(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】照合装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/43 20190101AFI20241008BHJP
【FI】
G06F16/43
(21)【出願番号】P 2022574962
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021001093
(87)【国際公開番号】W WO2022153451
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大弥
(72)【発明者】
【氏名】折田 和久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匡洋
(72)【発明者】
【氏名】福原 悦子
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-003623(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110942036(CN,A)
【文献】特開2020-107037(JP,A)
【文献】特開2013-020316(JP,A)
【文献】特開2006-011591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06T 7/00
G06V 40/00-40/19
G06V 40/30-40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行う照合部と、
特徴データが属する属性データに基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する修正部と、
を有
し、
前記照合部は、照合を行うことで、前記特徴データと予め格納された人物のデータとが類似している度合いを示すスコアを算出し、算出されたスコアを用いて予め格納された人物の順位付けを行い、
前記特徴データには、指紋データと、顔画像データと、が含まれており、
前記照合部は、前記顔画像データを用いた照合により顔閾値以上のスコアが算出されず、かつ、前記指紋データを用いた照合により指紋閾値以上のスコアが算出されなかった場合に、前記顔画像データを用いた照合の結果と前記指紋データを用いた照合の結果とを、所定閾値以上となる前記特徴データの数またはスコアの合計値のうちの少なくとも一方を算出することで統合して順位付けする
照合装置。
【請求項2】
前記属性データには、犯罪の種類、性別または年齢、または、位置を示す情報、のうちの少なくとも1つが含まれている
請求項1に記載の照合装置。
【請求項3】
前記修正部は、特徴データを取得した現場で生じた犯罪の種類と、予め格納された人物が実行した犯罪の種類と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
請求項1または請求項2に記載の照合装置。
【請求項4】
前記修正部は、特徴データを取得した現場で生じた犯罪の種類と、予め格納された人物が実行した犯罪の種類と、に基づいて、犯罪相関図が示す犯罪の関係性に応じた修正を行う
請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項5】
前記修正部は、前記特徴データから推測した人物の年齢または性別と、予め格納された人物の年齢または性別と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
請求項1から請求項4までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項6】
前記修正部は、前記特徴データの取得位置に応じた位置を示す情報と、予め格納された人物の住所を示す情報と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
請求項1から請求項5までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正
し、
人物の順位付けを行う際は、前記照合を行うことで、前記特徴データと予め格納された人物のデータとが類似している度合いを示すスコアを算出し、算出されたスコアを用いて予め格納された人物の順位付けを行い、
前記特徴データには、指紋データと、顔画像データと、が含まれており、
人物の順位付けを行う際は、前記顔画像データを用いた照合により顔閾値以上のスコアが算出されず、かつ、前記指紋データを用いた照合により指紋閾値以上のスコアが算出されなかった場合に、前記顔画像データを用いた照合の結果と前記指紋データを用いた照合の結果とを、所定閾値以上となる前記特徴データの数またはスコアの合計値のうちの少なくとも一方を算出することで統合して順位付けする
照合方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正
し、
人物の順位付けを行う際は、前記照合を行うことで、前記特徴データと予め格納された人物のデータとが類似している度合いを示すスコアを算出し、算出されたスコアを用いて予め格納された人物の順位付けを行い、
前記特徴データには、指紋データと、顔画像データと、が含まれており、
人物の順位付けを行う際は、前記顔画像データを用いた照合により顔閾値以上のスコアが算出されず、かつ、前記指紋データを用いた照合により指紋閾値以上のスコアが算出されなかった場合に、前記顔画像データを用いた照合の結果と前記指紋データを用いた照合の結果とを、所定閾値以上となる前記特徴データの数またはスコアの合計値のうちの少なくとも一方を算出することで統合して順位付けする
処理を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合装置、照合方法、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
犯行現場周辺などにおいて取得した指紋や顔画像データなどの特徴データを、データベースに格納されている情報と照合することで、犯行現場周辺などに滞在した人物の特定を試みることが知られている。このような照合などにおいては、コンピュータを用いた照合では明確な結果を得ることが出来なかった場合において、鑑識官などの確認者が候補の確認を行うことがあった。
【0003】
照合する際に用いることが可能な技術の一例としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、指静脈&指紋&顔生体情報取得機能により取得されたあるいは出入国審査時生体審査情報に保管された特定の生体情報に合致する生体情報が、生体情報ウォッチリストのデータ内に存在するか否かを判定する生体情報ウォッチリスト照合機能について記載されている。また、特許文献1には、マルチモーダル(例えば、顔、指紋、指静脈などの複数種類の生体情報)を使って照合してもよい旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鑑識官などの確認者による確認は、取得した特徴データの数などによっては膨大な数にのぼるおそれがある。その結果、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際に、確認者に多大な負担がかかることがある、という課題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際に、確認者に多大な負担がかかることがある、という課題を解決することが可能な照合装置、照合方法、記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である照合装置は、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行う照合部と、
