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特許7568052通信システム、通信装置、および、無線リンク選択方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置、および、無線リンク選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/541 20230101AFI20241008BHJP
   H04W 72/542 20230101ALI20241008BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20241008BHJP
【FI】
H04W72/541
H04W72/542
H04W24/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023502008
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007557
(87)【国際公開番号】W WO2022180848
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 凜太郎
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507870(JP,A)
【文献】特表2015-522981(JP,A)
【文献】特開2015-177519(JP,A)
【文献】特表2005-539431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、
を備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正手段は、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの混雑度を含み、
前記取得手段は、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されているときに、前記スタンバイ無線チャネルの通信時混雑度を取得し、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されていないときに、前記スタンバイ無線チャネルの非通信時混雑度を取得し、
前記算出手段は、前記通信時混雑度と前記非通信時混雑度との差分を、前記スタンバイ無線リンクの前記干渉度として算出し、
前記補正手段は、前記通信時混雑度を前記差分に基づいて減算することにより、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時混雑度を補正することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの可用帯域をさらに含み、
前記補正手段は、前記差分に基づいて特定された干渉を受けている帯域を、前記可用帯域に加算することにより、前記スタンバイ無線チャネルの可用帯域を補正し、
前記選択手段は、補正された前記可用帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクを前記アクティブ無線リンクとして切り替えるか否かを決定することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記アクティブ無線チャネルにおける第1可用帯域に対する、前記スタンバイ無線チャネルにおける補正された第2可用帯域の第1相対値を算出する比較手段を備え、
前記選択手段は、前記第1相対値が第1閾値を超える場合に、前記スタンバイ無線リンクを、前記アクティブ無線リンクとして切り替えることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記スタンバイ無線リンクには、前記スタンバイ無線チャネルに代えてスタンバイ候補無線チャネルを設定可能であり、
前記比較手段は、前記補正手段によって補正された前記スタンバイ候補無線チャネルの第3可用帯域の、前記第2可用帯域に対する第2相対値を算出し、
前記選択手段は、前記第2相対値の所定期間における積算値が第2閾値を超える場合に、前記スタンバイ候補無線チャネルを、前記スタンバイ無線リンクに設定することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正手段は、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得ステップと、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出ステップと、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正ステップと、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択ステップと、
を含むことを特徴とする無線リンク選択方法。
【請求項10】
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正ステップは、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする請求項に記載の無線リンク選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおいて、無線リンクを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自無線通信システムと他無線通信システムとの間で干渉波による影響が最小限となるようにチャネルを選択する方法が開示されている。具体的には、特許文献1に記載のチャネル選択方法では、選択対象となるチャネルごとに自無線通信システムのチャネル使用状況を調査し、他無線通信システムのチャネル使用状況として例えば干渉波電力を調査する。そして、選択対象となる全チャネルの調査結果に基づいて、干渉波電力が最も小さくなるチャネルを、自無線通信システムでの無線通信に用いるチャネルとして選択する。
【0003】
また、特許文献2には、他チャネルからの干渉を考慮した無線チャネル選択方法が開示されている。具体的には、特許文献2に記載の無線チャネル選択方法では、製造会社毎または製造型番毎に、干渉隣接度および干渉信号強度の値の組み合わせに応じた受信電力対PER特性を、全使用候補チャネルについて予め測定しておく。そして、上述の受信電力対PER特性に基づく干渉度を算出し、干渉度が最小となるチャネルを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2002-186019号公報
【文献】日本国特開2008-78698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信装置が複数の無線部を有する場合においては、同一通信装置内の無線部同士の干渉についても考慮することが望まれる。
【0006】
本発明の一態様は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、複数の無線部を介して複数の無線リンクを切り替える通信装置において、無線リンク間の干渉度を考慮することにより、無線通信の安定化を図る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る通信システムは、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、を備えている。
【0008】
本発明の一側面に係る通信装置は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、を備えている。
【0009】
本発明の一側面に係る無線リンク選択方法は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得ステップと、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出ステップと、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正ステップと、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の無線部を介して複数の無線リンクを切り替える通信装置において、無線リンク間の干渉度を考慮することにより、無線通信の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。
図3】本発明の例示的実施形態2における通信システムの一例を示す図である。
図4】本発明の例示的実施形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
図5】算出部によって算出される干渉度の一例を示すグラフである。
図6】算出部によって算出される干渉度の一例を示すグラフである。
図7】性能パラメータの一例を示す図である。
図8】本発明の例示的実施形態2に係る無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。
