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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】心臓電位測定用カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B5/287 200
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080311
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021171563
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】518279749
【氏名又は名称】ジェイソル・メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】大井 丈士
(72)【発明者】
【氏名】染谷 直樹
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-512894(JP,A)
【文献】特表2018-503435(JP,A)
【文献】特開2002-126096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25-5/297
A61B 18/12-18/14
A61N 1/04-1/05
A61M 25/00
A61M 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なシャフト、
前記シャフトの基端に装着されたハンドル、および
複数のリング状電極を備え、かつ、前記シャフトの先端から外部に露出する環状部、
を備え、
前記環状部は、基端側において、2本のチューブが互いに交差して、延出方向と略直交する方向に延びてループを形成して前記シャフトの長手方向に対向するように開口しており、
前記環状部に、前記2本のチューブが交差する交点と対向する位置に、前記シャフトの長手方向と平行な方向に突出する突起部が設けられており、
前記ハンドルを操作することで、前記環状部の径の拡大および縮小が自在であることを特徴とする心臓電位測定用カテーテル。
【請求項2】
長尺なシャフト、
前記シャフトの基端に装着されたハンドル、および
複数のリング状電極を備え、かつ、前記シャフトの先端から外部に露出する環状部、
を備え、
前記環状部は、前記シャフトの長手方向に対向するように開口しており、
前記シャフトの先端に、第1分岐路と第2分岐路とを備えた分岐部が設けられており、
前記第1分岐路と前記第2分岐路とは、前記シャフトの長手方向と直交する方向に屈曲しているとともに、互いに反対方向を向いて開口しており、
前記第1分岐路と前記第2分岐路の端部から前記環状部が延出しており、
前記ハンドルを操作することで、前記環状部の径の拡大および縮小が自在であることを特徴とする心臓電位測定用カテーテル。
【請求項3】
長尺なシャフト、
前記シャフトの基端に装着されたハンドル、および
複数のリング状電極を備え、かつ、前記シャフトの先端から外部に露出する環状部、
を備え、
前記環状部は、前記シャフトの長手方向に対向するように開口しており、
前記シャフトの先端に屈曲部が設けられており、前記屈曲部の端部は、前記シャフトの長手方向と直交する方向に向かって開口しており、前記屈曲部の端部から前記環状部が延出しているとともに、前記環状部の先端は、前記屈曲部に固定されており、
前記ハンドルを操作することで、前記環状部の径の拡大および縮小が自在であることを特徴とする心臓電位測定用カテーテル。
【請求項4】
長尺なシャフト、
前記シャフトの基端に装着されたハンドル、および
複数のリング状電極を備え、かつ、前記シャフトの先端から外部に露出する環状部、
を備え、
前記環状部は、前記シャフトの長手方向に対向するように開口しており、
前記シャフトの先端に、第1分岐路と第2分岐路とを備えた分岐部が設けられており、
前記第1分岐路は、前記シャフトの長手方向と直交する一方向に屈曲する第1屈曲部を備えており、前記第2分岐路は、前記第1屈曲部と反対方向に屈曲する第2屈曲部を備えており、
前記第1屈曲部の端部からは第1電極部が延出し、この第1電極部の先端が前記第2分岐路の一部に固定されており、前記第2屈曲部の端部からは第2電極部が延出し、この第2電極部の先端が前記第1分岐路に固定されており、
前記第1電極部と前記第2電極部によって前記環状部が形成されており、
前記ハンドルを操作することで、前記環状部の径の拡大および縮小が自在であることを特徴とする心臓電位測定用カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓電位測定用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動等は、特に高齢患者で観察され、心房全体を電気が駆け巡り400~800/分のペースで心房が興奮状態になる。慢性的な心房細動は、重篤な病状につながる可能性があり、これには発作、心不全、心臓疲労、心悸亢進、動悸、胸部不快感などが含まれる。また、心房細動が起こると、心房内の血液の流れが澱んで血栓ができ、血栓が全身に流れていくことで脳梗塞などの塞栓症を引き起こす危険性もある。心房細動の治療には、肺静脈と左心房の接合部である肺静脈口等の電気的連結部位を焼灼することで、肺静脈からの異常興奮が左心房に伝わらないように電気的に遮断する、いわゆるアブレーション治療が行われている。
【0003】
そして、このような心房細動の診断には、心臓に電気的刺激を与え、心臓の電気の流れ(電位)のわずかな変化を測定することができる心臓電位測定用カテーテル(心臓用カテーテル型電極)が使用されている。
【0004】
