(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】パターン積層によるアノードの製造方法、その方法によって製造されるアノード、および、そのようなアノードを組み込んだ電気化学装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/1395 20100101AFI20241008BHJP
H01G 11/28 20130101ALI20241008BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20241008BHJP
H01G 11/32 20130101ALI20241008BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20241008BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20241008BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20241008BHJP
H01M 4/40 20060101ALI20241008BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20241008BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241008BHJP
H01M 4/74 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M4/1395
H01G11/28
H01G11/30
H01G11/32
H01G11/70
H01G11/86
H01M4/134
H01M4/40
H01M4/64 A
H01M4/66 A
H01M4/74 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021185810
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2022-01-31
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-13
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521500812
【氏名又は名称】エスイーエス ホールディングス ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SES Holdings Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】1 Robinson Road,18-00 AIA Tower,Singapore,Singapore 048542
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】アルンクマル ティルバンナマライ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンギュ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ローク
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリン ホン
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】▲高▼橋 徳浩
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-140028(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054593(WO,A1)
【文献】特開2016-164978(JP,A)
【文献】特開2011-34918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00-11/86
H01M 4/00- 4/84
H01M 10/00-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の電気化学装置のためのアノードを形成する方法であって、
前記アノードのそれぞれは、電気タブを有し、
前記方法は、
1)集電体ウェブを設けることと、
2)前記集電体ウェブの第1の側において、互いに間隔を置いた複数のアノード活物質パッチとして金属箔を前記集電体ウェブに積層させ、前記アノード活物質パッチと、前記金属箔を含んでいないパッチ間領域とを含むウェブ状アノード前駆体を設けることと、
3)前記ウェブ状アノード前駆体から前記アノードを形成し、前記アノードのそれぞれを対応する前記アノード活物質パッチから形成するようにすると共に、対応する前記電気タブを前記パッチ間領域の1から形成するようにすることと
を備え、
前記アノードを形成することは、前記ウェブ状アノード前駆体から前記アノードを分離させることを含
み、
前記方法は、
4)前記金属箔を前記集電体ウェブに固定する前に、前記金属箔が前記集電体ウェブに固定される各位置に導電性コーティングを適用し、前記パッチ間領域のそれぞれに前記導電性コーティングを適用せず、前記アノード活物質パッチのそれぞれに対応する導電性コーティングパッチを形成することをさらに備える、
方法。
【請求項2】
前記導電性コーティングは、導電性粒子および結合剤を備える、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性粒子は、導電性炭素粒子を備える、
請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合剤は、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される、
請求項
2または
3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性コーティングは、結合剤と、前記導電性コーティング
の70重量%
~90重量%の量の導電性炭素粒子とか
ら構成される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性コーティングを適用することは
、0.1μm
~5μmの硬化厚さを有するように前記導電性コーティングを適用することを含む、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記導電性コーティングを適用することは
、0.5μm
~2μmの硬化厚さを有するように前記導電性コーティングを適用することを含む、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性コーティングを適用することは
、1μmの硬化厚さを有するように前記導電性コーティングを適用することを含む、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属箔を前記集電体ウェブに固定する前に、前記導電性コーティングパッチを使用して前記金属箔のシートを前記導電性コーティングパッチと位置合わせさせることをさらに備える、
請求項
1から
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性コーティングパッチを使用して前
記金属箔のシートを前記導電性コーティングパッチと位置合わせさせることは、光学検出器を使用して前記導電性コーティングパッチのそれぞれの縁を検出することを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性コーティングパッチのそれぞれは、サイズおよび形状を有し、
対応する前記アノード活物質パッチは、それに位置合わせされ、前記導電性コーティングパッチのサイズおよび形状
と同じサイズおよび形状を有する、
請求項
1から
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記集電体ウェブは、幅および長さを有し、
前記アノード活物質パッチは、前記パッチ間領域がそれらの間に位置する状態で前記集電体ウェブの長さに沿って互いに離間される、
請求項1から
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アノード活物質パッチのそれぞれは、前記集電体ウェブの幅と同じ方向における幅を有し、
前記アノード活物質パッチのそれぞれの幅は、前記集電体ウェブの幅の少なくと
も95%である、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記電気タブのそれぞれは、タブ長さを有し、
前記方法は、隣接する前記アノード活物質パッチを、前記タブ長さ以上の最小距離だけ互いに離間させることをさらに備える、
請求項1から
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、ロールツーロール処理で実行され、
前記集電体ウェブは、連続的なリボンとして設けられる、
請求項1から
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
互いに間隔を置いて配置されると共に前記集電体ウェブの第1の側において隣接する前記アノード活物質パッチのそれぞれに対応する位置に配置される複数の裏側アノード活物質パッチとして、前記第1の側の反対側である前記集電体ウェブの第2の側において前記金属箔を前記集電体ウェブに固定することをさらに備える、
請求項1から
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記アノードのそれぞれは、活性領域を有し、
前記方法は、対応する前記アノード活物質パッチのどれかをサイズ調整し、前記アノードの活性領域
に一致させるようにすることをさらに備える、
請求項1から
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アノードは、前記アノード活物質パッチに対して1:1の比率で形成される、
請求項1から
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記アノードは、前記アノード活物質パッチに対して2:1の比率で形成される、
請求項1から
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記パッチ間領域のそれぞれは、対応する前記アノードのどれかの単一電気タブを形成するために使用される、
請求項1から
