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特許7568239幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/545 20150101AFI20241008BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20241008BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K35/545
A61P9/04
A61P9/10
C12N5/10 ZNA
C12N5/0775
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022574692
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2021009630
(87)【国際公開番号】W WO2022025559
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0094588
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521504245
【氏名又は名称】プレクソジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,スゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ソン ヨン
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/107939(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/241910(WO,A1)
【文献】Adv. Exp. Med. Biol.,2017年,vol.998,p.179-185
【文献】Drug Delivery System,2014年,vol.29, no.2,p.140-151
【文献】Int. J. Mol. Sci.,2018年,vol.19, issue 10,3119, p.1-16
【文献】Thorac. Cardiovasc. Surg. ,2018年,vol.66, supl.1,Abstract number V273,https://www.thieme-connect.com/products/ejournals/html/10.1055/s-0038-1628010
【文献】Circ. Res.,2018年,vol.122, issue 5,p.661-663
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/545
C12N 5/10
C12N 5/0775
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であって、
人工多能性幹細胞を培地で培養する第1培養段階と、
培養された前記人工多能性幹細胞からSSEA-4(-)細胞を分離し、培養してBxC幹細胞に分化させる選別培養段階と、
前記BxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に分化させる第2培養段階と、
前記間葉系幹細胞に、12時間から36時間、ヒアルロン酸を前処理する前処理段階と、
前処理された前記間葉系幹細胞を培養してエクソソームを生産する生産段階と、
前記間葉系幹細胞又はその培養物からエクソソームを分離する分離段階と、
を含み、
前記BxCは、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞の前駆細胞であり、
前記人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞の前駆細胞は、SSEA-4タンパク質を細胞表面に発現しないSSEA-4(-)細胞であり、前記SSEA-4(-)細胞は、人工多能性幹細胞由来であり、
前記心疾患は、狭心症(Angina Pectoris)、心筋梗塞(Myocardial Infarction)、心不全(Cardiac failure)からなる群から選ばれることを特徴とする薬剤学的組成物の製造方法。
【請求項2】
前記生産段階は、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS)で前記間葉系幹細胞を培養する追加培養段階を含む、請求項に記載の薬剤学的組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、抗炎症、線維化抑制、血管内皮細胞の増殖、血管形成、生存率向上、及び心筋細胞の保護・再生効果に優れた間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微細小胞体(Extracellular Vesicles)は、マイクロベシクル(Microvesicles)、エクソソーム(Exosome)などを含む30~1000nmサイズの球状脂質二重層(lipid-bilayer)で構成された小胞体(vesicle)である。
【0003】
エクソソームの脂質二重層は、起源細胞(供与細胞)のようなリン脂質二重膜構造となっており、細胞が細胞外に分泌する物質の構成体であり、細胞-細胞間のコミュニケーション及び細胞性免疫介入などの機能的な役割を担うものと知られている。
【0004】
エクソソームは、起源細胞特有の生物学的機能を反映する細胞特異的構成成分を含有し、リン脂質、mRNA、miRNAの他にも様々な水溶性タンパク質、外在性タンパク質及び膜貫通タンパク質成分などを含む。
【0005】
このようなエクソソームは、肥満細胞、リンパ球、星状細胞、血小板、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞などのあらゆる動物細胞から排出され、血液、尿、粘液、唾液、胆汁、腹水、脳脊髄液などの様々な体液から発見される。エクソソームは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier;BBB)も通過でき、表皮細胞と内皮細胞の細胞膜透過が可能な程度に選択的透過性が高いことから、特定薬物のナノキャリア(nanocarrier)であるDDS(drug delivery system)の開発にも活用されている。
【0006】
間葉系幹細胞から分泌するエクソソーム及びマイクロベシクル(microvesicle)は、細胞-細胞間コミュニケーション(cell-to-cell communication)に関与し、幹細胞が有する再生医学的な治療効能を示すことが知られている。
【0007】
エクソソームは、長期間生存せずに生体内に移植された幹細胞から分泌されるパラクライン因子(paracrine factors)に、トロピック効果(trophic effect)をもたらすことが知られている。分泌されるそのような因子は、エクソソームのような細胞外小胞体によって分泌される、成長因子(growth factor)、ケモカイン(chemokine)、サイトカイン(cytokine)などの低分子であり、そのようなエクソソームは幹細胞に由来する。このことから、エクソソームは、幹細胞の特性を突き止め、その治療的効能を評価するために活用されている。さらに、最近では、間葉系幹細胞自体を用いず、間葉系幹細胞が分泌するエクソソームを用いた様々な疾患の治療効果への研究が活発に行われており、これは、学界及び産業界において既存の幹細胞治療法の限界を克服できる新しい代案になり得ると予想されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは、幹細胞又はその培養液から分離された組成物を開発した。本発明に係る組成物は、抗炎症、線維化抑制、血管内皮細胞の増殖、形成又は生存率の向上、及び心筋細胞の保護・再生効果に格段に優れていることを確認した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む組成物の製造方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物の製造方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、心疾患の緩和又は治療方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来の組成物の心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物の製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、炎症性疾患の緩和又は治療方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来の組成物の炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物の製造方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、免疫疾患の緩和又は治療方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む組成物の免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物を提供することである。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物の製造方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、線維性疾患の緩和又は治療方法を提供することである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来の組成物の線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途を提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来のエクソソームを含む血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物を提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用組成物の製造方法を提供することである。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、血管疾患の緩和又は治療方法を提供することである。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、幹細胞由来の組成物の血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法に関し、本発明に係る組成物は、心疾患、炎症性疾患、免疫疾患、線維性疾患、皮膚欠損及び血管疾患の治療又は予防において優れた効果を奏する。
【0032】
そこで、本発明者らは、本発明に係る組成物が抗炎症、線維化抑制、血管内皮細胞の増殖、形成又は生存率の向上、及び心筋細胞の保護及び再生を可能にすることを確認した。
【0033】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0034】
本発明の一態様は、幹細胞由来のエクソソーム(exosome)を含む組成物である。
【0035】
本明細書上の用語「エクソソーム」は細胞由来性小胞体であり、ほぼ全ての真核生物の体液に存在するものであって、LDLタンパク質よりは大きいが、赤血球よりははるかに小さい30~100nm程度の直径を有する小胞体を意味する。エクソソームは、多重小胞体(multivesicular bodies)が細胞膜と融合する際に細胞から放出されたり、細胞膜から直ちに放出されたりして、凝固、細胞間信号伝達などのような重要ながらも特化した機能を有することがよく知られている。
【0036】
本明細書上の用語「幹細胞(Stem cell)」は、未分化な細胞であり、自己複製能を有し、且つ2つ以上の異なる種類の細胞に分化する能力を有する細胞を意味する。
【0037】
本発明の一具現例において、幹細胞は、自己又は同種由来幹細胞であってよく、ヒト及び非ヒト哺乳類を含む任意類型の動物由来であってよく、成体に由来する幹細胞であってよく、胚芽に由来する幹細胞であってよい。例えば、幹細胞は、胚芽幹細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞、BxC幹細胞、BxC-A1幹細胞、BxC-I10幹細胞、BxC-G63幹細胞、BxC-R11幹細胞、及びBxC-R56幹細胞からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0038】
本明細書上の用語「成体幹細胞(adult stem cell)」は、臍帯血や成人の骨髄、血液などから抽出される細胞であって、特定の臓器の細胞に分化する直前の細胞を意味し、必要時に身体内組織へと分化可能な能力を保有している未分化状態の細胞を意味する。
【0039】
本発明の一具現例において、成体幹細胞は、ヒト、動物又は動物組織起源の成体幹細胞、ヒト、動物又は動物組織由来間葉系幹細胞(mesenchymal stromal cell)、及びヒト、動物又は動物組織起源の人工多能性幹細胞に由来する間葉系幹細胞からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0040】
本発明において、ヒト、動物又は動物組織は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜及び胎盤からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0041】
本発明において、ヒト又は動物の様々な組織起源の幹細胞は、造血幹細胞、乳腺幹細胞、腸管幹細胞、血管内皮前駆細胞、神経幹細胞、嗅覚神経幹細胞、及び精巣幹細胞からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0042】
本明細書において、「胚性幹細胞(embryonic stem cell)」という用語は、受精卵が子宮に着床する前に形成された胚盤胞の内部細胞塊(inner cell mass)に由来し、胚発生中に分離され、体外で培養された細胞を意味する。
【0043】
胚性幹細胞は、個体の全ての組織の細胞に分化可能な多能性(pluripotent)であるか或いは全能性(totipotent)がある、自己複製能(selfrenewal)を有する細胞を意味し、広い意味では、胚性幹細胞に由来する胚様体(embryoid bodies)も含むものを意味する。
【0044】
本発明において、幹細胞は、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ウサギなどのあらゆる由来の胚性幹細胞を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本明細書上の用語「人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)」は、分化した細胞らから人為的な脱分化過程によって多能性分化能を有するように誘導された細胞を意味し、「脱分化幹細胞」と同じ意味で使われてよい。
【0046】
