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特許7568107映像処理システム、映像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】映像処理システム、映像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20241008BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N7/18 K
G06T7/20 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023532917
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2021025424
(87)【国際公開番号】W WO2023281620
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉泊 大輔
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/084677(WO,A1)
【文献】特開2018-81654(JP,A)
【文献】特開2014-155693(JP,A)
【文献】特開2003-87771(JP,A)
【文献】特開2018-198056(JP,A)
【文献】特開2007-6324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成手段と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定手段と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録手段と
を備える映像処理システム。
【請求項2】
人物ID及び行動IDを含む検索要求を受信した場合、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報を出力する検索手段を備える
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項3】
前記検索手段は、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報から、1又は複数の場面関連情報を選択し、選択された前記1又は複数の場面関連情報を出力する
請求項2に記載の映像処理システム。
【請求項4】
前記検索手段は、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報から、前記1又は複数の場面関連情報を、その場面関連情報に対応する前記少なくとも1つのフレーム画像のメタデータであって、前記人物ID及び前記行動IDを除くメタデータに基づいて選択する
請求項3に記載の映像処理システム。
【請求項5】
前記行動変換手段は、行動ウォッチリストに予め登録され、かつ各々が参照用行動IDに対応付けられた参照用骨格情報の中から、生成した前記骨格情報との類似度が所定閾値以上である参照用骨格情報を特定し、特定した前記参照用骨格情報に対応付けられた参照用行動IDを、前記行動IDとして特定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の映像処理システム。
【請求項6】
前記画像取得手段は、複数のフレーム画像を取得し、
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる前記人物の顔領域から抽出した顔特徴情報に基づいて、前記複数のフレーム画像に含まれる人物をクラスタリングし、
前記複数のフレーム画像に含まれる人物について、前記クラスタリングされたクラスタの識別情報に基づいて人物IDを特定する
請求項1から5のいずれか一項に記載の映像処理システム。
【請求項7】
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像に含まれる前記顔領域と前記複数のフレーム画像に含まれる身体領域とに基づいて、前記人物IDを特定する
請求項6に記載の映像処理システム。
【請求項8】
前記画像取得手段は、複数のフレーム画像を取得し、
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる人物の身体領域から抽出した身体特徴情報と、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる人物の顔領域から抽出した顔特徴情報と、に基づいて、前記複数のフレーム画像に含まれる人物をクラスタリングし、
前記クラスタリングされたクラスタの識別情報に基づいて人物IDを特定する
請求項7に記載の映像処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成し、
前記骨格情報を行動IDに変換し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定し、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する
映像処理方法。
【請求項10】
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成処理と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定処理と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録処理と
を、コンピュータに実行させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像処理システム、映像処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
