(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】タイヤ・ホイール組立体
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20241008BHJP
B60C 9/18 20060101ALI20241008BHJP
B60L 50/53 20190101ALI20241008BHJP
B60L 53/38 20190101ALI20241008BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241008BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241008BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20241008BHJP
B60B 21/12 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
B60C19/00 D
B60C9/18 A
B60C9/18 N
B60L50/53
B60L53/38
B60L5/00 B
H02J50/10
H02J50/60
B60B21/12 Z
(21)【出願番号】P 2019229509
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-12-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業、「第三世代ワイヤレスインホイールモータを開発と実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-169931(JP,A)
【文献】特開平08-126106(JP,A)
【文献】特開2004-345557(JP,A)
【文献】特開平02-171304(JP,A)
【文献】米国特許第05181975(US,A)
【文献】特開2016-199271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0031047(US,A1)
【文献】特表2016-502383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266385(US,A1)
【文献】特表2009-535699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256485(US,A1)
【文献】特開2007-283807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B60B 21/00-31/06,35/00-37/12
B60L 1/00-13/00,15/00-58/40
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤと、リム部を有するホイールとを備え、
前記タイヤは、前記リム部に装着され、
前記タイヤ・ホイール組立体は、受電コイルを備え、
前記タイヤは、1層以上のベルト層からなるベルトを有し、
前記ベルト層のコードは、有機繊維からなり、
前記タイヤは、1枚のみのカーカスプライからなるカーカスをさらに備え、
前記タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した、負荷荷重状態における接地面のタイヤ幅方向最外側点を接地端Eとするとき、
前記タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、
前記1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、前記接地端E間のタイヤ幅方向の距離である接地幅W2より小さく、又は、前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、前記接地幅W2に等し
く、
(1)前記受電コイルの一部又は全体が、車両装着内側に配置されており、あるいは、前記受電コイルの一部又は全体が、車両装着外側に配置され、前記受電コイルの面に垂直な軸方向が、タイヤ径方向内側から外側に向かって車両装着時内側に傾斜しており、
且つ、 車両装着内側となるタイヤ幅方向半部における前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Waが 、車両装着外側となるタイヤ幅方向半部における前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Wbより大きく、
あるいは、
(2)前記受電コイルの一部又は全体が、車両装着外側に配置されており、あるいは、前記受電コイルの一部又は全体は、車両装着内側に配置され、前記受電コイルの面に垂直な軸方向が、タイヤ径方向内側から外側に向かって車両装着時外側に傾斜しており、
且つ、車両装着外側となるタイヤ幅方向半部における前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Wbが、車両装着内側となるタイヤ幅方向半部における前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Waより大きいことを特徴とする、タイヤ・ホイール組立体。
【請求項2】
比W1/W2は、0.98以下である、請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項3】
比W1/W2は、0.9以下である、請求項2に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項4】
比W1/W2は、0.7以下である、請求項3に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・ホイール組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気エネルギーを動力に用いる車両として電気自動車の開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1)。特に、本格的に実用化されつつある自動運転技術においては、エンジンを用いるよりも電気モータを用いた方が、車両操作に対する反応が良いことから、電気自動車を用いた自動運転技術の開発が進められている。
【0003】
タイヤ・ホイール組立体が備える受電装置へと給電を行う給電方式として、有線を用いた方式である架線方式、並びに、ワイヤレス方式である電磁誘導方式及び電界結合方式等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その中でも、電磁誘導方式は、路面側に設置した送電コイル(1次コイル)に電流を流すことで、例えば路面に対して垂直な方向に磁束を発生させ、その磁束が車両側の受電コイル(2次コイル)を通ることにより、受電コイルに電流が流れて、送電コイルから受電コイルへと電気エネルギーの供給を行うものである。電磁誘導方式は、受電効率が高いため、特に注目されている技術である。
【0006】
しかしながら、本発明者が検討したところ、給電中に路面とタイヤとの間に異物が侵入する(特に踏み込み側や蹴り出し側からの異物が侵入する)と、該異物によって磁束が妨げられ、受電効率が低下してしまうおそれがあることが判明した。
【0007】
そこで、本発明は、踏み込み側又は蹴り出し側からの異物が侵入することによる受電効率の低下を抑制し得る、タイヤ・ホイール組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)タイヤと、リム部を有するホイールとを備え、
前記タイヤは、前記リム部に装着され、
前記タイヤ・ホイール組立体は、受電コイルを備え、
前記タイヤは、1層以上のベルト層からなるベルトを有し、
前記タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した、負荷荷重状態における接地面のタイヤ幅方向最外側点を接地端Eとするとき、
前記タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、
前記1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、前記接地端E間のタイヤ幅方向の距離である接地幅W2より小さい、又は、前記最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、前記接地幅W2に等しいことを特徴とする、タイヤ・ホイール組立体。
【0009】
上記「ホイール」の「リム部」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「ホイール」の「リム部」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0010】
(2)比W1/W2は、0.98以下であることが好ましい。
【0011】
(3)比W1/W2は、0.9以下であることが好ましい。
【0012】
(4)比W1/W2は、0.7以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本発明は、受電効率の低下を抑制し得る、タイヤ・ホイール組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるタイヤ・ホイール組立体を有する、無線受電システムを、タイヤ幅方向断面により概略的に示す、概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる変形例のタイヤ・ホイール組立体を有する、無線受電システムを、タイヤ幅方向断面により概略的に示す、概略図である。
【
図5】タイヤの各ゲージや周方向主溝の深さについて説明するためのタイヤ幅方向断面図である。
【
図8】他の例のタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【
図9A】
図8の例の補強部材の構造を説明するための斜視図である。
【
図9B】
図8の例の補強部材の構造を説明するための斜視図である。
【
図10】傾斜ベルト層及び層間ゴムを示す、断面図である。
【
図12A】カーカス折り返し部の端の一例を示す断面図である。
【
図12B】カーカス折り返し部の端の他の例を示す断面図である。
【
図12C】カーカス折り返し部の端の別の例を示す断面図である。
【
図13】サイド補強ゴムが配置された例を示す断面図である。
【
図14】サイド補強ゴムが配置された別の例を示す断面図である。
【
図15】一例のタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【
図16】一例のタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。以下、特に断りのない限り、寸法等は、上記基準状態での寸法等をいう。
【0016】
<無線受電システム>
図1は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ・ホイール組立体を有する、無線受電システムを、タイヤ幅方向断面により概略的に示す、概略図である。無線受電システム1は、外部の送電装置から無線により(すなわちワイヤレスで)送電された電力を受電するように構成されたシステムである。先に無線受電システムの外部の構成について説明すると、送電装置40は、送電コイル(1次コイル)41を備えている。送電装置40は、道路等の路面に設置され、あるいは路面の近傍に位置するように埋設されている。送電コイル41は、電力源から供給された交流電流に基づき、交流磁界を発生させる。送電コイル41は、全体を環状に構成され、路面の上方に向けて交流磁界を発生するように、当該環の軸方向が路面と略垂直となるように配置されている。ただし、図面では、送電コイル41は、模式化されている。送電装置40が備える送電コイル41は、例えば、フェライトコア等のコアに巻き回され、全体を環状に構成されたものであるが、これに限られず、コイルばね、空芯コイル等、交流磁界を発生可能な任意のコイルとすることができる。
図1に示すように、無線受電システム1は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ・ホイール組立体3を備えている。無線によって供給される電力を受電する受電装置30は、タイヤ・ホイール組立体3の収容部(収容部は、タイヤ・ホイール組立体3の内部の空間である)に収容されている。以下、タイヤ・ホイール組立体3について説明する。
【0017】
≪タイヤ・ホイール組立体≫
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかるタイヤ・ホイール組立体3は、タイヤ10と、リム部21を有するホイール20とを備える。タイヤ10は、ホイール20のリム部21に装着されている。以下、タイヤ10及びホイール20について、順にそれぞれ説明する。
【0018】
(タイヤ)
まず、タイヤ10の一例の構成について説明する。
図2は、タイヤ10のタイヤ幅方向断面図である。
図2に示すように、このタイヤ10は、一対のビード部11と、該ビード部11に連なる一対のサイドウォール部12と、該一対のサイドウォール部12に連なるトレッド部13と、を有している。
【0019】