人為的な脱分化過程は、レトロウイルス、レンチウイルス及びセンダイウイルスを用いたウイルス媒介又は非ウイルス性ベクターの利用、タンパク質及び細胞抽出物などを利用する非ウイルス媒介脱分化因子の導入によって行われるか、或いは幹細胞抽出物、化合物などによる脱分化過程を含むことができる。
【0047】
人工多能性幹細胞は、胚性幹細胞とほぼ同一の特性を有し、具体的には、類似の細胞形状を有し、遺伝子、タンパク質発現が類似しており、in vitro及びin vivoで全分化能を有し、テラトーマ(teratoma)を形成し、マウスの胚盤胞(blastocyst)に挿入させた時に、キメラ(chimera)マウスを形成し、遺伝子の生殖線転移(germline transmission)が可能である。
【0048】
本発明の一具現例において、幹細胞は、BxC幹細胞であってよい。
【0049】
本発明の一具現例において、組成物は、BxC幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0050】
本明細書上の用語「間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)」とは、間葉に由来する幹細胞を意味する。間葉系幹細胞は、造骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞又は筋細胞からなる群から選ばれる一つ以上の細胞に分化してよい。間葉系幹細胞は、あらゆる類型の成体組織から分離されてよく、例えば、骨髄脂肪組織、臍帯又は末梢血液から分離されてよい。間葉系幹細胞の群集(MSC population)は、特異的な表現型(phenotype)を示すものと定義されてよい。人工多能性幹細胞から分化した間葉系幹細胞の群集は、通常の間葉系幹細胞の群集と同じ表現型特性を示してよく、間葉系幹細胞の群集は、CD105、CD73、CD90マーカーを95%以上発現し、CD45、CD34、SSEA-4を2%以下発現する幹細胞の群集として理解されてよい。
【0051】
本明細書上の用語「BxC幹細胞」は、人工多能性幹細胞(iPSC)を培養した後、SSEA-4(stage-specific embryonic antigen 4)タンパク質を発現しない人工多能性幹細胞の群集を分離した後、追加培養して製造されてよい。BxC幹細胞は、人工多能性幹細胞から間葉系幹細胞に完全に分化する直前の段階の細胞であり、追加培養によって完全な間葉系幹細胞の性質を有することができる。したがって、BxC幹細胞群集の表現型は、間葉系幹細胞群集と完全に同じ表現型を示すわけではなく、間葉系幹細胞群集の表現型と96%~99.9%の範囲で類似する表現型を示すことができる。例えば、人工多能性幹細胞群集はCD90タンパク質を0.3%発現するが、間葉系幹細胞群集はCD90タンパク質を99.7%発現し、BxC幹細胞群集は、間葉系幹細胞の約98%である96.9%発現することができる。これにより、BxC幹細胞は、人工多能性幹細胞を培養した後、SSEA-4タンパク質を発現しない人工多能性幹細胞をさらに培養し、間葉系幹細胞に完全に分化させずに96%~99.9%分化させた幹細胞と定義されてよい。BxC幹細胞は、同一に人工多能性幹細胞から分化した間葉系幹細胞に比べて幹細胞能(stemness)に優れており、機能性に関連したタンパク質を多量分泌できる。具体的に、本発明のBxC幹細胞は、継代を9回以上繰り返す場合に、同一組織由来の間葉系幹細胞(MSC)と比較して10倍以上の増殖能差を示し、12回以上の回数で継代をしても増殖能の減少が観察されない。また、BxC幹細胞は、一般の間葉系幹細胞に比べて、細胞増殖能に関連したマーカーであるKi67の発現量も2倍以上高く示される。そして、BxC幹細胞は、同一に人工多能性幹細胞から分化した間葉系幹細胞に比べて、ANKRD1、CPE、NKAIN4、LCP1、CCDC3、MAMDC2、CLSTN2、SFTA1P、EPB41L3、PDE1C、EMILIN2、SULT1C4、TRIM58、DENND2A、CADM4、AIF1L、NTM、SHISA2、RASSF4、及びACKR3からなる群から選ばれる1以上の遺伝子をより高いレベルで発現でき、DHRS3、BMPER、IFI6、PRSS12、RDH10、及びKCNE4からなる群から選ばれる1以上の遺伝子をより低いレベルで発現できる。
【0052】
本明細書上の用語「幹細胞能」とは、あらゆる細胞を生成可能な能力がある多能性(pluripotency)、及び自分に似た細胞を無制限に生成可能な自己複製能(self-renewal)を意味し、例えば、未分化細胞を、未分化状態を維持しながら幹細胞の増殖能(Proliferation)を増加させたり、テロメラーゼ活性を増加させたり、幹細胞性因子(stemness acting signals)の発現を増加させたり、細胞遊走性を増加させたりすることをいい、それらの特徴のうち一つ以上が見られることを含むことができる。
【0053】
本発明の一具現例において、幹細胞は、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、エキセンジン-4(exendin-4)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、レスベラトロール(resveratrol)からなる群から選ばれる一つ以上で前処理されたものであってよい。
【0054】
本明細書上の用語「前処理」とは、間葉系幹細胞の培地に特定物質を添加して培養する過程を意味する。例えば、前処理は、人工多能性幹細胞から分化の完了した間葉系幹細胞を、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(Phorbol12-myristate13-acetate;PMA)、エキセンジン-4(exendin-4)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、及びレスベラトロール(resveratrol)からなる群から選ばれる一つ以上の物質を添加した培地にさらに培養する過程を意味する。
【0055】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、ピオグリタゾン、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、エキセンジン-4、ヒアルロン酸、レスベラトロールからなる群から選ばれる一つ以上で前処理されたものであってよい。
【0056】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、ヒアルロン酸で前処理されたものであってよい。
【0057】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、ピオグリタゾンで前処理されたものであってよい。
【0058】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、ホルボール12-ミリステート13-アセテートで前処理されたものであってよい。
【0059】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、エキセンジン-4で前処理されたものであってよい。
【0060】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、レスベラトロールで前処理されたものであってよい。
【0061】
本発明において、ピオグリタゾン、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、エキセンジン-4、ヒアルロン酸、及びレスベラトロールは、幹細胞の幹細胞能(Stemness)及び増殖能(Proliferation)を増加させ、幹細胞由来エクソソームの数、エクソソーム内タンパク質、及びRNAの含有量を増加させることができる。
【0062】
本発明において、組成物は、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、BxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームを含むものであってよい。
【0063】
本発明の一具現例において、組成物は、BxC-A1幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0064】
本明細書上の用語「BxC-A1幹細胞」とは、本発明に係るBxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にピオグリタゾンを含めて培養(前処理)した間葉系幹細胞を意味する。例えば、BxC-A1幹細胞は、BxC幹細胞を追加培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にピオグリタゾンを0.001~1000μM、例えば、3μM含めて12~48時間培養することによって得られる。
【0065】
本発明の一具現例において、組成物はBxC-I10幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0066】
本明細書上の用語「BxC-I10幹細胞」とは、本発明に係るBxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)を含めて培養(前処理)した間葉系幹細胞を意味する。例えば、BxC-I10幹細胞は、BxC幹細胞を追加培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にホルボール12-ミリステート13-アセテートを1~1000nM、例えば、50nM含めて12~48時間培養することによって得られる。BxC-I10幹細胞はいずれの物質も前処理されていない間葉系幹細胞に比べて細胞の増殖率が約220%増加し、エクソソーム生産効率とエクソソーム由来タンパク質の量が5倍以上増加する。
【0067】
本発明の一具現例において、組成物は、BxC-G63幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0068】
本明細書上の用語「BxC-G63幹細胞」とは、本発明に係るBxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にエキセンジン-4(Exendin-4)を含めて培養(前処理)した間葉系幹細胞を意味する。例えば、BxC-G63幹細胞は、BxC幹細胞を追加培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にエキセンジン-4を0.01~10000nM、例えば、20nM含めて12~48時間培養することによって製造されてよい。BxC-G63幹細胞は、いずれの物質も前処理されていない間葉系幹細胞に比べて細胞の増殖率が約340%増加し、エクソソーム生産効率が約6倍増加し、エクソソーム由来タンパク質の量が5倍以上増加する。
【0069】
本発明の一具現例において、組成物は、BxC-R11幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0070】
本明細書上の用語「BxC-R11幹細胞」とは、本発明に係るBxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含めて培養(前処理)した間葉系幹細胞を意味する。例えば、BxC-R11幹細胞は、BxC幹細胞を追加培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にヒアルロン酸を0.1~1000μg/ml、例えば、40μg/ml含めて12~48時間培養することによって製造されてよい。BxC-R11幹細胞は、いずれの物質も前処理されていない間葉系幹細胞に比べて細胞の増殖率が約360%増加し、エクソソーム生産効率が約5倍増加し、エクソソーム由来タンパク質の量が5倍以上増加する。
【0071】
本発明の一具現例において、組成物は、BxC-R56幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0072】
本明細書上の用語「BxC-R56幹細胞」とは、本発明に係るBxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にレスベラトロール(resveratrol)を含めて培養(前処理)した間葉系幹細胞を意味する。例えば、BxC-R56幹細胞は、BxC幹細胞を追加培養して間葉系幹細胞に完全に分化させた後、培地にレスベラトロールを0.01~10000nM、例えば、10nM含めて12~48時間培養することによって製造されてよい。BxC-R56幹細胞は、いずれの物質も前処理されていない間葉系幹細胞に比べて細胞の増殖率が約1100%増加し、エクソソーム生産効率が約5倍増加し、エクソソーム由来タンパク質の量が5倍以上増加する。
【0073】
本発明の一具現例において、ピオグリタゾンは、0.001~1000μM、0.005~500μM、0.01~100μM、0.05~50μM、0.1~25μM、0.5~15μM、1~10μM、2~6μMの濃度で前処理されるものであってよく、例えば、3μMの濃度で前処理されるものであってよいが、これに限定されない。
【0074】
本発明の一具現例において、ホルボール12-ミリステート13-アセテートは、1~1000nM、5~500nM、10~250nM、10~100nM、15~80nM、20~70nMの濃度で前処理されるものであってよく、例えば、50nMの濃度で前処理されるものであってよいが、これに限定されない。
【0075】
本発明の一具現例において、エキセンジン-4は、0.01~10000nM、0.1~5000nM、1~1000nM、1~100nM、10~100nM、10~50nM、10~30nMの濃度で前処理されるものであってよく、例えば、20nMの濃度で前処理されるものであってよいが、これに限定されない。
【0076】
本発明の一具現例において、ヒアルロン酸は、0.1~1000μg/ml、0.5~1000μg/ml、1~500μg/ml、1~200μg/ml、1~100μg/ml、1~80μg/ml、1~60μg/ml、10~60μg/mlの濃度で前処理されるものであってよく、例えば、40μg/mlの濃度で前処理されるものであってよいが、これに限定されない。
【0077】
本発明の一具現例において、レスベラトロールは、0.01~10000nM、0.1~5000nM、0.5~1000nM、1~500nM、1~100nM、5~100nM、5~30nMの濃度で前処理されるものであってよく、例えば、10nMの濃度で前処理されるものであってよいが、これに限定されない。
【0078】
本発明の他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む薬剤学的組成物である。
【0079】
本発明において、薬剤学的組成物は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含むものであってよい。
【0080】
本発明において、薬剤学的組成物は、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(Phorbol12-myristate13-acetate;PMA)、エキセンジン-4(exendin-4)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、レスベラトロール(resveratrol)からなる群から選ばれる一つ以上で前処理された幹細胞由来のエクソソームを含むものであってよい。
