(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】キャリーバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 7/00 20060101AFI20241008BHJP
A45C 5/14 20060101ALI20241008BHJP
A45F 3/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A45C7/00 L
A45C5/14 E
A45F3/04 300
(21)【出願番号】P 2023063803
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-11-29
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504305049
【氏名又は名称】株式会社ティーアンドエス
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】斉 真希
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0177271(US,A1)
【文献】特開2018-102582(JP,A)
【文献】特開2017-140066(JP,A)
【文献】特開2013-001337(JP,A)
【文献】特開平03-125603(JP,A)
【文献】実開平07-030102(JP,U)
【文献】特開昭60-259502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 7/00
A45C 5/00-5/14
A45F 3/04
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が収納される第1収納室と、この第1収納室の上に設けられ荷物が収納される第2収納室とを備えるキャリーバッグであって、
前記第1収納室は、第1底部と、この第1底部から起立する第1正面壁、第1左側壁、第1右側壁及び第1背面壁と、第1天井とで構成され、
前記第1底部と、前記第1正面壁と、前記第1左側壁と、前記第1右側壁とは、可撓性に乏しいハード壁で構成され、
前記第2収納室は、前記第1正面壁から上へ延びる第2正面壁と、前記第1左側壁から上へ延びる第2左側壁と、前記第1右側壁から上へ延びる第2右側壁と、前記第1背面壁から前記第2正面壁よりも上まで延びる第2背面壁と、上面を塞ぐ第2天井とで構成され、
前記第2正面壁は、ハード壁で構成されると共に前記第1正面壁に、水平な谷折り線を介して繋がっており、
前記第2背面壁は、ハード壁で構成されると共に前記第1背面壁に、水平な谷折り線を介して繋がっており、
前記第2左側壁及び前記第2右側壁は、可撓性に富むソフト壁で構成され、
前記第2天井は、前記ハード壁と前記ソフト壁との中間の硬さのセミハード壁、又は前記ハード壁で構成され、
前記第2正面壁を折って前記第1天井に重ね、前記第2正面壁上に前記第2左側壁、前記第2右側壁及び前記第2天井を重ねつつ、前記第2背面壁を折って前記第2正面壁、前記第2左側壁、前記第2右側壁及び前記第2天井に重ねることができ
、
前記第1背面壁の下部に、背負いベルトの下部を掛ける下部ベルト掛けを備え、
前記第2背面壁の上部に、前記背負いベルトの上部を掛ける上部ベルト掛けを備え、
加えて、前記第1背面壁の上部に、短縮した前記背負いベルトの上部を掛ける中間部ベルト掛けを備えており、
前記第1底部に、キャスターを備え、
前記キャスターは、前記第1底部に固定されているブラケットに下から挿入されるキャスター軸と、このキャスター軸から下に延びつつ2又に分かれるフォーク部材と、このフォーク部材に取付けられる車輪とからなり、
前記キャスター軸を水平にしたときに、前記車輪の重さで前記フォーク部材が前記キャスター軸を中心に回転することを抑制する抵抗力を発生する抵抗部材が、前記キャスター軸と前記ブラケットの間に設けられていることを特徴とするキャリーバッグ。
【請求項2】
請求項1記載のキャリーバッグであって、