放送事業の番組制作において、番組映像に含まれる特定の出演者が出演している場面に関する情報を、簡単なキーワード検索で検索したいという要求がある。このような要求は、放送事業だけでなく、特定の人物の情報を捜査する監視分野においても同様である。例えば特許文献1では、顔画像から抽出した顔特徴と、顔情報に基づいて判別した属性とを1つの人物情報として格納したデータベースから人物検索を行わせる顔画像検索システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-252654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで放送事業及び監視分野等において、映像に含まれる特定の人物の「特定の行動」を示す場面に関する情報を、簡単なキーワード検索で検索したいという要求がある。しかし上述の特許文献1では、特定の行動を検索キーとして検索結果を絞りこむことができない。したがって、このような検索を実現するためには、特定の人物が特定の行動をした場合の情報を、簡単なキーワードに紐づけてデータベースに蓄積することが求められている。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、特定の人物が特定の行動をした場面に関する情報を容易に蓄積できる映像処理システム、映像処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる映像処理システムは、
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成手段と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定手段と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録手段と
を備える。
【0007】
本開示の一態様にかかる映像処理方法は、
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成し、
前記骨格情報を行動IDに変換し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定し、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する。
【0008】
本開示の一態様にかかる非一時的なコンピュータ可読媒体は、
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成処理と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定処理と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録処理と
を、コンピュータに実行させるためのプログラムが格納される。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、特定の人物が特定の行動をした場面に関する情報を容易に蓄積できる映像処理システム、映像処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1にかかる映像処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態2にかかる映像処理システムの構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。
図5】実施形態2にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
図6】実施形態3にかかる映像処理システムの構成を示すブロック図である。
図7】実施形態3にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態3にかかる映像処理に含まれる人物特定処理を説明するための図である。
図9】実施形態3にかかる映像処理方法により生成されるデータのデータ構造の一例を示す図である。
図10】実施形態4にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。
図11】実施形態4にかかる異なるフレーム画像を比較し、顔画像同士及び身体画像同士の関連付けを行う例を示す図である。
図12】実施形態4にかかる異なるフレーム画像を比較し、顔画像同士及び身体画像同士の関連付けを行う例を示す図である。
図13】実施形態5にかかる映像処理システムの構成を示すブロック図である。
図14】実施形態5にかかる映像処理方法により生成されるデータのデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、請求の範囲にかかる開示を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施形態1>
まず、本開示の実施形態1について説明する。図1は、実施形態1にかかる映像処理システム10の構成を示すブロック図である。映像処理システム10は、映像データから、映像データに登場する人物のID(人物ID)と、その人物の行動を示す行動IDと、登場シーンに関連する情報とを対応付けた検索データベース(DB)を生成するコンピュータシステムである。人物IDは、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する情報であり、例えば人物名である。行動IDは、行動を識別する情報であり、例えば行動名である。行動名は、一例として、「転倒」、「座り込み」、「野球をプレイする」及び「サッカーをプレイする」等であってよい。
【0013】
映像処理システム10は、画像取得部11と、骨格情報生成部13と、行動変換部14と、人物特定部18と、登録部20とを備える。
【0014】
画像取得部11は、画像取得手段とも呼ばれる。画像取得部11は、映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する。
【0015】
骨格情報生成部13は、骨格情報生成手段とも呼ばれる。骨格情報生成部13は、画像取得部11で取得した少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する。人物の身体領域は、人物の身体の少なくとも一部を示す画像領域であり、身体画像と呼ばれることがある。骨格情報は、関節等の特徴的な点である「キーポイント」と、キーポイント間のリンクを示す「ボーン(ボーンリンク)」とから構成される情報である。以下では、特に限定されない限り、「キーポイント」は人物の「関節」に対応し、「ボーン」は人物の「骨」に対応している。
【0016】
行動変換部14は、行動変換手段とも呼ばれる。行動変換部14は、骨格情報生成部13で生成した少なくとも1つの骨格情報を行動IDに変換する。
【0017】
