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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】加熱食品用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B65D81/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020199529
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087544
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】599031249
【氏名又は名称】ダイシン化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】真柴 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】上田 銘華
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-304670(JP,A)
【文献】特開2012-143215(JP,A)
【文献】特開2016-013864(JP,A)
【文献】特開2017-105540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 1/00- 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された固形食品を収容する収容部を有する容器であって、
ビカット軟化温度が60℃以上の耐熱樹脂シートから構成され、
前記収容部は、底壁部と、前記底壁部の周縁から上方に立ち上がった周壁部とを備え、
前記底壁部は基準底壁部を有し、
前記基準底壁部は、容器内方に突出した複数の第1凸部と、容器外方に突出した複数の第2凸部とを有し、
前記第1凸部の底部と前記第2凸部の底部とは不連続であり、
平面視における前記第1凸部の1つ当たりの面積が前記第2凸部の1つ当たりの面積より大きいことを特徴とする加熱食品用容器。
【請求項2】
平面視において前記第1凸部及び前記第2凸部がマトリックス状に配置されている請求項1記載の加熱食品用容器。
【請求項3】
前記第1凸部と前記第2凸部とが平面視における少なくとも一方向において交互に配置されている請求項1又は2記載の加熱食品用容器。
【請求項4】
前記耐熱樹脂シートが透明性を有する耐熱樹脂シートである請求項1~3のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項5】
平面視における前記第1凸部の1つ当たりの面積が1mm2以上50mm2以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項6】
平面視における前記第2凸部の1つ当たりの面積が1mm2以上50mm2以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項7】
平面視において前記基準底壁部に対する前記第1凸部の総面積の割合が10%以上70%以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項8】
平面視において前記基準底壁部に対する前記第2凸部の総面積の割合が10%以上70%以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項9】
前記第1凸部の高さが1mm以上5mm以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【請求項10】
前記第2凸部の高さが1mm以上5mm以下である請求項1~のいずれかに記載の加熱食品用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱された固形食品を収容する容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロッケや唐揚げ、春巻きなどの調理加熱された比較的高温の固形食品を収容する樹脂製の容器としてこれまで発泡ポリスチレンなどの発泡体からなる容器が広く使用されてきた(例えば特許文献1など)。発泡体からなる容器では、加熱された食品の熱が容器の壁を伝わりにくく、比較的高温に加熱調理された食品が収容された場合であっても使用者が素手で持つことが可能となるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-80401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発泡体からなる容器は壁が厚くなるため保管・輸送等において嵩張るという課題があった。