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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通信端末、監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72424 20210101AFI20241008BHJP
   H04M 1/72463 20210101ALI20241008BHJP
   H04M 1/72484 20210101ALI20241008BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20241008BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04M1/72424
H04M1/72463
H04M1/72484
H04M11/04
G08B25/10 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023510010
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013812
(87)【国際公開番号】W WO2022208714
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大竹 一昭
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真次
(72)【発明者】
【氏名】中西 智明
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-013695(JP,A)
【文献】特開2010-231658(JP,A)
【文献】特開2016-220091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/72424
H04M 1/72463
H04M 1/72484
H04M 11/04
G08B 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急通報メッセージを送信する通信手段と、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にする制御手段と、を備え、
前記通信手段は、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信
前記制御手段は、
前記緊急通報メッセージに対する応答メッセージもしくは遠隔監視を実行する監視指示メッセージを前記監視端末から受信した場合に、前記操作もしくは前記機能を無効にする、通信端末。
【請求項2】
緊急通報メッセージを送信する通信手段と、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にする制御手段と、を備え、
前記通信手段は、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信し、
前記制御手段は、
前記監視端末から監視を終了することを示す監視終了メッセージを受信した場合に、無効にした前記操作もしくは前記機能を有効にする、通信端末。
【請求項3】
緊急通報メッセージを送信する通信手段と、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にする制御手段と、を備え、
前記通信手段は、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信し、
前記制御手段は、
前記機能を無効にした後にタイマーを起動し、前記タイマーが満了した場合に、無効にした前記操作もしくは前記機能を有効にする、通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、
ユーザが操作することによって実行されるすべての機能のうち、少なくとも一つの機能を無効にする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項5】
緊急通報メッセージを送信する通信手段と、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にする制御手段と、を備え、
前記通信手段は、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信し、
前記通信手段は、
前記監視端末との間の通信を中継するサーバを介してデータ及びメッセージを送受信し、
前記通信手段は、
前記監視端末との通信に関する処理の優先度を示す優先度情報を含む前記緊急通報メッセージを前記サーバへ送信する、通信端末。
【請求項6】
緊急通報メッセージを送信し、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、前記緊急通報メッセージに対する応答メッセージもしくは遠隔監視を実行する監視指示メッセージを監視端末から受信した場合に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、前記監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信する、監視方法。
【請求項7】
緊急通報メッセージを送信し、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信し、
前記監視端末から監視を終了することを示す監視終了メッセージを受信した場合に、無効にした前記操作もしくは前記機能を有効にする、監視方法。
【請求項8】
緊急通報メッセージを送信し、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信し、
前記機能を無効にした後にタイマーを起動し、前記タイマーが満了した場合に、無効にした前記操作もしくは前記機能を有効にする、監視方法。
【請求項9】
緊急通報メッセージを送信し、
前記緊急通報メッセージが送信された後に、前記緊急通報メッセージに対する応答メッセージもしくは遠隔監視を実行する監視指示メッセージを監視端末から受信した場合に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、
