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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】無線装置、通信方法及び無線システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/04 20090101AFI20241008BHJP
   H04W 40/20 20090101ALI20241008BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20241008BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20241008BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20241008BHJP
【FI】
H04W88/04
H04W40/20
H04W76/10
H04W84/06
H04W84/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023093620
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2019555295の分割
【原出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2023113839
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2017223378
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】山垣 則夫
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-071831(JP,A)
【文献】特開2014-183556(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105681467(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一無線装置の位置の情報を含む第一制御情報を受信する送受信部と、
前記第一制御情報と第二無線装置の位置の情報を含む第二制御情報とに応じて、前記第一無線装置と前記第二無線装置との距離を特定する特定部と、
前記距離に応じて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する確率を算出する算出部と、を備え、
前記送受信部は、前記確率に基づいて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する、
無線装置。
【請求項2】
前記確率は、前記距離の増加に応じて低くなる、請求項1に記載された無線装置。
【請求項3】
前記第一制御情報は前記第一無線装置の位置座標の情報を含み、前記第二制御情報は前記第二無線装置の位置座標の情報を含み
前記特定部は、前記第一無線装置の位置座標と前記第二無線装置の位置座標との差分に応じて、前記第一無線装置と前記第二無線装置との距離を特定する、請求項1又は請求項2に記載された無線装置。
【請求項4】
前記送受信部は、前記確率の最大値に応じて、前記第二無線装置に前記第一制御情報を送信する、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載された無線装置。
【請求項5】
前記送受信部は、前記第一制御情報を前記第一無線装置から受信し、前記第二制御情報を前記第二無線装置から受信する、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載された無線装置。
【請求項6】
第一無線装置の位置の情報を含む第一制御情報を受信し、
前記第一制御情報と第二無線装置の位置の情報を含む第二制御情報とに応じて、前記第一無線装置と前記第二無線装置との距離を特定し、
前記距離に応じて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する確率を算出し、
前記確率に基づいて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する、
通信方法。
【請求項7】
前記確率は、前記距離の増加に応じて低くなる、請求項6に記載された通信方法。
【請求項8】
第一無線装置の位置の情報を含む第一制御情報を受信する送受信手段と、
前記第一制御情報と第二無線装置の位置の情報を含む第二制御情報とに応じて、前記第一無線装置と前記第二無線装置との距離を特定する特定手段と、
前記距離に応じて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する確率を算出する算出手段と、
前記送受信手段は、前記確率に基づいて、前記第一制御情報を前記第二無線装置に送信する、
無線システム。
【請求項9】
前記確率は、前記距離の増加に応じて低くなる、請求項8に記載された無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した制御情報を転送する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、UXV(Unmanned X Vehicle)と呼ばれる無人機が注目を集めている。UXVの‘X’には様々な単語が入る。X=Aerialとした場合には、UXVはUAV(Unmanned Aerial Vehicle; 無人航空機)になる。また、X=Groundとした場合には、UXVは、UGV(Unmanned Ground Vehicle; 無人地上車両)になる。
【0003】
このようなUXVを様々な用途に活用したいという要望が高まっている。例えば、複数の無人機が群を構成し、災害エリアにおける上空からの被災状況の確認、被災者の捜索など、人が立ち入ることが困難なエリアにおける人的リスクの軽減、安全かつ効率的なオペレーションを実現することが検討されている。
【0004】
このような無人機を活用する環境では、予期できない環境の変化や出来事が発生する場合がある。そのような環境において、複数の無人機を活用して与えられたオペレーションを遂行するため、個々の無人機が自律的に協調動作を行うための制御アルゴリズムに関する研究開発が行われている。
【0005】
例えば、非特許文献1は、個々の無人機の適応性(adaptability)と、無人機群における個々の無人機の配置(フォーメーション)における最適性(optimization)を両立する制御アルゴリズムを開示する。このアルゴリズムは、次の2つの指標を総合的に考慮して制御するものである。その指標の一つ目は、各無人機がオペレーションを遂行するために備えられた各種センサなどの情報から、個々の無人機がどの方向、位置に移動すればよいかを決定するものである。その指標の二つ目は、群として与えられたオペレーションを協調して実行するために、個々の無人機が他の無人機の位置を考慮してどの方向、位置に移動すればよいかを決定するものである。
【0006】
なお、特許文献1は、無線アドホックネットワークにおいて、ある情報を発信するノードが当該情報を転送されるべきエリアを指定し、当該エリア内に情報を転送するための手法を開示する。
【0007】
また、特許文献2は、受信したデータを他の無線通信装置に中継して送信し、無線通信可能な他の無線通信装置を特定する装置情報を記憶し、受信したデータを他の無線通信装置に中継するか否かを判定する無線通信装置を開示する。
【0008】
また、特許文献3は、各装置が自律分散して他の装置と無線によって通信するアドホック型の通信装置を開示する。
【0009】
また、特許文献4は、自律的に確立され、送信元と送信先との間で無線通信が行われる無線通信ネットワークを構成する無線装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特表2010-518863号公報
【文献】国際公開第2016/152104号
【文献】特開2008-092196号公報
【文献】特開2007-235895号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】M. Ogawa, M. Emura, M. Ichien, and M. Yano,““Autonomous and Adaptive Control”: Collaborative Swarm Control Algorism Inspired by Adaptive Mechanism of Living Organisms,” in Proceedings of 2016 IEEE/OES Autonomous Underwater Vehicles (AUV),pp.439-444, Nov.2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
背景技術の項で説明したように、無人機群において、個々の無人機が自律的に協調動作を行うためには、移動する無人機間で情報を交換できるようにする必要がある。そのためには、例えば、アドホックネットワークと呼ばれる無線ネットワークで互いを接続し、情報を交換しながらオペレーションを遂行することが有効である。
【0013】
例えば、人が立ち入ることができないエリアなどにおける上空からの捜索を想定する。その場合、人が指揮を行う現地の本部から無人機がアドホックネットワークを構成しながら飛行する。その無人機は、例えば、下方を撮影しながら捜索対象物や対象者を捜索する。
【0014】
その際に、無人機が捜索対象や対象者を検知したとする。その場合、検知した無人機が撮影する映像や写真を、無人機間のアドホックネットワーク上でマルチホップさせることにより本部まで転送し、人が詳細を確認することが行われ得る。
【0015】
ここで、非特許文献1が開示する制御アルゴリズムは、個々の無人機がアドホックネットワークにより接続されていることを前提とする。そして、この制御アルゴリズムは、各々の無人機が現在存在している位置情報やオペレーションを遂行するために必要な各種情報を、構成しているアドホックネットワークを用いて交換するものである。
【0016】
そのため、群を構成する無人機の台数が増加すればするほど、交換すべき情報が増加し、トラヒック量が増大する(トラヒック負荷が増大する)という課題がある。一般的に、無線アドホックネットワークは利用可能なネットワーク帯域が狭い。そのため、無線アドホックネットワークは、交換すべき情報のトラヒック負荷が増加すると、情報の交換に要する時間が増大し、効率的なオペレーションの遂行に悪影響がある。映像や写真などの情報転送を行うために必要な帯域が枯渇する場合もある。
【0017】
ここで、複数の無人機から構成される群において、個々の無人機の配置(フォーメーション)に関する最適性を考えたとする。その場合、距離が近い無人機同士はお互いの移動や位置に関する影響が大きいと考えられる。また、距離が離れた無人機同士はお互いの移動や位置に関する影響は小さいと考えられる。
【0018】
そのため、特許文献1が開示する制御アルゴリズムを実行する際、距離の近い無人機の制御情報は高い頻度で取得する必要があるが、距離が離れた無人機の制御情報の取得頻度は低くても、個々の無人機の配置に関する最適性を著しくは損ねないと考えられる。一方で、距離が離れた無人機であっても、その制御情報を全く取得しないことは、前述の最適性を維持できなくなる要因となると考えられる。従い、無人機間の距離に応じて制御情報を取得する割合を変化させることで、無人機が接続する無線アドホックネットワーク上での制御情報の交換に関わるトラヒック量を軽減できる可能性が考えられる。
【0019】
ここで、距離に応じて制御情報の転送を停止するための手法として、一つには、制御情報にTTL(Time To Live)と呼ばれる生存期間を設ける方法を候補として考えたとする。この方法は、例えば、転送可能な最大のホップ数や転送の有効時間を設定することで、当該制御情報が転送される範囲を制限するものである。
【0020】
この手法は、設定したホップ数や時間を超えた時点で当該制御情報の転送を停止するものである。しかしながら、TTLとしてホップ数を設定した場合、ホップ数、つまり、当該制御情報を転送する際に経由した無人機の数が大きいからと言って、当該制御情報の生成元無人機と当該制御情報の受信する無人機の距離が遠いということは一概に言えない。また、TTLとして有効時間として設定した場合も、有効時間が経過したからと言って、当該制御情報の生成元無人機と当該制御情報の受信する無人機の距離が遠いということは一概に言えない。
