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特許7568218シール用部材およびこれを用いたヒートシール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】シール用部材およびこれを用いたヒートシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20241008BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65B51/10 220
B65B51/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020194723
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083339
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506314357
【氏名又は名称】株式会社New IWASHO
(73)【特許権者】
【識別番号】000109200
【氏名又は名称】ダックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】高松 博
(72)【発明者】
【氏名】日比野 稔
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】鹿取 剛
(72)【発明者】
【氏名】金子 直揮
(72)【発明者】
【氏名】氷上 好孝
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】弥永 昌克
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-139417(JP,A)
【文献】特開2010-228775(JP,A)
【文献】特開平11-029110(JP,A)
【文献】特開2004-167142(JP,A)
【文献】特開平07-232715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材と協働して複数のフィルムを圧着するシール用部材であって、
前記フィルムと接する当接面と、
前記当接面と直交する方向に投影して観察したとき前記当接面と重複する位置に受圧部が設けられた圧力センサと、
シート状の断熱層を含み、前記当接面と前記圧力センサとの間に配置された中間部材と、
前記圧力センサを支持するベース体と、
重ね合わせた際に前記圧力センサと重複する部分が切り欠かれており、前記中間部材と前記ベース体との間で且つ前記圧力センサが配置されていない領域に配置されたシムプレートと、
を備えていることを特徴とするシール用部材。
【請求項2】
前記圧力センサからの圧力信号に基づいて、圧力の時間変化を表す波形を取得する波形取得手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載のシール用部材。
【請求項3】
前記圧力センサを支持する前記ベース体には温度センサが設けられており、該温度センサにより前記圧力センサもしくはその周辺部の温度が測定可能とされていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のシール用部材。
【請求項4】
前記中間部材は、弾性変形可能なシート状の弾性層を更に含んでいることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のシール用部材。
【請求項5】
取付部を有し、該取付部を介してヒートシール装置に取り付け可能に構成されていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のシール用部材。
【請求項6】
第1のシール体と、該第1のシール体と対向して配置された第2のシール体とを備え、これら一対のシール体で複数のフィルムを挟み込み、前記フィルムに対し熱と圧力を加えてヒートシールを行うヒートシール装置であって、
前記第1のシール体もしくは第2のシール体が請求項1~の何れかに記載のシール用部材で構成されていることを特徴とするヒートシール装置。
【請求項7】
前記第1のシール体と第2のシール体の何れか一方のシール体を介して何れか他方のシール体に作用する押圧力の作用線が通過する位置に、前記圧力センサの受圧部が配置されていることを特徴とする請求項に記載のヒートシール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シール用部材およびこれを用いたヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の袋を製造するための製袋機は、袋の素材となる複数のフィルム同士をヒートシール(熱融着)するためのヒートシール装置を備えている。ヒートシール装置は、互いに対向して配置された上下一対のシール体を備え、これらシール体の当接面で袋の素材となる複数のフィルムを挟み込み、フィルムに対し熱と圧力を加えてヒートシールを行う。