また、発泡体からなる容器は一般に不透明であって、容器内の食品を外から視認できないという課題もあった。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高温に加熱調理された食品が収容可能で、容器の壁が従来よりも薄く且つ使用者が手で持つことが容易な容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する本発明に係る加熱食品用容器は、加熱された固形食品を収容する収容部を有する容器であって、ビカット軟化温度が60℃以上の耐熱樹脂シートから構成され、前記収容部は、底壁部と、前記底壁部の周縁から上方に立ち上がった周壁部とを備え、前記底壁部は基準底壁部を有し、前記基準底壁部は、容器内方に突出した複数の第1凸部と、容器外方に突出した複数の第2凸部とを有することを特徴とする。
【0007】
なお、本明細書において「ビカット軟化温度」は、JIS K7206 B50法に準拠して測定した温度をいうものとする。
【0008】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視において前記第1凸部及び前記第2凸部がマトリックス状に配置されている構成が好ましい。
【0009】
前記構成の加熱食品用容器において、前記第1凸部と前記第2凸部とが平面視における少なくとも一方向において交互に配置されている構成が好ましい。
【0010】
前記構成の加熱食品用容器において、前記耐熱樹脂シートが透明性を有する樹脂シートである構成が好ましい。
【0011】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視における前記第1凸部の1つ当たりの面積が前記第2凸部の1つ当たりの面積以上である構成が好ましい。
【0012】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視における前記第1凸部の1つ当たりの面積が1mm以上50mm以下である構成が好ましい。
【0013】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視における前記第2凸部の1つ当たりの面積が1mm以上50mm以下である構成が好ましい。
【0014】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視において前記基準底壁部に対する前記第1凸部の総面積の割合が10%以上70%以下である構成が好ましい。
【0015】
前記構成の加熱食品用容器において、平面視において前記基準底壁部に対する前記第2凸部の総面積の割合が10%以上70%以下である構成が好ましい。
【0016】
前記構成の加熱食品用容器において、前記第1凸部の高さが1mm以上5mm以下である構成が好ましい。
【0017】
前記構成の加熱食品用容器において、前記第2凸部の高さが1mm以上5mm以下である構成が好ましい。
【0018】
前記構成の加熱食品用容器において、前記周壁部の少なくとも一部に、周方向に所定間隔で、前記底壁部の周部にまで至る縦溝状の複数のリブが設けられている構成が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る加熱食品用容器によれば、高温に加熱調理された食品を収容した場合であっても使用者が手で持つことが容易で、しかも容器の壁を従来よりも薄くすることが可能であることから輸送・保管時において従来の容器よりも嵩張らない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る加熱食品用容器の一例を示す斜視図である。
図2図1の加熱食品用容器の平面図および部分拡大平面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4図3の丸囲み部分の拡大図である。
図5図2のB-B線断面図である。
図6図5の丸囲み部分の拡大図である。
図7】基準底壁部に形成される第1凸部と第2凸部の他の配置例を示す平面図である。
図8】実施例および比較例で用いたシート(容器)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る加熱食品用容器(以下、単に「容器」と記すことがある。)について図に基づいてさらに説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、本明細書における「上下方向」、「長手方向」および「短手方向」は図に示す上下方向、長手方向および短手方向をいうものとする。
【0022】
