通報処理部172は、通信部155を制御して、取得した地図情報を出力部153の、例えば、ディスプレイに図8で示されるような画像として表示する。
【0247】
尚、ステップS31において、状態情報が送信されてこない場合、ステップS32乃至S35の処理がスキップされる。また、ステップS36において、緊急通報がない場合、ステップS37乃至S41の処理がスキップされる。
【0248】
さらに、ステップS42において、通報処理部172は、終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていない場合、処理は、ステップS31に戻る。すなわち、終了が指示されるまで、ステップS31乃至S42の処理が繰り返される。
【0249】
そして、ステップS42において、終了が指示されると、処理が終了する。
【0250】
以上の一連の処理により、緊急通報装置52において、緊急通報ボタン79が操作されると緊急通報がユーザ端末32に通知される。
【0251】
ユーザ端末32は、緊急通報が通知されると、車両31の位置情報を取得して、位置情報と共に緊急通報を、管理サーバ33を介してコールセンタサーバ34に通知する。
【0252】
コールセンタサーバ34においては、緊急通報を受信すると、含まれている位置情報に基づいて、支援のスタッフを派遣させる手配を整えると共に、支援のスタッフが携帯する携帯端末により検出される位置情報を取得して、緊急通報が発せられた車両31の位置情報と支援に向かうスタッフとの位置情報とが含まれる地図情報を生成し、管理サーバ33を介してユーザ端末32に送信する。
【0253】
ユーザ端末32においては、自らの位置情報と、支援に向かうスタッフの位置情報とが含まれた地図情報が表示されることになる。
【0254】
結果として、緊急通報を迅速に実現すると共に、支援に派遣されているスタッフと、自らの位置情報とが含まれた地図情報を視認することが可能となり、スタッフがどの程度の時間で到着するのかを把握することが可能となる。
【0255】
これにより、緊急通報ボタン79を操作したユーザにおいては、支援のスタッフが来るのか来ないのか、来たとしてもどのくらいかかるのかといった緊急事態が発生した場合に最も知りたい情報を迅速に提示することが可能となり、緊急事態が発生した場合におけるユーザの不安な心理状態を緩和させることが可能となる。
【0256】
また、ステップS18(図9)において、電源切替部91は、端子72aの電圧をモニタしてエンジンが停止して、電源51からの電力供給がなくなったか否かを判定する。
【0257】
ステップS18において、エンジンが停止して、電源51からの電力供給が停止していると判定された場合、処理は、ステップS19に進む。
【0258】
ステップS19において、電源切替部91は、端子72bからスーパーキャパシタ76に充電された電力により駆動する状態に電源を切り替える。
【0259】
尚、ステップS18において、エンジンが停止していないと判定された場合、ステップS19の処理がスキップされる。
【0260】
ステップS19において、電源切替部91は、動作の終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていない場合、処理は、ステップS16に戻る。
【0261】
すなわち、終了が指示されるまで、ステップS16乃至S20の処理が繰り返される。
【0262】
そして、ステップS20において、終了が指示されると動作が終了する。
【0263】
これにより、緊急通報装置52は、エンジンが始動すると電源51からの電力により駆動し、エンジンが停止して、電源51からの電力供給が停止されると、スーパーキャパシタ76により充電された電力で駆動する。
【0264】
結果として、緊急事態が発生し、万が一、エンジンが停止して電源51からの電力供給が停止しても、スーパーキャパシタ76に充電された静電容量の範囲で、緊急通報装置52を駆動させることが可能となる。
【0265】
以上においては、緊急通報装置52におけるエンジンが停止した状態における電源となるスーパーキャパシタ76の劣化の程度を充電時間に基づいて評価する例について説明してきたが、外部からの電源供給を受けられない条件下における電源としてスーパーキャパシタを用いるようなハードウェアであれば、緊急通報装置52以外のハードウェアであってもよい。
【0266】
<<3.応用例>>
<管理サーバの機能を備えたコールセンタサーバの構成例>
以上においては、車両31に搭載される緊急通報装置52、ユーザ端末32、管理サーバ33、およびコールセンタサーバ34により緊急通報管理処理が実現される例について説明してきたが、コールセンタサーバ34に管理サーバ33の機能を持たせるようにして、管理サーバ33を除いた、緊急通報装置52、ユーザ端末32、およびコールセンタサーバ34により緊急通報管理処理が実現できるようにしてもよい。
【0267】
図13は、管理サーバ33の機能を備えたコールセンタサーバ34の構成例である。尚、図13のコールセンタサーバ34において、図7のコールセンタサーバ34における構成と同一の機能を備えた構成については、同一の符号を付しており、適宜、説明を省略するものとする。
【0268】
