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特許7568048微小粒子分取装置、微小粒子分取システム、液滴分取装置、及び液滴制御装置、並びに、液滴制御用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】微小粒子分取装置、微小粒子分取システム、液滴分取装置、及び液滴制御装置、並びに、液滴制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/149 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G01N15/149
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023222135
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2020566141の分割
【原出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2024038189
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2019004770
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 史高
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-057286(JP,A)
【文献】特開2004-117363(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/115409(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0212917(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備え
前記制御部では、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて前記駆動条件を制御する、
微小粒子分取装置。
【請求項2】
前記駆動条件は、駆動電圧の周波数である、請求項1記載の微小粒子分取装置。
【請求項3】
前記駆動条件は、駆動電圧の強度である、請求項1又は2記載の微小粒子分取装置。
【請求項4】
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を微小粒子分取装置に実行させる液滴制御用プログラムと、
を有し、
前記制御機能は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて前記駆動条件を制御する、
微小粒子分取システム。
【請求項5】
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を微小粒子分取装置に実行させる液滴制御用プログラムを取得するためのコードと、
を有し、
前記制御機能は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて前記駆動条件を制御する、
微小粒子分取システム。
【請求項6】
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御し、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記液滴を分取する分取部と、
を備え
前記駆動条件の制御は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて行う、
液滴分取装置。
【請求項7】
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部を備え
前記制御部は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて前記駆動条件を制御する、
液滴制御装置。
【請求項8】
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を液滴分取装置に実行させ
前記制御機能は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて前記駆動条件を制御する、
液滴制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、微小粒子分取装置、微小粒子分取システム、液滴分取装置、及び液滴制御装置、並びに、液滴制御用プログラムに関する。より詳しくは、特定の粒子等を含む液滴を分別して、回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞、微生物及びリポソーム等の生体関連微小粒子の分析には、フローサイトメトリー(フローサイトメータ)を用いた光学的測定方法が利用されている。フローサイトメータは、フローセルやマイクロチップ等に形成された流路内を通流する粒子に光を照射し、個々の粒子から発せられた蛍光や散乱光を検出して、分析する装置である。
【0003】
フローサイトメータには、分析結果に基づいて、特定の特性を有する粒子のみを分別して回収する機能を備えたものもあり、特に細胞を分取対象とした装置は「セルソータ」と呼ばれている。セルソータでは、一般に、振動素子等によりフローセルやマイクロチップに振動を与えることにより、その流路から排出される流体を液滴化している(特許文献1,2参照)。流体から分離された液滴は、プラス(+)又はマイナス(-)の電荷が付与された後、偏向板等によりその進行方向が変更され、所定の容器等に回収される。
【0004】
一方、セルソータ等の液滴を分取する装置は、温度変化、液圧変動及びシース圧の変更に伴う差圧の影響等により、ソーティング性能が不安定になりやすい。そこで、従来、ソーティング性能を安定化するため、フローセルやマイクロチップのオリフィスから吐出される流体や液滴を撮像し、その画像から液滴を検出して、電圧供給部の駆動電圧を制御する微小粒子分取装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、特許文献4では、液滴分取装置に、流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴及び前記液滴間に存在するサテライト液滴の状態を検出する検出部と、前記サテライト液滴が存在する位置に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動電圧の周波数を制御する制御部とを設けることにより、安定して液滴を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2007-532874号公報
【文献】特開2010-190680号公報
【文献】国際公開第2013/145905号