図9】本発明の例示的実施形態2に係る無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。
図10】本発明の例示的実施形態1に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図11】本発明の各例示的実施形態における通信装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
<通信装置の構成>
本例示的実施形態に係る通信装置10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、通信装置10の構成を示すブロック図である。通信装置10は、複数の無線部11のうちのいずれかを介して無線通信する装置である。
【0014】
図1に示すとおり、通信装置10は、無線部11、取得部21、算出部26、補正部27および選択部23を備えている。同図には、無線部11の例として、第1無線部111および第2無線部112の2つが示されているが、通信装置10は、3つ以上の無線部、例えば、不図示の第3無線部、第4無線部、・・・などをさらに備えていてもよい。
【0015】
無線部11は、例えば、無線アクセスポイント(以下、無線AP)などの装置との間で無線リンクを確立するための物理コンポーネントである。通信装置10は、各無線部11を介して複数の無線リンクを確立する。各無線リンクには、無線チャネルが設定されており、無線部11は、設定された無線チャネルに対応する周波数帯域を利用して、無線APなどから発せられる電波信号を受け取り、無線通信する。無線部11は、後述する取得部21の制御下で、受信信号強度(RSSI;Received Signal Strength Indication)およびビジータイム等、設定されている無線リンクの通信性能を評価するための情報である性能パラメータを取得してもよい。
【0016】
取得部21は、本例示的実施形態において取得手段を実現する構成である。算出部26は、本例示的実施形態において算出手段を実現する構成である。補正部27は、本例示的実施形態において補正手段を実現する構成である。選択部23は、本例示的実施形態において選択手段を実現する構成である。
【0017】
取得部21は、通信装置10が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、通信装置10が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、無線リンクごとに取得する。
【0018】
算出部26は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置10によって用いられる無線リンクごとに干渉度を算出する。干渉度とは、第1の無線リンクを用いて通信が実行されている時に、第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す。算出部26は、通信時性能パラメータと非通信時性能パラメータとに基づいて上述の干渉度を無線リンクごとに算出する。
【0019】
例えば、通信装置10が通信を行っていないとき、取得部21は、第1無線部111の非通信時性能パラメータと、第2無線部112の非通信時性能パラメータとを取得する。通信装置10が第1無線部111を介して通信を開始すると、取得部21は、第2無線部112の通信時性能パラメータを取得する。通信装置10が第2無線部112を介して制御のための通信パケットの送受信を開始すると、取得部21は、第1無線部111の通信時性能パラメータを取得してもよい。
【0020】
ここで、第2無線部112により確立される無線リンクの通信時性能パラメータは、通信を実行中の第1無線部111が利用している無線チャネルによる干渉の影響をいくらか受けて、実際よりも通信性能が低く見積もられている可能性がある。影響の大きさは、第1無線部111の無線チャネルと第2無線部112の無線チャネルとの隣接度、または、第1無線部111と第2無線部112との物理的な位置関係などに依存し得る。
【0021】
一例として、算出部26は、第1無線部111を介して無線通信が開始される直前において取得された、第2無線部112の非通信時性能パラメータと、上述の無線通信が開始された直後において取得された、第2無線部112の通信時性能パラメータとを比較する。そして、算出部26は、無線通信の開始直前における非通信時性能パラメータと、無線通信の開始直後における通信時性能パラメータとの差分に基づいて、第2無線部112の第2無線リンクが第1無線部111から受ける干渉度を算出する。
【0022】
補正部27は、算出部26によって算出された干渉度に基づいて、取得部21によって取得された通信時性能パラメータを無線リンクごとに補正する。一例として、補正部27は、算出された干渉度を用いて第2の無線チャネルが第1の無線チャネルから干渉を受けている帯域を特定する。補正部27は、特定した干渉を受けている帯域に基づいて、通信時性能パラメータを補正する。通信時性能パラメータが補正されることにより、干渉を受けて通信に利用できないとみなされていた帯域は、通信に利用できる帯域として、無線リンクの通信性能を評価する際に考慮される。以下では、通信に利用できる帯域を、可用帯域と称する。
【0023】
一例として、補正部27は、第2無線部112を介して確立される無線リンクの通信時性能パラメータを干渉度に基づいて補正する。これにより、第2無線部112を介して確立される無線リンクの通信時性能パラメータは、第1無線部111を通信に利用せずに、第2無線部112を通信に利用する際の可用帯域を表すように補正される。
【0024】
選択部23は、補正された通信時性能パラメータに基づいて、通信に用いる無線リンクを選択する。例えば、選択部23は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する。より具体的には、選択部23は、無線通信を実行する第1無線部111によって確立される無線リンクの通信時性能パラメータと、第2無線部112によって確立される無線リンクの補正された通信時性能パラメータとを比較する。そして、選択部23は、より通信性能が高い、例えば、可用帯域が大きい無線リンクを、通信に利用するアクティブ無線リンクとして選択する。
【0025】
<無線リンク選択方法の流れ>
本例示的実施形態に係る無線リンク選択方法の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。図2に示すとおり、無線リンク選択方法は、少なくとも、ステップS1とステップS2とステップS3とステップS4とを含む。
【0026】
ステップS1(取得ステップ)では、取得部21は、複数の無線部11を介して確立される複数の無線リンク、例えば、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置10が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する。
【0027】
ステップS2(算出ステップ)では、算出部26は第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、第1の無線リンクを用いた無線通信時に第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、第2の無線リンクの通信時性能パラメータと非通信時性能パラメータとに基づいて算出する。
【0028】
ステップS3(補正ステップ)では、補正部27は、干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する。
【0029】
ステップS4(選択ステップ)では、補正された通信時性能パラメータに基づいて、複数の無線リンク、例えば、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち、通信に用いる無線リンクを選択する。
【0030】
<通信システム>
本例示的実施形態に係る通信システムについて、図10を参照して説明する。図10は、通信システム100の構成を示すブロック図である。
【0031】
図10に示すとおり、通信システム100は、無線部11、取得部21、算出部26、補正部27および選択部23を備えている。同図には、無線部11の例として、第1無線部111および第2無線部112の2つが示されているが、通信システム100は、3つ以上の無線部、例えば、不図示の第3無線部、第4無線部、・・・などをさらに備えていてもよい。
【0032】
通信装置10における各部と同様に、取得部21は、本例示的実施形態において取得手段を実現する構成である。算出部26は、本例示的実施形態において算出手段を実現する構成である。補正部27は、本例示的実施形態において補正手段を実現する構成である。選択部23は、本例示的実施形態において選択手段を実現する構成である。
【0033】
図10に示すとおり、取得部21、算出部26、補正部27および選択部23の各部は、同一の通信装置10内に搭載されていなくてもよく、いくつかの通信装置に分散して搭載されてもよい。このようにして上述の各部が分散して搭載された、上述のいくつかの通信装置で構成される通信システム100も本開示の範疇である。
