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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車両および充電システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20241008BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20241008BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B60L53/14
B60L53/16
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H02J7/00 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023217826
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2020033528の分割
【原出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2024038081
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古島 耕一
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 貴彦
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-140279(JP,A)
【文献】特開2006-101657(JP,A)
【文献】特開2012-060757(JP,A)
【文献】特開2014-166052(JP,A)
【文献】特開2015-023748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/14
B60L 53/16
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電コネクタが接続されるインレットと、
前記充電コネクタを通して供給される電力によって充電される蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電を制御する制御装置とを備え、
前記充電コネクタは、ロック装置によって前記インレットにロックされるように形成されており、
前記充電コネクタが前記インレットに係合され、前記蓄電装置が充電されている状態において、前記制御装置は、前記充電コネクタがアンロック状態となると充電電力が低下し、
前記充電コネクタが前記アンロック状態後に充電電力が低下するときの変化率の絶対値は、前記充電電力が低下した後に前記充電電力が上昇するときの変化率の絶対値よりも大きい、車両。
【請求項2】
前記充電コネクタがアンロック状態となることで充電電力が低下した後、前記充電コネクタがロック状態となると充電電力が上昇し、
前記充電コネクタがアンロック状態となることで充電電力が低下するときの変化率の絶対値は、前記充電コネクタがアンロック状態となることで充電電力が低下した後、前記充電コネクタがロック状態となることで充電電力が上昇するときの変化率の絶対値よりも大きい、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記充電コネクタから供給される入力電力が入力され、入力された前記入力電力を調整して前記蓄電装置に出力電力を出力する充電器をさらに備え、
前記充電器は、前記制御装置から入力される要求電力に近づけるように前記出力電力をフィードバック制御しており、
前記充電器は、充電を停止するときには、前記フィードバック制御をしない、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記充電コネクタから供給される入力電力が入力され、入力された前記入力電力を調整して前記蓄電装置に出力電力を出力する充電器をさらに備え、
前記充電器は、前記出力電力が前記制御装置から入力される要求電力となるように駆動しており、
前記制御装置が充電を停止させる際において前記充電器が出力電力を変化させる変化率は、前記出力電力が前記要求電力となるように前記充電器が前記出力電力を変化させる変化率よりも高い、請求項に記載の車両。
【請求項5】
充電コネクタが設けられた充電ステーションと、
車両と、
を備えた充電システムであって、
前記車両は、
前記充電コネクタが接続されるインレットと、
前記充電コネクタから供給される電力で充電可能な蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電を制御する制御装置と、
を含み、
前記充電コネクタは、ロック装置によって前記インレットにロックされるように形成されており、