前記第1天井は、開閉可能な窓部を備え、開状態で前記第1収納室と前記第2収納室が繋がるようにしたことを特徴とするキャリーバッグ。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2記載のキャリーバッグであって、
前記キャスター軸は、前記ブラケットに着脱可能に挿入されていることを特徴とするキャリーバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1収納室と第2収納室とを備え、第2収納室が折り畳み可能であるキャリーバッグに関する。なお、キャリーバッグは、キャスターを備える大型バッグとキャスターを備えていない大型バッグの両方を指す。
【背景技術】
【0002】
多くの荷物が収納され運搬される大型のバッグは、キャリーバッグと呼ばれ、実用に供されている。
また、収納体積に相当する容積が変えられる容積可変バッグが知られている。そこで、両者を合わせたような容積可変キャリーバッグが、実用に供されている。
【0003】
容積可変キャリーバッグに近い技術として、従来、リュックサックに模様替えできるウエストポーチが提案された(例えば、特許文献1(
図5)参照)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10(a)~(c)は従来のリュックサックに模様替えできるウエストポーチを説明する図である。
【0005】
図10(a)に示すように、リュックサック100は、下部の第1収納室101と上部の第2収納室102とからなる。上部の第2収納室102は、利用者の背中に接する背板103と、その他を構成する袋104とからなる。
【0006】
荷物がごく少ないときは、
図10(b)に示すように、上部の第2収納室102を畳む。すなわち、袋104を小さく畳み、背板103の下へ押し込む。
【0007】
図10(c)に示すように、第1収納室101の上部に第2収納室102が折り畳まれた。第1収納室101はウエストポーチとして使用される。
すなわち、引用文献1によれば、リュックサックからウエストポーチに模様替えでき、ウエストポーチからリュックサックに模様替えでき、利便性が高まるという利点がある。
【0008】
しかし、特許文献1の技術には、改良が望まれる点が存在する。以下に、改良が望まれる点を説明する。
第2収納室102は大部分が袋104で構成され、この袋104は可撓性に富む。そのため、
図10(a)において、第2収納室102が空の状態では、第2収納室102は、いわゆる「ぺしゃんこ」の状態となり、第2収納室102に荷物が入れにくい。
【0009】
また、荷物の量が半分程度であると、第2収納室102の膨らみが半減し、
図10(a)のような形態にならず、外観性が悪くなる。
【0010】
すなわち、特許文献1の技術では、荷物の入れ難さと、外観性の点で、改良が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、荷物が入れ易く且つ外観性の良好な容積可変キャリーバッグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、荷物が収納される第1収納室と、この第1収納室の上に設けられ荷物が収納される第2収納室とを備えるキャリーバッグであって、
前記第1収納室は、第1底部と、この第1底部から起立する第1正面壁、第1左側壁、第1右側壁及び第1背面壁と、第1天井とで構成され、
前記第1底部と、前記第1正面壁と、前記第1左側壁と、前記第1右側壁とは、可撓性に乏しいハード壁で構成され、
前記第2収納室は、前記第1正面壁から上へ延びる第2正面壁と、前記第1左側壁から上へ延びる第2左側壁と、前記第1右側壁から上へ延びる第2右側壁と、前記第1背面壁から前記第2正面壁よりも上まで延びる第2背面壁と、上面を塞ぐ第2天井とで構成され、
前記第2正面壁は、ハード壁で構成されると共に前記第1正面壁に、水平な谷折り線を介して繋がっており、
前記第2背面壁は、ハード壁で構成されると共に前記第1背面壁に、水平な谷折り線を介して繋がっており、
前記第2左側壁及び前記第2右側壁は、可撓性に富むソフト壁で構成され、
