(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合装置および接合部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B23K20/12 330
B23K20/12 360
(21)【出願番号】P 2024544856
(86)(22)【出願日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2024019447
【審査請求日】2024-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2023121099
(32)【優先日】2023-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100179589
【氏名又は名称】酒匂 健吾
(72)【発明者】
【氏名】谷口 公一
(72)【発明者】
【氏名】冨田 海
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特許第7279866(JP,B1)
【文献】特開2014-50890(JP,A)
【文献】特表2022-530588(JP,A)
【文献】特開2010-69503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ツールを被接合材に押圧し、前記回転ツールを回転させながら接合方向に移動することにより、前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合工程と、
ついで、前記接合部材に表面加工を施す、表面加工工程と、
ついで、前記接合部材を加熱する、加熱工程と、
を有し、
前記被接合材が、Si含有量:2.0~12.0質量%の鋼板であり、
前記表面加工工程での前記接合部材の最大厚さ減少量が、前記被接合材の厚さの5.0%以下であり、かつ、
前記加熱工程での最高到達温度が400℃以上1000℃以下である、摩擦攪拌接合方法。
【請求項2】
前記表面加工を研削または圧下により行う、請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項3】
前記加熱を誘導加熱または抵抗発熱により行う、請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項4】
前記加熱を誘導加熱または抵抗発熱により行う、請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項5】
前記加熱工程後、前記接合部材の接合部の表層領域の硬さが、前記接合部材の母材の硬さの95~115%の範囲にあり、
前記接合部材の接合部の表層領域が、前記接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域である、請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項6】
前記加熱工程後、前記接合部材の接合部の表層領域の硬さが、前記接合部材の母材の硬さの95~115%の範囲にあり、
前記接合部材の接合部の表層領域が、前記接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域である、請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項7】
前記加熱工程後、前記接合部材の接合部の表層領域の硬さが、前記接合部材の母材の硬さの95~115%の範囲にあり、
前記接合部材の接合部の表層領域が、前記接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域である、請求項3に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項8】
前記加熱工程後、前記接合部材の接合部の表層領域の硬さが、前記接合部材の母材の硬さの95~115%の範囲にあり、
前記接合部材の接合部の表層領域が、前記接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域である、請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項9】
前記接合工程の前に、少なくとも、前記被接合材の表面から深さ:5μmまでの領域を除去する、事前表面加工工程をさらに有する、請求項1~8のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法に用いられる、摩擦攪拌接合装置であって、
被接合材を接合し、接合部材を得る、接合装置と、
前記接合部材の表面加工を施す、表面加工装置と、
前記接合部材を加熱する、加熱装置と、
を接合方向に上記の順で有する、摩擦攪拌接合装置。
【請求項11】
請求項9に記載の摩擦攪拌接合方法に用いられる、摩擦攪拌接合装置であって、
被接合材に事前表面加工を施す、事前表面加工装置と、