【0081】
本発明において、薬剤学的組成物は、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(Phorbol12-myristate13-acetate;PMA)、エキセンジン-4(exendin-4)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、レスベラトロール(resveratrol)からなる群から選ばれる一つ以上で前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含むものであってよい。
【0082】
本発明において、薬剤学的組成物は、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームを含むものであってよい。
【0083】
本明細書において、用語「有効成分として含む」とは、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームの特定疾患に対する緩和、抑制、予防又は治療活性を達成するために十分な量を含むことを意味する。
【0084】
本発明において、薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含むことができ、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
本発明において、薬剤学的組成物は、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。
【0086】
本発明において、薬剤学的組成物は、経口及び非経口で投与でき、例えば、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与、硬膜内投与、眼球投与、皮膚投与、及び経皮投与などで投与できるが、これに限定されるものではない。
【0087】
本発明において、薬剤学的組成物は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって様々に投与量が決められてよく、所望する治療又は予防に効果的な投与量と決定又は処方されてよい。例えば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.0001~1000mg/kgであってよい。
【0088】
本発明において、薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量の形態で製造されたり又は多回容量容器内に内入させて製造されたりしてよい。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、散剤、坐剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0089】
本発明の薬剤学的組成物の投与容量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾患の程度によって異なってよく、医師又は薬剤師の判断によって一定時間間隔で1日1回~数回に分割投与されてもよい。例えば、有効成分含有量を基準に1日投与量が1~1000μg/mlであってよいが、これは平均的な場合を例示するもので、個人別にその投与量は増減してよい。
【0090】
本発明において、薬剤学的組成物は、心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物であってよい。
【0091】
本発明に係る薬剤学的組成物は、心疾患の緩和、抑制、予防又は治療の効果に優れ、特に、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームは、別の物質が前処理されていない幹細胞から分離されたエクソソームに比べて、血管内皮細胞の増殖率、生存率を向上させ、心筋細胞を再生し保護する効果に優れるので、心疾患の緩和、抑制、予防及び治療に利用可能である(図3A図6C及び図13A図13D参照)。
【0092】
本発明において、「心疾患」は、狭心症(Angina Pectoris)、心筋梗塞(Myocardial Infarction)、心臓弁膜症(Valvular disease)、心不全(Cardiac failure)、心臓肥大(Cardiac Hypertrophy)、不整脈(Arrhythmia)、心嚢炎(Pericarditis)、心内膜炎(Endocarditis)からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0093】
本発明の一具現例において、心疾患は虚血性心疾患であってよい。
【0094】
本明細書上の用語「虚血性心疾患(ischemic heart disease)」は、心臓に血液を供給する冠状動脈が狭くなり、心臓筋肉への血液供給が不足する虚血現象が現れることを意味する。代表には狭心症、心筋梗塞症が含まれ、深刻な場合、心停止を誘発してしまう。症状としては胸の疼痛が典型的であるが、多く進行した場合には心臓機能低下による心不全によって呼吸困難、不整脈を誘発することもあり、動脈硬化症が主要原因とされている。
【0095】
本発明の一具現例において、虚血性心疾患は、狭心症、心筋梗塞、心不全からなる群から選ばれてよいが、これに限定されるものではない。
【0096】
本発明において、薬剤学的組成物は、炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物であってよい。
【0097】
本明細書上の用語「炎症性疾患」は、アトピー性皮膚炎、浮腫、皮膚炎、アレルギー、喘息、結膜炎、歯周炎、鼻炎、中耳炎、咽頭炎、扁桃炎、肺炎、胃潰瘍、胃炎、クローン病、大膓炎、痔、痛風、強直性脊椎炎、リウマチ性狼瘡、全身性エリテマトーデス、線維筋痛症(fibromyalgia)、乾癬性関節炎、骨関節炎、リウマチ性関節炎、肩関節周囲炎、腱炎、腱鞘炎、筋肉炎、肝炎、膀胱炎、腎臓炎、シェーグレン症候群(sjogren’s syndrome)、及び多発性硬化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0098】
本発明に係る薬剤学的組成物は、炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療効果に優れ、本発明の具体的な一実施例において、LPSで刺激して炎症反応が誘導されたマクロファージに本発明に係る薬剤学的組成物を処理してTNF-α、IL-1β及びIL-6の発現量を測定した結果、対照群に比べてTNF-α、IL-1β及びIL-6の発現量が相対的に大きく減少したことを確認した。(図7A図8C参照)
【0099】
また、本発明の具体的な一実施例において、IL-4、IL-13で処理されて誘導された再生性マクロファージに、本発明に係る薬剤学的組成物を処理してCD206、ARG-1及びIL-10の発現量を測定した結果、対照群に比べてCD206、ARG-1及びIL-10の発現量が大きく減少しないことを確認した(図9A図9C)。
【0100】
本発明において、薬剤学的組成物は、免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物であってよい。
【0101】
本明細書上の用語「免疫疾患」は、特定免疫反応が起きる場合に問題になる疾患を意味し、免疫疾患は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病であってよい。
【0102】
自己免疫疾患は、クローン病、エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、慢性疲労症候群、線維筋痛症、甲状腺機能低下症と亢進症、強皮症、ベーチェット病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、メニエール症候群(Meniere’s syndrome)、ギランバレー症候群(Guilian-Barre syndrome)、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome)、白斑症、子宮内膜症、乾癬、白斑症、全身性強皮症、喘息又は潰瘍性大膓炎などであってよいが、これに限定されるものではない。
【0103】
本発明に係る薬剤学的組成物は、免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療効果に優れ、本発明の具体的な一実施例において、LPSで刺激して炎症反応が誘導されたマクロファージに、本発明に係る薬剤学的組成物を処理してTNF-α、IL-1β及びIL-6の発現量を測定した結果、対照群に比べてTNF-α、IL-1β及びIL-6の発現量が相対的に大きく減少したことを確認した(図7A図8C参照)。
【0104】
また、本発明の具体的な一実施例において、IL-4、IL-13で処理されて誘導された再生性マクロファージに、本発明に係る薬剤学的組成物を処理してCD206、ARG-1及びIL-10の発現量を測定した結果、対照群に比べてCD206、ARG-1及びIL-10の発現量が大きく減少しないことを確認した(図9A図9C)。
【0105】
本発明において、薬剤学的組成物は、線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物であってよい。
【0106】
本明細書上の用語「線維性疾患」は、様々な原因によって臓器の一部が固まる現象を示す疾患を意味し、例えば、腎繊維症、肝繊維症、肺繊維症などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0107】
本明細書上の用語「腎繊維症」とは、腎臓組織で発生する過剰の炎症反応、上皮細胞の線維化など、様々な原因によって腎臓組織又は血管が硬く固まって腎臓の機能を喪失する症状を意味する。
【0108】
本発明に係る薬剤学的組成物は、線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療効果に優れ、本発明の具体的な一実施例において、TGF-β1で線維化が誘導された線維芽細胞に、本発明に係る薬剤学的組成物を処理してα-SMA及びCTGFの発現量を測定した結果、対照群に比べてα-SMA及びCTGFの発現量が大きく減少したことを確認した(図10A図12B参照)。
【0109】
本発明において、薬剤学的組成物は、血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物であってよい。
【0110】
本明細書上の用語「血管疾患」は、血管組織の損傷が起き、これによって血管内膜が厚くなる症状を有する疾患を意味し、血管疾患は、血管肥大、不安定狭心症(unstable angina)、急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)、動脈硬化症、ステント内再狭窄(in-stent restenosis)であってよいが、これに限定されるものではない。
【0111】
本発明に係る薬剤学的組成物は、血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療効果に優れ、本発明の具体的な一実施例において、血管内皮細胞又は過酸化水素によって損傷した血管内皮細胞に、本発明に係る薬剤学的組成物を処理して血管内皮細胞の増殖率、生存率及び血管内皮細胞のチューブ長、ノード、数を測定した結果、対照群に比べて血管内皮細胞の増殖率及び生存率が向上し、血管内皮細胞のチューブ長、ノード、数が全て増加したことを確認した(図4A図6C参照)。
【0112】
本発明の他の態様は、幹細胞由来エクソソームを有効成分として含む食品組成物である。
【0113】
本発明に係る食品組成物は、上述した薬剤学的組成物と同一に、本発明に係る幹細胞由来のエクソソームを含むので、これらの両者に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0114】
本発明に係る食品組成物は、食品の製造時に一般に添加される成分を含むことができ、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0115】
本発明に係る食品組成物に含有可能な炭水化物としては、ブドウ糖、果糖などのモノサッカライド、マルトース、スクロース、オリゴ糖などのジサッカライド、デキストリン、シクロデキストリンなどのようなポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールが含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0116】
本発明に係る食品組成物に含有可能な香味剤は、タウマチン、ステビア抽出物などの天然香味剤、及びサッカリン、アスパルタムなどの合成香味剤を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0117】
本発明において、食品組成物は、心疾患の緩和、抑制又は改善用の食品組成物であってよい。
【0118】
本発明において、食品組成物は、炎症性疾患の緩和、抑制又は改善用の食品組成物であってよい。
【0119】
本発明において、食品組成物は、免疫疾患の緩和、抑制又は改善用の食品組成物であってよい。
【0120】
本発明において、食品組成物は、線維性疾患の緩和、抑制又は改善用の食品組成物であってよい。
【0121】
本発明において、食品組成物は、血管疾患の緩和、抑制又は改善用の食品組成物であってよい。
【0122】
本発明のさらに他の態様は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を含む細胞治療剤である。
【0123】
本明細書上の用語「細胞治療剤」は、細胞と組織の機能を復元させるために、生きている自己(autologous)、同種(allogenic)、異種(xenogenic)細胞を体外で増殖・選別したり、その他の方法で細胞の生物学的特性を変化させたりするなどの一連の行為によって治療、診断及び予防の目的で用いられる医薬品を意味する。
【0124】
本発明の一具現例において、細胞治療剤は、幹細胞治療剤であってよい。
【0125】
本発明の一具現例において、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞は、BxC幹細胞、BxC-A1幹細胞、BxC-I10幹細胞、BxC-G63幹細胞、BxC-R11幹細胞、及びBxC-R56幹細胞からなる群から選ばれる一つ以上の幹細胞を含んでよい。
【0126】
本発明において、細胞治療剤は、心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の細胞治療剤であってよい。
【0127】
本発明において、細胞治療剤は、炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の細胞治療剤であってよい。
【0128】
本発明において、細胞治療剤は、免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の細胞治療剤であってよい。
【0129】
本発明において、細胞治療剤は、線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の細胞治療剤であってよい。
【0130】
本発明において、細胞治療剤は、血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の細胞治療剤であってよい。
