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特許7567904犯罪捜査支援システム、犯罪捜査支援方法、及び、犯罪捜査支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】犯罪捜査支援システム、犯罪捜査支援方法、及び、犯罪捜査支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022512499
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014432
(87)【国際公開番号】W WO2021199101
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】外川 遼介
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157467(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012412(WO,A1)
【文献】特開2018-061216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルであり、前記第1の事件の種別がラベルとして付与された、前記第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報が教師データとして用いられる機械学習によって、事件の種別を推定する推定モデルを生成する、モデル生成手段と、
前記推定モデルを用いて、推定対象である第2の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報を入力することにより、第2の事件の種別を推定する推定手段と、を備え、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援システム。
【請求項2】
前記行動履歴情報及び前記人間関係情報を表すグラフを生成するグラフ生成手段をさらに備え、
前記グラフは、前記関係者ごとに、前記関係者が移動した際の移動元あるいは移動先を表すノードと、前記移動元から前記移動先への移動経路を表すエッジとを含むグラフ、前記関係者を表すノードと、前記関係者の間において行われた通信を表すエッジとを含むグラフ、又は、前記関係者を表すノードと、前記関係者の間における人間関係の種別及び前記関係者の間における問題の発生状況の少なくともいずれかを表すエッジとを含むグラフである、請求項1に記載の犯罪捜査支援システム。
【請求項3】
前記モデル生成手段は、前記第1の事件の解決後に判明した前記第1の事件の種別が教師データとしてのラベルとして付与された前記グラフから、所定のアルゴリズムを用いて、前記第1の事件における前記関係者の行動及び人間関係に関して、時間とともに変化する特徴量を抽出したのち、その抽出結果から、前記所定のアルゴリズムを用いて、前記第1の事件の種別の推定に影響する特徴量である説明変数を決定し、前記説明変数を入力パラメータとして用いる前記推定モデルを生成し、
前記所定のアルゴリズムは、TGFN、STAR、Netwalkのいずれかである、
請求項2に記載の犯罪捜査支援システム。
【請求項4】
前記モデル生成手段は、複数の前記説明変数の個々に対して、前記第1の事件の種別の推定における関係者間あるいは場所間における行動履歴情報、及び、人間関係情報に関して、時間とともに変化する特徴量に基づいて、前記所定のアルゴリズムを用いて重要度を決定し、
前記推定手段は、前記重要度に基づいて重み付けした前記説明変数を入力することにより、前記第2の事件の種別を推定する、
請求項3に記載の犯罪捜査支援システム。
【請求項5】
前記推定手段は、前記説明変数の値に基づいて、複数の前記第1の事件と前記第2の事件との類似度をそれぞれ算出し、
表示制御手段は、前記類似度が高い順に事件の種別を表示する
請求項に記載の犯罪捜査支援システム。
【請求項6】
情報処理システムによって、
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルであり、前記第1の事件の種別がラベルとして付与された、前記第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報が教師データとして用いられる機械学習によって、事件の種別を推定する推定モデルを生成し、
前記推定モデルを用いて、推定対象である第2の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報を入力することにより、第2の事件の種別を推定し、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援方法。
【請求項7】
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルであり、前記第1の事件の種別がラベルとして付与された、前記第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報が教師データとして用いられる機械学習によって、事件の種別を推定する推定モデルを生成する生成処理と、
前記推定モデルを用いて、推定対象である第2の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報を入力することにより、第2の事件の種別を推定する推定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犯罪捜査支援システム、犯罪捜査支援装置、犯罪捜査支援方法、及び、犯罪捜査支援プログラムが格納された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
犯罪事件(事件又は刑事事件とも称する)の発生を事前に予測し、その発生を未然に防止することは、安全な社会を構築する上で重要である。
【0003】
特許文献1には、テンプレートマッチングにより、犯罪の発生場所及び時刻をリアルタイムで予測するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-166938号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Lu Wang, Wenchao Yu, Wei Wang, Wei Cheng, Wei Zhang, Hongyuan Zha, Xiaofeng He, Haifeng Chen, ”Learning Robust Representations with Graph Denoising Policy Network ”, arXiv:1910.01784, October 4, 2019
【文献】Dongkuan Xu, Wei Cheng, Dongsheng Luo, Xiao Liu, Xiang Zhang, ”Spatio-Temporal Attentive RNN for Node Classification in Temporal Attributed Graphs”, Twenty-Eighth International Joint Conference on Artificial Intelligence Main track, Pages 3947-3953, August 11-12, 2019
