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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】食品切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20241008BHJP
   B26D 1/46 20060101ALI20241008BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20241008BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B26D1/46 502K
B26D7/18 D
B26D3/00 602A
B26D1/46 502G
A22C17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021034248
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134825
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-239853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255390(US,A1)
【文献】特開2018-20396(JP,A)
【文献】特開2007-167985(JP,A)
【文献】特開2004-141974(JP,A)
【文献】実開昭61-39397(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26D 1/46
B26D 3/00
A22C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転部材(32,33)を横方向に間隔をおいて配置し、この複数の回転部材(32,33)に無端帯状の切断刃(34)を巻き掛け、この切断刃(34)を周回移動させながら食品を切断する構成とした食品切断装置であって、前記回転部材(32,33)を傾斜面(37M,40M)上に支持し、この傾斜面(37M,40M)の下辺部の下側に沿って第1受け部材(400L,400R)を配置し、前記傾斜面(37M,40M)上から流れ落ちる食品屑等の不要物を前記第1受け部材(400L,400R)で受ける構成としたことを特徴とする食品切断装置。
【請求項2】
前記切断刃(34)に向けて水等の液体または気液混合流体を噴射するノズル(74)を設け、このノズル(74)による噴射後の液体が、食品屑と共に不要物として前記傾斜面(37M,40M)上から前記第1受け部材(400L,400R)に流れ落ちる構成とした請求項1に記載の食品切断装置。
【請求項3】
前記第1受け部材(400L,400R)は、上面を開放した漏斗部(401L,401R)と、この漏斗部(401L,401R)の底部に連通して下方に延設したシュート部(402L,402R)とを有することを特徴とする請求項1記載の食品切断装置。
【請求項4】
前記傾斜面(37M,40M)上から流れ落ちる食品屑等の不要物を前記漏斗部(401L,401R)で受けて、前記シュート部(402L,402R)の下端に形成された開口部から排出することを特徴とする請求項3記載の食品切断装置。
【請求項5】
前記切断刃(34)での切断時に発生した食品屑等の不要物を吸い取る吸引手段を設け、この吸引手段を前記切断刃(34)の周回移動軌跡に臨ませて設けたことを特徴とする請求項1記載の食品切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉等の食品を切断する食品切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の食品切断装置として、間隔をおいて配置した一対のプーリーに無端帯状の切断刃を巻き掛け、この切断刃を周回移動させながら塊状の食品を切断する切断部を備えたものがある。
このような食品切断装置によって、例えば豚肉等の油脂を含んだ粘着性を有する食品を切断する際には、切断時に発生した食品屑や油脂等の不要物が切断刃の周回移動等によって周辺部に飛散して付着し、食品衛生上の問題を生じるおそれがある。
このような問題に対処するための一つの手段として、特許文献1に開示されているように、切断刃の表面に洗浄水を噴き付けて、不要物を洗い流そうとする技術が試みられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4555935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術では、食品屑やこれを含んで流れ落ちる水等の不要物が、プーリーを支持する板面上に停滞したり、この板面上から食品切断装置の各部に落下して溜まり、食品衛生上の問題を生じるおそれが残る。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、食品屑等の不要物の停滞や堆積が少なく、食品衛生上の問題が生じにくい食品切断装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、複数の回転部材(32,33)を横方向に間隔をおいて配置し、この複数の回転部材(32,33)に無端帯状の切断刃(34)を巻き掛け、この切断刃(34)を周回移動させながら食品を切断する構成とした食品切断装置であって、前記回転部材(32,33)を傾斜面(37M,40M)上に支持し、この傾斜面(37M,40M)の下辺部の下側に沿って第1受け部材(400L,400R)を配置し、前記傾斜面(37M,40M)上から流れ落ちる食品屑等の不要物を前記第1受け部材(400L,400R)で受ける構成としたことを特徴とする食品切断装置とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記切断刃(34)に向けて水等の液体または気液混合流体を噴射するノズル(74)を設け、このノズル(74)による噴射後の液体が、食品屑と共に不要物として前記傾斜面(37M,40M)上から前記第1受け部材(400L,400R)に流れ落ちる構成とした請求項1に記載の食品切断装置とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、食品を切断部(3)側へ向けて送り出す供給部(2)を備え、この供給部(2)の先端から突出した食品の端部を前記切断刃(34)で切断し、切断された食品片を引継回転部材(4A)上に引き継ぐ構成とし、前記引継回転部材(4A)の下方から前記供給部(2)の先端部下方に亘る部位に第2受け部材(401)を設置し、前記引継回転部材(4A)および前記供給部(2)の先端部から落下する不要物を第2受け部材(401)に受ける構成とした請求項2に記載の食品切断装置とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記第2受け部材(401)を食品切断装置(1)の外部へ取り出し自在な構成とした請求項3に記載の食品切断装置とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記引継回転部材(4A)から食品片を受け取って搬送する搬送部(6)を備え、この搬送部(6)の始端部を前記引継回転部材(4A)から離間する方向へ移動可能な構成とし、前記搬送部(6)の始端部を前記引継回転部材(4A)から離間する方向へ移動させた状態で、前記第2受け部材(401)を食品切断装置(1)から側方へ取り出し可能となる構成とした請求項4に記載の食品切断装置とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記切断刃(34)での切断時に発生した食品屑等の不要物を吸い取る吸引手段を設け、この吸引手段を前記切断刃(34)の周回移動軌跡に臨ませて設け、この吸引手段における吸引方向上流側の部位に、不要物を受ける第3受け部材(61)を備えた請求項3に記載の食品切断装置とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記切断刃(34)の周回移動軌跡を挟み、前記ノズル(74)と第3受け部材(61)を対向配置した請求項6に記載の食品切断装置とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、前記切断刃(34)に近接または接触するように配置され、この切断刃(34)に付着した不要物を削ぎ取るスクレーパ(70,90)を設け、このスクレーパ(70,90)によって削ぎ取られて脱落する不要物およびこのスクレーパ(70,90)付近に堆積している不要物を前記吸引手段によって吸い取る構成とした請求項6または請求項7に記載の食品切断装置とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、前記スクレーパ(70,90)の下側に前記第3受け部材(61)を配置し、前記スクレーパ(70,90)によって削ぎ取られて脱落する不要物を前記第3受け部材(61)に受ける構成とした請求項8に記載の食品切断装置とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、前記ノズル(74)を、前記切断刃(34)の周回移動方向における前記スクレーパ(70,90)よりも上流側の部位に向けて配置し、前記スクレーパ(70,90)で削ぎ取られた不要物を、このノズル(74)から噴射される水等の液体または気液混合流体によって前記第3受け部材(61)に落とす構成とした請求項9に記載の食品切断装置とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、切断刃(34)を巻き掛けた回転部材(32,33)を傾斜面(37M,40M)に支持することで、この傾斜面(37M,40M)上の不要物が流れ落ちやすくなり、また、流れ落ちる不要物が、この傾斜面(37M,40M)の下辺部の下側に沿って配置した第1受け部材(400L,400R)に受けられて食品切断装置(1)の各部への溜まりも少なくなり、食品衛生上の問題を低減することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、切断刃(34)に向けて水等の液体または気液混合流体を噴射することによって、この噴射した液体が食品屑と共に第1受け部材(400L,400R)に流れ落ちやすくなり、洗浄効果と相俟って食品衛生上の問題を低減することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、供給部(2)の先端部や引継回転部材(4A)から落下する不要物が、第2受け部材(401)に受けられるので、食品切断装置(1)各部への溜まりが少なくなり、食品衛生上の問題を低減することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果を奏するうえに、不要物を受けた第2受け部材(401)を食品切断装置(1)の外部へ取り出し、不要物を容易に処理することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果を奏するうえで、搬送部(6)の始端部を引継回転部材(4A)から離間させることで、第2受け部材(401)を食品切断装置(1)から側方へ取り出すことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果を奏するうえに、切断時に発生した食品屑等の不要物を、第3受け部材(61)に受けてから効果的に吸い取ることができ、この不要物による食品衛生上の問題が生じにくくなる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、水等の液体または気液混合流体によって噴き飛ばされる又は流される不要物を第3受け部材(61)に受けて効果的に吸引することができ、食品衛生上の問題を効果的に減少させることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項6または請求項7に記載の発明の効果に加え、スクレーパに(70,90)よって削ぎ取られて脱落する不要物だけでなく、スクレーパ(70,90)付近に堆積している不要物をも吸い取ることで、食品衛生上の問題が生じにくくなる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の効果を奏するうえで、スクレーパ(70,90)によって削ぎ取られて脱落する不要物を受けて効率的に吸引することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の発明の効果に加え、スクレーパ(70,90)の一側に堆積した不要物を水等の液体または気液混合流体によって第3受け部部材(61)に落として吸引することで、より円滑に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】食肉切断装置(請求項の「食品切断装置」)の全体右側面図である。
図2】食肉切断装置の全体左側面図である。
図3】食肉切断装置の全体平面図である。
図4】食肉切断装置の別の使用状態を示す全体平面図である。
図5】食肉切断装置の全体正面図である。
図6】食肉切断装置の全体背面図である。
図7】食肉切断装置の伝動図である。
図8】供給部の揺動駆動機構周辺の説明用正面図である。
図9】供給部の揺動駆動機構周辺の説明用側面図である。
図10】切断部の要部説明用の側面図である。
図11】切断部の平面図である。
図12】吸引手段の要部説明用の平面図である。
図13図12の一部を省略して示す説明用の平面図である。
図14】吸引手段の要部説明用の側面図である。