前記第2天井は、前記ハード壁と前記ソフト壁との中間の硬さのセミハード壁、又は前記ハード壁で構成され、
前記第2正面壁を折って前記第1天井に重ね、前記第2正面壁上に前記第2左側壁、前記第2右側壁及び前記第2天井を重ねつつ、前記第2背面壁を折って前記第2正面壁、前記第2左側壁、前記第2右側壁及び前記第2天井に重ねることができ、
前記第1背面壁の下部に、背負いベルトの下部を掛ける下部ベルト掛けを備え、
前記第2背面壁の上部に、前記背負いベルトの上部を掛ける上部ベルト掛けを備え、
加えて、前記第1背面壁の上部に、短縮した前記背負いベルトの上部を掛ける中間部ベルト掛けを備えており、
前記第1底部に、キャスターを備え、
前記キャスターは、前記第1底部に固定されているブラケットに下から挿入されるキャスター軸と、このキャスター軸から下に延びつつ2又に分かれるフォーク部材と、このフォーク部材に取付けられる車輪とからなり、
前記キャスター軸を水平にしたときに、前記車輪の重さで前記フォーク部材が前記キャスター軸を中心に回転することを抑制する抵抗力を発生する抵抗部材が、前記キャスター軸と前記ブラケットの間に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のキャリーバッグであって、
前記第1天井は、開閉可能な窓部を備え、開状態で前記第1収納室と前記第2収納室が繋がるようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のキャリーバッグであって、
前記キャスター軸は、前記ブラケットに着脱可能に挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、第1収納室と第2収納室とを備えるキャリーバッグにおいて、第1収納室はハード壁で構成されるため、空であっても形状が保たれ、荷物の出し入れが容易となり且つ外観性が良好となる。
【0019】
第2収納室の第2正面壁と第2背面壁が自立可能なハード壁であって、これらの間の第2天井がハード壁又はセミハード壁である。第2天井がブリッジの役割を果たし、結果、第2収納室は箱型形状が維持される。すなわち、第2収納室は、折り畳み可能であるにも拘わらず、空であっても箱型形状が保たれ、荷物の出し入れが容易となり且つ外観性が良好となる。
よって、請求項1によれば、荷物が入れ易く且つ外観性の良好なキャリーバッグが提供される。
加えて、請求項1に係る発明では、第1背面壁の下部に、背負いベルトの下部を掛ける下部ベルト掛けを備え、第2背面壁の上部に、背負いベルトの上部を掛ける上部ベルト掛けを備え、第1背面壁の上部に、短縮した背負いベルトの上部を掛ける中間部ベルト掛けを備えている。
利用者は、下部ベルト掛けと上部ベルト掛けとに、背負いベルトを掛け渡すことができる。
また、利用者は、下部ベルト掛けと中間部ベルト掛けとに背負いベルトを掛け渡すこととができる。
さらに加えて、請求項1に係る発明では、抵抗部材によりキャスター軸は、一定以上の力を加えるまでは、回転しないようにした。
キャリーバッグを背負うときに、車輪が背中に当たる心配があるときは、手でキャスターを回す。車輪が背中に当たらないようにすることで、背中が汚れる心配はなくなる。
【0020】
請求項2に係る発明により、第1収納室に第2収納室を繋げて1室化することができ、第1収納室に収まらないような大型の荷物を収納することができるキャリーバッグが提供される。
【0022】
請求項3に係る発明では、キャスター軸は、ブラケットに着脱可能に挿入されている。
屋外で使用した車輪は汚れている。キャリーバッグを家庭内へ持ち込むときは、キャスーを外せばよく、家庭内が汚れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るキャリーバッグの断面図である。
【
図2】本発明に係るキャリーバッグの正面図である。
【
図3】本発明に係るキャリーバッグの右側図である。
【
図4】(a)~(d)は折り畳みの手順を説明する図である。
【
図5】模様替えした後のキャリーバッグを示す正面図である。
【
図7】(a)、(b)は背負いベルトの取付け形態を説明する図である。
【