人物特定部18は、人物特定手段とも呼ばれる。人物特定部18は、画像取得部11で取得した少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の顔領域に基づいて、人物IDを特定する。人物の顔領域は、人物の顔を示す画像領域であり、顔画像と呼ばれることがある。
【0018】
登録部20は、登録手段とも呼ばれる。登録部20は、行動変換部14で変換した行動IDと、人物特定部18で特定した人物IDと、少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けて検索DB(不図示)に登録する。場面関連情報は、フレーム画像に対応した場面に関する情報である。例えば場面関連情報は、画像メタデータを含んでよいし、取得したフレーム画像そのものを含んでもよいし、フレーム画像を含む映像データそのものを含んでもよい。画像メタデータは、例えば、フレーム画像の撮影時間や放送時間、撮影場所、フレーム画像を含む映像データの番組名及びフレーム画像に対応する番組内のコーナー名等であってよい。
【0019】
図2は、実施形態1にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。まず映像処理システム10の画像取得部11は、映像データに含まれるフレーム画像を取得する(S10)。次に、骨格情報生成部13は、フレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する(S11)。次に、行動変換部14は、骨格情報を行動IDに変換する(S12)。次に、人物特定部18は、フレーム画像に含まれる人物の顔領域に基づいて、人物IDを特定する(S13)。次に、登録部20は、行動IDと、人物IDと、フレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けて、検索DBに登録する(S14)。
【0020】
尚、S13に示す処理は、S11~S12の前に実行されてもよいし、S11~S12と並行して実行されてもよい。
【0021】
このように実施形態1によれば、映像処理システム10は、行動ID及び人物IDという簡単なキーワードを、フレーム画像に関連する場面関連情報に対応付けた検索DBを生成することができる。映像処理システム10は、行動IDを、骨格情報を用いて特定することで、映像から行動IDを容易に特定できる。したがって、特定の人物が特定の行動をした場面に関する情報を、検索DBに容易に蓄積することができる。
【0022】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について説明する。図3は、実施形態2にかかる映像処理システム1の構成を示すブロック図である。映像処理システム1は、人物IDと、行動IDと、場面関連情報とを対応付けた検索DBを用いて、映像に関連する情報の検索を実現するコンピュータシステムである。映像処理システム1は、映像処理装置100と、映像データサーバ200と、ユーザ端末300とを備える。
【0023】
映像データサーバ200は、カメラユニット等を用いて撮影された映像データを蓄積するコンピュータ装置である。映像データサーバ200は、映像処理装置100に、有線又は無線のネットワークを介して通信可能に接続されている。映像データサーバ200は、一連の映像データを映像処理装置100に送信する。あるいは、映像データサーバ200は、予め記録した映像データを、フレーム単位で映像処理装置100に送信する。
【0024】
ユーザ端末300は、検索を要求するユーザが使用する端末装置である。ユーザ端末300は、有線又は無線のネットワーク(不図示)を介して、検索要求を映像処理装置100に送信し、検索要求に応じた検索結果を映像処理装置100から受信する。
【0025】
映像処理装置100は、映像データサーバ200から受信した映像データから、映像に登場する人物の人物IDと、その人物の行動を示す行動IDとを抽出する。そして、映像処理装置100は、人物IDと、行動IDと、登場シーンであるフレーム画像の場面関連情報とを、検索DBに対応付けて登録する。一方、映像処理装置100は、ユーザ端末300から検索キーワードを含む検索要求を受信した場合、検索DBを参照し、検索キーワードに対応付けられた場面関連情報を、ユーザ端末300に出力(送信)する。
【0026】
(映像処理装置100)
次に、映像処理装置100の具体的な構成について説明する。映像処理装置100は、画像取得部101、身体画像抽出部102、骨格情報生成部103、行動変換部104、行動ウォッチリスト(WL)105、顔画像抽出部106、顔情報抽出部107、人物特定部108、人物WL109、登録部110、検索DB111及び検索部112を備える。各構成要素は、互いに接続されていてよい。
【0027】
画像取得部101は、上述した画像取得部11の一例である。画像取得部101は、映像データサーバ200から、映像データを取得する。そして画像取得部101は、映像データに含まれるフレーム画像を、身体画像抽出部102及び顔画像抽出部106に供給する。
【0028】
身体画像抽出部102は、フレーム画像において所定の条件に合致する身体の画像領域(身体領域)を、身体画像として抽出する(例えば、切り出す)。身体画像抽出部102は、所定の条件として、例えば所定の矩形画像領域における画像の特徴量が、予め設定された身体画像の特徴量と一致するか否かを照合する。身体画像抽出部102は、抽出した身体画像を、骨格情報生成部103に供給する。
【0029】
骨格情報生成部103は、機械学習を用いた骨格推定技術を用いて、身体画像において認識される人物の関節等の特徴に基づき人物の骨格情報を生成する。骨格情報生成部103は、例えばOpenPose等の骨格推定技術を用いてよい。骨格情報生成部103は、骨格情報を行動変換部104に供給する。
【0030】
行動変換部104は、行動WL105を用いて、骨格情報に対応付けられた行動IDを特定する。尚、行動WL105は、参照用骨格情報1050と、参照用行動ID1051とを対応付けた情報を記憶する記憶装置である。参照用骨格情報1050及び参照用行動ID1051は、行動WL105に予め登録された参照用画像から抽出された骨格情報、及び参照用画像から特定された行動IDである。
具体的には、まず行動変換部104は、行動WL105に登録される参照用骨格情報1050の中から、骨格情報生成部103で生成した骨格情報との類似度が所定閾値以上である参照用骨格情報1050を特定する。そして行動変換部104は、特定した参照用骨格情報1050に対応付けられた参照用行動ID1051を、取得したフレーム画像に含まれる人物に対応する行動IDとして特定する。
【0031】