【0131】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含む組成物の製造方法である:
【0132】
幹細胞又はその培養物からエクソソームを分離する分離段階。
【0133】
本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含む組成物の製造方法であってよい。
【0134】
本発明の一具現例において、分離段階は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物からエクソソームを分離することであってよい。
【0135】
本発明の一具現例において、幹細胞は、自己又は同種由来幹細胞であってよく、ヒト及び非ヒト哺乳類を含む任意類型の動物由来であってよく、成体に由来する幹細胞であってよく、胚芽に由来する幹細胞であってよい。例えば、幹細胞は、胚芽幹細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞、BxC幹細胞、BxC-A1幹細胞、BxC-I10幹細胞、BxC-G63幹細胞、BxC-R11幹細胞、及びBxC-R56幹細胞からなる群から選ばれるものであってよいが、これに限定されない。
【0136】
分離段階では、幹細胞の培養液を200~400×gで5~20分間遠心分離して残存細胞や細胞片を除去し、上清を採取して9000~12000×gで60~80分間遠心分離し、得られた上清を90000~120000×gで80~100分間遠心して、ペレットとしてのエクソソームを得ることができる。
【0137】
本発明の一具現例において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞をピオグリタゾン、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、エキセンジン-4、ヒアルロン酸、レスベラトロールからなる群から選ばれる一つ以上で前処理する前処理段階をさらに含んでよい。
【0138】
本発明の一具現例において、方法は、培養された人工多能性幹細胞からSSEA-4(-)細胞を分離して培養し、BxC幹細胞に分化させる選別培養段階をさらに含むことができる。
【0139】
本発明の一具現例において、方法は、細胞培養培地を用いて幹細胞を培養する細胞エクソソーム生産段階をさらに含んでよい。
【0140】
本発明に係るエクソソーム生産段階は、幹細胞からエクソソームの分泌又は生産を誘導する過程であり、本発明において、細胞培養培地は、当該分野で通常用いられるいかなる幹細胞培養用培地も含むことができ、例えば、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、MEM(Minimal Essential Medium)、BME(Basal Medium Eagle)、RPMI1640、DMEM/F-10(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-10)、DMEM/F-12(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12)、α-MEM(α-Minimal essential Medium)、G-MEM(Glasgow’s Minimal Essential Medium)、IMDM(Isocove’s Modified Dulbecco’s Medium)、KnockOut DMEM、E8(Essential 8 Medium)などの商業的に製造された培地又は人為的に合成した培地が用いられてよいが、これに限定されるものではない。
【0141】
本発明の一具現例において、細胞培養培地は、炭素源、窒素源、微量元素成分、アミノ酸、抗生剤などの成分をさらに含むことができる。
【0142】
本発明の一具現例において、エクソソーム生産段階は、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS)で幹細胞を培養する追加培養段階を含んでよい。
【0143】
細胞培養培地に、エクソソームを除去したFBSは、ウシ血清由来のエクソソームが多く含まれている一般FBSとは違い、エクソソームが除去され、幹細胞が分泌するエクソソームの他にFBSに由来するエクソソームが混入することを防止することができる。
【0144】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、エクソソームを含む組成物の製造方法である:
【0145】
人工多能性幹細胞を培地で培養する第1培養段階;
【0146】
培養された人工多能性幹細胞からSSEA-4(-)細胞を分離し培養してBxC幹細胞に分化させる選別培養段階;
【0147】
BxC幹細胞を培養して間葉系幹細胞に分化させる第2培養段階;
【0148】
間葉系幹細胞に、ピオグリタゾン、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、エキセンジン-4、ヒアルロン酸、レスベラトロールからなる群から選ばれる一つ以上の物質を前処理する前処理段階;
【0149】
前処理された間葉系幹細胞を培養してエクソソームを生産する生産段階;及び
【0150】
間葉系幹細胞又はその培養物からエクソソームを分離する分離段階。
【0151】
本発明の一具現例において、第1培養段階は、人工多能性幹細胞をFBS及びbFGFを含む培地で1~10日間培養することであってよい。
【0152】
本発明の一具現例において、選別培養段階は、人工多能性幹細胞からSSEA-4(-)細胞を分離し、FBS及びbFGFを含む培地で1~10日間培養してBxC幹細胞に分化させることであってよい。
【0153】
本発明の一具現例において、前処理段階は、間葉系幹細胞にピオグリタゾンを0.001~1000μM、0.005~500μM、0.01~100μM、0.05~50μM、0.1~25μM、0.5~15μM、1~10μM、2~6μMの濃度で前処理することであってよく、例えば、3μMの濃度で前処理することであってよいが、これに限定されない。
【0154】
本発明の一具現例において、前処理段階は、間葉系幹細胞にホルボール12-ミリステート13-アセテートを1~1000nM、5~500nM、10~250nM、10~100nM、15~80nM、20~70nMの濃度で前処理することであってよく、例えば、50nMの濃度で前処理することであってよいが、これに限定されない。
【0155】
本発明の一具現例において、前処理段階は、間葉系幹細胞に、エキセンジン-4を0.01~10000nM、0.1~5000nM、1~1000nM、1~100nM、10~100nM、10~50nM、10~30nMの濃度で前処理することであってよく、例えば、20nMの濃度で前処理することであってよいが、これに限定されない。
【0156】
本発明の一具現例において、前処理段階は、間葉系幹細胞にヒアルロン酸を0.1~1000μg/ml、0.5~1000μg/ml、1~500μg/ml、1~200μg/ml、1~100μg/ml、1~80μg/ml、1~60μg/ml、10~60μg/mlの濃度で前処理することであってよく、例えば、40μg/mlの濃度で前処理することであってよいが、これに限定されない。
【0157】
本発明の一具現例において、前処理段階は、間葉系幹細胞にレスベラトロールを0.01~10000nM、0.1~5000nM、0.5~1000nM、1~500nM、1~100nM、5~100nM、5~30nMの濃度で前処理することであってよく、例えば、10nMの濃度で前処理することであってよいが、これに限定されない。
【0158】
本発明の一具現例において、生産段階は、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS)で間葉系幹細胞を培養する追加培養段階を含んでよい。本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含む心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であってよい。
【0159】
本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含む炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であってよい。
【0160】
本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含む免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であってよい。
【0161】
本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含む線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であってよい。
【0162】
本発明において、方法は、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを有効成分として含む血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物の製造方法であってよい。
【0163】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、心疾患の緩和又は治療方法である:
【0164】
幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソーム(exosome)を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象に投与する段階。
【0165】
本発明の一具現例において、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームは、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームであってよい。
【0166】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、炎症性疾患の緩和又は治療方法である:
【0167】
幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソーム(exosome)を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象に投与する段階。
【0168】
本発明の一具現例において、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームは、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームであってよい。
【0169】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、免疫疾患の緩和又は治療方法である:
【0170】
幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソーム(exosome)を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象に投与する段階。
【0171】
本発明の一具現例において、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームは、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームであってよい。
【0172】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、線維性疾患の緩和又は治療方法である:
【0173】
幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソーム(exosome)を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象に投与する段階。
【0174】
本発明の一具現例において、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームは、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームであってよい。
【0175】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む、血管疾患の緩和又は治療方法である:
【0176】
幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソーム(exosome)を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象に投与する段階。
【0177】
本発明の一具現例において、幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームは、BxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)からなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームであってよい。
【0178】
本発明に係る治療方法は、上述した組成物と同一に幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含むので、これらの両者に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0179】
本明細書上の用語「治療」とは、本発明に係る組成物の投与によって疾患が好転したり有益に変更されたりする全ての行為を指す。
【0180】
本明細書上の用語「投与」は、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の薬剤学的組成物の投与経路は、目的組織に到達可能であれば、如何なる一般の経路を通じて経口又は非経口投与されてもよい。また、本発明の組成物は、有効成分を標的細胞に伝達できる任意の装置を用いて投与されてもよい。
【0181】
本明細書上の用語「対象」は特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ネズミ、ウサギ又はギニアピッグを含み、例えば、ヒトであってよいが、これに限定されるものではない。
【0182】
本発明の一具現例において、本発明の薬剤学的組成物は単独で投与されてよいが、一般に、投与方式と標準薬剤学的慣行(standard phamaceutical practice)を考慮して選択された薬剤学的担体と混合して投与されてよい。
【0183】
本発明のさらに他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む組成物の心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途である。
【0184】
本発明のさらに他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む組成物の炎症性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途である。
【0185】