【0021】
従い、そのような手法を用いた場合、距離に応じて受信する制御情報の割合を変更させることはできない可能性がある。
【0022】
一方、特許文献1が開示する手法は、制御情報の生成元無人機がエリアを設定することは可能である。しかしながら、この手法では、そのエリア外に存在する無人機には制御情報が全く転送されない。従い、特許文献1の手法は前述のように、前述の最適性を維持できないと考えられる。
【0023】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。
【0024】
本発明は、複数の無人機を利用する際の前述の最適性を確保しつつ、個々の無人機が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減し得る情報転送方法等の提供を目的とする。その最適性は、与えられたオペレーションを遂行する際の、個々の無人機の適応性と無人機群における個々の無人機の配置とにおける最適性である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の無線装置は、送付された第一制御情報に含まれる前記第一制御情報の生成元無線装置の位置である第一位置と、前記第一制御情報を転送する候補である候補無線装置が送付する第二制御情報に含まれる前記候補無線装置の位置である第二位置とから、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出する導出部と、前記距離の増大により減少する傾向を示し常に正の値をとる所定の関数により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出する決定部と、前記確率に基づく前記転送を行う転送部と、前記第一制御情報及び前記第二制御情報により自律的な移動を制御する移動制御部に前記第一制御情報及び前記第二制御情報を送付する送付部と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報転送方法等は、複数の無人機を利用する際の最適性を確保しつつ、個々の無人機が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第一実施形態の通信システムの構成例を表す概念図である。
図2】第一実施形態に係る通信装置の構成例を表す概念図である。
図3】アプリケーション部が作成した制御情報の送信に関する処理の処理フロー例を表す概念図である。
図4】制御情報の転送処理の処理フロー例を表す概念図である。
図5】転送可否判定部が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
図6】一般的な通信装置が行う制御情報の転送処理の様子を表すイメージ図である。
図7】第一実施形態の通信装置が行う制御情報の転送処理の様子を表すイメージ図である。
図8】S305の処理を置き換える処理を表す概念図である。
図9】第三実施形態の転送可否判定部が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
図10】第四実施形態に係る通信装置の構成例を示すブロック図である。
図11】各実施形態の通信装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を表す概念図である。
図12】実施形態の最小限の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面は本発明の実施形態における構成を模式的に表している。さらに、以下に記載される本発明の実施形態は一例であり、その本質を同一とする範囲において適宜変更可能である。
<第一実施形態>
第一実施形態は、制御情報の生成元通信装置と転送先候補の通信装置との距離により前記制御情報の転送の転送先数を変える通信システムに関する実施形態である。なお、本明細書において転送は配信と同義で用いられるものとする。
[構成と動作]
図1は、第一実施形態の通信システムの例である通信システム1の構成を表す概念図である。
【0029】
通信システム1は、n台の通信装置である通信装置101乃至10nを備える。ここで、nは2以上の整数である。
【0030】
通信装置101乃至10nの各々は互いに以下に説明する共通の構成を備える。以下において、通信装置101乃至10nの各々を単に「通信装置」と言うこともある。
【0031】
通信装置は、他の通信装置との間で無線通信を行い得るとともに、ある程度自律的に移動可能なものである。通信装置は、例えば、背景技術の項で説明したUXV(Unmanned X Vehicle)と呼ばれる無人機である。
【0032】
前記無線通信は、例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelityの略、登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)に接続することによる通信である。各通信装置は、例えば、アドホックモードにより相互の前記無線通信が可能である。
【0033】
各通信装置は、無線LAN以外の無線通信技術を用いた無線アドホックネットワークで接続されていてもよい。その場合において、任意の二台の通信装置は、当該無線通信ネットワークを介して相互の無線通信を行っても構わない。
【0034】
各通信装置は、前述のように、移動可能なものである。各通信装置は、当該移動のために、例えば、エンジンやモーター、それらの動力となる燃料タンクや蓄電池、車輪やプロペラなどを備える。
【0035】
各通信装置は、その他、必要に応じて、カメラや各種センサなどの周囲の情報を取得するための情報取得手段を備える。その場合、各通信装置は、前記情報取得手段により周辺の写真や映像や、気温や湿度など各種環境情報等の取得を行い得る。
【0036】
各通信装置は、その通信装置の位置情報等を含む制御情報を生成する。また、各通信装置は、前記制御情報を、他の通信装置と交換あるいは共有し得る。前記制御情報は、その装置IDと位置情報とシーケンス番号とを含む。ここで、IDはIdentifierの略であり、識別子を意味する。前記装置IDは、前記制御情報を生成した通信装置を識別させ得るものである。また、前記位置情報は、GPS(Global Positioning System)情報などにより取得した、その通信装置の位置情報である。前記シーケンス番号は、生成した制御情報を少なくともある一定期間識別し得る情報IDである。
【0037】
各通信装置は、必要に応じて備えるカメラや各種センサを用いて取得した写真や映像やセンシング情報等のコンテンツを、他の通信装置へ転送し得る。
【0038】
各通信装置は、前記制御情報や前記コンテンツを、隣接通信装置に対しては、直接転送し、あるいは、複数の通信装置を経由してマルチホップで転送する。ここで、ある通信装置の隣接通信装置は、その通信装置と、他の通信装置を介さずに、前記無線通信により互いに直接通信可能な範囲内に存在する通信装置を言う。
【0039】
各通信装置は、例えば、周知技術であるビーコン(Beacon)と呼ばれるような管理メッセージを定期的に周辺にブロードキャストして、その通信装置の前記隣接通信装置との間で、互いを認識し合う場合もあり得る。
【0040】
各通信装置は、あるいは、前記制御情報を用いて、その通信装置の前記隣接通信装置との間で、互いを認識してもよい。このようなアドホックネットワークにおける隣接通信装置の検知方法は周知技術であるため詳細な説明は省略する。
【0041】
以下の説明では、制御情報又はコンテンツデータを生成した通信装置を、制御情報又はコンテンツデータの生成元通信装置と言う。また、その通信装置が生成したか否かに関わらず、制御情報又はコンテンツデータを他の通信装置に送信した通信装置を、制御情報又はコンテンツデータの送信元通信装置と言う。前記生成元通信装置と前記送信元通信装置とは同一の通信装置の場合もあれば、異なる通信装置の場合もある。
【0042】
また、本実施形態の通信装置は、通信装置が生成した前記制御情報を通信システム1に含まれる通信装置間で転送により共有し得る。当該転送には、例えば、周知技術であるフラッディングやエピデミック(Epidemic)法に基づく転送方法を用いることができる。
【0043】
フラッディングに基づく転送方法において、ある通信装置が、その通信装置の隣接通信装置が送信した前記制御情報を受信したとする。その場合、受信したその通信装置は、当該制御情報を、当該制御情報の送信元通信装置以外の他の前記隣接通信装置に転送する。当該転送に係る転送方法としては、第三実施形態で説明するように、ブロードキャストやマルチキャストを用いることも考えられる。しかしながら、本実施形態においては、ユニキャストによる転送を想定する。
【0044】
その結果、ある通信装置が、同一の前記制御情報を複数の他の通信装置から受信する可能性がある。本実施形態の情報転送方法においては、受信した制御情報が重複した場合、その受信した通信装置は、重複した制御情報を破棄するものとする。前述のように制御情報はその制御情報を識別する情報IDを含んでいる。そのため、同じ情報IDの制御情報を、一つを残して削除することにより、重複した制御情報の破棄を行い得る。
【0045】
あるいは、前記制御情報の重複を、周知のルーティングプロトコルであるOLSR(Optimized Link State Routing)におけるMPR(Multipoint Relay)等を利用して抑制しても良い。
【0046】
また、エピデミック法に基づく転送方法では、各通信装置は、その通信装置が記憶しているサマリーベクタ(Summary Vector)を含むメッセージを、隣接通信装置と周期的に送受信して、サマリーベクタを交換する。ここで、サマリーベクタは、当該通信装置が保有する前記制御情報を含むコンテンツのリストである。各通信装置は、他の通信装置から受信したサマリーベクタに基づいて、サマリーベクタの送信元の他の通信装置に記憶されているコンテンツとその通信装置が保持しているコンテンツとの差分を検出する。そして、各通信装置は、その差分を無くすために、サマリーベクタの送信元の通信装置に対し、差分となるコンテンツの送信を要求するコンテンツリクエストを送信する。
そして、コンテンツリクエストを受信した通信装置は、要求されたコンテンツを、コンテンツリクエストを送信した通信装置に送信する。このような、コンテンツリクエストによるコンテンツの転送をPULL型転送という。
【0047】
各通信装置は、あるいは、本転送方法において、サマリーベクタによって、当該サマリーベクタを送信した通信装置が記憶していないコンテンツを検知した通信装置が、その送信した通信装置に対して、そのコンテンツを送信するPUSH型転送を行ってもよい。
【0048】
本実施形態の通信装置は、上述のような周知の技術を活用し、ユニキャストによって前記制御情報を転送する隣接通信装置を決定する。従い、以下の説明では、ある通信装置が前記制御情報を転送する転送先の隣接通信装置は、前述のような周知の技術により、その通信装置に既に認識されているものとして説明する。
【0049】
なお、通信装置が備えるカメラや各種センサで取得したコンテンツデータを特定の通信装置に送信する場合は、周知技術であるルーティングプロトコルに基づいて転送することができる。
【0050】
上記のような前提のもと、本実施形態の通信装置について、以下に説明する。
【0051】
図2は、本実施形態に係る通信装置の例である通信装置100の構成を表す概念図である。
【0052】
通信装置100は、通信部110と、データ送受信部120と、転送可否判定部130と、アプリケーション部140と、記憶部150と、位置情報取得部160とを備える。通信装置100は、また、移動制御部171と、移動可能化部172と、移動情報取得部173とを備える。
【0053】
通信装置100は、図2に表す構成の他、前述の、移動や写真や映像の撮影、センシングに係る構成等を備える。これらの構成は、アプリケーション部140の制御により動作する。前記制御は、周知技術を用いることで実現できるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
