(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】商品陳列具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A47F5/00 D
(21)【出願番号】P 2020007615
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2023-01-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩太
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100637(JP,A)
【文献】特開2005-106145(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191113(JP,U)
【文献】特開2007-029611(JP,A)
【文献】特開2003-304956(JP,A)
【文献】特開2019-004959(JP,A)
【文献】実開平06-087311(JP,U)
【文献】実開昭52-040997(JP,U)
【文献】特開平11-155707(JP,A)
【文献】特開2015-085093(JP,A)
【文献】特開2009-018039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を着脱可能に吊持する商品吊持バーを有する商品陳列具であって、該商品吊持バーは、金属バーと該金属バーに被せて取り付ける樹脂製カバー部材とからなり、
前記樹脂製カバー部材は、下部において前後方向に延びる第1切欠部を有するC字断面形状及び/又はU字断面形状の筒状体であり、前記C字断面形状及び/又はU字断面形状は、前記金属バーの断面形状と略同心円状であり、
前記樹脂製カバー部材の内径は、前記金属バーの直径と略同じ寸法であり、
前記商品吊持バーは、
2つの直線状部が僅かな角度で屈曲して連続し、前方下り傾斜となるように固定された、商品が吊り下げられる略直線状の吊持バー本体部と、
該吊持バー本体部の先端から斜め上方に屈曲して延びる商品の前方移動を規制する先部と、を有し、
該樹脂製カバー部材は、該C字断面形状の部分と該U字断面形状の部分が混在する筒状体であり、
前記略直線状の吊持バー本体部の前部と後部では、前記樹脂製カバー部材が前記C字断面形状の部分であり、前記略直線状の吊持バー本体部の前記前部と前記後部間では、前記樹脂製カバー部材が前記U字断面形状の部分であることを特徴とする商品陳列具。
【請求項2】
該樹脂製カバー部材は、該吊持バー本体部の前方部から該先部に至る前記樹脂製カバー部材の上部に第2切欠部を形成したものであり、該第2切欠部の後端部形状が、平面視で逆さU字形状であることを特徴とする請求項
1に記載の商品陳列具。
【請求項3】
前記第2切欠部を形成している前記樹脂製カバー部材の縁が、厚み方向における前方から後方に向けて上り傾斜となっていることを特徴とする請求項
2に記載の商品陳列具。
【請求項4】
前記樹脂製カバー部材の樹脂は、ポリアセタール、ポリエチレン又はナイロンであることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の商品陳列具。
【請求項5】
該樹脂製カバー部材は、頂部において長手方向に延びる、上方に僅かに突出する線状小突起を有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の商品陳列具。
【請求項6】
該商品吊持バーに前後移動自在に吊持され、吊り下げ商品を後ろから前方へ押圧する錘部材を、更に有することを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の商品陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパー、コンビニ、量販店等において使用される、複数の商品を吊り下げた状態に整列して陳列し、自動前出しが可能な商品陳列具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の商品を着脱可能に吊持する一本の商品吊持バーを有する商品陳列具は、狭しスペースでも整然と且つ多種類の商品を陳列することができ、スーパー、コンビニ、量販店等において多種類のものが使用されている。
