(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】事業連携支援システム及び事業連携支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241008BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20241008BHJP
G06F 16/903 20190101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/06
G06F16/903
(21)【出願番号】P 2023052795
(22)【出願日】2023-03-29
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】権藤 義一
(72)【発明者】
【氏名】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】下川 亮
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211846(JP,A)
【文献】特開2015-228153(JP,A)
【文献】国際公開第2022/113286(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/004563(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/903
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援システムにおいて、
前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得する探索情報取得部と、
複数の団体の名称と、前記複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する団体情報取得部と、
過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するリスト作成部と、
前記探索情報、前記事業連携リスト、及び前記団体情報に基づき、前記候補団体を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出した前記候補団体の名称を出力する出力部と、
を備える事業連携支援システム。
【請求項2】
前記抽出部は、前記探索情報に含まれる前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題と、前記事業連携リストに含まれる前記事業連携予実により解決する顧客の課題との類似度に基づき、前記団体情報を参照して前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項3】
前記抽出部は、前記探索情報に含まれる前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題に類似する、前記事業連携リストに含まれる前記事業連携予実により解決する顧客の課題を抽出し、抽出した前記事業連携予実により解決する顧客の課題に対応付けられた前記提供技術を抽出し、抽出した前記提供技術を保有する団体を前記団体情報から前記候補団体として抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項4】
前記過去の事業連携実績は、官公庁、自治体、及び大学の少なくとも一つのホームページに公開された情報であることを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項5】
前記過去の事業連携実績は、前記ホームページに公開された公募情報であることを特徴とする請求項4に記載の事業連携支援システム。
【請求項6】
前記将来の事業連携予定は、前記団体が保有する前記事業連携予実に関する提案資料、前記団体が保有する前記事業連携予実に関するメール、及び前記団体が営業活動の記録を管理しているデータベースの少なくとも一つから抽出される情報であることを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項7】
前記事業連携予実に関する情報は、前記事業連携予実に関する複数の団体の名称を含み、
前記リスト作成部は、前記提供技術を前記事業連携予実に関する複数の団体の名称、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記団体情報とから推測することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記抽出部において前記事業連携リストから抽出された前記事業連携予実に関する情報を参考事例として、さらに出力することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の事業連携支援システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記候補団体の名称と前記候補団体が保有する前記技術情報とを対応づけて出力することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項10】
前記抽出部は、前記探索団体が前記事業連携において提供可能な保有技術に基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項11】
前記抽出部は、前記事業連携におけるシナジー目的に基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項12】
前記抽出部は、前記事業連携における各団体の役割に基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項13】
前記抽出部は、前記探索団体の取引情報に基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項14】
前記抽出部は、前記事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項15】
前記抽出部により抽出した前記候補団体のマッチング度を決定するマッチング度決定部をさらに備え、
前記出力部は、前記候補団体の名称と前記候補団体のマッチング度とを対応付けて出力することを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項16】
前記マッチング度決定部は、前記探索団体が前記事業連携において提供可能な保有技術に基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする請求項15に記載の事業連携支援システム。
【請求項17】
前記マッチング度決定部は、前記事業連携におけるシナジー目的に基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする請求項15に記載の事業連携支援システム。
【請求項18】
前記マッチング度決定部は、前記事業連携における各団体の役割に基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする請求項15に記載の事業連携支援システム。
【請求項19】
前記マッチング度決定部は、前記探索団体の取引情報に基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする請求項15に記載の事業連携支援システム。
【請求項20】
前記マッチング度決定部は、前記事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする請求項15に記載の事業連携支援システム。
【請求項21】
前記抽出部は、データ取得部とモデル生成部とを有し、
前記データ取得部は、前記事業連携予実により解決する顧客の課題と、前記事業連携予実において前記顧客の課題を解決するために提供された提供技術と、を含む学習用データを取得し、
前記モデル生成部は、前記学習用データを用いて、前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題から前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を解決するために適切な技術を推論するための学習モデルを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項22】
前記抽出部は、データ取得部と推論部とを有し、
前記データ取得部は、前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を取得し、
前記推論部は、前記事業連携予実により解決する顧客の課題から、前記事業連携予実において前記顧客の課題を解決するために提供された提供技術を推論するための学習済みモデルを用いて、前記データ取得部が取得した前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を解決するために適切な技術を推論する、
ことを特徴とする請求項1に記載の事業連携支援システム。
【請求項23】
事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援方法において、
探索情報取得部が、前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得するステップと、
団体情報取得部が、複数の団体の名称と、前記複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得するステップと、
リスト作成部が、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するステップと、
抽出部が、前記探索情報、前記事業連携リスト、及び前記団体情報に基づき、前記候補団体を抽出するステップと、
出力部が、抽出した前記候補団体の名称を出力するステップと、
を備える事業連携支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援システム及び事業連携支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等の団体は、自前の技術だけでは顧客の課題を解決するソリューションを提供することが困難な場合がある。そこで、複数の団体が事業連携し、各団体の技術を共有することで、競争力を強化するケースが増加している。そして、事業連携を希望する団体に対して事業連携先の候補団体を提示するシステムが提案されている。例えば特許文献1には、ユーザが入力したキーワードに基づいて候補団体を検索し、候補団体リストを生成する検索システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
事業連携の成立確率を向上させるためには、事業連携により解決したい顧客の課題と、当該顧客の課題に対して候補団体が提供可能な技術とのマッチング度が重要である。しかしながら、特許文献1に記載の検索システムは、過去の事業連携の実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の情報を考慮して候補団体を検索していない。そのため、事業連携を希望する探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題に対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく提示することができないという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題に対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく提示することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援システムは、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得する探索情報取得部と、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する団体情報取得部と、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するリスト作成部と、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する抽出部と、抽出部により抽出した候補団体の名称を出力する出力部と、を備えたものである。
【0007】
本開示に係る事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する
事業連携支援方法は、探索情報取得部が、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得するステップと、団体情報取得部が、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得するステップと、リスト作成部が、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するステップと、抽出部が、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出するステップと、出力部が、抽出した候補団体の名称を出力するステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき候補団体を抽出するため、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題に対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施の形態1の事業連携支援システムを示す構成図である。
【
図2】
図2は実施の形態1の探索情報の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は実施の形態1の事業連携支援装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は実施の形態1の団体情報記憶部に記憶された団体情報の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は実施の形態1の事業連携情報取得部が取得した事業連携情報の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は実施の形態1の事業連携情報取得部が取得した事業連携情報の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は実施の形態1の事業連携リストの一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は実施の形態1の事業連携リストの一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は実施の形態1の事業連携支援装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は実施の形態1の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は実施の形態1の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は実施の形態1の出力部の出力例を示す概略図である。
【
図13】
図13は実施の形態1の出力部の出力例を示す概略図である。
【
図14】
図14は実施の形態1の出力部の出力例を示す概略図である。
【
図15】
図15は実施の形態2の事業連携支援システムを示すブロック図である。
【
図16】
図16は実施の形態2の探索情報の一例を示す概略図である。
【
図17】
図17は実施の形態2の事業連携リストの一例を示す概略図である。
【
図18】
図18は実施の形態2の事業連携リストの一例を示す概略図である。
【
図19】
図19は実施の形態2の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は実施の形態2の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は実施の形態2のマッチング度決定部による複数の候補団体のマッチング度を決定する方法を説明する概略図である。
【
図22】
図22は実施の形態2の出力部の出力例を示す概略図である。
【
図23】
図23は実施の形態2の出力部の出力例を示す概略図である。
【
図24】
図24は実施の形態2の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は実施の形態3の抽出部を示すブロック図である。
【
図26】
図26は実施の形態3のニューラルネットワークの一例を示す模式図である。
【
図27】
図27は実施の形態3の学習装置の学習処理に関するフローチャートである。
【
図28】
図28は実施の形態3の事業連携支援システムの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1における事業連携支援システム100について
図1を用いて説明する。
図1は実施の形態1の事業連携支援システム100を示す構成図である。事業連携支援システム100は、事業連携支援装置1と1以上のユーザ端末2とで構成され、それぞれインターネット等の有線又は無線のネットワークで通信可能に接続されている。
【0011】
事業連携支援装置1は、事業連携を希望する団体に対して事業連携先の候補となる団体を探索することを支援する装置である。団体とは、例えば企業、自治体、及び大学である。事業連携支援装置1は、事業連携先の候補となる団体の探索を含むサービスを提供する団体により管理される。以下では、事業連携支援装置1を管理する団体を管理団体、事業連携を希望する団体を探索団体、探索団体の事業連携先の候補となる団体を候補団体とそれぞれ称する。いずれの団体もケースによって、探索団体にも候補団体にもなり得る。管理団体は例えばビジネスマッチングを支援する企業、及び金融機関である。
【0012】
ユーザ端末2は、例えば、探索団体又は管理団体の担当者が管理するパーソナルコンピューターである。例えば、管理団体の担当者は探索団体から候補団体の探索依頼を受けた場合に、ユーザ端末2に探索情報を入力する。もしくは、探索団体の担当者がユーザ端末2に探索情報を入力してもよい。探索情報は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを少なくとも含む情報であり、候補団体を探索するために用いられる情報である。探索情報は、例えば、探索団体の名称、探索団体の基本情報、希望する事業連携に関する情報、及び候補団体に期待する技術等をさらに含んでいてもよい。探索団体の基本情報は、例えば、探索団体のホームページに公開されている団体概要、事業概要及び保有技術等に関する団体情報である。希望する事業連携に関する情報は、例えば、事業連携において実現したいソリューション、事業連携のビジネスモデル、事業連携の収益モデル、探索団体の担当者が入力したアピール文、並びに、探索団体が事業連携において提供可能な技術、ノウハウ、人材、及びネットワーク等の経営リソースである。ユーザ端末2は、入力された探索情報を事業連携支援装置1にネットワークを介して送信する。
【0013】
図2は実施の形態1の探索情報の一例を示す概略図である。
図2では、探索団体の名称である「M社」と、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xである「災害時にはドライバーを迅速に集めることが難しい。また、交通インフラの整備に時間を要する。そのため、救援物資を迅速に配送することが困難である。」と、を含む探索情報を例示している。
【0014】
図3は実施の形態1の事業連携支援装置1を示すブロック図である。事業連携支援装置1は、取得部20、記憶部30、リスト作成部40、抽出部50、及び出力部60を備える。取得部20は、探索情報取得部21、団体情報取得部22、及び事業連携情報取得部23を備える。記憶部30は、探索情報記憶部31、団体情報記憶部32、及び事業連携情報記憶部33を備える。
【0015】
探索情報取得部21は、ユーザ端末2から上述した探索情報を取得し、取得した探索情報を探索情報記憶部31に出力する。探索情報記憶部31は、探索情報を記憶するデータベースである。
【0016】
団体情報取得部22は団体情報を取得し、取得した団体情報を団体情報記憶部32に出力する。
図4は実施の形態1の団体情報記憶部32に記憶された団体情報の一例を示す概略図である。
図4に示すように、団体情報は、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを少なくとも対応づけた情報である。また、団体情報は、団体の所在地、資本金、売上高、従業員数、主な事業分野、主力製品・サービス、仕入先、及び得意先等の取引先がさらに対応づけられていてもよい。団体情報取得部22は団体情報を外部のシステムから取得してもよく、例えば、各団体のホームページ、格付機関、シンクタンク、及び信用調査機関等から情報を取得してもよい。団体情報は、候補団体の団体情報を含み、探索団体の団体情報をさらに含んできてもよい。また、探索情報記憶部31は団体情報記憶部32から探索団体の団体情報を抽出し、探索情報に対応づけて記憶してもよい。
【0017】
図3に戻り、事業連携情報取得部23は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報である事業連携情報を取得し、取得した事業連携情報を後述するリスト作成部40に出力する。事業連携情報は、事業連携予実に関する複数の団体の名称、及び当該事業連携予実により解決する顧客の課題Yを少なくとも含む。そして、事業連携情報は、当該事業連携予実における顧客の課題Yを解決するために複数の団体がそれぞれ提供した提供技術に関する情報をさらに含んでもよい。事業連携情報取得部23は複数の事業連携情報を取得することが好ましい。
【0018】
事業連携情報取得部23は過去の事業連携実績を、例えば新聞、ニュース記事、各団体のホームページ等の公開情報から抽出し取得することができる。例えば、事業連携情報取得部23は「企業間」、「協調」、「提携」、「連携」、「共同開発」、「協力」、「協業」、「コラボ」、「アライアンス」、及び「事例」等のキーワード検索によりインターネットに公開されたページから過去の事業連携実績を取得してもよい。
【0019】
また、例えば、事業連携情報取得部23は商社又はゼネコンのホームページに公開されたニュースリリース等から過去の事業連携実績を抽出し取得してもよい。これにより、事業連携情報取得部23は商社又はゼネコンが注力している成長分野の事業連携情報を効率よく取得することができる。さらに、例えば、事業連携情報取得部23はシンクタンク等の調査レポートから過去の事業連携実績を抽出し取得することにより、社会課題に関する業界動向に沿った過去の事業連携実績を効率よく取得することができる。
【0020】
事業連携情報取得部23は過去の事業連携実績を、官公庁、自治体、及び大学の少なくとも一つのホームページに公開された情報である例えば公募情報から抽出し取得してもよい。例えば、事業連携情報取得部23は官公庁又は自治体等のホームページに公開された官公庁又は自治体による補助金の採択結果情報から過去の事業連携実績を抽出し取得する。これにより、事業連携情報取得部23は各団体のホームページ等から過去の事業連携実績を抽出する場合と比較して、信頼性が高く、フォーマットが似た過去の事業連携実績を容易に取得することができる。また、例えば、事業連携情報取得部23は経済省、経済団体、又は各種コンソーシアム等のホームページに公開されたスタートアップ企業と大企業との事業連携事例の情報を過去の事業連携実績として抽出し取得してもよい。これにより、事業連携情報取得部23はスタートアップ企業と大企業との過去の事業連携実績を効率よく取得することができる。
【0021】
将来の事業連携予定は、将来の事業連携予定に関する情報である。事業連携情報取得部23は将来の事業連携予定を、各団体が保有する事業連携に関する提案資料、各団体が保有する事業連携に関するメール、及び各団体が営業活動等の記録を管理しているデータベースの少なくとも一つから抽出し取得してもよい。これにより、事業連携情報取得部23は過去の事業連携の実績だけではなく、将来の事業連携予定に関する情報も取得できるため、より多くの事業連携情報を取得できる。
【0022】
なお、事業連携情報取得部23は上述した過去の事業連携実績の情報源から将来の事業連携予定を取得してもよく、上述した将来の事業連携予定の情報源から過去の事業連携実績を取得してもよい。例えば、官公庁又は経済団体等による協議会又は検討会等の公開情報に、実証実験開始前の情報が含まれている場合がある。また、例えば、官公庁又は自治体の公開情報に、実証実験の計画書が含まれている場合がある。事業連携情報取得部23は実証実験開始前の情報及び実証実験の計画書を将来の事業連携予定として取得してもよい。さらに、例えば、事業連携情報取得部23は各団体が営業活動等の記録を管理しているデータベースから、事業連携の成功事例を過去の事業連携実績として取得してもよい。
【0023】
図5及び
図6は実施の形態1の事業連携情報取得部23が取得した事業連携情報の一例を示す概略図である。
図5及び
図6では、事業連携情報取得部23は自治体の実証実験の実施報告書を事業連携情報として取得した例を示している。
【0024】
図5に示す実施報告書において、事業連携予実に関する複数の団体の名称は実施体制の欄に記載の「A社」、「B社」、及び「C社」に該当し、事業連携予実により解決する顧客の課題Yは実施概要の欄に記載の「高齢化」、「ドライバー不足」、及び「新型コロナ」等が該当する。
【0025】
図6に示す実施報告書において、事業連携予実に関する複数の団体の名称は実施体制の欄に記載の「D社」、「E社」、及び「F社」に該当し、事業連携予実により解決する顧客の課題Yは実施概要の欄に記載の「過疎化」、「ドライバー不足」、及び「交通利便性」等が該当する。
【0026】
図3に戻り、リスト作成部40は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び当該事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成する。より具体的には、リスト作成部40は事業連携情報取得部23により取得した事業連携情報に、事業連携予実において提供される提供技術が含まれる場合は、事業連携情報に基づき事業連携リストを作成すればよい。