この例では、ビード部11は、ビードコア11Aと、ビードフィラ11Bとを有している。ビードコア11Aは、この例では、周囲をゴムにより被覆された複数のビードワイヤを備える。ビードワイヤは、この例では、スチールコードによって形成されている。ビードフィラ11Bは、ゴム等で構成され、ビードコア11Aのタイヤ径方向外側に位置している。この例では、ビードフィラ11Bは、タイヤ径方向外側に向けて厚みが減少する断面略三角形状の形状をなしている。一方で、本発明では、タイヤ10は、ビードコア11Aやビードフィラ11Bを有しない構造とすることもできる。
【0020】
本発明では、ビードワイヤは非磁性材料によって形成することもできる。ビードワイヤを非磁性材料により形成することで、送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界がビードワイヤによって妨げられることがないようにすることができるからである。ここで、非磁性材料とは、磁性材料以外の材料を指し、当該磁性材料としては、強磁性を示す材料(強磁性体)を指す。従って、非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれる。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。
【0021】
図2に示すように、タイヤ10は、一対のビード部11にトロイダル状に跨るカーカス14を有している。カーカス14の端部側はビードコア11Aに係止されている。具体的には、カーカス14は、ビードコア11A間に配置されたカーカス本体部14Aと、ビードコア11Aの周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されてなるカーカス折返し部14Bと、を有している。カーカス折返し部14Bのタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側への延在長さは、適宜設定することができる。また、カーカス14は、カーカス折返し部14Bを有しない構造とすることもでき、あるいはカーカス折返し部14Bをビードコア11Aに巻き付けた構造とすることもできる。
【0022】
カーカス14は、1枚以上のカーカスプライによって構成することができる。例えば、カーカス14は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層して配置された2枚のカーカス層によって構成することができる。本実施形態では、カーカス14のカーカス層を構成するカーカスコードは、非磁性材料(この例では有機繊維)で構成されている。あるいは、カーカス14を構成するカーカスコードをスチールコードで構成することもできる。
非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれる。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。
本発明では、カーカスコードにスチールコードを用いることもできるが、非磁性材料からなるカーカスコードを用いることが好ましい。送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界がカーカス14によって妨げられることがないようにすることができ、ひいては、受電効率を向上させることができるからである。なお、本実施形態において、カーカス14は、ラジアル構造とされるが、これに限られず、バイアス構造とすることもできる。
【0023】
カーカス14のクラウン部のタイヤ径方向外側には、ベルト15及びトレッドゴムが設けられている。ベルト15は、例えば、1層以上のベルト層によって構成することができる。図示例では、ベルト層15Aのタイヤ径方向外側にベルト層15Bが配置されている。本実施形態では、ベルト15のベルト層を構成するベルトコードは、非磁性材料(この例では有機繊維)で構成されている。あるいは、ベルト15を構成するベルトコードには、スチールコードを用いることもできる。
非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれる。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。
本発明では、ベルト15を構成するベルトコードとして、スチールコードを用いることもできるが、非磁性材料からなるベルトコードを用いることが好ましい。送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界がベルト15によって妨げられることがないようにすることができ、ひいては、受電効率を向上させることができるからである。なお、本発明において、1層以上のベルト層の層数やベルトコードの傾斜角度は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0024】
図2に示すように、タイヤ10は、インナーライナー16を有している。インナーライナー16は、タイヤ10の内面を覆うように配置されている。インナーライナー16は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された1層以上のインナーライナー層によって構成することができる。インナーライナー16は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナー16は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマで構成することもできる。
【0025】
本発明では、サイドウォール部12にサイド補強ゴムを有していても良い。サイド補強ゴムは、例えば断面三日月状の形状とすることができる。これにより、タイヤのパンク時にサイド補強ゴムが荷重を肩代わりして走行することができる。
【0026】
タイヤは、乗用車用タイヤとすることが好ましく、乗用車用ラジアルタイヤとすることがより好ましい。
【0027】
ここで、タイヤ10は、タイヤ10の断面幅SWが165(mm)未満である場合は、タイヤ10の断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、タイヤ10の断面幅SWが165(mm)以上である場合には、タイヤ10の断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)は、
OD(mm)≧2.135×SW(mm)+282.3(mm)
(以下、「関係式(1)」と称する)
を満たすことが好ましい。
上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、タイヤ10の外径ODに対してタイヤ10の断面幅SWが相対的に小さくなり、空気抵抗を低減し、また、断面幅が狭い分、車両スペースを確保することができ、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースを確保することができる。
また、上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、タイヤ10の断面幅SWに対してタイヤ10の外径ODが相対的に大きくなり、転がり抵抗を低減し、また、タイヤ10の大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースを確保することができる。
以上のように、上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、給電された電気エネルギーに対して低燃費性を達成することができ、また、車両スペースを大きく確保することもできる。
また、タイヤ10は、タイヤ10の断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)が、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)2+9.15×SW(mm)-380(mm)
(以下、「関係式(2)」と称する)
を満たすことが好ましい。
上記関係式(2)を満たすことにより、タイヤ10の外径ODに対してタイヤの断面幅SWが相対的に小さくなり、空気抵抗を低減し、また、断面幅が狭い分、車両スペースを確保することができ、特にタイヤ10の車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースを確保することができる。
また、上記関係式(2)を満たすことにより、タイヤ10の断面幅SWに対してタイヤの外径ODが相対的に大きくなり、転がり抵抗を低減し、また、タイヤ10の大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースを確保することができる。
以上のように、上記関係式(2)を満たすことにより、給電された電気エネルギーに対して低燃費性を達成することができ、また、車両スペースを大きく確保することもできる。
上述の各例では、タイヤ10は、上記比SW/OD及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましく、あるいは、上記関係式(1)及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましい。
【0028】
また、タイヤ10は、ビードフィラ11Bのタイヤ幅方向断面積S1が、ビードコア11Aのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上8倍以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
なお、カーカスをタイヤ幅方向内側及び外側から挾持する、挟み込みビードコア構造である場合には、当該カーカスの幅方向内側及び外側のビードコアの合計体積をS2とする。
ビードフィラ11Bの断面積S1を上記の範囲とすることにより、高剛性部材であるビードフィラの体積を小さくして、タイヤの縦バネ係数を低減し、乗り心地性を向上させることができる。また、ビードフィラを軽量化して、タイヤを軽量化することもでき、従って、タイヤの転がり抵抗値がさらに低減される。
特に、上記関係式(1)又は関係式(2)を満たす、狭幅・大径タイヤにおいては、ベルトの張力剛性が高く、タイヤサイド部の張力剛性がベルト対比で低くなるため、上記のようにビードフィラの断面積S1を所定の範囲とすることによる縦バネ係数の低減効果が非常に高くなる。
ここで、ビードフィラ11Bのタイヤ幅方向断面積S1を、ビードコア11Aのタイヤ幅方向断面積S2の8倍以下とすることで、高剛性部材であるビードフィラの体積が大きくなり過ぎないようにし、タイヤの縦バネ係数が大きくなり過ぎないようにして、乗り心地性の低下を抑制することができる。
一方で、ビードフィラ11Bのタイヤ幅方向断面積S1を、ビードコア11Aのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上とすることで、ビード部の剛性を確保して、横バネ係数が低下しな過ぎないようにして、操縦安定性を確保することができる。
【0029】
ここで、タイヤ10は、ビードフィラ11Bのタイヤ径方向中央位置におけるタイヤ幅方向の幅をBFWとし、ビードコア11Aのタイヤ幅方向の最大幅をBDWとするとき、
0.1≦BFW/BDW≦0.6
を満たすことが好ましい。
これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
比BFW/BDWを0.6以下とすることにより、ビードフィラ高さを維持しつつもビードフィラの体積を減少させて、タイヤ回転方向に対する剛性を確保しつつも、縦バネ係数を低減させて、乗り心地性を向上させ、また、タイヤを軽量化することができる。
一方で、比BFW/BDWを0.1以上とすることにより、ビード部の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができる。
【0030】
ここで、タイヤ10は、ビードフィラ11Bのタイヤ径方向の高さをBFHとし、タイヤのセクションハイト(タイヤ断面高さ)をSHとするとき、
0.1≦BFH/SH≦0.5
を満たすことが好ましい。
これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
上記比BFH/SHを0.5以下とすることにより、高剛性部材であるビードフィラの径方向高さを小さくして、タイヤの縦バネ係数を効果的に低減し、乗り心地性を向上させることができる。
一方で、上記比BFH/SHを0.1以上とすることにより、ビード部の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができる。
ここで、タイヤセクションハイトSHとは、タイヤをリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される内圧を充填したときの無負荷状態でのタイヤの外径とリム径との差の1/2をいうものとする。
【0031】
ビードフィラ11Bのタイヤ径方向の高さBFHは、45mm以下とすることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0032】
上述の各例において、タイヤ10は、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部12のゲージTs(この断面で、タイヤ最大幅位置のタイヤ表面上の点における接線の法線方向に計測する)と、ビードコア11Aのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tb(ビード部11のタイヤ幅方向の幅)との比Ts/Tbが、15%以上60%以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