前記充電コネクタが前記インレットに係合され、前記蓄電装置が充電されている状態において、前記制御装置は、前記充電コネクタがアンロック状態となると充電電力が低下し、
前記充電コネクタが前記アンロック状態となることで充電電力が低下するときの変化率の絶対値は、前記充電電力が低下した後に前記充電電力が上昇するときの変化率の絶対値よりも大きい、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から充電ステーションから供給される電力で蓄電装置を充電することができる車両について各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開2019-47544号公報に記載された車両は、充電ステーションの充電コネクタが接続されるインレットと、充電コネクタをインレットにロックするロック装置と、蓄電装置とを備える。
【0004】
車両は、充電コネクタがインレットに接続され、蓄電装置が充電されている状態において、充電コネクタがインレットにロックされているときには、充電ステーションに第1電流値の電流を要求する。
【0005】
車両は、充電コネクタがインレットに接続され、蓄電装置が充電されている状態において、充電コネクタがインレットにロックされていないアンロック状態のときには、第2電流値の電流を充電ステーションに要求する。第2電流値は、第1電流値よりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-47544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の車両は、アンロック状態を検知すると、充電ステーションへの要求電流値を小さくしている。
【0008】
充電ステーションは、車両に供給する出力電力をフィードバック制御によってコントロールしている。ここで、車両からの要求電流値(要求電力値)が変動した際に、出力電力を急峻に変化させると、出力電流(出力電力)がハンチング、オーバーシュートまたはアンダーシュートするおそれがある。
【0009】
そのため、充電ステーションは、出力する出力電力を車両からの要求電流値(要求電力値)に追従させるために要する追従時間は長い。
【0010】
その結果、充電中にアンロック状態であることを車両が検知して、充電ステーションが出力電流の電流値を第1電流値から第2電流値に変更するまでに所定時間を要することになる。
【0011】
その一方で、充電コネクタがアンロック状態である場合には、充電コネクタが抜かれる可能性があるために、短時間で充電ステーションから出力される電流を下げることが求められる。
【0012】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、充電中に充電コネクタがアンロック状態であることが検知されると短時間で、出力電流を下げることができる車両および充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る車両は、充電ステーションに設けられた充電コネクタと接続可能に構成されたインレットと、充電コネクタをインレットにロックするロック状態と、充電コネクタをインレットから取り外し可能なアンロック状態との切り替えが可能なロック装置と、充電コネクタを通して供給される電力によって充電される蓄電装置と、蓄電装置の充電を制御する制御装置とを備え、充電コネクタがインレットに接続され、蓄電装置が充電されている状態において、制御装置は、ロック装置がアンロック状態となると充電を停止する。
【0014】
上記車両は、充電コネクタから供給される入力電力が入力され、入力された入力電力を調整して蓄電装置に出力電力を出力する充電器をさらに備え、充電器は、制御装置から入力される要求電力に近づけるように出力電力をフィードバック制御しており、充電器は、充電を停止するときには、フィードバック制御をしない。
【0015】
上記車両は、充電コネクタから供給される入力電力が入力され、入力された入力電力を調整して蓄電装置に出力電力を出力する充電器をさらに備え、充電器は、出力電力が制御装置から入力される要求電力となるように駆動しており、制御装置が充電を停止させる際において充電器が出力電力を変化させる変化率は、出力電力が要求電力となるように充電器が出力電力を変化させる変化率よりも高い。
【0016】
上記制御装置は、ロック装置がアンロック状態の場合に充電を停止し、停止してから所定期間経過した後に、蓄電装置への充電を再開する。
【0017】
上記蓄電装置への充電を再開したときにおける第1充電電力は、蓄電装置への充電を停止する前における第2充電電力よりも小さい。
【0018】