【文献】特開2016-57286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術により、微小粒子分取技術におけるソーティング性能は日々向上されつつあるが、更に、温度変化などの環境変動の影響を受けにくく、ロバスト性に優れた液滴形成技術が期待されているのも実情である。
【0008】
そこで、本技術は、安定して液滴を分取することが可能な液滴形成技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術では、まず、流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置を提供する。
本技術に係る微小粒子分取装置において、前記制御部では、前記サテライト液滴の前後いずれかの液滴への吸収のされやすさを示す吸収容易度を指標として駆動条件を制御することができる。
この場合、前記吸収容易度は、前記サテライト液滴と、前後の液滴と、の位置関係に基づいて算出することができる。
また、前記吸収容易度は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの時間に基づいて算出することもできる。
更に、前記吸収容易度は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて算出することもできる。
本技術に係る微小粒子分取装置において、前記制御部が制御する駆動条件としては、駆動電圧の周波数とすることができる。
この場合、前記制御部は、前記駆動条件として、駆動電圧の強度も制御することができる。
本技術に係る微小粒子分取装置において、前記制御部では、前記オリフィスと、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントと、の位置関係に基づいて、前記駆動条件を制御することもできる。
【0010】
本技術では、次に、流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を微小粒子分取装置に実行させる液滴制御用プログラムと、
を有する微小粒子分取システムを提供する。
また、流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を微小粒子分取装置に実行させる液滴制御用プログラムを取得するためのコードと、
を有する微小粒子分取システムを提供する。
【0011】
本技術では、更に、流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御し、前記液滴を分取する分取部と、
を備える液滴分取装置を提供する。
【0012】
本技術では、加えて、流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部を備える液滴制御装置、及び、流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を液滴分取装置に実行させる液滴制御用プログラムを提供する。
【0013】
本技術において、「微小粒子」には、細胞や微生物、リポソームなどの生体関連微小粒子、あるいはラテックス粒子やゲル粒子、工業用粒子などの合成粒子などが広く含まれるものとする。
【0014】
生体関連微小粒子には、各種細胞を構成する染色体、リポソーム、ミトコンドリア、オルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。細胞には、動物細胞(血球系細胞など)および植物細胞が含まれる。微生物には、大腸菌などの細菌類、タバコモザイクウイルスなどのウイルス類、イースト菌などの菌類などが含まれる。さらに、生体関連微小粒子には、核酸やタンパク質、これらの複合体などの生体関連高分子も包含され得るものとする。
【0015】
また、工業用粒子は、例えば有機もしくは無機高分子材料、金属などであってもよい。有機高分子材料には、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレートなどが含まれる。無機高分子材料には、ガラス、シリカ、磁性体材料などが含まれる。金属には、金コロイド、アルミなどが含まれる。これら微小粒子の形状は、一般には球形であるのが普通であるが、非球形であってもよく、また大きさや質量なども特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本技術の第1の実施形態の微小粒子分取装置1を模式的に示す模式概念図である。
図2】本技術の第2の実施形態の微小粒子分取装置1を模式的に示す模式概念図である。
図3】オリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態の一例を示す図である。
図4】オリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態の一例を示す図であり、Aは、サテライト液滴SDが前の液滴Dに吸収されている状態(Fast)を、Bは、サテライト液滴SDが後ろの液滴Dに吸収されている状態(Slow)を示す。
図5】オリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態の一例を示す図である。
図6】Aは、撮像素子151移動前のオリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態の一例を示す図であり、Bは、撮像素子151を下降させた際のオリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態の一例を示す図である。
図7】駆動電圧の周波数(クロック値)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図8】駆動電圧の周波数(クロック値)及び強度(ドライブ値)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図9】本技術に係る微小粒子分取システム2の第1実施形態を模式的に示す模式概念図である。
図10】本技術に係る微小粒子分取システム2の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.微小粒子分取装置1
(1)流路P
(2)光照射部11
(3)光検出部12
(4)振動素子V
(5)電圧供給部13
(6)分取部14
(7)液滴検出部15
(8)制御部16
(9)解析部17
(10)記憶部18
(11)表示部19
2.微小粒子分取システム2
3.液滴分取装置
4.液滴制御装置
5.液滴制御用プログラム
【0018】
<1.微小粒子分取装置>
本技術に係る微小粒子分取装置1は、電圧供給部13と、制御部16と、分取部14と、を少なくとも備える。また、必要に応じて、流路P、光照射部11、光検出部12、振動素子V、液滴検出部15、解析部17、記憶部18、表示部19等を備えることができる。以下、各部の詳細について、分取の時系列に沿って説明する。
【0019】