具体的には、例えば、先端に電極が付いた環状部を備える多電極リングカテーテルが市販されている(バイオセンス ウェブスター社製 ラッソーカテーテル)。このリングカテーテルは、1本約16万円以上と高価であるとともに、ディスポーザブルである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のリングカテーテルは、先端の環状部のサイズが一定である。これに対し、患者によって肺静脈の大きさは異なり、また、心臓の各肺静脈のサイズも異なるため、治療においては、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部を備えたリングカテーテルを数種類使用する必要があり、治療にかかる材料費(保険点数負担額)が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、先端の環状部の径を患者や各肺静脈に応じたサイズに調整して使用可能な心臓電位測定用カテーテルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の心臓電位測定用カテーテルは、
長尺なシャフト、
前記シャフトの基端に装着されたハンドル、および
複数のリング状電極を備え、前記シャフトの先端から外部に露出する環状部、
を備え、
前記ハンドルを操作することで、前記環状部の径の拡大および縮小が自在であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の心臓電位測定用カテーテルは、先端の環状部の径を患者や各肺静脈に応じたサイズに調整して使用可能であり、サイズの異なる数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの一実施形態を例示した概略図である。
図2】(A)(B)は、図1に示した心臓電位測定用カテーテルの環状部の変形を例示した拡大図である。
図3】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
図4】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
図5】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
図6】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
図7】(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の心臓電位測定用カテーテルの一実施形態について図面とともに説明する。図1(A)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの一実施形態を例示した概略図である。図1(B)は、(A)に示した心臓電位測定用カテーテルの先端の環状部を伸長させた状態を示す拡大図である。図2は、図1に示した心臓電位測定用カテーテルの先端の環状部の変形を例示した拡大図である。
【0011】
心臓電位測定用カテーテル1は、血管を通して患者の体内(心腔内)に挿入されて、心房細動の検査や治療等に用いられる電極カテーテルである。
【0012】
この心臓電位測定用カテーテル1は、カテーテル本体としてのシャフト2と、このシャフト2の基端に装着されたハンドル3とを有している。
【0013】
シャフト2は、可撓性および絶縁性を有し、中空構造を有する長尺な管状部材である。また、シャフト2は、長手方向に沿って延在するように内部に複数のルーメン(細孔、貫通孔)が形成された、いわゆるマルチルーメン構造を有している。各ルーメンには、各種の細線(導線や操作用ワイヤ等)がそれぞれ、互いに電気的に絶縁された状態で挿通されている。なお、このシャフト2の外径は、例えば1.2mm~3.3mm程度の範囲を例示することができる。
【0014】
また、シャフト2の内部には、1本以上の操作用ワイヤ(図示していない)が挿通されており、シャフト2の先端側に操作ワイヤの先端が固定されている。ハンドル3による操作で操作用ワイヤを前後に摺動自在とされている。操作用ワイヤはそれぞれ、シャフト2の先端部分(先端可撓部分21)における偏向動作の際に用いることができる。操作用ワイヤの材料は特に限定されないが、例えばSUS(ステンレス鋼)やNitinol(ニッケルチタン)等の超弾性金属材料を例示することができる。
【0015】
また、シャフト2は、図示していないが、例えば、アウター部(シェル部)、素線、インナー部(コア部)および樹脂層を有していてよい。
【0016】
アウター部は、シャフト2の最外周に位置するチューブ状の部材である。このアウター部は、例えば、高硬度のナイロンエラストマーにより構成することができる。このアウター部を構成するナイロンエラストマーとしては、例えば、長手方向に沿って異なる硬度のものを用いることができる。これによりシャフト2は、その先端側から基端側に向けて、段階的に硬度が高くなるように設計することができる。
【0017】
素線は、アウター部とインナー部との層間に配置されており、編組ブレードを形成するようになっている。また、この編組ブレードは、例えば、シャフト2における長手方向に沿った一部の領域に形成されている。このような素線は、例えばステンレスなどにより構成することができる。
【0018】
インナー部は、アウター部および素線の内周側に位置する、コア部材である。このインナー部は、アウター部と同様の材料のほか、例えば、低硬度のナイロンエラストマーにより構成することができる。
【0019】
樹脂層は、ルーメンを区画する層であり、アウター部と同様の材料のほか、例えば、フッ素樹脂により構成することができる。このフッ素樹脂としては、例えば、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の、絶縁性の高い材料を例示することができる。
【0020】
ハンドル3は、シャフト2の基端に装着されており、ハンドル本体31およびノブ32を有している。
【0021】
ハンドル本体31は、心臓電位測定用カテーテル1の使用時に操作者が把持する部分である。このハンドル本体31の内部には、シャフト2の内部から前述した各種の細線(導線や操作用ワイヤなど)がそれぞれ、互いに電気的に絶縁された状態で延伸している。
【0022】
ノブ32は、シャフト2の先端付近を偏向させる際の操作を行うための部材である。具体的には、ノブ32を先端方向に押し出す操作によって、シャフト2内の操作用ワイヤが基端側に引っ張られることで、シャフト2の先端付近を偏向させる操作(偏向移動操作)が可能となっている。
【0023】
本発明の心臓電位測定用カテーテル1は、電源装置(図示していない)と接続して使用することができる。電源装置は、心臓電位測定用カテーテル1の電極(先端電極6a、リング状電極6b)に対し、導線を介して電力を供給することができる。
【0024】