前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合装置と、
前記接合部材の表面加工を施す、表面加工装置と、
前記接合部材を加熱する、加熱装置と、
を接合方向に上記の順で有する、摩擦攪拌接合装置。
【請求項12】
請求項1~8のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法により被接合材を接合し、接合部材を得る、接合部材の製造方法。
【請求項13】
請求項9に記載の摩擦攪拌接合方法により被接合材を接合し、接合部材を得る、接合部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合装置および接合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌接合、例えば、両面摩擦攪拌接合では、以下のようにして、被接合材を接合する。すなわち、一対の回転ツールを、少なくとも2枚以上の金属板を有する被接合材の表面側と裏面側に配置する。そして、回転ツールを被接合材の表面および裏面にそれぞれ押圧し、回転ツールを回転させながら接合方向に移動する。これにより、回転ツールと被接合材との摩擦熱で金属板を軟化させつつ、その軟化した部位を回転ツールで攪拌する。そして、被接合材の接合部となる領域で塑性流動を生じさせ、被接合材を接合する。以下、被接合材を突合わせた、または、重ね合わせた部分で未だ接合されていない状態にある領域を「未接合部」と称し、接合されて一体化された領域を「接合部」と称する。
【0003】
このような摩擦攪拌接合に関する技術として、例えば、特許文献1には、
「2枚の鋼板を突き合わせて、あるいは重ね合わせて、摩擦攪拌接合するにあたり、該摩擦攪拌接合において回転するツールの回転速度Rを5回/分超かつ5000回/分未満とし、前記ツールの進行方向の前側縁部に接触する前記鋼板の前縁温度Tを25℃以上とし、前記ツールのショルダー径Dを8~40mmとし、前記ツールの進行に伴う接合速度Vを0.1~5m/分として前記摩擦攪拌接合を行なうことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。」
が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鋼板の製造ライン、例えば、酸洗、冷間圧延、焼鈍およびめっきなどの製造ラインでは、生産性の向上や歩留りを高くするために、いわゆるコイル接合を実施したうえで、鋼板(鋼帯)を通板することが一般的である。ここで、コイル接合とは、製造ラインにおいて、先行する鋼板または鋼帯(以下、先行鋼板ともいう)と、先行鋼板に続く鋼板または鋼帯(以下、後行鋼板ともいう)を被接合材とし、先行鋼板の端部(後端)と後行鋼板の端部(先端)とを接合するものである。
【0006】
コイル接合には、一般的に、抵抗シーム溶接やレーザ溶接が適用される。また、近年、コイル接合に摩擦攪拌接合を適用することが検討されている。しかし、電磁鋼板などのSi含有量:2.0~12.0質量%の鋼板(以下、高Si鋼板ともいう)に対して摩擦攪拌接合によりコイル接合を行うと、設備不良が生じる、具体的には、接合工程よりも下流側で鋼板を通板するロールに傷が発生する(以下、単に、ロール傷の発生またはロール傷が発生するともいう)場合があった。そのため、この点の改善が望まれているのが現状である。
【0007】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、高Si鋼板を被接合材として使用する場合であっても、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率を得ることが可能である、摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の摩擦攪拌接合方法に好適に用いることができる、摩擦攪拌接合装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、接合部材の製造方法を提供することを目的とする。なお、本明細書において、「~」を用いて表す数値範囲はいずれも、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。まず、発明者らは、高Si鋼板を被接合材として使用する場合に、ロール傷が発生する原因を調査した。その結果、発明者らは、摩擦攪拌接合時に発生する接合部のバリが原因となって、ロール傷が発生することを知見した。特に、高Si鋼板を被接合材として使用する場合には、接合部のバリの硬さが増加し、少しでもバリが残っていると、ロール傷の発生を招いてしまう。
【0009】
発明者らは、上記の知見に基づき、接合部のバリを研削などにより取り除くことにより、ロール傷の発生を防止することを試みた。しかし、この場合には、継手効率が著しく低下した。
【0010】