図1図6に示す容器Vは、加熱された固形食品を収容する上面開口の第1収容部11と、それ以外の食品または調味料等を収容する上面開口の第2収容部12とを有する。第1収容部11と第2収容部12とは、平面視において第1収容部11側に僅かに突出する湾曲状の仕切り壁13によって区分けされ長手方向に隣接して設けられている。第1収容部11と第2収容部12の上面開口の仕切り壁13を除く外縁部には外方に略水平に延出する段差部14が設けられている。そして、段差部14の外縁から上方に向かって若干内方に傾いた垂直周壁部15が形成され、垂直周壁部15の上端から外方に向かって略水平に延出するフランジ部16が設けられている。そしてフランジ部16の外周縁は外方に向かって下方に傾斜したスカート部17が形成されている。段差部14、垂直周壁部15、フランジ部16、スカート部17は、容器Vの上面開口全体を塞ぐ蓋体(不図示)が容器Vに係合する際に作用を奏し、種類の異なる蓋体にも対応可能となっている。例えば、段差部14と垂直周壁部15とが蓋体と係合する場合、フランジ部16とスカート部17とが蓋体と係合する場合、あるいは段差部14、垂直周壁部15、フランジ部16、スカート部17とが蓋体(不図示)と係合する場合などがある。
【0023】
(第1収容部)
第1収容部11は、略四角形状の第1底壁部2aと、第1底壁部2aの周縁から上方に立ち上がった第1周壁部3aとを有する。第1周壁部3aは第1底壁部2aから上方に向かって外方に広がるように傾斜している。第1周壁部3aの長手方向一方側(図2の左側)の短手方向に延在する周壁部31aは仕切り壁13の一部を構成し、残る周壁部の上端は段差部14に接続している。仕切り壁13の一部を構成する周壁部31aの上端部は、短手方向両端を除き、段差部14よりも上下方向に高くフランジ部16と略同じ高さに位置し、第1収容部11と第2収容部12とに収容される固形食品等の収容部間の移動を阻止する役割を果たす。第1周壁部3aの全部又は一部には、周方向に所定間隔で上端部から第1底壁部2aの周部に至る縦溝状の複数のリブ(不図示)が設けられていてもよい。これにより容器Vの強度が向上すると共に加熱固形食品と第1周壁部3aとの接触面積が小さくなり加熱固形食品からの熱が容器Vの外表面に伝わりにくくなる。
【0024】
(第1底壁部)
第1底壁部2aは、平面視において略四角形状で仕切り壁13に接続した基準底壁部4と、基準底壁部4の短手方向両側および長手方向一方側(図2の右側)に連なって設けられた平面視において略コ字状の第1溝部5aとを有する。
【0025】
(基準底壁部)
基準底壁部4は、容器Vが水平な設置面に載置されたときに水平となるよう設けられている。ただし、例えば収容する固形食品から流れ落ちる液状物が第1溝部5aや第2凸部42(後述するように容器V外方に突出した第2凸部42は容器V内から見ると凹部である。)に円滑に流入するように、水平に対して傾斜を有するように設定されていてもよい。
【0026】
基準底壁部4には容器Vの内方に突出した複数の第1凸部41と、容器V外方に突出した複数の第2凸部42とがマトリックス状に設けられている。すなわち第1凸部41と第2凸部42とは長手方向及び短手方向に所定間隔で設けられている。具体的には、第1凸部41と第2凸部42とは長手方向において交互に設けられ、短手方向においては交互又は2つ連続するように設けられている。
【0027】
(第1凸部)
第1凸部41は、平面視(下面形状)が2つの等しい長さの平行線と二つの半円形からなる角丸長方形状で上方に突出したドーム形状を有する。勿論、第1凸部41の形状はこれに限定されるものではなく、収容される固形食品との接触面積が小さく、且つ固形食品を支持可能な形状であればよい。例えば半球状や円錐、多角錘、円錐台などであってもよい。平面視における第1凸部41の1つ当たりの面積に特に限定はなく、収容される加熱固形食品の温度や大きさ、形状などから適宜決定すればよいが、通常、1mm以上50mm以下の範囲が好ましい。第1凸部41の1つ当たりの面積が1mm未満であると、第1凸部41の高さを高くした場合に喫食時に箸などによって第1凸部41が折れる虞がある。一方、第1凸部41の1つ当たりの面積が50mmを超えると、第2凸部の形成間隔が広がり手指が基準底壁部4の外面に触れるなどの虞がある。より好ましい第1凸部41の1つ当たりの面積は10mm以上30mm以下の範囲である。加えて、第1凸部41の1つ当たりの面積は第2凸部42の1つ当たりの面積以上であるのが好ましい。第1凸部41の1つ当たりの面積が第2凸部42の1つ当たりの面積以上であると、容器の底面を手指で触れた際に安定して容器内の固形食品との距離をとれるなどの効果が奏されるからである。また第1凸部41の形成ピッチは短手方向及び長手方向のいずれにおいても10mm以上25mm以下の範囲が好ましい。
【0028】
また第1凸部41の突出高さh1(図4に図示)に特に限定はなく、収容される加熱固形食品の温度や大きさ、形状などから適宜決定すればよいが、通常、1mm以上5mm以下の範囲が好ましい。第1凸部41の突出高さh1が1mm未満であると不定形の固形食品が第1凸部間に入り込み容器底面との間に空間を確保できないなどの不具合が生じる虞があり、第1凸部41の突出高さh1が5mmを超えると喫食時に箸やフォークなどが引っ掛かり食べにくいといった不具合が生じる虞がある。より好ましい第1凸部41の突出高さh1は2mm以上4mm以下の範囲である。
