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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】エレベータ制御システム、制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20241008BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241008BHJP
   B66B 17/20 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 U
B66B17/20 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023208020
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北川 新也
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-128457(JP,A)
【文献】特表2020-506129(JP,A)
【文献】特開2022-083144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
B66B 3/00 - 3/02
B66B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムであって、
利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、
取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御部と、
を備えるエレベータ制御システム。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない場合、前記呼び登録依頼を出力しない、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、
前記扉制御部は、
前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではなく、かつ、前記出力制御部が前記呼び登録依頼を出力した場合、前記情報処理装置の乗車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごへの乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、または(2)所定時間が経過するまでの第2期間、前記扉の開状態を保持する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、
前記扉制御部は、
前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではなく、かつ、前記出力制御部が前記呼び登録依頼を出力した場合、前記かごに乗車した前記情報処理装置の降車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、または(2)所定時間が経過するまでの第4期間、前記扉の開状態を保持する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記エレベータ制御装置は、前記検知装置が設けられた前記エレベータの複数の号機毎に設けられており、
前記出力制御部は、複数の前記号機のうち前記状態情報が示す前記動作状態が正常である前記検知装置が設けられている前記号機を制御する前記エレベータ制御装置へ前記呼び登録依頼を出力する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
1または複数のコンピュータにより実行される、エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムの制御方法であって、
利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、
取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御ステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットが利用可能なエレベータ制御システム、およびエレベータ制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごに乗降する利用者を検知するための光電装置を備えるエレベータが知られている。例えば、特許文献1には、光電装置に加え、音声により乗客への指示を行う音声案内手段を備えるエレベータ装置が開示されている。
【0003】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる技術が知られている。特許文献2には、ロボットから受信した信号に基づいてエレベータを制御することによって、ロボットとエレベータとを連携して動作させるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-036472号公報
【文献】特開2012-018646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットがかごに乗降するとき、ロボットはエレベータ制御装置に対して戸開状態の保持を指示する信号を送信する。ロボットとエレベータ制御装置との間の通信状態が悪い場合、または通信モジュールに異常が発生している場合には、エレベータ制御装置はロボットからの信号を正常に受信できない。
【0006】
このような場合であっても、光電装置が正常に動作していれば、エレベータのかごに乗降するロボットを光電装置が検知して、かごのドアの戸開状態を保持することができる。これにより、ロボットがドアと衝突したり、挟まれたりすることは回避される。
【0007】
しかし、光電装置に異常が発生している場合、エレベータのかごに乗降するロボットを検知できずに、かごのドアの戸開状態が保持されない可能性がある。このような場合、ロボットがドアと衝突する事象が発生し、ロボットおよび/またはエレベータが破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータ制御システムは、エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムであって、利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御部と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、1または複数のコンピュータにより実行される、エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムの制御方法であって、利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御ステップと、を含む。
【0010】
本発明の各態様に係るエレベータ制御システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記エレベータ制御システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記エレベータ制御システムをコンピュータにて実現させるエレベータ制御システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、エレベータのかごの扉に情報処理装置が衝突する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータ制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】エレベータ情報の一例を示す図である。
図3】乗場呼び情報の一例を示す図である。
図4】かご呼び情報の一例を示す図である。
図5】ロボット呼び情報の一例を示す図である。
図6】検知情報の例を示す図である。
図7】エレベータ制御装置が検知装置の動作状態を判定するときに行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図8】情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】情報処理装置がかごに乗車した後に情報処理装置およびエレベータ制御装置において行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
図10】本発明の実施形態2に係るエレベータ制御システムの構成を示すブロック図である。
図11図10に示すエレベータ制御システムにおいて情報処理装置の呼び登録および乗車動作が行われるときの処理の流れを示すシーケンス図である。
図12図10に示す情報処理装置がかごに乗車した後に情報処理装置およびエレベータ制御装置において行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
図13】本発明の実施形態3に係るエレベータ制御システムの構成を示すブロック図である。
図14図13に示すエレベータ制御システムにおいて行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<エレベータ制御システム100の概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るエレベータ制御システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、エレベータ制御システム100は、エレベータ2、エレベータ2を制御するエレベータ制御装置1、および自律走行可能な情報処理装置3を備える。なお、情報処理装置3は、ロボットとも称される。
