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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20241008BHJP
   B29C 45/06 20060101ALI20241008BHJP
   B29C 45/80 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/06
B29C45/80
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021012269
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115609
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大貫 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】石井 義久
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-001757(JP,A)
【文献】特開2006-103205(JP,A)
【文献】特開2017-071104(JP,A)
【文献】特開2009-154343(JP,A)
【文献】特開2000-296532(JP,A)
【文献】特開2003-117936(JP,A)
【文献】実公昭39-033745(JP,Y1)
【文献】特開平05-008246(JP,A)
【文献】特開2017-071090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取付けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルに設けられたブロックと、
前記回転テーブルの回転を停止させるべく、前記ブロックが押し当てられるストッパと、
前記ブロックが前記ストッパに押し当てられる際に、前記ブロックとは反対側から前記ストッパを押さえる押さえ部材とを、備え、
前記押さえ部材は、前記ブロックの移動軌跡を挟んで前記回転テーブルの径方向両側で、前記ストッパを押さえる、射出成形機。
【請求項2】
前記ストッパを前記回転テーブルの径方向に移動させる駆動部を備え、
前記押さえ部材は、前記ストッパの移動をガイドするガイド部を含む、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記ブロックの前記移動軌跡を除いた箇所に設けられる、請求項1又は2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記ブロックの前記移動軌跡に切り欠きを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記回転テーブルは、前記金型が取付けられる第1面と、前記第1面とは反対向きの第2面と、を有し、
前記ブロックは、前記回転テーブルの前記第2面に設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項6】
金型が取付けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルに設けられた第1ブロックと、
前記回転テーブルに設けられた第2ブロックと、
前記回転テーブルの第1方向への回転を停止させるべく、前記第1ブロックが押し当てられる第1ストッパと、
前記回転テーブルの前記第1方向とは逆方向である第2方向への回転を停止させるべく、前記第2ブロックが押し当てられる第2ストッパと、
前記第1ブロックと前記第1ストッパとの接触位置と、前記第2ブロックと前記第2ストッパとの接触位置とが、前記回転テーブルの径方向と、前記回転テーブルの回転軸の軸方向との少なくとも一方向に異なる、射出成形機。
【請求項7】
前記第1ブロックと前記第2ブロックとは、前記回転テーブルの前記回転軸から等距離の位置に設けられ、
前記第1ブロックと前記第1ストッパとの接触位置と、前記第2ブロックと前記第2ストッパとの接触位置とが、前記回転テーブルの前記回転軸の軸方向に異なる、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記第1ブロックと前記第2ブロックとは、前記回転テーブルの前記回転軸の軸方向寸法が異なる、請求項6又は7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記回転テーブルの前記回転軸の軸方向から見たときに、前記第1ブロックの移動範囲内に、前記第2ストッパが設けられる、請求項6~8のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記回転テーブルの前記回転軸の軸方向から見たときに、前記第2ブロックの移動範囲外に、前記第1ストッパが設けられる、請求項6~9のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の射出成形機は、フレームに回転自在に配設されたテーブルと、テーブルに取付けられた複数の下金型と、テーブルを回転させ各下金型を型締位置及び操作位置に置く駆動手段と、テーブルの下面から下方に突出する位置決め部材と、位置決め部材が当接される第1及び第2のストッパと、を備える。
【0003】
駆動手段がテーブルを正方向に回転させ、位置決め部材が第2のストッパに当接すると、一方の下金型が型締位置に、他方の下金型が操作位置に置かれる。一方、駆動手段がテーブルを逆方向に回転させ、位置決め部材が第1のストッパに当接すると、一方の下金型が操作位置に、他方の下金型が型締位置に置かれる。
【0004】
また、特許文献1の射出成形機は、第1のストッパを案内するガイドと、第1のストッパを進退させるためのアクチュエータとしてのシリンダと、を備える。制御装置は、シリンダを作動させることによって、第1のストッパを、位置決め部材が第1のストッパに当接させられる当接位置、及び位置決め部材が第1のストッパに当接させられない退避位置に置く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-1757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、第1のストッパは、一対のガイドによって案内される。第1のストッパは、当接位置に置かれた状態で、一対のガイドから突出する突出部を有する。その突出部に、位置決め部材が当接させられる。位置決め部材の移動軌跡の片側のみに、一対のガイドが設けられる。それゆえ、位置決め部材が第1のストッパに押し当てられた際に、第1のストッパに回転モーメントが生じてしまう。従って、第1のストッパを安定して押さえられなかった。
【0007】
本発明の第1態様は、回転テーブルの回転を止めるストッパを安定して押さえる、技術を提供する。
【0008】
特許文献1では、1つの位置決め部材が第1のストッパと第2のストッパの両方に押し当てられる。これに対して、テーブルの回転方向に応じて、異なる組み合わせの位置決め部材とストッパとを用いることが考えられる。しかし、テーブルの回転の途中で、意図しない組み合わせの位置決め部材とストッパとが干渉してしまい、テーブルの回転が途中で妨げられてしまう恐れがあった。
【0009】
本発明の第2態様は、回転テーブルの回転方向に応じて異なる組み合わせの位置決め部材とストッパとを用いる場合に、意図しない組み合わせの位置決め部材とストッパとの干渉を防止する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様に係る射出成形機は、回転テーブルと、ブロックと、ストッパと、押さえ部材と、を備える。前記回転テーブルは、金型が取付けられるものである。前記ブロックは、前記回転テーブルに設けられる。前記ストッパは、前記回転テーブルの回転を停止させるべく前記ブロックが押し当てられるものである。前記押さえ部材は、前記ブロックが前記ストッパに押し当てられる際に、前記ブロックとは反対側から前記ストッパを押さえる。前記押さえ部材は、前記ブロックの移動軌跡を挟んで前記回転テーブルの径方向両側で、前記ストッパを押さえる。
【0011】
本発明の第2態様に係る射出成形機は、回転テーブルと、第1ブロックと、第2ブロックと、第1ストッパと、第2ストッパと、を備える。前記回転テーブルは、金型が取付けられるものである。前記第1ブロックは、前記回転テーブルに設けられる。前記第2ブロックは、前記回転テーブルに設けられる。前記第1ストッパは、前記回転テーブルの第1方向への回転を停止させるべく前記第1ブロックが押し当てられるものである。前記第2ストッパは、前記回転テーブルの前記第1方向とは逆方向である第2方向への回転を停止させるべく前記第2ブロックが押し当てられるものである。前記第1ブロックと前記第1ストッパとの接触位置と、前記第2ブロックと前記第2ストッパとの接触位置とが、前記回転テーブルの径方向と、前記回転テーブルの回転軸の軸方向との少なくとも一方向に異なる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様によれば、ブロックの移動軌跡を挟んで回転テーブルの径方向両側でストッパを押さえることで、ストッパに回転モーメントが生じるのを防止でき、ストッパを安定して押さえることができる。
