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特許7568329並列バッテリシステムおよび並列バッテリシステムの充電残余時間の予測方法
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  • 特許-並列バッテリシステムおよび並列バッテリシステムの充電残余時間の予測方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】並列バッテリシステムおよび並列バッテリシステムの充電残余時間の予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/382 20190101AFI20241008BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20241008BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
G01R31/382
G01R31/387
H02J7/02 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023539168
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 KR2022014182
(87)【国際公開番号】W WO2023068569
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0138650
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ、ヨウンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジフーン
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-322420(JP,A)
【文献】特開2001-045673(JP,A)
【文献】特開2014-161211(JP,A)
【文献】特開2016-171658(JP,A)
【文献】特開2020-036393(JP,A)
【文献】特表2022-505155(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0025495(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0054134(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0212392(US,A1)
【文献】国際公開第2014/046234(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/154115(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/081177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/18
G01R 31/382
G01R 31/387
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列連結された複数のバッテリパックを最終目標SOCまで充電するための残余時間を予測する方法において、
バッテリ管理システム(Battery Management System,BMS)が前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する段階;
前記BMSが前記複数のバッテリパックに対して前記SOCが低い順にオーダリング番号を付ける段階;
前記BMSが前記複数のバッテリパックのうち充電装置に連結されたバッテリパックを含む連結パックグループおよび前記充電装置に連結されていないバッテリパックを含む使用パックグループを決定する段階;
前記BMSが前記連結パックグループを構成するn個のバッテリパックのうち前記オーダリング番号が最も大きいバッテリパックが前記最終目標SOCに到達するまで必要な第1充電残余時間を予測する段階;
前記BMSが前記使用パックグループを構成するm個のバッテリパックそれぞれに対するm個の充電残余時間を予測し、前記m個の充電残余時間を合算して第2充電残余時間を算出する段階;および
前記BMSが前記第1充電残余時間および前記第2充電残余時間を合算して最終充電残余時間を予測する段階を含み、
前記nおよび前記mは自然数である、充電残余時間の予測方法。
【請求項2】
前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する段階は、
前記BMSが、前記複数のバッテリパックそれぞれに含まれたBMICから受信した各バッテリパックの複数のバッテリセルそれぞれのセル電圧、前記複数のバッテリパックのバッテリ電流、および前記複数のバッテリパックの温度情報を示す信号に基づいて前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する、請求項1に記載の充電残余時間の予測方法。
【請求項3】
前記連結パックグループおよび前記使用パックグループを決定する段階は、
