IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

<>
  • 特許-計量装置 図1
  • 特許-計量装置 図2
  • 特許-計量装置 図3
  • 特許-計量装置 図4
  • 特許-計量装置 図5
  • 特許-計量装置 図6
  • 特許-計量装置 図7
  • 特許-計量装置 図8
  • 特許-計量装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/06 20060101AFI20241008BHJP
   G01G 19/18 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01G23/06 C
G01G19/18 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023198568
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2024-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】西村 和博
(72)【発明者】
【氏名】山本 大貴
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-020126(JP,A)
【文献】特開2009-036289(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083588(WO,A1)
【文献】特開2013-108524(JP,A)
【文献】実公昭31-001444(JP,Y1)
【文献】特開平11-334388(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1982595(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
F16F 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードセルと、
前記ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、
計量対象物を収容可能な計量容器と、
前記荷重負荷部に前記計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、
前記荷重負荷部および前記吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1上側緩衝部と、
第1方向において前記第1上側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2上側緩衝部と、
前記第1方向において、前記第1上側緩衝部および前記第2上側緩衝部を締め付ける上側締め付け部と、
前記計量容器および前記吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1下側緩衝部と、
前記第1方向と異なる第2方向において、前記第1下側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2下側緩衝部と、
前記第2方向において、前記第1下側緩衝部および前記第2下側緩衝部を締め付ける下側締め付け部と、
を備え、
前記荷重負荷部または前記吊り下げ具の一方が、前記第1上側緩衝部と前記第2上側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結され、
前記計量容器または前記吊り下げ具の一方が、前記第1下側緩衝部と前記第2下側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される、
計量装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量装置であって、
前記第2上側緩衝部を含む上側円筒部と、前記上側円筒部の一端において径方向外側に広がる、前記第1上側緩衝部としての上側フランジ部と、を有すると共に、前記上側円筒部の高さ方向が前記第1方向に平行に配置される上側スリーブ型部材を備え、
前記上側締め付け部が、前記上側円筒部に挿入される上側ボルトと、前記上側ボルトに篏合する上側ナットと、を有し、
前記上側締め付け部は、前記上側ボルトが前記上側ナットにねじ込まれることで、前記上側円筒部および前記上側フランジ部を前記第1方向に締め付け、
前記上側締め付け部の締め付けによって、前記上側円筒部が径方向外側に膨らみ、
前記荷重負荷部または前記吊り下げ具の一方が、前記上側円筒部の膨らんだ部分と前記上側フランジ部とに挟まれることで、他方に対して連結される、
計量装置。
【請求項3】
請求項2に記載の計量装置であって、
前記第1方向は鉛直方向であり、
前記荷重負荷部には、鉛直方向の荷重孔が形成され、
前記吊り下げ具は、前記荷重負荷部の下方に配置され、水平方向に延びる水平部分と、前記水平部分から鉛直方向下方に延びる鉛直部分とを有し、
前記水平部分には、鉛直方向の上側連結孔が形成され、
前記上側スリーブ型部材は、前記上側フランジ部が前記荷重負荷部と前記水平部分との間に位置し、かつ前記上側円筒部が上側連結孔において前記水平部分を通貫するように配置され、
前記上側ボルトは、前記荷重孔を通って前記上側スリーブ型部材内に挿入される上側軸部と、前記荷重負荷部の前記荷重孔よりも大きな径を有し、前記荷重負荷部の上方に配置される上側頭部と、を有し、
前記上側締め付け部は、前記上側軸部が前記上側ナットにねじ込まれることで、前記上側円筒部および前記上側フランジ部を鉛直方向に締め付け、
前記水平部分は、前記上側連結孔の周囲で前記上側円筒部の膨らんだ部分と前記上側フランジ部との間に挟まれる、
計量装置。
【請求項4】
ロードセルと、
前記ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、
計量対象物を収容可能な計量容器と、
前記荷重負荷部に前記計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、
を備える計量装置であって、
前記吊り下げ具には、水平方向の下側連結孔が形成され、
前記計量容器には、水平方向の容器孔が形成され、
前記計量装置は、
前記容器孔において前記計量容器を通貫するように配置される弾性体である下側円筒部と;前記下側円筒部の一端において径方向外側に広がり、前記計量容器と前記吊り下げ具との間に位置する下側フランジ部と;を有する下側スリーブ型部材と、
前記下側円筒部に挿入される下側ボルトと、前記下側ボルトに篏合する下側ナットと、を有する下側締め付け部と、
さらに備え、
前記下側ボルトは、前記下側連結孔を通って前記下側スリーブ型部材内に挿入される下側軸部と、前記下側連結孔よりも大きな径を有し、前記吊り下げ具を挟んで前記下側フランジ部と逆側に配置される下側頭部と、を有し、
前記下側締め付け部は、前記下側軸部が前記下側ナットにねじ込まれることで、前記下側円筒部および前記下側フランジ部を水平方向に締め付け、
