IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7568133プロペラファン、送風機および空気調和機
<>
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図1
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図2
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図3
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図4
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図5
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図6
  • 特許-プロペラファン、送風機および空気調和機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】プロペラファン、送風機および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
F04D29/38 A
F04D29/38 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023557553
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2021040839
(87)【国際公開番号】W WO2023079697
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】寺本 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】河野 惇司
(72)【発明者】
【氏名】田所 敬英
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-233886(JP,A)
【文献】特開平11-201084(JP,A)
【文献】国際公開第2009/130954(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸を中心にして回転する翼と、
前記翼の一部を覆う半開放型ベルマウスと、
を備え、
前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記翼の前縁と前記翼の外周端とを結んだ第1の軌跡は、前記回転軸の中心と前記前縁とを結ぶ第2の軌跡に対して前記外周端側が後退するように傾いており、
前記第1の軌跡の前記第2の軌跡に対する傾きは、少なくとも、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域において形成されており、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップする領域においては、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域に比べて、前記第1の軌跡の前記第2の軌跡に対する後方への傾きが小さいプロペラファン。
【請求項2】
回転軸と、
前記回転軸を中心にして回転する翼と、
前記翼の一部を覆う半開放型ベルマウスと、
を備え、
前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域においては、前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記翼の前縁と前記翼の外周端とを結んだ第1の軌跡は、前記回転軸の中心と前記前縁とを結ぶ第2の軌跡に対して前記外周端側が後退するように傾いており、
前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップする領域においては、前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記第1の軌跡は、前記第2の軌跡に対して前記外周端側が前進するように傾いていプロペラファン。
【請求項3】
前記第1の軌跡の前記第2の軌跡に対する傾きが前記翼の後縁側に向かうにつれて大きくなる領域がある請求項1または請求項2に記載のプロペラファン。
【請求項4】
回転軸と、
前記回転軸を中心にして回転する翼と、
前記翼の一部を覆う半開放型ベルマウスと、
を備え、
前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記翼の根本と前記翼の外周端とを結んだ第3の軌跡は、前記回転軸の中心と前記根本とを結ぶ第4の軌跡に対して前記外周端側が後退するように傾いており、
前記第3の軌跡の前記第4の軌跡に対する傾きは、少なくとも、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域において形成されており、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップする領域においては、前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域に比べて、前記第3の軌跡の前記第4の軌跡に対する後方への傾きが小さいプロペラファン。
【請求項5】
回転軸と、
前記回転軸を中心にして回転する翼と、
前記翼の一部を覆う半開放型ベルマウスと、
を備え、
前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップしない領域においては、前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記翼の根本と前記翼の外周端とを結んだ第3の軌跡は、前記回転軸の中心と前記根本とを結ぶ第4の軌跡に対して前記外周端側が後退するように傾いており、
前記半開放型ベルマウスと前記翼とがラップする領域においては、前記回転軸の軸方向における同一位置において、前記第3の軌跡は、前記第4の軌跡に対して前記外周端側が前進するように傾いていプロペラファン。
【請求項6】
前記第3の軌跡の前記第4の軌跡に対する傾きが前記翼の後縁側に向かうにつれて大きくなる領域がある請求項または請求項に記載のプロペラファン。
【請求項7】
請求項1から請求項の何れか1項に記載のプロペラファンを備え、
前記プロペラファンが発生させる気流によって送風を行う送風機。
【請求項8】
請求項1から請求項の何れか1項に記載のプロペラファンが設けられた室外機を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロペラファン、送風機および空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、プロペラファンが記載されている。プロペラファンは、回転軸と、当該回転軸を中心にして回転する翼と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特許第4467952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に記載される従来型のプロペラファンにおいては、プロペラファンの側面からの流れに対しては、翼から十分にエネルギーを与えることができない。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためのものである。本開示の目的は、エネルギー効率において有利なプロペラファンを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るプロペラファンは、回転軸と、回転軸を中心にして回転する翼と、を備える。
回転軸の軸方向における同一位置において、翼の前縁と翼の外周端とを結んだ第1の軌跡は、回転軸の中心と上記の前縁とを結ぶ第2の軌跡に対して上記の外周端側が後退するように傾いている。
あるいは、回転軸の軸方向における同一位置において、翼の根本と翼の外周端とを結んだ第3の軌跡は、上記の回転軸の中心と上記の根本とを結ぶ第4の軌跡に対して上記の外周端側が後退するように傾いている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、エネルギー効率において有利なプロペラファンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1のプロペラファンを説明する側面図である。