充電システムは、充電コネクタが設けられた充電ステーションと、車両と、を備えた充電システムであって、車両は、充電コネクタが接続されるインレットと、インレットに接続された充電コネクタをインレットにロックされたロック状態と、インレットに接続された充電コネクタがインレットから取り外し可能なアンロック状態とに切り替え可能なケーブルロック装置と、充電コネクタから供給される電力で充電可能な蓄電装置と、蓄電装置の充電を制御する制御装置と、を含み、制御装置は、充電コネクタがインレットに接続され、蓄電装置が充電されている状態において、制御装置は、ケーブルロック装置がアンロック状態となると充電を停止する。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る車両および充電システムによれば、充電中に充電コネクタがアンロック状態であることが検知されると短時間で、出力電流を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示すブロック図である。
図2】インレット11および充電コネクタ31を模式的に示す斜視図である。
図3】ロック装置15が充電コネクタ31をインレット11にロックした状態を模式的に示す断面図である。
図4】充電コネクタ31およびインレット11がアンロック状態における側断面図である。
図5】充電システム1を模式的に示すブロック図である。
図6】充電を開始してから充電を完了するまでの間のフローを示すフロー図である。
図7】充電を開始した後における充電制御フローを示すフロー図である。
図8】上限電力値Plim3を設定するフローを示すフロー図である。
図9】充電パラメータを送信するステップを詳細に示すフロー図である。
図10】充電器12が受信した上限電力値Plimfと、充電要求Creqと、要求電力Preqと、充電器12が出力する出力電力Poutとを示す状態線図である。
図11】実施の形態2における充電中制御を示すフロー図である。
図12】Step14Aを示すフロー図である。
図13】Step30Aを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図13を用いて、本実施の形態に係る車両2および充電システム1について説明する。図1から図13に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示すブロック図である。充電システム1は、車両2と、充電ステーション3とを備える。車両2は、制御部10と、インレット11と、充電器12と、蓄電装置13と、ロック装置15と、バッテリECU17とを備える。
【0022】
インレット11は、充電ステーション3に設けられた充電コネクタ31が接続される接続部である。なお、車両2には、蓋16が設けられており、蓋16を開けることで、インレット11が外部に露出し、充電コネクタ31を接続することができる。
【0023】
充電器12は、たとえば、AC/DCコンバータなどの変換器である。充電器12は、インレット11を通して、供給される交流電力を直流電力に変換して、蓄電装置13に供給する。
【0024】
蓄電装置13は、リチウムイオン電池などの二次電池、または、キャパシタなどである。蓄電装置13は、図示されていない駆動用インバータなどに電力を供給し、駆動用インバータは、蓄電装置13から供給された直流電力を交流電力に変換して、駆動モータに供給する。駆動モータは、駆動輪を駆動する駆動力を発生する。
【0025】
制御部10は、充電器12などの駆動を制御するECUである。制御部10は、制御部18および制御部19を含む。車両2および充電ステーション3は、充電コネクタ31がインレット11に接続されている状態において、充電ケーブル30および充電コネクタ31を通して、互いに通信することができる。このため、制御部10は、充電ケーブル30および充電コネクタ31を通して、充電ステーション3と各種情報の授受が可能となっている。
【0026】
充電ステーション3は、制御装置20と、充電ケーブル30と、充電コネクタ31と、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)32と、電源部33とを含む。CCID32は、インレット11および電源部33の間の電気的な接続を切り替える装置である。
【0027】
CCID32は、図示しないコントロールパイロット回路およびリレーを含む。コントロールパイロット回路は、発信回路を含み、充電コネクタ31がインレット11に接続されると、パルス幅(デューティーサイクル)のパイロット信号CPLTを発振する。パイロット信号CPLTのパルス幅により、供給可能な電流容量がプラグインハイブリッド車に通知される。
【0028】
CCID32に設けられたリレーは、充電コネクタ31がインレット11に接続されることでONとなり、インレット11に充電コネクタ31が接続されたことを示すコネクタ信号PISWが制御部10に入力される。
【0029】
図2は、インレット11および充電コネクタ31を模式的に示す斜視図である。インレット11は、筒状に形成された筒部35と、筒部35内に収容された複数の電力端子と、接地端子と、複数の通信端子とを含む。筒部35の外周面には、係合部34が形成されている。ロック装置15は、筒部35の上方に配置されている。ロック装置15は、駆動部40と、押圧ピン41と、押圧力検出センサ42とを含む。
【0030】
