(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】予測装置、予測方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2022551082
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036568
(87)【国際公開番号】W WO2022064679
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】松原 喜二郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 進悟
(72)【発明者】
【氏名】原木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウトン
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215831(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129218(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063446(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データを取得する取得手段と、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成する予測手段と、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成する表示制御手段と、を備え、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する予測装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、第1の表示画面において前記予測に使用された要素を強調して表示する請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記所定期間のうちの1つの単位期間の指定を受け取る指定手段を備え、
前記表示制御手段は、指定された単位期間についての予測結果を生成した予測プロセスに関する情報を表示する第2の表示画面を生成する請求項1又は2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、予測に使用した前記入力データの要素の値と、当該要素に対する係数値とを表示する第4の表示画面を生成する請求項3に記載の予測装置。
【請求項5】
前記予測モデルは、前記入力データの各要素の値が満たす条件に基づいて選択される複数の予測式を含み、
前記表示制御手段は、前記複数の予測式から前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式を選択するために使用した条件の説明文を含む第4の表示画面を生成する請求項3又は4に記載の予測装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記複数の予測式から前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式を選択するために使用した条件を図解で示す第5の表示画面を生成する請求項5に記載の予測装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式に含まれる前記入力データの各要素の前記予測結果に対する寄与度を示す第6の表示画面を生成する請求項3乃至6のいずれか一項に記載の予測装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記複数の予測式の一覧を示す第7の表示画面を生成する請求項5乃至
6のいずれか一項に記載の予測装置。
【請求項9】
コンピュータにより実行される予測方法であって、
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する予測方法。
【請求項10】
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列データに基づく予測に関する。
【背景技術】
【0002】
過去の数値データに基づいて予測値を出力する予測システムが知られている。例えば、特許文献1は、過去の出荷量データや天気データを用いて、商品の将来の出荷量を予測するシステムを記載している。この予測システムでは、予測結果データをグラフ形式で表示するとともに、予測に使用した出荷量データや天気データなどを表形式で表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、予測に使用したデータが表形式で表示されるが、予測システムに入力されたが実際に予測に使用されなったデータは表示されない。また、予測に使用したデータは表示されるものの、それらが実際にどのように使用されて予測値が算出されたかはわからない。