本発明のさらに他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む組成物の免疫疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途である。
【0186】
本発明のさらに他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む組成物の線維性疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途である。
【0187】
本発明のさらに他の態様は、幹細胞由来のエクソソームを有効成分として含む組成物の血管疾患の緩和、抑制、予防又は治療用途である。
【発明の効果】
【0188】
本発明は、幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法に関し、本発明に係る組成物は、抗炎症、線維化抑制、血管内皮細胞の増殖、血管形成、生存率向上、及び心筋細胞の保護・再生効果に優れ、心疾患、炎症性疾患、免疫疾患、線維性疾患、血管疾患の予防又は治療剤に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0189】
図1A】本発明の一実施例に係るBxC幹細胞由来エクソソーム(BxC-e)のサイズ分布を示すグラフである。
図1B】本発明の一実施例に係るBxC幹細胞由来エクソソーム(BxC-e)の形態を電子顕微鏡で観察した写真である。
図2A】本発明の一実施例に係るBxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)のサイズ分布を示すグラフである。
図2B】本発明の一実施例に係るBxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)の形態を電子顕微鏡で観察した写真である。
図3A】本発明の一実施例に係るBxC幹細胞由来のエクソソーム(BxC-e)、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム(BxC-A1e)、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム(BxC-I10e)、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム(BxC-G63e)、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R11e)、又はBxC-R56幹細胞由来のエクソソーム(BxC-R56e)で処理されたそれぞれの人工多能性幹細胞由来心筋細胞の生存率を示すグラフである。
図3B】本発明の一実施例に係るBxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、及びBxC-R56eエクソソームで処理された人工多能性幹細胞由来の過酸化水素で損傷した心筋細胞の生存率を示すグラフである。
図3C】過酸化水素で損傷した人工多能性幹細胞由来の心筋細胞に本発明の一実施例に係るBxC-eエクソソーム又はBxC-R11eエクソソームを処理し、心筋細胞の活性酸素が減少した結果を示す図である。
図3D】過酸化水素で損傷した人工多能性幹細胞由来の心筋細胞に本発明の一実施例に係るBxC-eエクソソーム又はBxC-R11eエクソソームを処理し、心筋細胞の活性酸素が減少した結果を示すグラフである。
図3E】過酸化水素で損傷した人工多能性幹細胞由来の心筋細胞に本発明の一実施例に係るBxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームを処理した後、心筋細胞の損傷した程度を示すLDH(lactate dehydrogenase)数値を示すグラフである。
図4A】PBS処理された血管内皮細胞及び本発明の一実施例に係るBxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-I10eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームで処理されたそれぞれの血管内皮細胞の増殖率を示すグラフである。
図4B】過酸化水素(H)で損傷し且つPBS処理された血管内皮細胞、及び過酸化水素で損傷し且つBxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-I10eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームで処理されたそれぞれの血管内皮細胞の増殖率を示すグラフである。
図5A】PBSが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5B】BxC-eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5C】BxC-A1eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5D】BxC-I10eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5E】BxC-G63eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5F】BxC-R11eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図5G】BxC-R56eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株HUVECを培養した結果を示す写真である。
図6A】PBS、BxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-I10eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVECを培養して血管内皮細胞のチューブ長を測定した結果を示す写真である。
図6B】PBS、BxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-I10eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVECを培養して血管内皮細胞のチューブ連結ノード数を測定した結果を示す写真である。
図6C】PBS、BxC-eエクソソーム、BxC-A1eエクソソーム、BxC-I10eエクソソーム、BxC-G63eエクソソーム、BxC-R11eエクソソーム、又はBxC-R56eエクソソームが処理されたヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVECを培養して血管内皮細胞のチューブ個数を測定した結果を示す写真である。
図7A】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-eエクソソームを含む培地で培養した後、TNF-αのmRNA発現変化を示すグラフである。
図7B】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-eエクソソームを含む培地で培養した後、IL-1βのmRNA発現変化を示すグラフである。
図7C】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-eエクソソームを含む培地で培養した後、IL-6のmRNA発現変化を示すグラフである。
図8A】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、TNF-αのmRNA発現変化を示すグラフである。
図8B】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、IL-1βのmRNA発現変化を示すグラフである。
図8C】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、IL-6のmRNA発現変化を示すグラフである。
図9A】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、CD206のmRNA発現変化を示すグラフである。
図9B】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、ARG-1のmRNA発現変化を示すグラフである。
図9C】ヒト単核球細胞株THP-1を、PBS又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、IL-10のmRNA発現変化を示すグラフである。
図10A】マウス胚線維芽細胞株CF-1を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、α-SMAのmRNA発現変化をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
図10B】マウス胚線維芽細胞株CF-1を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、CTGFのmRNA発現変化をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
図11】マウス胚線維芽細胞株CF-1を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、α-SMA、CTGF、b-アクチンの発現をSDS-PAGEによって確認した結果を示すグラフである。
図12A】マウス胚線維芽細胞株CF-1を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、α-SMAの発現量をSDS-PAGEによって測定した結果を示すグラフである。
図12B】マウス胚線維芽細胞株CF-1を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、CTGFの発現量をSDS-PAGEによって測定した結果を示すグラフである。
図13A】人工多能性幹細胞由来の心筋細胞を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、cTnTの発現量をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
図13B】人工多能性幹細胞由来の心筋細胞を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、hERGの発現量をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
図13C】人工多能性幹細胞由来の心筋細胞を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、Nav1.7の発現量をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
図13D】人工多能性幹細胞由来の心筋細胞を、PBS、BxC-e、又はBxC-R11eエクソソームを含む培地で培養した後、MYH7の発現量をPCRによって確認した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0190】
BxC幹細胞由来のエクソソーム、BxC-A1幹細胞由来のエクソソーム、BxC-I10幹細胞由来のエクソソーム、BxC-G63幹細胞由来のエクソソーム、BxC-R11幹細胞由来のエクソソーム及びBxC-R56幹細胞由来のエクソソームからなる群から選ばれる一つ以上のエクソソームを含む、心疾患の緩和、抑制、予防又は治療用の薬剤学的組成物。
【実施例
【0191】
以下、本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されない。
【0192】
実施例1:人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞培養
【0193】
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)を、10%のFBS(Fetal bovine Serum)及び10ng/mlのbFGFを添加したDMEMで7日間培養した。その後、FACS分析により、培養された人工多能性幹細胞のうち、細胞表面にSSEA-4(stage-specific embryonic antigen 4)タンパク質を発現しないSSEA-4(-)細胞を分離し、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞の前駆細胞を得た。次に、分離されたSSEA-4(-)細胞を継代して、10%のFBS及び10ng/mlのbFGFを添加したDMEM培地で7日間さらに培養し、BxC幹細胞を作製した。
【0194】
その後、BxC幹細胞を高グルコースDMEM(High glucose DMEM)(Gibco,USA)、10% FBS(HyClone,USA)、1% MEM 非必須アミノ酸溶液(MEM Non-Essential Amino Acids Solution)(100X,Gibco,USA)を含む培養培地で追加培養し、人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞として完全に分化させた。
【0195】
実施例2:人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞由来エクソソーム(BxC-e)分離及び特性確認
【0196】
2-1.BxC-eエクソソームの分離
【0197】
実施例1で培養された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。遠心分離後に上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。
【0198】
次に、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離した。その後、上清液を除去し、下層に残っているエクソソームを、PBS(phosphate bufferd salin)に希釈して人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞由来エクソソーム(以下、BxC-eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0199】
2-2.BxC-eエクソソームの特性確認
【0200】
実施例2-1で分離されたBxC-eエクソソームのサイズ分布をナノ粒子トラッキングアッセイ(nanoparticle tracking assay)(NanoSight NS300,Malvern Panalytical)を用いて確認し、電子顕微鏡でエクソソームの形態を確認した。
【0201】
その結果、図1A及び図1Bに見られるように、BxC-eエクソソームがエクソソームとしての特性を有することを確認した。
【0202】
実施例3:前処理物質処理による人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞由来エクソソーム分離
【0203】
3-1.ヒアルロン酸前処理エクソソーム(BxC-R11e)分離
【0204】
10%ウシ胎児血清、1% MEM非必須アミノ酸溶液、及びヒアルロン酸40μg/mlが含まれた高グルコースDMEM培養培地で、上記実施例1で製造された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を24時間培養し、ヒアルロン酸が前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞(BxC-R11幹細胞)を作製した。