特徴データが属する属性データに基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する修正部と、
を有する
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の他の形態である照合方法は、
情報処理装置が、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
情報処理装置に、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する
処理を実現するためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
上述したような各構成によると、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際に、確認者にかかる負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施形態における照合装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】照合部による照合処理の一例を説明するための図である。
【
図7】照合部による照合処理の一例を説明するための図である。
【
図8】修正部による修正処理の一例を説明するための図である。
【
図9】犯罪相関図を用いた修正処理の一例を説明するための図である。
【
図10】本開示の第1の実施形態における照合装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第2の実施形態における照合装置の構成例を示すブロック図である。
【
図13】本開示の第2の実施形態における照合装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の第3の実施形態における照合装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図15】照合装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、
図1から
図10までを参照して説明する。
図1は、照合装置100の構成例を示すブロック図である。
図2は、格納情報141の一例を示す図である。
図3は、特徴情報142の一例を示す図である。
図4は、属性情報の一例を示す図である。
図5は、順位情報144の一例を示す図である。
図6、
図7は、照合部154による照合処理の一例を説明するための図である。
図8は、修正部156による修正処理の一例を説明するための図である。
図9は、犯罪相関図を用いた修正処理の一例を説明するための図である。
図10は、照合装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0013】
本開示の第1の実施形態においては、現場や現場周辺などにおいて取得した指紋データや顔画像データなどの特徴データを記憶部140に格納されている格納情報141と照合する照合装置100について説明する。後述するように、照合装置100は、特徴データを格納情報141と照合することにより、現場にいた可能性のある候補者を示す人物の順位付けを行う。また、照合装置100は、特徴データが属する属性を示す属性情報に基づいて、順位付けの結果を修正する。そして、照合装置100は、修正した結果を出力する。
【0014】
なお、本実施形態において、特徴データとは、現場や現場周辺などにおいて取得した、何らかの人物の特徴を示すデータのことをいう。特徴データには、例えば、指紋データ、顔画像データ、虹彩データなど、人物の特徴を示すデータのうちの少なくとも1つが含まれる。特徴データは、上記例示した以外の人物の特徴を示してもよい。また、属性データとは、特徴データが属する属性を示すデータのことをいう。属性データには、例えば、窃盗、覚せい剤取締法、傷害・暴行、強盗などの現場で生じた犯罪の種類、特徴データを有する人物の年齢や性別、特徴データを取得した場所を示す位置情報(現場の位置を示す情報)、などのうちの少なくとも1つが含まれる。属性データは、上記例示した以外の属性を示してもよい。また、上記現場には、例えば、事件現場や事故現場など、何らかの事象が生じた場所、特徴データの取得対象となる場所などを含んでよい。
【0015】
照合装置100は、現場や現場周辺などにおいて取得した特徴データの照合を行うことで現場にいた可能性のある候補者を示す人物の順位付けを行う情報処理装置である。
図1は、照合装置100の構成例を示している。
図1を参照すると、照合装置100は、主な構成要素として、例えば、操作入力部110と、画面表示部120と、通信I/F部130と、記憶部140と、演算処理部150と、を有している。
【0016】
なお、照合装置100は、操作入力部110を有さないなど上記例示した構成の一部を有さなくてもよいし、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0017】
操作入力部110は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部110は、照合装置100を操作するオペレータの操作を検出して演算処理部150に出力する。
【0018】
画面表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部120は、演算処理部150からの指示に応じて、記憶部140に格納された各種情報などを画面表示することが出来る。
【0019】
通信I/F部130は、データ通信回路からなる。通信I/F部130は、通信回線を介して接続された監視カメラなどの撮像装置、指紋センサ、そのほか外部情報処理装置などの外部装置との間でデータ通信を行う。
【0020】
記憶部140は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部140は、演算処理部150における各種処理に必要な処理情報やプログラム146を記憶する。プログラム146は、演算処理部150に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム146は、通信I/F部130などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部140に保存されている。記憶部140で記憶される主な情報としては、例えば、格納情報141、特徴情報142、属性情報143、順位情報144、修正後順位情報145などがある。
【0021】
格納情報141は、例えば、過去に逮捕歴などがあり身元が分かっている人物の情報を含んでいる。格納情報141は、例えば、通信I/F部130などを介して外部装置などから予め取得され、記憶部140に格納されている。
【0022】
図2は、格納情報141の一例を示している。