図15】吸引手段の要部を一部断面して示す説明用の正面図である。
図16】食肉切断装置における要部の左側面図である。
図17】食肉切断装置における要部の右側面図である。
図18】食肉切断装置における一部を展開して示す要部の説明用正面図である。
図19】食肉切断装置における要部の説明用左側面図である。
図20】流体圧送回路図である。
図21】ブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態においては、食品切断装置の一例として、食肉を切断加工する食肉切断装置を例示し、その実施例を以下に詳述する。
なお、説明の便宜上、切断される食肉の搬送方向において、その上流側を「後」と定義し、その下流側を「前」と定義し、下流側を向いた状態での左手側を「左」、右手側を「右」と定義して説明する。
また、この食肉切断装置における切断前の塊状肉や切断された肉片と接触する部分、および、少なくともその近傍の部位、各部のカバー類等は、食品衛生上の観点からステンレス鋼材で形成する。
【0027】
(食品切断装置の全体構成)
図1図6に示すように、食肉切断装置(請求項の「食品切断装置」)1には、供給部2と、切断部3と、引継部4と、折り畳み部5と、搬送部6と、これらを制御する制御部7を備える。
【0028】
(供給部の構成)
図7に示すように、供給部2は、平面視で矩形の枠体2Aに対して、その後部に広幅の駆動ローラー2Bを軸受し、その前端部に広幅の従動ローラー2Cを軸受する。
これら駆動ローラー2Bと従動ローラー2Cとにわたって、供給部2の底面を形成する広幅の無端状の供給ベルト2Dを巻き掛ける。
【0029】
枠体2Aの後端部には平板状の載置板2Eを設け、この載置板2Eの下側に、供給用モーター2Fを設け、この供給用モーター2Fからギヤ伝動機構2Gを介して上述の駆動ローラー2Bを連動して駆動する構成とする。
供給ベルト2Dの下側巻回域には、テンションローラー2Hを当接させる。
【0030】
枠体2Aの後端部には水平方向の左右の揺動軸2Iを突設し、この揺動軸2Iの左右両端部を機体後端部に立設した支持台2ISに軸受け支持する。
これによって供給部2が上下揺動自在に支持される。
【0031】
また、図3図4図7に示すように、枠体2Aには天壁および左右の側壁2Jを備え、この三つの壁と中央部の仕切り壁2K、および底部の供給ベルト2Dによって包囲された左右の供給室2Lを形成する。
この左右の供給室2Lに、枝肉から分割され骨片や筋を切除された塊状肉(請求項の「食品」)が供給される。
【0032】
また、上述の左右の揺動軸2Iに左右のアーム2Mの後端部を上下揺動自在に支持し、この左右のアーム2Mの前端部に備えた押圧板2Nを左右の供給室2L前端部の上面開口部から下方へ侵入させる。
この左右のアーム2Mの前部には、この左右のアーム2Mを押し下げるエアシリンダー2Pを設け、このエアシリンダー2Pによって、供給室2L内に供給された塊状肉の前端部を押圧板2Nで押圧する。
【0033】
(供給部揺動駆動部の構成)
図8図9に示すように、揺動用モーター2Qは左右一側の室2QIに内装し、揺動用モーター2Qの出力軸2QTの先端部に固定されたクランクアーム2QCと、このクランクアーム2QCの端部に軸着されたターンバックル式のシャフト2Rを、室2QI外方の空間2QHに配置する。
シャフト2Rの下端部は、クランクアーム2QCの端部にベアリング2RDを介して軸着し、シャフト2Rの上端部は、供給部2における枠体2Aの前側下部に設けたステー2RUに、支持ピン2QKで軸着する。
これにより、枠体2Aに対するシャフト2Rの上端部の軸着位置は、供給部2の左右幅の中心位置に対して、左側に偏倚する。
【0034】
また、これら左右一側の室2QIと空間2QHの間は仕切壁2QWで遮蔽し、前述の揺動用モーター2Qの出力軸2QTをこの仕切壁2QWに形成した孔部に貫通させ、ベアリング2RCで回転自在に支持する。
なお、この仕切壁2QWは、室2QIの側壁を形成する。
これにより、供給部2の先端の開口部2TKから落下する肉屑の影響を含め、揺動用モーター2Qへの肉屑やこれを含んだ水等の影響が減少し、衛生上の問題が減少する。
【0035】
また、バランスシリンダ2QSの基部を、食肉切断装置1の固定部2KPに取り付けたステー2KSに、支持軸2KJで軸着する。
このバランスシリンダ2QSは、揺動用モーター2Qに補佐力を加える加圧シリンダである。
そして、このバランスシリンダ2QSのピストン先端部を、供給部2における枠体2Aの右端側下部に設けたステー2KTに、支持軸2KGで軸着する。
これにより、バランスシリンダ2QSは、供給部2の左右幅の中心位置に対して、枠体2Aにおけるシャフト2R上端が軸着された側とは反対側の端部、すなわち右側端部にのみ配置される。
【0036】
これにより、従来、枠体2Aとシャフト2Rとの軸着位置に対して左右両側に配置していたバランスシリンダを単一化でき、製造コストが低減する。
【0037】
(切断部の基本構成)
図7に示すように、切断部3は、切断用モーター31で駆動される駆動プーリー(請求項の「複数の回転部材」の一方)32と、この駆動プーリー32から左右方向へ離間して配置した従動プーリー33(請求項の「複数の回転部材」の他方)とにわたって、無端帯状の切断刃34を巻き回して構成する。
図10に示すように、この切断刃34の下側巻回域における刃先とは反対側の縁部を、切断刃受け部材35の下部に形成した左右方向の溝に嵌入させて周回移動方向へ摺動自在に支持する。
【0038】
また、上述の供給部2の枠体2Aの前端部に、左右の供給室2Lの先端に連通する左右の矩形の開口部2TKを有する枠部材2Tを、ボルトで締結固定する。
この枠部材2Tの前面は、側面視で供給部2の揺動軸2Iを中心とした円弧状に形成し、切断刃34の刃先縁部後面が摺接する構成とする。
【0039】
また、左右の供給室2Lから送り出される塊状肉の前端部を受ける受板2Uを、食肉切断装置1の機枠側に対して前後位置調節自在に支持する。
この受板2Uの後面は、側面視で供給部2の揺動軸2Iを中心とした円弧状に形成する。
【0040】
すなわち、上述の枠部材2Tの前面と、受板2Uの後面を、側面視において同一または近似した円弧形状とする。
これにより、供給部2が上昇揺動するにつれて、塊状肉における左右の供給室2Lから突出した前端部に、周回移動する切断刃34の刃縁が上側から切り込んでいく。
【0041】
そして、供給部2が揺動範囲の上限近くの位置まで上昇揺動すると、塊状肉の前端部が切断刃34によって切り離され、所定の厚さに切断された肉片(請求項の「食品片」)が、切断刃34の刃先と受板2U上端との間の間隔部Tを通過して受板2Uの前側へ放出される。放出された肉片は、後述する引継部4の引継回転部材4A上に引き継がれる。
この後、供給部2は揺動範囲の下限位置まで下降揺動し、供給ベルト2Dの駆動によって塊状肉の前端部が供給室2Lの前端から繰り出され、受板2Uの後面に当接して位置決めされる。
【0042】
この後、供給部2が再び上昇揺動し、上述の塊状肉の切断が繰り返される。