【0034】
以上のように、本例示的実施形態に係る通信システム100は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置10が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得部21と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出部26と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正部27と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択部23と、を備えている構成が採用されている。
【0035】
また、本例示的実施形態に係る通信装置10は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置10が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得部21と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出部26と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正部27と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択部23と、を備えている構成が採用されている。
【0036】
また、本例示的実施形態に係る無線リンク選択方法は、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置10が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得ステップ(S1)と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出ステップ(S2)と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正ステップ(S3)と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択ステップ(S4)と、を含む構成が採用されている。
【0037】
このため、本例示的実施形態に係る通信システム100、通信装置10および無線リンク選択方法によれば、無線リンクについて測定された通信時性能パラメータは、無線通信を実行中の第1の無線部に設定されている無線チャネルから受ける干渉度を考慮して補正される。そのため、補正された通信時性能パラメータに基づいて、各無線リンクの通信性能を適正に評価することができる。結果として、適正に評価された通信性能に基づいて、最適な無線リンクを適正に選択することができるので、無線通信の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0038】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0039】
<応用システムの概要>
図3は、本例示的実施形態における応用システムの一例を示す図である。応用システム1は、例えば、無線LAN(Local Area Network)通信システムとして実現された例示的実施形態1の通信システム100(図10)または通信装置10(図1)が適用されたシステムである。
【0040】
応用システム1は、これに限定されないが、一例として、工場内で稼動する複数のクライアント装置が、互いに無線通信し合って業務の効率化などを実現する生産支援システムであってもよい。応用システム1では、複数のクライアント装置としては、例えば、AGV等の移動体、または、タブレット等のモバイル端末などが想定されている。
【0041】
図3において、応用システム1は、通信装置10と、複数の無線AP30、40、50、・・・と、通信装置10の通信相手である別の通信装置60とを含んでいる。応用システム1において、通信相手である通信装置60は、本開示の通信装置10と同様の構成を有する通信装置であってもよく、各無線APと無線接続されていてもよい。
【0042】
応用システム1が、上述の生産支援システムであるケースでは、移動体またはモバイル端末などのクライアント装置の各々が、例示的実施形態1で説明された通信装置10を搭載していてもよい。
【0043】
生産支援システムでは、例えば、工場内に、複数の無線AP(第1AP30、第2AP40、第3AP50、・・・)が配置される。これにより、移動体またはモバイル端末の無線通信を可能にするエリアカバレッジが増やされ、移動体またはモバイル端末の通信装置10は、使用する無線APを切り替えながら、工場内を行き来しつつ、無線通信を行って滞りなく業務を遂行する。
【0044】
応用システム1において、一例として、通信装置は2つ、無線APは3つ示されているが、応用システム1に含まれる通信装置および無線APの数はこれに限定されるものではない。なお、便宜上、3つの無線APを区別するために、それぞれ、第1AP30、第2AP40、および、第3AP50と示しているが、これらを区別する必要がない場合には、まとめて、APと称する。
【0045】
通信装置10は、複数の無線部11によって確立される無線リンクを介して、APと通信可能に構成されている。通信装置10は、一例として、応用システム1におけるクライアント装置に備えられたNIC(Network Interface Card)であってもよい。ここで、通信装置10に備えられている複数の無線部11は、同一のAPに接続するように設定されていてもよい。あるいは、各々の無線部11は、互いに異なるAPに接続するように設定されていてもよい。また、各無線部11を介して確立されるそれぞれの無線リンクには、同じ無線チャネルが設定されてもよいし、無線リンクごとに異なる無線チャネルが設定されてもよい。
【0046】
通信装置60は、通信装置10の通信相手となる装置である。通信装置60は、一例として、応用システム1におけるサーバ装置に備えられたNICであってもよい。
【0047】
通信装置10は、起動時、APを介して通信装置60との無線通信を開始する前に、無線通信を実行していない期間、すなわち、非通信時の各無線リンクにつき、可用帯域を計算するために必要な混雑度を測定する。通信装置10は、各無線リンクの非通信時の混雑度を測定する。本例示的実施形態では、一例として、非通信時の混雑度として、無線通信が開始される直前の時点において測定された混雑度が採用され得る。他の例では、取得部21は、無線通信が開始される直前の数秒間に観測された混雑度の平均値を、非通信時性能パラメータとして採用してもよい。混雑度は、例えば、通信可能な期間(active time)におけるビジータイム(busy time)の割合(%)などで表されてもよいし、ビジータイムそのものであってもよい。
【0048】
通信装置10は、評価対象の無線部11が無線通信を実行している間の、他方の無線部11に対する干渉度もチェックする。以下では、通信時に使用される筆頭の無線部11を、アクティブ無線部11と称し、一例として、第1無線部111が、アクティブ無線部11として選択されていてもよい。それ以外の、通信時に待機している無線部11を、スタンバイ無線部11と称し、一例として、第2無線部112が、スタンバイ無線部11として選択されていてもよい。
【0049】
以下では、アクティブ無線部11によって確立された無線リンク、すなわち、通信装置60などとの無線通信に利用される無線リンクを、アクティブ無線リンクと称する。一方、スタンバイ無線部11によって確立された無線リンク、すなわち、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させる無線リンクをスタンバイ無線リンクと称する。また、アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルをアクティブ無線チャネル、スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルをスタンバイ無線チャネルと称する。
【0050】
通信装置10は、第1無線部111のアクティブ無線チャネルから、第2無線部112のスタンバイ無線チャネルが受ける干渉の度合いを示す干渉度をチェックする。
【0051】
<通信装置の構成>
本例示的実施形態に係る通信装置10の構成について、図4を参照して説明する。図4は、通信装置10の構成を示すブロック図である。
【0052】
図4に示すとおり、通信装置10は、一例として、無線部11、チャネルセンス部12、制御部20、および、記憶部25を備えている。制御部20は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。制御部20は、例示的実施形態1で説明された取得部21、算出部26、補正部27および選択部23に加えて、さらに、比較部22およびハンドオーバ制御部24を有していてもよい。制御部20の各部は、上述の演算装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置(例えば、記憶部25)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0053】