図2を参照すると、格納情報141には、例えば、識別情報と、氏名と、格納特徴データと、格納属性データと、が含まれている。格納情報141には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。
【0023】
図2で示す各情報のうち、識別情報は、例えば、予め一意に与えられている。また、氏名は、対応する格納特徴データや格納属性データを有する人物の苗字や名前などを示している。また、格納特徴データは、人物の特徴を示している。例えば、格納特徴データには、人物の指紋データ、顔画像データ、虹彩データなどのうちの少なくとも1つが含まれている。なお、格納特徴データは、指紋や顔などの画像データなどであってもよいし、画像データから抽出した特徴点を示す情報や特徴点などに基づいて算出される特徴量を示す情報などであってもよい。また、格納属性データは、格納特徴データや対応する人物が属する属性を示している。例えば、格納属性データには、窃盗、覚せい剤取締法、傷害・暴行、強盗などの対応する格納特徴データを有する人物が実行した犯罪の種類、格納特徴データを有する人物の年齢や性別、犯行現場の位置を示す情報、格納特徴データを有する人物の現在や過去の住所を示す情報、などのうちの少なくとも1つが含まれている。
【0024】
特徴情報142は、現場や現場周辺などにおいて取得した、何らかの人物の特徴を示す特徴データを含んでいる。特徴情報142は、例えば、通信I/F部130などを介して監視カメラやカメラなどの撮像装置、指紋センサなどの外部装置などからデータを取得することなどにより更新される。
【0025】
図3は、特徴情報142の一例を示している。
図3を参照すると、特徴情報142には、例えば、識別情報と、特徴データと、が含まれている。例えば、
図3で示すように、特徴情報142には、現場や現場周辺で取得された複数の特徴データが含まれてよい。特徴情報142には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。
【0026】
図3で示す各情報のうち、識別情報は、例えば、特徴データに対して一意に与えられる。また、特徴データは、現場や現場周辺で取得された、何らかの人物の特徴を示している。例えば、特徴データは、人物の指紋データ、顔画像データ、虹彩データなどのうちの1つである。
【0027】
属性情報143は、特徴情報142に含まれる特徴データが属する属性を示す属性データを含んでいる。属性情報143は、例えば、操作入力部110を介して入力を受け付ける、通信I/F部130を介して外部装置などから取得する、特徴データに基づいて取得する、などの方法によりデータを取得することにより更新される。
【0028】
図4は、属性情報143の一例を示している。
図4を参照すると、属性情報143には、例えば、識別情報と、属性データと、が含まれている。例えば、属性情報143には、特徴情報142に含まれる各特徴データに対応する属性データが含まれている。属性情報143には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。
【0029】
図4で示す各情報のうち、識別情報は、例えば、属性データに対して一意に与えられる。識別情報は、例えば、特徴情報142に含まれる識別情報に対応するものであってよい。また、属性データは、特徴データが属する属性を示している。例えば、属性データは、窃盗、覚せい剤取締法、傷害・暴行、強盗などの特徴データを取得した現場で生じた犯罪の種類、特徴データから推測される人物の年齢や性別、特徴データを取得した場所を示す位置情報、などのうちの少なくとも一つである。
【0030】
順位情報144は、特徴情報142に含まれる特徴データを格納情報141に含まれる情報と照合することにより、格納情報141に含まれる人物の順位付けを行った結果を示している。具体的には、例えば、順位情報144は、照合を行うことにより候補として挙がってきた特徴データである類似特徴データの数が多い順、スコアが大きい順、などで人物を順位付けした結果を示している。例えば、順位情報144は、後述する照合部154による照合処理により算出されるスコアなどに基づいて、順位付け部155が順位付けすることにより生成される。
【0031】
図5は、順位情報144の一例を示している。
図5を参照すると、順位情報144には、ランクと、氏名と、格納属性データと、類似特徴データと、スコアを示すスコア情報と、スコアの合計を示す総合スコア情報とが含まれている。順位情報144には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。また、順位情報144は、格納属性データを含まないなど、上記例示したうちの一部のみを有してもよい。
【0032】
図5で示す各情報のうち、類似特徴データは、照合処理の結果、格納情報141に含まれる格納特徴データと同一である可能性がある(または、類似する)と判断された特徴データを含んでいる。
図5で示すように、格納特徴データと同一である可能性があると判断される特徴データが複数存在する場合、類似特徴データの項目には複数の特徴データが含まれる。また、スコア情報は、照合処理により算出されるスコアを示しており、例えば、特徴データと格納特徴データとの類似性を示している。例えば、スコア情報が示すスコアは、値が大きければ大きいほど格納特徴データと特徴データとが類似している(つまり、同一である可能性があること)を示している。そのため、例えば、スコア情報が示すスコアが所定閾値以上となる特徴データについて、格納特徴データと同一である可能性があると判断することが出来る。また、総合スコア情報は、スコア情報が示すスコアに基づいて判断される総合的なスコアである。例えば、総合スコア情報は、スコア情報に含まれる各スコアを足し合わせた値となっている。例えば、
図5で示す場合、照合処理の結果、現場で取得された各特徴データのうち「Bcd」「Cdq」の2つの特徴データが、氏名「ABC」の人物が有する格納特徴データ(
図2で示す「aaa」)と同一である可能性があると判断されたことを示している。
【0033】
なお、
図5で示す場合、順位情報144は、候補として挙がってきた特徴データである類似特徴データの数が多いほどより上位となるように人物を順位付けた結果について示している。換言すると、順位情報144は、格納特徴データと同一である可能性があると判断された特徴データの数が多ければ多いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付けした結果を示している。また、順位情報144は、総合スコア情報が示す合計のスコアが高ければ高いほどより上位となるように人物を順位付けた結果について示している。なお、順位情報144は、上記例示した以外方法のうちのいずれか、または、上記例示した方法以外により人物を順位付けた結果について示してもよい。
【0034】
修正後順位情報145は、順位情報144が示す順位付けの結果を属性情報143に基づいて修正した後の結果を示している。修正処理の詳細については後述する。
【0035】
演算処理部150は、CPUなどの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部150は、記憶部140からプログラム146を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム146とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部150で実現される主な処理部としては、例えば、特徴データ取得部151、属性データ取得部152、特徴点抽出部153、照合部154、順位付け部155、修正部156、出力部157などがある。