なお、「タイヤ最大幅位置」とは、基準状態での、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置をいうものとする。
ゲージTsはゴム、補強部材、インナーライナーなどすべての部材の厚みの合計となる。
比Ts/Tbを上記の範囲とすることにより、タイヤ荷重時の曲げ変形の大きいタイヤ最大幅位置における剛性を適度に低下させて、縦バネ係数を低減して乗り心地性を向上させることができる。
すなわち、上記比Ts/Tbが60%超であると、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部12のゲージが大きくなり、サイドウォール部12の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなってしまうおそれがある。一方で、上記比Ts/Tbが15%未満であると、横バネ係数が低下し過ぎて、操縦安定性が確保できなくなるおそれがある。
【0033】
上述の各例において、タイヤ10は、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部12のゲージTsが、1.5mm以上であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
ゲージTsを1.5mm以上とすることにより、タイヤ最大幅位置における剛性を適度に保って、横バネ係数の低下を抑え、操縦安定性をより確保することができる。
【0034】
上述の各例において、タイヤ10は、ビードコア11Aの径Tbc(ビードコアのタイヤ幅方向の最大幅)が、3mm以上16mm以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
Tbcを3mm以上とすることにより、リムフランジ上での曲げ剛性及びねじれ剛性を確保しつつ、軽量化を実現することができ、一方で、Tbcを16mm以下とすることにより、重量増大を抑えつつ、操縦安定性を確保することができる。
またビードコアがカーカスによって複数の小ビードコアに分割されている構造の場合には、全小ビードコアのうち幅方向最内側端部と最外側端部の距離をTbcとすればよい。
【0035】
上述の各例において、タイヤ10は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際、タイヤ10の接地面積が、8000mm2以上であることが好ましい。これにより、タイヤの転がり抵抗値の低減とタイヤ重量の低減とを両立させることができ、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。また、タイヤ軸力を確保して車両の安定性や安全性を高めることができる。
【0036】
上述の各例において、タイヤ10は、ベルトコードのヤング率が40000MPa以上であることが好ましい。これにより、カーカス構造やベルト剛性を適切化して、高内圧でも使用可能なタイヤの強度を確保することができる。また、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0037】
上述の各例において、タイヤ10は、インナーライナー16の厚さが0.6mm以上であることが好ましい。これにより、高内圧状態での空気漏れを抑制することができる。また、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0038】
上述の各例において、タイヤ10は、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部12のゲージTsと、カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcが、4以上12以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
比Ts/Tcを上記の範囲とすることにより、タイヤ荷重時の曲げ変形の大きいタイヤ最大幅位置における剛性を適度に低下させて、縦バネ係数を低減して乗り心地性を向上させることができる。
すなわち、上記比Ts/Tcを12以下とすることで、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部4のゲージが大きくなり過ぎないようにして、この部分の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなるのを抑制することができる。一方で、上記比Ts/Tcを4以上とすることで、横バネ係数が低下し過ぎないようにして、操縦安定性を確保することができる。
【0039】
上述の各例において、タイヤ10は、タイヤ最大幅位置における、カーカスコードの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をTaとするとき、距離Taとカーカスコードの径Tcとの比Ta/Tcが2以上8以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
上記比Ta/Tcを8以下とすることにより、タイヤ最大幅位置におけるサイドウォール部12のゲージを小さくして、サイドウォール部12の剛性を低下させて、縦バネ係数を低減し、乗り心地性をより向上させることができる。一方で、上記比Ta/Tcを2以上とすることにより、横バネ係数を確保して、より操縦安定性が確保することができる。
なお、「Ta」は、タイヤ最大幅位置において、幅方向最外側のカーカスコードの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をいう。
すなわち、カーカス折り返し部14Bがタイヤ最大幅位置より径方向外側まで延びている場合には、カーカス折り返し部14Bをなす部分のカーカスコード14cの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をTaとする。
【0040】
上述の各例において、タイヤ10は、カーカスコード14cの径Tcが、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
Tcを0.8mm以下とすることにより、縦バネ係数を低減して乗り心地性を向上させることができ、一方で、Tcを0.4mm以上とすることにより、横バネ係数を大きくして操縦安定性を確保することができる。
【0041】
ここで、タイヤ・ホイール組立体の内圧は、120~200kPaであることが好ましい。内圧を200kPa以下とすることにより、接地面積が大きくなる。接地面積が小さい場合、タイヤと路面との間に空間ができて、その間に水や異物等が入り込んで磁束を妨げ、受電効率を低下させてしまうが、接地面積が大きくなることにより、タイヤと路面との間の空間をなくして、水や異物等により磁束が妨げられないようにして、受電効率を向上させることができる。また、内圧を200kPa以下とすることにより、タイヤのサイドウォール部が撓みやすくなって、受電コイルと送電コイルとの距離を近づけることができ、これによっても受電効率を向上させることができる。また、本実施形態のタイヤ・ホイール組立体によれば、内圧を120kPa以上としており、転がり抵抗を低減して燃費性を向上させることもできる。
ここで、上記内圧は、140~180kPaであることがより好ましい。燃費性をより一層向上させつつ、受電効率をより一層向上させることができるからである。
また、上記内圧は、150~170kPaであることがさらに好ましい。燃費性をさらに向上させつつ、受電効率をさらに向上させることができるからである。
上記SW及びODの関係式(1)及び/又は(2)は、上記の内圧を充填した際に満たしていることが好ましい。
【0042】
あるいは、タイヤ・ホイール組立体の内圧は、200kPa超400kPa以下であることも好ましい。内圧を200kPa超とすることにより、転がり抵抗を低減して燃費性を向上させることができる。また、内圧を400kPa以下とすることにより、接地面積が大きくなる。接地面積が小さい場合、タイヤと路面との間に空間ができて、その間に水や異物等が入り込んで磁束を妨げ、受電効率を低下させてしまうが、接地面積が大きくなることにより、タイヤと路面との間の空間をなくして、水や異物等により磁束が妨げられないようにして、受電効率を向上させることができる。また、内圧を400kPa以下とすることにより、タイヤのサイドウォール部が撓みやすくなって、受電コイルと送電コイルとの距離を近づけることができ、これによっても受電効率を向上させることができる。
ここで、上記内圧は、260~350kPaであることがより好ましい。受電効率をより一層向上させつつも、燃費性をより一層向上させることができる。また、上記内圧は、300~320kPaであることがさらに好ましい。受電効率をさらに向上させつつも、燃費性をさらに向上させることができる。
上記SW及びODの関係式(1)及び/又は(2)は、上記の内圧を充填した際に満たしていることが好ましい。
【0043】
(ホイール)
次に、ホイール20の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態にかかるホイール20の幅方向断面図である。
【0044】
図3に示すように、ホイール20は、円筒状のリム部21と、リム部21の径方向内側に設けられ、車両2のハブ2Aに支持固定されるディスク部22と、を有している。
【0045】
リム部21は、ホイールの幅方向外側から、一対のフランジ23(インナーフランジ23A、アウターフランジ23B)と、一対のビードシート24(インナービードシート24A、アウタービードシート24B)と、ウェル25と、を備えている。ビードシート24には、タイヤ10のビード部11が装着される。フランジ23は、タイヤ10のビード部11を側面から支えるために、ビードシート24からホイールの径方向外側且つホイールの幅方向外側に延びている。ウェル25は、タイヤの脱着を容易にさせるために、一対のビードシート24の間でホイールの径方向内側に向かって凹形状を呈している。ウェル25は、底部と、該底部とビードシート24とを接続する傾斜面と、を有している。さらに、ビードシート24には、ホイールの幅方向内側に一対のハンプ26(インナーハンプ26A、アウターハンプ26B)が設けられている。ハンプ26は、タイヤのビードがウェル25に落ちるのを防ぐために、ホイールの径方向外側に突出している。
【0046】
リム部21は、例えば、非磁性材料で構成することができる。
非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれる。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。これにより、送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界がリム部21によって妨げられることがないようにすることができ、ひいては、受電効率を向上させることができる。
【0047】
さらに、ホイール20のリム部21には、タイヤ10を装着した際に、タイヤ10の内腔に空気等の気体を充填するためのバルブ27が設けられている。バルブ27は、例えば、上述した樹脂材料で構成することができる。バルブ27を上述した非磁性材料で構成することで、送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界がバルブ27によって妨げられることがないようにすることができる。
【0048】
ディスク部22は、その径方向内端部を構成する円環状の取付部22Aと、取付部22Aからホイールの径方向外側に延在している複数本のスポーク22Bと、を有する。取付部22Aは、車両2のハブ2A(
図1、
図3参照)に結合固定される部位であって、ハブ2Aと取付部22Aを固定するボルト等を挿入するために、ホイールの幅方向に貫通する取付孔を有している。スポーク22Bのホイールの径方向外側の端部は、リム部21のホイール径方向内側の面の端部に、一体に結合されている。
【0049】
ディスク部22は、例えば、金属又はフェライト等の透磁率が大きい(例えば強磁性体の)磁性材料を含むものとすることができる。これにより、送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界が、タイヤ・ホイール組立体3よりも外側に存在する金属及び他の磁界の影響によって減衰しにくくすることができ、受電効率を向上させることができる。例えば、ディスク部22を樹脂材料で構成した場合には、ホイール20の軽量化を図ることもできる。
【0050】
ホイール20のディスク部22は、スポーク22Bのホイールの幅方向外側を覆うホイールカバー28をさらに備えている。ホイールカバー28は、例えば、金属又はフェライト等の透磁率が大きい(例えば強磁性体の)磁性材料を含むものとすることができる。これにより、送電コイル41から受電コイル31に到達する磁界が、タイヤ・ホイール組立体3よりも外側に存在する金属及び他の磁界の影響によって減衰しにくくすることができ、受電効率を向上させることができる。
【0051】
ホイール20は、リム部21のタイヤ径方向内側に、即ち、リム部21及びディスク部22で囲まれた空間に、タイヤ10のタイヤ径方向外側から無線によって供給される電力を受け付ける受電装置30(
図1、