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記パッチ間領域のそれぞれは、前記パッチ間領域を画定する前記アノード活物質パッチのどれかにそれぞれ対応する2つの前記電気タブを形成するために使用される、
請求項1から
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記金属箔は、リチウムを備え、
前記アノードのそれぞれは、少なくとも20mmの幅および少なくとも120mmの長さを有する、
請求項1から
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記集電体ウェブは、銅を備える、
請求項1から
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記金属箔は、リチウムを備え、
前記アノードのそれぞれは、少なくとも50mmの幅および少なくとも150mmの長さを有する、
請求項1から
23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記集電体ウェブは、固体金属箔を備える、
請求項1から
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記集電体ウェブは、有孔金属箔を備える、
請求項1から
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記集電体ウェブは、金属メッシュを備える、
請求項1から
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記集電体ウェブは
、4μm
~10μmの範囲の厚さを有する、
請求項1から
27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記アノード活物質パッチのそれぞれは
、15μm
~25μmの範囲の厚さを有する、
請求項1から
28のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2021年4月2日に出願された「ANODE FABRICATION BY PATTERN LAMINATION, ANODES MADE THEREBY, AND SECONDARY BATTERIES CORPORATING SUCH ANODES」という名称の米国仮特許出願第63/170,207号の優先権の利益を主張する。そして、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、電気化学装置の分野に関する。特に、本開示は、パターン積層によるアノードの製造方法、その方法によって製造されるアノード、および、そのようなアノードを組み込んだ電気化学装置を対象とする。
【背景技術】
【0003】
充電式または二次リチウム金属バッテリーでは、現在のリチウムイオンバッテリーより体積および重量エネルギー密度が高い。グラファイトのようなインターカラント物質から形成されるアノード(負極)を含むリチウムイオンバッテリーとは異なり、典型的な二次リチウム金属バッテリーでは、リチウム箔(アノード活物質)が銅箔(集電体)の両面に積層し、従来のリチウム-銅-リチウム(Li/Cu/Li)アノード構造が形成される。しかし、リチウムは柔らかくて粘着性があり、120mm以上の幅を有する極薄(50um未満の厚さ)のリチウム箔を製造することは、従来のロール圧延処理では困難である。その結果、その幅の制約は、積層技術を用いて構築され得るアノードおよびセルのサイズを制限する。
【0004】
図1Aおよび
図1Bは、銅箔ウェブ16の両側に極薄リチウム箔リボン14Aおよび14Bを連続的に積層させてウェブ状アノード前駆体18を形成することを含むロールツーロール処理12を用いて従来のLi/Cu/Liアノード(破線領域10によって表される)を製造する従来の手法を示す。銅箔ウェブ16の幅Wwは通常、リチウム箔の幅Wfよりも広く、積層構造は通常、銅箔ウェブの少なくとも1つの縁部に沿ってむき出しの銅領域16Aを有する。Li/Cu/Liアノードが、積み重ねられた電気化学セルの「ゼリーロール」に組み立てられるとき、むき出しの銅領域16Aが、電気タブ10Aを形成するために設けられ、アノード前駆体18から打抜かれるLi/Cu/Liアノード10への電気的接触が可能になる。電気タブ10Aがなければ、積み重ねられたゼリーロールにおけるLi/Cu/Liアノード10の複数の層を、完成した電気化学セルにおける外部電気リード線(図示せず)に接続することは困難となる。上述したように、リチウムの物理的特性のために、リチウム箔ウェブ16の幅Wfは、所望の極薄リチウム箔を使用する場合には約120mmに制限され、このことは、従来のロールツーロール積層技術を使用して作製され得るLi/Cu/Liアノード(
図1Aおよび
図1BのLi/Cu/Liアノード10など)のサイズを制限し、このことに対応して、極薄リチウム金属アノードで作製され得るリチウム金属電気化学セル(図示せず)(例えば、二次リチウム金属バッテリーセル)のサイズが厳しく制限される。今度は、この制限が、電気自動車のような、実用可能な動作のために高容量バッテリーを必要とする用途のためのリチウム金属二次セルの開発を特に妨げている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、1以上の電気化学装置のためのアノードを形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施態様では、本開示は、1以上の電気化学装置のためのアノードを形成する方法を対象とする。ここで、前記アノードのそれぞれは、電気タブを有する。この方法は、1)集電体ウェブを設けることと、2)前記集電体ウェブの第1の側において、互いに間隔を置いた複数のアノード活物質パッチとして、金属箔を前記集電体ウェブに積層させ、前記アノード活物質パッチと、前記金属箔を含んでいないパッチ間領域とを含むウェブ状アノード前駆体を設けることと、3)前記ウェブ状アノード前駆体から前記アノードを形成し前記アノードのそれぞれが対応する前記アノード活物質パッチから形成するようにすると共に、対応する前記電気タブ前記パッチ間領域の1から形成するようにすることとを含む。また、前記アノードを形成することは、前記アノードを前記ウェブ状アノード前駆体から分離させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の局面を説明するために、図面は、本開示の1つまたは複数の実施形態の特徴および/または特性を例示する。しかし、図面に示される正確な配置および手段に本開示が限定されないことを理解されたい。
【
図1A】従来のロールツーロール積層処理における従来のウェブ状アノード前駆体の一部の平面図である。なお、ウェブ状アノード前駆体からLi/Cu/Liアノードが打ち抜かれる前のLi/Cu/Liアノードが示されている。
【
図1B】アノードがウェブ状アノード前駆体から打ち抜かれる前における、
図1Aの線1B-1Bに沿って切られた従来のLi/Cu/Liウェブ状アノード前駆体の拡大誇張断面図である。
【
図2】本開示の例示的なアノード形成積層方法を示すフロー図である。
【
図3A】例示的なウェブ状アノード前駆体およびそれから除去される例示的なアノードの部分平面図である。なお、これらは、任意の導電性コーティングパッチの適用からアノード活物質パッチの積層まで、ウェブ状アノード前駆体からアノードを除去するための処理の異なる段階で示されるウェブ状アノード前駆体を用いた
図2の方法を使用して作製され得る。
【
図3B】
図3Aの線3B-3Bに沿って切られた
図3Aの例示的なアノードの拡大誇張断面図である。
【
図4】
図2の例示的なアノード形成積層方法を実施する例示的なロールツーロール積層処理の高レベル概略図である。
【
図5A】ウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域およびアノード活物質パッチ(および、使用される場合、導電性コーティングパッチ)の代替配置例を示す異なるウェブ状アノード前駆体の部分平面図である。
【
図5B】ウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域およびアノード活物質パッチ(および、使用される場合、導電性コーティングパッチ)の代替配置例を示す異なるウェブ状アノード前駆体の部分平面図である。
【
図5C】ウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域およびアノード活物質パッチ(および、使用される場合、導電性コーティングパッチ)の代替配置例を示す異なるウェブ状アノード前駆体の部分平面図である。
【
図5D】ウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域およびアノード活物質パッチ(および、使用される場合、導電性コーティングパッチ)の代替配置例を示す異なるウェブ状アノード前駆体の部分平面図である。
【
図5E】ウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域およびアノード活物質パッチ(および、使用される場合、導電性コーティングパッチ)の代替配置例を示す異なるウェブ状アノード前駆体の部分平面図である。
【
図6】本開示の導電性コーティング層がある場合とない場合における例示的なLi/Cu/Liアノードのサイクル寿命性能を比較している放電容量対サイクル寿命のグラフである。
【
図7】本開示に従って作製された複数のアノードを用いて作製された電気化学セルの高レベル断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの局面では、本開示は、特定の積層技法を使用して、1つまたは複数の電気化学装置のためのアノードを形成する方法を対象とする。本開示のアノード形成積層方法から恩恵を受け得る電気化学装置の例は、金属ベースの二次バッテリーおよびスーパーキャパシタを特に含む。この文脈において、「金属ベース」は、アノード活物質である少なくとも1つの金属層を各々が備える1つ以上のアノードを論点の電気化学装置が有することを意味する。金属層に用いられ得る金属の例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウム、または、これらの金属を含む合金が特に挙げられるが、これらに限定されない。後述するように、いくつかの実施形態では、本開示のアノード形成積層方法により、金属アノード、特にリチウム金属アノードなどのアルカリ金属アノードは、同じアノード活性金属を使用して作製される従来の積層アノードよりも大きいサイズで作製される。このようなより大きなサイズは、例えば、従来の二次バッテリーの限界を克服するより高容量の二次バッテリーに繋がる。当業者であれば容易に理解するように、本明細書に開示される積層技術は、費用効果を高め得て、製造コストは、電気自動車などの高エネルギーを要求する用途に必要な大容量二次バッテリーを製造するための特に重要なパラメータである。