駆動部40は、押圧ピン41を上下方向に移動させる。押圧力検出センサ42は、押圧ピン41の下端部に設けられている。
【0031】
充電コネクタ31は、筐体45と、操作スイッチ46と、爪47と、ピン48と、筒部49とを含む。筐体45は充電作業者が把持可能なように形成されている。筐体45の上面には操作スイッチ46が設けられており、筐体45の先端部に爪47および筒部49が設けられている。
【0032】
筒部49は筒状に形成されており、筒部35と嵌合するように形成されている。筒部49内には複数の電力端子、接地端子、通信端子が設けられており、筒部49が筒部35に嵌合することで、各電力端子同士、接地端子同士および通信端子同士が接続される。
【0033】
筒部49を筒部35に嵌合させると、爪47が係合部34と係合する。これにより、充電コネクタ31がインレット11に接続される。
【0034】
なお、爪47および係合部34に係合状態を解除する場合には、操作スイッチ46を押す。操作スイッチ46を押すことで、爪47がピン48を中心に回転して、爪47が上方に移動する。これにより、爪47および係合部34の係合状態が解除される。
【0035】
図3は、ロック装置15が充電コネクタ31をインレット11にロックした状態を模式的に示す断面図である。
【0036】
充電コネクタ31がインレット11に接続されると、制御部10はCCID32からのコネクタ信号PISWを取得し、制御部10は充電コネクタ31が接続されたことを検知する。
【0037】
制御部10は、コネクタ信号PISWを受信した後、充電を開始する前に、駆動部40を駆動させて押圧ピン41を下方に移動させる。インレット11に充電コネクタ31が接続された状態で押圧ピン41が下方に移動すると、押圧ピン41は爪47を押圧する。これにより、操作スイッチ46が操作されたとしても爪47および係合部34の係合状態が維持される。
【0038】
押圧力検出センサ42は、押圧ピン41の下端部に設けられており、押圧ピン41が爪47を押圧する際には、押圧力検出センサ42も爪47に接触する。押圧力検出センサ42が爪47に接触すると、押圧力検出センサ42は制御部19に接触信号「ON」を送信する。制御部19は、押圧力検出センサ42から接触信号を受信すると、ロック状態であると判断する。
【0039】
図4は、充電コネクタ31およびインレット11がアンロック状態における側断面図である。たとえば、制御部10は、蓄電装置13の充電が完了すると、駆動部40を駆動させて押圧ピン41を上方に移動させる。これにより、操作スイッチ46を操作することで、爪47および係合部34の係合状態を解除することができる。押圧ピン41が上方に移動することで、押圧力検出センサ42は爪47から離れる。押圧力検出センサ42が爪47から離れると、押圧力検出センサ42は、制御部19に接触信号「OFF」を送信する。制御部19は、コネクタ信号PISWを受信しており、押圧力検出センサ42から接触信号「OFF」を受信すると、制御部19は、充電コネクタ31はアンロック状態であると判断する。その一方で、コネクタ信号PISWを受信しなくなると、制御部19は充電コネクタ31が接続されていないと判断する。
【0040】
図5は、充電システム1を模式的に示すブロック図である。図6は、充電を開始してから充電を完了するまでの間のフローを示すフロー図である。図6に示すように、充電システム1が充電開始から終了するまでのフローは、充電開始制御(Step1)と、充電中制御(Step2)と、充電が完了したかを判断するステップ(Step3)と、充電を停止するステップ(Step4)とを含む。なお、図6など中において、「St」は「Step」を示す。
【0041】
図5を用いて、充電開始制御について説明する。制御部10は、制御部18および制御部19を含む。制御部19は、パイロット信号CPLTのパルス幅から充電ケーブル30の定格電流を取得する。制御部19は、CCID32からのコネクタ信号PISWに基づいて、充電コネクタ31がインレット11に接続されたことを検知する。制御部19は、ロック装置15からロック状態またはアンロック状態を示す状態信号を取得する。そして、制御部19は、充電ケーブル30の定格電流と、充電コネクタ31の接続状態と、充電コネクタ31のロック状態とを示す情報を制御部18に送信する。
【0042】
制御部18は、充電コネクタ31がインレット11に接続されると、充電ステーション3の制御装置20と通信確立して、制御装置20との間で各種の情報を授受する。
【0043】
制御装置20は、たとえば、電源部33が家庭用電源である場合においては、制御装置20は当該家などに設けられた他の電気機器からの要求電力などに基づいて、入力上限電力値Plim1を設定する。入力上限電力値Plim1は、電源部33が車両2に供給する電力の上限値である。入力上限電力値Plim1を制御部18に送信する。
【0044】
