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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】光通信網システム及び光通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20241008BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04B10/27
H04L12/44 200
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023067046
(22)【出願日】2023-04-17
【審査請求日】2023-04-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和4年度総務省「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発 技術課題II大容量・高多重光アクセス網伝送技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中平 佳裕
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-143746(JP,A)
【文献】特開2019-179994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0136447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網制御装置と、複数の光終端装置とを有し、光通信に係る前記光終端装置の間に光波長スイッチ網が存在する光通信網システムであって、
各々の前記光終端装置は、前記光波長スイッチ網に対して、光ファイバによる直接接続、又は光分岐網経由接続、又は波長合分波器経由接続のいずれかで接続しており、
前記光終端装置は、電源投入時に前記網制御装置に対して自身の存在を通知し、その後、前記網制御装置と論理接続された光終端装置を親局として、論理的な接続関係を構築するための調査信号の授受を行なうものであり、
前記網制御装置は、
直接接続、光分岐網経由接続、及び波長合分波器経由接続のそれぞれの接続形式で前記光波長スイッチ網と接続している光ファイバに対して、いずれかの光ファイバで、子局として動作する前記光終端装置に、調査信号を含む光信号が届くか否かを確認し、
前記光信号が届かない場合、又は、前記光信号が届く状態であるが、特定の通信方式で通信ができない場合、前記光波長スイッチ網に接続して、親局として動作可能な光終端装置であって、他の光終端装置を子局として通信していない未使用光終端装置に対して、前記光信号の送信指示をして、子局として動作する未発見光終端装置の存在を確認させる
ことを特徴とする光通信網システム。
【請求項2】
前記波長スイッチ網と接続している光ファイバの数が、前記未使用光終端装置の数より少ない場合、前記網制御装置は、時分割によって前記未使用光終端装置が接続する光ファイバを変更し、前記光波長スイッチ網と接続している全ての光ファイバで、前記未発見光終端装置の存在を確認させる
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信網システム。
【請求項3】
前記未使用光終端装置が、複数の波長のそれぞれを用いて前記光信号を送信して、前記未発見光終端装置の有無調査を行ない、前記未発見光終端装置からの前記光信号が存在するとき、前記光信号に含まれる調査信号を用いた調査タイミングと調査時間とが事前設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の光通信網システム。
【請求項4】
光分岐網の加入者側の光終端装置が使用可能な全波長を用いて調査に必要な調査時間を全波長調査時間とすると、前記未使用光終端装置が各光ファイバの各波長で調査を行なう時間を、前記全波長調査時間よりも長くする
ことを特徴とする請求項3に記載の光通信網システム。
【請求項5】
ある第1の未使用光終端装置が、その加入者側インターフェイスによって直接接続される別の第2の未使用光終端装置に対して、又は、前記第1の未使用光終端装置が、その局側インターフェイスによって直接接続される光波長スイッチ網の先の別の第2の未使用光終端装置に対して、又は、前記第1の未使用光終端装置が、前記第2の未使用光終端装置の局側または加入者側インターフェイスからマルチホップした先の別の第3の未使用光終端装置であって、前記網制御装置と論理接続しているものに対して、制御信号を送信して、前記第1の未使用光終端装置の論理接続が実現できるように、