前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、前記監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は通信端末、監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末の所有者は、周囲の人間に気づかれずに、通信端末を用いて他の通信端末との通信を実行したい場合がある。例えば、銀行などの金融機関において銀行強盗事件が発生した場合、銀行の行員もしくは来店者が、強盗に気づかれることなく、通信端末を用いて警察や警備会社へ情報を提供することによって、事件が早期に解決される場合がある。
【0003】
特許文献1には、移動通信端末機が緊急メッセージを送信した後に、緊急モードにて動作している間、終了キーが入力されるまで、移動通信端末機のバックライトが動作しないことが記載されている。さらに、移動通信端末機は、緊急モードにて動作している間、音声がミュートに設定される。移動通信端末機がこのように動作することによって、犯罪者は、移動端末機が緊急メッセージを送信した事実を認識できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2008-544627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、犯罪者は、特許文献1に開示された移動通信端末機の終了キーを操作することによって、バックライトをONにし、さらに、音声のミュートを解除することができる。そのため、特許文献1に開示された移動通信端末機を手にした犯罪者が、緊急モードにて動作している移動通信端末機を認識してしまう可能性があるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、通信端末において実行されている処理が通信端末の操作者に認識されないようにすることができる通信端末、監視方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる通信端末は、緊急通報メッセージを送信する通信部と、前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にする制御部と、を備え、前記通信部は、前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信する。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる監視方法は、緊急通報メッセージを送信し、前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが前記通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信する。
【0009】
本開示の第3の態様にかかるプログラムは、緊急通報メッセージを送信し、前記緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末の操作もしくはユーザが通信端末を操作することによって実行される機能を無効にし、前記操作もしくは前記機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、前記監視端末に対してデータを送信することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、通信端末において実行されている処理が通信端末の操作者に認識されないようにすることができる通信端末、監視方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる通信端末の構成図である。
図2】実施の形態2にかかる通信システムの構成図である。
図3】実施の形態2にかかる通信端末の構成図である。
図4】実施の形態2にかかる監視端末の構成図である。
図5】実施の形態2にかかる通信端末における緊急時の制御処理の流れを示す図である。
図6】実施の形態2にかかる通信端末における緊急時の制御処理の流れを示す図である。
図7】実施の形態2にかかる通信システムにおける通信端末の監視処理の流れを示す図である。
図8】実施の形態2にかかる通信システムにおける通信端末の監視処理の流れを示す図である。
図9】それぞれの実施の形態にかかる通信端末の構成図である。
図10】それぞれの実施の形態にかかる監視端末の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて実施の形態1にかかる通信端末10の構成例について説明する。通信端末10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。通信端末10は、例えば、スマートフォン端末、タブレット型端末、腕時計型端末等の携帯端末であってもよい。もしくは、通信端末10は、ノートブック型もしくはデスクトップ型のコンピュータ装置であってもよい。
【0013】
通信端末10は、通信部11及び制御部12を有している。通信部11及び制御部12は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部11及び制御部12は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0014】
通信部11は、緊急通報メッセージを送信する。通信部11は、通信端末10のユーザによる緊急通報を行うための発信操作を検出した場合に、緊急通報メッセージを送信する。ユーザは、例えば、銀行強盗、ハイジャック、バスジャック、タクシー強盗等に遭遇もしくは巻き込まれた場合に緊急通報を行う可能性がある。通信部11は、ユーザから入力された宛先に対して緊急通報メッセージを送信してもよい。もしくは、通信部11は、ユーザからあて先が入力されなかった場合、予め保持しているあて先に対して緊急通報メッセージを送信してもよい。通信部11は、ユーザから入力される事件の内容に応じて異なる宛先へ緊急通報メッセージを送信してもよい。緊急通報メッセージの宛先は、例えば、警察、消防、もしくは他の機関であってもよい。