図1は、本技術に係る微小粒子分取装置1の第1実施形態を模式的に示す模式概念図であり、図2は、本技術に係る微小粒子分取装置1の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。
【0020】
(1)流路P
本技術に係る微小粒子分取装置1は、流路P内を通流する微小粒子を分取する装置である。流路Pは、微小粒子分取装置1に予め備えていてもよいが、市販の流路Pや流路Pが設けられた使い捨てのチップなどを用いることも可能である。
【0021】
流路Pの形態も特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図1に示す第1実施形態のような2次元又は3次元のプラスチック(PP、PC、COP、PDMS等)やガラス等の基板T内に形成した流路Pに限らず、図2に示す第2実施形態のように、従来のフローサイトメータ等で用いられているような流路Pも、本技術に係る微小粒子分取装置1に用いることができる。
【0022】
また、前記流路Pの流路幅、流路深さ、流路断面形状も、層流を形成し得る形態であれば特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、流路幅1mm以下のマイクロ流路も、本技術に係る微小粒子分取装置1に用いることが可能である。特に、流路幅10μm以上1mm以下程度のマイクロ流路は、本技術に係る微小粒子分取装置1により好適に用いることができる。
【0023】
流路Pには、分取対象とする微小粒子を含む液体(サンプル液)が導入されるサンプルインレットP1、シース液が導入されるシースインレットP2等が形成されている。第1実施形態では、サンプル液貯留部B1からサンプルインレットP1にサンプル液が導入され、シース液貯留部B2からシースインレットP2に導入されたシース液と合流して、流路Pの終端に設けられたオリフィスP3から吐出される。
【0024】
また、流路Pには、図示しないが、詰まりや気泡を解消するための吸引アウトレットP4を形成することもできる。吸引アウトレットP4には、真空ポンプ等の負圧源が接続し、流路Pに詰まりや気泡が生じた際に、流路P内を負圧にして流れを一時的に逆流させて詰まりや気泡を解消することができる。
【0025】
流路Pを通流させる微小粒子は、1種又は2種以上の蛍光色素等の色素で標識することができる。この場合、本技術で使用可能な蛍光色素としては、例えば、Cascade Blue、Pacific Blue、Fluorescein isothiocyanate(FITC)、Phycoerythrin(PE)、Propidium iodide(PI)、Texas red(TR)、Peridinin chlorophyll protein(PerCP)、Allophycocyanin(APC)、4’,6-Diamidino-2-phenylindole(DAPI)、Cy3、Cy5、Cy7、Brilliant Violet(BV421)等が挙げられる。
【0026】
(2)光照射部11
本技術に係る微小粒子分取装置1には、光照射部11を備えることができる。光照射部11では、前記流路Pを通流する微小粒子への光の照射が行われる。本技術に係る微小粒子分取装置1において、光照射部11は必須ではなく、外部の光照射装置等を用いて流路Pを通流する微小粒子への光照射を行うことも可能である。
【0027】
光照射部11から照射される光の種類は特に限定されないが、微小粒子から蛍光や散乱光を確実に発生させるためには、光方向、波長、光強度が一定の光が望ましい。一例としては、レーザー、LED等を挙げることができる。レーザーを用いる場合、その種類も特に限定されないが、アルゴンイオン(Ar)レーザー、ヘリウム-ネオン(He-Ne)レーザー、ダイ(dye)レーザー、クリプトン(Cr)レーザー、半導体レーザー、または、半導体レーザーと波長変換光学素子を組み合わせた固体レーザー等を、1種又は2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。
【0028】
本技術に係る微小粒子分取装置1は、所謂、マルチスポットを採用して、流路Pの複数の位置に対して光照射を行うこともできる。この場合、図示しないが、光照射部11を複数備えてもよいし、図示しないが、分光器等の光制御部を介することで、一つの光照射部11からの光を分光して、流路Pの複数の位置に対する光照射を行うことも可能である。
【0029】
(3)光検出部12
本技術に係る微小粒子分取装置1には、光検出部12を備えることができる。光検出部12では、流路P内を流通する微小粒子から発せられる光学的情報の検出が行われる。本技術に係る微小粒子分取装置1において、光検出部12は必須ではなく、外部の光検出装置等を用いて流路P内を流通する微小粒子から発せられる光学的情報の検出を行うことも可能である。
【0030】
本技術に係る微小粒子分取装置1に用いることができる光検出部12は、微小粒子からの光信号の検出ができれば、その具体的な光検出方法は特に限定されず、公知の光検出器に用いられている光検出方法を自由に選択して採用することができる。例えば、蛍光測定器、散乱光測定器、透過光測定器、反射光測定器、回折光測定器、紫外分光測定器、赤外分光測定器、ラマン分光測定器、FRET測定器、FISH測定器その他各種スペクトラム測定器、PMTやフォトダイオード等の受光素子を一次元に配列したPMTアレイ又はフォトダイオードアレイ、或いはCCD又はCMOS等の2次元受光素子などの独立した検出チャネルが複数並べられたもの、等に用いられている光検出方法を1種又は2種以上自由に組み合わせて採用することができる。
【0031】
本技術に係る微小粒子分取装置1は、流路Pの複数の位置からの光検出を行うこともできる。この場合、図示しないが、光検出部12を複数備えてもよいし、図示しないが、ミラー等の光制御部を介することで、流路Pの複数の位置からの光の光路を制御して、流路Pの複数の位置からの光検出を1つの光検出部12が行うことも可能である。
【0032】
本技術に係る微小粒子分取装置1における光検出部12の設置箇所は、微小粒子からの光信号の検出ができれば特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図1及び2に示す第1実施形態及び第2実施形態のように、流路Pを挟んで光照射部11と逆側に配置することが好ましい。光検出部12を、流路Pを挟んで光照射部11と逆側に配置することで、光照射部11や光検出部12をより自由な構成で配置させることができるからである。また例えば、蛍光は照射光の入射方向とは異なる方向にも放射されるため、流路Pを基準に光照射部11と同じ側や90度側面の側に光検出部12を配置してもかまわない。
【0033】
(4)振動素子V
振動素子Vは、流路Pを所定周波数で振動させることによりシース液に微小な振動を与え、オリフィスP3から吐出される流体(サンプル液及びシース液)を液滴化して、流体ストリーム(液滴の流れ)Sを発生させるものである。この振動素子Vとしては、特に限定されず、目的の応じて自由に選択して用いることができる。一例としては、ピエゾ振動素子などを挙げることができる。
【0034】