そして、本発明の心臓電位測定用カテーテル1は、カテーテル先端側に環状部5が設けられている。
【0025】
環状部5は、基端側において、2本のチューブ4が互いに交差して、延出方向と略直交する方向に延びてループを形成している。環状部5は、シャフト2の長手方向に対向するように開口している。
【0026】
この環状部5は、シャフト2における1または複数のルーメンに連通したルーメンを有する可撓性の管状構造からなる。環状部5は、シャフト2と同様に、生体許容性の樹脂材料などにより構成することができる。また、環状部5の外径は、1.0~2.0mm程度であり、ループ径Rは、2.5~30.0mm程度である。
【0027】
この環状部5には、最先端に設けられた1つの先端電極6aと、複数のリング状電極6bが設けられている。
【0028】
具体的には、シャフト2の長手方向に沿って、複数のリング状電極6bが、シャフト2の先端側から基端側へ亘って所定の間隔をおいて配置されている。リング状電極6bはそれぞれ、シャフト2の外周面上に固定配置されている。なお、環状部5のほか、シャフト2にも複数のリング状電極6bを設けることができる。
【0029】
先端電極6aとリング状電極6bはそれぞれ、シャフト2のルーメン内に挿通された複数の導線(リード線)を介して、ハンドル3と電気的に接続されている。
【0030】
このような先端電極6aおよびリング状電極6bは、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、金(Au)、白金(Pt)等の、電気伝導性の良好な金属材料、あるいは、各種の樹脂材料により構成することができるが、白金またはその合金により構成されていることが好ましい。
【0031】
環状部5内には、形状記憶特性を有するコアワイヤ(図示していない)が挿通されている。コアワイヤは、ループ状部分の形状(ループ形状)を記憶している。このような形状記憶特性を有するコアワイヤは、外部から力が加えられることによって容易に変形(例えば直線状に変形)するが、その力が取り除かれると元の形状(ループ形状)に戻るようになっている。したがって、この心臓電位測定用カテーテル1を体内に挿入する際は、先端の環状部5を伸ばして先に挿入されているガイディングシース(図示していない)を通過させることができる。体内の所定位置まで挿入後は、ガイディングシース(図示していない)先端から外部に出ることで、図1図2に例示した環状部5の形状に復帰することができる。
【0032】
また、環状部5内には、引き込みワイヤ(図示していない)が更に挿通されている。引き込みワイヤは、環状部5内からシャフト2内を通じてハンドル3と接続している。
【0033】
心臓電位測定用カテーテル1は、例えば、心房細動の診断のために、シャフト2の先端側が、血管を通して患者の体内に挿入される。このとき、心臓電位測定用カテーテル1の操作者によるハンドル3での操作に応じて、患者の体内に挿入されたシャフト2の先端領域付近の形状が偏向する。
【0034】
そして、この心臓電位測定用カテーテル1は、環状部5の径のサイズが調整可能とされている。具体的には、例えば、図2(A)(B)に例示したように、ハンドル3を操作して一方の引き込みワイヤをシャフト2内に引き込むことができ、これによって、環状部5の径が拡大するように設計されている。一方、引き込みワイヤを介してチューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が縮小するように設計されている。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0035】
図3(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。図1図2を用いて説明した実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0036】
図3(A)(B)に例示したように、この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1では、環状部5に、シャフト2の長手方向と平行な方向に突出する突起部51が設けられている。具体的には、突起部は、2本のチューブ4の交点と対向する位置に設けられている。環状部5が突起部5aを備えていることで、ガイディングシース(図示していない)内での前進、後退の操作性が向上している。
【0037】
この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1においても、ハンドル3を操作して、引き込みワイヤを介して環状部5のチューブ4をシャフト2内に引き込むことができ、これによって、環状部5の径が拡大するように設計されている(図3(A))。一方、チューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が縮小するように設計されている(図3(B))。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテル1を用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0038】
図4(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。図1図2を用いて説明した実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0039】
図4(A)(B)に例示したように、この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1では、シャフト2の先端に分岐部7が設けられている。分岐部7は、シャフト2の先端から二手に分かれており、第1分岐路71と第2分岐路72によって構成されている。第1分岐路71と第2分岐路72とは、シャフト2の長手方向と直交する方向に屈曲しているとともに、互い反対方向を向いて開口している。第1分岐路71と第2分岐路72の端部から環状部5が延出している。
【0040】