【0015】
また、通信部11は、ユーザによる発信操作を伴わずに、自律的に緊急通報メッセージを送信してもよい。例えば、通信部11は、通信端末10の周囲の環境を検出するセンサによるセンサ結果に応じて緊急通報メッセージを送信してもよい。例えば、通信部11は、騒音、衝撃等を検出した場合に、緊急通報メッセージを送信してもよい。通信部11は、センサの検出結果に応じて異なる宛先へ緊急通報メッセージを送信してもよい。
【0016】
制御部12は、通信部11から緊急通報メッセージが送信された後に、ユーザによる通信端末10の操作もしくはユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能を無効にする。ユーザは、通常、通信端末10に備えられているボタン操作、もしくは、ディスプレイ上で指を移動させるタッチ操作を行うことによって、通信端末10に搭載されている機能を実行する。ユーザによる通信端末10の操作を無効にすることは、例えば、ユーザが通信端末10を操作することによって通信端末10に入力される操作情報を無効にすることであってもよい。
【0017】
ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、例えば、通話音声、動画から出力される音声、操作音、着信音、等の音のボリュームを調整する機能であってもよい。ボリュームを調整する機能には、ミュート状態へ遷移させる機能もしくはミュート状態を解除する機能も含む。さらに、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、画面表示機能であってもよい。さらにユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、通信端末10にインストールされているアプリケーションを起動、停止、もしくは切り替える機能や、カメラを用いた撮影機能、マイクを用いて周囲の音声を収集する機能等を含んでもよい。さらに、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、電源をONもしくはOFFにする等の電源を制御する機能を含んでもよい。さらに、さらに、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、モバイル通信をONもしくはOFFにする、さらに、フライトモードをONもしくはOFFにする等の、通信端末10が実行する通信に関する制御を含んでもよい。
【0018】
ボリュームを調整する機能が無効となることによって、例えば、通信端末10のスピーカーから音が出力されないままの状態が維持されてもよい。また、画面表示機能が無効となることによって、例えば、画面に何も表示されない状態が維持されてもよい。
【0019】
制御部12は、ユーザが通信端末10を操作することによって実行されるすべての機能のうち一部の機能を無効にしてもよい。制御部12は、緊急通報メッセージが送信された後に無効にする機能を予め定めていてもよい。この場合、制御部12は、通信部11から緊急通報メッセージが送信されたことを検出すると、予め定められた機能を無効にしてもよい。
【0020】
また、制御部12は、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能ではなく、例えば、ネットワークを介して他の通信端末から遠隔操作によって実行される機能については有効のままにしておいてもよい。遠隔操作を行う他の通信端末を、監視端末とする。例えば、制御部12は、監視端末がネットワークを介して通信端末10のカメラ機能もしくはマイク機能のON及びOFFを切り替えることを可能にしてもよい。さらに、制御部12は、監視端末からの要求により、通信端末10がカメラ機能もしくはマイク機能等を用いて収集した周囲の情報を監視端末へ送信することを可能にしてもよい。これにより、監視端末が、遠隔操作により、通信端末10の周囲の情報を収集することを可能となる。つまり、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能は、ユーザが通信端末10を直接操作することによって実行される機能であってもよい。ユーザが通信端末10を直接操作することは、例えば、ユーザが通信端末10を直接手に取って操作することであってもよい。
【0021】
通信部11は、ユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能が無効にされている間に、監視端末との間においてデータ通信を開始し、監視端末に対してデータを送信する。データ通信を開始することは、例えば、通信端末10と監視端末との間において通信回線が確立し、データ通信を実行できる状態であってもよい。通信部11は、予め定められたデータを監視端末へ送信してもよく、監視端末から要求されたデータを監視端末へ送信してもよい。
【0022】
以上説明したように、通信端末10は、緊急通報メッセージを送信するような緊急時に、ユーザによる通信端末10の操作もしくはユーザが通信端末10を操作することによって実行される機能を無効にする。例えば、画面に何も表示されていない通信端末10を手に取ったユーザは、通信端末10が動作していることを認識することができなくなる。つまり、通信端末10を手に取ったユーザが、犯罪者であった場合に、犯罪者が、通信端末10を介して通信端末10の周囲の情報が監視端末に送信されていることに気づく可能性を減少させることができる。また、犯罪者が、通信端末10を介して何らかの監視が行われていることに気付いた場合に通信端末10を操作しても、通信端末10の機能を実行することはできない。つまり、犯罪者が、監視端末による監視機能を停止することができない。これによって、監視端末が、犯罪者の監視を継続することができるという効果を有する。
【0023】
(実施の形態2)