前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOCが基準SOC値未満のバッテリパックを前記連結パックグループとして決定する段階を含む、請求項1に記載の充電残余時間の予測方法。
【請求項4】
前記連結パックグループおよび前記使用パックグループを決定する段階は、
前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOCが基準SOC値以上のバッテリパックを前記使用パックグループとして決定する段階を含む、請求項1に記載の充電残余時間の予測方法。
【請求項5】
前記第2充電残余時間を算出する段階は、
前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックを除いた第1バッテリパックの充電残余時間は、前記第1バッテリパックそれぞれの推定されたSOCが次のオーダリング番号に該当する第2バッテリパックの推定されたSOCに到達するのに必要な充電時間で予測する段階を含む、請求項1に記載の充電残余時間の予測方法。
【請求項6】
前記第2充電残余時間を算出する段階は、
前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きい第3バッテリパックの充電残余時間は、前記第3バッテリパックの推定されたSOCが前記最終目標SOCに到達するのに必要な充電時間で予測する段階を含む、請求項1に記載の充電残余時間の予測方法。
【請求項7】
並列連結された複数のバッテリパック;および
前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定し、前記複数のバッテリパックに対して前記SOCが低い順にオーダリング番号を付けて、前記複数のバッテリパックのうち充電装置に連結されたバッテリパックを含む連結パックグループおよび前記充電装置に連結されていないバッテリパックを含む使用パックグループを決定し、前記連結パックグループの第1充電残余時間を予測し、前記使用パックグループの第2充電残余時間を算出して、前記第1充電残余時間および前記第2充電残余時間を合算して前記複数のバッテリパックを最終目標SOCまで充電するための最終充電残余時間を予測するBMSを含む、バッテリシステム。
【請求項8】
前記BMSは、
前記複数のバッテリパックそれぞれに含まれたBMICから受信した各バッテリパックの複数のバッテリセルそれぞれのセル電圧、前記複数のバッテリパックのバッテリ電流、および前記複数のバッテリパックの温度情報を示す信号に基づいて前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記BMSが、
前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOCが基準SOC値未満のバッテリパックを前記連結パックグループに設定する、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項10】
前記BMSが、
前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOCが基準SOC値以上のバッテリパックを前記使用パックグループに設定する、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項11】
前記BMSは、
前記連結パックグループを構成するn個のバッテリパックのうち前記オーダリング番号が最も大きいバッテリパックが前記最終目標SOCに到達するまで必要な時間を前記第1充電残余時間で予測し、前記nは自然数である、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項12】
前記BMSは、
前記使用パックグループを構成するm個のバッテリパックそれぞれに対するm個の充電残余時間を予測し、前記m個の充電残余時間を合算して第2充電残余時間を算出し、前記mは自然数である、請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項13】
前記BMSが、
前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックを除いた第1バッテリパックの推定されたSOCが次のオーダリング番号に該当する第2バッテリパックの推定されたSOCに到達するのに必要な充電時間を前記第1バッテリパックの充電残余時間で予測する、請求項12に記載のバッテリシステム。
【請求項14】
前記BMSが、
前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きい第3バッテリパックの充電残余時間は、前記第3バッテリパックの推定されたSOCが前記最終目標SOCに到達するのに必要な充電時間で予測し、前記第1バッテリパックの充電残余時間および前記第3バッテリパックの充電残余時間を合算して前記第2充電残余時間を算出する、請求項13に記載のバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年10月18日付韓国特許出願第10-2021-0138650号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本開示は並列バッテリシステムおよび並列バッテリシステムの充電残余時間の予測方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車はバッテリシステムから電力の供給を受け、バッテリシステムは複数のバッテリパックを含む。バッテリシステムに供給しなければならない電力量によって、複数のバッテリパックが互いに並列連結されるか、互いに直列連結されるか、または所定単位で並列連結されたバッテリパックが直列連結されることができる。