前記網制御装置が、光波長スイッチ網と光終端装置とが接続されたパケットスイッチ装置の転送経路を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信網システム。
【請求項6】
第1の未使用光終端装置が通信する第2の未使用光終端装置が変更される場合、第2の未使用光終端装置が、引き続き、前記網制御装置と通信可能な別の未使用光終端装置と通信が可能なように、前記網制御装置が、全ての光終端装置までのシングルまたはマルチホップでの通信経路を維持できるように光波長スイッチ網と光終端装置とパケットスイッチ装置に指示する
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信網システム。
【請求項7】
前記網制御装置から全ての光終端装置への制御情報の転送経路を同時に維持する事が困難な場合、
前記網制御装置及び前記光終端装置は、次回に接続する時刻と接続先のインターフェイスを決定し、
前記光終端装置は、前記次回の接続する時刻に間に合うように、前記光波長スイッチ網、パケットスイッチ装置、前記光終端装置の設定を変更して、制御情報の通信を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信網システム。
【請求項8】
ある光終端装置が、時分割によって、光波長スイッチ網、パケットスイッチ装置、他の光終端装置による通信経路の確立時間、他の光終端装置が通信経路を維持できなくなる等の影響が最小となるように使用する経路と設備を選択する事を特徴とする請求項7に記載の光通信網システム。
【請求項9】
網制御装置と、複数の光終端装置とを有し、光通信に係る前記光終端装置の間に光波長スイッチ網が存在する光通信網システムの光通信方法であって、
各々の前記光終端装置は、前記光波長スイッチ網に対して、光ファイバによる直接接続、又は光分岐網経由接続、又は波長合分波器経由接続のいずれかで接続しており、
前記光終端装置は、電源投入時に前記網制御装置に対して自身の存在を通知し、その後、前記網制御装置と論理接続された光終端装置を親局として、論理的な接続関係を構築するための調査信号の授受を行なうものであり、
前記網制御装置は、
直接接続、光分岐網経由接続、及び波長合分波器経由接続のそれぞれの接続形式で前記光波長スイッチ網と接続している光ファイバに対して、いずれかの光ファイバで、子局として動作する前記光終端装置に、調査信号を含む光信号が届くか否かを確認し、
前記光信号が届かない場合、又は、前記光信号が届く状態であるが、特定の通信方式で通信ができない場合、前記光波長スイッチ網に接続して、親局として動作可能な光終端装置であって、他の光終端装置を子局として通信していない未使用光終端装置に対して、前記光信号の送信指示をして、子局として動作する未発見光終端装置の存在を確認させる
ことを特徴とする光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光終端機能を有する光終端装置の間に光波長スイッチ(SW)網が存在する光通信網において、必要な制御情報が光終端機能に転送される光通信網システム及び光通信方法に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関係する従来技術として、光信号を送受信する複数の光終端機能と、それらが接続される光波長SW網で構成され、光終端機能はPoint to Point接続とPoint to Multi-Point接続を切替え可能で、かつ、光終端機能は速度と波長を切替可能な通信システムが存在する。
【0003】
非特許文献1には、フレキシブルPON(Passive Optical Network)の構成が開示されており、このシステムで高速通信を行なう場合にはPtPで接続し、そうでない場合にはPtMPで接続すると共に通信速度を変えて省電力化を実現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-236419号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】鹿嶋正幸,“多様化する未来を見据えた大容量・低消費電力・低コストを実現する光アクセス網伝送技術の開発”,信学技報,vol.122,No.169,PN2022-12,pp.21-24,2022年8月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した非特許文献1には、光終端機能が網全体を制御するコントローラに、光終端機能自身の存在を伝えるディスカバリー機能や、その後コントローラが、光終端機能に対して、どの接続型(PtP、PtMPT、PtMPA)で通信すべきかの指示や、使用する波長、通信速度の指定などを行なう制御信号を交換する手法が示されていない。本発明はその実現手法を提供する。