続いて、図2を用いて実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。図2の通信システムは、通信端末20、サーバ30、及び監視端末40を有している。通信端末20は、図1の通信端末10に相当する。サーバ30及び監視端末40は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。サーバ30は、通信端末20及び監視端末40が通信を行える状態にする処理を実行するサーバであり、例えば、呼処理サーバであってもよい。例えば、サーバ30は、通信端末20と監視端末40との間においてデータ通信が行われるために、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた呼処理制御を行ってもよい。SIPを用いた呼処理制御は、例えば、通信端末20及び監視端末40が、発信及び着信を行い、通信端末20と監視端末40との間のセッションを確立することであってもよい。
【0024】
さらに、サーバ30は、通信端末20と監視端末40との間において伝送されるデータを中継してもよい。通信端末20と監視端末40との間において伝送されるデータは、テキストデータ、音声データ、画像データ、映像データ、等であってもよい。または、通信端末20及び監視端末40は、サーバ30を介することなく、IPネットワーク上においてデータを送受信してもよい。つまり、通信端末20及び監視端末40は、サーバ30を介した呼処理制御によって通信端末20と監視端末40との間のセッションが確立されると、サーバ30を介することなく、互いに通信を行ってもよい。
【0025】
監視端末40は、通信端末20からデータを収集することによって、通信端末20の周囲の状況を監視する。例えば、銀行強盗事件もしくは立てこもり事件等が発生した場合に、監視端末40を操作する警察機関は、事件現場に存在する通信端末20から様々なデータを収集することによって事件現場の分析を行ってもよい。例えば、監視端末40は、通信端末20が撮影した画像もしくは映像データを収集してもよい。もしくは、監視端末40は、通信端末20のマイクが検出した通信端末20の周囲の音声を示す音声データを収集してもよい。
【0026】
通信端末20は、監視端末40からの要求に応じて、通信端末20において生成したデータを監視端末40へ送信してもよい。また、通信端末20が監視端末40へデータを送信していることを犯人に気づかれるのを避ける必要がある。そのため、例えば、通信端末20は、画面のバックライトを点灯させないようにして、画面をブラックアウトした状態としてもよい。または、通信端末20は、監視端末40の周囲の音声をスピーカーから出力させないようにミュート状態としてもよい。
【0027】
続いて、図3を用いて実施の形態2にかかる通信端末20の構成例について説明する。通信端末20は、図1の通信端末10にマイク21、スピーカー22、表示部23、アプリケーション24、及び入力部25が追加された構成である。以下の通信端末20の説明において、通信端末10と共通している構成の説明を省略する。
【0028】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であってもよい。例えば、通信端末20のユーザは、表示部23に表示されている複数のアプリケーション24の中から使用するアプリケーションを選択してもよい。例えば、ユーザは、クリック、タップ、もしくはタッチ(以下、タッチ操作)することによってアプリケーションを起動する。
【0029】
通信端末20のユーザは、通信端末20に物理的に備えられているボタンを操作することによって、スピーカー22から出力される音声のボリュームを調整してもよい。もしくは、通信端末20のユーザは、表示部23に表示されている複数のアプリケーション24の中から、タッチ操作をすることによってボリュームを調整するアプリケーションを選択し、スピーカー22から出力される音声のボリュームを調整してもよい。音声のボリュームを調整することは、ミュート状態にしてスピーカー22から音声を出力させないことを含む。
【0030】
入力部25は、ユーザによる操作情報を検出する入力インタフェースであってもよい。例えば、入力部25は、ユーザのタッチ操作を検出するセンサであってもよく、ユーザによるボタン操作を検出する機構であってもよい。または、入力部25は、ユーザが文字を入力するための文字入力インタフェースであってもよい。もしくは、通信端末20を操作するユーザもしくは通信端末20の周囲の音声を収集するマイク21は、入力部25に含まれてもよい。
【0031】
通信部11は、入力部25を介してユーザから緊急通報の実行を指示された場合に、緊急通報メッセージをサーバ30へ送信する。制御部12は、通信部11から緊急通報メッセージが送信されたことを検出すると、ユーザが実行するボタン操作もしくはタッチ操作によって実行される機能を無効にする。もしくは、制御部12は、通信部11から緊急通報メッセージが送信されたことを検出すると、ユーザが実行するボタン操作もしくはタッチ操作自体を無効にしてもよい。
【0032】
例えば、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、画面のバックライトの点灯を停止し、画面をブラックアウトさせてもよい。つまり、制御部12は、画面のバックライトを点灯させる機能を無効にしてもよい。制御部12は、通常であれば、ユーザがボタン操作もしくはタッチ操作をすることによって実行される画面のバックライトを点灯させる機能を無効にしてもよい。さらに、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、表示部23における表示自体を停止させてもよい。
【0033】
また、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、スピーカー22から音声を出力する機能を無効にし、ミュート状態としてもよい。さらに、制御部12は、スピーカー22のミュート状態を解除する機能を無効にしてもよい。
【0034】
また、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、ユーザのボタン操作もしくはタッチ操作による、新たなアプリケーション24の起動操作を無効にしてもよい。また、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、ユーザのボタン操作もしくはタッチ操作による、起動済みのアプリケーション24の停止操作を無効にしてもよい。つまり、制御部12は、通信部11が緊急通報メッセージを送信した後に、アプリケーション24を起動もしくは停止する機能を無効にしてもよい。
【0035】