前記下側締め付け部の締め付けによって、前記下側円筒部が径方向外側に膨らみ、
前記計量容器が前記容器孔の周囲で前記下側円筒部の膨らんだ部分と前記下側フランジ部との間に挟まれることで、前記吊り下げ具に対して連結される、
計量装置。
【請求項5】
請求項に記載の計量装置であって、
前記第2方向は前記第1方向に対して垂直である、
計量装置。
【請求項6】
請求項に記載の計量装置であって、
前記第1方向または前記第2方向が鉛直方向である、
計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の重量を測定する計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉または粒状の対象物を一定量毎に分けたり、工程間での対象物の流量を測定したりするために、ロードセルと、計量容器と、ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、荷重負荷部に計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、を有する計量装置が用いられている。計量装置においては、対象物は落下により計量容器に投入され、計量容器にかかる負荷がロードセルにより測定される。
【0003】
荷重負荷部と計量容器との間が完全に固定されていると、対象物の投入時に生じる衝撃荷重による装置の不具合が生じることが懸念される。そのため、この衝撃荷重を和らげるために、荷重負荷部と計量容器との間に一定量の揺動を可能とする提案がされている。一方で、大きな揺動は計量結果に影響するため、計量精度と計量にかかる時間の短縮とを両立するには、揺動を早く収束させることが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1は、ボールベアリングを有する吊り下げ具を提案する。この吊り下げ具は、軸状の荷重負荷部に取り付けられる第1部材と、第1部材に取り付けられると共に計量容器に固定される第2部材と、を備える。第1部材は、それぞれにボールベアリングが嵌合された第1孔および第2孔を有する。第1孔のボールベアリングに荷重負荷部が挿入されることで、第1部材は荷重負荷部に回転可能に取り付けられる。第1部材の第2孔のボールベアリングに、第2部材の一端に設けられた回転軸が挿入されることで、第2部材は第1部材に回転可能に取り付けられる。荷重負荷部および第1孔は水平方向の軸を有し、第2孔は水平方向かつ第1孔に垂直な軸を有する。また、第2部材の他端は、計量容器にボルトにより固定される。
【0005】
特許文献1によると、以下の効果があるとされている。第1部材が荷重負荷部の軸回りに対して、また計量容器に固定された第2部材が第1部材に対して、荷重負荷部の軸に垂直な軸回りに揺動できるので、衝撃による揺動は、計量容器および対象物の自重によって迅速に収束し、低摩擦の各ボールベアリングにより、第1部材および第2部材は、計量容器が最下点となる位置に速やかに復帰する。これにより、計量精度を高めつつ短時間に計量を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-108825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、計量容器の振動を素早く収束させ、高い精度で計量したいという要求に十分応えられていない。
【0008】
本発明は、高い計量精度を実現しながら、計量にかかる時間を短縮することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の計量容器を提供する。
【0010】
第1の発明にかかる計量容器は、ロードセルと、前記ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、計量対象物を収容可能な計量容器と、前記荷重負荷部に前記計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、前記荷重負荷部および前記吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1上側緩衝部と、所定の方向において前記第1上側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2上側緩衝部と、前記所定の方向において、前記第1上側緩衝部および前記第2上側緩衝部を締め付ける上側締め付け部と、を備え;前記荷重負荷部または前記吊り下げ具の一方が、前記第1上側緩衝部と前記第2上側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される。
【0011】
第2の発明にかかる計量容器は、ロードセルと、前記ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、計量対象物を収容可能な計量容器と、前記荷重負荷部に前記計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、前記計量容器および前記吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1下側緩衝部と、所定の方向において前記第1下側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2下側緩衝部と、前記所定の方向において、前記第1下側緩衝部および前記第2下側緩衝部を締め付ける下側締め付け部と、を備え;前記計量容器または前記吊り下げ具の一方が、前記第1下側緩衝部と前記第2下側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される。
【0012】
また、計量容器は、第1上側緩衝部および第2上側緩衝部、並びに第1下側緩衝部および第2下側緩衝部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
第1上側緩衝部および第2上側緩衝部、または第1下側緩衝部および第2下側緩衝部によって、計量容器は荷重負荷部に対して、これらの緩衝部の弾性の範囲で変位することができる。つまり、衝撃荷重を吸収することができる一方で、その変位の範囲は従来よりも制限されるので、変位に伴って発生する揺動は小さくなる。また、これらの緩衝部により、揺動が減衰するのにかかる時間は短縮される。よって、本発明によると、高い計量精度を実現しながら、計量にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は計量装置の一部分解斜視図である。
図2図2は、計量装置において荷重負荷部と計量容器とを連結する吊り下げ具およびその周辺の構造を示す分解斜視図である。
図3図3は、吊り下げ具およびその周辺の構造を示す側面図である。
図4図4は、吊り下げ具およびその周辺の構造を示す正面図である。
図5図5は、図4における吊り下げ具およびその周辺の構造を示す断面図である。
図6図6は、吊り下げ具の斜視図である。