そこで、発明者らは上記の原因について検討を重ねるとともに、所期した目的を達成すべく、さらに検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
(1)バリを除去する工程において、接合部に変形組織が形成される。特に、接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域(以下、接合部の表層領域ともいう)に、硬化相、すなわち、母材に対して延性が低下している組織が存在すると、当該組織において欠陥が発生する。そして、当該欠陥を起点に割れが発生し、継手効率が低下する。
(2)ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率を得るためには、以下の点を同時に満足させることが重要である。
・バリを除去する工程に当たる表面加工工程において、接合部材の最大厚さ減少量を被接合材の厚さの5.0%以下に抑制する。
・表面加工工程後に接合部材の加熱を行い、その際の加熱条件を適切に制御して接合部の表層領域における変形ひずみを低減する。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.回転ツールを被接合材に押圧し、前記回転ツールを回転させながら接合方向に移動することにより、前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合工程と、
ついで、前記接合部材に表面加工を施す、表面加工工程と、
ついで、前記接合部材を加熱する、加熱工程と、
を有し、
前記被接合材が、Si含有量:2.0~12.0質量%の鋼板であり、
前記表面加工工程での前記接合部材の最大厚さ減少量が、前記被接合材の厚さの5.0%以下であり、かつ、
前記加熱工程での最高到達温度が400℃以上1000℃以下である、摩擦攪拌接合方法。
【0012】
2.前記表面加工を研削または圧下により行う、前記1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【0013】
3.前記加熱を誘導加熱または抵抗発熱により行う、前記1または2に記載の摩擦攪拌接合方法。
【0014】
4.前記加熱工程後、前記接合部材の接合部の表層領域の硬さが、前記接合部材の母材の硬さの95~115%の範囲にあり、
前記接合部材の接合部の表層領域が、前記接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域である、前記1~3のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法。
【0015】
5.前記接合工程の前に、少なくとも、前記被接合材の表面から深さ:5μmまでの領域を除去する、事前表面加工工程をさらに有する、前記1~4のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法。
【0016】
6.前記1~4のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法に用いられる、摩擦攪拌接合装置であって、
被接合材を接合し、接合部材を得る、接合装置と、
前記接合部材の表面加工を施す、表面加工装置と、
前記接合部材を加熱する、加熱装置と、
を接合方向に上記の順で有する、摩擦攪拌接合装置。
【0017】
7.前記5に記載の摩擦攪拌接合方法に用いられる、摩擦攪拌接合装置であって、
被接合材に事前表面加工を施す、事前表面加工装置と、
前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合装置と、
前記接合部材の表面加工を施す、表面加工装置と、
前記接合部材を加熱する、加熱装置と、
を接合方向に上記の順で有する、摩擦攪拌接合装置。
【0018】
8.前記1~5のいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法により被接合材を接合し、接合部材を得る、接合部材の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高Si鋼板を被接合材として使用する場合であっても、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合方法の一例を示す模式図である。
【
図2】両面摩擦攪拌接合の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、以下の実施形態に基づき説明する。
[1]摩擦攪拌接合方法
まず、本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合方法について、説明する。
本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合方法は、
図1に示すように、
回転ツールを被接合材に押圧し、前記回転ツールを回転させながら接合方向に移動することにより、前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合工程と、