【0003】
特開平9-164044号公報には、商品陳列用枠体や壁面等に固定される取付部材から前方に延出され、複数の商品を着脱可能に吊持するフック部材と、前記フック部材に吊持された最前端の商品に対し該商品のフック部材との係合位置より下方に位置する部分に配置され、該部分と当接することによりフック部材に吊持された商品を駐止状態とするか又は略鉛直状態に整列した姿勢に矯正する商品整列矯正部材と、を備えてなる商品陳列具が開示されている。なお、フック部材は、前方下り傾斜となるように設置されている。この商品整列矯正部材によれば、商品整列矯正部材を回動支持機構により回動可能に支持するとともに最前端の商品と当接する方向に付勢し、商品整列矯正部材を最前端の商品に当接させる商品の整列矯正位置と該位置から離間する商品開放位置に切り替え可能に保持することにより、フック部材に吊持された商品、特に最前端の商品を脱落しないように駐止状態とするか又は略鉛直状態に整列した姿勢に矯正し、見栄えのよい商品陳列が可能になるとともに、商品の取り出しを容易にする。
【0004】
特開平10-272042号公報には、商品陳列用枠体や壁面に着脱可能又は着脱不可能に取り付けられる係合片と、この係合片に後端部が固定された複数の商品を着脱可能に吊持するフック部材と、前記フック部材にスライド移動可能に取り付けられ該フック部材に吊持された商品を前方に押し付けることができる押し付け体と、前記押し付け体に取り付けられ該押し付け体をスライド移動させる操作バーと、前記押し付け体を常時後方へ付勢する付勢弾性体と、を備える商品陳列具が開示されている。この商品陳列具によれば、摺動自在な押し付け体と係合片を弾性体で連結することにより、商品の前出しは、該押し付け体に取り付けた操作バーを手動により引き出すことにより行い、前出し後は、押し付け体が自動的に元に戻るため、商品の過度の押圧による変形等も生じることがなく、また、客の通行の妨げとなることもなく安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-164044号公報
【文献】特開平10-272042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平9-164044号公報に記載の商品陳列具は、フック部材に吊持された商品の前出しは不十分である。すなわち、顧客により前方商品が引き出されると、後方の商品が前出しされるものの、フック部材の前方傾斜が緩く、且つフック部材と商品の摩擦が大となると、後方商品の前方移動は自動には行えない場合がある。この場合、フック部材の前方傾斜を大とする必要がある。これでは上下多段で陳列する際、上下方向で隣接する商品陳列具の間隔を大きくとる必要があり、設置スペースが大とならざるを得ない。
【0007】
また、特開平10-272042号公報の商品陳列具によれば、押し付け体や付勢弾性体により装置構造が複雑で、コストも嵩むという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、フック部材(商品吊持バー)の前方傾斜が緩やかであっても、自動前出しができる簡易な構造の商品陳列具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、複数の商品を着脱可能に吊持する商品吊持バーを有する商品陳列具であって、該商品吊持バーは、金属バーと該金属バーを被覆又はコーティングする滑り材の複合バーであることを特徴とする商品陳列具を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、商品吊持バーは、商品が吊り下げられる略直線状の吊持バー本体部と該吊持バー本体部の先端から斜め上方に屈曲して延びる商品の前方移動を規制する先部とを有し、該吊持バー本体部は、前方下り傾斜となるように固定されたものであることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該滑り材は、該金属バーに被せて取り付ける樹脂製カバー部材であることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該樹脂は、ポリアセタール、ポリエチレン又はナイロンであることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該樹脂製カバー部材は、下部において前後方向に延びる第1切欠部を有するC字断面形状又はU字断面形状の筒状体であることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該樹脂製カバー部材は、該C字断面形状の部分と該U字断面形状の部分が混在する筒状体であることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、該樹脂製カバー部材は、該吊持バー本体部の前方部から該先部に至るカバー部材の上部に第2切欠部を形成したものであり、該第2切欠部の後端部形状が、平面視で逆さU字形状であることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、該樹脂製カバー部材は、頂部において長手方向に延びる、上方に僅かに突出する線状小突起を有することを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、該金属材を被覆する滑り材が、コーティングされた樹脂被膜であることを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、該商品吊持バーに前後移動自在に吊持され、吊り下げ商品を後ろから前方へ押圧する錘部材を、更に有することを特徴とする前記商品陳列具を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フック部材(商品吊持バー)の前方傾斜が緩やかであっても、自動前出しができる簡易な構造の商品陳列具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における商品陳列具の斜視図である。
【
図3】
図1の樹脂製カバー部材を除く商品陳列具の側面図である。
【
図4】
図1の樹脂製カバー部材の側面図、平面図、正面図および部分低底面図である。
【
図10】
図4の商品吊持バーの先端部の拡大斜視図である。
【
図11】
図4の商品吊持バーの先端部の拡大断面図である。
【
図12】
図1の商品陳列具を上下4段で設置した状態図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態における商品陳列具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の第1の実施の形態における商品陳列具を
図1~
図12を参照して説明する。商品陳列具10は、複数の商品を着脱可能に吊持する商品吊持バー1を有する。商品吊持バー1は、丸棒部材であり、後端は固定部15に固定され、且つ商品吊持バー1の上方に位置する商品表示具支持バー2の後端と起立状の接続部材4で接続されている。
【0022】
固定部15は開口側が下向きの逆さコ字形状であり、例えば不図示の棚装置の後部において左右方向に延出する四角断面のバー部材に固定されるものである。これにより、商品陳列具10は、棚装置に固定される。また、商品表示具支持バー2の先端には、商品名等が記載されたカードを抜き差し可能に支持する商品表示具3が形成されている。
【0023】
商品陳列具10において、商品吊持バー1は、金属バー1aと金属バー1aを被覆する樹脂製カバー部材6の複合バーである。金属バー1aとすることで、剛性が得られ、重い商品を安定して吊り上げ可能であり、また、表面を樹脂製カバー部材6とすることで、吊り下げ商品の自動前出しが可能となる。金属バーとしては、クロムメッキされた鋼製、ステンレス製などが挙げられる。
【0024】
商品陳列具10において、商品吊持バー1は、商品が吊り下げられる略直線状の吊持バー本体部11と吊持バー本体部11の先端から斜め上方に屈曲して延びる商品の前方移動を規制する先部12とを有し、吊持バー本体部11は、前方下り傾斜となるように固定されたものである。これにより、吊り下げられた商品の重力による自動前出しが可能となる。略直線状とは、直線状のものの他、
図3に示すように、例えば、2つの直線状部が僅かな角度(180度に近い内角)で屈曲して連続するものを含む。部分的に屈曲する部分があっても、全体的に略直線状で且つ前方下り傾斜であれば、商品の自動前出しは可能である。
【0025】