なお、振動素子Vは、流路Pに当接されていればよく、例えば、流路Pを備える基板Tの内部構成として設けられていても、微小粒子分取装置1の内部構成として設けられていてもよい。
【0035】
(5)電圧供給部13
電圧供給部13は、振動素子Vに駆動電圧を供給するものである。振動素子Vの駆動電圧は、安定した液滴を形成するために、正弦波に従って供給され、周波数(クロック値)と強度(ドライブ値)の2つのパラメータにより制御される。具体的な制御方法については、後述の制御部16で説明する。
【0036】
(6)分取部14
本技術に係る微小粒子分取装置1には、微小粒子の分取を行う分取部14を備えることができる。分取部14では、前記光検出部12により検出された値から後述する解析部17によって解析されたデータに基づいて、微小粒子の分取が行われる。例えば、分取部14では、解析データから導き出された微小粒子の大きさ、形態、内部構造等の解析結果に基づいて、流路Pの下流において、微小粒子の分取を行うことができる。
【0037】
より具体的には、前述した振動素子Vを用いて、流路Pの全体若しくは一部に振動を加えることで、流路Pの吐出口から液滴を発生させる。なお、流路Pへの送液量、吐出口の径、振動素子の振動数などを調整することにより、液滴の大きさを調整し、微小粒子を一定量ずつ含む液滴を発生させることができる。
【0038】
次に、解析部17によって解析されたデータに基づいて解析された微小粒子の大きさ、形態、内部構造等の解析結果に基づいて、図示しないが、荷電部によって、プラスまたはマイナスの電荷を荷電する。荷電部は、オリフィスP3から吐出される液滴に、正又は負の電荷を付与するものであり、荷電用電極及びこの荷電用電極に所定の電圧を印加する電圧源などで構成されている。
【0039】
荷電用電極は、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置して、シース液及び/又はサンプル液に電荷を付与することができ、例えば流路Pを備える基板Tに荷電電極インレットを設けて、この荷電電極インレットに挿入することができる。なお、荷電用電極は、サンプル液に接触するように配置してもよく、シース液に接触するように配置してもよく、サンプル液及びシース液の両方に接触するように配置してもよい。ただし、分取対象の細胞への影響を考慮すると、荷電用電極は、シース液に接触するように配置することが望ましい。
【0040】
このように、所望の液滴に正又は負の電荷を荷電して帯電させることにより、任意の微小粒子を含む液滴を、電気的な力により分離することが可能となる。また、荷電部による荷電のタイミングと、振動素子Vへの供給電圧とを同期させることにより、任意の液滴のみを帯電させることが可能となる。
【0041】
そして、荷電された液滴は、偏光板141によって、その進路が所望の方向へ変更され、分取される。具体的に、偏向板141a、141bは、液滴に付与された電荷との間に作用する電気的な力によって、流体ストリームS中の各液滴の進行方向を変更し、所定の回収容器に誘導するものであり、流体ストリームSを挟んで対向配置されている。この偏向板141a、141bには、例えば通常使用される電極を使用することができる。
【0042】
偏向板141a、141bには、それぞれ正又は負の異なる電圧が印加され、これにより形成される電界内を荷電された液滴が通過すると、電気的な力(クーロン力)が発生し、各液滴はいずれかの偏向板141a、141bの方向に引き寄せられる。微小粒子分取装置1では、液滴への荷電の正負や電荷量を変化させることにより、電界により引き寄せられる液滴の流れ(サイドストリーム)の方向を制御することができるため、相互に異なる複数の粒子を同時に分取することが可能となる。
【0043】
偏光板141a、141bにより所望の方向へ進路が変更された各液滴は、回収容器142a~142cにより回収される。回収容器142a~142cとしては、実験用として汎用のプラスチック製チューブやガラスチューブ等を使用することができる。これらの回収容器142a~142cは、装置内に交換可能に配置されるものであることが好ましい。また、回収容器142a~142cのうち分取対象外の粒子を受け入れるものには、回収した液滴の排液路を連結してもよい。
【0044】
なお、液滴分取装置1に配置される回収容器の数は特に限定されるものではない。例えば、回収容器を3個よりも多く配置する場合には、各液滴が、偏向板141a、141bとの間の電気的な作用力の有無及びその大小によっていずれか1つの回収容器に誘導され、回収されるようにすればよい。
【0045】
(7)液滴検出部15
本技術に係る微小粒子分取装置1には、液滴検出部15を備えることができる。液滴検出部15は、流路PのオリフィスP3から吐出される液滴Dと、液滴D間に存在するサテライト液滴SDの状態を検出するものである。本技術に係る微小粒子分取装置1において、液滴検出部15は必須ではなく、外部の検出装置等を用いて流路PのオリフィスP3から吐出される液滴Dと、液滴D間に存在するサテライト液滴SDの状態の検出を行うことも可能である。
【0046】
液滴検出部15は、液滴Dやサテライト液滴SDを撮像する撮像素子151、ブレイク・オフ・ポイントBPの変動に撮像素子151の位置を追従させるための位置調整機構152、及び撮像された画像から液滴Dやサテライト液滴SDの位置情報を得る画像データ処理部153等で構成することができる。撮像素子151は、CCDやCMOSカメラ等の撮像装置の他に、光電変換素子等の各種撮像素子を使用することができる。なお、本実施形態の微小粒子分取装置1には、撮像素子151と併せて、撮影領域を照明する光源(図示せず)が設けられていてもよい。
【0047】
画像データ処理部153は、例えば汎用のプロセッサ、主記憶装置及び補助記憶装置等からなる情報処理装置で構成することもできる。その場合、画像データ処理部153に、撮像素子151により撮像された液滴及びサテライト液滴の状態を示す画像データを入力し、プログラムされた制御アルゴリズムを実行することにより、サテライト液滴の位置情報を得ることができる。このようなコンピュータプログラムは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に格納されていてもよく、また、ネットワークを介して配信することもできる。
【0048】
(8)制御部16
制御部16では、オリフィスP3から吐出される液滴Dと、該液滴D間に存在するサテライト液滴SDと、の相対関係に基づいて、前記振動素子Vに供給される駆動条件の制御を行う。具体的には、制御部16は、振動素子Vに供給される駆動電圧の周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)の制御を行う。制御部16は、例えば、汎用のプロセッサ、主記憶装置及び補助記憶装置等からなる情報処理装置などで構成することができる。
【0049】