比較部22は、本例示的実施形態において比較手段を実現する構成である。ハンドオーバ制御部24は、本例示的実施形態において選択手段を実現する構成である。
【0054】
記憶部25は、制御部20が処理する各種情報を記憶する。
【0055】
図示の例では、無線部11を2つ示しているが、これに限定されるものではなく、無線部11は、3つ以上備えられていてもよい。
【0056】
チャネルセンス部12は、ハンドオーバ(HO)候補チャネル、すなわち、スタンバイ無線部11を介して確立するスタンバイ無線リンクの候補について、RSSIおよびビジータイムなどを取得する。チャネルセンス部12は、各無線部11に含まれていてもよい。以下では、スタンバイ無線リンクの候補を、スタンバイ候補無線リンク(以下、候補無線リンク)と称し、候補無線リンクに設定される無線チャネルを、スタンバイ候補無線チャネル(以下、候補無線チャネル)と称する。
【0057】
制御部20の取得部21は、第1無線部111および第2無線部112のそれぞれに設定されている無線リンクのそれぞれについて、通信性能を評価するための、性能パラメータを取得する。本例示的実施形態では、一例として、性能パラメータは、混雑度および可用帯域の少なくともいずれかを示す情報であってもよい。アクティブ無線部11としての第1無線部111が無線通信を実行しているときに取得された、アクティブ無線リンクの通信時性能パラメータを、以下では、第1通信時性能パラメータと称する。スタンバイ無線部11としての第2無線部112について、第1無線部111が無線通信を実行しているときに取得されたスタンバイ無線リンクの通信時性能パラメータを、以下では、第2通信時性能パラメータと称する。
【0058】
取得部21は、さらに、チャネルセンス部12を介して、スタンバイ無線部11に設定される候補となる候補無線リンクの通信時性能パラメータを取得してもよい。以下では、候補無線リンクについての通信時性能パラメータを、第3通信時性能パラメータと称する。
【0059】
また、取得部21は、アクティブ無線部11が無線通信を実行していない期間の任意のタイミングで、アクティブ無線リンク、スタンバイ無線リンク、および、候補無線リンクのそれぞれの性能パラメータを取得してもよい。無線通信が行われていない期間、すなわち、非通信時に取得された性能パラメータを、以下では、非通信時性能パラメータと称する。非通信時性能パラメータは、上述の無線リンクごとに、予め記憶部25に記憶されていてもよいし、取得部21によって定期的に取得されてもよい。
【0060】
以下では、アクティブ無線リンクの非通信時性能パラメータを、第1非通信時性能パラメータと称する。スタンバイ無線リンクの非通信時性能パラメータを、第2非通信時性能パラメータと称する。候補無線リンクの非通信時性能パラメータを、第3非通信時性能パラメータと称する。
【0061】
例えば、取得部21は、通信装置10の起動時から無線通信が開始されるまでの任意のタイミングで、各無線リンクの非通信時性能パラメータを取得してもよい。そして、取得部21は、アクティブ無線リンクを用いた無線通信が終了した後、次に無線通信が再開されるまでの期間において、一定間隔で、非通信時性能パラメータの更新を繰り返してもよい。
【0062】
比較部22は、第1通信時性能パラメータと、第2通信時性能パラメータとを比較する。一例として、比較部22は、第1通信時性能パラメータに対する第2通信時性能パラメータの相対値を算出してもよい。上述の相対値を、以下では、第1相対値と称する。
【0063】
比較部22は、さらに、第2通信時性能パラメータと第3通信時性能パラメータとを比較してもよい。一例として、比較部22は、第2通信時性能パラメータに対する第3通信時性能パラメータの相対値を算出してもよい。上述の相対値を、以下では、第2相対値と称する。
【0064】
選択部23は、比較部22による比較結果に基づいて、無線通信に用いるアクティブ無線リンクを選択する。一例として、選択部23は、第1無線部111によって確立される無線リンクおよび第2無線部112によって確立される無線リンクのいずれかから選択する。
【0065】
より具体的には、選択部23は、比較部22が求めた上述の第1相対値を、予め定められた第1閾値と比較する。選択部23は、第1相対値と第1閾値との比較の結果に応じて、第2無線部112によって確立される現行のスタンバイ無線リンクを、アクティブ無線リンクとして切り替えるか否かを判定する。第1閾値は、記憶部25に予め記憶されていてもよい。
【0066】
ハンドオーバ制御部24は、選択部23が、第1相対値が第1閾値以下であると判定した場合に、ハンドオーバを実行するか否かを決定するためのハンドオーバ(HO)判定処理を実行する。本例示的実施形態では、ハンドオーバとは、スタンバイ無線部11によって確立されるスタンバイ無線リンクを、異なる、候補無線リンクに切り替えることを指す。ハンドオーバ制御部24は、第2相対値に基づいて、ハンドオーバを実行するか否かを決定する。
【0067】
より具体的には、ハンドオーバ制御部24は、積算部241と判定部242とを含む。積算部241は、積算対象期間において算出された複数の第2相対値を積算した積算値を算出する。判定部242は、上述の積算値と、予め定められた第2閾値とを比較し、比較結果に応じて、ハンドオーバを実行するか否かを判定する。第2閾値は、記憶部25に予め記憶されていてもよい。
【0068】
具体的には、判定部242は、積算部241によって算出された積算値が第2閾値を超える場合、ハンドオーバを実行すると判定する。ハンドオーバ制御部24は、この判定結果に応じて、ハンドオーバを実行し、スタンバイ無線部11によって確立する無線リンクを、現在のスタンバイ無線リンクから、候補無線リンクに切り替える。
【0069】
一方、積算部241によって算出された積算値が第2閾値以下である場合、判定部242は、ハンドオーバを実行しないと判定する。したがって、ハンドオーバ制御部24によってハンドオーバは実行されずに、スタンバイ無線部11においては、現行のスタンバイ無線リンクが維持される。
【0070】
本例示的実施形態では、算出部26は、アクティブ無線リンクと、スタンバイ無線リンクと、候補無線リンクとのそれぞれについて、通信時性能パラメータと、非通信時性能パラメータとを比較し、干渉度を算出する。アクティブ無線リンクは、例えば、第1無線部111によって確立される無線リンクであってもよい。スタンバイ無線リンクは、例えば、第2無線部112によって確立される無線リンクであってもよい。
【0071】
本例示的実施形態では、補正部27は、算出部26によって算出された各無線リンクの干渉度に基づいて、各通信時性能パラメータを補正する。例えば、補正部27は、アクティブ無線リンクの第1通信時性能パラメータ、スタンバイ無線リンクの第2通信時性能パラメータ、および、スタンバイ候補の無線リンクの第3通信時性能パラメータを補正する。補正部27は、補正した各通信時性能パラメータを比較部22にフィードバックする。
【0072】
比較部22は、補正された通信時性能パラメータに基づいて、第1相対値および第2相対値を算出する。
【0073】
<干渉度の算出>
図5および図6は、算出部26によって算出される干渉度の一例を示すグラフである。図5は、アクティブ無線リンクに設定されているアクティブ無線チャネルが36chであり、スタンバイ無線リンクに設定されているスタンバイ無線チャネルが40chである場合の、それぞれの無線チャネルにおける所定期間における混雑度の推移を示す。図6は、アクティブ無線チャネルが36chであり、スタンバイ無線チャネルが48chである場合の、それぞれの無線リンクにおける所定期間における混雑度の推移を示す。図5および図6のグラフにおいて、縦軸は、通信可能な期間(active time)におけるビジータイム(busy time)の割合(%)を示し、横軸は、ある時点からの経過時間(秒)を示す。
【0074】
図5のグラフによれば、20秒から40秒までの20秒間に、36chが設定されたアクティブ無線部11を介して通信が実行されている。図5のグラフによれば、上述の20秒間の通信実行期間において、スタンバイ無線部11に設定されている40chの混雑度が、無線通信に使用されている36chと同様に急上昇している。このことから、36chの電波信号が、40chの電波信号に大きく干渉していることが判明する。
【0075】
図6のグラフによれば、20秒から40秒までの20秒間に、36chが設定されたアクティブ無線部11を介して通信が実行されている。図6のグラフによれば、上述の20秒間の通信実行期間において、スタンバイ無線部11に設定されている48chの混雑度には、いくらかの上昇がみられる。しかし、40chが受けている干渉度と比較すれば、48chが受けている干渉度は小さいということが分かる。このように、アクティブ無線チャネルとスタンバイ無線チャネルとが近く、周波数帯域の重なりが大きいほど、互いに電波信号の干渉度が高くなる。なお、同じ通信装置10における無線部11の物理的な間隔、または、アクティブ無線部11における送信出力などによっても干渉度は変わる。
