(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電線付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20241008BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H01R13/52 D
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2023564758
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2022036966
(87)【国際公開番号】W WO2023100466
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021194960
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】圓井 涼
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 文哉
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109788713(CN,A)
【文献】中国実用新案第213109037(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112838401(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112713414(CN,A)
【文献】中国実用新案第212991393(CN,U)
【文献】中国実用新案第211017485(CN,U)
【文献】特表2019-511093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/533
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両への充電又は電動車両からの放電に用いられる電線付きコネクタであって、
コネクタと、電線と、接続部とを備え、
前記コネクタは、前記電動車両に設けられたソケット端子に接続される棒状の端子を備え、
前記端子は、
前記接続部が挿入された収容部と、前記端子の内部において冷媒が流される第一流路
とを備え、
前記電線は、導体部と、前記導体部の長手方向に沿って前記冷媒が流される第二流路とを備え、
前記接続部は、前記端子と前記導体部とを接続すると共に、前記第一流路と前記第二流路とを連通する第三流路を備え
、
前記収容部の内周面と前記接続部の外周面とが結合されている、
電線付きコネクタ。
【請求項2】
前記接続部は、第一筒状部と、第二筒状部と、連結部とを備え、
前記第一筒状部は、
前記端子の先端側に位置し、
前記導体部の外周面に結合された内周面と、
前記収容部の内周面との間に前記第一流路を構成する外周面とを備え、
前記第二筒状部は、
前記第一筒状部よりも前記端子の後端側に位置し、
前記導体部の外周面との間に前記第三流路の一部を形成する内周面と、
前記収容部の内周面に結合された外周面とを備え、
前記連結部は、前記第一筒状部と前記第二筒状部とを結合する複数の短片と、隣り合う前記短片間に設けられた複数の連絡口とを備え、
前記複数の連絡口の各々は、前記第一流路につながっている、請求項
1に記載の電線付きコネクタ。
【請求項3】
前記収容部の内周面と前記接続部の外周面とがねじ結合されている、請求項
1又は請求項
2に記載の電線付きコネクタ。
【請求項4】
前記端子に固定された第一配管を備え、
前記第一流路は、前記第一配管の内部と前記第三流路とを連通している、請求項1
又は請求項
2に記載の電線付きコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタは、前記端子を覆っているハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記第一配管が挿入される貫通孔を備え、
前記貫通孔の内周面と前記第一配管との間に配置された第一シール部材を備える、請求項
4に記載の電線付きコネクタ。
【請求項6】
前記第一シール部材は、前記ハウジングの外側に位置する延長部を備え、
前記延長部は、内周側の高さが外周側の高さよりも高いテーパー状である、請求項
5に記載の電線付きコネクタ。
【請求項7】
前記電線は、前記導体部を覆い、前記導体部との間に前記第二流路を構成する第二配管を備え、
前記接続部は、前記第二配管の内周面に向かい合う外周面を備え、
前記第二配管の内周面と前記接続部の外周面とが向かい合った状態で、前記第二配管を前記接続部に固定する固定部を備える、請求項1
又は請求項
2に記載の電線付きコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタは、前記端子を覆っているハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記電線が引き出される引出孔を備え、
前記引出孔の内周面と前記電線との間に配置された第二シール部材を備える、請求項1
又は請求項
2に記載の電線付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線付きコネクタに関する。本出願は、2021年11月30日出願の日本出願第2021-194960号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、電気自動車の急速充電に用いられるコネクタを開示する。コネクタは、充電ケーブルの先端に接続されている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、内部が中空になっている端子を備える。端子における中空の内部は、充電ケーブルの内部に設けられた冷却管と連通している。冷却管には、冷媒が流されている。特許文献1のコネクタでは、冷媒によって充電ケーブルの導体及びコネクタの端子が冷却されているものの、端子と導体との接続箇所は冷却されていない。
【0004】
特許文献2に開示されたコネクタは、コネクタの端子と充電ケーブルの導体とを接続する接続部を備える。接続部は、冷媒が流通可能な中空室と、充電ケーブルの冷却管に臨む開口部とを備える。接続部の中空室は、開口部を介して充電ケーブルの内部に設けられた冷却管と連通している。冷却管には、冷媒が流されている。特許文献2のコネクタでは、冷媒によって充電ケーブルの導体及び接続部が冷却されているものの、コネクタの端子は冷却されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第10837294号明細書