その場合、制御部16に、液滴検出部15の画像データ処理部153で得られた液滴D及びサテライト液滴SDの情報を入力し、プログラムされた制御アルゴリズムを実行することにより、電圧供給部13から振動素子Vに供給される駆動電圧の周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を自動制御することができる。このようなコンピュータプログラムは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に格納されていてもよく、また、ネットワークを介して配信することもできる。
【0050】
以下、制御部16が行う制御方法を詳細に説明する。
一般に、液滴形成において、下記のことが知られている。
(1)ブレイク・オフ・ポイントBPが、オリフィスP3により近いほど、ソーティングに有利である。
(2)ソーティングには、サテライト液滴SDが、前の液滴Dに吸収されている状態(Fast)又は後ろの液滴Dに吸収されている状態(Slow)が、適している。
(3)サテライト液滴SDが、前後の液滴Dに吸収されていない場合、サイドストリームが不安定になることがある。
(4)振動伝達特性がよく、ドライブ値の変化に応じてブレイク・オフ・ポイントBPが変化する状態が、ソーティング中の温度変化等の環境変化に対応できる。
(5)ソーティングには、液滴が左右対称である状態が適している。
(6)フローセルが固定されたセルソータ(例えば、図2参照)においては、上記(1)~(5)を満たす周波数は、装置設置時に事前に調整され、ユーザーが使用する際に周波数を再度調整する必要はない。しかし、流路が交換可能なセルソータ(例えば、図1に示すチップ交換式)においては、流路毎に上記(1)~(5)を満たす周波数が若干異なるため、流路を交換するたびに周波数を調整して流路毎に最適周波数を決定することが望ましい。
【0051】
そこで、本技術に係る微小粒子分取装置1は、画像処理等の方法により、上記(1)~(5)を満たす液滴形成のための振動素子Vの駆動条件、即ち、振動素子Vの駆動電圧の周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を決定する。具体的には、本技術に係る微小粒子分取装置1は、制御部16による振動素子Vの駆動電圧の周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)の制御方法としては、例えば、サテライト液滴SDの前後いずれかの液滴Dへの吸収のされやすさを示す吸収容易度を指標として駆動条件を制御することができる。吸収容易度を指標とすることにより、ソーティング中の温度変化等の環境変化によりサテライト液滴SDの位置が変動した場合にも、サテライト液滴SDが前後の液滴Dに吸収されている状態を維持し、安定したソーティングを継続可能となる。
【0052】
なお、対象液滴が液滴Dかサテライト液滴SDかを判定する方法としては、いくつか考えられ、特に限定されるものではないが、例えば対象液滴の二値化後の面積値を用いた方法や、対象液滴の幅も用いる方法を適用することができる。面積値を用いた方法は、例えば面積値がX以上の場合は液滴D、それ未満の場合はサテライト液滴SDと判定する。幅を用いた方法は、例えば複数の対象液滴のうち、幅の最大値を取得し、幅がその半分以上である場合は液滴D、それ未満である場合はサテライト液滴SDと判定する。また、これら2つの判定方法を組み合わせて判定することも可能である。
【0053】
なお、図3のようにサテライトSDが液滴Dと連続しているが、明らかにサテライト部が検出可能なケースでは、サテライト部のくびれ部(幅変曲点)を検出して液滴Dとサテライト部を分離することで(図3破線参照)、上述した吸収容易度の算出を行うことも可能である。
【0054】
また、一方、サテライト液滴SDが液滴Dに吸収されているか否かは、液滴Dの下方にサテライト液滴SDが存在するかどうかで、判定することが可能である。例えば、2対象物が連続して液滴Dと判定された場合は、サテライト液滴SDが吸収されていると判定できる。なお、誤判定を避けるため、サテライト吸収判定は、3対象物連続で液滴と判定された場合とすることもできる。
【0055】
サテライト液滴SDが吸収されたと判定された場合は、最後に検出されたサテライト液滴SDの位置に応じて、サテライト液滴SDが前の液滴Dに吸収されている状態(Fast)か、後ろの液滴Dに吸収されている状態(Slow)かを特定することもできる。これを利用し、例えば、サテライト液滴SDが吸収されたと判定する場合を、Fast又はSlowのどちらかの状態のみに限定することも可能である。これにより、常に一定の液滴条件でソーティングを実施することができる。
【0056】
[吸収容易度の算出方法例1]
吸収容易度は、例えば、サテライト液滴SDと、前後の液滴Dと、の位置関係に基づいて算出することができる。具体的な例を、図4を用いて説明する。図4はオリフィスP3から吐出された流体及び液滴の状態を示す図であり、Aは、サテライト液滴SDが前の液滴Dに吸収されている状態(Fast)を、Bは、サテライト液滴SDが後ろの液滴Dに吸収されている状態(Slow)を示す。
【0057】
まず、特定のサテライト液滴SD(図4に示す例では、2ndサテライト液滴2ndSDを選択)の重心位置Y1と、その前後の液滴D(図4に示す例では、1s4液滴1stDと2nd液滴2ndD)の重心位置Y0,Y2を基に、例えば、下記の計算式(1)又は(2)に基づいて、吸収容易度サテライト吸収度を算出することができる。
【0058】
〔サテライト液滴SDが前の液滴Dに吸収されている状態(Fast)の場合〕
吸収容易度=(Y1-Y0)/(Y2-Y0)・・・(1)
【0059】
〔サテライト液滴SDが後ろの液滴Dに吸収されている状態(Slow)の場合〕
吸収容易度=(Y2-Y1)/(Y2-Y0)・・・(2)
【0060】
この場合、吸収容易度がより1に近い場合が、液滴Dへの吸収がされ易さが高い状態であるとして、指標にすることができる。
【0061】
吸収容易度の算出に使用するサテライト液滴は、1st液滴1stD(ブレイク・オフ直前の液滴:Last attached dropletの直後にあるサテライト液滴)、2ndサテライト液滴2ndSD、3rdサテライト液滴3rdSD(図4参照)などが考えられ、より下側にあるサテライト液滴SDを用いた方がサテライト液滴の吸収容易度を見る上では確実な指標となる。しかし、その場合は、前述した液滴検出部15の撮像素子151の画角によっては、撮像素子151の移動が必要になる場合があり、調整時間の増加を招くリスクがある。どのサテライト液滴SDを使用するかは、撮像素子151の画角や実際のサテライト液滴SDの吸収位置の傾向などから判断する必要がある。
【0062】
なお、図5のように当該のサテライト液滴SDがすでに液滴に吸収されていて存在しない場合は、その上方にあるサテライト液滴SDの位置からサテライト液滴吸収方向(Fast又はSlow)の判断が可能であるが、すでに2ndサテライトは吸収されているために、吸収容易度は1となる。
【0063】
[吸収容易度の算出方法例2]
