IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカキタの特許一覧

<>
  • 特許-ツインレーキ 図1
  • 特許-ツインレーキ 図2
  • 特許-ツインレーキ 図3
  • 特許-ツインレーキ 図4
  • 特許-ツインレーキ 図5
  • 特許-ツインレーキ 図6
  • 特許-ツインレーキ 図7
  • 特許-ツインレーキ 図8
  • 特許-ツインレーキ 図9
  • 特許-ツインレーキ 図10
  • 特許-ツインレーキ 図11
  • 特許-ツインレーキ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ツインレーキ
(51)【国際特許分類】
   A01D 78/10 20060101AFI20241008BHJP
   A01B 45/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A01D78/10
A01B45/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021032317
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133568
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 弘
(72)【発明者】
【氏名】上田 隼利
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-146517(JP,A)
【文献】特開2018-050477(JP,A)
【文献】特開2002-142524(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03095316(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 78/10
A01B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクターに対して、上部連結部および下部連結部を介してローリングおよびピッチング可能に連結されるメインフレームと、
当該メインフレームと交叉する方向に設けられるサブフレームと、
当該サブフレームに設けられたレーキと、
前記サブフレームを水平状態と起立状態に回動させる折り畳み機構と、
当該サブフレームを起立させることによって、前記ローリングおよびピッチングを規制させる規制機構と、
を設けてなるツインレーキであって、
前記上部連結部を、前記トラクターの進行方向に対する後方側を長穴状の頂部とする略三角形状の穴部を有する連結プレートと、当該穴部内に収容されるように前記メインフレームから突出するピンとを設けて構成するとともに、
前記下部連結部を、前記メインフレームに対してローリングおよびピッチング可能に連結されるピンおよび当該ピンを収容する穴部を設けて構成し、
前記規制機構を、前記サブフレームの起立に伴って前記上部連結部の下方から昇降部材を前記連結プレート側に突出させ、当該連結プレートに設けられた凹部もしくは前記略三角形状の前記穴部に前記昇降部材を収容させることで、前記ローリングとピッチングを規制させるように構成したことを特徴とするツインレーキ。
【請求項2】
前記規制機構が、前記昇降部材を上昇させた際に、前記長穴状の頂部に収容されたピンと、前記連結プレートの後端側の縁部に設けられた凹部に収容された前記昇降部材とを用いて前記連結プレートを挟み込ませて、前記ローリングとピッチングを規制させるようにしたものである請求項1に記載のツインレーキ。
【請求項3】
前記規制機構が、
前記昇降部材を常に上部連結部側に突出させておくように力を付勢するバネと、
前記メインフレームと平行に設けられた軸部材の前方に設けられ、前記昇降部材の下方に設けられたフランジ部に接触して前記昇降部材を下降させる当接部と、を備えて構成し、
前記サブフレームを起立させた際に、前記軸部材を回転させて当接部で昇降部材を下降させるように構成されるものである請求項1に記載のツインレーキ。
【請求項4】
前記規制機構が、片側のサブフレームに、当該サブフレームを起立させることによって前記軸部材を回転させて、前記昇降部材を上昇させるように構成されるものである請求項1に記載のツインレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターに連結されるツインレーキに関するものであって、より具体的には、トラクターに牽引されたツインレーキの左右方向への揺動(ローリング)や、前後方向への揺動(ピッチング)を許容し、また、作業終了後にツインレーキをトラクターに牽引させる際には、そのローリングやピッチングを規制できるようにしたツインレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、圃場で刈り取られた粗飼料などを集草する場合、ツインレーキなどが使用される。このツインレーキは、トラクターのトップリンクやロアリンクに連結されるものであって、縦長方向に沿って設けられたメインフレームと、そのメインフレームに直交するように設けられた左右のサブフレームと、これらのサブフレームに設けられたレーキなどを備えて構成され、そのレーキに取り付けられたタインアームを回転させることで、列状に集草できるようにしたものである。