【0005】
本発明の1つの目的は、予測のために入力されたデータのうち、どのデータがどのように利用されて予測結果が得られたかを利用者が容易に理解できるように予測結果を提示する予測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点では、予測装置は、
入力データを取得する取得手段と、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成する予測手段と、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成する表示制御手段と、を備え、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する。
【0007】
本発明の他の観点では、コンピュータにより実行される予測方法は、
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する。
【0008】
本発明のさらに他の観点では、プログラムは、
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する処理をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態に係る予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る予測装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る予測処理のフローチャートである。
【
図6】予測結果表示画面のメイン画面の一例を示す。
【
図15】第2実施形態に係る予測装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】第2実施形態の予測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[予測装置]
図1は、第1実施形態に係る予測装置を示す。予測装置100は、時系列の入力データに基づき需給を予測し、予測結果を表示部などに表示する。例えば、予測装置100は、予測の対象日の気象情報、暦、商品価格などを入力データとし、需給の予測として店舗における特定の商品の販売数や来客数などを予測する。なお、以下の実施形態では、予測装置100は、予測対象日の天気、気温、湿度などに基づいて、店舗への来客数を予測するものとする。
【0011】
[ハードウェア構成]
図2は、予測装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図示のように、予測装置100は、通信部11と、プロセッサ12と、メモリ13と、記録媒体14と、データベース(DB)15と、表示部16と、入力部17とを備える。
【0012】
通信部11は、外部装置との間でデータの入出力を行う。具体的に、予測に用いる入力データが外部からの通信により入力される場合、通信部11は入力データを受信する。また、通信部11は、予測装置100による予測結果を外部装置へ出力する際にも使用される。
【0013】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、予測装置100の全体を制御する。なお、プロセッサ112は、GPU(Graphics Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよい。具体的に、プロセッサ12は、後述する予測処理を実行する。
【0014】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0015】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、予測装置100に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。予測装置100が予測処理を実行する際には、記録媒体14に記録されているプログラムがメモリ13にロードされ、プロセッサ12により実行される。
【0016】
DB15は、通信部11を通じて入力された入力データや、入力部17を用いて入力された入力データを記憶する。また、DB15は、予測装置100が生成した日ごとの予測結果を記憶する。
【0017】
表示部16は、例えば液晶表示装置などであり、予測装置100が生成した予測結果を表示する。入力部17は、利用者が予測の基になる入力データを入力するために使用される。入力部17は、取得手段及び指定手段の一例である。
【0018】
[機能構成]
図3は、予測装置100の機能構成を示すブロック図である。予測装置100は、機能面では、データ取得部21と、予測式決定部22と、予測部23と、表示制御部24とを備える。なお、データ取得部21は上記の通信部11又は入力部17により実現され、予測式決定部22、予測部23及び表示制御部24は上記のプロセッサ12により実現される。
