(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ラベル剥離装置及びラベル剥離方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20241008BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G09F3/10 J
(21)【出願番号】P 2020198644
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】309007184
【氏名又は名称】あおい精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 照明
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-017219(JP,A)
【文献】特表平09-501103(JP,A)
【文献】実開平03-071891(JP,U)
【文献】特開2011-064660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0045521(US,A1)
【文献】特開平10-069226(JP,A)
【文献】米国特許第05885401(US,A)
【文献】特開2013-072806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を保持する容器保持部と、
カッタを着脱可能に保持し、前記容器保持部に保持されるとともに側面にラベルが付された前記検体容器の側面に前記カッタの刃部を当て、前記検体容器に対して軸方向に移動させることにより前記検体容器の側面に付着したラベルを剥がすカッタホルダと、を備え
、
前記カッタは、第1方向に延びるとともに、一方の側縁に刃部を有する、カッタナイフ用の刃であり、
前記カッタホルダは、前記第1方向に延びるとともに前記カッタを前記第1方向に移動可能に保持するカッタレールと、前記カッタレールを前記第1方向と異なる方向に移動させるレール駆動部と、を備え、前記カッタを前記検体容器の表面に押し当てた状態で、前記検体容器の軸方向に沿って移動させる、ラベル剥離装置。
【請求項2】
前記カッタレールは、前記第1方向において、前記検体容器が対向配置される処理エリアと、前記処理エリアの一次側に配される供給エリアと、前記処理エリアの二次側に配される回収エリアとを備えるカッタ移動経路を構成し、
前記カッタレールにおいて前記カッタを前記第1方向に移動させるカッタ送り部と、 前記供給エリアに前記カッタをセットする供給部と、前記回収エリアに配されるカッタを回収する回収部と、を備えるカッタ交換装置と、
を備える、請求項
1に記載のラベル剥離装置。
【請求項3】
前記第1方向に延びる搬送経路に沿って前記検体容器を搬送する搬送装置を備え、
前記容器保持部は前記搬送経路上の前記検体容器を保持して移動させるチャック装置を備え、
前記カッタレールは、前記カッタの前記検体容器側に配されるとともに、前記処理エリアに開口を有し、前記カッタが、前記検体容器の軸方向に対して10度~30度の範囲で傾斜する姿勢で、前記カッタを保持する、
請求項
2に記載のラベル剥離装置。
【請求項4】
前記カッタホルダは剥離された前記ラベルの剥離片を吸引する吸引ノズルを備える、請求項1乃至
3のいずれか記載のラベル剥離装置。
【請求項5】
第1方向に延びるとともに、一方の側縁に刃部を有する、カッタナイフ用の刃であるカッタを、
前記第1方向に延びるとともに前記カッタを前記第1方向に移動可能に保持するカッタレールの処理位置に供給し、
前記カッタを検体容器の表面に押し当てた状態で、前記カッタレールを前記第1方向と異なる、前記検体容器の軸方向に沿って、移動させ、前記検体容器と前記カッタとを相対移動させて前記検体容器に配されたラベルを剥離し、
前記ラベルの剥離後に、前記カッタを処理位置から回収位置に移動させて回収する、