【0003】
ヒートシールにおける所望の品質(シール強度)を確保するためには、シール時の温度、圧力および時間の管理が重要である。特に圧力については、シール体およびシール体を駆動させる部材の経時的な摩耗や変形等で変動する場合があり、適宜観察し調整することが望ましい。
【0004】
シール時の圧力を検知する方法として、シール体を駆動させるシリンダの圧力を検知することが行われている(例えば下記特許文献参照)。しかしながらこのような方法では、実際にフィルムの圧着が行われるシール体の当接面内の領域に作用する圧力や当接面内での圧力分布を確認し評価することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-172654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような事情を背景とし、本発明は、フィルムの圧着が行われる当接面内もしくは当接面直下の所定領域に作用する圧力を検知することができるシール用部材およびこれを用いたヒートシール装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明のシール用部材は、相手部材と協働して複数のフィルムを圧着するシール用部材であって、
前記フィルムと接する当接面と、
前記当接面と直交する方向に投影して観察したとき前記当接面と重複する位置に受圧部が設けられた圧力センサと、
前記圧力センサを支持するベース体と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、相手部材と協働して複数のフィルムを圧着する際に、実際にフィルムの圧着が行われる当接面内もしくは当接面直下の所定領域に作用する圧力を検知することができ、得られた圧力信号に基づいてシール条件の確認および評価を行うことができる。
【0008】
また本発明では、前記圧力センサからの圧力信号に基づいて、圧力の時間変化を表す波形を取得する波形取得手段を更に備えることができる。このようにすれば、時間経過とともに変化する圧力波形の形状に基づいてシール条件の確認および評価を行うことができる。
【0009】
また本発明では、前記当接面と前記圧力センサとの間にシート状の断熱層を設けることができる。このようにすれば、相手部材に埋設されたヒータからの熱により圧力センサが高温に晒されること、また同ヒータからの熱の影響により、圧力センサから出力される圧力信号がばらついてしまうことを抑制することができる。
【0010】
また本発明では、前記ベース体を加熱用のヒータを含むヒータユニットとすることができる。このように圧力センサに近接するベース体をヒータユニットとすることで、圧力センサを室温以上の所定温度範囲内で温調することができ、圧力センサの温度変化に起因する圧力信号のばらつき抑制することができる。
【0011】
また本発明では、前記当接面と前記ベース体との間で且つ前記圧力センサが配置されていない領域にシムプレートを配置することで、前記フィルムを圧着する際の前記当接面における圧力分布が調整されるようにすることができる。このようにすれば、圧力センサを配置したことにより、圧力センサと重複する当接面の領域で圧力が局所的に高まることを抑制することができる。
【0012】
また本発明では、前記当接面と前記圧力センサとの間に弾性変形可能なシート状の弾性層を設けることができる。このように当接面と圧力センサとの間に弾性層を介在させることで、フィルムを圧着する際の、当接面内、詳しくは相手部材と協働してフィルムを圧着する圧着領域における圧力分布の均一化を図ることができる。
【0013】
また本発明では、前記圧力センサを単数もしくは複数設けることができる。
【0014】
また本発明では、取付部を有し、該取付部を介してヒートシール装置に取り付け可能に構成することができる。このようにすれば、既存のヒートシール装置に容易に後付けできる。
【0015】
本発明のヒートシール装置は、第1のシール体と、該第1のシール体と対向して配置された第2のシール体とを備え、これら一対のシール体で複数のフィルムを挟み込み、前記フィルムに対し熱と圧力を加えてヒートシールを行うヒートシール装置であって、前記第1のシール体もしくは第2のシール体が上記本発明のシール用部材で構成されていることを特徴とする。
本発明のヒートシール装置によれば、複数のフィルムを圧着するシール動作毎に、フィルムの圧着が行われるシール体の当接面内もしくは当接面直下の所定領域に作用する圧力を検知し出力することができ、得られた圧力に関する出力信号に基づいてシール条件の確認および評価を行うことができる。