尚、行動変換部104は、1のフレーム画像に対応する骨格情報に基づいて1の行動IDを特定してもよいし、複数のフレーム画像の各々に対応する骨格情報の時系列データに基づいて1の行動IDを特定してもよい。行動変換部104は、複数のフレーム画像を用いて1の行動IDを特定する場合、動きが大きい骨格情報だけを抽出し、抽出した骨格情報を並べて、行動WL105と照合するための時系列データを生成してよい。動きが大きい骨格情報だけを抽出するとは、隣接するフレーム画像の骨格情報の変化量が所定量以上の骨格情報を抽出することであってよい。これにより、計算負荷を軽減するとともに、行動検出にロバスト性を持たせることができる。
【0032】
ここで、行動IDの特定には、上述した方法の他に、様々な方法が考えられる。例えば行動IDで正解付けされたフレーム画像を学習データとして学習させた行動推定モデルを用いて、対象となるフレーム画像から行動IDを推定する方法が挙げられる。しかしながら、この学習データを集めることが困難であり、コストも高い。また、例えば人物の体の一部が隠れていたりすると、人物の行動を検出できない場合もある。これに対して本実施形態2では、行動IDの推定に骨格情報を用い、行動WL105を活用して予め登録された骨格情報と比較する。したがって本実施形態2では、映像処理装置100は、容易に行動IDを特定することができる。
【0033】
行動変換部104は、特定した行動IDを、登録部110に供給する。
【0034】
顔画像抽出部106は、顔画像抽出手段とも呼ばれる。顔画像抽出部106は、フレーム画像に含まれる、所定の条件に合致する顔の画像領域(顔領域)を、顔画像として抽出する。顔画像抽出部106は、所定の条件として、例えば所定の矩形画像領域における画像の特徴量が、予め設定された顔画像の特徴量と一致するか否かを照合する。顔画像抽出部106は、身体画像抽出部102により人物画像を抽出した後に、抽出した人物画像に含まれる顔領域を、顔画像として抽出してもよい。この場合、例えば顔画像抽出部106は、フレーム画像内の人物領域の頭部位置に基づいて顔画像を抽出してもよい。顔画像抽出部106は、顔画像を顔情報抽出部107に供給する。
【0035】
顔情報抽出部107は、顔情報抽出手段とも呼ばれる。顔情報抽出部107は、顔画像から顔特徴情報を抽出する。顔特徴情報は、顔画像から抽出された特徴点の集合であり、顔情報とも呼ばれる。顔情報抽出部107は、抽出した顔情報を、人物特定部108に供給する。
【0036】
人物特定部108は、人物WL109を用いて、顔情報に対応付けられた人物IDを特定する。尚、人物WL109は、参照用顔情報1090と、参照用人物ID1091とを対応付けた情報を記憶する記憶装置である。参照用顔情報1090及び参照用人物ID1091は、人物WL109に予め登録された参照用顔画像から抽出された顔情報、及び参照用顔画像から特定された人物IDである。
具体的には、まず人物特定部108は、人物WL109に登録される参照用顔情報1090の中から、顔情報抽出部107で抽出した顔情報との類似度が所定閾値以上である参照用顔情報1090を特定する。そして人物WL109は、特定した参照用顔情報1090に対応付けられた参照用人物ID1091を、取得したフレーム画像に含まれる人物を識別する人物IDとして特定する。
【0037】
人物特定部108は、特定した人物IDを、登録部110に供給する。
【0038】
登録部110は、フレーム画像に関連する画像メタデータを取得する。例えば登録部110は、映像処理装置100の管理者から入力装置(不図示)を介して入力された画像メタデータを取得する。画像メタデータは、フレーム画像とともに、場面関連情報と呼ばれることがある。登録部110は、人物IDと、行動IDと、フレーム画像と、画像メタデータとを対応付けて、検索DB111に登録する。
【0039】
検索DB111は、人物ID1100と、行動ID1101と、フレーム画像1102と、画像メタデータ1103とを対応付けた情報を記憶する記憶装置である。
【0040】
検索部112は、検索手段と呼ばれる。検索部112は、検索要求をユーザ端末300から受信し、検索要求に応じた検索結果をユーザ端末300に送信する。例えば検索部112は、人物ID及び行動IDを含む検索要求をユーザ端末300から受信した場合、検索要求に含まれる人物ID及び行動IDに対応付けられた場面関連情報を、検索DB111から取得する。そして検索部112は、ユーザ端末300に、取得した場面関連情報を検索結果として送信する。このとき、検索部112は、ユーザ端末300の表示部(不図示)に検索結果を表示させてよい。これにより、ユーザ端末300を使用するユーザは、特定の人物が特定の行動をした場面に関する情報を容易に検索できる。
【0041】
尚、検索部112は、検索DB111から、同一人物の同様の行動を示す画像の、複数の場面関連情報を取得する場合がある。この場合、検索部112は、検索DB111から取得した複数の場面関連情報から、1又は複数の場面関連情報を選択し、選択された1又は複数の場面関連情報を、検索結果としてユーザ端末300に送信してもよい。これにより、ユーザ端末300の表示部上で同様の検索結果が多数表示されることで、ユーザが欲しい結果を得られ難くなる事態を回避することができる。場面関連情報を選択する方法としては、検索DB111から取得された複数の場面関連情報の各々に対応するフレーム画像のメタデータを用いる方法がある。例えば検索部112は、フレーム画像の画像メタデータ(例えば撮影時間、放映される番組名、コーナー名若しくは放映時間帯)に基づいて、場面関連情報を選択してよい。また検索部112は、フレーム画像の品質データ(例えば、輝度値若しくはブレの程度)に基づいて、場面関連情報を選択してもよい。これらの画像メタデータ及び品質データは、画像に関連するメタデータであって、人物ID及び行動IDを除くデータである。一例として検索部112は、放映される番組名に基づいて場面関連情報を選択した場合、同一人物の同様の行動を示す複数のフレーム画像のうち、番組毎に1のフレーム画像のデータを、検索結果の場面関連情報として、ユーザ端末300に送信してよい。また一例として検索部112は、番組名及びブレの程度に基づいて場面関連情報を選択した場合、番組ごとにブレが最も少ない1のフレーム画像のデータを、検索結果の場面関連情報として、ユーザ端末300に送信してよい。これによりユーザは、検索要求に応じた、番組ごとの代表的な一枚の画像を取得することができる。
【0042】