制御部12は、監視端末40から監視終了メッセージを受信すると、無効にしていた機能を有効にする。もしくは、制御部12は、ユーザが通信端末を操作することによって実行される機能を無効にした際に、タイマーを起動させは、タイマーが満了した後に、無効にしていた機能を有効にしてもよい。また、制御部12は、監視終了メッセージを受信すると、OFF状態の画面をONにしてもよく、スピーカーのミュート状態を解除してもよい。
【0036】
続いて、図4を用いて実施の形態2にかかる監視端末40の構成例について説明する。監視端末40は、通信部41及び監視部42を有している。通信部41及び監視部42は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部41及び監視部42は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0037】
通信部41は、サーバ30を介して通信端末20から送信された緊急通報メッセージを受信する。監視部42は、通信部41において緊急通報メッセージが受信されると、通信端末20を監視するために、通信部41を介して通信端末20へ、監視指示メッセージを送信する。監視指示メッセージには、例えば、収集を要望するデータの種類が含まれてもよい。例えば、監視指示メッセージには、テキストデータ、音声データ、画像データ、及び映像データのうち少なくとも一つを監視端末40へ送信することを指示するパラメータが含まれてもよい。さらに、監視指示メッセージには、通信端末20においてカメラ、マイク等を起動することを示すパラメータもしくはメッセージ等を含んでもよい。
【0038】
監視部42は、通信端末20の監視を終了する際に、通信部41を介して通信端末20へ監視終了メッセージを送信する。
【0039】
続いて、図5を用いて実施の形態2にかかる通信端末20における緊急時の制御処理の流れについて説明する。はじめに、通信部11は、監視端末40をあて先とする緊急通報メッセージをサーバ30へ送信する(S11)。もしくは、サーバ30が通信端末20の監視を行う監視端末を決定する場合には、通信端末20は、サーバ30をあて先とする緊急通報メッセージをサーバ30へ送信してもよい。
【0040】
次に、制御部12は、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする(S12)。制御部12は、ユーザが通信端末20を操作することによって実行されるすべての機能を無効にしてもよく、すべての機能のうち一部の機能を無効にしてもよい。
【0041】
次に、制御部12は、タイマーを起動する(S13)。ステップS13において起動されるタイマーは、監視端末40からの監視指示メッセージを待っている状態がエンドレスに継続することを回避するために用いられる。次に、制御部12は、監視端末40から監視指示メッセージを受信したか否かを判定する(S14)。制御部12が、監視端末40から監視指示メッセージを受信したと判定した場合、通信部11は、監視端末40から送信することを指定されたデータもしくは監視端末40へ送信すべき予め定められたデータを監視端末40へ送信する(S15)。次に、制御部12は、監視終了メッセージを受信したか否かを判定する(S16)。制御部12は、監視終了メッセージを受信していないと判定した場合、ステップS15の処理を繰り返す。制御部12は、監視終了メッセージを受信したと判定した場合、無効としていたユーザによる通信端末20の操作もしくは通信端末20内の機能を有効にする(S18)。ステップS14において制御部12は、監視指示メッセージを受信していないと判定した場合、タイマーが満了したか否かを判定する(S17)。制御部12は、タイマーが満了していないと判定した場合、ステップS14の処理を繰り返す。制御部12は、タイマーが満了したと判定した場合、無効としていたユーザによる通信端末20の操作もしくは通信端末20内の機能を有効にする(S18)。
【0042】
続いて、図6を用いて、図5における緊急時の制御処理の流れと異なる制御処理の流れについて説明する。はじめに、通信部11は、監視端末40をあて先とする緊急通報メッセージをサーバ30へ送信する(S21)。ステップS21の処理は、図5のステップS11の処理と同様である。
【0043】
次に、制御部12は、通信部11において、監視端末40から緊急通報メッセージに対する応答メッセージを受信したか否かを判定する(S22)。制御部12は、応答メッセージを受信していないと判定した場合、ステップS22の処理を繰り返す。制御部12は、応答メッセージを受信したと判定した場合、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする(S23)。また、制御部12は、ステップS22の処理を所定の回数繰り返し、応答メッセージを受信していないと判定した場合、図6の処理を終了してもよい。ステップS23の処理が実行された後、図5のステップS13以降の処理を繰り返す。
【0044】
通信端末20が監視端末40から緊急通報メッセージに対する応答メッセージを受信することは、監視端末40が通信端末20を監視することができる状態にあることを示している。一方、監視端末40が監視端末40から応答メッセージを受信していないことは、監視端末40が通信端末20を監視することができる状態ではないことを示している。監視端末40が通信端末20を監視することができる状態ではないとは、例えば、監視端末40に障害が発生している、監視端末40が起動されていない、もしくは、監視端末40がネットワークに接続されていない、等の状態であってもよい。
【0045】
監視端末40が通信端末20を監視することができる状態ではない場合には、通信端末20が監視端末40へデータを送信することはない。そのため、通信端末20が銀行強盗や立てこもりの犯人に確認されたとしても、通信端末20が監視に用いられているわけではないため、特に問題はない。そのため、制御部12がステップS22の処理を実行することによって、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする必要が無い場合、通信端末20を通常通りに使用可能とすることができる。
【0046】