【0014】
エレベータ制御システム100において、情報処理装置3は、利用者および情報処理装置3によるエレベータ2のかご21への乗降を検知する検知装置23の動作状態が正常か否かを示す状態情報124を取得する。また、情報処理装置3は、状態情報124に基づいて、呼び登録依頼をエレベータ制御装置1へ出力するか否かを決定する。また、エレベータ制御システム100において、エレベータ制御装置1は、情報処理装置3の呼び登録依頼に基づきエレベータ2のかご21および扉22を動作させる。
【0015】
検知装置23の動作状態が異常である場合、エレベータ2に乗降する利用者および情報処理装置3を検知できない可能性がある。この場合、情報処理装置3が乗降を完了していないにも関わらずエレベータ2の扉22が閉じてしまい。情報処理装置3が扉22に挟まれる、または扉22に衝突する等の事故が発生する可能性がある。
【0016】
ここで、上記構成によると、エレベータ制御システム100は、検知装置23の動作状態に基づいて、情報処理装置3の呼び登録依頼をエレベータ制御装置1に出力するか否かを決定する。例えば、エレベータ制御システム100において、情報処理装置3は、検知装置23の動作状態が正常でない場合、呼び登録依頼を出力しないことを決定する。
【0017】
これにより、エレベータ制御システム100は、検知装置23の動作状態が正常ではないエレベータ2のかご21の扉22に情報処理装置3が衝突する可能性を低減することができる。
【0018】
<エレベータ2>
図1に示すように、エレベータ2は、かご21、扉22、および検知装置23を備える。また、エレベータ2は、例えば各階床の乗場に、利用者が乗場呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。また、エレベータ2は、かご21内に、利用者がかご呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。
【0019】
かご21は、エレベータ制御装置1のかご制御部115の制御に基づき動作し、階床間を移動する。扉22は、エレベータ制御装置1の扉制御部114の制御に従って開閉する。なお、かご21の扉22の開閉に連動して、乗場の扉も開閉する。
【0020】
検知装置23は、利用者および情報処理装置3によるエレベータ2のかご21への乗降を検知する装置である。検知装置23は、利用者および情報処理装置3によるかご21への乗降を検知した場合、エレベータ制御装置1に検知信号を送信する。例えば、検知装置23は、かご21に設けられ、扉22を通過する利用者および情報処理装置3を検知可能な光電装置であってもよい。
【0021】
<エレベータ制御装置1>
エレベータ制御装置1は、利用者および情報処理装置3からの呼びを受け付け、受け付けた呼びに応じてエレベータ2を制御する。また、エレベータ制御装置1は、検知装置23からの検知信号に基づき、検知信号の動作状態を判定する。また、エレベータ制御装置1は、情報処理装置3からエレベータ2の利用を希望する旨の情報である利用要求を受信した場合、検知装置23の動作状態を示す状態情報124を情報処理装置3に送信する。
【0022】
図1に示すように、エレベータ制御装置1は、制御部11、記憶部12、および入出力インターフェース13を備える。入出力インターフェース13は、エレベータ制御装置1と情報処理装置3およびエレベータ2との間で通信を行うための通信モジュールである。
【0023】
[記憶部12]
記憶部12は、エレベータ制御装置1が利用する各種情報を記憶している。図1に示すように、記憶部12は、エレベータ情報121、呼び登録情報122、検知情報123を記憶している。
【0024】
図2は、エレベータ情報121の一例を示す図である。エレベータ情報121は、エレベータ2の状態に関する情報である。エレベータ情報121には、かご21の現在の位置を示す現在階、かご21の現在の移動方向、およびエレベータ2の現在の運転モードを示す情報が含まれる。図2に示す例では、かご21の移動方向が上方階床への移動方向であることを上向き矢印「↑」で示している。
【0025】
エレベータ2の運転モードには、通常運転モードとロボット専用運転モードとが存在する。通常運転モードは、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びと、情報処理装置3からの乗場行先階呼びを受け付け可能な状態でエレベータ2を運行させる運転モードである。ロボット専用運転モードは、情報処理装置3からの呼びが登録された場合における運転モードであり、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びを受け付けず、情報処理装置3のみがエレベータ2を利用可能な状態でエレベータ2を運行させる。
【0026】
また、図2に示すように、エレベータ情報121には、状態情報124が含まれる。状態情報124は、検知装置23の動作状態を示す情報である。検知装置23がかご21に乗降する利用者および情報処理装置3を正常に検知可能な状態である場合、状態情報124は「正常」を示す。一方、検知装置23に異常が発生し、かご21に乗降する利用者および情報処理装置3を検知できない状態である場合、状態情報124は「異常」を示す。
【0027】
呼び登録情報122は、利用者および情報処理装置3による呼びに関する情報である。呼び登録情報122には、乗場呼び情報125、かご呼び情報126、およびロボット呼び情報127が含まれる。
【0028】
図3は、乗場呼び情報125の一例を示す図である。乗場呼び情報125は、利用者による乗場呼びに関する情報である。図3に示すように、乗場呼び情報125には、乗場呼びが行われた階床(乗場呼び階)、すなわち利用者の出発階、および乗場呼びによって指定された移動方向を示す情報が含まれる。図4は、かご呼び情報126の一例を示す図である。かご呼び情報126は、利用者によるかご呼びに関する情報である。図4に示すように、かご呼び情報126には、利用者の行先階(かご呼び階)を示す情報が含まれる。
【0029】
図5は、ロボット呼び情報127の一例を示す図である。ロボット呼び情報127は、情報処理装置3による乗場行先階呼びに関する情報である。図5に示すように、ロボット呼び情報127には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0030】
図6は、検知情報123の例を示す図である。検知情報123は、検知装置23の検知結果を示す情報である。エレベータ制御装置1は、かご21の1回の停止期間ごとに1回分の検知情報123を記録する。かご21の1回の停止期間とは、かご21がいずれかの階床に停止し、かご21の扉22が開いてから閉じるまでの間の期間を示す。
【0031】
検知情報123には、かご21の扉22が開いた時間、かご21の扉22が閉じた時間、およびかご21の1回の停止期間中において、検知装置23がかご21に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したか否かを示す情報が含まれる。かご21の1回の停止期間中においてエレベータ制御装置1が1度でも検知信号を受信した場合、検知情報123には、検知装置23がかご21に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したことを示す情報(図6の「有」)が記録される。かご21の1回の停止期間中においてエレベータ制御装置1が1度も検知信号を受信しなかった場合、検知情報123には、検知装置23がかご21に乗降する利用者または情報処理装置3を検知しなかったことを示す情報(図6の「無」)が記録される。
【0032】
[制御部11]
制御部11は、エレベータ制御装置1において行われる各処理を実行する。図1に示すように、制御部11は、判定部111、第1受付部112、第2受付部113、扉制御部114、かご制御部115、および切替部116を備える。
【0033】
(判定部111)
判定部111は、検知情報123に基づき、検知装置23の動作状態を判定する。判定部111は、過去の検知装置23の検知結果に基づき判定を行う。具体的には、判定部111は、記憶部12を参照し、過去のかご21が停止している期間中の検知情報123を取得する。判定部111は、取得した検知情報123に基づき、検知装置23の動作状態を判定する。
【0034】
例えば、判定部111は、過去3回分のかご21停止期間中における検知情報123を取得し、判定を行う。3回分の検知情報123における検知結果の全てが、かご21に乗降する利用者および情報処理装置3を検知しなかったことを示す場合、判定部111は、検知装置23に異常が発生していると判定する。3回分の検知結果のうち少なくとも1回分の検知結果が、かご21に乗降する利用者および情報処理装置3を検知したことを示す場合、判定部111は、検知装置が正常に動作していると判定する。
【0035】
判定部111は、検知装置23の動作状態に関する判定結果を状態情報124として記憶部12に記憶する。なお、判定部111は、動作状態の判定を、かご21が停止する毎に行ってもよいし、かご21が数回停止する毎に1度判定を行ってもよい。また、判定部111は、所定の時間が経過する毎に判定を行ってもよい。
【0036】
かご21が停止している期間中、すなわちかご21が停止して扉22が開いている期間中には、かご21に乗車する利用者または情報処理装置3、あるいは降車する利用者または情報処理装置3が存在すると考えられる。ここで、かご21が複数回停止しても検知装置23がかご21に乗車する利用者または情報処理装置3を検知したことを示す検知信号を出力しない場合、検知装置23になんらかの異常が発生して検知ができない状態となっていると考えられる。
【0037】