図4は、実施形態2にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。まず画像取得部101は、映像データを取得し、映像データに含まれるフレーム画像を取得する(S20)。次に、身体画像抽出部102は、フレーム画像から身体画像を抽出する(S21)。次に、骨格情報生成部103は、身体画像に基づいて骨格情報を生成する(S22)。次に、行動変換部104は、行動WL105を用いて骨格情報を行動IDに変換する(S23)。
【0043】
一方、顔画像抽出部106は、フレーム画像から顔画像を抽出する(S24)。次に、顔情報抽出部107は、顔画像から顔情報を抽出する(S25)。次に、人物特定部108は、人物WL109を用いて、顔情報に対応付けられた人物IDを特定する(S26)。
【0044】
そして登録部110は、画像メタデータを取得し(S27)、行動ID、人物ID、フレーム画像及び画像メタデータを互いに対応付けて、検索DB111に登録する(S28)。
【0045】
図5は、実施形態2にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。まず検索部112は、ユーザ端末300から人物ID及び行動IDを含む検索要求を受信した場合(S30でYes)、検索DB111を参照し、人物ID及び行動IDに対応付けられた場面関連情報を抽出する(S31)。次に、検索部112は、抽出した場面関連情報を、上述した画像メタデータに基づいて選択する(S32)。次に、検索部112は、選択した場面関連情報を、ユーザ端末300に送信し、ユーザ端末300に出力させる(S33)。
【0046】
このように実施形態2によれば、映像処理システム1は、行動ID及び人物IDという簡単なキーワードを、フレーム画像に関連する場面関連情報に対応付けた検索DB111を生成することができる。これにより、ユーザが容易に所望の場面関連情報を検索することができる。
【0047】
また映像処理システム1は、行動IDを、骨格情報と行動WL105とを用いて特定することで、映像データから行動IDを容易に特定できる。映像処理装置100の管理者は、参照用画像と参照用行動IDとを登録することで行動WL105を作成するだけでよく、行動IDの特定に、大量の学習データを要しない。したがって、特定の人物が特定の行動をした場面に関する情報を、検索DB111に容易に蓄積することができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について説明する。実施形態3は、映像データに含まれる人物をクラスタリングすることで、人物IDを効率よく特定することに特徴を有する。実施形態3は、映像データに複数の人物が登場する場合に、有効である。
【0049】
図6は、実施形態3にかかる映像処理システム1aの構成を示すブロック図である。映像処理システム1aは、映像処理システム1と基本的に同様の機能を有するが、映像処理装置100に代えて映像処理装置100aを備える点で映像処理システム1と相違する。
【0050】
映像処理装置100aは、顔画像抽出部106、顔情報抽出部107及び人物特定部108に代えて、顔画像抽出部106a、顔情報抽出部107a及び人物特定部108aを有する点で映像処理装置100と相違する。
【0051】
顔画像抽出部106aは、複数のフレーム画像の各々から身体画像抽出部102で抽出された各身体画像について、そのフレーム画像に含まれるその身体画像が示す人物の顔画像を抽出する。あるいは、顔画像抽出部106aは、身体画像抽出部102で抽出された各身体画像から、骨格情報生成部103により生成された骨格情報に基づいて、そのフレーム画像に含まれるその身体画像が示す人物の顔画像を抽出する。この場合、顔画像抽出部106aは、その身体画像が示す人物の頭部位置を基準として、その人物の顔画像を抽出してよい。
【0052】
顔情報抽出部107aは、顔画像抽出部106aが抽出した、人物の顔領域から、顔情報を抽出する。顔情報抽出部107aは、本処理を複数のフレーム画像に含まれる複数の身体画像が示す人物の各々について繰り返す。
【0053】
人物特定部108aは、顔情報抽出部107aが抽出した顔情報に基づいて、複数のフレーム画像に含まれる人物をクラスタリングする。そして人物特定部108aは、各クラスタに識別情報としてクラスタIDを付与する。そして人物特定部108aは、複数のフレーム画像に含まれる各人物について、クラスタリングされたクラスタのクラスタIDに基づいて人物IDを特定する。具体的には、まず人物特定部108aは、クラスタ毎に、そのクラスタに属する少なくとも1つの顔情報を、そのクラスタを代表する顔情報として選択する。そして人物特定部108aは、人物WL109に登録される参照用顔情報1090のうち、選択した顔情報との間の類似度が所定閾値以上である参照用顔情報1090を特定する。そして人物特定部108aは、特定した参照用顔情報1090に対応付けられた参照用人物ID1091を、そのクラスタIDに対応する人物IDとして特定する。
【0054】
尚、主に監視分野において、同一人物の行動を把握したい場合に、人物名の特定までは要しない場合がある。この場合は、人物特定部108aは、複数のフレーム画像に含まれる各人物について、クラスタリングされたクラスタのクラスタIDを人物IDとして特定してよい。そしてこの場合は、人物WL109は省略されてよい。
【0055】
次に、図7図8及び図9を用いて、実施形態3にかかる映像処理方法の流れを説明する。図7は、実施形態3にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。また、図8は、実施形態3にかかる映像処理に含まれる人物特定処理を説明するための図である。また図9は、実施形態3にかかる映像処理方法により生成されるデータのデータ構造の一例を示す図である。
【0056】
まず映像処理装置100aの画像取得部101は、映像データを取得し、映像データに含まれる複数のフレーム画像を取得する(S40)。図8には、画像取得部101が取得した映像データ(動画)400と、映像データ400に含まれるフレーム画像(静止画)410が示されている。また図9に示す映像データ500は、画像取得部101が映像データサーバ200から取得する映像データのデータ構造を示す。映像データ500には複数のフレーム画像1,2,…が含まれている。
【0057】
図7に戻り説明を続ける。S40を実行後、身体画像抽出部102は、S41に示す、フレーム画像から人物領域として身体画像を抽出する処理を、フレーム画像毎に繰り返す。図8には、複数のフレーム画像から抽出された身体画像の集合体420を示している。