【0003】
ところで、このようなツインレーキを使用する場合、圃場の凹凸に合わせてレーキを揺動させる必要があるため、それぞれのレーキにタイヤを取り付けて圃場の凹凸に追随できるようにするとともに、ツインレーキを全体的に左右方向のローリングや、前後方向のピッチングを許容させるようにしている。より具体的には、下記の特許文献1に示すように、ピッチングやローリングさせる際、メインフレームの前端部分に上方へ突出したピンを設けるとともに、これに対向して設けられたアタッチメント側に、後方側を長穴状とした略三角形状の穴部を設け、作業走行時にツインレーキが前後方向にピッチングする際には、その三角形状をなす穴部の前後方向にピンを移動させ、また、左右方向にローリングする際には、その穴部の底辺をなす領域でピンを左右方向に移動させてローリングを許容させるようにしている。また、一般道を走行する際には、左右のサブフレームを折り畳むように起立させるとともに、連結されたツインレーキを揺動させないように、ツインレーキをトップリンクで持ち上げて、メインフレームのピンを長穴部に位置させ、ロック金具を倒して、そのピンを長穴部内に収容してローリングやピッチングを規制させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-50477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような方法でツインレーキのローリングやピッチングの許容や規制を切り替える場合、次のような問題があった。
【0006】
すなわち、従来では、一般道を走行する際に、略三角形状をなす穴部の近傍に設けられたロック金具を倒してピンを長穴部に収容させ、また、圃場での作業時には、ロック金具を起立させてピンを三角形状の穴部内での変位を許容するようにしていたが、トラクターの運転席側からは、このロック金具の位置に手が届かないために、一旦運転席から降りてロック金具の傾倒や起立などの切替作業を行わなければならなかった。
【0007】
また、圃場で作業を開始する場合は、ツインレーキを下降させる作業や、左右のサイドフレームを拡張させる作業などが必要となり、ロック金具によるピンの規制解除を忘れてしまうことがあった。このような場合、ローリングやピッチングによる負荷が連結部分に集中してしまい、連結部分に変形を生じてしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みて、集草作業を行う場合に、より簡単な方法で、ローリングやピッチングの許容や規制を切り替えられるようにしたツインレーキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、トラクターに対して、上部連結部および下部連結部を介してローリングおよびピッチング可能に連結されるメインフレームと、当該メインフレームと交叉する方向に設けられるサブフレームと、当該サブフレームに設けられたレーキと、前記サブフレームを水平状態と起立状態に回動させる折り畳み機構と、当該サブフレームを起立させることによって、前記ローリングおよびピッチングを規制させる規制機構と、を設けてなるツインレーキであって、前記上部連結部を、前記トラクターの進行方向に対する後方側を長穴状の頂部とする略三角形状の穴部を有する連結プレートと、当該穴部内に収容されるように前記メインフレームから突出するピンとを設けて構成するとともに、前記下部連結部を、前記メインフレームに対してローリングおよびピッチング可能に連結されるピンおよび当該ピンを収容する穴部を設けて構成し、前記規制機構を、前記サブフレームの起立に伴って前記上部連結部の下方から昇降部材を前記連結プレート側に突出させ、当該連結プレートに設けられた凹部もしくは前記略三角形状の前記穴部に前記昇降部材を収容させることで、前記ローリングとピッチングを規制させるように構成したものである。
【0010】
このように構成すれば、集草作業時にサブフレームを水平状態にすることによってローリングとピッチングを許容させることができるとともに、サブフレームを起立状態にすることによって、ローリングやピッチングを規制することができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、前記規制機構を設ける場合、前記昇降部材を上昇させた際に、前記長穴状の頂部に収容されたピンと、前記連結プレートの後端側の縁部に設けられた凹部に収容された前記昇降部材とを用いて前記連結プレートを挟み込ませて、前記ローリングとピッチングを規制させるように構成する。