ラベル剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル剥離装置、及びラベル剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば生化学分析等の各種血液検査などの処理において、前処理として検体容器の画像を取得し、当該画像に基づいて検査前の検体の状態を検出することが行われる。検体容器は例えばガラス等の透明な材料で構成されているが、多くの検体容器の外周面には、識別情報等の検体の情報が表示されたラベルが付されている。したがって、検体容器を撮像する前にラベルを除去することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラベルを剥離する方法として、例えば超音波カッタ等のカッタを検体容器の側面に向けて、ラベルに切り込みを入れている。このようなラベル剥離処理においては、検体容器を損傷せずにラベルのみを剥がすことが求められるが、位置や動作の調整が複雑となるといった課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、検体容器の損傷を防止することができるラベル剥離装置及び検体処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
一形態にかかるラベル剥離装置は、検体容器を保持する容器保持部と、カッタを着脱可能に保持し、前記容器保持部に保持されるとともに側面にラベルが付された前記検体容器の側面に前記カッタの刃部を当て、前記検体容器に対して軸方向に移動させることにより前記検体容器の側面に付着したラベルを剥がすカッタホルダと、を備え、前記カッタは、第1方向に延びるとともに、一方の側縁に刃部を有する、カッタナイフ用の刃であり、前記カッタホルダは、前記第1方向に延びるとともに前記カッタを前記第1方向に移動可能に保持するカッタレールと、前記カッタレールを前記第1方向と異なる方向に移動させるレール駆動部と、を備え、前記カッタを前記検体容器の表面に押し当てた状態で、前記検体容器の軸方向に沿って移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるラベル剥離装置によれば、検体容器の損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかるラベル剥離装置の正面図。
【
図2】同実施形態にかかるラベル剥離装置の側面図。
【
図3】検体処理装置の検査対象である検体容器の外観を示す説明図。
【
図4】同実施形態にかかるラベル剥離装置のカッタ供給部の構成を示す斜視図。
【
図5】同ラベル剥離装置のカッタ供給部の構成を示す斜視図。
【
図6】同ラベル剥離装置の剥離部の構成を示す斜視図。
【
図7】同ラベル剥離装置の剥離部の構成を示す斜視図。
【
図8】同ラベル剥離装置の剥離部の一部の構成を示す側面図。
【
図9】同ラベル剥離装置の剥離部及びカッタ回収部の構成を示す斜視図。
【
図10】他の実施形態にかかる検体処理ユニットの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照してこの発明に係わる検体処理装置としてのラベル剥離装置及び検体処理方法としてのラベル剥離方法の実施形態を説明する。
図1及び
図2は本発明の第1の実施形態に係わる検体処理装置の構成を示す正面図及び側面図である。
図3は検体容器の外観を示す説明図である。
図4乃至
図9は、検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図であり、
図4及び
図5はカッタ供給部、
図6乃至
図8は剥離部、
図9はカッタ回収部の構成を、それぞれ示す。なお、図中矢印X、Y、Zはそれぞれ直交する3方向を示すもので、X軸は搬送経路による搬送方向となる第1方向に、Y軸は搬送経路の幅方向、Z軸は上下方向にそれぞれ対応している。
【0010】
図1及び
図2に示すように、検体処理装置10は、検体の分析処理に先立ち検体の状態を検査する前処理装置である。検体処理装置10は、搬送装置20と、ラベル剥離装置30と、制御装置70と、を備える。
【0011】