【0036】
特徴データ取得部151は、通信I/F部130を介して、撮像装置や外部装置などから現場や現場周辺において取得した特徴データを取得する。すると、特徴データ取得部151は、取得した特徴データを特徴情報142として記憶部140に格納する。なお、特徴データ取得部151は、一つの現場から複数の特徴データを取得してよい。
【0037】
属性データ取得部152は、特徴データに対応する属性データを取得して、取得した属性データを属性情報143として記憶部140に格納する。
【0038】
例えば、属性データ取得部152は、操作入力部110を介して入力を受け付ける、通信I/F部130を介して外部装置などから取得する、などの方法により、対応する特徴データを示す情報とともに、属性データを取得する。すると、属性データ取得部152は、取得した属性データを属性情報143として記憶部140に格納する。
【0039】
また、属性データ取得部152は、特徴データに基づいて属性データを取得するよう構成してもよい。例えば、属性データ取得部152は、特徴データである顔画像データや指紋データに基づいて、人物の年齢や性別を示す属性データなどを取得するよう構成することが出来る。属性データ取得部152による特徴データに基づく属性データの取得は、例えば、予め機械学習することで生成したモデルに対して特徴データを入力することで出力される性別や年齢などの属性データを取得する、指紋データが示す隆線の幅や深さ、指紋の成分などに基づいて、年齢や性別などの属性データを取得する、など既知の方法により実現することが出来る。
【0040】
特徴点抽出部153は、特徴情報142に含まれる特徴データから特徴点を抽出する。特徴点抽出部153は、既知の手段を用いて特徴点を抽出してよい。例えば、特徴点抽出部153は、特徴データが顔画像データである場合に目、鼻、口などに応じた特徴点を抽出する、特徴データが指紋データである場合に端点や分岐点などの特徴点を抽出する、などの方法により、特徴点を抽出することが出来る。なお、特徴点抽出部153は、抽出した特徴点などに基づいて、特徴データの特徴を示す特徴量などを抽出するよう構成してもよい。
【0041】
照合部154は、特徴データと格納特徴データとの照合を行う。例えば、照合部154は、現場で取得した各特徴データについて、格納情報141に含まれる各格納特徴データと比較照合して、類似している度合いを示すスコアを算出する。つまり、照合部154は、
図6で示すように、現場で取得した各特徴データについて、1:N(N=格納情報141に含まれる対応する格納特徴データの数)で全照合を行う。その結果、
図7で示すように、照合部154は、特徴データと格納特徴データとの各組合せについて、類似している度合いを示すスコアを算出することになる。また、照合部154は、算出したスコアが所定閾値以上となる組み合わせについて、同一である可能性があると判断することが出来る。同一である可能性があると判断するための閾値は、任意の値であってよい。
【0042】
具体的には、例えば、照合部154は、特徴点抽出部153が抽出した特徴点や特徴量と、格納情報141に含まれる格納特徴データから抽出される特徴点や特徴量(または、格納情報141に含まれる特徴点や特徴量)と、の比較照合を行うことで、特徴データと格納特徴データとが類似している度合いを示すスコアを算出する。本実施形態においては、照合部154による具体的なスコア算出方法については特に限定しない。照合部154は、特徴点抽出部153が抽出した特徴点や特徴量と、格納情報141に含まれる格納特徴データから抽出される特徴点や特徴量(または、格納情報141に含まれる特徴点や特徴量)と、の間の近さなどに基づいて、既知の方法によりスコアを算出するよう構成してよい。
【0043】
順位付け部155は、照合部154による処理の結果に基づいて、格納情報141に含まれる人物の順位付けを行う。そして、順位付け部155は、順位付けの結果を順位情報144として記憶部140に格納する。
【0044】
例えば、順位付け部155は、格納特徴データとの間のスコアが所定閾値以上となる特徴データの数(つまり、格納特徴データと同一である可能性があると判断可能な特徴データの数)が多ければ多いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付けする。また、順位付け部155は、特徴データの数が同数の場合において、スコアの合計値である総合スコア情報が示す合計のスコアが高ければ高いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付ける。例えば、以上のように、順位付け部155は、格納特徴データと同一である可能性があると判断される特徴データの数と、スコアの値と、に基づいて、格納情報141に含まれる人物の順位付けを行う。そして、順位付け部155は、順位付けの結果を順位情報144として記憶部140に格納する。
【0045】
なお、順位付け部155は、上記例示した以外の方法で順位付けを行ってもよい。例えば、順位付け部155は、総合スコア情報が示す合計のスコアのみに基づいて人物の順位付けを行ってもよいし、例示した以外の方法を用いて順位付けを行ってもよい。
【0046】
修正部156は、属性情報143が示す属性データに基づいて、順位付け部155が順位付けした結果を修正する。そして、修正部156は、修正した結果を修正後順位情報145として記憶部140に格納する。
【0047】
例えば、修正部156は、
図8で示すように、属性データに応じて総合スコア情報が示すスコア(または、スコア情報が示すスコア)に所定値を加算する。そして、修正部156は、加算した後の総合スコア情報が示すスコアが高ければ高いほどより上位になるように順位付けの結果を修正する。例えば、修正部156は、上記のような処理により、順位付け部155が順位付けした結果を修正する。
【0048】
具体的には、例えば、修正部156は、現場で生じた犯罪の種類と、格納属性データが示す人物が実行した犯罪の種類と、に基づいて、総合スコア情報が示すスコアに所定値を加算することが出来る。一例として、修正部156は、現場で生じた犯罪の種類と、格納属性データが示す人物が実行した犯罪の種類と、が同一である場合に、所定値を加算することが出来る。また、
図9の犯罪相関図で示すように、ある犯罪を実行した者が後に実行する犯罪の種類にはある程度の関係がある。そのため、修正部156は、犯罪相関図が示すような犯罪の関係性に応じてスコアを加算するよう構成してもよい。換言すると、修正部156は、格納属性データが示す種類の犯罪を実行した人物による現場で生じた犯罪の種類の実行しやすさに応じた値を加算するよう構成してもよい。
【0049】
また、例えば、修正部156は、現場で取得した特徴データから推測した人物の年齢や性別と、格納属性データが示す人物の年齢や性別と、に基づいて、総合スコア情報が示すスコアに所定値を加算することが出来る。一例として、修正部156は、特徴データから推測した人物の年齢や性別と、格納属性データが示す人物の年齢や性別と、が同一である場合に、所定値を加算することが出来る。修正部156は、年齢が同一である場合、性別が同一である場合、それぞれの場合に所定値を加算するよう構成してもよい。また、修正部156は、特徴データから推測した人物の年齢と、格納属性データが示す人物の年齢と、の近さに応じた値をスコアに加算するよう構成してもよい。