【0058】
図7に戻り説明を続ける。映像処理装置100aは、S42~S44に示す処理を、抽出された身体画像毎に繰り返す。まずS42において、骨格情報生成部103は、身体画像から骨格情報を生成する。次にS43において、顔画像抽出部106aは、身体画像から顔画像を抽出する。そしてS44において、顔情報抽出部107は、抽出された顔画像から顔情報を抽出する。尚、S43~S44は、S42の前に実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0059】
このようにして、図9に示す生成データ510が生成される。例えば生成データ510のフレーム画像1内で検出された物体1(身体画像1)に関連付けられた情報として、顔情報、骨格情報及びその他のメタデータが含まれている。
【0060】
そして図7のS45において、人物特定部108aは、抽出した全ての身体画像を、顔情報に基づいてクラスタリングする。例えば、人物特定部108aは、身体画像に関連付けられた顔情報の類似度が所定閾値以上の身体画像が、同一のクラスタに属するようにクラスタリングする。顔情報同士の類似度は、顔矩形領域から瞳中心、鼻翼及び口端などの特徴点を用いて算出してもよい。また、顔情報同士の類似度は、目鼻の凹凸や傾きなどの特徴点を用いて算出してもよいし、これらに限らず様々な特徴を用いてもよい。このとき人物特定部108aは、各クラスタに、クラスタIDを付与する。図8には、人物特定部108aによって、身体画像の集合体420が顔情報に基づいてクラスタリングされたことにより生成された、クラスタA~Mの集合体430が示されている。
【0061】
そして図7のS46において、人物特定部108aは、クラスタ毎に、そのクラスタに属する身体画像に対応する顔情報を少なくとも1つ選択し、人物WL109を用いて、選択した顔情報に対応する人物IDを特定する。図8には、クラスタA~Mの各々について人物特定部108aにより特定された人物ID(A~M)440が示されている。
【0062】
そして図7のS47において、行動変換部104は、身体画像毎に、行動WL105を用いて、骨格情報を行動IDに変換する。S47に示す処理は、S42の直後に実行されてもよい。
【0063】
そして図7のS48において、登録部110は、画像メタデータを取得し、S49において、行動ID、人物ID、フレーム画像及び画像メタデータを対応付けて検索DB111に登録する。図9に示す登録データ520は、検索DB111に登録されるデータ群を示している。一例として登録データ520には、同じ人物IDの人物毎に、顔画像と、シーン毎の時間情報、顔情報、行動ID及びその他の画像メタデータとが含まれている。
【0064】
このように実施形態3によれば、映像処理装置100aは、抽出した全ての顔情報を人物WL109の顔情報と照合するのではなく、同一人物と推定されるクラスタに属する人物の顔画像のうち、選択された顔画像を照合すればよい。したがって、計算負荷が軽減し、映像処理装置100aは、効率よく人物IDを特定することができる。これにより、映像処理装置100aは、より容易に検索DB111に情報を蓄積できる。
【0065】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4について説明する。実施形態4は、映像データに含まれる人物のクラスタリングにおいて、顔情報に加えて身体特徴情報を用いることに特徴を有する。身体特徴情報は、身体の特徴点の集合体であり、身体情報又は人型データと呼ばれてよい。これにより、フレーム画像内で、人物が後ろを向いている場合等、人物の顔が検出されず身体だけ検出された場合にも、その人物を特定することができる。
【0066】
図10は、実施形態4にかかる映像処理方法の流れを示すフローチャートである。図10に示すステップは、図7に示すステップと基本的に同様であるが、S43~S44及びS45に代えて、S50~S51、S52及びS53を有する。図7と同様のステップについては、説明を適宜省略する。
【0067】
映像処理装置100aは、S41に示す処理と、S50~S51に示す処理とを、フレーム画像毎に繰り返す。S41において、身体画像抽出部102は、フレーム画像から人物領域として身体画像を抽出する。またS50において、顔画像抽出部106aは、フレーム画像から顔画像を抽出する。そしてS51において、顔情報抽出部107は、抽出された顔画像から顔情報を抽出する。S50~S51は、S41の前に行われてもよく、S41と並行して行われてもよい。
【0068】
次に、映像処理装置100aは、S52及びS42に示す処理を、抽出された身体画像毎に繰り返す。S52において、映像処理装置100aの人物特定部108aは、身体画像から身体情報を抽出する。そしてS42において、骨格情報生成部103は、身体画像から骨格情報を生成する。
【0069】
次に、S53において、人物特定部108aは、異なるフレーム画像同士で顔画像及び身体画像の比較を行い、抽出した全ての身体画像(人物に対応)を、顔情報及び身体情報に基づいてクラスタリングする。より具体的には、まず人物特定部108aは、身体情報に基づいて、身体画像をクラスタリングする。各クラスタに属する身体画像同士は、身体情報の類似度が所定閾値以上である。一方、人物特定部108aは、顔情報に基づいて、顔画像をクラスタリングする。各クラスタに属する顔画像同士は、顔情報の類似度が所定閾値以上である。そして人物特定部108aは、顔画像と身体画像との関連付けを行う。具体的には、人物特定部108aは、身体画像に顔画像が付随する場合、その顔画像と身体画像とを関連付ける。そして人物特定部108aは、複数のフレーム画像のいずれかに含まれる身体画像に顔画像が関連付けられる場合は、その顔画像の顔情報に基づいてクラスタリングされたクラスタと、その身体画像の身体情報に基づいてクラスタリングされたクラスタとを、同一のクラスタとしてクラスタリングする。つまり、人物特定部108aは、クラスタ同士を統合して、同一クラスタに属する身体画像及び顔画像が同一人物のものであると推定する。これにより、顔が見えていない、あるいは顔が検出されない場合でも、身体画像から人物を容易に特定できる。以降は、図7と同様である。
【0070】
図11及び図12は、実施形態4にかかる異なるフレーム画像を比較し、顔画像同士及び身体画像同士の関連付けを行う例を示す図である。図11及び図12において、フレーム画像1には人物A、B及びCが映っているものとする。フレーム画像2には人物A及びBが映っているものとする。フレーム画像3には人物A及びCが映っているものとする。フレーム画像4には人物Bが映っているものとする。