商品陳列具10において、樹脂製カバー部材6は、
図2に示すように、金属バー1aとは別部材であり、金属バー1aに被せて取り付けられる。すなわち、樹脂製カバー部材6は、金属バー1aが入る内部スペースを有する鞘部材であり、このため、樹脂製カバー部材6の内径は、金属バー1aの直径と略同じ寸法である。樹脂としては、ポリアセタール、ポリエチレンおよびナイロンが挙げられる。これら樹脂は、被覆対象である金属バー1a(例えば、クロムメッキされた鋼材)に比べて低摩擦係数のものである。
【0026】
樹脂製カバー部材6は、下部が長手方向(前後方向)に亘り切欠した第1切欠部66を有している。第1切欠部66の周方向の長さ(切欠幅)は、金属バー1aの直径と同じか又はそれより小である。すなわち、樹脂製カバー部材6は、C字断面形状又はU字断面形状の筒状体である。C字断面形状部の周方向の切欠幅は、U字断面形状部の周方向の切欠幅より小のものである。これにより、樹脂製カバー部材6を、金属バー1aに対して上方から下方に被せて取り付ける際、容易に装着することができる。
【0027】
樹脂製カバー部材6は、
図4~
図9に示すように、C字断面形状の部分6b、6eとU字断面形状の部分6c、6dが混在する筒状体である。すなわち、略直線状の吊持バー本体部11の前部と後部が、C字断面形状部であり、前部と後部間が、U字断面形状部となっている。これにより、樹脂製カバー部材6を金属バー1aに被せ易く、被せた後は、外れ難いものとなる。なお、
図6~
図9中、符号66b~66eは、それぞれC字断面形状の部分6b~6eの第1切欠部を示している。また、U字断面形状部の周方向の切欠幅は、金属バー1aの直径と同じか又はそれより極僅か(0.2mm程度)小である。
【0028】
樹脂製カバー部材6は、吊持バー本体部11の前方部から先部12に至るカバー部材の上部に第2切欠部62を形成したものである。これにより、金属バー1aに樹脂製カバー部材6を被せる際、吊持バー本体部11の前方部から先部12に至る屈曲部に、樹脂製カバー部材6の第2切欠部62が位置するため、金属バー1aに樹脂製カバー部材6を隙間なく被せることができる。また、樹脂製カバー部材6の第2切欠部62の後端部形状は、平面視で逆さU字形状621であり、また、切り欠かれた逆さU字形状621を規定するカバー部材の縁部は、厚み方向における前方から後方に向けて上り傾斜622となっている。これにより、商品を前方から補充する際、例えば、商品ケースの吊り下げ用の丸穴のエッジが、第2切欠部62の縁端で引っかかることなく、スムーズに補充することができる。
【0029】
樹脂製カバー部材6は、頂部において長手方向に延びる、上方に僅かに突出する線状小突起65を有する。線状小突起の突起高さは、0.5mm~1.0mm程度である。また、線状小突起65の断面形状は上方に向けて先細である。これにより、吊り下げられた商品(商品ケース)はより摩擦抵抗が低減され、前方へ滑り易くなっている。なお、樹脂製カバー部材6の後部の上部には、長手方向に少し延びる第3切欠部67が形成され、第3切欠部67を規定する前方縁には起立状の小突起671が形成されている。この第3切欠部67には、金属バー1aに形成された小突起111が嵌り、小突起671に当接している。これにより、樹脂製カバー部材6が前方へ移動することを抑制し、また、樹脂製カバー部材6は金属バー1aに対して前方にズレることがない。樹脂製カバー部材6は、金型成形により作製することができる。
【0030】
商品陳列具10は、商品吊持バー1が滑り材である樹脂製カバー部材で被覆されており、従来のものより、緩やかな前方傾斜であっても、自動前出しが可能となる。このため、従来の商品陳列具の商品吊持バーの前方傾斜よりやや緩やか傾斜の商品吊持バーのものを新たに準備し、これに樹脂製カバー部材6を装着して使用すればよい。なお、例えば、従来の商品陳列具の金属バー1aに樹脂製カバー部材6を取り付けることでも作製することができる。樹脂製カバー部材6の装着は、例えば、樹脂製カバー部材6を金属バー1aに対して、上方から下方へ、樹脂製カバー部材6の下部のC字断面形状部(第1切欠部66)を開きつつ押し込む。次いで、被せ終えると、C字断面形状部が元の切欠幅に戻るため、樹脂製カバー部材6は金属バー1aを包むように隙間なく、被覆することになる。また、樹脂製カバー部材6の第2切欠部62により、先部62の根元である屈曲部があっても、たるむことなく、フィットさせることができる。
