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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ストレージ装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/14 20060101AFI20241008BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20241008BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20241008BHJP
   G06F 16/11 20190101ALI20241008BHJP
【FI】
G06F11/14 653
G06F13/10 340A
G06F3/06 301X
G06F3/06 304F
G06F16/11
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020193288
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082006
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 裕介
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134133(JP,A)
【文献】特開2004-38928(JP,A)
【文献】特開2005-202915(JP,A)
【文献】特表2018-506088(JP,A)
【文献】特表2016-502193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/14
G06F 13/10
G06F 3/06
G06F 16/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置であって、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新するレプリケーション部を有し、
前記レプリケーション部は、前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照要求を受け入れ可能とする
ストレージ装置。
【請求項2】
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認する確認部を有する
請求項1に記載のストレージ装置。
【請求項3】
前記要求部は、前記確認部による確認の結果、参照するデータが自装置に存在しない場合に、自装置に存在しないデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
請求項に記載のストレージ装置。
【請求項4】
前記レプリケーション部は、最上位ブロックであるスーパーブロックを更新する際に、更新対象となるスーパーブロックを保持する
請求項1から請求項までのうちのいずれか1項に記載のストレージ装置。
【請求項5】
前記レプリケーション部は、前記属性情報としてinodeを受信する
請求項1から請求項までのうちのいずれか1項に記載のストレージ装置。
【請求項6】
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置が、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照要求を受け入れ可能とする
レプリケーション方法。
【請求項7】
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認し、確認の結果、参照するデータが自装置に存在しない場合に、自装置に存在しないデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
請求項に記載のレプリケーション方法。
【請求項8】
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置に、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照要求を受け入れ可能とする
処理を実現させるためのプログラム。
【請求項9】
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認し、確認の結果、参照するデータが自装置に存在しない場合に、自装置に存在しないデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
処理を実現させるための請求項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ装置、レプリケーション方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
重複排除ストレージにおいてレプリケーションを行うことがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、マスタ側記憶装置を備えたマスタ側ストレージシステムと、レプリカ側記憶装置を備えたレプリカ側ストレージシステムと、を有するレプリケーションシステムが記載されている。マスタ側ストレージシステムは、マスタ側記憶装置に記憶されたデータを、それぞれが並列にレプリカ側ストレージシステムに対して転送する複数のデータ転送手段を備える。また、レプリカ側ストレージシステムは、マスタ側ストレージシステムから送信されたデータをレプリカ側記憶装置に記憶してマスタ側記憶装置に記憶されているデータのレプリカを生成するレプリカ手段を備える。