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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】表示装置及び表示光束の色度調整方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20241008BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241008BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241008BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/13357
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020141376
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2021051294
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】16/581,606
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】林 揚景
(72)【発明者】
【氏名】方 崇仰
(72)【発明者】
【氏名】陳 冰▲彦▼
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208126055(CN,U)
【文献】特開2006-010854(JP,A)
【文献】特開2001-228322(JP,A)
【文献】特開平01-295219(JP,A)
【文献】特開2016-170369(JP,A)
【文献】特開2007-079093(JP,A)
【文献】特開2011-221413(JP,A)
【文献】特開平2-47626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/13357
G09F 9/00
G09F 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
前記表示装置は光源モジュール、視角切り替えモジュールと表示モジュールを含み、
前記光源モジュールは光束を提供する光源を含み、前記光束が前記光源モジュールを通って照明光束を形成し、前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域内にあり、前記第一領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記第一領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)であり、
前記視角切り替えモジュールは前記照明光束の伝達経路上に配置され、かつ、第一偏光シート、視角調整層及び第二偏光シートを含み、
前記視角調整層が前記第一偏光シートと前記第二偏光シートとの間に位置し、
前記表示モジュールは前記照明光束の伝達経路上に配置され、かつ、表示層と第三偏光シートを含み、
前記表示層が前記第二偏光シートと前記第三偏光シートとの間に位置し、
前記照明光束が前記視角切り替えモジュールと前記表示モジュールを通って表示光束を形成し、
前記表示光束が白色光である場合、前記表示光束の色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域内にあり、前記標準領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記標準領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)であり、
前記第一偏光シート、前記第二偏光シート及び前記第三偏光シートの中の少なくとも一つの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつ、前記b*値が1より小さい、ことを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第二領域内にあり、前記第二領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記第二領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.2565, 0.2260)、(0.2630, 0.2490)、(0.2765, 0.2490)及び(0.2700, 0.2260)である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第三領域内にあり、前記第三領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記第三領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.2580, 0.2310)、(0.2615, 0.2440)、(0.2750, 0.2440)及び(0.2715, 0.2310)である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記b*値の範囲が‐2.5から0.5の間にある、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第一偏光シートの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつ前記b*値が1より小さい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記照明光束は前記視角切り替えモジュール及び前記表示モジュールを順に通って、前記表示光束を形成し、
