(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】太陽光発電システムにおける制御装置及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02H 7/122 20060101AFI20241008BHJP
G01R 31/327 20060101ALI20241008BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02H7/122
G01R31/327
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2023562794
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2022031698
(87)【国際公開番号】W WO2024042608
(87)【国際公開日】2024-02-29
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コラック アルペレン ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】多和田 義大
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222853(JP,A)
【文献】特表2022-535932(JP,A)
【文献】国際公開第2012/023209(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/001820(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073079(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090139(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/091250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/327
H02H 7/122
H02J 3/38
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
太陽光パネルと接続される直流母線に、前記太陽光パネル側から順に、直流スイッチと、直流コンデンサとが配置される、太陽光発電システムの電力変換装置であって、
前記太陽光パネルの電圧である第1直流電圧値を検出する第1電圧センサと、
前記直流コンデンサの電圧である第2直流電圧値を検出する第2電圧センサと、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備え、
電圧取得部は、前記第1電圧センサから前記第1直流電圧値を取得し、前記第2電圧センサから前記第2直流電圧値を取得する
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムにおける制御装置及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムにおいて、太陽電池と電力変換装置との間の電路(直流母線)には、直流スイッチ(直流遮断器)が設けられている。直流スイッチ(直流遮断器)は、電力変換装置(太陽光発電システム)に異常や故障が検出されたときに開放(オープン)され、電路(直流母線)が遮断される(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/023209号
【文献】日本特開2012-222853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、太陽光発電向け電力変換装置の場合、若しくは電力変換装置を停止しない限り、直流スイッチは、発電されない夜間においても投入(クローズ)されたままの運用とされている。そのため、一般に、直流スイッチは、主に電力変換装置の故障が検出されたときにのみ開放(オープン)される。
【0005】
このため、電力変換装置の故障が検出されたときは、直流スイッチはオープンされなければならないが、直流スイッチ自体が故障している場合、直流スイッチをオープンすることができない。例えば、電力変換装置の故障が検出されたときに直流スイッチをオープンすることができなかった場合、太陽光パネルで発電された電力が流れ続け、電力変換装置における故障拡大の危険性が高まる。
【0006】
しかしながら、一般に、直流スイッチは、夜間においてもクローズされたままの運用とされており、年次点検等の場合や電力変換装置を停止する場合を除き、電力変換装置の故障が検出されない限りオープンされることがない。このため、直流スイッチ自体の故障は、通常は事前にはわからなかった。
【0007】
そこで、本件開示は、太陽光発電システムにおける直流スイッチが正常に動作(開放)されるか否かを日常的に確認して、直流スイッチの健全性を日常的に事前に確認することで、電力変換装置の故障拡大を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る制御装置は、太陽光パネルと接続される直流母線に、太陽光パネル側から順に、直流スイッチと、直流コンデンサとが配置される、太陽光発電システムの電力変換装置における制御装置であって、太陽光パネルの電圧である第1直流電圧値と、直流コンデンサの電圧である第2直流電圧値とを取得する電圧取得部と、電力変換装置が待機状態であるときに、電圧取得部によって取得される第1直流電圧値が所定の第1閾値よりも大きくなったときは、直流スイッチを開放させる第1動作制御部と、第1動作制御部によって、直流スイッチが開放されたときは、直流スイッチが開放された後の経過時間を計時する計時部と、電力変換装置が待機状態であるときに直流スイッチが開放され、かつ、計時部によって経過時間が所定の第1時間以上経過したことが計時されたときは、電圧取得部によって取得された第1直流電圧値と、第2直流電圧値との差分である第1差分電圧値を算出し、第1差分電圧値が、所定の第2閾値よりも大きいときは、直流スイッチは正常と判定し、第1差分電圧値が、所定の第2閾値以下であるときは、直流スイッチは異常と判定する健全性判定部と、健全性判定部によって、直流スイッチが正常と判定されたときは、直流スイッチを投入させ、健全性判定部によって、直流スイッチが異常と判定されたときは、直流スイッチを投入させず、電力変換装置を停止させる第2動作制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
別の態様に係る制御装置は、太陽光パネルと接続される直流母線に、太陽光パネル側から順に、直流スイッチと、直流コンデンサとが配置される、太陽光発電システムの電力変換装置における制御装置であって、太陽光パネルの電圧である第1直流電圧値と、直流コンデンサの電圧である第2直流電圧値とを取得する電圧取得部と、電力変換装置が待機状態となったときに、電圧取得部によって取得される第1直流電圧値が所定の第3閾値よりも小さくなったときは、直流スイッチを開放させる第1動作制御部と、第1動作制御部によって、直流スイッチが開放されたときは、直流スイッチが開放された後の経過時間を計時する計時部と、電力変換装置が待機状態となったときに直流スイッチが開放され、かつ、計時部によって経過時間が所定の第2時間以上経過したことが計時されたときは、電圧取得部によって取得された第1直流電圧値と、第2直流電圧値との差分である第2差分電圧値を算出し、第2差分電圧値が、所定の第4閾値よりも大きいときは、直流スイッチは正常と判定し、第2差分電圧値が、所定の第4閾値以下であるときは、直流スイッチは異常と判定する健全性判定部と、健全性判定部によって、直流スイッチが正常と判定されたときは、直流スイッチを投入させ、健全性判定部によって、直流スイッチが異常と判定されたときは、直流スイッチを投入させず、電力変換装置を停止させる第2動作制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