図7図7は、上側締め付け部およびその周辺の構造を示す断面図である。
図8図8は、図7の上側締め付け部が上側スリーブ型部材を締め付けることで、上側スリーブ型部材が圧縮されたときの断面図である。
図9図9は計量装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、例示的な実施形態について説明する。図中において、x軸は水平方向の軸であり、y軸は鉛直方向の軸であり、z軸はx軸およびy軸に垂直な軸である。
【0016】
1.計量装置1
図1は計量装置1の一部分解斜視図である。図2図4は、計量装置1において荷重負荷部3とその下方に配置される計量容器4とを連結する吊り下げ具5およびその周辺の構造を示す図面であり、図2は分解斜視図であり、図3は側面図であり、図4は正面図である。図5図4における吊り下げ具5およびその周辺を拡大した断面図である。なお、図3では説明の便宜上、荷重負荷部3を点線で示す。
【0017】
図1図2に示すように、本実施形態の計量装置1は、保持枠11、ロードセル2、荷重負荷部3、計量容器4、吊り下げ具5、上側スリーブ型部材61、下側スリーブ型部材62、上側締め付け部71、下側締め付け部72、供給ゲート8および排出ゲート(図示せず)を有する。供給ゲート8が開閉することで、貯留槽から計量容器4に対象物が投入される。また、排出ゲートが開くことで、投入された対象物が計量容器4外に排出される。計量装置1は、対象物が投入された計量容器4の荷重をロードセル2に伝え、ロードセル2の出力に基づいて対象物を計量する。
【0018】
保持枠11は、後方部材12、前方部材13、2つの支持板14、2つのロードセルカバー15および前面に取り付けされた制御ボックス16と、を有する。
【0019】
後方部材12および前方部材13は、z軸方向において互いに向かい合うと共に、長手方向がx軸方向に平行になるように配置される。後方部材12および前方部材13の高さ(y軸方向における寸法)は、保持枠11に保持された計量容器4の底部が、計量装置1の設置面に接触せず、宙に浮くように設定される。後方部材12および前方部材13の下部は、他の装置に接続できるようになっていてもよい。このように、計量装置1の設置面とは、平面であってもよいし、計量装置1の下方に設けられる他の装置であってもよい。ここで、他の装置としては、計量後の対象物を袋詰めする装置、または計量後の対象物に加工を施す装置が挙げられる。
【0020】
2つの支持板14は、x軸方向において互いに向かい合うと共に、その長手方向がz軸に平行になるように配置される平板状の部材であり、各支持板14の両端がそれぞれ後方部材12と前方部材13に接続される。つまり、後方部材12、前方部材13および2つの支持板14により、保持枠11は平面視において略矩形を呈する。支持板14には、y軸方向で、その長手方向(つまりz軸方向)に並ぶ2つの貫通孔である、第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bが形成されている。第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bには吊り下げ具5が通される。吊り下げ具5が水平方向に変位できるように、第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bの径は、吊り下げ具5の径よりも大きい。なお、保持枠11は、支持板14を補強するリブ、各部材間を固定するアングル、ボルト-ナット等のさらなる構造を適宜備えることができる。
【0021】
ロードセルカバー15は、支持板14上に、ロードセル2を上方および側方から覆うように設けられる。図1では2つのロードセルカバー15のうち、x軸方向において紙面奥のロードセルカバー15のみ図示し、手前のロードセルカバー15の図示を省略する。
【0022】
制御ボックス16は、その内部に、後述の制御装置等を収容しており、またその前面に、ユーザからの指示および入力を受け付ける入力装置、ユーザに計量結果を表示する表示部などが設けられる。
【0023】
ロードセル2は、本実施形態においてはいわゆるビーム型である。ロードセル2は、支持板14上で、その長手方向が支持板14の長手方向(つまりz軸方向)に平行になるように、支持板14の2つの第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bの間に配置される。また、ロードセル2はその第1端部(図3における左端)において、ボルトにより支持板14上に固定される。ロードセル2の第1端部と支持板14との間には、下部スペーサ21が挿入される。ロードセル2は、その上に配置された荷重負荷部3を通じて伝えられる計量容器4からの荷重を電気信号に変換して、後述の制御装置に出力する。
【0024】
荷重負荷部3は、ロードセル2に荷重を伝える。荷重負荷部3は、平板状の部材であり、その長手方向がロードセル2の長手方向(つまりz軸方向)に平行になるように、ロードセル2の上に配置される。荷重負荷部3の両端近傍には、支持板14の2つの第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bと同軸に、荷重負荷部3を鉛直方向に貫通する第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bが設けられている。荷重負荷部3には、第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bにおいて、吊り下げ具5により計量容器4が吊り下げられる。ロードセル2の第2端と荷重負荷部3との間には、上部スペーサ22が挿入される。荷重負荷部3において、上部スペーサ22に対応する位置には他の貫通孔が形成されており、荷重負荷部3および上部スペーサ22は、この貫通孔を通るボルトによりロードセル2の第2端部に固定される。
【0025】
計量容器4は、上方から投入される計量対象物を一時的に収容することができる。計量容器4は、容器本体41、庇部42および把手43を有する。容器本体41は、y-z平面に平行であって互いに向かい合う2つの側壁と、x-y平面に平行であって互いに向かい合う2つの側壁とを備える、略直方体の外形を有する。容器本体41の上部は開放されており、下部には排出口(図示せず)が形成されている。庇部42は、容器本体41の上縁の全周に渡って、斜め下かつ外側に張り出すように形成されている。また、庇部42の外縁から、容器本体41の4つの側壁のそれぞれに平行かつ下方に延びるように、壁が形成されている。これらの4つの壁のうち、y-z平面に平行な2つの壁部が把手43である。言い換えると、計量容器4は、容器本体41と、x軸方向における容器本体41の両側面に平行に設けられる把手43とを有する。把手43には、それぞれ2つずつx軸方向の貫通孔が設けられる。それぞれの貫通孔を「第1容器孔」および「第2容器孔」と呼び、符号43aおよび43bをそれぞれ付す。
【0026】
図6等を参照して、吊り下げ具5について説明する。図6は吊り下げ具5の斜視図である。吊り下げ具5は、筒状部51および板部52、並びに筒状部51の上端に設けられ、その平面方向が水平である環状部(水平部分)53を有する。環状部53の孔を上側連結孔と呼び、符号53aを付す。上側連結孔53aと筒状部51とは同軸に配置され、この軸を「A」として図示する。