さらに、特許文献1によると、マスタ側ストレージシステムの各データ転送手段は、レプリカ側ストレージシステムに対する転送候補であるデータの内容に基づく当該データの特徴量を表すデータ特徴量情報を生成して、当該転送候補であるデータの前記データ特徴量情報が、レプリカ側ストレージシステムに対して転送中あるいは転送済みのデータの前記データ特徴量情報が記憶された転送データリストに存在するか否かを調べ、当該転送データリストにデータ特徴量情報が存在している転送候補のデータはレプリカ側ストレージシステムに転送せず、転送データリストにデータ特徴量情報が存在していない転送候補のデータはレプリカ側ストレージシステムに転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-178827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように重複排除ストレージにおいてレプリケーションを行う場合、レプリケーションの終了後に最新のスナップショットが参照可能となっていた。つまり、レプリケーションが完了するまでの間、レプリカサイト側では前回のスナップショットが見えており、最新のスナップショットを参照することが出来なかった。
【0006】
このように、レプリカサイト側において早期に最新のスナップショットを参照可能にすることが難しい、という課題が生じていた。そこで、本開示の目的は、レプリカサイト側において早期に最新のスナップショットを参照可能にすることが難しい、という課題を解決するストレージ装置、レプリケーション方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本開示の一形態であるストレージ装置は、
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置であって、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新するレプリケーション部を有し、
前記レプリケーション部は、前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の他の形態であるレプリケーション方法は、
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置が、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態であるプログラムは、
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置に、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
処理を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
上述したような各構成によると、レプリカサイト側において早期に最新のスナップショットを参照可能にすることが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施形態におけるレプリケーションシステムの構成例を示す図である。
図2】重複排除ストレージにおけるファイルシステム構造のイメージを示す図である。
図3】重複排除ストレージの構成例を示すブロック図である。
図4】レプリケーションの一例を説明するための図である。
図5】レプリケーションを行う際の動作例を示す図である。
図6】レプリカサイトに存在しないデータにアクセスがあった際の動作例を示すフローチャートである。
図7】本開示の第2の実施形態におけるストレージ装置のハードウェア構成例を示す図である。
図8】ストレージ装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、図1から図6までを参照して説明する。図1は、レプリケーションシステム300の構成例を示す図である。図2は、重複排除ストレージ110、120におけるファイルシステム構造のイメージを示す図である。図3は、重複排除ストレージ110、120の構成例を示すブロック図である。図4は、レプリケーションの一例を説明するための図である。図5図6は、レプリケーションを行う際の動作例を示す図である。
【0013】
本開示の第1の実施形態においては、重複排除ストレージ110と重複排除ストレージ120を有するレプリケーションシステム300について説明する。後述するように、本実施形態で説明するレプリケーションシステム300の場合、マスタサイト側となる重複排除ストレージ110は、レプリケーションの開始により、作成したスナップショットのinode(属性情報)と、データのハッシュリストと、をレプリカサイト側となる重複排除ストレージ120へと送信する。また、重複排除ストレージ120は、ハッシュリストに基づいて、重複排除ストレージ120に存在するデータを登録する。そして、重複排除ストレージ120は、インデックス情報であるinodeインデックスB+Treeを更新した後、最新のスナップショットを参照可能とする。このように、重複排除ストレージ120は、当該重複排除ストレージ120が有していないデータの転送完了を待つことなく、最新のスナップショットを参照可能とする。
【0014】
また、重複排除ストレージ120は、最新のスナップショットを参照可能としたのち、重複排除ストレージ120に存在しないデータに対してリード要求などの参照要求を受けることがある。このように、重複排除ストレージ120に存在しないデータに対して参照要求がなされた場合、重複排除ストレージ120は、当該データを優先的に送信するよう、マスタ側である重複排除ストレージ110に対して要求する。これにより、重複排除ストレージ110から優先的に必要なデータが送信されることとなり、重複排除ストレージ120に存在しないデータに対する参照があった場合でも、問題なく最新のスナップショットを参照することが出来る。
【0015】
図1は、レプリケーションシステム300の構成例を示している。図1を参照すると、レプリケーションシステム300は、重複排除ストレージ110と、重複排除ストレージ120と、業務サーバ210と、業務サーバ220と、を有している。
【0016】