なお、この切断部3の詳細構造については後述する。
【0043】
(引継部の構成)
図1図4図7に示すように、引継部4は切断部3の前側に配置され、切断刃34で切断された肉片を載せた状態で回転する多数の引継回転部材4Aを備える。
この引継回転部材4Aは、環状の板体の周縁に尖端を有した多数の凹凸を形成し、軸心方向に所定の間隔をおいて並列させ、引継用モーター4Bの駆動によりギヤ伝動機構を介して駆動回転する構成とする。
【0044】
(折り畳み部の構成)
図7に示すように、折り畳み部5は、折り畳み用モーター5Aによって往復回転する棒状部材5Bと、電動モーター5Cによって昇降する押圧杆5Dおよび直角三角形近似形状に屈曲させたバネ状線材5Eと、リンク機構を介して棒状部材5Bを前後方向へ摺動させる摺動用モーター5Fを備える。
【0045】
棒状部材5Bには、上述の多数の引継回転部材4Aの間隔部に退避可能な多数の細杆5Gを植設し、この細杆5Gの退避位置からの後方回転によって、その先端部で引継回転部材4A上の肉片の前後方向中間部を突き上げ、この肉片の前後両端部が自重で垂れ下がることを利用して折り曲げ、搬送部6上に載置する。
【0046】
搬送部6上に載置された肉片は、下降する押圧杆5Dによって押圧されて折り畳まれ、肉片に挟まれた細杆5Gが棒状部材5Bの前方への摺動によって抜かれ、バネ状線材5Eの点接触によって肉片の上昇が規制されながら、押圧杆5Dが肉片から上昇退避する。
【0047】
(搬送部の構成)
図7に示すように、搬送部6は、左右方向に長尺に形成した後部従動ローラー群6Aと前部従動ローラー群6Bとにわたって無端状の搬送ベルト6Cを巻き回し、後部に配置した駆動ローラー6Dの下周面に、搬送ベルト6Cの巻き掛け範囲の下辺部を巻き掛けて構成する。
駆動ローラー6Dの前後両側には緊張ローラー6Eを配置し、この2つの緊張ローラー6Eによって、駆動ローラー6Dへの搬送ベルト6Cの内周面の巻き掛け長さを確保し、スリップを低減する。
駆動ローラー6Dには搬送用モーター6Fを連動させる。
【0048】
なお、リンク機構を介して上述の後部従動ローラー群6Aを上下方向に揺動させる前部揺動モーター6Gを設け、肉片を載置するときに搬送ベルト6Cの後端部(搬送始端部)を上昇させる構成とする。
また、リンク機構を介して上述の前部従動ローラー群6Bを前後方向に往復摺動させ、搬送部6の前端部(搬送終端部)の位置を前後移動させる往復摺動用モーターを設けた構成としてもよい。
【0049】
(切断部の詳細構造)
しかして、図2図11に示すように、機枠側から前側上方へ斜めに立設した左側の支持台36に切断用モーター31を内蔵し、この左側の支持台36の上部に左側の板状部材37を固定する。
図11に示すように、この左側の板状部材37の中央部には貫通穴が形成されており、この貫通穴から切断用モーター31の出力軸31Pを前側上方へ突出させ、その突出端部に駆動プーリー32を取り付ける。
【0050】
この駆動プーリー32の回転軸32P(出力軸31Pと同一軸心)の上方突出端部は、板状部材37の上面の2位置から駆動プーリー32の内側上方を跨ぐように起立させた三叉状の支持部材38の自由端部38Fに、ベアリングを介して回転自在に軸受支持する。
【0051】
一方、機枠から前側上方へ斜めに立設した右側の支持台39の上部に、右側の板状部材40を固定する。
この右側の板状部材40の中央部には、上述の左側の板状部材37の中央部に形成された貫通穴よりも大きい貫通穴が形成されており、この貫通穴から支持軸33Pを前側上方へ突出させる。
この支持軸33Pに、従動プーリー33を、ベアリングを介して回転自在に軸受支持する。
【0052】
支持軸33Pの突出端部には外筒41を固定し、この外筒41に、従動プーリー33の半径方向に沿って左側下方へ延出する支持部材42の基部を固定する。
この支持部材42の自由端部に固定したステーに、従動プーリー33の周面に形成された凹部43に嵌入するスクレーパ44の基部を取り付ける。
【0053】
なお、上述の支持軸33Pを左右方向へ移動させるエアシリンダー(図示省略)を設け、このエアシリンダーの推力によって切断刃34に張力を付与している。
このエアシリンダーを短縮させることによって、支持軸33Pに支持された従動プーリー33が、駆動プーリー32側へ接近して巻き掛け周長が短縮され、切断刃34を交換することができる。
右側の板状部材40に対する支持軸33Pの左右方向への移動は、この板状部材40に形成された上述の貫通穴の存在によって許容される。
【0054】
また、これら左側の板状部材37の上部と右側の板状部材40の上端部間を左右方向の連結フレーム45で連結する。
この連結フレーム45には、その右側端部に研磨装置(図示省略)の取付用のステー46を固定し、その左右方向中間部にカバー取付部47を設け、その左右方向中央部に外板取付部48を設ける。
また、左側の板状部材37の右側下部と、右側の板状部材40の左側下部には、上述の切断刃受け部材35の端部を取り付ける左右の取付部材49を設ける。
【0055】
図1図3に示す駆動プーリー32部および従動プーリー33部を覆う左右のカバー50,50を、各左右外側端部に設けたヒンジを中心として上方回動させることにより開閉自在に取り付ける。また、左右のカバー50,50には、開閉操作時に把持する取手50Hを備える。
また、上述の外板取付部48には取手51Hを備えた着脱式のカバー51を取り付ける。
【0056】
また、上述の駆動プーリー32と従動プーリー33にわたって巻き回した切断刃34は、駆動プーリー32の駆動回転によって周回移動する。
この切断刃34の長楕円形状を呈する周回移動軌跡の下辺部に、切断刃34が周回移動方向34Tに沿って直線移動する切断作用部34Kが形成される。
【0057】
なお、左側の板状部材37および右側の板状部材40は、駆動プーリー32の回転軸32Pおよび従動プーリー33の支持軸33Pに夫々直交するように、前側下方へ傾斜させる。
これによって、左側の板状部材37の上面には前下がりの傾斜面37Mが形成され、右側の板状部材40の上面には前下がりの傾斜面40Mが形成され、これら傾斜面37M,40M上の肉屑等の不要物が流れ落ちやすく又は滑り落ちやすくなる。
【0058】
(肉屑除去部の配置)
図11に示すように、切断部3の平面視(傾斜面37M,40Mに対して直角な方向から視た状態)において、駆動プーリー32の下周部と切断刃34の周回移動軌跡との間に形成される空間部に、左側の肉屑除去部60Lを配置する。
一方、従動プーリー33の下周部と切断刃34の周回移動軌跡との間に形成される空間部に、右側の肉屑除去部60Rを配置する。
【0059】
上述の左側の肉屑除去部60Lと右側の肉屑除去部60Rは同様の構造とするとよい。
なお、本実施例においては、左側の肉屑除去部60Lのみに後述する吸引手段を設けた構成としているが、左右両側の肉屑除去部60L,60Rの双方に吸引手段を設けた構成としてもよい。
【0060】