別の態様に係る制御装置は、太陽光パネルと接続される直流母線に、太陽光パネル側から順に、直流スイッチと、直流コンデンサとが配置される、太陽光発電システムの電力変換装置における制御装置であって、太陽光パネルの電圧である第1直流電圧値と、直流コンデンサの電圧である第2直流電圧値とを取得する電圧取得部と、電力変換装置が待機状態であるときに、電圧取得部によって取得される第1直流電圧値が所定の第1閾値よりも大きくなったときは、直流スイッチを開放させ、電力変換装置が待機状態となったときに、電圧取得部によって取得される第1直流電圧値が所定の第3閾値よりも小さくなったときは、直流スイッチを開放させる第1動作制御部と、第1動作制御部によって、直流スイッチが開放されたときは、直流スイッチが開放された後の経過時間を計時する計時部と、電力変換装置が待機状態であるときに直流スイッチが開放され、かつ、計時部によって経過時間が所定の第1時間以上経過したことが計時されたときは、電圧取得部によって取得された第1直流電圧値と、第2直流電圧値との差分である第1差分電圧値を算出し、第1差分電圧値が、所定の第2閾値よりも大きいときは、直流スイッチは正常と判定し、第1差分電圧値が、所定の第2閾値以下であるときは、直流スイッチは異常と判定し、電力変換装置が待機状態となったときに直流スイッチが開放され、かつ、計時部によって経過時間が所定の第2時間以上経過したことが計時されたときは、電圧取得部によって取得された第1直流電圧値と、第2直流電圧値との差分である第2差分電圧値を算出し、第2差分電圧値が、所定の第4閾値よりも大きいときは、直流スイッチは正常と判定し、第2差分電圧値が、所定の第4閾値以下であるときは、直流スイッチは異常と判定する健全性判定部と、健全性判定部によって、直流スイッチが正常と判定されたときは、直流スイッチを投入させ、健全性判定部によって、直流スイッチが異常と判定されたときは、直流スイッチを投入させず、電力変換装置を停止させる第2動作制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
一態様に係る電力変換装置は、太陽光パネルと接続される直流母線に、太陽光パネル側から順に、直流スイッチと、直流コンデンサとが配置される、太陽光発電システムの電力変換装置であって、太陽光パネルの電圧である第1直流電圧値を検出する第1電圧センサと、直流コンデンサの電圧である第2直流電圧値を検出する第2電圧センサと、上記のいずれか1項に記載の制御装置と、を備え、電圧取得部は、第1電圧センサから第1直流電圧値を取得し、第2電圧センサから第2直流電圧値を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本件開示によれば、太陽光発電システムにおける直流スイッチが正常に動作(開放)されるか否かを日常的に確認して、直流スイッチの健全性を日常的に事前に確認することで、電力変換装置の故障拡大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る太陽光発電システムにおける電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示す電力変換装置における制御装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す電力変換装置及び制御装置の動作の概要を示す図である。
【
図4】
図1及び
図2に示す制御装置の日の出の場合における動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1及び
図2に示す制御装置の日没の場合における動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図1から
図5に示した実施形態における制御装置が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本件開示に係る太陽光発電システムにおける制御装置及び電力変換装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
<一実施形態の構成>
図1は、一実施形態に係る太陽光発電システム1における電力変換装置10の構成の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すとおり、太陽光発電システム1は、太陽光パネル2と、変圧器3と、交流電力系統4と、電力変換装置10と、直流母線11と、交流回路12とを有する。電力変換装置10は、
図1中左側の一端側で直流母線11を介して太陽光パネル2と接続され、
図1中右側の他端側(出力側)で交流回路12及び変圧器3を介して交流電力系統4と接続される。太陽光発電システム1において、太陽光パネル2で発電された直流電力は、電力変換装置10を介して交流電力に変換され、変換された交流電力は、変圧器3を介して交流電力系統4に供給される。
【0017】
太陽光パネル(太陽電池パネル)2は、直流母線11を介して電力変換装置10の一端側と接続される。太陽光パネル2は、太陽光モジュール、太陽電池モジュール、又は単に太陽電池、モジュール等とも称され、例えば、複数の太陽電池セルを組み合わせて1枚のパネルとしたものである。太陽光パネル2は、例えば、複数枚のパネルを互いに直列又は並列に組み合わせた太陽電池ストリングや、太陽電池ストリングを組み合わせた太陽電池アレイであってもよい。太陽光パネル2は、太陽光によって発電を行い、発電された直流電力は、直流母線11を介して電力変換装置10に供給される。以下、本明細書において、太陽光パネル2は、「PV(Photovoltaics)パネル2」とも称される。
【0018】
変圧器3は、交流回路12を介して一端が電力変換装置10の他端側である出力側と接続され、他端が交流電力系統4と接続される。変圧器3は、交流電力の電圧の高さを、電磁誘導を利用して変換する電力機器・電子部品であり、電力変換装置10から出力される交流電力を所定の電圧の高さに変圧して交流電力系統4に出力する。
【0019】
交流電力系統(系統)4は、変圧器3と接続され、変圧器3によって変圧された交流電力を需要家の受電設備に供給するための、発電・変電・送電・配電を統合したシステムであり、例えば、不特定の負荷が接続されている。以下、本明細書において、交流電力系統4は、単に「系統4」とも称される。
【0020】
電力変換装置(PCS:Power Conditioning Subsystem)10は、例えば、太陽光発電(PV:Photovoltaics)用の電力変換装置(PV-PCS:Photovoltaics-Power Conditioning Subsystem)である。電力変換装置(PCS)10は、太陽光パネル2から供給
される直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を、変圧器3を介して系統4側に出力する。以下、本明細書において、電力変換装置10は、「PCS10」又は「PV-PCS10」とも称される。
【0021】
PCS10は、直流スイッチ21と、直流コンデンサ22と、インバータ回路23と、交流フィルタ24と、交流スイッチ25とを有する。また、PCS10は、第1電圧センサ31と、第1電流センサ32と、第2電圧センサ33と、第3電圧センサ34と、第2電流センサ35と、第4電圧センサ36と、制御装置40とを有する。なお、制御装置40は、PCS10の各要素と電気的に接続されている。
【0022】
PCS10は、太陽光パネル2と接続される直流母線11において、太陽光パネル2側からインバータ回路23に向けて順に、直流スイッチ21と、直流コンデンサ22と、インバータ回路23とが配置される。直流スイッチ21の太陽光パネル2側には、第1電圧センサ31が配置され、直流スイッチ21と直流コンデンサ22との間には、第1電流センサ32と、第2電圧センサ33とが配置される。
【0023】
PCS10は、変圧器3を介して系統4と接続される交流回路12において、インバータ回路23から変圧器3(系統4)側に向けて順に、インバータ回路23と、交流フィルタ24と、交流スイッチ25とが配置される。交流フィルタ24と交流スイッチ25との間には、第3電圧センサ34と、第2電流センサ35とが配置され、交流スイッチ25の変圧器3(系統4)側には、第4電圧センサ36が配置される。
【0024】
直流母線11は、一端が太陽光パネル2と接続され、他端がインバータ回路23の直流端と接続される。直流母線11は、正極側直流母線11Pと負極側直流母線11Nとを有し、太陽光パネル2によって発電された直流電力をインバータ回路23に供給する。
【0025】
交流回路12は、一端がインバータ回路23の交流端と接続され、他端が変圧器3を介して系統4と接続される。交流回路12は、例えば、電流又は電圧の位相を互いにずらした3系統の単相交流を組み合わせた三相交流電力を3本の電線・ケーブルを用いて供給する三相三線式の三相交流回路である。交流回路12は、インバータ回路23によって変換された交流電力を系統4側に供給する。
【0026】
直流スイッチ(直流遮断器)21は、直流母線11において、太陽光パネル2とインバータ回路23との間に直列に設けられる。直流スイッチ21は、例えば、制御装置40や不図示の上位装置やオペレータからの投入指示又は開放指示に従って、太陽光パネル2とPCS10との間の直流母線11を投入(接続)又は開放(遮断)する。直流スイッチ21が開放されると太陽光パネル2から供給される直流電力がインバータ回路23に流入することが遮断される。以下、本明細書において、直流スイッチ21は、「直流遮断器21」又は「DC(Direct Current)スイッチ21」とも称される。
【0027】