すなわち、図13のコールセンタサーバ34において、図7のコールセンタサーバ34と異なる点は、新たに、情報分離部331、および信頼性推定部332が設けられた点である。
【0269】
また、情報分離部331、および信頼性推定部332は、図6の管理サーバ33における情報分離部101、および信頼性推定部102と同一の機能を備えた構成であるので、その説明は省略する。
【0270】
すなわち、図13のコールセンタサーバ34は、図6の管理サーバ33の機能と、図7のコールセンタサーバ34の機能とを兼ね備えた構成とされている。
【0271】
図13のコールセンタサーバによる緊急通報管理処理>
次に、図14のフローチャートを参照して、図13のコールセンタサーバ34による緊急通報管理処理について説明する。
【0272】
尚、この例における緊急通報装置52とユーザ端末32の処理については、それぞれ図9図10を参照して説明した処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0273】
ただし、この場合、ユーザ端末32が管理サーバ33に送信していた情報は、コールセンタサーバ34へと送信され、ユーザ端末32が管理サーバ33から受信していた情報は、コールセンタサーバ34から受信される。
【0274】
ステップS151において、情報分離部331は、通信部225を制御して、ユーザ端末32からネットワーク35を介して状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたか否かを判定する。
【0275】
ステップS151において、ユーザ端末32から状態情報としての、スーパーキャパシタ76の充電時間の情報が送信されてきたと判定された場合、処理は、ステップS152に進む。
【0276】
ステップS152において、情報分離部331は、通信部225を制御して、管理サーバ33より送信されてきたスーパーキャパシタ76の充電時間の情報からなる状態情報を受信し、信頼性推定部332に出力する。
【0277】
ステップS153において、信頼性推定部332は、上述した式(1)を計算することにより緊急通報装置52の信頼性を表す評価値Eを求めて、式(2)で定義される評価閾値Ethと比較して評価値Eを評価し、信頼性処理部231に出力する。
【0278】
ステップS154において、信頼性処理部231は、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要であるという情報であるか否かを判定する。
【0279】
ステップS155において、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要であることと示す情報である場合、処理は、ステップS155に進む。
【0280】
ステップS155において、信頼性処理部231は、緊急通報装置52を交換するための交換用の緊急通報装置52の手配を指示し、対応する保険契約者であるユーザに交換用の緊急通報装置52を宅配便により配送させる。
【0281】
ステップS156において、信頼性処理部231は、緊急通報装置52の信頼性が低く、交換が必要であることを示す信頼性評価結果と、交換用の緊急通報装置52を手配したことを示す通知とを生成し、通信部225を制御して、ネットワーク35を介してユーザ端末32に送信する。
【0282】
一方、ステップS154において、信頼性評価結果が、緊急通報装置52の信頼性が十分であり、交換が不要であることを示す情報である場合、処理は、ステップS157に進む。
【0283】
ステップS157において、信頼性処理部231は、緊急通報装置52の交換が不要であることを示す信頼性評価結果を、通信部225を制御して、ネットワーク35を介してユーザ端末32に送信する。
【0284】
ステップS158において、通報処理部232は、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して、ユーザ端末32から緊急通報が送信されてきたか否かを判定する。
【0285】
ステップS158において、緊急通報が送信されてきた場合、処理は、ステップS159に進む。
【0286】
ステップS159において、通報処理部232は、通信部225を制御して、ネットワーク35を介して、ユーザ端末32より送信されてきた位置情報を含めた緊急通報を受信する。
【0287】
ステップS160において、通報処理部232は、位置情報に基づいて、緊急通報を送信してきた車両31の位置を特定し、スタッフに対して支援を指示する情報を生成する。
【0288】
ステップS161において、通報処理部232は、支援に向かうスタッフが所持する携帯端末により検出される位置情報を取得して、緊急通報を送信してきた車両31の位置情報と、支援に向かうスタッフの位置情報とを含む地図情報を生成し、通信部225を制御して、ネットワーク35を介してユーザ端末32に送信する。
【0289】
尚、ステップS151において、状態情報が送信されてこない場合、ステップS152乃至S157の処理がスキップされる。また、ステップS158において、緊急通報がない場合、ステップS159乃至S161の処理がスキップされる。
【0290】