(肉屑除去部と第3受け部材)
図13図14に示すように、左側の板状部材37下辺部の一部を矩形に切り欠き、この切り欠き部に平面視で四角形状の皿状または椀状の受け部材(請求項の「第3受け部材」)61を嵌入させ、ステー62を介して板状部材37の端部下面に支持する。
また、右側の板状部材40における下辺部の一部を矩形に切り欠き、この切り欠き部に後述する筒状の流下案内筒61Sを嵌入させて取り付ける。
一方、板状部材37,40の端部上面に支持部材63を固定する。
【0061】
図12図15に示すように、この支持部材63は、板状部材37,40の上面に接合して皿螺子64で固定される下板部65と、この下板部65から直角に立ち上がる支柱部66と、この支柱部66の上端部に蝶ボルト67で着脱自在に取り付けられる上板部68から構成する。
図15に示すように、上板部68の左右方向での端部下面には、2つの支持板69,69を垂下姿勢で固定し、この2つの支持板69,69の左右方向外側面に、左右のスクレーパ70,70の夫々を螺子71,71で締結固定して取り付ける。
【0062】
また、図14図15に示すように、上述の支柱部66の下部から支持管72を斜め上方へ立ち上げ、この支持管72の上端部に噴射ブロック73を固定する。
この噴射ブロック73の左右両側部には、左右のノズル部材(請求項の「ノズル」)74,74の夫々を接合し、ボルト75,75で締結固定する。
この左右のノズル部材74,74の下端には噴射口76,76を開口し、各ノズル部材74,74の内部には、各噴射口76,76に連通する噴射流路77,77を形成する。
【0063】
また、上述の噴射ブロック73の内部には、左右の噴射流路77,77に連通する分配流路78を形成し、この分配流路78の中央部に上述の支持管72内の流路(図示省略)を連通させる。
図16に示すように、この支持管72内の流路の上流側端部は、板状部材37,40を貫通する流路に連通し、この流路に、板状部材37,40から下方へ突出させた供給口79を接続する。
この供給口79に、後述する流体圧送回路を接続する。
【0064】
また、図12図14に示すように、板状部材37,40における矩形の切り欠き部の左右一側縁部に、前側部分を開放したコ字形状のプレート80の左右一側端部を回動軸81で回動自在に軸支する。
プレート80の左右他側端部にプランジャピン82を設け、板状部材37,40における切り欠き部の左右他側縁部には、このプランジャピン82の先端が嵌入する係合孔83を形成する。
これにより、プランジャピン82のノブ84を引いてプランジャピン82の先端を係合孔83から抜くことでプレート80の固定が解除され、このプレート80を板状部材37,40の上面に沿って前側下方へ回動させてメンテナンスを行なえる。
【0065】
また、このプレート80における前側部分には、前側斜め上方へ立ち上がる側壁85を一体的に設ける。
図12に示すように、この側壁85はコ字状に形成された3つの内面を有し、この内面は、いずれもスクレーパ70および後述するスクレーパ90の各上端と略同じ高さまで連続的に形成する。
この側壁85によって、肉屑やノズル部材74の噴射口76から噴射される水等の流体または気液混合流体の飛散を防止する。
【0066】
なお、図12図13に示すように、プランジャピン82の先端を係合孔83に嵌入させてプレート80を固定した状態で、プレート80側の側壁85における3つの内面が、受け部材61の上端部の3辺の内面に略一致する。
【0067】
また、図12図14に示すように、プレート80側の側壁85における前部内面に支持部86を突設し、この支持部86の上端部に、上板87を蝶ボルト88で締結固定する。
この上板87の左右方向での端部下面には、2つの支持板89,89を垂下姿勢で固定し、この2つの支持板89,89の左右方向外側面に、左右のスクレーパ90,90の夫々を螺子91,91で締結固定して取り付ける。
【0068】
これにより、図13に示すように、左右のスクレーパ90,90の夫々が、切断刃34を挟んで上述の左右のスクレーパ70,70の夫々と対向する位置に配置される。
また、これら4つのスクレーパ70,90の各先端部(自由端部)が、切断刃34の上下両面(周回移動軌跡の内側周面と外側周面)に接触する。または、各スクレーパ70,90の先端部が、切断刃34に接触しないように僅かな隙間を形成するように配置してもよい。
【0069】
なお、図11に示すように、左側の肉屑除去部60Lには、駆動プーリー32の外周面に形成された凹部32Uに嵌入するスクレーパ32Sを支持する。
また、図12図13に示すように、上述の噴射口76は、切断刃34の周回移動方向34Tにおけるスクレーパ70,90よりも上流側の部位に向けて配置する。または、切断刃34におけるスクレーパ70,90よりも上流側の部位に噴射する位置に配置する。
この配置により、切断刃34の一部と、スクレーパ70,90と、ノズル部材74および噴射口76は、切断刃34の周回移動軌跡に対して直角な方向に並び、受け部材61の上側に臨む。
【0070】
なお、図16図17に示すように、板状部材37,40は前下がり傾斜しており、スクレーパ70,90と受け部材61が上下に対向配置される。
これによって、スクレーパ70,90によって切断刃34の上下両側面から削ぎ取られた肉屑や脂が、直下方にある受け部材61内に落下しやすくなる。
また、ノズル部材74の噴射口76から噴射された水が、肉屑等と共に板状部材37,40の上面を伝って受け部材61内に流れ落ちやすくなる。
【0071】
なお、図14図15に示すように、左側の肉屑除去部60Lにおける受け部材61は、その底部が下窄まりとなる漏斗状に形成し、この底部中央に吸引穴92を形成し、この吸引穴92に連通する吸引筒部93を下方へ突出形成する。
この吸引筒部93の下端部に、後述する負圧発生部94を接続する。
【0072】
一方、図17に示すように、右側の肉屑除去部60Rにおける上述の流下案内筒61Sの下部には、流下案内シュート61Tを取り付ける。
この流下案内シュート61Tは、板状部材40の下面に対して直角に下方へ延設した後、垂直に屈折させて形成する。
【0073】
(第1受け部材)
図11図16図18に示すように、上述の左側の板状部材37の上面に形成された傾斜面37Mの下辺部の下側に沿って、左側の受け部材(請求項の「第1受け部材」)400Lを配置する。
この左側の第1受け部材400Lは、上面を開放した平面視で矩形の漏斗部401Lと、この漏斗部401Lの底部に連通して下方へ延設した角筒状のシュート部402Lを有する。
【0074】
図11図18に示すように、この左側の第1受け部材400Lの漏斗部401Lは、左側の板状部材37の左側端部から、左側の受け部材61の近傍の部位に至る左右幅を有する。
これにより、左側の板状部材37上の傾斜面37M上から流れ落ちる不要物を漏斗部401Lで受け、シュート部402Lの下端の開口部から下方へ排出する。
【0075】
なお、この左側の第1受け部材400Lは、上下に配置したヒンジ部403Lを介して、食肉切断装置1の機枠1Wに縦軸回動自在に取り付ける。