【0050】
また、例えば、修正部156は、現場の位置を示す情報と、格納属性データが示す犯行現場の位置を示す情報や格納特徴データを有する人物の現在や過去の住所を示す情報と、に基づいて、総合スコア情報が示すスコアに所定値を加算することが出来る。一例として、修正部156は、現場の位置と、格納属性データが示す犯行現場の位置や格納特徴データを有する人物の現在や過去の住所などと、の近さに応じた値をスコアに加算することが出来る。例えば、修正部156は、現場の位置と、格納属性データが示す犯行現場の位置や格納特徴データを有する人物の現在や過去の住所などと、が近ければ近いほどより大きな値をスコアに加算することが出来る。
【0051】
修正部156は、上記例示した方法のいずれか、または、複数を組み合わせた方法により、スコアの修正を行うことが出来る。修正部156は、上記例示した以外の属性データに応じてスコアを修正するよう構成してもよい。
【0052】
出力部157は、修正後順位情報145を出力する。例えば、出力部157は、修正後順位情報145を画面表示部120に画面表示したり、通信I/F部130を介して外部装置に対して送信したりすることが出来る。
【0053】
なお、出力部157は、修正後順位情報145のすべてを出力しても構わないし、上位20パーセントなど予め定められた基準で抽出される修正後順位情報145の一部のみを出力してもよい。また、出力部157は、順位情報144など記憶部140に格納された修正後順位情報145以外の情報も出力するよう構成してもよい。
【0054】
以上が、照合装置100の構成例である。続いて、
図10を参照して照合装置100の動作例について説明する。
【0055】
図10は、照合装置100の動作例を示すフローチャートである。
図10を参照すると、特徴データ取得部151は、通信I/F部130を介して、撮像装置や外部装置などから現場において取得した特徴データを取得する。また、属性データ取得部152は、特徴データに対応する属性データを取得する(ステップS101)。なお、属性データ取得部152は、操作入力部110を介して入力を受け付ける、通信I/F部130を介して外部装置などから取得する、などの方法により属性データを取得してもよいし、特徴データに基づいて属性データを取得してもよい。
【0056】
特徴点抽出部153は、特徴情報142に含まれる特徴データから特徴点を抽出する(ステップS102)。特徴点抽出部153は、既知の手段を用いて特徴点を抽出してよい。
【0057】
照合部154は、特徴点抽出部153が抽出した結果を用いて、特徴データと格納特徴データとの照合を行う(ステップS103)。例えば、照合部154は、現場で取得した各特徴データについて、格納情報141に含まれるすべての格納特徴データと比較照合して、類似している度合いを示すスコアを算出する。
【0058】
順位付け部155は、照合部154による処理の結果に基づいて、格納情報141に含まれる人物の順位付けを行う(ステップS104)。例えば、順位付け部155は、格納特徴データとの間のスコアが所定閾値以上となる特徴データの数(つまり、格納特徴データと同一である可能性があると判断可能な特徴データの数)が多ければ多いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付けする。また、順位付け部155は、特徴データの数が同数の場合において、スコアの合計値である総合スコア情報が示す合計のスコアが高ければ高いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付ける。順位付け部155は、上記例示した以外の方法で順位付けを行ってもよい。
【0059】
修正部156は、属性情報143が示す属性データに基づいて、順位付け部155が順位付けした結果を修正する(ステップS105)。例えば、修正部156は、属性データに応じて総合スコア情報が示すスコア(または、スコア情報が示すスコア)に所定値を加算する。そして、修正部156は、加算した後の総合スコア情報が示すスコアが高ければ高いほどより上位になるように順位付けの結果を修正する。
【0060】
出力部157は、修正後順位情報145を出力する(ステップS106)。例えば、出力部157は、修正後順位情報145を画面表示部120に画面表示したり、通信I/F部130を介して外部装置に対して送信したりすることが出来る。
【0061】
以上が、照合装置100の動作例である。
【0062】
このように、照合装置100は、順位付け部155と修正部156とを有している。このような構成により、照合装置100は、順位付け部155が順位付けした結果を修正部156により修正することが出来る。その結果、より現場にいた可能性のある人物をより上位に位置させることが可能となる。これにより、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際にかかる負担を低減させることが出来る。
【0063】
なお、本実施形態においては、抽出した特徴点を用いた照合を行う照合装置100について説明した。しかしながら、本発明は、特徴点を用いた照合を行う照合装置100以外の照合装置に適用されてもよい。例えば、本発明は、パターンマッチングなどにより照合を行って順位付けした結果を属性データに基づいて修正するよう構成してもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、1台の情報処理装置により照合装置100としての機能を実現する場合について説明した。しかしながら、照合装置100としての機能は、例えば、クラウド上などネットワークを介して接続された複数の装置により実現されてもよい。また、照合装置100としての機能は、複数の装置で構成されたシステムにより実現されてもよい。例えば、以上のように、照合装置100の構成は、様々な変形例を採用してよい。
【0065】
[第2の実施形態]
続いて、本開示の第2の実施形態について、
図11から
図13までを参照して説明する。
図11は、照合装置200の構成例を示すブロック図である。
図12は、順位情報244の一例を示す図である。
図13は、照合装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0066】
本開示の第2の実施形態においては、第1の実施形態で説明した照合装置100の一例である照合装置200について説明する。後述するように、照合装置200は、現場や現場周辺などにおいて取得した顔画像データと指紋データとを特徴データとして取得する。また、照合装置200は、顔画像データを用いた照合を行うとともに、指紋データを用いた照合を行う。そして、照合装置200は、顔画像データを用いた照合により顔閾値以上のスコアが算出されず、かつ、指紋データを用いた照合により指紋閾値以上のスコアが算出されなかった場合、顔画像データを用いた照合の結果と指紋データを用いた照合の結果とを統合して順位付けする。その後、照合装置200は、顔画像データや指紋データが属する属性を示す属性情報に基づいて、順位付けの結果を修正する。
【0067】
図11は、照合装置200の構成例を示している。
図11を参照すると、照合装置200は、主な構成要素として、例えば、操作入力部110と、画面表示部120と、通信I/F部130と、記憶部240と、演算処理部250と、を有している。なお、照合装置200は、第1の実施形態で説明した照合装置100と同様に、操作入力部110を有さないなど上記例示した構成の一部を有さなくてもよいし、上記例示した以外の構成を有してもよい。また、照合装置100と同様に、照合装置200としての機能は、1台の情報処理装置により実現されてもよいし、クラウド上などで実現されてもよい。