図8】(a)、(b)はキャスターの構造図
、(c)は(b)の作用説明図である。
【
図10】(a)~(c)は従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0026】
図1に示すように、キャリーバッグ10は、荷物が収納される第1収納室20と、この第1収納室20の上に設けられ荷物が収納される第2収納室40とを備える2室型バッグ10Aである。
【0027】
第1収納室20は、キャスター70及びブラケット21を備える第1底部22と、この第1底部22から起立する第1正面壁23、第1左側壁24、第1右側壁(
図2、符号25)及び第1背面壁26と、第1天井27とで構成される。
【0028】
第1底部22と、第1正面壁23と、第1左側壁24と、第1右側壁(
図2、符号25)とは、可撓性に乏しいハード壁で構成される。
第1天井27は、ハード壁とソフト壁の何れであってもよい。
【0029】
ハード壁は、樹脂板又は太い糸(樹脂糸を含む。)で織った織布(しょくふ)で構成され、腰が強く、外から物が当たっても窪まないような強度を有する壁である。
ハード壁は、後述のソフト壁と比較して、厚くて可撓性に乏しい壁である。
【0030】
ソフト壁とは、細い糸(樹脂糸を含む。)で織った織布であり、膜のように腰が弱く、外力を受けると簡単に変形する壁である。
ソフト壁は、上述のハード壁と比較して、薄くて可撓性に富む壁である。
【0031】
第2収納室40は、第1正面壁23から上へ延びる第2正面壁41と、第1左側壁24から上へ延びる第2左面壁42と、第1右側壁(
図2、符号25)から上へ延びる第2右側壁(
図2、符号43)と、第1背面壁26から第2正面壁41よりも若干上まで延びる第2背面壁44と、上面を塞ぐ第2天井45とで構成される。
【0032】
第2収納室40の床は、第1天井27であるため、第2収納室40の構成要素から除外する。
【0033】
第2正面壁41は、ハード壁で構成されると共に第1正面壁23に、水平な(図面表裏方向へ伸びる)谷折り線46を介して繋がっている。
第2背面壁44は、ハード壁で構成されると共に第1背面壁26に、水平な谷折り線46を介して繋がっている。第2背面壁44は、副取っ手47を備えている。
【0034】
第2左面壁42及び第2右側壁43は、可撓性に富むソフト壁で構成される。
第2天井45は、ハード壁とソフト壁の何れであってもよいが、主取っ手48が取付けられるため、ハード壁とソフト壁との中間の硬さ(又は剛性)のセミハード壁が好ましい。
セミハード壁は、例えば、細い糸で織った織布を複数枚重ねるか、又は細い糸で織った2枚の織布の間に芯材を置いたものである。
【0035】
第2収納室40の断面は、ハード壁からなる第2正面壁41と、ソフト壁、ハード壁又はセミハード壁からなる第2天井45と、ハード壁からなる第2背面壁44とからなるコ字状(門状)を呈する。
【0036】
第2正面壁41は、谷折り線46を介して第1正面壁23に繋がっている。ハード壁に形成された谷折り線46には、小さいながらも折り曲げを妨げる作用が存在する。そのため、第2正面壁41は、外から水平力を加えなければ、自立する。
第2背面壁44も同様に自立する。
【0037】
加えて、第2天井45は、第2正面壁41の上端と、第2背面壁44の上端とを繋ぐブリッジの役割を果たす。第2天井45により、第2正面壁41の倒れ防止と、第2背面壁44の倒れ防止とが補強される。
結果、第2収納室40は、第1収納室20よりは保形性が落ちるものの、空であっても箱型形状が保たれる。
【0038】
第1天井27は、好ましくは、天井窓に相当する窓部28を備える。ファスナー28aを開くと、想像線で示すように、大部分が落下して、第1背面壁26に沿う。すると、第1収納室20と第2収納室40とが繋がり、2室が1室に変わる。
高さが第1収納室20の高さを超えるような大型の荷物を収納するときに、便利である。
【0039】
ファスナー29aを開けると、第1扉29が開く。また、ファスナー49aを開けると、第2扉49が開く。
【0040】
なお、本実施例では、第1底部22にブラケット21を備え、このブラケット21にキャスター70を備えたが、第1底部22に脚部材を備えることで、キャスター70及びブラケット21を省いてもよい。