【0013】
また、本発明の第2態様によれば、第1ブロックと第1ストッパとの接触位置と、第2ブロックと第2ストッパとの接触位置とを所望の方向にずらすことで、第1ブロックと第2ストッパの干渉、又は第2ブロックと第1ストッパとの干渉を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係る射出成形機のプラテン開完了時の状態を示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る射出成形機のプラテン開完了時の状態を示す断面図である。
図3図3は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す断面図である。
図4図4は、一実施形態に係る射出成形機のエジェクタ装置を示す断面図である。
図5図5(A)は、型開開始後であって突き出し開始前のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。図5(B)は、突き出し開始時のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。図5(C)は、型開完了時及び突き出し完了時のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。
図6図6は、一実施形態に係る回転テーブルの位置決め機構を示す平面図である。
図7図7は、図6の一部を拡大して示す平面図であって、ブロックがストッパに押し当てられた状態を示す平面図である。
図8図8は、図7のブロックとストッパを斜め上方から見た斜視図である。
図9図9は、図7に対応する平面図であって、ブロックがストッパの横を通過する状態を示す平面図である。
図10図10は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルを回転角0°に位置決めした状態を示す平面図である。
図11図11は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルを回転角120°に位置決めした状態を示す平面図である。
図12図12は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルの回転角を240°に位置決めした状態を示す平面図である。
図13図13は、変形例に係る第2ブロックが第2ストッパに押し当てられた状態を示す側面図である。
図14図14は、変形例に係る第1ブロックが第2ストッパの上を通過する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0016】
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機のプラテン開完了時の状態を示す斜視図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機のプラテン開完了時の状態を示す断面図である。図3は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す断面図である。図4は、一実施形態に係る射出成形機のエジェクタ装置を示す断面図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が竪型である場合、Z軸方向が型締方向である。
【0017】
射出成形機10は、図1図4に示すように、金型装置800A、800B、800Cを型締する型締装置100と、金型装置800A、800B、800Cで成形された成形品20を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800A、800B、800Cに成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800A、800B、800Cに対し射出装置300を昇降させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900と、を備える。フレーム900は、レベリングアジャスタ930を介して床面2に設置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0018】
(型締装置)
図1に示すように、型締装置100は、複数の金型装置800A、800B、800Cの型締を順番に行う。金型装置800Aは上金型810Aと下金型820Aとを含み、金型装置800Bは上金型810Bと下金型820Bとを含み、金型装置800Cは上金型810Cと下金型820Cとを含む。金型装置800A、800B、800Cは、同一の構成を有する。
【0019】
型締装置100は例えば竪型であって、型締方向が鉛直方向である。型締装置100は、複数の上金型810A、810B、810Cを順番に上方から押す上プラテン110と、下金型820A、820B、820Cが取付けられる回転テーブル121と、回転テーブル121を回転させる回転モータ122と、回転テーブル121を下方から支持する下プラテン120と、を備える。
【0020】
上プラテン110は、下プラテン120の上方に配設され、フレーム900に対し昇降自在である。上プラテン110は、その下面で、複数の上金型810A、810B、810Cを順番に上方から押す。
【0021】
一方、下プラテン120は、フレーム900に対し固定される。下プラテン120における上プラテン110との対向面(上面)には、回転テーブル121が回転自在に載置される。回転テーブル121の上面には、複数の下金型820A、820B、820Cが取付けられる。
【0022】
回転モータ122が回転テーブル121を回転させることで、複数の金型装置800A、800B、800Cの各々が第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3に順番に配置される。図1では、金型装置800Aが第1位置P1に配置され、金型装置800Bが第2位置P2に配置され、金型装置800Cが第3位置P3に配置されている。
【0023】
第1位置P1は、例えば、型締及び射出が行われる成形位置である。第2位置P2は、成形品20の冷却が行われる冷却位置である。第3位置P3は、例えば成形品20の突き出しが行われるエジェクタ位置である。第3位置P3は、型開閉が行われる型開閉位置を兼ねてもよい。また、第3位置P3は、インサート材が下金型820A、820B、820Cにセットされるインサート位置を兼ねてもよい。
【0024】
なお、金型装置の停止位置(第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3を含む)で行われる工程は、上記の組み合わせには限定されない。また、金型装置の停止位置の数は、金型装置の数と同数であればよく、3つには限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。例えば、エジェクタ位置とインサート位置とは、別々に設定されてもよい。
【0025】
また、上記実施形態では上金型の数と下金型の数が同数であるが、上金型の数が1つであって下金型の数が複数であってもよい。後者の場合、上金型は上プラテン110に取付けられ、上プラテン110と共に昇降させられる。この場合、上プラテン110の昇降によって型開閉が行われ、型開閉は成形位置で行われる。
【0026】
図2図3に示すように、型締装置100は、下プラテン120の下方に配置されるトグルサポート130と、上プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、下プラテン120とトグルサポート130との間に配置されるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、上プラテン110とトグルサポート130の間隔Lを調整する型厚調整機構180と、を備える。
【0027】
トグルサポート130は、下プラテン120の下方においてフレーム900に対し昇降自在である。トグルサポート130は、タイバー140によって上プラテン110と連結される。トグルサポート130を昇降させることにより、上プラテン110が昇降させられる。
【0028】
タイバー140は、上プラテン110とトグルサポート130とを型締方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば3本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型締方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0029】
なお、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0030】