【0019】
データ取得部21は、予測の基になる入力データを取得する。入力データは、需給に影響するデータであり、本実施形態では、店舗への来客数に影響を与える気象情報、暦の情報などである。データ取得部21は、取得した入力データを、予測式決定部22、予測部23及び表示制御部24へ出力する。データ取得部21は、取得手段の一例である。
【0020】
予測式決定部22は、入力データに基づいて、予測に使用する予測式を決定する。本実施形態では、入力データの各要素の値により規定される条件(以下、単に「入力データの条件」とも呼ぶ。)毎に複数の予測式が用意されており、予測式決定部22は、入力データの条件に基づいて、適切な予測式を決定する。例えば、予測装置100には、入力データの要素として「天気」と「最高気温」が入力されるものとする。また、要素「天気」の値は「晴」、「曇」、「雨」、「雪」のいずれかであり、要素「最高気温」の値は最高気温の温度であるとする。この場合、天気と最高気温の値により規定される条件、即ち、天気と最高気温の値の組み合わせに対応する複数の予測式が予め用意されている。そして、予測式決定部22は、予測対象日の天気及び最高気温の組み合わせに対応する予測式を最適な予測式と決定する。なお、予測式の決定方法の具体例については後述する。
【0021】
予測部23は、予測式決定部22が決定した予測式を用いて、入力データから来客数の予測を行う。そして、予測部23は、算出した来客数を予測結果として表示制御部24へ出力する。予測部23は、予測手段の一例である。
【0022】
表示制御部24は、予測結果を表示部16に表示する処理を行う。具体的に、表示制御部24は、データ取得部21から入力データを取得するとともに、予測部23から予測結果を取得する。そして、表示制御部24は、入力データと予測結果とを含む予測結果表示画面を生成し、表示部16に表示する。予測結果表示画面は、予測の根拠となる入力データと、それに基づいて得られた予測結果とを併せて表示する画面であるため、利用者は予測結果を、そのような予測結果となった根拠とともに見ることができる。予測結果表示画面の具体例については後述する。表示制御部24は、表示制御手段の一例である。
【0023】
[予測処理]
次に、予測処理について説明する。
図4は、予測処理のフローチャートである。この処理は、
図2に示すプロセッサ12が、予め用意されたプログラムを実行し、
図3に示す各要素として動作することにより実現される。
【0024】
まず、データ取得部21は、通信部11又は入力部17を通じて、入力データ及び対象日を取得する(ステップS11)。「対象日」とは、予測の対象となる日であり、利用者により指定される。次に、予測式決定部22は、入力データと対象日に基づいて予測式を決定する予測式決定処理を行う(ステップS12)。
【0025】
図5は、予測式決定処理のフローチャートである。この例では、入力データに含まれる天気及び最高気温に応じて、3つの予測式01~03が用意されているものとする。まず、予測式決定部22は、対象日に対応する入力データに含まれる天気が「晴」である否かを判定する(ステップS21)。天気が晴でない場合(ステップS21:No)、予測式決定部22は、予測式03を使用することを決定し(ステップS22)、処理は
図4のメインルーチンへ戻る。
【0026】
一方、天気が晴である場合(ステップS21:Yes)、予測式決定部22は、入力データに含まれる最高気温が15℃以上であるか否かを判定する(ステップS23)。最高気温が15℃以上でない場合(ステップS23:No)、予測式決定部22は、予測式01を使用することを決定し(ステップS24)、処理は
図4のメインルーチンへ戻る。一方、最高気温が15℃以上である場合(ステップS23:Yes)、予測式決定部22は、予測式03を使用することを決定し(ステップS25)、処理は
図4のメインルーチンへ戻る。こうして、予測式決定処理においては、入力データに含まれる各要素の値により規定される条件に基づいて、予め用意された複数の予測式から最適な予測式を決定する。
【0027】
図4に戻り、予測部23は、予測式決定部22が決定した予測式を用いて、入力データから来客数を予測し、予測値(予測来客数)を表示制御部24へ出力する(ステップS13)。そして、表示制御部24は、予測部23から入力された予測値に基づいて、予測結果表示画面を生成し、表示部16に表示する(ステップS14)。そして、予測処理は終了する。なお、利用者により対象日が変更された場合には、新たな対象日について予測処理が再度実行される。
【0028】
[予測結果表示画面]
次に、予測結果表示画面の具体例について説明する。なお、予測結果表示画面は、階層構造で生成された複数の画面から構成される。