【文献】Wenchao Yu, Wei Cheng, Charu Aggarwal, Kai Zhang, Haifeng Chen, Wei Wang, ” NetWalk: A Flexible Deep Embedding Approach for Anomaly Detection in Dynamic Networks”, KDD 2018, August 19-23, 2018, London, United Kingdom
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、未だ起こっていない犯罪事件の発生を予測することにより、犯罪事件の発生を未然に防止することができる。しかしながら、通常、犯罪事件発生後の捜査は、警察の捜査員により人手で行われている。特に、熟練した捜査員の経験と勘に頼って、捜査が行われることが多い。
【0007】
本発明の主たる目的は、熟練した捜査員の経験と勘に依存することなく事件を解決できるように、犯罪事件の捜査を好適に支援する犯罪捜査支援システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る犯罪捜査支援システムは、第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表し、行動履歴情報及び人間関係情報を基づき事件の種別を推定する推定モデルを生成する、モデル生成手段と、前記推定モデルを用いて、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報を入力することにより、前記第2の事件の種別を推定する推定手段と、を備え、前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る犯罪捜査支援方法は、情報処理システムによって、第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表し、行動履歴情報及び人間関係情報を基づき事件の種別を推定する推定モデルを生成し、前記推定モデルを用いて、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報を入力することにより、前記第2の事件の種別を推定する推定し、前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る犯罪捜査支援プログラムは、第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表し、行動履歴情報及び人間関係情報を基づき事件の種別を推定する推定モデルを生成し、前記推定モデルを用いて、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報を入力することにより、前記第2の事件の種別を推定する推定する推定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す。
【0011】
更に、本発明は、係る犯罪捜査支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熟練した捜査員でなくても犯罪事件を解決できるように、捜査を好適に支援することができる犯罪捜査支援システム等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る犯罪捜査支援システム10の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る移動履歴情報101の内容を例示する図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る通信履歴情報102の内容を例示する図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る人間関係情報103の内容を例示する図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るグラフ120の構成を例示する図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るグラフ生成部12が、モデル生成部13が推定モデル130を生成する際に教師データとして使用するグラフ120を生成する手順を例示する図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が推定モデル130を生成する(機械学習を行う)動作(処理)を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態に係る表示制御部15が推定結果を表示画面200に表示する態様を例示する図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が事件の種別を推定する動作を示すフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態に係る犯罪捜査支援システム30の構成を示すブロック図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る犯罪捜査支援システム10あるいは第2の実施形態に係る犯罪捜査支援システム30を実現可能な情報処理システム900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
後述する実施形態を一例とするシステムは、ある入力情報から目的の事象を推定する場合において、機械学習(例えば、深層学習)によって生成した学習済モデル(推定モデルとも称する)を用いる。そして、当該システムは、当該入力情報を表す、例えばノードとエッジ(枝とも称する)とによって構成されるグラフを用いる。グラフは、時間の経過とともに構造が変化する。当該システムは、そのようなグラフの特徴を分析可能なアルゴリズムを適用することに着想を得たものである。このアルゴリズムとしては、例えば下記のアルゴリズムが知られている。
(1)TGFN(Temporal Graph Factorization Network)
時間の経過とともに構造が変化するグラフから、時刻にかかわらず不変である静的な特徴と、各時刻に固有の動的な特徴とを抽出し、抽出した特徴を分析するアルゴリズムである。本アルゴリズムは、非特許文献1に示されているので、後述する実施形態ではその詳細な説明を省略する。
(2)STAR(Spatio-Temporal Attentive RNN)
時間の経過とともに構造が変化するグラフから、当該グラフを構成するノードのうち、時間軸及び空間軸の各軸において、例えばある事象の推定において重要な(即ち、推定に対する影響度が高い)ノードを特定して分析するアルゴリズムである。本アルゴリズムは、非特許文献2に示されているので、後述する実施形態ではその詳細な説明を省略する。
(3)Netwalk
時間の経過とともに構造が変化するグラフから、当該グラフを構成するノードの特徴量を抽出するアルゴリズムである。本アルゴリズムは、非特許文献3に示されているので、後述する実施形態ではその詳細な説明を省略する。
【0015】
後述する実施形態を一例とする開示は、学習済モデルを生成するとき、及び、その学習済モデルを用いてある入力情報から目的の事象を推定するときに、上述したアルゴリズムを適用することによって、目的の事象を推定する精度を高めることを実現する。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る犯罪捜査支援システム10の構成を示すブロック図である。犯罪捜査支援システム10は、犯罪事件の種別を分類することにより、捜査を支援するシステムである。具体的には、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、捜査中の事件の関係者の行動履歴及び人間関係に関する情報に基づいて、当該事件の種別を推定するシステムである。