トグル機構150は、下プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、下プラテン120に対しトグルサポート130を昇降させる。トグル機構150は、型締方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は下プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を相対的に昇降させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、下プラテン120に対しトグルサポート130が昇降させられる。
【0031】
なお、トグル機構150の構成は、図2および図3に示す構成に限定されない。例えば図2および図3では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0032】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を相対的に昇降させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、上プラテン110を昇降させる。型締モータ160は、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されるが、運動変換機構170に直結されてもよい。
【0033】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。ねじ軸はトグルサポート130に回転自在に支持され、ねじナットはクロスヘッド151に固定される。型締モータ160を駆動してねじ軸を回転させると、ねじナットやクロスヘッド151がトグルサポート130に対し相対的に昇降させられる。これにより、第1リンク152および第2リンク153が屈伸させられ、トグルサポート130が昇降させられる。
【0034】
なお、本実施形態の型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられるが、フレーム900に取付けられてもよい。この場合、ねじ軸の上端部はクロスヘッド151で回転自在に支持され、ねじ軸の下端部はフレーム900に回転自在に保持される回転部材にスプライン結合され、ねじナットはトグルサポート130に固定されてよい。型締モータ160を駆動して回転部材を回転させると、ねじ軸が回転しながら昇降し、クロスヘッド151がトグルサポート130に対し相対的に昇降させられる。これにより、第1リンク152および第2リンク153が屈伸させられ、トグルサポート130が昇降させられる。
【0035】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、プラテン閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、プラテン開工程、およびテーブル回転工程などを行う。プラテン閉工程は、上プラテン110を下降させ、上プラテン110を上金型810A、810B、810Cの上面にタッチさせる工程である。昇圧工程は、上プラテン110を更に下降させ、型締力を発生させる工程である。型締工程は、上プラテン110を停止させ、昇圧工程で発生させた型締力を維持する工程である。脱圧工程は、上プラテン110を上昇させ、昇圧工程で発生させた型締力を減少させる工程である。プラテン開工程は、上プラテン110を更に上昇させ、上プラテン110を上金型810A、810B、810Cから離間させる工程である。テーブル回転工程は、回転テーブル121を回転させる工程である。テーブル回転工程は、例えば、プラテン開工程の完了後、次のプラテン閉工程の開始前に行われる。
【0036】
プラテン閉工程では、型締モータ160を駆動してトグルサポート130に対しクロスヘッド151を設定移動速度でプラテン閉完了位置まで相対的に上昇させることにより、上プラテン110を下降させ、上プラテン110を上金型810A、810B、810Cの上面にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0037】
なお、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、上プラテン110の位置を検出する上プラテン位置検出器、および上プラテン110の移動速度を検出する上プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0038】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してトグルサポート130に対しクロスヘッド151をプラテン閉完了位置から型締位置までさらに相対的に上昇させることにより、上プラテン110を下降させ、型締力を生じさせる。
【0039】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、上金型810A、810B、810Cと下金型820A、820B、820Cとの間にキャビティ空間が形成される。例えば、図3に示すように、型締工程では、上金型810Aと下金型820Aとの間にキャビティ空間801Aが形成される。射出装置300がキャビティ空間に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品20(図4参照)が得られる。
【0040】
キャビティ空間801Aの数は例えば複数であり、複数の成形品20が同時に得られる。キャビティ空間801Aの数は1つでもよい。また、キャビティ空間801Aの一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801Aの他の一部に成形材料が充填されてもよい。この場合、インサート材と成形材料とが一体化した成形品20が得られる。
【0041】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してトグルサポート130に対しクロスヘッド151を型締位置からプラテン開開始位置まで相対的に下降させることにより、上プラテン110を上昇させ、型締力を減少させる。プラテン開開始位置と、プラテン閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0042】
プラテン開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度でプラテン開開始位置からプラテン開完了位置までさらに相対的に下降させることにより、上プラテン110を上昇させ、上プラテン110を上金型810A、810B、810Cから離間させる。
【0043】
プラテン開工程の完了後、次のプラテン閉工程の開始前に、テーブル回転工程が行われる。テーブル回転工程では、回転テーブル121を回転し、金型装置800A、800B、800Cを回転させる。複数の金型装置800A、800B、800Cの各々が第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3に順番に配置される。回転テーブル121の回転方向は、第1方向と、第1方向とは逆方向の第2方向との間で切換えられてもよい。回転方向の切換によって、回転テーブル121に対して固定される配線又は配管の配置が元に戻るため、配線又は配管の取り回しが容易である。但し、回転テーブル121の回転方向は、第1方向又は第2方向のいずれか一方のみで固定されてもよい。
【0044】
プラテン閉工程および昇圧工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、プラテン閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(プラテン閉開始位置、移動速度切換位置、プラテン閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。プラテン閉開始位置、移動速度切換位置、プラテン閉完了位置、および型締位置は、下側から上方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0045】
脱圧工程およびプラテン開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程およびプラテン開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(プラテン開開始位置、移動速度切換位置、およびプラテン開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。プラテン開開始位置、移動速度切換位置、およびプラテン開完了位置は、上側から下方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。プラテン開開始位置とプラテン閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、プラテン開完了位置とプラテン閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0046】
なお、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、上プラテン110の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッド151の位置(例えば型締位置)や上プラテン110の位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0047】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して上プラテン110に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0048】