【0027】
事業連携情報取得部23が取得した事業連携情報に、事業連携予実において提供される提供技術が含まれない場合は、リスト作成部40は事業連携情報に含まれる事業連携予実に関する複数の団体の名称、及び事業連携予実により解決する顧客の課題Yに基づき、例えば各団体のホームページに公開されたニュースリリース等の情報を参照して、事業連携予実において複数の団体がそれぞれ提供した提供技術に関する情報を取得することができる。また、リスト作成部40は事業連携情報に含まれる事業連携予実に関する複数の団体の名称、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び団体情報を参照して事業連携予実において複数の団体がそれぞれ提供した提供技術に関する情報を推測することができる。これにより、リスト作成部40は事業連携情報に事業連携予実において提供される提供技術に関する情報が含まれない場合でも、事業連携リストを作成することができる。
【0028】
リスト作成部40は作成した事業連携リストを事業連携情報記憶部33に出力する。事業連携情報記憶部33は、事業連携リストを記憶するデータベースであり、事業連携情報をさらに記憶してもよい。
【0029】
図7及び
図8は実施の形態1の事業連携リストの一例を示す概略図である。
まず、
図7について説明する。
図7は
図5に示す事業連携情報を用いて、リスト作成部40が作成した事業連携リストの例を示している。リスト作成部40は、事業連携予実により解決する顧客の課題Yとして、
図5に示す実施概要の欄から「高齢化」、「ドライバー不足」、及び「新型コロナ」等のキーワードを推測又は抽出する。そして、リスト作成部40は、事業連携予実において提供される提供技術を、A社は「ロボット」、B社は「3Dマップ」、及びC社は「配送管理システム」と推測する。より具体的には、リスト作成部40は、
図5に示す事業連携情報に含まれる事業連携予実に関する複数の団体の名称である「A社」、「B社」、及び「C社」、事業連携予実により解決する顧客の課題Yである「高齢化」、「ドライバー不足」、及び「新型コロナ」、並びに、
図4に示す団体情報を参照して、事業連携予実において提供される提供技術を推測することができる。また、リスト作成部40は、事業連携予実において提供される提供技術を、例えばA社、B社、及びC社のホームページに公開されたニュースリリース等から取得してもよい。もしくは、リスト作成部40は、例えば
図5に示す技術実証の欄に記載の「自動運転技術」、「自動運転用のマップ技術」、及び「ルート最適化技術」を事業連携予実において提供される提供技術として取得してもよい。
【0030】
次に、
図8について説明する。
図8では、
図6に示す事業連携情報を用いて、リスト作成部40が作成した事業連携リストの例を示している。リスト作成部40は、事業連携予実により解決する顧客の課題Yとして、
図6に示す実施概要の欄から「過疎化」、「ドライバー不足」、及び「交通利便性」等のキーワードを推測又は抽出する。そして、リスト作成部40は、事業連携予実において提供される提供技術を、D社は「運行管制システム」、E社は「自動運転OS」、及びF社は「3Dマップ」と推測する。より具体的には、リスト作成部40は、
図6に示す事業連携情報に含まれる事業連携予実に関する複数の団体の名称である「D社」、「E社」、及び「F社」と、
図4に示す団体情報を参照して、事業連携予実において提供される提供技術を推測することができる。また、リスト作成部40は、事業連携予実において提供される提供技術を、例えばD社、E社、及びF社のホームページに公開されたニュースリリース等から取得してもよい。もしくは、リスト作成部40は、例えば
図6に示す技術実証の欄に記載の「配車効率化」、「AI」、「MaaS」、及び「オンデマンド車両」を事業連携予実において提供される提供技術として取得してもよい。事業連携リストの一例として、
図7及び
図8を用いて説明したが、別のリストであっても、一つのリストに含まれていても良い。
【0031】
図3に戻り、抽出部50は、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。候補企業を抽出する具体的な手法は後述の事業連携支援方法において説明する。
【0032】
出力部60は、抽出部50が抽出した候補団体の名称を少なくとも含む情報をユーザ端末2に出力する。そして、ユーザ端末2に設けられた表示部は事業連携支援装置1から取得した情報を表示する。
【0033】
次に、事業連携支援装置1のハードウェア構成例を説明する。
図9は実施の形態1の事業連携支援装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。事業連携支援装置1の各構成は、
図9Aに示すように専用のハードウェアである処理回路3であってもよいし、
図9Bに示すようにメモリ5に格納されているプログラムを実行するプロセッサ4であってもよい。
【0034】
図9Aに示すように、事業連携支援装置1の各構成が専用のハードウェアである場合、処理回路3は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。事業連携支援装置1の各構成の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0035】
図9Bに示すように、事業連携支援装置1の各構成がプロセッサ4である場合、各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ5に格納される。プロセッサ4は、メモリ5に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、事業連携支援装置1の各構成の各機能を実現する。すなわち、事業連携支援装置1の各構成は、プロセッサ4により実行されるときに、後述する
図10、11、19、20、24、27及び28に示す各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ5を備える。また、これらのプログラムは、事業連携支援装置1の各構成の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0036】
ここで、プロセッサ4とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)等のことである。メモリ5は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク、フレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
【0037】
なお、事業連携支援装置1の各構成の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、事業連携支援装置1における処理回路3は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0038】
次に、事業連携支援システム100による事業連携支援方法について説明する。
図10及び
図11は実施の形態1の事業連携支援システム100の処理動作を示すフローチャートである。
図10は事業連携支援装置1が団体情報及び事業連携情報を取得し、事業連携リストを作成する処理動作を示している。
図11は事業連携支援装置1が探索情報を取得してから候補団体を出力するまでの処理動作を示している。
図10の処理動作と
図11の処理動作はマルチプロセス処理やマルチタスク処理により並行に動作してもよい。また、
図10の処理動作を開始するタイミングは特に限定されず、例えば管理団体の担当者が設定した周期で開始してもよい。
図11の処理動作は例えばユーザ端末2から探索情報が送信されたタイミングで開始する。
【0039】
まず、
図10に示す事業連携支援システム100の処理動作を説明する。
ステップS101では、団体情報取得部22は団体情報を取得する。団体情報取得部22は取得した団体情報を団体情報記憶部32に出力し、団体情報記憶部32は団体情報を記憶する。
【0040】
ステップS102では、事業連携情報取得部23は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報である事業連携情報を取得する。事業連携情報取得部23は取得した事業連携情報をリスト作成部40に出力する。
【0041】
ステップS103では、リスト作成部40は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び当該事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成する。
【0042】
上述したとおり、リスト作成部40はステップS102において取得した事業連携情報に、当該事業連携予実において提供される提供技術が含まれる場合は、取得した事業連携情報に基づき事業連携リストを作成すればよい。そして、リスト作成部40はステップS102において取得した事業連携情報に、事業連携予実において提供される提供技術が含まれない場合は、リスト作成部40は事業連携情報に含まれる事業連携予実に関する複数の団体の名称、及び当該事業連携予実により解決する顧客の課題Yに基づき、例えば団体情報を参照して当該事業連携予実において複数の団体がそれぞれ提供した提供技術に関する情報を推測することで、事業連携リストを作成すればよい。
【0043】
リスト作成部40は作成した事業連携リストを事業連携情報記憶部33に出力し、事業連携情報記憶部33は、事業連携リストを記憶する。また、事業連携情報記憶部33はステップS102において取得した事業連携情報をさらに記憶してもよい。
【0044】
以上で、
図10に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。なお、
図10に示すステップS101~ステップS103の処理動作の順番は一例であり、これに限られない。
【0045】
次に、
図11に示す事業連携支援システム100の処理動作を説明する。
ステップS104では、探索情報取得部21はユーザ端末2から探索情報を取得する。探索情報取得部21は取得した探索情報を探索情報記憶部31に出力し、探索情報記憶部31は探索情報を記憶する。
【0046】
ステップS105~ステップS107では、抽出部50は、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。
【0047】
まず、ステップS105では、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yを抽出する。
【0048】
ステップS105について、具体例を用いて説明する。
例えば、ステップS104において取得された探索情報は
図2に示す探索情報であるとする。
図2に示す探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xは「災害時にはドライバーを迅速に集めることが難しい。また、交通インフラの整備に時間を要する。そのため、救援物資を迅速に配送することが困難である。」である。抽出部50は、上述した顧客の課題Xに類似する、事業連携予実により解決する顧客の課題Yとして、例えば
図7及び
図8に示す事業連携リストを抽出する。具体的に、抽出部50は、
図2に示す探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xの「ドライバー」に、
図7に示す事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yの「ドライバー不足」が類似すると判断する。また、抽出部50は、
図2に示す探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xの「ドライバー」及び「交通インフラの整備」に、
図8に示す事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yの「ドライバー不足」及び「交通利便性」が類似すると判断する。
【0049】
抽出部50は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xと、事業連携予実により解決する顧客の課題Yとの類似度を公知の技術を用いて判断すればよい。例えば、一致する文字または単語数、編集距離、自然言語処理を用いたマシンランニング又はディープランニングモデルをベースに学習された結果、埋め込みベクトル等の手法を用いるとよい。
【0050】
また、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yを1つ以上抽出すればよく、例えば類似度が予め設定された値以上であるものや、類似度が高いものから順に予め設定された個数抽出するとよい。
【0051】
図11に戻り、ステップS106では、抽出部50は、ステップS105において抽出した事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術を抽出する。上述の具体例では、
図7に示す事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術は、「ロボット」、「3Dマップ」、及び「配送管理システム」である。そして、