図6は、予測結果表示画面のメイン画面30の例を示す。メイン画面30は、第1の表示画面の一例であり、期間指定領域31、32と、予測結果領域33と、カーソル34と、グラフボタン35と、予測プロセスボタン36と、判断プロセスボタン37とを含む。
【0029】
期間指定領域31、32は、予測結果の表示対象となる期間を指定するための領域である。期間指定領域31は、当日を起点として一定期間を指定するための領域であり、利用者はプルダウンメニューにより一定期間を選択することができる。
図6の例では、プルダウンメニューで「10日間」が指定され、12/1から10日間の予測結果が表示されている。期間指定領域32は、開始日と終了日を個別に指定するための領域であり、利用者はプルダウンメニューにより開始日と終了日を指定することができる。
【0030】
予測結果領域33は、期間指定領域31又は32で指定された期間の来客数の予測結果を表示する領域である。図示のように、予測結果領域33は、指定された期間中の日ごとに、その日の来客数の予測値を示す予測値欄33aと、その日について入力された入力データを示す入力データ欄33bとを含む。予測値欄33aは、指定された期間中の来客数の予測値を示す折れ線グラフと、日ごとの予測値の数値とを含む。予測値の数値に加えて、折れ線グラフを示すことにより、利用者は指定された期間中の予測値の推移や傾向を容易に把握することができる。
【0031】
入力データ欄33bは、日ごとの入力データの各要素の値を示す。
図6の例では、入力データは、天気、最高気温、最低気温、湿度などの要素を含む。また、入力データ欄33bにおいて、実際の予測において使用された値の欄はグレーで表示される。例えば、「12/3」については、その日の入力データのうち、要素「天気」の値「雨」と、要素「湿度」の値「82%」の欄がグレー表示されている。これにより、利用者は、12/3の予測値は、入力データのうち天気(雨)と、湿度(82%)を使用して算出されたと知ることができる。なお、上記の例では、実際の予測において使用された値の欄の背景色がグレーで表示されているが、これは一例であり、予測に使用された値と使用されなかった値を別の方法で識別可能に表示してもよい。例えば、文字の色を変える、表示欄の背景色を変える、文字を強調表示するなどして、予測に使用された値と使用されなかった値を識別可能に表示してもよい。
【0032】
カーソル34は、予測結果領域33に表示されている期間のうち、注目する日を選択するためのものであり、利用者の操作により移動可能である。
図6の例では、利用者は、入力部17を操作してカーソル34を12/2に合わせた状態となっている。カーソル34で指定した日(以下、「指定日」とも呼ぶ。)については、後述のように、さらに詳しい情報を見ることができる。
【0033】
グラフボタン35は、予測値のグラフを表示させるためのボタンである。利用者がグラフボタン35を押すと、
図6に示すメイン画面30の代わりに、
図7に例示するグラフ画面40が表示される。グラフ画面40は、グラフ41と、指定日情報42と、指定日ライン43と、戻るボタン44とを含む。グラフ41は、来客数の予測値をグラフで示したものである。グラフ41は基本的に
図6の予測値欄33aと同じグラフであるが、予測値欄33aのグラフが簡易的なグラフであるのに対し、グラフ画面40のグラフ41は、縦軸に来客数の予測値が示されているなど、グラフ自体の詳細情報を見やすく表示したものとなっている。なお、
図7の例では、グラフ41が示す期間は、
図6に示す期間指定領域31又は32で指定した期間と連動している。但し、
図7のグラフ画面40にも
図6の期間指定領域31、32と同様の領域を設け、グラフ画面40上で表示する期間を個別に設定できるようにしてもよい。グラフ画面40を設けることにより、利用者は日々の予測値の推移をより詳細に把握することができる。
【0034】
指定日情報42は、
図6のメイン画面30においてカーソル34で指定した指定日の入力データであり、
図7の例では12/2の天気、最高気温、最低気温、湿度などが表示されている。また、指定日ライン43は、グラフ41における指定日の位置を示している。指定日ライン43が示す指定日は、
図6におけるカーソル34と連動していてもよく、グラフ画面40において利用者の操作により変更可能としてもよい。
【0035】
戻るボタン44は、グラフ画面40からメイン画面30へ戻るためのボタンである。なお、上記の例では、利用者がメイン画面でグラフボタン35を押すと、メイン画面30の代わりにグラフ画面40が表示されることとしているが、その代わりに、グラフ画面40をメイン画面30上に別ウィンドウで表示するようにしてもよい。その場合には、戻るボタン44の代わりに、ウィンドウを閉じるための閉じるボタンなどを設ければよい。
【0036】
図6に戻り、メイン画面30において利用者が予測プロセスボタン36を押すと、予測プロセス画面が表示される。
図8は、予測プロセス画面50の一例である。なお、予測プロセス画面50は、メイン画面30の代わりに表示されてもよく、メイン画面30とは別ウィンドウで表示されてもよい。
【0037】