図1で示すように、業務サーバ210と重複排除ストレージ110とは、互いに通信可能なよう接続されている。例えば、業務サーバ210は、重複排除ストレージ110が有するファイルシステムにリード/ライトすることが出来る。また、業務サーバ220と重複排除ストレージ120とは、互いに通信可能なよう接続されている。例えば、業務サーバ220は、重複排除ストレージ120が有するファイルシステムにリード/ライトすることが出来る。また、重複排除ストレージ110と重複排除ストレージ120とは、互いに通信可能なよう接続されている。例えば、本実施形態におけるレプリケーションでは、重複排除ストレージ110において作成したファイルシステムのスナップショットを重複排除ストレージ120に移動させる。
【0017】
重複排除ストレージ110や重複排除ストレージ120におけるファイルシステムは、例えば、図2で示すような構造をとる。図2は、重複排除ストレージにおけるファイルシステム構造イメージを示している。重複排除ストレージ110や重複排除ストレージ120では、細かい点線で囲まれた単位をブロックとして扱う。図2で示すように、重複排除ストレージ110や重複排除ストレージ120では、ファイルシステム+バージョンを元に、inodeインデックスB+Treeの最上位ブロックであるスーパーブロックへアクセスすることが出来る。また、スーパーブロックから各ブロックへCA(content address:コンテンツアドレス)を元にたどることが出来る。
【0018】
また、図2で示すように、fid(=inode)に対応するCAを特定してたどることで、ディレクトリやファイルのデータを参照することが出来る。複数のデータの内容が同一である場合、ハッシュ値も同一となり、それぞれのCAは同じデータを指すことになる。その結果として、領域が削減可能となる。
【0019】
なお、CAはデータ(ブロック)のハッシュ値などの情報から構成される。そのため、ツリー内のデータやブロックが変更されると、そのデータやブロックへのCAが変化する。また、変化したCAを含むブロックが更新されると、そのブロックへのCAが変化する。上記変化を繰り返すことで、最終的に、スーパーブロックのCAが更新することになる。
【0020】
重複排除ストレージ110は、レプリケーションにおいてマスタサイト側になるストレージ装置である。重複排除ストレージ110は、1台のストレージ装置から構成されてもよいし、特許文献1で示すように、アクセラレータノードやストレージノードとして機能する複数台のサーバコンピュータから構成されてもよい。
【0021】
図3は、レプリケーションを行う際に用いる構成例を示している。図3を参照すると、重複排除ストレージ110は、レプリケーション部111と、記憶装置112と、を有している。例えば、重複排除ストレージ110は、CPUなどの演算装置と、記憶装置112などの記憶装置と、を有している。例えば、重複排除ストレージ110は、記憶装置112などの記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することで、上述した処理部を実現することが出来る。
【0022】
レプリケーション部111は、ファイルシステムのスナップショットを作成して重複排除ストレージ120へと移動させるレプリケーションを行う。
【0023】
例えば、レプリケーション部111は、レプリケーションの実行開始に応じて、重複排除ストレージ110が有する記憶装置112に格納されたファイルシステムのスナップショットを作成する。そして、レプリケーション部111は、作成したスナップショットのinodeを重複排除ストレージ120へと送信する。換言すると、レプリケーション部111は、レプリケーションの実行開始に応じて、スナップショットを作成するとともに、ファイルやディレクトリを管理するための属性情報であるinodeを重複排除ストレージ120へと送信する。
【0024】
また、レプリケーション部111は、記憶装置112に格納され、レプリケーション対象となる各データのハッシュリストを生成する。そして、レプリケーション部111は、生成したハッシュリストを重複排除ストレージ120へと送信する。なお、ハッシュリストは、例えば、予め作成されていてもよい。
【0025】
また、レプリケーション部111は、記憶装置112に格納され、レプリケーション対象となる各データを重複排除ストレージ120へと送信する。レプリケーション部111は、上記データのうち、重複排除ストレージ120が有していないデータのみを重複排除ストレージ120へと送信するよう構成してもよい。重複排除ストレージ120がデータを有しているか否かは、転送済みデータのハッシュ値などを参照することで確認することが出来る。なお、後述するように、重複排除ストレージ110は、重複排除ストレージ120から、優先的にデータを送信するよう要求されることがある。このような要求を受信した場合、レプリケーション部111は、要求されたデータを優先的に重複排除ストレージ120へと送信する。
【0026】
なお、本実施形態においては、レプリケーション部111がレプリケーションを開始するタイミングについては、特に限定しない。レプリケーション部111は、任意のタイミングでレプリケーションを開始するよう構成してよい。
【0027】
重複排除ストレージ120は、レプリケーションにおいてレプリカサイト側になるストレージ装置である。重複排除ストレージ120は、重複排除ストレージ110と同様に、1台のストレージ装置から構成されてもよいし、アクセラレータノードやストレージノードとして機能する複数台のサーバコンピュータから構成されてもよい。
【0028】
図3を参照すると、重複排除ストレージ120は、レプリケーション部121と、参照受付部122と、確認部123と、優先送信要求部124と、記憶装置125と、を有している。例えば、重複排除ストレージ120は、CPUなどの演算装置と、記憶装置125などの記憶装置と、を有している。例えば、重複排除ストレージ120は、記憶装置125などの記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することで、上述した処理部を実現することが出来る。
【0029】
レプリケーション部121は、重複排除ストレージ110が有するレプリケーション部111と協働して、レプリケーションを行う。
