(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20241008BHJP
A01C 21/00 20060101ALI20241008BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A01C15/00 G
A01C21/00 Z
A01C11/00 302
(21)【出願番号】P 2023130017
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2022178263の分割
【原出願日】2022-11-07
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】阿部 匡良
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-101667(JP,A)
【文献】特開2019-085058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00
A01C 21/00
A01C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業地の施肥作業マップおよび車体(100)のGNSS車体位置情報に基づいて、前記作業地における施肥作業を行うコントローラー(300)を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記施肥作業マップおよび前記GNSS車体位置情報を利用することにより、前記車体(100)が前記作業地の外に位置すると判断したときでも、あらかじめ定められた例外的施肥ルールが満足されている場合においては、施肥作業を例外的に行う作業車両であって、
前記施肥作業は、メッシュ状に区切られた前記施肥作業マップの前記作業地の区画に対応付けられて入力された施肥指示値に応じて行われ、
前記例外的施肥ルールが満足されている場合とは、前記車体(100)が前記作業地の外周部から逸脱したレベルがあらかじめ定められたレベルを超えない場合であり、
前記車体(100)が前記作業地から逸脱したとき、車体(100)位置から近傍の各区画に対応付けられて入力された平均施肥指示値が施肥指示値としてセットされることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)が周部から逸脱したレベルがあらかじめ定められたレベルを超えた場合であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)が所定の角度以上の傾斜
角度で傾斜した場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)の近傍に施肥指示値がない場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
田植え機のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能がかくの如き作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の田植え機のような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、作業地の施肥作業マップおよび車体(100)のGNSS車体位置情報に基づいて、前記作業地における施肥作業を行うコントローラー(300)を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記施肥作業マップおよび前記GNSS車体位置情報を利用することにより、前記車体(100)が前記作業地の外に位置すると判断したときでも、あらかじめ定められた例外的施肥ルールが満足されている場合においては、施肥作業を例外的に行う作業車両であって、
前記施肥作業は、メッシュ状に区切られた前記施肥作業マップの前記作業地の区画に対応付けられて入力された施肥指示値に応じて行われ、
前記例外的施肥ルールが満足されている場合とは、前記車体(100)が前記作業地の外周部から逸脱したレベルがあらかじめ定められたレベルを超えない場合であり、
前記車体(100)が前記作業地から逸脱したとき、車体(100)位置から近傍の各区画に対応付けられて入力された平均施肥指示値が施肥指示値としてセットされることを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)が周部から逸脱したレベルがあらかじめ定められたレベルを超えた場合であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)が所定の角度以上の傾斜
角度で傾斜した場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、セットされた前記施肥指示値は、保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされ、
前記リセット条件が満足された場合とは、前記車体(100)の近傍に施肥指示値がない場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明により、使い勝手を向上することが可能である。
【0012】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0013】
第3の本発明により、第1または第2の本発明の効果に加えて、利便性をさらに向上することが可能である。
【0014】
第4の本発明により、第1または第2の本発明の効果に加えて、利便性をさらに向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その一)
【
図3】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その二)
【
図4】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その三)
【
図5】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その四)
【
図6】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その五)