【0205】
培養を完了した後、BxC-R11幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたFBSを10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。
【0206】
72時間培養後に、前処理物質が処理された培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。次に、上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。その後、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去し、下層に残っているエクソソームを、PBSに希釈してヒアルロン酸前処理エクソソーム(以下、BxC-R11eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0207】
3-2.ピオグリタゾン前処理エクソソーム(BxC-A1e)分離
【0208】
10%ウシ胎児血清、1% MEM非必須アミノ酸溶液、及びピオグリタゾン(Pioglitazone,Sigma,USA)3μMが含まれた高グルコースDMEM培養培地に、上記実施例1で製造された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を24時間培養し、ピオグリタゾンが前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞(BxC-A1幹細胞)を作製した。
【0209】
培養を完了した後、BxC-A1幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたFBSを10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。
【0210】
72時間培養後に、前処理物質が処理された培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。次に、上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。その後、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去し、下層に残っているエクソソームをPBSに希釈してピオグリタゾン前処理エクソソーム(以下、BxC-A1eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0211】
3-3.ホルボール12-ミリステート13-アセテート前処理エクソソーム(BxC-I10e)分離
【0212】
10%ウシ胎児血清、1% MEM非必須アミノ酸溶液、及びホルボール12-ミリステート13-アセテート(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA,Sigma,USA)50nMが含まれた高グルコースDMEM培養培地で、上記実施例1で製造された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を24時間培養し、ホルボール12-ミリステート13-アセテートが前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞(BxC-I10幹細胞)を作製した。
【0213】
培養を完了した後、BxC-I10幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたFBSを10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。
【0214】
72時間培養後に、前処理物質が処理された培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。次に、上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。その後、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去し、下層に残っているエクソソームを、PBSに希釈してホルボール12-ミリステート13-アセテート前処理エクソソーム(以下、BxC-I10eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0215】
3-4.エキセンジン-4前処理エクソソーム(BxC-G63e)分離
【0216】
10%ウシ胎児血清、1% MEM非必須アミノ酸溶液、及びエキセンジン-4(Exendin-4,Sigma,USA)20nMが含まれた高グルコースDMEM培養培地に、上記実施例1で製造された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を24時間培養し、エキセンジン-4が前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞(BxC-G63幹細胞)を作製した。
【0217】
培養を完了した後、BxC-G63幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたFBSを10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。
【0218】
72時間培養後に、前処理物質が処理された培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。次に、上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。その後、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去し、下層に残っているエクソソームを、PBSに希釈してエキセンジン-4前処理エクソソーム(以下、BxC-G63eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0219】
3-5.レスベラトロール前処理エクソソーム(BxC-R56e)分離
【0220】
10%ウシ胎児血清、1% MEM非必須アミノ酸溶液、及びレスベラトロール(Resveratrol,Sigma,USA)10nMが含まれた高グルコースDMEM培養培地で、上記実施例1で製造された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞を24時間培養し、レスベラトロールが前処理された人工多能性幹細胞由来間葉系幹細胞(BxC-R56幹細胞)を作製した。
【0221】
培養を完了した後、BxC-R56幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたFBSを10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。
【0222】
72時間培養後に、前処理物質が処理された培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残存細胞や細胞片を除去した。次に、上清液を取って0.22μmフィルターで濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。その後、遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去し、下層に残っているエクソソームを、PBSに希釈してレスベラトロール前処理エクソソーム(以下、BxC-R56eエクソソーム)を分離し、それを以下の実験に使用した。
【0223】
実施例4:ヒアルロン酸前処理エクソソーム(BxC-R11e)のエクソソーム特性確認
【0224】
実施例3-1で分離されたBxC-R11eエクソソームのサイズ分布をナノ粒子トラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern Panalytical)を用いて確認し、電子顕微鏡でエクソソームの形態を確認した。
【0225】
その結果、図2A及び図2Bに見られるように、BxC-R11eエクソソームがエクソソームとしての特性を有することを確認した。
【0226】
実施例5:BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e及びBxC-R56eエクソソームのエクソソーム特異マーカー確認
【0227】
上述した実施例2及び実施例3で分離したBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、及びBxC-R56eエクソソームのエクソソーム特異マーカーを確認した。
【0228】
20μLのBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームを各チューブに入れた後に100μL MACSPlexバッファー(Miltenyi Biotec,Germany)を入れ、総ボリューム120μLにした。MACSPlexエクソソームキャプチャービーズ(MACSPlex Exosome Capture Beads)(Miltenyi Biotec,Germany)をボルテックスして再懸濁させ、15μLずつエクソソームが入っているチューブに入れて混合した。オービタルシェーカー(Orbital shaker)に各チューブを固定した後、16時間、室温で混合した。500μLのMACSPlexバッファー(Miltenyi Biotec,Germany)を追加した後、3000×gで5分間遠心分離した。遠心分離後にチューブの500μLの上清液を除去し、各チューブに5μLのMACSPlexエクソソーム検出試薬(MACSPlex Exosome Detection Reagent)(Miltenyi Biotec,Germany)を入れて混合した。次に、チューブを室温で1時間培養し、500μLのMACSPlexバッファー(Miltenyi Biotec,Germany)を追加した後、3000×gで5分間遠心分離した。遠心分離後にチューブの500μLの上清液を除去し、500μLのMACSPlexバッファーをさらにチューブに追加した。その後、チューブを15分間培養し、3000×gで5分間遠心分離した。その後、500μLの上清液を除去し、フローサイトメトリー(Flow cytometry)でエクソソーム特異マーカーの発現を確認し、その結果を表1に示した。
【0229】
【表1】
【0230】
確認の結果、表1に見られるように、上記実施例2及び3で分離したBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、及びBxC-R56eエクソソームはいずれもエクソソーム特異マーカーを95%以上発現し、これにより、上記実施例2及び3で分離した全てのエクソソームがエクソソームの特性を示すことを確認した。
【0231】
実施例6:心筋細胞再生効果確認
【0232】
6-1.人工多能性幹細胞分化心筋細胞培養
【0233】
DMEM/F12+GlutamaxTM(GIBCO,10565-018)に、1:100でMatrigel hESC-qualified Matrix(BD Bioscicence,354277)を希釈し、12ウェル細胞培養プレート(SPL,30012)に0.5ml/wellを37℃で1時間コートした。人工多能性幹細胞は、75Tフラスコでコンフルエンシーが80~90%になるまで培養した。DPBS、no calcium、no magnesium(HYCLONE,SH30028.02)5mlで2回洗浄した後、TrypleTM Express(1×)、no phenol red(GIBCO,12604-021)4ml処理して37℃に4分間置いた。DMEM/F12+GlutamaxTMサプリメント(supplement)に10% FBS(GIBCO,16000-044)が入った培養液に細胞を集め、1000rpm、3分間で細胞を集めて上清液を除去した。1ml mTeSRTM1(STEMCELL Technologies,85850)で細胞を10回程度解いた後に細胞数を測定し、細胞は1mlのmTeSRTM1に0.5×10/wellで敷き、コンフルエンシーが90~95%になるまで、2~4日の間、毎日mTeSRTM1 1mlずつ培養液を交替した。コンフルエンシーが90~95%になった人工多能性幹細胞を、CHIR99021(Tocris,4423)6μM/ml+BMP4(ProSpec,CYT-361)10ng/ml+StemBead Activin-A(Stem Culture,SBAC5)10ng/mlが入った2ml RPMI1640培地(GIBCO,11875-093)+B-27TMサプリメント、minus insulin(GIBCO,A1895601)培養液で培養した。培養して48時間後に、dPBS 1ml/wellで1回洗浄し、XAV939(Sigma,X3004)10μM/ml+L-アスコルビン酸(Sigma,A5960)50μg/mlが入った2ml RPMI1640培地+minus insulinサプリメントに培養液を交替した。48時間経過後に、DPBS 1ml/wellで1回洗浄し、アスコルビン酸50μg/mlが入った2ml RPMI1640培地+minus insulinサプリメントに培養液をさらに交替した。また、48時間経過後に、dPBS 1ml/wellで洗浄し、2ml RPMI1640培地+B-27TMサプリメント、minus vitamin A(GIBCO,12587010)に培養液を交替した。24時間後、培養された細胞の拍動を観察し、心筋細胞への分化が完了したことを確認した。
【0234】
分化が完了して拍動が観察される心筋細胞を、12ウェルプレートを用いて、DMEM/F12+GlutamaxTMに1:100でMatrigel hESC-qualified Matrixを希釈し、10cmあたり5ml/wellを37℃で1時間コートした。dPBS 5mlで2回洗浄した後、Tryple 4ml処理して37℃に4分間置いた。DMEM/F12に10% FBSが入った培養液に細胞を集め、1000rpm、3分間で遠心分離後に上清液を除去した。1ml RPMI1640+without Vitamin Aサプリメントで、細胞を10回程度解いた後に細胞数を測定した。Y27632 5uM/mlが入った10ml RPMI1640+without Vitamin Aサプリメント培養液を10cm皿に入れ、細胞数を1×10に合わせた。24時間経過後に、10mlのRPMI1640培地、no glucose(GIBCO,11879-020)に培養液を交替し、2~4日程度、心筋細胞の純度をチェックしながら維持した。2~4日後、心筋細胞の収率が良好として観察されると、10ml RPMI1640+without Vitamin Aサプリメントに培養液を交替し、48時間の回復期間をおいて使用するか、或いは細胞凍結を行った。細胞を直ちに使用した場合には、48時間ごとにRPMI1640+without Vitamin Aサプリメントに培養液を交替し、以下の生存率実験に使用した。
【0235】
6-2.心筋細胞増殖効果確認
【0236】