バッテリECU17は、蓄電装置13に設けられた温度センサから蓄電装置13の温度を取得する。さらに、バッテリECU17は、蓄電装置13に入出力する電流量および温度などの情報から蓄電装置13のSOCを算出する。また、バッテリECU17は、蓄電装置13のSOCおよび温度から蓄電装置13を充電することができる上限電力値Plim2を算出する。上限電力値Plim2は、たとえば、充電中において、蓄電装置13が所定の閾値温度を超えないようにするための上限値である。
【0045】
そして、バッテリECU17は、制御部18に、蓄電装置13のSOCおよび上限電力値Plim2を示す情報を送信する。
【0046】
制御部18は、入力上限電力値Plim1および上限電力値Plim2の小さい方を上限電力値Pli mfに設定する。
【0047】
制御部18は、蓄電装置13の現状のSOCと、上限電力値Plimfと、充電ケーブル30の定格電流などに基づいて、要求電力Preqを算出する。
【0048】
制御部18は、充電コネクタ31がインレット11に接続されており、充電コネクタ31がロック状態であると、CCID32をONにする。
【0049】
制御部18は、充電器12に「ON」の充電要求Creqを送信し、さらに、要求電力Preqおよび上限電力値Plimfを送信する。
【0050】
充電器12は、「ON」の充電要求Creqを受信すると起動する。そして、制御部18から受信した要求電力Preqおよび上限電力値Plimfに基づいて、蓄電装置13に電力を供給する。具体的には、充電器12から蓄電装置13に出力される出力電力Poutが要求電力Preqとなるように制御すると共に、出力電力Poutが上限電力値Plimfを超えないように制御する。
【0051】
次に、図7を用いて、充電開始後における充電制御フローについて説明する。図7は、充電を開始した後における充電制御フローを示すフロー図である。
【0052】
制御装置20は、入力上限電力値Plim1を設定する(Step10)。たとえば、家の電気機器からの要求電力が上昇した場合には、入力上限電力値Plim1が小さくなるように設定する。
【0053】
バッテリECU17は、蓄電装置13から取得した現状のSOCおよび蓄電装置13の温度などから上限電力値Plim2を設定する。たとえば、蓄電装置13の温度が所定閾値温度よりも高くなると、小さい上限電力値Plim2を設定する(Step12)。
【0054】
制御部19は、上限電力値Plim3を設定する(Step14)。図8は、上限電力値Plim3を設定するフローを示すフロー図である。
【0055】
制御部19は、充電コネクタ31がインレット11に接続されているか否かを判断する(Step40)。具体的には、制御部19は、CCID32からのコネクタ信号PISWに基づいて、充電コネクタ31がインレット11に接続されているか否かを判断する。
【0056】
制御部19は、充電コネクタ31が接続されていないと判断すると(Step40にてNo)、図4に示すStep4に移行し、充電停止させる(Step4)。具体的には、制御部19は、充電器12の駆動を停止させる。さらに、充電器12および蓄電装置13の間に充電リレーが設けられている場合には、当該充電リレーをOFFにする。このような場合においては、充電中に充電コネクタ31が引き抜かれた可能性が高い。この際、インレット11の電力端子36,37には、蓄電装置13の電圧が印加されている状態であるため、制御部19は、直ぐに、充電リレーをOFFにする。さらに、充電器12をOFFとして、電力端子36,37および蓄電装置13の間の電気的な接続を切断する。
【0057】
図8において、制御部19は、充電コネクタ31が接続されていると判断すると(Step40にてYes)、制御部19は、ロック装置15が充電コネクタ31をロックしているかを判断する(Step44)。制御部19は、ロック装置15からロック状態またはアンロック状態を示す信号を受信している。ロック装置15は、押圧ピン41が上方に位置している場合には、制御部19にアンロック状態であることを示す信号を送信する。
【0058】
また、ロック装置15は、駆動部40が故障したと判断すると、制御部19にアンロック状態であることを示す信号を送信するようにしてもよい。
【0059】
制御部19は、ロック装置15が充電コネクタ31をロックしているロック状態であると判断すると(Step44にてYes)、制御部19は、上限電力値Plim3をたとえば、「∞」に設定する(Step46)。その一方で、制御部19は、充電コネクタ31がアンロック状態であると判断すると(Step44にてNo)、制御部19は、上限電力値Plim3にPlim30を設定する(Step48)。なお、上限電力値Plim30は、通常の状態における入力上限電力値Plim1および上限電力値Plim2よりも小さい値である。
【0060】
図7に戻って、制御部18は、制御装置20に入力上限電力値Plim1を要求する(Step16)。制御装置20は、制御部18から要求信号を受信すると、入力上限電力値Plim1を送信する(Step18)。制御部18はバッテリECU17に上限電力値Plim2を含むパラメータを要求する要求信号を送信する(Step20)。バッテリECU17は、制御部18から要求信号を受信すると、バッテリECU17は、制御部18に上限電力値Plim2および蓄電装置13のSOCを示す情報を送信する(Step22)。