この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1においては、例えば、ハンドル3を操作して環状部5の一部をシャフト2内に引き込むことができ、これによって、環状部5の径が縮小するように設計されている(図4(B))。一方、引き込みワイヤを介してチューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が拡大するように設計されている(図4(A))。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0041】
図5(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。図1図2を用いて説明した実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0042】
図5(A)(B)に例示したように、この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1では、シャフト2の先端に分岐部7が設けられている。分岐部7は、シャフト2の先端から二手に分かれており、シャフト2の長手方向と直交する方向に屈曲する第1分岐路71と第2分岐路72を備えた略T字状である。第1分岐路71と第2分岐路72とは同一直線状に配置されており、互い反対方向を向いて開口している。第1分岐路71と第2分岐路72の端部から環状部5が延出している。
【0043】
この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1においても、例えば、ハンドル3を操作して環状部5の一部をシャフト2内に引き込むことができ、これによって、環状部5の径が縮小するように設計されている(図5(B))。一方、引き込みワイヤを介してチューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が拡大するように設計されている(図5(A))。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0044】
図6(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。図1図2を用いて説明した実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0045】
図6(A)(B)に例示したように、この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1では、シャフト2の先端が傾斜することで屈曲部8が設けられている。屈曲部8の端部は、シャフト2の長手方向と直交する方向に向かって開口しており、この端部から環状部5が延出している。環状部5の先端5Aは、屈曲部8の端部8Aと反対側に位置する屈曲部8の基端付近の外面に固定されている。
【0046】
この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1においても、例えば、ハンドル3を操作して環状部5の一部をシャフト2内に引き込むことができる(図6(B))。環状部5の先端5Aは屈曲部8に固定されているため、環状部5の一部をシャフト2に引き込むことで、環状部5の径が縮小するように設計されている(図6(A))。一方、引き込みワイヤを介してチューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が拡大するように設計されている。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0047】
図7(A)(B)は、本発明の心臓電位測定用カテーテルの環状部の別の実施形態を例示した拡大図である。
【0048】
図7(A)(B)に例示したように、この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1では、シャフト2の先端に分岐部7が設けられている。分岐部7は、第1分岐路71と第2分岐路72を備えており、シャフト2の先端から二手に分かれている。第1分岐路71は、シャフト2の長手方向と直交する一方向に屈曲する第1屈曲部81を備えており、第2分岐路72は、第1屈曲部81と反対方向に屈曲する第2屈曲部82を備えている。
【0049】
第1屈曲部81の端部からは、第1電極部51が延出しており、半円弧状に湾曲して、先端51Aが第2分岐路72の基端付近に固定されている。第2屈曲部82の端部からは、第2電極部52が延出しており、半円弧状に湾曲して、先端52Aが第1分岐路81の基端付近に固定されている。半円弧状の第1電極部51と第2電極部52とによって、略環状の環状部5が形成されている。
【0050】
この実施形態の心臓電位測定用カテーテル1においても、例えば、ハンドル3を操作して第1電極部51および第2電極部52の一部をシャフト2内に引き込むことができる(図7(B))。第1電極部51の先端は、第2分岐路72の一部に固定されており、第2電極部52の先端は、第1分岐路71の一部に固定されているため、第1電極部51および第2電極部52の一部をシャフト2内に引き込むことで、半円弧状の第1電極部51および第2電極部52がそれぞれ縮小し、全体として、環状部5の径が縮小するように設計されている。一方、引き込みワイヤを介してチューブ4をシャフト2から送り出すことで、環状部5の径が拡大するように設計されている(図7(A))。このため、治療の際に、患者に応じたサイズまたは各肺静脈に応じたサイズの環状部5に調整することができ、数種類の心臓電位測定用カテーテルを用意する必要がないため、治療にかかる費用負担が抑制される。
【0051】
このように、本発明の心臓電位測定用カテーテル1は、長尺なシャフト2、シャフト2の基端に装着されたハンドル3、および、複数のリング状電極を備え、シャフト2の先端から外部に露出する環状部5を備え、ハンドル3を操作することで、環状部5の径の拡大および縮小が自在である。
【0052】
本発明の心臓電位測定用カテーテルは、以上の実施形態に何ら限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
1 心臓電位測定用カテーテル
2 シャフト
3 ハンドル
4 チューブ
5 環状部
5a 突起部
6a 先端電極
6b リング状電極
7 分岐部
71 第1分岐路
72 第2分岐路
8 屈曲部
91 第1電極部
92 第2電極部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7