【
図7】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その六)
【
図8】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その七)
【
図9】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その八)
【
図10】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その九)
【
図11】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その十)
【
図12】本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その十一)
【
図13】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その一)
【
図14】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その二)
【
図15】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その三)
【
図16】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その四)
【
図17】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その五)
【
図18】本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その六)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0018】
(1)はじめに、
図1を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0019】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0020】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、コントローラー300などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0021】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいたコントローラー300の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で車体100を走行させながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け具241を有する苗植付け装置240により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0022】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置および副変速装置を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力などにより駆動される。
【0023】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0024】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0025】
はじめに、
図1を主として参照しながら、自動的な作業データ記録について具体的に説明する。
【0026】
コントローラー300は、作業地の地図データおよび車体100の車体位置情報に基づいて、作業地における作業を行う。
【0027】
施肥作業マップを利用することにより行われるいわゆる可変施肥作業において、圃場進入条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了する構成が、考えられる。
【0028】
コントローラー300は、少なくとも地図データおよび車体位置情報を利用することにより、作業の開始および終了を判断し、作業の作業開始判断タイミングで作業記録を開始し、作業の作業終了判断タイミングで開始された作業記録を終了する。
【0029】
作業記録を行う場合においては、作業者が、タブレット、または本機としての車体100の側のスイッチで、作業終了を指示する必要があるが、スイッチ操作は煩わしいのみならず、手が泥などで汚れていてタブレットなどを触りにくい作業者はスイッチ操作をしばしば忘れることもあるので、圃場退出条件が満足されたとき、作業が終了したと自動的に判断されて作業記録が保存されることにより、記録漏れは発生しにくくなる。そして、作業者がタブレットなどを操作する必要がなくなるので、省力化が促進される。
【0030】
このように、メッシュ状に区切られた作業地の区画に対応付けられて入力された作業指示値に応じて作業地の作業走行を行う作業機の自車位置が作業地内であるか否かを判定する自車位置判定部としてのコントローラー300、および衛星アンテナで衛星から受信された衛星信号に基づいて自車位置に対応する測位データを出力する衛星測位モジュールとしてのGNSS(Global Navigation Satellite System)装置400が、利用される態様が考えられる。車体100が圃場へ進入した、すなわち、作業地へ進入したとき、所定の条件が満足されたと判断され、作業記録が自動的に開始され、車体100が圃場を退出したとき、作業記録は自動的に終了される。車体100が圃場を退出すると作業が終了したと判断されて作業記録が自動的に保存されることにより、記録忘れがなくなる。そして、タブレットなどを操作する必要がなくなるので、省力化が促進される。
【0031】
車体位置情報は、車体100へ載置されたGNSS装置400により取得されたGNSS車体位置情報である。作業開始判断タイミングは、車体100が作業地へ入ったと判断されるタイミングである。作業終了判断タイミングは、車体100が作業地から出たと判断されるタイミングである。
【0032】