金型装置800A、800B、800Cの交換又は温度変化などにより金型装置800A、800B、800Cの厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば上プラテン110が上金型810A、810B、810Cにタッチする時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、上プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0049】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、上プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えばプラテン開工程の完了後であって、次のプラテン閉工程の開始前である。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の下端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ昇降不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0050】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。なお、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0051】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。なお、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0052】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、上プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。なお、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
【0053】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。なお、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0054】
型締装置100は、金型装置800A、800B、800Cの温度を調節する金型温調器を有してもよい。金型装置800A、800B、800Cは、その内部に、温調媒体の流路を有する。金型温調器は、金型装置800A、800B、800Cの流路に供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800A、800B、800Cの温度を調節する。
【0055】
なお、本実施形態の型締装置100は、型締方向が鉛直方向である竪型であるが、型締方向が水平方向である横型でもよい。
【0056】
なお、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。
【0057】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200は、金型装置800A、800B、800Cから成形品20を突き出す。金型装置800A、800B、800Cは同一の構成を有するので、代表的に金型装置800Aから成形品20を突き出す動作について説明する。
【0058】
まず、図4を参照して金型装置800Aの構造について説明する。金型装置800Aは、上金型810Aと、下金型820Aとを有する。下金型820Aは、回転テーブル121に取付けられる取付板821Aと、キャビティ空間801Aを形成する型板822Aと、取付板821Aと型板822Aとの間に空間824Aを形成する中間板823Aと、を含む。中間板823Aは、スペーサブロックとも呼ばれる。
【0059】
下金型820Aは、空間824Aに昇降自在に配置されるエジェクタプレート825Aと、エジェクタプレート825Aから上方に延びる棒状のエジェクタピン826Aと、を更に含む。エジェクタプレート825Aは、不図示のリターンバネによって下方に付勢され、取付板821Aに押し付けられる。
【0060】
エジェクタピン826Aは、型板822Aを鉛直方向に貫通するピン穴に昇降自在に挿入される。エジェクタプレート825Aが取付板821Aに押し付けられた状態で、エジェクタピン826Aの上端面はキャビティ空間801Aの壁面を形成し、成形品20と当接する。キャビティ空間801Aごとに、少なくとも1本のエジェクタピン826Aが設けられる。エジェクタピン826Aを上昇させることで、成形品20が突き上げられ、成形品20の突き出しが行われる。その後、エジェクタピン826Aは、下降させられる。
【0061】
下金型820Aは、取付板821Aと中間板823Aと型板822Aとを鉛直方向に貫通するピン穴に昇降自在に配置される型開閉ピン827Aを更に含む。型開閉ピン827Aが取付板821Aよりも下方に落下しないように、不図示のストッパが設けられる。型開閉ピン827Aを上昇させることで、上金型810Aが下金型820Aから押し上げられ、型開が行われる。一方、型開閉ピン827Aを下降させることで、上金型810Aが下金型820Aの上に載せられ、型閉が行われる。型開閉ピン827Aは、上金型810Aを安定して支持できるように3本以上(図4には2本のみ図示)設けられる。
【0062】
エジェクタ装置200は、下プラテン120の下方にて昇降させられるエジェクタクロスヘッド210と、エジェクタクロスヘッド210を昇降させる駆動機構220と、を備える。駆動機構220は、エジェクタモータ221と、エジェクタモータ221の回転運動をエジェクタクロスヘッド210の直線運動に変換する運動変換機構222と、を有する。運動変換機構222は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットと、を含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0063】
エジェクタクロスヘッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータ221の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、エジェクタクロスヘッド210の位置を検出するエジェクタクロスヘッド位置検出器、およびエジェクタクロスヘッド210の移動速度を検出するエジェクタクロスヘッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0064】
エジェクタ装置200は、エジェクタクロスヘッド210から上方に延びるエジェクタロッド230を更に備える。エジェクタロッド230は、下プラテン120を鉛直方向に貫通する固定穴123に昇降自在に配置される。エジェクタロッド230は、回転テーブル121を鉛直方向に貫通する回転穴124と、取付板821Aを鉛直方向に貫通する貫通穴828Aを通り、エジェクタプレート825Aに接触し、エジェクタプレート825Aを介してエジェクタピン826Aを上方に押す。
【0065】
また、エジェクタ装置200は、エジェクタクロスヘッド210から上方に延びる型開閉ロッド240を更に備える。型開閉ロッド240は、下プラテン120を鉛直方向に貫通する固定穴125に昇降自在に配置される。型開閉ロッド240は、回転テーブル121を鉛直方向に貫通する回転穴126を通り、型開閉ピン827Aに接触し、型開閉ピン827Aを上方に押す。型開閉ロッド240の本数は、型開閉ピン827Aの本数と同じであってよい。
【0066】
次に、図4及び図5を参照して、エジェクタ装置200の動作について説明する。図4は、回転テーブルの回転停止時のエジェクタ装置の一例を示す。図5(A)は、型開開始後であって突き出し開始前のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。図5(B)は、突き出し開始時のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。図5(C)は、型開完了時及び突き出し完了時のエジェクタ装置の一例を示す断面図である。
【0067】
図4に示すように、回転テーブル121の回転停止時に、下プラテン120の固定穴123と、回転テーブル121の回転穴124との位置が合わされ、且つ下プラテン120の固定穴125と、回転テーブル121の回転穴126との位置が合わされる。この時、エジェクタロッド230及び型開閉ロッド240は、回転テーブル121よりも下方で停止している。また、上金型810Aは、下金型820Aの上に載っている。
【0068】