図4参照)を収容する、収容部を備える。例えば、受電装置30が車両2のハブ2Aに取り付けられている場合、ホイール20が車両2のハブ2Aに取り付けられることで、受電装置30がホイール20の収容部に収容される。
【0052】
<受電コイル>
図1に戻って、受電装置30は、例えば、車両2のハブ2Aに取り付けられるが、これに限られず、ドライブシャフト2B等、車両2のハブ2Aにホイール20が取り付けられた状態で、受電装置30がホイール20のリム部21のタイヤ径方向内側に収容される、任意の位置に取り付けることができる。この例では、受電装置30は、タイヤ10やホイール20の回転に対して非回転であるように構成されている。
本実施形態では、受電コイル(2次コイル)31は、ウェル25の底部の外周面に取り付けられており、4個の受電コイル31が周上に等間隔(間隔d(mm))に配置されている。従って、この例では、受電コイル31は、タイヤ10やホイール20の回転に対して共に回転するように構成されている。このとき、受電コイル31は、タイヤ10やホイール20の回転と共に周上の位置が変わることになるが、受電コイル31は、タイヤ・ホイール組立体3が送電装置40の上方に位置している状態で、少なくとも或るタイヤ回転角度において、送電コイル41と対向するように配置される。これによって、タイヤ10が送電コイル41の上の路面に位置し、送電コイル41と受電コイル31とが対向する際に、送電コイル41が発生した交流磁界に基づいて、受電コイル31に起電力が発生し、電流が流れて給電される。受電コイル31は、全体を環状に構成されたものであり、当該環の軸方向が路面と略垂直となるように配置されている。受電コイル31は、例えば、フェライトコア等のコアに巻き回され、全体を環状に構成されたものであるが、これに限られず、コイルばね、空芯コイル等、交流磁界に基づいて起電力を発生可能な任意のコイルとすることができる。
ここで、受電コイル31は、タイヤ10が送電コイル41の上の路面に位置した際に、送電コイル41に対向し得る位置であれば良く、例えば、ウェル25の底部の内周面に取り付けることもでき、あるいは、リム部21の他の部分の内周面又は外周面に取り付けることもできる。この場合も、受電コイル31は、タイヤ10やホイール20の回転と共に回転する。あるいは、タイヤ・ホイール組立体3の内部に取り付けることもできる。この場合、受電コイル31を、タイヤ10やホイール20の回転に対して非回転であるように構成することもできるし、例えばホイール20に固定されたタイヤ内腔内に突出する中子を設けることにより当該中子に受電コイル31を取りつけて、受電コイル31を、タイヤ10やホイール20の回転と共に回転するように構成することもできる。
また、受電コイル31の個数は、特に限定されるものではなく、例えば1個の周上に連続した受電コイル31を用いた場合には、タイヤ10が送電コイル41の上の路面に位置した場合に、タイヤの転動中に連続的な給電が可能となるし、あるいは、複数個に分割することにより、受電コイル31のサイズの総和を低減すれば受電コイル31による重量増を抑えて、燃費性を向上させることができる。本実施形態では、上記4個の受電コイル31に対応して、4個の受電装置30が含まれているが、受電装置30の個数も、受電コイル31の個数等に応じた任意の個数とすることができるし、受電装置30の個数を受電コイル31の個数と異なるものとすることもできる。
【0053】
この例では、受電装置30は、電力変換回路32、蓄電部33、及び制御部34を備えている。電力変換回路32は、受電コイル31に生じた電力を直流電力に変換し、導電線等を介して、蓄電部33、あるいは、車両2が備える他の車載装置に直流電力を供給する。蓄電部33は、受電コイル31に生じた電力を蓄える。蓄電部33は、例えば、キャパシタであるが、これに限られず、蓄電池等の任意の蓄電装置とすることができる。蓄電部33がキャパシタである場合、蓄電池に比べて短時間で充放電を行うことができる。そのため、キャパシタである蓄電部33は、道路に設けられた送電装置40の上を車両2が走行する際に受電コイル31に生じた電力を蓄積するような高い即応性を求められる状況において、有利である。制御部34は、受電装置30の各機能を制御するための処理を提供する1つ以上のプロセッサを含んでいてもよい。制御部34は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサとすることができる。制御部34には、プログラム等を記憶する記憶手段、及び外部の電子機器と有線又は無線で通信をする通信手段等の受電装置30の制御に用いられる任意の手段を含むことができる。
なお、本実施形態のように、受電コイル31がタイヤ10やホイール20の回転と共に回転するように構成されている場合には、受電コイル31に生じた電力を、例えばスリップリングを介して、上記電力変換回路32等に送電することができる。あるいは、受電コイル31に生じた電力を、(有線で)第1中継コイルへと送電し、該第1中継コイルに流れる電流により発生する磁界が第2中継コイルを通ることで第2中継コイルに電流が流れ、第2中継コイルから上記電力変換回路32等に送電することもできる。この場合、第1中継コイル、第2中継コイルもタイヤ10やホイール20の回転と共に回転するように構成され、上記の例の場合、中継コイルは、一例としてウェル25の外周面に取り付けることができる。
一方で、受電コイル31がタイヤ10やホイール20の回転に対して非回転である場合(例えば、受電コイル31をハブ2Aに取り付けた場合等)には、受電コイル31から直接、上記蓄電部33等に送電することができる。この場合は、特に、カーカス14が上記の非磁性材料からなり、ベルトコードが上記の非磁性材料からなり、ホイール20のリム部21が上記非磁性材料からなることが、受電効率の低下を抑制する観点から好ましい。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態にかかる変形例のタイヤ・ホイール組立体を有する、無線受電システムを、タイヤ幅方向断面により概略的に示す、概略図である。
図4に示す例では、タイヤ・ホイール組立体1は、インホイールモータ4を備える。インホイールモータ4には、受電装置30が取り付けられている。
図4に示すように、受電装置30は、タイヤ10やホイール20が回転する際に、非回転であるように(図示例ではハブ2Aのカバー等)に取り付けることもできる。
この場合は、特に、受電装置30(受電コイル31)を、路面と対向する位置に1個のみ配置することができる。一方で、
図1に示したように、受電装置30が、タイヤ10及びホイール20が回転と共に回転するような位置に取り付けられた場合、1個又は複数個の受電装置30(受電コイル31)を、ホイール20の周方向に連続的又は断続的に設置することが好ましい。
【0055】
さて、タイヤの説明に戻って、本実施形態では、1層以上の(図示例では2層の)ベルト層からなるベルト15を有している。
そして、上記負荷荷重状態における接地面のタイヤ幅方向最外側点を接地端Eとするとき、
図2に示すように、上記基準状態において、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層(図示例では、ベルト層15B)のタイヤ幅方向の幅W1は、接地端E間のタイヤ幅方向の距離である接地幅W2より小さい、又は、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、接地幅W2に等しい。
以下、本実施形態のタイヤ・ホイール組立体の作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態のタイヤ・ホイール組立体によれば、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅W1は、接地幅W2より小さいか接地幅W2に等しい。これにより、タイヤのショルダー部の変形が(W1>W2の場合と比べて相対的に)大きくなり、ショルダー部の接地長が長くなる。これにより、給電の際に、路面とタイヤとの間に(特に踏み込み側や蹴り出し側から)異物が侵入しづらくなり、異物が磁束を妨げることによる受電効率の低下を抑制し得る。
【0057】
比W1/W2は、0.98以下であることが好ましい。より一層ショルダー部の接地長が長くなって、異物が侵入しづらくなり、受電効率の低下をより一層抑制することができるからである。同様の理由により、比W1/W2は、0.9以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましい。一方で、ベルトのタガ効果を高めて操縦安定性を向上させる観点からは、比W1/W2は、0.5以上とすることが好ましい。
【0058】
図5は、タイヤの各ゲージや周方向主溝の深さについて説明するためのタイヤ幅方向断面図である。
図5は、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の一方の半部のみを示しており、他方のタイヤ幅方向半部については、同様のゲージとする(タイヤ赤道面CLを境界として対称にする)ことができる。ただし、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向一方の半部と他方の半部とで非対称なゲージ(図示のゲージの少なくとも1箇所)とすることもでき、その場合も以下のゲージの範囲内で異ならせることが好ましい。
図5に示すように、タイヤ赤道面上CLにおけるゲージG1(タイヤ径方向に測定)は、5~15mmとすることが好ましい。また、タイヤ赤道面CLに最も近い周方向主溝の溝深さOTD1は、2~10mmとすることが好ましい。また、タイヤ赤道面CLに最も近い周方向主溝の溝底からタイヤ径方向最外側の補強部材までのゲージSBG1は、0.5~4.5mmとすることが好ましい。また、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝の溝深さOTD2は、3~8mmとすることが好ましい。また、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝の溝底からタイヤ径方向最外側の補強部材までのゲージSBG2は、0.5~4.5mmとすることが好ましい。さらに、
図5に示すように、トレッド端TE(上記接地端E)におけるトレッドゴム全体のゲージG3は、5~30mmとすることが好ましく、トレッド端TEにおけるトレッド表面からタイヤ径方向最外側の補強部材までのゲージG4は、3~20mmとすることが好ましい。また、トレッド端TEにおいても、ゲージG3、G4は、トレッド部の踏面をなす輪郭線(溝を有する場合は仮想線)の法線方向に計測するものとするが、トレッド端TEが端点である場合には、トレッド端TEとタイヤ径方向最外側のベルト層の端とを結んだ方向にゲージG4を計測するものとし、ゲージG3も同じ方向に計測するものとする。また、
図5に示すように、トレッド端TEとタイヤ最大幅位置とのタイヤ幅方向中点におけるゴム全体のゲージG5は、2~10mmとすることが好ましく、該中点からカーカス本体部までのゲージG6は、1~8mmとすることが好ましい。さらに、タイヤ最大幅位置におけるゲージG7は、1.0~8mmとすることが好ましい。また、タイヤ最大幅位置からカーカス(図示例ではカーカス折り返し部)までのゲージG8は、0.5~5mmとすることが好ましい。また、基準状態においてリムフランジと接触するタイヤ径方向最外側の点(離反点)におけるゲージG9は、5~35mmとすることが好ましい。また、該離反点からカーカス折り返し部までのゲージG10は、2~10mmとすることが好ましい。なお、G5~G10については、タイヤの外輪郭線の法線方向に各ゲージを計測している。
【0059】
ここで、
図2に示すように、タイヤ10は、トレッド部13の踏面に、タイヤ周方向に延びる1本以上の(図示例では4本の)周方向主溝17を有している。そして、周方向主溝17の溝深さをOTDとし、該周方向主溝17の溝底からタイヤ径方向最外側の補強部材(図示例では2層のベルト層のうちタイヤ径方向外側のベルト層15B)までのゲージをSBGとするとき、少なくとも1本の周方向主溝は、上記基準状態において、
OTD≧SBG
を満たしている。
これによれば、少なくとも1本の周方向主溝17につき、OTD≧SBGを満たしているため、送電コイル41から発生する磁束のうち、当該周方向主溝17の位置を通過する磁束が、OTD<SBGである場合と比べて、受電コイル31へ到達しようとする磁束がトレッドゴムにより妨げられにくくなり、より多くの磁束が受電コイル31へと到達することができるようになる。従って、電磁誘導方式を用いた自動給電において、高い受電効率を達成することができる。
ここで、比OTD/SBGは、1.05以上であることが好ましい。電磁誘導方式を用いた自動給電において、より高い受電効率を達成することができるからである。同様の理由により、比OTD/SBGは、1.3以上であることが好ましい。一方で、耐摩耗性を確保する観点からは、比OTD/SBGは、1.5以下であることが好ましい。
なお、2本以上の周方向主溝が、OTG≧SBGを満たす場合、周方向主溝の位置によって、比OTD/SBGの値を同じとすることもでき、あるいは、異ならせることもできる。
また、OTD<SBGとなる周方向主溝を有する場合、該周方向主溝については、排水性を確保する観点から、比OTD/SBGは、0.8以上とすることが好ましい。