【0076】
算出部26は、例えば、スタンバイ無線チャネルまたはスタンバイ候補の無線チャネルである、40chおよび48chのそれぞれについて、干渉度を算出する。算出部26は、非通信時の混雑度(第2非通信時性能パラメータ)と、通信時の混雑度(第2通信時性能パラメータ)との差分を干渉度として算出してもよい。
【0077】
一例として、算出部26は、アクティブ無線部11を介した無線通信が開始される直前における混雑度と、無線通信が開始された直後における混雑度との差分を、干渉度として算出してもよい、他の例では、算出部26は、上述の無線通信が開始される直前の数秒間における混雑度の平均値と、上述の無線通信が開始された直後の数秒間における混雑度の平均値との差分を、干渉度として算出してもよい。図5および図6に示す例では、無線通信が開始された時点が21秒の時点である場合、算出部26は、18秒から20秒までの期間における混雑度の平均値と、22秒から24秒までの期間における混雑度の平均値との差分を干渉度として算出してもよい。
【0078】
<性能パラメータの補正>
補正部27は、40chおよび48chのそれぞれについて、通信時の混雑度(第2通信時性能パラメータ)を算出された干渉度に基づいて補正する。すなわち、補正部27は、通信実行期間において観測された混雑度から、算出部26によって算出された上述の平均混雑度の差分を減算する。これにより、40chおよび48chについて、アクティブ無線チャネル(36ch)の干渉によって実際よりも高く見積もられていた混雑度は、本来の混雑度を示すように修正される。これにより、比較部22は、36chの干渉によってビジーであるかように見えていた部分を、本来通り可用帯域として正確に評価することが可能となる。
【0079】
<相対値の算出について>
図7は、比較部22が、各無線リンクの通信性能を比較するために指標とする性能パラメータの一例を示す図である。比較に用いられる性能パラメータは、例えば、可用帯域73および可用帯域74である。図示のとおり、各無線リンクの通信性能の指標となる可用帯域は、空き帯域と、可用帯域を求めるために注目している無線リンクに設定されているチャネルで使用されている使用帯域との合計値として求められる。以下では、可用帯域を求めるために注目している無線リンクを第1の無線リンクと称し、第1の無線リンクに設定されているチャネルを自チャネルと称する。第1の無線リンク以外の無線リンクを第2の無線リンクと称し、第2の無線リンクに設定されているチャネルを他チャネルと称する。
【0080】
従来、性能パラメータの補正が行われない場合には、各無線リンクの通信性能は以下のように評価されることになる。具体例を挙げると、自チャネルであるアクティブ無線チャネル(36ch)の可用帯域71は、通信に利用が可能であって空いている空き帯域Aと、自チャネルで使用された帯域の実測値である使用帯域Bとの合計値で表される。空き帯域Aおよび使用帯域Bは、ビジータイムなどに基づいて算出されてもよい。
【0081】
帯域Cは、他チャネルを用いた通信によって、自チャネルが電波干渉の影響を受けた帯域の実測値である。帯域Cは、自チャネルで使用されておらず、実際は、空き帯域であるが、他チャネルの干渉を受けて使用中とみなされる擬似使用帯域である。
【0082】
他チャネルは、一例として、第2の無線リンクであるスタンバイ無線リンクに設定されているスタンバイ無線チャネルであり、具体的には、40chなどである。36chにおける帯域Cは、例えば、スタンバイ無線リンクに設定されている40chにおいて、制御に必要なパケットが送受信されたときに、干渉を受けて使用中とみなされた擬似使用帯域である。従来、擬似使用帯域は、通信装置から自チャネルの通信に利用できない帯域に見え、可用帯域に加えることができなかった。
【0083】
以上のとおり、補正部27により補正が行われない場合、36chのアクティブ無線チャネルの可用帯域71は、空き帯域Aと使用帯域Bとの合計値で表されることになる。
【0084】
自チャネルがスタンバイ無線チャネル(40ch)である場合、40chの可用帯域72は、補正部27によって性能パラメータが補正されない場合、36chと同様に、空き帯域Aと使用帯域Bとの合計値で表されることになる。40chの使用帯域Bは、スタンバイ無線リンクを介して通信が実行されたときに、すなわち、自チャネルである40chにおいて、制御に必要なパケットの送受信のために利用された帯域の実測値である。
【0085】
帯域Cは、他チャネルである36chを用いたアクティブ無線リンクにおける通信によって干渉を受けた擬似使用帯域である。帯域Cは、上述のとおり、可用帯域72には含まれない。
【0086】
以上のように、性能パラメータの補正がなされない可用帯域71および可用帯域72を比較すると、36chの可用帯域71が40chの可用帯域72より大きいと判断されてしまい、36chが設定された無線リンクがアクティブ無線リンクとして維持され得る。ここでは、帯域Cが空き帯域として評価されておらず、各無線リンクの通信性能が適正に評価されていない可能性がある。
【0087】
これに対し、補正部27は、例えば、自チャネルについて、他チャネルの干渉によって実際よりも高く見積もられていた混雑度を、実際の混雑度に近くなるように補正することができる。例えば、スタンバイ無線チャネル(40ch)について、アクティブ無線チャネルの干渉によって実際よりも高く見積もられていた混雑度を、実際の混雑度に近くなるように補正してもよい。具体的には、補正部27は、干渉度に基づいて特定した擬似使用帯域Cを、空き帯域revCに改め、改められた空き帯域revCを含んで、40chの可用帯域を評価するように比較部22にフィードバックしてもよい。補正部27は、同様に、アクティブ無線チャネル(36ch)についても、スタンバイ無線チャネルの干渉による擬似使用帯域Cを改めた空き帯域revCを含んで、36chの可用帯域を評価するように比較部22にフィードバックしてもよい。
【0088】
これにより、比較部22は、補正された性能パラメータに基づいて、各無線リンクの通信性能を適正に評価することができる。例えば、比較部22は、36chの帯域A、帯域Bおよび帯域revCの合計値である可用帯域73と、40chの帯域A、帯域Bおよび帯域revCの合計値である可用帯域74とを比較する。これにより、選択部23は、可用帯域74が可用帯域73よりも大きいことに基づいて、アクティブ無線リンクを、現行の36chから40chのスタンバイ無線リンクに切り替えることを決定してもよい。
【0089】
一例として、比較部22は、上述のとおり実情が反映された可用帯域に基づいて、第1相対値を算出することができる。具体的には、比較部22は、補正後のアクティブ無線チャネルの可用帯域73(第1通信時性能パラメータ)と、補正後のスタンバイ無線チャネルの可用帯域74(第2通信時性能パラメータ)との間で行う。つまり、比較部22は、可用帯域74の可用帯域73に対する相対値を、第1相対値として算出する。比較部22は、可用帯域74の可用帯域73に対する比率を第1相対値として算出してもよい。
【0090】
選択部23は、比較部22によって算出された第1相対値が、第1閾値以下であれば、現行のアクティブ無線チャネル、例えば、36chを維持する。一方、第1相対値が、第1閾値を超える場合は、スタンバイ無線チャネル、例えば、40chをアクティブ無線チャネルに切り替える。
【0091】
図示の例では、補正部27による補正が行われない場合、可用帯域72の可用帯域71に対する相対値(図示の例では負の値になる)にしたがって、選択部23は、現行の36chを維持すると判定してしまうところである。しかし、本開示の補正部27による補正が行われた結果、選択部23は、可用帯域74の可用帯域73に対する相対値(図示の例では正の値になる)にしたがって、36chよりも40chの方が高い通信性能を得られると判断し、40chに切り替えることができる。
【0092】
<無線リンク選択方法>
本例示的実施形態に係る無線リンク選択方法の流れについて、図8を参照して説明する。図8は、無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。具体的には、図8には、アクティブ無線リンクの選択方法が示されている。一例として、第1無線部111により、アクティブ無線リンクが確立され、通信装置10における無線通信は、第1無線部111によって行われるものとする。また、第2無線部112により、スタンバイ無線リンクが確立され、第2無線部112は、待機状態にあるものとする。例えば、図8に示す一連の処理は、通信装置10が起動されることにより開始される。
【0093】
ステップS101では、取得部21は、起動時に、各無線部11を介して、アクティブ無線リンクについて、第1非通信時性能パラメータを取得し、スタンバイ無線リンクについて、第2非通信時性能パラメータを取得する。また、取得部21は、チャネルセンス部12を介して、候補無線リンクについて、第3非通信時性能パラメータを取得する。取得部21は、取得した上述の非通信時性能パラメータを記憶部25に記憶させる。
【0094】