【0007】
通常のPONシステムでは、光終端機能としての親局と子局は、必ず光ファイバで接続されている。しかし、親局と子局の間に光波長SW網が存在する場合、必ずしも子局が接続された光分岐網の光ファイバのどの波長にも親局が接続されていない場合が有り得る。そのような場合にもディスカバリー機能を実現する手法が求められている。
【0008】
また、光終端機能が対向する光終端機能と通信を行いつつ、コントローラと適宜制御信号を交換する必要があるが、そのような制御信号の交換手法をどのようにして実現するかに関して具体的な手法が決まっていないという課題もある。
【0009】
光終端機能としての親局と子局との間に光スイッチが含まれる系でのディスカバリーに関しては、特許文献1に開示される技術があるが、特許文献1の記載技術は、光スイッチがディスカバリー及び通信を行なう親局の冗長度を持たせたり、片系で子局と通信している間に親局に対して設定の変更等の制御を行うものであり、この開示が課題としているように、異なる複数の宛先への接続のための光SW網ではなく、基本的に接続する親局が決まっており、故障がない限り親局の数が不足する事がない。
【0010】
本発明では、子局が接続する親局は、状況に応じて変化し、親局の数が不足する場合も対応可能で、この点が異なる。
【0011】
そのため、本発明は、光終端機能(光終端装置)間に光波長SW網が存在する光通信網において、必要な制御情報が光終端機能に転送される光通信網システムを提供する。つまり、親局と子局の間に光波長SW網が存在する場合、子局が接続された光分岐網の光ファイバのどの波長にも親局が接続されておらずディスカバリーできない可能性があるが、それを防ぐとともに、光終端機能が対向する光終端機能と通信を行いつつ、コントローラとも制御信号を交換する手法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため、第1の本発明は、網制御装置と、複数の光終端装置とを有し、光通信に係る光終端装置の間に光波長スイッチ網が存在する光通信網システムであって、各々の光終端装置は、光波長スイッチ網に対して、光ファイバによる直接接続、又は光分岐網経由接続、又は波長合分波器経由接続のいずれかで接続しており、光終端装置は、電源投入時に網制御装置に対して自身の存在を通知し、その後、網制御装置と論理接続された光終端装置を親局として、論理的な接続関係を構築するための調査信号の授受を行なうものであり、網制御装置は、直接接続、光分岐網経由接続、及び波長合分波器経由接続のそれぞれの接続形式で光波長スイッチ網と接続している光ファイバに対して、いずれかの光ファイバで、子局として動作する光終端装置に、調査信号を含む光信号が届くか否かを確認し、光信号が届かない場合、又は、光信号が届く状態であるが、特定の通信方式で通信ができない場合、光波長スイッチ網に接続して、親局として動作可能な光終端装置であって、他の光終端装置を子局として通信していない未使用光終端装置に対して、光信号の送信指示をして、子局として動作する未発見光終端装置の存在を確認させることを特徴とする。
【0013】
ここで、網制御装置は、(1)光波長スイッチ網に対して未使用光終端装置から光信号が届かない光ファイバへの経路を設定する動作と、(2)未使用光終端装置に対して未発見動光終端装置の存在を確認させる動作を行う様に指示する。
【0014】
第2の本発明は、網制御装置と、複数の光終端装置とを有し、光通信に係る光終端装置の間に光波長スイッチ網が存在する光通信網システムの光通信方法であって、各々の光終端装置は、光波長スイッチ網に対して、光ファイバによる直接接続、又は光分岐網経由接続、又は波長合分波器経由接続のいずれかで接続しており、光終端装置は、電源投入時に網制御装置に対して自身の存在を通知し、その後、網制御装置と論理接続された光終端装置を親局として、論理的な接続関係を構築するための調査信号の授受を行なうものであり、網制御装置は、直接接続、光分岐網経由接続、及び波長合分波器経由接続のそれぞれの接続形式で光波長スイッチ網と接続している光ファイバに対して、いずれかの光ファイバで、子局として動作する光終端装置に、調査信号を含む光信号が届くか否かを確認し、光信号が届かない場合、又は、光信号が届く状態であるが、特定の通信方式で通信ができない場合、光波長スイッチ網に接続して、親局として動作可能な光終端装置であって、他の光終端装置を子局として通信していない未使用光終端装置に対して、光信号の送信指示をして、子局として動作する未発見光終端装置の存在を確認させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光終端機能間に光波長SW網が存在する光通信網において、必要な制御情報が光終端機能に転送されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る光通信網システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2】実施形態において、マルチホップでコントローラが光終端機能の制御部と制御情報を交換する方法を説明する説明図である(その1)。