【0004】
2個以上のバッテリパックが直列構造からなるバッテリシステムに比べて、2個以上のバッテリパックが並列構造からなるバッテリシステムは、充電残余時間の予測のために考慮すべきことが多い。これは並列連結された複数のバッテリパックそれぞれのリレー制御を伴うからである。並列に連結されている各バッテリパックの状態とリレー制御による効果的な充電残余時間を予測する技術が必要である。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2020-036393号公報
特許文献2 特許第3692617号
特許文献3 特許第5979235号
特許文献4 韓国公開特許第10-2019-0083897号公報
特許文献5 韓国公開特許第10-2020-0025495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2個以上のバッテリパックが並列連結されたバッテリシステムにおいて、並列に連結されている各バッテリパックの状態とリレー制御による効果的な充電残余時間の予測方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一特徴による充電残余時間の予測方法は、並列連結された複数のバッテリパックを最終目標SOCまで充電するための残余時間を予測する方法において、バッテリ管理システム(Battery Management System,BMS)が前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する段階、前記BMSが前記複数のバッテリパックに対して前記SOCが低い順にオーダリング番号を付ける段階、前記BMSが前記複数のバッテリパックのうちリレーが閉じられて充電装置に連結されたバッテリパックを含む連結パックグループおよびリレーが開放されて前記充電装置に連結されていないバッテリパックを含む使用パックグループを決定する段階、前記BMSが前記連結パックグループを構成するn個のバッテリパックのうち前記オーダリング番号が最も大きいバッテリパックが前記最終目標SOCに到達するまで必要な第1充電残余時間を予測する段階、前記BMSが前記使用パックグループを構成するm個のバッテリパックそれぞれに対するm個の充電残余時間を予測し、前記m個の充電残余時間を合算して第2充電残余時間を算出する段階、および前記BMSが前記第1充電残余時間および前記第2充電残余時間を合算して最終充電残余時間を予測する段階を含み、前記nおよび前記mは自然数である。
【0007】
前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する段階は、前記BMSが、前記複数のバッテリパックそれぞれに含まれたBMICから受信した前記複数のバッテリセルそれぞれのセル電圧、前記複数のバッテリパックのバッテリ電流、および前記複数のバッテリパックの温度情報を示す信号に基づいて前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する。
【0008】
前記連結パックグループおよび前記使用パックグループを決定する段階は、前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOC値が前記基準SOC値未満のバッテリパックを前記連結パックグループとして決定する段階を含む。
【0009】
前記連結パックグループおよび前記使用パックグループを決定する段階は、前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOC値が前記基準SOC値以上のバッテリパックを前記使用パックグループとして決定する段階を含む。
【0010】
前記第2充電残余時間を算出する段階は、前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックを除いた第1バッテリパックの充電残余時間は、前記第1バッテリパックそれぞれの推定されたSOCが次のオーダリング番号に該当する第2バッテリパックの推定されたSOCに到達するのに必要な充電時間で予測する段階を含む。
【0011】
前記第2充電残余時間を算出する段階は、前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きい第3バッテリパックの充電残余時間は、前記第3バッテリパックの推定されたSOCが前記最終目標SOCに到達するのに必要な充電時間で予測する段階を含む。
【0012】
発明の他の特徴によるバッテリシステムは、並列連結された複数のバッテリパック、および前記複数のバッテリパックそれぞれのSOC値を推定し、前記複数のバッテリパックに対して前記SOCが低い順にオーダリング番号を付けて、前記複数のバッテリパックのうちリレーが閉じられて充電装置に連結されたバッテリパックを含む連結パックグループおよびリレーが開放されて前記充電装置に連結されていないバッテリパックを含む使用パックグループを決定し、前記連結パックグループの第1充電残余時間を予測し、前記使用パックグループの第2充電残余時間を算出して、前記第1充電残余時間および前記第2充電残余時間を合算して前記複数のバッテリパックを最終目標SOCまで充電するための最終充電残余時間を予測するBMSを含む。