【0030】
例えば、レプリケーション部121は、レプリケーション部111が送信した属性情報であるinodeと、ハッシュリストと、を受信する。すると、レプリケーション部121は、受信したハッシュリストに基づいて、既に重複排除ストレージ120の記憶装置125に格納されているデータを登録する。例えば、レプリケーション部121は、受信したハッシュリストと、記憶装置125に格納されているデータに基づいて生成される自装置ハッシュリストと、を比較することで、記憶装置125に格納されているデータを特定する。そして、レプリケーション部121は、特定したデータを登録する。
【0031】
また、レプリケーション部121は、インデックス情報であるinodeインデックスB+Treeを更新する。そして、レプリケーション部121は、最新のスナップショットを参照可能とする。つまり、レプリケーション部121は、記憶装置125に格納されているデータの登録を行ったものの、記憶装置125に格納されていないデータの転送完了前のタイミングで、最新のスナップショットを参照可能とする。
【0032】
なお、上述したように、レプリケーション部111からは、レプリケーション対象となる各データが送信される。レプリケーション部121は、レプリケーション部111からデータを受信すると、受信したデータを適宜登録することが出来る。
【0033】
図4は、レプリケーション部111とレプリケーション部121とによるレプリケーションの一例を示す図である。図4で示すように、最新のスナップショットを参照可能したタイミングでは、ツリー配下に未転送データがあるため未確定なブロックが残ることになる。未確定なブロックは、ツリー配下の未転送データが登録されることで適宜確定する。
【0034】
なお、レプリケーション部121は、inodeインデックスB+Treeの最上位ブロックであるスーパーブロックの更新を行う際、古いスーパーブロックを残すことが出来る。スーパーブロックを更新する際に古いスーパーブロックを残すことで、複数のスナップショットを残すことが出来る。
【0035】
参照受付部122は、業務サーバ220などからリード要求などの参照要求を受け付ける。換言すると、参照受付部122は、参照可能としたスナップショットへの参照を要求する参照要求を受け付ける。
【0036】
確認部123は、参照受付部122が受け付けた参照要求に応じて、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されているか否か確認する。例えば、確認部123は、記憶装置125に格納されているデータのハッシュリストなどを確認することで、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されているか否か確認する。参照を要求するデータが記憶装置125に格納されている場合、確認部123は、記憶装置125からデータを取得して、取得したデータを業務サーバ220へと返却する。一方、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されていない場合、格納されていない旨を優先送信要求部124に通知する。
【0037】
優先送信要求部124は、確認部123からの通知に応じて、必要なデータの優先的な送信を重複排除ストレージ110に対して要求する。例えば、優先送信要求部124は、記憶装置125に格納されているデータのハッシュ値などを重複排除ストレージ110に対して送信することで、当該ハッシュ値を有するデータを優先的に送信するように重複排除ストレージ110に対して要求する。
【0038】
以上が、レプリケーションシステム300の構成例である。続いて、図5を参照して、レプリケーションシステム300がレプリケーションを行う際の動作例について説明する。なお、レプリケーションを行う際の動作は、図5で例示する場合に限定されない。
【0039】
図5は、レプリケーションを行う際の動作例を示す図である。図5を参照すると、重複排除ストレージ110が有するレプリケーション部111は、レプリケーションの実行開始に応じて、重複排除ストレージ110が有する記憶装置112に格納されたファイルシステムのスナップショットを作成する。そして、レプリケーション部111は、作成したスナップショットのinodeを重複排除ストレージ120へと送信する(ステップS101)。
【0040】
また、レプリケーション部111は、記憶装置112に格納され、レプリケーション対象となる各データのハッシュリストを生成する。そして、レプリケーション部111は、生成したハッシュリストを重複排除ストレージ120へと送信する(ステップS102)。
【0041】
例えば、重複排除ストレージ120が有するレプリケーション部121は、レプリケーション部111が送信した属性情報であるinodeと、ハッシュリストと、を受信する。
【0042】
レプリケーション部121は、受信したハッシュリストに基づいて、既に重複排除ストレージ120の記憶装置125に格納されているデータを登録する(ステップS201)。例えば、レプリケーション部121は、受信したハッシュリストと、記憶装置125に格納されているデータに基づいて生成される自装置ハッシュリストと、を比較することで、記憶装置125に格納されているデータを特定する。そして、レプリケーション部121は、特定したデータを登録する。
【0043】
また、レプリケーション部121は、inodeインデックスB+Treeを更新する(ステップS202)。そして、レプリケーション部121は、最新のスナップショットを参照可能とする(ステップS203)。
【0044】
以上が、レプリケーションシステム300がレプリケーションを行う際の動作例である。例えば、以上のような動作により、重複排除ストレージ120は、最新のスナップショットを参照可能にする。続いて、図6を参照して、重複排除ストレージ120に存在していないデータに対する参照を要求する参照要求を受信した場合の動作例について説明する。
【0045】
図6を参照すると、参照受付部122は、業務サーバ220などからリード要求などの参照要求を受け付ける(ステップS301)。