また、受電コイルの面を該面に直交する方向に投影した領域に、上記少なくとも1本の周方向主溝(OTD≧SBGを満たす)が位置することが好ましい。電磁誘導方式を用いた自動給電において、さらに高い受電効率を達成することができるからである。なお、上記少なくとも1本の周方向主溝は、上記投影した領域に対応させて、例えばタイヤ赤道面CL上に位置するか、あるいは、タイヤ赤道面CLに最も近い周方向主溝とすることができる。あるいは、例えばタイヤ幅方向最外側に位置する周方向主溝とすることもできる。
また、受電コイルの面を該面に直交する方向に投影した領域内に位置する、全ての周方向主溝が、OTD≧SBGを満たすことが、受電効率をさらに向上させるために好ましい。
OTDは、2mm以上10mm以下であることが好ましい。OTDが2mm以上であることにより、電磁誘導方式を用いた自動給電において、より高い受電効率を達成することができ、一方で、OTDが10mm以下であることにより、操縦安定性を確保することができるからである。同様の理由により、OTDは、3mm以上8mm以下とすることがより好ましい。また、SBGは、0.5mm以上4.5mm以下であることが好ましい。同じトレッド厚さの場合、SBGを0.5mm以上とすることにより、耐カット性を確保することができ、一方で、SBGを4.5mm以下とすることにより、電磁誘導方式を用いた自動給電において、より高い受電効率を達成することができるからである。同様の理由により、SBGは、1.0~3.5mmとすることがより好ましい。
周方向主溝は、タイヤ周方向に真っ直ぐ延びていることが最も好ましい。一方で、周方向主溝は、ジグザグ状又は湾曲しながらタイヤ周方向に延びていても良い。この場合、受電効率を向上させるために、周方向主溝は、タイヤ周方向に真っ直ぐ連続して延びる溝部分を有する(シースルー部分(接地時に踏み込み側から蹴り出し側を見た際に、溝壁に遮られることなく蹴り出し側を見ることができる部分)を有する)ことが好ましい。
ここで、周方向主溝の溝幅(開口幅)は、トレッド幅TWの2%以上であることが好ましい。これによれば、排水性を向上させることができる。同様の理由により、周方向主溝の溝幅は、トレッド幅TWの4%以上であることがより好ましい。一方で、陸部の剛性を確保して耐摩耗性を向上させる観点からは、周方向主溝の溝幅は、トレッド幅TWの20%以下であることが好ましい。同様の理由により、周方向主溝の溝幅は、トレッド幅TWの15%以下であることがより好ましい。
ここで、「トレッド幅」とは、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷状態とした際の、トレッド端間のタイヤ幅方向距離をいう。
特には限定されないが、周方向主溝の溝幅(開口幅)は、3mm以上であることが好ましい。受電効率をより向上させることができるからである。同様の理由により、特には限定されないが、周方向主溝の溝幅は、5mm以上であることがより好ましい。一方で、陸部の剛性を確保して耐摩耗性を向上させる観点からは、特には限定されないが、周方向主溝の溝幅は、30mm以下とすることが好ましい。同様の理由により、周方向主溝17の溝幅は、20mm以下であることがより好ましい。
トレッド部13の踏面には、タイヤ幅方向に延びる幅方向溝を有しないこともでき、あるいは、1本以上の幅方向溝を設けることもできる。また、トレッド部13の踏面には、タイヤ周方向に延びる周方向サイプや、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプを有しないこともでき、あるいは、1本以上の周方向サイプ及び/又は1本以上の幅方向サイプを設けることもできる。なお、幅方向溝は、タイヤ幅方向に延びる溝であって、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした際の溝幅(開口幅)が2mm以上のものをいう。周方向サイプは、タイヤ周方向に延び、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした際の溝幅(開口幅)が2mm未満のものをいう。幅方向サイプは、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした際の溝幅(開口幅)が2mm未満のものをいう。
幅方向溝の溝幅(開口幅)は、排水性能とコーナリング性能を両立させるために、特には限定されないが、例えば1~15mmとすることができる。同様の理由により、幅方向溝の溝幅は、2~10mmであることがより好ましい。
また、幅方向溝の溝深さ(最大深さ)は、摩耗性能と操縦安定性能を両立させるために、特には限定されないが、例えば2~10mmとすることができる。同様の理由により、幅方向溝の溝深さは、3~8mmであることがより好ましい。
なお、タイヤの踏面において、タイヤ周方向一方側から他方側に向かって、途中で分断されずに繋がっている溝を周方向溝(周方向主溝を含む)とし、それ以外の溝を幅方向溝とする。
トレッド部13の踏面全体のネガティブ率は、特には限定されないが、8~40%とすることができる。トレッド部13の踏面全体のネガティブ率を8%以上とすることで排水性をより高めることができ、一方で、トレッド部13の踏面全体のネガティブ率を40%以下とすることで耐摩耗性をより高めることができる。同様の理由により、トレッド部13の踏面全体のネガティブ率は、15~35%であることがより好ましい。
ここで、「踏面」とは、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した際に、路面と接することとなる接地面のタイヤ周方向全域にわたる面をいう。
また、「周方向主溝」とは、タイヤ周方向に延びる溝であって、タイヤ・ホイール組立体に規定内圧を充填し、無負荷とした際の溝幅(開口幅)が2mm以上のものをいう。
また、「周方向主溝の溝深さOTD」は、上記基準状態において、トレッド部の踏面をなす輪郭線(溝を有する場合は仮想線)の法線方向に計測した、周方向主溝の最大深さをいうものとする。
また、「周方向主溝の溝底からタイヤ径方向最外側の補強部材までのゲージSBG」は、タイヤ・ホイール組立体の内圧を0kPaとし、無負荷とした状態において、上記OTDをなす線分の延長線の、周方向主溝の溝底からタイヤ径方向最外側の補強部材までの距離をいうものとする。なお、補強部材は、例えばベルトであっても良く、また例えばベルトのタイヤ径方向外側に配置されたベルト補強層であっても良い。
【0060】
本発明者が、鋭意検討したところ、上記のようなタイヤ・ホイール組立体には、受電コイルが(場合によっては、インホイールモータも)搭載されるため、タイヤが支持する荷重が大きくなり、タイヤのショルダー部に大きな歪みが生じて熱が発生し、タイヤの耐久性が低下するおそれがあることが判明した。
そこで、タイヤ10は、コードのゴム引き層からなる1層以上の補強層(本例では2層のベルト層15A、15B)からなる補強部材(本例ではベルト15)を有していることが好ましい。ここで、上記基準状態において、1層以上の補強層のうちタイヤ幅方向の幅が最大である最大幅補強層(本例では、タイヤ径方向最内側のベルト層15A)のタイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向内側に最大幅補強層のタイヤ幅方向の幅の5%ずつ離間した位置よりもタイヤ幅方向外側の領域をショルダー領域とする。このとき、本実施形態では、上記基準状態において、少なくとも1層の補強層(本例では、ベルト層15A及び15Bの両方)のコード端(
図2には示していない)は、ショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置している。これによれば、タイヤ10は、上記基準状態において、少なくとも1層の補強層(本例では、ベルト層15A及び15Bの両方)のコード端(
図2には示していない)は、ショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置している。このため、受電コイル31を有することによる荷重の増大によって歪みの大きくなるショルダー領域に故障の核となりやすいコード端を位置させないようにして、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
なお、少なくとも1層の補強層につき、コード端が、ショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置するようにすれば、当該補強層について上記の効果を得ることができる。また、コード端の始端及び終端のうち、少なくとも一方につき、コード端がショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置するようにすれば、当該端について上記の効果を得ることができるし、コード端の始端及び終端の両方につき、コード端がショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置するようにすれば、両端で上記の効果を得ることができる。
ここで、上記例のように、基準状態において、全ての補強層のコード端が、ショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。全ての補強層について、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性をより向上させることができるからである。
また、基準状態において、少なくとも1層の補強層のコード端が、基準状態における、最大幅補強層のタイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向内側に最大幅補強層のタイヤ幅方向の幅の10%ずつ離間したタイヤ幅方向位置よりもタイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。コード端をショルダー領域からより遠ざけて、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性をさらに向上させることができるからである。
また、基準状態において、全ての補強層のコード端が、基準状態における、最大幅補強層のタイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向内側に最大幅補強層のタイヤ幅方向の幅の10%ずつ離間したタイヤ幅方向位置よりもタイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。全ての補強層につき、コード端をショルダー領域からより遠ざけて、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性をより一層向上させることができるからである。
図6は、傾斜ベルト層の構成を示す平面図である。
図6に示すように、補強部材(傾斜ベルト)は、ストリップ部材15aが、一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在し、他方の幅方向端で折り返されて、他方の幅方向端から一方の幅方向端に向かって延在し、一方の幅方向端で折り返されて、一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在することが繰り返されるように、タイヤ周方向に螺旋状に巻回された状態であることが好ましい(いわゆる、エンドレスベルト構造)。このとき、ストリップ部材の端(始端及び/又は終端)がショルダー領域に位置しないように、補強層(ベルト層)の幅方向端から適宜設定した距離だけ幅方向に離間している(離間した位置から巻き始めたり、巻き終えたりする)ことにより、コード端がショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置するようにすることができる。なお、コード端の始端のタイヤ幅方向位置は、コード端の終端のタイヤ幅方向位置と同じとすることも異ならせることもできる。
ここで、補強層は、コードがタイヤ周方向に対して傾斜してなる傾斜ベルト層であり、補強部材は、傾斜ベルトであることが好ましい。補強層が傾斜ベルトである場合に、傾斜ベルトのコード端からの故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができるからである。なお、コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、特には限定されないが、タイヤ周方向に対して5~45°とすることができる。
あるいは、補強層は、コードがタイヤ周方向に沿って延びる周方向ベルト層であり、補強部材は、周方向ベルトであることも好ましい。この場合、タイヤ幅方向最外側となるコードがショルダー領域よりもタイヤ幅方向内側に位置するように、周方向ベルト層のタイヤ幅方向の幅を調整すれば良い。これにより、補強層が周方向ベルトである場合に、周方向ベルトのコード端からの故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
あるいは、補強層は、コードがタイヤ周方向に対して傾斜してなる傾斜ベルト層、及び、傾斜ベルト層のタイヤ径方向外側又は内側に配置された、コードがタイヤ周方向に沿って延びる周方向ベルト層であり、補強部材は、傾斜ベルト及び傾斜ベルトのタイヤ径方向外側又は内側に配置された周方向ベルトであることも好ましい。傾斜ベルトのタイヤ径方向外側又は内側に周方向ベルトを有する構成においても、傾斜ベルト層及び/又は周方向ベルト層のコード端からの故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができるからである。
【0061】
また、タイヤ10は、コードのゴム引き層からなる2層以上の補強層(本例では傾斜ベルト層)からなる補強部材(本例では傾斜ベルト15)を有していることが好ましい。