直流コンデンサ22は、直流スイッチ21とインバータ回路23の直流端との間の直流母線11において、例えば、正極側直流母線11Pと負極側直流母線11Nとの間に設けられ、太陽光パネル2から出力される直流電圧を平滑化する平滑コンデンサである。直流コンデンサ22は、例えば、直流スイッチ21が投入されているときは、太陽光パネル2からの直流電力により充電されて電圧が上昇し、直流スイッチ21が開放されているときは、例えば、不図示の放電回路や放電抵抗等により放電されて電圧が低下する。以下、本明細書において、直流コンデンサ22は、「DCコンデンサ22」とも称される。
【0028】
インバータ回路(インバータ)23は、直流端である一端側が直流母線11を介して直流コンデンサ22及び直流スイッチ21と接続され、交流端である他端側が交流回路12を介して交流フィルタ24と接続される。インバータ回路23は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の複数のス
イッチング素子で構築される。インバータ回路23は、例えば、後述のインバータ制御部55(
図2参照)で生成されるスイッチング素子のゲート駆動信号(ゲート信号)であるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号によって制御される。
【0029】
インバータ回路23は、太陽光パネル2から供給される直流電力を一端側から取得し、パルス幅変調信号(ゲート信号)による制御に従い、取得した直流電力を交流電力に変換して、出力端である他端側から出力して交流回路12に供給する。以下、本明細書において、インバータ回路23は、単に「インバータ23」とも称される。また、本明細書において、パルス幅変調信号は、「PWM信号」とも称される。
【0030】
交流フィルタ24は、AC(Alternating Current)フィルタとも称され、例えば、交
流リアクトル24aと交流コンデンサ24bとがL型に接続されたLCフィルタ回路(フィルタ回路)として構成される。以下、本明細書において、交流フィルタ24は、「ACフィルタ24」とも称され、交流リアクトル24aは、「ACリアクトル24a」とも称され、交流コンデンサ24bは、「ACコンデンサ24b」とも称される。
【0031】
ACリアクトル24aは、例えば、騒音を低減させる効果やサージ電圧を抑制させる効果を有する平滑要素であり、ACコンデンサ24bは、例えば、電気(電荷)を蓄え又は放出する電子部品である。ACフィルタ24は、ACリアクトル24aとACコンデンサ24bとの機能により、インバータ23のスイッチング素子がスイッチングするときに発生するリプル(振動)を低減させ、系統4側に高調波が流出することを抑制する。
【0032】
交流スイッチ(交流遮断器)25は、交流回路12において、交流フィルタ24と変圧器3との間に直列に設けられる。交流スイッチ25は、例えば、制御装置40や不図示の上位装置やオペレータからの投入指示又は開放指示に従って、PCS10と系統4との間の交流回路12を投入(接続)又は開放(遮断)する。交流スイッチ25が開放されるとインバータ23から供給される交流電力が系統4側に流出することが遮断される。以下、本明細書において、交流スイッチ25は、「交流遮断器25」又は「ACスイッチ25」とも称される。
【0033】
第1電圧センサ31は、例えば、公知の直流電圧計又は直流電圧センサ等であり、PVパネル2とインバータ23との間に配置され、PVパネル2の直流電圧値V
PVを検出する。なお、第1電圧センサ31が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、PVパネル2の直流電圧値V
PVを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、PVパネルの直流電圧値V
PVは、「PV電圧V
PV」又は単に「電圧値V
PV」とも称される。第1電圧センサ31によって検出されたPV電圧V
PVは、制御装置40によって取得される。
【0034】
第1電流センサ32は、例えば、公知の直流電流計又は直流電流センサ等であり、DCスイッチ21とDCコンデンサ22との間に配置され、直流母線11を流れる直流電流の直流電流値I
dcを検出する。なお、第1電流センサ32が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、直流母線11を流れる直流電流の直流電流値I
dcを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、直流母線11を流れる直流電流の直流電流値I
dcは、「直流電流I
dc」又は単に「電流値I
dc」とも称される。第1電流センサ32によって検出された直流電流I
dcは、制御装置40によって取得される。
【0035】
第2電圧センサ33は、例えば、公知の直流電圧計又は直流電圧センサ等であり、DCスイッチ21とDCコンデンサ22との間に配置され、DCコンデンサ22の直流電圧値V
DCCを検出する。なお、第2電圧センサ33が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、DCコンデンサ22の直流電圧値V
DCCを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、DCコンデンサ22の直流電圧値V
DCCは、「コンデンサ電圧V
DCC」、「DCC電圧V
DCC」、又は単に「電圧値V
DCC」とも称される。第2電圧センサ33によって検出されたコンデンサ電圧V
DCCは、制御装置40によって取得される。
【0036】
第3電圧センサ34は、例えば、公知の交流電圧計又は交流電圧センサ等であり、インバータ23とACスイッチ25との間に配置され、インバータ23の出力電圧である三相交流電圧の交流電圧値V
acを検出する。なお、第3電圧センサ34が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、インバータ23の出力電圧である三相交流電圧の交流電圧値V
acを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、インバータ23の出力電圧である三相交流電圧の交流電圧値V
acは、「インバータ出力電圧V
ac」又は単に「電圧値V
ac」とも称される。第3電圧センサ34によって検出されたインバータ出力電圧V
acは、制御装置40によって取得される。
【0037】
第2電流センサ35は、例えば、公知の交流電流計又は交流電流センサ等であり、インバータ23とACスイッチ25との間に配置され、インバータ23の出力電流である三相交流電流の交流電流値I
acを検出する。なお、第2電流センサ35が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、インバータ23の出力電流である三相交流電流の交流電流値I
acを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、インバータ23の出力電流である三相交流電流の交流電流値I
acは、「インバータ出力電流I
ac」又は単に「電流値I
ac」とも称される。第2電流センサ35によって検出されたインバータ出力電流I
acは、制御装置40によって取得される。
【0038】
第4電圧センサ36は、例えば、公知の交流電圧計又は交流電圧センサ等であり、ACスイッチ25と変圧器3との間に配置され、系統4における三相交流電圧である系統電圧の交流電圧値V
Gridを検出する。なお、第4電圧センサ36が配置される位置は、
図1に示される位置には限られず、系統4における三相交流電圧である系統電圧の交流電圧値V
Gridを検出可能な位置であればどこでもよい。以下、本明細書において、系統4における三相交流電圧である系統電圧の交流電圧値V
Gridは、「系統電圧V
Grid」又は単に「電圧値V
Grid」とも称される。第4電圧センサ36によって検出された系統電圧V
Gridは、制御装置40によって取得される。
【0039】
制御装置40は、例えば、PCS10の内部又は外部に設けられ、図中配線等は一部省略されているが、インバータ23を始めとするPCS10の各構成と、有線又は無線によって電気的に接続されている。なお、制御装置40は、不図示のインバータ制御回路の機能として実現されていてもよい。また、制御装置40は、例えば、不図示の上位装置や不図示の操作部を介したオペレータ等からの指示に従って動作してもよい。なお、不図示の上位装置は、例えば、複数台のPCS10を統括的に監視及び制御するものであり、各PCS10と有線又は無線で接続されている。
【0040】
図2は、
図1に示す電力変換装置10における制御装置40の構成の一例を示す図である。
【0041】
制御装置40は、第1電圧センサ31によって検出されたPV電圧V
PVと、第2電圧センサ33によって検出されたコンデンサ電圧V
DCCとに基づいて、後述の検出ロジックを用いてDCスイッチ21の故障を検出する(
図3~
図5等参照)。制御装置40は、取得部41と、出力部42と、記憶部43と、システムバス45と、制御部50とを有する。取得部41と、出力部42と、記憶部43と、制御部50とは、システムバス45を介して相互に接続されている。