吸収容易度は、例えば、流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントBPから、前記サテライト液滴SDが前後いずれかの液滴Dへ吸収されるまでの時間に基づいて算出することができる。例えば、図4Aでは、3rdサテライト液滴3rdSDまでは存在するが、4thサテライト液滴が存在しないため、4th液滴4thDに吸収されたと考えられる。ブレイク・オフ・ポイントBPの撮影時間と、4th液滴4thDの撮影時間から、ブレイク・オフ・ポイントBPから、サテライト液滴SDが吸収されるまでの時間を計算し、この時間が短い方が、吸収容易度が高い状態であるとして指標にすることができる。
【0064】
なお、算出方法例2では、ブレイク・オフ・ポイントBPから、サテライト液滴SDが吸収されるまでの時間を指標としているが、単純に、何番目の液滴Dに吸収されたかを指標にすることも可能である。例えば、図5では、2ndサテライト2ndSDが存在しないため、2nd液滴2ndDに吸収されたと考えられるため、4th液滴4thDに吸収されたと考えられる図4Aの場合に比べ、吸収容易度が高いと判断することができる。
【0065】
[吸収容易度の算出方法例3]
吸収容易度は、例えば、流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントBPから、前記サテライト液滴SDが前後いずれかの液滴Dへ吸収されるまでの距離に基づいて算出することもできる。例えば、4th液滴4thDに吸収されたと考えられる図4Aの場合に比べ、2nd液滴2ndDに吸収されたと考えられる図5の方が、ブレイク・オフ・ポイントBPからの距離が短いため、吸収容易度が高い状態であるとして指標にすることができる。
【0066】
以上説明した吸収容易度を指標として、駆動電圧の周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を変更しながら繰り返して、最適周波数(クロック値)及び/又は最適強度(ドライブ値)を決定する。その際、駆動電圧の周波数(クロック値)の変更は、特に限定されるものではないが、オリフィスP3の径が70μmの場合であれば、例えば0.1kHz刻みに49kHz±3kHzの範囲で実施することができる。
【0067】
また、最適周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)の決定には、オリフィスP3と、ブレイク・オフ・ポイントBPの位置関係を考慮に入れてもよい。具体的には、図6に示すように、ブレイク・オフ・ポイントBPの位置を、予め設定されたブレイク・オフ範囲(図6中破線四角参照)に合わせる処理を、周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を変更しながら繰り返し行う。
【0068】
その方法は、特に限定されるものではなく、例えば、前述した液滴検出部15の撮像素子151を一定距離移動させて、画像処理によりブレイク・オフ・ポイントBPの位置を確認するという処理を逐次行うことで、ブレイク・オフ・ポイントBPの位置合わせを行う方法がある。一方、予め液滴画像のピクセル数と、撮像素子151のセンサ量との相関値を取得しておき、ブレイク・オフ・ポイントBPとブレイク・オフ範囲とのピクセル距離から目標センサ値を算出し、そのセンサ値になるように撮像素子151を移動させる方法もある。この方法は、位置合わせのための撮像素子151の移動回数を軽減できるため、効率的に位置合わせを行うことができる。
【0069】
そして、ブレイク・オフ・ポイントBPが高い順に周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を順位付けし、ブレイク・オフ・ポイントBPが高い周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)から逐次サテライト液滴SDの吸収容易度を指標とした判定を行い、吸収容易度の高い周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を最適周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)として決定する。これにより、より効率的な最適周波数(クロック値)及び/又は最適強度(ドライブ値)の調整が可能となる。
【0070】
このように、ブレイク・オフ・ポイントBPによる周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)の決定と、吸収容易度を指標とした周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)の決定とを組み合わせて、最適周波数(クロック値)及び/又は最適強度(ドライブ値)を決定することにより、より効率的に駆動条件の制御を行うことができる。
【0071】
以上詳述したように、本技術に係る微小粒子分取装置1は、環境変動があっても、安定して液滴Dを形成することができる。これにより、チップ交換式のセルソータにおいて、チップ毎に最適な周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を決定でき、安定性及びロバスト性が高い液滴形状制御を実現することができる。
【0072】
また、本技術に係る微小粒子分取装置1は、安定したサイドストリーム形成に最適な周波数(クロック値)及び/又は強度(ドライブ値)を決定でき、安定したソーティングを実現可能である。その結果、本技術に係る微小粒子分取装置1によれば、環境温度の変化やシース液・サンプル液の減少、詰まりや気泡の混入、液滴形状の変化による影響を抑え、長時間に亘り精度の高い安定したソーティングを実現することが可能となる。
【0073】
以下、本技術に係る微小粒子分取装置1の制御部16が行う制御方法の具体的な手順について、フローチャートを用いて説明する。
【0074】
[駆動電圧の周波数(クロック値)を制御する例]
図7は、駆動電圧の周波数(クロック値)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。まず、駆動電圧の周波数(クロック値)を任意の周波数(クロック値)に設定する(ステップS1)。次に、制御部16は、ブレイク・オフ・ポイントBPを含む液滴画像を取得する(ステップS2)。そして、制御部16は、前述した吸収容易度の算出方法に基づき、サテライト液滴SDの液滴Dへの吸収容易度を算出する(ステップS3)。
【0075】
制御部16は、図7に示すステップS1~S3に相当する反復処理を、順位付けされるデータ数に等しい回数Nだけ反復して実行する。当該反復処理が完了すると、処理はステップS4に移行する。
【0076】
ステップS4及びステップS5では、制御部16は、算出した吸収容易度に基づき、周波数を選別・順位付けし、吸収容易度の最も高い最適周波数を設定する。なお、吸収容易度が同一の周波数がある場合は、例えば、前記算出方法例1の場合は上方のサテライト液滴SDに対する吸収容易度を用いる、もしくは、より高い周波数を選択する、など適宜ルールを設定しておけばよい。また、一般に高い周波数の方が、ソーティング効率が向上するため、吸収容易度と周波数値を組み合わせて最適周波数を選択してもよい。