【0009】
いくつかの局面では、本開示は、集電体と、集電体の片側または両側における金属アノード活性層と、集電体と各金属アノード活性層との間に位置する導電性コーティング(または単に「伝導性コーティング」)とを含むアノードを対象とする。いくつかの実施形態では、導電性コーティングは、導電性炭素ベースのコーティングであり、これは、1つ以上の形態の導電性炭素、結合剤、および、任意選択による1つ以上の金属の粒子を含み得る。他の実施形態では、導電性コーティングは、1つ以上の金属の粒子および結合剤のみを含み得る。いくつかの実施形態では、導電性コーティングは、集電体へのアルカリ金属層の固定を改善する。例えば、製造された従来の積層アノードでは、銅集電体に適用されるリチウム金属層は銅集電体に必ずしも結合するとは限らず、取り扱い中にそれらが銅集電体から剥離することを当業者は理解するであろう。本開示の導電性コーティングを使用することは、この剥離を防止し得る。また、リチウム金属層が、サイクル時に多孔質の苔状構造にほとんど変換される場合に、本開示の導電性コーティングは、リチウム金属層との接触を維持するように機能し得る。また、本開示の導電性コーティングを使用することは、集電体ウェブ上にアノード活物質の金属箔シートを配置するのを助け得て、および/または、導電性コーティングのいくつかの実施形態の優れた接着特性を活用する新しい製造技術を可能にし得る。導電性コーティングを含む本開示の金属ベースのアノードは、本明細書に開示されるアノード形成積層方法のいずれか1つ、または、任意の適切な従来の方法などの任意の適切な方法を使用して作製され得る。
【0010】
さらに他の局面では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかを使用して、および/または、本明細書に開示される導電性コーティング含有アノードのいずれかを使用して電気化学装置を作製する方法を対象とすると共に、本開示の方法を使用して、および/または、本明細書に開示される導電性コーティング含有アノードのいずれかを使用して作製される電気化学装置を対象とする。本開示の上記および他の局面は、以下に詳細に記載される。
【0011】
より詳細な説明を続ける前に、本開示全体を通して、用語「約」は、対応する数値と共に使用される場合、数値の±20%、典型的には数値の±10%、多くの場合には±5%、より多くの場合には数値の±2%を指すことに留意されたい。いくつかの実施形態では、用語「約」は、数値自体を意味し得る。また、本開示のアノードを形成するために使用される用語「側面」は、本開示のアノードまたは任意の他の構造もしくはその領域のアノード、層、コーティング、箔、ウェブ、リボン、または、任意の他の構成要素、もしくは、その領域を指す場合、構成要素または構造の縁の間において構成要素または構造の厚さに垂直な方向に延びる構成要素または構造の広がりを指すことに留意されたい。言い換えれば、本開示の文脈において、構成要素または構造の「側面」は、構成要素または構造の厚さによって分けられている。
【0012】
ここで、
図2、3A、3Bおよび4を参照し、各要素の数字の最初の桁はその要素が最初に示される図に対応することにそれ相応に留意されたい。
図2は、1つ以上の電気化学装置(図示せず)のためのアノード300(1つだけ分離されて示される)を形成する例示的なアノード形成積層方法200を示し、
図3Aおよび3Bは、この方法を使用して作製されたウェブ状アノード前駆体304およびアノード300を示し、
図4は、アノード形成積層方法200の様々なステップを実行するための例示的なロールツーロール(R2R)処理システム400を示す。アノード形成積層方法200は、全てが互いに同じサイズであり得るまたは異なるサイズであり得る複数のアノード300を形成するために使用され得る。各アノード300は、活物質領域308Aと、活物質領域の延長部として形成される導電性タブまたは単に「タブ」308Bとを有する集電体308を含む。活物質領域308Aは、アノード設計の要件に応じて、集電装置308の片側または両側におけるアノード300に積層されたアノード活物質312を含む。活物質領域308Aは、活物質領域からタブ308Bが延びる方向Dtに平行な方向における長さLaを有する。長さLaは、例えば、活物質312の厚さTamが約50μm以下、約15 μm~約25 μmまたは約20μm以下である場合、約50mm~約800mm、約100mm~約600mmまたは約100mm以上などの任意の適切な長であり得る。長さLaに垂直な方向における活物質領域308Aの幅Waは同様に、例えば、厚さTamが約50μm以下、約15 μm~約25 μmまたは約20μm以下である場合、約10mm~約200mm、約20mm~約150mmまたは約120mm未満などの任意の適切な幅であり得る。いくつかの実施形態では、幅Waは、200mmよりも大きい幅を含む従来の箔形成技術を用いて、選択されたアノード活物質から形成され得る所与の厚さにおける箔の最大幅であり得る。例えば、リチウム箔の現在の最大幅は、約50μm以下の厚さについて約120mmであるが、将来の技術は、より大きな幅を可能にし得て、本明細書に開示される技術は、それらの技術に容易に追いつくことができる。
【0013】
厚さTamが約50μm以下である場合、特に、実際上電流限界である120mmより大きい幅を有するリチウム箔を製造する方法が工業的に考案される場合、本開示の方法は、例えば、約150mm(Wa(
図3A))×約600mm(La(
図3A))までの面積寸法またはそれより大きい面積寸法を有するアノード300のリチウムベース版などのリチウムアノードの製造を可能にする。一例では、従来の積層処理は、リチウム厚さが20μmで面積サイズが約53mm×45mmのLi/Cu/Liアノードを生じさせ、一方、本開示の積層方法、例えば、
図2の積層方法200は、同じリチウム厚さ(Tam)において550mmの活性領域長さLaおよび107mmの活性領域幅を有するアノード300を生じさせた。アノードのサイズに応じて、セル容量(Ah)およびエネルギー(Wh)は、任意の導電性コーティングパッチ328(以下を参照)の有無に関わらず、本開示に従って作製されるアノード300で組み立てられる二次バッテリーにおいてそれ相応にはるかに高くなる(例えば、25倍以上、50倍以上またはそれ以上)。電気自動車のような高エネルギーを要求する用途に必要とされる容量100Ahを超えるリチウム金属二次バッテリーは、開示された方法論を用いて構築され得る。比較例として、同数のスタック層について、53mm×45mmのアノードは~4Ahのセルを形成し、一方、550mm×107mmのアノードは~100Ahのセルを形成する。加えて、大型セルは、より少ないパッケージングを必要とするので、これらのバッテリーの重量および体積エネルギー密度(それぞれWh/KgおよびWh/L)もより高くなるであろう。例えば、上述の~4Ah対~100Ahのセルの例では、重量エネルギー密度が、より小さいセルからより大きいセルへと、約400 Wh/kgから約410 Wh/kgに増加する。
【0014】
いくつかの実施形態では、アノード300は、アノード活物質が存在する集電体の各側において、アノード活物質312と集電体308との間に導電性コーティング316を含み得る。導電性コーティング316が存在する場合、およびアノード活物質312が活物質領域308Aとほぼ同一の広がりを有すること、すなわち、対応する活物質領域の長さLaおよび幅Waとそれぞれほぼ同じ長さLccおよび幅Wccを有することが導電性コーティング316にとっては通常望ましい。
図3Aに見られるように、アノード300は、ウェブ状アノード前駆体の対応するアノード領域320(1)から除去されたウェブ状アノード前駆体304から除去されたものとして示されている。また、
図3Aは、ウェブ状アノード前駆体から一旦除去されると2つの追加のアノード(図示せず)を生じさせるウェブ状アノード前駆体304におけるの2つの追加のアノード領域320(2)および320(3)を示す。各アノード領域320(1)~320(3)は、活性領域部分320A(1)~320A(3)と、タブ部分320B(1)~320B(3)とを含む。
図3Aにおいて、アノード領域320(2)は、活性アノード物質を含むと共に、除去される対応するアノードの準備ができているが、アノード領域320(3)は、まだ活性アノード物質を含まない。集電体308、アノード活物質312および導電性コーティング316のそれぞれの例示的な物質は、上記および下記の両方で言及される。
【0015】
ブロック205において、アノード形成積層方法200は、集電体ウェブ324を設けるステップを含む。一実施形態では、
図4に示すように、集電体ウェブ324は、
図4のR2R処理システム400に適した集電体物質のリボン404として設けられ得る。他の実施形態では、集電体ウェブ324は、集電体物質が個々のシートとして設けられるシート形態などの別の形態で設けられ得る。集電体ウェブ324は、金属、例えば特に銅、ニッケル、チタンまたはステンレス鋼などの任意の適切な導電性物質、または、任意の適切な金属合金から作製され得る。基本的に、集電体ウェブに使用される物質の種類は限定されない。集電体ウェブ324は、特に中実箔、多孔箔、織物メッシュまたは拡張メッシュなどの様々な形態のいずれかをとり得る。基本的に、集電体ウェブ324の形態に制限はない。任意のメッシュまたは他の開放構造は、全面積に対する開放面積の割合が約5%~約95%の範囲であり得る。多孔メッシュは、使用される場合、従来の穿孔、回転式型抜き、電鋳、写真蝕刻およびレーザ切断を含むが、これらに限定されない様々な工程のいずれかによって作製され得る。いくつかの実施形態では、特に、アノード活物質の厚さTamが約50μm以下であり活物質がリチウムなどのアルカリ金属である場合、集電体ウェブ324は、約20mm~約200mmの範囲の幅Ww、約120mm~約200mmの範囲の幅Ww、約150mm~約300mmの範囲の幅Wwまたはそれより大きい幅Wwを有する。集電体ウェブ324の長さは、リボンベース処理またはシートベース処理における
図2のアノード形成積層方法200など、本開示のアノード形成積層方法を実施するのに適応する任意の適切な長さであり得る。
【0016】
アノード300の集電体308のタブ308Bは、集電体ウェブ324のむき出し領域304A、すなわちアノード活物質が存在しない集電体ウェブの領域から形成され得て、任意の導電性コーティング316が使用される場合には導電性コーティング物質も存在しない。その結果、以下に説明するように、ウェブ状アノード前駆体304のアノード領域320のタブ部分320B(1)~320B(3)がむき出しであることが必要とされる。