図8に示す事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術は、「運行管制システム」、「自動運転OS」、及び「3Dマップ」である。
【0052】
ステップS106において、抽出部50は、ステップS105において抽出した事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術を全て抽出してもよく、類似する提供技術をグルーピングし、頻度が予め設定された閾値以上高い提供技術を抽出してもよい。上述の具体例の場合、抽出部50は、「配送管理システム」及び「運行管制システム」は類似する提供技術として「運送管理システム」にグルーピングし、それぞれ2回抽出される「3Dマップ」と「運送管理システム」とを抽出してもよい。以下の具体例では、ステップS106において抽出部50は「3Dマップ」及び「運送管理システム」を抽出したとして説明する。技術間の類似度を判断する技術は、公知の技術を採用すればよく、例えば一致する文字または単語数、編集距離、自然言語処理を用いたマシンランニング又はディープランニングモデルをベースに学習された結果、埋め込みベクトル等の技術を用いるとよい。
【0053】
そして、ステップS107では、抽出部50は、ステップS106において抽出した提供技術を保有する団体を団体情報から候補団体として抽出する。抽出部50は、ステップS106において抽出した提供技術と完全一致する技術を保有する団体を抽出してもよく、ステップS106において抽出した提供技術の類似技術を保有する団体を抽出してもよい。
【0054】
具体例の場合、抽出部50は、ステップS106において抽出した提供技術である「3Dマップ」を保有する団体を、例えば
図4に示す団体情報を参照し、「B社」、「F社」、及び「I社」を候補団体として抽出する。また、抽出部50は、ステップS106において抽出した提供技術である「運送管理システム」を保有する団体を、例えば
図4に示す団体情報を参照し、「C社」、「D社」、「G社」、及び「H社」を候補団体として抽出する。ここでは、抽出部50は、ステップS106において抽出した「運送管理システム」と、「配送管理システム」「運行管制システム」「配送管理システム」及び「運航管制システム」とは、それぞれ類似技術として判断している。
【0055】
図11に戻り、ステップS108では、出力部60は、ステップS107において抽出した候補団体の名称をユーザ端末2に出力する。
図12~14は、実施の形態1の出力部60の出力例を示す概略図であり、ユーザ端末2の表示部に表示されるデータでもある。
【0056】
図12に示すように、出力部60は、ステップS107において抽出した候補団体の名称である、例えば「B社」、「C社」、「D社」、「F社」、「G社」、「H社」及び「I社」を示す情報を出力する。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術を提供可能な候補団体を把握することができる。
【0057】
また、ステップS108において、出力部60は、ステップS107において抽出した候補団体の名称と、ステップS106において抽出した候補団体が保有する技術情報とを対応づけて出力してもよい。また、ステップS106において抽出した提供技術に限らず、ステップS107において抽出した候補団体が保有する技術情報を出力してもよい。
図13では、出力部60は、ステップS106において抽出した「3Dマップ」と「B社」、「F社」、及び「I社」とを対応付け、ステップS106において抽出した「運送管理システム」と「C社」、「D社」、「G社」、及び「H社」とを対応付けた情報を出力した例である。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術と、当該技術をそれぞれ提供可能な候補団体とを把握することができる。
【0058】
また、ステップS108において、出力部60は、ステップS105及びステップS106において抽出部50が候補団体を抽出するために用いた事業連携リストに関する情報を、参考事例としてさらに出力してもよい。
図14では、
図13と同様に、出力部60は、ステップS106において抽出した「3Dマップ」と「B社」、「F社」、及び「I社」とを対応付け、ステップS106において抽出した「運送管理システム」と「C社」、「D社」、「G社」、及び「H社」とを対応付けた情報を出力した例である。そして、
図14では、ステップS105及びステップS106において抽出部50が候補団体を抽出するために用いた事業連携リストに関する情報として、
図7及び
図8に示す事業連携リストの作成に用いられた
図5及び
図6に示す事業連携情報取得部23が取得した事業連携情報を出力する例を示している。もしくは、出力部60はステップS105及びステップS106において抽出部50が候補団体を抽出するために用いた事業連携リストに関する情報として、
図7及び
図8に示す事業連携リストを出力してもよい。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して、類似する課題を解決した過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方に関する情報を把握することができる。
以上で、
図11に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。
【0059】
次に、事業連携支援システム100の効果を説明する。
本実施の形態の事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを少なくとも含む探索情報、及び、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する。そして、事業連携支援システム100は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成し、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。これにより、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【0060】
また、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xのソリューションを検討し、当該ソリューションを解決するために必要な技術を保有する団体を検索するシステムと比較して、本実施の形態の事業連携支援システム100を利用することにより、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき候補団体を抽出するため、探索団体単体では想定できなかった技術の組み合わせによるソリューションを事業連携により提供できる可能性が高まる。
【0061】
また、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xと、事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yとの類似度に基づき、団体情報を参照して候補団体を抽出する。これにより、事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実において類似する課題を解決する際に用いられた技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【0062】
また、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する、事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yを抽出し、抽出した事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術を抽出し、抽出した提供技術を保有する団体を団体情報から候補団体として抽出する。これにより、事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実において類似する課題を解決する際に用いられた技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。また、事業連携支援システム100は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実において事業連携した団体に限らず、団体情報に含まれる団体から候補団体を抽出することができる。
【0063】
また、過去の事業連携実績は、官公庁、自治体、及び大学の少なくとも一つの例えばホームページに公開された情報であり、例えば公募情報でもよい。これにより、事業連携支援システム100は、事業連携情報取得部23が各団体のホームページ等から抽出する場合と比較して、信頼性が高く、フォーマットが似た情報を容易に取得することができる。事業連携情報取得部23が事業連携に関する情報を新たに取得する場合に、過去に取得した情報と新たに取得する情報のフォーマットの類似性に基づいて新たに取得する情報のフォーマットを推定してもよい。これにより事業連携情報取得部23は、フォーマットの異なる情報が入力された場合でも、過去に取得した情報のフォーマットとの類似性から推定したフォーマットに基づいて、効率的に情報を取得することができる。
【0064】
また、将来の事業連携予定は、団体が保有する事業連携予実に関する提案資料、団体が保有する事業連携予実に関するメール、及び団体が営業活動の記録を管理しているデータベースの少なくとも一つから抽出される情報であってもよい。これにより、事業連携支援システム100は、過去の事業連携の実績だけではなく、将来の事業連携予定に関する情報も取得できるため、より多くの事業連携情報を取得できる。
【0065】
また、事業連携予実に関する情報は、事業連携予実に関する複数の団体の名称を含む。そして、リスト作成部40は、提供技術を事業連携予実に関する複数の団体の名称、事業連携予実により解決する顧客の課題、及び団体情報とから推測してもよい。これにより、リスト作成部40は事業連携情報に事業連携予実において提供される提供技術に関する情報が含まれない場合でも、事業連携リストを作成することができる。
【0066】
また、出力部60は、抽出部50において事業連携リストから抽出された事業連携予実に関する情報を参考事例として、さらに出力してもよい。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して、類似する課題を解決した過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方に関する情報を把握することができる。
【0067】
また、出力部60は、候補団体の名称と候補団体が保有する技術情報とを対応づけて出力してもよい。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術と、当該技術を提供可能な候補団体とを把握することができる。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態2の事業連携支援システム100について説明する。
図15は実施の形態2の事業連携支援システム100を示すブロック図である。実施の形態2の事業連携支援システム100は、抽出部50により抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定するマッチング度決定部70を備えることを特徴とする。実施の形態1と同様の構成については、同一符号が付されている。
【0069】
探索情報取得部21は探索情報を取得する。本実施の形態の探索情報は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的、探索団体が当該事業連携において提供可能な保有技術、探索団体の当該事業連携における役割、探索団体の取引関係、及び当該事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つを、探索団体が当該事業連携により解決したい顧客の課題Xに加えて含む。例えば探索団体又は管理団体の担当者がユーザ端末2に探索情報を入力し、探索情報取得部21はユーザ端末2から探索情報を取得する。
【0070】
探索団体が事業連携において期待するシナジー目的とは、探索団体が他の団体と事業連携することにより期待する効果であり、例えば開発委託、品質確保、販売拡大、共同開発、コスト削減、スケールメリットの増大、人材の獲得、ノウハウの統合、及び生産性の向上である。
【0071】
探索団体が事業連携において提供可能な保有技術とは、探索団体が保有する全ての技術のうち、当該事業連携において探索団体が提供可能な技術である。
【0072】
探索団体の事業連携における役割とは、探索団体が事業連携においてどのような役割を希望するかを示す情報であり、例えば技術開発、製造販売、取りまとめ、及びSIerである。
【0073】
探索団体の取引関係とは、事業連携とは関係なく探索団体の得意先及び仕入先などの取引先に関する情報及び資本提携の情報を含む情報である。また、探索団体の取引関係は、取引が成立したか失注したかの情報等を含んでいてもよい。
【0074】