【0071】
図11において、フレーム画像1、2、3、4の順に映像が流れているものとする。図11において、人物特定部108aは人物Aの顔画像及び身体画像の関連付けを行うものとする。図11において、フレーム画像1には人物Aの顔及び身体が映っているものとする。フレーム画像2には人物Aの顔が映っているものとする。フレーム画像3には人物Aの顔及び身体が映っているものとする。
【0072】
図11の例においてフレーム画像1の人物Aの表情とフレーム画像2の人物A’の表情が異なっている場合であってもフレーム画像1の人物Aとフレーム画像2の人物A’は同一人物としてクラスタリングが可能である。また、フレーム画像1の人物Aの服装とフレーム画像3の人物A’’の服装が異なっている場合であってもフレーム画像1の人物Aとフレーム画像2の人物A’は同一とされている。そのため、フレーム画像2の顔画像とフレーム画像3の顔画像とに基づいて、フレーム画像3の人物A’’もフレーム画像1及びフレーム画像2の人物Aと同一人物としてクラスタリングが可能である。
【0073】
図12において、人物Bの顔画像及び身体画像の関連付けを行うものとする。フレーム画像1において、人物Bの顔のみが映り、フレーム画像2において、人物Bの身体のみが映っているものとする。また、フレーム画像4において、人物Bの顔及び身体が映っており、人物特定部108aは人物Bの顔画像及び身体画像の関連付けを行う。このとき、人物特定部108aは、フレーム画像4において関連付けられた人物Bの顔画像及び身体画像に基づいて、フレーム画像1の顔画像及びフレーム画像2の身体画像をそれぞれ人物Bのものとして照合できる。
【0074】
このように人物特定部108aは、フレーム画像に含まれる顔画像とフレーム画像に含まれる身体画像とに基づいて、異なるフレーム画像同士で顔画像及び身体画像の比較を行うことで、人物IDを特定する。骨格情報の生成に利用した身体画像を、人物の特定に流用することで、計算負荷を抑えつつ、人物の特定精度を向上させることができる。
【0075】
尚、人物特定部108aは、骨格情報から生成された行動IDに基づいて、人物IDの特定処理に身体画像を用いるかを判定してもよい。例えば、人物特定部108aは、行動IDが予め定められた行動IDである場合(例えば、行動IDが「かがんでいる」や「後ろを向いている」である場合)、顔画像及び身体画像に基づいて、人物IDを特定してよい。これにより、身体情報の抽出処理の実行を最小限に抑え、計算負荷軽減と人物特定精度向上との両立を図ることができる。
【0076】
<実施形態5>
次に、本開示の実施形態5について説明する。実施形態5は、映像処理装置が、人物IDに対応付けて服装情報を検索DB111に登録することに特徴を有する。
【0077】
図13は、実施形態5にかかる映像処理システム1bの構成を示すブロック図である。映像処理システム1bは、映像処理システム1aと基本的に同様の機能を有するが、映像処理装置100aに代えて映像処理装置100bを備える。
【0078】
映像処理装置100bは、登録部110、検索DB111及び検索部112に代えて、登録部110b、検索DB111b及び検索部112bと、服装情報生成部113とを有する点で映像処理装置100aと相違する。
【0079】
服装情報生成部113は、服装情報生成手段とも呼ばれる。服装情報生成部113は、身体画像抽出部102で抽出した、フレーム画像に含まれる人物の身体画像から、画像処理により、人物の服装情報を生成する。服装情報は、服装の種別を示す情報、例えば、長袖、半袖、パンツ、短パン及びスカートの別を含む。服装は、カバン等の荷物の種別を示す情報や、スポーツチームのユニフォームの別を示す情報を含んでもよい。また服装情報は、服装の色を示す情報を含んでもよい。
【0080】
登録部110bは、人物ID1100、行動ID1101、フレーム画像1102及び画像メタデータ1103に対応付けて、服装情報1104を、検索DB111bに登録する。
【0081】
検索DB111bは、人物ID1100、行動ID1101、フレーム画像1102及び画像メタデータ1103に対応付けて、服装情報1104を記憶する。尚、実施形態5においては、行動ID1101は省略されてもよい。この場合、骨格情報生成部103、行動変換部104及び行動WL105は、映像処理装置100bから省略されてよい。
【0082】
検索部112bは、人物ID、行動ID及び服装情報の少なくとも1つを含む検索要求をユーザ端末300から受信した場合、検索要求に含まれる情報に対応付けられた場面関連情報を、検索DB111bから取得する。例えば、検索部112bは、人物ID、行動ID及び服装情報全てを含む検索要求をユーザ端末300から受信した場合、これら全てに対応付けられた場面関連情報を、検索DB111bから取得する。また例えば、検索部112bは、人物ID及び服装情報を含む検索要求をユーザ端末300から受信した場合、人物ID及び服装情報に対応付けられた場面関連情報を、検索DB111bから取得する。そして検索部112bは、ユーザ端末300に、取得した場面関連情報を検索結果として送信する。
【0083】
図14は、実施形態5にかかる映像処理方法により生成されるデータのデータ構造の一例を示す図である。ここで、服装情報生成部113による服装情報の生成処理は、例えば図10のS42と並行して実行されてよい。これにより、図14に示す生成データ510bのフレーム画像内で検出された物体に関連付けられた情報として、顔情報、骨格情報及びその他のメタデータに加えて、服装情報が加えられる。そして登録データ520bには、同じ人物IDの人物毎に、顔画像と、シーン毎の時間情報、顔情報、行動ID及びその他のメタデータに加えて、服装情報が含まれる。
【0084】
このように実施形態5によれば、映像処理システム1bは、服装情報及び人物ID等という簡単なキーワードを、フレーム画像に関連する場面関連情報に対応付けた検索DBを生成することができる。したがって、特定の人物が特定の服装を着ている場面に関する情報を、検索DBに容易に蓄積することができる。これにより、ユーザが容易に所望の場面関連情報を検索することができる。
【0085】
