(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通知処理装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/12
(21)【出願番号】P 2019046093
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-04
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】柿永 直美
【合議体】
【審判長】相崎 裕恒
【審判官】安井 雅史
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-276992(JP,A)
【文献】特開2005-309827(JP,A)
【文献】特開平06-325277(JP,A)
【文献】特表2018-535464(JP,A)
【文献】特開2003-337866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の顧客からの
前記顧客が利用しているサブ施設に関する要件を表す要件情報を取得する第1取得部と、
前記顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得部と、
前記要件情報によって表される前記顧客の要件、及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、前記要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、前記特定した通知先へ前記通知を送信する通知処理部と、を有し、
前記第2取得部は、前記サブ施設に設置されているセンサから前記状態情報を取得する通知処理装置。
【請求項2】
前記要件情報は、前記顧客から得られる音声データ又は文字列データを示し、
前記通知処理部は、前記要件情報に含まれる前記音声データ又は前記文字列データからキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを用いて前記通知の生成及び前記通知先の特定を行う、請求項1に記載の通知処理装置。
【請求項3】
前記通知処理部は、前記顧客の要件と前記サブ施設の状態に関する条件であるシナリオ条件、前記通知の内容、及び前記通知の通知先を対応づけたシナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定し、前記特定したシナリオ情報が示す前記通知の内容及び前記通知の通知先を用いて、前記通知の生成及び前記通知の通知先の特定を行う、請求項1又は2に記載の通知処理装置。
【請求項4】
前記シナリオ条件は、前記顧客の属性に関する条件をさらに含み、
前記通知処理部は、
前記顧客の属性を示す属性情報を取得し、
前記シナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件、前記状態情報によって表されるサブ施設の状態、及び前記属性情報によって示される前記顧客の属性に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定する、請求項3に記載の通知処理装置。
【請求項5】
前記施設はホテルであり、前記サブ施設は客室であり、
前記要件は、前記客室の温度に関している、
請求項1乃至4のいずれかに記載の通知処理装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
施設の顧客からの
前記顧客が利用しているサブ施設に関する要件を表す要件情報を取得する第1取得ステップと、
前記顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得ステップと、
前記要件情報によって表される前記顧客の要件、及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、前記要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、前記特定した通知先へ前記通知を送信する通知処理ステップと、を有し、
前記第2取得ステップにおいては、前記サブ施設に設置されているセンサから前記状態情報を取得する制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報伝達の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院などの施設において、施設を利用している顧客が施設のスタッフへ要望を出すことがある。例えば、「客室が暑いから涼しくして欲しい」などといった要望がある。そして、施設のスタッフが適切な対応をすることで、顧客の要望が満たされるようにする。
【0003】
このような顧客からの要件を扱うシステムを開示している文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、客室の使用者が利用するサービス要請装置からサービス要請情報を伝送し、そのサービス要請情報に基づいてサービスの処理が可能な従業員を決定し、その従業員の端末へサービス要請情報を伝送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、顧客からの要望に対して必要な対処は、顧客からの要望だけでなく、その顧客が利用している場所(例えばホテルにおける客室)の状態にも依存することを見出した。特許文献1では、客室の状態を考慮することについては言及されていない。
【0006】