取得部21は、非通信時性能パラメータとして、例えば、可用帯域を示す情報を取得してもよい。例えば、取得部21は、無線チャネルにおける可用帯域を以下のようにして求めてもよい。取得部21は、受信信号強度と最大データレートとの対応関係を用いて、無線チャネルにおける受信信号強度に対応する最大データレートを特定する。そして、取得部21は、上述の無線チャネルついて取得したビジータイムに基づいて、該無線チャネルにおける空き時間の割合を算出する。
【0095】
取得部21は、上述のS101の処理を、起動時から通信が開始されるまでの期間、定期的に繰り返し、記憶部25に記憶した非通信時性能パラメータを更新してもよい。
【0096】
ステップS102では、取得部21は、アクティブ無線リンクを用いて無線通信が実行されているか否かを判定する。通信が実行されている場合には、制御部20は、S102のYESからS103に処理を進める。すなわち、補正された通信時性能パラメータに基づいて各無線リンクが評価される。通信が実行されていない場合には、制御部20は、S102のNOからS106に処理を進める。すなわち、S101で取得された最新の非通信時性能パラメータに基づいて各無線リンクが評価される。
【0097】
ステップS103では、取得部21は、アクティブ無線リンク、スタンバイ無線リンク、および、候補無線リンクのそれぞれについて、通信時性能パラメータを取得する。
【0098】
ステップS104では、算出部26は、上述の無線リンクのそれぞれについて、S101で記憶された非通信時性能パラメータと通信時性能パラメータとを比較して、干渉度を算出する。
【0099】
ステップS105では、補正部27は、上述の無線リンクのそれぞれについて、S103で取得された通信時性能パラメータを、S104で算出された干渉度に基づいて補正する。
【0100】
ステップS106では、比較部22は、アクティブ無線リンクの性能パラメータとスタンバイ無線リンクの性能パラメータとを比較する。例えば、比較部22は、最適なアクティブ無線リンクを選択するために必要な第1相対値を算出する。ここで算出される第1相対値は、アクティブ無線リンクの性能パラメータに対する、スタンバイ無線リンクの性能パラメータの相対値を示す。
【0101】
詳細には、比較部22は、S102でYESの場合、S105で補正された第1通信時性能パラメータと第2通信時性能パラメータとの差分を第1相対値として求める。比較部22は、S102でNOの場合、S101で取得された第1非通信時性能パラメータと第2非通信時性能パラメータとの差分を第1相対値として求める。
【0102】
ステップS107~S109では、選択部23は、通信に利用する最適な無線リンクを選択する。具体的には、以下のとおりである。
【0103】
ステップS107では、選択部23は、S106で求められた第1相対値を予め定められた第1閾値と比較する。第1相対値が第1閾値よりも大きい場合、選択部23は、S107のYESからS108へ処理を進める。第1相対値が第1閾値以下の場合、選択部23は、S107のNOからS109へ処理を進める。
【0104】
ステップS108では、選択部23は、アクティブ無線部11を現行の第1無線部111から第2無線部112へ切り替えることを決定する。この決定に応じて無線部11の切り替えが実行されると、第2無線部112がアクティブ無線部11として動作し、第1無線部111がスタンバイ無線部11として動作する。
【0105】
ステップS109では、ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバを実行するか否かを判定するハンドオーバ判定処理(以下、HO判定処理)を実行する。具体的には、ハンドオーバ判定処理では、上述したとおり、積算部241が、積算対象期間において算出された第2相対値の積算値を算出し、判定部242が積算値と第2閾値との比較結果に応じてハンドオーバを実行するか否かを判定する。
【0106】
<無線リンク選択方法>
本例示的実施形態に係る無線リンク選択方法の流れについて、図9を参照して説明する。図9は、無線リンク選択方法の流れを示すフロー図である。具体的には、図9には、ハンドオーバ処理において、スタンバイ無線リンクを選択する方法が示されている。一例として、第1無線部111には、アクティブ無線チャネル(36ch)が設定されており、通信装置10の通信は、第1無線部111によって行われるものとする。また、第2無線部112には、スタンバイ無線チャネル(40ch)が設定されており、第2無線部112は、待機状態にあるものとする。また、候補無線チャネルとしては、48chがある。例えば、図9に示す一連の処理は、通信装置10が起動されることにより開始される。ステップS201~S205は、ステップS101~S105と同様に実行されるため、ここでは説明を繰り返さない。また、ステップS206~S211は、図8に示すS109のHO判定処理に対応している。
【0107】
ステップS206では、比較部22は、スタンバイ無線リンクの性能パラメータとスタンバイ候補の無線リンクの性能パラメータとを比較する。例えば、比較部22は、最適なスタンバイ無線リンクを選択するために必要な第2相対値を算出する。ここで算出される第2相対値は、スタンバイ無線リンクの性能パラメータに対する、スタンバイ候補の無線リンクの性能パラメータの相対値を示す。
【0108】
詳細には、比較部22は、S202でYESの場合、S205で補正された第2通信時性能パラメータと第3通信時性能パラメータとの差分を第2相対値として求める。比較部22は、S202でNOの場合、S201で取得された第2非通信時性能パラメータと第3非通信時性能パラメータとの差分を第2相対値として求める。
【0109】
ステップS207では、ハンドオーバ制御部24の積算部241は、S206で算出された第2相対値を積算して積算値を求め、積算回数をカウントアップする。
【0110】
ステップS208では、判定部242は、S207で求められた積算値を、第2閾値と比較する。比較の結果、積算値が第2閾値を超える場合には、判定部242は、S208のYESからS209に処理を進める。積算値が第2閾値以下である場合には、判定部242は、S208のNOからS211に処理を進める。
【0111】
ステップS209では、判定部242は、ハンドオーバを実行することを決定する。この決定に応じて、ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバを実行する。例えば、ハンドオーバ制御部24は、スタンバイ無線部11により確立するスタンバイ無線リンクを、現行の40chから、候補無線チャネルである48chを採用した候補無線リンクに切り替える。
【0112】
ステップS210では、ハンドオーバ制御部24は、S207でカウントアップされた積算回数と、S207で積算された積算値とをクリアする。ここで、制御部20は、無線リンクを選択する一連の処理を終了してもよい。図8において、ステップS107のNOからS109へ処理が進んだ場合には、制御部20は、S201に戻り、S201以降の処理を実行してもよい。
【0113】
ステップS211では、ハンドオーバ制御部24は、S207でカウントされている積算回数を、予め定められている回数(以下、所定回数)と比較する。所定回数は、予め、記憶部25に記憶されていてもよい。積算回数が所定回数以上である場合、ハンドオーバ制御部24は、S211のYESからS210に処理を進める。
【0114】
積算回数が所定回数未満である場合、ハンドオーバ制御部24は、S211のNOからS210を経ることなく一連の処理を終了する。
【0115】
以上のとおり、本例示的実施形態に係る通信装置10および無線リンク選択方法によれば、1つの通信装置10に設けられている複数の無線部11を介して確立される無線リンク同士の干渉度を考慮することにより、各無線リンクの混雑度を過剰に見積もることを防ぎ、それぞれの無線リンクで採用される無線チャネルについて、混雑度および可用帯域などの通信性能を正しく評価することができる。結果として、高品質な通信性能を発揮する無線リンクを精度よく選択することができ、無線通信の安定化を図ること可能となる。
【0116】
また、本例示的実施形態に係る通信装置10および無線リンク選択方法によれば、非通信時性能パラメータおよび通信時性能パラメータは、定期的に取得され更新される。そのため、通信装置10の各無線部11について、常に最新の状態に基づいて、各無線リンクの通信性能を評価することができる。また、通信装置10について製造会社毎または製造型番毎の特性を事前に測定する必要もない。
【0117】
上述の各例示的実施形態に係る通信システム100および通信装置10は、無線通信するクライアント装置としての無人搬送車(AGV;automated guided vehicle)と複数の無線APとを含む生産支援システムに適用することが可能である。
【0118】
AGVまたはタブレット端末などのように工場内を移動するクライアント装置は、接続する無線APを切り替えながら、無線通信できる環境を維持して業務を遂行する。しかし、この無線APの切り替えには、通品品質(スループット等)の劣化、および、それに伴う通信途絶などのリスクがある。
【0119】