【0042】
取得部41は、第1電圧センサ31と、第1電流センサ32と、第2電圧センサ33と、第3電圧センサ34と、第2電流センサ35と、第4電圧センサ36と、システムバス45と接続される。取得部41は、第1電圧センサ31によって検出されたPV電圧VP
Vと、第1電流センサ32によって検出された直流電流Idcと、第2電圧センサ33によって検出されたコンデンサ電圧VDCCとを取得する。また、取得部41は、第3電圧センサ34によって検出されたインバータ出力電圧Vacと、第2電流センサ35によって検出されたインバータ出力電流Iacと、第4電圧センサ36によって検出された系統電圧VGridとを取得する。取得部41は、例えば、取得した各電圧値及び各電流値を、システムバス45を介して、制御装置40の各要素に出力する。なお、取得部41は、「電圧取得部」の一例であり、PV電圧VPVは、「第1直流電圧値」の一例であり、コンデンサ電圧VDCCは、「第2直流電圧値」の一例である。
【0043】
出力部42は、DCスイッチ21と、インバータ23と、ACスイッチ25と、システムバス45と接続される。出力部42は、不図示の上位装置等と接続されてもよい。出力部は、例えば、制御部50からシステムバス45を介して取得した指示に従い、DCスイッチ21と、インバータ23と、ACスイッチ25とに対して、動作指示を出力する。
【0044】
記憶部43は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、その他の半導体メモリ等の揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、システムバス45と接続される。記憶部43は、例えば、制御装置40の各部の動作に必要なプログラムを記憶するとともに、制御装置40の各部により、各種の情報の書き込みや読み出しが行われる。また、記憶部43は、例えば、第1電圧センサ31や第2電圧センサ33等の各センサによって取得された値や、制御部50による演算に用いられる各種の演算式や係数、所定の閾値や所定の判定値等を記憶する。
【0045】
記憶部43は、システムバス45等により、各種の情報の入出力が可能なように制御装置40の各部と接続されている。なお、記憶部43は、制御装置40の外部に設けられ、有線又は無線で制御装置40と接続されていてもよい。また、記憶部43は、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶媒体等であっても、オンラインストレージ等であってもよい。また、記憶部43は、後述のメモリ92(
図6参照)と共通であってもよい。
【0046】
システムバス(バス)45は、制御装置40の内部で各構成要素を結ぶデータ伝送路(バス)であり、取得部41と、出力部42と、記憶部43と、制御部50とを、各種の情報の入出力が可能なように相互に接続する。
【0047】
制御部50は、例えば、プログラムを実行することにより動作するCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の後述のプロセッサ91(
図6参照)を有する。制御部50は、例えば、記憶部43又は後述のメモリ92(
図6参照)に記憶された所定のプログラムを実行することによりプロセッサ91を動作させてPCS10の動作を統括的に制御する。なお、制御部50は、不図示の上位装置から受け付けた指示や、不図示のオペレータから不図示の操作部を介して受け付けた指示に従って、PCS10の動作を制御してもよい。
【0048】
制御部50は、例えば、記憶部43又は後述のメモリ92(
図6参照)に記憶された所定のプログラムを実行することにより、以下の各部として機能する。制御部50は、第1動作制御部51と、計時部52と、健全性判定部53と、第2動作制御部54と、インバータ制御部55として機能する。なお、上記の各機能は、制御装置40が有する後述の処理回路90(
図6参照)における後述のプロセッサ91(
図6参照)が実行するプログラムにより実現されても、後述のハードウェア93(
図6参照)により実現されてもよい。第1動作制御部51と、計時部52と、健全性判定部53と、第2動作制御部54と、インバータ制御部55とは、所定のプログラムを実行して、以下の処理を行う。
【0049】
第1動作制御部51は、PCS10が待機状態(スタンバイモード)であるときに、取得部41によって取得されるPV電圧VPVが所定の第1閾値VTH1よりも大きくなったときは、DCスイッチ21を開放させる動作指示を出力する。また、第1動作制御部51は、PCS10が待機状態(スタンバイモード)となったときに、取得部41によって取得されるPV電圧VPVが所定の第3閾値VTH3よりも小さくなったときは、DCスイッチ21を開放させる動作指示を出力する。第1動作制御部51から出力される動作指示は、システムバス45及び出力部42を介してDCスイッチ21に出力され、DCスイッチ21が開放される。
【0050】
計時部52は、例えば、公知のタイマ等であり、第1動作制御部51によって、DCスイッチ21が開放されたときは、DCスイッチ21が開放された後の経過時間を計時する。すなわち、例えば、計時部52は、第1動作制御部51によって、DCスイッチ21を開放させる動作指示が出力されたときは、DCスイッチ21を開放させる動作指示が出力された後の経過時間を計時する。また、計時部52は、計時した経過時間を健全性判定部53に出力する。
【0051】
健全性判定部53は、計時部52によって計時された経過時間を取得する。健全性判定部53は、PCS10が待機状態であるときにDCスイッチ21が開放され、かつ、計時部52によって経過時間が所定時間T1以上経過したことが計時されたときは、PV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分である差分電圧V1を算出する。そして、健全性判定部53は、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2よりも大きいときは、DCスイッチ21は正常と判定し、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2以下であるときは、DCスイッチ21は異常と判定する。
【0052】
健全性判定部53は、PCS10が待機状態となったときにDCスイッチ21が開放され、かつ、計時部52によって経過時間が所定時間T2以上経過したことが計時されたときは、PV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分である差分電圧V2を算出する。そして、健全性判定部53は、差分電圧V2が、所定の第4閾値VTH4よりも大きいときは、DCスイッチ21は正常と判定し、差分電圧V
2
が、所定の第4閾値VTH4以下であるときは、DCスイッチ21は異常と判定する。
【0053】
健全性判定部53は、DCスイッチ21が正常であるか異常であるかの判定結果を第2動作制御部54に出力する。なお、所定時間T1は、「所定の第1時間」の一例であり、所定時間T2は、「所定の第2時間」の一例であり、差分電圧V1は、「第1差分電圧値」の一例であり、差分電圧V2は、「第2差分電圧値」の一例である。
【0054】
第2動作制御部54は、健全性判定部53による判定結果を取得する。第2動作制御部54は、健全性判定部53によって、DCスイッチ21が正常と判定されたときは、DCスイッチ21を投入させる動作指示を出力する。第2動作制御部54から出力されるDCスイッチ21を投入させる動作指示は、システムバス45及び出力部42を介してDCスイッチ21に出力され、DCスイッチ21が投入される。
【0055】
一方、第2動作制御部54は、健全性判定部53によって、DCスイッチ21が異常と判定されたときは、DCスイッチ21を投入させる動作指示は出力せず、PCS10を停止させる動作指示を出力する。第2動作制御部54から出力されるPCS10を停止させる動作指示は、インバータ制御部55に出力される。その結果、インバータ制御部55の制御に従ってインバータ23が停止されることで、PCS10が停止される。なお、第2動作制御部54から出力されるPCS10を停止させる動作指示は、システムバス45及び出力部42を介してACスイッチ25に出力されてもよい。この場合、ACスイッチ25が開放されることで、PCS10から系統4側への交流電力の出力が停止される。
【0056】
なお、第2動作制御部54は、PCS10を停止させるため、システムバス45及び出力部42を介して不図示の上位装置や不図示の表示装置等にDCスイッチ21の故障を発報してもよい。この場合、不図示の上位装置からの停止指示や、不図示の表示装置を監視しているオペレータからの停止指示により、PCS10が停止される。
【0057】