したがって、判定部111は、かご21停止期間中に検知装置23がかご21に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したか否かを示す情報を参照することで、検知装置23に異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0038】
なお、判定部111は、検知装置23に異常が発生していると判定した場合、検知装置23に異常が発生していることを示す状態情報124を情報処理装置3に送信してもよい。
【0039】
(第1受付部112)
第1受付部112は、情報処理装置3からの利用要求を受け付ける。第1受付部112は、情報処理装置3から利用要求を受け付けると、記憶部12を参照し、検知装置23の状態情報124を特定する。第1受付部112は、特定した状態情報124を情報処理装置3に送信する。これにより、情報処理装置3は状態情報124を取得することができる。
【0040】
(第2受付部113)
第2受付部113は、利用者および情報処理装置3からの呼び登録依頼を受信する。なお、利用者からの呼び登録依頼は、エレベータ2の乗場またはかご21内に設けられている操作盤(不図示)を用いて行われ得る。
【0041】
利用者からの呼び登録依頼を受け付けた場合、第2受付部113は、記憶部12の呼び登録情報122に利用者の出発階および移動方向、または利用者の行先階を記憶し、利用者の乗場呼びまたはかご呼びを登録する。
【0042】
情報処理装置3からの呼び登録依頼を受け付けた場合、第2受付部113は、記憶部12のロボット呼び情報127に情報処理装置3の出発階および行先階を記憶し、情報処理装置3の乗場行先階呼びを登録する。また、情報処理装置3の乗場行先階呼びを登録した場合、第2受付部113は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部116に出力する。これにより、ロボット専用運転が開始し、エレベータ2はロボット専用運転モードで運転する。ロボット専用運転モードの間、第2受付部113は、利用者からの呼び登録依頼を受け付けない。
【0043】
(扉制御部114)
扉制御部114は、かご21の扉22の開閉を制御する。かご21がいずれかの階床に到着すると、扉制御部114は、かご制御部115からかご21が停止したことを示す情報を取得する。当該情報を取得すると、扉制御部114は、戸開を指示する信号をエレベータ2の扉22に送信する。これにより、かご21の扉22が開き、かご21の扉22に連動して乗場の扉も開く。また、扉制御部114は、戸開から所定時間後(例えば、戸開が完了してから20秒後)に、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。これにより、かご21の扉22および乗場の扉が閉じる。
【0044】
また、扉制御部114は、扉22が開いている期間中に、検知装置23からの検知信号を受信した場合には戸開状態を保持する。また、扉制御部114は、扉22が開いている期間中に、乗場またはかご21内の開閉ボタン等が操作された場合、操作内容に応じて戸開時間を延長、または短縮する。
【0045】
さらに、扉制御部114は、記憶部12のエレベータ情報121を参照し、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行している場合、かご21の停止階を示す情報および戸開したことを示す情報を、情報処理装置3に送信する。
【0046】
また、扉制御部114は、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行している場合において、扉22が開いている期間中に、情報処理装置3から戸開保持指令を受信すると、扉22の戸開状態を保持する。
【0047】
扉制御部114は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間以内に乗車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。扉制御部114が情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間以内に乗車完了信号を受信した場合、情報処理装置3はかご21への乗車を完了した状態である。したがって、扉制御部114は、乗車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご21への乗車を完了した後、速やかに扉22を閉鎖させることができる。
【0048】
また、扉制御部114は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から乗車完了信号を受信しないまま所定時間が経過した場合、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。扉制御部114が情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から乗車完了信号を受信しないまま所定時間が経過した場合、情報処理装置3はかご21に乗車したものの、乗車完了信号が正常に送信されなかった状況であることが考えられる。または、乗車完了信号は送信されたものの、情報処理装置3とエレベータ制御装置1との間の通信が途絶するなどして、エレベータ制御装置1が乗車完了信号を受信できなかったことが考えられる。あるいは、情報処理装置3に異常が発生するなどしてかご21に乗車できず、乗車完了信号を送信できなかったことが考えられる。すなわち、このような場合、情報処理装置3はかご21に乗車している可能性がある。そこで、扉制御部114は、エレベータ2のロボット専用運転モードが継続されている状態のまま戸閉を指示する。具体的には、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力せずに、扉22に戸閉を指示する。
【0049】
また、扉制御部114は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信できなかったものの、当該情報処理装置3から乗車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。扉制御部114が、情報処理装置3から戸開保持指令を受信できなかったとしても、当該情報処理装置3から乗車完了信号を受信したのであれば、情報処理装置3はかご21への乗車を完了できたと考えられる。したがって、扉制御部114は、乗車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご21への乗車を完了した後、速やかに扉22を閉鎖させることができる。
【0050】
戸閉完了後、扉制御部114は、戸閉したことを示す情報をかご制御部115に出力する。情報処理装置3から戸開保持指令または乗車完了信号を受信した場合、エレベータ2はロボット専用運転モードで運行しているため、かご21は情報処理装置3の行先階に移動する。
【0051】
また、扉制御部114は、情報処理装置3から戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できずに所定時間が経過した場合、ロボット専用運転を終了させる。具体的には、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。
【0052】
情報処理装置3がかご21に乗車できた場合、エレベータ制御装置1が情報処理装置3から戸開保持指令および乗車完了信号の両方を送信できないという可能性は低い。したがって、扉制御部114が情報処理装置3から戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できずに所定時間が経過した場合は、何らかの原因によって情報処理装置3がかご21に乗車できなかった可能性が高い。そこで、上述の場合、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力し、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。
【0053】
戸閉完了後、扉制御部114は、戸閉したことを示す情報をかご制御部115に出力する。このように、情報処理装置3から戸開保持指令または乗車完了信号を受信できなかった場合、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。そのため、切替部116によってエレベータ2の運転モードが切り替えられ、エレベータ2は通常運転モードで運行する。
【0054】
また、扉制御部114は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信したか否かに関わらず、当該情報処理装置3から所定時間以内に降車完了信号を受信した場合、ロボット専用運転を終了する。また、扉制御部114は、情報処理装置3の行先階において戸開後、降車完了信号を受信できなかった場合、所定時間が経過した後にロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。
【0055】
扉制御部114が情報処理装置3から降車完了信号を受信した場合、当該情報処理装置3は行先階においてかご21からの降車を完了している。また、扉制御部114が当該情報処理装置3から降車完了信号を受信できなかったとしても、当該情報処理装置3の行先階においてかご21が戸開した後、所定時間が経過していれば、当該情報処理装置3はかご21からの降車を完了していると考えられる。あるいは、情報処理装置3の行先階においてかご21が戸開した後、扉制御部114が当該情報処理装置3から降車完了信号を受信できなかった場合、当該情報処理装置3が出発階においてかご21に乗車しなかった可能性がある。
【0056】