図3】実施形態において、マルチホップでコントローラが光終端機能の制御部と制御情報を交換する方法を説明する説明図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)実施形態
以下では、本発明に係る光通信網システム及び光通信方法の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(A-1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る光通信網システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0019】
図1において、実施形態に係る光通信網システムNTは、主として、光信号を送受信する光終端機能を備える複数の光終端装置、光波長SW(スイッチ)網30を有する。
【0020】
なお、対向する光終端装置の間に光波長SW網30が存在している光通信網であれば、光通信網システムNTは、図1に例示する構成に限定されない。光波長SW網30は、X個の波長多重された光信号の入出力方路がある網であり、その方路間で入出力される光波長の経路・方路を変更可能な網を指す。波長多重数=1、つまり波長多重を行なわずに方路の入替だけを行う場合も含む。
【0021】
図1では、光終端機能を備える光終端装置を「光終端機能」と表記しており、以下でも、例えば光終端機能1などと表記して説明する。
【0022】
光終端機能(光終端装置)の光インターフェイス部には、(a)Point to Point接続するPtP型、(b)Point to Multi-Point形式で「子局」として接続するPtMPT型、(c)Point to Multi-Point形式で「親局」として接続するPtMPA型、(d)上記(a)~(c)のいずれかを選択して動作させる(PtP/PtMPT型、PtP/PtMPA型、PtP/PtMPT/PtMPA型)があり、かつ、光波長SW網30はその接続経路と使用波長の候補が複数存在する。
【0023】
なお、光通信網システムNTは、(a)、(b)、(c)、(d)の全ての光終端機能が必ずしも配置されている必要はない。また、光終端機能は、波長や速度を変更可能である事を想定しているが必須ではない。
【0024】
図1において、幾つかの光終端機能には、パーソナルコンピュータ(PC)やローカルエリアネットワーク(LAN:登録商標)が接続されており、別の幾つかの光終端機能は、ネットワークスイッチ(L2SW)やサーバと通信する通信インターフェイスとして動作している。
【0025】
また図1において、何台かのサーバがL2SWと接続されている。例えば、サーバ7は高精細映画サービスを行なうサーバであり、サーバ8は、光終端機能や光波長SW網30の制御を行なうコントローラ(以下では、「網制御装置」とも呼ぶ。)である。また、サーバ9はDHCP(Dynamic Host Configutation Protocol)サーバである。その他に、図1の光通信網システムNTは、DNSサーバ11、ゲーム用サーバ12、サーバ20、サーバ22などを有する。
【0026】
さらに、図1において、光波長SW網30への光終端機能の接続は、直接光ファイバで接続したり、スプリッタ31及び32を経由して接続したり、波長合分波器60を経由して接続したりする。
【0027】
光終端機能1、2、3は、スプリッタ31を経由して光波長SW網30と接続している。光終端機能4、5は、スプリッタ32を経由して光波長SW網30と接続している。
【0028】
光終端機能1は、PtP/PtMPT型の光インターフェイス部としてPtP1A及びPtMPT1Bと、ONU(Optical Network Unit)機能を有するONU1と、IPアドレスを持ちその終端を行うIP機能を有するIP1と、光終端機能1の各機能を制御する制御部(図1では「制御」と表記する。)を有している。ONU機能としてのONU1は、PtMPT型の通信を行なう際には、PONのONUと同様に、通信先のPtMPA型の光インターフェイス部との間で送受信タイミングの調整を行なったり、自分宛のフレームのみを選択受信したり、フレームの組立や分解を行う機能が含まれている。また、ONU機能としてのONU1は、MACアドレス(MAC1)が付与されており、ブリッジ(Bridge)機能も有する。ブリッジ機能は、光終端機能に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)やLANと光インターフェイス部との間でパケットをレイヤ2転送する。