エクソソームによる心筋細胞増殖の確認のために、人工多能性幹細胞から分化した心筋細胞をRPMI1640+without Vitamin Aサプリメントを用いて96ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。培養液除去後にDPBSで洗浄した後、RPMI1640にBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームをそれぞれ100μg/mlの濃度で100μlずつ入れ、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0237】
培養後、10μlのCell Counting Kit-8(CCK-8,Enzo)溶液を培養液に入れ、37℃、5%COインキュベーターで2時間培養後に、色変化を確認して450nm波長で吸光度を測定して血管内皮細胞の増殖率を確認し、それを図3A及び表2に示した。
【0238】
【表2】
【0239】
実験の結果、図3A及び表2に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e及びBxC-R56eエクソソームがいずれも有意に心筋細胞を増殖させることを確認した。
【0240】
6-3.過酸化水素で損傷した心筋細胞の生存率増加効果確認
【0241】
エクソソームによる心筋細胞増殖の確認のために、人工多能性幹細胞から分化した心筋細胞を、RPMI1640+without Vitamin Aサプリメントを用いて96ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。次に、培養された細胞に損傷を与えるために、過酸化水素(H,Sigma,USA)500μMを添加した培地に交換し、37℃、5%COインキュベーターで2時間培養した。
【0242】
細胞損傷後に、エクソソームによる心筋細胞の増殖確認のために、DPBSでプレートを洗浄した後、RPMI1640+without Vitamin Aサプリメント培地にBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームのそれぞれを100μg/mlの濃度で100μlずつ入れ、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0243】
その後、10μlのCell Counting Kit-8(CCK-8,Enzo)溶液を培養液に入れ、37℃、5%COインキュベーターで2時間培養した後、色の変化を観察して450nmで吸光度を測定して血管内皮細胞の生存率を確認し、それを図3B及び表3に示した。
【0244】
【表3】
【0245】
そして、図3B及び表3に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソーム処理群において損傷した心筋細胞の生存率が有意に向上したことを確認した。
【0246】
6-4.過酸化水素で損傷した心筋細胞の活性酸素減少確認
【0247】
人工多能性幹細胞から分化した心筋細胞を、RPMI1640+without Vitamin Aサプリメントを用いて24ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。次に、培養された細胞に損傷を与えるために、過酸化水素(H)500μMを添加した培地に交換し、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。心筋細胞損傷後にエクソソームによる心筋細胞の活性酸素減少を確認するために、過酸化水素(H)500μMを添加した培地にDPBS、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームをそれぞれ100μg/mlの濃度で300μlずつ交換し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。その後、活性酸素測定試薬であるCellROX(Invitrogen,USA)5μMとCellTracker(Invitrogen,USA)5μMを培養液に入れた後、37℃、5%COインキュベーターで30分間培養した。その後、DPBSで洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド(paraformaldehyde)で固定し、NucBlueが含まれたDPBSを入れた後、蛍光写真を撮って図3Cに示した。そして、蛍光の平均強度を測定して図3D及び表4に示した。
【0248】
【表4】
【0249】
図3C図3D及び表4に見られるように、BxC-e、BxC-R11eエクソソームを処理した人工多能性幹細胞から分化した心筋細胞において、Hの処理による細胞損傷によって発生した活性酸素が減少することを確認した。
【0250】
6-5.過酸化水素で損傷した心筋細胞の細胞毒性減少確認
【0251】
エクソソームによる心筋細胞の細胞毒性減少の確認のために、人工多能性幹細胞分化心筋細胞を、RPMI1640+without Vitamin Aサプリメントを用いて24ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。次に、過酸化水素(H)500μMを添加した培地に、DPBSとBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームをそれぞれ100μg/mlの濃度で300μlずつ交換し、37℃、5%COインキュベーターで6時間培養した。その後、それぞれの細胞を培養した培地を1.5mLチューブに移し入れた後、遠心分離によって浮遊した細胞を沈め、それぞれの培地を96ウェルプレートに10μlずつ移した。LDH溶液(Cell cytotoxicity assay kit,BIOMAX,Korea)を各ウェル当たりに100μlずつ入れ、常温で30分間反応後に450nm吸光度を測定し、図3E及び表5に示した。
【0252】
【表5】
【0253】
実験の結果、図3E及び表5に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e及びBxC-R56eエクソソームを処理した心筋細胞において、Hによって誘発された細胞毒性が減少したことを確認した。
【0254】
実施例7:血管内皮細胞の増殖、生存及び形成効果確認
【0255】
7-1.血管内皮細胞増殖効果確認
【0256】
エクソソームによる血管内皮細胞増殖確認のために、ヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVEC(human umbilical vein endothelial cells,LONZA,Switzerland)を、2%FBSが添加されたEGM-2培地(Lonza,Switzerland)を用いて96ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。培養液除去後にDPBSで洗浄した後、FBSを除去したそれぞれのEGM-2培地に、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームをそれぞれ100μg/mlの濃度で100μlずつ入れ、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0257】
培養後に、10μlのCell Counting Kit-8(CCK-8,Enzo)溶液を培養液に入れ、37℃、5%COインキュベーターで2時間培養後に、色変化を確認して450nm波長で吸光度を測定して血管内皮細胞の増殖率を確認し、それを図4A及び表6に示した。
【0258】
【表6】
【0259】
実験の結果、図4A及び表6に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e及びBxC-R56eエクソソームがいずれも有意に血管内皮細胞を増殖させることを確認した。
【0260】
7-2.過酸化水素で損傷した血管内皮細胞の生存率増加効果確認
【0261】
ヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVECを、2%FBSが添加されたEGM-2培地を用いて96ウェルプレートに分注した後、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。次に、培養された細胞に損傷を与えるために、過酸化水素(H,Sigma,USA)500μMを添加した培地に交換して37℃、5%COインキュベーターで2時間培養した。
【0262】
細胞損傷後に、エクソソームによる血管内皮細胞の増殖確認のために、DPBSでプレートを洗浄した後、FBSを除去したそれぞれのEGM-2培地にBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームのそれぞれを100μg/mlの濃度で100μlずつ入れ、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0263】
培養後に、10μlのCell Counting Kit-8(CCK-8,Enzo)溶液を培養液に入れ、37℃、5%COインキュベーターで2時間培養後に、色の変化を観察して450nmで吸光度を測定して血管内皮細胞の生存率を確認し、それを図4B及び表7に示した。
【0264】
【表7】
【0265】
そして、図4B及び表7に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソーム処理群において、損傷した血管内皮細胞の生存率が有意に向上したことを確認した。
【0266】
7-3.血管形成能力増加効果確認
【0267】
-20℃で1時間クーリングした96ウェルプレートに、アイスで溶かしたマトリゲル(Matrigel,BD bioscience)を、クーリングしたチップを用いてバブルができないようにして分注した後、37℃、5%COインキュベーターで1時間培養した。
【0268】
ヒト臍帯由来血管内皮細胞株であるHUVECを、FBSを添加していないEGM-2培地を用いてマトリゲルが覆われた96ウェルプレートに分注した。その後、培地に、それぞれのBxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームを100μg/mlの濃度で入れ、対照群はエクソソームの代わりにPBSを入れた。
【0269】
次に、培地を37℃、5%COインキュベーターで、16時間以内で培養して写真を撮り、それを図5A図5Gに示した。その後、写真を、Image Jプログラムを用いて血管内皮細胞のチューブ長、チューブ連結ノード(node)、チューブ個数を定量し、それを図6A図6C及び表8~表10に示した。
【0270】
【表8】
【0271】
【表9】
【0272】
【表10】
【0273】
その結果、図6A図6C及び表8~表10に見られるように、BxC-e、BxC-R11e、BxC-A1e、BxC-I10e、BxC-G63e、BxC-R56eエクソソームは、血管内皮細胞株のチューブ長、チューブノード数、チューブ数を全て向上させ、これにより、本発明に係るエクソソームは、血管内皮細胞の血管形成効果に格段に優れていることを確認した。
【0274】
実施例8:BxC-eエクソソームの炎症性マクロファージ抑制効果確認
【0275】
ヒト単核球細胞株であるTHP-1(ATCC,USA)を、1%アンチ-アンチ(Antibiotics-antimycotics,Gibco,USA)、10%FBS(HyClone)、及びホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA,200ng/ml、Sigma,USA)が添加されたRPMI1640培地(Gibco,USA)を用いて35mm皿に分注し、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0276】
培養48時間後に、細胞が皿に付いたことを確認した。次に、炎症性マクロファージとして誘導するために、既存の培養液除去後にDPBS(HyClone,USA)で洗浄し、リポポリサッカリド(LPS,100ng/ml、Sigma)、組換えヒトインターフェロンガンマ(Recombinant Human Interferon-gamma)(INF-γ,20ng/ml、R&D System,USA)、1%アンチ-アンチ、及び10%FBSが添加されたRPMI1640培地に培養液を替え、37℃、5%COインキュベーターで3日間さらに培養して炎症性マクロファージ(M1)を製造した。
【0277】
72時間後に、エクソソームの炎症抑制効果を確認するために、培養液を除去した後にDPBSで洗浄し、1%アンチ-アンチが添加されたRPMI1640培地にBxC-eエクソソーム50μg/mlを入れて37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。その後、35mm皿にトリゾール溶液(TRIZol reagent,Invitrogen,USA)1mlを添加して細胞を分解した。次に、クロロホルム(Chloroform,Sigma,USA)200μlを添加してボルテックス(vortex)した後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後に、上清液を新しいチューブに移し、イソプロパノール(Isopropanol,Merck Millipore,USA)500μlと混合した。チューブを50回アップ&ダウンし、5分間アイスに放置後に、12,000rpm、4℃で10分間遠心分離させて上清液を除去した。チューブに残った沈殿物に70%エタノール1mlを加えた後、12,000rpm、4℃で5分間遠心分離した。次に、エタノールを除去し、RNA沈殿物が入っているチューブを乾燥させた後、ヌクレアーゼフリー水(nuclease free water)を用いてRNAペレットを溶解させた。Nanodropを用いて260nm及び280nm波長で抽出されたRNA試料の濃度を測定し、AccuPower CycleScript RT PreMix(dT20)(K-2044,Bioneer,Korea)を用いてcDNAを合成した。
【0278】
その後、合成したcDNA及び表11のプライマーを用いてリアルタイムPCR(Real time PCR)を行い、TNF-α、IL-1β及びIL-6のmRNA発現変化を確認し、図7A図7C及び表12~表14に示した。
【0279】
【表11】
【0280】
実験の結果、図7A図7C及び表12~表14に見られるように、本発明に係るBxC-eエクソソームが処理された炎症性マクロファージのTNF-α、IL-1β及びIL-6相対的発現量は、炎症性マクロファージにPBSのみ処理された対照群に比べてそれぞれ約38%、約26%、約35%減少したことを確認した。
【0281】
【表12】
【0282】
【表13】
【0283】
【表14】
【0284】
このように、本発明者らは、上記実験の結果に見られるように、本発明に係るBxC-eエクソソームが、炎症性マクロファージから発現される炎症性サイトカインを減少させる効果に優れていることを確認した。
【0285】
実験例9:BxC-R11eエクソソームのマクロファージ調節効果確認
【0286】
9-1.炎症性マクロファージ抑制効果
【0287】