【0012】
このように構成すれば、従来使用されている略三角形状の穴部を有する連結部をそのまま活用して、ピンの位置を規制することができるようになる。
【0013】
また、前記規制機構を設ける場合、前記昇降部材を常に上部連結部側に突出させておくように力を付勢するバネと、前記メインフレームと平行に設けられた軸部材の前方に設けられ、前記昇降部材の下方に設けられたフランジ部に接触して前記昇降部材を下降させる当接部と、を備えて構成し、前記サブフレームを起立させた際に、前記軸部材を回転させて当接部で昇降部材を下降させるように構成する。
【0014】
このように構成すれば、サブフレームの起立に伴う力を利用して、昇降部材を昇降させて、ローリングやピッチングを規制することができるようになる。
【0015】
また、前記規制機構を設ける場合、片側のサブフレームを起立させることによって前記軸部材を回転させて、前記昇降部材を上昇させるようにする。
【0016】
このように構成すれば、構造を簡素化することができ、部品点数を少なくして低コストにすることができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、集草作業時にサブフレームを水平状態にすることによってローリングとピッチングを許容させることができるとともに、サブフレームを起立状態にすることによって、ローリングやピッチングを規制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態を示すツインレーキの平面概略図
図2】同形態におけるツインレーキを背面から見た図
図3】同形態におけるレーキをスライドさせる状態を示す図
図4】同形態におけるサブフレームを起立させた状態を示す図
図5】同形態におけるスライドフレームを伸ばす状態を示す図
図6】同形態におけるサブフレームを起立させて固定する状態を示す図
図7】同形態におけるサブフレームの起立による規制機構の作用を示す図であって、ツインレーキの背後から見た図
図8】同形態における規制機構をメインフレームの前方から見た作用図
図9】同形態における規制機構をメインフレームの側面から見た作用図
図10】同形態における上部連結部を示す作用図
図11】同形態におけるアタッチメントを示す図
図12】他の実施の形態における規制機構を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
この実施の形態の連結構造が適用されるツインレーキ1は、図1図2に示すように、トラクター(図示せず)の進行方向に沿って設けられたメインフレーム2aと、そのメインフレーム2aの後方で交叉する方向に設けられた左右のサブフレーム2bと、そのサブフレーム2bに設けられたレーキ3と、その左右のサブフレーム2bを上下方向に回動させて折り畳めるようにした折り畳み機構4a(図4参照)などを備えてなるものであって、メインフレーム2aをトラクターに対してローリングおよびピッチング可能に取り付ける上部連結部61a(図10など参照)を備えるとともに、サブフレーム2bを起立させて折り畳んだ際に、上部連結部61aにおけるローリングやピッチングを規制させるようにする規制機構7(図7から図9参照)を設けるようにしたものである。そして、このように構成することによって、圃場での集草作業時には、サブフレーム2bを水平状態にしてローリングやピッチングを許容して圃場の凹凸に合わせた集草作業を行えるようにするとともに、サブフレーム2bを折り畳んで一般道を走行する際には、ローリングやピッチングを規制させて、安定して走行させるようにしたものである。以下、本実施の形態におけるツインレーキ1の構造について、詳細に説明する。
【0021】
まず、メインフレーム2aは、アタッチメント6を介してトラクターのトップリンクやロアリンクに連結されるものであって、前後方向に伸びる金属フレームで構成される。このメインフレーム2aの後部の左右両側には、左右方向に伸びるサブフレーム2bが取り付けられており、折り畳み時にサブフレーム2bを回動軸21(図2から図4参照)を中心として上方に回動させて折り畳めるようになっている。
【0022】
このサブフレーム2bの回動軸21は、メインフレーム2aの後方から斜め下方向に延出させた下部プレート25(図2など参照)に設けられており、ここを中心に、メインフレーム2aとの間に跨って設けられた油圧シリンダー43によってサブフレーム2bを上下方向に回動させるようにしている。なお、本発明との関係において、回動軸21や油圧シリンダー43などが折り畳み機構4aを構成する。
【0023】