図2】実施の形態1のプロペラファンを説明する正面図である。
図3】実施の形態1にプロペラファンの適用例を示す図である。
図4】実施の形態1のプロペラファンの第1変形例を説明する正面図である。
図5】実施の形態1のプロペラファンの第2変形例の適用例を示す図である。
図6】実施の形態1のプロペラファンの第2変形例を説明する正面図である。
図7】実施の形態1のプロペラファンの第3変形例を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付すものとし、本開示では、重複する説明を簡略化または省略する。なお、本開示は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態によって開示される構成のあらゆる組合せおよび変形例を含み得るものである。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1のプロペラファンを説明する側面図である。図2は、実施の形態1のプロペラファンを説明する正面図である。本開示に係るプロペラファンは、回転軸と、当該回転軸を中心にして回転する翼1と、を備えるものである。回転軸は、一例として、ボス2として形成される。
【0011】
本実施の形態に係るプロペラファンが、翼1の形状に特徴を有するものである。具体的には、回転軸の軸方向における同一位置において、翼1の前縁1aと翼1の外周端1bとを結んだ第1の軌跡が、回転軸の中心とこの前縁1aとを結ぶ第2の軌跡に対してこの外周端1b側が後退するように傾いている。あるいは、回転軸の軸方向における同一位置において、翼1の根本1cと翼1の外周端1bとを結んだ第3の軌跡は、回転軸の中心とこの根本1cとを結ぶ第4の軌跡に対してこの外周端1b側が後退するように傾いている。
【0012】
図1および図2は、上述した形状の特徴を説明するものである。図1中において符号A、符号Bおよび符号Cで示すラインは、「回転軸の軸方向における同一位置」を説明するものである。上述した第1の軌跡および第3の軌跡は、図2において実線の軌跡として示している。また、第2の軌跡および第4の軌跡は、図2において破線の軌跡として示している。図2における符号A、符号Bおよび符号Cは、それぞれ、図1における符号A、符号Bおよび符号Cに対応している。
【0013】
上述した特徴を有するプロペラファンにおいては、当該プロペラファンの径方向成分を含んだファン側面からの流れFに対して、翼1が当該流れを受ける翼面が少なからず対向する。これにより、翼1からファン側面からの流れFに対して効率よくエネルギーを与えることができる。本実施の形態によれば、エネルギー効率において有利なプロペラファンを得ることができる。
【0014】
本実施の形態に係るプロペラファンは、例えば、任意の送風機に適用することができる。送風機は、プロペラファンが発生させる気流によって送風を行う機器である。
【0015】
また、図3は、実施の形態1のプロペラファンの適用例を示す図である。本実施の形態に係るプロペラファンは、例えば、空気調和機10の室外機3に設けることができる。空気調和機10は、室内への送風等を行う室内機11と、当該室内機11と配管12によって接続される室外機3と、から構成される。室外機3に適用されるプロペラファンは、例えば、当該プロペラファンの上流側を覆わない半開放型のベルマウス4によって覆われる。なお、プロペラファンは、室外機3以外の機器に適用される場合においても、半開放型のベルマウス4によって覆われて使用され得る。
【0016】
半開放型のベルマウス4は翼1の一部を覆う。翼1がベルマウスによって覆われていない領域、すなわち、翼1とベルマウス4とがラップしない領域R1においては、ファン側面から翼1への大きな流れFが発生し得る。そこで、上述した第1の軌跡の第2の軌跡に対する傾きは、少なくとも、ベルマウス4と翼1とがラップしない領域R1において形成されていることが望ましい。同様に、第3の軌跡の第4の軌跡に対する傾きは、少なくとも、ベルマウス4と翼1とがラップしない領域R1において形成されていることが望ましい。
【0017】
また、図4は、実施の形態1のプロペラファンの第1変形例を説明する正面図である。一般的に、径方向成分を有するファン側面からの流れFは、下流側、すなわち翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくなる傾向がある。そこで、図4に示すように、上述した第1の軌跡の第2の軌跡に対する傾きを、翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくしてもよい。同様に、第3の軌跡の第4の軌跡に対する傾きを、翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくしてもよい。例えば、第3の軌跡の第4の軌跡に対する傾きを、第1の軌跡の第2の軌跡に対する傾きより大きくしてもよい。これにより、プロペラファンのエネルギー効率をより高めることができる。なお、第1の軌跡の第2の軌跡に対する傾きは、必ずしも全域に渡って翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくなっていなくてもよい。第1の軌跡の第2の軌跡に対する傾きが翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくなる領域が少なからず存在していれば、エネルギー効率向上の効果を図ることができる。同様に、第3の軌跡の第4の軌跡に対する傾きは、必ずしも全域に渡って翼1の後縁1d側に向かうにつれて大きくなっていなくてもよい。
【0018】
図5は、実施の形態1のプロペラファンの第2変形例の適用例を示す図である。図6は、実施の形態1のプロペラファンの第2変形例を説明する正面図である。図5中の符号A、符号B、符号Cおよび符号Dで示すラインは、図1中において各符号で示すラインと同様に、「回転軸の軸方向における同一位置」を説明するものである。図6における符号A、符号B、符号Cおよび符号Dは、それぞれ、図5における符号A、符号B、符号Cおよび符号Dに対応している。
【0019】
ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2では、ファン側面からの流れFが少ない。そこで、ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2では、ベルマウス4と翼1とがラップしない領域R1と比べて、第1の軌跡の第2の軌跡に対する後方への傾きを小さくしてもよい。あるいは、ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2では、ベルマウス4と翼1とがラップしない領域R1と比べて、第3の軌跡の第4の軌跡に対する後方への傾きを小さくしてもよい。また、ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2における第3の軌跡の第4の軌跡に対する後方への傾きを、ベルマウス4と翼1とがラップしない領域R1における第1の軌跡の第2の軌跡に対する後方への傾きよりも小さくしてもよい。本構成によれば、よりエネルギー効率に優れたプロペラファンを提供することができる。
【0020】
特に、図6に示すように、ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2において、第3の軌跡は、第4の軌跡に対して翼1の外周端側が前進するように傾いていてもよい。同様に、ベルマウス4と翼1とがラップする領域R2において、第1の軌跡は、第2の軌跡に対して翼1の外周端側が前進するように傾いていてもよい。
【0021】
また、図7は、実施の形態1のプロペラファンの第3変形例を説明する正面図である。図7に示す第3変形例のように、本開示に係るプロペラファンは、例えば、ボス2を有さずに、翼1同士が直接一体的に接続されたボスレス形態にも適用可能である。この場合、回転軸は、一体的に接続された翼1の中心部分に形成される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本開示に係るプロペラファンは、各種の送風機あるいは空気調和機の室外機等に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 翼、 1a 前縁、 1b 外周端、 1c 根本、 1d 後縁、 2 ボス、 3 室外機、 4 ベルマウス、 10 空気調和機、 11 室内機、 12 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7