【0061】
制御部18は、制御部19に上限電力値Plim3を要求する(Step24)。制御部19は、制御部18からの要求信号を受信すると、制御部19は制御部18に上限電力値Plim3を送信する。制御部18は、上限電力値Plimfを設定する(Step28)。具体的には、制御部18は、取得した入力上限電力値Plim1、上限電力値Plim2および上限電力値Plim3のうち、最も小さい値を上限電力値Plimfに設定する。
【0062】
制御部18は、上限電力値Plimfを設定すると、充電パラメータを送信する(Step30)。充電パラメータは、充電要求Creq、要求電力Preqおよび上限電力値Plimfの少なくとも1つを含む情報である。
【0063】
図9は、充電パラメータを送信するステップを詳細に示すフロー図である。図10は、充電器12が受信した上限電力値Plimfと、充電要求Creqと、要求電力Preqと、充電器12が出力する出力電力Poutとを示す状態線図である。
【0064】
制御部18は、上限電力値Plimfが下がったか否かを判断する(Step50)。ここで、図8に示すStep48において、充電コネクタ31がロック装置15によってロックされていると判断した場合には、上限電力値Plim3は、「∞(W)」に設定されている。これにより、図7に示すStep28において、上限電力値Plimfは、入力上限電力値Plim1または上限電力値Plim2のいずれが小さい方に設定されることになる。換言すれば、入力上限電力値Plim1および上限電力値Plim2が変動していない場合には、上限電力値Plimfは変動しない。
【0065】
このような場合においては、Step50において、制御部18は上限電力値Plimfは変動していないと判断する(Step50にてNo)。
【0066】
要求電力Preqを算出する(Step56)。具体的には、バッテリECU17から受信した現状のSOCと、蓄電装置13の温度と、充電ケーブル30の定格電流と、上限電力値Plimfなどから要求電力Preqを算出する。ここで、要求電力Preqは、上限電力値Plimf以下となるように設定される。
【0067】
制御部18は、算出した要求電力Preqと、「ON」の充電要求Creqと、上限電力値Plimfとを充電器12に送信する(Step58)。
【0068】
たとえば、図10において、時刻T0から時刻T1においては、上限電力値Plimf、要求電力Preqおよび出力電力Poutは一定に維持されており、充電要求Creqが「ON」に維持されている。
【0069】
図8に示すStep48において、上限電力値Plim3に「Plim30」が設定されると、上限電力値Plimfは「Plim30」となり、上限電力値Plimfは小さくなる。なお、Plim30は、通常の入力上限電力値Plim1および上限電力値Plim2よりも遥かに小さい値に設定されている。なお、通常の入力上限電力値Plim1とは、家の電気機器からの要求電力が所定電力よりも小さい状態において、設定される入力上限電力値である。また、通常の上限電力値Plim2とは、たとえば、蓄電装置13の温度が閾値温度よりも小さく、SOCがたとえば、80%よりも小さいときに設定される上限電力値である。
【0070】
そして、制御部18は、図9において、上限電力値Plimfが小さくなったと判断すると(Step50にてYes)、制御部18は充電器12に「OFF」の充電要求Creqを送信する。制御部18は、要求電力Preqとして「0(W)」を送信する。制御部18は、上限電力値Plimfを送信する。なお、充電器12は、制御部18から上記の充電パラメータ(充電要求Creq、要求電力Preqおよび上限電力値Plimfを含む)を受信すると、充電器12は駆動を停止する。これにより、充電器12から蓄電装置13に出力される出力電力Poutは「0(W)」となる。
【0071】
ここで、充電器12が制御部18からの充電パラメータを受信してから出力電力Poutが「0(W)」になるまでの時間を追従時間fuT1とする。
【0072】
制御部18は、所定期間TH1が経過するまでの間、継続して、「OFF」の充電要求Creqと、要求電力Preqとして「0(W)」と、上限電力値Plimfとを送信する(Step54)。ここで、所定期間TH1は、追従時間fuT1よりも長い時間である。
【0073】
図10においては、時刻T1において、上限電力値Plimfが小さくなると共に、充電要求Creqが「OFF」となり、要求電力Preqが「0(W)」となっている。
【0074】
そして、時刻T1から追従時間fuT1経過した時刻T2において、出力電力Poutが「0(W)」となっている。ここで、充電要求Creqが「OFF」となり、要求電力Preqが「0(W)」となったときにおいて、充電器12はフィードバック制御は実施していない。そのため、追従時間fuT1は短い時間である。