搬送装置20は、所定の搬送経路20aに沿って検体容器25を搬送するものであり、例えば剥離位置の下方に敷設されたコンベヤ式のホルダ搬送機構により構成される。搬送装置20は具体的には、一対のガイドレール21と、搬送ベルト22と、ベルト送り機構とを備えている。一対のガイドレール21は、図中X軸方向に延びる搬送経路20aに沿って一定幅で設置されている。
【0012】
搬送ベルト22は、ガイドレール21間において搬送経路20aにわたって配置されている。ベルト送り機構は例えばモータ等の駆動源に接続された搬送ローラであり、搬送ベルト22の裏側で回転駆動して搬送ベルト22を送る。
【0013】
搬送装置20は搬送ベルト22の送り運動により検体容器25を保持するホルダ24を搬送経路20aに沿って搬送する。そして、搬送経路20aに沿って設けられるラベル剥離装置30等の各処理装置によって検体容器25または検体25aに各種の処理が行われる。
【0014】
検体容器25を保持するホルダ24は、一対のガイドレール21間において立位状態に支持され、搬送ベルト22の移動に伴って搬送される。検体容器25は、例えば
図3に示すように上端が開口されかつ下端が閉塞された透明な円筒体の試験管であり、内部には血清等の検体が収容される。検体容器25はたとえばガラスや樹脂で構成されている。検体容器25の外周側面には、ラベル27が接着剤又は粘着剤により貼付されている。ラベル27には検体25aの識別情報等の各種表示情報として、バーコードや文字が表示されている。表示情報は例えば、検体の帰属を示す氏名や病棟、各種番号などである。
【0015】
検体容器25の内部の検体25aは、血餅層、分離剤(シリコン)層、及び血清層の3層が分離して下から順番に配置されている。血餅層と分離剤層との間に第1の境界面、分離剤層と血清層との間に第2の境界面、血清層上に検体液面が形成される。
【0016】
ラベル剥離装置30は、検体容器25の外周面に付されたラベル27の少なくとも一部を剥離させるものである。ラベル剥離装置30は、容器保持部としての容器移動装置40と、カッタ移動装置50と、を備える。ここで、ラベルの剥離とは、ラベルを削り取ることを含む。
【0017】
図1、2、6及び8に示す容器移動装置40は例えば搬送経路20aの一方側の側方に配置される。容器移動装置40は例えば開閉可能な一対のアーム41を有するチャック装置としてのとしてのチャック部42と、開閉可能な3対の押さえプレート43を有する押さえ部44と、チャック部42及び押さえ部44を駆動する駆動機構を有する容器駆動部45と、を備える。例えば容器駆動部45は、押さえ部44の一対の押さえプレート43やチャック部42の一対のアーム41を、X方向に往復動させることにより開閉させる駆動シリンダや、チャック部42をY方向に往復動させる駆動シリンダ、チャック部42をZ方向に往復動させる駆動シリンダ、を備える。容器移動装置40は、制御部71の制御により、チャック部42の一対のアーム41を開閉してピックアップ位置P01におけるホルダ24に保持された検体容器25の頭部を把持する。また、容器移動装置40は制御部71の制御により検体容器を把持したチャック部42を上昇させ、さらにY軸方向において前進させ、剥離位置P02に配置し、押さえ部により検体容器25の側部を3箇所で把持する。そして、剥離処理を行った後にY軸方向において後退させ、再び下降して検体容器25を搬送経路20aのピックアップ位置P01に戻し、チャック部42を開放する。
【0018】
カッタ移動装置50は、例えば搬送経路20aの他方側の側方に配置される。カッタ移動装置50は、供給ボックス51と、カッタを移動可能に支持するカッタレール52aを有するカッタホルダ52と、回収ボックス53と、供給ボックス51のカッタ60を保持してカッタレール52aの供給位置P11に移載する移載機構54と、供給位置P11のカッタを二次側の待機位置P12に送る送り部55と、カッタホルダ52を昇降動作させて上昇位置P13と待機位置P12とで往復動させる移動部56と、カッタを順次下流側に送り待機位置P12から回収位置P4に移動させる送り部57と、回収位置P14から回収ボックス53に移載する移載機構58と、を備える。カッタ移動装置50は、供給ボックス51、移載機構54、及び送り部55により新しいカッタ60を供給する供給部を構成する。また、カッタ移動装置50において、回収ボックス53、送り部57及び移載機構58によって、使用済みのカッタ60を回収する回収部を構成する。すなわち、カッタ移動装置50は、新しいカッタ60を供給する供給部と使用済みのカッタ60を回収する回収部とを備え、カッタ60を自動で交換するカッタ交換装置となる。