したがって、情報処理装置3の行先階においてかご21が戸開した後、扉制御部114が当該情報処理装置3から降車完了信号を受信した場合、または所定時間が経過した場合には、かご21内に情報処理装置3が存在している可能性は低いと考えられる。そこで、扉制御部114は、情報処理装置3の行先階においてかご21が戸開した後、当該情報処理装置3から降車完了信号を受信した場合、または所定時間が経過した場合、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。
【0057】
扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力した後、戸閉を指示する信号を扉22に送信し、戸閉したことを示す情報をかご制御部115に出力する。
【0058】
情報処理装置3の出発階または行先階においてかご21が戸開した後、扉制御部114が当該情報処理装置3から戸開保持指令を受信していない場合、戸開してから所定時間した後に戸閉が開始する。ここで、情報処理装置3がエレベータ2を利用するときには検知装置23の動作状態は正常であるため、検知装置23は乗降中の情報処理装置3を検知することができる。検知装置23が乗降中の情報処理装置3を検知し、検知信号を送信すると、扉制御部114は、戸開状態を保持する指示を行う。そのため、扉制御部114が情報処理装置3から戸開保持指令を受信できなかったとしても、乗降中の当該情報処理装置3が扉22に挟まれる、または扉22に衝突するなどの事故が発生する可能性は低減される。
【0059】
(かご制御部115)
かご制御部115は、登録済みの乗場呼び、かご呼び、および情報処理装置3による乗場行先階呼びに基づき、かご21を移動させる。かご21が情報処理装置3の出発階に到着すると、かご制御部115は、かご21の停止階を示す情報を扉制御部114に出力する。
【0060】
かご制御部115は、呼び登録情報122に記録されている利用者および情報処理装置3の出発階および行先階、並びにエレベータ2の運転モードに基づき、かご21の行先階を決定する。
【0061】
例えば、エレベータ2の運転モードが通常運転モードである場合、かご制御部115は、乗場呼び情報125およびかご呼び情報126を参照してかご21の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご21に送信する。これにより、エレベータ2のかご21は、利用者の乗場呼びおよびかご呼びに基づく行先階に移動する。
【0062】
また、エレベータ2の運転モードがロボット専用運転モードである場合、かご制御部115は、ロボット呼び情報127を参照してかご21の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご21に送信する。これにより、エレベータ2のかご21は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに基づく出発階および行先階に移動する。
【0063】
なお、ロボット専用運転を開始した場合、かご制御部115は、エレベータ2を登録済みのかご呼びに応答させてから、情報処理装置3の出発階への移動を指示してもよい。これにより、情報処理装置3を乗車させる前に、ロボット専用運転が開始したときにかご21に乗車していた利用者を降車させることができる。また、ロボット専用運転が開始した場合、かご制御部115は、登録済みの乗場呼びを削除してもよいし、ロボット専用運転が終了した後に登録済みの乗場呼びにエレベータ2を応答させてもよい。
【0064】
(切替部116)
切替部116は、エレベータ2の運転モードを切り替える。例えば、第2受付部113は、情報処理装置3の呼びを登録すると、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を受信すると、エレベータ情報121に記憶されているエレベータ2の運転モードを通常運転モードからロボット専用運転モードに切り替える。これにより、エレベータ2のロボット専用運転が開始される。
【0065】
また、扉制御部114は、情報処理装置3の出発階において、情報処理装置3から戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できなかった場合、切替部116に扉制御部114からロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。扉制御部114は、情報処理装置3の行先階において戸開後、降車完了信号を受信した場合、または降車完了信号を受信できずに所定時間が経過した場合、切替部116に扉制御部114からロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。切替部116は、当該信号を取得すると、記憶部12に記憶されているエレベータ2の運転モードをロボット専用運転モードから通常運転モードに切り替える。これにより、エレベータ2のロボット専用運転が終了する。
【0066】
<情報処理装置3>
情報処理装置3は、自律走行可能な装置であり、エレベータ2を利用して階床間を移動可能である。なお、図1には1台の情報処理装置3のみが図示されているが、エレベータ制御システム100には複数台の情報処理装置3が含まれていてもよい。
【0067】
図1に示すように、情報処理装置3は、制御部31および動作部32を備える。制御部31は、情報処理装置3において行われる処理を実行する。制御部31は、取得部311、出力制御部312、および動作制御部313を備える。動作部32は、動作制御部313の制御に従って動作し、情報処理装置3を所望の場所に移動させる。
【0068】
(取得部311)
取得部311は、検知装置23の動作状態が正常か否かを示す状態情報124を取得する。具体的には、情報処理装置3にエレベータ2を利用する必要が生じた場合、取得部311は、エレベータ制御装置1に利用要求を送信する。これにより、エレベータ制御装置1から検知装置23の状態情報124が情報処理装置3に送信され、取得部311は状態情報124を取得することができる。取得部311は、取得した状態情報124を出力制御部312に出力する。
【0069】
なお、エレベータ制御装置1の判定部111が、検知装置23に異常が発生したと判定した時点で状態情報124を情報処理装置3に送信する構成である場合、情報処理装置3の制御部31は、記憶部(不図示)に状態情報124を記憶していてもよい。この場合、取得部311は、情報処理装置3にエレベータ2を利用する必要が生じた場合、記憶部を参照し、状態情報124を取得する。
【0070】
(出力制御部312)
出力制御部312は、取得部311から状態情報124を取得すると、当該状態情報124に基づいて、情報処理装置3の呼び登録依頼をエレベータ制御装置1へ出力するか否かを決定する。
【0071】
出力制御部312は、状態情報124が示す動作状態が正常であるか否かを判定する。状態情報124が示す動作状態が正常である場合、出力制御部312は、エレベータ制御装置1に呼び登録依頼を出力する。呼び登録依頼には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0072】
一方、検知装置23の動作状態が正常でない場合、すなわち状態情報124が示す動作状態が異常である場合、出力制御部312は、エレベータ制御装置1に対して呼び登録依頼を出力しないことを決定する。
【0073】
検知装置23の動作状態が正常でない場合、情報処理装置3がかご21に乗降するときに検知装置23が情報処理装置3を検知できず、情報処理装置3の乗降中にかご21の扉22が閉まり、情報処理装置3が扉22に衝突する可能性がある。ここで、上記構成によると、検知装置23の動作状態が正常ではない場合、出力制御部312は呼び登録依頼を出力しないため、情報処理装置3は、検知装置23の動作状態が正常ではないエレベータ2を利用しない。これにより、情報処理装置3がエレベータ2のかご21の扉22に衝突することを回避することができる。
【0074】
(動作制御部313)
動作制御部313は、動作部32を動作させ、情報処理装置3を所望の位置に移動させる。例えば、動作制御部313は、呼び登録依頼を行ったエレベータ2の動作状態に応じて動作部32を動作させる。動作制御部313は、エレベータ制御装置1から、乗場行先階呼びの登録が完了したことを示す情報を受信すると、動作部32を動作させる。これにより、情報処理装置3は乗場に移動し、エレベータ2を待機する。
【0075】
また、エレベータ2を待機している状態において、エレベータ制御装置1から、戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部313は、情報処理装置3が現在位置する階床とかご21が停止している階床とが一致するか否かを判定する。情報処理装置3が現在位置する階床とかご21が停止している階床とが一致する場合、動作制御部313はエレベータ制御装置1に戸開保持指令を送信する。その後、動作制御部313が動作部32を動作させることで情報処理装置3がかご21に乗車する。情報処理装置3のかご21への乗車動作が完了した後、動作制御部313は、エレベータ制御装置1に乗車完了信号を送信する。
【0076】
また、情報処理装置3がかご21に乗車中である場合において、エレベータ制御装置1から、戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部313は、情報処理装置3の行先階とかご21が停止している階床とが一致するか否かを判定する。情報処理装置3の行先階とかご21が停止している階床とが一致する場合、動作制御部313はエレベータ制御装置1に戸開保持指令を送信する。その後、動作制御部313が動作部32を動作させることで情報処理装置3がかご21から降車する。情報処理装置3のかご21への降車動作が完了した後、動作制御部313は、エレベータ制御装置1に降車完了信号を送信する。
【0077】
<エレベータ制御システム100の処理の流れの例>