さらに、ステップS162において、通報処理部232は、終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていない場合、処理は、ステップS151に戻る。すなわち、終了が指示されるまで、ステップS151乃至S162の処理が繰り返される。
【0291】
そして、ステップS162において、終了が指示されると、処理が終了する。
【0292】
尚、以上においては、図7のコールセンタサーバ34に、図6の管理サーバ33の機能を備えるようにして、緊急通報装置52、ユーザ端末32、およびコールセンタサーバ34により緊急通報管理処理を実現させる例について説明してきたが、図6の管理サーバ33に、図7のコールセンタサーバ34の機能を備えるようにして、緊急通報装置52、ユーザ端末32、および管理サーバ33により緊急通報管理処理を実現させるようにしてもよい。
【0293】
以上の処理においても、エンジンが始動すると、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の充電時間が測定されて、ユーザ端末32を介してコールセンタサーバ34に送信される。
【0294】
コールセンタサーバ34においては、充電時間に基づいて、緊急通報装置52の信頼性が評価され、緊急通報装置52の交換の要否を示す情報が信頼性評価結果として生成され、ユーザ端末32に送信される。
【0295】
ユーザ端末32においては、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の充電時間に基づいた信頼性評価結果としての緊急通報装置52の交換の要否を示す情報が表示される。
【0296】
以上の処理により、緊急通報装置52のスーパーキャパシタ76の充電時間に基づいた信頼性評価結果から劣化の程度に応じて、交換が必要な緊急通報装置52を適切に特定することが可能となる。
【0297】
結果として、信頼性を維持しつつ、コストを低減して、劣化した緊急通報装置を適切な時期に交換することが可能となる。
【0298】
<<4.ソフトウェアにより実行させる例>>
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0299】
図15は、汎用のコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0300】
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0301】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体1011ら読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0302】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0303】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記憶媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0304】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記憶媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0305】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0306】
尚、図15におけるCPU1001が、図3のチップセット72、図4図5図7の制御部151,191,221の機能を実現させる。
【0307】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0308】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0309】
例えば、本開示は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0310】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0311】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0312】
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
【0313】
<1> ハードウェアの劣化の程度を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記ハードウェアの信頼性を評価する信頼性評価部と
を含む情報処理装置。
<2> 前記状態情報取得部は、前記ハードウェアの電源の劣化の程度を示す状態情報を取得する
<1>に記載の情報処理装置。
<3> 前記ハードウェアの電源は、スーパーキャパシタである
<2>に記載の情報処理装置。
<4> 前記状態情報取得部は、前記スーパーキャパシタの充電を開始してから満充電になるまでの充電時間を、前記ハードウェアの電源の劣化の程度を示す状態情報として取得する
<3>に記載の情報処理装置。