【0029】
光終端機能2と光終端機能4は、光終端機能1と同じものである。
【0030】
光終端機能3も、基本的には光終端機能1とほぼ同様に機能を有するが、IP機能としてのIP3が、IP Gateway機能を有しており、一旦IP終端されてレイヤ3転送する。
【0031】
光終端機能5は、IPレイヤの機能がない場合の構成であり、制御部は、レイヤ2接続による通信を行なう。
【0032】
光終端機能6A、6B、6C、6Dは、波長合分波器60を経由して光波長SW網30と接続している。
【0033】
光終端機能6A、6Bはそれぞれ、PtP型の光インターフェイス部であるPtP6A、PtP6Bと、MAC終端機能としてのMAC6A、MAC6Bとを有している。光終端機能6A、6Bはそれぞれ、レイヤ2スイッチであるL2SW6にプラグイン接続している。光終端機能6A、6Bの制御部は、光終端機能1~5と同様、その内部に配備しても良いし、図1に例示すように、レイヤ2スイッチであるL2SW6内に配備された制御部(制御系)に、これらの制御を行わせても良い。
【0034】
光終端機能6C、6Dはそれぞれ、PtMPA型の光インターフェイス部であるPtMPA6C、PtMPA6Dと、OSU(Optical Subscriber Unit)機能としてのOSU6C、OSU6Dとを有している。OSU6C及びOSU6Dはそれぞれ、PONのOSU機能と同様に、複数のONU機能を収容して時分割で通信する機能と共に、MAC終端機能を有しており、L2SW6にプラグイン接続されている。
【0035】
光終端機能6C、6Dの制御機能は、光終端機能1~5と同様、その内部に配備しても良いし、図1の様にL2SW6内に配備された制御部(制御系)に、これらの制御を行わせても良い。
【0036】
L2SW6には、上記光終端機能以外に通常のインターフェイス部であるMAC6E、MAC6F、MAC6Gを有しており、MAC6E、MAC6F、MAC6Gを介して、サーバ7、8、9と接続されている。サーバ7は、高精細動画配信サーバであり、サーバ8はコントローラであり、サーバ9はDNSサーバである。
【0037】
光終端機能10Aは、PtP10Aと、MAC10Aと、IP10Aと、制御部10Aとを有し、光終端機能10Bは、PtP10Bと、MAC10Bと、IP10Bと、制御部10Bとを有し、光終端機能10A、10Bはそれぞれ、レイヤ2スイッチであるL2SW10にプラグイン接続している。光終端機能10Cは、PtMPA10Cと、OSU10Cと、MAC10Cと、IP10Cと、制御部10Cとを有し、L2SW10にプラグイン接続している。
【0038】
L2SW10は、MAC10D、MAC10Eを介して、DNSサーバ11、ゲーム用サーバ12と接続している。
【0039】
光終端機能20は、光終端機能6Aと同じものであり、PtP20とMAC20とを有しており、サーバ20に直接プラグイン接続しており、サーバ20内のIP機能であるIP20によってレイヤ3終端されている。
【0040】
光終端機能22は、光終端機能6Cと同じものであり、PtPMPA22と、OSU22と、MAC22とを有しており、サーバ22に直接プラグイン接続しており、サーバ22内のIP機能であるIP22によってレイヤ3終端されている。
【0041】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る光通信網システムNTにおける光通信方法の動作を、図1を参照しながら説明する。
【0042】
(A-2-1)ディスカバリー動作
まず、図1を用いてディスカバリー動作を説明する。
【0043】
図1において、例えば、光終端機能1がスプリッタ31からの光ファイバに接続している。光終端機能1の電源がONになると、制御部は、光終端機能1自身が起動したことを、ネットワーク上のコントローラ(網制御装置)のサーバ8に通知しようとする。
【0044】
しかしながら、電源が入った直後は、光終端機能1が、PtP型、PtMPT型のいずれのモードで動作するか、更に使用する波長について設定されておらず、IPアドレスも付与されていない状態である。
【0045】
そこで、光終端機能1では、制御部が、まず光インターフェイス部1AをPtMPT型に設定し、波長λ1から順番に、光信号が来ていないかを調査する。