ついで、前記接合部材に表面加工を施す、表面加工工程と、
ついで、前記接合部材を加熱する、加熱工程と、
を有するものである。
図1中、符号1が回転ツール(表面側回転ツール)、3が被接合材、4が接合部、5が研削装置、6が加熱装置である。以下、上記の各工程について、説明する。
【0022】
(接合工程)
接合工程では、回転ツールを被接合材に押圧し、回転ツールを回転させながら接合方向に移動することにより、被接合材を接合し、接合部材を得る。
【0023】
接合条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
【0024】
また、接合方法は、被接合材の片面に回転ツールを配置する片面摩擦攪拌接合であってもよいし、被接合材の表面および裏面の両面に回転ツールを配置する両面摩擦攪拌接合であってもよい。
【0025】
両面摩擦攪拌接合を例示して説明すると、
図2に示すように、一対の回転ツールを、少なくとも2枚以上の金属板を有する被接合材の表面側と裏面側に配置する。以下、被接合材の表面側に配置する回転ツールを、表面側回転ツールと称する。また、被接合材の裏面側に配置する回転ツールを、裏面側回転ツールと称する。
図2中、符号1が回転ツール(表面側回転ツール)、2が回転ツール(裏面側回転ツール)、3が被接合材、4が接合部である。そして、対向する一対の回転ツールを被接合材の表面および裏面にそれぞれ押圧し、回転ツールを回転させながら接合方向に移動する。すなわち、表面側回転ツールを被接合材の表面に、裏面側回転ツールを被接合材の裏面にそれぞれ押圧し、これらの回転ツールを回転させながら接合方向に移動する。これにより、回転ツールと被接合材との摩擦熱で金属板を軟化させつつ、その軟化した部位を回転ツールで攪拌する。そして、被接合材の接合部となる領域で塑性流動を生じさせ、被接合材を接合する。
【0026】
また、接合方式としては、突合せ接合および重ね接合を例示できる。突合せ接合とは、被接合材の端面同士を対向させた状態で、被接合材の端面(突合せ面)を含む突合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、被接合材を接合するものである。重ね接合とは、被接合材の端部の少なくとも一部を重ね合せ、重ね合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、被接合材を接合するものである。
【0027】
(表面加工工程)
表面加工工程では、接合工程で生じた接合部材の表面のバリを除去する。なお、
図1では、裏面側の装置の記載を省略している。そして、この際、バリとともに除去される接合部材の除去量を抑制する、特には、接合部材の最大厚さ減少量を、被接合材の厚さの5.0%以下とすることが重要である。
【0028】
接合部材の最大厚さ減少量:被接合材の厚さの5.0%以下
高Si鋼板を被接合材として使用して摩擦攪拌接合を行った後、接合部に形成されたバリを除去すると、接合部の表層領域に、母材に対して延性が低下している組織が形成され、当該組織において欠陥が発生する。そして、当該欠陥を起点に割れが発生し、継手効率が低下する。上述したように、当該領域における変形ひずみを抑制するには、後述する加熱工程において、接合部材の加熱を行い、加熱条件を適切に制御することが有効である。しかし、接合部材の最大厚さ減少量が被接合材の厚さの5.0%超、すなわち、被接合材の厚さに対する接合部材の最大厚さ減少量の比率(=[接合部材の最大厚さ減少量(mm)]/[被接合材の厚さ(mm)]×100、以下、接合部材の厚さ減少比率ともいう)が5.0%超になると、減肉により継手効率が低下する。また、表面加工工程の後に接合部材の加熱を行っても、上記領域における変形ひずみを十分に低減できず、優れた継手効率が得られない。そのため、接合部材の厚さ減少比率は5.0%以下とする。接合部材の厚さ減少比率は、好ましくは3.0%以下である。なお、接合工程で生じたバリを除去できれば、接合部材の厚さ減少比率は特に限定されず、0%であってもよい。接合工程で生じたバリを十分に除去してロール傷の発生をより確実に防止する観点からは、接合部材の厚さ減少比率は1.0%以上が好ましい。
【0029】
ここで、接合部材の最大厚さ減少量は、表面加工を施した接合部材の各領域での厚さの減少量の最大値である。また、突合せ接合の場合、被接合材の厚さは、被接合材となる鋼板1枚あたりの厚さである。ただし、被接合材となる鋼板の厚さが互いに異なる場合には、被接合材の厚さは、被接合材となる鋼板の厚さの平均値とする。また、重ね接合の場合、被接合材の重ね部での厚さ(すなわち、重ね部で重なり合う鋼板の合計厚さ)である。
【0030】
表面加工方式は、特に限定されない。表面加工方式は、加工効率の観点から、研削または圧下が好ましい。接合部材の最大厚さ減少量を制御するには、表面加工の前に、接合部材の表面状態(バリの程度など)を確認したうえで、表面加工を行う位置および高さなどを調整することが好ましい。
【0031】