【0075】
時刻T2においては、時刻T1から所定期間TH1経過していないため、充電要求Creqが「OFF」であり、要求電力Preqが「0(W)」である。
【0076】
図9に戻って、制御部18は、所定期間TH1経過したと判断すると(Step54にてYes)、要求電力Preqを算出する(Step56)。具体的には、バッテリECU17から受信した現状のSOCと、蓄電装置13の温度と、充電ケーブル30の定格電流と、上限電力値Plimfなどから要求電力Preqを算出する。ここで、要求電力Preqは、上限電力値Plimf以下となるように設定される。
【0077】
制御部18は、算出した要求電力Preqと、「ON」の充電要求Creqと、上限電力値Plimfとを充電器12に送信する(Step58)。
【0078】
図10において、時刻T3は、時刻T1から所定期間TH1経過した時刻である。時刻T3において、充電要求Creqが「ON」となり、要求電力Preqが変更されている。ここで、時刻T3以降において、要求電力Preqは上限電力値Plimfが小さくなったことに伴って小さくなっている。なお、この図10に示す例においては、時刻T3以降において、要求電力Preqは、上限電力値Plimfと同じである。
【0079】
なお、詳細については、後述するが、この図10に示す例においては、時刻T3以降においても、上限電力値Plimfおよび要求電力Preqは、下がった状態が維持されている。そして、出力電力Poutは、時刻T3から徐々に大きくなり、時刻T3から追従時間fuT2経過した時刻T4において、出力電力Poutが要求電力Preqに一致している。
【0080】
ここで、時刻T3において、充電器12は出力電力Poutを要求電力Preqに近づける際には、フィードバック制御をしながら出力電力Poutを調整する。フィードバック制御としては、たとえば、PID(Proportional-Integral-Differential Controller)制御などを採用することができる。
【0081】
たとえば、追従時間fuT2を追従時間fuT1と同程度まで短くすると、出力電力Poutが要求電力Preqよりも大きくなり、出力電力Poutが上限電力値Plimfよりも大きくなる(オーバーシュート)おそれがある。
【0082】
また、出力電力Poutを小さくするように調整する場合において、追従時間fuT2が短い場合には、出力電力Poutが要求電力Preqに対して小さくなり過ぎる(アンダーシュート)おそれがある。
【0083】
このように、追従時間fuT2を短くすると、結果として、出力電力Poutを要求電力Preqに一致させるために要する時間が長くなり、結果として充電効率が低下するおそれがある。そのため、追従時間fuT2は、追従時間fuT1よりも長くなるように設定されている。すなわち、制御部18が充電を停止させる際において充電器12が出力電力Poutを変化させる変化率は、充電器12が制御部18から受信した要求電力Preqに近づけるように出力電力Poutを変化させるときの変化率よりも高い。このように、追従時間fuT1は、追従時間fuT2よりも短く、充電システム1においては、充電コネクタ31がアンロック状態であることが判明すると、短時間のうちに、出力電力Poutを小さく抑えることができる。
【0084】
制御部18は、図9に示すStep58を終了すると、図8に示すStep30を終了することになる。その後、制御部18は、図6に示すように、充電を完了したかを判断する(Step3)。具体的には、制御部18はバッテリECU17から取得した現状のSOCが、たとえば、満充電であると判断すると、充電を停止する(Step4)。充電を停止する際には、制御部18は、充電器12に「OFF」の充電要求Creqと、「0(W)」の要求電力Preqとを送信する。これにより、充電器12は駆動を停止する。なお、充電器12および蓄電装置13の間に充電リレーが設けられている場合には、制御部18は、当該充電リレーをOFFにする。
(実施の形態2)
図11から図13を主に用いて、実施の形態2に係る充電システムについて説明する。なお、実施の形態2に係る充電システムの構成と実施の形態1に係る充電システム1の構成は、実質的に同じであるため、適宜図1などを用いて説明する。
【0085】
実施の形態2に係る充電システムにおいては、図6に示す充電中制御(Step3)が実施の形態1と異なる。
【0086】
図11は、実施の形態2における充電中制御を示すフロー図である。この図11においては、制御部19は、上限電力値Plim3およびフラグF3を設定する(Step14A)。図12は、Step14Aを示すフロー図である。
【0087】
図12に示すように、制御部19は、充電コネクタ31がロック状態であると判断すると(Step44にてYes)、フラグF3を「OFF」にする(Step46A)。pそして、上限電力値Plim3を「∞(W)」に設定する(Step46)。
【0088】