【0041】
図2において、第1扉29を開けることで、荷物を第1収納室20へ出し入れすることができる。同様に、第2扉49を開けることで、荷物を第2収納室40へ出し入れすることができる。
【0042】
このときに、第1収納室20及び第2収納室40は、箱型形状が保たれており、外観性が良好である。
そして、第1収納室20及び第2収納室40は、箱型形状が保たれるため、荷物の出し入れは、極めて容易になる。
よって、本実施例により、荷物が入れ易く且つ外観性の良好なキャリーバッグ10が提供される。
【0043】
図3に示すように、第1収納室20の上縁に下ファスナー半体51が設けられ、第2背面壁44に上ファスナー半体52が設けられている。後述の
図5では、下ファスナー半体51に上ファスナー半体52が噛み合っている。
【0044】
また、第1右側壁25に、ファスナー53aで開閉可能な大きなポケット53が設けられ、このポケット53の内側に樹脂製の防水袋54が収められている。
【0045】
次に、2室の形態を、1室の形態に模様替えする手順を、
図4(a)~(d)に基づいて説明する。
図4(a)は
図1の要部を抜書きした図面に相当する。
図4(a)にて、矢印(1)の通りに、第2正面壁41を折って第1天井27の上に重ねる。
図4(b)に示すように、第2正面壁41は第1天井27に載っており、起立状態の第2背面壁44と、垂れさがった第2天井45と、三角形の第2左側壁42とが見える。
【0046】
図4(c)は
図4(b)のc矢視図であり、奥に第2天井45が見え、その左右に第2左面壁42と第2右側壁43が見える。
矢印(2)の通りに、第2左面壁42と第2右側壁43を内側へ寄せつつ、
図4(b)にて、矢印(3)の通りに、第2背面壁44を倒す。
【0047】
結果、
図4(d)に示すように、第2背面壁44が上に載った形態となる。
すなわち、第2正面壁41上に第2左面壁42、第2右側壁43及び第2天井45を重ねつつ、第2背面壁44を折って第2正面壁41、第2左面壁42、第2右側壁43及び第2天井45の上に重ねられた。
【0048】
なお、利用者が、
図4(c)中、矢印(2)で示す寄せ作業を怠ると、第2左面壁42と第2右側壁43との両方(又は一方)が、はみ出す。結果、
図4(d)の形態が達成できなくなる。
このときは、
図4(c)に戻って、
図4(c)→
図4(b)→
図4(d)の順に進めればよい。すなわち、
図4(a)~(d)で示す折り畳み手順は、利用者の習熟度の有無に拘わら
ず容易に達成される。
【0049】
以上により、
図5に示すようなキャリーバッグ10は、1室型バッグ10Bに模様替えできた。
図5に示す1室型バッグ10Bのサイズは、例えば、縦寸法が430mm、横寸法が350mm、奥行(図面表裏方向の寸法)が200mmである。
1室型バッグ10Bは、手前に倒すと、縦×横×奥行が、200mm×350mm×430mmに変わる。
【0050】
対して、標準のコインロッカーは、縦×横×奥行が、(257mm~404mm)×355mm×570mmである。
よって、1室型バッグ10Bであれば、標準のコインロッカーに、楽に収納できる。
【0051】
すなわち、
図1に示す2室型バッグ10Aがコインロッカーに入らないときは、第2収納室40の荷物を適当な「別の袋」に移す。
図4に示す手順で第2収納室40を折り畳む。
図5に示す1室型バッグ10Bと「別の袋」とを、コインロッカーに入れる。
【0052】
戻すときには、コインロッカーから1室型バッグ10Bと「別の袋」とを取り出す。第2収納室40を拡張する。「別の袋」から荷物を第2収納室40へ移す。これで、
図1に示す1室型バッグ10Bに戻すことができる。
【0053】
今まで触れなかったが、本発明のキャリーバッグ10は、キャリーハンドルを備えている。
すなわち、
図6に示すように、第1背面壁26に、破線で示すキャリーハンドル60が収納されている。第1背面壁26に中空のガイド61が固定され、このガイド61にテレスコピック(望遠鏡)式の多段筒62が収納され、多段筒62の上端にグリップ63が渡される。
【0054】