続いて、図7を用いて実施の形態2にかかる通信システムにおける通信端末20の監視処理の流れについて説明する。はじめに、通信端末20は、サーバ30へ緊急通報メッセージを送信する(S31)。次に、通信端末20は、緊急通報メッセージを送信した後に、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする(S32)。
【0047】
サーバ30は、緊急通報メッセージを受信すると、受信した緊急通報メッセージを監視端末40へ送信する(S33)。サーバ30は、緊急通報メッセージの宛先として、監視端末40が定められている場合、緊急通報メッセージを監視端末40へ送信する。サーバ30は、緊急通報メッセージの宛先として監視端末が指定されていない場合、例えば、予め保持している監視端末のリストの中から監視端末40を選択し、監視端末40へ緊急通報メッセージを送信してもよい。
【0048】
例えば、通信端末20は、緊急通報メッセージに、通信端末20の位置情報を含めてもよい。さらに、サーバ30は、位置情報と監視端末とを関連付けて管理していてもよい。この場合、サーバ30は、緊急通報メッセージに含まれる通信端末20の位置に関連付けられている監視端末40を選択し、監視端末40へ緊急通報メッセージを送信してもよい。
【0049】
もしくは、通信端末20は、発生した事件の内容を示す情報を緊急通報メッセージに含めてもよい。さらに、サーバ30は、事件の内容と監視端末とを関連付けて管理していてもよい。この場合、サーバ30は、緊急通報メッセージに含まれる事件の内容に関連付けられている監視端末40を選択し、監視端末40へ緊急通報メッセージを送信してもよい。
【0050】
また、通信端末20は、緊急通報メッセージに、接続優先度を示す情報を含めてもよい。接続優先度は、例えば、サーバ30と通信端末20との間のセッションに関する処理の優先度であってもよい。サーバ30と通信端末20との間のセッションに関する処理は、例えば、サーバ30が通信端末20から受信するメッセージに関する受信処理、及び、サーバ30が通信端末20へ送信するメッセージに関する送信処理であってもよい。
【0051】
サーバ30は、接続優先度が高いセッションに関する処理ほど、優先的に処理を実行してもよい。接続優先度を示す情報は、例えば、LTE(Long Term Evolution)もしくは5G(5th Generation)システムにおいてQoS(Quality of Service)クラスを示すQCI(QoS Class Identifier)もしくは5QI(5G QoS Indicator)であってもよい。サーバ30は、QCIもしくは5QIを用いて優先制御を実行してもよい。もしくは、接続優先度を示す情報は、IPヘッダのDSCP(Differentiated Services Code Point)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.1Qの優先度タグ等であってもよい。サーバ30は、DSCPもしくは優先度タグを用いて優先制御を実行してもよい。また、サーバ30は、緊急通報メッセージに含まれている接続優先度に従わない場合、サーバ30が決定した接続優先度に従って、通信端末20とサーバ30との間において伝送されるメッセージを処理してもよい。また、サーバ30は、通信端末20から接続優先度を示す情報を受信する代わりに、事前に通信端末20について定められた接続優先度情報を保持していてもよい。
【0052】
次に、監視端末40は、緊急通報メッセージに対する応答メッセージとして、受信応答メッセージをサーバ30へ送信する(S34)。監視端末40は、受信応答メッセージに、接続優先度を示す情報を含めてもよい。接続優先度は、サーバ30と監視端末40との間のセッションに関する処理の優先度であってもよい。
【0053】
次に、サーバ30は、監視端末40から受信した受信応答メッセージを通信端末20へ送信する(S35)。サーバ30が、受信応答メッセージを通信端末20へ送信することによって、通信端末20とサーバ30との間のセッション、及び、サーバ30と監視端末40との間のセッションが確立されてもよい。それぞれのセッションが確立されたことによって、通信端末20と監視端末40との間においてサーバ30を介した音声データ等の送受信が可能となる。
【0054】
もしくは、サーバ30が、受信応答メッセージを通信端末20へ送信することによって、通信端末20と監視端末40との間のセッションが確立されてもよい。通信端末20と監視端末40との間のセッションが確立されたことによって、通信端末20と監視端末40との間において、サーバ30を介することなく、音声データ等の送受信が可能となってもよい。図7においては、通信端末20とサーバ30との間のセッション、及び、サーバ30と監視端末40との間のセッションを確立する処理の流れが示されている。
【0055】
次に、監視端末40は、通信端末20からデータを収集するために、監視指示メッセージをサーバ30へ送信する(S36)。監視指示メッセージには、通信端末20が監視端末40へ送信すべきデータの種類を示す情報が含まれていてもよい。次に、サーバ30は、監視端末40から受信した監視指示メッセージを通信端末20へ送信する(S37)。
【0056】
次に、通信端末20は、監視指示メッセージに含まれている監視端末40へ送信すべきデータの種類、もしくは監視端末40へ送信すべき予め定められたデータの種類に従って、監視端末40へ監視データを送信する(S38)。監視データには、例えば、テキストデータ、音声データ、画像データ、映像データ、等のうち少なくとも一つのデータが含まれてもよい。さらに、監視指示メッセージに、通信端末20の位置情報の送信が指示されている場合には、監視データには、通信端末20の位置情報が含まれてもよい。サーバ30は、受信した監視データを監視端末40へ送信する(S39)。
【0057】
次に、監視端末40は、監視データの分析等を完了し、通信端末20の監視を終了する場合、監視終了メッセージをサーバ30へ送信する(S40)。サーバ30は、監視端末40から受信した監視終了メッセージを通信端末20へ送信する(S41)。
【0058】
通信端末20は、監視終了メッセージを受信すると、ステップS32において無効としていたユーザによる通信端末20の操作もしくは通信端末20の機能を有効とする(S42)。つまり、通信端末20は、監視終了メッセージを受信すると、ユーザによる通信端末20の操作に応じて、各種機能を実行することを可能とする。