通信部110は、次に説明する図示しないネットワーク処理部や、図1に表す通信システム1において通信装置間で構成される無線通信ネットワークに接続するための、例えば無線LANなどの通信モジュールを備える。前記ネットワーク処理部は、例えば、OSのカーネルによって制御されるTCPやUDPなどのトランスポート層の処理や、IPなどのネットワーク層の処理、MACなどの処理を行うものである。ここで、OSはOperating Systemの略である。また、TCPはTransmission Control Protocol、UDPはUser Datagram Protocolの略である。また、IPはInternet Protocolの略である、また、MACはMedia Access Controlの略である。
【0055】
データ送受信部120、転送可否判定部130及びアプリケーション部140は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)である。データ送受信部120、転送可否判定部130及びアプリケーション部140は、例えば、通信装置100に搭載されたOSに基づいて動作するアプリケーションソフトウェアの制御に従って処理を実行する。
【0056】
データ送受信部120は、アプリケーション部140に対して送受信される制御情報や写真や映像などのコンテンツデータを、通信部110を介して、前述の隣接通信装置との間で送受信する。
【0057】
データ送受信部120は、また、通信装置100が通信を行った通信装置が通信装置100の前記隣接通信装置か否かを判定する。そして、データ送受信部120は、通信装置100の隣接通信装置のリストを、記憶部150に記憶させる。
【0058】
データ送受信部120は、また、隣接通信装置から前記制御情報を受信した場合に、当該制御情報の送信元通信装置以外の他の隣接通信装置に対して、受信した前記制御情報を転送するか否かを転送可否判定部130に判定させる。そして、データ送受信部120は、前記判定結果が転送する旨の場合に、前記制御情報を他の隣接通信装置に対して転送する。
【0059】
データ送受信部120は、また、他の通信装置から受信した制御情報を移動制御部171に送付する。
【0060】
通信部110は、データ送受信部120が指示する情報を含む無線電波を、通信部110が備えるアンテナを通じて無線空間に放出する。
【0061】
通信部110は、また通信部110が備えるアンテナに到達した電波を受信情報に変換し、データ送受信部120に送付する。
【0062】
転送可否判定部130は、データ送受信部120が受信した制御情報を、当該制御情報の送信元通信装置とは異なる他の隣接する通信装置100に対して、転送するか否かを判定する。
【0063】
転送可否判定部130は、当該判定の際に、データ送受信部120が受信した前記制御情報から、装置IDと、その制御情報の生成元の通信装置である前記生成元通信装置の位置情報と、情報IDとを抽出する。抽出する当該装置IDは、生成元通信装置の装置IDである。また、抽出する当該情報IDは、その制御情報の情報IDである。
【0064】
転送可否判定部130は、抽出した、前記生成元通信装置の位置情報と、転送先候補の隣接通信装置の位置情報とにより、その制御情報を転送するか否かを判定する。そして、転送可否判定部130は、当該判定に係る判定結果を、データ送受信部120に送付する。
【0065】
アプリケーション部140は、必要に応じてコンテンツデータを生成する。アプリケーション部140は、それらを、データ送受信部120に、他の通信装置に対して送信させる。
【0066】
アプリケーション部140は、例えば、予め設定された制御情報の生成タイミングに、位置情報取得部160から位置情報を取得する。アプリケーション部140は、位置情報取得部160から取得した、通信装置100の直近の位置情報を記憶部150に保持させる。
【0067】
アプリケーション部140は、通信装置100の直近の位置情報、通信装置100の装置ID、及び、制御情報の情報IDであるシーケンス番号を含む制御情報を生成し、データ送受信部120に送付する。
【0068】
アプリケーション部140は、また、他の通信装置が生成した制御情報を受信した場合、当該制御情報に含まれる、その通信装置の位置情報を、記憶部150に記憶させる。アプリケーション部140は、当該記憶を、その通信装置の装置IDとその制御情報の情報IDと共に行わせる。
【0069】
その際に、記憶部150がその通信装置の位置情報を既に保持している場合は、その制御情報の情報IDが記憶部150に既に記憶されている制御情報の情報IDよりも新しいものであるかを判定する。そして、アプリケーション部140は、その制御情報の情報IDが記憶部150に既に記憶されている制御情報の情報IDよりも新しいものであることを判定すると、記憶部150にその位置情報を更新させる。
【0070】
アプリケーション部140は、また、必要に応じて、図示しないカメラ等を用いて写真や映像を撮影し、それらをコンテンツデータにする。アプリケーション部140は、また、必要に応じて、図示しない各種センサから取得したセンサ情報をコンテンツデータにする。アプリケーション部140は、生成したコンテンツデータの他の通信装置への転送をデータ送受信部120に行わせる。
【0071】
記憶部150は、例えば、メモリなどの記憶媒体である。記憶部150は、本実施の形態の情報転送方法を実現する上で必要な各種情報を予め保持する。当該情報には、アプリケーション部140、データ送受信部120及び転送可否判定部130の各々が、前述の動作を行うために必要なプログラムや情報が含まれる。
【0072】
記憶部150は、また、アプリケーション部140、データ送受信部120及び転送可否判定部130の各々が指示する情報を記憶する。当該情報には、例えば、アプリケーション部140が作成した前述のコンテンツデータ、他の通信装置の装置IDのリスト、前述の判定結果等が含まれ得る。
【0073】
記憶部150は、また、アプリケーション部140、データ送受信部120及び転送可否判定部130の各々が指示する情報を、指示された送付先である、アプリケーション部140、データ送受信部120及び転送可否判定部130のいずれかに送付する。
【0074】
位置情報取得部160は、GPSなどにより通信装置100の位置情報を逐次取得する。位置情報取得部160は、アプリケーション部140からの要請に応じて、その時点での通信装置100の位置情報をアプリケーション部140に送付する。
【0075】
移動情報取得部173は、移動制御部171が移動可能化部172に送付する制御情報を作成するために必要な情報である移動情報を取得する。当該移動情報は、通信装置100や他の通信装置の位置情報の他、速度情報、加速度情報、画像情報等である。移動情報取得部173は前記位置情報をアプリケーション部140から取得する。移動情報取得部173は、前記位置情報以外の移動情報を、移動情報取得部173が備える各種センサから取得する。移動情報取得部173は、取得した情報を移動制御部171に送付する。
【0076】
移動制御部171は、移動情報取得部173から送付された情報と前記制御情報とにより制御信号を生成し、生成した制御信号を移動可能化部172に送付する。当該制御信号は、例えば、移動の向きやスピードを移動可能化部172に指示するものである。前記制御信号は、通信装置100のある程度は自律的な移動を移動可能化部172に行わせるものである。
【0077】
移動可能化部172は、移動制御部171から送付された前記制御信号に従い、通信装置100の移動を行う。移動可能化部172は、移動制御部171からの前記制御信号によりプロペラや車輪等を回転等させることにより通信装置100を移動させる。
[処理フロー例]
図3は、図2に表すアプリケーション部140が行う、アプリケーション部140が作成した制御情報の送信に関する処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0078】
アプリケーション部140は、例えば、外部からの開始情報の入力により図3に表す処理を開始する。当該開始情報は、例えば、アプリケーション部140を動作させるプログラムを起動させるための情報である。
【0079】
そして、アプリケーション部140は、S101の処理として、制御情報の生成及び送信を行うかについての判定を行う。アプリケーション部140は、当該判定を、例えば、制御情報の生成タイミングになったかを判定することにより行う。ここで、制御情報の生成タイミングは、例えば1秒間隔など、予め設定されている。ここで、アプリケーション部140は、タイマーを利用できることを前提とする。
【0080】
アプリケーション部140は、S101の処理による判定結果がyesの場合は、S102の処理を行う。
【0081】
一方、アプリケーション部140は、S101の処理による判定結果がnoの場合は、S104の処理を行う。
【0082】
アプリケーション部140は、S102の処理を行う場合は、同処理として、制御情報の生成を行う。その際に、アプリケーション部140は、位置情報取得部160から直近の位置情報を取得する。そして、アプリケーション部140は、取得した直近の位置情報と、通信装置100の装置IDと、当該制御情報の情報IDを含む制御情報を生成する。通信装置100の装置IDは、例えば通信装置100のMACアドレスやIPアドレスである。
【0083】
そして、アプリケーション部140は、S103の処理として、制御情報の送信先の特定と、その送信準備とを行う。
【0084】
アプリケーション部140は、例えば、前述のpull型に基づいて制御情報を配信する場合、前記コンテンツリクエストの送付元を当該制御情報の送付先とする。具体的に、アプリケーション部140は、例えば、S102で生成した制御情報の装置IDと情報IDを連結させたものを当該制御情報の識別子とし、これを含むサマリーベクタを生成し、メッセージとして隣接通信装置と交換する。隣接通信装置は、当該制御情報を保有していないため、コンテンツリクエストを当該通信装置に送付する。当該制御情報の送付先通信装置は、これらコンテンツリクエストの送付元通信装置である。通信装置は、同処理として、特定した送付先通信装置の装置IDを、記憶部150に記録させる。前記送付先通信装置の装置IDは、例えば、当該送付先通信装置のMACアドレスやIPアドレスである。なお、特定する送信先として、1以上の通信装置を送信先としてもよい。また、制御情報の配信方法として、前述のフラッディングに基づく場合は、隣接通信装置すべてを送信先としてもよい。
【0085】
また、前記送信準備は、例えば、生成した制御情報の、記憶部150が備える送信用バッファへの格納である。
【0086】
そして、アプリケーション部140は、S104の処理として、データ送受信部120に対し、S103の処理により送信準備した制御情報を、特定した送信先通信装置への送信を行わせる。
【0087】
アプリケーション部140は、S104の処理を行う際に、送付すべき他のデータがある場合は、当該データの送付をデータ送受信部120に行わせても構わない。当該他のデータは、例えば、前述のコンテンツデータである。アプリケーション部140は、当該他のデータをデータ送受信部120に送付させる場合は、例えば、当該他のデータを前記送信用バッファに格納する。
【0088】
そして、アプリケーション部140は、S105の処理として、図3に表す処理を終了するかについての判定を行う。アプリケーション部140は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。当該終了情報は、例えば、アプリケーション部140を動作させるプログラムの動作を終了させるための情報である。
【0089】
アプリケーション部140は、S105の処理による判定結果がyesの場合は、図3に表す処理を終了する。
【0090】
一方、アプリケーション部140は、S105の処理による判定結果がnoの場合は、S101の処理を再度行う。
【0091】
図4は、図2に表すデータ送受信部120が行う制御情報の転送処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0092】
データ送受信部120は、例えば、外部からの開始情報の入力により、図4に表す処理を開始する。当該開始情報は、例えば、データ送受信部120を動作させるためのプログラムを起動させるための情報である。
【0093】
そして、データ送受信部120は、S201の処理として、通信部110からデータの送付があったかについての判定を行う。当該データには、前述の制御情報やコンテンツデータが含まれ得る。
【0094】