次に、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を上昇開始位置から型開開始位置まで上昇させる。その結果、型開閉ロッド240が型開閉ピン827Aに当接する。続いて、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を更に上昇させ、型開工程を開始させる。型開工程では、図5(A)に示すように、型開閉ロッド240で型開閉ピン827Aを押し上げ、上金型810Aを下金型820Aから押し上げる。
【0069】
続いて、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を突き出し開始位置まで更に上昇させる。その結果、図5(B)に示すように、エジェクタロッド230がエジェクタプレート825Aに当接する。続いて、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を更に上昇させ、突き出し工程を開始させる。突き出し工程では、エジェクタプレート825Aを介してエジェクタピン826Aを押し上げ、成形品20を下金型820Aから突き上げる。
【0070】
続いて、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を上昇完了位置まで上昇させ、停止させる。その結果、型開工程及び突き出し工程が完了し、図5(C)に示すように、成形品20が下金型820Aよりも上方に突き出される。その後、成形品20は、取出機などで取り出される。
【0071】
その後、制御装置700は、エジェクタモータ221を駆動して、エジェクタクロスヘッド210を下降開始位置から下降完了位置まで下降させ、停止させる。エジェクタロッド230及び型開閉ロッド240は回転テーブル121よりも下方で停止し、回転テーブル121が再び回転させられる。
【0072】
エジェクタクロスヘッド210の上昇速度や位置(上昇開始位置、上昇速度切換位置、型開開始位置、突き出し開始位置、および上昇完了位置を含む)などは、一連の設定条件として、まとめて設定される。上昇開始位置、上昇速度切換位置、型開開始位置、突き出し開始位置、および上昇完了位置は、下側から上方に向けてこの順で並び、上昇速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、上昇速度が設定される。上昇速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。上昇速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0073】
エジェクタクロスヘッド210の下降速度や位置(下降開始位置、下降速度切換位置、および下降完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。下降開始位置、下降速度切換位置、および下降完了位置は、上側から下方に向けて、この順で並び、下降速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、下降速度が設定される。下降速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。下降速度切換位置は、設定されなくてもよい。下降開始位置と上昇完了位置とは同じ位置であってよい。また、下降完了位置と上昇開始位置とは同じ位置であってよい。
【0074】
(射出装置)
射出装置300は、図1に示す移動装置400によって上プラテン110に対し昇降させられる。射出装置300は、金型装置800A、800B、800Cにタッチし、金型装置800A、800B、800C内のキャビティ空間(例えばキャビティ空間801A)に成形材料を充填する。図2図3に示すように、射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の下端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に昇降自在に且つ回転自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330の間で伝達される荷重を検出する荷重検出器360と、を有する。
【0075】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の上部に形成される。シリンダ310の上部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも下方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0076】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばZ軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0077】
ノズル320は、シリンダ310の下端部に設けられ、金型装置800A、800B、800Cに対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0078】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ昇降自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が下方に送られる。成形材料は、下方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の下方に送られシリンダ310の下部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が上昇させられる。その後、スクリュ330を下降させると、スクリュ330下方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800A、800B、800C内に充填される。
【0079】
スクリュ330の下部には、スクリュ330を下方に押すときにスクリュ330の下方から上方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が昇降自在に取付けられる。
【0080】
逆流防止リング331は、スクリュ330を下降させるときに、スクリュ330下方の成形材料の圧力によって上方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図3参照)までスクリュ330に対し相対的に上昇する。これにより、スクリュ330下方に蓄積された成形材料が上方に逆流するのを防止する。
【0081】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って下方に送られる成形材料の圧力によって下方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に下降する。これにより、スクリュ330の下方に成形材料が送られる。
【0082】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0083】
なお、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で昇降させる駆動源を有していてもよい。
【0084】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0085】
射出モータ350は、スクリュ330を昇降させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を昇降させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0086】
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される荷重を検出する。検出した荷重は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の荷重の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する荷重を検出する。
【0087】
荷重検出器360は、検出した荷重の信号を制御装置700に送る。荷重検出器360によって検出される荷重は、スクリュ330と成形材料との間で作用する圧力に換算され、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0088】
尚、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、又は型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800A、800B、800Cの内部に設置される。
【0089】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程とも呼ぶ。
【0090】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を下方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の下方に送られシリンダ310の下部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が上昇させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0091】