【0027】
環状部53の外径は筒状部51の外径と同一であり、環状部53の内径、つまり上側連結孔53aの径は、筒状部51の内径よりも小さい。環状部53を有することで、吊り下げ具5は、その上端に、筒状部51の内径よりも小さく、筒状部51の内部に連なる開口を有する。
【0028】
板部52は筒状部51の下端に、軸A上で、軸Aに平行に配置される。板部52は、筒状部51と共に、鉛直方向に延びる鉛直部分を構成する。板部52には貫通孔である下側連結孔52aが形成されており、下側連結孔52aは軸A上に配置されると共に、下側連結孔52aの軸Bが軸Aに対して直交するように配置される。また、板部52は、筒状部51と一体に形成されている。本明細書において、筒状部51および板部52について、「一体に形成されている」とは、筒状部51と板部52とが鋳造などで一体として成形されている場合、筒状部51と板部52とが別々に成形された後に溶着などで一体化されている場合などを含む。本実施形態の板部52はその上端に角張ったU字形の切り欠き52cを有し、筒状部51の下端は切り欠き52cに嵌まっている。筒状部51と切り欠き52cとの間は溶着されている。
【0029】
2つの吊り下げ具5は、1つの荷重負荷部3の下方に、軸Aが第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bの軸にそれぞれ一致するように配置される。また、これらの吊り下げ具5は、それぞれの軸Bが、z軸方向に並ぶ第1容器孔43aおよび第2容器孔43bの軸に一致するように配置される。
【0030】
上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62について、図5等を参照して説明する。上側スリーブ型部材61は、弾性体であって、上側円筒部61a、および上側円筒部61aの一端において、上側円筒部61aの径方向外側に広がる上側フランジ部61bを有する。つまり、上側円筒部61aの高さ方向に平行な断面において、上側スリーブ型部材61の外形はT字状である。なお、上側スリーブ型部材61はその上側円筒部61aの高さ方向の貫通孔を有する。以下、上側円筒部61aおよび下側円筒部62aについて、「高さ方向」とは、鉛直方向とは無関係に、円筒における高さ方向(つまり径方向に垂直な方向)を指す。上側フランジ部61bは荷重負荷部3と吊り下げ具5の環状部53との間に配置され、上側円筒部61aは上側連結孔53aにおいて環状部53を通貫するように配置される。言い換えると、上側円筒部61aの高さは環状部53の厚みよりも大きく、上側円筒部61aは、上側フランジ部61bとは逆側の端部が、環状部53の裏側、つまり筒状部51の内部に到達するように、上側連結孔53aに挿入される。
【0031】
下側スリーブ型部材62は、上側スリーブ型部材61と同様の構造を有する。具体的には、下側スリーブ型部材62は、弾性体であって、下側円筒部62aと、下側円筒部62aの一端に設けられ、下側円筒部62aの一端において、下側円筒部62aの径方向外側に広がる下側フランジ部62bと、を有する。また、下側フランジ部62bは板部52と把手43の間に配置され、下側円筒部62aは第1容器孔43aにおいて把手43を通貫するように配置される。言い換えると、下側円筒部62aの高さは把手43の厚みよりも大きく、下側フランジ部62bとは逆側の端部が、把手43の裏側にまで到達するように、第1容器孔43aに挿入される。
【0032】
上側締め付け部71および下側締め付け部72について、図5および図7等を参照して説明する。図7は、上側締め付け部71およびその周辺の構造を示す断面図である。なお、図5等の断面図では、ワッシャーの図示は省略されている。
【0033】
上側締め付け部71は上側ボルト711と上側ナット712とを有し、上側ボルト711は上側頭部711aと上側軸部711bを有する。上側ナット712は、上側軸部711bに篏合するように形成されている。上側ナット712は、上側円筒部61aにおいて、上側フランジ部61bとは逆側の端部近傍に、上側ナット712の内周面(つまりねじ部分)が上側円筒部61aの内周面から露出するように埋め込まれている。言い換えると、上側ナット712のねじ穴は、上側スリーブ型部材61の上側円筒部61aと同軸に配置される。また、上側頭部711aは、第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bの径よりも大きな径を有する。
【0034】
下側締め付け部72は、上側締め付け部71と同様の構成を有する。下側締め付け部72は下側ボルト721と下側ナット722とを有し、下側ボルト721は下側頭部721aと下側軸部721bとを有する。下側ナット722は、下側軸部721bに篏合するように形成されている。下側円筒部62aにおいて、下側フランジ部62bとは逆側の端部近傍に、下側ナット722の内周面(つまりねじ部分)が下側円筒部62aの内周面から露出するように埋め込まれている。言い換えると、下側ナット722のねじ穴は、下側スリーブ型部材62の下側円筒部62aと同軸に配置される。また、下側頭部721aは、下側連結孔52aの径よりも大きな径を有する。
【0035】
吊り下げ具5と計量容器4との接続、および吊り下げ具5と荷重負荷部3との接続について説明する。
【0036】
図2図5等に示すように、下側スリーブ型部材62は、下側円筒部62aが第1容器孔43aにおいて把手43を通貫し、下側フランジ部62bが計量容器4の把手43にその外側(容器本体41とは逆側)から当接するように配置される。吊り下げ具5は、板部52が下側フランジ部62bのさらに外側に当接し、かつ下側連結孔52aが第1容器孔43aと同軸になるように、つまり下側スリーブ型部材62の貫通孔と同軸になるように、配置される。下側軸部721bは、下側連結孔52aを通り、さらに下側スリーブ型部材62に挿入され、下側ナット722にねじ込まれる。下側頭部721aは、板部52のさらに外側に、下側連結孔52aの周囲で当接する。こうして、下側締め付け部72により、下側スリーブ型部材62がx軸(水平)方向において締め付けられると共に、吊り下げ具5と計量容器4とが連結される。
【0037】
第1容器孔43aとz軸方向に並ぶ第2容器孔43b、さらにx軸方向逆側の第1容器孔43aおよび第2容器孔43bにおいても、同様に吊り下げ具5と計量容器4とが、下側締め付け部72により連結される。こうして、1つの計量容器4に対して、4つの吊り下げ具5が連結される。
【0038】
z軸方向において隣り合う2つの吊り下げ具5は、筒状部51の上端が支持板14の上に突出するように、第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bのそれぞれに、下から挿入される。突出した2つの筒状部51の間にはロードセル2が配置される。
【0039】
上側スリーブ型部材61の上側円筒部61aは、上側連結孔53aに上から挿入され、上側フランジ部61bの下面が上側連結孔53aの周囲で環状部53に当接する。