なお、接合工程において、両面摩擦攪拌接合を行う場合には、接合部材の両面で上記の表面加工を行う。また、接合工程において、片面摩擦攪拌接合を行う場合には、接合部材の片面(回転ツールを配置した側の面(ビードが形成された側の面))でのみ上記の表面加工を行ってもよいし、接合部材の両面で上記の表面加工を行ってもよい。効率の点からは、前者が有利である。また、接合部材の両面で上記の表面加工を行う場合には、両面においてそれぞれ接合部材の厚さ減少比率を上記の範囲に制御する。なお、後述する加熱工程でも、上記と同様に、接合方法に応じて、接合部材の片面または両面において加熱を行えばよい。
【0032】
上記以外の条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
【0033】
(加熱工程)
加熱工程では、接合部材を加熱する。上述したように、高Si鋼板を被接合材として使用して摩擦攪拌接合を行った後、接合部に形成されたバリを除去すると、接合部の表層領域に、母材に対して延性が低下している組織が形成され、当該組織において欠陥が発生する。そして、当該欠陥を起点に割れが発生し、継手効率が低下する。接合部の表層領域における変形ひずみを低減するには、バリを除去した後に接合部材の加熱を行い、加熱条件を以下のように制御することが重要である。
【0034】
最高到達温度:400℃以上1000℃以下
最高到達温度を400℃以上とすることにより、上述した接合部の表層領域における変形ひずみが低減され、優れた継手効率が得られる。しかしながら、最高到達温度が1000℃を超えると、結晶粒の粗大化を招く。そのため、最高到達温度は、400℃以上1000℃以下とする。最高到達温度は好ましくは700℃以上である。また、最高到達温度は好ましくは900℃以下である。
【0035】
また、加熱工程では、以下の条件を満足させることが好適である。これにより、より有利に上述した接合部の表層領域における変形ひずみが低減され、優れた継手効率が得られる。
100~400℃の温度域での平均加熱速度(以下、加熱速度ともいう):10~300℃/秒
最高到達温度での保持時間(以下、保持時間ともいう):0.1~10秒
400~100℃の温度域での平均冷却速度(以下、冷却速度ともいう):10~300℃/秒
【0036】
ここでの温度はいずれも、接合部材の接合部の表面温度を基準とする。なお、片面摩擦攪拌接合を行い、接合部材の片面(回転ツールを配置した側の面(ビードが形成された側の面))でのみ上記の表面加工を行う場合には、少なくとも接合部材の接合部の当該面において、最高到達温度を上記の範囲に制御する。この場合、接合部材の接合部の当該面において、加熱速度、保持時間および冷却速度を上記の範囲に制御することが好適である。また、両面摩擦攪拌接合を行い、接合部材の両面で上記の表面加工を行う場合、接合部材の接合部の両面において、最高到達温度を上記の範囲に制御する。この場合、接合部材の接合部の両面において、加熱速度、保持時間および冷却速度を上記の範囲に制御することが好適である。
【0037】
また、加熱方式は、特に限定されない。加熱方式は、加熱効率の観点から、高周波誘導加熱または(電極で挟み込んで通電する)抵抗発熱が好ましい。
【0038】
上記以外の条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
【0039】
(事前表面加工工程)
摩擦攪拌接合では、被接合材の表面に酸化皮膜やコンタミが残存していると、継手強度の低下を招く場合がある。これを回避するため、本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合方法は、任意に、上記接合工程の前に、少なくとも被接合材の表面から深さ:5μmまでの領域を除去する、事前表面加工工程をさらに有していてもよい。なお、事前表面加工工程での被接合材の除去領域は、最大でも、被接合材の表面から深さ:50μmまでの領域とすることが好ましい。また、上記の事前表面加工は、被接合材の表面状態に応じて、被接合材の片面にのみ行ってもよいし、被接合材の両面に行ってもよい。
【0040】
表面加工方式は、特に限定されない。表面加工方式は、加工効率の観点から、研削または研磨が好ましい。
【0041】
なお、事前表面加工を行う場合、接合部材の厚さ減少比率の分母となる被接合材の厚さは、事前表面加工後の被接合材の厚さとする。すなわち、接合部材の厚さ減少比率の分母となる被接合材の厚さは、接合工程の供する被接合材の厚さである。
【0042】
上記以外の条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
【0043】
(被接合材)