【0019】
図1乃至
図4に示すように、供給ボックス51は、例えば上側が開口する筺状に構成された収容部51aと、収容部51aの底板51bと、底板51bを昇降移動させる駆動機構51cと、を有する。供給ボックス51は複数枚、例えば50枚のカッタを収容可能に構成される。カッタ60は、例えば一方向に長い矩形状の薄いプレート状に構成される。カッタ60を供給ボックス51に複数枚、例えば50枚程度重ねてセットすることができる。供給ボックス51の収容部51a一方の側壁は開閉可能な蓋51dが設けられ、側方からユーザがカッタ60を挿入可能に構成される。底板51bは例えばDCモータなどの駆動機構51cにより移動する。底板51bが所定のタイミングで持ち上げられることによりカッタ60が上部開口に送られる。上部開口にはセンサが設けられる。センサが供給ボックス51内の刃がなくなり底板51bが最上部に移動したことを検知すると、制御部71は底板51bを下降し、停止する。
【0020】
カッタ60は、例えば市販のカッタナイフ用の替え刃を利用することができる。カッタ60は例えばスチール製で所定の幅及び長さを有する板状部材からなり、剥離時の移動方向の先端側となる一方側の側縁部、すなわち上側の先端縁部の全長にわたって鋭利に形成された切断辺を有する。
【0021】
カッタ60は、剥離処理の際に検体容器25の一方の周面に対して対向するように配置され、長手方向が搬送経路に沿って延びる姿勢で保持される。カッタ60は剥離処理の時には、先端縁が検体容器の表面に当接して押し当てられ、反対の下縁部が離れるように、所定角度傾斜した姿勢にセットされる。例えば検体容器の軸方向に対して5度以上30度以下の角度、好ましくは10度以上20度以下、さらに好ましくは15度程度、傾斜して配される。カッタ60の縁部がラベル27に当接して上下方向に移動することにより、検体容器25のラベル27を一部削り取り、所定幅を有する窓部27bを形成する。
【0022】
図1乃至
図8に示すように、カッタホルダ52は、X方向に延びるとともに、X方向の両端及び正面側に開口する溝部52dを備えるカッタレール52aと、カッタレール52aを移動させるレール駆動部52bと、ラベルの屑を吸引する吸引部52cを備える。カッタレール52aはカッタの昇降路と容器通路との間に配されるフレーム部材であり、カッタ60をスライド可能に支持する。カッタレール52aはX方向に延び、カッタを収容する溝部52dを備える。溝部52dにおいて、検体容器の軸方向に対して10度~30度の範囲で傾斜する姿勢で、カッタを保持する。
【0023】
カッタレール52aは所定の処理位置において、切り欠かれて開口するスリット52eを有している。このスリット52eにおいてカッタ60が検体容器25側に向けて露出する。カッタレール52aは、溝部52dに市販のカッタナイフであるカッタ60を移動可能に保持することができ、スリット52eから検体容器25側にカッタ60の一部を露出させつつ、スリット52eの両側において支持する。すなわち、カッタレール52aによってカッタ60が両持ちに支持される。
【0024】
カッタレール52aの溝部52dは、スリット52eが配される中央の処理エリアA1と、処理エリアA1の一方側に連続して形成され供給ボックス51の上方に配される供給エリアA2と、処理エリアA1の他方側に連続するとともに回収ボックス53の上方に配される回収エリアA3と、が第1方向に連通するカッタ経路を構成する。ここで、カッタ経路は、カッタ60の長さの約3倍程度の長さを有している。レール駆動部52bは、カッタレール52aを昇降動させる昇降駆動部としての昇降シリンダを有し、カッタ60を保持した状態でカッタレール52aを昇降動作させることによりラベルを剥離する剥離動作を行う。処理エリアA1は検体容器25の移動経路に対向配置される。搬送方向において、処理エリアA1の一次側に供給エリアA2が配され、処理エリアA1の二次側に回収エリアA3が配される。