【0040】
荷重負荷部3は、第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bが、第1貫通孔14aおよび第2貫通孔14bとそれぞれ同軸となるように、つまり2つの上側スリーブ型部材61の貫通孔とそれぞれ同軸となるように、ロードセル2上に重ねられる。上側軸部711bは、第1荷重孔3aにおいて荷重負荷部3を通貫し、さらに上側スリーブ型部材61に挿入され、上側ナット712にねじ込まれる。上側頭部711aは、荷重負荷部3の上面に、第1荷重孔3aの周囲において当接する。こうして、上側締め付け部71により、上側スリーブ型部材61がy軸(鉛直)方向に締め付けられると共に、吊り下げ具5と荷重負荷部3とが連結される。
【0041】
同一の荷重負荷部3の第2荷重孔3bにおいても同様に吊り下げ具5が連結され、さらに、x軸方向逆側でも、別の荷重負荷部3と2つの吊り下げ具5とが連結される。こうして、2つの荷重負荷部3に対して、1つの計量容器4が、4つの吊り下げ具5によって吊り下げられる。
【0042】
以上に述べたように、吊り下げ具5は、軸Aつまり長手方向が鉛直(y軸)方向に平行になるように配置される。よって、計量時には、計量容器4にかかる荷重が、吊り下げ具5を主に長手方向に引っ張る方向に作用する。これによって、計量容器4を安定して支持でき、吊り下げ具5に歪みなどの変形が生じにくい。特に、上側連結孔53aと下側スリーブ型部材62とがA軸上に並ぶことで、筒状部51の荷重負荷部3に対する着力点と板部52から筒状部51への着力点とが鉛直方向に並ぶので、計量容器4を安定して支持することができる。
【0043】
なお、以上では、説明の便宜上、下側の連結箇所から先に述べたが、組み立て順序はこれに限定されるものではない。
【0044】
以下、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62による計量容器4および吊り下げ具5の保持について、図7および図8を参照して説明する。図8は、図7の上側締め付け部71が上側スリーブ型部材61を締め付けることで、上側スリーブ型部材61が圧縮されたときの断面図である。ただし、図8では説明の便宜上、上側スリーブ型部材61については断面でなく正面図を示す。
【0045】
図7では、上側軸部711bが上側ナット712に嵌合しているが、ねじ込み量が少ないので、上側スリーブ型部材61の上側円筒部61aが圧縮されず、上側円筒部61aは自然な状態にある。上側軸部711bの上側ナット712へのねじ込み量が大きくなると、上側頭部711aと上側ナット712との距離が短くなる。こうして、上側ナット712と上側フランジ部61bとの距離が短くなり、図8に示すように、上側円筒部61aはその高さ方向、つまりy軸方向に圧縮される。その結果、上側円筒部61aは径方向に膨らむ。また、上側フランジ部61bは、荷重負荷部3と筒状部51との間に挟まれることで、その位置が固定され、かつy軸方向において圧縮される。こうして、環状部53は、上側連結孔53aの周囲において、上側円筒部61aの膨らんだ部分と上側フランジ部61bとに、y軸方向において挟まれる。
【0046】
図示は省略するが、下側締め付け部72による連結箇所では、下側スリーブ型部材62が、その下側円筒部62aの高さ方向、つまりx軸方向に圧縮される。詳細には、下側軸部721bの下側ナット722へのねじ込み量が大きくなると、下側頭部721aと下側ナット722との距離が短くなる。こうして、下側ナット722と下側フランジ部62bとの距離が短くなり、下側円筒部62aはその高さ方向、つまりx軸方向に圧縮される。その結果、下側円筒部62aは径方向に膨らむ。また、下側フランジ部62bは、板部52と把手43との間に挟まれることで、その位置が固定され、かつx軸方向において圧縮される。こうして、計量容器4の把手43は、第1容器孔43aの周囲において、x軸方向において下側円筒部62aと下側フランジ部62bとに挟まれる。第2容器孔43bに関しても同様である。
【0047】
上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62による緩衝効果について説明する。
【0048】
計量容器4に計量対象物が投入されると、計量容器4に衝撃荷重が作用する。このとき、計量容器4は吊り下げ具5に対して、下側スリーブ型部材62の弾性の範囲で、相対的に変位することができる。特に、下側スリーブ型部材62は、計量容器4と吊り下げ具5との間の、せん断方向、圧縮方向および吊り下げ方向の全てにおける、つまり三次元的な変位を可能とする。その結果、衝撃荷重は緩和される。また、下側スリーブ型部材62が計量容器4と吊り下げ具5との間で衝撃を吸収することで、計量容器4の振動は全方向で迅速に減衰する。さらに、下側スリーブ型部材62が介在することで、計量容器4から吊り下げ具5に伝わる振動は、計量容器4で発生する振動よりも小さくなる。
【0049】
また、吊り下げ具5は荷重負荷部3に対して、上側スリーブ型部材61の弾性の範囲で相対的に変位することができる。特に、上側スリーブ型部材61は、吊り下げ具5と荷重負荷部3との間の、せん断方向、圧縮方向および吊り下げ方向の全てにおける、つまり三次元的な変位を可能とする。その結果、衝撃荷重はさらに緩和される。また、上側スリーブ型部材61が吊り下げ具5と荷重負荷部3との間で衝撃を吸収することで、吊り下げ具5の振動は全方向で迅速に減衰する。さらに、上側スリーブ型部材61が介在することで、吊り下げ具5から荷重負荷部3に伝わる振動は、計量容器4から吊り下げ具5に伝わった振動よりもさらに小さくなる。
【0050】
以上のとおり、計量容器4と吊り下げ具5との間の変位、および吊り下げ具5と荷重負荷部3との間の変位が、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62の弾性によって可能となる。その結果、吊り下げ具5、荷重負荷部3およびロードセル2に作用する衝撃荷重が低減されるので、これらの部材の歪みまたは損傷等の不具合の発生が抑制される。
【0051】
同時に、これらの変位の範囲は上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62の弾性の範囲に限定され、かつ振動が迅速に減衰するので、計量対象物の投入からロードセル2の出力結果に基づく計量結果を算出するまでの時間を従来技術より短縮しつつ、高い計量精度を得ることができる。
【0052】
また、ロードセル2に最終的に伝わる振動は、計量容器4の振動よりも著しく小さくなることも、計量精度と計量にかかる時間短縮の両立に寄与する。
【0053】
なお、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62の各々は、単独でも、せん断、圧縮および吊り下げ方向における、三次元方向での衝撃荷重の低減と振動減衰という緩衝効果を持つ。本実施形態では、上側スリーブ型部材61の向き(第1方向:y軸方向)と下側スリーブ型部材62の向き(第2方向:x軸方向)とが、平行でなく交差し、さらには同一平面内で交差し、さらには垂直であることで、全方向においてより高い緩衝効果が得られる。また、第1方向と第2方向のいずれかが鉛直方向であること(つまり他方は水平方向であること)が好ましく、第1方向が鉛直方向であるので、本実施形態はこの条件も満たしている。