このようなリスクに対して、クライアント装置には、複数の無線部(アクティブ無線部およびスタンバイ無線部)を設けることが考えられる。しかし、各無線リンクの通信性能を適正に評価して、最適な無線リンクを選択するためには、同一クライアント装置内での無線部同士の干渉を考慮する必要があると、本発明者らは考えた。
【0120】
本開示の通信システム100および通信装置10によれば、同一クライアント装置内での無線部同士の干渉を考慮して、各無線リンクに設定されている無線チャネルの可用帯域を評価している。そのため、適正に評価された可用帯域に基づいて、通信性能が安定する最適な無線リンクが選択される。結果として、AGVなどのようにクライアント装置が移動して、頻繁にAPの切り替えが必要となる生産支援システムにおいても、各クライアント装置の通信性能を安定させることが可能となる。
【0121】
〔変形例〕
本開示の通信装置10が適用される応用システム1および本開示の通信システム100は、無線LANによる無線通信システムに限定されない。5G(第5世代移動通信)、LTE(Long Term Evolution)、LPWA(Low Power Wide Area-network)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの各種の無線通信規格に準拠したさまざまな無線通信システムに適用することができる。
【0122】
取得部21は、性能パラメータとしての可用帯域を取得する方法として、受信信号強度と最大データレートとの対応関係を用い、ビジータイムに基づいて、空き時間の割合を算出した。取得部21は、この方法に限らず、例えば、測定のためのパケット群、いわゆる、パケットトレインを送信する方法によって可用帯域を取得してもよい。この場合、取得部21は、対向する通信装置60側でパケットトレインが受信されたときのパケット間隔の変動、つまり、ジッターに基づいて、可用帯域を推定してもよい。
【0123】
上述の各例示的実施形態では、複数の無線部11について、それぞれの役割は、通信に用いるアクティブ無線部11と、待機させるスタンバイ無線部11とに分けられていた。しかし、本開示の無線リンク選択方法は、通信装置10において、複数の無線部11を介して通信を実行する場合、すなわち、パケットミラーリングを実行する場合においても、適用することが可能である。
【0124】
〔ソフトウェアによる実現例〕
通信装置10の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0125】
後者の場合、通信装置10は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図11に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを通信装置10として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、通信装置10の各機能が実現される。
【0126】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0127】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0128】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0129】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0131】
(付記1)
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、を備えていることを特徴とする通信システム。
【0132】
上述の構成によれば、複数の無線部を介して複数の無線リンクを切り替える通信装置において、無線リンク間の干渉を考慮することにより、各無線リンクの通信性能をより正確に評価することが可能となり、結果として、無線通信の安定化を図ることができる。
【0133】
(付記2)
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正手段は、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする付記1に記載の通信システム。
【0134】
上述の構成によれば、複数の無線部を介して複数の無線リンクを切り替える通信装置において、スタンバイ無線リンクがアクティブ無線リンクから受ける干渉を考慮することにより、スタンバイ無線リンクの通信性能をより正確に評価することが可能となり、結果として、無線通信の安定化を図ることができる。
【0135】
(付記3)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの混雑度を含み、
前記取得手段は、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されているときに、前記スタンバイ無線チャネルの通信時混雑度を取得し、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されていないときに、前記スタンバイ無線チャネルの非通信時混雑度を取得し、
前記算出手段は、前記通信時混雑度と前記非通信時混雑度との差分を、前記スタンバイ無線リンクの前記干渉度として算出し、
前記補正手段は、前記通信時混雑度を前記差分に基づいて減算することにより、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時混雑度を補正することを特徴とする付記2に記載の通信システム。
【0136】
上述の構成によれば、スタンバイ無線リンクがアクティブ無線リンクから受ける干渉によって嵩む混雑度を差し引くことにより、スタンバイ無線リンクの通信性能をより正確に評価することが可能となり、結果として、無線通信の安定化を図ることができる。
【0137】
(付記4)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの可用帯域をさらに含み、
前記補正手段は、前記差分に基づいて特定された干渉を受けている帯域を、前記可用帯域に加算することにより、前記スタンバイ無線チャネルの可用帯域を補正し、
前記選択手段は、補正された前記可用帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクを前記アクティブ無線リンクとして切り替えるか否かを決定することを特徴とする付記3に記載の通信システム。
【0138】
上述の構成によれば、スタンバイ無線リンクがアクティブ無線リンクから受ける干渉によって嵩む混雑度を差し引くことにより、スタンバイ無線リンクに設定されている無線チャネルの可用帯域をより正確に評価することが可能となり、結果として、無線通信の安定化を図ることができる。
【0139】
(付記5)
前記アクティブ無線チャネルにおける第1可用帯域に対する、前記スタンバイ無線チャネルにおける補正された第2可用帯域の第1相対値を算出する比較手段を備え、
前記選択手段は、前記第1相対値が第1閾値を超える場合に、前記スタンバイ無線リンクを、前記アクティブ無線リンクとして切り替えることを特徴とする付記4に記載の通信システム。
【0140】
上述の構成によれば、スタンバイ無線リンクに設定されている無線チャネルの可用帯域を低く見積もることなく、より十分な帯域が確保できると評価されれば、スタンバイ無線リンクをアクティブ無線リンクとして切り替えることが可能となる。
【0141】
(付記6)
前記スタンバイ無線リンクには、前記スタンバイ無線チャネルに代えてスタンバイ候補無線チャネルを設定可能であり、
前記比較手段は、前記補正手段によって補正された前記スタンバイ候補無線チャネルの第3可用帯域の、前記第2可用帯域に対する第2相対値を算出し、
前記選択手段は、前記第2相対値の所定期間における積算値が第2閾値を超える場合に、前記スタンバイ候補無線チャネルを、前記スタンバイ無線リンクに設定することを特徴とする付記5に記載の通信システム。
【0142】
上述の構成によれば、スタンバイ候補無線チャネルの可用帯域を低く見積もることなく、より十分な帯域が確保できると評価されれば、スタンバイ候補無線リンクを、スタンバイ無線リンクとして切り替えることが可能となる。
【0143】
(付記7)
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得手段と、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出手段と、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正手段と、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【0144】
上述の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0145】
(付記8)
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正手段は、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【0146】