ヒト単核球細胞株であるTHP-1を、1%アンチ-アンチ、10%FBS及びPMA(200ng/ml)が添加されたRPMI1640培地を用いて35mm皿に分注し、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。48時間後に細胞が皿に付いたことが確認されると、炎症性マクロファージとして誘導するために、既存の培養液を除去し、DPBSで洗浄した後、LPS(100ng/ml)とINF-γ(20ng/ml)、1%アンチ-アンチ、及び10%FBSが添加されたRPMI1640培地に培養液を替え、37℃、5%COインキュベーターで3日間さらに培養した。72時間後に、エクソソームの炎症抑制効果を確認するために、培養液除去後に培地をDPBSで洗浄し、1%アンチ-アンチが添加されたRPMI1640培地にBxC-R11eエクソソーム50μg/mlを入れて37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。その後、35mm皿にトリゾール溶液(TRIZol reagent,Invitrogen,USA)1mlを添加して細胞を分解した。次に、クロロホルム(Chloroform,Sigma,USA)200μlを添加してボルテックス(vortex)した後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後に上清液を新しいチューブに移し、イソプロパノール(Isopropanol,Merck Millipore,USA)500μlと混合した。チューブを50回アップ&ダウンし、5分間アイスに放置後に、12,000rpm、4℃で10分間遠心分離させて上清液を除去した。チューブに残った沈殿物に70%エタノール1mlを加えた後、12,000rpm、4℃で5分間遠心分離した。次に、エタノールを除去し、RNA沈殿物が入っているチューブを乾燥させた後、ヌクレアーゼフリー水を用いてRNAペレットを溶解させた。Nanodropを用いて260nm及び280nm波長で抽出されたRNA試料の濃度を測定し、AccuPower CycleScript RT PreMix(dT20)(K-2044,Bioneer,Korea)を用いてcDNAを合成した。
【0288】
その後、合成したcDNAと表11のプライマーを用いてリアルタイムPCR(Real time PCR)を行ってTNF-α、IL-1β及びIL-6のmRNA発現変化を確認し、それを図8A図8C及び表15~表17に示した。
【0289】
【表15】
【0290】
【表16】
【0291】
【表17】
【0292】
実験の結果、図8A図8C及び表15~表17に見られるように、BxC-R11eエクソソームが処理された炎症性マクロファージから発現されるTNF-α、IL-1β及びIL-6の相対的発現量は、炎症性マクロファージにPBSのみ処理された対照群に比べてそれぞれ約72%、約69%、約72%減少したことを確認した。このように、本発明者らは、上記実験の結果から、本発明に係るBxC-R11eエクソソームが、炎症性マクロファージから発現される炎症性サイトカインを減少させる効果に優れていることを確認した。
【0293】
9-2.再生性マクロファージ増進効果確認
【0294】
ヒト単核球細胞株であるTHP-1を、1%アンチ-アンチ、10%FBS、及びPMA(200ng/ml)が添加されたRPMI1640培地を用いて35mm皿に分注し、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。48時間後に細胞が皿に付いたことを確認し、再生性マクロファージとして誘導するために、既存の培養液除去後にDPBSで洗浄した。その後、組換えヒトインタロイキン-4(IL-4,20ng/ml、Peprotech,USA)と組換えヒトインタロイキン-13(IL-13,20ng/ml、Prospec,Israel)、1%アンチ-アンチ、及び10%FBSが添加されたRPMI1640培地に培養液を替え、37℃、5%COインキュベーターで3日間さらに培養した。72時間後に、エクソソームの再生性マクロファージに対する効果を確認するために、培養液除去後にDPBSで洗浄し、1%アンチ-アンチが添加されたRPMI1640培地にBxC-R11eエクソソーム50μg/mlを入れ、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。その後、35mm皿にトリゾール溶液(TRIZol reagent,Invitrogen,USA)1mlを添加して細胞を分解した。次に、クロロホルム(Chloroform,Sigma,USA)200μlを添加してボルテックス(vortex)した後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後に上清液を新しいチューブに移し、イソプロパノール(Isopropanol,Merck Millipore,USA)500μlと混合した。チューブを50回アップ&ダウンし、5分間アイスに放置した後、12,000rpm、4℃で10分間遠心分離させて上清液を除去した。残った沈殿物に70%エタノール1mlを加えた後、12,000rpm、4℃で5分間遠心分離した。次に、エタノールを除去し、RNA沈殿物が入っているチューブを乾燥させた後、ヌクレアーゼフリー水を用いてRNAペレットを溶解させた。Nanodropを用いて260nm及び280nm波長で抽出されたRNA試料の濃度を測定し、AccuPower CycleScript RT PreMix(dT20)(K-2044,Bioneer,Korea)を用いてcDNAを合成した。
【0295】
その後、合成したcDNAと表18のプライマーを用いてリアルタイムPCR(Real time PCR)を行ってCD206、ARG-1及びIL-10のmRNA発現変化を確認した。
【0296】
【表18】
【0297】
実験の結果、図9A図9C及び表19~表21に見られるように、本発明に係るBxC-R11eエクソソームが処理された再生性マクロファージから発現されるCD206、ARG-1及びIL-10の相対的発現量が、再生性マクロファージにPBSのみ処理された対照群に比べて大きく減少しないことを確認した。
【0298】
【表19】
【0299】
【表20】
【0300】
【表21】
【0301】
このように、本発明者らは、上記実験の結果から、本発明に係るBxC-R11eエクソソームが、再生性マクロファージから発現されるサイトカインを維持させる効果があることを確認した。
【0302】
実験例10:BxC-R11eエクソソームの線維芽細胞線維化抑制効果確認
【0303】
10-1.リアルタイムPCRを用いた発現量確認
【0304】
マウス胚線維芽細胞株であるCF-1(ATCC,USA)を、1%アンチ-アンチ、及び10%FBSが添加された高グルコースDMEM(Gibco,USA)培地を用いて6ウェルプレートに分注し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。線維化を誘導するために、培養液をTransforming Growth Factor-β1 human(TGF-β1,Sigma)20ng/ml及び1%アンチ-アンチが添加された高グルコースDMEM(Gibco,USA)培地に交換した後、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0305】
その後、エクソソームの線維化抑制効果を確認するために、DPBSで培地を洗浄した後、BxC-e、BxC-R11eエクソソームがそれぞれ100μg/ml添加された培地に交換し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。
【0306】
全ての培養が終わった後、35mm皿にトリゾール溶液(TRIZol reagent,Invitrogen,USA)1mlを添加して細胞を分解した。次に、クロロホルム(Chloroform,Sigma,USA)200μlを添加し、ボルテックス(vortex)した後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後に上清液を新しいチューブに移し、イソプロパノール(Isopropanol,Merck Millipore,USA)500μlと混合した。チューブを50回アップ&ダウンし、5分間アイスに放置した後、12,000rpm、4℃で10分間遠心分離させて上清液を除去した。残った沈殿物に70%エタノール1mlを加えた後、12,000rpm、4℃で5分間遠心分離した。次に、エタノールを除去し、RNA沈殿物が入っているチューブを乾燥させた後、ヌクレアーゼフリー水を用いてRNAペレットを溶解させた。Nanodropを用いて260nm及び280nm波長で抽出されたRNA試料の濃度を測定し、AccuPower CycleScript RT PreMix(dT20)(K-2044,Bioneer,Korea)を用いてcDNAを合成した。
【0307】
その後、合成したcDNAと表22のプライマーを用いてリアルタイムPCR(Real time PCR)を行い、α-SMA(Acta2)及びCTGFのmRNA発現変化を確認し、その結果を図10A図10B、表23及び表24に示した。
【0308】
【表22】
【0309】
【表23】
【0310】
【表24】
【0311】
図10A図10B、表23及び表24に見られるように、BxC-e、BxC-R11eエクソソームは、線維化を誘導した線維芽細胞において線維化関連遺伝子とタンパク質であるα-SMA及びCTGFの発現を減少させることを確認し、このことから、本発明に係るエクソソームは細胞の線維化を抑制する効果があると期待される。
【0312】
10-2.SDS-PAGEによる発現量確認
【0313】
マウス胚線維芽細胞株であるCF-1(ATCC,USA)を、1%アンチ-アンチ、及び10%FBSが添加された高グルコースDMEM(Gibco,USA)培地を用いて6ウェルプレートに分注し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。線維化を誘導するために、培養液をTransforming Growth Factor-β1 human(TGF-β1,Sigma)20ng/ml、及び1%アンチ-アンチが添加された高グルコースDMEM(Gibco,USA)培地に交換した後、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
【0314】
その後、エクソソームの線維化抑制効果を確認するために、DPBSで培地を洗浄した後、BxC-e、BxC-R11eエクソソームがそれぞれ100μg/ml添加された培地に交換し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。
【0315】
培養が終わると、培養液除去後にDPBSで洗浄し、TryPLE(Gibco)を6ウェルプレートに0.5ml入れた後、37℃で、5%COインキュベーターで3分間放置した。細胞が浮び上がると、FBSが添加された培養液で細胞懸濁液をチューブに集めた後、5000rpm、3分間遠心分離した。遠心分離後に上清液は捨て、ペレットは50μlのNP40細胞溶解バッファー(FNN0021,Invitrogen)にて30分間アイスで分解した後、4℃、12000rpm、10分間遠心分離して上清液のみを新しいチューブに集めた。定量後にサンプルバッファーで希釈し、100℃、10分間沸かした後にSDS-PAGEをかけ、メンブレントランスファー(membrane transfer)を行った。α-SMA及びCTGFの抗体をバッファーの1/1000分だけ入れて4℃で16時間反応させた後、TBSTバッファーで洗浄し、2次抗体はバッファーの1/2000分だけ入れて室温で1時間反応させた。TBSTバッファーで洗浄後にECL溶液を反応させた後、ChemiDocを用いて発現量を測定し、Multigaugeプログラムで定量し、それを図11図12A図12B、表25及び表26に示した。
【0316】
【表25】
【0317】
【表26】
【0318】
リアルタイムPCRの結果と同様に、図11図12A図12B、表25及び表26に見られるように、BxC-e、BxC-R11eエクソソームは、線維化を誘導した線維芽細胞において線維化関連遺伝子とタンパク質であるα-SMA及びCTGFの発現を減少させることを確認した。このことから、本発明に係るエクソソームは細胞の線維化を抑制する効果があると期待される。
【0319】
実験例11:BxC-e及びBxC-R11eエクソソームの心筋細胞機能促進効果確認
【0320】
分化の完了した人工多能性幹細胞由来心筋細胞を、RPMI1640+without Vitamin Aサプリメント培地を用いて6ウェルプレートに分注し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。その後、エクソソームの心筋細胞の機能を促進させる効果を確認するために、DPBSで培地を洗浄した後、BxC-e、BxC-R11eエクソソームがそれぞれ100μg/ml添加された培地に交換し、37℃、5%COインキュベーターで1日間培養した。
【0321】
全ての培養が終わった後、35mm皿にトリゾール溶液(TRIZol reagent,Invitrogen,USA)1mlを添加して細胞を分解した。次に、クロロホルム(Chloroform,Sigma,USA)200μlを添加してボルテックス(vortex)した後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後に上清液を新しいチューブに移し、イソプロパノール(Isopropanol,Merck Millipore,USA)500μlと混合した。チューブを50回アップ&ダウンし、5分間アイスに放置した後、12,000rpm、4℃で10分間遠心分離させて上清液を除去した。残った沈殿物に70%エタノール1mlを加えた後、12,000rpm、4℃で5分間遠心分離した。次に、エタノールを除去し、RNA沈殿物が入っているチューブを乾燥させた後、ヌクレアーゼフリー水を用いてRNAペレットを溶解させた。Nanodropを用いて260nm及び280nm波長で抽出されたRNA試料の濃度を測定し、AccuPower CycleScript RT PreMix(dT20)(K-2044,Bioneer,Korea)を用いてcDNAを合成した。
【0322】
その後、合成したcDNAと表27のプライマーを用いてリアルタイムPCR(Real time PCR)を行い、cTNT、hERG、Nav1.7及びMYH7のmRNA発現変化を確認し、その結果を図13A図13D及び表28~表31に示した。
【0323】
【表27】
【0324】
【表28】
【0325】
【表29】
【0326】
【表30】
【0327】
【表31】
【0328】
実験の結果、図13A図13D及び表28~表31に見られるように、BxC-eエクソソーム及びBxC-R11eエクソソームが処理された心筋細胞は、対照群に比べてcTNT、hERG、Nav1.7及びMYH7のmRNA発現が大きく増加したことが確認できた。このことから、BxC-eエクソソーム及びBxC-R11eエクソソームは、機能の低下した心筋細胞又は損傷した心筋細胞に処理されるとき、心筋細胞の機能を顕著に向上させることが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0329】
本発明は、幹細胞由来エクソソームを含む組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、抗炎症、線維化抑制、血管内皮細胞の増殖、血管形成、生存率向上、及び心筋細胞の保護・再生効果に優れた間葉系幹細胞又はその培養物から分離されたエクソソームを含む組成物に関する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
【配列表】
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