【0017】
任意のブロック210では、例えば、完成したアノード300が、集電体ウェブの片側または両側にアノード活物質を有するか否かに応じて、任意の導電性コーティングパッチ328が、集電体ウェブ324の片側または各側に適用される。
図3Aでは、単一の導電性コーティングパッチ328のみが示されているが、この例では同様の導電性コーティングパッチも集電体ウェブ324の反対側にある。設けられる場合、導電性コーティングは導電性コーティングパッチ328に設けられ、集電体ウェブ324のむき出し部分であるパッチ間領域304Aに設けられ、ここで、アノード領域320のタブ部分320Bが配置されてそこからアノード300のタブ308Bが形成される。各パッチ間領域304Aは、それぞれのアノード300において対応するタブ308Bの長さLt以上のギャップ幅Wgを有し得る。いくつかの実施形態では、ギャップ幅Wgは、同じまたは似たような寸法であるタブ308Bの長さLtに基づいて、約10mm~約30mmの範囲であり得る。他の実施形態では、各パッチ間領域304Aのギャップ幅Wgは、特定のアノード設計に適するように約30mmよりも大きくなるか約10mmよりも小さくなり得る。
【0018】
導電性コーティングパッチ328が集電体ウェブ324の両側に設けられる場合、同じアノード300に対する導電性コーティングパッチは、互いに位置合わせされ、導電性コーティングパッチおよびパッチ間領域304Aは、集電体ウェブ324の長さに沿って互いに同じ位置になる。いくつかの実施態様において、各導電性コーティングパッチ328の幅Wccpは、アノード300の活物質領域308Aの幅Waとほぼ等しくなり、廃棄物を最小限にする。いくつかの実施形態では、各導電性コーティングパッチ328の幅Wccpは、活物質領域308Aの幅Waよりも、活物質領域308Aの各側で約1mm~約3mmまたはそれ以上大きくなって、アノード300がウェブ状アノード前駆体304から除去されるときに導電性物質がアノードの切断縁部に存在することを確実にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、各導電性コーティングパッチ328の幅Wccpは、特に、方法200が使用されてアノード領域320の単一ラインからアノード300が作成される場合、集電体ウェブ324の幅Wwにほぼ等しい。いくつかの実施態様において、各導電性コーティングパッチ328の幅Wccpが集電体ウェブ324の幅の約95%未満であるように作製され、廃棄物の取り扱いを容易にするために十分に集電体ウェブがそのままにされる。例えば、
図4のR2Rシステム400のようなR2Rシステムにおいてアノード300が除去された後に残る集電体ウェブ324を十分に用いて、廃棄物物質を廃棄物収集ロール(図示せず)上に転がすことができる。いくつかの実施形態では、各導電性コーティングパッチ328の幅Wccpおよび/または対応するアノード活物質パッチ336の幅Waampは、とりわけ、例えば、約0.9Ww<Wccpおよび/またはWaamp<Ww、約0.95Ww<Wccpおよび/またはWaamp<Ww、または、約0.98Ww<Wccpおよび/またはWamp<Wwなど、集電体ウェブ324の幅Wwの100%未満になるように作製される。いくつかの実施形態では、各集電体パッチ328の長さLccpは、アノード300の活物質領域308Aの長さLaとほぼ等しくなるようにされ、無駄が最小限に抑えられる。いくつかの実施形態では、各導電性コーティングパッチ328の長さLccpは、活物質領域308Aの長さLaよりも、活物質領域308Aの各側で約1mm~約3mm長くなって、アノード300がウェブ状アノード前駆体304から除去されるときにアノードの切断縁部に導電性物質存在することが保証されることを確実にする。タブ308Bがある導電性コーティングパッチ328の縁部に沿って、導電性コーティングは、典型的にはアノード活物質パッチ336と同一平面上にあるべきであり、または、それを越えて最大で約1mm延びるべきである。典型的には、導電性コーティングパッチ328およびアノード活物質パッチ336がタブ308B上に約1.5mmを超えて延在しないことが好ましい。そうでなければ、その「過剰である」物質は、タブ溶接工程を妨害し得る。
【0020】
各導電性コーティングパッチ328は、対応するアノード活物質パッチ336に関連して下塗剤として作用して、最終的なアノード300におけるアノード活物質312と集電体308との間の低い接触抵抗を維持しながらそれらの間の接着を改善するのを助け得る。設けられる場合、各導電性コーティングパッチ328は、1つまたは複数の種類の導電性炭素粒子と、粒子を互い結合させると共に粒子を集電体ウェブ324に結合させるための適切な結合剤とを含む導電性炭素物質など、任意の適切な導電性物質から作製され得る。他の実施形態では、導電性炭素粒子は、金属粒子で増強され得る。一方、さらに他の実施形態では、金属粒子だけは、適切な結合剤と共に使用され得る。
【0021】
導電性炭素物質は、使用される場合、導電性炭素と結合剤物質とを水性または有機溶媒媒体中に混ぜて最終的に集電体ウェブ324に適用した後に乾燥させることによって用意されるスラリーとして提供され得る。用いることができる導電性炭素物質の例には、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブまたはそれらの混合物が含まれる。また、粉末形態の銀などの金属が導電性炭素と混合されて、導電性が高められ得る。結合剤物質の例としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、CMC(カルボキシメチルセルロース)およびSBR(スチレン-ブタジエンゴム)ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
上述のように、導電性コーティングパッチ328における結合剤は、アノード活物質パッチ336が集電体ウェブ324に良好に接着するのを助け得て、取り扱い中および使用中に集電体ウェブおよび集電体308からアノード活物質が剥離するのを防止し得る。導電性コーティングにおける導電性物質は、完成したアノード300におけるアノード活物質312と集電体308との間の低い接触抵抗を維持するのに役立ち、これは、より良好な接着と共に、そのような導電性物質を組み込んだアノードを使用して作製された二次バッテリーにおけるセルサイクル性能を改善するのに役立つ。
【0023】
各導電性コーティングパッチ328の厚さは、他の範囲および値の中でも、例えば、約0.1um~約5umの範囲、約0.5μm~約2 μmの範囲、および、約1 μmとなり得る。いくつかの実施態様において、アノード活物質の表面粗さ(Ra、算術平均粗さ)がX μmである場合、コーティングの厚さは、約0.2Xμmから約2X μmの範囲内であり得る。現在の根拠によると、いくつかの実施形態(リチウム箔がアノード活物質パッチ336に使用される実施形態を含む)において、各導電性コーティングパッチ328について約1μmの厚さが、以下の考察に基づいて最適であり得ることが実証される。導電性コーティングパッチ328は、接着性および導電性を改善するのに十分な量である必要がある。しかし、より厚いコーティングは、副反応を発生させ、セルに不必要な重量および体積を加え得る。加えて、アノード活物質(例えば、リチウム)の平均表面粗さの変動に適応する最小厚さが存在し得る。この関係は、多くの因子に依存して直接的または反比例し得る。例えば、リチウムの状況では、リチウム金属は容易に変形し、より高い粗さを有するリチウム箔は、例えば、銅表面に容易に付着し得て、薄い導電性コーティングは、必要とされる全てであり得る。しかし、この関係は、リチウム箔の表面上に存在する任意の不活性化層によってさらに複雑になり得る。これは、元のリチウム表面が銅表面に良好に結合し得るためである。しかし、ほとんどのリチウム箔は、所定供給元の特定の製造プロセスに応じて異なる化学的性質および厚さの値を有する表面不活性化層を有する。その結果、関連する特定の事実に応じて最適な厚さに変動があり得る。
【0024】
それぞれの導電性コーティングパッチ328における導電性コーティング物質の面積負荷は、いくつかの実施形態では約0.1g/m2~約2g/m2であり得て、いくつかの実施形態では約0.5g/m2であり得る。いくつかの実施形態では、それぞれの導電性コーティングパッチ328の表面抵抗率は、約1μmのコーティング厚さに対して約30オームパースクエア未満であり得て、表面抵抗は、約3×10-3オーム-cm未満であり得る。一般に、表面抵抗率の単位はオームパースクエアであり、表面抵抗は、導電性コーティングパッチが厚くなるほど抵抗率が低くなるように各導電性コーティングパッチ328の厚さに依存する。したがって、約1μm以外の厚さでは、表面抵抗率は、30オームパースクエアとは異なることになる。いくつかの実施形態では、導電性コーティング物質における導電性物質(例えば、導電性炭素、導電性金属またはそれらの組み合わせ)の量は、約5重量%~約95重量%の範囲、または約70重量%~約90重量%の範囲であり得る。
【0025】
導電性コーティングパッチ328を使用する利点の一例として、アノード活物質がリチウムであり集電体ウェブ324が銅であるという状況において、新しいリチウムは、典型的には銅表面によく接着する。しかし、従来のリチウム箔の表面に典型的に存在する不活性化層は、銅へのそれの接着を阻害する。不活性化層の組成は、リチウム箔が製造中に最初に暴露された雰囲気に依存し、典型的には、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウムおよび窒化リチウムなどの塩から作製される。さらに、リチウム箔の表面はまた、リチウム箔を形成するために使用されるロール圧延処理からの残留潤滑油を有し得る。表面における不活性化層および/または残留油の存在は、積層中にリチウム箔が銅に良好に付着するのを妨げる。導電性コーティングパッチ328を設けることは、集電体ウェブ324に良好に接着してアノード活物質パッチ336が良好に接着する層を設けることによってこの問題を克服するのに役立つ。
【0026】
例えば、銅箔(集電体)に圧着されたリチウム箔(アノード活物質)のサンプルに剥離試験を適用し、サンプルの1つにおいてはリチウム箔を銅箔に直接適用し、サンプルのもう1つにおいてはリチウム箔と銅箔との間に導電性炭素コーティングを介在させた。SCOTCH(登録商標)テープ(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)の一片を、各サンプルのリチウム箔上に緩やかに押し当て、次いでゆっくりと剥がした。サンプルの1つに導電性コーティングが存在することを除いて2つのサンプル間における積層条件は同じであるにもかかわらず、銅箔に直接積層したリチウム箔は、テープとともに銅箔から剥がれ、一方、導電性炭素コーティングに積層したリチウム箔は、テープで剥がれず、導電性炭素コーティングと導電性炭素コーティング下の銅箔とに積層したままであった。なお、SCOTCH(登録商標)テープ以外の感圧テープが用いられ得ることに留意されたい。リチウム箔が銅箔に良好に接着される場合、剥離力は典型的には約200 N/mより大きい。