【0068】
記憶部240は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部240は、演算処理部250における各種処理に必要な処理情報やプログラム246を記憶する。プログラム246は、演算処理部250に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム246は、通信I/F部230などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部240に保存されている。記憶部240で記憶される主な情報としては、例えば、格納情報241、特徴情報242、属性情報243、順位情報244、修正後順位情報245などがある。
【0069】
格納情報241は、第1の実施形態で説明した格納情報141と同様の情報である。格納情報241の場合、格納特徴データとして、人物の指紋データと顔画像データとが少なくとも含まれている。
【0070】
特徴情報242は、特徴情報142と同様の情報であり、現場や現場周辺などにおいて取得した、何らかの人物の特徴を示す特徴データを含んでいる。特徴情報242には、特徴データとして顔画像データと指紋データとが少なくとも含まれる。
【0071】
属性情報243は、属性情報143と同様の情報であり、特徴データが属する属性を示す属性データを含んでいる。つまり、属性情報243には、特徴データである顔画像データが属する属性を示す属性データと、特徴データである指紋データが属する属性を示す属性データと、が含まれている。
【0072】
順位情報244は、順位情報144と同様の情報であり、顔画像データを格納情報241と照合した結果と指紋データを格納情報241と照合した結果とを統合して順位付けした結果を示している。
【0073】
図12は、順位情報244の一例を示している。
図12を参照すると、順位情報244には、ランクと、氏名と、格納属性データと、類似特徴データ(指紋)と、スコア情報(指紋)と、類似特徴データ(顔画像)と、スコア情報(顔画像)と、総合スコア情報とが含まれている。つまり、順位情報244には、指紋データを照合した結果として算出されるスコア情報であるスコア情報(指紋)と、顔画像データを照合した結果として算出されるスコア情報であるスコア情報(顔画像)と、が含まれている。なお、順位情報244には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。また、順位情報244は、格納属性データを含まないなど、上記例示したうちの一部のみを有してもよい。
【0074】
修正後順位情報245は、修正後順位情報145と同様の情報であり、順位情報244が示す順位付けの結果を属性情報243に基づいて修正した後の結果を示している。
【0075】
演算処理部250は、CPUなどの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部250は、記憶部240からプログラム246を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム246とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部250で実現される主な処理部としては、例えば、顔画像データ取得部251、指紋データ取得部252、属性データ取得部253、特徴点抽出部254、照合部255、判断部256、統合・順位付け部257、修正部258、出力部259などがある。
【0076】
顔画像データ取得部251は、通信I/F部130を介して、撮像装置や外部装置などから現場において取得した特徴データである顔画像データを取得する。すると、顔画像データ取得部251は、取得した顔画像データを特徴情報242として記憶部240に格納する。なお、顔画像データ取得部251は、一つの現場から複数の顔画像データを取得してよい。
【0077】
指紋データ取得部252は、通信I/F部130を介して、撮像装置や外部装置などから現場において取得した特徴データである指紋データを取得する。すると、指紋データ取得部252は、取得した指紋データを特徴情報242として記憶部240に格納する。なお、指紋データ取得部252は、一つの現場から複数の指紋データを取得してよい。
【0078】
属性データ取得部253は、特徴データに対応する属性データを取得して、取得した属性データを属性情報243として記憶部240に格納する。本実施形態の場合、属性データ取得部253は、特徴データである顔画像データに対応する属性データを取得するとともに、特徴データである指紋データに対応する属性データを取得する。
【0079】
特徴点抽出部254は、特徴点抽出部153と同様に、特徴情報142に含まれる特徴データである顔画像データと指紋データから特徴点を抽出する。また、照合部255は、照合部154と同様に、特徴データと格納特徴データとの照合を行うことで、スコアを算出する。本実施形態の場合、例えば、照合部255は、顔画像データについて1:Nで全照合を行うとともに、指紋データについて1:Nで全照合を行う。
【0080】
判断部256は、照合部255による照合の結果に基づいて、照合部255による照合の結果を統合するか否か判断する。
【0081】
例えば、判断部256は、顔画像データを用いた照合により算出されるスコアと予め定められた顔閾値とを比較する。そして、顔閾値以上のスコアが算出されていた場合、判断部256は、顔閾値以上となるスコアに対応する人物についての情報を出力するとともに、統合処理を行わないと判断する。また、例えば、判断部256は、指紋データを用いた照合により算出されるスコアと予め定められた指紋閾値とを比較する。そして、指紋閾値以上のスコアが算出されていた場合、判断部256は、指紋閾値以上となるスコアに対応する人物についての情報を出力するとともに、統合処理を行わないと判断する。また、判断部256は、顔閾値以上のスコアが算出されず、かつ、指紋閾値以上のスコアが算出されなかった場合、統合処理を行うと判断する。例えば、以上のように、判断部256は、照合部255による照合により算出されるスコアに基づいて、統合処理を行うか否か判断する。なお、顔閾値と指紋閾値は、任意の値であってよい。
【0082】
統合・順位付け部257は、判断部256が統合処理を行うと判断した場合に、顔画像データを用いた照合の結果と指紋データを用いた照合の結果とを統合するとともに、統合した結果として算出される総合スコア情報などに基づいて人物の順位付けを行う。そして、統合・順位付け部257は、順位付けの結果を順位情報244として記憶部240に格納する。
【0083】