【0016】
ここで本発明のヒートシール装置では、前記第1のシール体と第2のシール体の何れか一方のシール体を介して何れか他方のシール体に作用する押圧力の作用線が通過する位置に、前記圧力センサの受圧部を配置することができる。このようにすることで、圧力センサから出力される信号に基づき、圧力調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態のシール用部材の本体部の斜視図である。
図2】同シール用部材の本体部の分解斜視図である。
図3】同シール用部材の本体部の一部を切り欠いて示した側面図である。
図4】同シール用部材の電気系統のブロック図である。
図5】同シール用部材を用いたヒートシール装置の主要部を概略的に示した図である。
図6】(A)は同シール用部材により取得された波形の一例を示した図、(B)は基準波形の一例を示した図、(C)は取得された波形を基準波形と比較して示した図である。
図7図5とは異なるヒートシール装置の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、1は、相手部材と協働して複数のフィルムを圧着するシール用部材である。シール用部材1は、後述するようにヒートシール装置においてフィルムを挟み込む一対のシール体のうちの一方として好適に用いることができる。
【0019】
シール用部材1の本体部2は、全体が細長い直方体形状をなし、同図における上面は、相手部材と対向した状態でフィルムと接し、フィルムを圧着する当接面3とされている。当接面3は平面視で細長四角形状をなし、当接面3の下方近傍には圧力センサ4の受圧部4aが埋設されており、当接面3直下の所定領域に作用する圧力が検知可能とされている。なお、図1において当接面3上に2点鎖線で表されているのは、相手部材41(図3参照)と協働して複数のフィルムを圧着する圧着領域3aである。
【0020】
図2はシール用部材1の本体部2を分解して示した図である。同図で示すように、シール用部材1の本体部2は、当接部材6と、中間部材7と、圧力センサ4と、シムプレート8と、ベース体9とを備えており、ベース体9の図中上向きの支持面9a上に他の構成部材が積み重ねられている。
【0021】
当接部材6は、本体部2の最外表面に位置し、その外表面の部分がフィルムと接する当接面3とされている。当接部材6の長手方向に延びる縁部は、切欠き部11が形成された箇所を除いて下向きに折曲げられて、折曲げ部10とされている。折曲げ部10は、中間部材7およびシムプレート8の縁を覆い、図3にて2点鎖線で示した止板12によりベース体9の側面に止め付けられている。当接部材6は、耐熱性および離形性に優れたテフロンシート(テフロン:登録商標)を用いることができる。
【0022】
中間部材7は、当接部材6と圧力センサ4との間に配置された部材で、弾性層20,22と断熱層24とを含んで構成されている。弾性層20,22および断熱層24はいずれもベース体9の支持面9aと略同じサイズの矩形状をなしており、本例では弾性層20,22の間に断熱層24が挟まれる形態で中間部材7が形成されている。
【0023】
弾性層20,22は弾性変形可能なシート状の層であり、例えばシリコーンゴムのシートを用いることができる。当接面3とベース体9との間に弾性層20および22を介在させることで、長手方向に延びる圧着領域3aにおけるフィルム圧着時の圧力分布の均一化を図ることができる。
【0024】
断熱層24は熱伝導率の低いシート状の層であり、例えばガラス繊維を積層し、それを無機系の結合剤で固めた硬質断熱板を用いることができる。熱伝導率は、0.5W/m・K以下であることが好ましい。当接面3と圧力センサ4との間に断熱層24を介在させることで、相手部材に埋設されたヒータからの熱により圧力センサ4が高温に晒されること、また同ヒータからの熱の影響により圧力センサ4から出力される圧力信号がばらついてしまうこと、を抑制することができる。
【0025】
圧力センサ4は、圧着領域3aの長手方向と直交する方向から本体部2の内部に挿入されている。その先端に設けられた受圧部4aは、当接面3と直交する方向に投影して観察したとき当接面3と重複する位置にあり、ベース体9の支持面9aにて支持されている。圧力センサ4は、受圧部4aに形成された金属の抵抗体(図示省略)の電気抵抗値の変化に基づいて、受圧部4aが受けた圧力を電気信号に変換し、この電気信号をセンサ信号(圧力信号)として出力する。圧力センサ4としては、例えばひずみセンサを例示することができる。本例では圧着領域3aの長手方向に離間した2箇所に圧力センサ4Aと4Bが配置されており、当接面3の長手方向一端側での圧力と、他端側での圧力が検知可能とされている。なお、以下の説明で圧力センサ4Aと4Bを一括して言及するときは、「圧力センサ4」と表記する。