【0029】
平面視において基準底壁部4に対する第1凸部41の総面積の割合は10%以上70%以下であるのが好ましい。第1凸部41の総面積の割合が10%未満であると、収容される加熱固形食を第1凸部41で支持できない虞がある。一方、第1凸部41の総面積の割合が70%を超えると第2凸部42の総面積の割合が小さくなりすぎて容器Vを持った人の手指が第2凸部42間の基準底壁部4に触れる虞がある。基準底壁部4に対する第1凸部41の総面積の好ましい割合は30%以上50%以下の範囲である。
【0030】
(第2凸部)
第2凸部42も第1凸部41と同様に平面視(下面形状)は角丸長方形状であるが、第1凸部41とは逆に下方に突出したドーム形状を有する。勿論、第2凸部42の形状はこれに限定されるものではなく、容器Vを持つ人の手指が触れる面積が小さく、所定の外力が加わったときでも形を維持可能な形状であればよい。例えば半球状や円錐、多角錘、円錐台などであってもよい。平面視における第2凸部42の1つ当たりの面積に特に限定はなく、収容される加熱固形食品の温度や大きさ、形状などから適宜決定すればよいが、通常、1mm以上50mm以下の範囲が好ましい。第2凸部42の1つ当たりの面積が1mm未満であると手指の弾力により手指が第2凸部間の基準底壁部4の外面に触れてしまうなどの不具合が生じる虞があり、第2凸部42の1つ当たりの面積が50mmを超えると第2凸部自体と手指の接触面積が広くなりすぎ熱さを感じてしまう虞がある。より好ましい第2凸部42の1つ当たりの面積は10mm以上30mm以下の範囲である。また第2凸部42の形成ピッチは短手方向及び長手方向のいずれにおいても10mm以上25mm以下の範囲が好ましい。
【0031】
また第2凸部42の突出高さh2(図4に図示)に特に限定はなく、収容される加熱固形食品の温度や大きさ、形状などから適宜決定すればよいが、通常、1mm以上5mm以下の範囲が好ましい。第2凸部42の突出高さh2が1mm未満であると手指の弾力により手指が第2凸部間の基準底壁部4の外面に触れてしまう虞があり、第2凸部42の突出高さh2が5mmを超えると容器の成形性が悪くなる虞がある。より好ましい第2凸部42の突出高さh2は2mm以上4mm以下の範囲である。
【0032】
平面視において基準底壁部4に対する第2凸部42の総面積の割合は10%以上70%以下であるのが好ましい。第2凸部42の総面積の割合が10%未満であると、容器Vを持った人の手指が第2凸部42間の基準底壁部4に触れる虞がある。一方、第2凸部42の総面積の割合が70%を超えると第1凸部41の総面積の割合が小さくなりすぎて、収容される加熱固形食品を第1凸部41で支持できない虞がある。基準底壁部4に対する第2凸部42の総面積の好ましい割合は30%以上50%以下の範囲である。
【0033】
(第1溝部)
第1溝部5aは、基準底壁部4の短手方向両側および長手方向一方側(図2において右側)に連なって設けられた平面視において略コ字状を有する。そして、基準底壁部4の右側に設けられた短手方向に延びる第1溝部5aの底部には容器V外方に突出した脚部51aが設けられている。脚部51aは、平面視において短手方向に所定長さ直線状に延在し、短手方向両端部が仕切り壁13側に若干屈曲した形状を有する。この脚部51aは、後述する第2収容部12の第2溝部5bに設けられた脚部51bと対称形状で、脚部51aと脚部51bとで一対をなし、容器Vが設置面に載置された際に設置面と接触する。第1溝部5aの底部からの脚部51aの突出長さとしては、通常、2mm以上5mm以下の範囲が好ましい。
【0034】
(第2収容部)
第2収容部12は、第1収容部11と同様に、略四角形状の第2底壁部2bと、第2底壁部2bの周縁から上方に立ち上がった第2周壁部3bとを有する。第2周壁部3bは第2底壁部2bから上方に向かって外方に広がるように傾斜している。第2周壁部3bの長手方向一方側(図2の右側)の短手方向に延在する周壁部31bは、第1収容部11の周壁部31aと共に仕切り壁13の一部を構成し、残る周壁部の上端は段差部14に接続している。第2周壁部3bの全部又は一部には、周方向に所定間隔で上端部から第2底壁部2bの周部に至る縦溝状の複数のリブが設けられていてもよい。これにより容器Vの強度が向上する。本実施形態で示す容器Vでは、第2収容部12の容積は第1収容部11の容積よりも小さく設定されているがこれに限定されるものではなく、第2収容部12の容積は第1収容部11の容積以上であっても勿論構わない。
【0035】
(第2底壁部)
第2底壁部2bは、平面視において略四角形状で仕切り壁13に接続した載置台部6と、載置台部6の短手方向両側および長手方向一方側(図2の左側)に連なって設けられた平面視において略コ字状の第2溝部5bとを有する。
【0036】
(載置台部)