【0018】
事件の種別とは、例えば失踪事件の場合、誘拐事件、家出、あるいは事故等である。また事件の種別は、例えば殺人事件の場合、怨恨事件、強盗事件、通り魔(無差別)事件、傷害致死事件等である。また事件の種別は、例えば窃盗事件の場合、強盗、万引き、侵入窃盗、自動車窃盗、ひったくり、スリなどである。また事件の種別は、例えば経済事件の場合、詐欺、横領、贈収賄、談合、偽造、汚職、あっせん利得処罰法違反、背任、独占禁止法違反、知的財産権侵害、不正競争防 止法違反、脱税、インサイダー取引等の証券取引法違反などである。
【0019】
事件の種別は、さらに細かく分類された種別であってもよい。事件の種別は、また、失踪事件、殺人事件、暴行事件、窃盗事件、経済事件等のように、粒度が大きい種別であってもよい。
【0020】
犯罪捜査支援システム10は、既に解決済みである1以上の事件について、事件の種別がラベルとして付与された事件の関係者の行動履歴及び人間関係に関する情報を用いて学習済モデル(推定モデルとも称する)を生成する。そして犯罪捜査支援システム10は、当該学習済モデルを用いて、捜査中の事件の種別を推定する。犯罪捜査支援システム10は、少なくとも1つ以上の情報処理装置によって構成される。
【0021】
犯罪捜査支援システム10には、管理端末装置20(表示装置とも称する)が通信可能に接続されている。管理端末装置20は、犯罪捜査支援システム10を使用するユーザが、犯罪捜査支援システム10に対して情報を入力したり、犯罪捜査支援システム10から出力された情報を確認したりする際に使用する、例えばパーソナルコンピュータ、その他の情報処理装置である。管理端末装置20は、犯罪捜査支援システム10から出力された情報を表示する表示画面200を備えている。
【0022】
犯罪捜査支援システム10は、取得部11、グラフ生成部12、モデル生成部13、推定部14、及び表示制御部15を備えている。グラフ生成部12、モデル生成部13、推定部14、及び表示制御部15は、順に、グラフ生成手段、モデル生成手段、推定手段、及び表示制御手段の一例である。
【0023】
次に、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が、捜査中の事件の種別を推定するための推定モデル130を生成あるいは更新(再学習)する動作と、その推定モデル130を用いて当該事件の種別を推定する動作とのそれぞれについて説明する。
【0024】
<推定モデル130を生成(及び更新又は再学習)する動作>
まず、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が、捜査のための情報を取得してから捜査中の事件の種別を推定するための推定モデル130を生成あるいは更新するまでの動作について説明する。
【0025】
取得部11は、学習対象とする事件(第1の事件とも称する)に関する、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を、ネットワークを経由してコンピュータ装置(図示せず)あるいはデータベースから取得する。取得部11は、例えば定期的に、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を取得してもよい。取得部11は、あるいは例えば、ユーザが管理端末装置20を介して入力した指示に応じて、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を取得してもよい。
【0026】
取得部11は、例えば、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を送信する1つまたは複数のコンピュータ装置あるいはデータベースに接続する通信回路と、当該通信回路によって取得された情報を格納する記憶デバイスとを備える。記憶デバイスは、後述される図11に示す情報処理システム900のハードディスク904あるいはRAM903でもよい。
【0027】
行動履歴情報100は、当該事件の関係者の行動の時系列変化(推移)を表す情報である。行動履歴情報100は、移動履歴情報101、及び、通信履歴情報102を含んでいる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る移動履歴情報101のデータの内容を例示する図である。移動履歴情報101は、当該事件の関係者が、ある場所から別のある場所に移動した履歴を表している。移動履歴情報101は、例えば、捜査官による聞き込み捜査などの捜査活動によって得られた情報に基づいて、ユーザにより作成された情報である。移動履歴情報101は、例えば関係者ごとに作成され、図2に例示する移動履歴情報101-A、及び101-Bは、順に、関係者A及び関係者Bが移動した履歴(即ち移動の時系列変化)を表す。
【0029】
移動履歴情報101は、移動日時、移動元の場所、移動先(目的地)の場所、移動における経由場所、及び、移動手段(徒歩、自転車、自動車、鉄道など)を含んでいる。但し、移動履歴情報101は、例えば、移動した道路の名称、及び、使用した鉄道の路線名及び駅名など、図2に例示する情報(項目)以外の情報を含んでもよい。
【0030】
図2に例示する移動履歴情報101において、移動元、移動先、経由場所等は、事件における位置づけを表す場所、あるいは、事件の関係者の生活における位置づけを表す場所を表す。事件における位置づけを表す場所は、例えば、事件発生現場、凶器発見現場、目撃現場などである。事件の関係者の生活における位置づけを表す場所は、例えば、自宅、学校、勤務先などである。移動履歴情報101は、各場所の属性を表す情報を含んでもよい。各場所の属性とは、例えば、当該場所における不審者や不審物の目撃状況などである。不審者や不審物の目撃状況は、例えば、「速度違反の自動車が目撃された」などである。尚、図2に示す移動履歴情報は、事件の関係者ごとに作成されているが、事件関係者の移動履歴情報を一つにまとめた形式で表されてもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る通信履歴情報102のデータの内容を例示する図である。通信履歴情報102は、ある関係者が別のある関係者に対して通信した履歴(即ち通信の時系列変化)を表している。通信履歴情報102は、例えば、関係者の携帯電話の通信履歴を確認するなどの捜査官による捜査活動によって得られた情報に基づいて、ユーザにより作成された情報である。通信履歴情報102は、通信日時、通信元である関係者、通信先である関係者、及び、通信手段を含んでいる。但し、通信履歴情報102は、例えば通信内容など、図3に例示する情報以外の情報を含んでもよい。尚、図3の例では、行動履歴情報は一つにまとめられているが、関係者ごとに分けて作成されてもよい。
【0032】
通信履歴情報102は、関係者の属性を表す情報を含んでもよい。関係者の属性とは、例えば、関係者の年齢、性別、職業、勤務先、居住地などである。
【0033】
図4は、本実施形態に係る人間関係情報103のデータの内容を例示する図である。人間関係情報103は、関係者ごとの、他の関係者との人間関係を表す。人間関係情報103は、例えば、捜査官による聞き込み捜査などの捜査活動によって得られた情報に基づいて、ユーザにより作成された情報である。人間関係情報103は、例えば関係者ごとに作成され、図4に例示する人間関係情報103-A、及び103-Bは、順に、関係者A及び関係者Bに関する他の関係者との人間関係を表す。