データ送受信部120は、S201の処理による判定結果がyesの場合は、S202の処理を行う。
【0095】
データ送受信部120は、S201の処理による判定結果がnoの場合は、S201の処理を再度行う。
【0096】
データ送受信部120は、S202の処理を行う場合は、同処理として、通信部110から送付されたデータの受信処理を行う。前記受信処理は、例えば、次のようなものである。
【0097】
データ送受信部120は、通信部110を介して受信した受信データが制御情報かコンテンツデータかの種別に応じて、受信処理を行う。
【0098】
データ送受信部120は、前記受信データが制御情報の場合は、受信した制御情報をアプリケーション部140に送付し次の処理をアプリケーション部140に行わせる。
【0099】
アプリケーション部140は、データ送受信部120からの指示を受けて、当該制御情報に含まれる、当該制御情報の生成元通信装置の位置情報と当該生成元通信装置の装置IDと当該制御情報の情報IDであるシーケンス番号とを抽出する。以下において、制御情報に含まれる、当該制御情報の生成元通信装置の位置情報と当該生成元通信装置の装置IDと当該制御情報の情報IDであるシーケンス番号とを、メッセージ情報ということもある。アプリケーション部140は、そのメッセージ情報を、記憶部150に保持させる。
【0100】
アプリケーション部140は、メッセージ情報を記憶部150に保持しようとした際に、記憶部150が、当該生成元通信装置の位置情報を既に保持している場合もあり得る。その場合、アプリケーション部140は、例えば、当該制御情報の情報IDが、記憶部150が保持する制御情報のシーケンス番号よりも新しいものであることを判定した場合にはその位置情報を更新する。
【0101】
一方、データ送受信部120は、前記受信データがコンテンツデータである場合、当該受信データをアプリケーション部140に送付する。その場合、アプリケーション部140は、当該受信データについて、予めアプリケーションとして定義された処理を行う。
【0102】
なお、データ送受信部120は、以上の処理により、隣接通信装置が生成した制御情報を受信した場合は、その隣接通信装置の装置IDを、記憶部150に保持させる。
【0103】
次に、データ送受信部120は、S203の処理として、S202の処理により受信処理を行ったデータが制御情報かについての判定を行う。
【0104】
データ送受信部120は、S203の処理による判定結果がyesの場合は、S204の処理を行う。
【0105】
一方、データ送受信部120は、S203の処理による判定結果がnoの場合は、S207の処理を行う。
【0106】
データ送受信部120は、S204の処理を行う場合は、同処理として、図5に表す後述の処理を、図2に表す転送可否判定部130に行わせる。その際に、データ送受信部120は、前記メッセージ情報を、転送可否判定部130に送付する。
【0107】
そして、データ送受信部120は、S205の処理として、前記メッセージ情報についての転送指示が、S204の処理を行ってから時間Tthが経過するまでの間に、転送可否判定部130からあったかについての判定を行う。ここで、時間Tthは、転送可否判定部130が前記メッセージ情報により前記転送指示を送付する場合には時間Tthの経過までに送付する、として予め設定された時間である。
【0108】
データ送受信部120は、S205の処理による判定結果がyesの場合は、S206の処理を行う。
【0109】
一方、データ送受信部120は、S205の処理による判定結果がnoの場合は、S207の処理を行う。
【0110】
データ送受信部120は、S206の処理を行う場合は、同処理として、直近の制御情報の転送を、図2に表す通信部110に行わせる。当該転送に係る転送先の隣接通信装置は、後述のように図5のS309の処理の際に、転送可否判定部130から指定される。
【0111】
そして、データ送受信部120は、S207の処理として、図4に表す処理を終了するかについての判定を行う。データ送受信部120は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。当該終了情報は、例えば、データ送受信部120を動作させるプログラムの動作を終了させるための情報である。
【0112】
データ送受信部120は、S207の処理による判定結果がyesの場合は、図4に表す処理を終了する。
【0113】
一方、データ送受信部120は、S207の処理による判定結果がnoの場合は、S201の処理を再度行う。
【0114】
図5は、図2に表す転送可否判定部130が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0115】
転送可否判定部130は、例えば、外部からの開始情報の入力により図5に表す処理を開始する。当該開始情報は、例えば、転送可否判定部130を動作させるためのプログラムを起動させるための情報である。
【0116】
そして、転送可否判定部130は、S301の処理として、データ送受信部120から図5に表す処理の開始の指示があったかについての判定を行う。当該指示は、図4のS204に表す指示である。前述のように、当該指示は、前記メッセージ情報の送付と共に行われる。
【0117】
転送可否判定部130は、S301の処理による判定結果がyesの場合は、S302の処理を行う。
【0118】
一方、転送可否判定部130は、S301の処理による判定結果がnoの場合は、S301の処理を再度行う。
【0119】
転送可否判定部130は、S302の処理を行う場合は、同処理として、隣接通信装置のリストを作成し、図2に表す記憶部150に格納させる。なお、隣接通信装置が存在しない場合は、転送可否判定部130は、空のリストを作成し、記憶部150に格納させる。
【0120】
そして、転送可否判定部130は、S303の処理として、S304の処理をまだ行っていない隣接通信装置が、直近のS302の処理により作成したリストにあるかについての判定を行う。
【0121】
転送可否判定部130は、S303の処理による判定結果がyesの場合は、S304の処理を行う。
【0122】
一方、転送可否判定部130は、S303の処理による判定結果がnoの場合は、S310の処理を行う。
【0123】
転送可否判定部130は、S304の処理を行う場合は、同処理として、直近のS302の処理により作成したリストに含まれる、S304の処理をまだ行っていない隣接通信装置を一つ選択する。
【0124】
そして、転送可否判定部130は、S305の処理として、S304の処理により選択した隣接通信装置の直近の位置情報を図3に表す記憶部150から取得する。記憶部150は、前述のように、受信した制御情報の生成元通信装置の直近の位置情報を、その生成元通信装置の装置IDと関連付けて保持している。当該生成元通信装置には、隣接通信装置も含まれる。そのため、転送可否判定部130は、選択した隣接通信装置の直近の位置情報を記憶部150から取得することができる。
【0125】
次に、転送可否判定部130は、S306の処理として、前記制御情報の送信元通信装置と、S304の処理により選択した隣接通信装置との距離dを導出する。
【0126】
位置情報が3次元(x、y、z方向)の座標で表示されており、前記生成元通信装置の位置情報が(xi,yi,zi)であり、前記隣接通信装置の位置情報が(xj,yj,zj)であるとする。その場合、距離dは、下記の式(1)により導出することができる。
【0127】
そして、転送可否判定部130は、S307の処理として、S306の処理により導出した距離dと所定の定数R(これを転送距離と呼ぶ)とから転送度fを導出する。また、転送度fは、当該制御情報の生成元通信装置と処理対象の隣接通信装置との間の距離dの関数g(d)で与えられる。関数g(d)の値は、距離dが大きくなるほど大きくなる。
【0128】
転送可否判定部130は、転送度fを、例えば下記の式(2)により導出する。

【0129】
ここで、ceiling(x)はx以上の最小の整数を意味する。転送度fの逆数は、制御情報の生成元通信装置と、当該制御情報を転送する先となる処理対象の隣接通信装置との距離に応じて、制御情報を、どの程度の確率で、転送するかを表す値である。転送度f=1であれば、当該制御情報の生成元通信装置が生成した制御情報は、すべて、転送されることを意味する。転送度f=16であれば、当該制御情報の生成元通信装置が生成した制御情報は16回に1回転送されることを意味する。
【0130】
次に、転送可否判定部130は、S308の処理として、S307の処理により導出した転送度fは、予め設定された条件を満たすかについての判定を行う。
【0131】
前記条件は、例えば、前記制御情報の情報IDであるシーケンス番号sを転送度fで除算し、余りが0であることである。これにより、f回に1回は条件を満たすことが判定される。すなわち、転送が実行される確率は、1/fである。
【0132】
転送可否判定部130は、S308の処理による判定結果がyesの場合は、S309の処理を行う。
【0133】
一方、転送可否判定部130は、S308の処理による判定結果がnoの場合は、S303の処理を再度行う。
【0134】
転送可否判定部130は、S309の処理を行う場合は、同処理として、データ送受信部120に対し、データ送受信部120が転送可否判定部130に送付した制御情報の転送を指示する。当該指示は、直近のS304の処理により選択した隣接通信装置の装置IDのデータ送受信部120への送付と共に行われる。
【0135】
そして、転送可否判定部130は、S303の処理を再度行う。
【0136】
転送可否判定部130は、S310の処理を行う場合は、同処理として、図5に表す処理を終了するかについての判定を行う。転送可否判定部130は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。当該終了情報は、例えば、転送可否判定部130を動作させるプログラムの動作を終了させるための情報である。
[具体例]
次に、本実施形態の通信装置が行う制御情報の転送処理の具体例を説明する。
【0137】
次に、本実施形態の転送システムにより得られる効果を、一般的転送システムの場合と比較して説明する。
【0138】
図6は、一般的な通信装置の例である一般装置201乃至205が行う制御情報の転送処理の様子を表すイメージ図である。
【0139】
図6において、一般装置201乃至205は、隣り合う二台の一般装置の間隔が距離が定数Rになるように一列に配列している。図6に表す隣り合う二台の一般装置の間では制御情報の転送が直接行われ得る。
【0140】
図6に表す、長方形の右下端がめくれたような図形の各々は制御情報を表す。各制御情報の中に記述された数字は、その制御情報の情報IDである。
【0141】
ここで、図6に表すように、一般装置201が、一般装置202に対してタイミングt1乃至t8の各タイミングにおいて、この順に情報ID1乃至8の各々の制御情報を送付したとする。
【0142】
すると、一般装置202は、一般装置201から受信した各制御情報を一般装置203に転送する。
【0143】
すると、一般装置203は、一般装置202から受信した各制御情報を一般装置204に転送する。
【0144】
すると、一般装置204は、一般装置203から受信した各制御情報を一般装置205に転送する。
【0145】
このように、図6に表す一般的なシステムにおいては、自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷が大きい。
【0146】
図7は、本実施形態の通信装置の例である通信装置101乃至105が行う制御情報の転送処理の様子を表すイメージ図である。
【0147】
図7において、通信装置101乃至105は、隣り合う二台の通信装置の間隔が定数Rになるように一列に配列している。図7に表す隣り合う二台の通信装置の間では制御情報の転送が直接行われ得る。
【0148】
図7に表す、長方形の右下端がめくれたような図形の各々は制御情報を表す。各制御情報の中に記述された数字は、その制御情報の情報IDである。
【0149】
ここで、図7に表すように、通信装置101が、通信装置102に対してタイミングt1乃至t8の各タイミングにおいて、この順に情報ID1乃至8の各々の制御情報を送付したとする。
【0150】
すると、通信装置102は、図5に表すS306の処理により距離dとして定数Rの二倍を導出する。そして、通信装置102は、図5のS307の処理により、転送度fを前述の式(2)によりf=2と導出する。
【0151】