【0026】
シムプレート8は、ベース体9の支持面9aと略同じサイズの矩形板状をなした金属薄板で、重ね合わせた際に圧力センサ4と重複する部分が切り欠かれている。シムプレート8は、中間部材7とベース体9との間で、且つ圧力センサ4Aと4Bが配置されていない領域に配置されおり、圧力センサ4Aもしくは4Bと重複する当接面3の領域で圧力が局所的に高まることが抑制され、当接面3におけるフィルム圧着時の圧力分布の均一化が図られている。
【0027】
ベース体9は、アルミ等の金属からなる剛性のブロック体を有し、その上向きの平坦な支持面9aで圧力センサ4、シムプレート8および中間部材7を支持している。一方、支持面9aとは反対側に位置する下向きの平坦な底面9bには、雌ねじ孔14が形成されている(図3参照)。雌ねじ孔14は、本体部2をヒートシール装置の架台43に固定する際に用いられる固定用ボルト(図示省略)と螺合する。即ち、シール用部材1では底面9bおよび雌ねじ孔14が本発明の取付部を構成している。なお、取付部の構成は、取り付けられるヒートシール装置に合わせて適宜変更可能である。
【0028】
ベース体9には、ブロック体の側面から長手方向に延びる孔が形成され、加熱手段としてのカートリッジヒータ16が差し込まれている。またベース体9には、図3で示すように、圧力センサ4の受圧部4a近傍に通じる細孔が形成され、かかる細孔に温度センサ18が挿入されており、温度センサ18によって圧力センサ4もしくはその周辺部の温度が測定可能とされている。このように本例では、ベース体9が加熱手段としてのヒータ16と温度センサ18とを備えたヒータユニットとされている。なお、ここで用いられる加熱手段は上記のカートリッジヒータに限定されるものではなく、例えばベース体9全体をアルミ鋳込みヒータとして構成することも可能である。
【0029】
ここでシール用部材1は、ベース体9のヒータ16に通電する電流を制御する温度制御手段としての制御回路(図示省略)を備えている。制御回路には温度センサ18およびヒータ16が電気的に接続されている。制御回路は、予め設定した目標温度と、温度センサ18で検知した温度との差に基づいて電流をヒータ16に通電するように構成されている。本例では圧力センサ4の受圧部4aおよびその周辺部を室温以上の所定温度(例えば70℃)に保持することで、圧力センサ4の温度変化に起因する圧力信号のばらつきを抑制することができる。
【0030】
図4は、シール用部材1の電気系統のブロック図である。同図で示すように、本体部2に設けられた圧力センサ4A,4Bおよび温度センサ18は、アンプユニット27に接続され、更にコンピュータ32に接続されている。
アンプユニット27は、アンプ28、A/D変換器29および通信ポート30を有している。圧力センサ4A,4Bから出力されたそれぞれの圧力信号はアンプ28にて増幅された後、A/D変換器29にてデジタル信号に変換される。温度センサ18から出力された温度信号についても同様にアンプ28にて増幅された後、A/D変換器29にてデジタル信号に変換される。後述する演算処理部34にて精度の高い圧力波形を得るためには、圧力信号のサンプリング間隔を5ms以下とすることが望ましい。なお、センサから得られた信号を増幅する必要がない場合には、アンプ28を省略することも可能である。
【0031】
これら変換されたデジタル信号は、通信ポート30を介してコンピュータ32に送られる。アンプユニット27の通信ポート30とコンピュータ32の受信ポート33との間の通信は、USBケーブルでの伝送が好ましいが、WifiやBlueTooth(登録商標)を使用することも可能である。
【0032】
コンピュータ32は、受信ポート33のほか、演算処理部34、HDD(ハードディスクドライブ)等の記憶装置からなる記憶部35、表示部36を備えている。
演算処理部34では、受信ポート33を介して受け取った圧力信号を人が認識できる単位(例えば、NやKg/m2)の圧力値に変換したうえで、圧力の時間変化を表す波形を生成する。得られた圧力の波形は表示部36に表示することができる(波形の一例が図6(A)に示されている)。ここで圧力センサ4A,4Bからの圧力信号は温度によって変動するため、演算処理部34では圧力センサの温度(即ち、温度センサ18で検知された温度)に応じて圧力値を補正することも可能である。
【0033】
また演算処理部34では、得られた圧力の波形の形状と所定の基準波形の形状とを比較し、正常/異常の判定を行うことができる。判定は、波形の面積や最大ピークなど複数の評価要素を組み合わせて行うことができる。得られた判定結果は、表示部36に表示するとともに記憶部35に記憶することができる。
【0034】
ここで演算処理部34は、CPUなどのプロセッサとすることができる。この場合、ROM等に記憶された制御プログラムをCPUなどのプロセッサが実行することにより実現される。このように本例では、アンプユニット27およびコンピュータ32が、本発明の波形取得手段を構成している。