図7に示すように、少なくとも1層の補強層(図示例では2層のベルト層のうちタイヤ径方向外側のベルト層15B)のコード端(例えば、コード端と補強層のタイヤ幅方向端とのタイヤ幅方向位置とが同じである場合)は、該少なくとも1層の補強層(図示例ではベルト層15B)よりタイヤ径方向内側に位置する他の補強層(図示例ではベルト層15A)の端部がタイヤ径方向内側から外側に折り返されて、少なくとも1層のベルト層(図示例ではベルト層15B)よりタイヤ径方向外側で終端することにより、他の補強層(図示例ではベルト層15B)により包囲されている。(なお、少なくとも1層のベルト層よりタイヤ径方向外側に位置する他の補強層の端部がタイヤ径方向外側から内側に折り返されて、少なくとも1層の補強層よりタイヤ径方向内側で終端することにより、他の補強層により包囲されている構成とすることもできる。)
本例では、少なくとも1層の補強層のコード端は、他の補強層がタイヤ径方向内側から外側に又はタイヤ径方向外側から内側に折り返されて、他の補強層により包囲されている。
これによれば、タイヤ10は、少なくとも1層の補強層のコード端が、他の補強層がタイヤ径方向内側から外側に又はタイヤ径方向外側から内側に折り返されて、他の補強層により包囲されている。これにより、例えば受電コイル31を有することによる荷重の増大によって歪みの大きくなるショルダー領域にコード端が位置する場合であっても、該コード端が他の補強層により上記のように包囲されていることによって、コード端を歪みから保護することができ、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
特に、
図7に示した例のように、少なくとも1層の補強層(図示例では2層のベルト層のうちタイヤ径方向外側のベルト層15B)のコード端は、該少なくとも1層の補強層(図示例ではベルト層15B)よりタイヤ径方向内側に位置する他の補強層(図示例ではベルト層15A)の端部がタイヤ径方向内側から外側に折り返されて、少なくとも1層のベルト層(図示例ではベルト層15B)よりタイヤ径方向外側で終端することにより、他の補強層(図示例ではベルト層15B)により包囲されていることが好ましい。これによれば、コーナリング性能等の運動性能を向上させることができる。
また、本実施形態のように、補強層は、コードがタイヤ周方向に対して傾斜してなる傾斜ベルト層であることが好ましい。このとき、コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、特には限定されないが、例えば、タイヤ周方向に対して5~45°とすることができる。
なお、コード端が包囲される少なくとも1層の補強層は、コードがタイヤ周方向に沿って延びる周方向ベルト層とすることもでき、この場合も周方向ベルト層のコード端からの故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
また、上記の例では、コード端と補強層のタイヤ幅方向端とのタイヤ幅方向位置が同じである場合を示したが、異なっていても良く、この場合もコード端が他の補強層により上記のように包囲されていれば、上記の作用効果を得ることができる。
図8は、他の例のタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
図9A、
図9Bは、
図8の補強部材について説明するための斜視図である。
図8、
図9A、
図9Bに示すように、少なくとも1層の補強層(
図8ではベルト層15C)は、円環状のコア補強層であり、他の補強層(
図8ではベルト層15D)は、
図9Aを参照して、コア補強層15Cの一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在し、他方の幅方向端にて、タイヤ径方向内側から外側に折り返されて、他方の幅方向端から一方の幅方向端に向かって延在し、一方の幅方向端にて、タイヤ径方向外側から内側に折り返されて、一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在することが繰り返されるように、タイヤ周方向に螺旋状に巻回された状態のシース補強層である(完成した状態が
図9B)ことが好ましい。コア補強層は、有機繊維のコードのゴム引き層からなる1層以上の補強層、又は、ゴム単体で構成することができ、好適にはコードのゴム引き層である。
このような構成によっても、タイヤ10は、少なくとも1層の補強層のコード端が、他の補強層がタイヤ径方向内側から外側に又はタイヤ径方向外側から内側に折り返されて、他の補強層により包囲されている。これにより、例えば受電コイル31を有することによる荷重の増大によって歪みの大きくなるショルダー領域にコード端が位置する場合であっても、該コード端が他の補強層により上記のように包囲されていることによって、コード端を歪みから保護することができ、コード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
特に、本例のように、少なくとも1層の補強層(ベルト層15C)は、円環状のコア補強層であり、他の補強層(ベルト層15D)は、コア補強層の一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在し、他方の幅方向端にて、タイヤ径方向内側から外側に折り返されて、他方の幅方向端から一方の幅方向端に向かって延在し、一方の幅方向端にて、タイヤ径方向外側から内側に折り返されて、一方の幅方向端から他方の幅方向端に向かって延在することが繰り返されるように、タイヤ周方向に螺旋状に巻回された状態のシース補強層であることも好ましい。これにより、ベルト耐久性を向上させることができる。
図8、
図9A、
図9Bに示した例において、コア補強層は、コードがタイヤ周方向に沿って延び、又は、タイヤ周方向に対して30~90°の傾斜角度で傾斜して延びる、コアベルト層であり、シース補強層は、コードがタイヤ周方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びる、シースベルト層であることが好ましい。また、コアベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、シースベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度より小さいことがより好ましい。
【0062】
ここで、タイヤ10は、コードのゴム引き層からなる2層以上の補強層(本例では傾斜ベルト層)からなる補強部材(本例では傾斜ベルト15)を有していることが好ましい。
図10は、傾斜ベルト層及び層間ゴムを示す、断面図である。
図10に示すように、タイヤ径方向に隣接する2層の補強層の層間のうち、少なくとも1つの層間(
図10に示す例では、ベルト層15Aとベルト層15Bとの層間)に、2層の補強層のうちタイヤ径方向外側に位置する補強層(図示例ではベルト層15B)のタイヤ幅方向端を含むタイヤ幅方向領域に延在する、層間ゴム19が配置されている。これにより、例えば受電コイル31を有することによる荷重の増大によって歪みの大きくなるショルダー領域にベルト層のコード端が位置する場合であっても、層間ゴム19により歪みを吸収し、また、2層のベルト層のコード端間の距離を層間ゴム19が配置されている分だけ確保することができるため、コード端(特にタイヤ径方向外側のベルト層15Bのコード端)から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができる。なお、本例では、コード端と各傾斜ベルト層のタイヤ幅方向端とのタイヤ幅方向の位置が同じである。
また、層間ゴムは、2層の補強層のうちタイヤ径方向内側に位置する補強層のタイヤ幅方向端よりタイヤ幅方向外側まで延在していても良く、あるいは、タイヤ幅方向内側まで延在していても良く、あるいは、タイヤ幅方向の位置を同じとしても良い。
なお、層間ゴムは、2層の補強層のうちタイヤ径方向外側に位置する補強層の端面を覆っていても良く、あるいは、図示のように覆っていなくても良い。
ここで、層間ゴムの100%モジュラスは、3.0MPa以上であることが好ましい。生じ得る歪みを十分に吸収して、コード端から発生する故障をより抑制して、タイヤの耐久性をより向上させることができるからである。同様の理由により、層間ゴムの100%モジュラスは、5.0MPa以上であることが好ましい。一方で、周囲のゴムとの剛性段差を低減する観点からは、層間ゴムの100%モジュラスは、20.0MPa以下とすることが好ましい。
また、層間ゴムは、シート状であり、タイヤ径方向の最大厚さが3mm以下であることが好ましい。層間ゴムによる重量増を抑えることができるからである。同様の理由により、層間ゴムの最大厚さは、2mm以下であることがより好ましい。一方で、生じ得る歪みを十分に吸収する観点からは、層間ゴムの最大厚さは、0.5mm以上とすることが好ましい。
また、タイヤ幅方向断面において、層間ゴムは、タイヤ幅方向内側から外側に向かって、タイヤ径方向の厚さが漸増することが好ましい。ベルト層の端部側で、ベルト層間の距離をより一層確保して、コード端から発生する故障をさらに抑制して、タイヤの耐久性をさらに向上させることができるからである。一方、層間ゴムは、タイヤ幅方向断面で見たときの厚さを一定とすることもできる。
ここで、層間に層間ゴムが配置された2層の補強層は、コードがタイヤ周方向に対して20~70°の傾斜角度で傾斜して延びる、2層の傾斜ベルト層であることが好ましい。補強層が傾斜ベルト層である場合に、傾斜ベルト層のコード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができるからである。
あるいは、層間に層間ゴムが配置された2層の補強層は、コードがタイヤ周方向に対して20~70°の傾斜角度で傾斜して延びる1層の傾斜ベルト層、及び、コードがタイヤ周方向に沿って延びる1層の周方向ベルト層であることも好ましい。補強層が傾斜ベルト層及び周方向ベルト層である場合に、傾斜ベルト層及び周方向ベルト層のコード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができるからである。
あるいは、層間に層間ゴムが配置された2層の補強層は、コードがタイヤ周方向に沿って延びる2層の周方向ベルト層であることも好ましい。補強層が周方向ベルト層である場合に、周方向ベルト層のコード端から発生する故障を抑制して、タイヤの耐久性を向上させることができるからである。
【0063】
ここで、
図2を参照して、上記基準状態において、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層(図示例ではベルト層15B)のタイヤ幅方向端は、1本以上の周方向主溝17のうちタイヤ幅方向最外側に位置する最外側周方向主溝17よりもタイヤ幅方向外側に位置していることも好ましい。これにより、タイヤのショルダー部の変形が(最小幅ベルト層のタイヤ幅方向端が最外側周方向主溝よりもタイヤ幅方向内側に位置している場合と比べて相対的に)抑制され、ショルダー部の接地長が減少して、接地幅が増大する。これにより、給電時に、路面とタイヤとの間に(特に幅方向から)異物が侵入しづらくなり、異物が磁束を妨げることによる受電効率の低下を抑制し得る。
ここで、上記基準状態において、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向端は、最外側周方向主溝よりも、2mm以上タイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。2mm以上とすることにより、接地幅をより増大させて、路面とタイヤとの間に(特に幅方向から)異物がより侵入しづらくなり、異物が磁束を妨げることによる受電効率の低下をより抑制し得るからである。同様の理由により、上記基準状態において、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向端は、最外側周方向主溝よりも、5mm以上タイヤ幅方向外側に位置することがさらに好ましい。一方で、ベルト層による重量増を抑える観点からは、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向端は、最外側周方向主溝よりも、20mm以下タイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
【0064】
また、タイヤ10は、有機繊維(本例ではアラミド繊維)からなるコードのゴム引き層からなる1層以上のベルト層からなるベルトを有し、(各)ベルト層のコードの打ち込み数は、10~50本/50mmであることが好ましい。ベルト層のコードの打ち込み数が50本/50mm超だと、コード間の歪みの進展速度が大きくなって故障の原因となり得る。一方で、ベルト層のコードの打ち込み数が10本/50mm未満だと、ゴムは有機繊維よりも透磁率が低く、送電コイル31からの磁束を妨げやすいため、受電効率が低下してしまう原因となる。これに対して、ベルト層のコードの打ち込み数を上記の範囲とすることにより、受電効率を向上させつつも、タイヤの耐久性を向上させることができる。