上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、プロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0086】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0087】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0088】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成手段と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換手段と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定手段と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録手段と
を備える映像処理システム。
(付記2)
人物ID及び行動IDを含む検索要求を受信した場合、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報を出力する検索手段を備える
付記1に記載の映像処理システム。
(付記3)
前記検索手段は、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報から、1又は複数の場面関連情報を選択し、選択された前記1又は複数の場面関連情報を出力する
付記2に記載の映像処理システム。
(付記4)
前記検索手段は、前記検索要求に含まれる前記人物ID及び前記行動IDに対応付けられた場面関連情報から、前記1又は複数の場面関連情報を、その場面関連情報に対応する前記少なくとも1つのフレーム画像のメタデータであって、前記人物ID及び前記行動IDを除くメタデータに基づいて選択する
付記3に記載の映像処理システム。
(付記5)
前記行動変換手段は、行動ウォッチリストに予め登録され、かつ各々が参照用行動IDに対応付けられた参照用骨格情報の中から、生成した前記骨格情報との類似度が所定閾値以上である参照用骨格情報を特定し、特定した前記参照用骨格情報に対応付けられた参照用行動IDを、前記行動IDとして特定する
付記1から4のいずれか一項に記載の映像処理システム。
(付記6)
前記画像取得手段は、複数のフレーム画像を取得し、
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる前記人物の顔領域から抽出した顔特徴情報に基づいて、前記複数のフレーム画像に含まれる人物をクラスタリングし、
前記複数のフレーム画像に含まれる人物について、前記クラスタリングされたクラスタの識別情報に基づいて人物IDを特定する
付記1から5のいずれか一項に記載の映像処理システム。
(付記7)
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像に含まれる前記顔領域と前記複数のフレーム画像に含まれる身体領域とに基づいて、前記人物IDを特定する
付記6に記載の映像処理システム。
(付記8)
前記画像取得手段は、複数のフレーム画像を取得し、
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる人物の身体領域から抽出した身体特徴情報と、前記複数のフレーム画像の各々に含まれる人物の顔領域から抽出した顔特徴情報と、に基づいて、前記複数のフレーム画像に含まれる人物をクラスタリングし、
前記クラスタリングされたクラスタの識別情報に基づいて人物IDを特定する
付記7に記載の映像処理システム。
(付記9)
前記人物特定手段は、前記複数のフレーム画像のいずれかに含まれる前記身体領域に前記顔領域が付随する場合は、前記身体領域から抽出された身体特徴情報との類似度が所定閾値以上のクラスタと、前記顔領域から抽出された顔特徴情報との類似度が所定閾値以上のクラスタとを、同一のクラスタとしてクラスタリングする
付記8に記載の映像処理システム。
(付記10)
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の前記身体領域から、前記人物の服装情報を生成する服装情報生成手段をさらに備え、
前記登録手段は、前記服装情報と、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けて前記データベースに登録する
付記1から9のいずれか一項に記載の映像処理システム。
(付記11)
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成し、
前記骨格情報を行動IDに変換し、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定し、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する
映像処理方法。
(付記12)
映像データに含まれる、少なくとも1つのフレーム画像を取得する画像取得処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる人物の身体領域に基づいて、骨格情報を生成する骨格情報生成処理と、
前記骨格情報を行動IDに変換する行動変換処理と、
前記少なくとも1つのフレーム画像に含まれる前記人物の顔領域に基づいて、人物IDであって、同一人物であると推定される人物の特徴を識別する人物ID、を特定する人物特定処理と、
前記行動IDと、前記人物IDと、前記少なくとも1つのフレーム画像に関連する場面関連情報とを対応付けてデータベースに登録する登録処理と
を、コンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0089】
1,1a,1b,10 映像処理システム
11,101 画像取得部
13,103 骨格情報生成部
14,104 行動変換部
18,108,108a 人物特定部
20 登録部
100,100a,100b 映像処理装置
102 身体画像抽出部
105 行動WL
1050 参照用骨格情報
1051 参照用行動ID
106,106a 顔画像抽出部
107,107a 顔情報抽出部
109 人物WL
1090 参照用顔情報
1091 参照用人物ID
110,110b 登録部
111,111b 検索DB
1100 人物ID
1101 行動ID
1102 フレーム画像
1103 画像メタデータ
1104 服装情報
112,112b 検索部
113 服装情報生成部
200 映像データサーバ
300 ユーザ端末
500 映像データ
510,510b 生成データ
520,520b 登録データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14