【0035】
次に、本例のシール用部材1が用いられたヒートシール装置40について説明する。
図5で示すヒートシール装置40は、製袋機の一部として製袋機に組み込まれたもので、間欠送りで送られてきた袋の素材となるフィルムF1、F2同士をフィルムの幅方向にわたってヒートシールするものである。
【0036】
ヒートシール装置40は、第1のシール体としての上シール体41と、第2のシール体としての下シール体42と、を備えており、下シール体42として上記シール用部材1(詳しくはシール用部材1の本体部2)が用いられている。
上シール体41と下シール体42は、フィルムの搬送方向と直交する方向(図5における左右方向)に長尺状をなして、互いに対向して配置されている。
【0037】
上シール体41は、昇降可能なシール体で、上側保持プレート45に取り付けられている。上シール体41は図示を省略するヒータを内蔵しており、上シール体41の先端が所定のシール温度(例えば200℃)にまで加熱可能とされている。
【0038】
下シール体42は、上シール体41の荷重を受け止める受け止め部材で、ヒートシール装置40の架台43に固定状態で取り付けられている。本例では下シール体42として用いられるシール用部材1のベース体9の底面9aに設けられた雌ねじ孔14(図3参照)に螺合させた固定用ボルトにより、シール用部材1がヒートシール装置40の架台43に固定される。
【0039】
ヒートシール装置40においては、フィルムの搬送方向と直交する左右方向の両側に棒状のスライドシャフト44A、44Bが配設されている。スライドシャフト44A、44Bの基端側には昇降部材52および駆動手段としてのモータ53が接続されている。昇降部材52はリンク機構やカム機構からなりモータ53における回転運動を上下(昇降)運動に変換してスライドシャフト44A、44Bに伝達する。これによりスライドシャフト44A、44Bは昇降可能とされている。
【0040】
一方、スライドシャフト44A、44Bの上端側には、それぞれ軸方向に沿って第1のフランジ部47および第2のフランジ部48が設けられており、第1のフランジ部47の上面で上側保持プレート45を支持するとともに、上側保持プレート45と第2のフランジ部48との間に圧縮状態のばね部材50が巻装されている。
【0041】
このように構成されたヒートシール装置40では、製袋が開始されると、送られてきた袋の素材となるフィルムF1、F2が間欠停止する度に、上シール体41が下降し、上シール体41の下向きの当接面がフィルムを介して下シール体42の当接面3と当接し、続いて、ばね部材50の下向きのばね力に基づいて、所定温度に加熱された上シール体41の当接面がフィルムF1、F2に押し付けられ、ヒートシール(熱融着)が実施される。
【0042】
これと同時に、ヒートシール装置40では、所定のサンプリング間隔で、圧力センサ4A、4Bで検知された圧力信号および温度センサ18で検知された圧力センサ近傍の温度信号がアンプユニット27を経由してコンピュータ32に送られ、演算処理部34において図6(A)で示すような圧力の波形が生成され、表示部36に表示される。
【0043】
図6(A)は、一方の圧力センサ4Aからの圧力信号に基づいて得られた波形60を表示し、他方の圧力センサ4Bに基づく波形を省略しているが、表示部36ではこれら2つの波形を合わせて表示することも可能である。
【0044】
本例では、得られた圧力の波形60の形状に基づいて、正常/異常の判定を行うことができる。判定は表示部36に表示された波形の形状を見て作業者が行うことも可能であるが、使用するフィルムの性状毎の望ましい圧力の波形を基準波形61(図6(B)参照)としてコンピュータ32の記憶部35に予め登録しておき、演算処理部34にてシール動作毎に得られた波形60の形状と基準波形61の形状とを比較し、図6(C)で示すように、得られた波形60の形状が基準波形61の形状と異なる場合(最大ピーク等いずれかの評価要素において規定を満たしていない場合)に異常の判定を行うことができる。
【0045】
以上のように本実施形態のシール用部材1によれば、相手部材と協働して複数のフィルムを圧着する際に、実際にフィルムの圧着が行われる当接面3直下の所定領域に作用する圧力を検知することができ、得られた圧力信号に基づいてシール条件の確認および評価を行うことができる。
【0046】
本実施形態のシール用部材1では、圧力センサ4からの圧力信号に基づいて、圧力の時間変化を表す波形を取得する波形取得手段を備えており、時間経過とともに変化する圧力波形60の形状に基づいてシール条件の確認および評価を行うことができる。
【0047】