【0077】
その後、サイドストリームを安定させるために、駆動電圧の強度(ドライブ値)の微調整を行い(ステップS6)、微調整の過程でサイドストリームのしぶきが観測されるなど、ソーティングに適さない条件であると判断された場合は、ステップS5に戻って欠点の周波数条件を選択した後、再度、駆動電圧の強度(ドライブ値)の微調整を行い(ステップS6)、サイドストリームが安定する周波数の最終決定を行い(ステップS7)、制御手順が終了する。
【0078】
[駆動電圧の周波数(クロック値)及び強度(ドライブ値)を制御する例]
図8は、駆動電圧の周波数(クロック値)及び強度(ドライブ値)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。まず、駆動電圧の強度(ドライブ値)及び駆動電圧の周波数(クロック値)を任意の周波数(クロック値)に設定する(ステップS1及びS2)。次に、制御部16は、ブレイク・オフ・ポイントBPを含む液滴画像を取得する(ステップS3)。そして、制御部16は、前述した吸収容易度の算出方法に基づき、サテライト液滴SDの液滴Dへの吸収容易度を算出する(ステップS4)。
【0079】
制御部16は、図8に示すステップS1~S4に相当する反復処理を、順位付けされるデータ数に等しい回数N(周波数)、及びM(強度)だけ反復して実行する。当該反復処理が完了すると、処理はステップS5に移行する。
【0080】
ステップS5及びステップS6では、制御部16は、算出した吸収容易度に基づき、周波数及び強度を選別・順位付けし、吸収容易度の最も高い最適周波数及び最適強度を設定する。これにより最適な周波数と強度の同時決定が可能となる。
【0081】
なお、吸収容易度が同一の周波数がある場合は、例えば、前記算出方法例1の場合は上方のサテライト液滴SDに対する吸収容易度を用いる、もしくは、より高い周波数を選択する、など適宜ルールを設定しておけばよい。また、一般に高い周波数の方が、ソーティング効率が向上するため、吸収容易度と周波数値を組み合わせて最適周波数を選択してもよい。
【0082】
また、吸収容易度が同一の強度がある場合は、例えば、振動強度マージンを確保するために低振動強度条件を優先するなど、適宜ルールを設定しておけばよい。
【0083】
その後、サイドストリームを安定させるために、駆動電圧の強度(ドライブ値)の微調整を行い(ステップS7)、微調整の過程でサイドストリームのしぶきが観測されるなど、ソーティングに適さない条件であると判断された場合は、ステップS6に戻って欠点の周波数条件を選択した後、再度、駆動電圧の強度(ドライブ値)の微調整を行い(ステップS7)、サイドストリームが安定する周波数及び強度の最終決定を行い(ステップS8)、制御手順が終了する。
【0084】
(9)解析部17
本技術に係る微小粒子分取装置1は、必要に応じて、解析部17を更に備えていてもよい。解析部17では、光検出部12と接続され、光検出部12で微小粒子から検出した光学的情報を解析する。
【0085】
解析部17では、例えば、光検出部12より受け取った光の光学的情報から、各微小粒子の特徴量を算出する。具体的には、受光した蛍光や散乱光の検出値より微小粒子の大きさ、形態、内部構造等を示す特徴量を算出する。
【0086】
なお、解析部17は、本技術に係る微小粒子分取装置1においては必須ではなく、光検出部12よって検出された光学的情報に基づいて、外部の解析装置等を用いて微小粒子の状態等を解析することも可能である。例えば、解析部17は、パーソナルコンピュータや、CPUにて実施してもよく、記録媒体(例えば、不揮発性メモリ(USBメモリ)、HDD、CDなど)等を備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、パーソナルコンピュータやCPUによって機能させることも可能である。また、解析部17は微小粒子分取装置1の各部とネットワークを介して接続されていてもよい。
【0087】
(10)記憶部18
本技術に係る微小粒子分取装置1には、各種情報を記憶する記憶部18を備えることができる。記憶部18には、前記各光検出部12で検出された情報データ、液滴検出部15において検出された情報データ、制御部16における制御データ、前記解析部17にて生成された解析データ、分取部14にて分取された微小粒子のデータ等、微小粒子の分取に関わるあらゆる事項を記憶することが可能である。
【0088】
本技術に係る微小粒子分取装置1において、記憶部18は必須ではなく、外部の記憶装置を接続してもよい。記憶部18としては、例えば、ハードディスクなどを用いることができる。
【0089】
(11)表示部19
本技術に係る微小粒子分取装置1には、各種情報を表示する表示部19を備えることができる。表示部19では、前記各光検出部12で検出された情報データ、液滴検出部15において検出された情報データ、各制御部における制御データ、前記解析部17にて生成された解析データ、分取部14にて分取された微小粒子のデータ等、微小粒子の分取に関わるあらゆる事項を表示することができる。
【0090】
本技術に係る微小粒子分取装置1において、表示部19は必須ではなく、外部の表示装置を接続してもよい。表示部19としては、例えば、ディスプレイやプリンタなどを用いることができる。
【0091】
<2.微小粒子分取システム2>
図9は、本技術に係る微小粒子分取システム2の第1実施形態を模式的に示す模式概念図であり、図10は、本技術に係る微小粒子分取システム2の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。第1実施形態に係る微小粒子分取システム2は、電圧供給部13と、分取部14と、を備える微小粒子分取装置21と、液滴制御用プログラム22と、を有する。
【0092】
本技術に係る微小粒子分取システム2の液滴制御用プログラム22は、前述した微小粒子分取装置1の制御部16が行う制御機能と同様の機能を、微小粒子分取装置21に実行させるプログラムであり、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に格納された状態で提供され、これを電子計算機C等にダウンロードして用いられる。
【0093】
あるいは、インターネット等のネットワークを介して、外部から配信された液滴制御用プログラム22を、電子計算機C等にダウンロードして用いることもできる。この場合、微小粒子分取システム2としては、図10に示す第2実施形態のように、微小粒子分取装置21と、液滴制御用プログラム21を取得するためのコード23と、がパッケージされた状態で提供することができる。
【0094】
液滴制御用プログラム22がダウンロードされた電子計算機Cは、オリフィスP3から吐出される液滴Dと、該液滴D間に存在するサテライト液滴SDと、の相対関係を取得し、ダウンロードされた液滴制御用プログラム22の制御アルゴリズムが実行され、振動素子Vに供給される駆動条件が算出される。電子計算機Cが、算出された駆動条件に基づいて、微小粒子分取装置21へ指令を出すことにより、微小粒子分取装置21の電圧供給部13から振動素子Vへ供給される駆動電圧の駆動条件が自動制御される。