本発明が上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、顧客の要望に対する適切な対処を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通知処理装置は、1)施設の顧客からの前記顧客が利用しているサブ施設に関する要件を表す要件情報を取得する第1取得部と、2)顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得部と、3)要件情報によって表される顧客の要件、及び状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、特定した通知先へ通知を送信する通知処理部と、を有する。
【0008】
本発明の制御方法はコンピュータによって実行される。当該制御方法は、1)施設の顧客からの前記顧客が利用しているサブ施設に関する要件を表す要件情報を表す要件情報を取得する第1取得ステップと、2)顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得ステップと、3)要件情報によって表される顧客の要件、及び状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、特定した通知先へ通知を送信する通知処理ステップと、を有する。
【0009】
本発明のプログラムは、本発明の制御方法が有する各ステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客の要望に対する適切な対処を実現する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】通知処理装置の概要を説明するための図である。
【
図2】実施形態1の通知処理装置の機能構成を例示する図である。
【
図3】通知処理装置を実現するための計算機を例示する図である。
【
図4】実施形態1の通知処理装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】シナリオ条件と通知内容との対応付けを例示する図である。
【
図7】通知処理装置が扱いうるシナリオを具体的に例示する図である。
【
図8】通知処理装置が扱いうるシナリオを具体的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また各ブロック図において、特に説明がない限り、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく機能単位の構成を表している。
【0013】
[実施形態1]
<概要>
図1は、本実施形態の通知処理装置2000の概要を説明するための図である。なお、
図1は、通知処理装置2000に対する理解を容易にするための例示であり、通知処理装置2000の機能は
図1に表されているものに限定されない。
【0014】
通知処理装置2000は、顧客10が利用する施設40のスタッフ等に対し、顧客10から得た情報に基づく通知を行う装置である。ここでいう施設40とは、ホテルや病院など、その中に複数のサブ施設42を含む施設である。例えば施設40がホテルである場合、サブ施設42は、客室、レストラン、又はプールなどである。また、施設40が病院である場合、サブ施設42は、診察室や病室などである。
【0015】
例えば、ホテルの客室を利用している顧客がフロントのスタッフに対し、「部屋が寒い」と電話で伝えたとする。この場合、通知処理装置2000は、部屋が寒いという状況に対処するために適切なスタッフに対し、この状況に対処すべき旨の通知を送信する。
【0016】
具体的には、通知処理装置2000は、以下のように動作する。まず通知処理装置2000は、顧客10が利用する送信端末70から送信された要件情報20を受信する。要件情報20は、顧客10の要件を表す情報である。例えば要件情報20は、顧客10の要件を表す音声データ(例えば電話の音声)や文字列データ(例えばテキストメッセージ)を含む。例えば送信端末70は、サブ施設42に設置されている電話、携帯端末、チャットボットなどである。
【0017】
また通知処理装置2000は、状態情報30を取得する。状態情報30は、顧客10が利用しているサブ施設42の状態を表す情報である。例えば状態情報30は、サブ施設42に設置されているセンサ50による検出値を示す。状態情報30が示す情報の具体的な例としては、顧客10が利用している客室に設定されている温度センサによって検出された室温などが挙げられる。
【0018】
通知処理装置2000は、要件情報20によって表される要件、及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、施設40のスタッフへ送信すべき通知60を生成する。さらに通知処理装置2000は、要件情報20によって表される要件、及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60の通知先とする受信端末80を特定する。そして通知処理装置2000は、特定した受信端末80へ生成した通知60を送信する。
【0019】
<代表的な作用効果>
施設のスタッフは、施設を利用している顧客からの要件に応じるため、何らかの作業を行う必要がある。この際、どのような作業が必要であるのかは、顧客からの要件だけでなく、顧客が利用しているサブ施設の状態に依存しうる。例えば、顧客10から「部屋を涼しくして欲しい」という要件を受けたとする。この場合、エアコンが正常に動作しているかどうかによって、スタッフが行うべき対処が異なる。
【0020】
顧客10が利用している部屋の室温がエアコンの設定温度に近ければ、エアコンは正常に動作しているといえる。そのため、エアコンの設定を変更できるスタッフに対し、顧客10が利用している部屋の室温を下げるように通知を行えばよい。一方、顧客10が利用している部屋の室温がエアコンの設定温度よりもかなり高くなっている場合、エアコンが故障していると考えられる。そのためこの場合、エアコンの修理ができるスタッフに対し、エアコンを修理するように通知する必要がある。
【0021】