事業連携におけるキーパーソンに関する情報とは、当該事業連携の成否に影響を与える可能性があるキーパーソンに関する情報であり、例えば探索団体が再開発等の大規模事業に公募するために事業連携を希望している場合、当該大規模事業の選定委員及び審査委員等の有識者に関する情報である。
【0075】
図16は実施の形態2の探索情報の一例を示す概略図である。
図16では、探索団体の名称である「M社」と、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xである「災害時にはドライバーを迅速に集めることが難しい。また、交通インフラの整備に時間を要する。そのため、救援物資を迅速に配送することが困難である。」と、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術である「ロボット」及び「自動運転OS」と、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的である「共同開発」と、探索団体の事業連携における役割である「取りまとめ」及び「製造販売」と、探索団体の取引関係である「A社、D社:取引関係有」及び「F社、H社:失注案件有」と、事業連携におけるキーパーソンに関する情報である「X県の〇〇プロジェクトに応募予定(選定委員のA教授:I社と共同研究)」と、を含む探索情報を例示している。
【0076】
図15に戻り、リスト作成部40は、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び事業連携予実において提供される提供技術に加えて、事業連携予実におけるシナジー目的、及び事業連携予実における各団体の役割の少なくとも一方をさらに対応付けた事業連携リストを作成する。事業連携予実におけるシナジー目的、及び事業連携予実における各団体の役割は、事業連携情報取得部23が取得する事業連携情報に含まれていてもよく、各団体のホームページに公開されたニュースリリース等から情報を取得してもよい。
【0077】
図17及び
図18は実施の形態2の事業連携リストの一例を示す概略図である。
図17は、
図7と事業連携予実により解決する顧客の課題Y、事業連携予実に関する複数の団体の名称、及び事業連携予実において提供される提供技術は同様であるため説明を省略する。
図17では、リスト作成部40は事業連携予実におけるシナジー目的である「共同研究」と、事業連携予実における各団体の役割である「A社:製造販売」、「B社:技術開発」、及び「C社:取りまとめ」と、を含む事業連携リストを作成する例を示している。
【0078】
図18は、
図8と事業連携予実により解決する顧客の課題Y、事業連携予実に関する複数の団体の名称、及び事業連携予実において提供される提供技術は同様であるため説明を省略する。
図18では、リスト作成部40は事業連携予実におけるシナジー目的である「開発委託」と、事業連携予実における各団体の役割である「D社:SIer」、「E社:取りまとめ」、及び「F社:技術開発」と、を含む事業連携リストを作成する例を示している。
【0079】
図15に戻り、抽出部50は、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、複数の候補団体を抽出する。
【0080】
マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、抽出部50により抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する。ここで、事業連携におけるシナジー目的は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と、事業連携リストに含まれる事業連携予実におけるシナジー目的とを包含する。また、事業連携における団体の役割は、探索情報に含まれる探索団体の事業連携における役割と、事業連携リストに含まれる事業連携予実における各団体の役割とを包含する。
【0081】
次に、事業連携支援システム100による事業連携支援方法について説明する。
図19及び
図20は実施の形態2の事業連携支援システム100の処理動作を示すフローチャートである。
図19は事業連携支援装置1が団体情報及び事業連携情報を取得し、事業連携リストを作成する処理動作を示している。
図20は事業連携支援装置1が探索情報を取得してから候補団体を出力するまでの処理動作を示している。
図19の処理動作と
図20の処理動作はマルチプロセス処理やマルチタスク処理により並行に動作してもよい。また、
図19の処理動作を開始するタイミングは特に限定されず、例えば管理団体の担当者が設定した周期で開始してもよい。
図20の処理動作は例えばユーザ端末2から探索情報が送信されたタイミングで開始する。
【0082】
まず、
図19に示す事業連携支援システム100の処理動作を説明する。
ステップS201は実施の形態1のステップS101と同様であり、団体情報取得部22は団体情報を取得する。団体情報取得部22は取得した団体情報を団体情報記憶部32に出力し、団体情報記憶部32は団体情報を記憶する。
【0083】
ステップS202では、事業連携情報取得部23は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報である事業連携情報を取得する。事業連携情報には、事業連携予実におけるシナジー目的、及び事業連携予実における各団体の役割の少なくとも一方が含まれている。事業連携情報取得部23は取得した事業連携情報をリスト作成部40に出力する。
【0084】
ステップS203では、リスト作成部40は、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び事業連携予実において提供される提供技術に加えて、事業連携予実におけるシナジー目的、及び事業連携予実における各団体の役割の少なくとも一方をさらに対応付けた事業連携リストを作成する。
リスト作成部40は作成した事業連携リストを事業連携情報記憶部33に出力し、事業連携情報記憶部33は、事業連携リストを記憶する。また、リスト作成部40はステップS202において取得された事業連携情報をさらに記憶してもよい。
【0085】
以上で、
図19に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。なお、
図19に示すステップS201~ステップS203の処理動作の順番は一例であり、これに限られない。
【0086】
次に、
図20に示す事業連携支援システム100の処理動作を説明する。
ステップS204では、探索情報取得部21はユーザ端末2から探索情報を取得する。探索情報は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、探索団体の事業連携における役割、探索団体の取引関係、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つを、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに加えて含む。探索情報取得部21は取得した探索情報を探索情報記憶部31に出力し、探索情報記憶部31は探索情報を記憶する。
【0087】
ステップS205~ステップS207において、抽出部50は、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、複数の候補団体を抽出する。以下では、抽出部50は、
図16に示す探索情報、
図17及び
図18に示す事業連携リスト、及び
図4に示す団体情報に基づき複数の候補団体を抽出する具体例を説明する。
【0088】
まず、ステップS205は実施の形態1のステップS105と同様であり、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yを抽出する。
【0089】
具体例では、抽出部50は、
図16に示す探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する、事業連携予実により解決する顧客の課題Yとして、例え
図17及び
図18に示す事業連携リストを抽出する。詳細は、実施の形態1のステップS105において説明した具体例と同様である。
【0090】
ステップS206は実施の形態1のステップS106と同様であり、抽出部50は、ステップS205において抽出した事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術を抽出する。
【0091】
具体例では、
図17に示す事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術は、「ロボット」、「3Dマップ」、及び「配送管理システム」である。そして、
図18に示す事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術は、「運行管制システム」、「自動運転OS」、及び「3Dマップ」である。
抽出部50は、例えば「配送管理システム」及び「運行管制システム」は類似する提供技術である「運送管理システム」にグルーピングし、「3Dマップ」、「運送管理システム」、「ロボット」、及び「自動運転OS」を抽出する。
【0092】
図20に戻り、ステップS207は実施の形態1のステップS107と同様であり、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術を保有する団体を団体情報から候補団体として抽出する。抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術と完全一致する技術を保有する団体を抽出してもよく、ステップS206において抽出した提供技術の類似技術を保有する団体を抽出してもよい。
【0093】
具体例の場合、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術である「3Dマップ」を保有する団体を、
図4に示す団体情報を参照し、「B社」、「F社」、及び「I社」を候補団体として抽出する。また、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術である「運送管理システム」を保有する団体を、
図4に示す団体情報を参照し、「C社」、「D社」、「G社」、及び「H社」を候補団体として抽出する。ここでは、抽出部50は、ステップS106において抽出した「運送管理システム」と、「配送管理システム」「運行管制システム」「配送管理システム」及び「運航管制システム」とは、それぞれ類似技術として判断している。また、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術である「ロボット」を保有する団体を、
図4に示す団体情報を参照し、「A社」を候補団体として抽出する。また、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術である「自動運転OS」を保有する団体を、
図4に示す団体情報を参照し、「E社」を候補団体として抽出する。
【0094】
図20に戻り、ステップS208では、マッチング度決定部70はステップS207において抽出部50が抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する。詳細には、マッチング度決定部70は探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、抽出部50により抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する。
【0095】
図21は実施の形態2のマッチング度決定部70による複数の候補団体のマッチング度を決定する方法を説明する概略図である。
図21において、マッチング度決定部70は探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき、各候補団体のマッチング度を決定した例である。
図21において数値が高いほどマッチング度が高いことを示している。なお、以下に示すマッチング度の数値は一例であり、適宜ユーザが設定すればよい。
【0096】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術と同じステップS206で抽出した提供技術を保有する候補団体のマッチング度を、その他の候補団体よりも低く設定する。
図21では、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術である「ロボット」及び「自動運転OS」を保有する候補団体で「A社」及び「E社」のマッチング度を-10とする例を示している。これにより、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供できない技術を保有する候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0097】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と事業連携予実におけるシナジー目的が同じ候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高く設定する。