【0054】
また、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62は、計量容器4からロードセル2にかかる荷重の均一性を高めるという効果も持つ。本実施形態のように複数の吊り下げ具5を介してロードセル2に荷重を作用させる場合、および複数のロードセル2を設ける場合に、ロードセル2内およびロードセル2間に均等に近いバランスで荷重をかけることが望ましい。仮に、荷重負荷部3に対して計量容器4の位置が完全に固定されており、計量容器4が荷重負荷部3に対して変位できないようになっていると、上述のようなバランスを実現するには、各部材の寸法および位置合わせを極めて厳密に行う必要がある。あるいは、吊り下げ具5に長さを変更できる構造を持たせて、組み立て時にその長さを変更することで、寸法誤差による荷重のばらつきを修正することも考えられるが、組み立てに高い精度が求められると共に、長さ変更のために部材点数が増えるので、構造が複雑になる。これに対して、本実施形態のように、吊り下げ具5と荷重負荷部3との間および計量容器4との間に上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62を配置することで、長さ調整を行うことなく、加工公差による寸法誤差を吸収し、均等に近い荷重バランスを実現することができる。
【0055】
なお、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62としては、上述した緩衝効果を持つものであれば、その組成、物性、形状および寸法等は適宜変更できる。また、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62は、計量装置における各部材の固有振動数および計量装置に求められる性能等に応じて、好ましい振動の減衰率(振動数比)が得られるように選択される。
【0056】
例えば、上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62としては、ゴム等の公知の弾性体が適用され、公知の防振ゴムが好ましく適用される。
【0057】
計量容器4の支持点数、つまり1つの計量容器に対して設けられる吊り下げ具5は、上記実施形態では4つであるが、3以下、または5以上であってもよい。
【0058】
2.計量装置1の制御
図9をさらに参照して、計量装置1による計量について説明する。図9は計量装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0059】
計量装置1は、上述の構成に加えて、供給ゲート8を開閉する供給駆動部91、排出ゲートを開閉する排出駆動部92、計量結果を出力する表示部等の出力部93、および各部の動作を制御すると共に、ロードセル2に接続される制御装置94を備える。制御装置94は、供給制御部941、排出制御部942、重量算出部943、出力制御部944を有する。制御装置94は、CPU等の演算装置、メモリ、タイマ等によって構成される。
【0060】
供給制御部941は、供給駆動部91の動作を制御して、供給ゲート8を開き、一定時間が経過または計量対象物が所定の重量まで投入されると閉じ(投入時間T1)ることで、貯留槽から計量容器4に計量対象物を投入する。供給ゲート8が閉じてから、つまり投入が完了してから振動が収束するまで待った後(待ち時間T2)、重量算出部943はロードセル2から出力値を読み取り、その出力値に基づいて計量対象物の重量を算出する。排出制御部942は、供給ゲート8が開いてから、つまり投入開始から投入時間と待ち時間(T1+T2)が経過すると、排出ゲートを開いて計量対象物を計量容器4から排出する。以上の動作を繰り返すことで、計量装置1は間欠的に計量対象物を計量することができる。
【0061】
重量算出部943による算出結果、つまり計量結果は図示しないメモリに記憶され、出力制御部944はこの計量結果を読み取り、出力部93を介してユーザに提示する。
【0062】
時間T2は、目的とする計量精度を実現できる程度に振動が収まるのに要する時間となる。上述したように、計量装置1では、弾性体である上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62によって振動および衝撃が吸収されるので、同等の計量精度を実現しながら、時間T2を短縮するか、または時間T2を維持しながら計量精度を高めることができる。
【0063】
なお、従来の計量装置で用いられているキャリブレーション等の技術は、本発明にも好ましく適用される。
【0064】
3.その他の実施形態等
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0065】
例えば、本出願は以下の技術も開示する。
【0066】
(1)本発明は、ロードセルと、ロードセルに荷重を伝える荷重負荷部と、計量対象物を収容可能な計量容器と、荷重負荷部に計量容器を吊り下げる吊り下げ具と、を有する計量容器に適用可能である。
【0067】
(2)計量容器は、荷重負荷部および吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1上側緩衝部と、所定の方向において第1上側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2上側緩衝部と、この所定の方向において、第1上側緩衝部および第2上側緩衝部を締め付ける上側締め付け部と、を備えることができる。荷重負荷部および吊り下げ具の一方は、第1上側緩衝部と第2上側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される。
【0068】
(3)計量容器は、第2上側緩衝部を含む上側円筒部と、上側円筒部の一端において径方向外側に広がる、第1上側緩衝部としての上側フランジ部と、を有する上側スリーブ型部材を備えてもよい。上側スリーブ型部材は、上側円筒部の高さ方向が上記(2)の所定の方向に平行に配置される。図5等に例示される上側スリーブ型部材61は、上側円筒部61aと、上側円筒部61aの一端において径方向外側に広がる上側フランジ部61bと、を有する弾性体である。上側円筒部61aは第2上側緩衝部を含み、上側フランジ部61bは第1上側緩衝部に相当する。上側スリーブ型部材61は、上側円筒部61aの高さ方向(つまり上側スリーブ型部材61の貫通孔の方向)が上記(2)の所定の方向に平行になるように配置される。
【0069】
(4)上側締め付け部は、図5等に例示するように、ボルト-ナット構造を有してもよい。図示される上側締め付け部71は、上側ボルト711および上側ナット712を有する。上側ボルト711は上側円筒部61aに挿入され、上側ナット712は上側ボルト711に篏合する。上側ボルト711が上側ナット712にねじ込まれることで、上側締め付け部は上側円筒部61aと上側フランジ部61bとを上記(2)の所定の方向に締め付けるようになっている。