そこで通知処理装置2000は、顧客10からの要件を表す要件情報20、及び顧客10が利用しているサブ施設42の状態を表す状態情報30を利用し、要件及びサブ施設42の状態に基づいて、通知の生成及び通知先の特定を行う。こうすることにより、顧客10の要件及びサブ施設42の状態を考慮して、適切な通知を適切な通知先へ送信することができる。よって、施設40において、顧客10の要件に対して適切な応対を行うことができるようになるため、顧客10にとって施設40の利便性が向上する。
【0022】
以下、本実施形態についてさらに詳細を述べる。
【0023】
<機能構成の例>
図2は、実施形態1の通知処理装置2000の機能構成を例示する図である。通知処理装置2000は、第1取得部2020、第2取得部2040、生成部2060、及び送信部2080を有する。第1取得部2020は、顧客10の要件を表す要件情報20を取得する。第2取得部2040は、顧客10が利用しているサブ施設42の状態を示す状態情報30を取得する。生成部2060は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60を生成する。送信部2080は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60の送信先とする受信端末80を特定する。そして送信部2080は、特定した受信端末80へ通知60を送信する。
【0024】
<通知処理装置2000のハードウエア構成の例>
通知処理装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、通知処理装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0025】
図3は、通知処理装置2000を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は、サーバマシンや PC(Personal Computer)などといった据え置き型の計算機である。その他にも例えば、計算機1000は、スマートフォンやタブレット端末などの可搬型の計算機であってもよい。
【0026】
計算機1000は、通知処理装置2000を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。計算機1000が汎用の計算機である場合、計算機1000に対して所定のプログラムをインストールすることにより、計算機1000が通知処理装置2000として機能するようにすることが好適である。
【0027】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0028】
プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0029】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0030】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000をネットワーク210に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース1120がネットワーク210に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0031】
ストレージデバイス1080は、通知処理装置2000の各機能構成部を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0032】
<処理の流れ>
図4は、実施形態1の通知処理装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。第1取得部2020は、顧客10について要件情報20を取得する(S102)。第2取得部2040は、顧客10が利用しているサブ施設42の状態を示す状態情報30を取得する(S104)。生成部2060は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60を生成する(S106)。送信部2080は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60の送信先とする受信端末80を特定する(S108)。送信部2080は、特定した受信端末80へ通知60を送信する(S110)。
【0033】
<要件情報20の取得:S102>
第1取得部2020は、要件情報20を取得する(S102)。要件情報20は、顧客10の要件を表す情報を含む。例えば顧客10の要件が音声データで表されているとする。この場合、第1取得部2020は、顧客10が利用している送信端末70から送信された音声を表す音声データを取得する。
【0034】
ここで、顧客10が送信端末70を利用して、特定の端末(例えば受付などに設置されている電話)に対して電話をかけたとする。この場合、例えば、その電話を受けた端末において音声の録音を行うことで、顧客10の音声データが生成される。第1取得部2020は、この端末から送信された音声データを要件情報20として取得する。
【0035】
その他にも例えば、送信端末70において顧客10の音声を録音して音声データを生成し、その音声データが通知処理装置2000へ送信されてもよい。例えば、顧客10が利用する客室に、客室内の設備(エアコンや照明など)を操作する音声入力を受け付ける端末(いわゆるチャットボットなど)を設置しておく。そして、この端末が送信端末70として機能するようにしておく。すなわち、この送信端末70は、ユーザから受け付けた入力音声を表す音声データを、要件情報20として通知処理装置2000に送信する。
【0036】
なお、送信端末70は、ユーザによって入力された音声のうち、所定の条件を満たすもののみを、通知処理装置2000に送信するようにしてもよい。例えば送信端末70は、ユーザによって入力された音声に所定のキーワード(「フロントに連絡して」など)が含まれている場合のみ、その音声を含む音声情報を通知処理装置2000へ送信する。こうすることで、エアコンや照明の操作のために入力された音声については、通知処理装置2000へ送信されないようにすることができる。