計量工程では、スクリュ330の急激な上昇を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで上昇し、スクリュ330の下方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0092】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、下側から上方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0093】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で下降させ、スクリュ330の下方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800A、800B、800C内のキャビティ空間(例えばキャビティ空間801A)に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0094】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、上側から下方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0095】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。荷重検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で下降される。一方、荷重検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、荷重検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で下降される。
【0096】
なお、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速下降または微速上昇が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0097】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を下方に押し、スクリュ330の下端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800A、800B、800Cに向けて押す。金型装置800A、800B、800C内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0098】
保圧工程では金型装置800A、800B、800C内のキャビティ空間(例えばキャビティ空間801A)の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0099】
なお、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ昇降不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ昇降自在に配設される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが昇降自在に配設される。
【0100】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が鉛直方向である竪型であるが、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であってもよい。横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。同様に、竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。
【0101】
(移動装置)
図1に示すように、移動装置400は、上プラテン110に対して射出装置300を昇降させる。また、移動装置400は、金型装置800A、800B、800Cに対してノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、例えば複数本の油圧シリンダ401、402を含む。複数本の油圧シリンダ401、402は、ノズル320を中心に対称に配置される。
【0102】
移動装置400が金型装置800A、800B、800Cからノズル320を離間させた状態で、型締装置100が回転テーブル121と共に金型装置800A、800B、800Cを回転させる。その後で、移動装置400が、金型装置800A、800B、800Cに対してノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0103】
なお、本実施形態では移動装置400は油圧シリンダ401、402を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動装置400は、油圧シリンダ401、402の代わりに、上プラテン110又は射出装置300に対して固定される射出装置移動モータと、射出装置移動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構と、を含んでもよい。
【0104】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図2図3に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0105】
制御装置700は、金型装置800A、800B、800Cごとに、第1位置P1で行われる工程と、テーブル回転工程と、第2位置P2で行われる工程と、テーブル回転工程と、第3位置P3で行われる工程と、テーブル回転工程とを繰り返し行うことにより、成形品20を繰り返し製造する。成形品20を得るための一連の動作、例えばプラテン閉工程の開始から次のプラテン閉工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0106】
一回の成形サイクルは、例えば、第1位置P1で行われる工程と、テーブル回転工程と、第2位置P2で行われる工程と、テーブル回転工程と、第3位置P3で行われる工程と、テーブル回転工程と、をこの順番で有する。
【0107】
第1位置P1では、例えば、プラテン閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、脱圧工程、およびプラテン開工程が行われる。プラテン閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、脱圧工程、及びプラテン開工程は、この順番で開始される。型締工程の開始は、充填工程の開始と一致してもよい。充填工程および保圧工程は、型締工程の間に行われる。脱圧工程の終了は、プラテン開工程の開始と一致する。
【0108】
第2位置P2では、例えば、冷却工程が行われる。なお、冷却工程は、脱圧工程の開始から、突き出し工程の開始まで行われる。それゆえ、冷却工程は、第2位置P2だけではなく、第1位置P1及び第3位置P3でも行われる。
【0109】
第3位置P3では、例えば、型開工程、突き出し工程、および型閉工程が行われる。型開工程、突き出し工程、および型閉工程は、この順番で開始される。型開工程の終了は、突き出し工程の終了と一致してもよい。突き出し工程の終了後、型閉工程が開始される。
【0110】
第3位置P3で各種の工程が行われる間に、第1位置P1では、次の成形サイクルの準備として、計量工程が行われる。
【0111】
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネル770の画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、ユーザによる画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0112】
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
【0113】
(回転テーブルの位置決め機構)
図6は、一実施形態に係る回転テーブルの位置決め機構を示す平面図である。図6において、金型装置800A、800B、800C及び回転テーブル121の輪郭を破線で示す。また、図6において、図7等に示す回転角検出器501及び位置検出器502の図示を省略する。図7は、図6の一部を拡大して示す平面図であって、ブロックがストッパに押し当てられた状態を示す平面図である。図8は、図7のブロックとストッパを斜め上方から見た斜視図である。図9は、図7に対応する平面図であって、ブロックがストッパの横を通過する状態を示す平面図である。
【0114】