図7図9は、エレベータ制御システム100において行われる処理の流れの例を示すフローチャートおよびシーケンス図である。以下、図7図9を用いて、エレベータ制御システム100において行われる処理の流れについて説明する。
【0078】
(動作状態判定時の処理)
図7は、エレベータ制御装置1が検知装置23の動作状態を判定するときに行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
まず、エレベータ2のかご21がいずれかの階床に停車すると(S1でYES)、判定部111は記憶部12を参照し、過去の検知情報123を取得する(S2)。例えば、判定部111は、直近3回分のかご21停止期間における検知情報123を取得する。
【0080】
判定部111は、取得した検知情報123に基づき、過去3回かご21が停止した期間中に、検知装置23が少なくとも1回、かご21に乗降する利用者または情報処理装置3を検知して検知信号を出力したか否かを判定する(S3)。
【0081】
過去3回のかご21が停止した期間中に、検知装置23が1度も検知信号を出力していない場合(S3でNO)、判定部111は、検知装置23の動作状態を異常であると判定する(S4)。一方、過去3回のかご21が停止した期間中に、検知装置23が少なくとも1度、検知信号を出力した場合(S3でYES)、判定部111は、検知装置23の動作状態を正常であると判定する(S5)。
【0082】
ステップS4またはS5の後、判定部111はエレベータ情報121に判定結果を記録する(S6)。これにより、検知装置23の状態情報124が記憶部12に記憶される。
【0083】
(呼び依頼時の処理)
図8は、情報処理装置3とエレベータ制御装置1とが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【0084】
情報処理装置3がエレベータ2を利用する必要が生じた場合、取得部311は利用要求を生成し(S11)、エレベータ制御装置1に送信する。エレベータ制御装置1の第1受付部112は、利用要求を受け付けると(S21)、記憶部12に記憶されている状態情報124を取得し、情報処理装置3に出力する(S22)。これにより、取得部311は、状態情報124を取得する(S12:取得ステップ)。
【0085】
取得部311は、状態情報124を取得すると、取得した状態情報124を出力制御部312に出力する。出力制御部312は、状態情報124によって示される検知装置23の動作状態が正常であるか否かを判定する(S13)。検知装置23の動作状態が正常でない場合(S13でNO)、すなわち、検知装置23に異常が発生している場合、出力制御部312は、呼び登録依頼を出力しないことを決定し(S14:出力制御ステップ)、処理を終了する。
【0086】
出力制御部312は、検知装置23の動作状態が正常である場合(S13でYES)、呼び登録依頼を生成し、エレベータ制御装置1に対して出力する(S15:出力制御ステップ)。呼び登録依頼には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0087】
第2受付部113は、情報処理装置3から呼び登録依頼を受信すると、情報処理装置3の呼び登録を受け付け(S23)、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報をロボット呼び情報127に記憶する。情報処理装置3による呼びの登録が完了すると、第2受付部113は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は当該信号を取得すると、エレベータ情報121に記憶されているエレベータ2の運転モードをロボット専用運転モードに切り替える。これにより、ロボット専用運転が開始される(S24)。また、第2受付部113は、呼び登録が完了したことを示す情報を情報処理装置3に送信してもよい。この場合、情報処理装置3の動作制御部313は、当該情報を受信すると、動作部32を動作させ、情報処理装置3を乗場に移動させる。
【0088】
ロボット専用運転が開始されると、かご制御部115は、ロボット呼び情報127を参照し、情報処理装置3の出発階にかご21を移動させる。なお、かご制御部115は、情報処理装置3の出発階にかご21を移動させる前に、かご呼び情報126を参照し、利用者のかご呼びによって指定された階床にかご21を移動させてもよい。かご21がいずれかの階床に到着すると、かご制御部115は、扉22に戸開を指示し(S25)、戸開後の経過時間の計測を開始する(S26)。また、かご制御部115は、情報処理装置3にかご21が停止したことを示す情報およびかご21が停止した階床を示す情報を送信する。戸開期間中、検知装置23から検知信号を受信した場合、扉制御部114は、扉22の戸開状態を保持させる。
【0089】
情報処理装置3の動作制御部313は、かご21が停止したことを示す情報およびかご21が停止した階床を示す情報を受信すると、情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じであるか否かを判定する(S16)。情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じでない場合(S16でNO)、動作制御部313は、ステップS16でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0090】
情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じである場合(S16でYES)、すなわち情報処理装置3の出発階でかご21が停止し、戸開した場合、動作制御部313は、動作部32を動作させる。これにより、情報処理装置3はかご21への乗車動作を開始する(S17)。情報処理装置3がかご21への乗車動作を開始すると、動作制御部313は、戸開保持指令をエレベータ制御装置1に送信する。
【0091】
ステップS26の後、扉制御部114は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S27)。戸開から所定時間が経過していない場合(S27でNO)、扉制御部114は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S28)。戸開保持指令を受信した場合(S28でYES)、扉制御部114は、扉22の戸開状態を保持させる。また、扉制御部114は、乗車完了信号を受信したか否かを判定する(S29)。乗車完了信号を受信していない場合(S29でNO)、扉制御部114は、戸開から所定時間が経過するまで(S30でYESになるまで)ステップS29の処理を繰り返す。
【0092】
情報処理装置3のかご21への乗車動作が完了すると(S18)、動作制御部313は、エレベータ制御装置1に乗車完了信号を送信する。
【0093】
扉制御部114が乗車完了信号を受信すると(S29でYES)、扉制御部114は、扉22に戸閉を指示する(S31)。また、扉制御部114が乗車完了信号を受信しないまま(S29でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S30でYES)も、扉制御部114は、扉22に戸閉を指示する(S31)。また、扉制御部114が戸開保持指令を受信していない状態(S28でNO)において、乗車完了信号を受信した場合(S32でYES)も、扉制御部114は扉22に戸閉を指示する(S31)。この場合、エレベータ2はロボット専用運転モードでの運行を継続する。戸閉後、かご制御部115はかご21を移動させる。
【0094】
扉制御部114が戸開保持指令および乗車完了信号を受信しないまま(S28およびS32でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S27でYES)、扉制御部114はロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を受信すると、エレベータ情報121に記憶されているエレベータ2の運転モードをロボット専用運転モードから通常運転モードに切り替える。これにより、ロボット専用運転が終了する(S33)。その後、扉制御部114は扉22に戸閉を指示する(S31)。戸閉後、かご制御部115はかご21を移動させる。
【0095】
以上のようにして、エレベータ制御システム100において、検知装置23の状態情報124に基づく呼び登録依頼を行うか否かの判断、および呼び登録依頼が行われた場合の乗車に関する処理が行われる。
【0096】
(降車時の処理)
図9は、情報処理装置3がかご21に乗車した後に情報処理装置3およびエレベータ制御装置1において行われる処理の流れを示すシーケンス図である。情報処理装置3がかご21に乗車中でない場合(S41でNO)、この処理は終了する。
【0097】
かご21がいずれかの階床に停止すると、扉制御部114は、扉22に戸開を指示し(S51)、戸開したことを示す情報およびかご21の停止階を示す情報を情報処理装置3に送信する。また、扉制御部114は、戸開してからの経過時間の計測を開始する(S52)。
【0098】
情報処理装置3の動作制御部313は、かご21に乗車している状態において(S41でYES)、戸開したことを示す情報およびかご21の停止階を示す情報を受信すると、情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じであるか否かを判定する(S42)。情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じでない場合(S42でNO)、ステップS42でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0099】