被接合材は、Si含有量:2.0~12.0質量%の鋼板とする。Si以外の元素の含有量は特に限定されない。このような鋼板の成分組成としては、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.0~12.0%、Al:2.0%以下およびMn:1.0%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を例示できる。不可避的不純物は、例えば、P:0.2%以下、S:0.01%以下、および、N:0.01%以下である。上記の成分組成には、任意に、質量%で、Cr:1%以下、Ni:1%以下、Cu:1%以下、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.05%以下、および、Mg:0.01%以下からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有させることができる。なお、SiおよびFe以外の元素はいずれも0質量%であってもよい。Si含有量は好ましくは3.0質量%以上である。また、Si含有量は好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。C含有量は、より好ましくは0.001質量%以上である。Mn含有量およびAl含有量はそれぞれ、より好ましくは0.01質量%以上である。また、被接合材に使用する鋼板は、同じ鋼種であってもよいし、異なる鋼種であってもよい。さらに、被接合材に使用する鋼板の1枚あたりの厚さは、0.2~3.2mmが好適である。
【0044】
(接合部材)
本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合方法により得られた接合部材は、2以上の母材(被接合材)と、母材同士の接合部(母材同士を接合する接合部)とを有する。ここで、各母材は、被接合材とする各鋼板によって構成される。接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受けて再結晶組織となった領域である。また、上記の接合部材は、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲であることが好ましく、母材の硬さの100~110%の範囲であることがより好ましい。換言すれば、最終的に得られる接合部材の接合部の表層領域の硬さが、好ましくは母材の硬さの95~115%の範囲、より好ましくは母材の硬さの100~110%の範囲となるように、上記各工程の条件、特に加熱工程での条件を制御する。
【0045】
ここで、表層領域は、接合部材の接合部での表面から厚さ1/10位置までの領域(表面から(厚さ方向に)深さ:当該部の厚さの1/10までの領域)である。なお、片面摩擦攪拌接合を行い、接合部材の片面(回転ツールを配置した側の面(ビードが形成された側の面))でのみ上記の表面加工および加熱を行う場合、少なくとも接合部材の接合部の当該面において、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲にあることが好ましく、母材の硬さの100~110%の範囲にあることがより好ましい。また、両面摩擦攪拌接合を行い、接合部材の両面で上記の表面加工および加熱を行う場合、接合部材の接合部の両面において、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲にあることが好ましく、母材の硬さの100~110%の範囲にあることがより好ましい。
【0046】
接合部の表層領域の硬さおよび母材の硬さは、JIS Z 2244(2009)に準拠するビッカース硬さ試験により測定する。また、試験力は100gfとする。
【0047】
具体的には、接合部材を、継手断面(接合部材の接合垂直方向と厚さ方向とが含まれる面、ここで接合垂直方向は、接合方向と厚さ方向の両方に垂直な方向である)が切断面となるように、厚さ(鉛直)方向に切断する。ついで、切断面の接合部の表層領域において、接合部の表面から深さ:50μmで、かつ、母材と接合部の一方の境界から接合垂直方向(接合部側)に50μm離間した位置を起点として、格子状に、厚さ方向に50μm、接合垂直方向に50μmの間隔で、上記の条件によりビッカース硬さを測定する。また、切断面の母材の厚さ中心位置において、上記の条件で、ビッカース硬さを測定する。そして、切断面の接合部の表層領域において測定したビッカース硬さがいずれも、切断面の母材の厚さ中心位置において測定したビッカース硬さの95~115%の範囲にある場合、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲にあると判断する。なお、接合部を介して接合される母材によってビッカース硬さが異なる場合には、接合部を介して接合される各母材のビッカース硬さを基準として、上記の判断を行う。例えば、接合部を介して第1の母材と第2の母材とが接合される接合部材では、切断面の接合部の表層領域において測定したビッカース硬さが、切断面の第1の母材の厚さ中心位置において測定したビッカース硬さの95~115%の範囲にあり、かつ、切断面の第2の母材の厚さ中心位置において測定したビッカース硬さの95~115%の範囲にある場合に、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲にあると判断する。
【0048】