【文献】特表2019-517714号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の電線付きコネクタは、
電動車両への充電又は電動車両からの放電に用いられる電線付きコネクタであって、
コネクタと、電線と、接続部とを備え、
前記コネクタは、前記電動車両に設けられたソケット端子に接続される棒状の端子を備え、
前記端子は、前記端子の内部において冷媒が流される第一流路を備え、
前記電線は、導体部と、前記導体部の長手方向に沿って前記冷媒が流される第二流路とを備え、
前記接続部は、前記端子と前記導体部とを接続すると共に、前記第一流路と前記第二流路とを連通する第三流路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1の電線付きコネクタの使用状態を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の電線付きコネクタの内部を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の電線付きコネクタにおける端子と電線と接続部との接続箇所を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の電線付きコネクタにおける接続部の側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の電線付きコネクタにおける冷媒の流れを説明する説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の電線付きコネクタにおける端子と電線と接続部との接続箇所を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態3の電線付きコネクタの内部を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態3の電線付きコネクタにおける冷媒の流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示が解決しようとする課題]
バッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の電動車両において、充電時間を短縮する観点から、より大電流で急速充電を行うことが検討されている。大電流で急速充電を行うと、電動車両に設けられたソケット端子とコネクタに設けられた端子との第一の接続箇所が発熱すると共に、コネクタに設けられた端子と充電ケーブルの導体との第二の接続箇所が発熱する。また、大電流で急速充電を行うと、充電ケーブルの導体自体も発熱する。これらの発熱による高温箇所をそれぞれ冷却することが望まれる。
【0009】
本開示は、複数の高温箇所を効率的に冷却でき、かつ小型化を実現できる電線付きコネクタを提供することを目的の一つとする。
【0010】
[本開示の効果]
本開示の電線付きコネクタは、複数の高温箇所を効率的に冷却でき、かつ小型化を実現できる。
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る電線付きコネクタは、
電動車両への充電又は電動車両からの放電に用いられる電線付きコネクタであって、
コネクタと、電線と、接続部とを備え、
前記コネクタは、前記電動車両に設けられたソケット端子に接続される棒状の端子を備え、
前記端子は、前記端子の内部において冷媒が流される第一流路を備え、
前記電線は、導体部と、前記導体部の長手方向に沿って前記冷媒が流される第二流路とを備え、
前記接続部は、前記端子と前記導体部とを接続すると共に、前記第一流路と前記第二流路とを連通する第三流路を備える。
【0013】
本開示の電線付きコネクタは、複数の高温箇所を効率的に冷却できる。複数の高温箇所は、第一の接続箇所と第二の接続箇所と電線の導体部とを含む。第一の接続箇所は、電動車両に設けられたソケット端子とコネクタの端子との接続箇所である。第二の接続箇所は、コネクタの端子と電線の導体部との接続箇所である。第一の接続箇所は、第一流路を流れる冷媒によって冷却される。第二の接続箇所は、第三流路を流れる冷媒によって冷却される。電線の導体部は、第二流路を流れる冷媒によって冷却される。第一流路、第二流路、及び第三流路は、連通している。第一流路、第二流路、及び第三流路には、同じ冷媒が流れる。本開示の電線付きコネクタは、複数の高温箇所を一連の流路で冷却できる。一連の流路で冷却できることで、複数の高温箇所に個別に冷媒を循環させる場合に比較して、複数の高温箇所を効率的に冷却できる。
【0014】
本開示の電線付きコネクタは、小型化を実現できる。本開示の電線付きコネクタでは、接続部が、端子と導体部とを接続する機能と、第一流路と第二流路とを連通する機能とを兼ね備えている。上記二つの機能を兼ね備えていることで、上記二つの機能を個別に備える場合に比較して、小型になり易い。
【0015】
(2)本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記端子は、前記接続部が挿入された収容部を備え、
前記収容部の内周面と前記接続部の外周面とが結合されていることが挙げられる。
【0016】
上記形態は、接続部が端子内に収納されているため、電線付きコネクタをより小型化できる。
【0017】
(3)上記(2)の本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記接続部は、第一筒状部と、第二筒状部と、連結部とを備え、
前記第一筒状部は、
前記端子の先端側に位置し、
前記導体部の外周面に結合された内周面と、
前記収容部の内周面との間に前記第一流路を構成する外周面とを備え、
前記第二筒状部は、
前記第一筒状部よりも前記端子の後端側に位置し、
前記導体部の外周面との間に前記第三流路の一部を形成する内周面と、
前記収容部の内周面に結合された外周面とを備え、
前記連結部は、前記第一筒状部と前記第二筒状部とを結合する複数の短片と、隣り合う前記短片間に設けられた複数の連絡口とを備え、
前記複数の連絡口の各々は、前記第一流路につながっていることが挙げられる。
【0018】
上記形態は、接続部のうち第一筒状部に導体部を圧着でき、接続部を介して端子と導体部との導通を良好に確保できる。上記形態は、接続部のうち第二筒状部及び連結部によって第三流路を構成でき、第一流路と第二流路とを良好に連通できる。
【0019】
(4)上記(2)又は(3)の本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記収容部の内周面と前記接続部の外周面とがねじ結合されていることが挙げられる。
【0020】
上記形態は、端子と接続部とを容易かつ確実に接続できる。
【0021】