【0027】
任意の導電性コーティングパッチ328を集電体ウェブ324に適用するために、例示的なR2Rシステム400は、論点となる種類の導電性コーティング物質に適したコーティング塗布装置408を含み得る。例えば、コーティング塗布装置408は、特に、ナイフ型塗布器、スプレー塗布器またはローラ塗布器であり得る1つまたは複数のコーティング塗布器408A(1)および408A(2)を含み得る。使用され得るコーティング処理の例には、特に、スロットダイカスト、テープキャスティング、グラビア印刷、コンマコーティング、スプレーコーティングおよび浸漬コーティングが含まれる。基本的に、導電性コーティングパッチ328を適用し得る方法に制限はない。また、コーティング塗布装置408は、特にオープンマスクまたはシルクスクリーンなどの1つまたは複数のパターニング装置408B(1)および408B(2)を含み得て、導電性コーティングパッチが所望のサイズであることを確実にする。当業者は、ウェブ状アノード前駆体304における適切な位置で集電体ウェブ324に任意の導電性コーティングパッチ328を適用する方法、および、そのような適用に必要とされる適切なコーティング塗布装置408を容易に理解するであろう。そのため、各々の詳細な説明は、当業者が過度の実験なしに最大範囲まで本発明を実施するために必要ではない。
【0028】
ブロック215では、金属箔332は、対応するアノード活物質パッチ336(1つだけ示されているが、この例では別のアノード活物質パッチが集電体ウェブの反対側に存在する)として、集電体ウェブ324の片側または各側に積層される。まず、金属箔332の積層は、特定の用途において使用されるか否かに応じて導電性コーティングパッチ328を有するか否かを問わず、金属箔332を集電体ウェブ324と係合させることを含み得る。金属箔332の係合は、例えば、特に、一時的な保持基板からの移送を介して、またはピックアンドプレースシステムを介してなど任意の適切な方法で実行され得る。いくつかの実施態様において、金属箔332は、集電体ウェブ324と、または、存在する場合には各対応する導電性コーティングパッチ328とに強固に係合するように押し付けられ得る。このような押し付けは、例えば、とりわけローラープレスまたは固定プレスを使用するなどの任意の適切な方法で実施され得る。いくつかの実施態様において、金属箔332の積層は、ロール圧延機またはカレンダリング機を用いて実施され得て、積層圧力は、ロール間のギャップ設定によって決定される。いくつかの実施形態では、ローラによって加えられる圧力は、金属箔332を著しく変形させるべきではなく、すなわち、リチウム箔の厚さの減少、または、幅および/または長さの増加はわずかであるべきである。例えば、導電性コーティングパッチ328が存在する場合、対応するアノード活物質パッチ336における金属箔332は、通常、下層の導電性コーティングパッチの占有領域内に残ることが望ましい。いくつかの実施形態では、金属箔332の厚さの減少が金属箔の元の厚さの約10%未満であり、金属箔の長さおよび/または幅の増加が約2%未満であることが望ましい。基本的には、金属箔332をウェブ状アノード前駆体304上に押し付け得る方法に制限はない。
【0029】
金属箔332は、他の範囲および値のうち、いくつかの実施形態では約15μm~約25 μmの範囲、いくつかの実施形態では約20 μm、いくつかの実施形態では約10μm~約50 μmの範囲、いくつかの実施形態では約1 μm~約100μmの範囲の厚さを有し得る。これらの厚さは、純リチウムを含むリチウム含有箔、一般的なアルカリ金属ベースの箔、および、1つ以上の他の金属ベースの箔に特に適用可能である。現在の根拠によると、リチウム金属箔を含む金属箔332について約20μmの厚さが、アノード300を使用して作製される電気化学セルの厚さに加えられる一方で、とりわけ、サイクル寿命、取り扱い性、コスト、重量およびメッキを含む様々な要因の最適なかね合いであり得ることが実証される。集電体ウェブ324の厚さは、他の範囲および値のうち、特に集電体ウェブが銅箔である場合を含めて、いくつかの実施形態では約4μm~10 μmの範囲、いくつかの実施形態では約6 μmであり得る。現在の根拠によると、集電体の厚さ6μmが例えば、重量、強度、エネルギー密度、積層の複雑さ、費用および厚さの最適なかね合いとなり得ることが実証される。
【0030】
いくつかの実施形態では、金属箔332は、アノード領域320(1)~320(3)の活性領域部分320A(1)~320A(3)のサイズ、または、対応する導電性コーティングパッチ328のサイズ、または、その両方のサイズにほぼ等しくなるように事前にサイズ決定され得る。このようなサイズ調整をすることは、例えば、一時的な基板からの移送処理において、または、緩やかな真空吸引を適切に使用するピックアンドプレース処理のようなピックアンドプレース処理において利用され得る。いくつかの実施形態では、金属箔332は、連続シートまたはリボンで設けられ得る。例えば、導電性コーティングパッチ328が使用され、それらが集電体ウェブ324のむき出し部分に比べて金属箔に対してかなりの接着力を提供する場合、アノード活物質パッチ336は、連続シートまたはリボンを集電体ウェブに押し付けると共に金属箔がうまく接着しない集電体ウェブの以前にむき出しであった部分から金属箔332の部分を除去することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、各アノード活物質パッチ336の幅Waampは、無駄を最小限にするために、アノード300の活物質領域308Aの幅Waにほぼ等しい。いくつかの実施形態では、各アノード活物質パッチ336の幅Waampは、活物質領域308Aの幅Waよりも、活物質領域308Aの各側で約1mm~約3mm大きく、アノード300がウェブ状アノード前駆体304から除去されたときにアノードの切断縁部に導電性物質が存在することを確実にする。
【0031】
いくつかの実施態様において、導電性コーティングパッチ328が使用され、使用される導電性コーティング物質が適切な特性を有する導電性コーティングパッチを提供する場合、方法200は、任意選択のサブブロック215Aにおいて、導電性コーティングパッチを使用して、金属箔332のシートを導電性コーティングパッチと位置合わせすることを含み得る。例えば、導電性コーティングパッチ328が、導電性コーティングパッチと下層の集電体ウェブ324との間において光学的コントラストのような機械検出可能なコントラストを提供する場合、適切な検出システムが提供されて、コントラストが感知されると共に、金属箔332のシートと導電性コーティングパッチとの位置合わせを制御する制御システムに位置情報が提供され得る。検出システムの一例は、各導電性コーティングパッチ328の1つまたは複数の縁部を検出して位置決めすることができる機会視覚システムである。
【0032】
図4および例示的なR2Rシステム400を参照すると、R2Rシステムは、金属箔332(
図4では一部にのみラベル付けされている)が集電体ウェブ324と係合して集電体ウェブ324に積層される積層領域412を含み得る。上述のように、積層領域412は、例えば、金属箔332が集電体ウェブ324に送達される方法、導電性コーティングパッチ328が使用されるか否か、および、金属箔が集電体ウェブに押圧される方法に応じて、多種多様な形態のいずれをとり得る。
図4に示す実施形態では、金属箔332は、一対の仮支持リボン420(1)および420(2)(集電体ウェブリボン404の各側に1つずつ)における個々の箔シート416(
図4では一部にのみラベル付けされている)として送達され、この支持リボンは、箔シートが集電体ウェブリボンに積層される前に箔シートを比較的緩く保持する。また、図示の実施形態では、集電体ウェブリボン404と強固に係合するように箔シート416を押圧するローラープレス424が含まれ、アノード活物質パッチ336が形成される。
【0033】
この実施形態では、例えば、比較的少量の圧力を加えて箔シートを集電体ウェブリボンに輸送することができる一対の輸送ローラ428(1)および428(2)を使用して、箔シート416が集電体ウェブリボン404に送達される。集電体ウェブリボン404を有する箔シート416間の接着力が大きいため、特に導電性コーティングパッチ328が存在する場合、箔シートと仮支持リボン420(1)および420(2)との間より、仮支持リボンは、今やウェブ状アノード前駆体304の一部であるアノード活物質パッチ336から容易に剥離し得る。いくつかの実施形態では、仮支持リボン420(1)および420(2)における箔シート416間の間隔は、パッチ間領域304Aに正確に一致する。他の実施形態では、仮支持リボン420(1)および420(2)における箔シート416間の間隔は、パッチ間領域304Aと一致し得ない。いくつかの実施形態では、仮支持リボン420(1)および420(2)における箔シート416間の間隔がパッチ間領域304Aに正確に一致するとき、仮支持リボン420(1)、420(2)および集電体ウェブリボン404の全ては、ローラープレス424を通り抜け得る。この場合、輸送ローラ428(1)および428(2)は省略され得る。
【0034】
さらに
図4を参照すると、導電性コーティングパッチ328が使用される場合、例示的なR2Rシステム400は、導電性コーティングパッチのそれぞれの対応するものと箔シート416を正確に位置合わせさせるために導電性コーティングパッチを利用する位置合わせシステム432を任意に含み得る。この位置合わせにより、アノード活物質シートがローラープレス424によって強固に積層される前に、各箔シート416が、導電性コーティングパッチ328の対応するものと適切で正確な位置合わせされ、対応するアノード活物質パッチ336が作成される。導電性コーティングパッチ328が、集電体ウェブ324のむき出しの物質に比べて、導電性炭素コーティングなどの視覚的に高コントラストの物質を備える場合、位置合わせシステム432は、各導電性コーティングパッチの少なくとも1つの縁部を検出して位置決めするために、1つまたは複数の光学センサ、ここでは2つの光学センサ432A(1)および432A(2)を含み得る。また、位置合わせシステム432は、1つ以上の制御器432B(1つのみ図示)と、仮支持リボン420(1)および420(2)の各々を正確に前進させるように制御器が制御する1つ以上の作動器(ステップモータ(図示せず)など)とを含み得る。制御器432Bは、光学センサ432A(1)および432A(2)からの1つまたは複数の縁部についての位置情報と、仮支持リボン420(1)および420(2)の位置情報とを使用するようにプログラムされ得て、箔シート416と導電性コーティングパッチ324の対応するものとの位置合わせが正確に制御され得る。過度の実験をせずとも、導電性コーティングパッチ328を使用して箔シート416と導電性コーティングパッチ328との位置合わせを支援し得る様々なタイプの位置合わせシステムをどのように実装するかを、当業者であれば理解するであろう。