また、母材と接合部とは、例えば、以下のようにして画定することができる。すなわち、接合部材を、継手断面が切断面となるように、厚さ(鉛直)方向に切断する。ついで、切断面を研磨し、3vol.%ナイタール(硝酸とエタノールの溶液)、ピクリン酸飽和水溶液または王水(塩酸と硝酸を3:1の体積比で混合した溶液)でエッチングする。ついで、当該切断面を光学顕微鏡で観察し、エッチングの度合いなどから母材と接合部とを画定する。
【0049】
なお、接合部材は、片面摩擦攪拌接合継手であっても、両面摩擦攪拌接合継手であってもよい。ここで、片面摩擦攪拌接合継手は、被接合材の片面に回転ツールを配置する片面摩擦攪拌接合により、被接合材が接合された接合部材である。すなわち、片面摩擦攪拌接合継手は、接合部の一方の表面にのみ、ビードを有する。片面摩擦攪拌接合継手では、少なくとも当該接合部の一方の表面側において、上記の表層領域が得られるように、上記各工程の条件、特に加熱工程での条件を制御することが好ましい。また、両面摩擦攪拌接合継手は、被接合材の表面および裏面の両面に回転ツールを配置する両面摩擦攪拌接合により、被接合材が接合された接合部材である。すなわち、両面摩擦攪拌接合継手は、接合部の両方の表面に、ビードを有する。接合部材が両面摩擦攪拌接合継手の場合には、接合部の両方の表面近傍において、上記の表層領域が得られるように、上記各工程の条件、特に加熱工程での条件を制御することが好ましい。
【0050】
[2]摩擦攪拌接合装置
次に、本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合装置を、説明する。
本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合装置は、上記[1]の摩擦攪拌接合方法に好適に用いることができる、摩擦攪拌接合装置であって、
被接合材に事前表面加工を施す、任意の事前表面加工装置と、
前記被接合材を接合し、接合部材を得る、接合装置と、
前記接合部材の表面加工を施す、表面加工装置と、
前記接合部材を加熱する、加熱装置と、
を接合方向に上記の順で有することを特徴するものである。なお、必要に応じて、前記接合装置と前記表面加工装置との間に、表面形状測定装置を設けてもよい。
【0051】
ここで、事前表面加工装置の態様は、被接合材の表面加工を行い、被接合材を部分的に除去できるものであれば特に限定されない。事前表面加工装置として、グラインダなどの研削装置、または、研磨装置を例示できる。
【0052】
接合装置の態様は、摩擦攪拌接合を行う装置であれば特に限定されない。接合装置は、例えば、回転ツールおよび回転ツールの駆動装置などを有する。
【0053】
表面形状測定装置の態様は、接合部材の接合部の表面のバリの程度などを確認できるものであれば特に限定されない。表面形状測定装置として、(触針で試料の表面をなぞる)接触式または(レーザなどの)非接触式の表面形状測定機を例示できる。
【0054】
表面加工装置の態様は、接合部材の表面加工を行い、接合部材の接合部の表面のバリを除去できれば特に限定されない。表面加工装置として、グラインダなどの研削装置、または、圧下装置を例示できる。
【0055】
加熱装置の態様は、特に限定されない。加熱装置として、雰囲気炉(接合部全体を覆う形で雰囲気により加熱する炉を通過させるものである)、ならびに、非接触で局所的に加熱する誘導加熱装置および抵抗発熱装置を例示できる。また、加熱装置は、接合部材の表面温度を測定する装置、例えば、サーモグラフィを有することが好適である。
【0056】
また、本発明の一実施形態に従う摩擦攪拌接合装置は、任意の事前表面加工装置と、接合装置と、任意の表面形状測定装置と、表面加工装置と、加熱装置とを、接合速度に合わせて、接合方向に一体で移動させる駆動装置を有することが好ましい。これにより、一連の工程を連続的に行えるので、効率の点で非常に有利である。
【0057】
なお、上記以外については特に限定されず、従来公知のものと同様の装置構成とすればよい。
【0058】
[3]接合部材の製造方法
次に、本発明の一実施形態に従う接合部材の製造方法を、説明する。
本発明の一実施形態に従う接合部材の製造方法は、上記[1]の摩擦攪拌接合方法により被接合材を接合し、接合部材を得るというものである。得られる接合部材は、上記[1]で述べたとおりである。また、得られる接合部材の具体例としては、先行鋼板と後行鋼板とを接合する接合部を有するコイルが挙げられる。上記以外の条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
【実施例】
【0059】