(5)本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記端子に固定された第一配管を備え、
前記第一流路は、前記第一配管の内部と前記第三流路とを連通していることが挙げられる。
【0022】
上記形態は、第一の接続箇所、第二の接続箇所、及び電線の導体部を冷却する冷媒の流れを一方向にできる。例えば、第一配管が冷媒の供給配管である場合、冷媒は、第一配管から第一流路に供給され、順に第一流路、第三流路、及び第二流路を流れる。第二流路を流れた冷媒は、冷却装置に戻される。冷却装置に戻された冷媒は、再度第一配管を流れる。第一配管が冷媒の排出配管である場合、冷媒は、順に第二流路、第三流路、及び第一流路を流れ、第一流路から第一配管に排出される。第一配管に排出された冷媒は、冷却装置に戻される。冷却装置に戻された冷媒は、再度第二流路を流れる。
【0023】
(6)上記(5)の本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記コネクタは、前記端子を覆っているハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記第一配管が挿入される貫通孔を備え、
前記貫通孔の内周面と前記第一配管との間に配置された第一シール部材を備えることが挙げられる。
【0024】
上記形態は、貫通孔からハウジング内に水が浸入することを抑制できる。
【0025】
(7)上記(6)の本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記第一シール部材は、前記ハウジングの外側に位置する延長部を備え、
前記延長部は、内周側の高さが外周側の高さよりも高いテーパー状であることが挙げられる。
【0026】
上記形態は、延長部における上記遠位側に水が溜まり難く、貫通孔からハウジング内に水が浸入することをより抑制し易い。
【0027】
(8)本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記電線は、前記導体部を覆い、前記導体部との間に前記第二流路を構成する第二配管を備え、
前記接続部は、前記第二配管の内周面に向かい合う外周面を備え、
前記第二配管の内周面と前記接続部の外周面とが向かい合った状態で、前記第二配管を前記接続部に固定する固定部を備えることが挙げられる。
【0028】
上記形態は、接続部に第二配管を強固にかつ容易に固定できる。
【0029】
(9)上記(1)から(5)の本開示の電線付きコネクタの一形態として、
前記コネクタは、前記端子を覆っているハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記電線が引き出される引出孔を備え、
前記引出孔の内周面と前記電線との間に配置された第二シール部材を備えることが挙げられる。
【0030】
上記形態は、引出孔からハウジング内に水が浸入することを抑制できる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電線付きコネクタの具体例を、図面を参照して説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。図面における各部の寸法比も実際と異なる場合がある。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
<実施形態1>
図1から
図6を参照して、実施形態1の電線付きコネクタ100を説明する。
図1は、電線付きコネクタ100が電動車両のインレット1000に挿入された状態を示す。
図1では、電線付きコネクタ100における外観を構成するケース9内を破線で簡易的に示す。
図2は、ケース9を外した状態、即ち電線付きコネクタ100の内部を示す。電線付きコネクタ100では、
図3に示すように、コネクタ1の端子11と電線2の導体部21とが接続部3によって直線状に接続されている。
図3、
図4、及び
図6は、端子11と導体部21との接続領域を含むように、端子11の中心軸及び導体部21の中心軸を通る平面で切断した縦断面を示す。
図4は、上記接続領域を拡大して示す。
図6は、
図3に更に冷媒の流れを示す。
図5は、電線付きコネクタ100に装備する前の接続部3を示す。以下の説明では、電線付きコネクタ100において、インレット1000(
図1)に挿入される側を先端側とし、コネクタ1における電線2が接続される側を後端側と呼ぶことがある。
【0033】
実施形態1の電線付きコネクタ100は、電動車両への充電又は電動車両からの放電に用いられる。電動車両は、少なくとも充電が可能な蓄電器を備えた自動車である。上記蓄電器は、外部機器への放電が可能であってもよい。外部機器にはパワーコンディショナー等が挙げられる。電動車両としては、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)が挙げられる。
【0034】
実施形態1の電線付きコネクタ100は、
図3に示すように、コネクタ1と、電線2と、接続部3とを備える。コネクタ1は、棒状の端子11を備える。端子11は、
図4に示すように、端子11の内部において冷媒が流される第一流路10を備える。電線2は、導体部21の長手方向に沿って冷媒が流される第二流路20を備える。接続部3は、端子11と導体部21とを接続する。実施形態1の電線付きコネクタ100の特徴の一つは、
図4に示すように、接続部3が第一流路10と第二流路20とを連通する第三流路30を備える点にある。第一流路10、第二流路20、及び第三流路30は、連通している。第一流路10、第二流路20、及び第三流路30によって、電線付きコネクタ100には、一連の冷媒流路が構成されている。以下では、まず電線付きコネクタ100の構成を説明し、その後に冷媒の流れについて説明する。
【0035】
≪コネクタ≫
コネクタ1は、
図3に示すように、端子11とハウジング15とを備える。
【0036】
〔端子〕
端子11は、電動車両に電力を供給する電力端子である。端子11の形状、サイズ、配置等は、予め定められた規格に準拠して設計されている。電動車両用のコネクタの規格としては、例えばChaoJiが挙げられる。端子11の材質は、例えば、銅合金等が挙げられる。
【0037】
端子11は、第一端部11a及び第二端部11bを有する棒状部材である。端子11は雄端子である。第一端部11aは、コネクタ1の先端側に位置する。第二端部11bは、コネクタ1の後端側に位置する。端子11の内部には、
図4及び
図6に示す第一流路10が設けられている。
【0038】
端子11は、電動車両に設けられた図示しないソケット端子に接続される。ソケット端子は雌端子である。ソケット端子は、端子11が挿入される筒状部を備える。端子11のうち第一端部11aがソケット端子に挿入される。端子11において、第一端部11aがソケット端子に挿入された状態において、第一端部11aの外表面がソケット端子と電気的に接続される。端子11とソケット端子とが接続される第一の接続箇所、及びその近傍が高温箇所となる。