これにより、左側の第1受け部材400Lを縦軸回動させて、左側の肉屑除去部60L等のメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0076】
また、図11図17図18に示すように、上述の右側の板状部材40の上面に形成された傾斜面40Mの下辺部の下側に沿って、右側の受け部材(請求項の「第1受け部材」)400Rを配置する。
この右側の第1受け部材400Rは、上面を開放した平面視で矩形の漏斗部401Rと、この漏斗部401Rの底部に連通して下方へ延設した角筒状のシュート部402Rを有する。
【0077】
図11図17に示すように、この右側の第1受け部材400Rの漏斗部401Rは、右側の板状部材40の下辺部の左右幅に略等しい幅を有し、右側の肉屑除去部60Rを下方から覆うように形成する。
これにより、右側の板状部材40上の傾斜面40M上から流れ落ちる不要物と、右側の肉屑除去部60Rから流れ落ちる水を多く含んだ不要物を漏斗部401Rで受け、シュート部402Rの下端の開口部から下方へ排出する。
【0078】
なお、この右側の第1受け部材400Rは、上下に配置したヒンジ部403Rを介して、食肉切断装置1の機枠1Wに縦軸回動自在に取り付ける。
これにより、右側の第1受け部材400Rを縦軸回動させて、右側の肉屑除去部60R等のメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0079】
(負圧発生部の構造)
上述の負圧発生部94は、吸引筒部93の下端部外周に第1筒体95の上端部内周を嵌合させて接続し、この第1筒体95の上部外周に形成した雄螺子部と、第2筒体96の上端部内周に形成した雌螺子部とによる螺合部95Nによって螺合接続して構成する。
また、上述の第1筒体95の上下方向中間部の外周に環状の溝を形成し、この溝にシール部材95Sを嵌め、第1筒体95の上部外周と第2筒体96の上端部内周との間に通気を防止するシール構造を形成する。
【0080】
なお、上述の第1筒体95は、その上端部内周を下窄まりの漏斗状に形成し、内部に断面視で円形状の連通空間95Aを形成する。
また、この第1筒体95の下部は、その肉厚を下側の部位ほど徐々に薄くし、円錐台形部95Tを形成する。
【0081】
また、上述の第2筒体96は、その上部に大径部96Aを形成し、この大径部96Aの下部に小径部96Bを一体形成して構成する。
上述の大径部96Aの内周面と円錐台形部95Tの外周面との間には、圧力室96Pを形成し、この圧力室96Pにおける円錐台形部95Tの下端と、圧力室96Pの底壁を形成する大径部96Aの内周面と小径部96Bの内周面との間の段差部の間に、僅かな隙間96Jを形成する。
【0082】
この圧力室96Pと、この圧力室96Pの下端部に形成される隙間96Jは、環状に形成される。
なお、上述の小径部96Bは、その上端部内周面を下窄まりの円錐台形状に形成し、その上下方向中間部の内周面を円筒状に形成し、その下端部内周面を下向きに拡開する円錐台形状に形成し、その内部に上下方向に連続する連通空間96Sを形成する。
【0083】
また、上述の大径部96Aと小径部96Bの間に形成される段差部の下面を、側面視でクランク状に屈折した支持ステー96Lの二股部で受けて螺子96Nで締結固定し、この支持ステー96Lの上端部のプレート部を上述の板状部材37にボルト96Vで締結固定する。
これによって負圧発生部94が板状部材37側に支持される。
【0084】
図14に示すように、上述の第2筒体96の大径部96Aに、圧力室96Pに連通する雌螺子穴を形成し、この雌螺子穴に空気噴射ノズル97の外周に形成した雄螺子部を螺合させて固定する。
これによって、空気噴射ノズル97の先端に形成される噴射口97Sが圧力室96Pに連通する。
【0085】
この空気噴射ノズル97には、空気圧送管98の上端部を接続し、この空気圧送管98の下端部は、食肉切断装置1の本体側に備えた後述の流体圧送回路に接続する。
なお、上述の受け部材61と負圧発生部94を、請求項における「吸引手段」と称する。
【0086】
また、上述の第2筒体96の小径部96Bの外周に、排出案内管99の上端部内周を嵌合させ、この排出案内管99の上部を屈折させて垂下部99Aを形成し、この垂下部99Aを食肉切断装置1の機枠1Wに締結固定する。
この排出案内管99の下端部99Dは、食肉切断装置1の本体から遠ざかる方向へ屈折させ、この下端部99Dの終端に排出口99Eを形成する。
これにより、排出口99Eは、食肉切断装置1の本体から遠ざかる方向を向く。
【0087】
しかして、上述の空気噴射ノズル97の噴射口97Sから空気が圧力室96P内に噴射されると、この圧力室96P内で更に高圧となった空気が、隙間96Jから高流速で下方の連通空間96S内へ噴き出す。
このとき、ベンチュリ効果(流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させると、圧力が低い部分が作り出される現象のこと。流速を一定にした場合のベルヌーイの定理から導かれる。)によって、連通空間95A内に負圧が生じて吸引穴92から空気が引き込まれ、連通空間96Sから下方へ放出される。
【0088】
(流体圧送回路)
図20に示すように、上述のノズル部材74の噴射口76に至る供給口79へ水と空気の混合物(請求項における「水等の液体または気液混合流体」)を圧送する混合流体圧送回路200と、上述の空気噴射ノズル97に至る空気圧送管98へ空気を圧送する空気圧送回路300を、食肉切断装置1側に設ける。
【0089】
上述の混合流体圧送回路200には、まず、食肉切断装置1を設置する工場内の圧縮空気供給設備に接続する接続口201と、この接続口201の下流側に連通した蓄圧装置202と、この蓄圧装置202の下流側に接続された分岐路203と、この分岐路203の一端側に連通した圧縮空気送給用の電磁切換弁204と、この電磁切換弁204の下流側に並列に連通した逆止弁205および可変絞り弁206と、この逆止弁205および可変絞り弁206の下流側に連通した逆止弁207と、この逆止弁207の下流側から分岐し供給口79に至る混合流体圧送流路208を備える。
さらに、工場内の水供給設備から供給される水を送給する電磁切換弁209と、この電磁切換弁209の下流側に連通した逆止弁210および可変絞り弁211と、この逆止弁210および可変絞り弁211の下流側に連通した逆止弁212を備える。
【0090】
上述の逆止弁207と逆止弁212を接続する流路から、上述の混合流体圧送流路208が分岐する構成とする。
これにより、逆止弁207を通過した空気と、逆止弁212を通過した水とが合流して混合され、混合流体圧送流路208を経て供給口79から流入し、ノズル部材74の噴射口76から噴射される。
【0091】