被接合材となる表1に記載のSi含有量および板厚の2枚の鋼板を突合せて、両面摩擦攪拌接合を行い、接合部材を得た(接合工程)。いずれの場合にも、両面とも、回転数:1000rpm、接合速度:2m/分の条件とした。回転ツール(表面側回転ツールおよび裏面側回転ツール)には、肩径(肩部の直径):16mm、プローブ径(プローブの直径):8mm、プローブ長さ:1mmのセラミック製ツールを使用した。ついで、得られた接合部材の両面に、表1に示す条件で、幅:20mmのグラインダを用いて研削による表面加工を施し、接合部材の接合部のバリを除去した(表面加工工程)。ここで、接合部材の最大厚さ減少量は、レーザ変位計を用いて測定した。ついで、接合部材を、表1に示す条件で加熱した(加熱工程)。ここで、加熱は、雰囲気炉を用いて実施した。また、接合部材の表面(両面)をサーモグラフィにより測定することにより、最高到達温度を測定した。明記していない条件などについては、上記の記載または常法に従うものとした。なお、No.15では、表面加工工程を行わなかった。No.16では、加熱工程を行わなかった。また、いずれも場合も、表面加工工程および加熱工程の条件、ならびに、後述する接合部の表層領域の硬さ/母材の硬さ×100は、両面ともほぼ同じであるため、表1では、一方のみを代表して記載している。加えて、後述するロール傷の発生防止性は、接合部材の接合部の両面でそれぞれ確認したものである。
【0060】
かくして得られた接合部材について、上述の要領で、接合部の表層領域の硬さ、および、母材の硬さを測定し、接合部の表層領域の硬さが、母材の硬さの95~115%の範囲にあるか否かを判定した。接合部の表層領域の硬さ/母材の硬さ×100を表1に併記する。
【0061】
また、得られた接合部材について、継手効率の評価を行った。継手効率の評価では、継手効率(=接合部の破断強度/母材の破断強度×100)が95%超であるものを「優」、95%以下90%超であるものを「良好」、90%以下であるものを「不良」と評価した。結果を表1に併記する。
【0062】
ここで、接合部の破断強度は、以下のようにして測定した。すなわち、得られた摩擦攪拌接合継手から、接合方向および厚さ方向が試験片の長手方向と直角となり、かつ、接合部が平行部の中央に位置するように、JIS Z 3121(2013)に規定する1号試験片と同じ形状の試験片を採取した。ついで、採取した試験片を用いてJIS Z 3121(2013)に準拠した引張試験を行い、最大試験力(N)を求めた。そして、求めた最大試験力(N)を試験片の平行部の断面積(mm2)で除した値を、接合部の破断強度とした。
【0063】
母材の破断強度は、母材(被接合材)の引張強さ(TS)ということもできる。すなわち、母材の破断強度は、JIS Z 2241(2022)に準拠した引張試験を行って測定すればよい。例えば、母材または母材と同じ材料からJIS5号試験片を採取する。ついで、採取した試験片を用いて、クロスヘッド速度:10mm/minの条件で引張試験を行い、引張強さ(TS)を測定する。なお、母材によって破断強度が異なる場合、継手効率の評価では、各母材の破断強度のうち、最大のものを使用する。
【0064】
ロール傷の発生防止性を確認すべく、(ロールを模擬した)表面研磨済み高炭素クロム軸受鋼(SUJ-2、以下、軸受鋼ともいう)に接合部材の接合部を押し当て、100回スライドさせた。この際、押し当て圧力(軸受鋼に接合部材の接合部を押し当てた際の加圧力)は400MPaとした。ついで、軸受鋼での傷の有無を目視により確認した。そして、傷が確認された場合には、傷の深さを光学顕微鏡による断面観察により測定した。そして、以下の基準により、ロール傷の発生防止性を評価した。結果を表1に併記する。
良好:深さ50μm以上の傷が確認されない。
不良:深さ50μm以上の傷が確認される。
【0065】
【0066】
表1に示したように、発明例ではいずれも、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率が得られた。一方、比較例では、ロール傷が発生するか、または、十分な継手効率が得られなかった。
【0067】
また、事前表面加工工程を行った以外は上記と同様にして接合部材を製造した場合にも、表面加工工程での接合部材の厚さ減少比率を5.0%以下とし、かつ、加熱工程での最高到達温度を400℃以上1000℃以下としたものではいずれも、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率が得られた。
【0068】
さらに、Si含有量:2.0~12.0質量%とした上記好適成分組成を有し、厚さ:0.2~3.2mmの種々の鋼板を被接合材として使用し、種々の接合条件の突合せ接合または重ね接合により、接合部材を製造した場合にも、接合部材の厚さ減少比率を5.0%以下とし、かつ、加熱工程での最高到達温度を400℃以上1000℃以下としたものではいずれも、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率が得られた。
【符号の説明】
【0069】
1 回転ツール(表面側回転ツール)
2 回転ツール(裏面側回転ツール)
3 被接合材
4 接合部
5 研削装置
6 加熱装置
【要約】
高Si鋼板を被接合材として使用する場合であっても、ロール傷の発生を防止しつつ、優れた継手効率を得ることを可能ならしめる、摩擦攪拌接合方法を提供する。接合工程と、表面加工工程と、加熱工程と、を有し、表面加工工程での接合部材の最大厚さ減少量を、被接合材の厚さの5.0%以下とし、さらに、加熱工程での最高到達温度を400℃以上1000℃以下とする。