一方、このサブフレーム2bに取り付けられるレーキ3は、タイヤ31(図2など参照)よって支持されるローター32と、そのローター32の外周部分に放射状に設けられたタインバー33と、そのタインバー33の先端側に設けられたタイン34などを設けて構成されており、タイン34を上下方向に揺動させながらタインバー33を外周方向に360度回転させることで牧草を中方に集められるようになっている。このタインバー33の回転とタイン34の揺動は、トラクターのPTOによる駆動力を用いて行われ、図1に示すように、メインフレーム2aの中央下方に設けられたY字ミッション35を介してその回転力を左右の分岐駆動軸36に駆動力を伝達させ、その分岐駆動軸36の回転力を用いてタインバー33の回転とタイン34の揺動を行わせるようにしている。Y字ミッション35から分岐する左右の分岐駆動軸36は、軸方向に伸縮できるようになっており、これによって左右のレーキ3をサブフレーム2bに沿ってスライドさせた場合であっても、それに追従して分岐駆動軸36を伸縮できるようになっている。
【0024】
このようなタインバー33やタイン34を取り付けたレーキ3は、幅調整機構4b(図5参照)を介して左右の位置を調整できるように取り付けられている。この幅調整機構4bを介してレーキ3の位置をスライドさせる場合、左右方向に延びるサブフレーム2bにスライドフレーム41を取り付け、そのスライドフレーム41にレーキ3を一点吊りして支持させるようにする(図2など参照)。そして、そのスライドフレーム41をサブフレーム2bの軸方向にスライドさせることによって左右のレーキ3の位置を調整できるようになっている。
【0025】
このレーキ3の位置を調整する場合、図5(a)(b)に示すように、油圧シリンダー43を伸縮させることによって、レーキ3の位置を調整できるようにしている。より具体的には、この油圧シリンダー43の先端側は、スライドフレーム41に取り付けられており、そのピストンロッドを伸ばすことによってレーキ3(もしくは、スライドフレーム41)をサブフレーム2bの先端側に移動させるようになっている。また、逆に、油圧シリンダー43を縮めることによってレーキ3(もしくはスライドフレーム41)をメインフレーム2a側である基端側に移動させるようになっている。このとき、レーキ3の最大移動幅を規制するために、ここでは、サブフレーム2bの基端側にストッパー42を設け、これにスライドフレーム41を当接させることで回動軸21側への移動を規制させるようにしている。一方、外側方向への規制については、油圧シリンダー43の軸方向に設けられたスライドバー44aを利用して最大移動幅を規制できるようにしている。このスライドバー44aの一端側は、油圧シリンダー43のピストンロッドの先端に取り付けられており、また、他端側は油圧シリンダー43のシリンダーチューブの側方に沿って設けられている。このスライドバー44aの基端側にはフランジ部44bが設けられており、シリンダーチューブに沿って設けられたチャネル部材45の中でそのフランジ部44bを移動させるようにしている。このチャネル部材45の上面には、軸方向に沿って孔が間欠的に設けられており、その孔にストッパーピン46を差し込むことで、フランジ部44bをストッパーピン46に当接させるようにしている。このような構成のもと、油圧シリンダー43を伸ばすと、これに伴ってスライドバー44aのフランジ部44bが外側に移動し、図5(b)に示すように、チャネル部材45の孔に差し込まれたストッパーピン46にフランジ部44bが当接する。これによって油圧シリンダー43の最大伸び幅を規制し、レーキ3の外側最大移動幅を規制することができる。
【0026】
また、この実施の形態では、集草作業時にサブフレーム2bを水平状態に固定しておくとともに、サブフレーム2bを起立させた際に、その起立状態を維持しておくための回動固定手段5(図6参照)を設けるようにしている。
【0027】
この回動固定手段は、図6(a)などに示すように、前後一対の下部プレート25に跨る当接部51と、サブフレーム2b側に設けられたピン52を中心として回動可能に取り付けられた固定部材53とを備えて構成され、サブフレーム2bを当接部51に載置させた状態で、この固定部材53の下方に設けられた凹部53aを当接部51に係止させることによってサブフレーム2bを水平状態に固定できるようにしている。また、この固定部材53の下縁部分は、サブフレーム2bを水平状態に回動させた際に円柱状の当接部51に当接させることができるようにした湾曲部57が設けられており、この湾曲部57を当接部51の円柱状の外周部分に沿わせることによって固定部材53を逃げるように回動させ、当接部51に嵌め込めるようにしている。このように固定部材53を当接部51に係止させる場合、その固定部材53とサブフレーム2bとの間に設けられたバネ54の引張力によって常に係止状態が維持されることになる。また、この係止状態を解除する場合は、固定部材53に取り付けられたワイヤーをモーターやソレノイドなどで引っ張ることによって、バネ54の力に抗して凹部53aと当接部51との係止状態を解除する。