そして、通信装置102は、通信装置101から受信した制御情報のうち情報IDが2、4、6及び8の制御情報のみを通信装置103に転送する。ここで、S308の処理における条件は、制御情報の情報IDを転送度fにより除したあまりがゼロであることを前提としている。
【0152】
次に、通信装置103は、同様にして、d=3R及びf=4を導出し、通信装置102から受信した制御情報のうち情報IDが4及び8のいずれかの制御情報のみを通信装置104に転送する。
【0153】
次に、通信装置104は、同様にして、d=4R及びf=8を導出し、通信装置103から受信した制御情報のうち情報IDが8の制御情報のみを通信装置105に転送する。
【0154】
このようにして、図7に表す本実施形態の通信システムにおいては、制御情報の生成元通信装置から隣接通信装置までの距離dが大きくなるにつれ、その制御情報が当該隣接通信装置に到達する確率が小さくなる。そのため、本実施形態の通信システムは、個々の通信装置が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減する。
【0155】
ただし、図7に表す本実施形態の通信システムにおいては、制御情報の生成元通信装置から送信先となる隣接通信装置までの距離dが大きくなっても、その制御情報が送信先の隣接通信装置に到達する確率はゼロにはならない。発明が解決しようとする課題の項でも説明したように、通信装置を利用する際の前述の最適性を確保するためには、各通信装置に任意の通信装置が生成した制御情報が到達する確率がゼロにはならないことが重要である。従い、本実施形態の通信システムは、通信装置を利用する際の前述の最適性を確保することを可能にし得る。
[効果]
発明が解決しようとする課題の項でも説明したように、通信装置を利用する際の前述の最適性を確保するためには、各通信装置に任意の通信装置が生成した制御情報が到達する確率がゼロにはならないことが重要である。また、個々の通信装置が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減するためには、距離dが大きいほど、各無人機に制御情報が到達する確率が小さくなることが有効である。
【0156】
本実施形態の通信装置は、他の通信装置から制御情報の送付があると、その制御情報の生成元通信装置と各隣接通信装置との距離dにより、その制御情報を転送する確率を導出する。当該確率は、距離dが増加すると、ゼロにはならないものの、より小さくなるものである。
【0157】
従い、本実施形態の通信装置は、複数の無人機を利用する際の前述の最適性を確保しつつ、個々の無人機が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減し得る。
<第二実施形態>
第二実施形態は、各通信装置に固有の定数Rが設定される通信システムに関する実施形態である。
[構成と動作]
第二実施形態に係る通信システムの例は、図1に表す通信システム1と同じである。また、第二実施形態の通信システム1の説明は、各通信装置についての以下の説明を除いて、図1に表す第一実施形態の通信システム1の説明と同じである。
【0158】
第二実施形態の通信装置の例は図2に表す通信装置100と同じである。また、第二実施形態の通信装置100の説明は、以下の説明を除いて、第一実施形態の通信装置100の説明と同じである。以下、第二実施形態の通信装置100の第一実施形態の通信装置100と異なる部分について、第一実施形態の通信装置100と対比して説明する。なお、以下の説明と第一実施形態の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
【0159】
第一実施形態の通信装置100は、前述のように、制御情報の転送可否を決定するための転送度fを、通信システム全体について統一的に設定された定数Rを用いて導出する。
【0160】
これに対し、第二実施形態の通信装置100は、この定数Rが通信装置100の各々に対して別々に設定される。そして、第二実施形態の通信装置100が生成する制御情報は、装置IDと、その通信装置100の位置情報と、シーケンス番号と、その通信装置100に予め設定された定数Rとを含む。当該装置IDは、その制御情報を生成した通信装置100を識別し得る装置IDである。また、当該シーケンス番号は、生成した制御情報を少なくともある一定期間識別し得る情報IDである。
【0161】
以下、上記を踏まえて、第二実施形態の通信装置100の各構成要素について説明する。
【0162】
第一実施形態の転送可否判定部130は、前述のように、データ送受信部120が受信した制御情報から抽出した当該制御情報の生成元通信装置の装置IDと位置情報と制御情報の情報IDとを受け取る。そして、第一実施形態の転送可否判定部130は、記憶部150に記憶された当該制御情報の生成元通信装置でない隣接通信装置の位置情報を読み出す。そして、第一実施形態の転送可否判定部130は、これらの情報を基に、当該制御情報を転送するか否かを判定する。
【0163】
これに対し、第二実施形態の転送可否判定部130は、データ送受信部120から受け取った情報と、その制御情報の生成元通信装置でない隣接通信装置の位置情報と定数Rとを記憶部150から読み出す。そして、転送可否判定部130は、これらの情報により、当該制御情報を転送するか否かを判定する。
【0164】
第一実施形態のアプリケーション部140は、前述のように、制御情報を生成する際、位置情報取得部160から取得した位置情報と通信装置100の装置IDと制御情報のシーケンス番号を含む制御情報を生成する。そして、アプリケーション部140は、作成した制御情報を、データ送受信部120に送付する。また、当該アプリケーション部140は、他の通信装置が生成した制御情報を受信すると、その制御情報に含まれる生成元通信装置の位置情報を、生成元通信装置の装置IDとその制御情報の情報IDと共に記憶部150に保持させる。
【0165】
これに対し、第二実施形態のアプリケーション部140は、制御情報を生成する際、位置情報取得部160から取得した位置情報と通信装置100の装置IDと制御情報のシーケンス番号に加え、次のものを生成する。すなわち、当該アプリケーション部140は、当該通信装置100に予め設定された定数Rを含む制御情報を生成し、データ送受信部120に入力する。また、第二実施形態の通信装置100は、他の通信装置が生成した制御情報を受信すると、当該制御情報に含まれる生成元通信装置の位置情報と定数Rを、記憶部150に記憶させる。通信装置100は、当該記憶を、生成元通信装置の装置IDと当該制御情報の情報IDと共に行わせる。
【0166】
第二実施形態の記憶部150は、前述のように、第一実施形態の記憶部150が記憶する各種情報に加え、制御情報の送信元通信装置の定数Rを送信元通信装置の各々に保持する。
[処理フロー例]
図2に表す第二実施形態のアプリケーション部140が行う、アプリケーション部140が作成した制御情報の送信に関する処理の処理フロー例は、図3に表す第一実施形態のものと同じである。
【0167】
ただし、その説明は、以下の点において、第一実施形態の処理フロー例と異なる。
【0168】
第二実施形態の図3に表す処理フロー例が第一実施形態の図1に表す処理フロー例と異なるのは、S102の処理に、次の処理が含まれる点である。
【0169】
すなわち、アプリケーション部140は、取得した直近の位置情報と通信装置100の装置IDと当該制御情報の情報IDと、通信装置100に予め設定された定数Rとを含む制御情報を生成する。
【0170】
第二実施形態のS103の処理の説明は、上記を除いて、第一実施形態のS103の処理の説明と同じである。なお、上記説明と第一実施形態のS103の処理の説明とが矛盾する場合は、上記説明を優先する。
【0171】
第二実施形態において図2に表すデータ送受信部120が行う、他の通信装置から制御情報の送付を受けた場合に行う転送処理に関する処理フロー例は、図4に表す第一実施形態の処理フローと同じである。ただし、第二実施形態の当該処理フローの説明は、次の点において、第一実施形態の当該処理フローの説明と異なる。
【0172】
説明が異なる部分は、当該処理フローのS202の処理に関する次の部分である。
【0173】
アプリケーション部140は、受信データに含まれる制御情報に含まれる位置情報と装置IDと定数Rと、当該制御情報のシーケンス番号とを抽出し、記憶部150に保持させる。当該位置情報は、当該制御情報の生成元通信装置の位置情報である。また当該装置IDは、当該制御情報の生成元通信装置の装置IDである。また、当該定数Rは、当該制御情報の生成元通信装置に予め設定された定数Rである。また、当該シーケンス番号は、当該制御情報の情報IDである。
【0174】
第二実施形態のS202の処理の説明は、上記を除いて、第一実施形態のS202の処理の説明と同じである。なお、上記説明と第一実施形態のS202の処理の説明とが矛盾する場合は、上記説明を優先する。
【0175】
第二実施形態において図2に表す転送可否判定部130が行う処理の処理フロー例は、図5に表すS305の処理を図8に表すS305aの処理で置き換えたものである。
【0176】
図8は、図5に表すS305の処理を置き換える処理を表す概念図である。
【0177】
当該置き換えを行った第二実施形態の処理フローの説明は、以下の点が、図5に表す第一実施形態の処理フローの説明と異なる。なお、当該置き換えを行った第二実施形態の処理フローの説明は、以下を除いて、図5に表す第一実施形態の処理フローの説明と同じである。また、以下の説明と第一実施形態の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
【0178】
S304、S305a及びS306の処理についての説明が第一実施形態と異なる点は次の通りである。
【0179】
S304の処理の次にS305aの処理を行う。
【0180】
転送可否判定部130は、S305aの処理を行う場合は、同処理として、S304の処理により選択した隣接通信装置の直近の位置情報を図3に表す記憶部150から取得する。転送可否判定部130は、また、同処理として、隣接通信装置の定数Rを記憶部150から取得する。なお、隣接通信装置は、第一実施形態の説明で述べたように、制御情報を定期的に送信している。そのため、隣接通信装置の位置情報と定数Rを記憶部150は保持している。そのため、転送可否判定部130は、選択した隣接通信装置の直近の位置情報と定数Rとを記憶部150から取得することができる。
【0181】
S305aの処理の次にS306の処理を行う。
【0182】
S307の処理についての説明が第一実施形態と異なる点は次の通りである。
【0183】
転送可否判定部130は、S307の処理を行う場合は、同処理として、S305aの処理により取得した定数Rと、S306の処理により導出した距離dとに基づき、転送度fを算出する。
【0184】
上記を除いて第二実施形態のS307の説明は第一実施形態のS307の説明と同じである。
[効果]
本実施形態の転送システムは、定数Rを各通信装置に対して個別に設定する。これは、つまり、各通信装置の配置を決定する際に影響がある範囲を、各通信装置の移動速度等の属性に従って決定できることを意味する。これにより、前記転送システムは、第一実施形態の転送システムが奏する効果に加えて、通信装置群の配置(フォーメーション)に関する最適性を一層高めることが可能である。
<第三実施形態>
第三実施形態は、受信した制御情報の他の通信装置への転送をマルチキャスト又はブロードキャストにより行う通信装置に関する実施形態である。
[構成と動作]
第三実施形態に係る通信システムの例は、図1に表す通信システム1と同じである。また、第二実施形態の通信システム1の説明は、各通信装置についての以下の説明を除いて、図1に表す第一実施形態の通信システム1の説明と同じである。
【0185】
第三実施形態の通信装置の例は図2に表す通信装置100と同じである。また、第三実施形態の通信装置100の説明は、以下の説明を除いて、第二実施形態の通信装置100の説明と同じである。以下、第三実施形態の通信装置100の第二実施形態の通信装置100と異なる部分について、第二実施形態の通信装置100と対比して説明する。なお、以下の説明と第二実施形態の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
【0186】