【0031】
次に、商品容器の吊り下げ用丸穴に、商品吊持バー1の先端から後方に向けて通して、順次、多数の商品を吊り下げ、陳列させる。この際、商品吊持バー1の先部12と吊持バー本体部11とで形成される屈曲部に位置する第2切欠部62を規定するカバー部材の縁部(厚み部分)は、後方傾斜状にカットされており、吊り下げ用丸穴は樹脂製カバー部材に引っかかることなく、スムーズに挿入できる。
【0032】
商品Aを吊り下げた商品陳列具10は、商品陳列装置の設置スペースに設置される。例えば、
図12に示すように、上段棚板部51と下段棚板部52間に、上下多段10a~10d(本例では4段)、左右方向に多列で設置される。すべての陳列商品Aは前出し状態で吊り下げられており、最前列の陳列商品Aは、商品吊持バー1の先部12により、前方移動が規制され、整然とした陳列を可能にしている。
【0033】
顧客は、商品陳列具10に吊り下げられた商品Aの中、前方の商品から引き抜いていく。その際、後方の吊り下げ商品Aは、自動前出しされる。商品吊持バー1の先部12の第2切欠部62は、平面視逆U字形状であり、しかも厚み方向で且つ後方から前方に向けて下り傾斜としているため、最前列側の吊り下げ商品の前方移動がスムーズとなる。商品陳列具10において、商品吊持バー1(1a)の前方下り傾斜の傾斜角度は、略10度である。この程度の傾斜角度であっても、低摩擦材である樹脂製カバー部材6により、吊り下げ商品A(市販ケース入り歯ブラシ)は、自動前出しされる。なお、従来の樹脂製カバー部材6を装着しないクロムメッキされた商品吊持バーの場合、同じ吊り下げ商品Aにおいて、自動前出しに必要な設置傾斜角度は13度以上である。このように、従来のものに比して、商品陳列具10は、商品吊持バー1(1a)の設置傾斜角度を小さくできるため、商品陳列装置の上部スペース61及び下部スペース62における上下方向スペースを小さくでき、省スペースによる陳列効率を高めることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態における商品陳列具を
図13を参照して説明する。
図13において、
図1~
図12の商品陳列具と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について、主に説明する。すなわち、
図13の商品陳列具10aにおいて、
図1~
図12の商品陳列具10と異なる点は、商品陳列具10に対して、商品吊持バー1に前後移動自在に吊持され、吊り下げ商品Aを後ろから前方へ押圧する錘部材7を、更に付設した点である。錘部材7は、所定の厚み(前後方向寸法)の略矩形状の錘部材本体71と、錘部材本体71の上部に位置する吊り下げ用丸穴72を有する金属製で、重量が60gのものである。錘部材7を吊り下げ商品Aの後方に吊り下げることで、商品の自動前出しをアシストすることができる。
【0035】
本発明の商品陳列具において、商品吊持バー1は、本実施の形態例のような金属バーの表面を被覆する樹脂製カバー部材以外に、金属バーの表面を樹脂被膜でコーティングしたものも含む。このような樹脂被膜コーティングとしては、フッ素コーティング、ナイロンコーティング等が挙げられる。このような樹脂コーティングされたバー部材であっても、コーティング無しの例えば、クロムメッキバー部材に比して、表面は滑り易い低摩擦となり、同様の自動前出しの効果が得られる。フッ素コーティングは、公知の焼き付け塗装で得られ、ナイロンコーティングは、例えば公知の流動浸漬法により製造することができる。また、金属バー1aの直線状の吊持バー本体部11のみをコーティングするか、あるいは先部121(屈曲部を含む)のマスキング等の処理を行えば、先部12及びその後の屈曲部は、商品陳列具10における第2切欠部62と実質的に同様の作用、すなわち、吊り下げ商品の前方への移動を規制する作用を奏する。
【0036】
本発明において、商品陳列具の商品吊持バーに吊り下げられる商品の係止方法としては、従来と同様のものが使用でき、例えば、商品パッケージに形成された吊り下げ用の丸穴、吊り下げ用の樹脂製フック、吊り下げ用の金属製フックなどが挙げられる。
【0037】