インバータ制御部55は、例えば、三相の出力電圧指令信号と三角波状のキャリア信号とに基づいてPWM制御を行い、ゲート信号を発生させる。インバータ制御部55は、発生させたゲート信号により、インバータ23の不図示のスイッチング素子を制御して、インバータ23の動作を統括的に制御する。インバータ制御部55は、第2動作制御部54から出力されたPCS10を停止させる動作指示を取得したときは、インバータ23の不図示のスイッチング素子を制御して、インバータ23を停止させ(インターロックさせ)、PCS10を停止させる。
【0058】
なお、PCS10(制御装置40)における上述の各部の動作の詳細は、後述する(
図3~
図5等参照)。
【0059】
<一実施形態の動作>
図3は、
図1及び
図2に示す電力変換装置10及び制御装置40の動作の概要を示す図である。
【0060】
図3(a)は、時間軸を示す図である。
図3(b)は、DCスイッチ21の状態を示す図である。
図3(c)は、PCS10の状態を示す図である。
図3(d)は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われていないときのPV電圧V
PVの状態を示す図である。
図3(e)は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われているときのPV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとの状態を示す図である。なお、
図3(a)~
図3(e)において、t
0~t
5は時刻を表し、同一の符号が付された時刻t
0~t
5は、それぞれ同一の時刻t
0~t
5を示す。なお、記載は省略されているが、時刻t
5の後は、再度時刻t
0、t
1…となる。
【0061】
図3(a)は、上述のとおり、時間軸を示す図である。
図3(a)に示すように、時刻t
0からt
5に向けて、夜間(Night)、明け方(Morning)、日中(Day time)、夕方(Dusk)、夜間(Night)、明け方(Morning)へと時間が流れている。明け方(Morning)
の途中では日の出があり、夕方(Dusk)から夜間に(Night)に移るときに日没がある。
【0062】
図3(b)は、上述のとおり、DCスイッチ21の状態を示す図である。
図3(b)に示すように、DCスイッチ21は、夜間は投入(CLOSE)されており、明け方の時刻t
1
で開放(OPEN)され、明け方の時刻t
2で投入(CLOSE)される。そして、DCスイッチ
21は、日中は投入(CLOSE)されたままであり、夕方から夜間に移る時刻t
4で開放(OPEN)され、夜間に移った後の時刻t
5で投入(CLOSE)される。
【0063】
図3(c)は、上述のとおり、PCS10の状態を示す図である。
図3(c)に示すように、PCS10は、時刻t
3までは、スタンバイモード(Stand by)であり、時刻t
3からオペレーションモード(Operation)となり、時刻t
4から再度スタンバイモード(Stand by)となる。
【0064】
図3(d)は、上述のとおり、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われていないときのPV電圧V
PVの状態を示す図である。
図3(d)において、縦軸は、電圧であり、横軸は時間である。本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われていないときは、DCスイッチ21は投入されたままである。
【0065】
この場合、
図3(d)に示すように、明け方の日の出のときからPV電圧V
PVが徐々に上昇し始め、日中の時刻t
3でPCS10がオペレーションモードとなるまでPV電圧V
PVが上昇し続ける。そして、夕方からPV電圧V
PVが徐々に下降し始め、夕方から日没を経て夜間に移る時刻t
4でPCS10がスタンバイモードとなり、夜間の時刻t
5となる頃にはPV電圧V
PVはゼロとなる。
【0066】
図3(e)は、上述のとおり、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われているときのPV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとの状態を示す図である。
図3(e)において、実線は、PV電圧V
PVを示し、破線は、コンデンサ電圧V
DCCを示す。
【0067】
本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能によるDCスイッチ21の制御が行われているときは、
図3(b)に示すように、DCスイッチ21は、明け方の時刻t
1で開放され、明け方の時刻t
2で投入される。この場合、
図3(e)に示すように、DCスイッチ21が開放される時刻t
1において、実線で示されるPV電圧V
PVは上昇し続けるが、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、例えば放電回路等で放電されるため、下降する。そして、DCスイッチ21が投入される時刻t
2において、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、実線で示されるPV電圧V
PVと等しくなるまで再度上昇する。
【0068】
また、
図3(b)に示すように、DCスイッチ21は、夕方から夜間に移る時刻t
4で開放され、夜間に移った後の時刻t
5で投入される。この場合、
図3(e)に示すように、DCスイッチ21が開放される時刻t
4において、実線で示されるPV電圧V
PVは徐々に下降するが、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、急峻に下降する。そして、実線で示されるPV電圧V
PVも、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCもゼロとなり、夜間は太陽光発電が行われないため、DCスイッチ21が投入される時刻t
5では、コンデンサ電圧V
DCCも、PV電圧V
PVもゼロのままである。
【0069】
<日の出の場合における一実施形態の動作>
図4は、
図1及び
図2に示す制御装置40の日の出の場合における動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートの動作は、PCS10がスタンバイモード(待機状態)であるときに開始する。
【0070】
ステップS1において、制御装置40の制御部50は、PCS10がスタンバイモードであるという情報を取得する。なお、PCS10は、例えば、夜間など、PVパネル2によって発電が行われていないときなどに、スタンバイモードとなる。PCS10は、例えば、スタンバイモードのときは、インバータ23による電力変換が行われておらず、あるいは、ACスイッチ25が開放されている。一方、PCS10は、例えば、オペレーションモードのときは、インバータ23による電力変換が行われており、かつ、ACスイッチ25が投入されている。
【0071】
但し、PCS10が、スタンバイモードであるときも、オペレーションモードであるときも、DCスイッチ21は、投入されたままの状態となっている。なお、本明細書において、スタンバイモードは、「待機状態」、「待機モード」、「スタンバイ状態」とも称され、オペレーションモードは、「運転状態」、「運転モード」、「オペレーション状態」とも称される。
【0072】
ステップS2において、制御装置40の制御部50は、本件開示のPCS10の健全性確認機能が有効か否かを判定する。制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効であると判定したときは(Yes側)、ステップS3に処理を移行させる。一方、制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定したときは(No側)、ステップS9に処理を移行させる。
【0073】
ステップS3において、制御部50の第1動作制御部51は、PCS10がスタンバイ状態であるという情報を取得しているときに、取得部41によって取得されたPV電圧V
PVが所定の第1閾値V
TH1よりも大きくなったか否かを判定する。例えば、
図3(e)においては、時刻t
1となったときに、PV電圧V
PVが所定の第1閾値V
TH1よりも大きくなっている。
【0074】
第1動作制御部51は、PV電圧VPVが所定の第1閾値VTH1よりも大きくなったと判定したときは(Yes側)、ステップS4に処理を移行させる。一方、第1動作制御部51は、PV電圧VPVが所定の第1閾値VTH1以下であると判定したときは(No側)、PV電圧VPVが所定の第1閾値VTH1よりも大きくなるまで、ステップS3の処理を繰り返す。
【0075】
ステップS4において、制御部50の第1動作制御部51は、ステップS3でPV電圧V
PVが所定の第1閾値V
TH1よりも大きくなったと判定したときは(S3:Yes)、DCスイッチ21を開放させる動作指示を出力する。これにより、DCスイッチ21が開放される。そして、制御部50の計時部52は、DCスイッチ21を開放させる動作指示が出力された後(DCスイッチ21が開放された後)の経過時間を計時する。例えば、