【0028】
一方、このサブフレーム2bを起立状態に固定する場合は、図6(b)に示すように、油圧シリンダー43を縮めることによって、回動軸21に軸支されたサブフレーム2bを鉛直方向に起立させる。具体的には、固定部材53と当接部51の係止状態を解除した状態で油圧シリンダー43を縮めると、スライドフレーム41がサブフレーム2bの基端側にスライドしてストッパー42に当接してスライドが規制される(図5(a))。そして、その状態からさらに油圧シリンダー43を縮めることによって、斜め上方に設けられた油圧シリンダー43側にサブフレーム2bが引っ張られ、図6(b)に示すように、サブフレーム2bが起立するようになる。
【0029】
このようにサブフレーム2bが起立すると、固定部材53の上方に設けられた凹部55が、メインフレーム2aの上面に設けられた前後一対の上部対向プレート22に跨る円柱部材23に当接し、その固定部材53の上方に設けられた湾曲部57を円柱部材23に当接させることによって固定部材53を回動させる。そして、このように固定部材53を回動させることによって、上方に設けられた凹部55を円柱部材23に係止させる。このような係止を行う際、固定部材53とサブフレーム2bとの間に設けられたバネ54によって凹部55と円柱部材23の係止状態を維持させ、また、係止状態を解除する場合、固定部材53に取り付けられたワイヤーをモーターなどで引っ張ることで係止状態を解除できるようにする。
【0030】
このような構成において、本実施の形態では、メインフレーム2aはトラクター側に取り付けられるアタッチメント6を介して連結される。
【0031】
このアタッチメント6は、図11に示すように、トラクターのトップリンクやロアリンクに支持させるように下向きU字状をなすように構成される。そして、下向きU字状をなすフレーム60aの上部中央にトップリンクを連結させてトラクターに支持させるとともに、下向きU字状をなす部分の下端両側にロアリンクを連結させてトラクターに支持させるようにしている。一方、アタッチメント6の後方側については、下向きU字状をなすフレーム60aの上部中央に上部連結部61aを設けてメインフレーム2aの上部を支持させ、下向きU字状をなすフレーム60aの下端部の左右に跨って設けられたフレーム60bの中央部分に連結部61bを設けて、ローリングやピッチング可能にメインフレーム2aの下部を支持させるようにしている。
【0032】
この上部連結部61aは、図10に示すように、メインフレーム2aから上方へ突出したピン24を収容可能にした略三角形状をなす穴部63を有する連結プレート62を設けて構成され、その穴部63にピン24を収容してローリングやピッチングを許容できるようにしている。この穴部63は、後方側が長穴状となる頂点を有する三角形状に構成されており、集草時にツインレーキ1が上下方向に揺れた場合(ピッチングした場合)、その三角形状をなす穴部63の内部でピン24を前後方向に移動させてそのピッチングを許容し、また、ツインレーキ1がローリングした場合は、その穴部63の底辺をなす領域でピン24を左右方向へ移動させてローリングを許容させるようにしている。
【0033】
ところで、このような穴部63にピン24を収容して連結させる場合、一般道を走行するときに、牽引されたツインレーキ1が揺動してしまい、走行の危険に繋がる恐れがある。そこで、この実施の形態では、一般道の走行時における折り畳み時に、ピッチングやローリングを規制できるようにした規制機構7(図9参照)を設けるようにしている。
【0034】
この規制機構7としては、種々の方法が考えられるが、ここでは、図7から図9に示すように、サブフレーム2bの起立動作に伴って、連結プレート62に対するピン24の揺動を規制して、ローリングやピッチングを規制するための機構が設けられる。
【0035】
より具体的には、メインフレーム2aの下方に、縦長方向に沿った軸部材71を設けるとともに、その軸部材71の後端部分に、片側のサブフレーム2bの起立回動に伴って軸部材71を回転させるリンク機構を設けるようにしている。このリンク機構は、サブフレーム2bの回動軸21に一体的に取り付けられた回動プレート72aと、その回動プレート72aの下方に回動可能に連結された第一リンク部材72bと、この第一リンク部材72bに回動可能に連結され、他端側を軸部材71に一体的に固定した第二リンク部材72cとを備えて構成され、これによって、サブフレーム2bを起立させた際に、回動プレート72aや第一リンク部材72b、第二リンク部材72cを介して、軸部材71を軸方向を中心として回転させるようにしている。
【0036】
一方、この軸部材71の前方側は、図8図9に示すように、メインフレーム2aの前方から突出するように設けられており、そこに、軸部材71の回動に伴って傾倒可能に設けられた略L字状の屈曲部材73を取り付けて、この屈曲部材73の先端部分を上下方向に傾倒させるようにしている。なお、ここでは、L字状に屈曲させた屈曲部材73を用いているが、棒状のものや板状の部材を用いるようにしてもよい。