【0046】
PtMPT向けの信号が来ていれば、そこにはディスカバリー用の信号が含まれており、これによってディスカバリーを実施することができる。このディスカバリー動作は既存のPONで公知の技術であるが、以下の点が異なる。
【0047】
既存のPONにおいては、故障がなければ、ONUに対して基本的にOLTからのディスカバリー信号が来ており通信できる。
【0048】
しかし、この実施形態の光通信網システムNTでは、光波長スイッチ網30の接続次第で、通信出来ない可能性がある。それは、(1)光信号が来ていない場合、(2)光信号が来ていても、他の光終端機能とPtPモードで接続しており、PtMPのディスカバリー信号が含まれない場合である。
【0049】
そこで、この実施形態では、以下の方法によって、それを回避する。
【0050】
まず、前提条件として、コントローラ(網制御装置)のサーバ8は、PtMPA型で動作可能な光終端機能の制御部に対して、通常の通信を行うだけでなく、全ての起動中のPtMPA型光インターフェイス部に対して、周期的にディスカバリー信号を送信する設定で動作させる。
【0051】
次に、コントローラ(網制御装置)のサーバ8は、各スプリッタ経由、又は直接光波長SW網30に接続されている光終端機能向けの光ファイバに対して、最低限、どれか1つのPtMPA型の光インターフェイス部からの光信号が届く状態になっているかを確認する。
【0052】
光信号が届く状態であれば、PtMPT型を含む光終端機能は、その信号を用いてディスカバリーされる。
【0053】
もし1つもPtMPA型の光終端機能からの光信号が届く状態になっていない光ファイバがあった場合、コントローラはどこかの使用していないPtMPA型の光終端機能の制御部に対して、光インターフェイス部を起動するよう指示を出すと共に、光波長SW網30に対して、その信号が当該スプリッタ網に流れるように設定する。
【0054】
もし、当該スプリッタ網又は光ファイバの要素(Ft)の集合の数(NFt)が、未使用のPtMPA型光インターフェイス部の要素(Fa)の集合の数(NFa)より少ない場合、コントローラは、光波長スイッチ網の設定を「ある一定周期時間で切り替えて全てのFtに対してFaのどれかでディスカバリー」が行われるようにする。
【0055】
ここで、「ある一定周期時間で切り替えて全てのFtに対してFaのどれかでディスカバリー」に関して、各Ftに対してPtMPA型の光インターフェイス部が行うディスカバリー動作は、特定波長で行うだけでなく、複数波長又は全波長で行うと、特定波長で故障が生じた際もディスカバリーが可能になるので好適である。
【0056】
PtMPA型の光インターフェイス部は、可変波長ではなく特定波長専用に作られている場合もあるので、「ある一定周期時間で切り替えて全てのFtに対してFaのどれかでディスカバリー」に関して、全てのFtに対して、Faのどれかで、全波長でディスカバリーが行われるように光波長スイッチ網の切り替えが行われるようにしたり、複数波長が使えるPtMPAの波長を切替えたりしてディスカバリーすると好適である。
【0057】
その際に、PtMPTが調査している波長と、PtMPA側が調査している波長とが時間差でずれると見逃しが生じるため、それが起こらない様に互いに重なる時間が生じる様に、双方が調査するタイミングあるいは調査時間の長さを事前に設定すると好適である。
【0058】
具体的には、PtMPT型の光インターフェイス部が、各波長毎に、PtMPA型の光インターフェイス部からのディスカバリー信号が来ていないかの調査を順次行った際に、全波長の調査に必要な時間をTdftwとしたとき、PtMPA型の光インターフェイス部が1波長の調査を行う時間をTdftwより長いと見逃しが生じないため好適である。
【0059】
同様に、PtP型の光インターフェイス部を有する光終端機能のディスカバリーを行う為に、コントローラは、Ftに対して、ディスカバリーを行う。PtMPT型を探す場合と異なる点として、PtMPA型の光インターフェイス部は、同時に複数のPtMPTと通信可能で、かつ、通常の通信を行いながらディスカバリーを行う事が可能であるが、PtP型の光インターフェイス部はそれが出来ない点である。
【0060】
そこで、ディスカバリーは、未使用のPtP型の光インターフェイス部のみを使用するが、それ以外はPtMP型の場合と同じなので、上記の発明を用いる事ができる。
【0061】
具体的には、コントローラは未使用のPtP型の光インターフェイス部を有する光終端機能に対して、ディスカバリーを行う様に指示を出し、その光インターフェイス部の信号が当該スプリッタ及び光ファイバに接続されるように光波長スイッチ網の設定を切替える様に指示を出す。