図3(b)において、時刻t
1となったときに、DCスイッチ21が開放される。
【0076】
ステップS5において、制御部50の健全性判定部53は、計時部52によって計時された経過時間を取得し、計時部52によって計時された経過時間が、所定時間T
1以上経過したか否かを判定する。例えば、
図3(e)において、時刻t
1から時刻t
2になる途中に、経過時間が所定時間T
1以上経過したと判定される。
【0077】
健全性判定部53は、経過時間が所定時間T1以上経過したと判定したときは(Yes側)、ステップS6に処理を移行させる。一方、健全性判定部53は、経過時間が所定時間T1以上経過していないと判定したときは(No側)、経過時間が所定時間T1以上経過するまで、ステップS5の処理を繰り返す。
【0078】
ステップS6において、制御部50の健全性判定部53は、DCスイッチ21が開放された後の経過時間が所定時間T1以上経過したときのPV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとを取得する。そして、健全性判定部53は、取得したPV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分である差分電圧V1を算出する。そして、健全性判定部53は、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2よりも大きいか否かを判定する。
【0079】
例えば、
図3(e)において、健全性判定部53は、時刻t
1と時刻t
2との間のときの実線で示されるPV電圧V
PVと、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCとの差分電圧V
1を算出する。そして、健全性判定部53は、算出した差分電圧V
1が、所定の第2閾値V
TH2よりも大きいか否かを判定する。なお、所定の第2閾値V
TH2は、例えば、事前にシミュレーション等によって評価された値であり、天候等に影響されずに確実に故障を判定可能な固定値であることが好ましい。
【0080】
例えば、
図3(e)に示されるように、ステップS4でDCスイッチ21が正常に開放され、ステップS5で所定時間T
1が経過したときは、実線で示されるPV電圧V
PVは、PVパネルによって発電が続くため、上昇を続ける。一方、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、例えば、不図示の放電回路や放電抵抗等で放電されるため、下降する。
【0081】
このため、ステップS4でDCスイッチ21が正常に開放されたときは、PV電圧VP
Vと、コンデンサ電圧VDCCとの差分電圧V1は、所定の第2閾値VTH2よりも大きい値となる。従って、健全性判定部53は、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2よりも大きいと判定したときは、DCスイッチ21には故障又は異常は発生しておらず、DCスイッチ21が正常に開放されたと判定し、DCスイッチ21は正常(健全である)と判定する。
【0082】
反対に、例えば、ステップS4でDCスイッチ21が正常に開放されずに、ステップS5で所定時間T
1が経過したときは、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとは、
図3(e)で示される例とは異なる状況となる。すなわち、DCスイッチ21が正常に開放されない場合、直流母線11が遮断されないことから、PV電圧V
PVも、コンデンサ電圧V
DCCも、PVパネルによって発電が続く限り、上昇を続ける。このため、コンデンサ電圧V
DCCは、
図3(e)に示されるような下降はしない。
【0083】
これにより、ステップS4でDCスイッチ21が正常に開放されなかったときは、PV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分電圧V1は、所定の第2閾値VTH2よりも大きい値とはならない。従って、健全性判定部53は、差分電圧V1が所定の第2閾値VTH2以下であると判定したときは、DCスイッチ21に故障又は異常が発生しており、DCスイッチ21が正常に開放されていないと判定し、DCスイッチ21は異常(健全でない)と判定する。
【0084】
このため、ステップS6において、健全性判定部53は、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2よりも大きいと判定したときは(Yes側)、DCスイッチ21は正常と判定し、ステップS7に処理を移行させる。一方、健全性判定部53は、差分電圧V1が、所定の第2閾値VTH2以下であると判定したときは(No側)、DCスイッチ21は異常と判定し、ステップS10に処理を移行させる。
【0085】
ステップS7において、制御部50の第2動作制御部54は、健全性判定部53によるDCスイッチ21は正常であるとの判定結果を取得したときは(S6:Yes)、DCスイッチ21を投入させる動作指示を出力する。これにより、DCスイッチ21が投入される。そして、制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認動作を終了させ、ステップS8に処理を移行させる。その結果、例えば、
図3(b)(e)に示されるように、時刻t
2においてDCスイッチ21が投入されると、下降していた破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、実線で示されるPV電圧V
PVと等しくなるまで再度上昇する。
【0086】
ステップS8において、制御部50は、PCS10を通常運転に移行させる。これにより、例えば、
図3(c)(e)に示されるように、コンデンサ電圧V
DCCが再度上昇し、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとが、所定の電圧値まで上昇したときは、制御部50は、時刻t
3からPCS10をオペレーションモードに移行させる。
【0087】
すなわち、例えば、制御部50のインバータ制御部55は、PWM制御により発生させたゲート信号により、インバータ23の不図示のスイッチング素子を制御して、インバータ23を動作させる。また、例えば、制御部50は、ACスイッチ25を投入させて、PCS10から系統4側へ交流電力を出力させる。そして、制御部50は、本フローチャートの処理を終了させる。
【0088】
ステップS9において、ステップS2で本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定されたときは(S2:No)、DCスイッチ21は、投入されたままの状態となっている。この場合、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認動作は行われず、制御部50は、ステップS8に処理を移行させる。
【0089】
なお、制御部50は、ステップS2で本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定されたときは(S2:No)、DCスイッチ21の健全性確認機能に異常があるという情報(警報)を不図示の上位装置や表示装置等に向けて発報してもよい。そして、その後、制御部50は、ステップS8に処理を移行させてもよく、あるいは、例えば、DCスイッチ21が正常(健全)であることの確認がとれるまで、PCS10の運転を停止させてもよい。
【0090】
ステップS10において、ステップS6で差分電圧V1が所定の第2閾値VTH2以下であると判定されたときは(S6:No)、第2動作制御部54は、DCスイッチ21を投入させる動作指示は出力せず、PCS10を停止させる動作指示を出力する。すなわち、ステップS6で、健全性判定部53によって、DCスイッチ21が異常と判定されたときは、第2動作制御部54は、DCスイッチ21を投入させる動作指示は出力せず、PCS10を停止させる動作指示を出力する。そして、制御部50は、本フローチャートの処理を終了させる。
【0091】
PCS10を停止させる動作指示は、インバータ制御部55に出力され、これにより、インバータ23が停止されることで、PCS10が停止される。すなわち、インバータ制御部55は、PCS10を停止させる動作指示を取得したときは、インバータ23の不図示のスイッチング素子を制御して、インバータ23を停止させ(インターロックさせ)、PCS10が停止される。
【0092】
また、PCS10を停止させる動作指示は、ACスイッチ25に出力され、これにより、ACスイッチ25が開放されることで、PCS10から系統4側への交流電力の出力が停止されてもよい。あるいは、第2動作制御部54は、不図示の上位装置や不図示の表示装置等にDCスイッチ21の故障を発報し、不図示の上位装置からの停止指示や、不図示の表示装置を監視しているオペレータからの停止指示により、PCS10が停止されてもよい。
【0093】
<日没の場合における一実施形態の動作>