【0037】
一方、連結プレート62の先端部分には、図10に示すように、上下方向に出没しうる固定ピン74(図10(b)参照)を収容させるための凹部65が設けられており、この凹部65に固定ピン74を収容させて連結プレート62の回動を規制させるようにしている。この固定ピン74を上下方向に昇降させる場合、その固定ピン74の下方に設けられたフランジ部74aに、前記軸部材71の屈曲部材73の先端部を当接させ、バネ75で常時上方に引っ張り上げられている固定ピン74を、屈曲部材73の先端で押し下げることによって、固定ピン74を下降させるようにしている。
【0038】
一方、下部連結部61bは、図11に示すように、下向きU字状をなすフレーム60aの下端部に跨って設けられたフレーム60bの中央から後方に向けて延出させたプレート60cに穴部(図示せず)を設け、メインフレーム2aをピン60dで回動可能に連結させるようにしている。なお、このようにピン60dで回動可能に連結させる際、メインフレーム2aのローリングやピッチングを許容するように、ピン60dを隙間を有するように穴部に収容させるようにしておく。
【0039】
次に、このように構成されたツインレーキ1の作用について説明する。
【0040】
まず、左右のサブフレーム2bが起立した状態(図4)から水平状態(図3)に倒す場合、固定部材53を回動させて円柱部材23との係止状態を解除する。そして、この状態で油圧シリンダー43を伸ばすように油圧をかけると、サブフレーム2bが水平方向に回動し、サブフレーム2bの基端側の下方部分が当接部51に載置するようになる。また、このとき、固定部材53の湾曲部57が当接部51の湾曲した外周部分に当接し、ピン52を中心として固定部材53が回動するようになる。そして、その固定部材53の凹部53aが当接部51に嵌まり込み、バネ54の引っ張り力によって係止状態が固定される。
【0041】
このようにサブフレーム2bを水平状態にする際、サブフレーム2bに一体的に取り付けられた回動プレート72aが回動し、また、これに連結された第一リンク部材72bや第二リンク部材72cが回動し、軸部材71を回動させる。すると、その軸部材71の先端側に設けられたL字状の屈曲部材73が倒れるように回動し、その屈曲した先端部分で、固定ピン74のフランジ部74aをバネ75の力に抗して押し下げるようになる。そして、固定ピン74が下方に押し下げられることによって、固定ピン74が連結プレート62の先端部分の凹部65から外れるようになり、メインフレーム2aのピン24が連結プレート62の三角形状の穴部63の内部で移動できるようになる。
【0042】
そして、このようにピン24を略三角形状の穴部63内で自由に移動できるようにすることで、ローリングやピッチングを許容させことができるようにする。
【0043】
そして、このようにローリングやピッチングを許容できるようにした後、サブフレーム2bに設けられたレーキ3を左右に移動させるように、油圧シリンダー43を伸ばしていく。すると、スライドフレーム41がサブフレーム2bに沿って外側にスライドし、図5(b)に示すように、左右のスライドフレーム41に取り付けられたレーキ3が外側に移動する。これによって集草幅を大きくすることができる。このように油圧シリンダー43を外側に伸ばしていくと、その油圧シリンダー43に取り付けられたスライドバー44aも外側に移動し、基端側に設けられたフランジ部44bがチャネル部材45の孔に取り付けられたストッパーピン46に当接するようになる(図5(b)の状態)。そして、このフランジ部44bがストッパーピン46に当接することによって、油圧シリンダー43の最大伸び幅を規制し、レーキ3をそれ以上外側に移動させないようにする。
【0044】
そして、このように左右のレーキ3を外側に移動させた状態で、圃場を走行しながら集草作業を行う。
【0045】
次に、集草作業が終わってサブフレーム2bを折り畳む際には、メインフレーム2aをトラクターの走行方向に沿わせた状態で、メインフレーム2aの左右に設けられた油圧シリンダー43を縮める。すると、レーキ3を取り付けたスライドフレーム41がサブフレーム2bに沿って基端側にスライドし、左右のレーキ3が内側に寄るようになる。そして、そこからさらに油圧シリンダー43を縮めていくと、スライドフレーム41がストッパー42に当接することになり(図5(a))、それ以上レーキ3が内側に移動させないようにする。
【0046】
そして、そこから、さらに油圧シリンダー43を縮めていくと、サブフレーム2bが回動軸21を中心に起立する方向に回動する。そして、サブフレーム2bが起立することによって、固定部材53の上方の湾曲部57を円柱部材23の外周に当接させ、バネ54の引っ張り力に抗して凹部55を円柱部材23に係止させて、固定する。