圃場内判定においては、タブレットなどに搭載されたGNSS装置400からの位置情報を施肥作業マップのデータと照合することにより、車体100が圃場内に位置するか否かを判断する構成が、考えられる。GNSS装置400が搭載されていない車体100においても、圃場記録を自動的に行うことができ、汎用性が広がるのみならずコストダウンが促進される。
【0033】
このように、車体100が圃場へ進入したとき、作業記録が自動的に開始される態様が考えられる。判定条件としては、タブレットなどに搭載されたGNSS装置400からの位置情報を施肥作業マップのデータと照合することにより、車体100が圃場内に位置するか否かを判断する条件が採用される。
【0034】
作業記録は、作業地ごとに設けられた作業ファイルに対して行われる。コントローラー300は、地図データおよび車体位置情報を利用することにより、現在の作業の作業地が過去の作業の作業地と同じであると判断した場合においては、過去の作業の作業ファイルに対して現在の作業の作業記録を連続的に行う。
【0035】
圃場進入条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了するのみならず、つぎの作業記録が開始されたとき、今回の圃場は前回と同じ圃場であるとGNSS情報から判断した場合においては、今回の作業は前回の継続作業であると判断して記録を一つのファイルにまとめる構成が、考えられる。作業記録が終了した後、作業が開始されると、別のファイルで記録が作成される構成も考えられるが、作業が昼食などで中断され、車体100が移動した場合においても、記録は一つにまとめられるので、データ管理などは容易である。
【0036】
このように、つぎの作業記録が開始されるとき、作業記録が開始される圃場が前回の作業記録が行われた圃場と同じであるとGNSS情報から判断された場合においては、つぎの作業は前回の継続作業であると判断されて作業記録が一つのファイルにまとめられる態様が考えられる。
【0037】
圃場進入条件および植付け部下降条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了する構成が、考えられる。植付け部下降条件を追加することにより、作業が行われているとより確実に判断することができるので、誤った記録が行われにくい。圃場進入条件が満足されていても、作業が行われているか否かを判断することができないことがあるので、利便性がかくして向上される。
【0038】
圃場進入条件、ならびに植付け部下降条件および植付け機能オンにともなう植付け開始条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了する構成が、考えられる。植付け部下降条件および植付け開始条件を追加することにより、作業が行われているとより確実に判断することができるので、誤った記録が行われにくい。
【0039】
圃場進入条件および植付け部下降条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件およびエンジン停止条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了する構成が、考えられる。圃場外判定がGPS誤差などのために誤って行われても、作業記録は停止されないので、正確な作業記録を保存することができる。
【0040】
圃場進入条件および植付け部下降条件が満足されたとき、作業記録を自動的に開始し、圃場退出条件および肥料排出条件が満足されたとき、作業記録を自動的に終了する構成が、考えられる。作業終了にともなう肥料保管のための肥料排出を検出するスイッチが、施肥装置250の肥料排出レバーに設けられている。施肥装置250における肥料排出条件を考慮することにより、作業終了をより確実に判断することができるので、正確な作業記録を行うことができる。
【0041】
つぎに、
図2から12を主として参照しながら、施肥指示値保持システム構成について具体的に説明する。
【0042】
ここに、
図2から12は、本発明における実施の形態の田植え機の施肥指示値保持システム構成の説明図(その一から十一)である。
【0043】
作業は、作業地の施肥作業マップおよび車体100のGNSS車体位置情報に基づいて行われる、作業地における施肥作業である。
【0044】
図2において示されているように、施肥作業マップを利用する可変施肥田植え機について、車体100が、施肥作業マップ領域または施肥マップとも呼ばれることがある、領域Dから逸脱したとき、任意の施肥指示値をセットする構成が、考えられる。
【0045】
コントローラー300は、施肥作業マップおよびGNSS車体位置情報を利用することにより、車体100が作業地の外に位置すると判断したときでも、あらかじめ定められた
例外的施肥ルールが満足されている場合においては、施肥作業を例外的に行う。
【0046】
車体100の真の位置と一致するべき、施肥作業マップのデータと照合される車体100のGPS位置については、GPS誤差が現実には発生するので、車体100が領域Dから逸脱したと誤って判断されることがある。そのため、施肥されない箇所が不適切に生じることがあるが、任意の施肥指示値をセットすることにより、車体100が領域Dから逸脱したと誤って判断されても、施肥を行うことができる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0047】
このように、車体100が作業地としての圃場から逸脱した、すなわち、領域Dから逸脱したとき、任意の施肥指示値がセットされる態様が考えられる。
【0048】
例外的施肥ルールが満足されている場合とは、車体100が作業地の外周部から逸脱している距離があらかじめ定められたレベルを超えない場合である。
【0049】
例外的施肥ルールが満足されている場合とは、車体100が作業地の外周部から逸脱した時点からの走行距離があらかじめ定められたレベルを超えない場合である。
【0050】
もちろん、例外的施肥ルールが満足されている場合とは、たとえば、施肥作業が例外的に行われた累計的な走行距離があらかじめ定められたレベルを超えない場合であってもよい。
【0051】
例外的施肥ルールが満足されている場合とは、車体100が作業地の外周部から逸脱した時点からの走行時間があらかじめ定められたレベルを超えない場合である。
【0052】
もちろん、例外的施肥ルールが満足されている場合とは、たとえば、施肥作業が例外的に行われた累計的な走行時間があらかじめ定められたレベルを超えない場合であってもよい。