【0039】
第二端部11bは、
図3及び
図4に示すように、後端側の端面に開口する収容部13を備える。収容部13は筒状体である。収容部13の軸と端子11の軸とは同軸である。収容部13は、後端側の端面から端子11の長手方向の中央部手前まで設けられている。本例の収容部13は、後述する接続部3の外径に対応して断面が円形状である。収容部13の断面とは、収容部13における軸方向と直交する方向に切断した断面である。収容部13には、接続部3が挿入されている。収容部13の内周面131と接続部3の外周面322とは結合されている。本例では、収容部13の内周面131には、
図4に示すように、雌ねじ部131sが設けられている。本例では、接続部3の外周面322には、
図4に示すように、雄ねじ部322sが設けられている。本例では、収容部13の内周面131と接続部3の外周面322とは、雌ねじ部131sと雄ねじ部322sによってねじ結合されている。本例の収容部13の外周面132には、雄ねじ部132sが設けられている。雄ねじ部132sは、後述するナット42に設けられた雌ねじ部42sとねじ結合されている。
【0040】
〔第一流路〕
端子11は、
図4及び
図6に示すように、端子11の内部において冷媒が流される第一流路10を備える。端子11は、第一端部11a側に位置する先端部12を備える。本例の先端部12は、先端側が塞がれ、後端側が開口した筒状体である。先端部12の後端側は、収容部13につながる。先端部12の内部と収容部13の内部とは連通している。先端部12は、
図6に示すように、第一流路10の一部を構成する内部空間が形成されている。第一流路10の残部は、
図4に示すように、収容部13と接続部3との間に構成されている。第一流路10の残部については、後述する接続部3の説明で詳述する。
【0041】
本例では、先端部12における後端側の外周面には、
図3に示すように、貫通孔121が設けられている。貫通孔121には、後述する第一配管5の先端部が差し込まれる。本例では、第一配管5から先端部12の内側に冷媒が供給される。
【0042】
先端部12の内部空間には、
図3に示すように、内側部材122が挿入されている。内側部材122は、
図6に示すように、仕切り部123と止め部124と固定部125とを備える。
図6では、分かり易いように、内側部材122を側面で示している。仕切り部123は、先端部12の内部空間に構成されている第一流路10を往路と復路とに仕切っている。止め部124は、冷媒が往路から復路に流れるように冷媒の流れをガイドしている。固定部125は、先端部12の後端側で内側部材122を端子11に固定している。仕切り部123と止め部124と固定部125とは一体的に成形されている。
【0043】
仕切り部123は、先端部12の内部空間を複数の小空間に分割する板状部材である。仕切り部123は、
図6に示すように、本体部123bと突条部123pとを備える。仕切り部123は、先端側から見て本体部123bと突条部123pとが交差するように構成されている。本体部123bと突条部123pとは一体的に成形されている。
【0044】
本体部123bは、端子11の軸方向に沿って延びるように配置されている。本体部123bによって、先端部12の内部空間が大まかに二分割されている。本体部123bは、第一面と第二面とを備える。本体部123bの第一面と先端部12の内周面との間、及び本体部123bの第二面と先端部12の内周面との間に、第一流路10が構成されている。本例では、仕切り部123を挟んだ二つの第一流路10は、各第一流路10の先端側でつながっている。本体部123bは、本体部123bの側面が貫通孔121に向かい合うように配置されている。本体部123bの側面は、本体部123bの第一面と第二面とをつなぐ面である。第一配管5から供給された冷媒は、本体部123bの第一面及び第二面の各々の方向に分流される。
【0045】
突条部123pは、本体部123bの第一面及び第二面の各々から先端部12の内周面に向かって突出している。突条部123pの先端は、先端部12の内周面に接触している。突条部123pは、端子11の軸方向に沿って延びるように配置されている。突条部123pの先端側は、本体部123bの先端側に達していない。つまり、突条部123pの長さは、本体部123bの長さよりも短い。ここでの長さは、端子11の軸方向に沿った長さである。突条部123pによって、冷媒が流れる往路と復路が構成されている。突条部123pの長さが本体部123bの長さよりも短いことで、往路と復路の折り返し箇所を構成している。本例の突条部123pは、第一面又は第二面の幅方向の中央部に配置されている。
【0046】
止め部124は、本体部123bの後端側で、かつ突条部123pで分割された第一流路10のうち貫通孔121に臨む側に設けられている。止め部124は、貫通孔121よりも後端側に設けられている。本例の止め部124は、先端部12における収容部13との境界に設けられている。止め部124は、本体部123bと突条部123pと先端部12の内周面とで構成される空間の後端側を塞ぐように設けられている。止め部124は、冷媒の流れをせき止める機能を有する。本例の止め部124は、半円状の板材で構成されている。
【0047】
仕切り部123によって、第一流路10では、
図6に示すように、第一配管5から供給された冷媒は、突条部123pで分割された往路を先端側に向かって流れ、突条部123pの先端側で折り返された後、突条部123pで分割された復路を後端側に向かって流れる。
【0048】
固定部125は、収容部13における先端部12との境界に設けられている。固定部125は、枠状部125aと図示しない複数の連結部とを備える。枠状部125aは、端子11の内周面に接続されている。枠状部125aの外径は、本体部123bと突条部123pとで構成される包絡円よりも大きな径である。枠状部125aは、端子11の内周面に接着されて固定されていることが挙げられる。又は、端子11の内周面に溝を設けておき、この溝に枠状部125aを嵌め込むことで固定されていてもよい。図示しない各連結部は、枠状部125aと本体部123bと突条部123pの後端側とをつないでいる。各連結部は細長い短片で構成されている。複数の連結部は、枠状部125aの周方向に略均等に配置されている。隣り合う連結部の間には孔部が構成されている。孔部には、冷媒が流通可能である。
【0049】
仕切り部123の材質は、例えば金属、樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素樹脂(PTFE)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられる。
【0050】
〔ハウジング〕