上述の構成によれば、付記2と同様の効果を奏する。
【0147】
(付記9)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの混雑度を含み、
前記取得手段は、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されているときに、前記スタンバイ無線チャネルの通信時混雑度を取得し、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されていないときに、前記スタンバイ無線チャネルの非通信時混雑度を取得し、
前記算出手段は、前記通信時混雑度と前記非通信時混雑度との差分を、前記スタンバイ無線リンクの前記干渉度として算出し、
前記補正手段は、前記通信時混雑度を前記差分に基づいて減算することにより、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時混雑度を補正することを特徴とする付記8に記載の通信装置。
【0148】
上述の構成によれば、付記3と同様の効果を奏する。
【0149】
(付記10)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの可用帯域をさらに含み、
前記補正手段は、前記差分に基づいて特定された干渉を受けている帯域を、前記可用帯域に加算することにより、前記スタンバイ無線チャネルの可用帯域を補正し、
前記選択手段は、補正された前記可用帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクを前記アクティブ無線リンクとして切り替えるか否かを決定することを特徴とする付記9に記載の通信装置。
【0150】
上述の構成によれば、付記4と同様の効果を奏する。
【0151】
(付記11)
前記アクティブ無線チャネルにおける第1可用帯域に対する、前記スタンバイ無線チャネルにおける補正された第2可用帯域の第1相対値を算出する比較手段を備え、
前記選択手段は、前記第1相対値が第1閾値を超える場合に、前記スタンバイ無線リンクを、前記アクティブ無線リンクとして切り替えることを特徴とする付記10に記載の通信装置。
【0152】
上述の構成によれば、付記5と同様の効果を奏する。
【0153】
(付記12)
前記スタンバイ無線リンクには、前記スタンバイ無線チャネルに代えてスタンバイ候補無線チャネルを設定可能であり、
前記比較手段は、前記補正手段によって補正された前記スタンバイ候補無線チャネルの第3可用帯域の、前記第2可用帯域に対する第2相対値を算出し、
前記選択手段は、前記第2相対値の所定期間における積算値が第2閾値を超える場合に、前記スタンバイ候補無線チャネルを、前記スタンバイ無線リンクに設定することを特徴とする付記11に記載の通信装置。
【0154】
上述の構成によれば、付記6と同様の効果を奏する。
【0155】
(付記13)
第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得ステップと、
前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出ステップと、
前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正ステップと、
補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択ステップと、
を含むことを特徴とする無線リンク選択方法。
【0156】
上述の方法によれば、付記1および付記7と同様の効果を奏する。
【0157】
(付記14)
前記第1の無線リンクは、前記無線通信に用いられるアクティブ無線リンクであり、前記第2の無線リンクは、前記アクティブ無線リンクに代えて前記無線通信に用いられるまで待機させるスタンバイ無線リンクであり、
前記補正ステップは、前記スタンバイ無線リンクに設定された無線チャネルであるスタンバイ無線チャネルが、前記アクティブ無線リンクを用いた通信時に前記アクティブ無線リンクに設定された無線チャネルであるアクティブ無線チャネルから干渉を受けた帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時性能パラメータを補正することを特徴とする付記13に記載の無線リンク選択方法。
【0158】
上述の方法によれば、付記2および付記8と同様の効果を奏する。
【0159】
(付記15)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの混雑度を含み、
前記取得ステップは、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されているときに、前記スタンバイ無線チャネルの通信時混雑度を取得し、前記アクティブ無線リンクによる通信が実行されていないときに、前記スタンバイ無線チャネルの非通信時混雑度を取得し、
前記算出ステップは、前記通信時混雑度と前記非通信時混雑度との差分を、前記スタンバイ無線リンクの前記干渉度として算出し、
前記補正ステップは、前記通信時混雑度を前記差分に基づいて減算することにより、前記スタンバイ無線リンクの前記通信時混雑度を補正することを特徴とする付記14に記載の無線リンク選択方法。
【0160】
上述の方法によれば、付記3および付記9と同様の効果を奏する。
【0161】
(付記16)
前記通信時性能パラメータおよび前記非通信時性能パラメータは、前記無線リンクに設定された前記無線チャネルの可用帯域をさらに含み、
前記補正ステップは、前記差分に基づいて特定された干渉を受けている帯域を、前記可用帯域に加算することにより、前記スタンバイ無線チャネルの可用帯域を補正し、
前記選択ステップは、補正された前記可用帯域に基づいて、前記スタンバイ無線リンクを前記アクティブ無線リンクとして切り替えるか否かを決定することを特徴とする付記15に記載の無線リンク選択方法。
【0162】
上述の方法によれば、付記4および付記10と同様の効果を奏する。
【0163】
(付記17)
前記アクティブ無線チャネルにおける第1可用帯域に対する、前記スタンバイ無線チャネルにおける補正された第2可用帯域の第1相対値を算出する比較ステップを含み、
前記選択ステップは、前記第1相対値が第1閾値を超える場合に、前記スタンバイ無線リンクを、前記アクティブ無線リンクとして切り替えることを特徴とする付記16に記載の無線リンク選択方法。
【0164】
上述の方法によれば、付記5および付記11と同様の効果を奏する。
【0165】
(付記18)
前記スタンバイ無線リンクには、前記スタンバイ無線チャネルに代えてスタンバイ候補無線チャネルを設定可能であり、
前記比較ステップは、前記補正ステップによって補正された前記スタンバイ候補無線チャネルの第3可用帯域の、前記第2可用帯域に対する第2相対値を算出し、
前記選択ステップは、前記第2相対値の所定期間における積算値が第2閾値を超える場合に、前記スタンバイ候補無線チャネルを、前記スタンバイ無線リンクに設定することを特徴とする付記17に記載の無線リンク選択方法。
【0166】
上述の方法によれば、付記6および付記12と同様の効果を奏する。
【0167】
〔付記事項3〕
上述した例示的実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0168】
通信システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクのうち少なくともいずれかを用いて無線通信をする通信装置が無線通信をしているときの無線リンクの通信性能を表す通信時性能パラメータと、前記通信装置が無線通信をしていないときの無線リンクの通信性能を表す非通信時性能パラメータとを、前記無線リンクごとに取得する取得処理(S1)と、前記第2の無線リンクに設定されている第2の無線チャネルが、前記第1の無線リンクを用いた無線通信時に前記第1の無線リンクに設定されている第1の無線チャネルから受ける干渉の度合いを示す干渉度を、前記第2の無線リンクの前記通信時性能パラメータと前記非通信時性能パラメータとに基づいて算出する算出処理(S2)と、前記干渉度を用いて特定した干渉を受けている帯域に基づいて、前記通信時性能パラメータを補正する補正処理(S3)と、補正された前記通信時性能パラメータに基づいて、前記第1の無線リンクおよび第2の無線リンクから、通信に用いる無線リンクを選択する選択処理(S4)と、を実行する通信システム。
【0169】
なお、この通信システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記算出処理と、前記補正処理と、前記選択処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 応用システム
10 通信装置
11 無線部
12 チャネルセンス部
20 制御部
21 取得部(取得手段)
22 比較部(比較手段)
23 選択部(選択手段)
24 ハンドオーバ制御部(選択手段)
25 記憶部
26 算出部(算出手段)
27 補正部(補正手段)
100 通信システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11