【0037】
送信端末70は、ユーザによって入力された音声を文字列データに変換し、変換後の文字列データを、要件情報20として通知処理装置2000へ送信してもよい。なお、音声を文字列に変換する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0038】
ただし、要件情報20として送信される文字列データは、音声を変換することで生成されるものに限定されない。例えば送信端末70は、スタッフへの要件を受け付ける入力画面をユーザに提供し、ユーザがその入力画面に対して入力した文字列を、要件情報20として通知処理装置2000へ送信してもよい。
【0039】
また、送信端末70において、特定の要件のうちの1つ以上を選択可能な入力インタフェースを出力し、その入力インタフェースを用いて顧客10が要件を入力するようにしてもよい。例えば、各要件がボタンとして表された選択画面を送信端末70のディスプレイ装置に表示させる。顧客10がボタンを押すと、そのボタンに対応する要件の識別情報を含む要件情報20が生成され、通知処理装置2000に対して送信される。
【0040】
<状態情報30の取得:S104>
第2取得部2040は、顧客10が利用しているサブ施設42について、状態情報30を取得する(S104)。ここで、第2取得部2040は、顧客10が利用しているサブ施設42について、状態情報30を取得する必要がある。そこで例えば、第2取得部2040は、顧客10が利用しているサブ施設42を特定する処理を行う。以下、その処理について具体的に説明する。
【0041】
例えば、各送信端末70が、対応する1つのサブ施設42のみで利用されるものであるとする。この場合、サブ施設42とそのサブ施設42で利用される送信端末70とを対応づけた情報を、予め用意しておく。この情報を、サブ施設情報と呼ぶ。第2取得部2040は、送信端末70から送信端末70の識別情報を取得し、サブ施設情報においてその識別情報と対応づけられているサブ施設42を特定することにより、顧客10が利用しているサブ施設42を特定する。
【0042】
例えば送信端末70が内線電話である場合、各部屋に設置されている内線電話の内線番号は予め決まっている。そのため、サブ施設情報において、サブ施設の識別情報と、そのサブ施設に設置されている内線電話の内線番号とを対応づけておく。第2取得部2040は、送信端末70から取得した内線番号でサブ施設情報を検索し、その内線番号に対応づけられているサブ施設42を特定する。こうすることで、顧客10によって利用されているサブ施設42が特定される。
【0043】
なお、送信端末70の識別情報は、内線番号に限定されない。例えば送信端末70の識別情報には、IP アドレスや MAC アドレスなど、ネットワーク通信に利用される識別情報を利用することができる。
【0044】
ただし、送信端末70が利用されうるサブ施設42が複数存在するケースもある。例えば、送信端末70が顧客10によって持ち運ばれる可搬型の端末であるケースである。この場合、送信端末70とサブ施設42とを予め対応づけておくことが難しい。
【0045】
そこでこの場合、例えば、送信端末70から通知処理装置2000に対して、送信端末70の位置情報を送信するようにする。例えば位置情報としては、ビーコンや屋内 GPS(Global Positioning System)などによって定まる送信端末70の位置座標を利用することができる。第2取得部2040は、送信端末70から受信した位置座標に基づいて、その位置座標を含むサブ施設42を特定し、このサブ施設42を、顧客10によって利用されているサブ施設42として特定する。なお、ビーコンや GPS などによって定まる空間における各サブ施設42の位置については、予め地図情報などで定めておく。
【0046】
その他にも例えば、要件情報20の中にサブ施設42を示す情報が含まれるようにしてもよい。例えば、要件情報20に含まれる音声データや文字列データに、サブ施設42の名称などを含めておく。第2取得部2040は、要件情報20の中から要件情報20が利用しているサブ施設42を表す情報を抽出することで、顧客10が利用しているサブ施設42を特定する。
【0047】
顧客10が利用しているサブ施設42を特定したら、第2取得部2040は、特定したサブ施設42の状態を表す状態情報30を取得する。例えば、サブ施設42に設置されている各センサ50の検出値が所定のデータベースサーバに送信され、そのデータベースサーバにおいて、各センサ50の検出値の履歴が管理されるようにしておく。この場合、第2取得部2040は、特定したサブ施設42に設置されているセンサ50の検出値の履歴を、上記データベースサーバから取得する。例えば第2取得部2040は、データベースサーバで管理されているセンサ50の検出値の履歴のうち、過去所定期間に検出された各検出値を取得する。
【0048】
なお、状態情報30は、送信端末70から通知処理装置2000に対して送信されてもよい。この場合、顧客10が利用しているサブ施設42を特定しなくても、状態情報30の取得が可能である。すなわち、通知処理装置2000は、送信端末70から要件情報20と共に状態情報30を取得するようにすればよい。この際、センサ50の検出値の履歴は、センサ50に設けられた記憶装置で管理されていてもよいし、送信端末70によって管理されていてもよい。
【0049】
第2取得部2040が取得する状態情報30は、顧客10が利用しているサブ施設42の状態情報30だけに限定されない。例えば、顧客10から「部屋の周囲がうるさいから静かにしてほしい」という要件を受け付けたとする。この場合、例えば第2取得部2040は、顧客10が利用している部屋に加え、その周囲の部屋や廊下についても、音声センサによって検出された振動値を取得する。こうすることで、顧客10が利用している部屋と、周囲の部屋や廊下との騒音レベルを比較することにより、騒音の原因を推定することができる。