【0035】
例示的な方法200はブロック220をさらに含む。ここで、アノード300は、ウェブ状アノード前駆体304から形成される。アノードは、任意の適切な方法でウェブ状アノード前駆体304から形成され得る。その方法は、例えば、アノード領域320(1)~320(3)のアノード領域においてウェブ状アノード前駆体304を打ち抜き、せん断または他の方法で切断し、それから得られるアノード300を画定して遊離させることなどである。これに関連して、
図4は、アノード形成装置436を含むものとして例示的なR2Rシステム400を示す。これは、一度に1つ以上のアノード300を形成するように構成され得る任意の適切な自動の打ち抜き工具、せん断工具または他の切削工具を含み得る。過度の実験を必要とせずに適切なアノード形成装置436をどのように実施するかを当業者は容易に理解するであろう。形成されたアノード300は、このように形成されたアノード300を使用して1つ以上の電気化学装置(図示せず)を製造する次のステップで使用される状態であり得る。
【0036】
図5A~5Eは、
図3Aのウェブ状アノード前駆体304におけるアノード領域320およびアノード活物質パッチ336(および存在する場合、導電性コーティングパッチ328)の配置の代わりに使用され得る様々なウェブ状アノード前駆体におけるアノード領域とアノード活物質パッチ(および存在する場合、下にある導電性コーティングパッチ)とのいくつかの例示的な代替配置を示す。
図3Aのウェブ状アノード前駆体304に関して示された配置の代替は
図5A~5Eの代替配置に限定されず、むしろ、これらは本開示に従ってアノードを形成する方法の柔軟性を示すために提供された例示的な配置であることに留意されたい。以下で
図5A~5Eを説明する際に、説明を簡略化するために、導電性コーティングパッチについては言及しない。しかし、上述したように、導電性コーティングパッチは、例えば、
図2~4に関連して上述した方法で、対応するアノード活物質パッチの下に実際には存在し得る。また、
図5A~5Eの代替配置は、図に見られるようにアノード活物質パッチがウェブ状アノード前駆体の表側のみに位置するかのように記載されていることにも留意されたい。これはそうであってもよいが、ウェブ状アノード前駆体の裏側は同様に、ウェブ状アノード前駆体の表側においてアノード活物質パッチと位置合わせされて一致するアノード活物質パッチ(および任意選択で導電性コーティングパッチ)を有し得る。さらに、特に物質、厚さ、面積寸法および作製処理などのアノード領域およびアノード活物質パッチの異なる配置以外のすべての点で、
図5A~5Eにおけるアノード領域は、
図3Aのアノード領域320(1)~320(3)などに関して、本開示の他の箇所で説明されるアノード領域と同じまたは類似であり得ることに留意されたい。
【0037】
図5Aは、アノード活物質パッチ504(1)~504(5)(実線)が下層の集電体ウェブ508上に単一の線で設けられる例示的なウェブ状アノード前駆体500を示す。この例では、各アノード活物質パッチ504(1)~504(5)は、最終的にウェブ状アノード前駆体500から除去される単一のアノード領域512(1)~512(5)(破線)を形成するために設けられ、対応するアノード(図示されていないが、
図3Aおよび3Bのアノード300と同様である)が形成される。
【0038】
図5Aを
図3Aと比較することによって分かるように、
図5Aのウェブ状アノード前駆体500と
図3Aのウェブ状アノード前駆体304との間の違いは、間近に隣接して対となるアノード領域512(2)~512(5)のタブ部分512A、ここでは512A(2)~512A(5)が同じパッチ間領域516、ここでは516(1)および516(2)に位置することである。パッチ間領域520、ここでは520(1)および520(2)は、タブ部分512A(2)~512A(5)の対を含むパッチ間領域516よりも小さくなり得るため、この配置は、集電体ウェブ508の無駄を少なくし得る。
【0039】
図5Bは、パッチ間領域520(
図5A)のサイズを最小化する特徴がこれらのパッチ間領域を完全に除去することによって
図5Bにおいて極端にとられることを除いて、
図5Aと概ね同様である。このようにして、パッチ間領域520(
図5A)の反対側における各対のアノード活物質パッチ504(1)~504(4)は、
図5Bにおいて、単一のアノード活物質パッチ524、ここでは524(1)および524(2)に効果的に結合され、この例では
図5Aのアノード活物質パッチ504(1)~504(5)の各々の約2倍のサイズである。この構成では、
図5Bの各アノード活物質パッチ524は、2つのアノード領域528、ここではアノード活物質パッチ524(1)におけるアノード領域528(1)および528(2)、ならびに、アノード活物質パッチ524(2)におけるアノード領域528(3)および528(4)を形成するために設けられる。必要とされるアノード領域のサイズに対して使用されるアノード活物質の処理制限に応じて、
図5Bの構成は達成不可能になり得る。例えば、アノード活物質がリチウムである場合、処理制限は、作製され得る
図5Aおよび5Bそれぞれのアノード活物質パッチ504および524などのアノード活物質パッチの長さを制限し得る。このような場合、アノード活物質パッチと、これらのアノード活物質パッチから作製されるアノード領域の数との間において、1:1の対応が存在する異なる構成(例えば、特に
図3Aおよび5Aに示される構成のいずれか)を使用することが必要であり得る。
【0040】
図5C~
図5Eは、それぞれ、
図3A、
図5Aおよび
図5Bに示される例示的な構成の複数ラインの変形530、550、および570を示す。
図5C~
図5Eの複数ラインの変形530、550、および570を再検討する際、読み手は、
図3A、
図5Aおよび
図5B、ならびに、対応する1ライン構成に関する情報についての対応する説明を参照することができる。これは、これらの複数ラインの変形のそれぞれが、より大きい(例えば、より広い)集電体ウェブ、ここではそれぞれ534、554、および574から開始すると共にこのようなより大きい集電体ウェブにおいて対応する1ライン構成を複数回繰り返すことによって、作製され得るためである。
図5C~5Eの変形530、550および570の各々は、アノード活物質パッチ542(ここでは542(1)~542(6))、562(ここでは562(1)~562(10))および582(ここでは582(1)および582(4))の2ライン538(1)および538(2)、558(1)および558(2)ならびに578(1)および578(2)を示すが、他の実施形態ではより多くのラインが設けられ得ることに留意されたい。一般に、実施されるライン538、558、および578の数に関する唯一の制限は、十分に大きい集電体ウェブ534、554および574の利用可能性、および、対応する製造装置を作製する能力である。また、本明細書で開示される他の実施形態と同様に、集電体ウェブ534、554および574のそれぞれは、使用される処理装置の種類に応じて、例えば、シート型またはリボン型であり得ることに留意されたい。例えば、リボン型集体ウェブは、
図4のR2Rシステム400に類似したR2RシステムのようなR2R処理に容易に適応される。
【0041】
図3A~
図5Eに示される実施形態の全てが、それぞれの図において均一な大きさとなるように、アノード領域の全て、および、それに対応するようにアノード活物質パッチ、任意の導電性コーティングパッチ(存在する場合)およびそこから形成されたアノードを示すことに留意されたい。しかし、これは、一般的なサイズの電気化学セルの製造実行については典型的であるが、そうである必要はない。例えば、本開示のアノード形成方法のいくつかの実施形態は、同じウェブ状アノード前駆体において異なるサイズのアノードを作製するように調整され得る。
【0042】
図6は、本開示の導電性コーティングの使用の有無にかかわらず、リチウム銅(Li/Cu)アノード(厚さ20μmのLi、Cuの両側、厚さ8 μmのCu、約70%から約90%の炭素ブラックおよびPVDFで作製された厚さ1μmのコーティング)のセルサイクル寿命性能を比較する放電容量に対してサイクル数のグラフである。このグラフのデータを得るために、ニッケル-マンガン-コバルト(NMC)酸化物ベースのカソードおよび微孔性ポリオレフィンベースのセパレータを用いて構築された多層パウチセルにおいてサイクル寿命試験を行った。カソードおよびセパレータにおける孔は、Li
+導電性電解質で満たされる。電解質は、典型的には、炭酸塩またはエーテル系溶剤に溶かしたLiPF
6またはLiFSIなどのリチウム塩を含有する。セルは、C/5-1Cの充電-放電レートで2.5V~4.3Vの間でサイクルされた。
【0043】
図6に示されるように、銅集電体に本開示の導電性コーティングを含ませることにより、リチウムアノードを有するセルのサイクル寿命性能が向上することが分かっている。サイクル数が増加すると、高密なリチウムは、次第により多孔質構造になり、導電性コーティングは、多孔質リチウムと銅集電体基板との間の良好な電気的接触を維持するのに役立った。これは更に、より均一な電流密度分布および均一なリチウムメッキ/剥がしをもたらし、その結果としてサイクル寿命性能を向上させる。銅集電体において導電性コーティングを施したセルの最初の面積特性インピーダンス(ASI)は、コーティングされていない銅集電体を含むセルと比較して高かったが(コーティングされている場合の~38Ω-cm
2に対してコーティングされていない場合の~28 Ω-cm
2)、セルサイクル数は次第に減少し、500サイクル後、導電性コーティングを施したセルの相対ASIは、コーティングされていない銅集電体を含むセルと比較して低かった(コーティングされている場合の~85Ω-cm
2に対してコーティングされていない場合の~92 Ω-cm
2)。
【0044】