前記視角切り替えモジュールは前記照明光束の出光視角範囲を切り替えて、前記表示光束の出光視角範囲を変える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光束は前記光源モジュール、前記表示モジュール及び前記視角切り替えモジュールを順に通って、前記表示光束を形成し、
前記視角切り替えモジュールは前記表示光束の出光視角範囲を切り替える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
表示光束の色度調整方法であって、
光源モジュール、視角切り替えモジュール及び表示モジュールを提供するステップと、
光束を提供するステップとを含み、
前記光源モジュールは光源を含み、
前記視角切り替えモジュールは第一偏光シート、視角調整層と第二偏光シートを含み、
前記表示モジュールは表示層と第三偏光シートを含み、
前記光源が前記光束を提供し、前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域内にあり、前記第一領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記第一領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)であり、
前記光束が前記光源モジュール、前記視角切り替えモジュール及び前記表示モジュールを通って表示光束を形成し、
前記表示光束が白色光である場合、前記表示光束の色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域内にあり、前記標準領域が四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ前記標準領域の前記座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)であり、
前記第一偏光シート、前記第二偏光シート及び前記第三偏光シートの中の少なくとも一つの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつ、前記b*値が1より小さい、ことを特徴とする、表示光束の色度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学装置及び色度調整方法に関し、特に表示装置及び表示光束の色度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、表示装置は今日常生活中によく見かける電子装置になっており、一部の表示装置がユーザのプライバシー保護の目的から、覗き見防止機能を備えたものがある。また、現在の覗き見防止型の表示装置において、液晶ディスプレイと電子制御液晶視角切り替え器の何れにも偏光シートを配置して光の透過割合を制御する必要があるため、覗き見防止型の表示装置の覗き見防止効果を果たすには、少なくとも三枚の偏光シートを配置する必要がある。
【0003】
しかし、使用する偏光シートの数は表示装置が提供する表示光束の色度に影響があり、通常二枚の偏光シートを用いる表示装置に対し、覗き見防止型の表示装置には三枚の偏光シートが用いられるため、覗き見防止型の表示装置が提供する表示光束の色度に黄色色ずれが生じ、さらに標準白色光の表示光束の色度が上限値へ偏り、または規格要求を超えることになる。
【0004】
今は覗き見防止型表示装置が提供する表示光束の色度を調整する方法として二種類の方法がある。一つは、覗き見防止型表示装置中の電子制御液晶視角切り替え器の透明電極(ITO)の膜厚を調整し、かつ透明電極(ITO)の膜厚に起因する色度偏移を調整することで多層偏光シートによる色ずれを補正する方法である。もう一つは、覗き見防止型表示装置中の液晶ディスプレイのカラーフィルターの各原色の顔料濃度を調整することで、多層偏光シートによる色ずれを補正する方法である。しかし、この二つの方法は技術が複雑で、効果が顕著ではない。例を挙げると、透明電極(ITO)の膜厚調整が原因で、電子制御液晶視角切り替え器の透光率が低下し易くなり、また、カラーフィルターの各原色の顔料濃度を調整すると、表示光束の三原色の透光率に影響を及ぼし、表示装置の色域を低下させることがあるため、結局覗き見防止型表示装置の画像品質を影響することになる。
【0005】
「背景技術」は本発明内容の理解を促すことだけを目的とし、そのため、「背景技術」に開示された内容には当業者が把握している従来技術を構成しないものを含まれている可能性もある。「背景技術」に開示された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に当業者に承知または把握されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、覗き見防止機能及び良好な画像品質を有する画面を実現できる表示装置を提供する。
【0007】
本発明は、覗き見防止機能を備えた表示装置の画面に良好な画像品質を実現できる表示光束の色度調整方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からより一層理解を深めることができる。
【0009】