【0013】
前記BMSは、前記複数のバッテリパックそれぞれに含まれたBMICから受信した前記複数のバッテリセルそれぞれのセル電圧、前記複数のバッテリパックのバッテリ電流、および前記複数のバッテリパックの温度情報を示す信号に基づいて前記複数のバッテリパックそれぞれのSOCを推定する。
【0014】
前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOC値が基準SOC値未満のバッテリパックを前記連結パックグループに設定する。
【0015】
前記BMSが、前記複数のバッテリパックのうち前記推定されたSOC値が基準SOC値以上のバッテリパックを前記使用パックグループに設定する。
【0016】
前記BMSは、前記連結パックグループを構成するn個のバッテリパックのうち前記オーダリング番号が最も大きいバッテリパックが前記最終目標SOCに到達するまで必要な時間を前記第1充電残余時間で予測し、前記nは自然数である。
【0017】
前記BMSは、前記使用パックグループを構成するm個のバッテリパックそれぞれに対するm個の充電残余時間を予測し、前記m個の充電残余時間を合算して第2充電残余時間を算出して、前記mは自然数である。
【0018】
前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックを除いた第1バッテリパックの推定されたSOCが次のオーダリング番号に該当する第2バッテリパックの推定されたSOCに到達するのに必要な充電時間を前記第1バッテリパックの充電残余時間で予測する。
【0019】
前記BMSが、前記m個のバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きい第3バッテリパックの充電残余時間は、前記第3バッテリパックの推定されたSOCが前記最終目標SOCに到達するのに必要な充電時間で予測し、前記第1バッテリパックの充電残余時間および前記第3バッテリパックの充電残余時間を合算して前記第2充電残余時間を算出する。
【発明の効果】
【0020】
2個以上のバッテリパックが並列連結されたバッテリシステムにおいて、並列に連結されている各バッテリパックの状態とリレー制御による効果的な充電残余時間の予測方法を提供して効果的な充電残余時間の予測を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態によるバッテリシステムおよびバッテリシステムに連結された外部装置の構成を示す図である。
【0022】
図2】一実施形態による充電残余時間の予測方法を示すフローチャートである。
【0023】
図3図2の充電残余時間の予測方法を説明するために複数のバッテリパックおよび各バッテリパックの充電状態を図式的に示す例示図である。
【0024】
図4】一実施形態による充電残余時間の予測方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付する図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳細に説明し、同一または類似の構成要素には同一、類似の図面符号を付与し、これに係る重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞の「モジュール」および/または「部」は明細書作成の容易さだけを考慮して付与するかまたは混用されるものであって、それ自体が互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明するにあたり関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を曖昧にすると判断される場合はその詳細な説明を省略する。また、添付する図面は本明細書に開示された実施形態を簡単に理解できるようにするためのものであり、本明細書に開示された技術的思想は添付する図面によって制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物および代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0026】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0027】
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0028】
一実施形態による構成のうち特定の制御条件で他の構成を制御する構成には、他の構成を制御するために必要な制御アルゴリズムを具体化した命令の集合として実現されたプログラムが設けられる。制御構成は設けられたプログラムに応じて入力データおよび保存されたデータを処理して出力データを生成することができる。制御構成はプログラムを保存する不揮発性メモリおよびデータを保存するメモリを含むことができる。
【0029】
図1は一実施形態によるバッテリシステムおよびバッテリシステムに連結された外部装置の構成を示す図である。
【0030】