載置台部6は、第1収容部11の基準底壁部4と同じ高さ位置で、容器Vが水平な設置面に載置されたときに水平となるよう設けられている。勿論、必要により水平に対して傾斜を有するように設けられていてもよい。
【0037】
(第2溝部)
第2溝部5bは、載置台部6の短手方向両側および長手方向一方側(図2において右側)に連なって設けられた平面視において略コ字状を有する。そして、載置台部6の左側に設けられた短手方向に延びる第2溝部5bの底部には容器V外方に突出した脚部51bが設けられている。前述のように、脚部51bは第1収容部11の第1溝部5aに設けられた脚部51aと対称形状で、脚部51aと脚部51bとで一対をなし、容器Vが設置面に載置された際に設置面と接触する。この脚部51bの底部からの突出長さは通常、2mm以上5mm以下の範囲が好ましく、第1溝部5aの脚部51aと同じ突出長さとされる。
【0038】
(容器の製造方法)
本発明の容器Vの成形方法としては、圧空成形、真空成形、圧空・真空成形、深絞り成形、プレス成形、打ち抜き成形、射出成形などの成形方法が挙げられるが、圧空成形、真空成形、圧空・真空成形が好ましい。
【0039】
(耐熱樹脂シート)
本発明で使用する耐熱樹脂シートは、ビカット軟化温度が60℃以上のものであれば特に限定はなく従来公知の樹脂シートを用いることができる。樹脂シートのより好ましいビカット軟化温度は100℃以上である。また、本発明で使用する耐熱樹脂シートは透明性を有するのが好ましい。容器V内の食品等を外部から視認可能となるからである。このような特性を備えた樹脂シートとしては、2軸延伸ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)などのシートが挙げられる。
【0040】
(作用効果)
このような構成の容器Vにおいて、第1収容部11にはコロッケや唐揚げ、春巻きなどの調理加熱された比較的高温の固形食品が収容される。一方、第2収容部12には加熱食品以外の食品あるいは調味料等が収容される。そして、必要により容器Vの上面開口は蓋体によって封鎖される。第1収容部11に収容された加熱固形食品は、基準底壁部4に設けられた第1凸部41の先端部によって主に支持される。換言すると、容器Vに収容された加熱固形食品は第1凸部41の先端部と接触し、基準底壁部4には通常接触しない。このように加熱固形食品と容器Vとの接触面積が小さくなることによって加熱固形食品から容器Vに伝わる熱が抑制される。また、加熱固形食品と基準底壁部4との間に空間すなわち空気の断熱層が確保され加熱固形食品からの輻射熱や対流による熱伝導も抑制される。
【0041】
加えて、基準底壁部4の容器Vの外側には第2凸部42が突出しているので、容器Vを持つ使用者の手指は第2凸部42と接触し基準底壁部4には接触しにくい。手指と容器Vとの接触面積が小さくなることによって容器Vから手指に伝わる熱が抑制される。また、基準底壁部4と手指との間にも空間すなわち空気の断熱層が確保されるので加熱固形食品からの輻射熱や対流による熱伝導もさらに抑制される。以上から、比較的高温に加熱調理された食品が第1収容部11に収容された場合であっても使用者は素手で容器Vを持つことが可能となる。
【0042】
第2凸部42は容器V内から見れば凹部を形成しているので、第1収容部11に収容された加熱固形食品から流れ落ちた油分や水分などの液状物は第1溝部5aの外、第2凸部42内にも流入可能となる。
【0043】
(他の実施形態)
図7に基準底壁部4に形成する第1凸部41と第2凸部42の他の配置例を示す。図7は平面図であって白丸が第1凸部41を示し、黒丸が第2凸部42を示すものとする。また、これらの図では第1凸部41および第2凸部42は半球状で、第1凸部41は基準底壁部4から上方に突出し、第2凸部42は基準底壁部4から下方に突出するものとする。
【0044】
図7(a)に示す第1凸部41と第2凸部42の配置は、複数個の第1凸部41がX方向に所定間隔で並んだ行LX1,LX3,・・・と、複数個の第2凸部42がX方向に第1凸部41と同じ間隔で並んだ行LX2,LX4,・・・とがY方向に交互に配置され、各行における対応するそれぞれの第1凸部41の中心はY方向に平行な線LY1,LY3,・・・上に位置し、また各行における対応するそれぞれの第2凸部42の中心もY方向に平行な線LY2,LY4,・・・上に位置し、第1凸部41の中心が位置する線LY1,LY3,・・・と第2凸部42の中心が位置する線LY2,LY4,・・・とは第1凸部41のX方向の中心間距離の1/2だけX方向に離れている。第1凸部41と第2凸部42のこのような配置において第1凸部41と第2凸部42とは、図7(a)において左斜め上と右斜め下とを結ぶ斜線方向(図7(a)に図示)に交互に並ぶ。
【0045】