図2及び
図3に示されるハウジング15は、端子11を覆っている樹脂成形体である。ハウジング15は、先端部151と基端部152とを備える。先端部151と基端部152とは一体物である。
【0051】
先端部151は、インレット1000(
図1)に挿入される部分である。本例では、先端部151の立体形状は略矩形のブロック形状である。略矩形には、湾曲線を有することが含まれる。先端部151は、
図2に示すように、端子11(
図3)等が収納される複数の貫通孔151hを備える。
【0052】
基端部152は、インレット1000(
図1)に挿入されない部分である。つまり、基端部152は、先端部151をインレット1000(
図1)に挿入した際、インレット1000から露出される部分である。基端部152は、先端部151から電線2側に延びるように設けられている。基端部152は、電線2の数に対応して設けられる。本例では、
図2に示すように、二つの基端部152が設けられている。各基端部152の立体形状は筒状である。二つの基端部152は、図示しない連結部でつながっている。各基端部152の内径は、端子11の外径及び後述する接続部3の外径に対応して設定されている。基端部152における先端部151との境界部分の内径は、端子11の先端部12の外径と略同じである。基端部152における接続部3に向かい合う一部の内径は、接続部3の外径と略同じである。
【0053】
ハウジング15と端子11との間には、
図3に示すように、シール部材8aが設けられている。端子11における収容部13と接続部3との間には、
図4に示すように、シール部材8bが設けられている。
【0054】
基端部152は、
図3に示すように、後述する第一配管5が挿入される貫通孔153を備える。貫通孔153の内周面と第一配管5との間には、シール部材6が設けられている。シール部材6の形状は筒状である。シール部材6は、ハウジング15の外側に位置する延長部60を備える。延長部60の形状も筒状である。延長部60は、延長部60における内周側の高さが外周側の高さよりも高いテーパー状になっている。つまり、延長部60は、端子11から遠位側の先端部がテーパー状になっている。延長部60の先端部がテーパー状であると、シール部材6の上面の水をテーパー状の傾斜面に沿って排水し易い。よって、シール部材6の上面に水が溜まり難く、貫通孔153からハウジング15内に水が浸入することを抑制し易い。
【0055】
基端部152における後端側の端面には、
図3に示すように、後述する電線2が引き出される引出孔154を備える。引出孔154の内周面と電線2との間には、シール部材7が設けられている。基端部152における後端側の端面には、固定部155が設けられている。固定部155は、端部155aと側部155bとを備える有底筒状の部材である。端部155aは、シール部材7の端面に向かい合っている。端部155aにおけるシール部材7に向かい合う面には、突起部155pが設けられている。突起部155pの先端はシール部材7の端面に接触している。側部155bは、基端部152の周面に沿うように端部155aから延びている。側部155bと基端部152とは、スナップフィット構造によって結合されている。側部155bと基端部152とが結合された状態では、端部155aに設けられた突起部155pがシール部材7に接触し、シール部材7が引出孔154から抜け落ちることを抑制できる。
【0056】
≪電線≫
電線2は、
図3及び
図4に示すように、導体部21と第二配管22とを備える。導体部21と第二配管22との間には、
図4に示すように、第二流路20が設けられている。電線付きコネクタ100は、通常、
図2に示すように、二本の電線2が設けられている。一方の電線2が正極線であり、他方の電線2が負極線である。電線付きコネクタ100は、図示しないが、電線2以外に、グランド線、電動車両との間で充電等の制御に必要な信号線等を備える。
【0057】
〔導体部〕
導体部21は、電動車両に電力を供給する電力線である。導体部21は、後述する接続部3を介してコネクタ1の端子11に電気的に接続される。導体部21は、例えば、複数の素線が撚り合わされた撚線、複数の撚線が更に撚り合わされた撚線、又はこれらの撚線が圧縮成形された圧縮導体等で構成されている。導体部21の材質は、例えば、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金等が挙げられる。導体部21自体が高温箇所である。
【0058】
〔第二配管〕
第二配管22は、
図4に示すように、導体部21を覆い、導体部21との間に第二流路20を構成している。第二配管22の先端側の端部には、後述する接続部3の一部が挿入されている。第二配管22は、固定部4によって接続部3に固定されている。固定部4は、カラー41とナット42とを備える。接続部3は、第二配管22の内周面221に向かい合う外周面322を備える。カラー41は、第二配管22の内周面221と接続部3の外周面322とが向かい合った状態で、第二配管22の外周面222を覆うように配置されている。ナット42は、カラー41を覆うように配置されている。ナット42の先端側の内周面には、雌ねじ部42sが設けられている。雌ねじ部42sは、端子11における収容部13の外周面132に設けられた雄ねじ部132sとねじ結合されている。第二配管22は、雌ねじ部42sと雄ねじ部132sとのねじ結合によってナット42とカラー41を介して接続部3に固定されている。
【0059】
第二配管22の材質は、例えばゴムでもよいし、可撓性を有する樹脂でもよい。ゴムとしては、例えばシリコーンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。樹脂としては、例えばPE、PP、PA等が挙げられる。
【0060】
〔第二流路〕
電線2は、
図4及び
図6に示すように、導体部21の長手方向に沿って冷媒が流される第二流路20を備える。第二流路20は、電線2ごとに設けられている。第二流路20は、図示しない冷却装置につながっている。
【0061】
図示しないが、二本の電線2は、ハウジング15の基端部152に設けられた引出孔154から引き出されたあとは、
図1に示すように、後述する第一配管5と共に、シース25で覆われている。言い換えると、ハウジング15の外側に位置する二本の電線2と第一配管5とは、シース25によって一体物として扱われている。シース25の材質は、例えばクロロプレンゴム等が挙げられる。二本の電線2及び第一配管5とシース25との間には、介在物が設けられていてもよい。介在物の材質は、例えばエチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
【0062】
≪接続部≫
接続部3は、コネクタ1の端子11と電線2の導体部21とを電気的に接続している。接続部3は、