バッテリシステム1は複数のバッテリパック10-50、バッテリ管理システム60、およびメインリレー70を含む。図1では複数のバッテリパック10-50の個数が5個である場合が示されているが、発明はこれに限定されず、バッテリシステム1は2個以上のバッテリパックを含むことができる。バッテリ管理システム60を以下、BMS(Battery Management System)という。
【0031】
外部装置2はインバータ、コンバータなどの負荷および充電装置を含むことができる。メインリレー70の一端はバッテリシステム1に連結されており、メインリレー70の他端は外部装置2で少なくとも一つの構成に連結されている。
【0032】
複数のバッテリパック10-50は互いに並列連結され、複数のバッテリパック10-50それぞれはメインリレー70により外部装置2に対しても並列連結されることができる。複数のバッテリパック10-50それぞれは、全体バッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55のうち対応する複数のバッテリセル(例えば、11-15)、複数のリレー101,201,301,401,501のうち対応するリレー(例えば、101)、および複数のパックバッテリモニタリング集積回路102,202,302,402,502のうち対応するパックバッテリモニタリング集積回路(例えば、102)を含む。バッテリモニタリング集積回路を以下ではBMIC(Battery Monitoring Integrated Circuit)という。
【0033】
複数のパックBMIC102-502は、複数のバッテリセル(11-15,21-25,31-35,41-45,51-55,例えば、11-15)に連結されており、複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55それぞれのセル電圧、バッテリパック10-50のバッテリ電流、バッテリパック10-50の温度などに関する情報を取得する。
【0034】
BMS60は複数のパックBMIC102-502から受信したバッテリパック電圧、バッテリパック電流、バッテリパック温度などに基づいて複数のバッテリパック10-50の充放電を制御し、複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55に対するセルバランシング動作を制御する。
【0035】
BMS60は、複数のパックBMIC102-502およびメインリレー70に充放電のための制御信号、セルバランシング動作を制御するための制御信号などを伝送する。複数のパックBMIC102-502それぞれは、BMS60から受信した対応する制御信号に基づいて複数のリレー101,201,301,401,501のうち対応するリレーの開と閉を制御し、複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55のうち対応する複数のバッテリセルそれぞれに対するセルバランシング動作を制御することができる。
【0036】
以下、図2を参照して、BMS60が複数のパックBMIC102-502からバッテリパック電圧、バッテリパック電流、バッテリパック温度および複数のリレー101-501それぞれが開であるか閉であるかを受信してバッテリシステム1の充電残余時間を予測する方法を説明する。
【0037】
図2は一実施形態による充電残余時間の予測方法を示すフローチャートである。
【0038】
BMS60は、複数のバッテリパック10-50それぞれのSOCを推定する(S1)。BMS60は複数のパックBMIC102-502から受信した複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55のそれぞれのバッテリセル電圧、複数のバッテリパック10-50のバッテリパック電流、およびバッテリパック温度などに関する情報に基づいて各バッテリパック10-50のバッテリ充電状態、バッテリ劣化程度を推定する。以下ではバッテリ充電状態をSOC(State of Charge)といい、バッテリ劣化程度をSOH(State of Health)という。
【0039】
BMS60は、複数のパックBMIC102-502から受信した複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55のセル電圧、複数のバッテリパック10-50のバッテリ電流、温度などに関する情報に基づいて複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55それぞれのSOCを推定し、複数のバッテリパック10-50それぞれのSOCを推定することができる。
【0040】
BMS60は、複数のバッテリセル(例えば、11-15)のSOCに基づく代表SOCを導き出してバッテリパック(例えば、10)のSOCとして推定することができる。代表SOCを導き出す方式は最大値、最小値、平均値などを導き出す方式が用いられる。バッテリパック(例えば、10)の充電時には、複数のバッテリセル(例えば、11-15)のSOCのうち最大値が代表SOCであり得る。複数のバッテリセル11-15,21-25,31-35,41-45,51-55それぞれのSOCを推定する方式は、電流積算方式、バッテリ等価回路モデルに基づくSOC推定方式、カルマンフィルタを用いて電流積算方式と等価回路モデルに基づくSOC推定方式を組み合わせる方式などのように公知された多様な方式のうち一つであり得る。
【0041】