第二実施形態の通信装置100は、前述のように、制御情報を転送する際、ユニキャストを用いて隣接する通信装置100に制御情報を転送する。これに対し、第三実施形態の通信装置100は、制御情報を転送する際、ブロードキャスト、あるいはマルチキャストを用いて転送する。以上を踏まえて、以下、通信装置100の各構成要素の説明を行う。
【0187】
第二実施形態のデータ送受信部120は、制御情報を隣接通信装置に転送する際、ユニキャストにより、転送対象の隣接通信装置の各々に転送する。
【0188】
これに対し、第三実施形態のデータ送受信部120は、制御情報を隣接通信装置に転送する際、ブロードキャスト又はマルチキャストを用いて、すべての隣接通信装置に一括で転送する。このような転送方法としては、周知技術である、いわゆるフラッディングの手法を利用することができる。その際に、データ送受信部120は、前述の周知のルーティングプロトコルであるOLSRにおけるMPRを利用し、制御情報の重複を抑制しても良い。上記以外は、第二実施形態のデータ送受信部120と同じであるため、説明を省略する。
【0189】
また、第二実施形態の転送可否判定部130は、データ送受信部120が受信した制御情報から抽出した当該制御情報の生成元通信装置の装置IDと位置情報と制御情報の情報IDであるシーケンス番号を取得する。そして、第二実施形態の転送可否判定部130は、記憶部151が保持する当該制御情報の送信元通信装置でない隣接通信装置の位置情報と定数Rを読み出す。そして、第二実施形態の転送可否判定部130は、これらの情報を基に、転送候補となる隣接通信装置の各々について当該制御情報を転送するか否かを判定する。
【0190】
それに対し、第三実施形態の転送可否判定部130は、データ送受信部120から受け取った情報と、記憶部150に記憶された当該制御情報の送信元通信装置でない隣接通信装置の位置情報と定数Rを取得する。そして、第三実施形態の転送可否判定部130は、それらの情報を基に転送候補となる隣接通信装置毎に転送度fを算出する。そして、第三実施形態の転送可否判定部130は、これらの転送度fのうち最も小さなものを基準として、当該制御情報をブロードキャスト又はマルチキャストで転送するか否かを決定する。転送度fが最も小さいと言うことは、その転送度fに係る隣接通信装置に対して、最も頻繁に制御情報を転送することを意味する。
【0191】
第三実施形態の転送可否判定部130の説明は、上記以外については、第二実施形態の転送可否判定部130の説明と同じである。
[処理フロー例]
図2に表す第三実施形態のアプリケーション部140が行う、アプリケーション部140が生成した制御情報の送信に関する処理の処理フロー例は、図3に表す第二実施形態の処理フローと同じである。
【0192】
ただし、その説明は、以下の点において、第二実施形態の処理フロー例と異なる。
【0193】
第三実施形態の図3に表す処理フローが第二実施形態の図3に表す処理フローと異なるのは、S104の処理についての次の点である。
【0194】
すなわち、データ送受信部120は、制御情報やコンテンツデータの送信処理を順番に行うための送信バッファの先頭にある送信すべきデータである送信データを読み出す。当該送信データは、制御情報又はコンテンツデータである。データ送受信部120は、通信部110を介して、読みだした送信データを、送信対象の隣接通信装置に送信する。データ送受信部120は、読み出した送信データが制御情報である場合は、ブロードキャスト又はマルチキャストを用いて送信する。また、データ送受信部121は、読み出した送信データがコンテンツデータの場合は、そのコンテンツデータの送信先に応じてユニキャスト、ブロードキャスト及びマルチキャストのいずれかにより送信する。
【0195】
第二実施形態のS104の処理の説明は、上記を除いて、第二実施形態のS104の処理の説明と同じである。なお、上記説明と第二実施形態のS104の処理の説明とが矛盾する場合は、上記説明を優先する。
【0196】
第三実施形態において、図2に表すデータ送受信部120が行う、他の通信装置から制御情報の送付を受けた場合に行う転送処理に関する処理フロー例は、図4に表す第二実施形態の処理フローと同じである。ただし、第三実施形態の当該処理フローの説明は、当該処理フローのS206の処理に次の処理が含まれる点が第二実施形態の当該処理フローの説明と異なる。
【0197】
データ送受信部120は、S206の処理を行う場合は、同処理として、S203の処理により受信データに含まれていることを判定した制御情報のブロードキャスト又はマルチキャストによる転送を、図2に表す通信部110経由で行う。
【0198】
第二実施形態のS206の処理の説明は、上記を除いて、第一実施形態のS206の処理の説明と同じである。なお、上記説明と第二実施形態のS206の処理の説明とが矛盾する場合は、上記説明を優先する。
【0199】
図9は、図3に表す第三実施形態の転送可否判定部130が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0200】
図9に表す開始、S301乃至S304、S305a、S306、S307及びS310の処理、及び終了についての説明は、図5及び図8に表す第二実施形態のこれらの処理等の説明と同じである。以下、図9に表す処理フローの第二実施形態の処理と異なる部分について説明する。
【0201】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S302の処理の次にS302-2の処理を行う。
【0202】
当該転送可否判定部130は、S302-2の処理を行う場合は、同処理として、共通転送度Fを初期値に設定する。ここで、共通転送度Fは、後述のS308aの処理に用いられるものである。共通転送度の共通とは、S302の処理により作成されたリストの隣接装置に共通に適用されるという意味である。共通転送度Fの初期値は、通常導出される転送度fと比較して、十分に大きいことが想定される値とする。
【0203】
S303、S304、S305a、S306及びS307の処理の説明は前述のように第二実施形態のものと同じなので、省略する。
【0204】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S307の処理の次に、S307-2の処理を行う。
【0205】
当該転送可否判定部130は、S307-2の処理を行う場合は、同処理として、S307の処理により導出した転送度fは、共通転送度Fより小さいかについての判定を行う。共通転送度Fは、前述のように初期値としては十分に大きい値が設定されている。そのため、S302-2の処理の後の最初のS307-2の処理においては、転送度fは共通転送度Fより小さいことが判定される。
【0206】
当該転送可否判定部130は、S307-2の処理による判定結果がyesの場合は、S307-3の処理を行う。
【0207】
一方、第三実施形態の転送可否判定部130は、S307-2の処理による判定結果がnoの場合は、S303の処理を再度行う。
【0208】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S307-3の処理を行う場合は、同処理として、S307の処理により導出した転送度fを共通転送度Fに設定する。そして、第三実施形態の転送可否判定部130は、S303の処理を再度行う。
【0209】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S303の処理による判定結果がnoの場合は、S308aの処理を行う。
【0210】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S308aの処理を行う場合は、同処理として、共通転送度Fは条件を満たすかについての判定を行う。
【0211】
前記条件は、例えば、前記制御情報の情報IDであるシーケンス番号sを共通転送度Fで除算し、余りが0であることである。これにより、F回に1回は条件を満たすことが判定される。
【0212】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S308aの処理による判定結果がyesの場合は、S309aの処理を行う。
【0213】
一方、第三実施形態の転送可否判定部130は、S308aの処理による判定結果がnoの場合は、S310の処理を行う。
【0214】
第三実施形態の転送可否判定部130は、S309aの処理を行う場合は、転送可否判定部130に対して、転送可否判定部130が図4に表すS204の処理を行う際に転送可否判定部130が送付した制御情報の送信を指示する。当該送信は、ブロードキャスト又はマルチキャストによる送信である。ここで、当該送信がマルチキャストによる場合には、転送可否判定部130は、当該指示の際に、直近のS302の処理でリストにした各隣接通信装置があるマルチキャストグループに含まれるものとし、送信先アドレスとして当該グループのマルチキャストアドレスを指定する。当該送信がブロードキャストの場合は送信先の指定は必要ない。
【0215】
そして、第三実施形態の転送可否判定部130は、S310の処理を行う。S310の説明は、図5に表す第二実施形態のS310の説明と同じである。
[効果]
第三実施形態の通信システムは、制御情報の送信をブロードキャスト又はマルチキャストで行う場合でも、制御情報の生成元通信装置からの距離に応じて、制御情報のトラヒック量を削減することが可能である。制御情報の送信をブロードキャスト又はマルチキャストで行うことにより、個々の通信装置は、本来の転送度から決定される制御情報の受信頻度よりも高い頻度で制御情報を受信する可能性はある。しかしながら、ブロードキャスト又はマルチキャストにより、複数の隣接通信装置に対して一括に送信することが可能となる。これにより、前記通信システムは、第二実施形態の通信システムが奏する効果に加えて、より効率的な制御情報の転送が可能となる。
【0216】
なお、以上の本実施形態の通信システム及びその部分の説明は、第二実施形態の通信システム及びその部分の説明を基としたものである。そして、第二実施形態の通信システム及びその部分の説明は、第一実施形態の通信システム及びその部分の説明を基としたものである。従い、本実施形態の通信システム及びその部分は、第一実施形態の通信システム及びその部分により実現可能である。
【0217】
以上に述べた第一乃至第三実施形態におけるデータ送受信部120については、送信すべき制御情報とコンテンツデータとを同一の送信バッファに書き込み、送信する際は当該送信バッファの先頭から順に読み出して送信する例を説明した。しかしながら、データ送信処理は、例えば制御情報を優先して送信するなど、送信すべき制御情報やコンテンツデータに適宜優先度を付与し、優先度の高いものから順に送信してもよい。
【0218】
また、以上に述べた第一乃至第三実施形態における転送可否判定部130では、転送度fを式(2)の式を用いて算出する例を説明した。しかしながら、転送度fは制御情報の生成元通信装置と隣接通信装置との距離dと定数Rとに対して、予め固定的に定めた転送度fを用いても良い。例えば、0≦d/R<1の場合はf=1、1≦d/R<3の場合はf=2、3≦d/Rの場合はf=16などのような決め方である。距離dが大きくなればなるほど転送度fも大きくなるようにfを定める。そのため、転送する制御情報を間引くことができトラヒック量を削減可能な算出方法であれば、転送度fの算出方法は式(2)に限定されない。また、実施形態の通信装置は、転送度等により導出された転送確率よりも一時的に高い転送確率や低い転送確率で制御情報を転送しても構わない。実施形態の通信システムは、平均的にトラヒック量の削減が実現できるものであればよい。
【0219】
また、以上に述べた第一乃至第三実施形態における通信装置が作成する制御情報には、制御情報の情報IDとしてシーケンス番号を用いる例を説明した。しかしながら、制御情報の情報IDは、シーケンス番号に限定されるものではない。例えば、制御情報に時刻情報などを含めることで、時刻情報を情報IDとして制御情報を識別することも可能である。ただし、その場合、シーケンス番号を転送度fで割った余りが0の場合に、転送を行うという前述の判定方法は利用できない。代わりに、制御情報の生成元通信装置毎に、記憶部に前回転送した制御情報の数から転送しなかった制御情報の数をカウントし、そのカウント値に応じて転送可否を決定する方法を適用することが可能である。
【0220】