本実施形態のシール用部材1では、当接面3と圧力センサ4との間にシート状の断熱層24が設けられており、相手部材に埋設されたヒータからの熱により圧力センサ4が高温に晒されること、また同ヒータからの熱の影響により圧力センサ4から出力される圧力信号がばらついてしまうこと、を抑制することができる。
【0048】
本実施形態のシール用部材1では、ベース体9を加熱用のヒータ16を含むヒータユニットとすることで、圧力センサ4を室温以上の所定温度範囲内で温調することができ、圧力センサ4の温度変化に起因して圧力センサ4から出力される圧力信号がばらついてしまうことを抑制することができる。
【0049】
本実施形態のシール用部材1では、当接面3とベース体9との間で且つ圧力センサ4が配置されていない領域にシムプレート8を配置することで、フィルムを圧着する際の当接面3における圧力分布が調整されているため、圧力センサ4と重複する当接面3の領域で圧力が局所的に高まることを抑制することができる。
【0050】
本実施形態のシール用部材1では、当接面3と圧力センサ4との間に弾性変形可能なシート状の弾性層20,24が設けられており、フィルムを圧着する際、当接面3内、詳しくは相手部材と協働してフィルムを圧着する圧着領域3aにおける圧力分布の均一化を図ることができる。
【0051】
本実施形態のシール用部材1では、圧力センサ4が、圧着領域3aの長手方向と交差する方向からシール用部材1の内部に挿入される形態で、圧着領域3aの長手方向に離間して複数設けられており、当接面3内の複数個所での圧力を検知することができる。
【0052】
本実施形態のシール用部材1では、ヒートシール装置40に取り付け可能な取付部を有しており、既存のヒートシール装置40に容易に後付けできる。
【0053】
<その他の変形例・適用例>
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまでも一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で構成可能である。
(1)上記実施形態は、シール用部材の当接面と圧力センサとの間に、弾性層および断熱層を含む中間部材を設けた例であったが、中間部材に含まれる弾性層および断熱層の層数や厚みは適宜変更可能である。場合によっては中間部材を備えていない構成のシール用部材を採用することも可能である。この場合には圧力センサの受圧面を当接面と面一に近い状態で配置することができ、当接面の所定領域に作用する圧力を直接的に(中間部材を介さず)圧力センサで検知することができる。
【0054】
(2)上記実施形態は、圧力センサをシール用部材の長手方向に離間した2箇所に設けた例であったが、圧力センサを設置する位置およびその数は適宜変更可能である。また場合によっては検知エリアが広い圧力センサを用いて、当接面内の広い領域を1つの圧力センサで測定することも可能である。
【0055】
(3)上記実施形態は、所定のシール温度にまで先端部が加熱される上シール体と、シール温度までは加熱されない下シール体とを備えたヒートシール装置において、下シール体を本発明のシール用部材で構成した例であったが、上シール体および下シール体の何れも所定のシール温度にまで加熱されるヒートシール装置の場合には、上シール体および下シール体の何れかを本発明のシール用部材で構成することができる。
【0056】
(4)図7は、図5とは異なるヒートシール装置40Bにシール用部材1を適用した例である。この図7の例では上シール体41に下向きの押圧力を付与するばね部材50の位置が異なっており、上シール体41を介して下シール体42に作用する下向きの押圧力の作用点Pが、下シール体42(即ちシール用部材1)の当接面3内に位置している。このような場合に、シール用部材1内に埋設された圧力センサ4の受圧部4aを作用点Pの直下であって、作用点Pから下向きの延びる作用線が通過する位置に配置することで、圧力センサ4から出力される信号に基づき、圧力調整を容易に行うことができる。
【0057】
(5)上記実施形態は、製袋機に組み込まれたヒートシール装置に本発明のシール用部材を適用した例であったが、本発明のシール用部材は製袋機以外の用途(例えば充填機等)で用いられるヒートシール装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 シール用部材
3 当接面
4,4A,4B 圧力センサ
4a 受圧部
8 シムプレート
9 ベース体
9b 底面(取付部)
14 雌ねじ孔(取付部)
16 ヒータ
20,22 弾性層
24 断熱層
27 アンプユニット(波形取得手段)
32 コンピュータ(波形取得手段)
40,40B ヒートシール装置
41 上シール体(第1のシール体)
42 下シール体(第2のシール体)
F1,F2 フィルム
60 波形
P 作用点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7