BMS60は複数のバッテリパック10-50に対してSOCが低い順に数字をオーダリング(ordering)する(S2)。
【0042】
図3図2の充電残余時間の予測方法を説明するために複数のバッテリパックおよび各バッテリパックの充電状態を図式的に示す例示図である。
【0043】
BMS60はオーダリングする前に、複数のバッテリパック10-50それぞれを互いに区別するために索引番号(index number)を複数のバッテリパック10-50それぞれに付与する。例えば、図3(a)で、複数のバッテリパック10-50は左側から順に1、2、3、4、5の索引番号が付けられる。
【0044】
図3には、複数のバッテリパック10-50で推定されたSOCが各バッテリパック内部の陰影処理された領域の広さで図式的に示されている。図3(a)で、複数のバッテリパック10-50のSOCによる索引番号の配列は低い順に5、1、3、2、4である。
【0045】
BMS60はS2段階により複数のバッテリパック10-50を対応するSOCが低い順に羅列して複数のバッテリパック10-50に対してオーダリング番号(ordering number)を付与する。オーダリング番号は、SOCが低い順に複数のバッテリパック10-50を整列するとき、複数のバッテリパック10-50それぞれに対して付与する番号である。
【0046】
例えば、図3(b)で、BMS60が複数のバッテリパック10-50をSOCが低い順に整列すると、索引番号5、1、3、2、4の順に整列する。BMS60は整列した複数のバッテリパック10-50に順にオーダリング番号を付与することができる。したがって、複数のバッテリパック10-50のオーダリング番号は左側から順に1、2、3、4、5である。また、図3(b)で、複数のバッテリパック10-50の索引番号は左側から順に5、1、3、2、4である。
【0047】
BMS60は複数のバッテリパック10-50の最終目標SOCを決定することができる。例えば、BMS60は最終目標SOCを、満充電(fully charged)バッテリパックのSOCの95%に決定することができる。
【0048】
BMS60は複数のバッテリパック10-50のうちリレー101-501が閉じられて充電装置に連結されたバッテリパックを含む連結パックグループおよびリレー101-501が開放されて充電装置に連結されていないバッテリパックを含む使用パックグループを決定することができる(S3)。
【0049】
以下、図4を参照すると、BMS60が連結パックグループと使用パックグループを決定する段階を説明することができる。
【0050】
図4は、一実施形態による充電残余時間の予測方法を示すフローチャートである。
【0051】
BMS60は複数のバッテリパック10-50のSOCが低い順に数字をオーダリングし(S20)、各バッテリパック10-50のSOCが基準SOC未満であるかを判断する(S31)。S31段階の判断結果、SOCが基準SOC未満のバッテリパックは連結パックグループとして決定する(S32)。S31段階の判断結果、SOCが基準SOC以上であるバッテリパックは使用パックグループとして決定する(S33)。ここで基準SOCは初期情報により予め定められる。
【0052】
図3の例で、BMS60はオーダリング番号が1、2、3であるバッテリパック50,10,30は連結パックグループ、オーダリング番号が4,5であるバッテリパック20,40は使用パックグループとして決定する。
【0053】
連結パックグループを構成するバッテリパック50,10,30のリレー501,101,301はBMS60で生成された制御信号に応じて閉状態に制御される。使用パックグループを構成するバッテリパック20,40のリレー201,401はBMS60で生成された制御信号に応じて開状態に制御される。リレーの開または閉を制御する制御信号はBMS60で生成されてバッテリパックの該当パックBMIC102-502に伝送され、パックBMIC102-502は制御信号に応じてリレー駆動制御信号を生成して各リレー101-501に供給することができる。
【0054】
バッテリシステム1の最終充電残余時間を予測するためにBMS60は連結パックグループの充電残余時間および使用パックグループの充電残余時間をそれぞれ導き出す。
【0055】
以下では、図3の例を基準として充電残余時間の予測段階(S4-S6)を説明する。
【0056】
BMS60は連結パックグループに対する充電残余時間および使用パックグループに対する充電残余時間を予測することができる。
【0057】
BMS60はバッテリパックの残余エネルギを、充電装置から供給できる電力で割ってバッテリパック単位の充電残余時間を予測する。バッテリパックの残余エネルギは充電目標SOCに対応するエネルギと現在の推定されたバッテリパックのSOCに対応するエネルギの間の差である。BMS60はSOC別に対応するバッテリパックのエネルギをテーブル化して保存することができる。これは下記の数式1の通り示すことができる。
【0058】
【数1】
【0059】
BMS60がバッテリパック単位の充電残余時間を選択するための充電目標SOCは、各バッテリパック10-50が属するグループが連結パックグループであるか、または使用パックグループであるかよって異に決定することができる。
【0060】