【0053】
図3および4において示されているように、上述された構成(
図2参照)において、セットされる施肥指示値として、直前の値を施肥指示値として採用する構成が、考えられる。直前の値が1であるとき、1がセットされる施肥指示値として採用され(
図3参照)、直前の値が5であるとき、5がセットされる施肥指示値として採用される(
図4参照)。機械位置は、白い三角形の印で示されている。施肥が行われない範囲には0が施肥指示値として入力されており、施肥量が少ない範囲には1が施肥指示値として入力されており、施肥量が多い範囲には5が施肥指示値として入力されている。領域Dは太線で囲まれた領域を利用して示されており、機械移動経路は矢印を利用して示されている。
【0054】
施肥指示値を保持することにより、車体100が領域Dから逸脱したと誤って判断されても、施肥を行うことができる。施肥作業マップのファイル形式などにかかわらず、施肥指示値を容易に決定することができる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0055】
図5において示されているように、上述された構成(
図2参照)において、セットされる施肥指示値として、近傍の平均を施肥指示値として採用する構成が、考えられる。1=(1+1+1+5+0+0+0+0)/8が、施肥指示値としてセットされる。
【0056】
図6において示されているように、上述された構成(
図2参照)において、セットされる施肥指示値として、近傍で最も頻繁に出現している値を施肥指示値として採用する構成が、考えられる。0が4か所に存在し、1が3か所に存在し、5が1か所に存在するので、0が施肥指示値としてセットされる。
【0057】
上述された構成(
図2参照)において、セットされる施肥指示値として、ユーザーが選択した値を施肥指示値として採用する構成が、考えられる。ユーザーが任意に施肥指示値を決定することができる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0058】
このように、セットされる施肥指示値は、直前の施肥指示値、近傍の施肥指示値の平均値、近傍で最も頻繁に出現している施肥指示値、またはユーザーにより選択された施肥指示値である態様が考えられる。
【0059】
コントローラー300は、あらかじめ定められた例外的施肥停止ルールが満足された場合においては、例外的に行われている施肥作業を停止する。
【0060】
上述された構成(
図2参照)において、セットした施肥指示値を一時的に保持し、リセット条件が満足された場合においては、施肥指示値をリセットする構成が、考えられる。車体100が圃場から本当に逸脱した場合においても、施肥指示値がセットされ、施肥が不適切に行われ続けられることがあるが、施肥指示値のリセット条件を設けることにより、車体100が圃場から本当に逸脱した場合においては、施肥をしばしば適切に停止することができる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0061】
このように、施肥指示値は、セットされて一時的に保持され、リセット条件が満足された場合においては、リセットされる態様が考えられる。
【0062】
図7において示されているように、上述された構成において、施肥指示値のリセット条件は領域Dから逸脱してから任意の距離だけ離れたという条件である構成が、考えられる。両向きの矢印で示された距離Xが所定の値以上である場合においては、リセットが行われる。
【0063】
上述された構成において、施肥指示値のリセット条件は車体100が所定の角度以上の傾斜角度で傾斜したという条件である構成が、考えられる。畦畔が多くの圃場には存在するので、車体100の圃場逸脱を車体傾斜情報に基づいて検知することができる。
【0064】
図8において示されているように、上述された構成において、施肥指示値のリセット条件は車体100が、施肥領域とも呼ばれることがある、補助領域Daから逸脱したという条件である構成が、考えられる。補助領域Daは、破線で囲まれた領域を利用して示されている。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0065】
図9において示されているように、上述された構成(
図8参照)において、補助領域Daは領域Dより大きい領域である構成が、考えられる。補助領域Daは領域Dより小さくなることがあるが、補助領域Daが領域Dより確実に大きくなる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0066】
上述された構成(
図8参照)において、補助領域Daは領域Dを内包する構成が、考えられる。補助領域Daが領域Dから独立していることがあるが、補助領域Daが領域Dを確実に内包する。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0067】
上述された構成(
図8参照)において、補助領域Daの境界線は領域Dの輪郭線を所定の距離だけ平行移動した線である構成が、考えられる。補助領域Daの境界線が明確に定義されていないことがあるが、補助領域Daの境界線を定義することができる。このような構成は、機能試作機への試験的な搭載を経て、実機へ実装されることが期待される。
【0068】
図10において示されているように、上述された構成において、施肥指示値のリセット条件は近傍の施肥指示値がないという条件である構成が、考えられる。
【0069】
上述された構成において、施肥指示値のリセット条件は領域Dから逸脱してからの経過時間が所定の時間を超えたという条件である構成が、考えられる。作業が常に一定の車速で行われる場合においては、このような時間を監視することにより、車体100の移動にともなう距離などを間接的に監視することができる。
【0070】
図11において示されているように、上述された構成(
図5参照)において、領域Dの内の値のみを平均値の算出に利用する構成が、考えられる。1が施肥指示値としてセットされるのではなく、2=(1+1+1+5)/4が施肥指示値としてセットされる。領域Dの外の値が含められると、平均値が極端に変動することがあるので、利便性がかくして向上される。
【0071】
図12において示されているように、上述された構成(