【0059】
続いて、図8を用いて、図7とは異なる監視処理の流れについて説明する。図8のステップS51~S54は、図7のステップS31、S33~S35と同様であるため詳細な説明を省略する。図7においては、ステップS32における、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする処理が、ステップS35において通信端末20が受信応答メッセージを受信する前に行われる。一方、図8の監視処理においては、ステップS55の、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする処理が、通信端末20が受信応答メッセージを受信した後に行われる。
【0060】
図8のステップS56~S62は、図7のステップS36~S42と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0061】
また、図7及び図8においては、監視端末40が、緊急通報メッセージを受信した後に、監視端末40が受信応答メッセージを通信端末20へ送信する処理について説明した。図7及び図8においては、通信端末20と監視端末40とが、緊急通報メッセージ及び受信応答メッセージを送受信することによって、通信端末20とサーバ30との間のセッション、及び、サーバ30と監視端末40との間のセッションが確立される。つまり、通信端末20を発信側端末、監視端末40を受信側端末として、緊急通報メッセージ及び受信応答メッセージは、呼処理メッセージとして用いられる。
【0062】
一方、監視端末40は、緊急通報メッセージに対する受信応答メッセージの送信を省略してもよい。つまり、監視端末40が緊急通報メッセージを受信した後に、監視端末40は、発信側端末として、監視指示メッセージを、着信側端末である通信端末20へ送信してもよい。この場合、通信端末20は、監視指示メッセージに対する応答メッセージを監視端末40へ送信してもよい。つまり、監視指示メッセージ及び通信端末20から送信される受信応答メッセージが呼処理メッセージとして用いられてもよい。
【0063】
また、図6及び図8においては、通信端末20は、受信応答メッセージを受信した後にユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする処理が行われることが示されている。ここで、通信端末20は、受信応答メッセージの受信ではなく、監視指示メッセージの受信をトリガーとして、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする処理を実行してもよい。
【0064】
以上説明したように、実施の形態2にかかる通信端末20は、緊急通報メッセージを送信した後に、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にする。さらに、通信端末20は、監視端末40から受信した指示メッセージに応じて、データを監視端末40へ送信する。その結果、銀行強盗もしくは立てこもりの犯人が通信端末20を手に取った場合であっても、犯人が監視端末40が通信端末20を用いて通信端末20周辺の状況を監視していることに気づく可能性を低くすることができる。
【0065】
また、犯人が通信端末20において何らかの緊急時の動作が実行されていることに気づいた場合であっても、通信端末20は、監視端末40からの監視終了メッセージを受信するまで監視データの送信を停止することはない。つまり、犯人が通信端末20を操作したとしても、通信端末20から監視端末40への監視データの送信を停止することはできない。その結果、監視端末40は、継続して通信端末20を用いた監視を行うことができる。
【0066】
さらに、通信端末20は、図6及び図8において説明したように、監視端末40から応答メッセージを受信した後に、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にすることもできる。これによって、監視端末40が通信端末20を監視可能な状態になった後に、ユーザによる通信端末20の操作もしくはユーザが通信端末20を操作することによって実行される機能を無効にすることが可能となる。
【0067】
図9は、通信端末10または通信端末20(以下、通信端末10等とする)の構成例を示すブロック図である。Radio Frequency(RF)トランシーバ1101は、基地局と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1101により行われるアナログRF信号処理は、周波数アップコンバージョン、周波数ダウンコンバージョン、及び増幅を含む。RFトランシーバ1101は、アンテナ1102及びベースバンドプロセッサ1103と結合される。すなわち、RFトランシーバ1101は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をベースバンドプロセッサ1103から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1102に供給する。また、RFトランシーバ1101は、アンテナ1102によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをベースバンドプロセッサ1103に供給する。
【0068】
ベースバンドプロセッサ1103は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、(a) データ圧縮/復元、(b) データのセグメンテーション/コンカテネーション、(c) 伝送フォーマット(伝送フレーム)の生成/分解、(d) 伝送路符号化/復号化、(e) 変調(シンボルマッピング)/復調、及び(f) Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)によるOFDMシンボルデータ(ベースバンドOFDM信号)の生成などを含む。一方、コントロールプレーン処理は、レイヤ1(e.g., 送信電力制御)、レイヤ2(e.g., 無線リソース管理、及びhybrid automatic repeat request(HARQ)処理)、及びレイヤ3(e.g., アタッチ、モビリティ、及び通話管理に関するシグナリング)の通信管理を含む。