【0034】
人間関係情報103は、他の関係者との間における、関係の種別(続柄、友人、同僚、仕事関係者、恋人、元恋人、SNS(Social Networking Service)上のみの知人等)及び、人間関係の状態(良好、所定の期間コンタクトなし、金銭トラブルあり等)を含んでいる。人間関係情報103における関係の種別、人間関係の状態は、トラブルの発生あるいは解消など、時系列に変化する動的な情報である。人間関係情報103は、例えば人間関係の悪化の程度を含んでもよい。人間関係の悪化の程度とは、例えば、ある関係者同士の人間関係が悪い状態にあるもののまだ傷害等の事件の発生には至ってない状態(トラブルの有無やトラブルの内容)、及び、当該関係者同士において既に傷害等の事件や何らかのトラブルが発生している状態などである。そして、人間関係の状態が時系列に変化する傾向は、事件の種別を推定するための指標の1つとなる。人間関係情報103は、図4に例示する情報以外の情報を含んでもよい。図4に例示する情報以外の情報とは、例えば、関係者間の関係歴(友人歴、知人歴、初めて知り合った時期など)や、「20××年〇月〇日に関係者Bとの間にトラブルが発生し関係性が良好から悪化に変化」などの人間関係の変化タイミング、変化の理由及び変化内容である。
【0035】
取得部11は、上述の通りに取得した、移動履歴情報101、通信履歴情報102、及び、人間関係情報103を、図示しない記憶デバイス(例えばメモリやハードディスク等)に格納する。
【0036】
図1に示すグラフ生成部12は、取得部11により取得された、学習対象とするある事件に関する、例えば、移動履歴情報101を表すグラフ120、及び、通信履歴情報102と人間関係情報103とを表すグラフ120を生成する。具体的に、グラフ生成部12は、記憶デバイスから移動履歴情報101、通信履歴情報102、及び、人間関係情報103を読み出し、グラフ生成アルゴリズムに基づいてグラフ120を生成する。移動履歴情報101を表すグラフ120は、当該事件における各関係者の移動の時系列変化を表す。通信履歴情報102を表すグラフ120及び人間関係情報103を表すグラフ120は、当該事件における関係者の通信、及び、関係者の人間関係の時系列変化を表す。
【0037】
図5は、本実施形態に係るグラフ120の構成を例示する図である。図5に例示する通り、グラフ120は、事件に関する要素の名称を囲む円で示されるノードと、ノード同士を矢印で接続するエッジとを含んでいる。尚、グラフ120は図5に例示する構成に限定されず、例えばエッジは矢印ではなく、方向を示さない線で表されてもよい。
【0038】
例えば、通信履歴情報102及び人間関係情報103を表すグラフ120では、ノードは関係者(関係者A、関係者B等)を表し、エッジは関係者間における通信及び人間関係を表す。グラフ120における各ノードは、関係者の属性情報(年齢、性別、職業等)を含んでいる。各ノードが示す属性情報は、図示しない記憶デバイス(例えば、ハードディスク904あるいはRAM903)に記憶される。
【0039】
通信履歴情報102及び人間関係情報103を表すグラフ120において、例えば、関係者Aを示すノードと関係者Bを表すノードとを結ぶエッジは、通信履歴情報102が示す関係者Aと関係者Bとの間の通信を表し、図5に示す関数fAB(t)で表される。ただし、tは時間を表す。人間関係情報103が示す、関係者Aと関係者Bとの間の人間関係もまた、図5に示す関数fAB(t)で表される。
【0040】
このように、各エッジを表す関数fAB(t)等の関数は、時間tを変数とし、通信履歴情報102に含まれる項目(例えば、通信手段)と人間関係情報103に含まれる項目(例えば、人間関係の状態)とを要素として含む多次元の関数である。エッジを表す多次元の関数は、エッジと関連付けて図示しない記憶デバイス(例えば、ハードディスク904あるいはRAM903)に記憶される。
【0041】
また、移動履歴情報101を表すグラフ120では、ノードは場所(自宅、他の関係者の家、地点X等)を表し、エッジは移動経路及び移動手段の少なくともいずれかを表す。グラフ120における各ノードは、場所の属性情報(不審者の目撃状況等)を含んでいる。移動履歴情報101を表すグラフ120におけるエッジも、通信履歴情報102及び人間関係情報103を表すグラフ120と同様に、時間tを変数とする多次元の関数で表される。
【0042】
グラフ生成部12は、さらに、学習対象とする事件に関して生成した、後述するモデル生成部13が機械学習を行う際に使用する教師データ用のグラフ120に対して、ラベルを付与する。グラフ生成部12は、既に解決済みである当該事件の種別を、当該ラベルとする。
【0043】
図6は、グラフ生成部12が、後述するモデル生成部13が推定モデル130を生成する際に教師データとして使用するグラフ120を生成する手順を例示する図である。図6に例示する移動履歴情報101、通信履歴情報102は、学習対象とする失踪者Aの失踪事件において、下記のイベントが時系列の順番に発生したことを示すこととする。
(1)地点Xにおいて不審者による誘拐未遂事件が複数発生した。
(2)失踪者Aから友人Bに、自宅から地点Yに行く旨、連絡があった。
(3)地点X近辺に設置された監視カメラが失踪者Aを撮影した。
また、人間関係情報103は、事件発生前において、失踪者Aとその家族及び友人との間の関係は良好であったことを示すこととする。
【0044】
グラフ生成部12は、上述したイベントを表す移動履歴情報101及び通信履歴情報102、及び、事件発生前の人間関係を表す人間関係情報103に基づいて、教師データとして使用されるグラフ120を生成する。
【0045】
尚、グラフ生成部12は、上述したようなグラフ構造データではなく、関数のグラフを生成(描画)してもよい。この場合、グラフ生成部12は、例えば、横軸が時間(日時)、縦軸が関係者の行動を示す指標、のグラフ(関数)を生成してもよい。
【0046】
図6に例示する失踪事件は、失踪者Aが失踪した後に解決し、誘拐事件であることが判明していることとする。この場合、グラフ生成部12は、教師データとして使用されるグラフ120に対して、当該事件の種別が誘拐事件であることを、ラベルとして付与する。
【0047】
グラフ生成部12は、上述の通りにラベルを付与したグラフ120の構成を記憶デバイスに格納する。グラフ生成部12は、ラベルを付与したグラフ120を、教師データとしてモデル生成部13に出力する。
【0048】
モデル生成部13は、グラフ生成部12から入力された、ラベルが付与されたグラフ120を教師データとして、後述する推定部14が事件の種別を推定する際に用いる推定モデル130(学習済モデル)を生成する。モデル生成部13は、プロセッサによって、上述した教師データを用いる推定モデル130(学習済モデル)を生成する機械学習を行う。
【0049】
具体的に、モデル生成部13は、入力されたグラフ120から、所定のアルゴリズムを用いて、関係者の行動(移動、通信)、関係者の人間関係、関係者及び場所の属性に関する、時系列変化の特徴を抽出する。モデル生成部13は、当該所定のアルゴリズムとして、例えば上述した、TGFN、STAR、Netwalk等を使用可能である。
【0050】
モデル生成部13は、例えばTGFNを用いることによって、グラフ120から、関係者の行動、関係者の人間関係、関係者及び場所の属性に関する、静的な特徴と時間とともに変化する動的な特徴とを抽出する。あるいはモデル生成部13は、例えばSTARを用いることによって、時間軸(ある期間に亘る観点)及び空間軸(個々の時刻に着目した観点)の各軸において、事件の種別の推定において重要な(即ち、推定に対する影響度が高い)ノードを抽出する。あるいはモデル生成部13は、例えばNetwalkを用いることによって、グラフ120からノードの特徴量を抽出する。モデル生成部13は、Netwalkを用いる場合、例えば、Gradient Boosting等の既存の予測アルゴリズムと組み合わせてもよい。