【0050】
<通知60の生成:S106>
生成部2060は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60を生成する(S106)。ここで、要件情報20に音声データや文字列データが含まれる場合には、これらのデータに基づいて、顧客10の要件を特定する必要がある。そこで例えば、生成部2060は、要件情報20に音声データや文字列データから所定のキーワードを抽出する。なお、抽出すべきキーワードを定めた情報は、予め定義しておく。以下、抽出すべきキーワードを示す情報を、キーワードデータベースと呼ぶ。生成部2060は、要件情報20から、キーワードデータベースに示されているキーワードを抽出する。
【0051】
なお、要件情報20が音声データである場合、生成部2060は、音声データを文字列データに変換し、文字列データからキーワードを抽出する。なお、文字列データからキーワードを抽出する具体的な技術には、既存技術を利用することができる。
【0052】
顧客10の要件及び状態情報30によって表される施設40の状態に応じた通知を実現するため、顧客10の要件及び施設40の状態に関する条件(以下、シナリオ条件)と、その条件に対応する通知内容とを予め対応づけた情報を予め用意しておく。この情報をシナリオ情報と呼ぶ。生成部2060は、シナリオ情報の中から、要件情報20によって表される要件、及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に合致するシナリオ条件を示すものを特定する。そして生成部2060は、特定したシナリオ情報に示される通知内容に基づいて、通知60を生成する。
【0053】
言い換えれば、施設40で起こりうる様々なシナリオについて、そのシナリオにおいて利用する通知を定めておく。そして、生成部2060は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、現状に当てはまるシナリオを特定し、特定したシナリオに適した通知60を生成する。また、後述するように、特定したシナリオに基づいて、通知先の決定も行われる。
【0054】
図5は、シナリオ条件と通知内容との対応付けを例示する図である。「シナリオ条件」には、要件とサブ施設42の状態に関する条件が示されている。一方、「通知内容」には、通知60に含めるべき情報が示されている。なお、「通知内容」において、[]で括られている情報(例えば、[顧客名])は、適切なデータを当てはめて通知60を作成すべきことを表している。例えば、[顧客名]と示されている場合、送信端末70を利用して要件を送信してきた顧客10の名前を、通知60に含めるようにする。また、示すべき情報が複数あるケース(
図5における「状況」など)では、[]内にそれら複数の情報の種類が列挙されている。
【0055】
通知60は、シナリオ情報で定められている通知内容をそのまま示すものであってもよいし、その通知内容に所定の情報を付加することで生成されてもよい。例えば後者の場合、生成部2060は、状態情報30に含まれる情報(例えば、客室の室温など)を通知内容に含めるようにする。こうすることで、通知60を閲覧するスタッフが、顧客10が置かれている状況などをより正確に把握することができる。
【0056】
また、通知内容に付加する情報は、顧客10の属性であってもよい。例えば、顧客10の顧客10が VIP 待遇の人物であることや、顧客10が要注意人物であることなどを、通知60に含めるようにする。
【0057】
顧客10の属性情報は、予め用意しておく。例えば施設40がホテルの場合、客室予約の際に得られた情報や、過去に顧客がそのホテルを利用した時に得られた情報を、データベースで管理しておく。以下、このデータベースを顧客データベースと呼ぶ。また、施設40が病院である場合、顧客(患者)の情報は、例えば電子カルテのデータベースで管理される。生成部2060は、顧客10の識別情報を用いて、これら顧客に関する情報を管理しているデータベースを検索することにより、顧客10の属性情報を取得する。なお、顧客の属性を管理する具体的な技術については、既存の技術を利用することができる。
【0058】
図6は、通知60の一例を示す図である。
図6は、受信端末80のディスプレイ装置に表示された通知60を例示する図である。
図6の通知60には、作業の種類、作業を行うべき場所、顧客の名前、顧客からの要件、顧客が VIP であるか否か(VIP 対応の要否)、及び現在の状況を示す通知60が表示されている。
【0059】
なお、シナリオ条件には、顧客10の属性に関する条件がさらに含まれてもよい。このようにすることで、通知60の内容が、「顧客10の要件、サブ施設42の状態、及び顧客10の属性」という組み合わせによって定まることになる。
【0060】
<受信端末80の特定:S108>
送信部2080は、要件情報20によって表される要件及び状態情報30によって表されるサブ施設42の状態に基づいて、通知60の通知先とする受信端末80を特定する(S108)。例えば受信端末80は、前述したシナリオ情報に含めておく。すなわち、シナリオ情報において、シナリオ条件、通知内容、及び受信端末80を対応づけておく。
【0061】
ただし、シナリオ情報に含めるのは、受信端末80ではなく、通知を受け取るべきスタッフの識別情報であってもよい。この場合、スタッフとそのスタッフが利用する受信端末80との対応付けを、別途定めておく。そして、送信部2080は、シナリオ情報を用いて、通知60を受け取るべきスタッフの識別情報を特定し、特定された識別情報に対応づけられている受信端末80を、通知60の通知先とする。
【0062】
なお、前述したように、シナリオ条件には、顧客10の属性に関する条件がさらに含まれてもよい。例えば、VIP 扱いの顧客とそれ以外の顧客とで、対応スタッフを変えることが考えられる。この場合、「シナリオ条件、VIP か否か」という条件の組み合わせに対して、通知60の通知先を対応づけておく。なお、顧客10の属性情報を取得する方法については、前述した通りである。