図21では、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的である「共同開発」と事業連携予実におけるシナジー目的が同じ候補団体である「A社」、「B社」、及び「C社」はそれぞれ+2とし、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的である「共同開発」と事業連携予実におけるシナジー目的が異なる候補団体である「D社」、「E社」、「F社」は-1とする例を示している。これにより、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と同じシナジー目的の事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0098】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体の事業連携における役割と事業連携予実における各団体の役割が同じ候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を低く設定する。
図21では、マッチング度決定部70は、探索団体の事業連携における役割である「取りまとめ」及び「製造販売」と事業連携予実における各団体の役割が同じ候補団体である「A社」及び「C社」はそれぞれ-1とする例を示している。これにより、探索団体の事業連携における役割と異なる役割での事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0099】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体と取引関係がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高く設定する。また、例えば、マッチング度決定部70は、探索団体と失注案件がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を低く設定する。
図21では、マッチング度決定部70は、探索団体と取引関係がある「A社」及び「D社」はそれぞれ+3とし、探索団体と失注案件がある「F社」及び「H社」はそれぞれ-1とする例を示している。これにより、探索団体と取引関係がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高くし、探索団体と失注案件がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を低くすることができる。
【0100】
例えば、マッチング度決定部70は、事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき候補団体のマッチング度を決定する。
図21では、マッチング度決定部70は、
図16に示す探索情報に含まれる事業連携におけるキーパーソンに関する情報である「X県の〇〇プロジェクトに応募予定(選定委員のA教授:I社と共同研究)」に基づき、「I社」を+1とする例を示している。これにより、当該事業連携の成否に影響を与える可能性を考慮して候補団体のマッチング度を決定することができる。
【0101】
図21において、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき、A社は-6、B社は+2、C社は+1、D社は+2、E社は-11、F社は-2、G社は0、H社は-1、I社は+1とマッチング度を決定する。すなわち、
図21における各候補団体のマッチング度はB社=D社>C社=I社>G社>H社>F社>A社>E社である。
【0102】
図20に戻り、次にステップS209では、出力部60は、候補団体の名称と、各候補団体のマッチング度とを対応付けた情報をユーザ端末2に出力する。
【0103】
図22及び
図23は、実施の形態2の出力部60の出力例を示す概略図であり、ユーザ端末2の表示部に表示されるデータでもある。
【0104】
図22に示すように、出力部60は、候補団体の名称と、各候補団体のマッチング度とを対応付けた情報である「B社=D社>C社=I社>G社>H社>F社>A社>E社」を出力する。
【0105】
また、出力部60は、ステップS206において抽出した提供技術に分けて、各候補団体のマッチング度を出力してもよい。例えば、
図23では、ステップS206において抽出した「3Dマップ」を保有する候補団体のマッチング度は「B社>I社>F社」であり、ステップS206において抽出した「運送管理システム」を保有する候補団体のマッチング度は「D社>C社>G社>H社」である。これにより、探索団体又は管理団体の担当者は、事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術と、当該技術を提供可能な候補団体とを把握することができる。そして、当該技術を提供可能な候補団体が複数存在する場合に、マッチング度を把握することができる。また、出力部60は、ステップS205及びステップS206において抽出部50が候補団体を抽出するために用いた事業連携リストに関する情報を、参考事例としてさらに出力してもよい。
以上で、
図20に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。
【0106】
次に、事業連携支援システム100の効果を説明する。
実施の形態1と同様に、本実施の形態の事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを少なくとも含む探索情報、及び、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する。そして、事業連携支援システム100は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成し、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。これにより、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【0107】
また、マッチング度決定部70は抽出部50により抽出した候補団体のマッチング度を決定する。これにより、事業連携支援システム100は、候補団体のマッチング度を決定することができる。特に、事業連携支援システム100は、抽出部50により複数の候補団体が抽出された場合に、各候補団体のマッチング度を決定することにより、探索団体は適合度が高い候補団体をより容易に把握することができる。
【0108】
また、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、複数の候補団体のマッチング度を決定する。
【0109】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術と同じ提供技術を保有する候補団体のマッチング度を、その他の候補団体よりも低く設定することにより、探索団体が事業連携において提供できない技術を保有する候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0110】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と事業連携予実におけるシナジー目的が同じ候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高く設定することにより、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と同じシナジー目的の事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0111】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体の事業連携における役割と事業連携予実における各団体の役割が同じ候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を低く設定することにより、探索団体の事業連携における役割と異なる役割での事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体のマッチング度を高くすることができる。
【0112】
例えば、マッチング度決定部70は、探索団体と取引関係がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高く設定することにより、探索団体と取引関係がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を高くし、探索団体と失注案件がある候補団体は他の候補団体よりもマッチング度を低くすることができる。
【0113】
例えば、マッチング度決定部70は、事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき候補団体のマッチング度を決定することにより、当該事業連携の成否に影響を与える可能性を考慮して候補団体のマッチング度を決定することができる。
【0114】
なお、本実施の形態では、抽出部50は複数の候補団体を抽出し、マッチング度決定部70は探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、複数の候補団体のマッチング度を決定する例を説明したがこれに限らない。
【0115】
例えば、マッチング度決定部70における処理の一部又は全部を抽出部50が実施してもよい。すなわち、抽出部50は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、候補団体を抽出してもよい。抽出部50が、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割に基づき、候補団体を抽出する場合、探索情報取得部21は、探索情報として、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、探索企業が事業連携において求めるシナジー目的、探索企業の事業連携における役割を含む探索情報を取得する。
【0116】
抽出部50は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術に基づき、候補団体を抽出し、マッチング度決定部70は事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報に基づき、抽出部50により抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する例を説明する。
【0117】
図24は実施の形態2の事業連携支援システム100の処理動作を示すフローチャートである。ステップS201~ステップS203は
図19に示す処理動作と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
上述したとおり、ステップS204では、探索情報取得部21はユーザ端末2から探索情報を取得する。探索情報は、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、探索団体の事業連携における役割、探索団体の取引関係、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つを、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに加えて含む。探索情報取得部21は取得した探索情報を探索情報記憶部31に出力し、探索情報記憶部31は探索情報を記憶する。
【0119】
ステップS205、S206、S210、及びS211では、抽出部50は、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、複数の候補団体を抽出する。以下では、抽出部50は、
図16に示す探索情報、
図17及び
図18に示す事業連携リスト、及び
図4に示す団体情報に基づき複数の候補団体を抽出する具体例を説明する。
【0120】
上述したとおり、ステップS205では、抽出部50は、探索情報に含まれる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに類似する事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yを抽出する。
【0121】
上述したとおり、ステップS206では、抽出部50は、ステップS205において抽出した事業連携リストに含まれる事業連携予実により解決する顧客の課題Yに対応付けられた提供技術を抽出する。以下では、抽出部50は「配送管理システム」及び「運行管制システム」は類似する提供技術である「運送管理システム」にグルーピングし、「3Dマップ」、「運送管理システム」、「ロボット」、及び「自動運転OS」を抽出する場合を想定して説明する。
【0122】
ステップS210では、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術から、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術を除く。具体例では、抽出部50は、ステップS206において抽出した提供技術である「ロボット」、「3Dマップ」、「運送管理システム」、及び「自動運転OS」から、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術である「ロボット」及び「自動運転OS」を除く。すなわち、「3Dマップ」、「運送管理システム」が除外されずに残った提供技術である。