図3Aの例示的なアノード300の任意の導電性コーティング316などの本開示の導電性コーティングがアノードに存在する場合、本開示の積層方法を使用してアノードが作製される必要がないことに留意されたい。例えば、アノード300のアノード活物質312と同等であるアノード活物質は、開発中または開発され得る他の潜在的な技術の中でも、蒸着などの別の方法を使用して適用され得る。
【0045】
図7は、本開示に従って作製された例示的な二次バッテリー700を示す。特に、例示的なバッテリー700は、複数のアノード708を含む積重ゼリーロール704を含む。複数のアノード708は、
図3Aの導電性コーティング316などの本開示の導電性コーティング(図示せず)を含むか、
図2の積層方法200などの本開示の積層方法を使用して作製されるか、または、その両方である。例示的な二次バッテリー700の新規性は、アノード708自体の新規性から生じ得る。これは、それらの中に含まれる独特の導電性コーティング層(図示されていないが、例えば、
図3Aおよび3Bの導電性コーティング316を参照)の存在の観点から、および/または、従来の構成および製造されたアノードと比較して、改善されたサイクル寿命性能および/またはそれらから生じるより高い重量および体積エネルギー密度に加え、それらの面積サイズが従来の積層アノードの面積サイズよりも大きくなることによるものである。また、積重ゼリーロール704は、複数のセパレータ層716と、セパレータ層によってアノード708から電気的に分離された複数のカソード720とを含む。
【0046】
この例では、積重ゼリーロール704は、適切な電解質と共に、外包体(ここではパウチタイプの外包体712)内に封止される。適切な電解質は、図示されていないが、少なくともセパレータ層716(全てがラベル付けされているわけではない)に存在し、固体またはゲルタイプの電解質が使用される場合にはポリマー電解質の一部とみなされ得る。他の実施形態では、パウチ型外包体712は、特に剛壁外装体などの異なるタイプの外包体に置き換えられ得る。基本的に、外包体の種類は、積重ゼリーロール704および電解質を収容するための密封容積を提供することを含む必要な機能性を提供する程度においてのみ重要である。当業者は、パウチ型外包体712、または、特定の設計が含み得る他の型の外包体を構築するための技術および物質に精通している。その結果、外包体712についてのさらなる詳細は、当業者にしてみれば本明細書において必要ではなく、過度の実験なしに二次バッテリー700が裏付けられる。
【0047】
上述のように、各アノード708は、上述のアノード300の例と同様に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはアルミニウム、あるいは、これらの任意の適切な組み合わせなどの任意の適切なアノード活性金属を含み得る。バッテリーの種類、例えばリチウム金属、ナトリウム金属、リチウム空気、リチウム硫黄などに応じて、各カソードは適切なカソード活物質を含む。1つまたは複数の実施形態では、カソードは、一般式LixMyOzを有する。ここで、Mは、Co、Mn、Ni、V、FeまたはCrなどの遷移金属である。
【0048】
1つ以上の実施形態では、それぞれのカソード720は、LiCoO2、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、LiMn2O4、Li(Mn1.5Ni0.5)2O4、または、それらのリチウムリッチ版を備える群から選択される層状またはスピネル状の酸化物を備え得る。1つまたは複数の実施形態では、それぞれのカソード720は、LixMyPOzの一般式を有し得て、Mは、Co、Mn、Ni、V、FeまたはCrなどの遷移金属である。1つ以上の実施形態において、それぞれのカソード720は、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4またはLiMnPO4からなる群から選択されるリン酸物質であり得る。1つまたは複数の実施形態では、各カソード720は、カソード活物質粉末、PVDFなどのポリマー結合剤、および、カーボンブラックなどの導電性希釈剤を備える多孔質コーティングを備え得る。1つまたは複数の実施形態では、各カソード720は、アルミニウム箔に多孔質コーティングを備え得る。1つまたは複数の実施形態では、各カソード720は、リチウムコバルト酸化物(またはコバルト酸リチウム)、リチウムマンガン酸化物(スピネルまたはマンガン酸リチウムとしても知られる)、リン酸鉄リチウムならびにリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(またはNMC)、および/または、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(またはNCA)を含み得る。1つまたは複数の実施形態では、それぞれのカソード720は、特に硫黄含浸コアシェル階層的多孔質炭素(HPC)複合材、硫黄/グラフェンナノシート(GNS)複合材、嚢状構造を有するsulfur@rGO(還元型酸化グラフェン)複合材、および、ポリマー球形網目構造を有するC-S@PANi(ポリアニリン)複合材などのナノサイズおよびナノ構造の硫黄ベース複合材を備え得る。1つまたは複数の実施形態では、各カソード720は、集電体の周りに挟まれて次いでPTFEフィルムなどのポリマーフィルムで覆われる炭素層を備え得る。炭素層は、酸素還元反応速度を高めてカソード720の比容量を増加させる金属触媒を含み得る。金属触媒の例としては、マンガン、コバルト、ルテニウム、白金、銀およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
1つ以上の実施形態では、電解質が液体である場合、各セパレータ層716は、任意の1つ以上の物質から作製され得て、少なくとも1つは誘電体である。例えば、1つまたは複数の実施形態では、各セパレータ層716は、ポリプロピレンまたはポリエチレン、あるいは、それらの任意の適切な組み合わせ(例えば、混合物、層、コーティングなど)から作製され得る。当業者は、各セパレータ層716を作るために使用され得る様々な物質および構造を理解するであろう。
【0050】
電解質に関して、一例では、二次バッテリー700はリチウム金属バッテリーであり、これは、充電および放電サイクル中にそれぞれリチウムイオンが堆積および剥離されるリチウム金属をアノード708が備えることを意味する。これに対応して、電解質は、充電および放電サイクル中に積重ゼリーロール704内でアノードおよびカソード720の間を流れるリチウムイオン(図示せず)を含む。したがって、この例では、電解質は、特に溶液、共融混合物または溶融状態などの適切な形態で1つまたは複数のリチウムベースの塩を含む。いくつかの実施形態では、電解質は、特に、1つ以上の溶媒、1つ以上の性能および/または特性向上添加剤、および/または、1つ以上のポリマーを含み得る。電解質は、液体、ゲルまたは固体状態などの物質の任意の適切な状態であり得る。電解質の組成は、二次バッテリー700のリチウム金属ベース版のためであろうと、別の種類の金属(例えば、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム)ベース版のためであろうと、問題の特定の用途に適した任意の組成となり得て、二次バッテリーの特定の具体化の設計者によって決定され得る。
【0051】
電解質に使用され得る例示的な塩は、特に、LiFSI、LiTFSI、および、リチウムフルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiFTFSI)、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiBOB、および、Liトリフラート、ならびに、それらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、2つ以上の塩は、第1の塩X1
+Y1
-および第2の塩X2
+Y2
-を含む共融混合物などの共融混合物中で組み合わされ得て、ここで、X1+およびX2
+のそれぞれはアルカリ金属陽イオンであり、X1+はX2
+とは異なり、Y1
-およびY2
-のそれぞれはスルホンイミド陰イオンであり、Y1
-はY2
-とは異なる。1つまたは複数の実施形態において、Y1
-およびY2
-は、FSO2N-SO2F(FSI-)およびFSO2N-SO2CF3(FTFSI-)からなる群から選択され得て、および/または、X1
+およびX2
+は、Li+、Na+、K+、Rb+およびCs+からなる群から選択され得る。1つ以上の実施形態において、共融混合物は、第3の塩X3
+Y3
-をさらに含み得て、ここで、X3
+は、X1
+およびX2
+の各々と異なっている。1つ以上の実施形態において、Y1
-、Y2
-およびY3
-は、FSO2N-SO2F(FSI-)およびFSO2N-SO2CF3(FTFSI-)からなる群から選択され得て、および/または、X1
+、X2
+およびX3
+は、Li+、Na+、K+、Rb+およびCs+からなる群から選択され得る。
【0052】
1つ以上の実施形態では、電解質は、イミド塩、例えば、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(FSO2)2 )、および、非プロトン性溶媒における過塩素酸塩を含み得る。フルオロスルホニル(FSO2)基を有する他のリチウムイミド塩、例えば、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(FSO2)(C2F5SO2)が、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(FSO2)2)の代わりにまたは任意の組合せで使用され得る。1つ以上の実施形態において、過塩素酸塩は、LiClO4を含み得る。1つ以上の実施形態において、過塩素酸塩は、0.05モル/リットル~0.50モル/リットルの有機溶媒の濃度を有する。1つ以上の実施形態において、過塩素酸塩は、LiClO4、Ca(ClO4)2、Sr(ClO4)2、Mg(ClO4)2、Ba(ClO4)2およびそれらの任意の組合せまたは混合からなる群から選択される。
【0053】