【0051】
次に、モデル生成部13は、上述した教師データを用いて機械学習を行う過程において、上述の通りにグラフ120から特徴を抽出した結果から、事件の種別に関する説明変数を決定する。説明変数の具体例については後述する。グラフ120から特徴を抽出した結果とは、具体的には、関係者の行動(移動、通信)、関係者の人間関係、関係者及び場所の属性に関する、静的な特徴と動的な特徴、またはノードの特徴量である。そして、モデル生成部13は、その特徴を抽出した結果から決定される説明変数に基づいて、事件の種別を推定するための基準を含む推定モデル130を生成する。モデル生成部13は、教師データにおける説明変数とグラフ生成部12にて付与されるラベルとの関係について機械学習を行うことによって、当該基準を決定する。
【0052】
モデル生成部13は、例えば、行動履歴情報100によって示される、関係者の行動の時系列変化に関する第1の説明変数を決定する。第1の説明変数は、関係者に関する、移動元と移動先、移動経路、移動手段、通信における通信元と通信先、通信手段などを表すが、これらに限定されない。モデル生成部13は、例えば、人間関係情報103によって示される関係者間の人間関係の時系列変化に関する第2の説明変数を決定する。第2の説明変数は、例えば、関係者の間におけるトラブルの発生あるいは解消の状況などを表すが、これらに限定されない。
【0053】
モデル生成部13は、また、上述の通りに説明変数を決定する際に、複数の説明変数の個々に対して、事件の種別の推定における重要度(推定結果に対する寄与度)を決定する。モデル生成部13は、上述した事件の種別を推定するための基準において、各説明変数を表す値を、当該説明変数の重要度によって重み付けしてもよい。モデル生成部13は、この際、同一の説明変数に対して、関係者間あるいは場所間における行動履歴情報100、及び、人間関係情報103に関する特徴の違いから、関係者あるいは場所ごとに異なる重要度を決定してもよい。即ち、モデル生成部13は、例えば、ある説明変数に関して、関係者Aあるいは場所Xに関わる場合にその重要性を高く設定し、関係者Bあるいは場所Yに関わる場合にその重要性を低く設定してもよい。
【0054】
モデル生成部13は、上述の通りに生成あるいは更新した推定モデル130を、図示しない不揮発性の記憶デバイスに格納する。モデル生成部13は、例えば所定時間ごとに、推定モデル130を更新(再学習ともいう)することにより、推定精度を漸次向上することができる。
【0055】
次に図7のフローチャートを参照して、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が推定モデル130を生成する(機械学習を行う)動作(処理)について詳細に説明する。
【0056】
取得部11は、教師データとして用いる、学習対象の事件に関する行動履歴情報100と人間関係情報103とを、外部から取得する(ステップS101)。グラフ生成部12は、取得部11によって取得された行動履歴情報100と人間関係情報103とを用いて、グラフ120を生成(更新)するとともに、事件の種別をラベルとしてグラフ120に付与する(ステップS102)。
【0057】
モデル生成部13は、グラフ生成部12によって生成されたグラフ120から、所定のアルゴリズムを用いて、関係者の行動及び人間関係の時系列変化の特徴、及び、属性の特徴を抽出する(ステップS103)。モデル生成部13は、その抽出結果に基づいて、事件の種別に関する説明変数を決定する(ステップS104)。
【0058】
モデル生成部13は、個々の説明変数に対して、所定のアルゴリズムを用いて事件の種別の推定における重要度を決定し、重要度が付与された当該説明変数を含む推定モデル130を生成(更新)し(ステップS105)、全体の処理は終了する。
【0059】
<捜査中の事件の種別を推定する動作>
次に、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が、生成あるいは更新した推定モデル130を用いて、捜査中の事件の種別を推定する動作について説明する。
【0060】
取得部11は、犯罪捜査支援システム10が推定モデル130を生成するときと同様に、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を外部の装置(図示せず)から取得する。但し、取得部11は、これらの情報を、上述した教師データとして取得するのではなく、事件の種別に関する推定対象のデータとして取得する。
【0061】
例えば上述の通り、既に解決済みの事件(第1の事件とも称する)に関する行動履歴情報100、及び、人間関係情報103に基づいて推定モデル130が生成されていることとする。この場合、取得部11は、例えばユーザが管理端末装置20を介して入力した指示に応じて、推定対象である捜査中の事件(第2の事件とも称する)に関する行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を取得する。捜査中の事件に関する行動履歴情報100、及び、人間関係情報103の態様は、図2乃至図4に示す、推定モデル130の生成に用いた行動履歴情報100、及び、人間関係情報103と同様である。
【0062】
グラフ生成部12は、捜査中の事件に関する、行動履歴情報100、及び、人間関係情報103を表すグラフ120を生成する。尚、グラフ120の構成は、図5を参照して上述した通りである。
【0063】
図1に示す推定部14は、捜査中の事件に関するグラフ120と、推定モデル130とに基づいて、捜査中の事件の種別を推定する。
【0064】
推定部14は、モデル生成部13が推定モデル130を生成あるいは更新するときと同様に、グラフ生成部12から入力されたグラフ120から、関係者の行動及び人間関係の時系列変化の特徴を抽出する。推定部14は、この際、例えば上述した、TGFN、STAR、Netwalk等の所定のアルゴリズムを使用すればよい。
【0065】
推定部14は、グラフ120から抽出した特徴に基づいて、グラフ120における、推定モデル130によって定義された説明変数の値を求める。推定部14は、求めた説明変数の値を、推定モデル130に含まれる、事件の種別を推定するための基準と照合することによって、捜査中の事件の種別を推定する。
【0066】
推定部14は、また、事件の種別の推定結果として、複数の種別を出力してもよい。推定部14は、捜査中の事件の種別を推定する過程において、説明変数の値に基づいて、教師データである各種別の事件と捜査中の事件との類似性を示すスコア(類似度)を算出する。そして推定部14は、当該スコアが最も高い事件の種別から、当該スコアがn番目(nは任意の自然数)に高い事件の種別までの事件の種別を、推定結果として出力する。
【0067】
推定部14は、捜査中の事件の種別を推定した結果と、その推定理由を示す情報を表示制御部15へ出力する。推定理由を示す情報は、例えば、事件の種別の推定対象であるグラフ120における説明変数の値、及び、説明変数の重要度等である。
【0068】
表示制御部15は、推定部14から入力された、捜査中の事件の種別を推定した結果と、その推定理由を示す情報を、管理端末装置20における表示画面200に表示する。すなわち、表示制御部15は、管理端末装置20の表示画面200に、推定部14による推定結果及び推定理由を表示するよう、管理端末装置20を制御する。