予測プロセス画面50は、第2の表示画面の一例であり、予測装置100が予測値を予測した際のプロセスの説明を表示する。予測プロセス画面50は、
図6のカーソル34により指定した指定日の予測プロセスを表示する。ここで表示させる予測プロセスは、その日の来客数の予測に使用された予測式に基づくものである。
図8の例では前述の予測式01を使用して予測値が算出されており、予測式01が例えば以下の式であると仮定する。
予測式01: P=a
1x+b
1y+c
但し、「a
1」は天気が晴である場合の係数、「x」は天気の値、「b
1」は最高気温が15℃未満である場合の係数、「y」は最高気温の値、「c」は定数とする。
【0038】
この場合、
図8における「入力データに基づく数値」は、天気及び最高気温に基づいて算出された数値であり、予測式01の「a
1x+b
1y」の項に相当する値である。一方、「ベースの客数基準値」は、予測式01の定数「c」に相当する値である。この予測プロセス画面50を見ることにより、利用者は、標準的な来客数が1,500人程度であり、これに入力データである天気や気温などに基づく変動分を加算して予測値が算出されていることが理解できる。
【0039】
さらに、利用者が予測プロセス画面50の「内訳を見る」のボタン51を押すと、内訳画面が表示される。
図9は、内訳画面60の一例を示す。なお、内訳画面60は、予測プロセス画面50の代わりに表示されてもよく、予測プロセス画面50とは別ウィンドウで表示されてもよい。
【0040】
内訳画面60は、第3の表示画面の一例であり、予測プロセス画面50に示す「入力データに基づく数値」の内訳を説明する画面である。
図9の例では、入力データのうち、天気(晴)と最高気温(12℃)が予測に使用されたことが示されている。また、天気(晴)についての計算上の係数、即ち、天気(晴)が予測値に反映された程度が「15.3」と示され、最高気温(12℃)についての計算上の係数、即ち、最高気温(12℃)が予測値に反映された程度が「10」と示されている。なお、天気(晴)についての係数「15.3」は予測式01の係数「a
1」に対応し、最高気温(12℃)についての係数「10」は予測式01の係数「b
1」に対応している。また、内訳画面60における「予測値の内訳」は、各入力データが予測値に反映された値を示す。例えば、天気(晴)に基づいて、予測値のうちの「153」人が算出され、最高気温(12℃)に基づいて予測値のうちの「120」人が算出されたことが示されている。このように、内訳画面60を表示することにより、利用者は入力データのうちのどのデータがどの程度予測に反映されているのかを知ることができる。
【0041】
なお、
図11の例では、個々の入力データの寄与度を絶対値が大きい順に上から並べて表示しているが、寄与度を入力データのカテゴリ毎にまとめて表示してもよい。例えば、
図11の各入力データの例では、上からカテゴリ「天気(晴、曇、雨)」の寄与度を順に表示し、次にカテゴリ「気温(最高気温、最低気温)」の寄与度を順に表示してもよい。この場合に、さらに各カテゴリ内における順序を、寄与度の絶対値が大きい順に上から並べてもよい。その場合、
図11の例では、カテゴリ「天気」内では上から「晴」、「雨」、「曇」と表示され、カテゴリ「気温」内では上から「最高気温」、「最低気温」の順に表示されることになる。
【0042】
図6に戻り、利用者が判断プロセスボタン37を押すと、判断プロセス画面が表示される。
図10は、判断プロセス画面の一例である。なお、判断プロセス画面70は、メイン画面30の代わりに表示されてもよく、メイン画面30とは別ウィンドウで表示されてもよい。判断プロセス画面70は、予測結果を生成する際に行われた判断のプロセスを説明する画面である。具体的に、判断プロセス画面70は、入力データのうちのどのデータを使用してどの予測式を決定し、予測を行ったかを示す。
【0043】
判断プロセス画面70は、第4の表示画面の一例であり、判断プロセスの説明文71と、各入力データの寄与度を見るためのボタン72と、判断プロセスを図解で見るためのボタン73と、予測式一覧を見るためのボタン74を含む。
【0044】
説明文71は、予測に使用した予測式の記述を含む。
図10の例では、予測式01が使用されたことが記述されている。また、説明文71は、その予測式を使用した理由の記述を含む。
図10の例では、入力データの天気が晴であり、最高気温が15℃未満であるとの条件に基づき、予測式01が選択されたことが記述されている。利用者は、説明文71を読むことにより、どのような判断プロセスで予測式が決定され、使用されたかを容易に理解することができる。
【0045】
判断プロセス画面70において利用者がボタン72を押すと、寄与度画面が表示される。
図11は、寄与度画面80の一例である。なお、寄与度画面80は、判断プロセス画面70の代わりに表示されてもよく、判断プロセス画面70とは別ウィンドウで表示されてもよい。
【0046】
寄与度画面80は、第6の表示画面の一例であり、入力データの各要素の値ごとに、予測におけるその入力データの寄与度を棒グラフで示している。