【0025】
すなわち、カッタホルダ52がカッタ60を着脱可能に保持し、保持された検体容器25の側面にカッタ60の上端縁である刃部が当たる位置において検体容器25に対して相対移動することにより、検体容器25の側面に付着したラベルを剥がす剥離処理を行う。
【0026】
吸引部52cは、カッタホルダ52に設けられ、カッタホルダ52と共に移動する。吸引部52cは、スリット52eの下端部に近傍に吸込口を向けて配置され、剥離されたラベルの屑などの剥離片を吸引する吸引ノズルを備える。吸引部52cはカッタホルダ52において、剥離したラベルの屑を吸引し、ダクトを介して二次側に接続されたダストボックスに集める。
【0027】
供給側移載機構54は、複数の吸着マグネット54aを有する保持ヘッド54bと、保持ヘッド54bをX軸中心に回動可能に支持するベース54cと、ベース54cを回動及びX軸方向に移動させる移載駆動部54dと、を備える。移載駆動部54dは、例えば保持ヘッド54bを昇降させるシリンダ54eやベース54cを回転させる回転モータ54fを備える。
【0028】
供給側移載機構54は保持ヘッド54bを下向きとした状態で下降して供給ボックス51の上面に配されるカッタ60を吸着保持し、保持ヘッド54bを上昇及び回動することによりカッタレール52aのカッタ経路に対向させ、さらにY軸方向に移動させることで、カッタ60をカッタレール52aの供給エリアA2にセットする。
【0029】
供給側送り部55は、供給エリアA2にあるカッタ60に係合する係合部55aと、係合部55aをX軸に沿って移動させる送り駆動部55bとを備える。送り駆動部55bは例えばロッドレスシリンダを備え、X軸方向に往復動することにより、係合部55aをスライドして供給エリアA2のカッタ60を処理エリアA1に送る。
【0030】
図7乃至
図9に示すように、回収側送り部57は、複数の吸着マグネット57aを有する保持ヘッド57bと、保持ヘッド57bをX軸方向に移動させる送り駆動部57cと、を備える。送り駆動部57cは、例えば保持ヘッド57bをY方向に進退動作させることで吸着保持及び保持の解除を行う保持シリンダ57dと、保持ヘッド57bをX方向に進退動作させる送りシリンダ57eと、を備える。回収側送り部57は、保持ヘッド57bを、Y方向においてカッタ60に近接する方向に前進させてカッタ60を保持し、X方向の下流側に移動させ、保持ヘッド57bをカッタ60から離れる方向に後退して退避位置に退避し、上流側に戻る、一連の処理をくり返すことにより、カッタ60を順次下流側に送り、待機位置P03から回収位置P04に移動させる。例えばカッタ60の移動は一定回数の剥離処理毎に、所定距離、カッタ60を回収側に移動させることで、刃部のうちスリット52eに配されて剥離処理を行う部分を、順次ずらす。例えば、200回剥離処理を行う毎に、5mmずつ、ずらす。例えば刃の長さが100mmであれば、20回送り処理行うと、処理エリアA1のカッタ60は回収エリアA3に送られ、回収位置P14に配置される。
【0031】
回収側移載機構58は、複数の吸着マグネット58aを有する保持ヘッド58bと、保持ヘッド58bを支持するベース58cと、ベース58cをX軸方向に移動させるとともに回動させる移載駆動部58dと、を備える。移載駆動部58dは、例えば保持ヘッド58bを昇降させるシリンダ58eやベース58cを回転させる回転モータ58fを備える。移載駆動部58dは、カッタ60を回収位置P14から回収ボックス53に移載する。
【0032】
回収ボックス53は、例えば上側が開口する筺状に構成された収容部53aを有する。
【0033】
制御装置70は、制御部71、記憶部72、及びユーザインタフェース73を備える。制御部(コントローラ)71は、例えば、コンピュータ等である。制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。制御部71は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。制御部71は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。制御部71は、各種駆動機構の動作を制御する。例えば制御部71は、容器移動機構とカッタ移動機構を所定のタイミングで作動することで、カッタを容器に接触する位置で相対移動させてラベルを剥離する剥離処理を行う。また、カッタ移動機構を動作させてカッタを所定の移動経路で順次二次側に送ることで、供給ボックスからカッタを順次処理位置に供給する供給処理、処理位置においてカッタの接触位置をずらすカッタ送り処理、及びカッタを回収ボックスに回収する回収処理を行う。