本発明の商品陳列具は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。すなわち、商品陳列具は、複合バーである商品吊持バー1を有していればよく、商品表示具支持バーのないもの(通称シングルバー)であってもよい。また、商品陳列具10において、商品吊持バー1の頂部で前後方向に延びる線状小突起65は省略することができる。線状小突起65がなくとも、吊り下げ商品と接触するのは低摩擦の滑り材であり、ほとんど同様の自動前出し効果が得られる。また、商品陳列具10の樹脂製カバー部材6の第1切欠部66において、C字断面形状部とU字断面形状部の形成箇所は、限定されず、種々の位置、種々の組み合わせで形成すればよい。また、商品陳列具1aの錘部材の形状は、特に限定されず、正面視が楕円形状、細長形状、不定形状、吊り下げられた球状体等が挙げられる。また、商品吊持バーに挿通される錘部材の係止形状としては、丸穴以外に、フック形状の係止であってもよい。
【0038】
本発明の商品陳列具は、複数の商品を着脱可能に吊持する商品吊持バーを有する商品陳列具であって、該商品吊持バーは、金属バーと該金属バーを被覆又はコーティングされた滑り材の複合バーとすることで、商品吊持バー(フック部材)の前方傾斜が、従来の金属バーのものと比べて、緩やかであっても、自動前出しができる。また、簡易な構造のものとすることができる。
【0039】
本発明の商品陳列具は、商品吊持バーは、商品が吊り下げられる略直線状の吊持バー本体部と該吊持バー本体部の先端から斜め上方に屈曲して延びる商品の前方移動を規制する先部とを有し、該吊持バー本体部は、前方下り傾斜となるように固定されたものであるため、従来の外観形状とほぼ同様の印象を与え、簡易な構造にして自動前出しが可能となる。
【0040】
本発明の商品陳列具は、滑り材は、金属バーに被せて取り付ける樹脂製カバー部材であるため、従来の商品陳列具の金属バーに、装着すればよく、簡易な構造の低コスト品とすることができる。
【0041】
本発明の商品陳列具は、樹脂は、ポリアセタール、ポリエチレン又はナイロンであるため、安価な低摩擦材を広く選択することができる。
【0042】
本発明の商品陳列具は、樹脂製カバー部材は、下部において前後方向に延びる第1切欠部を有するC字断面形状又はU字断面形状の筒状体であるため、丸棒部材である金属バーに容易に装着できるか、あるいは、装着後は容易には外れない。
【0043】
本発明の商品陳列具は、樹脂製カバー部材は、C字断面形状の部分とU字断面形状の部分が混在する筒状体であるため、丸棒部材である金属バーに容易に装着でき、装着後は容易には外れない。
【0044】
本発明の商品陳列具は、樹脂製カバー部材は、吊持バー本体部の前方部から該先部に至るカバー部材の上部に第2切欠部を形成したものであり、該第2切欠部の後端部形状が、平面視で逆さU字形状であるため、先端が屈曲した金属バーの形状にフィットする。また、商品吊持バーの先部における商品との当接面が、金属バーの剥き出し面となるため、摩擦抵抗が生じ、前方への脱落を抑制することができる。
【0045】
本発明の商品陳列具は、樹脂製カバー部材は、頂部において長手方向に延びる、上方に僅かに突出する線状小突起を有するため、吊り下げられた商品(商品ケース)はより摩擦抵抗が低減され、前方へより滑り易い。
【0046】
本発明の商品陳列具は、金属材を被覆する滑り材が、コーティングされた樹脂被膜であるため、丸棒部材の形状がコーティング前の形状とほとんど変わらず、高級感が得られる。
【0047】
本発明の商品陳列具は、商品吊持バーに前後移動自在に吊持され、吊り下げ商品を後ろから前方へ押圧する錘部材を、更に有するため、商品吊持バーの前方下り傾斜をより緩やかにでき、商品陳列装置内の上下方向の陳列スペースに余裕ができる。また、自動前出しをより確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の商品陳列具は、商品吊持バーを下り傾斜とするだけで、吊り下げ商品を自動前出しができ、作業者の負担を軽減できる。また、顧客は常に最前列の商品を引き抜くことができ、取り易い。
【符号の説明】
【0049】
1 商品吊持バー
1a 金属バー
2 商品表示具支持バー
3 商品表示具
4 接続部材
6 樹脂製カバー部材(滑り材)
10 商品表示具
11 吊持バー本体部
12 先部
15 固定部
62 第2切欠部
66 第1切欠部
67 第3切欠部