さらに、以上に述べた第一乃至第三実施形態のデータ送受信部120は、他の通信装置が生成した制御情報を受信した場合に、その制御情報を他の隣接通信装置に転送するか否かを転送可否判定部130に問い合わせる例を説明した。そして、第一乃至第三実施形態のデータ送受信部120は、問い合わせた結果に基づき転送を行う例を説明した。しかし、通信装置100が生成した制御情報を最初に転送する際に、転送可否判定部130に問い合わせることで、制御情報の生成元通信装置であっても、転送度に応じて生成した制御情報を転送することが可能である。
【0221】
上記に加え、以上に述べた各実施形態における通信装置100の各構成要素は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む半導体処理部品により構成されてもよい。また、これらの構成要素は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、やDSPを含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。ここで、当該マイクロプロセッサはMPU(Micro Processing Unit)である。また、DSPはDigital Signal Processorの略である。
【0222】
具体的には、データ送受信部120、転送可否判定部130、アプリケーション部140及び記憶部150が行う送信信号処理又は受信信号処理に関するアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成する。そして、当該プログラムをコンピュータに実行させればよい。
【0223】
当該プログラムは、様々な種類の非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)に格納されて、コンピュータに提供することが可能である。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々な種類の記録媒体(tangible storage medium)を含む。
【0224】
非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスク)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM又はCD-Rである。ここで、CD-ROMはCompact Disc-Read Only Memoryの略である。また、CD-RはCompact Disc-Recordableの略である。
【0225】
あるいは、非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、CD-R/W、半導体メモリである。ここで、CD-R/WはCompact Disc-Rewritableの略である。また、半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)である。
【0226】
あるいは、非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、フラッシュROM及びRAM(Random Access Memory)である。
【0227】
また、プログラムは、様々な種類の一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、電気信号、光信号、及び電磁波である。一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、電線や光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに提供できる。
【0228】
なお、以上に述べた各実施形態は、上記に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0229】
上述した各実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
<第四実施形態>
図10は、第四実施形態に係る通信装置の例である通信装置100yの構成を示すブロック図である。
【0230】
通信装置100yは、位置情報取得部10とデータ送受信部11と記憶部12とを備える。
【0231】
位置情報取得部10は、例えば、図2に表す位置情報取得部160である。データ送受信部11は、例えば、図2に示す通信部110、データ送受信部120及び転送可否判定部130の組合せである。記憶部12は、例えば、図2に表す記憶部150である。
【0232】
位置情報取得部10は、データ送受信部11から位置情報の取得をリクエストされると、その時の通信装置100yの位置情報(例えば、GPS)を取得し、データ送受信部11に通知する。
【0233】
データ送受信部11は、第一乃至第三実施形態において説明した制御情報を予め設定された時間間隔で生成し、隣接する通信装置に転送する。また、データ送受信部11は、他の隣接通信装置が生成した制御情報を受信すると、受信した制御情報に含まれる各種情報を抽出する。前記各種情報には、生成元通信装置の装置IDと位置情報、制御情報の情報ID、及び、定数Rが含まれる。データ送受信部11は、それらを記憶部12に記憶させる。そして、データ送受信部11は、受信した制御情報を他の隣接通信装置に転送するか否かを判定する。データ送受信部11は、当該判定を、受信した制御情報の生成元通信装置の位置情報と、記憶部12が保持する転送先通信装置の位置情報から算出した距離dと、予め設定された定数Rを基に、転送度fを算出し、転送度fの値に応じて行う。
【0234】
記憶部12は、受信した制御情報から抽出した上述の生成元通信装置の装置IDと位置情報、制御情報の情報ID、及び、定数Rを記憶する。
【0235】
通信装置100yは、各通信装置が生成した制御情報を通信システム内の他の通信装置に転送する際、当該制御情報の生成元通信装置と、転送先の通信装置との間の距離に応じた転送度により、当該制御情報を送信するか否かを判定する。その結果、制御情報の生成元通信装置からの距離が近い通信装置には、生成する度に制御情報が転送されるが、距離が遠くなるほど途中の経由する通信装置で制御情報が転送度に応じて転送先が削減される。
【0236】
そのため、複数の通信装置100yが各々自律的に協調動作を行いながら、与えられたオペレーションを遂行する際に、自律的に協調動作を実現する制御アルゴリズムに必要な各種情報の交換に関わるトラヒック量が削減される。それにより、通信装置100yは、交換が必要な情報の転送遅延の削減や、その他の情報通信に必要な帯域の確保を可能にする。
【0237】
上述した本発明の各実施形態における通信装置を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、通信装置は、物理的又は機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、通信装置は、専用の装置として実現してもよい。また、通信装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現しても良い。
【0238】
図11は、本発明の各実施形態の通信装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を表す概念図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95及びドライブ装置96を備える。
【0239】
通信インタフェース91は、各実施形態の通信装置が、有線あるいは/及び無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、通信装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続しても良い。
【0240】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0241】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置である。演算装置93は、例えば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0242】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であっても良い。
【0243】
不揮発性記憶装置95は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0244】
ドライブ装置96は、例えば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0245】
記録媒体97は、例えば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0246】
本発明の各実施形態は、例えば、図11に例示した情報処理装置90により通信装置を構成し、この通信装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0247】
この場合、通信装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、通信装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0248】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、通信装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して通信装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0249】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【0250】
図12は、実施形態の最小限の構成である無線装置100xの構成を表すブロック図である。
【0251】
無線装置100xは、導出部130axと、決定部130bxと、転送部120xと、送付部121xとを備える。
【0252】
導出部130axは、第一位置と第二位置とから前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出する。ここで、前記第一位置は、送付された第一制御情報に含まれる前記生成元無線装置の位置である。また、前記第二位置は、前記第一制御情報を転送する候補である候補無線装置が送付する第二制御情報に含まれる前記候補無線装置の位置である。
【0253】
決定部130bxは、前記距離の増大により減少する傾向を示し常に正の値をとる所定の関数により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出する。
【0254】
転送部120xは、前記確率に基づく前記転送を行う。
【0255】
送付部121xは、前記第一制御情報及び前記第二制御情報により自律的な移動を制御する移動制御部に前記第一制御情報及び前記第二制御情報を送付する。
【0256】
発明が解決しようとする課題の項でも説明したように、通信装置を利用する際の前述の最適性を確保するためには、各通信装置に任意の通信装置が生成した制御情報が到達する確率がゼロにはならないことが重要である。また、個々の通信装置が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減するためには、距離dが大きいほど、各無人機に制御情報が到達する確率が小さくなることが有効である。
【0257】
無線装置100xは、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との前記距離により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を決める。当該確率は、前記距離が増加すると、ゼロにはならないものの、減少する傾向を示すものである。また、前記距離が大きくなるほど減少するその程度は、前記関数に前記距離をその程度を律する所定の数値で除してから代入する等により調整可能である。
【0258】
従い、無線装置100xは、複数の無人機を利用する際の前述の最適性を確保しつつ、個々の無人機が自律的に協調動作を行う制御に必要な制御情報の交換に係るトラヒック負荷を軽減し得る。
【0259】
そのため、無線装置100xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0260】