1つまたは複数の実施形態において、電解質は、式R1-(O-CH2-CH2)n-O-R2のグライムを備え得て、ここで、n=1~4であり、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、少なくとも2の炭素原子を有する炭化水素側鎖である。1つまたは複数の実施形態では、このような電解質は、フッ素化グライムおよびフッ素化エーテルからなる群から選択される希釈剤をさらに含み得る。フッ素化希釈剤は、DEE(1,2-ジエトキシエタンまたはエチレングリコールジエチルエーテル)、DPE(1,2-ジプロポキシエタンまたはエチレングリコールジプロピルエーテル)、DBE(1,2-ジブトキシエタンまたはエチレングリコールジブチルエーテル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジプロピルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル等のような、より安定なより長い側鎖のグライム系溶媒の使用を可能にし得る。1つ以上の実施形態では、希釈剤は、フッ素化エーテル1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(TTE)またはフッ素化エーテルビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル(BTFE)であり得る。1つ以上の実施形態において、希釈剤は、少なくとも1の酸素(-O-)結合および少なくとも1のフッ素(-F)置換を有する適切な炭化水素分子を含み得る。特定の例では、DEEおよびTFEは互いに組み合わされる。1つ以上の実施形態において、この段落に従って作製される電解質の溶媒:希釈剤比は、約10:90~100:0の範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、溶媒:希釈剤比が約40:60~約90:10の範囲であることが望ましいとされ得て、1つ以上の実施形態では、溶媒:希釈剤比が約60:40~約80:20の範囲であることが望ましいとされ得る。
【0054】
1つ以上の実施形態において、電解質は、リチウムスルホンイミド塩の分子と少なくとも1つの無水エーテル系溶媒の分子との付加物から本質的になる無溶媒液リチウムスルホンイミド塩組成物であり得る。このような実施形態では、無水リチウムスルホンイミド塩に使用され得るリチウムスルホンイミド塩組成物の例には、LiFSI、LiTFSIおよび(LiFTFSI)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。また、1つまたは複数の無水エーテル系溶媒に使用され得る無水エーテル系溶媒の例には特に、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、ジオキサンおよびクラウンエーテルが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。一般に、任意のエーテル系溶媒が使用され得る。そのような実施形態において、少なくとも1のエーテル系溶媒の実質的に全ての分子は、少なくとも1のリチウムスルホンイミド塩の分子と配位結合している。1つ以上の実施形態において、少なくとも1のエーテル系溶媒は、無溶媒リチウムスルホンイミド塩組成物中に、無溶媒リチウムスルホンイミド塩組成物の5重量%未満の量で存在する。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、電解質は、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンなどの環状カーボネート、および、それらの誘導体を有機溶媒として含有する。1つまたは複数の実施形態では、電解質は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルなどの線状カーボネートを含有する。1つまたは複数の実施形態では、電解質は、テトラヒドロフランまたはテトラヒドロピランなどの環状エーテル、および、それらの誘導体を有機溶媒として含有する。1つまたは複数の実施形態では、電解質は、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、トリグライムまたはテトラグライムなどのグライム、および、それらの誘導体を有機溶媒として含有する。1つ以上の実施形態において、電解質は、ジエチルエーテルまたはメチルブチルエーテルなどのエーテル、および、それらの誘導体を有機溶媒として含む。1つ以上の実施形態において、電解質は、N,N-ジアルキルスルファモイルフルオリドなどのスルホニル溶媒およびそれらの誘導体およびそれらの組み合わせを有機溶媒として含む。1つまたは複数の実施形態では、電解質は、同じ種類の有機溶媒の混合物、または、2種類以上の有機溶媒の混合物を含む。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、電解質は、ケイ酸リチウム、ホウ酸リチウム、アルミン酸リチウム、リン酸リチウム、酸窒化リチウム、オキシホウ化リチウム、ケイ硫化リチウム、ホウ硫化リチウム、アルミノ硫化リチウム、リン硫化リチウムおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたは複数の無機電解質を備え得る。1つ以上の実施形態では、電解質は、Alが加えられたLLZO(Li6.25Al0.25La3Zr2O12)ガーネット型酸化物、ペロブスカイト(Li0.29La0.57TiO3)、LISICON(Li14ZnGe4O16)、NASICION(Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3)、thio-LISICON(Li10GeP2S12)、または、他のガラス(LiPON)またはガラスセラミック(70Li2S・30P2S5)ベースの物質、または、それらの混合物のような1つ以上の固体セラミック電解質を備え得る。1つまたは複数の実施形態では、電解質は、PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)またはそれらの混合物を有する固体またはゲルベースのポリマー電解質を備え得る。
【0057】
電解質の前述の例は主にリチウムベースの塩に基づくが、当業者はリチウムベースの塩が適切な非リチウムベースの塩で置き換えられ得ることを理解するであろう。
【0058】
広くは本開示の電解質は、約0.1M~約10Mの範囲の塩濃度を有し得て、一方、いくつかの実施形態では、塩濃度は、約1M~約5Mの範囲で所望され得て、他の実施形態では、塩濃度は、約2M~約3Mの範囲で所望され得る。
【0059】
また、例示的な二次バッテリー700は、対応する電極728(1)~728(5)を介してカソード720の各々に電気的に接続された正極端子724を含む。同様に、リチウム金属バッテリーは、対応する電極736(1)から736(4)を介してアノード708のタブ708Aに電気的に接続された負極端子732をさらに含む。
【0060】
本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および追加が行われ得る。上述した様々な実施形態の各々の特徴は、他の説明した実施形態の特徴と適宜組み合わせられ得て、関連する新しい実施形態において多数の特徴の組み合わせが提供される。さらに、上記ではいくつかの別個の実施形態が説明されたが、本明細書で説明されたものは、本発明の原理の適用の単なる例示に過ぎない。さらに、本明細書における特定の方法は、特定の順序で実行されるものとして図示および/または説明され得るが、順序は、本開示の局面を達成するために、通常の技術の範囲内で大いに変更可能である。したがって、本説明は、単に例として解釈されることを意味し、本発明の範囲を他の方法で限定することを意味しない。
【0061】
いくつかの局面では、本開示は、電気化学装置のためのアノードを対象とする。アノードは、集電体、第1の金属箔、および、第1の導電層を含む。集電体は、厚さおよび活性領域を有する。活性領域は、厚さの対向する側に第1および第2の側を有する。第1の金属箔は、活性領域の第1の側において集電体に固定される。第1の導電層は、集電体と第1の金属箔との間にあり、第1の金属箔を集電体に固定する。
【0062】
アノードの1つ以上の実施形態では、第1の導電層は導電性炭素層を備える。
【0063】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電性炭素層は、本質的に導電性炭素粒子および結合剤から構成される。
【0064】
アノードの1つ以上の実施形態において、導電性炭素粒子は、導電性炭素層の約70重量%~約90重量%の量で存在する。
【0065】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.1μm~約5 μmの範囲の厚さを有する。
【0066】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.5μm~約2 μmの範囲の厚さを有する。
【0067】
アノードの1つ以上の実施形態において、導電層は、約1μmの厚さを有する。
【0068】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.1g/m2~約2g/m2の面積負荷で存在する。
【0069】
アノードの1つ以上の実施形態では、集電体は銅を備え、第1の金属箔はリチウムを備える。
【0070】
アノードの1つ以上の実施形態では、集電体は、約4μm~約10 μmの範囲の厚さを有し、第1の金属箔は、約15μm~約25 μmの範囲の厚さを有する。
【0071】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、本質的に導電性炭素粒子および結合剤から構成される。
【0072】
アノードの1つ以上の実施形態では、、導電性炭素粒子は、導電性炭素層の約70重量%~約90重量%の量で存在する。
【0073】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.1μm~約5 μmの範囲の厚さを有する。
【0074】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.5μm~約2 μmの範囲の厚さを有する。
【0075】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約1μmの厚さを有する。
【0076】
アノードの1つ以上の実施形態では、導電層は、約0.1g/m2から約2g/m2の面積負荷で存在する。
【0077】
アノードの1つ以上の実施形態では、アノードは、第2の金属箔と、第2の導電層とを含む。第2の金属箔は、活性領域の第2の側において集電体に固定される。第2の導電層は、集電体と第2の金属箔との間にあり、第2の金属箔を集電体に固定する。
【0078】
いくつかの局面では、本開示は、カソード、電解質、および、本明細書に記載のアノードのいずれか1つのアノードを備える電気化学装置を対象とする。
【0079】
代表的な実施形態が、上記で開示され、添付の図面で示された。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で具体的に開示されたものに様々な変更、省略および追加が行われ得ることを当業者は理解するであろう。