情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じである場合(S42でYES)、動作制御部313は動作部32を制御し、降車動作を開始する(S43)。また、動作制御部313は、戸開保持指令をエレベータ制御装置1に送信する。
【0100】
ステップS52の後、扉制御部114は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S53)。戸開から所定時間が経過していない場合(S53でNO)、扉制御部114は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S54)。扉制御部114は、戸開保持指令を受信していない場合(S54でNO)、さらに降車完了信号を受信したか否かを判定する(S57)。ステップS54でNOの場合であって、降車完了信号を受信していない場合(S57でNO)、扉制御部114は、再度ステップS53の処理を行う。戸開保持指令を受信した場合(S54でYES)、扉制御部114は、扉22の戸開状態を保持させる。また、扉制御部114は、降車完了信号を受信したか否かを判定する(S55)。降車完了信号を受信していない場合(S55でNO)、扉制御部114は、戸開から所定時間が経過するまで(S56でYESになるまで)ステップS55の処理を繰り返す。
【0101】
情報処理装置3のかご21への降車動作が完了すると(S44)、動作制御部313は、エレベータ制御装置1に降車完了信号を送信する。
【0102】
扉制御部114が降車完了信号を受信すると(S55でYES)、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力し、切替部116はロボット専用運転を終了させる(S58)。また、扉制御部114が降車完了信号を受信しないまま(S55でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S56でYES)も、扉制御部114は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S58)。
【0103】
また、扉制御部114が戸開保持指令を受信していない状態(S54でNO)において、降車完了信号を受信した場合(S57でYES)も、扉制御部114は、ロボット専用運転を終了させる(S58)。また、扉制御部114が戸開保持指令および降車完了信号を受信しないまま(S54およびS57でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S53でYES)、扉制御部114はロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S58)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部114は扉22に戸閉を指示する(S59)。
【0104】
以上のようにして、エレベータ制御システム100において、情報処理装置3の降車に関する処理が行われる。
【0105】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
図10は、本発明の実施形態2に係るエレベータ制御システム100Aの構成を示すブロック図である。図10に示すように、エレベータ制御システム100Aは、エレベータ制御装置1Aおよび情報処理装置3Aを備える点において実施形態1に係るエレベータ制御システム100と異なる。
【0107】
情報処理装置3Aは、出力制御部312に代えて出力制御部312Aを含む制御部31Aを備える。出力制御部312Aは、取得部311から状態情報124を取得すると、検知装置23の動作状態が正常であるか否かに関わらず、呼び登録依頼を送信することを決定する。これにより、検知装置23の動作状態が正常であるか否かに関わらず、エレベータ制御装置1Aにおいて情報処理装置3Aの乗場行先階呼びが登録される。
【0108】
エレベータ制御装置1Aは、扉制御部114に代えて扉制御部114Aを有する制御部11Aを備える。扉制御部114Aは、状態情報124が示す動作状態が正常ではなく、かつ、出力制御部312Aが呼び登録依頼を出力した場合、所定の期間、扉22の開状態を保持する。状態情報124が示す動作状態が正常ではなく、かつ、出力制御部312Aが呼び登録依頼を出力した場合、検知装置23の動作状態が正常でない状態において、情報処理装置3Aの乗場行先階呼びが登録され、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行する。
【0109】
扉制御部114Aは、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行している状態において、かご21がいずれかの階床で停止した場合、状態情報124を取得し、状態情報124が示す動作状態が正常であるか否かを判定する。
【0110】
状態情報124が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部114Aは、情報処理装置3Aの乗車階において扉22を開状態にしてから、(1)情報処理装置3Aがかご21への乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、扉22の開状態を保持する。または、状態情報124が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部114Aは、情報処理装置3Aの乗車階において扉22を開状態にしてから、(2)所定時間が経過するまでの第2期間、扉22の開状態を保持する。
【0111】
また、状態情報124が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部114Aは、かご21に乗車した情報処理装置3Aの降車階において扉22を開状態にしてから、(1)情報処理装置3Aがかご21からの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、扉22の開状態を保持する。または、状態情報124が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部114Aは、情報処理装置3Aの降車階において扉22を開状態にしてから、(2)所定時間が経過するまでの第4期間、扉22の開状態を保持する。
【0112】
所定時間は、情報処理装置3Aが乗降を完了するための時間として十分な時間(例えば3分間)が設定され得る。
【0113】
上記構成によると、検知装置23の動作状態が正常ではない場合であっても、情報処理装置3Aの呼び登録依頼がエレベータ制御装置1Aに出力され得る。この場合、エレベータ制御装置1Aは、検知装置23に異常が発生している状況において情報処理装置3Aからの呼び登録依頼を受け付ける可能性がある。ここで、扉制御部114Aは、検知装置23がかご21に乗降する情報処理装置3Aを検知できなかったとしても、情報処理装置3Aからの乗車完了信号、または降車完了信号を受信するまで、または、所定時間が経過するまで扉の開状態を保持する。
【0114】
従って、情報処理装置3Aが乗車を完了するまでは扉の開状態が保持される。また、エレベータ制御装置1Aが乗車完了信号を受信できず、情報処理装置3Aが乗車を完了したことを確認できなかったとしても、戸開から所定時間が経過するまでは扉の開状態が保持される。これにより、乗場からかご21に移動中、またはかご21から乗場に移動中の情報処理装置3Aがかご21の扉22に衝突する可能性を低減できる。
【0115】
<エレベータ制御システム100Aの処理の流れの一例>
図11および図12は、エレベータ制御システム100Aにおいて行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【0116】
(乗車時)
図11は、エレベータ制御システム100Aにおいて情報処理装置3Aの呼び登録および乗車動作が行われるときの処理の流れを示す。なお、以下では、検知装置23の動作状態が異常である場合に行われる処理について説明する。
【0117】
情報処理装置3Aがエレベータ2を利用する必要が生じた場合、取得部311は利用要求を生成し(S61)、エレベータ制御装置1Aに送信する。エレベータ制御装置1Aの第1受付部112は、利用要求を受け付けると(S71)、記憶部12に記憶されている状態情報124を取得し、情報処理装置3Aに出力する(S72)。これにより、取得部311は、状態情報124を取得する(S62:取得ステップ)。取得部311は、取得した状態情報124を出力制御部312Aに出力する。
【0118】
出力制御部312Aは、状態情報124を取得すると、状態情報124が示す動作状態が正常であるか否かに関わらず、エレベータ制御装置1Aに呼び登録依頼を出力することを決定する。出力制御部312Aは、呼び登録依頼を生成し、エレベータ制御装置1Aに出力する(S63:出力制御ステップ)。
【0119】
ステップS64~S66、およびS73~S76の処理は、第2受付部113が情報処理装置3Aから呼び登録依頼を受信してから情報処理装置3Aの出発階において扉22が戸開し、情報処理装置3Aが乗車動作を開始するまでの処理である。これらの処理は、実施形態1において図8を用いて説明したステップS16~S18、およびS23~S26の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0120】
ステップS65の後、情報処理装置3Aが乗車動作を完了すると(S66)、動作制御部313は、乗車完了信号をエレベータ制御装置1Aに送信する。
【0121】
ステップS76の後、扉制御部114Aは、状態情報124を取得し、検知装置23の動作状態が正常であるか否かを判定する。検知装置23の動作状態が正常でない場合、扉制御部114Aは、ステップS77以降の処理を行う。なお、検知装置23の動作状態が正常である場合、扉制御部114Aは、ステップS77以降の処理を行ってもよいし、図8を用いて説明したステップS27以降の処理をおこなってもよい。