一方、上述の空気圧送回路300は、上述の分岐路203の他端側に連通した電磁切換弁回路301と、この電磁切換弁回路301の下流側に連通した逆止弁302と可変絞り弁303の並列回路と、この可変絞り弁303を通過した空気を上述の空気圧送管98に送る空気圧送流路304を備える。
【0092】
(制御部の構成)
図21に示すように、制御部7には、コントローラー7Aを備える。
このコントローラー7Aに対して、その入力側に、起動スイッチ7Bと、肉片高さ自動設定入り切りスイッチ7Cと、塊状肉高さ手動設定スイッチ7Dと、並列長さ手動設定スイッチ7Eと、並列枚数手動設定スイッチ7Fと、並列枚数自動制御入り切りスイッチ7Gと、左側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ7Hと、右側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ7Iと、供給部揺動角度計測用ポテンショメータ7Jと、下部無端ベルト移動距離計測用センサ7Kと、左側引継回転部材回転位相計測用ポテンショメータ7Lと、右側引継回転部材回転位相計測用ポテンショメータ7Mと、左側棒状部材回動角度検出用ポテンショメータ7Nと、右側棒状部材回動角度検出用ポテンショメータ7Pと、押圧部材作動用エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ7Qと、揺動アーム揺動角度検出用ポテンショメータ7Rと、コンベア移動距離計測用センサ7Sと、吸引作動時間調節ダイヤル7TCと、吸引停止時間調節ダイヤル7TDと、操作部1Aに備えた異常停止スイッチ500を接続する。
【0093】
一方、コントローラー7Aの出力側には、切断用モータードライバ77Bと、揺動用モータードライバ77Cと、搬送用モータードライバ77Dと、左側引継用モータードライバ77Eと、右側引継用モータードライバ77Fと、左側揺動用モータードライバ77Gと、右側揺動用モータードライバ77Hと、左側出退用モータードライバ77Iと、右側出退用モータードライバ77Jと、エアシリンダー用バルブソレノイド77Kと、搬送駆動用モータードライバ77Lと、上下動用モータードライバ77Mと、伸縮用モータードライバ77Nと、電磁切換弁204作動用のソレノイド204Sと、電磁切換弁209作動用のソレノイド209Sと、電磁切換弁回路301作動用のソレノイド301Sを接続する。
【0094】
また、このコントローラー7Aには、操作部1Aに備えたタッチパネル式の液晶表示画面501を接続する。
【0095】
(噴射・吸引作用およびこれらの制御)
切断作業中において、コントローラー7Aから、ソレノイド204Sと、ソレノイド209Sと、ソレノイド301Sへ同時に出力がなされ、ノズル部材74の噴射口76からの水と空気の混合物の噴射と、負圧発生部94による空気(外気)の吸引とが略同時のタイミングで行なわれる。
また、この噴射および吸引は、切断作業中に設定時間間隔をおいて繰り返し行なわれる。
【0096】
すなわち、噴射および吸引の開始と、噴射および吸引の停止とが交互に行なわれることで、この噴射と吸引が衝撃的に作用する。
この結果、切断刃34に付着した肉屑や脂、スクレーパ70,90によって切断刃34から削がれて落下する肉屑や脂、スクレーパ70,90付近に堆積した肉屑や脂が、受け部材61側に落下ないし直接吸引され、吸引穴92から連通空間95Aと連通空間96Sおよび排出案内管99内を経て排出口99Eから外部へ排出される。
【0097】
また、吸引作動時間調節ダイヤル7TCを操作することによってコントローラー7Aから各ソレノイドへの出力時間を変更し、負圧発生部94による吸引時間を任意に調節することができる。
また、吸引停止時間調節ダイヤル7TDを操作することによってコントローラー7Aから各ソレノイドへの出力停止時間を変更し、負圧発生部94による吸引停止時間も任意に調節することができる。
この調節によって、肉屑や脂の付着状態ないし堆積状態に対応することができる。
【0098】
(第2受け部材)
図18図19に示すように、引継回転部材4Aの回転軸4ABの左右両端部を左右の上部支持板4ACの上端部に軸受し、この左右の上部支持板4ACの下部側面を揺動枠4AD上に固定した左右の下部支持板4AEの上部側面に当てた状態で固定する。
図1図2に示すように、揺動枠4ADは、その左右両側における前後2箇所を、4つの揺動アーム4AFによって支持枠4AGに対して前後揺動自在に支持する。
【0099】
この揺動枠4ADまたは揺動アーム4AFを電動モーターの駆動力で移動させることにより、揺動枠4AD側に支持された受板2Uが、揺動アーム4AF上端の移動軌跡に沿って斜め前後方向に移動し、切断刃34によって切断される肉片の厚みが調節される。
また、支持枠4AGは、その左右および前後に軸支したローラー4AJを機枠1W側のレール4AI上に載置し、固定を解除してこのレール4AI上を前後方向へ摺動可能に構成する。
【0100】
しかして、上述の左右の下部支持板4AEの内側面における前後方向での複数の部位に、L字形状の受板4AHを固定する。
この受板4AHにより、左右の下部支持板4AEの内側における引継回転部材4Aの下方から供給部2の先端部下方に亘る部位に、平面視で矩形の皿状ないし盆状の受け部材(請求項の「第2受け部材」)401を支持できる構成とする。
【0101】
これにより、引継回転部材4Aおよび供給部2の先端部から落下する不要物を受け部材401に受けることができる。
なお、この受け部材401を持ち上げて受板4AHから離脱させ、左右の下部支持板4AEの間から前方へスライドさせた後、供給部2の先端部下方の空間から左右外側方向へ取り出すことができる。
【0102】
また、上述の揺動枠4ADの左右両側部に、前後方向の案内レール4AKを取り付ける。この案内レール4AKは丸棒状に形成し、その前後両端部を揺動枠4ADの側面に固定し、その前後方向中間部を揺動枠4ADの側面から間隔をおいて配置する。
この左右の案内レール4AKに対して、左右の嵌合部材4ALを前後摺動自在に嵌合させ、この左右の嵌合部材4ALを備えた支持台4AMの外側部にピン4AOを固設し、このピン4AOに、連結板4ANの下部に形成した前後の孔を嵌合させる。
この連結板4ANの後側上部は、上述の搬送部6の後部従動ローラー群6A等を軸支する側枠4APの下部に軸4AQで軸着されており、連結板4ANの前側上部と側枠4APをノブボルト4ARで締結固定する。
【0103】
これにより、ノブボルト4ARによる締結固定を解除し、連結板4ANを支持台4AMから離脱させ、この連結板4ANを軸4AQ中心に回動させることで、支持台4AMと側枠4APの間に空間が形成され、この空間を介して搬送ベルト6Cを着脱することができる。
【0104】
なお、連結板4ANは側面視で逆コ字形状に形成し、その後部を開放する切り欠き部4ASを形成する。
これにより、案内レール4AKによって支持された搬送部6の搬送始端部を前方へ摺動させると、連結板4ANも上述の下部支持板4AEから離間し、切り欠き部4ASの前側の空間が拡大する。