【0095】
なお、微小粒子分取システム2には、必要に応じて、流路P、光照射部11、光検出部12、振動素子V、液滴検出部15、解析部17、記憶部18、表示部19等を備えることができる。これらは、微小粒子分取装置21に備えてもよいし、それぞれ独立して配置してもよい。例えば、流路Pは、微小粒子分取装置21に予め備えていてもよいが、市販の流路Pや流路Pが設けられた使い捨てのチップなどを微小粒子分取装置21に設置して解析又は分取を行うことも可能である。また、光照射部11や光検出部12は、微小粒子分取装置21に予め備えていてもよいが、外部の光照射装置や光検出装置等を用いて流路Pを通流する微小粒子への光照射や微小粒子からの光検出を行うことも可能である。更に、液滴検出部15、解析部17、記憶部18、表示部19等は、微小粒子分取装置21の中に予め備えていてもよいが、外部の検出装置、解析装置、記憶装置、表示装置等を用いることも可能である。この場合、各装置を、ネットワークを介して接続することも可能である。
【0096】
なお、各部の詳細は、前述した本技術に係る微小粒子分取装置1の各部の詳細と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0097】
<3.液滴分取装置>
本技術に係る液滴分取装置は、電圧供給部と、液滴を分取する分取部と、を少なくとも備える。即ち、前述した微小粒子分取装置1は、微小粒子を含まない液滴を分取する液滴分取装置としても用いることができる。
【0098】
なお、本技術に係る液滴分取装置には、必要に応じて、流路、光照射部、光検出部、振動素子、液滴検出部、解析部、制御部、記憶部、表示部等を備えることができる。各部の詳細は、前述した本技術に係る微小粒子分取装置1の各部の詳細と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0099】
<4.液滴制御装置>
本技術に係る液滴制御装置は、前述した微小粒子分取装置1の制御部16と同様の制御部を少なくとも備える、即ち、前述した微小粒子分取装置1の制御部16は、独立して液滴制御装置として用いることも可能である。
【0100】
なお、液滴制御装置の制御部の詳細は、前述した微小粒子分取装置1の制御部16と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0101】
<5.液滴制御用プログラム>
本技術に係る液滴制御用プログラムは、前述した微小粒子分取装置1の制御部16が行う制御機能と同様の機能を、微小粒子分取装置21に実行させるプログラムである。即ち、前述した微小粒子分取システム2の液滴制御用プログラム22は、独立して、液滴制御用プログラムとして流通させることも可能である。
【0102】
なお、制御機能の詳細は、前述した微小粒子分取装置1の制御部16が行う制御機能と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0103】
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置。
(2)
前記制御部では、前記サテライト液滴の前後いずれかの液滴への吸収のされやすさを示す吸収容易度を指標として駆動条件を制御する、(1)に記載の微小粒子分取装置。
(3)
前記吸収容易度は、前記サテライト液滴と、前後の液滴と、の位置関係に基づいて算出される、(2)に記載の微小粒子分取装置。
(4)
前記吸収容易度は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの時間に基づいて算出される、(2)又は(3)に記載の微小粒子分取装置。
(5)
前記吸収容易度は、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントから、前記サテライト液滴が前後いずれかの液滴へ吸収されるまでの距離に基づいて算出される、(2)から(4)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。
(6)
前記駆動条件は、駆動電圧の周波数である、(1)から(5)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。
(7)
前記駆動条件は、駆動電圧の強度である、(6)に記載の微小粒子分取装置。
(8)
前記制御部では、前記オリフィスと、前記流体ストリームのブレイク・オフ・ポイントと、の位置関係に基づいて、前記駆動条件を制御する、(1)から(7)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。
(9)
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を液滴分取装置に実行させる液滴制御用プログラムと、
を有する微小粒子分取システム。
(10)
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
流路内を通流する微小粒子から検出された光学的情報に基づいて、前記微小粒子を含む液滴を分取する分取部と、
を備える微小粒子分取装置と、
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を液滴分取装置に実行させる液滴制御用プログラムを取得するためのコードと、
を有する微小粒子分取システム。
(11)
流体ストリームを発生するオリフィスに振動を与える振動素子に駆動電圧を供給する電圧供給部と、
前記オリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記振動素子に供給される駆動条件を制御し、前記液滴を分取する分取部と、
を備える液滴分取装置。
(12)
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御部を備える液滴制御装置。
(13)
流体ストリームを発生するオリフィスから吐出される液滴と、該液滴間に存在するサテライト液滴と、の相対関係に基づいて、前記オリフィスに振動を与える振動素子に供給される駆動条件を制御する制御機能を液滴分取装置に実行させる液滴制御用プログラム。
【0104】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 微小粒子分取装置
P 流路
P1 サンプルインレット
P2 シースインレット
P3 オリフィス
11 光照射部
12 光検出部
V 振動素子
13 電圧供給部
14 分取部
141a、141b 偏向板
142a~142c 回収容器
15 液滴検出部
151 撮像素子
152 位置調整機構
153 画像データ処理部
BP ブレイク・オフ・ポイント
16 制御部
D 液滴
SD サテライト液滴
17 解析部
18 記憶部
19 表示部
2 微小粒子分取システム
22 液滴制御用プログラム
23 コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10