図5は、
図1及び
図2に示す制御装置40の日没の場合における動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートの動作は、PCS10がオペレーションモード(運転状態)であるときに開始する。
【0094】
ステップS11において、制御装置40の制御部50は、PCS10がスタンバイモードとなったという情報を取得する。なお、PCS10は、例えば、日中など、PVパネル2によって発電が行われているときなどに、オペレーションモードとなる。PCS10は、例えば、オペレーションモードのときは、インバータ23による電力変換が行われており、かつ、ACスイッチ25が投入されている。なお、上述のとおり、PCS10が、スタンバイモードであるときも、オペレーションモードであるときも、DCスイッチ21は、投入されたままの状態となっている。
【0095】
ステップS12において、制御装置40の制御部50は、本件開示のPCS10の健全性確認機能が有効か否かを判定する。制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効であると判定したときは(Yes側)、ステップS13に処理を移行させる。一方、制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定したときは(No側)、ステップS19に処理を移行させる。
【0096】
ステップS13において、制御部50の第1動作制御部51は、PCS10がスタンバイ状態となったという情報を取得しているときに、取得部41によって取得されたPV電圧V
PVが所定の第3閾値V
TH3よりも小さくなったか否かを判定する。例えば、
図3(e)においては、時刻t
4となったときに、PV電圧V
PVが所定の第3閾値V
TH3よりも小さくなっている。
【0097】
第1動作制御部51は、PV電圧VPVが所定の第3閾値VTH3よりも小さくなったと判定したときは(Yes側)、ステップS14に処理を移行させる。一方、第1動作制御部51は、PV電圧VPVが所定の第3閾値VTH3以上であると判定したときは(No側)、PV電圧VPVが所定の第3閾値VTH3よりも小さくなるまで、ステップS13の処理を繰り返す。
【0098】
ステップS14において、制御部50の第1動作制御部51は、ステップS13でPV電圧V
PVが所定の第3閾値V
TH3よりも小さくなったと判定したときは(S13:Yes)、DCスイッチ21を開放させる動作指示を出力する。これにより、DCスイッチ21が開放される。そして、制御部50の計時部52は、DCスイッチ21を開放させる動作指示が出力された後(DCスイッチ21が開放された後)の経過時間を計時する。例えば、
図3(b)において、時刻t
4となったときに、DCスイッチ21が開放される。
【0099】
ステップS15において、制御部50の健全性判定部53は、計時部52によって計時された経過時間を取得し、計時部52によって計時された経過時間が、所定時間T
2以上経過したか否かを判定する。例えば、
図3(e)において、時刻t
4から時刻t
5になる途中に、経過時間が所定時間T
2以上経過したと判定される。
【0100】
健全性判定部53は、経過時間が所定時間T2以上経過したと判定したときは(Yes側)、ステップS16に処理を移行させる。一方、健全性判定部53は、経過時間が所定時間T2以上経過していないと判定したときは(No側)、経過時間が所定時間T2以上経過するまで、ステップS15の処理を繰り返す。
【0101】
ステップS16において、制御部50の健全性判定部53は、DCスイッチ21が開放された後の経過時間が所定時間T2以上経過したときのPV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとを取得する。そして、健全性判定部53は、取得したPV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分である差分電圧V2を算出する。そして、健全性判定部53は、差分電圧V2が、所定の第4閾値VTH4よりも大きいか否かを判定する。
【0102】
例えば、
図3(e)において、健全性判定部53は、時刻t
4と時刻t
5との間のときの実線で示されるPV電圧V
PVと、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCとの差分電圧V
2を算出する。そして、健全性判定部53は、算出した差分電圧V
2が、所定の第4閾値V
TH4よりも大きいか否かを判定する。なお、所定の第4閾値V
TH4は、例えば、事前にシミュレーション等によって評価された値であり、天候等に影響されずに確実に故障を判定可能な固定値であることが好ましい。
【0103】
例えば、
図3(e)に示されるように、ステップS14でDCスイッチ21が正常に開放され、ステップS15で所定時間T
2が経過したときは、PVパネルによる発電量が日没により徐々に少なくなるため、実線で示されるPV電圧V
PVは、緩やかに下降する。一方、破線で示されるコンデンサ電圧V
DCCは、例えば、不図示の放電回路や放電抵抗等で放電されるため、急峻に下降する。すなわち、PV電圧V
PVと、コンデンサ電圧V
DCCとでは、電圧の下降スピードが異なる。
【0104】
このため、ステップS14でDCスイッチ21が正常に開放されたときは、PV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分電圧V2は、所定の第4閾値VTH4よりも大きい値となる。従って、健全性判定部53は、差分電圧V2が、所定の第4閾値VTH4よりも大きいと判定したときは、DCスイッチ21には故障又は異常は発生しておらず、DCスイッチ21が正常に開放されたと判定し、DCスイッチ21は正常(健全である)と判定する。
【0105】
反対に、例えば、ステップS14でDCスイッチ21が正常に開放されずに、ステップS15で所定時間T
2が経過したときは、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとは、
図3(e)で示される例とは異なる状況となる。すなわち、DCスイッチ21が正常に開放されない場合、直流母線11が遮断されないことから、PV電圧V
PVも、コンデンサ電圧V
DCCも、両者共に日没に伴って徐々に緩やかに下降する。このため、コンデンサ電圧V
DCCのみが、
図3(e)に示されるような急峻な下降をすることはない。
【0106】
これにより、ステップS14でDCスイッチ21が正常に開放されなかったときは、PV電圧VPVと、コンデンサ電圧VDCCとの差分電圧V2は、所定の第4閾値VTH4よりも大きい値とはならない。従って、健全性判定部53は、差分電圧V2が所定の第4閾値VTH4以下であると判定したときは、DCスイッチ21に故障又は異常が発生しており、DCスイッチ21が正常に開放されていないと判定し、DCスイッチ21は異常(健全でない)と判定する。
【0107】
このため、ステップS16において、健全性判定部53は、差分電圧V2が、所定の第4閾値VTH4よりも大きいと判定したときは(Yes側)、DCスイッチ21は正常と判定し、ステップS17に処理を移行させる。一方、健全性判定部53は、差分電圧V2が、所定の第4閾値VTH4以下であると判定したときは(No側)、DCスイッチ21は異常と判定し、ステップS20に処理を移行させる。
【0108】
ステップS17において、制御部50の第2動作制御部54は、健全性判定部53によるDCスイッチ21は正常であるとの判定結果を取得したときは(S16:Yes)、DCスイッチ21を投入させる動作指示を出力する。これにより、DCスイッチ21が投入される。そして、制御部50は、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認動作を終了させ、ステップS18に処理を移行させる。その結果、例えば、
図3(b)(e)に示されるように、時刻t
5においてDCスイッチ21が投入される。
【0109】
ステップS18において、制御部50は、PCS10を通常運転に移行させる。そして、制御部50は、本フローチャートの処理を終了させる。なお、この場合、既に日没後であり、
図3(c)(e)に示されるように、PCS10は既にスタンバイモードに移行されているため、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとは、すぐには上昇しないが、また明け方の日の出とともに上昇することとなる。
【0110】
ステップS19において、ステップS12で本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定されたときは(S12:No)、DCスイッチ21は、投入されたままの状態となっている。この場合、本件開示のDCスイッチ21の健全性確認動作は行われず、制御部50は、ステップS18に処理を移行させる。
【0111】