【0123】
ステップS211では、抽出部50は、ステップS210で除外されなかった提供技術を保有する団体を団体情報から候補団体として抽出する。ステップS211における候補団体の抽出方法は、実施の形態1のステップS107と同様であるため、詳細は省略する。
【0124】
具体例の場合、抽出部50は、ステップS210において除外されなかった提供技術である「3Dマップ」を保有する団体を、例えば
図4に示す団体情報を参照し、「B社」、「F社」、及び「I社」を候補団体として抽出する。また、抽出部50は、ステップS211において除外されなかった提供技術である「運送管理システム」を保有する団体を、例えば
図4に示す団体情報を参照し、「C社」、「D社」、「G社」、及び「H社」を候補団体として抽出する。ここでは、抽出部50は、「運送管理システム」、「配送管理システム」「運行管制システム」「配送管理システム」及び「運航管制システム」とは、それぞれ類似技術として判断している。
【0125】
ステップS212では、マッチング度決定部70はステップS211において抽出部50が抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する。詳細には、マッチング度決定部70は事業連携におけるシナジー目的、事業連携における団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、抽出部50により抽出した複数の候補団体のマッチング度を決定する。具体的な方法は、上述したステップS208の処理動作の説明と同様であるため省略する。
【0126】
ステップS213ではステップS209と同様に、出力部60は、候補団体の名称と、各候補団体のマッチング度とを対応付けた情報をユーザ端末2に出力する。
以上で、
図24に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。
【0127】
このように、抽出部50は、探索団体が事業連携において提供可能な保有技術、事業連携におけるシナジー目的、事業連携における各団体の役割、探索団体の取引情報、及び事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、候補団体を抽出してもよい。これにより、探索団体が事業連携において提供できない技術を保有する候補団体を抽出することができる、探索団体が事業連携において期待するシナジー目的と同じシナジー目的の事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体を抽出することができる、探索団体の事業連携における役割と異なる役割での事業連携実績又は事業連携予定がある候補団体を抽出することができる、探索団体と取引関係がある候補団体を抽出することができる、探索団体と失注案件がある団体は候補団体として抽出しないことができる、及び当該事業連携の成否に影響を与える可能性を考慮して候補団体を抽出することができる等の効果を奏する。
【0128】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、ステップS105、S106、S205、及びS206において説明したとおり、抽出部50は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対するソリューションを提供するための適切な技術を、ルールベースで抽出する例を説明した。実施の形態3では、抽出部50は過去の事業連携の実績及び将来の事業連携の予定の少なくとも一方である事業連携予実により解決する顧客の課題Yから、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術を推論するための学習済みモデルを用いて、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を推論する場合について説明する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0129】
図25は実施の形態3の抽出部50を示すブロック図である。抽出部50は、学習装置51と推論装置55とを有する。まず、学習装置51について説明する。学習装置51は、データ取得部52、モデル生成部53、および学習済モデル記憶部54を備える。
【0130】
データ取得部52は、過去の事業連携の実績及び将来の事業連携の予定の少なくとも一方である事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術を学習用データとして取得する。
【0131】
モデル生成部53は、データ取得部52から出力される事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術の組合せに基づいて作成される学習用データに基づいて、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習する。すなわち、事業連携支援装置1の事業連携予実により解決する顧客の課題Y、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術から、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を推論する学習済モデルを生成する。ここで、学習用データは、事業連携予実により解決する顧客の課題Y及び当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術を互いに関連付けたデータである。
【0132】
なお、学習装置51及び推論装置55は、事業連携支援装置1の探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して事業連携支援装置1に接続され、この事業連携支援装置1とは別個の装置であってもよい。また、学習装置51及び推論装置55は、事業連携支援装置1に内蔵されていてもよい。さらに、学習装置51及び推論装置55は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0133】
モデル生成部53が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、ニューラルネットワークを適用した場合について説明する。
モデル生成部53は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習装置51に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0134】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、及び複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、又は2層以上でもよい。
【0135】
図26は実施の形態3のニューラルネットワークの一例を示す模式図である。例えば、
図26に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層(X1‐X3)に入力されると、その値に重みW1(w11‐w16)を掛けて中間層(Y1‐Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21‐w26)を掛けて出力層(Z1‐Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1とW2の値によって変わる。
【0136】
ニューラルネットワークは、データ取得部52によって取得される事業連携予実により解決する顧客の課題Y、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習する。
【0137】
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に事業連携予実により解決する顧客の課題Yを入力して出力層から出力された結果が、事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術に近づくように重みW1とW2を調整することで学習する。
【0138】
図25に戻り、モデル生成部53は、以上のような学習を実行することで学習済モデルを生成し出力する。
学習済モデル記憶部54は、モデル生成部53から出力された学習済モデルを記憶する。
【0139】
推論装置55は、データ取得部56及び推論部57を備える。
データ取得部56は、例えば探索情報取得部21から探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに関する情報を取得する。
【0140】
推論部57は、学習済モデルを利用して得られる探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を推論する。すなわち、この学習済モデルにデータ取得部56で取得した探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを入力することで、事業連携予実により解決する顧客の課題Yから推論される事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を出力することができる。
【0141】
なお、本実施の形態では、事業連携支援装置1のモデル生成部53で学習した学習済モデルを用いて探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を出力するものとして説明したが、他の事業連携支援装置1等の外部から学習済モデルを取得し、この学習済モデルに基づいて探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を出力するようにしてもよい。
【0142】
次に、事業連携支援システム100による事業連携支援方法について説明する。本実施の事業連携支援方法は、実施の形態1の事業連携支援方法とステップS101~S104は同様である。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0143】
まず、
図27を用いて、学習装置51が学習する処理について説明する。
図27は実施の形態3の学習装置51の学習処理に関するフローチャートである。
【0144】
ステップS301では、データ取得部52は事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術に関する情報を取得する。
【0145】
ステップS302では、モデル生成部53は、データ取得部52によって取得される事業連携予実により解決する顧客の課題Y、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習し、学習済モデルを生成する。
【0146】
ステップS303では、学習済モデル記憶部54は、モデル生成部53が生成した学習済モデルを記憶する。
以上で、
図27に示す学習装置51の処理動作を終了する。
【0147】
次に、推論装置55を使って事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を得るための処理から候補団体を出力するまでの処理動作を説明する。
図28は、実施の形態3の事業連携支援システム100の処理動作を示すフローチャートである。
【0148】
ステップS304では、データ取得部56は探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに関する情報を取得する。
【0149】
ステップS305では、推論部57は学習済モデル記憶部54に記憶された学習済モデルに探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを入力し、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を得る。
【0150】
ステップS306では、推論部57は、学習済モデルにより得られた探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を出力する。
【0151】
ステップS307では、抽出部50は、ステップS306において出力された探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を保有する団体を候補団体として抽出する。具体的な処理動作は実施の形態のステップS107と同様である。
【0152】
ステップS308では実施の形態1のステップS108と同様に、出力部60は、ステップS107において抽出した候補団体の名称をユーザ端末2に出力する。
以上で、
図28に示す事業連携支援システム100の処理動作を終了する。
【0153】
なお、本実施の形態では、モデル生成部53が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、又は半教師あり学習等を適用することも可能である。
【0154】