図4に示すように、端子11に設けられた第一流路10と電線2に設けられた第二流路20とを連通する第三流路30を備える。接続部3は、
図5に示すように、第一筒状部31と第二筒状部32と連結部33とを備える。
図4では、連結部33における連絡口330が図示されている。第一筒状部31、第二筒状部32、及び連結部33は、一体的に成形されている。本例の接続部3は、端子11の収容部13に挿入されている。
【0063】
第一筒状部31は、
図4に示すように、収容部13の先端側に位置する。第一筒状部31は、導体部21と電気的及び機械的に接続されている。第一筒状部31には、導体部21が挿入されている。第一筒状部31は、導体部21が挿入された状態で圧縮されている。この圧縮によって、第一筒状部31の内周面311は、導体部21の外周面212に結合されている。第一筒状部31の内側には、冷媒が流される流路は備えない。
【0064】
第一筒状部31は、収容部13に挿入された状態で、収容部13との間に空間が形成される。この空間は第一流路10の一部である。つまり、第一筒状部31の外周面312は、収容部13の内周面131との間に第一流路10を構成する。収容部13と第一筒状部31との間に構成された第一流路10は、端子11の先端部12の設けられた第一流路10に連通している。
【0065】
第二筒状部32は、
図4に示すように、収容部13の後端側に位置する。第一筒状部31の軸と第二筒状部32の軸とは同軸である。本例の第二筒状部32は、第一筒状部31と軸方向にオーバーラップしていない。つまり、本例の第二筒状部32は、第一筒状部31と軸方向に並んで配置されている。第二筒状部32は、端子11と電気的及び機械的に接続されている。
【0066】
第二筒状部32には、導体部21が挿入されている。導体部21は、第一筒状部31及び第二筒状部32に挿入された状態で、第一筒状部31に電気的及び機械的に接続されているが、第二筒状部32には機械的に接続されていない。第二筒状部32は、導体部21が挿入された状態で、導体部21との間に空間が形成される。この空間は第三流路30の一部である。つまり、第二筒状部32の内周面321は、導体部21の外周面212との間に第三流路30の一部を構成する。第二筒状部32の内周面321と導体部21の外周面212との間の空間は、導体部21と第二配管22との間に構成された第二流路20に連通している。つまり、第三流路30と第二流路20とは連通している。
【0067】
第二筒状部32の外周面322には、雄ねじ部322sが設けられている。雄ねじ部322sは、収容部13の内周面131に設けられた雌ねじ部131sにねじ結合されている。このねじ結合によって、第二筒状部32の外周面322は、収容部13の内周面131に結合されている。第二筒状部32の外周面322と収容部13の内周面131との間には、冷媒が流される流路は備えない。
【0068】
第二筒状部32の外周面322には、突起部322pが設けられている。本例の突起部322pは、後端側から先端側に向かうに従って外径が大きくなるように傾斜している。突起部322pは、第二配管22を引っ掛ける役割を有する。第二配管22は、上述したように接続部3に固定されている。具体的には、第二配管22の内周面221と接続部3の外周面322とが向かい合った状態で、第二配管22の外周面222を覆うようにカラー41が配置されてナット42によって固定されている。カラー41及びナット42は突起部322pを覆うように配置されている。カラー41は、ナット42の内周面と第二配管22の外周面222との間の空間を埋めている。カラー41及びナット42による固定によって、突起部322pが第二配管22に食い込む。この食い込みによって、第二配管22は接続部3に強固に固定される。
【0069】
第二筒状部32の外周面322には、フランジ部322fが設けられている。フランジ部322fは、第二筒状部32の径方向外方に突出して設けられている。本例のフランジ部322fは、第二筒状部32の全周にわたって設けられている。フランジ部322fは、突起部322pと雄ねじ部322sとの間に設けられている。フランジ部322fは、ナット42の雌ねじ部42sと収容部13の外周面132に設けられた雄ねじ部132sとがねじ結合された際にカラー41を位置決めする役割を有する。更にナット42の後端側に、フランジ部322fとの間でカラー41を位置決めする内周突起が設けられている。
【0070】
連結部33は、
図5に示すように、複数の短片331と複数の連絡口330とを備える。各短片331は、第一筒状部31と第二筒状部32とを結合している。各短片331は、第一筒状部31及び第二筒状部32の周方向に略均等に配置されている。各連絡口330は、隣り合う短片331間に設けられている。各連絡口330には、冷媒が流通可能である。各連絡口330が第三流路30の残部である。各連絡口330は、
図4に示されるように、第一筒状部31の外周面312と収容部13の内周面131との間に構成された第一流路10につながっている。
【0071】
接続部3によって端子11と導体部21とが接続される第二の接続箇所が高温箇所となる。
【0072】
〔第三流路〕
接続部3は、
図4及び
図6に示すように、第一流路10と第二流路20とを連通する第三流路30を備える。第三流路30は、上述したように、第二筒状部32の内周面321と導体部21の外周面212との間の空間、及び連絡口330で構成されている。第一流路10、第二流路20、及び第三流路30は、複数の電線2の各々に対応して構成されている。
【0073】
≪第一配管≫
第一配管5は、
図3に示すように、端子11の内部に設けられた第一流路10に連通している。第一配管5における第一流路10と反対側は、連絡配管52を介して図示しない冷却装置につながっている。第一配管5は、端子11の内部に冷媒を供給する供給配管、又は端子11の内部から冷媒を排出する排出配管である。本例の第一配管5は供給配管である。本例では、図示しない冷却装置によって冷却された冷媒が、連絡配管52及び第一配管5を通って第一流路10に供給される。
【0074】
第一配管5の大部分は、
図2及び
図3に示すように、ハウジング15の外側に配置されている。第一配管5の先端部は、
図3に示すように、ハウジング15に設けられた貫通孔153を貫通し、端子11の先端部12に設けられた貫通孔121に差し込まれている。本例では、第一配管5の先端面と先端部12の内周面とが略面一である。第一配管5の先端部は、先端部12内の冷媒の流れを阻害しない程度に先端部12内に位置していてもよい。
【0075】
第一配管5の端部には、
図3に示すように、フランジ部51が設けられている。フランジ部51は、先端部12の外周面のうち貫通孔121近傍の領域に接触するように設けられている。フランジ部51が上記領域に接触することで、第一配管5の先端部が端子11の内部に入り込み過ぎることが抑制される。
【0076】