【0062】
当該スプリッタ網数+光ファイバ数の合計(Nft)が、未使用のPtP型を含む光インターフェイス部、即ちPtP/PtMPA型とPtP/PtMPT型の光インターフェイス部の要素の集合(Fp)の数(Nfp)よりも多い場合、Fpに対して、PtPモードでディスカバリーを行わせる。Nft>Nfp、つまり、Fpが不足する場合は、PtMPT型光インターフェイス部のディスカバリー時と同様に、一定時間間隔で接続先のFtを切替える事で対応する。
【0063】
(A-2-2)コントローラと光終端機能の制御部との制御情報の通信方法
次に、コントローラが、空き光インターフェイス部を有する光終端機能の制御部と通信する方法について説明する。以下に、3種類の通信方法を例示する。
【0064】
[第1の方法]
第1の方法は、図1に示されていない上記光波長スイッチ網とは別のネットワーク(例えば、LAN/WAN)で接続されている場合である。このような場合、既存技術を適用することができる。
【0065】
[第2の方法]
第2の方法は、コントローラが接続されているL2SW6と接続されている別の光インターフェイス部経由で通信する方法である。
【0066】
図2は、実施形態において、マルチホップでコントローラが光終端機能の制御部と制御情報を交換する方法を説明する説明図である(その1)。
【0067】
例えば、図2において、PC2は、ONU2MAC2、PtMPT2B、光波長SW網30、PtP6A、MAC6A、MAC6E、MAC7、IP7経由で、サーバ7と接続しており、ユーザは高精細映画サービスを視聴しているものとする。
【0068】
このとき、サーバ7は、IP7、MAC7、MAC6E、MAC6B、PtP6B、光波長SW網30、PtP10A、MAC10A、MAC10D、MAC11、IP11経由で、課金管理サーバ11と通信している。
【0069】
上述の場合に、コントローラが、光終端機能10Cの制御部と通信する方法を説明する。
【0070】
図2において、コントローラは、光終端機能10Cの制御部と通信する回線を有していないが、高精細映画サービスを提供しているサーバ7と課金管理サーバ11が通信している経路の内、MAC6BからMAC10Aまでの経路を共用させてもらうと共に、L2SW6とL2SW10のパケットスイッチングとパケットの時間多重の機能を用いて、コントローラのサーバ8のIP8、MAC8、MAC6F、MAC6B、PtP6B、光波長SW網30、PtP10A、MAC10A、MAC10C、IP10Cという経路で、光終端機能10Cの制御部10Cと通信する事ができる。
【0071】
ここで、コントローラから光終端機能の制御部に至るまで、L2SW6とL2SW10で2回のレイヤ2転送が、光波長SW網30を1回通過する光伝送が行われているが、更に光パス区間やL2SWの転送回数を増やして接続したり、レイヤ3での転送を含んだりしても構わない。その例を図3を用いて説明する。図3は、実施形態において、マルチホップでコントローラが光終端機能の制御部と制御情報を交換する方法を説明する説明図である。
【0072】
図3において、PC2は、ONU2MAC2、PtPMPT2B、光波長SW網30、PtP10A、MAC10A、MAC10F、MAC12、IP12経由で、ゲーム用サーバ12と接続され、ユーザはゲームサービスを享受している。
【0073】
このとき、ゲーム用サーバ12は、IP12、MAC12、MAC10F、MAC10B、PtP10B、光波長SW網30、PtP20A、MAC20A、MAC20D、MAC22、IP22経由で計算用サーバ22と通信してゲーム内での物体の物理計算をさせている。
【0074】
また、高精細映画サービス用のサーバ7は、IP7、MAC7、MAC6E、MAC6A、PtP6A、光波長SW網30、PtP20B、MAC20B、MAC20C、MAC21、IP21の経路でコンテンツ提供サーバ21と接続して、新作映画の動画データをダウンロードしている。
【0075】
上述のような場合に、コントローラが光終端機能10Cの制御部と通信する方法を説明する。
【0076】
図3において、コントローラは、光終端機能10Cの制御部と通信する回線を有していないが、高精細映画サービスを提供しているサーバ7とコンテンツ提供サーバ21の経路の内、MAC6BからIP20Bへの経路と、ゲーム用サーバ12と計算用サーバ21が通信している経路の内、MAC10DからMAC20Aの経路を共用させてもらうと共に、L2SW6とL2SW20とL2SW10のパケットスイッチングとパケットの時間多重の機能を用いて、コントローラのサーバ8のIP8、MAC8、MAC6F、MAC6B、PtP6B、光波長SW網30、PtP20B、MAC20B、MAC20A、PtP20A、光波長SW網30、PtP10B、MAC10B、MAC10C、IP10Cという経路で光終端機能10Cの制御部10Cと通信する事ができる。