【0070】
この実施形態では、上側締め付け部71の締め付けにより、上側円筒部61aがその径方向外側、つまり所定の方向に対して垂直な方向に膨らみ、吊り下げ具5は、上側円筒部61aの膨らんだ部分(第2上側緩衝部)と上側フランジ部61bとに挟まれることで、荷重負荷部3に連結される。
【0071】
(5)ただし、第1上側緩衝部および第2上側緩衝部は、図5等に示す実施形態のように、1つのスリーブ型部材に含まれるのではなく、個別の部材であってもよい。
【0072】
(6)上記(2)の「荷重負荷部または吊り下げ具の一方は、第1上側緩衝部と前記第2上側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される」について、図5等に示す実施形態では、第1上側緩衝部と第2上側緩衝部とに挟まれる部材として、吊り下げ具5が例示される。ただし、挟まれる部材は荷重負荷部3であってもよい。言い換えると、荷重負荷部、第1上側緩衝部、吊り下げ具および第2上側緩衝部が所定の方向においてこの順に並んでもよいし、第1上側緩衝部、荷重負荷部、第2上側緩衝部および吊り下げ具が所定の方向においてこの順に並んでもよい。
【0073】
(7)上側締め付け部は、ボルト-ナット構造に限定されず、第1および第2上側緩衝部を締め付けることで、荷重負荷部と吊り下げ具とを連結できれば、クリップ等の他の部材であってもよい。
【0074】
(8)上記(2)において、第1上側緩衝部が「荷重負荷部および吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる」とは、上側締め付け部71のようなボルト-ナット構造による取り付けに限定されず、第1上側緩衝部が例えばクリップ等の他の手段で荷重負荷部と吊り下げ具との間に挟まれていてもよいし、またはこれらの部材の少なくとも一方に接着等により固定されていてもよい。
【0075】
(9)上側ナット712は、図5等に示す形態では上側スリーブ型部材61の上側円筒部61aに埋め込まれているが、これに限定されず、第1および第2上側緩衝部とは別個の部材として設けられてもよい。
【0076】
(10)上記(2)の「所定の方向」として、図5等には鉛直方向が例示されるが、本発明はこれに限定されず、水平方向または他の方向であってもよい。
【0077】
(11)荷重負荷部と吊り下げ具との連結のために、荷重負荷部および吊り下げ具には、上述の所定の方向の荷重孔および上側連結孔がそれぞれ形成されてもよい。また、吊り下げ具は、所定の方向が鉛直方向である場合には、これらの荷重負荷部の下方で水平方向に延びる水平部分と、水平部分から鉛直方向に延びる鉛直部分と、を有し、水平部分には、鉛直方向の上側連結孔が形成されてもよい。
【0078】
図5等では、所定の方向が鉛直方向であり、荷重負荷部3は鉛直方向の軸を有する第1荷重孔3aおよび第2荷重孔3bを有し、吊り下げ具5は、水平部分として上側連結孔53aを有する環状部53を有し、鉛直部分として筒状部51および板部52を有する。このような形状であることで、吊り下げ具5は計量容器4および計量対象物の荷重がかかっても変形しにくく、繰り返し計量を行っても計量精度を保つことができる。ただし、水平部分および鉛直部分はこの形状に限定されず、例えば水平部分と鉛直部分とは、それぞれ平板状であり、組み合わせられることでL字状を構成してもよい。
【0079】
(12)また、上側スリーブ型部材は、上側円筒部が上記(10)における上側連結孔において、水平部分を通貫するように配置されてもよい。この場合は、上側連結孔の径は荷重孔の径よりも大きく形成されることが望ましい。また、上側フランジ部は、荷重負荷部と水平部分との間に配置される。
【0080】
また、上側ボルトは、荷重孔を通って上側スリーブ型部材内に挿入される上側軸部と、荷重負荷部の前記荷重孔よりも大きな径を有し、荷重負荷部の上方に配置される上側頭部と、を有してもよい。上側締め付け部は、上側軸部が上側ナットにねじ込まれることで、上側円筒部と上側フランジ部とを鉛直方向に締め付けることができる。このような形態において、水平部分は、上側連結孔の周囲で上側円筒部の膨らんだ部分と上側フランジ部との間に挟まれ、これによって、吊り下げ具が荷重負荷部に対して変位可能に連結される。図7および図8等に示す上側ボルト711は、このような上側ボルトの例示である。
【0081】
(13)計量容器は、計量容器および吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる弾性体である第1下側緩衝部と、所定の方向において第1下側緩衝部と並ぶように配置される弾性体である第2下側緩衝部と、この所定の方向において、第1下側緩衝部および第2下側緩衝部を締め付ける下側締め付け部と、を備えることができる。計量容器または吊り下げ具の一方は、第1下側緩衝部と第2下側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される。
【0082】
(14)図5等には、上記(2)と上記(13)とを組み合わせた形態が例示されるが、計量容器は上記(2)の構成を単独で、または上記(13)の構成を単独で有してもよい。上記(2)の「所定の方向」を「第1方向」と呼び、上記(13)の「所定の方向」を「第2方向」と呼ぶことがある。
【0083】
(15)第1および第2下側緩衝部は、第1および第2上側緩衝部と同様に、スリーブ型部材を構成してもよい。言い換えると、計量容器は、第2下側緩衝部を含む下側円筒部と、下側円筒部の一端において径方向外側に広がる、第1下側緩衝部としての下側フランジ部と、を有する下側スリーブ型部材を備えてもよい。下側スリーブ型部材は、下側円筒部の高さ方向が上記(13)の所定の方向に平行になるように配置される。
【0084】
図5等に例示される下側スリーブ型部材62は、下側円筒部62aと、下側円筒部62aの一端において径方向外側に広がる下側フランジ部62bと、を有する弾性体である。下側円筒部62aは第2下側緩衝部を含み、下側フランジ部62bは第1下側緩衝部に相当する。下側スリーブ型部材62は、下側円筒部62aの高さ方向(つまり下側スリーブ型部材62の貫通孔の方向)が上記(13)の所定の方向に平行になるように配置される。
【0085】
(16)下側締め付け部は、図5等に例示するように、ボルト-ナット構造を有してもよい。図示される下側締め付け部72は、下側ボルト721および下側ナット722を有する。下側ボルト721は下側円筒部62aに挿入され、下側ナット722は下側ボルト721に篏合する。下側ボルト721が下側ナット722にねじ込まれることで、下側締め付け部72は下側円筒部62aと下側フランジ部62bとを上記(13)の所定の方向に締め付けるようになっている。
【0086】
この実施形態では、下側締め付け部72の締め付けにより、下側円筒部62aがその径方向外側、つまり所定の方向に対して垂直な方向に膨らみ、計量容器4(特に把手43)は、下側円筒部62aの膨らんだ部分(第2下側緩衝部)と下側フランジ部62bとに挟まれることで、吊り下げ具5に連結される。