前記一つ、一部または全ての目的及びその他の目的を達成するために、本発明の一実施例は表示装置を提供する。表示装置は光源モジュール、視角切り替えモジュール及び表示モジュールを含む。光源モジュールは光源を含み、光源が光束を提供し、光束が光源モジュールを通って照明光束を形成し、光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域内にあり、第一領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第一領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)である。視角切り替えモジュールは照明光束の伝達経路上に配置され、かつ第一偏光シート、視角調整層及び第二偏光シートを含み、視角調整層が第一偏光シートと第二偏光シートとの間に位置する。表示モジュールは照明光束の伝達経路上に配置され、かつ表示層及び第三偏光シートを含み、表示層が第二偏光シートと第三偏光シートとの間に位置し、照明光束が視角切り替えモジュールと表示モジュールを通って表示光束を形成する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第二領域内にあり、第二領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第二領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2565, 0.2260)、(0.2630, 0.2490)、(0.2765, 0.2490)及び(0.2700, 0.2260)である。
【0011】
本発明の一実施例において、前記光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第三領域内にあり、第三領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第三領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2580, 0.2310)、(0.2615, 0.2440)、(0.2750, 0.2440)及び(0.2715, 0.2310)である。
【0012】
本発明の一実施例において、前記表示光束が白色光である場合、表示光束の色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域内にあり、標準領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ標準領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)である。
【0013】
本発明の一実施例において、前記第一偏光シート、第二偏光シート及び第三偏光シート中の少なくとも一つの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつb*値が1より小さい。
【0014】
本発明の一実施例において、前記b*値の範囲が‐2.5から0.5の間にある。
【0015】
本発明の一実施例において、前記第一偏光シートの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつb*値が1より小さい。
【0016】
本発明の一実施例において、前記照明光束が視角切り替えモジュール及び表示モジュールを順に通って表示光束を形成し、かつ視角切り替えモジュールが照明光束の出光視角範囲を変えることで、表示光束の出光視角範囲を変える。
【0017】
本発明の一実施例において、前記照明光束が表示モジュール及び視角切り替えモジュールを順に通って表示光束を形成し、かつ視角切り替えモジュールが表示光束の出光視角範囲を変える。
【0018】
前記一つ、一部または全ての目的及びその他の目的を達成するために、本発明の一実施例は表示光束の色度調整方法を提供し、以下のステップを含む。光源モジュール、視角切り替えモジュール及び表示モジュールを提供するステップでは、光源モジュールが光源を含み、視角切り替えモジュールが第一偏光シート、視角調整層、第二偏光シートを含み、表示モジュールが表示層及び第三偏光シートを含む。光束を提供するステップでは、光源が光束を提供し、かつ光束の色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域内にあり、第一領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第一領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)であり、光束が光源モジュール、視角切り替えモジュールと表示モジュールを通って表示光束を形成し、かつ表示光束が白色光である場合、表示光束の色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域内にあり、標準領域は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ標準領域のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)である。
【0019】
以上により、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点または効果を有する。本発明の実施例において、表示装置及び表示光束の色度調整方法は、光源が提供する光束の色度及び偏光シートの色相を制御することにより、表示装置が提供する表示光束の色度座標をCIE 1931xy色度図中の標準領域の中央付近に位置させることができ、良好な色彩表現を有し、さらに覗き見防止機能を提供すると同時に、良好な画像品質を有する画面を提供できる。