【0122】
検知装置23の動作状態が正常でない場合、扉制御部114Aは、乗車完了信号を受信したか否かを判定する(S77)。扉制御部114Aは、乗車完了信号を受信した場合(S77でYES)、扉22に戸閉を指示する(S79)。換言すると、扉制御部114は、情報処理装置3Aの乗車階において扉22を開状態にしてから、情報処理装置3Aがかご21への乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、扉22の開状態を保持する。
【0123】
扉制御部114Aは、乗車完了信号を受信していない場合(S77でNO)、戸開から所定時間、例えば3分間が経過したかを判定する(S78)。戸開から3分間が経過していない場合(S78でNO)、扉制御部114Aは再度ステップS77の処理を行う。
【0124】
戸開から3分間が経過した場合(S78でYES)、扉制御部114Aは、扉22に戸閉を指示する(S79)。換言すると、扉制御部114Aは、情報処理装置3Aの乗車階において扉22を開状態にしてから、所定時間が経過するまでの第2期間、扉22の開状態を保持する。戸閉後、かご制御部115はかご21を移動させる。
【0125】
(降車時)
図12は、情報処理装置3Aがかご21に乗車した後に情報処理装置3Aおよびエレベータ制御装置1Aにおいて行われる処理の流れを示すシーケンス図である。ステップS81~ステップS84の処理、およびステップS91~S92の処理は、図9を用いて説明したステップS41~S44、およびステップS51~S52の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0126】
ステップS92の後、扉制御部114Aは、状態情報124を取得し、検知装置23の動作状態が正常であるか否かを判定する。検知装置23の動作状態が正常でない場合、扉制御部114Aは、ステップS93以降の処理を行う。なお、検知装置23の動作状態が正常である場合、扉制御部114Aは、ステップS93以降の処理を行ってもよいし、図9を用いて説明したステップS53以降の処理をおこなってもよい。
【0127】
検知装置23の動作状態が正常でない場合、扉制御部114Aは、降車完了信号を受信したか否かを判定する(S93)。扉制御部114Aは、降車完了信号を受信した場合(S93でYES)、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S95)。その後、扉制御部114Aは、扉22に戸閉を指示する(S96)。換言すると、扉制御部114Aは、かご21に乗車した情報処理装置3Aの降車階において扉22を開状態にしてから、情報処理装置3Aがかご21からの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、扉22の開状態を保持する。
【0128】
扉制御部114Aは、乗車完了信号を受信していない場合(S93でNO)、戸開から所定時間、例えば3分間が経過したかを判定する(S94)。戸開から3分間が経過していない場合(S94でNO)、扉制御部114Aは再度ステップS93の処理を行う。
【0129】
戸開から3分間が経過した場合(S94でYES)、扉制御部114Aは、ロボット専用の終了を指示する信号を切替部116に出力する。切替部116は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S95)。その後、扉制御部114Aは、扉22に戸閉を指示する(S96)。換言すると、扉制御部114Aは、情報処理装置3Aの降車階において扉22を開状態にしてから、所定時間が経過するまでの第4期間、扉22の開状態を保持する。
【0130】
〔実施形態3〕
図13は、実施形態3に係るエレベータ制御システム100Bの構成を示すブロック図である。以下、図13を用いてエレベータ制御システム100Bについて説明する。図13に示すように、エレベータ制御システム100Bは、検知装置23が設けられた複数のエレベータ2の号機を備える。以下では、エレベータ制御システム100Bが、1号機からX号機までのエレベータ2を備える構成を例に挙げる。エレベータ制御装置1は、検知装置23が設けられたエレベータ2の複数の号機毎に設けられ、複数のエレベータ制御装置1は、それぞれ対応するエレベータ2を制御する。
【0131】
図13に示すように、エレベータ制御システム100Bは、情報処理装置3Bを備える。情報処理装置3Bは、取得部311および出力制御部312に代えて取得部311Bおよび出力制御部312Bを有する制御部31Bを備える点において情報処理装置3と異なる。
【0132】
取得部311Bは、情報処理装置3Bにエレベータ2を利用する必要が生じた場合、複数のエレベータ制御装置1のうちのいずれかに利用要求を送信する。これにより、取得部311Bは、エレベータ制御装置1から、該エレベータ制御装置1が制御するエレベータ2の号機が備える検知装置23の状態情報124を受信する。
【0133】
受信した状態情報124が、検知装置23の動作状態が正常であることを示す場合、取得部311Bは、状態情報124および状態情報124の送信元であるエレベータ制御装置1を示す情報を出力制御部312Bに出力する。受信した状態情報124が、検知装置23の動作状態が異常であることを示す場合、取得部311Bは、まだ利用要求を送信していないエレベータ制御装置1に利用要求を送信する。
【0134】
いずれかのエレベータ制御装置1から、検知装置23の動作状態が正常であることを示す状態情報124を受信すると、取得部311Bは、状態情報124および状態情報124の送信元であるエレベータ制御装置1を示す情報を出力制御部312Bに出力する。一方、全てのエレベータ制御装置1から、検知装置23の動作状態が異常であることを示す状態情報124を受信した場合、取得部311Bは処理を終了する。
【0135】
出力制御部312Bは、状態情報124を取得部311Bから取得すると、状態情報124によって示される検知装置23の動作状態が異常であるか否かを判定する。検知装置23の動作状態が異常である場合、出力制御部312Bは、状態情報124の送信元であるエレベータ制御装置1へ呼び登録依頼を出力しないことを決定する。
【0136】
検知装置23の動作状態が正常である場合、出力制御部312Bは、状態情報124の送信元であるエレベータ制御装置1に呼び登録依頼を送信する。これにより、出力制御部312Bは、エレベータ2の複数の号機のうち状態情報124が示す動作状態が正常である検知装置23が設けられている号機を制御するエレベータ制御装置1へ呼び登録依頼を出力する。
【0137】
取得部311Bから、全てのエレベータ制御装置1から検知装置23の動作状態が異常であることを示す情報を取得した場合、出力制御部312Bは、呼び登録依頼の出力を行わないことを決定する。
【0138】
以下、取得部311Bおよび出力制御部312Bが行う処理の具体例を説明する。一例として、4台のエレベータ2を備えるエレベータ制御システム100Bにおいて、情報処理装置3Bにエレベータ2を利用する必要が生じた場合、取得部311Bは、1号機のエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1に利用要求を送信する。1号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の動作状態が異常である場合、取得部311Bは、次に2号機のエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1に利用要求を送信する。
【0139】
2号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の動作状態も異常である場合、取得部311Bは、次に3号機のエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1に利用要求を送信する。3号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の動作状態が正常である場合、取得部311Bは、3号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の動作状態が正常であることを示す判定結果を出力制御部312Bに出力する。出力制御部312Bは、当該判定結果を取得すると、3号機のエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1に、呼び登録依頼を送信する。
【0140】
1~4号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の動作状態が異常である場合、取得部311Bは、処理を終了する。この場合、出力制御部312Bは、エレベータ制御装置1への呼び登録依頼の出力を行わない。
【0141】
上記構成によれば、エレベータ制御システム100Bは、検知装置23の動作状態が正常である号機を情報処理装置3Bに利用させることができる。これにより、情報処理装置3Bがかご21の扉22に衝突する可能性を低減できる。
【0142】
<エレベータ制御システム100Bの処理の流れの一例>
図14は、エレベータ制御システム100Bにおいて行われる処理の流れを示すシーケンス図である。以下では、1号機~X-1号機に設けられる検知装置23の動作状態が異常であり、X号機に設けられる検知装置23の動作状態が正常である場合を例に挙げて説明する。
【0143】
情報処理装置3Bにエレベータ2を利用する必要が生じた場合、出力制御部312Bは、利用要求の送信先のエレベータ制御装置1を選択する。エレベータ制御装置1の選択において、まず、出力制御部312Bは、判定の対象となる号機をCar号機とする。Carには数値が入り、エレベータ制御システム100Bが備えるエレベータ2の号機の各々に対応する。例えば、エレベータ制御システム100Bが1~X台のエレベータ号機を備える場合、Car=1のときには1号機について、Car=2のときには2号機について、Car=XのときにはX号機に関する処理が行われる。