図7(b)に示す第1凸部41と第2凸部42の配置は、複数個の第1凸部41と第2凸部42とがX方向に所定間隔で交互に並んだ行LX1,LX2,・・・が、Y方向に所定間隔で複数行配置され、各行における対応するそれぞれの第1凸部41の中心はY方向に平行な線LY1,LY3,・・・上に位置し、また各行における対応するそれぞれの第2凸部の中心もY方向に平行な線LY2,LY4,・・・上に位置し、第1凸部41の中心が位置する線LY1,LY3,・・・と第2凸部42の中心が位置する線LY2,LY4,・・・とは第1凸部41のX方向の中心間距離の1/2だけX方向に離れている。第1凸部41と第2凸部42のこのような配置において第1凸部41と第2凸部42とはX方向に交互に並ぶ。
【0046】
図7(c)に示す第1凸部41と第2凸部42の配置は、正六角形の頂点位置に第1凸部41と第2凸部42とを交互に配置したものである。このような配置において第1凸部41と第2凸部42とはY方向に交互に並ぶ。
【0047】
(その他)
前記実施形態の容器Vでは、第1収容部11と第2収容部12とが設けられていたが、第1収容部11のみを設けた容器であっても勿論構わない。また底壁部に溝部がない形態、すなわち底壁部が基準底壁部のみから構成されていても構わない。そしてまた底壁部の平面形状は、収容する食品形状によって適宜決定すればよい。
【実施例
【0048】
実施例1
図8(a)の容器の拡大図に示すような、上方に突出した高さ2mmの第1凸部41と、下方に突出した高さ2mmの第2凸部42とが交互に形成された2軸延伸ポリスチレンシート(厚さ:0.25mm,基準底壁部4に相当)上に、約90℃に加熱した冷凍食品春巻きを載置し、手指接触面である第2凸部42の先端部の外表面温度を接触温度計によって測定した。測定結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
図8(b)の容器の拡大図に示すような、第1凸部および第2凸部が形成されていない平らな実施例1と同じ2軸延伸ポリスチレンシート(厚さ:0.3mm)上に、実施例1と同様にして、加熱した冷凍食品春巻きを載置し、手指接触面であるシート下面の外表面温度を接触温度計によって測定した。測定結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
図8(c)の容器の拡大図に示すような、格子状(1辺の長さ:15mm)に高さ2mmのリブ(凸部)91が形成された実施例1と同じ2軸延伸ポリスチレンシート(厚さ:0.3mm)上に、実施例1と同様にして、加熱した冷凍食品春巻きを載置し、手指接触面であるシート下面の外表面温度を接触温度計によって測定した。測定結果を表1に示す。
【0051】
比較例3
図8(d)の容器の拡大図に示すような、高さ1mmの第1凸部41のみが形成された実施例1と同じ2軸延伸ポリスチレンシート(厚さ:0.25mm)上に、実施例1と同様にして、加熱した冷凍食品春巻きを載置し、手指接触面であるシート下面の外表面温度を接触温度計によって測定した。測定結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、上方に突出した第1凸部41と下方に突出した第2凸部42とが交互に形成された実施例1の2軸延伸ポリスチレンシートでは、約90℃に加熱された春巻きを載置した場合であっても、手指接触面である第2凸部42の先端部の外表面温度は55℃と容器を手指で持つことが可能な温度に抑えられていた。
【0054】
これに対して、第1凸部および第2凸部が形成されていない平らな比較例1の2軸延伸ポリスチレンシートでは手指接触面であるシート下面の外表面温度は86℃と容器を手指で持つことが非常に困難な温度であった。
【0055】
また格子状にリブ91が形成された比較例2の2軸延伸ポリスチレンシート及び高さ1mmの第1凸部41のみが形成された比較例3の2軸延伸ポリスチレンシートでは、手指接触面であるシート下面の外表面温度は60℃及び66℃と容器を手で持つことが可能な温度ではあったが、比較例2ではリブ91の間隔が広くリブ91以外の部分に加熱食品が接触し、シート下面の外表面温度が局部的に高くなることがある。また、比較例3では第1凸部41のみしか形成されておらず加熱食品と手指接触面との距離が近いので、シート下面の外表面温度は実施例1のシートに比べて高くなった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る容器によれば、高温に加熱調理された食品を収容した場合であっても使用者が手指で持つことが容易で、しかも容器の壁を従来よりも薄くすることが可能でることから輸送・保管時において従来の容器よりも嵩張らない。
【符号の説明】
【0057】
2a 第1底壁部
2b 第2底壁部
3a 第1周壁部
3b 第2周壁部
4 基準底壁部
5a 第1溝部
5b 第2溝部
6 載置台部
V 加熱食品用容器(容器)
11 第1収容部
12 第2収容部
13 仕切り壁
41 第1凸部
42 第2凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8