【0020】
本発明の前記特徴と利点をより明確に分かりやすく示すため、以下はその好ましい実施例を挙げて、かつ図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本発明の一実施例の表示装置の構成概略図。
図1B】本発明の一実施例の視角切り替えモジュールの構成概略図。
図1C】本発明の一実施例の表示装置の製作方法のフローチャート。
図2A】本発明の一実施例と比較例の光束のCIE 1931xy色度図中の範囲の概略図。
図2B】本発明の一実施例と一比較例の表示光束のCIE 1931xy色度図中の概略図。
図2C】本発明の一実施例の光束のCIE 1931xy色度図中の異なる範囲の概略図。
図3】本発明の一実施例の別の表示装置の構成概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の前記及びその他の技術内容、特徴と効果について、以下は図面を参照した好ましい実施例の詳細説明を通して明確に示す。以下の実施例において言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前及び後などは、図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明目的に用いられるものであり、本発明を制限するものではない。
【0023】
図1Aは本発明の一実施例の表示装置の構成概略図である。図1Bは本発明の一実施例の視角切り替えモジュールの構成概略図である。図1Cは本発明の一実施例の表示装置の製作方法のフローチャートである。図1Aを参照すると、本実施例の表示装置100は光源モジュール110、視角切り替えモジュール120及び表示モジュール130を含む。光源モジュール110は光源111を含み、光源111は光束LBを提供し、光束LBが光源モジュール110を通って照明光束ILを形成する。照明光束ILは視角切り替えモジュール120及び表示モジュール130を順に通って表示光束DLを形成する。言い換えれば、本実施例において、視角切り替えモジュール120は光源モジュール110と表示モジュール130との間に配置される。具体的に言うと、視角切り替えモジュール120は照明光束ILの出光視角範囲を切り替えて、表示光束DLの出光視角範囲を変えるため、少なくとも二種類の異なる可視角範囲、例えば、広視角の正常観賞モード及び狭視角の覗き見防止モードを提供することができる。
【0024】
具体的に言うと、図1Aが示すように、本実施例において、光源モジュール110は光源111、導光板112、低散乱の反射シート113及び逆プリズムシート114を含み、かつ光源111が複数個の発光素子LEによって構成され、光束LBを提供する。さらに、本実施例において、光源111が提供する光束LBは導光板112に進入した後、反射シート113の反射によって進行方向が変更され、さらに逆プリズムシート114に視準化(collimation)された後、光源モジュール110を離れて、照明光束ILを形成する。言い換えれば、本実施例において、照明光束ILは高い視準性を有する。
【0025】
より具体的に言うと、図1A図1Bが示すように、本実施例において、視角切り替えモジュール120と表示モジュール130が照明光束ILの伝達経路上に配置される。視角切り替えモジュール120は第一偏光シート121、視角調整層122及び第二偏光シート123を含み、かつ、視角調整層122が第一偏光シート121と第二偏光シート123との間に位置する。視角切り替えモジュール120はさらに第一基板SB1と第二基板SB2を含み、第一基板SB1と第二基板SB2が第一偏光シート121と第二偏光シート123との間に位置し、視角調整層122が第一基板SB1と第二基板SB2との間に位置する。具体的に言うと、第一基板SB1または第二基板SB2が一般的なガラス基板であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
図1Aと1Bが示すように、本実施例において、第一偏光シート121と第二偏光シート123が照明光束ILの伝達経路上に順に配置され、第一偏光シート121と第二偏光シート123の吸収軸が平行または略平行に設置され、例えば、第一偏光シート121と第二偏光シート123の吸収軸の間の夾角が0度~10度の範囲内にある。視角調整層122も伝達経路上に配置され、かつ第一偏光シート121と第二偏光シート123との間に位置し、照明光束ILの出光視角範囲を変え、例えば、広出光視角から狭出光視角に変える。
【0027】
また、図1Bが示すように、本実施例において、視角調整層122は液晶層LC120、第一配向層AL1、第二配向層AL2、第一電極ED1及び第二電極ED2を含む。第一電極ED1及び第二電極ED2はそれぞれ液晶層LC120の反対両側に配置され、液晶層LC120に電圧を印加して液晶層LC120中の液晶分子の配列方向を変えるためのものである。液晶層LC120の液晶分子は、例えば、ねじれネマティック液(Twisted Nematic, TN)液晶であるが、これに限定されない。第一配向層AL1と第二配向層AL2は同じく、それぞれ液晶層LC120の反対両側に配置されるが、第一配向層AL1は第一電極ED1と液晶層LC120との間に位置し、第二配向層AL2は液晶層LC120と第二電極ED2との間に位置する。第二配向層AL2と第一配向層AL1の配向方向が互いに逆平行または略逆平行である。そのほか、第一配向層AL1は液晶層LC120と第一偏光シート121との間に配置され、第二配向層AL2は液晶層LC120と第二偏光シート123との間に配置される。第一偏光シート121または第二偏光シート123の吸収軸方向と、対応する第一配向層AL1または第二配向層AL2の配向方向が平行であり、または垂直であり、または略平行若しくは垂直である。