ベルト層のコードの打ち込み数は、15~45本/50mmであることが好ましい場合もある。例えば自動運転に供されるタイヤ・ホイール組立体においては、さほどベルトのタガ効果が大きくなくても十分に走行可能であり、また、受電効率の向上が特に希求されることが考えられる。そこで、ベルト層のコードの打ち込み数を15本/50mm以上とすることで、高い受電効率を達成することができ、一方で、ベルト層のコードの打ち込み数を45本/50mm以下とすることで、タイヤの耐久性をより一層向上させつつも、タイヤの走行性能を十分に確保することができる。自動運転に供されるタイヤ・ホイール組立体は、例えばインホイールモータを備えたものであり得る。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、PET繊維、ナイロン繊維等を用いることができる。
【0065】
ここで、受電コイルと送電コイルとの配置から、タイヤ・ホイール組立体の車両装着時の内側が磁束の通過経路となる場合もある。
図15に示すように、タイヤ10は、有機繊維からなるコードのゴム引き層からなる1層以上のベルト層からなるベルトを有し、上記基準状態において、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層(図示例ではベルト層15B)は、車両装着内側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Waが、車両装着外側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Wbより大きいことが好ましい。
ここで、本例では、ベルト層のコードに有機繊維を用いており、ゴムよりも透磁率が高い。このため、ベルト層が配置されている方が、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなる。
従って、本例では、車両装着内側のタイヤ幅方向半部において、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなる。よって、本例によれば、電磁誘導方式を用いた自動給電において、高い受電効率を達成し得る。
ここで、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の102%以上であることが好ましい。上述の通り、ベルト層が配置されている方が、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなるため、このタイヤ幅方向領域を接地幅の102%以上とすることにより、受電効率をより高めることができるからである。同様の理由により、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の105%以上であることがより好ましく、125%以上であることがさらに好ましい。一方で、ベルト層による重量増を抑える観点からは、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の135%以下であることが好ましい。
また、比Wa/Wbは、1.1以上であることが好ましい。車両装着内側のタイヤ幅方向半部において、送電コイル31からの磁束をより妨げられにくくして、受電効率をより一層向上させ得るからである。同様の理由により、比Wa/Wbは、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。一方で、ベルト層による重量増を抑える観点からは、比Wa/Wbは、1.5以下であることが好ましい。
給電時において、磁束がベルト層の車両装着内側を通過し得る場合であれば、上記の作用効果によって、高い給電効率を達成することができる。例えば、受電コイル31の一部又は全体が、車両装着内側に配置されている場合、あるいは、例えば、受電コイル31の一部又は全体は、車両装着外側に配置されているものの、受電コイルの面に垂直な軸方向が、タイヤ径方向内側から外側に向かって車両装着時内側に傾斜している場合等に特に有効である。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、PET繊維、ナイロン繊維等を用いることができる。
【0066】
一方で、受電コイルと送電コイルとの配置から、タイヤ・ホイール組立体の車両装着時の外側が磁束の通過経路となる場合もある。
図16に示すように、タイヤ10は、有機繊維からなるコードのゴム引き層からなる1層以上のベルト層からなるベルトを有し、上記基準状態において、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最小である最小幅ベルト層(図示例ではベルト層15B)は、車両装着外側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Wbが、車両装着内側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Waより大きいことも好ましい。
本例では、車両装着外側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Wbが、車両装着内側となるタイヤ幅方向半部における該最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅Waより大きい。ここで、本実施形態では、ベルト層のコードに有機繊維を用いており、トレッドゴムよりも透磁率が高い。このため、ベルト層が配置されている方が、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなる。
従って、本例では、車両装着外側のタイヤ幅方向半部において、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなる。よって、本例によれば、電磁誘導方式を用いた自動給電において、高い受電効率を達成し得る。
ここで、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の102%以上であることが好ましい。上述の通り、ベルト層が配置されている方が、送電コイル31からの磁束が妨げられにくくなるため、このタイヤ幅方向領域を接地幅の102%以上とすることにより、受電効率をより高めることができるからである。同様の理由により、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の105%以上であることがより好ましく、125%以上であることがさらに好ましい。一方で、ベルト層による重量増を抑える観点からは、最小幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の135%以下であることが好ましい。
また、比Wb/Waは、1.1以上であることが好ましい。車両装着外側のタイヤ幅方向半部において、送電コイル31からの磁束をより妨げられにくくして、受電効率をより一層向上させ得るからである。同様の理由により、比Wb/Waは、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。一方で、ベルト層による重量増を抑える観点からは、比Wb/Waは、1.5以下であることが好ましい。
給電時において、磁束がベルト層の車両装着外側を通過し得る場合であれば、上記の作用効果によって、高い給電効率を達成することができる。例えば、受電コイル31の一部又は全体が、車両装着外側に配置されている場合、あるいは、例えば、受電コイル31の一部又は全体は、車両装着内側に配置されているものの、受電コイルの面に垂直な軸方向が、タイヤ径方向内側から外側に向かって車両装着時外側に傾斜している場合等に特に有効である。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、PET繊維、ナイロン繊維等を用いることができる。
【0067】
また、タイヤ10は、1枚以上のカーカスプライからなるカーカス14を備え、カーカスプライのコードは、タイヤ周方向に対して80°以上の傾斜角度で傾斜していることが好ましい。これによれば、カーカスプライのコードは、タイヤ周方向に対して80°以上の傾斜角度で傾斜している。このため、(カーカスプライのコードがタイヤ周方向に対して80°未満の傾斜角度で傾斜している場合と比べて)タイヤ・ホイール組立体に荷重が負荷された際のタイヤの撓みを低減することができ、送電コイルと受電コイルとの距離の変動を抑制して、受電効率を向上させることができる。
荷重負荷時のタイヤの撓みを低減して受電効率を向上させる観点からは、カーカスプライのコードは、タイヤ周方向に対して85°以上の傾斜角度で傾斜していることがより好ましく、90°の傾斜角度で傾斜していることがさらに好ましい。
カーカスプライの枚数は、荷重負荷時のタイヤの撓みを低減して受電効率を向上させる観点からは、複数枚とすることが好ましく、例えば2枚又は3枚とすることができる。一方で、カーカスによる重量増を抑える観点からは、カーカスプライの枚数は、1枚とすることが好ましい。
図11は、カーカス構造の一例を示す模式図である。
図11に示すように、カーカスは、一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカス本体部と、該カーカス本体部から延びてビードコアのタイヤ幅方向内側から外側に巻き上げたカーカス巻き上げ部とからなる、カーカス巻き付け部とからなる、1枚以上の(
図11に示す例では2枚の)アッププライ14C、14Dを有することも好ましい。このような組み合わせにより、カーカスによる重量増の抑制及び受電効率の向上をバランス良く達成し得る。ビードコアは、タイヤ幅方向内側の内側ビードコアと、タイヤ幅方向外側の外側ビードコアとを有し、カーカスは、内側ビードコアと外側ビードコアとの間に介在しても良い。
なお、アッププライの端は、図示のように巻き上げ部がタイヤ幅方向内側に位置するアッププライの端が、巻き上げ部がタイヤ幅方向外側に位置するアッププライの端よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましいが、タイヤ径方向内側又は同じ位置であっても良い。
【0068】
本発明者が検討したところ、受電コイルが搭載されることにも鑑みて、タイヤの耐外傷性を向上させることが求められることが見出された。
タイヤ10は、一対のビードコアにトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカス14を備え、カーカスプライは、一対のビードコアをトロイダル状に跨るカーカス本体部14Aと、該カーカス本体部から延びて、ビードコアの周囲を該ビードコアのタイヤ幅方向内側から外側に折り返されてタイヤ径方向外側に延びる、カーカス折り返し部14Bと、からなることが好ましい。これによれば、カーカスプライは、一対のビードコアをトロイダル状に跨るカーカス本体部14Aと、該カーカス本体部から延びて、ビードコアの周囲を該ビードコアのタイヤ幅方向内側から外側に折り返されてタイヤ径方向外側に延びる、カーカス折り返し部14Bと、からなる。これにより、カーカス折り返し部14Bによってタイヤの(特にサイドウォール部での)外傷からカーカス本体部等の部材や受電コイルを保護することができ、タイヤの耐外傷性を高めることができる。
図12Aは、カーカス構造の一例を示す模式図である。
図12Aに示すように、上記基準状態において、カーカス折り返し部の端は、タイヤ断面高さSHをなすタイヤ径方向領域のタイヤ径方向内側端から、該タイヤ径方向内側端からタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4未満離間した位置までのタイヤ径方向領域に位置することが好ましい。上記のように耐外傷性を高めつつも、カーカスによる重量増を抑えることができるからである。
図12Bは、カーカス構造の他の例を示す模式図である。
図12Bに示すように、上記基準状態において、カーカス折り返し部の端は、タイヤ断面高さSHをなすタイヤ径方向領域のタイヤ径方向内側端からタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4以上離間した位置から、該タイヤ径方向内側端からタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの3/4未満離間した位置までのタイヤ径方向領域に位置することも好ましい。
図12Aに示した場合と比較して、カーカス折り返し部によって外傷から保護することができるタイヤ径方向領域が大きくなるため、タイヤの耐外傷性をより向上させることができる。なお、
図12Bに示すカーカス構造の場合、カーカス折り返し部の端のタイヤ径方向の位置は、タイヤ最大幅位置Pのタイヤ径方向位置とすることができ、あるいは、図示のようにタイヤ最大幅位置Pよりタイヤ径方向内側とすることもでき、あるいは、タイヤ最大幅位置Pよりタイヤ径方向外側とすることもできる。
図12Cは、カーカス構造の別の例を示す模式図である。
図12Cに示すように、カーカス折り返し部の端は、上記基準状態において、タイヤ断面高さSHをなすタイヤ径方向領域のタイヤ径方向内側端からタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの3/4だけ離間した位置よりもタイヤ径方向外側に位置することも好ましい。
図12Bに示した場合と比較して、カーカス折り返し部によって外傷から保護することができるタイヤ径方向領域がさらに大きくなるため、タイヤの耐外傷性をさらに向上させることができる。
なお、この場合、カーカス折り返し部の端が、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最大である最大幅ベルト層のタイヤ幅方向端よりタイヤ幅方向内側に位置する、いわゆるエンベロープ構造とすることもでき、これによれば、タイヤの耐外傷性を特に高めることができる。