利用者は、ファスナー56aを開いて、蓋56を上に跳ね上げ、二点鎖線で示すようにキャリーハンドル60を引き出す。利用者は、キャリーハンドル60を使用してキャリーバッグ10(1室型バッグ10B)を、床や路面に沿って横に軽く移動させることができる。
【0055】
図1に示すキャリーバッグ10(2室型バッグ10A)についても同様である。このときに、キャリーハンドル60を構成する多段筒62が、
図1に示す第2背面壁44に密に接触しながら上へ延びる。
図1において、第2背面壁44は、キャリーハンドル(
図6、符号60)、特に多段筒で倒れが防止されるため、第2収納室40は、より好ましく箱型形状が維持される。
【0056】
また、
図6において、破線で示すように、キャリーハンドル60、特にグリップ63を収納すると、グリップ63が見えなくなり外観性が高まる。加えて、第1背面壁26及び蓋56にクッション材が内蔵されており、利用者が背負ったときに、利用者の背中にキャリーハンドル60、特にグリップ63が当たることはない。クッション材は、綿、スポンジの何れでもよい。
【0057】
次に、キャリーバッグ10を、背負うときの手順を説明する。
図7(a)に示すように、第1背面壁26の下部に下部ベルト掛け65が備えられ、第2背面壁44の上部に上部ベルト掛け66が備えられているので、キャリーバッグ10にあっては、下部ベルト掛け65と上部ベルト掛け66とに、背負いベルト68を掛け渡すことができる。第2背面壁44にもクッション材を内蔵することで、背中への負担を軽減する。
【0058】
また、
図7(b)に示すように、第1背面壁26の上部に中間部ベルト掛け67が備えられているので、1室型バッグ10Bにあっては、下部ベルト掛け65と中間部ベルト掛け67とに、短縮した背負いベルト68を掛け渡すことができる。
【0059】
利用者の好みにより、
図7(a)において、下部ベルト掛け65と中間部ベルト掛け67とに、背負いベルト68を掛け渡すことができる。
すなわち、本発明のキャリーバッグ10は、下部ベルト掛け65と上部ベルト掛け66と中間部ベルト掛け67とを備えているため、利用者は下部ベルト掛け65と上部ベルト掛け66との組み合わせと、下部ベルト掛け65と中間部ベルト掛け67との組み合わせとを、任意に選択することができ、利便性が高まる。
【0060】
好ましくは、キャスター70は、ブラケット21から外し、ポケット53の内側の防水袋54に収納する。防水袋54に収納するため、キャスター70が泥や雨水で汚れていても差し支えない。防水袋54は適宜外して洗濯すればよいからである。
そのためには、キャスター70は着脱可能な構造にする必要がある。そのための構造の一例を次に説明する。
【0061】
図8(a)に示すように、キャスター70は、第1底部22に固定されているブラケット21に下から挿入されるキャスター軸71と、このキャスター軸71から下に延びつつ2又に分かれるフォーク部材72と、このフォーク部材72に取付けられる車輪73とからなる。
【0062】
ブラケット21には、例えば、S字部材74と、このS字部材74を回転自在にブラケット21に止めるピン75と、S字部材74の下部をキャスター軸71へ付勢する板ばね76と、この板ばね76を反付勢方向(ロックを解除する方向)へS字部材74を押すロック解除ボタン77とを備える。
キャスター軸71は円環溝78を備えている。S字部材74は、下部に尖った爪79と傾斜面81とを備えている。
【0063】
図8(a)にあっては、爪79が円環溝78に進入して、キャスター軸71の軸方向移動を抑制するが、キャスター軸71の回転は許容する。したがって、車輪73は床や路面の上を回転し、フォーク部材72は、キャスター軸71を中心に旋回する。
【0064】
ロック解除ボタン77を押すと、爪79が円環溝78から離れる。以降、キャスター軸71をブラケット21から下へ引き抜くことができる。
【0065】
外したキャスター軸71を、ブラケット21へ挿入すると、キャスター軸71の先端が傾斜面81を押す。さらに、キャスター軸71を上昇させると、爪79が円環溝78に嵌って、
図8(a)に戻る。
以上のように、キャスター軸71は、ブラケット21に着脱可能に挿入されている。