図6に破線で示すように、回転テーブル121には、複数の金型装置800A、800B、800Cが取付けられる。複数の金型装置800A、800B、800Cは、回転テーブル121の回転軸127を中心に回転対称に配置される。回転テーブル121が回転軸127を中心に回転させられることで、複数の金型装置800A、800B、800Cの各々が第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3に順番に配置される。
【0115】
図6では、金型装置800Aが第1位置P1に配置され、金型装置800Bが第2位置P2に配置され、金型装置800Cが第3位置P3に配置されている。金型装置800Aが第1位置P1に配置されるときの、回転テーブル121の回転角が0°である。
【0116】
また、金型装置800Aが第2位置P2に配置されるときに、金型装置800Bが第3位置P3に配置され、金型装置800Cが第1位置P1に配置される。金型装置800Aが第2位置P2に配置されるときの、回転テーブル121の回転角が120°である。
【0117】
更に、金型装置800Aが第3位置P3に配置されるときに、金型装置800Bが第1位置P1に配置され、金型装置800Cが第2位置P2に配置される。金型装置800Aが第3位置P3に配置されるときの、回転テーブル121の回転角が240°である。
【0118】
回転テーブル121は、予め設定された回転角(例えば0°、120°、240°)で停止させられる。なお、回転テーブル121の停止位置の数は、金型装置の数と同数であればよく、3つには限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0119】
射出成形機10は、回転テーブル121の停止位置を位置決めする位置決め機構500を備える。位置決め機構500は、回転テーブル121に設けられる複数のブロック510A、510B、510Cと、回転テーブル121の回転を停止すべく、複数のブロック510A、510B、510Cが押し当てられるストッパ520と、を備える。
【0120】
複数のブロック510A、510B、510Cは、回転テーブル121の回転軸127を中心に回転対称に配置される。回転テーブル121が回転軸127を中心に第1方向(図6において時計回り方向)に回転させられることで、複数のブロック510A、510B、510Cが順番にストッパ520に押し当てられる。
【0121】
図6に示すように、ブロック510Aがストッパ520に押し当てられたときには、回転テーブル121は回転角0°で停止させられる。別のブロック510Bがストッパ520に押し当てられるときには、回転テーブル121は回転角120°で停止させられる。更に別のブロック510Cがストッパ520に押し当てられるときには、回転テーブル121は回転角240°で停止させられる。
【0122】
回転テーブル121は、金型装置800A、800B、800Cが取付けられる第1面(例えば上面)と、第1面とは反対向きの第2面(例えば下面)と、を含む。ブロック510A、510B、510Cは、例えば、回転テーブル121の第2面に設けられる。より詳細には、ブロック510A、510B、510Cは、回転テーブル121の第2面の周縁部に設けられる。
【0123】
図7に示すように、位置決め機構500は、回転テーブル121の回転角が設定角(例えば0°、120°、240°)であることを検出する回転角検出器501を備える。回転角検出器501は、例えば近接スイッチであり、ブロック510A、510B、510Cに設けた検出体511A、511B、511Cの存在を検出することで、回転テーブル121の回転角が設定角(例えば0°、120°、240°)であることを検出する。回転角検出器501は、その検出結果を示す信号を、制御装置700に送る。
【0124】
図7及び図8に示すように、位置決め機構500は、ブロック510A、510B、510Cがストッパ520に押し当てられる際に、ストッパ520をブロック510A、510B、510Cとは反対側から押さえる押さえ部材530を備える。図7及び図8において、回転テーブル121の径方向はX軸方向である。X軸正方向が径方向外方であり、X軸負方向が径方向内方である。
【0125】
押さえ部材530は、下プラテン120又はフレーム900などに対して固定されており、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡を挟んで回転テーブル121の径方向両側で、ストッパ520を押さえる。それゆえ、従来のようにブロック510A、510B、510Cの移動軌跡の片側のみでストッパ520を押さえる場合に比べて、ストッパ520に回転モーメントが生じるのを防止でき、ストッパ520を安定して押さえることができる。その結果、回転テーブル121の停止位置の位置決め精度を向上できる。また、後述する駆動部540のピストンロッド543にかかる荷重を低減でき、ピストンロッド543の破断を防止できる。
【0126】
位置決め機構500は、ストッパ520を回転テーブル121の径方向に移動させる駆動部540を備える。駆動部540は、ストッパ520を、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡に進入した当接位置(図7及び図8に示す位置)と、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡から退避した退避位置(図9に示す位置)とに移動させる。
【0127】
位置決め機構500は、ストッパ520の位置が当接位置であることを検出する位置検出器502を備える。位置検出器502は、例えば近接スイッチであり、ストッパ520に設けた検出体521の存在を検出することで、ストッパ520の位置が当接位置であることを検出する。位置検出器502は、その検出結果を示す信号を、制御装置700に送る。
【0128】
駆動部540は、例えば、シリンダである。駆動部540は、シリンダチューブ541と、シリンダチューブ541の内部空間に進退自在に配置される不図示のピストンと、ピストンに取付けられるピストンロッド543と、を含む。ピストンロッド543の一端にはピストンが取付けられ、ピストンロッド543の他端にはフローティングジョイント544を介してストッパ520が取付けられる。
【0129】
フローティングジョイント544は、球面体と、球面体を回転自在に支持する球受け座と、を有する。球面体と球受け座の一方(例えば球面体)がストッパ520に対して固定され、球面体と球受け座の他方(例えば球受け座)がピストンロッド543に対して固定される。フローティングジョイント544は、ストッパ520に生じた回転モーメントがピストンロッド543に伝達されるのを防止する。
【0130】
駆動部540は、シリンダには限定されない。駆動部540は、例えば回転モータと、回転モータの回転運動をロッドの直線運動に変換するボールねじ機構などの運動変換機構と、を含んでもよい。ロッドの先端には、フローティングジョイント544を介してストッパ520が取付けられる。
【0131】
押さえ部材530は、ストッパ520の移動をガイドするガイド部531を含む。ガイド部531によって、ストッパ520の移動方向を規制できる。ガイド部531は、例えば、下プラテン120又はフレーム900に対して固定されるベース壁532と、ベース壁532に対して垂直な第1垂直壁533と、ベース壁532に対して垂直な第2垂直壁534と、を有する。ベース壁532は、水平に設けられる。ベース壁532と第1垂直壁533と第2垂直壁534とでガイド溝が形成され、ガイド溝の内部をストッパ520が移動する。
【0132】
第1垂直壁533は、ブロック510A、510B、510Cがストッパ520に押し当てられる際に、ストッパ520をブロック510A、510B、510Cとは反対側から押さえる。第1垂直壁533は、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡の位置に切り欠き535を含む。切り欠き535は、例えばU字状に形成される。ストッパ520を退避位置に退避させた状態で、ブロック510A、510B、510Cを通過させることができる。
【0133】
一方、第2垂直壁534は、第1垂直壁533とは反対側から、ストッパ520を支える。図8に示すように、ブロック510A、510B、510Cは、ストッパ520に押し当てられる際に、第2垂直壁534の上を通過する。従って、第2垂直壁534の高さは、第1垂直壁533の高さよりも低い。
【0134】
押さえ部材530は、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡を除いた箇所に設けられる。それゆえ、ストッパ520を退避位置に退避させた状態で、ブロック510A、510B、510Cを通過させることができる。例えば、押さえ部材530は、ブロック510A、510B、510Cの移動軌跡に、切り欠き535を含む。
【0135】
次に、回転テーブル121の回転角を0°から120°に変化させる動作について説明する。なお、回転角を120°から240°に変化させる動作、及び回転角を240°から0°に変化させる動作は、回転角を120°から240°に変化させる動作と同様であるので、説明を省略する。
【0136】
制御装置700は、回転テーブル121の回転角を0°から120°に変化させる際に、まず、回転テーブル121を第1方向とは逆方向である第2方向(図6において反時計回り方向)に0.5°程度回転させ、ブロック510Aをストッパ520から離間させる。これにより、ストッパ520の移動が可能になる。