【0077】
なお、例えば図2の例で、光終端機能6B→光波長SW網30→光終端機能10Aで接続されている光信号のコネクションの片方または両方が、何かの理由で別の光終端機能と接続する場合、コントローラは代替経路を用意し、その為の光信号のコネクションの接続を維持する。その経路はシングルホップでもマルチホップでも構わない。
【0078】
なお、ネットワークがL2接続されていて、STP等のプロトコルが使われている場合、自動的にL2スイッチの転送経路表が更新されることが期待できるが、それが再構成されるまでに時間がかかることと、その様にして構築された経路表では遅延や帯域でサービスの品質が保てなくなる可能性があるため、コントローラが適切な経路を算出して設定する方法を取る事が好適である。
【0079】
[第3の方法]
第3の方法は、空き光終端機能が、定期的にコントローラと通信する方法である。この場合、未使用の光終端機能を仮にT1(以下、T2~T4も同様)とすると、T1は、まず、前述のディスカバリー動作と同様の動作を行う事で、既にコントローラとの接続ができている光終端機能T2と接続し、T2を経由してコントローラと通信を実現する。
【0080】
その後も定期的にその経路を用いてコントローラと通信し、どこか別の光終端機能T3と通信するように指示を受けた場合、現在の接続相手T2と切断し、指示された光終端機能T3と通信を行う。
【0081】
その後、当該接続相手T3との通信が終われば、先ほど接続したコントローラとの通信が可能な光終端機能T2との通信を回復する。
【0082】
あるいは、ディスカバリー動作と同様の動作で、コントローラとの通信が可能な別の光終端機能T2Nを探してコントローラとの通信を行う。
【0083】
あるいは、T1はコントローラから別の光終端機能T3と通信する際に、ある一定時後にこれを解除してT2又はT2N経由でコントローラと接続し直し、新たな指示がないかを確認し、しかる後、別の光終端機能T4と通信するか、元通りT3と通信するかの指示を受けて後者の場合はT3との通信を再開することができる。
【0084】
この様な制御を行う場合、ある光終端機能が時分割によって、光SWやパケットスイッチ、他の光終端機能による通信経路を確立している時間、他の光終端機能が通信経路を維持できなくなる等の影響が生じる可能性がある。その様な場合、例えば、通信ができない時間情報をバッファに貯めておいて通信経路が再度利用可能な状態に遷移したのちに、送信するような設定とし、遅延が生じても支障がないサービスを使用中の光終端機能を選択する等して悪影響を最小となるように使用する経路と装置の選択と設定を行うことが好適である。
【0085】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、光終端機能間で1対1通信と1対多の接続を行う網において、接続された光終端機能を網制御機能が自動的に発見(ディスカバリー)する機能を実現できる。また、光終端機能の制御部が網制御機能と制御信号を交換する手法を提供できる。
【符号の説明】
【0086】
NT:光通信網システム、30:光波長スイッチ(SW)サーバ、31及び32:スプリッタ、60:波長合分波器、6:L2SW、
1:光終端機能、2:光終端機能、3:光終端機能、4:光終端機能、5:光終端機能、6A:光終端機能、6B:光終端機能、6C:光終端機能、6D:光終端機能、10A:光終端機能、10B:光終端機能、10C:光終端機能、20:光終端機能、22:光終端機能、23:光終端機能、
7:サーバ(高精細映画サービス用)、8:サーバ(コントローラ)、9:DHCPサーバ、11:DNSサーバ、12:ゲーム用サーバ、20:サーバ、21:コンテンツ提供サーバ、22:サーバ(計算用サーバ)、23:サーバ。

【要約】
【課題】光終端機能間に光波長SW網が存在する光通信網において、必要な制御情報が光終端機能に転送できるようにする。
【解決手段】本発明は、光通信に係る光終端装置の間に光波長スイッチ網が存在する光通信網システムであって、網制御装置は、光波長スイッチ網と接続している光ファイバに対して、いずれかの光ファイバで、子局として動作する光終端装置に、調査信号を含む光信号が届くか否かを確認し、光信号が届かない場合、又は、光信号が届く状態であるが、特定の通信方式で通信ができない場合、光波長スイッチ網に接続して、親局として動作可能であり、他の光終端装置を子局として通信していない未使用光終端装置に光信号の送信指示をして、子局として動作する未発見光終端装置の存在を確認させる。
【選択図】 図1

図1
図2
図3