図11の例では、入力データの要素として、天気(晴)、最高気温、天気(雨)、最低気温、天気(曇)のそれぞれの寄与度が示されている。白色の棒グラフ81は、プラスの寄与度、即ち、来客数の予測値を増加させる方向の寄与度を示す。一方、グレー色のグラフ82は、マイナスの寄与度、即ち、来客数の予測値を減少させる方向の寄与度を示す。例えば、天気(晴)の入力データは、来客数の予測値を増加させるように作用し、天気(雨)の入力データは、来客数の予測データを減少させるように作用する。なお、寄与度画面80では、各入力データの寄与度は、絶対値が大きい順に上から表示される。寄与度画面80を見ることにより、利用者は、どの入力データが予測値に対してどのように作用しているか、即ち、個々の入力データが予測値を増加させているのか、減少させているのか、などを知ることができる。
【0047】
図10に示す判断プロセス画面70において、利用者が判断プロセスを図解で見るためのボタン73を押すと、判断プロセス図解画面が表示される。
図12は、判断プロセス図解画面90の一例を示す。判断プロセス図解画面90は、第5の表示画面の一例であり、入力データに基づいて予測式を決定する方法を示す。
図12の例では、入力データに含まれる各要素の値の条件に基づいて、決定木により予測式を決定する判断プロセスが示されている。この判断プロセスは、
図10における説明文71の内容と一致している。即ち、説明文71は、この判断プロセスに基づいて予測式を決定した過程を説明した文章となっている。なお、
図12の例に示す判断プロセスの内容は、
図5に示した予測式決定処理と同様である。判断プロセス図解画面90を見ることにより、利用者は、入力データに基づいて、どのようなプロセスで予測式が決定されたのかを知ることができる。
【0048】
図10において、利用者が予測式一覧のボタン74を押すと、予測式一覧画面が表示される。
図13は、予測式一覧画面95の一例を示す。なお、予測式一覧画面95は、判断プロセス画面70の代わりに表示されてもよく、判断プロセス画面70とは別ウィンドウで表示されてもよい。予測式一覧画面95は、第7の表示画面の一例であり、判断プロセスで使用される複数の予測式の内容を示す。これにより、利用者は、各予測式を用いてどのように予測値が計算されるかを知ることができる。
【0049】
[変形例]
上記の第1実施形態については、以下の変形例を適用することができる。なお、以下の変形例は、必要に応じて組み合わせて適用することができる。
(変形例1)
上記の第1実施形態では、予測装置100は1つの端末装置としているが、その代わりに、予測装置100をサーバ装置として構成し、端末装置との組み合わせにより予測システムを構成してもよい。
図14は、予測システムの構成の一例を示す。予測システムは、予測装置100と端末装置10とを備える。予測装置100は、サーバ装置として構成され、ネットワークを介して端末装置10と通信する。端末装置10は、利用者が使用するPC、タブレットなどである。
【0050】
利用者は、端末装置10を操作して入力データD1を入力し、予測装置100へ送信する。予測装置100は、入力データD1を利用して予測を行い、予測結果に基づいて予測結果表示画面D2を生成して端末装置10へ送信する。予測結果表示画面は、
図6~13に示した各表示画面である。端末装置10は、受信した予測結果表示画面D2を表示する。これにより、利用者は、端末装置10において、
図6~13に例示した表示画面を見ることができる。
【0051】
(変形例2)
上記の実施形態では、予測装置100は予測式を用いて来客数の予測を行っているが、予測装置100による予測の方法はこれには限られない。例えば、複数の予測モデルを用意し、入力データの条件に応じて最適な予測モデルを選択して予測を行うようにしてもよい。各予測モデルは、機械学習やニューラルネットワークなどを用いて予測を行うモデルであってもよい。また、上記の実施形態では店舗における来客数を予測しているが、本実施形態の手法は他の各種の需給予測、例えば、電力需給、メーカーや工場からの製品の出荷数など、各種の時系列データの需給予測に適用することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図15は、第2実施形態に係る予測装置200の機能構成を示すブロック図である。予測装置200は、取得手段201と、予測手段202と、表示制御手段203とを備える。取得手段201は、入力データを取得する。予測手段202は、予測モデルを用いて、入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成する。表示制御手段203は、入力データ及び予測結果に基づいて、予測結果を示す第1の表示画面を生成する。ここで、第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含む。また、第1の表示画面は、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で入力データの各要素の値を表示する。