<5> 前記信頼性評価部は、前記充電時間に基づいて、前記ハードウェアの電源の劣化の程度を評価し、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<4>に記載の情報処理装置。
<6> 前記信頼性評価部は、前記充電時間に基づいて評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、前記判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<5>に記載の情報処理装置。
<7> 前記信頼性評価部は、前記評価値が、前記閾値よりも低下したか否かに基づいて、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、前記判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<6>に記載の情報処理装置。
<8> 前記信頼性評価部は、測定された前記充電時間から、前記スーパーキャパシタの交換が必要となる状態まで劣化したときの静電容量で充電されるときの充電時間を減じた時間を前記評価値として計算し、前記評価値と閾値との比較から、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、前記判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<6>に記載の情報処理装置。
<9> 前記閾値は、前記スーパーキャパシタを含めたハードウェアの交換を検討するべき状態まで劣化したときの静電容量における前記評価値である
<6>に記載の情報処理装置。
<10> 前記信頼性評価部は、前記評価値が、前記閾値よりも低下した状態が継続する期間に基づいて、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、前記判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<9>に記載の情報処理装置。
<11> 前記信頼性評価部は、前記充電時間に基づいた前記評価値が、前記閾値よりも低下した状態が継続する期間が、所定期間よりも長いか否かに基づいて、前記ハードウェアの交換の要否を判定し、前記判定結果からなる信頼性評価結果を出力する
<10>に記載の情報処理装置。
<12> 前記所定期間は、前記スーパーキャパシタを含めた前記ハードウェアの交換を検討すべき状態まで劣化した静電容量まま、前記スーパーキャパシタを含めた前記ハードウェアを交換することなく使用することが許容される期間である
<11>に記載の情報処理装置。
<13> 前記信頼性評価結果が、前記ハードウェアの交換が必要であることを示す情報である場合、前記状態情報取得部は、前記ハードウェアの交換が必要であることを示す情報を通知する
<5>に記載の情報処理装置。
<14> 前記ハードウェアは、車両に搭載される緊急通報装置である
<13>に記載の情報処理装置。
<15> 前記緊急通報装置が、前記スーパーキャパシタの充電を開始してから満充電になるまでの前記充電時間を測定し、
前記状態情報取得部は、前記緊急通報装置により測定された、前記充電時間の情報を、前記緊急通報装置の劣化の程度を示す状態情報として取得する
<14>に記載の情報処理装置。
<16> 前記状態情報取得部は、前記車両のユーザが所持する携帯端末を介して、前記緊急通報装置により測定された、前記充電時間の情報を、前記緊急通報装置の劣化の程度を示す状態情報として取得する
<15>に記載の情報処理装置。
<17> 前記状態情報取得部は、前記携帯端末に対して、前記緊急通報装置の交換が必要であることを示す情報を通知し、前記携帯端末は、前記通知を取得して、提示する
<16>に記載の情報処理装置。
<18> 前記緊急通報装置は、
前記車両のエンジンが稼働するとき、前記車両より供給される電力により駆動すると共に、前記車両より供給される電力で前記スーパーキャパシタを充電させ、
前記車両のエンジンが停止するとき、前記スーパーキャパシタに充電した電力で駆動する
<14>乃至<17>のいずれかに記載の情報処理装置。
<19> 前記緊急通報装置は、緊急事態が発生した場合に、ユーザに操作される緊急通報ボタンを備えている
<14>乃至<18>のいずれかに記載の情報処理装置。
<20> ハードウェアの劣化の程度を示す状態情報を取得し、
前記状態情報に基づいて、前記ハードウェアの信頼性を評価する
ステップを含む情報処理方法。
【符号の説明】
【0314】
11 緊急通報システム, 31,31-1乃至31-n 車両, 32,32-1乃至32-n ユーザ端末, 33 管理サーバ, 34 コールセンタサーバ, 51、51-1乃至51-n 電源, 52、52-1乃至52-n 緊急通報装置, 72 チップセット, 76 スーパーキャパシタ, 79 緊急通報ボタン, 92 状態測定部, 93 通報処理部, 151 制御部, 159 GPS, 171 状態情報処理部, 172 通報処理部, 191 制御部, 201 情報分離部, 202 信頼性推定部, 203 通報処理部, 221 制御部, 231 信頼性処理部, 232 通報処理部, 311 信頼性処理部, 312 通報処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15