【0034】
記憶部72は、記憶媒体としてハードディスク又はNAND型フラッシュメモリを備える。
【0035】
インタフェース73は、各種センサ等から出力されるデータを受信して一時保存する機能を有する。また駆動機構に対し制御信号を送出する機能や、オンオフ制御信号を送出する機能も有する。また、インタフェース部91は、分析装置、或いはパーソナル・コンピュータ等の情報端末やプリンタ等の外部装置に対し各種データを送信する機能を有する。
【0036】
本実施形態にかかる検体処理装置によれば、カッタを着脱でき、また適用するカッタの形状の制約が少なく汎用性が高い。例えば上記実施形態にかかる検体処理装置では、市販のカッタナイフを使用することができ、超音波カッタを利用する場合と比べてコストを削減することができる。また、カッタレールによって形成されるカッタ移動経路にてカッタを順次送ることで、カッタの位置をずらしてカッタの切れ味を維持することで、剥離性能を維持できる。さらにカッタを自動交換可能に構成したことで、高性能かつ衛生的な処理が可能であるとともに人手による作業を減らして処理の効率化を図れる。
【0037】
また、スリットを有するカッタホルダによりカッタの両側を支持することで、カッタを検体容器に対して所定の接触角度に維持して、押圧力や位置関係を高精度に維持できる。たとえば、薄く細長い矩形のカッタを用い、長手方向が検体容器の軸方向と直交するとともに搬送方向となる第1方向に沿って配され、カッタの幅方向が検体容器の軸方向に対して所定の角度で傾斜する状態で、検体容器の軸方向に沿って移動させることにより、カッタを安定した位置及び姿勢に維持することができ、カッタの動作や検体容器に対する押圧力を制御しやすい。すなわち、例えば刃の基端を支持し、先端を検体容器に押しつけながら移動する構成と比べて、刃の撓み等による先端の位置の変化や押しつけ力不足を抑制でき、適正な位置及び押しつけ力を確保できる。したがって、剥離処理の際に切り込み深さを適正に維持できることから、例えば深く切り込みすぎることを抑制でき、ラベル剥離の際に検体容器が損傷することを抑制しながら、高速で確実に剥離処理が実現できる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えばカッタを移動させる具体的な構成は、検査処理手順と検査処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。例えば、ラベル剥離装置30は剥離処理部の上流側や下流側に撮像装置を設け、検体容器の画像を取得してもよい。
【0039】
ラベル27の剥離部分は、軸方向の一部を全長にわたって剥離するものに限られず、例えば軸方向における一部分のみ剥離する構成としてもよいし、ラベル27全体を剥離する構成としてもよい。
【0040】
また、検体処理装置は搬送装置20の搬送経路20aに沿って、ラベル剥離装置30の上流側や下流側に、さらに別の処理を行う処理装置を備えていてもよい。例えば他の実施形態として
図10に示すように、他の処理装置と並べて配置してもよい。例えば
図10に示す検体処理装置10は、ラベル剥離装置30の下流側において撮像装置80や分析装置90を備える。例えば搬送装置20または搬送経路20aが近接または連続するように配置することで、搬送経路20aに沿って検体容器25を搬送する過程で順次処理を行うことができる。また、処理装置として、撮像装置に加え、撮像した画像から取得される情報に基づいて、仕分け処理や分析処理を行う処理装置、バーコードを読み取る読取り装置、分種分注装置、開栓装置、閉栓装置、分析装置、など、各種の処理装置を備えていてもよい。この場合であっても、各種処理装置をラベル剥離装置と組み合わせて搬送経路に配置し、一連の処理を搬送処理に際して順次行うことが可能である。