なお、図12に表す無線装置100xは、例えば、図1に表す通信装置101乃至10n、図2に表す通信装置100及び図10に表す通信装置100yの各々である。
【0261】
また、導出部130axは、例えば、図2に表す転送可否判定部130の、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出する部分である。
【0262】
また、決定部130bxは、例えば、図2に表す転送可否判定部130の、前記関数により前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出する部分である。
【0263】
また、転送部120xは、例えば、図2に表すデータ送受信部120及び通信部110の、前記確率に基づく前記転送を行う部分である。
【0264】
また、前記送付部121xは、例えば、図2に表すデータ送受信部120の、移動制御部171への前記第一制御データ及び第二制御データの送付を行う部分である。
【0265】
また、前述の、「前記距離の増大により減少する傾向を示し」は、前記距離の増大にともない前記関数に係る関数値が増大する前記距離の範囲があっても構わないが、全体としては、前記関数値が減少する傾向であることを意味する。例えば、前記関数に対し、何らかの平滑化処理を行うことにより、平滑化処理後の関数が前記距離の増大により減少する場合は、前記距離の増大により減少する傾向を示す場合に含まれる。前記平滑化処理には、例えば前記関数の所定の個数の関数値に対し、スプライン曲線やB-スプライン曲線を導出する処理が含まれる。
【0266】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0267】
また、前述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
送付された第一制御情報に含まれる前記第一制御情報の生成元無線装置の位置である第一位置と、前記第一制御情報を転送する候補である候補無線装置が送付する第二制御情報に含まれる前記候補無線装置の位置である第二位置とから、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出する導出部と、
前記距離の増大により減少する傾向を示し常に正の値をとる所定の関数により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出する決定部と、
前記確率に基づく前記転送を行う転送部と、
前記第一制御情報及び前記第二制御情報により自律的な移動を制御する移動制御部に前記第一制御情報及び前記第二制御情報を送付する送付部と、
を備える、無線装置。
(付記2)
前記関数が、前記距離の増大によりゼロに漸近する、付記1に記載された無線装置。
(付記3)
前記関数が、前記距離を所定の定数で除した数以上の最小の整数から1を減じた値に係る、2の前記値乗の逆数に比例する、付記1又は付記2に記載された無線装置。
(付記4)
前記関数が第二の関数に比例し、前記比例に係る比例定数が前記候補無線装置の各々に固有のものである、付記2又は付記3に記載された無線装置。
(付記5)
前記候補無線装置は、前記第一制御情報を他の無線装置を介さずに無線により送付し得る隣接無線装置である、付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記6)
前記転送をユニキャストにより行う、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記7)
前記転送をブロードキャスト又はマルチキャストにより行う、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記8)
複数の前記候補無線装置の各々について導出した前記確率の最大値により前記転送を行う、付記7に記載された無線装置。
(付記9)
すべての前記候補無線装置の各々について導出した前記確率の最大値により前記転送を行う、付記8に記載された無線装置。
(付記10)
前記転送を行う場合は、すべての前記候補無線装置に対しマルチキャストによる前記転送を行う、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記11)
前記第一制御情報が、前記第一位置に加えて、前記生成元無線装置の装置IDと前記第一制御情報の情報IDとを含む、付記1乃至付記10のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記12)
前記第二制御情報が、前記第二位置に加えて、前記候補無線装置の装置IDと前記第二制御情報の情報IDとを含む、付記1乃至付記11のうちのいずれか一に記載された無線装置。
(付記13)
付記1乃至付記12のうちのいずれか一に記載された無線装置を複数備える無線システム。
(付記14)
送付された第一制御情報に含まれる前記第一制御情報の生成元無線装置の位置である第一位置と、前記第一制御情報を転送する候補である候補無線装置が送付する第二制御情報に含まれる前記候補無線装置の位置である第二位置とから、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出し、
前記距離の増大により減少する傾向を示し常に正の値をとる所定の関数により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出し、
前記確率に基づく前記転送を行い、
前記第一制御情報及び前記第二制御情報により自律的な移動を制御する移動制御部に前記第一制御情報及び前記第二制御情報を送付する、
通信方法。
(付記15)
前記導出と前記算出と前記転送とを、自律的な移動を行う際に行う、付記14に記載された通信方法。
(付記16)
送付された第一制御情報に含まれる前記第一制御情報の生成元無線装置の位置である第一位置と、前記第一制御情報を転送する候補である候補無線装置が送付する第二制御情報に含まれる前記候補無線装置の位置である第二位置とから、前記生成元無線装置と前記候補無線装置との距離を導出する処理と、
前記距離の増大により減少する傾向を示し常に正の値をとる所定の関数により、前記第一制御情報を前記候補無線装置に転送する確率を算出する処理と、
前記確率に基づく前記転送を行う処理と、
前記第一制御情報及び前記第二制御情報により自律的な移動を制御する移動制御部に前記第一制御情報及び前記第二制御情報を送付する処理と、
をコンピュータに実行させる通信プログラム。
(付記17)
無線を介して複数の通信装置の各々の間で情報を転送する情報転送方法であって、
対象とする前記通信装置である自通信装置の位置情報を取得するステップと、
前記自通信装置を特定する装置IDと取得した位置情報と当該位置情報を特定する情報IDを少なくとも含む組情報を生成して前記転送し、直接無線通信可能な隣接通信装置から受信した他の前記通信装置が生成した前記組情報を転送対象情報として当該情報の送信先以外の隣接通信装置に前記転送するデータ送受信ステップとを含み、
前記データ送受信ステップは、前記転送対象情報に含まれる前記転送対象情報の生成元の前記通信装置である生成元通信装置の前記位置情報と前記転送対象情報の転送先の隣接する前記通信装置である転送先隣接通信装置から通知された前記位置情報から、前記生成元通信装置と前記転送先隣接通信装置との間の距離である通信装置間距離を算出し、
前記通信装置間距離と予め設定された定数に基づいて前記転送対象情報を隣接通信装置に前記転送する確率を導出し、
前記確率に基づいて前記転送先隣接通信装置に当該転送対象情報を前記転送する、
情報転送方法。
(付記18)
前記転送対象情報には、前記隣接通信装置から受信した他の前記通信装置が生成した前記組情報と、前記自通信装置が生成した前記組情報とがある、付記17に記載された情報転送方法。
(付記19)
前記導出を、前記通信装置間距離と前記定数とを用いて、前記転送対象情報の転送割合を表す転送度を求め、この転送度を用いて行う、付記17又は付記18に記載された情報転送方法。
(付記20)
前記定数は、前記通信装置の各々に対して個別に設定される、付記19に記載された情報転送方法。
(付記21)
前記転送は、前記転送度に従いつつ、前記通信装置の各々が生成した前記転送対象情報の系列から等しい間隔で行う、付記19又は付記20に記載された情報転送方法。
(付記22)
前記転送度を、前記通信装置間距離が前記定数よりも短ければ高頻度で前記転送対象情報を前記転送し、前記通信装置間距離が前記定数よりも長ければ低頻度で前記転送対象情報を前記転送するような値とする、付記19から付記21のいずれかに記載された情報転送方法。
(付記23)
前記転送対象情報を前記転送先隣接通信装置へ前記転送する際、前記転送先隣接通信装置の各々に対して前記導出された前記確率のうち、最も高い前記確率に基づいて前記転送を行うか否かを決定し、
その結果に従って、前記転送先隣接通信装置の各々に前記転送対象情報をブロードキャスト又はマルチキャストを用いて前記転送を行うる付記19から付記22のいずれかに記載された情報転送方法。
(付記24)
無線を介して複数の通信装置の各々の間で情報を転送する前記通信装置であって、
自通信装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記自通信装置を特定する装置IDと取得した位置情報と組情報を特定する情報IDとを少なくとも含む前記組情報を生成して前記転送し、直接に無線通信が可能な前記通信装置である隣接通信装置から受信した他の前記通信装置が生成した前記組情報を転送対象情報として、当該組情報の送信先ではない前記隣接通信装置に前記転送するデータ送受信手段とを備え、
前記データ送受信手段は、前記転送対象情報に含まれる前記組情報の生成元である生成元通信装置の位置を表す前記位置情報と前記転送対象情報の転送先隣接通信装置から通知された前記位置情報から、前記生成元通信装置と前記転送に係る転送先の前記隣接通信装置との間の通信装置間距離を算出し、
前記通信装置間距離と予め設定された定数に基づいて前記転送対象情報を前記隣接通信装置に前記転送する確率を導出し、
前記確率に基づいて前記転送先隣接通信装置に前記転送対象情報を前記転送する、
前記自通信装置である情報転送装置。
(付記25)
付記24に記載された前記通信装置を複数含む情報転送システム。
(付記26)
無線を介して複数の通信装置の各々の間で情報を転送する前記通信装置である自通信装置の位置情報を取得する処理と、
前記自通信装置を特定する装置IDと取得した位置情報と組情報を特定する情報IDを少なくとも含む前記組情報を生成して転送し、直接に無線通信が可能な前記通信装置である隣接通信装置から受信した他の前記通信装置が生成した前記組情報を転送対象情報として当該組情報の送信先以外の前記隣接通信装置に前記転送するデータ送受信処理と、
前記データ送受信処理は、前記転送対象情報に含まれる前記組情報の生成元の前記通信装置である生成元通信装置の前記位置情報と前記転送対象情報の転送先の前記隣接通信装置から通知された前記位置情報から、前記転送対象情報の前記生成元通信装置と前記転送先の前記隣接通信装置との間の通信装置間距離を算出する処理と、
前記通信装置間距離と予め設定された定数に基づいて前記転送対象情報を前記隣接通信装置に前記転送する確率を導出する処理と、
前記確率に基づいて前記転送先の前記隣接通信装置に前記転送対象情報を前記転送する処理と、
をコンピュータに実行させる情報転送用プログラム。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2017年11月21日に出願された日本出願特願2017-223378を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0268】
1 通信システム
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体
100、100y、101、102、103、104、105、10n 通信装置
100x 無線装置
110 通信部
11、120 データ送受信部
120x 転送部
121x 送付部
130 転送可否判定部
130ax 導出部
130bx 決定部
140 アプリケーション部
12、150 記憶部
10、160 位置情報取得部
171 移動制御部
172 移動可能化部
173 移動情報取得部
201、202、203、204、205 一般装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12