【0047】
一方、このようにサブフレーム2bを起立させた際、メインフレーム2aの下方に設けられた軸部材71は、回動プレート72aや第一リンク部材72b、第二リンク部材72cの回動によって回動し、その先端側に設けられたL字状の屈曲部材73が上方に離れるように回動する。すると、フランジ部74aがバネ75の力によって上方に引っ張られ、固定ピン74が上昇する。そして、その固定ピン74が、連結プレート62の先端に設けられた凹部65に収容され、連結プレート62の回動が規制されて、ローリングやピッチングが規制されるようになる。
【0048】
このように上記実施の形態によれば、トラクターに対して、上部連結部61aおよび下部連結部61bを介してローリングおよびピッチング可能に連結されるメインフレーム2aと、当該メインフレーム2aと交叉する方向に設けられるサブフレーム2bと、当該サブフレーム2bに設けられたレーキ3と、前記サブフレーム2bを水平状態と起立状態に回動させる折り畳み機構4aと、当該サブフレーム2bを起立させることによって、前記ローリングおよびピッチングを規制させる規制機構7と、を設けてなるツインレーキ1にであって、前記上部連結部61aを、前記トラクターの進行方向に対する後方側を長穴状の頂部とする略三角形状の穴部63を有する連結プレート62と、当該穴部63内に収容されるように前記メインフレーム2aから突出するピン24とを設けて構成するとともに、前記下部連結部61bを、前記メインフレーム2aに対してローリングおよびピッチング可能に連結されるピン60dおよび当該ピン60dを収容する穴部を設けて構成し、前記規制機構7を、前記サブフレーム2bの起立に伴って前記上部連結部61a側に固定ピン74を突出させ、当該連結プレート62に設けられた凹部65に前記固定ピン74を収容させることで、前記ローリングとピッチングを規制させるようにしたので、集草作業時にサブフレーム2bを水平状態にすると同時に、ローリングとピッチングを許容することができ、また、サブフレーム2bを起立状態にすると同時に、ローリングなどを規制することができるようになる。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0050】
例えば、上記実施の形態では、連結プレート62の先端に設けられた半円形状の凹部65に円柱状の固定ピン74を収容させて、連結プレート62の回動を規制させるようにしたが、凹部65はどのような位置や形状であってもよく、また、固定ピン74については、連結プレート62の回動を規制するものであれば、どのような形状であってもよい。また、このような連結プレート62の回動を規制する場合、連結プレート62の略三角形状の穴部63に下方から略三角形状に構成された部材74b(図12(a)参照)を昇降させて穴部63を埋め、ピン24を長穴部64に位置させて前後左右に動かないように規制してもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、サブフレーム2bの起立に連動して固定ピン74を昇降させるためのリンク機構を設けるようにしたが、これ以外に、サブフレーム2bの昇降をセンサーで検知し、その検知に伴って固定ピン74などの昇降部材を昇降させることによって、連結プレート62の回動を防止して、ローリングやピッチングを規制するようにしてもよい。もしくは、このような固定ピン74などの部材を昇降させるのではなく、図12(b)に示すように、凹部65に水平方向から規制部材74cを進退させて、連結プレート62の回動を規制させるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、ツインレーキ1のローリングやピッチングを許容する方法として、略三角形状の穴部63を有する連結プレート62にピン24を収容させる方法を用いたが、これ以外の方法で、ツインレーキ1のローリングやピッチングを許容させるようにしてもよい。この場合の一例としては、連結プレート62に円形の穴部を設けておき、その穴部の範囲内でピン24を移動可能に収容させるようにする方法などが考えられる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・ツインレーキ
2a・・・メインフレーム
2b・・・サブフレーム
21・・・回動軸
24・・・ピン
3・・・レーキ
4a・・・折り畳み機構
6・・・アタッチメント
61a・・・上部連結部
62・・・連結プレート
63・・・穴部
64・・・長穴部
65・・・凹部
7・・・規制機構
71・・・軸部材
72・・・リンク機構
72a・・・回動プレート
72b・・・第一リンク部材
73・・・屈曲部材
74・・・固定ピン
74a・・・フランジ部
75・・・バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12