【0063】
<具体的なシナリオの例>
図7及び
図8は、通知処理装置2000が扱いうるシナリオを具体的に例示する図である。「シナリオ名」には、シナリオの名称が示されている。「概要」には、シナリオの簡単な説明が示されている。「センサ情報」には、状態情報30に含めるセンサの検出値(センサから得られる情報)、及びその検出値を検出するセンサの種別が示されている。「要件」には、顧客の要件を特定するためのキーワードが示されている。「想定される場所」には、このシナリオが発生しうる場所が示されている。「通知の条件等」には、シナリオ条件、シナリオ条件に対応する通知の内容、及びその通知の通知先が示されている。
【0064】
これらの図に示す例のように、通知処理装置2000を利用することで、顧客からの様々な要件及びその際のサブ施設の状態(センサの検出値)に応じた適切な応対を実現することができる。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態の組み合わせ、又は上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. 施設の顧客からの要件を表す要件情報を取得する第1取得部と、
前記顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得部と、
前記要件情報によって表される前記顧客の要件、及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、前記要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、前記特定した通知先へ前記通知を送信する通知処理部と、を有する通知処理装置。
2. 前記要件情報は、前記顧客から得られる音声データ又は文字列データを示し、
前記通知処理部は、前記要件情報に含まれる前記音声データ又は前記文字列データからキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを用いて前記通知の生成及び前記通知先の特定を行う、1.に記載の通知処理装置。
3. 前記通知処理部は、前記顧客の要件と前記サブ施設の状態に関する条件であるシナリオ条件、前記通知の内容、及び前記通知の通知先を対応づけたシナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定し、前記特定したシナリオ情報が示す前記通知の内容及び前記通知の通知先を用いて、前記通知の生成及び前記通知の通知先の特定を行う、1.又は2.に記載の通知処理装置。
4. 前記シナリオ条件は、前記顧客の属性に関する条件をさらに含み、
前記通知処理部は、
前記顧客の属性を示す属性情報を取得し、
前記シナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件、前記状態情報によって表されるサブ施設の状態、及び前記属性情報によって示される前記顧客の属性に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定する、3.に記載の通知処理装置。
【0067】
5. コンピュータによって実行される制御方法であって、
施設の顧客からの要件を表す要件情報を取得する第1取得ステップと、
前記顧客が利用しているサブ施設の状態を示す状態情報を取得する第2取得ステップと、
前記要件情報によって表される前記顧客の要件、及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に基づいて、前記要件への対処に関する通知の生成及びその通知の通知先の特定を行い、前記特定した通知先へ前記通知を送信する通知処理ステップと、を有する制御方法。
6. 前記要件情報は、前記顧客から得られる音声データ又は文字列データを示し、
前記通知処理ステップにおいて、前記要件情報に含まれる前記音声データ又は前記文字列データからキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを用いて前記通知の生成及び前記通知先の特定を行う、5.に記載の制御方法。
7. 前記通知処理ステップにおいて、前記顧客の要件と前記サブ施設の状態に関する条件であるシナリオ条件、前記通知の内容、及び前記通知の通知先を対応づけたシナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件及び前記状態情報によって表されるサブ施設の状態に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定し、前記特定したシナリオ情報が示す前記通知の内容及び前記通知の通知先を用いて、前記通知の生成及び前記通知の通知先の特定を行う、5.又は6.に記載の制御方法。
8. 前記シナリオ条件は、前記顧客の属性に関する条件をさらに含み、
前記通知処理ステップにおいて、
前記顧客の属性を示す属性情報を取得し、
前記シナリオ情報の中から、前記要件情報によって表される前記顧客の要件、前記状態情報によって表されるサブ施設の状態、及び前記属性情報によって示される前記顧客の属性に合致するシナリオ条件を示すシナリオ情報を特定する、7.に記載の制御方法。
【0068】
9. 5.乃至8.いずれか一つに記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0069】
10 顧客
20 要件情報
30 状態情報
40 施設
42 サブ施設
50 センサ
60 通知
70 送信端末
80 受信端末
210 ネットワーク
1000 計算機
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース
2000 通知処理装置
2020 第1取得部
2040 第2取得部
2060 生成部
2080 送信部