【0053】
図16は、第2実施形態の予測装置200による予測処理のフローチャートである。まず、取得手段201は、入力データを取得する(ステップS51)。次に、予測手段202は、予測モデルを用いて、入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成する(ステップS52)。そして、表示制御手段203は、入力データ及び予測結果に基づいて、予測結果を示す第1の表示画面を生成する(ステップS53)。ここで、第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含む。また、第1の表示画面は、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で入力データの各要素の値を表示する。
【0054】
第2実施形態によれば、予測結果の表示画面において、予測に使用された要素と使用されなかった要素が識別可能に表示されるので、利用者は、入力データのどの要素を使用して予測が行われたのかを容易に知ることができる。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)
入力データを取得する取得手段と、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成する予測手段と、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成する表示制御手段と、を備え、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する予測装置。
【0057】
(付記2)
前記表示制御手段は、第1の表示画面において前記予測に使用された要素を強調して表示する付記1に記載の予測装置。
【0058】
(付記3)
前記所定期間のうちの1つの単位期間の指定を受け取る指定手段を備え、
前記表示制御手段は、指定された単位期間についての予測結果を生成した予測プロセスに関する情報を表示する第2の表示画面を生成する付記1又は2に記載の予測装置。
【0059】
(付記4)
前記表示制御手段は、予測に使用した前記入力データの要素の値と、当該要素に対する係数値とを表示する第4の表示画面を生成する付記3に記載の予測装置。
【0060】
(付記5)
前記予測モデルは、前記入力データの各要素の値が満たす条件に基づいて選択される複数の予測式を含み、
前記表示制御手段は、前記複数の予測式から前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式を選択するために使用した条件の説明文を含む第4の表示画面を生成する付記3又は4に記載の予測装置。
【0061】
(付記6)
前記表示制御手段は、前記複数の予測式から前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式を選択するために使用した条件を図解で示す第5の表示画面を生成する付記5に記載の予測装置。
【0062】
(付記7)
前記表示制御手段は、前記指定された単位期間についての予測結果の生成に使用した予測式に含まれる前記入力データの各要素の前記予測結果に対する寄与度を示す第6の表示画面を生成する付記3乃至6のいずれか一項に記載の予測装置。
【0063】
(付記8)
前記表示制御手段は、前記複数の予測式の一覧を示す第7の表示画面を生成する付記5乃至7のいずれか一項に記載の予測装置。
【0064】
(付記9)
前記表示制御手段は、前記表示画面を表示部に表示する付記1乃至8のいずれか一項に記載の予測装置。
【0065】
(付記10)
前記表示画面を端末装置に送信する送信手段を備える付記1乃至8のいずれか一項に記載の予測装置。
【0066】
(付記11)
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する予測方法。
【0067】
(付記12)
入力データを取得し、
予測モデルを用いて、前記入力データに含まれる要素に基づいて予測を行い、予測結果を生成し、
前記入力データ及び前記予測結果に基づいて、前記予測結果を示す第1の表示画面を生成し、
前記第1の表示画面は、単位期間毎に生成された予測結果を所定期間にわたって示すグラフと、前記単位期間毎に取得した入力データの各要素の値とを含み、予測に使用された要素と予測に使用されなかった要素とが識別可能な態様で前記入力データの各要素の値を表示する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【0068】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
10 端末装置
12 プロセッサ
16 表示部
21 データ取得部
22 予測式決定部
23 予測部
24 表示制御部
100 予測装置