【0069】
例えば、LTEおよび5Gの場合、ベースバンドプロセッサ1103によるデジタルベースバンド信号処理は、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤ、Radio Link Control(RLC)レイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。また、ベースバンドプロセッサ1103によるコントロールプレーン処理は、Non-Access Stratum(NAS)プロトコル、RRCプロトコル、及びMAC CEの処理を含んでもよい。
【0070】
ベースバンドプロセッサ1103は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Digital Signal Processor(DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit(CPU)、又はMicro Processing Unit(MPU))を含んでもよい。この場合、コントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサは、後述するアプリケーションプロセッサ1104と共通化されてもよい。
【0071】
アプリケーションプロセッサ1104は、CPU、MPU、マイクロプロセッサ、又はプロセッサコアとも呼ばれる。アプリケーションプロセッサ1104は、複数のプロセッサ(複数のプロセッサコア)を含んでもよい。アプリケーションプロセッサ1104は、メモリ1106又は図示されていないメモリから読み出されたシステムソフトウェアプログラム(Operating System(OS))及び様々なアプリケーションプログラム(例えば、通話アプリケーション、WEBブラウザ、メーラ、カメラ操作アプリケーション、音楽再生アプリケーション)を実行することによって、通信端末10等の各種機能を実現する。
【0072】
いくつかの実装において、図9に破線(1105)で示されているように、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのチップ上に集積されてもよい。言い換えると、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのSystem on Chip(SoC)デバイス1105として実装されてもよい。SoCデバイスは、システムLarge Scale Integration(LSI)またはチップセットと呼ばれることもある。
【0073】
メモリ1106は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ又はこれらの組合せである。メモリ1106は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。例えば、メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103、アプリケーションプロセッサ1104、及びSoC1105からアクセス可能な外部メモリデバイスを含んでもよい。メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103内、アプリケーションプロセッサ1104内、又はSoC1105内に集積された内蔵メモリデバイスを含んでもよい。さらに、メモリ1106は、Universal Integrated Circuit Card(UICC)内のメモリを含んでもよい。
【0074】
メモリ1106は、上述の複数の実施形態で説明された通信端末10等による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納してもよい。いくつかの実装において、ベースバンドプロセッサ1103又はアプリケーションプロセッサ1104は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ1106から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明された通信端末10等の処理を行うよう構成されてもよい。
【0075】
図10は、監視端末40の構成例を示すブロック図である。図10を参照すると、監視端末40は、ネットワークインタフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワークインタフェース1201は、他のネットワークノードと通信するために使用されてもよい。ネットワークインタフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0076】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された監視端末40の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0077】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0078】
図10の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された監視端末40の処理を行うことができる。
【0079】
図10を用いて説明したように、上述の実施形態における監視端末40が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0080】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0081】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 通信端末
11 通信部
12 制御部
20 通信端末
21 マイク
22 スピーカー
23 表示部
24 アプリケーション
25 入力部
30 サーバ
40 監視端末
41 通信部
42 監視部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10