【0066】
なお、S字部材74や板ばね76などの構成は、一例示であるため適宜変更して差し支えない。要は、キャスター軸71が、ブラケット21に着脱可能に挿入される構成であればよく、構成は実施例に限定されない。
【0067】
また、
図8(b)に示すように、キャスター軸71を着脱可能にする必要がないときに、円環溝78に止めねじ83の先端を嵌めるだけの構造が採用できる。止めねじ83はキャスター軸71の回転を許容しつつ、キャスター軸71の軸方向移動を抑制する。
好ましくは、キャスター軸71とブラケット21の間に、抵抗部材84を設ける。
【0068】
抵抗部材84は、Oリングが好適である。Oリングの潰し代は、次に述べる力(抵抗力)を考慮して決定する。
図8(c)に示すように、キャスター軸71を水平にしたときに、車輪73の重さでフォーク部材72がキャスター軸71を中心に回転する。この回転を抑え得る大きさの抵抗力を、抵抗部材84で発生させる。
上記抵抗力は、車輪73が床や路面を走行するときには、キャスター軸71の回転を許容する大きさに留める。
【0069】
利用者によっては、キャスター70の脱着が煩わしいと考え、キャスター70が着いたままでキャリーバッグ10を背負うことがある。このときに、上述した
図8(b)の構造が役に立つ。
【0070】
図9において、利用者は、手で車輪73を内側に向ける。この状態で背負えば、車輪73が背中に接することはない。車輪73で背中が汚れることもなくなる。
抵抗部材(
図8(b)、符号84)の抵抗作用により、キャスター軸の回転(空転)が抑制され、背負って移動するときに、フォーク部材72が勝手に回転することはなくなる。
【0071】
なお、
図8(a)と
図8(b)の構造は、各々独立した構成ではあるが、
図8(a)の構成に、抵抗部材84を追加することは、差し支えない。
よって、キャスター70の構造は、任意に設定することができる。
【0072】
また、本発明のキャリーバッグ10は、狭義のバッグに限定するものではなく、キャリーケースや、キャスター付きスーツケースや、キャスター付きトランク、キャスター付き鞄、又は同等品の何れであってもよい。
【0073】
また、実施例では、キャリーバッグ10は、第1収納室20とそれの上の第2収納室40とからなるが、本発明は2室型バッグに限定するものではない。
すなわち、第1収納室20は上下に並んだ3室以上の室で構成されてもよい。この場合は最上の室が、第2収納室40で、その下の室が第1収納室20となる。
【0074】
また、第1収納室20は、左右に並んだ2室以上の室で構成されていてもよい。最上位の第2収納室40が要であるからである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、キャスター付きのキャリーバッグに好適である。
【符号の説明】
【0076】
10…キャリーバッグ、10A…2室型バッグ、10B…1室型バッグ、20…第1収納室、21…ブラケット、22…第1底部、23…第1正面壁、24…第1左側壁、25…第1右側壁、26…第1背面壁、27…第1天井、28…窓部、29…第1扉、40…第2収納室、41…第2正面壁、42…第2左側壁、43…第2右側壁、44…第2背面壁、45…第2天井、46…谷折り線、47…副取っ手、48…主取っ手、49…第2扉、65…下部ベルト掛け、66…上部ベルト掛け、67…中間部ベルト掛け、68…背負いベルト、70…キャスター、71…キャスター軸、72…フォーク部材、73…車輪、84…抵抗部材。
【要約】
【課題】荷物が入れ易く且つ外観性の良好な容積可変キャリーバッグを提供する。
【解決手段】
図4(a)にて、矢印(1)の通りに、第2正面壁41を折って第1天井27の上に重ねる。
図4(b)に示すように、第2正面壁41は第1天井27に載っており、起立状態の第2背面壁44と、垂れさがった第2天井45と、三角形の第2左側壁42とが見える。
図4(c)にて、矢印(2)の通りに、第2左面壁42と第2右側壁43を内側へ寄せつつ、
図4(b)にて、矢印(3)の通りに、第2背面壁44を倒す。結果、
図4(d)に示すように、第2背面壁44が上に載った形態となる。
【選択図】
図4