また、モデル生成部53は、複数の事業連携支援装置1に対して作成される学習用データに従って、事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習するようにしてもよい。なお、モデル生成部53は、同一のエリアで使用される複数の事業連携支援装置1から学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の事業連携支援装置1から収集される学習用データを利用して事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習してもよい。また、学習用データを収集する事業連携支援装置1を途中で対象に追加してもよく、対象から除去することも可能である。さらに、ある事業連携支援装置1に関して事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を学習した学習装置51を、これとは別の事業連携支援装置1に適用し、当該別の事業連携支援装置1に関して事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を再学習して更新するようにしてもよい。
【0155】
また、モデル生成部53に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
【0156】
次に、事業連携支援システム100の効果を説明する。
実施の形態1と同様に、本実施の形態の事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを少なくとも含む探索情報、及び、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する。そして、事業連携支援システム100は、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題Y、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成し、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。これにより、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【0157】
また、本実施の形態の事業連携支援システム100は、過去の事業連携の実績及び将来の事業連携の予定の少なくとも一方である事業連携予実により解決する顧客の課題Yと、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術と、を含む学習用データを取得するデータ取得部52と、学習用データを用いて、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xから探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために有効な技術を推論するための学習モデルを生成するモデル生成部53と、を備える。そして、本実施の形態の事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを取得するデータ取得部52と、過去の事業連携の実績及び将来の事業連携の予定の少なくとも一方である事業連携予実により解決する顧客の課題Yから、事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術を推論するための学習済みモデルを用いて、データ取得部52が取得した探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xを解決するために適切な技術を推論する推論部57と、を備える。
【0158】
過去の事業連携の実績及び将来の事業連携の予定の少なくとも一方である事業連携予実により解決する顧客の課題Yと、当該事業連携予実において顧客の課題Yを解決するために提供された提供技術とには有意な相関がある。よって、本実施の形態の事業連携支援システム100は、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題Xに対して適切な技術を提供可能な候補団体を探索する精度を向上させることができる。
【0159】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0160】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0161】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0162】
(付記1)
事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援システムにおいて、
前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得する探索情報取得部と、
複数の団体の名称と、前記複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する団体情報取得部と、
過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するリスト作成部と、
前記探索情報、前記事業連携リスト、及び前記団体情報に基づき、前記候補団体を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出した前記候補団体の名称を出力する出力部と、
を備える事業連携支援システム。
(付記2)
前記抽出部は、前記探索情報に含まれる前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題と、前記事業連携リストに含まれる前記事業連携予実により解決する顧客の課題との類似度に基づき、前記団体情報を参照して前記候補団体を抽出することを特徴とする付記1に記載の事業連携支援システム。
(付記3)
前記抽出部は、前記探索情報に含まれる前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題に類似する、前記事業連携リストに含まれる前記事業連携予実により解決する顧客の課題を抽出し、抽出した前記事業連携予実により解決する顧客の課題に対応付けられた前記提供技術を抽出し、抽出した前記提供技術を保有する団体を前記団体情報から前記候補団体として抽出することを特徴とする付記1または2に記載の事業連携支援システム。
(付記4)
前記過去の事業連携実績は、官公庁、自治体、及び大学の少なくとも一つのホームページに公開された情報であることを特徴とする付記1から3のいずれか1つ記載の事業連携支援システム。
(付記5)
前記過去の事業連携実績は、前記ホームページに公開された公募情報であることを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記6)
前記将来の事業連携予定は、前記団体が保有する前記事業連携予実に関する提案資料、前記団体が保有する前記事業連携予実に関するメール、及び前記団体が営業活動の記録を管理しているデータベースの少なくとも一つから抽出される情報であることを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記7)
前記事業連携予実に関する情報は、前記事業連携予実に関する複数の団体の名称を含み、
前記リスト作成部は、前記提供技術を前記事業連携予実に関する複数の団体の名称、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記団体情報とから推測することを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記8)
前記出力部は、前記抽出部において前記事業連携リストから抽出された前記事業連携予実に関する情報を参考事例として、さらに出力することを特徴とする付記2から7のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記9)
前記出力部は、前記候補団体の名称と前記候補団体が保有する前記技術情報とを対応づけて出力することを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記10)
前記抽出部は、前記探索団体が前記事業連携において提供可能な保有技術、前記事業連携におけるシナジー目的、前記事業連携における各団体の役割、前記探索団体の取引情報、及び前記事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、前記候補団体を抽出することを特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記11)
前記抽出部は複数の前記候補団体を抽出し、
前記抽出部により抽出した複数の前記候補団体のマッチング度を決定するマッチング度決定部をさらに備え、
前記出力部は、前記候補団体の名称と前記候補団体のマッチング度とを対応付けて出力することを特徴とする付記1から10のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記12)
前記マッチング度決定部は、前記探索団体が前記事業連携において提供可能な保有技術、前記事業連携におけるシナジー目的、前記事業連携における各団体の役割、前記探索団体の取引情報、及び前記事業連携におけるキーパーソンに関する情報の少なくともいずれか一つに基づき、複数の前記候補団体の前記マッチング度を決定することを特徴とする付記11に記載の事業連携支援システム。
(付記13)
前記抽出部は、データ取得部とモデル生成部とを有し、
前記データ取得部は、前記事業連携予実により解決する顧客の課題と、前記事業連携予実において前記顧客の課題を解決するために提供された提供技術と、を含む学習用データを取得し、
前記モデル生成部は、前記学習用データを用いて、前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題から前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を解決するために適切な技術を推論するための学習モデルを生成する、
ことを特徴とする付記1から12のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記14)
前記抽出部は、データ取得部と推論部とを有し、
前記データ取得部は、前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を取得し、
前記推論部は、前記事業連携予実により解決する顧客の課題から、前記事業連携予実において前記顧客の課題を解決するために提供された提供技術を推論するための学習済みモデルを用いて、前記データ取得部が取得した前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を解決するために適切な技術を推論する、
ことを特徴とする付記1から13のいずれか1つに記載の事業連携支援システム。
(付記15)
事業連携を希望する探索団体に対して候補団体を探索することを支援する事業連携支援方法において、
前記探索団体が前記事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報を取得するステップと、
複数の団体の名称と、前記複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得するステップと、
過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、前記事業連携予実により解決する顧客の課題、及び前記事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成するステップと、
前記探索情報、前記事業連携リスト、及び前記団体情報に基づき、前記候補団体を抽出するステップと、
抽出した前記候補団体の名称を出力するステップと、
を備える事業連携支援方法。
【符号の説明】
【0163】
1 事業連携支援装置、2 ユーザ端末、3 処理回路、4 プロセッサ、5 メモリ
20 取得部、21 探索情報取得部、22 団体情報取得部、23 事業連携情報取得部、30 記憶部、31 探索情報記憶部、32 団体情報記憶部、33 事業連携情報記憶部、40 リスト作成部、50 抽出部、51 学習装置、52 データ取得部、53 モデル生成部、54 学習済モデル記憶部、55 推論装置、56 データ取得部、57 推論部、60 出力部、70 マッチング度決定部、100 事業連携支援システム。
【要約】
【課題】 探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題に対して適切な技術を提供可能な候補団体を効率よく探索することを支援できる。
【解決手段】 事業連携支援システムは、探索団体が事業連携により解決したい顧客の課題を少なくとも含む探索情報、及び、複数の団体の名称と、複数の団体がそれぞれ保有する技術情報とを対応づけた団体情報を取得する。また、事業連携支援システムは、過去の事業連携実績及び将来の事業連携予定の少なくとも一方の事業連携予実に関する情報に基づき、事業連携予実により解決する顧客の課題、及び事業連携予実において提供される提供技術を対応づけた事業連携リストを作成する。そして、事業連携支援システムは、探索情報、事業連携リスト、及び団体情報に基づき、候補団体を抽出する。
【選択図】
図11