【0069】
図8は、本実施形態に係る表示制御部15が、捜査中の事件の種別を推定した結果とその推定理由を示す情報とを、表示画面200に表示する態様を例示する図である。
【0070】
図8に例示する表示画面200は、本事件(捜査中の事件)が誘拐事件である可能性が高いことを表示している。そして、表示画面200は、捜査中の事件が誘拐事件である可能性が高い理由を、説明変数の重要度(寄与度)が高い方から、下記の通り表している。
1.失踪者Gは、不審者による誘拐未遂事件が複数発生している地点Zで目撃されたのを 最後に失踪していること。
(この場合の推定理由は、「捜査中の事件が発生した場所と過去に犯罪の発生実績がある場所とが一致」である。つまり、この場合は、犯罪の発生実績がある場所において事件が発生したことと事件の種別との関係が推定理由となっている。)
2.失踪者Gが地点Zで目撃されたのは、人通りが少なくなった夜遅い時間であること。
(この場合の推定理由は、「捜査中の事件が発生した場所がある特定の時間帯であること」である。つまり、この場合は、事件が発生した時間帯と事件の種別との関係が推定理由となっている。)
3.失踪者Gと家族、友人との間の関係は良好であること。
(この場合の推定理由は、「事件の被害者とその関係者との間の人間関係の状態」である。つまり、この場合は、被害者とその関係者との間の人間関係の状態と事件の種別との関係が推定理由となっている。)
犯罪捜査支援システム10は、管理者に対して、説明変数を推定理由として視認可能に提示することにより、説明性を向上することができるという効果を奏する。犯罪捜査支援システム10は、また、事件の種別の推定理由として、推定に寄与した説明変数間の関係を視認可能に提示することができる。犯罪捜査支援システム10は、その際、推定理由を視認可能であれば自然言語文ではない態様により、推定理由を視認可能に提示してもよい。
【0071】
また、表示制御部15は、図8には図示していないが、例えば、表示画面200に「SNSを介して知り合った人物からの連絡を受けて、事件の発生場所に行った」という推定理由を表示してもよい。この推定理由は、「インターネットで知り合った人物による指示を受けた後、事件の発生場所に移動」である。つまり、この場合、犯罪捜査支援システム10は、移動履歴情報101及び通信履歴情報102の時系列変化の仕方の特徴(時系列特徴)を推定理由として提示する。犯罪捜査支援システム10は、このように説明変数の時系列変化(変化のタイミングなど)を提示することにより、推定結果の説明性をさらに向上することができる。
【0072】
尚、推定部14が、上述の通り、事件の種別の推定結果として複数の種別を出力した場合、表示制御部15は、捜査中の事件との類似性が最も高い事件の種別から順番に、当該複数の種別を表示画面200に表示するように、管理端末装置20を制御する。表示制御部15は、その際、類似性を示すスコアもあわせて表示画面200に表示するように、管理端末装置20を制御してもよい。
【0073】
また、図8に例示する表示画面200は、重点捜査項目を示すために、関係者間の人間関係及び通信履歴を表すグラフ120と、移動履歴を表すグラフ120を表示している。そして、図8に例示する表示画面200は、移動履歴を表すグラフ120における地点Zを太線の円で囲むことによって、地点Zが重点捜査項目であることを示している。地点Zは、重要度が高い説明変数に関連する場所である。重点捜査項目である地点Zは、捜査官による失踪者Gの持ち物及び不審物等の捜索を重点的に行う対象となる。
【0074】
図8に示す例の場合、犯罪捜査支援システム10は、失踪者が最後に目撃された場所の属性、失踪者が最後に目撃された時間、及び、失踪者と他の関係者との間の人間関係の状態を説明変数としている。そして、表示制御部15は、説明変数の名称とその値とを含む推定理由を、表示画面200に表示する。
【0075】
次に図9のフローチャートを参照して、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10が捜査中の事件の種別を推定する動作(処理)について詳細に説明する。
【0076】
取得部11は、推定対象である捜査中の事件に関する行動履歴情報100と人間関係情報103とを、外部から取得する(ステップS201)。グラフ生成部12は、取得部11によって取得された行動履歴情報100と人間関係情報103とを用いて、グラフ120を生成(更新)する(ステップS202)。
【0077】
推定部14は、グラフ生成部12によって生成されたグラフ120から、所定のアルゴリズムを用いて、関係者の行動及び人間関係の時系列変化の特徴、及び、属性の特徴を抽出する(ステップS203)。
【0078】
推定部14は、グラフ120からの特徴の抽出結果と推定モデル130とに基づいて、捜査中の事件の種別を推定するとともに、その推定理由を特定する(ステップS204)。表示制御部15は、推定部14による捜査中の事件の種別の推定結果とその推定理由を、管理端末装置20の表示画面200に表示し(ステップS205)、全体の処理は終了する。
【0079】
本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、熟練した捜査員でなくても犯罪事件を解決できるように、捜査を好適に支援することができる。その理由は、犯罪捜査支援システム10は、解決済みの事件における関係者の行動履歴及び人間関係に関する情報から、その時系列変化の特徴を抽出した結果を用いて生成された推定モデル130に基づいて、推定対象の事件の種別を推定するからである。
【0080】
以下に、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0081】
通常、犯罪事件発生後の捜査は、警察の捜査員により人手で行われている。特に、熟練した捜査員の経験と勘に頼って、捜査が行われることが多い。したがって、熟練した捜査員の経験と勘に依存することなく事件を解決できるように、犯罪事件の捜査を好適に支援する技術が期待されている。
【0082】
犯罪事件の捜査を好適に支援する方法の一つとして、捜査中の事件の種別を推定することがある。そして、捜査中の事件の種別を高い精度で推定するためには、互いに複雑に影響し合う、様々な因子をふまえて推定する必要がある。そのような因子は、例えば事件の関係者の行動の時系列変化(推移)の特徴や、関係者間の人間関係の時系列変化の特徴などを含む。したがって、事件の種別を高い精度で推定するには、このような関係者の行動及び人間関係に関する時系列変化の特徴を、高い精度で把握した上で分析を行うことが課題である。
【0083】
このような課題に対して、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、推定モデル130と推定部14とを備え、例えば図1乃至図9を参照して上述した通り動作する。即ち、推定モデル130は、第1の事件に関する行動履歴情報100及び人間関係情報103と、第1の事件の種別との関係を表す学習済モデルである。推定部14は、第2の事件に関する行動履歴情報100及び人間関係情報103と、に基づいて、第2の事件の種別を推定する。但し、行動履歴情報100及び人間関係情報103は、第1あるいは第2の事件における関係者の行動及び人間関係に関する時系列変化を表す情報である。
【0084】