【0046】
確認部123は、参照受付部122が受け付けた参照要求に応じて、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されているか否か確認する(ステップS302)。例えば、確認部123は、記憶装置125に格納されているデータのハッシュリストなどを確認することで、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されているか否か確認する。
【0047】
参照を要求するデータが記憶装置125に格納されている場合(ステップS302、Yes)、確認部123は、記憶装置125からデータを取得して、取得したデータを業務サーバ220へと返却する。一方、参照を要求するデータが記憶装置125に格納されていない場合(ステップS302、No)、格納されていない旨を優先送信要求部124に通知する。
【0048】
優先送信要求部124は、確認部123からの通知に応じて、必要なデータの優先的な送信を重複排除ストレージ110に対して要求する(ステップS303)。例えば、優先送信要求部124は、記憶装置125に格納されているデータのハッシュ値などを重複排除ストレージ110に対して送信することで、当該ハッシュ値を有するデータを優先的に送信するように重複排除ストレージ110に対して要求する。この要求に応じて、重複排除ストレージ110は、参照が要求された必要なデータを優先的に重複排除ストレージ120に対して送信することになる。
【0049】
このように、重複排除ストレージ120は、レプリケーション部121を有している。このような構成により、レプリケーション部121は、重複排除ストレージ120が有していないデータの転送完了を待つことなく、最新のスナップショットを参照可能とすることが出来る。これにより、レプリカサイト側において早期に最新のスナップショットを参照可能にすることが可能となる。
【0050】
また、重複排除ストレージ120は、確認部123と優先送信要求部124とを有している。このような構成により、優先送信要求部124は、参照が要求された必要なデータを優先的に送信するよう重複排除ストレージ110に要求することが出来る。このような構成によると、レプリカサイト側でより早期に問題なく最新のスナップショットを参照可能にすることが可能となる。また、上記構成によると、早期に最新のスナップショットを参照可能にし、かつ、参照するデータを優先送信させるため、レプリケーションの帯域制限をかけても影響を受けにくくなる。その結果、例えば、レプリケーション以外の機能でリソースを有効活用することなどが可能になる。
【0051】
また、重複排除ストレージ120は、スーパーブロックを更新する際に、古いスーパーブロックを保持するよう構成することが出来る。これにより、複数のスナップショットを残すことが可能となる。
【0052】
[第2の実施形態]
次に、図7図8を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置400について説明する。
【0053】
図7は、ストレージ装置400のハードウェア構成例を示している。図7を参照すると、ストレージ装置400は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)401(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)402(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)403(記憶装置)
・RAM403にロードされるプログラム群404
・プログラム群404を格納する記憶装置405
・ストレージ装置外部の記録媒体410の読み書きを行うドライブ装置406
・ストレージ装置外部の通信ネットワーク411と接続する通信インタフェース407
・データの入出力を行う入出力インタフェース408
・各構成要素を接続するバス409
【0054】
また、ストレージ装置400は、プログラム群404をCPU401が取得して当該CPU401が実行することで、図8に示すレプリケーション部421としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群404は、例えば、予め記憶装置405やROM402に格納されており、必要に応じてCPU401がRAM403などにロードして実行する。また、プログラム群404は、通信ネットワーク411を介してCPU401に供給されてもよいし、予め記録媒体410に格納されており、ドライブ装置406が該プログラムを読み出してCPU401に供給してもよい。
【0055】
なお、図7は、ストレージ装置400のハードウェア構成例を示している。ストレージ装置400のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、ストレージ装置400は、ドライブ装置406を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0056】
レプリケーション部421は、マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、をマスタサイトから受信するとともに、ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新する。また、レプリケーション部421は、インデックス情報の更新の後、マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする。
【0057】
このように、ストレージ装置400は、レプリケーション部421を有している。このような構成によると、レプリケーション部421は、インデックス情報の更新の後、マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とすることが出来る。これにより、レプリカサイト側において早期に最新のスナップショットを参照可能にすることが可能となる。