ここで、上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面視で、タイヤ最大幅位置におけるタイヤ外表面から、該タイヤ外表面の輪郭線の法線方向に計測したサイドウォールゴムのゲージは、0.5~5mmであることが好ましい。
さて、電磁誘導方式により送電コイルから受電コイルへと送電を行う場合にあっては、サイドウォールゴムによって磁束が妨げられる量を低減するため、及び、タイヤの軽量化のために、上記ゲージを0.5~5mmとして比較的薄くすることが考えられる。そして、そのような場合に、外傷によるカーカス本体部等の部材や受電コイルの故障の問題が顕著になり得ることが突き止められた。
従って、上記ゲージが5mm以下である場合に、(例えば上記の各例に示すような)カーカス折り返し部を有することで、タイヤの外傷性を高めることが特に有効となる。
なお、タイヤのサイドウォール部として適切な撓み等を発生させる観点から、上記ゲージは、1.0mm以上とすることが好ましい。
【0069】
また、タイヤ10は、一対のビード部と、該一対のビード部にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、を備え、カーカスプライのコードは、有機繊維からなり、カーカスプライのコードの打ち込み数は、10~50本/50mmであることが好ましい。カーカスプライのコードの打ち込み数が50本/50mm超だと、コード間の歪みの進展速度が大きくなって故障の原因となり得る。一方で、カーカスプライのコードの打ち込み数が10本/50mm未満だと、ゴムは有機繊維よりも透磁率が低く、送電コイル31からの磁束を妨げやすいため、受電効率が低下してしまう原因となる。これに対して、カーカスプライのコードの打ち込み数を上記の範囲とすることにより、受電効率を向上させつつも、タイヤの耐久性を向上させることができる。
ここで、カーカスプライのコードの打ち込み数は、15~45本/50mmであることが好ましい場合もある。例えば自動運転に供されるタイヤ・ホイール組立体においては、さほどカーカスのタイヤ骨格としての強度が大きくなくても十分に走行可能であり、また、受電効率の向上が特に希求されることが考えられる。そこで、カーカスプライのコードの打ち込み数を15本/50mm以上とすることで、高い受電効率を達成することができ、一方で、カーカスプライのコードの打ち込み数を45本/50mm以下とすることで、タイヤの耐久性をより一層向上させつつも、タイヤの走行性能を十分に確保することができる。自動運転に供されるタイヤ・ホイール組立体は、例えばインホイールモータを備えたものであり得る。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、PET繊維、ナイロン繊維等を用いることができる。
【0070】
本発明者が検討したところ、特にタイヤの扁平率が75%以下である場合に、タイヤ部材や受電コイルを外傷から保護することが好ましいことが判明した。
そこで、
図13に示すように、タイヤ10の扁平率は、75%以下であり、タイヤ10のサイドウォール部12に、サイド補強ゴム60が配置されていることが好ましい。本例では、タイヤ10の扁平率が75%以下であるため、(扁平率の大きいタイヤと比して相対的に)接地面とホイール20との距離が近くなる。このため、縁石等に乗り上げた際等、タイヤが大きく変形した際に、ホイール20に大きな負荷がかかる場合がある。これに対し、本実施形態では、タイヤ10のサイドウォール部12に、サイド補強ゴム60が配置されているため、該サイド補強ゴム60によりタイヤのサイドウォール部12を補強して、ホイール20への負荷を低減することができる。特に、受電コイル31がリム部に設けられている場合、受電コイル31の損傷を抑制することができる。このように、耐外傷性を向上させることができる。
ここで、タイヤの扁平率が、70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、55%以下であることが特に好ましい。上述したホイールに大きな負荷がかかる場合があるという問題がより顕著になるため、上記のように、タイヤ10のサイドウォール部にサイド補強ゴムを配置して、ホイールへの負荷を低減することが特に有効となるからである。
ここで、タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスとを備え、サイド補強ゴムは、カーカスとタイヤ内面(図示例ではインナーライナー)とのタイヤ幅方向の間に配置されていることが好ましい。これにより、サイド補強ゴムによりカーカスを保護して、タイヤの耐外傷性を向上させることができる。
また、タイヤ幅方向断面視において、サイド補強ゴムは、断面三日月状の形状を有することが好ましい。これにより、タイヤのパンク時にサイド補強ゴムが荷重を肩代わりして走行することができる。
【0071】
本発明者が検討したところ、電磁誘導方式を用いる技術においても、ランフラット耐久性が要求されると考えられる。
そこで、
図13に示すように、タイヤ10のサイドウォール部12に、サイド補強ゴム60を備え、上記基準状態において、サイド補強ゴム60のタイヤ幅方向内側端は、接地端Eよりタイヤ幅方向内側に位置していることが好ましい。これにより、タイヤのパンク時にサイド補強ゴム60が荷重を肩代わりして走行する効果を十分に発揮して、ランフラット耐久性を向上させることができる。
ここで、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、接地端より3mm以上タイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。ランフラット耐久性をより一層向上させることができるからである。同様の理由により、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、接地端より5mm以上タイヤ幅方向内側に位置することがより好ましい。一方で、サイド補強ゴムが磁束を妨げることにより受電効率の低下を抑制する観点からは、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、20mm以下の範囲で、接地端よりタイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。
ここで、タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスとを備え、サイド補強ゴムは、カーカスとタイヤ内面とのタイヤ幅方向の間に配置されていることが好ましい。これにより、サイド補強ゴムによりカーカスを保護して、タイヤの耐外傷性を向上させることができる。
また、タイヤ幅方向断面視において、サイド補強ゴムは、断面三日月状の形状を有することが好ましい。タイヤのパンク時にサイド補強ゴムが荷重を肩代わりして走行するのに適しているからである。
【0072】
また、
図14に示すように、タイヤ10のサイドウォール部12に、サイド補強ゴム60を備え、上記基準状態において、サイド補強ゴム60のタイヤ幅方向内側端は、接地端Eのタイヤ幅方向位置、又は、接地端Eよりタイヤ幅方向外側に位置していることも好ましい。これにより、接地面を介して送電コイル41から受電コイル31への送電を行う際に、サイド補強ゴム60によって磁束が妨げられないようにすることができる。これよれば、受電効率の低下を抑制し得る。
ここで、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、接地端より3mm以上タイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。受電効率の低下をより一層抑制し得るからである。同様の理由により、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、接地端より5mm以上タイヤ幅方向外側に位置することがより好ましい。一方で、ランフラット性能を向上させる観点からは、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向内側端は、20mm以下の範囲で、接地端よりタイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
ここで、タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスとを備え、サイド補強ゴムは、カーカスとタイヤ内面とのタイヤ幅方向の間に配置されていることが好ましい。これにより、サイド補強ゴムによりカーカスを保護して、タイヤの耐外傷性を向上させることができる。
また、タイヤ幅方向断面視において、サイド補強ゴムは、断面三日月状の形状を有することが好ましい。タイヤのパンク時にサイド補強ゴムが荷重を肩代わりして走行するのに適しているからである。
【0073】
本発明者が検討したところ、電磁誘導方式を用いるような技術においては、通常走行時のみならず、ランフラット走行時における受電効率も確保することが求められることが判明した。
そこで、
図13に示すように、タイヤ10のサイドウォール部12に、サイド補強ゴム60を備え、上記基準状態において、タイヤ最大幅位置のタイヤ径方向位置における、サイド補強ゴム60のタイヤ幅方向の幅wは、4mm以上12mm以下であることが好ましい。上記幅wが4mm未満であると、ランフラット走行時に荷重を十分に肩代わり支持しきれず、タイヤが撓むことによって、(例えば通常走行時を基準として受電効率が最大となるように設計された状態から)受電コイル31の位置が路面と近くなり過ぎて、受電効率が低下してしまう場合がある。一方で、上記幅wが12mm超だと通常走行時の給電時に、サイド補強ゴムによって磁束が妨げられて受電効率が低下してしまう場合がある。これに対し、上記幅wを4mm以上12mm以下とすることにより、通常走行時及びランフラット走行時における受電効率を両立させることができる。
ここで、上記基準状態において、タイヤ最大幅位置のタイヤ径方向位置における、サイド補強ゴムのタイヤ幅方向の幅wは、6mm以上10mm以下であることが好ましい。上記幅wを6mm以上とすることにより、ランフラット走行時に荷重を十分に肩代わり支持することができるようにして、受電コイルと路面との距離の(通常走行時からの)変動を抑制して、ランフラット走行時の受電効率の低下をより抑制し得る。また、上記幅wを10mm以下とすることにより、通常走行時の給電時に、サイド補強ゴムによって磁束がより妨げられないようにして、通常走行時の受電効率の低下をより抑制し得る。同様の理由により、上記幅wは、7mm以上9mm以下とすることがより好ましい。
ここで、タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスとを備え、サイド補強ゴムは、カーカスとタイヤ内面とのタイヤ幅方向の間に配置されていることが好ましい。これにより、サイド補強ゴムによりカーカスを保護して、タイヤの耐外傷性を向上させることができる。
また、タイヤ幅方向断面視において、サイド補強ゴムは、断面三日月状の形状を有することが好ましい。タイヤのパンク時にサイド補強ゴムが荷重を肩代わりして走行するのに適しているからである。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、本発明において、車両2は、自動車であるものとして説明したが、この限りではない。車両2には、乗用車、トラック、バス、及び二輪車等の自動車に加え、トラクター等の農業用車両、ダンプカー等の工事用又は建設用車両、電動自転車、並びに電動車いす等の、モータ等の動力源によってホイール及びタイヤを駆動させる任意の車両が含まれてもよい。また、車両自体が電動で駆動するものの他、車両内で電力を使用するための給電としても良い。
【0075】
また、例えば、本発明において、タイヤは、空気が充填されるものとして説明したが、この限りではない。例えば、タイヤには、窒素等の気体を充填することができる。また、例えば、タイヤには、気体に限らず、液体、ゲル状物質、又は粉粒体等を含む、任意の流体を充填することができる。
【0076】
また、例えば、本発明において、タイヤは、インナーライナーを備えるチューブレスタイヤであるものとして説明したが、この限りではない。例えば、タイヤは、チューブを備えるチューブタイプタイヤであってもよい。
【0077】
また、例えば、本発明においては、タイヤは、非空気入りタイヤとすることもできる。この場合も、送電コイルと対向し得る位置に受電コイルを配置すればよい。
【0078】
本発明は、特に、接地幅が120mm以上であるタイヤとすることが好ましい。
【符号の説明】
【0079】
1:無線受電システム、 2:車両、
2A:ハブ、 2B:ドライブシャフト、
3:タイヤ・ホイール組立体、 4:インホイールモータ、
10:タイヤ、 11:ビード部、
12:サイドウォール部、 13:トレッド部、 13a:踏面、
14:カーカス、 14A:カーカス本体部、 14B:カーカス折り返し部、
15:ベルト、 16:インナーライナー、
17:周方向主溝、19:層間ゴム、
20:ホイール、 21:リム部、
22:ディスク部、 22A:取付部、 22B:スポーク、
23:フランジ、 24:ビードシート、 25:ウェル、
26:ハンプ、 27:バルブ、 28:ホイールカバー、
30:受電装置、 31:受電コイル、
32:電力変換回路、 33:蓄電部、 34:制御部、
40:送電装置、 41:送電コイル、
60:サイド補強ゴム