第一配管5の材質は、例えば、第二配管22の材質と同種であることが挙げられる。
【0077】
≪その他の構成≫
〔ケース〕
電線付きコネクタ100は、
図1に示すように、ケース9を備える。ケース9は、コネクタ1と電線2との接続領域を覆う。本例のケース9は、コネクタ1のハウジング15における先端部151と基端部152との境界からシース25に至るまでの範囲を覆っている。ケース9の上面には、C字状の把持部が設けられている。
【0078】
〔冷媒〕
電線付きコネクタ100に構成された冷媒流路を流れる冷媒は、絶縁性を有する絶縁冷媒である。冷媒としては、例えばフッ素系不活性液体、シリコーン油等が挙げられる。
【0079】
≪冷媒の流れ≫
図4及び
図6を参照して、実施形態1の電線付きコネクタ100に構成された冷媒流路を流れる冷媒の流れについて説明する。電線付きコネクタ100に構成された冷媒流路は、第一流路10、第二流路20、及び第三流路30を含む。本例では、供給配管である第一配管5から第一流路10に冷媒が供給される。
図4及び
図6では、第一流路10及び第二流路20を流れる冷媒の流れを破線で示す。
図4及び
図6では、第三流路30を流れる冷媒の流れを実線で示す。
図6では、第一配管5を流れる冷媒の流れを二点鎖線で示す。
【0080】
冷媒は、
図6に示すように、第一配管5から先端部12内の第一流路10に供給される。先端部12内の第一流路10に供給された冷媒は、仕切り部123によって先端部12内を往復する。具体的には、先端部12内の第一流路10に供給された冷媒は、突条部123pで分割された往路を先端側に向かって流れ、突条部123pの先端側で折り返された後、突条部123pで分割された復路を後端側に向かって流れる。後端側まで流れた冷媒は、収容部13内の第一流路10に流れる。収容部13内の第一流路10に流れた冷媒は、
図4に示すように、第一筒状部31の外周面312と収容部13の内周面131との間を流れる。その後、冷媒は、接続部3に構成された連絡口330から接続部3の内部に流入し、第二筒状部32の内周面321と導体部21の外周面212との間に構成された第三流路30を流れる。第三流路30を流れた冷媒は、導体部21と第二配管22との間に構成された第二流路20に流入する。第二流路20に流入した冷媒は、導体部21の長手方向に沿って図示しない冷却装置まで流れる。冷却装置に流入した冷媒は、冷却装置で冷却される。冷却装置で冷却された冷媒は、連絡配管52を介して再度第一配管5を通って第一流路10に供給される。
【0081】
簡潔に述べると、冷媒は、図示しない冷却装置につながる第一配管5、第一流路10、第三流路30、及び第二流路20を順に流れ、冷却装置に戻される。
【0082】
≪実施形態1の効果≫
実施形態1の電線付きコネクタ100は、上述した冷媒の流れによって、複数の高温箇所を効率的に冷却できる。効率的な冷却が行える理由は、第一配管5、第一流路10、第三流路30、及び第二流路20が順に連通されて一連の流路を構成しているからである。一連の流路に流される冷媒によって、複数の高温箇所が冷却される。複数の高温箇所には、第一の接続箇所、第二の接続箇所、及び導体部21自体が含まれる。第一の接続箇所は、電動車両に設けられた図示しないソケット端子と端子11との接続箇所である。第二の接続箇所は、端子11と導体部21との接続箇所である。第一の接続箇所は、第一流路10を流れる冷媒によって冷却される。第二の接続箇所は、第三流路30を流れる冷媒によって冷却される。導体部21は、第二流路20を流れる冷媒によって冷却される。実施形態1の電線付きコネクタ100は、複数の高温箇所を効率的に冷却できることで、充電又は放電の電流値を大きく確保でき、短時間で大電力の充電又は放電が可能となる。
【0083】
実施形態1の電線付きコネクタ100は、小型化を実現できる。小型化を実現できる理由は、接続部3が、端子11と導体部21とを接続する機能と、第一流路10と第二流路20とを連通する機能とを兼ね備えているからである。電線付きコネクタ100は、上記二つの機能を兼ね備えていることで、上記二つの機能を個別に備える電線付きコネクタに比較して、小型になり易い。特に、接続部3が端子11の収容部13に挿入されていることで、電線付きコネクタ100がより小型化される。更に、接続部3の外周面322に設けられた雄ねじ部322sと収容部13の内周面131に設けられた雌ねじ部131sとがねじ結合されていることで、電線付きコネクタ100が小型化される上に、電線付きコネクタ100の接続部3と端子11とが容易かつ確実に接続される。
【0084】
<実施形態2>
図7を参照して、実施形態2の電線付きコネクタを説明する。
図7は、端子11と導体部21との接続領域を含むように、端子11の中心軸及び導体部21の中心軸を通る平面で切断した縦断面であり、上記接続領域を拡大して示す。
【0085】
実施形態2の電線付きコネクタは、実施形態1の電線付きコネクタ100と比較して、接続部3の形態が相違する。以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0086】
≪接続部≫
接続部3は、第一筒状部31及び第二筒状部32と、連結部33とを備える。
図7では、連結部33における連絡口330が図示されている。第一筒状部31、第二筒状部32、及び連結部33は、一体的に成形されている。本例の接続部3は、実施形態1と同様に、端子11の収容部13に挿入されている。
【0087】
第一筒状部31は、後述する第二筒状部32の内部に配置された状態で、収容部13の先端側に位置する。第一筒状部31は、導体部21と電気的及び機械的に接続されている。第一筒状部31には、導体部21が挿入されている。第一筒状部31は、導体部21が挿入された状態で導体部21と結合されている。第一筒状部31の内側には、基本的には冷媒が流される流路は備えない。
【0088】
第二筒状部32の内部には、第一筒状部31が結合された導体部21が配置されている。第二筒状部32は、収容部13の先端側から後端側にわたって配置されている。第二筒状部32の一部は、第一筒状部31と軸方向にオーバーラップしている。第一筒状部31の軸と第二筒状部32の軸とは同軸である。第二筒状部32は、端子11と電気的及び機械的に接続されている。
【0089】
第二筒状部32は、第一筒状部31が結合された導体部21が挿入された状態で、第一筒状部31との間及び導体部21との間に空間が形成される。この空間は第三流路30の一部である。第一筒状部31と第二筒状部32との間に構成された空間は、後述する連絡口330を介して第一流路10に連通している。つまり、第三流路30は、後述する連絡口330を介して第一流路10に連通している。第二筒状部32と導体部21との間の空間は、第二流路20に連通している。
【0090】