【0087】
(17)ただし、第1下側緩衝部および第2下側緩衝部は、図5等に示す実施形態のような1つのスリーブ型部材に含まれるのではなく、個別の部材であってもよい。
【0088】
(18)上記(13)の「計量容器または吊り下げ具の一方は、第1下側緩衝部と第2下側緩衝部とに挟まれることで、他方に対して連結される」について、図5等に示す実施形態では、第1下側緩衝部と第2下側緩衝部とに挟まれる部材として、計量容器4(特に把手43)が例示される。ただし、挟まれる部材は吊り下げ具5であってもよい。言い換えると、吊り下げ具、第1下側緩衝部、計量容器および第2下側緩衝部が所定の方向においてこの順に並ぶか、または、第2下側緩衝部、吊り下げ具、第1下側緩衝部および計量容器が所定の方向においてこの順に並んでもよい。
【0089】
(19)下側締め付け部は、ボルト-ナット構造に限定されず、第1および第2下側緩衝部を締め付けることで、計量容器と吊り下げ具とを連結できれば、クリップ等の他の部材であってもよい。
【0090】
(20)上記(13)において、第1下側緩衝部が「計量容器および吊り下げ具の少なくとも一方に取り付けられる」とは、下側締め付け部72のようなボルト-ナット構造による取り付けに限定されず、第1下側緩衝部が例えばクリップ等の他の手段で計量容器と吊り下げ具との間に挟まれていてもよいし、またはこれらの部材の少なくとも一方に接着等により固定されていてもよい。
【0091】
(21)下側ナット722は、図5等に示す形態では下側スリーブ型部材62の下側円筒部62aに埋め込まれているが、これに限定されず、第1および第2下側緩衝部とは別個の部材として設けられてもよい。
【0092】
(22)上記(13)の所定の方向として、図5等に示す形態では水平方向が例示されるが、本発明はこれに限定されず、鉛直方向または他の方向であってもよい。
【0093】
(23)計量容器と吊り下げ具との連結のために、計量容器および吊り下げ具には、上記(13)の所定の方向の容器孔および下側連結孔がそれぞれ形成されてもよい。また、吊り下げ具が鉛直方向に延びる鉛直部分を有し、その鉛直部分に下側連結孔が形成されていることが好ましい。
【0094】
図5等では、この所定の方向が水平方向であり、計量容器4が水平方向の軸を有する容器孔43aおよび43bを有し、吊り下げ具5の鉛直部分の一部である板部52が、板部52に水平方向の軸を有する下側連結孔を備える。
【0095】
(24)下側スリーブ型部材は、下側円筒部が上記(23)における容器孔において計量容器を通貫するように配置されてもよい。この場合は、容器孔の径は下側連結孔の径よりも大きく形成されることが望ましい。また、下側フランジ部は、吊り下げ具と計量容器との間に配置される。
【0096】
また、下側ボルトは、下側連結孔を通って下側スリーブ型部材内に挿入される下側軸部と、下側連結孔よりも大きな径を有し、吊り下げ具を挟んで下側フランジ部と逆側に配置される下側頭部と、を有してもよい。下側締め付け部は、下側軸部が下側ナットにねじ込まれることで、下側円筒部と下側フランジ部とを水平方向に締め付けることができる。計量容器は、容器孔の周囲で下側円筒部の膨らんだ部分と下側フランジ部との間に挟まれ、これによって計量容器が吊り下げ具に対して変位可能に連結される。図7および図8等に示す下側ボルト721は、このような下側ボルトの例示である。
【0097】
(25)図5等に示す形態では、計量容器4が、容器本体41と把手43とを備え、把手43と吊り下げ具5とが下側締め付け部72によって連結されている。ただし、これは計量容器と吊り下げ具とを連結する形態の一例に過ぎず、把手43は計量容器4の固定において必須の構成ではない。例えば、容器本体41の側壁において計量対象物が漏れにくい位置に連結用の貫通孔である容器孔を設けて、この容器孔を介して計量容器4を固定してもよい。
【0098】
(26)上記(2)と上記(13)とが組み合わせられた場合、上記(2)の所定の方向である第1方向と、上記(13)の所定の方向である第2方向とは、異なることが好ましい。また、第2方向が第1方向に対して垂直であることで、全方向においてより均一な緩衝効果が得られる。なお、第1方向と第2方向とが「垂直」である場合に、これらの方向は同平面に含まれることが好ましいが、ねじれの関係にあってもよい、また、第1方向または第2方向の一方が鉛直方向であって、他方が水平方向であることが好ましい。図5等に示す形態は、このような構成の一例として、第1方向が鉛直方向であって、第2方向が水平方向である。
【0099】
(27)第1方向が鉛直方向であり、第2方向が水平方向である場合に、吊り下げ具は、水平方向に設けられた水平部分と、水平部分から鉛直方向下方に延びる鉛直部分と、を備えてもよい。水平部分には鉛直方向の(軸を有する)上側連結孔が形成され、鉛直部分には水平方向の(軸を有する)下側連結孔が形成されることで、吊り下げ具の水平部分が荷重負荷部に連結され、鉛直部分が計量容器に連結される。図5等に示す吊り下げ具5は、このような吊り下げ具の一例である。ただし、上述したように、吊り下げ具はこの形状に限定されない。
【0100】
(28)以上に述べた各形態を任意に組み合わせて得られる形態も本出願の開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本開示の技術は、計量対象物を計量する計量装置、さらにはパッカースケール等に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 計量装置
11 保持枠
14 支持板
16 制御ボックス
2 ロードセル
3 荷重負荷部
3a 第1荷重孔
3b 第2荷重孔
4 計量容器
41 容器本体
42 庇部
43 把手
43a 容器孔
5 吊り下げ具
51 筒状部(鉛直部分の一部)
51a 中空部
53 環状部(水平部分)
53a 上側連結孔
52 板部(鉛直部分の一部)
52a 下側連結孔
61 上側スリーブ型部材(第1上側緩衝部、第2上側緩衝部)
61a 上側円筒部(第2上側緩衝部)
61b 上側フランジ部(第1上側緩衝部)
62 下側スリーブ型部材(第1下側緩衝部、第2下側緩衝部)
62a 下側円筒部(第2下側緩衝部)
62b 下側フランジ部(第1下側緩衝部)
71 上側締め付け部
711 上側ボルト
711a 上側頭部
711b 上側軸部
712 上側ナット
72 下側締め付け部
721 下側ボルト
722 下側ナット
721a 下側頭部
721b 下側軸部
【要約】
【課題】高い計量精度を実現しながら、計量にかかる時間を短縮することができる技術を提供する。
【解決手段】計量装置1は、ロードセル2に荷重を伝える荷重負荷部3と、計量対象物が投入される計量容器4とを連結する吊り下げ具5を備え、吊り下げ具5と荷重負荷部3、計量容器4と吊り下げ具5との連結箇所に、弾性体である上側スリーブ型部材61および下側スリーブ型部材62が介在することで、衝撃荷重を緩和すると共に、振動を早く減衰させることができる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9