本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、行動履歴情報100と人間関係情報103とを表す、ノードとエッジとによって構成される、時系列に構造が変化するグラフ120を生成する。そして犯罪捜査支援システム10は、生成したグラフ120の特徴を抽出及び分析可能な、上述したTGFN、STAR、Netwalk等のアルゴリズムを用いることによって、関係者の行動及び人間関係に関する時系列変化の特徴を高い精度で把握することを実現する。これにより犯罪捜査支援システム10は、熟練した捜査員でなくても犯罪事件を解決できるように、捜査を好適に支援することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、推定モデル130を生成する過程において、事件の種別の推定に関する説明変数を決定し、さらに、個々の説明変数に対して、事件の種別の関係の推定における重要度(寄与度)を決定する。そして、犯罪捜査支援システム10は、説明変数をその重要度により重み付けして事件の種別を推定する。これにより、犯罪捜査支援システム10は、例えば当該重要度を算出することなく推定を行う場合と比較して、事件における関係者の行動履歴及び人間関係の特徴をより正確に捉えた推定を行うので、事件の種別を推定する精度を高めることができる。
【0086】
また、学習済モデルを用いて事象の推定を行う一般的なシステムでは、推定プロセスがブラックボックス化され、推定理由を提示せずに推定結果のみを提示するので、ユーザは、システムが出力した推定結果の根拠を把握することが困難である。これに対して、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、説明変数の値に基づく事件の種別の推定理由を、例えば図8に例示する通り、管理端末装置20の表示画面200に表示する。これにより、犯罪捜査支援システム10は、事件の種別の推定理由に関する説明性を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る犯罪捜査支援システム10は、重要度が高い説明変数に関連する関係者及び場所を、例えば図8に例示する態様で重点捜査項目として表示する。これにより犯罪捜査支援システム10は、事件の迅速な解決につながる適切な捜査を、捜査官に提示することができる。
【0088】
上述した本実施形態では、教師あり機械学習により生成される推定モデルを用いて事件の種別を分類する例について説明した。しかしながら、犯罪捜査支援システム10は、教師なし機械学習であるクラスタリング手法により、事件の種別を分類することも可能である。
【0089】
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係る犯罪捜査支援システム30の構成を示すブロック図である。犯罪捜査支援システム30は、推定モデル31を使用する推定部32を備えている。但し、推定部32は、推定手段の一例である。
【0090】
推定モデル31は、第1の事件(機械学習の対象とする解決済みの事件)に関する行動履歴情報310及び人間関係情報313と、当該第1の事件の種別314との関係を表す。推定モデル31は、例えば、第1の実施形態に係る推定モデル130と同様に、行動履歴情報310と人間関係情報313と、第1の事件の種別314との関係について機械学習を行った結果を表す学習済モデルである。
【0091】
行動履歴情報310は、第1の事件における関係者の行動の時系列変化を表す。行動履歴情報310は、例えば、第1の実施形態に関して図2乃至図4を参照して説明した行動履歴情報100と同様な情報であればよい。
【0092】
人間関係情報313は、第1の事件における関係者の人間関係の時系列変化を表し、例えば、第1の実施形態に関して図4を参照して説明した人間関係情報103と同様な情報であればよい。
【0093】
推定部32は、第2の事件(推定対象である捜査中の事件)に関する行動履歴情報300及び人間関係情報303と、推定モデル31と、に基づいて、第2の事件の種別を推定する。
【0094】
推定部32は、事件の種別を推定する際に、第1の実施形態に係る推定部14と同様に、行動履歴情報300、及び、人間関係情報303から、事件における関係者の行動及び人間関係の時系列変化の特徴を抽出する。推定部32は、この際、第1の実施形態において示した所定のアルゴリズム(TGFN、STAR、Netwalk等)を使用可能である。
【0095】
本実施形態に係る犯罪捜査支援システム30は、熟練した捜査員でなくても犯罪事件を解決できるように、捜査を好適に支援することができる。その理由は、犯罪捜査支援システム30は、解決済みの事件における関係者の行動履歴及び人間関係に関する情報から、その時系列変化の特徴を抽出した結果を用いて生成された推定モデル31に基づいて、推定対象の事件の種別を推定するからである。
【0096】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1に示した犯罪捜査支援システム10、あるいは、図10に示した犯罪捜査支援システム30における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1及び図10において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11、
・グラフ生成部12、
・モデル生成部13、
・推定部14及び32、
・表示制御部15。
【0097】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図11を参照して説明する。
【0098】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る犯罪捜査支援システム10あるいは第2の実施形態に係る犯罪捜査支援システム30を実現可能な情報処理システム900(コンピュータシステム)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図11は、図1及び図10に示した犯罪捜査支援システム10及び30を実現可能な少なくとも1つのコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0099】
図11に示した情報処理システム900は、構成要素として下記を備えているが、下記のうちの一部の構成要素を備えない場合もある。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0100】
即ち、上記構成要素を備える情報処理システム900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理システム900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理システム900は、CPU901に加えてGPU(Graphical_Processing_Unit)(不図示)を備えてもよい。
【0101】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図11に示した情報処理システム900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図10)における上述した構成、或いはフローチャート(図7及び図9)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0102】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0103】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0104】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0105】