例えば、統合・順位付け部257は、格納情報241に含まれる各人物について、顔画像データを用いた照合の結果として算出されるスコアと指紋データを用いた照合の結果として算出されるスコアとを統合する。そして、統合・順位付け部257は、スコアが所定閾値以上となる(つまり、同一である可能性があると判断可能な)顔画像データと指紋データの数が多ければ多いほどより上位となるように、格納情報141に含まれる人物を順位付けする。なお、統合・順位付け部257は、上記順位付けの際、指紋データの数の方を顔データの数よりも優先するように順位付けを行うことが出来る。例えば、スコアが所定閾値以上となる顔画像データの数が2つであり指紋データの数が3つである場合、また、スコアが所定閾値以上となる顔画像データの数が3つであり指紋データの数が2つである場合、スコアが所定閾値以上となる特徴データの数は合計でともに5つとなる。このような場合、統合・順位付け部257は、指紋データの数が多い方がより上位になるように、順位付けを行うことが出来る。また、統合・順位付け部257は、特徴データの数が同数の場合において、スコアの合計値である総合スコア情報が示す合計のスコアが高ければ高いほどより上位となるように、格納情報241に含まれる人物を順位付ける。なお、本実施形態の場合、総合スコア情報は、例えば、スコア情報(指紋)が示す値とスコア情報(顔画像)が示す値とを足し合わせた値となる。例えば、以上のように、統合・順位付け部257は、格納特徴データと同一である可能性があると判断される特徴データの数と、スコアの値と、に基づいて、格納情報241に含まれる人物の順位付けを行う。そして、統合・順位付け部257は、順位付けの結果を順位情報244として記憶部240に格納する。
【0084】
なお、同一である可能性があると判断するための所定閾値は、顔画像データと比較する場合と指紋データと比較する場合とは異なっていてもよいし、同一であってもよい。また、統合・順位付け部257は、上記例示した以外の方法で順位付けを行ってもよい。例えば、統合・順位付け部257は、総合スコア情報が示す合計のスコアのみに基づいて人物の順位付けを行ってもよいし、例示した以外の方法を用いて順位付けを行ってもよい。
【0085】
修正部258は、属性情報243が示す属性データに基づいて、統合・順位付け部257が順位付けした結果を修正する。そして、修正部258は、修正した結果を修正後順位情報245として記憶部240に格納する。修正部258は、修正部156と同様の処理により属性データに基づく修正を行ってよい。
【0086】
出力部259は、出力部157と同様に、修正後順位情報245などを出力する。また、出力部259は、判断部256が照合部255による照合の結果に基づいて人物についての情報を出力すると判断した場合、判断した人物についての情報を出力することが出来る。
【0087】
以上が、照合装置200の構成例である。続いて、
図13を参照して照合装置200の動作例について説明する。
【0088】
図13は、照合装置200の動作例を示すフローチャートである。
図13を参照すると、
指紋データ取得部252は、指紋データを取得する(ステップS201)。また、特徴点抽出部254は、指紋データから特徴点を抽出する(ステップS202)。そして、照合部255は、特徴点抽出部254が抽出した結果を用いて、指紋データと格納特徴データとの照合を行う(ステップS203)。
【0089】
また、顔画像データ取得部251は、顔画像データを取得する(ステップS204)。また、特徴点抽出部254は、顔画像データから特徴点を抽出する(ステップS205)。そして、照合部255は、特徴点抽出部254が抽出した結果を用いて、顔画像データと格納特徴データとの照合を行う(ステップS206)。
【0090】
判断部256は、照合部255による照合の結果に基づいて、照合部255による照合の結果を統合するか否か判断する。顔画像データを用いた照合により顔画像閾値以上のスコアが算出された場合、または、指紋データを用いた照合により指紋閾値以上のスコアが算出された場合、判断部256は、高スコアが存在すると判断して(ステップS207、Yes)、統合処理を行わないと判断する。この場合、出力部259は、高スコアと判断されるスコアに応じた人物についての情報(例えば、格納情報241に含まれる情報など)を出力する(ステップS210)。一方、高スコアが存在しない場合(ステップS207、N0)、判断部256は、統合処理を行うと判断する。
【0091】
統合・順位付け部257は、判断部256が統合処理を行うと判断した場合に、顔画像データを用いた照合の結果と指紋データを用いた照合の結果とを統合するとともに、統合した結果として算出される総合スコア情報などに基づいて人物の順位付けを行う(ステップS208)。
【0092】
修正部258は、属性情報243が示す属性データに基づいて、統合・順位付け部257が順位付けした結果を修正する(ステップS209)。例えば、修正部258は、属性データに応じて総合スコア情報が示すスコアなどに所定値を加算する。そして、修正部258は、加算した後の総合スコア情報が示すスコアが高ければ高いほどより上位になるように順位付けの結果を修正する。
【0093】
出力部259は、修正後順位情報245を出力する(ステップS210)。例えば、出力部259は、修正後順位情報245を画面表示部120に画面表示したり、通信I/F部130を介して外部装置に対して送信したりすることが出来る。
【0094】
以上が、照合装置200の動作例である。
【0095】
このように、照合装置200は、顔画像データによる照合や指紋データによる照合の結果として高スコアと判断できなかった場合に、統合処理を行って順位付けを行った上で属性データに基づく修正を行うよう構成されている。このような構成によると、高スコアが算出されず鑑識官などの確認者による確認が必要になった場合に、統合処理を行って順位付けをするとともに属性データに基づく修正を行うことが出来る。その結果、より現場にいた可能性のある人物をより上位に位置させた状態で確認者による確認を受けることが可能となる。これにより、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際にかかる負担を低減させることが出来る。
【0096】
なお、照合装置200は、第1の実施形態で説明した照合装置100と同様に、様々な変形例を採用することが出来る。
【0097】
[第3の実施形態]
次に、
図14、
図15を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態では、情報処理装置である照合装置300の構成の概要について説明する。
【0098】
図14は、照合装置300のハードウェア構成例を示している。
図14を参照すると、照合装置300は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)301(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)302(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)303(記憶装置)
・RAM303にロードされるプログラム群304
・プログラム群304を格納する記憶装置305
・情報処理装置外部の記録媒体310の読み書きを行うドライブ装置306
・情報処理装置外部の通信ネットワーク311と接続する通信インタフェース307
・データの入出力を行う入出力インタフェース308
・各構成要素を接続するバス309
【0099】
また、照合装置300は、プログラム群304をCPU301が取得して当該CPU301が実行することで、
図15に示す照合部321と修正部322としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群304は、例えば、予め記憶装置305やROM302に格納されており、必要に応じてCPU301がRAM303などにロードして実行する。また、プログラム群304は、通信ネットワーク311を介してCPU301に供給されてもよいし、予め記録媒体310に格納されており、ドライブ装置306が該プログラムを読み出してCPU301に供給してもよい。