この空間を利用して、受け部材401を、搬送部6の搬送始端部の下方から左右外側方向へ取り出すことができる。
【0105】
(肉屑収容具)
図1図2図5図18に示すように、上述の左側の第1受け部材400Lのシュート部402Lの下方から、排出案内管99の排出口99Eの下方にわたる範囲に、左側の肉屑収容箱(不要物収容箱)404Lを配置する。
また、右側の第1受け部材400Rの右側のシュート部402Rの下方に、右側の肉屑収容箱(不要物収容箱)404Rを配置する。
この左右の第1受け部材400L,400Rは、上面を開放した箱型の容器を、キャスター405と把持部406を有した囲繞フレーム407内に載置した構成とする。
【0106】
これにより、左側の第1受け部材400Lのシュート部402Lから流下する肉屑や水等の不要物と、排出案内管99の排出口99Eから排出される肉屑や水等の不要物を、左側の肉屑収容箱404Lに収容する。
また、右側の第1受け部材400Rのシュート部402Rから流下する肉屑や水等の不要物を、右側の肉屑収容箱404Rに収容する。
【0107】
作業終了時等に、作業者がこの左右の肉屑収容箱404L,404Rの把持部406を持ち、キャスター405を転動させながら廃棄場まで容易に移動させることができる。
これによって、肉屑や水等の不要物が食肉加工工場の床面へ漏出することを防ぎ、衛生的な工場内環境を維持できる。
【0108】
(操作部の構成)
図1図6に示すように、上述の左右の支持台2ISの後面には、左右の操作パネル502L,502Rを設け、上述の搬送部6における搬送方向上流部右側の部位に操作ボックス503を設ける。
これら左右の操作パネル502L,502Rと操作ボックス503に、上述のコントローラー7Aの入力側に接続されたスイッチおよびダイヤルの全部または一部が配置される。
【0109】
しかして、機枠1Wの後端部左側の部位から第1支持部材504を上方へ延設し、この第1支持部材504の上部に、第2支持部材505の基部を上下方向の支持軸506回りに回動自在に取り付け、この第2支持部材505の先端部に操作ボックス507を取り付ける。なお、支持軸506は垂直またはこれに近い姿勢に設定する。
これにより、図3および図4に示すように、操作ボックス507は、平面視で引継部4の左側ないし搬送部6の搬送始端部左側に臨む第1位置と、平面視で切断部3ないし引継部4の上方に臨む第2位置との間で位置変更自在に支持される。
【0110】
また、第2支持部材505の回動位置を第1位置と第2位置とに保持する位置保持装置509を設ける。この位置保持装置509は、第1支持部材504の上面に固定した板部材510の前側縁部に複数の係合孔を形成し、第2支持部材505の基部付近に上下摺動自在に支持した操作ピン511を、この係合孔に選択的に嵌入させる構成とする。
なお、この操作ボックス507の前面には、タッチパネル式の操作機能を備えた液晶表示画面501と押し込み操作式の異常停止スイッチ500を備え、操作ボックス507の左側部には把持部507Aを備える。
【0111】
これによって、第1位置側の作業者が、搬送部6上に切り出された肉片を手作業で食品トレーに盛り付ける作業を行なう際に、液晶表示画面501に表示される設定情報や異常情報等の各種の情報を監視することができる。また、液晶表示画面501のタッチ操作によって各部の作動状態や作動条件の設定等が行なえる。また、異常停止スイッチ500の押し込み操作によって食肉切断装置1全体の駆動を停止させることができる。
また、引継部4の右側ないし搬送部6の搬送始端部右側の作業者が、この操作ボックス507を扱う場合には、位置保持装置509による位置保持状態を解除し、把持部507Aを把持して操作ボックス507を第2支持部材505ごと第2位置まで横方向回動(水平に近い方向への回動)させる。
【0112】
従来の、畜肉、魚肉、野菜などを切断する食品切断装置に備えられた操作ボックスは、機体における位置が固定されていたため、引継部ないし搬送部の搬送始端部の左右両側からの視認性および操作性を十分に高めることができなかった。
これに対して、上述の構成によれば、操作ボックス507の位置を容易に変更することができ、引継部4ないし搬送部6の搬送始端部の左右両側からの視認性および操作性を高めることができる。
【0113】
なお、このように操作ボックス507を位置変更させるにあたり、この操作ボックス507およびこれを支持する第2支持部材505が、切断部3のカバー50およびカバー51、引継部4のカバー508、押圧杆5Dを昇降させる電動モーター5Cのカバー5CCよりも高い位置で横方向(水平に近い方向)に移動するため、これらと干渉しにくくなる。
なお、駆動プーリー32部および従動プーリー33部を覆う左右のカバー50,50を、各左右外側端部に設けたヒンジを中心として上方回動させて開放した状態で、このカバー50,50の上端が、側面視における第2支持部材505の下側の空間内に収まる(侵入する)ように構成している。これによって、第2支持部材505に干渉することなくカバー50,50を開放し、メンテナンスを容易に行なうことができる。
【0114】
また、第2支持部材505は直線状の筒部材(丸パイプまたは角パイプ)で形成され、その先端部に直交する姿勢で操作ボックス507が取り付けられる。これによって、操作ボックス507に備えられた異常停止スイッチ500の押し込み方向は、第2支持部材505の長手方向に沿う方向、すなわち、支持軸506を中心とした円の半径方向に沿う方向となる。この結果、異常停止スイッチ500を押し込む操作力によって操作ボックス507を移動させる方向の力(第2支持部材505を、支持軸506を中心として回動させる力)が発生しにくくなり、操作ボックス507の支持位置が安定する。
【0115】
なお、第1支持部材504は、水平方向の断面形状を矩形に形成し、その上部の前後幅を拡大して支持軸506の下部を侵入させる内部空間を形成している。
また、支持軸506は、第2支持部材505の基部に備えた上下方向の円筒部505Aに貫通させ、第1支持部材504の上面に固定した側面視でコ字形状の保持部材506Aによってその上下両端部を保持する。
【0116】
なお、第1支持部材504の上面から圧縮空気供給管512を上方へ延設し、この圧縮空気供給管512の上端部に、圧縮空気供給設備に連通した配管を接続する。
保持部材506Aの上部には、異常報知用の警告灯513を立設している。
【符号の説明】
【0117】
1 食肉切断装置(食品切断装置)
2 供給部
3 切断部
4A 引継回転部材
6 搬送部
32 駆動プーリー(回転部材)
33 従動プーリー(回転部材)
34 切断刃
37M 傾斜面
40M 傾斜面
61 受け部材(第3受け部材)
70 スクレーパ
74 ノズル部材(ノズル)
90 スクレーパ
400L 左側の第1受け部材
400R 右側の第1受け部材
401 受け部材(第2受け部材)







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