図6参照)において、領域Dの内の値のみを近傍の値として参照する構成が、考えられる。0が施肥指示値としてセットされるのではなく、1が3か所に存在し、5が1か所に存在するので、1が施肥指示値としてセットされる。領域Dの外の値も参照されると、セットされる施肥指示値は領域Dの外の値になることがあるので、利便性がかくして向上される。
【0072】
このように、車体100が、圃場から逸脱した後、任意の距離だけ領域Dから離れたとき、車体100が補助領域Daから逸脱したとき、または車体100の傾斜角度が所定の角度を超えたとき、施肥指示値のリセット条件が満足される態様が考えられる。
【0073】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0074】
図13から18を主として参照しながら、施肥システム不具合アラート機能について具体的に説明する。
【0075】
ここに、
図13から18は、本発明における実施の形態の田植え機の施肥システム不具合アラート機能の説明図(その一から六)である。
【0076】
施肥量調節モーター501で回動支点を動かすことにより、モニター505へ表示された施肥量が実現されるように、ポテンショメーター504の値で支点位置を決める施肥装置250において、モニター505の施肥量の値がポテンショメーター504の値と一致しない場合においては、オペレーターへの報知が行われる構成が、考えられる。
【0077】
施肥量を調節する施肥量調節ギヤー503のようなギヤーが外れるトラブルが発生しており、施肥量が設定値の通りでない場合においても、ユーザーがそれに気付かずに田植えが行われることがあるので、補償問題などが懸念されるが、施肥量のトラブルがかくして低減される。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0078】
上述された構成において、モニター505の値がポテンショメーター504の値とズレているとき、警告出力がモニター505を利用して行われる田植え機の構成が、考えられる。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0079】
上述された構成において、モニター505の値がポテンショメーター504の値とズレているとき、警告出力がブザーを利用して行われる田植え機の構成が、考えられる。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0080】
上述された構成において、発生したエラー状態のエラーが解消されなければ、つぎの植付け条へ向かうための旋回制御への自動的な遷移が行われない、つまり、畔までの植付けの後、畔際での停止が行われる自動田植え機の構成が、考えられる。
【0081】
ロボット田植えにおいては、ユーザーが警告に気付かずに田植えが行われることがあるが、いわゆる生育ムラがかくして低減される。
【0082】
上述された構成において、エラー状態の判別のための不感帯の時間、つまり、値がズレていてもエラーが表示されない時間は、80kgの設定から10kgの設定までのゲージ機構移動時間より長い時間である構成が、考えられる。
【0083】
不感帯時間が80kgの設定から10kgの設定までのゲージ機構移動時間より短ければ、80kgから10kgへの施肥量変更が行われたとき、ゲージ移動が行われている間に、警告が不適切に出力されることがあるが、ユーザーへの不適切な情報の出力がかくして抑制される。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0084】
上述された構成において、エラー状態の判別のための不感帯の時間、つまり、値がズレていてもエラーが表示されない時間は、施肥量がモニター画面で変更されたときのみ、80kgの設定から10kgの設定までのゲージ機構移動時間より長い時間であり、それ以外ではゲージ機構移動時間より短い時間である構成が、考えられる。
【0085】
80kgの設定から10kgの設定までのゲージ機構移動時間は比較的に長い時間であるので、施肥量が設定値の通りでない時間が長くなりやすいが、精度向上がかくして実現される。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0086】
施肥量が減肥スイッチの操作で変更された場合においては、つまり、減肥が実行されている場合においては、モニター505の施肥量値がポテンショメーター504の値とズレていても、エラーが出力されない構成が、考えられる。
【0087】
ユーザーへの不適切な情報の出力が、かくして抑制される。このような構成は、一連の機種シリーズにおける実装が期待される。
【0088】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0089】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0090】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0091】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0092】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0093】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0094】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0095】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、田植え機のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0097】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
250 施肥装置
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
300 コントローラー
400 GNSS装置
501 施肥量調節モーター
502 ゲージ機構
503 施肥量調節ギヤー
504 ポテンショメーター
505 モニター
D 領域
Da 補助領域
X 距離