【0144】
取得部311Bは、まず、変数Carに1を代入し(S101)、1号機の検知装置23の状態情報124を取得するための利用要求を生成する(S102)。続いて、取得部311Bは、1号機を制御するエレベータ制御装置1に利用要求を送信する。エレベータ制御装置1の第1受付部112は、利用要求を受け付けると(S111)、1号機の状態情報124を取得し、情報処理装置3Bに出力する(S112)。これにより、取得部311Bは、1号機のエレベータ2に設けられる検知装置23の状態情報124を取得する(S103)。
【0145】
取得部311Bは、状態情報124を取得すると、取得した状態情報124を出力制御部312Bに出力する。出力制御部312Bは、状態情報124を取得すると、検知装置23の動作状態が正常であるか否かを判定する(S104)。検知装置23の動作状態が正常でない場合(S104でNO)、出力制御部312Bは、呼び登録依頼を出力しないことを決定する(S105:出力制御ステップ)。
【0146】
検知装置23の動作状態が正常でない場合、取得部311Bは、変数Carの値がエレベータ2の全号機数以上であるか否かを判定する(S106)。変数Carの値がエレベータ2の全号機数以上である場合(S106でYES)、取得部311Bは、処理を終了する。ステップS106でYESの場合とは、取得部311Bが全てのエレベータ制御装置1に利用要求を送信し、全てのエレベータ制御装置1から、検知装置23の動作状態が異常であることを示す状態情報124を受信した場合である。
【0147】
変数Carの値がエレベータ2の全号機数未満である場合(S106でNO)、すなわちまだ利用要求を送信していないエレベータ制御装置1が存在する場合、取得部311Bは、変数Carをインクリメントする(S107)。例えば、取得部311Bは、1号機を制御するエレベータ制御装置1に利用要求を送信し、動作状態が異常であることを示す状態情報124を受信した場合、2番目の号機を次のCar号機とする。ステップS106の後、ステップS102の処理に戻る。
【0148】
検知装置23の動作状態が正常である場合(S104でYES)、出力制御部312Bは、呼び登録依頼を出力することを決定する(S108:出力制御ステップ)。具体的には、出力制御部312Bは、呼び登録依頼を生成し、状態情報124の送信元であるエレベータ制御装置1に送信する。これにより、動作状態が正常である検知装置23を備えるエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1に対して呼び登録依頼が出力される。
【0149】
ステップS108の後、動作状態が正常である検知装置23を備えるエレベータ2を制御するエレベータ制御装置1の第2受付部113は、呼び登録を受け付ける(S113)。第2受付部113が呼び登録を受け付けた後の処理(ステップS109~S110およびS114~S123の処理)については、実施形態1において図8を用いて説明したステップS17~S18およびS24~S33の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。また、情報処理装置3Bがかご21に乗車した後の処理は、実施形態1において図9を用いて説明した処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0150】
(変形例)
実施形態3では、エレベータ2の全ての号機に設けられる検知装置23の動作状態が異常である場合には、出力制御部312Bは呼び登録依頼を送信しないことを決定したが、出力制御部312Bが行う処理はこれに限られない。例えば、エレベータ2の全ての号機に設けられる検知装置23の動作状態が異常である場合、出力制御部312Bは、いずれかの号機を制御するエレベータ制御装置1に呼び登録依頼を送信してもよい。この場合、呼び登録依頼を受信したエレベータ制御装置1の扉制御部114は、実施形態2において説明した処理と同様の処理を行う。
【0151】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ制御システム100、100A、100B(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11、11A、31、31A、31Bに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0152】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0153】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0154】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0155】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0156】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るエレベータ制御システムは、エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムであって、利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御部と、を備える。
【0158】
本発明の態様2に係るエレベータ制御システムは、上記態様1において、前記出力制御部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない場合、前記呼び登録依頼を出力しなくてもよい。
【0159】
本発明の態様3に係るエレベータ制御システムは、上記態様1または2において、前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、前記扉制御部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではなく、かつ、前記出力制御部が前記呼び登録依頼を出力した場合、前記情報処理装置の乗車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごへの乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、または(2)所定時間が経過するまでの第2期間、前記扉の開状態を保持してもよい。
【0160】
本発明の態様4に係るエレベータ制御システムは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、前記扉制御部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではなく、かつ、前記出力制御部が前記呼び登録依頼を出力した場合、前記かごに乗車した前記情報処理装置の降車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、または(2)所定時間が経過するまでの第4期間、前記扉の開状態を保持してもよい。
【0161】
本発明の態様5に係るエレベータ制御システムは、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記エレベータ制御装置は、前記検知装置が設けられた前記エレベータの複数の号機毎に設けられており、前記出力制御部は、複数の前記号機のうち前記状態情報が示す前記動作状態が正常である前記検知装置が設けられている前記号機を制御する前記エレベータ制御装置へ前記呼び登録依頼を出力してもよい。
【0162】
本発明の態様6に係るエレベータ制御システムの制御方法は、1または複数のコンピュータにより実行される、エレベータを制御するエレベータ制御装置、および自律走行可能な情報処理装置を備えるエレベータ制御システムの制御方法であって、利用者および前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、取得した前記状態情報に基づいて、前記情報処理装置の呼び登録依頼を前記エレベータ制御装置へ出力するか否かを決定する出力制御ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0163】
1、1A エレベータ制御装置
2 エレベータ
3、3A、3B 情報処理装置
21 かご
22 扉
23 検知装置
100、100A、100B エレベータ制御システム
114、114A 扉制御部
124 状態情報
311、311B 取得部
312、312A、312B 出力制御部
S12、S62、S103 取得ステップ
S14、S15、S63、S105、S108 出力制御ステップ
【要約】
【課題】エレベータのかごの扉に情報処理装置が衝突する可能性を低減する。
【解決手段】エレベータ制御システム(100)は、利用者および自律走行可能な情報処理装置(3)によるエレベータ(2)のかご(21)への乗降を検知する検知装置(23)の動作状態が正常か否かを示す状態情報(124)を取得する取得部(311)と、取得した状態情報に基づいて、情報処理装置の呼び登録依頼をエレベータ制御装置(1)へ出力するか否かを決定する出力制御部(312)と、を備える。
【選択図】図1
図1
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図6
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図10
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図14