【0028】
このように、液晶層LC120中の液晶分子は第一電極ED1と第二電極ED2の間の印加電圧によってその配列方向が変化するため、照明光束ILの出光視角を変えることができる。例えば、印加電圧が0V(ボルト)の時、照明光束ILは視角調整層122を透過した後、各角度における出光強度の差が大きくないため、表示装置100の各視角に必要な照明光束ILを提供することができ、表示装置100に広視角をもたらし、正常觀賞モードになる。第一印加電圧が0Vより大きい場合(例えば、±3V)、照明光束ILが視角調整層122を透過する時に、照明光束ILは液晶分子に影響されてその偏光状態が変わり、さらに出光フィールド型が変化するため、狭視角モードに必要な照明光束ILを表示装置100に提供し、可視角範囲を著しく狭めることができる。これにより、照明光束ILがその後表示モジュール130を通って形成する表示光束DLの出光視角範囲も著しく狭くなる。このように、隣にいる他者には表示装置100の画面がはっきり見えず、表示装置100が覗き見防止モードになり、プライバシーを保護する効果が得られる。なお、第一印加電圧が0Vより大きい場合、正面視角(表示モジュール130に垂直な方向における視角)では液晶分子の影響をほとんど受けないため、正面視角方向にいる観賞者には変わらず良好な表示画像品質を提供できる。
【0029】
より詳しく言うと、図1Aが示すように、本実施例において、表示モジュール130は表示層131及び第三偏光シート132を含み、かつ表示層131が第二偏光シート123と第三偏光シート132との間に位置する。例を挙げると、表示層131は液晶層LC130、電極層ED及びカラーフィルターCFを含み、カラーフィルターCFは赤、緑、青三色のフォトレジストを有する。かつ、第三偏光シート132と第二偏光シート123は表示層131の反対両側に配置され、第三偏光シート132と第二偏光シート123の吸収軸方向が互いに平行または垂直である。言い換えれば、本実施例において、表示モジュール130は液晶表示パネルであり、第二偏光シート123と第三偏光シート132が表示モジュール130の上下偏光シートとして用いられるが、本発明はこれに限定されない。図1A図1Bが示すように、本実施例において、照明光束ILは視角切り替えモジュール120と表示モジュール130を通った後、表示光束DLを形成することができる。かつ、前記の通り、本実施例において、視角切り替えモジュール120は照明光束ILの出光視角範囲を切り替えることで、表示モジュール130の表示光束DLの出光視角範囲を調整し、表示装置100が印加電圧によって正常觀賞モードと覗き見防止モードの間に切り替えられる。
【0030】
しかし、本実施例において、表示装置100の覗き見防止機能を実現するために、表示装置100に三枚の偏光シートが使用され、かつ偏光シートの使用数が表示装置100の提供する表示光束DLの色度に影響を及ぼすため、図1Cが示すように、本実施例において、表示光束DLの色度調整方法は、例えば、図1Aの表示装置100を利用して実行することができる。具体的に言うと、ステップS110を実行して、光源モジュール110、視角切り替えモジュール120及び表示モジュール130を提供する。かつ、ステップS120を実行して、光源111から光束LBを提供し、光源111が提供する光束LBの色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域R1内にあり(下記図2Aが示すように)、第一領域R1は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第一領域R1のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)である。従って、光束LBは光源モジュール110、視角切り替えモジュール120と表示モジュール130を通って、表示光束DLを形成する。
【0031】
このように、表示光束DLが白色光であり、かつ表示光束DLが表示装置100の最大グレースケール輝度である場合、表示光束DLの色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域SR内にあり、標準領域SRは四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ標準領域SRのこれらの座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)である。これにより、表示装置100は覗き見防止機能を提供するとともに、良好な的画像品質の画面を提供できる。
【0032】
以下は図2Aないし図2Cを合わせて参照し、説明を進める。
【0033】