なお、制御部50は、ステップS12で本件開示のDCスイッチ21の健全性確認機能が有効でないと判定されたときは(S12:No)、DCスイッチ21の健全性確認機能に異常があるとの情報(警報)を不図示の上位装置や表示装置等に向けて発報してもよい。そして、その後、制御部50は、ステップS18に処理を移行させてもよく、あるいは、例えば、DCスイッチ21が正常(健全)であることの確認がとれるまで、PCS10の運転を停止させてもよい。
【0112】
ステップS20において、ステップS16で差分電圧V2が所定の第4閾値VTH4以下であると判定されたときは(S16:No)、第2動作制御部54は、DCスイッチ21を投入させる動作指示は出力せず、PCS10を停止させる動作指示を出力する。すなわち、ステップS16で、健全性判定部53によって、DCスイッチ21が異常と判定されたときは、第2動作制御部54は、DCスイッチ21を投入させる動作指示は出力せず、PCS10を停止させる動作指示を出力する。そして、制御部50は、本フローチャートの処理を終了させる。なお、ステップS20のその他の動作は、ステップS10の動作と同様である。
【0113】
<ハードウェア構成例>
図6は、
図1から
図5に示した実施形態における制御装置40が有する処理回路90のハードウェア構成例を示す概念図である。上述した各機能は、処理回路90により実現される。一態様として、処理回路90は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路90は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
【0114】
処理回路90がプロセッサ91とメモリ92とを備える場合、各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
【0115】
処理回路90が専用のハードウェア93を備える場合、処理回路90は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、又はこれらを組み合わせたものである。各機能は処理回路90で実現される。
【0116】
制御装置40が有する各機能は、それぞれ一部又は全部がハードウェアによって構成されてもよく、プロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。すなわち、制御装置40は、コンピュータとプログラムとによっても実現可能であり、プログラムは、記憶媒体に記憶されることも、ネットワークを通して提供されることも可能である。
【0117】
<一実施形態の作用効果>
以上、
図1~
図6に示す実施形態によれば、太陽光発電システム1におけるDCスイッチ21が正常に動作(開放)されるか否かを日常的に確認して、DCスイッチ21の健全性を日常的に事前に確認することで、PCS10の故障拡大を抑制することができる。
【0118】
すなわち、例えば、PCS10の故障が検出されたときは、DCスイッチ21は開放されなければならないが、DCスイッチ21自体が故障している場合、制御部50は、DCスイッチ21を開放させることができない。PCS10の故障が検出されたときにDCスイッチ21を開放させることができなかった場合、故障が検出されているPCS10にPVパネル2で発電された電力が流れ続けるため、PCS10の故障拡大の危険性が高まる。
【0119】
しかし、
図1~
図6に示す実施形態によれば、ステップS6又はS16でDCスイッチ21が異常と判定されたときは、ステップS10又はS20でPCS10が停止される。これにより、DCスイッチ21自体が故障しているときにPCS10が運転されることがなくなることから、適切なタイミングでDCスイッチ21を修理若しくは交換することで、PCS10の故障拡大を抑制することができる。
【0120】
また、
図1~
図6に示す実施形態によれば、日の出のときに、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとの差分電圧V
1と所定の第2閾値V
TH2とが用いられてDCスイッチ21の異常や故障が判定される。あるいは、日没のときに、PV電圧V
PVとコンデンサ電圧V
DCCとの差分電圧V
2と所定の第4閾値V
TH4とが用いられてDCスイッチ21の異常や故障が判定される。これにより、簡易な構成及び簡易な演算でDCスイッチ21の健全性を判定することができる。
【0121】
また、
図1~
図6に示す実施形態によれば、日の出のとき及び日没のときにDCスイッチ21の異常や故障が判定される。これにより、日常的にDCスイッチ21の健全性を確認することができる。また、日の出のとき及び日没のときのいずれか一方でDCスイッチ21の健全性を確認することができなかった場合であっても、他方でDCスイッチ21の健全性を確認することができる。
【0122】
また、
図1~
図6に示す実施形態によれば、所定の第2閾値V
TH2と、所定の第4閾値V
TH4とは、例えば、事前にシミュレーション等によって評価された値であり、天候等に影響されずに確実に故障を判定可能な固定値であることが好ましいとされる。これにより、DCスイッチ21の故障や異常の誤検出を抑制することができる。
【0123】
<実施形態の補足事項>
以上、
図1~
図6に示す実施形態によれば、
図4に示す日の出の場合における動作と、
図5に示す日没の場合における動作との両方の動作が行われている。しかし、これには限られず、各構成要素は、これらのいずれか一方の動作が行われるように構成されており(これらのいずれか一方の動作が行われるような機能を有しており)、各構成要素によって、これらの何れか一方の動作が行われてもよい。
図1~
図6に示す実施形態によれば、何れか一方の動作が行われても両方の動作が行われても、同様の作用効果を奏することができる。
【0124】
また、
図1~
図6に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、太陽光発電システム1におけるPCS10及びこれが有する制御装置40を例に説明したが、これには限られない。本件開示は、制御装置40の各部における処理ステップが行われるDCスイッチ21の健全性確認方法としても実現可能である。
【0125】
また、本件開示は、制御装置40の各部における処理ステップをコンピュータに実行させるDCスイッチ21の健全性確認プログラムとしても実現可能である。
【0126】
また、本件開示は、DCスイッチ21の健全性確認プログラムが記憶された記憶媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)としても実現可能である。DCスイッチ21の健全性確認プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)あるいはDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルメディア等に記憶して頒布することができる。なお、DCスイッチ21の健全性確認プログラムは、制御装置40が有する不図示のネットワークインタフェース等を介してネットワーク上にアップロードされてもよく、ネットワークからダウンロードされ、記憶部43等に格納されてもよい。
【0127】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0128】
1…太陽光発電システム;2…太陽光パネル(太陽電池パネル、PVパネル);3…変圧器;4…交流電力系統(系統);10…電力変換装置(PCS、PV-PCS);11…直流母線;11P…正極側直流母線;11N…負極側直流母線;12…交流回路;21…直流スイッチ(直流遮断器、DCスイッチ);22…直流コンデンサ(DCコンデンサ);23…インバータ回路(インバータ);24…交流フィルタ(ACフィルタ);24a…交流リアクトル(ACリアクトル);24b…交流コンデンサ(ACコンデンサ);25…交流スイッチ(交流遮断器、ACスイッチ);31…第1電圧センサ;32…第1電流センサ;33…第2電圧センサ;34…第3電圧センサ;35…第2電流センサ;36…第4電圧センサ;40…制御装置;41…取得部(電圧取得部);42…出力部;43…記憶部;45…システムバス(バス);50…制御部;51…第1動作制御部;52…計時部;53…健全性判定部;54…第2動作制御部;55…インバータ制御部;90…処理回路;91…プロセッサ;92…メモリ;93…ハードウェア;Iac…交流電流値(インバータ出力電流、電流値);Idc…直流電流値(直流電流、電流値);t0~t5…時刻;T
1
…所定時間(所定の第1時間);T
2
…所定時間(所定の第2時間);V1…差分電圧(第1差分電圧値);V2…差分電圧(第2差分電圧値);Vac…交流電圧値(インバータ出力電圧、電圧値);VDCC…直流電圧値(コンデンサ電圧、DCC電圧、電圧値、第2直流電圧値);VGrid…交流電圧値(系統電圧、電圧値);VPV…直流電圧値(PV電圧、電圧値、第1直流電圧値);VTH1…第1閾値;VTH2…第2閾値;VTH3…第3閾値;VTH4…第4閾値