【0100】
なお、
図14は、照合装置300のハードウェア構成例を示している。照合装置300のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、照合装置300は、ドライブ装置306を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0101】
照合部321は、何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行う。
【0102】
修正部322は、特徴データが属する属性データに基づいて、照合部321が行った人物の順位付けの結果を修正する。
【0103】
このように、照合装置300は、照合部321と修正部322とを有している。このような構成により、照合装置300は、照合部321が順位付けした結果を修正部322により修正することが出来る。その結果、より可能性のある人物をより上位に位置させることが可能となる。これにより、鑑識官などの確認者が候補の確認を行う際にかかる負担を低減させることが出来る。
【0104】
なお、上述した照合装置300などの情報処理装置は、当該情報処理装置に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、情報処理装置に、何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する、処理を実現するためのプログラムである。
【0105】
また、上述した情報処理装置により実行される照合方法は、情報処理装置が、何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する、というものである。
【0106】
上述した構成を有する、プログラム(又は記録媒体)、又は、照合方法、の発明であっても、上記場合と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0107】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における照合装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0108】
(付記1)
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行う照合部と、
特徴データが属する属性データに基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する修正部と、
を有する
照合装置。
(付記2)
前記属性データには、犯罪の種類、性別または年齢、または、位置を示す情報、のうちの少なくとも1つが含まれている
付記1に記載の照合装置。
(付記3)
前記修正部は、特徴データを取得した現場で生じた犯罪の種類と、予め格納された人物が実行した犯罪の種類と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
付記1または付記2に記載の照合装置。
(付記4)
前記修正部は、特徴データを取得した現場で生じた犯罪の種類と、予め格納された人物が実行した犯罪の種類と、に基づいて、犯罪相関図が示す犯罪の関係性に応じた修正を行う
付記1から付記3までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
(付記5)
前記修正部は、前記特徴データから推測した人物の年齢または性別と、予め格納された人物の年齢または性別と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
付記1から付記4までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
(付記6)
前記修正部は、前記特徴データの取得位置に応じた位置を示す情報と、予め格納された人物の住所を示す情報と、に基づいて、前記照合部が行った人物の順位付けの結果を修正する
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
(付記7)
前記照合部は、照合を行うことで、前記特徴データと予め格納された人物のデータとが類似している度合いを示すスコアを算出し、所定閾値以上となるスコアを用いて、予め格納された人物の順位付けを行う
付記1から付記6までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
(付記8)
前記特徴データには、指紋データと、顔画像データと、が含まれている
付記1から付記7までのうちのいずれか1項に記載の照合装置。
(付記9)
前記照合部は、顔画像データを用いた照合と指紋データを用いた照合とを行い、顔画像データを用いた照合と指紋データを用いた照合とにより予め定められた基準を満たさなかった場合に、顔画像データを用いた照合と指紋データを用いた照合との結果を統合して予め格納された人物の順位付けを行う
付記8に記載の照合装置。
(付記10)
前記照合部は、予め定められた基準を満たす指紋データの数を予め定められた基準を満たす顔画像データの数よりも優先した順位付けを行う
付記9に記載の照合装置。
(付記11)
情報処理装置が、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する
照合方法。
(付記12)
情報処理装置に、
何らかの人物の特徴を示す特徴データを予め格納された人物のデータと照合することにより、予め格納された人物の順位付けを行い、
特徴データが属する属性データに基づいて、人物の順位付けの結果を修正する
処理を実現するためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【0109】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0110】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0111】
100 照合装置
110 操作入力部
120 画面表示部
130 通信I/F部
140 記憶部
141 格納情報
142 特徴情報
143 属性情報
144 順位情報
145 修正後順位情報
146 プログラム
150 演算処理部
151 特徴データ取得部
152 属性データ取得部
153 特徴点抽出部
154 照合部
155 順位付け部
156 修正部
157 出力部
200 照合装置
240 記憶部
241 格納情報
242 特徴情報
243 属性情報
244 順位情報
245 修正後順位情報
246 プログラム
250 演算処理部
251 顔画像データ取得部
252 指紋データ取得部
253 属性データ取得部
254 特徴点抽出部
255 照合部
256 判断部
257 統合・順位付け部
258 修正部
259 出力部
300 照合装置
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 プログラム群
305 記憶装置
306 ドライブ装置
307 通信インタフェース
308 入出力インタフェース
309 バス
310 記録媒体
311 通信ネットワーク
321 照合部
322 修正部