図2Aは本発明の一実施例と一比較例の光束のCIE 1931xy色度図における範囲の概略図である。図2Bは本発明の一実施例と一比較例の表示光束のCIE 1931xy色度図における位置の概略図である。図2Cは本発明の一実施例の光束のCIE 1931xy色度図における異なる範囲の概略図である。図2Aが示すように、本実施例の光源111が提供する光束LBの色度がCIE 1931xy色度図中の第一領域R1内にあり、第一領域R1は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第一領域R1のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2535, 0.2160)、(0.2656, 0.2590)、(0.2795, 0.2590)及び(0.2674, 0.2160)である。一方の比較例では、一般的な表示装置に応用される光源が提供した光束の色度がCIE 1931xy色度図中の比較領域CRにあり、比較領域CRも四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ比較領域CRのこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2950, 0.2942)、(0.2950, 0.2742)、(0.2800, 0.2466)及び(0.2800, 0.2666)である。言い換えれば、一般的な表示装置に応用される光源が提供した光束に比較すると、本実施例の光源111が提供した光束LBはより寒色系(青寄り)に寄った白色光である。
【0034】
また、図2Bが示すように、光束LBが導光板112、逆プリズムシート114、視角切り替えモジュール120と表示モジュール130を通った後に形成した表示光束DLは白色光であり、かつ表示光束DLが表示装置100の最大グレースケール輝度である場合、本実施例の表示光束DLの色度がCIE 1931xy色度図中の標準領域SR内にあり、標準領域SRは四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ標準領域SRのこれらの座標点の値がそれぞれ(0.343, 0.359)、(0.283, 0.359)、(0.343, 0.299)及び(0.283, 0.299)である。また、本実施例の表示光束DLの色度座標PはCIE 1931xy色度図中の(0.322,0.328)であり、標準領域SRの中央付近に位置し、良好な色彩表現を有する。一方、比較例が提供する照明光束が形成する表示光束は白色光であり、かつその表示光束が表示装置の最大グレースケール輝度である場合、比較例の表示光束の色度座標P’がCIE 1931xy色度図中の(0.330,0.353)であり、標準領域SRの縁部に近く、色彩表現が黄色寄りである。
【0035】
より具体的に言うと、比較例において、偏光シートの使用数が表示装置100の提供する表示光束DLの色度に影響を及ぼすため、比較例の一般的な表示装置の光源が提供する光束は、通常二枚の偏光シートを用いる一般的な表示装置のみに適している。比較例の一般的な表示装置の光束を三枚の偏光シートを有する表示装置に応用した場合、覗き見防止型表示装置が提供する表示光束の色度が黄色に色ずれするため、標準白色光の表示光束の色度が上限値へ偏り、または規格要求を超える。
【0036】
一方、本実施例は、一般的な表示装置に応用される光源が提供する光束に比較すると、本実施例の光源111が提供する光束LBがもっと寒色系(青寄り)に寄った白色光であるため、標準白色光の表示光束DLの色度を標準領域SRの中央付近に維持することができ、かつ、最終の表示光束DLで良好な色彩表現を提供することできる。
【0037】
なお、本実施例において、表示装置100として覗き見防止機能を有する表示装置の例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、表示光束DLの色度調整方法を立体表示装置、タッチ表示装置など三層以上の偏光シートを有する表示装置に応用することもできる。
【0038】
さらに言うと、本実施例において、本実施例の光源111が提供する光束LBの色度がさらにCIE 1931xy色度図中の第二領域R2内にあり、第二領域R2は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第二領域R2のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2565, 0.2260)、(0.2630, 0.2490)、(0.2765, 0.2490)及び(0.2700, 0.2260)である。または、本実施例の光源111が提供する光束LBの色度がさらにCIE 1931xy色度図中の第三領域R3内にあり、第三領域R3は四つの座標点の繋ぎ線に囲まれた領域であり、かつ第三領域R3のこれらの座標点の値がそれぞれ(0.2580, 0.2310)、(0.2615, 0.2440)、(0.2750, 0.2440)及び(0.2715, 0.2310)である。このように、表示光束DLの色度座標はCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近に位置を変えることで、より良好な色彩表現を得ることができる。
【0039】
また、本実施例において、表示装置100は偏光シートの色相を制御することで、さらに表示光束DLの色度座標を調整することができる。例を挙げると、本実施例において、色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつb*値が1より小さい第一偏光シート121を用いることができる。偏光シートの色相(hue)特性を光が偏光シートを通過した後の照明光束ILの色度変化と見なすことができるため、第一偏光シート121のb*値が1より小さい場合、表示光束DLの色度座標がCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近へ位置を変え、一層良好な色彩表現が得られる。さらに言うと、b*値の範囲が‐2.5から0.5の間にある場合、表示光束DLの色度座標がCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近へ位置を変え、さらに良好な色彩表現が得られる。例えば、図1Aの実施例の表示光束DLの色度座標PがCIE 1931xy色度図中の(0.322,0.328)であり、偏光シートの色相を制御することで、さらに表示光束DLの色度座標をCIE 1931xy色度図中の(0.315,0.322)に調整し、CIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近に位置を変えることができる。