【0041】
上述の実施形態では1つの検体容器25毎に検体処理を行う場合について例示したが、複数の検体容器25について同時に処理を行ってもよい。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
検体容器を保持する容器保持部と、
カッタを着脱可能に保持し、前記容器保持部に保持されるとともに側面にラベルが付された前記検体容器の側面に前記カッタの刃部を当て、前記検体容器に対して軸方向に移動させることにより前記検体容器の側面に付着したラベルを剥がすカッタホルダと、を備える、ラベル剥離装置。
[2]
前記カッタは、第1方向に延びるとともに、一方の側縁に刃部を有する、カッタナイフ用の刃であり、
前記カッタホルダは、前記第1方向に延びるとともに前記カッタを前記第1方向に移動可能に保持するカッタレールと、前記カッタレールを前記第1方向と異なる方向に移動させるレール駆動部と、を備え、前記カッタを前記検体容器の表面に押し当てた状態で、前記検体容器の軸方向に沿って移動させる、[1]に記載のラベル剥離装置。
[3]
前記カッタレールは、前記第1方向において、前記検体容器が対向配置される処理エリアと、前記処理エリアの一次側に配される供給エリアと、前記処理エリアの二次側に配される回収エリアとを備えるカッタ移動経路を構成し、
前記カッタレールにおいて前記カッタを前記第1方向に移動させるカッタ送り部と、 前記供給エリアに前記カッタをセットする供給部と、前記回収エリアに配されるカッタを回収する回収部と、を備えるカッタ交換装置と、
を備える、[2]に記載のラベル剥離装置。
[4]
前記第1方向に延びる搬送経路に沿って前記検体容器を搬送する搬送装置を備え、
前記容器保持部は前記搬送経路上の前記検体容器を保持して移動させるチャック装置を備え、
前記カッタレールは、前記カッタの前記検体容器側に配されるとともに、前記処理エリアに開口を有し、前記カッタが、前記検体容器の軸方向に対して10度~30度の範囲で傾斜する姿勢で、前記カッタを保持する、
[3]に記載のラベル剥離装置。
[5]
前記カッタホルダは剥離された前記ラベルの剥離片を吸引する吸引ノズルを備える、[1]乃至[4]のいずれか記載のラベル剥離装置。
[6]
カッタを処理位置に供給し、
検体容器に前記カッタを当てた状態で前記検体容器と前記カッタとを相対移動させて前記検体容器に配されたラベルを剥離し、
前記ラベルの剥離後に、前記カッタを処理位置から回収位置に移動させて回収する、ラベル剥離方法。
【符号の説明】
【0043】
10…検体処理装置、20…搬送装置、20a…搬送経路、21…ガイドレール、22…搬送ベルト、24…ホルダ、25…検体容器、25a…検体、27…ラベル、27b…窓部、30…ラベル剥離装置、40…容器移動装置、41…アーム、42…チャック部、43…押さえプレート、44…押さえ部、45…容器駆動部、50…カッタ移動装置、51…供給ボックス、51a…収容部、51b…底板、51c…駆動機構、51d…蓋、52…カッタホルダ、52a…カッタレール、52b…レール駆動部、52c…吸引部、52d…溝部、52e…スリット、53…回収ボックス、53a…収容部、54…移載機構、54a…吸着マグネット、54b…保持ヘッド、54c…ベース、54d…移載駆動部、54e…シリンダ、54f…回転モータ、55…送り部、55a…係合部、55b…送り駆動部、56…移動部、57…送り部、57a…吸着マグネット、57b…保持ヘッド、57c…送り駆動部、57d…保持シリンダ、57e…送りシリンダ、58…移載機構、58…回収側移載機構、58a…吸着マグネット、58b…保持ヘッド、58c…ベース、58d…移載駆動部、58e…シリンダ、58f…回転モータ、60…カッタ、70…制御装置、71…制御部、72…記憶部、73…インタフェース、80…撮像装置、90…分析装置、91…インタフェース部、A1…処理エリア、A2…供給エリア、A3…回収エリア、P01…ピックアップ位置、P02…剥離位置、P03…待機位置、P04…回収位置、P11…供給位置、P12…待機位置、P13…上昇位置、P14…回収位置、P4…回収位置。