【0137】
次に、制御装置700は、駆動部540を駆動して、ストッパ520を当接位置から退避位置に移動させる。その後、制御装置700は、回転テーブル121を第1方向に回転させる。その結果、図9に示すように、ブロック510Aが押さえ部材530の切り欠き535を通過する。
【0138】
次に、制御装置700は、回転テーブル121の回転角が120°に達する前に、駆動部540を駆動して、ストッパ520を退避位置から当接位置に移動させる。その後、ブロック510Bがストッパ520に当接させられ、回転テーブル121の回転角が120°に達し、回転テーブル121の回転方向が停止させられる。
【0139】
(位置決め機構の変形例)
次に、図10図14を参照して、変形例に係る位置決め機構500について説明する。図10は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルを回転角0°に位置決めした状態を示す平面図である。図11は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルを回転角120°に位置決めした状態を示す平面図である。図12は、変形例に係る位置決め機構が回転テーブルの回転角を240°に位置決めした状態を示す平面図である。図13は、変形例に係る第2ブロックが第2ストッパに押し当てられた状態を示す側面図である。図14は、変形例に係る第1ブロックが第2ストッパの上を通過する状態を示す側面図である。
【0140】
本変形例の位置決め機構500は、上記実施形態の位置決め機構500と同様に、複数の第1ブロック510B、510Cと、第1ストッパ520と、押さえ部材530と、駆動部540と、を備える。また、本変形例の位置決め機構500は、上記実施形態の位置決め機構500と同様に、回転角検出器501と、位置検出器502と、を備えてもよい。
【0141】
図11に矢印A1で示すように、回転テーブル121が第1方向(例えば時計回り方向)に回転させられ、第1ブロック510Bが第1ストッパ520に押し当てられたときには、回転テーブル121は回転角120°で停止させられる。また、図12に矢印A2で示すように、回転テーブル121が第1方向に回転させられ、第1ブロック510Cが第1ストッパ520に押し当てられたときには、回転テーブル121は回転角240°で停止させられる。
【0142】
一方、図12に矢印A3で示すように、回転テーブル121が第1方向とは逆方向である第2方向(例えば反時計回り方向)に回転させられ、図10に示すように、第2ブロック550が第2ストッパ560に押し当てられたときには、回転テーブル121は回転角0°で停止させられる。回転テーブル121の回転方向の切換によって、回転テーブル121に対して固定される配線又は配管の配置が元に戻るため、配線又は配管の取り回しが容易である。
【0143】
本変形例の位置決め機構500は、上記実施形態の位置決め機構500とは異なり、回転テーブル121の回転方向に応じて、異なる組み合わせのブロックとストッパとを用いる。具体的には、回転テーブル121の第1方向への回転を停止させるのには、第1ブロック510B、510Cと第1ストッパ520とが用いられる。回転テーブル121の第2方向への回転を停止させるのには、第2ブロック550と第2ストッパ560とが用いられる。
【0144】
回転テーブル121は、金型装置800A、800B、800Cが取付けられる第1面(例えば上面)と、第1面とは反対向きの第2面(例えば下面)と、を含む。第1ブロック510B、510Cと第2ブロック550は、例えば、回転テーブル121の第2面に設けられる。より詳細には、第1ブロック510B、510Cと第2ブロック550は、回転テーブル121の第2面の周縁部に設けられる。
【0145】
図10図12に示すように、第1ブロック510B、510Cと、第2ブロック550とは、回転テーブル121の回転軸127から等距離の位置に設けられる。第1ブロック510B、510Cの移動軌跡と、第2ブロック550の移動軌跡とを重ねることができ、位置決め機構500を小型化できる。
【0146】
上記の通り、第1ブロック510B、510Cの移動軌跡と、第2ブロック550の移動軌跡とは、重なっている。従って、回転テーブル121の回転の途中で、第1ブロック510B、510Cと第2ストッパ560とが干渉する恐れがある。また、回転テーブル121の回転の途中で、第2ブロック550と第1ストッパ520とが干渉する恐れがある。
【0147】
例えば、図12に示すように、回転テーブル121の回転軸127の軸方向(例えばZ軸方向)から見たときに、第1ブロック510Bの移動範囲内に、第2ストッパ560が設けられる。図12の矢印A4は、回転テーブル121の回転角が120°から240°に変化するときの、第1ブロック510Bの移動範囲を示す。それゆえ、第1ブロック510Bと第2ストッパ560とが干渉する恐れがある。
【0148】
そこで、本変形例では、第1ブロック510B、510Cと第1ストッパ520との接触位置と、第2ブロック550と第2ストッパ560との接触位置とが、回転テーブル121の回転軸127の軸方向(例えばZ軸方向)に異なる。具体的には、例えば、図14に示すように、第1ブロック510B、510Cの高さは、第2ストッパ560の高さよりも高い。
【0149】
上記の通り、第1ブロック510B、510Cの高さは、第2ストッパ560の高さよりも高い。従って、回転テーブル121の回転角が120°から240°に変化する途中で、第2ストッパ560の上方を第1ブロック510Bが通過でき、第1ブロック510Bと第2ストッパ560との干渉を防止できる。
【0150】
図13図14を比較すれば明らかなように、第1ブロック510B、510Cと第2ブロック550とは、回転テーブル121の回転軸127の軸方向寸法(例えばZ軸方向寸法)が異なる。例えば、第1ブロック510B、510CのZ軸方向寸法T1は、第2ブロック550のZ軸方向寸法T2よりも短い。従って、第2ストッパ560の上方を第1ブロック510Bが通過できる。
【0151】
第2ストッパ560は、第1ストッパ520とは異なり、回転テーブル121の径方向に移動しなくてもよい。従って、第2ストッパ560は、下プラテン120又はフレーム900に対して移動不能に固定されてもよい。第2ストッパ560の上方を第1ブロック510Bが通過するからである。
【0152】
また、図12に示すように、回転テーブル121の回転軸127の軸方向(例えばZ軸方向)から見たときに、第2ブロック550の移動範囲外に、第1ストッパ520が設けられる。図12の矢印A3が、第2ブロック550の移動範囲を示す。
【0153】
上記の通り、第2ブロック550の移動範囲外に第1ストッパ520が設けられる。それゆえ、第1ブロック510Bと第2ストッパ560とが干渉する恐れが無い。よって、回転テーブル121の回転が妨げられてしまう恐れが無い。
【0154】
なお、本変形例では、第1ブロック510B、510Cと第1ストッパ520との接触位置と、第2ブロック550と第2ストッパ560との接触位置とが、回転テーブル121の回転軸127の軸方向(例えばZ軸方向)に異なるが、回転テーブル121の径方向に異なってもよく、両方向に異なってもよい。いずれにしろ、意図しない組み合わせのブロックとストッパとの干渉を防止できる。
【0155】
図13に示すように、位置決め機構500は、回転テーブル121の回転角が設定角(例えば0°)であることを検出する回転角検出器503を備える。回転角検出器503は、第2ストッパ560の周辺に設けられる。
【0156】
回転角検出器503は、例えば近接スイッチであり、第2ブロック550に設けた検出体551の存在を検出することで、回転テーブル121の回転角が設定角(例えば0°)であることを検出する。回転角検出器501は、その検出結果を示す信号を、制御装置700に送る。
【0157】
なお、回転テーブル121の回転角が120°又は240°であることは、上記の通り、第1ストッパ520の周辺に設けられる回転角検出器501で検出する。回転角検出器501は、例えば近接スイッチであり、ブロック510B、510Cに設けた検出体511B、511Cの存在を検出することで、回転テーブル121の回転角が120°又は240°であることを検出する。回転角検出器501は、その検出結果を示す信号を、制御装置700に送る。
【0158】
以上、本発明に係る射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0159】
例えば、上記実施形態及び上記変形例の型締装置100は竪型であり、回転テーブル121の回転軸127の軸方向は鉛直方向であるが、本発明はこれには限定されない。型締装置100は横型であってもよく、回転テーブル121の回転軸127の軸方向は水平方向であってもよい。
【符号の説明】
【0160】
10 射出成形機
121 回転テーブル
510A ブロック
510B、510C ブロック(第1ブロック)
520 ストッパ(第1ストッパ)
530 押さえ部材
550 第2ブロック
560 第2ストッパ
800A、800B、800C 金型装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14