その一方で、制御部18は、充電コネクタ31がアンロック状態であると判断すると(Step44にてNo)、フラグF3を「ON」にする(Step48A)。そして、上限電力値Plim3を「Plim30」に設定する(Step48)。
【0089】
図11に戻って、制御部19は、制御部18から要求信号を受信すると(Step24)、制御部19は、上限電力値Plim3およびフラグF3の情報を制御部18に送信する(Step26A)。
【0090】
このため、充電コネクタ31がロック状態のときには、上限電力値Plim3=∞(W)であり、フラグF3は「OFF」を示す情報が送信される。充電コネクタ31がアンロック状態のときには、上限電力値Plim3=「Plim30」であり、フラグF3は「ON」であることを示す情報が送信される。
【0091】
そして、制御部18は、上限電力値Plimfを設定する(Step28)。そして、制御部18は充電パラメータを設定する(Step30A)。
【0092】
図13は、Step30Aを示すフロー図である。制御部18は、上限電力値Plimfが小さくなった否かを判断する(Step60)。上限電力値Plimfが小さくなったと判断すると(Step60にてYes)、制御部18は、フラグF3がONであるか否かを判断する(Step62)。
【0093】
フラグF3が「ON」の場合には(Step62にてYes)、制御部18は、制御部18は充電器12に「OFF」の充電要求Creqを送信する。制御部18は、要求電力Preqとして「0(W)」を送信する。制御部18は、上限電力値Plimfを送信する(Step64)。なお、充電器12は、制御部18から上記の充電パラメータ(充電要求Creq、要求電力Preqおよび上限電力値Plimfを含む)を受信すると、充電器12は駆動を停止する。これにより、充電器12から蓄電装置13に出力される出力電力Poutは「0(W)」となる。
【0094】
制御部18は、所定期間TH1が経過するまでの間、継続して、「OFF」の充電要求Creqと、要求電力Preqとして「0(W)」と、上限電力値Plimfとを送信する(Step66)。
【0095】
そして、制御部18は、所定期間TH1経過したと判断すると(Step66にてYes)、要求電力Preqを算出する(Step68)。制御部18は、算出した要求電力Preqと、「ON」の充電要求Creqと、上限電力値Plimfとを充電器12に送信する(Step70)。
【0096】
その一方で、制御部18は、Step60において、上限電力値Plimfが下がっていなと判断すると(Step60にてNo)、制御部18は、要求電力Preqを算出すし(Step68)、制御部18は、算出した要求電力Preqと、「ON」の充電要求Creqと、上限電力値Plimfとを充電器12に送信する(Step70)。
【0097】
同様に、Step62において、フラグF3が「OFF」であると判断すると(Step62にてNo)、制御部18は、制御部18は、要求電力Preqを算出し(Step68)、制御部18は、算出した要求電力Preqと、「ON」の充電要求Creqと、上限電力値Plimfとを充電器12に送信する(Step70)。
【0098】
このように、本実施の形態においては、上限電力値Plim3が下がった場合においても、フラグF3がONのとき(充電コネクタ31がアンロック状態)においてのみ、要求電力Preqを「0(W)」に設定すると共に、充電要求Creqを「OFF」にしている。
【0099】
そのため、充電コネクタ31がアンロック状態となった場合のように、早急に充電を一旦停止させえる必要がある場合においてのみ、一旦充電を停止させている。
【0100】
その一方で、上限電力値Plimfが下がる場合としては、各種の原因が挙げられる。たとえば、家の電気機器の要求電力が大きくなった結果、入力上限電力値Plim1が小さくなった場合などが挙げられる。このような場合においては、緊急性を要するものではない。そのため、本実施の形態2に係る充電システムにおいては、充電を停止させずに、継続的に充電を実施している。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 充電システム、2 車両、3 充電ステーション、10,18,19 制御部、11 インレット、12 充電器、13 蓄電装置、15 ロック装置、16 蓋、20 制御装置、30 充電ケーブル、31 充電コネクタ、33 電源部、34 係合部、35,49 筒部、36,37 電力端子、40 駆動部、41 押圧ピン、42 押圧力検出センサ、45 筐体、46 操作スイッチ、47 爪、2019 特開、CPLT パイロット信号、Creq 充電要求、ECU17 バッテリ、F3 フラグ、PISW コネクタ信号、Plim2,Plim3,Plim30,Plimf 上限電力値、Plim1 入力上限電力値、Pout 出力電力、Preq 要求電力、T0,T1,T2,T3,T4 時刻、TH1 所定期間、fuT1,fuT2 追従時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13