【0058】
なお、上述したストレージ装置400は、当該ストレージ装置400に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、ストレージ装置400に、マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、をマスタサイトから受信するとともに、ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、インデックス情報の更新の後、マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする、処理を実現させるためのプログラムである。
【0059】
また、上述したストレージ装置400により実現されるレプリケーション方法は、ストレージ装置400が、マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、をマスタサイトから受信するとともに、ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、インデックス情報の更新の後、マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする、という方法である。
【0060】
上述した構成を有する、プログラム(または記録媒体)、または、レプリケーション方法、の発明であっても、上述したストレージ装置400と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0061】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるストレージ装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0062】
(付記1)
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置であって、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新するレプリケーション部を有し、
前記レプリケーション部は、前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
ストレージ装置。
(付記2)
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認する確認部を有する
付記1に記載のストレージ装置。
(付記3)
前記確認部による確認の結果に応じて、必要なデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する要求部を有する
付記2に記載のストレージ装置。
(付記4)
前記要求部は、前記確認部による確認の結果、参照するデータが自装置に存在しない場合に、自装置に存在しないデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
付記3に記載のストレージ装置。
(付記5)
前記レプリケーション部は、最上位ブロックであるスーパーブロックを更新する際に、更新対象となるスーパーブロックを保持する
付記1から付記4までのうちのいずれか1項に記載のストレージ装置。
(付記6)
前記レプリケーション部は、前記属性情報としてinodeを受信する
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載のストレージ装置。
(付記7)
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置が、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
レプリケーション方法。
(付記8)
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認し、確認の結果に応じて、必要なデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
付記7に記載のレプリケーション方法。
(付記9)
マスタサイトとの間でレプリケーションを行うストレージ装置に、
前記マスタサイトで作成されたスナップショットの属性情報と、レプリケーション対象となるデータのハッシュリストと、を前記マスタサイトから受信するとともに、前記ハッシュリストに基づいて自装置に存在するデータを登録してインデックス情報を更新し、
前記インデックス情報の更新の後、前記マスタサイトからのデータ転送完了を待たずにスナップショットの参照を可能とする
処理を実現させるためのプログラム。
(付記10)
外部装置からデータの参照要求を受信した際に、当該データを自装置が有するか否か確認し、確認の結果に応じて、必要なデータを優先的に送信するよう前記マスタサイトに要求する
処理を実現させるための付記9に記載のプログラム。
【0063】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0064】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0065】
110 重複排除ストレージ
111 レプリケーション部
112 記憶装置
120 重複排除ストレージ
121 レプリケーション部
122 参照受付部
123 確認部
124 優先送信要求部
125 記憶装置
210 業務サーバ
220 業務サーバ
300 レプリケーションシステム
400 ストレージ装置
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 プログラム群
405 記憶装置
406 ドライブ装置
407 通信インタフェース
408 入出力インタフェース
409 バス
410 記録媒体
411 通信ネットワーク
421 レプリケーション部
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