【0040】
また、本実施例において、表示装置100は視角切り替えモジュール120の第一偏光シート121の色相範囲を制限することに限定されず、視角切り替えモジュール120の第二偏光シート123または表示モジュール130の第三偏光シート132の色相範囲を制限することもできる。つまり、本実施例において、表示装置100は、第一偏光シート121、第二偏光シート123及び第三偏光シート132中の少なくとも一つの色相がCIE 1976 (L*, a*, b*)色彩空間にb*値を有し、かつb*値が1より小さいとすることもでき、また、好ましくは、b*値の範囲が‐2.5から0.5の間にある。これにより、表示光束DLの色度座標はCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近に位置を変え、一層良好な色彩表現が得られる。
【0041】
このように、本発明の実施例において、表示装置100及び表示光束DLの色度調整方法は、光源111が提供する光束LBの色度及び偏光シートの色相を制御することで、表示装置100が提供する表示光束DLの色度座標をCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近に位置させて、良好な色彩表現を実現し、さらに覗き見防止機能を提供すると同時に、良好な画像品質を有する画面を提供することができる。
【0042】
図3は本発明の一実施例の別の表示装置の構成概略図である。本実施例の表示装置300は図1Aの表示装置100に類似するが、以下の差異がある。図3を参照すると、本実施例において、表示装置300の光源111の光束LBは光源モジュール110、表示モジュール130及び視角切り替えモジュール120を順に通って表示光束DLを形成する。つまり、図3が示すように、表示モジュール130は光源モジュール110と視角切り替えモジュール120との間に位置し、従って、照明光束ILは先に表示光束DLを形成し、視角切り替えモジュール120は表示光束DLの出光視角範囲を切り替えて、広視角の正常観賞モード及び狭視角の覗き見防止モードを提供することができる。
【0043】
また、本実施例において、表示装置300は同じく光源111の光束LBを用いるため、表示装置300は光源111が提供する光束LBの色度及び偏光シート(即ち、第一偏光シート121、第二偏光シート123及び第三偏光シート132中の少なくとも一つ)の色相を制御することで、表示装置300が提供する表示光束DLの色度座標をCIE 1931xy色度図中の標準領域SRの中央付近に位置させ、良好な色彩表現を実現し、さらに覗き見防止機能を提供すると同時に、良好な画像品質を有する画面を提供することができる。従って、表示装置300も図1Aの表示装置100と類似する機能を達成でき、表示装置100と類似する効果と利点を果たせるが、ここでは省略する。
【0044】
以上をまとめると、本発明の実施例は少なくとも以下の一つ利点または効果を有する。本発明の実施例において、表示装置及び表示光束の色度調整方法は、光源が提供する光束の色度及び偏光シートの色相を制御することで、表示装置が提供する表示光束の色度座標をCIE 1931xy色度図中の標準領域の中央付近に位置させ、良好な色彩表現を実現し、さらに覗き見防止機能を提供すると同時に、良好な画像品質を有する画面を提供することができる。
【0045】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲を制限するものではない。本発明の請求の範囲及び発明内容を基に行われた簡単、等価の変更と修正はすべて本発明の範囲内に属する。また、本発明の任意の実施例または請求項は、必ずしも本発明のすべての目的または利点または特徴を達成するものとは限らない。さらに、要約書と発明の名称は特許検索に利用されるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、請求の範囲で言及される「第一」、「第二」等の用語は素子(element)の名称を示し、または異なる実施例及び範囲を区別するものであり、素子の数の上限または下限を制限するものではない
【符号の説明】
【0046】
100、300 表示装置
110 光源モジュール
111 光源
112 導光板
113 反射シート
114 逆プリズムシート
120 視角切り替えモジュール
121 第一偏光シート
122 視角調整層
123 第二偏光シート
130 表示モジュール
131 表示層
132 第三偏光シート
AL1 第一配向層
AL2 第二配向層
CF カラーフィルター
CR 比較領域
DL 表示光束
ED 電極層
ED1 第一電極
ED2 第二電極
LC120 液晶層
LC130 液晶層
LE 発光素子
P、P’ 色度座標
S110、S120 ステップ
SB1 第一基板
SB2 第二基板
SR 標準領域
LB 光束
IL 照明光束
R1 第一領域
R2 第二領域
R3 第三領域
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3