BMS60は連結パックグループを構成するn個のバッテリパック(例えば、50,10,30)のうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパック(例えば、30)の充電残余時間(例えば、c)を連結パックグループの充電残余時間として予測する(S4)。ここで、nは自然数である。図3の例で、n=3である。
【0061】
BMS60は連結パックグループに属する少なくとも一つのバッテリパックのうちSOCが最も高いバッテリパックが最終目標SOCに到達するまで必要な予想時間を連結パックグループの充電残余時間として予測することができる。
【0062】
言い換えれば、BMS60は連結パックグループに属するバッテリパックの充電残余時間の予測において、最終目標SOC(例えば、SOC95%)を充電目標SOCとする。
【0063】
図3を参照すると、BMS60は連結パックグループに含まれた3個のバッテリパック50,10,30のうちSOCが最も高いバッテリパック30が最終目標SOCに到達するのに必要な充電残余時間cを連結パックグループの充電残余時間として予測することができる。
【0064】
バッテリパック50,10,30は充電装置に並列に連結されているので、バッテリパック一個当たり充電電力の1/3が供給されることができる。バッテリパック50,10,30の充電が始まった後、充電装置に並列に連結されているバッテリパック50,10,30のうちいずれか一つのバッテリでも目標SOCに到達すれば充電が終了する。連結パックグループの充電残余時間として、バッテリパック30の充電残余時間cを代表値として使用するのは、充電装置に並列に連結されているバッテリパック50,10,30のうちバッテリパック30の充電前のSOCが最も高く、バッテリパック30が目標SOCに最も早く到達できるからである。
【0065】
BMS60は使用パックグループを構成するm個のバッテリパック(例えば、20,40)それぞれに対するm個の充電残余時間を合算して使用パックグループの充電残余時間を予測する(S5)。ここで、mは自然数である。図3の例で、m=2である。
【0066】
BMS60は使用パックグループに属する少なくとも一つのバッテリパックのそれぞれに対する充電残余時間を予測し、予測した各充電残余時間を合算して使用パックグループに対する充電残余時間を予測することができる。
【0067】
図3を参照すると、BMS60は使用パックグループに含まれたバッテリパック20の充電残余時間dおよびバッテリパック40の充電残余時間eを合算して使用パックグループの充電残余時間を予測することができる。
【0068】
BMS60は、バッテリパック20の推定されたSOCが次のオーダリング番号に該当するバッテリパック40の推定されたSOC(充電目標SOC)に到達するのに必要な充電時間を充電残余時間dで予測することができる。BMS60は使用パックグループのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパック40の推定されたSOCが最終目標SOC(充電目標SOC)に到達するのに必要な充電時間を充電残余時間eで予測することができる。
【0069】
言い換えれば、BMS60は使用パックグループに属するバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックを除いたバッテリパックの充電残余時間の予測において、次のオーダリング番号に該当するバッテリパック40の推定されたSOCを充電目標SOCとする。また、BMS60は使用パックグループに属するバッテリパックのうちオーダリング番号が最も大きいバッテリパックの充電残余時間の予測において、最終目標SOC(例えば、SOC95%)を充電目標SOCとする。
【0070】
使用パックグループを構成するバッテリパック20,40それぞれの充電残余時間d,eを合算した時間(d+e)は、使用パックグループを構成するバッテリパック20,40のうちオーダリング番号が最も小さいバッテリパック20の推定されたSOC値を基準として、最終目標SOC値に到達するのに予想される充電時間と同一である。
【0071】
このように、一実施形態による充電残余時間の予測方法は、充電装置に連結できる連結パックグループ-バッテリパック50,10,30-の充電残余時間と使用可能な使用パックグループ-バッテリパック20,40-に対する充電残余時間を異なる方式で予測することができる。
【0072】
BMS60は連結パックグループの充電残余時間および使用パックグループの充電残余時間を合算して最終充電残余時間を予測する(S6)。BMS60がバッテリシステム1の最終充電残余時間を予測する方法を示すと、下記の数式2の通りである。
【0073】
【数2】
【0074】
ここで、CRTは充電残余時間(Charge Remaining Time)であり、ConnPは連結パックグループ(Connected Battery Pack)、AvailPは使用パックグループ(Available Battery Pack)である。
【0075】
BMS60は充電装置から連結パックグループを構成するバッテリパック50,10,30の充電が終了すると、再びS1段階からS6段階まで繰り返すことができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、本発明の属する分野で通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態もまた、本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4