連結部33は、実施形態1と同様に、第一筒状部31と第二筒状部32とを結合している複数の短片(図示せず)を備える。本例の短片は、第一筒状部31と第二筒状部32との間を径方向に延びる短片で構成されている。複数の短片は、第一筒状部31及び第二筒状部32の周方向に略均等に配置されている。各連絡口330は、隣り合う短片間に設けられている。各連絡口330には、冷媒が流通可能である。各連絡口330が第三流路30の残部である。
【0091】
≪実施形態2の効果≫
実施形態2の電線付きコネクタは、実施形態1の電線付きコネクタ100と同様に、第一流路10、第三流路30、及び第二流路20が順に連通されて一連の流路を構成しており、複数の高温箇所を効率的に冷却できる。実施形態2の電線付きコネクタは、接続部3において、第一筒状部31が第二筒状部32に収納されていることで、電線付きコネクタ100の軸方向の寸法を短くできる。よって、実施形態2の電線付きコネクタは、実施形態1の電線付きコネクタ100と比較して、より小型化し易い。
【0092】
<実施形態3>
図8及び
図9を参照して、実施形態3の電線付きコネクタを説明する。
図8は、端子11と導体部21との接続領域を含むように、端子11の中心軸及び導体部21の中心軸を通る平面で電線付きコネクタの内部を切断した縦断面を示す。
図9は、上記接続領域を拡大して示す。
図9では、
図4と同様に、第一流路10、第二流路20、及び第三流路30を流れる冷媒の流れを矢印で示す。
【0093】
実施形態3の電線付きコネクタは、実施形態1の電線付きコネクタ100と比較して、端子11の形態、及び第一配管5の位置が相違する。実施形態3の電線付きコネクタにおいて、電線2の構成、接続部3の構成、電線2の導体部21と接続部3との接続構造、及び端子11と接続部3との接続構造は、実施形態1の電線付きコネクタ100と同様である。以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0094】
≪端子≫
端子11の先端部12は、冷媒が流される流路を備えない。本例の先端部12は、中実体である。
【0095】
端子11の収容部13は、実施形態1と同様に、接続部3の第一筒状部31との間に第一流路10を備える。収容部13の内周面131と第一筒状部31の外周面312との間、及び収容部13の先端面133と第一筒状部31の先端面313との間に空間が構成されている。この空間が第一流路10である。本例では、導体部21の先端が第一筒状部31から露出している。導体部21の先端面213と収容部13の先端面133との間にも空間が構成されている。この空間も第一流路10である。
【0096】
収容部13の外周面には、貫通孔134が設けられている。貫通孔134には、第一配管5の先端部が差し込まれる。本例では、第一配管5から収容部13の内側に冷媒が供給される。
【0097】
≪第一配管≫
第一配管5は、
図8に示すように、ハウジング15に設けられた貫通孔153を貫通し、収容部13に設けられた貫通孔134に差し込まれている。本例では、第一配管5の先端面と収容部13の内周面131とが略面一である。第一配管5の先端部は、収容部13内の冷媒の流れを阻害しない程度に収容部13内に位置していてもよい。第一配管5は、収容部13内の第一流路10に連通している。
【0098】
収容部13に設けられた貫通孔134と第一配管5との間には、シール部材8aが設けられている。本例では、ハウジング15に設けられた貫通孔153と第一配管5との間には、
図3に示すシール部材6は配置されていない。貫通孔153と第一配管5との間に、
図3に示すシール部材6が配置されていてもよい。
【0099】
≪その他≫
本例では、ハウジング15のおける電線2が引き出される引出孔154と電線2との間には、
図3に示すシール部材7は配置されていない。本例では、ハウジング15における後端側の端面には、
図3に示す固定部155は配置されていない。引出孔154と電線2との間に、
図3に示すシール部材7が配置されていてもよい。ハウジング15における後端側の端面に、
図3に示す固定部155が配置されていてもよい。
【0100】
≪冷媒の流れ≫
冷媒は、
図9に示すように、第一配管5から収容部13内の第一流路10に供給される。収容部13内の第一流路10に供給された冷媒は、収容部13の内周面131と第一筒状部31の外周面312との間、及び収容部13の先端面133と第一筒状部31の先端面313との間を流れる。その後、冷媒は、接続部3に構成された連絡口330から接続部3の内部に流入し、第二筒状部32の内周面321と導体部21の外周面212との間に構成された第三流路30を流れる。第三流路30を流れた冷媒は、導体部21と第二配管22との間に構成された第二流路20に流入する。第二流路20に流入した冷媒は、導体部21の長手方向に沿って図示しない冷却装置まで流れる。冷却装置に流入した冷媒は、冷却装置で冷却される。冷却装置で冷却された冷媒は、
図8に示す連絡配管52を介して再度第一配管5を通って第一流路10に供給される。
【0101】
≪実施形態3の効果≫
実施形態3の電線付きコネクタは、実施形態1の電線付きコネクタ100と同様に、第一流路10、第三流路30、及び第二流路20が順に連通されて一連の流路を構成しており、複数の高温箇所を効率的に冷却できる。実施形態3の電線付きコネクタは、端子11の先端部12に流路を備えないものの、収容部13内の第一流路10に冷媒が流される。そのため、実施形態3の電線付きコネクタも、実施形態1の電線付きコネクタと同様に、先端部12が素早く冷却され、電動車両に設けられた図示しないソケット端子と端子11との接続箇所を素早く冷却できる。
【符号の説明】
【0102】
100 電線付きコネクタ
1 コネクタ、10 第一流路
11 端子、11a 第一端部、11b 第二端部
12 先端部
121 貫通孔
122 内側部材
123 仕切り部、123b 本体部、123p 突条部
124 止め部、125 固定部、125a 枠状部
13 収容部
131 内周面、131s 雌ねじ部
132 外周面、132s 雄ねじ部
133 先端面、134 貫通孔
15 ハウジング
151 先端部、151h 貫通孔
152 基端部、153 貫通孔、154 引出孔
155 固定部、155a 端部、155b 側部、155p 突起部
2 電線、20 第二流路
21 導体部、212 外周面、213 先端面
22 第二配管、221 内周面、222 外周面
25 シース
3 接続部、30 第三流路
31 第一筒状部
311 内周面、312 外周面、313 先端面
32 第二筒状部
321 内周面
322 外周面、322s 雄ねじ部、322p 突起部、322f フランジ部
33 連結部、330 連絡口、331 短片
4 固定部
41 カラー、42 ナット、42s 雌ねじ部
5 第一配管、51 フランジ部、52 連絡配管
6,7,8a、8b シール部材、60 延長部
9 ケース
1000 インレット