(付記1)
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、前記第2の事件の種別を推定する推定手段を備え、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援システム。
【0106】
(付記2)
前記第2の事件の種別の推定理由を表示するよう表示装置を制御する表示制御手段をさらに備える、
付記1に記載の犯罪捜査支援システム。
【0107】
(付記3)
前記行動履歴情報は、前記関係者が移動した履歴を表す、
付記2に記載の犯罪捜査支援システム。
【0108】
(付記4)
前記行動履歴情報は、複数の前記関係者の間において行われた通信の履歴を表す、
付記2または付記3に記載の犯罪捜査支援システム。
【0109】
(付記5)
前記行動履歴情報は、前記関係者が端末装置を操作することによって通信を行った位置を表す、
付記4に記載の犯罪捜査支援システム。
【0110】
(付記6)
前記人間関係情報は、前記関係者の間における人間関係の種別、及び、前記関係者の間における問題の発生状況の少なくともいずれかを表す、
付記2乃至付記5のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0111】
(付記7)
前記行動履歴情報及び前記人間関係情報を表すグラフを生成するグラフ生成手段をさらに備える、
付記2乃至付記6のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0112】
(付記8)
前記グラフは、前記関係者ごとに、前記関係者が移動した際の移動元あるいは移動先を表すノードと、前記移動元から前記移動先への移動経路を表すエッジとを含む、
付記7に記載の犯罪捜査支援システム。
【0113】
(付記9)
前記グラフは、前記関係者を表すノードと、前記関係者の間において行われた通信を表すエッジとを含む、
付記7に記載の犯罪捜査支援システム。
【0114】
(付記10)
前記グラフは、前記関係者を表すノードと、前記関係者の間における人間関係の種別及び前記関係者の間における問題の発生状況の少なくともいずれかを表すエッジとを含む、
付記7に記載の犯罪捜査支援システム。
【0115】
(付記11)
前記第1の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、前記第1の事件の解決後に判明した前記第1の事件の種別とに基づいて、前記推定モデルを生成するモデル生成手段をさらに備える、
付記7乃至付記10のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0116】
(付記12)
前記モデル生成手段は、前記第1の事件の解決後に判明した前記第1の事件の種別がラベルとして付与された前記グラフから、所定のアルゴリズムを用いて、前記第1の事件における前記関係者の行動及び人間関係の時系列変化の特徴を抽出したのち、その抽出結果に基づいて、前記第1の事件の種別に関する説明変数を決定することによって、前記説明変数を含む前記推定モデルを生成する、
付記11に記載の犯罪捜査支援システム。
【0117】
(付記13)
前記モデル生成手段は、複数の前記説明変数の個々に対して、前記第1の事件の種別の推定における重要度を決定し、
前記推定手段は、前記重要度に基づいて、前記第2の事件の種別を推定する、
付記12に記載の犯罪捜査支援システム。
【0118】
(付記14)
前記モデル生成手段は、同一の前記説明変数に対して、前記第1の事件における前記関係者ごとに異なる前記重要度を決定する、
付記13に記載の犯罪捜査支援システム。
【0119】
(付記15)
前記表示制御手段は、前記重要度の順に前記説明変数の名称を並べて表示するとともに、前記説明変数の値を表示する態様で前記推定理由を表示するように、前記表示装置を制御する、
付記13または付記14に記載の犯罪捜査支援システム。
【0120】
(付記16)
前記表示制御手段は、前記第2の事件において、前記重要度が高い前記説明変数に関連する前記関係者及び場所を、重点捜査項目として表示するように、前記表示装置を制御する、
付記13乃至付記15のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0121】
(付記17)
前記推定手段は、
前記第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、前記第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、前記第1の事件と前記第2の事件との類似度を算出し、
前記類似度に基づいて、前記第2の事件の種別を推定する、
付記1乃至付記16のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0122】
(付記18)
前記推定手段は、複数の前記第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と複数の前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、前記第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、複数の前記第1の事件と前記第2の事件との類似度をそれぞれ算出し、
表示制御手段は、前記類似度が高い順に事件の種別を表示する
付記1乃至付記17のいずれか一項に記載の犯罪捜査支援システム。
【0123】
(付記19)
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、前記第2の事件の種別を推定する推定手段を備え、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援装置。
【0124】
(付記20)
情報処理システムによって、
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、前記第2の事件の種別を推定し、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援方法。
【0125】
(付記21)
第1の事件に関する行動履歴情報及び人間関係情報と前記第1の事件の種別との関係を表す推定モデルと、第2の事件に関する前記行動履歴情報及び前記人間関係情報と、に基づいて、前記第2の事件の種別を推定する推定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記行動履歴情報は、前記第1あるいは第2の事件における関係者の行動の時系列変化を表し、
前記人間関係情報は、前記第1あるいは第2の事件における前記関係者の人間関係の時系列変化を表す、
犯罪捜査支援プログラムが格納された記録媒体。
【符号の説明】
【0126】
10 犯罪捜査支援システム
100 行動履歴情報
101 移動履歴情報
102 通信履歴情報
103 人間関係情報
11 取得部
12 グラフ生成部
120 グラフ
13 モデル生成部
130 推定モデル
14 推定部
15 表示制御部
20 管理端末装置
200 表示画面
30 犯罪捜査支援システム
300 行動履歴情報
303 人間関係情報
31 推定モデル
310 行動履歴情報
313 人間関係情報
314 事件の種別
32 推定部
900 情報処理システム
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11